説明

医療用具保持台紙および医療用具の取り出し方法

【課題】医療用具を好適に保持することができ、また、医療用具保持台紙に保持された医療用具をその医療用具保持台紙から取り出す際や、医療用具保持台紙に保持された状態で収納容器に複数個収納された医療用具を医療用具保持台紙ごとその収納容器から取り出す際に、その取り出し作業を容易かつ迅速に行うことができる医療用具保持台紙および医療用具の取り出し方法を提供すること。
【解決手段】台紙1は、可撓性を有する長尺なシート材10で構成され、カテーテル20のカテーテル本体201およびハブ202を保持する保持部と、三方活栓207を覆うようにシート材10の長手方向に沿って変形する短冊状の保持部3と、保持部3の先端部が差し込まれ、保持部3が三方活栓207を覆った状態を保持するスリット5とを備えている。保持部3の先端部は、カテーテル20を台紙1から取り出す際に引き抜く方向と反対側に向って折り返される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用具保持台紙および医療用具の取り出し方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばカテーテルのような可撓性を有する長尺な医療用具は、未使用状態では、台紙に保持、固定され、そして、袋状の包装体に包装されて(収納されて)いる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の台紙は、可撓性を有する長尺なシート材で構成されている。この台紙には、カテーテルの長手方向に沿って、可撓性を有する複数の固定帯と、その固定帯の先端部が挿入される複数の溝孔とが、並設されている。各固定帯は、それぞれ、カテーテルを、そのカテーテル(シート材)の長手方向に対して垂直な方向に巻き込み、対応する溝孔に挿入されており、これによりカテーテルが保持されている。
【0004】
ところで、カテーテルの基端部に設けられたハブに接続されたチューブの先端部に、例えば、三方活栓等の嵩の高い接続部材(立体構造をなす構造体)が設けられた医療用具を、台紙に保持し、包装体に収納する場合、前記特許文献1に記載の台紙では、下記のような問題がある。
【0005】
まず、三方活栓が剥き出しになった状態でカテーテルが台紙に保持されるので、その三方活栓により、包装体が損傷してしまうことがあり、また、三方活栓がずれたり、ぐらついたりすることがある。
【0006】
また、包装されたカテーテルは、1つの箱に、複数個がまとめて収納されることもあるので、その箱から包装されたカテーテルを取り出す際、三方活栓が、隣接する他のカテーテルの三方活栓や所定の部材に引っ掛かり、取り出し難く、また、包装体を損傷してしまうこともある。
【0007】
【特許文献1】特開2000−255627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、医療用具を好適に保持することができ、また、医療用具保持台紙に保持された医療用具をその医療用具保持台紙(包装体)から取り出す際や、医療用具保持台紙に保持された状態(包装体に収納された状態)で収納容器に複数個収納された医療用具を医療用具保持台紙(包装体)ごとその収納容器から取り出す際に、その取り出し作業を容易かつ迅速に行うことができる医療用具保持台紙および医療用具の取り出し方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記(1)〜(14)の本発明により達成される。
(1) 可撓性を有する線状部の端部に立体構造をなす構造体が設けられた医療用具を保持し、長尺なシート材で構成された医療用具保持台紙であって、
前記医療用具が載置された状態で、前記構造体を覆うように前記シート材の長手方向に沿って変形する保持部と、
前記保持部の先端部が差し込まれ、前記保持部が前記構造体を覆った状態を保持する被差込部とを備え、
前記保持部の先端部は、前記保持部が前記構造体を覆った状態で、前記被差込部に差し込まれ、前記医療用具を当該医療用具保持台紙から取り出す際に引き抜く方向と反対側に向って折り返されることを特徴とする医療用具保持台紙。
【0010】
(2) 前記保持部は、前記構造体のほぼ全体を包むものである上記(1)に記載の医療用具保持台紙。
【0011】
(3) 前記保持部の先端部は、前記線状部が挿通可能なように構成されている上記(1)または(2)に記載の医療用具保持台紙。
【0012】
(4) 前記保持部の先端部には、前記線状部が挿通可能で、前記保持部の先端部の先端に開放した孔が形成されている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【0013】
(5) 前記保持部は、前記シート材の一部を切り込むことにより形成されたものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【0014】
(6) 前記保持部の幅方向の縁部に、該縁部を折り曲げて形成された壁部を有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【0015】
(7) 前記保持部は、基端側に開口を有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【0016】
(8) 前記保持部は、前記シート材の途中に設けられている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【0017】
(9) 前記保持部は、前記シート材の長手方向の端部に設けられている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【0018】
(10) 前記被差込部は、前記シート材の一部を切り込むことにより形成されたものである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【0019】
(11) 前記シート材の少なくとも表面には、樹脂材料で構成された樹脂層が形成されている上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【0020】
(12) 前記シート材は、その厚さが0.20〜0.55mmのものである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【0021】
(13) 前記保持部は、短冊状である上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【0022】
(14) 可撓性を有する線状部の端部に立体構造をなす構造体が設けられた医療用具の前記構造体を覆う保持部と、前記保持部の先端部が差し込まれる被差込部とを備え、前記保持部の先端部は、前記保持部が前記構造体を覆った状態で、前記被差込部に差し込まれ、所定方向に向って折り返されており、前記医療用具を保持した状態で袋状の包装体に収納されている、長尺なシート材で構成された医療用具保持台紙から、前記医療用具を取り出す医療用具の取り出し方法であって、
前記包装体から前記医療用具保持台紙の少なくとも一部を取り出し、前記保持部の先端部が折り返されている方向と反対方向に前記医療用具を引き抜いて、前記医療用具を前記医療用具保持台紙から取り出すことを特徴とする医療用具の取り出し方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、医療用具の可撓性を有する線状部の端部に設けられた構造体を確実に保持することができ、また、保持部が構造体を覆っているので、医療用具が医療用具保持台紙に保持された状態で袋状の包装体に収納されているとき、構造体によって包装体が損傷(破損)してしまうことを防止でき、これにより、医療用具を好適に保持することができ、その医療用具を好適な状態で、搬送、保管することができる。
【0024】
また、保持部の先端部は、医療用具を医療用具保持台紙から取り出す際に引き抜く方向と反対側に向って折り返されているので(医療用具を医療用具保持台紙から取り出す際、保持部の先端部が折り返されている方向と反対方向に引き抜くので)、医療用具保持台紙に保持された医療用具、すなわち、医療用具保持台紙に保持され、包装体に収納された医療用具をその医療用具保持台紙から取り出す際、保持部の先端部が包装体に引っ掛かってしまうことを防止でき、これにより、保持部の先端部が被差込部から円滑かつ確実に抜け、その取り出し作業を容易かつ迅速に行うことができる。
【0025】
保持部は、医療用具を医療用具保持台紙から取り出す際に引き抜く方向に沿って折り曲げられ覆っているため(保持部は、医療用具保持台紙の長手方向に沿って折り曲げられて構造体を覆っているため)、包装体から包装体に収納された医療用具と医療用具保持台紙を取り出す際、保持部の頂点(保持部が構造体を覆うときに医療用具保持台紙から最も高さのある部位)付近の側面が包装体の内表面と引っ掛かってしまうことを防止できる。
【0026】
また、医療用具保持台紙に保持された状態、すなわち、医療用具保持台紙に保持され、包装体に収納された状態で収納容器に複数個収納された医療用具を包装体ごとその収納容器から取り出す際に、保持部により、隣接する他の医療用具の構造体や所定の部材に構造体が引っ掛かってしまうことを防止でき、その取り出し作業を容易かつ迅速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の医療用具保持台紙および医療用具の取り出し方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0028】
<第1実施形態>
図1は、本発明の医療用具保持台紙の第1実施形態を示す展開図(平面図)、図2は、図1に示す医療用具保持台紙の保持部の近傍を示す展開図(平面図)、図3は、図1に示す医療用具保持台紙の使用状態を示す平面図、図4は、図1に示す医療用具保持台紙の使用状態であって、保持部の近傍を示す側面図である。
【0029】
なお、以下では、説明の都合上、図1〜図4中の右側を「先端」、左側を「基端」と言う。また、図1〜図3中の紙面手前側(表)を「表」、紙面奥側(裏)を「裏」と言い、図4中の上側を「表」、下側を「裏」と言う。
【0030】
また、図2中の破線は谷折りをする部分を示し、実線は、切り込まれた部分を示す。
また、図1および図2中の斜線が施されている部分は、貫通した孔(開口)を示している。
【0031】
図1〜図4に示す医療用具保持台紙(以下単に「台紙」と言う)1は、未使用状態のカテーテル(医療用具)20を保持することができるものである。以下、台紙1がカテーテル20を保持した状態を「保持状態」と言う。台紙1は、この保持状態で、カテーテル20ごと(とともに)包装体(袋体)30に収納される(図3参照)。この図3に示す状態のものを「カテーテルセット(医療用具セット)100」と言う。
【0032】
台紙1について説明する前に、カテーテル20および包装体30について、それぞれ説明する。
【0033】
まず、カテーテル20について説明する。
図3および図4に示すように、カテーテル20は、可撓性を有するカテーテル本体(線状部)(長尺部)201と、カテーテル本体201の基端部に設けられたハブ202と、カテーテル本体201の基端側、すなわち、ハブ202に接続された可撓性を有するチューブ(線状部)206と、チューブ206の先端部に設けられた三方活栓(接続部材)(立体構造をなす構造体)207とを備えている。
【0034】
カテーテル本体201は、長尺なチューブ(中空管)で構成されている。
カテーテル本体201の基端部には、硬質樹脂材料で構成されたハブ202が固定(接続)されている。このハブ202は、カテーテル本体201よりも外径および内径が大きい筒体で構成され、その内腔がカテーテル本体201の内腔と連通している。また、ハブ202の側部には、その内腔に連通する内腔を有するポート部2021が形成されている。
【0035】
また、ハブ202のポート部2021には、その内腔に連通するように、可撓性を有する長尺なチューブ(中空管)206の基端部(長手方向の一方の端部)が固定(接続)されている。そして、チューブ206の先端部(長手方向の他方の端部)には、所定の部材(医療用具)を着脱自在に接続し得る接続部材(立体構造をなす構造体)として、硬質樹脂材料で構成された三方活栓207が、チューブ206の内腔に連通するように固定(接続)されている。
【0036】
なお、図示の構成では、チューブ206の基端部は、ハブ202に固着されているが、これに限らず、例えば、ハブ202に対し、着脱自在に接続されるようになっていてもよい。
【0037】
また、接続部材としては、所定の部材を接続し得るもの(手段)であれば、三方活栓に限らず、その他、例えば、Y字管、T字管、ト字管等の分岐コネクタ、ハブ等が挙げられる。
【0038】
カテーテル本体201の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組合せたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体等)を用いることができる。
【0039】
次に、包装体30について説明する。
図3および図4に示すように、包装体30は、長尺な袋状をなすものであり、保持状態の台紙1の全体を収納するのに十分な程度の大きさを有している。この包装体30は、例えばポリエチレンやポリ塩化ビニルのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その基端部を除く周縁を融着(熱融着、高周波融着等)または接着し、袋状としたものである。なお、包装体30の両面のうちの一方を、例えば、紙材、織布、不織布等で構成することもできる。
【0040】
包装体30の先端部(長手方向の一方の端部)は、保持状態の台紙1を包装体30に挿入するまでは、融着や接着がなされず、開口部となっており、保持状態の台紙1を包装体30に挿入する際の挿入口として使用され、台紙1を包装体30に挿入した後に、融着または接着され、封止される。また、包装体30の基端部(長手方向の他方の端部)は、その融着または接着された部位を剥離して開口部を形成することで、包装体30に収納されている台紙1からカテーテル20を取り出す際の取出口として使用される。
【0041】
また、包装体30は、内部の視認性を確保するために、少なくとも表側が実質的に透明であるのが好ましい。例えば、包装体30は、エチレンオキサイドガス(EOG)滅菌に供するために、包装体30の一面(表側)を実質的に透明な樹脂製シートで形成し(構成し)、他面(裏側)をガス透過性不織布(例えばタイベック(登録商標))等で形成することができる。
【0042】
次に、台紙1について説明する。
図1〜図4に示すように、台紙1は、可撓性を有する長尺なシート材10で構成されたものである。この台紙1は、図1に示す展開状態のシート材10を、図3および図4に示すように所定部位を折り曲げる等、変形(屈曲、湾曲)させた状態(曲げた状態)で用いられる。
【0043】
なお、シート材10の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、上質紙、中質紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、更クラフト紙、表面コート紙等の種々の紙材が挙げられ、この紙材を1枚または複数枚積層して(重ねて)使用する。
【0044】
このようなシート材10で構成された台紙1は、カテーテル20が載置される長尺な本体部11と、カテーテル20のカテーテル本体201およびハブ202を保持する保持部2と、保持部2と異なる位置に設けられ、三方活栓207を保持する保持部3とを備えている。
【0045】
保持部2は、台紙1(シート材10)の幅方向(図1〜図3中の上下方向)(長手方向に対して垂直な方向)の図1〜図3中上側(一方の端部)寄りに位置している。
【0046】
この保持部2は、8つのタブ4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4hを有している。
【0047】
図1に示すように、これらのタブ4a〜4hは、台紙1(シート材10)の長手方向(図1〜図4中の左右方向)に沿って配置されており、図3に示すように、本体部11との間でカテーテル本体201を挟持することができる。これにより、保持部2でカテーテル本体201を確実に保持することができる。
【0048】
また、4a〜4hのうち、タブ4a〜4dは、図1中下側に向かって突出しており、タブ4e〜4hは、図1中上側に向かって突出している。また、タブ4a〜4dとタブ4e〜4hとは、互いに交互に配置さている。このような構成により、保持部2にあるカテーテル20のカテーテル本体201が図3中上下方向にズレた(移動した)としても、カテーテル本体201が4a〜4hから離脱するのが防止される。
【0049】
さらに、図3に示すように、保持部2では、タブ4aとタブ4eとは、カテーテル本体201を集中的に(所々で集中して)挟持する1つのタブ対40を構成している。これと同様に、タブ4bとタブ4fとが1つのタブ対40を構成し、タブ4cとタブ4gとが1つのタブ対40を構成し、タブ4dとタブ4hとが1つのタブ対40を構成している。これにより、カテーテル本体201の所定部位(途中の部位)に対する挟持力が増大し、よって、カテーテル本体201をより確実に固定することができる。
【0050】
各タブ4a〜4hは、それぞれ、シート材10の一部をL字状またはヘ字状(所望の形状)に切り込むことにより形成したものである。これにより、各タブ4a〜4hをそれぞれ別体で構成するよりも容易に形成することができる。
なお、各タブ4a〜4hをそれぞれ別体で構成してもよいことは、言うまでもない。
【0051】
また、保持部2は、シート材10のタブ4aおよび4eの基端側に形成された開口(孔)21を有している。図3に示すように、開口21は、その形状が四角形(長尺状)をなし、カテーテル20のハブ202が挿入される(受け入れられる)部位である。これにより、カテーテル20のハブ202が確実に保持される。
【0052】
図1〜図4に示すように、保持部2の図1〜図3中の下側(他方の端部側)には、保持部2に隣接して、三方活栓207を保持する保持部3が設けられている。このような配置により、カテーテル本体201と三方活栓207とを並べて保持することができ、よって、カテーテル20を円滑に取り出ことができる。
【0053】
図1および図2に示すように、保持部3は、変形前は、短冊状をなし、その長手方向と、シート材10(カテーテル本体201)の長手方向とが一致している。また、保持部3は、シート材10の途中、すなわち、シート材10の長手方向および長手方向に対して垂直な方向のそれぞれの途中に位置している。
【0054】
この保持部3は、図3および図4に示すように、カテーテル20が本体部11に載置された状態で、三方活栓207を覆うようにシート材10(カテーテル本体201)の長手方向に沿って変形(湾曲、屈曲等)する。これにより、保持部3で三方活栓207を確実に保持することができる。
【0055】
また、三方活栓207は、保持部3上に載置され、その保持部3により、側面側を除き、全体が包まれる(覆われる)。すなわち、シート材10(カテーテル本体201)の長手方向に沿って、三方活栓207の全体が包まれる。これにより、三方活栓207によって包装体30の表面側および裏面側のそれぞれの壁部(シート材)が損傷(破損)してしまうことを防止でき、これにより、カテーテル20を好適に保持することができ、そのカテーテル20を好適な状態で、搬送、保管することができる。さらに、複数個のカテーテルセット100が箱(収納容器)に収納されているとき、所定のカテーテルセット100をその箱から取り出す際に、保持部3により、隣接する他のカテーテルセット100の三方活栓207や所定の部材に三方活栓207が引っ掛かってしまうことを防止でき、その取り出し作業を容易かつ迅速に行うことができる。
【0056】
図1および図2に示すように、保持部3の基端側には、保持部3の先端部31が差し込まれ、保持部3が三方活栓207を覆った状態(保持した状態)を保持する被差込部として、スリット5が設けられている。このスリット5は、シート材10の一部を、シート材10の幅方向に沿って直線状(所望の形状)に切り込むことにより形成したものである。このスリット5により、保持部3が三方活栓207を覆った状態を確実に保持することができる。
【0057】
ここで、台紙1に保持されているカテーテル20を台紙1から取り出す際は、ハブ202を把持し、そのカテーテル20を基端方向に引き抜く。
【0058】
図3および図4に示すように、保持部3の先端部31は、保持部3が三方活栓207を覆った状態で、スリット5に差し込まれ、カテーテル20を台紙1から取り出す際に引き抜く方向と反対側、すなわち、先端側に向って折り返される。これにより、カテーテルセット100の台紙1からカテーテル20を取り出す際、保持部3の先端部31が包装体30に引っ掛かってしまうことを防止でき、これによって、保持部3の先端部31がスリット5から円滑かつ確実に抜け、その取り出し作業を容易かつ迅速に行うことができる。
【0059】
さらに、保持状態の台紙1を包装体30に挿入する際は、包装体30の先端部から、台紙1を基端方向に押し込むようになっているが、保持部3の先端部31が先端側(押し込む方向と反対側)に向って折り返されているので、その保持状態の台紙1を包装体30に挿入する際、保持部3の先端部31が包装体30に引っ掛かってしまうことを防止でき、その挿入作業を容易かつ迅速に行うことができる。
【0060】
また、図2に示すように、保持部3の先端部31の幅(図2中上下方向の長さ)は、先端側から基端側に向って漸増している。あるいは、保持部3の先端部31の幅は、先端側から基端側に向って漸増しておらずとも先端部31の先端側が先端部31の基端側より小さくなっている。これにより、保持部3の先端部31をスリット5に、容易かつ円滑に差し込むことができる。
【0061】
また、図2および図3に示すように、保持部3の先端部31には、チューブ206が挿通可能で、先端部31の先端に開放した孔32が形成されている。これにより、チューブ206の通路を確保することができる。なお、孔32は、完全に切り欠かれた開口部であってもよいが、一部が台紙1と繋がった状態で残っていてもよく、この場合、台紙1の孔32の紙片をごみとして処理する必要がなくなる。
【0062】
また、図2および図4に示すように、保持部3は、2つの壁部33を有している。これらの壁部33は、保持部3の幅方向(図2中上下方向)の両縁部に立設されている。各壁部33は、それぞれ、保持部3の幅方向の縁部を折り曲げて形成されたものである。各壁部33がそれぞれ形成されていることにより、保持部3が補強される。さらに、保持部3で三方活栓207をより確実に保持することができる。
【0063】
なお、壁部33は、図示の構成では保持部3の幅方向の両縁部にそれぞれ設けられているが、これに限定されず、例えば、一方の縁部にのみ設けられていてもよい。
【0064】
図2に示すように、この保持部3は、シート材10の一部を短冊状(所望の形状)に切り込むことにより形成したものである。これにより、保持部3を別体で構成するよりも容易に形成することができる。保持部3を別体で構成するよりも製造コストが低くなるという利点もある。また、保持部3と本体部11とが一体化しているので、台紙1を扱い易いという利点がある。
なお、保持部3を別体で構成してもよいことは、言うまでもない。
【0065】
台紙1の表面(カテーテル20が載置される側の面)には、樹脂材料で構成された図示しない樹脂層が形成(コート)されているのが好ましい。樹脂層の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、ポリエーテルイミド等が挙げられるが、このなかでもフッ素系樹脂またはポリオレフィンのような低摩擦材料が好ましい。
【0066】
樹脂層が形成されていることにより、台紙1からカテーテル20を基端方向に引き抜いて取り出す際、それらの摩擦抵抗(摺動抵抗)が小さくなり、その取り出し作業を円滑に行うことができる。または、台紙1の表面に樹脂層が形成されていなくとも、台紙1の表面に微小な凹凸を設けて低摩擦表面を実現することができる。
【0067】
なお、樹脂層は、台紙1の表面および裏面のそれぞれに形成されていてもよい。
また、樹脂層は、台紙1の表面および裏面のいずれにも形成されていなくてもよい。
【0068】
また、台紙1(シート材10)の厚さtは、0.20〜0.55mmであるのが好ましく、0.3〜0.5mmであるのがより好ましい。これにより、例えば、各タブ7a〜7fが第2のカテーテル20bに対して適度な挟持力(保持力)を得る。
【0069】
カテーテルセット100の台紙1に保持されているカテーテル20を台紙1から取り出す際は、例えば、まず、包装体30の基端部を剥離して開口部を形成し、台紙1を把持し、その開口部から台紙1を基端方向に少し引き出す(取り出す)。
【0070】
次に、カテーテル20のハブ202を把持し、そのカテーテル20を基端方向(保持部3の先端部31が折り返されている方向と反対方向)に引き抜く。この際、チューブ206を介して三方活栓207が基端方向に引っ張られ、これにより、保持部3の先端部31がスリット5から抜け、三方活栓207は、基端方向に移動する。このようにして、台紙1からカテーテル20が取り出される。
【0071】
前述したように、保持部3の先端部31は、台紙1の裏面で先端側(カテーテル20を台紙1から取り出す際に引き抜く方向と反対側)に向って折り返されているので、前記三方活栓207が基端方向に引っ張られ、その三方活栓207により保持部3の先端部31がスリット5から抜ける際、保持部3の先端部31が包装体30に引っ掛かってしまうことを防止でき、これによって、保持部3の先端部31がスリット5から円滑かつ確実に抜け、その取り出し作業を容易かつ迅速に行うことができる。
【0072】
なお、この第1実施形態における保持部3の先端部31の構成は、後述する第2実施形態における保持部に適用することができる。
【0073】
ここで、カテーテルセット(医療用具セット)100は、図12(a)に示すように、包装体30に設けられたポケット(収納部)50を有していてもよい。なお、以下では、説明の都合上、図12(a)および図12(b)中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。
【0074】
ポケット50の位置は、特に限定されないが、図示の構成では、ポケット50は、包装体30の先端部に設けられている。そして、ポケット50の基端側に、挿入・取出口として機能する開口部501が形成されている。なお、複数のポケット50が設けられていてもよい。
【0075】
これにより、ポケット50に、例えば、メスや針等の所定の付属品を、例えば、所定の収納袋90等に収納した状態で、収納することができ、利便性が高い。
【0076】
また、カテーテルセット(医療用具セット)100は、図12(b)に示すように、前記付属品が収納された収納袋90を保持し得る帯体(保持部)60を有していてもよい。帯体60は、包装体30の外周に、その周方向に沿って巻き付けられ、環状をなしている。帯体60の具体例としては、例えば、熨斗(のし)状の紙片等が挙げられる。
【0077】
帯体60の位置は、特に限定されないが、図示の構成では、帯体60は、包装体30の長手方向の中央部に設けられている。なお、帯体60は、摩擦抵抗で包装体30に固定されていてもよく、また、帯体60の一部が、包装体30に、融着または接着等により固着されていてもよい。また、複数の帯体60が設けられていてもよい。
【0078】
<第2実施形態>
図5は、本発明の医療用具保持台紙の第2実施形態を示す展開図(平面図)、図6は、図5に示す医療用具保持台紙の保持部の近傍を示す展開図(平面図)、図7は、図5に示す医療用具保持台紙の使用状態を示す平面図、図8は、図5に示す医療用具保持台紙の使用状態であって、保持部の近傍を示す平面図、図9は、図5に示す医療用具保持台紙の使用状態であって、保持部の近傍を示す側面図である。
【0079】
なお、以下では、説明の都合上、図5〜図9中の右側を「先端」、左側を「基端」と言う。また、図5〜図8中の紙面手前側(表)を「表」、紙面奥側(裏)を「裏」と言い、図9中の上側を「表」、下側を「裏」と言う。
【0080】
また、図6中の破線は谷折りをする部分を示し、実線は、切り込まれた部分を示す。
また、図5および図6中の斜線が施されている部分は、貫通した孔(開口)を示している。
【0081】
以下、本発明の医療用具保持台紙および医療用具の取り出し方法の第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0082】
図5〜図9に示す医療用具保持台紙(以下単に「台紙」と言う)1は、未使用状態の2つ(複数)のカテーテル(医療用具)20aおよび20bを保持することができるものである。
【0083】
カテーテル20aおよび20bは、これらを組み立てた状態(組立状態)、すなわち、カテーテル20aにカテーテル20bを挿入した状態で用いられるカテーテル組立体である。
【0084】
カテーテル20aは、前記第1実施形態におけるカテーテル20と同様のものであり、可撓性を有するカテーテル本体(線状部)(長尺部)201aと、カテーテル本体201aの基端部に設けられ、ポート部2021aを有するハブ202aと、カテーテル本体201aの基端側、すなわち、ハブ202aのポート部2021aに接続された可撓性を有するチューブ(線状部)206と、チューブ206の先端部に設けられた三方活栓(接続部材)(立体構造をなす構造体)207とを備えている。
【0085】
カテーテル本体201aは、その内径が後述するカテーテル20bのカテーテル本体201bの外径とほぼ同じか外径より大きいものである。これにより、組立状態(カテーテル組立体)とするとき、カテーテル本体201a内にカテーテル本体201bを挿入することができる。
【0086】
また、カテーテル20bは、可撓性を有するカテーテル本体(線状部)(長尺部)201bと、カテーテル本体201bの基端部に設けられたハブ202bとを備えている。
【0087】
カテーテル本体201bは、長尺なチューブ(中空管)で構成されている。
カテーテル本体201bの基端部には、硬質樹脂材料で構成されたハブ202bが固定されて(接続されて)いる。このハブ202bは、カテーテル本体201bよりも外径および内径が大きい筒体で構成され、その内腔がカテーテル本体201bと連通している。
【0088】
カテーテル本体201bの構成材料としては、特に限定されず、前記第1実施形態におけるカテーテル20と同様のものを用いることができる。なお、カテーテル本体201aの構成材料とカテーテル本体201bの構成材料とを例えば適宜選択することにより、カテーテル本体201aとカテーテル本体201bとの剛性を異ならせることができる。
【0089】
図5〜図9に示すように、台紙1は、カテーテル20aおよび20bが載置される長尺な本体部11と、カテーテル20aのカテーテル本体201aおよびハブ202aを保持する保持部2と、保持部2と異なる位置に設けられ、三方活栓207を保持する保持部3と、保持部2および保持部3と異なる位置に設けられ、カテーテル20bのカテーテル本体201bおよびハブ202bを保持する保持部6とを備えている。
【0090】
保持部2の構成は、第1実施形態における保持部2と同様であるので、その説明は省略する。
【0091】
保持部2の図5〜図7中下側には、保持部2に隣接して、保持部6が設けられている。このような配置により、カテーテル20aとカテーテル20bとを並べて保持することができ、よって、各カテーテルをそれぞれ取り出す際の作業が容易となる。
【0092】
この保持部6は、保持部2と同様に、8つのタブ7a、7b、7c、7d、7e、7f、7g、7hを有しており、7a〜7hのうち、タブ7a〜7dは、図5中上側に向かって突出しており、タブ7e〜7hは、図5中下側に向かって突出している。また、タブ7aとタブ7eとが1つのタブ対70を構成し、タブ7bとタブ7fとが1つのタブ対70を構成し、タブ7cとタブ7gとが1つのタブ対70を構成し、タブ7dとタブ7hとが1つのタブ対70を構成している。
【0093】
また、保持部6は、シート材10のタブ7aおよび7eの基端側に形成された開口(孔)61を有している。図7に示すように、開口61は、その形状が四角形(長尺状)をなし、カテーテル20bのハブ202bが挿入される(受け入れられる)部位である。これにより、カテーテル20bのハブ202bが確実に保持される。
【0094】
図5〜図9に示すように、スリット5の基端側、すなわち、シート材10の長手方向の基端部には、三方活栓207を保持する保持部3が設けられている。このような配置により、カテーテル20aを円滑に取り出ことができる。なお、保持部3については、図5および図6中の右側を「基端」、左側を「先端」と言う。
【0095】
また、保持部3の基端部34の先端側(図5および図6中の左側)には、2つのタブ81、82が形成されている。タブ81は、図5および図6中の右上側に向かって突出しており、82は、図5および図6中の左下に向かって突出している。図7〜図9に示すように、各タブ81、82と、保持部3の基端部34との間で、固定部材80を挟持することができる。これにより、固定部材80を確実に保持することができる。
【0096】
なお、固定部材80は、組立状態(カテーテル組立体)としたとき、そのカテーテル20aとカテーテル20bとを互いに固定する部材である。この固定部材80は、丸みを帯びているので、保持部3で固定部材80を覆わなくても、その固定部材80によって包装体30を破損させてしまうことはない。
【0097】
保持部3の先端部31は、シート材10の長手方向に沿って、先端側から基端側に向って順に、第1領域311、第2領域312および第3領域313を有している。
【0098】
第3領域313は、開口(孔)36を有している。図7〜図9に示すように、開口36は、その形状が四角形(長尺状)をなし、保持部3が三方活栓207を覆った状態(保持した状態)で、保持されている固定部材80が、その開口36内に位置するように構成されている。これにより、保持部3が三方活栓207を覆った状態で、固定部材80によって第3領域313が極端に嵩高くなってしまうことを防止できる。
第2領域312は、第1実施形態と同様に、2つの壁部33を有している。
【0099】
第1領域311は、保持部3の幅方向の両側に、それぞれ、スリット5に差し込まれる差込部38を有し、この2つの差込部38の間に、スリット5に差し込まれない中央部37を有している。中央部37および各差込部38は、それぞれ、その形状が四角形(長尺状)をなしている。また、各差込部38の長手方向の長さは、同一である。そして、中央部37の長手方向の長さは、各差込部38よりも長く設定され、中央部37の先端部が、各差込部38の先端部よりも先端側に突出している。なお、中央部37の長手方向の長さは、各差込部38の長手方向の長さよりも短くてもよい。中央部37および/または各差込部38は、その幅が基端側から先端側に向って幅狭になっていてもよく、それらの先端側が丸みを帯びていてもよい。
【0100】
次に、保持部3により三方活栓207を保持する際の手順について説明する。
図7〜図9に示すように、保持部3により三方活栓207を保持する際は、三方活栓207を保持部3の基端部34の表面側に配置する。
【0101】
次に、先端部31を基端部34に対して谷折り部83(図6参照)で折り曲げ、さらに、先端部31の第1領域311の各差込部38を所定部位で折り曲げ、スリット5に差し込む。
【0102】
ここで、台紙1に保持されたカテーテル20aを台紙1から取り出す際は、カテーテル本体201aの先端部を把持し、そのカテーテル20aを先端方向(図7〜図9中右側)に引き抜く。
【0103】
したがって、各差込部38は、カテーテル20を台紙1から取り出す際に引き抜く方向と反対側、すなわち、基端側(図9中左側)に向って折り返される。
【0104】
一方、中央部37は、スリット5に差し込まず、スリット5の先端側の本体部11の表面側に配置させる。
【0105】
このようにして、三方活栓207は、保持部3により、側面側を除き、全体が包まれる(覆われる)。すなわち、保持部3により、シート材10(カテーテル本体201a)の長手方向に沿って、三方活栓207の全体が包まれる。
【0106】
カテーテルセット100の台紙1に保持されているカテーテル20aを台紙1から取り出す際は、例えば、まず、包装体30の基端部を剥離して開口部を形成し、台紙1を把持し、その開口部から台紙1の保持部3を含む部分を基端方向に少し引き出す。
【0107】
次に、カテーテル20aのハブ202aを把持し、そのカテーテル20aのカテーテル本体201aを引き抜く。この際、チューブ206を介して三方活栓207が先端方向に引っ張られるようにハブ202aを上方に引き上げると、保持部3の先端部31の各差込部38がスリット5から抜け、三方活栓207は、先端方向に移動する。このようにして、台紙1からカテーテル20aが取り出される。
【0108】
この台紙1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、この第2実施形態における保持部の先端部の構成は、前記第1実施形態および後述する第3実施形態における保持部に適用することができる。
【0109】
<第3実施形態>
図10は、本発明の医療用具保持台紙の第3実施形態の主要部を示す展開図(平面図)、図11は、図10に示す医療用具保持台紙の使用状態であって、主要部を示す平面図である。
【0110】
なお、以下では、説明の都合上、図10および図11中の右側を「先端」、左側を「基端」と言う。また、図10および図11中の紙面手前側(表)を「表」、紙面奥側(裏)を「裏」と言う。
【0111】
また、図10中の破線は谷折りをする部分を示し、実線は、切り込まれた部分を示し、斜線が施されている部分は、貫通した孔(開口)を示している。
【0112】
以下、本発明の医療用具保持台紙および医療用具の取り出し方法の第3実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0113】
まず、第3実施形態において、医療用具保持台紙(以下単に「台紙」と言う)に保持されるカテーテル20のカテーテル本体201の先端部203は、外力を付与しない状態で、所望の形状に湾曲(湾曲変形)している。図示の構成では、先端部(変形部)203は、外力を付与しない状態で螺旋状(複数のループ状)に湾曲しており、これにより、螺旋形状部(立体構造の構造体)が形成されている。
【0114】
なお、前記先端部203は、湾曲している場合に限らず、屈曲(屈曲変形)して立体構造の構造体が形成されていてもよく、また、湾曲および屈曲して立体構造の構造体が形成されていてもよい。
【0115】
図10および図11に示すように、台紙1は、第1実施形態の構成要素に加え、さらに、カテーテル20のカテーテル本体201の先端部203を保持する保持部9を備えている。保持部9は、保持部2の先端側に配置されている。
【0116】
この保持部9の構成は、第1実施形態における保持部3と同様である。すなわち、保持部9は、2つの壁部93を有し、また、保持部9の先端部91には、チューブ206が挿通可能で、先端部91の先端に開放した孔92が形成されている。
【0117】
この台紙1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
そして、この台紙1では、さらに、保持部9により、カテーテル本体201の先端部203によって包装体30の表面側および裏面側のそれぞれの壁部(シート材)が損傷(破損)してしまうことを防止することができる。
【0118】
なお、カテーテル本体(線状部)201の先端部203の構造体としては、そのカテーテル本体201で構成したものに限らず、別部材で構成してもよい。具体例としては、例えば、アテレクトミーカテーテルにおける血管等の管状の器官の内腔を狭窄または閉塞する閉塞物を掘削して除去する除去部材、同様に、血管内血栓異物除去用カテーテルの除去部材、持続硬膜外麻酔カテーテルのシース部材、電極カテーテルの電極部材、アブレーションカテーテルのアブレーション部材、オクルージョンカテーテルのオクルージョン部材等が挙げられる。
【0119】
また、カテーテル(医療用具)20における三方活栓(接続部)(立体構造をなす構造体)207や、さらには、チューブ(線状部)206が省略されていてもよく、この場合は、その三方活栓用の保持部3を省略することができる。
【0120】
また、前記2つの保持部3および9を、それぞれ、前記第2実施形態における保持部に変更してもよく、また、前記2つの保持部のうちのいずれか一方を、前記第2実施形態における保持部に変更してもよい。
【0121】
また、前記2つの保持部3および9に、それぞれ、前記第2実施形態における保持部の先端部の構成を適用してもよく、また、前記2つの保持部3および9のうちの一方に、前記第1実施形態における先端部の構成を適用し、他方に、前記第2実施形態における保持部の先端部の構成を適用してもよい。
【0122】
以上、本発明の医療用具保持台紙および医療用具の取り出し方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、医療用具保持台紙を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【0123】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0124】
また、前記実施形態では、立体構造をなす構造体を保持する保持部は、1つまたは2つ設けられているが、本発明では、その保持部は、3つ以上設けられていてもよい。
【0125】
また、本発明の医療用具保持台紙に保持される医療用具としては、前記実施形態で記載したようなカテーテルに限らず、例えば、線状部が中実のものであってもよい。また、前記カテーテルの他の具体例としては、例えば、ガイドワイヤ、シース、ダイレータ等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の医療用具保持台紙の第1実施形態を示す展開図(平面図)である。
【図2】図1に示す医療用具保持台紙の保持部の近傍を示す展開図(平面図)である。
【図3】図1に示す医療用具保持台紙の使用状態を示す平面図である。
【図4】図1に示す医療用具保持台紙の使用状態であって、保持部の近傍を示す側面図である。
【図5】本発明の医療用具保持台紙の第2実施形態を示す展開図(平面図)である。
【図6】図5に示す医療用具保持台紙の保持部の近傍を示す展開図(平面図)である。
【図7】図5に示す医療用具保持台紙の使用状態を示す平面図である。
【図8】図5に示す医療用具保持台紙の使用状態であって、保持部の近傍を示す平面図である。
【図9】図5に示す医療用具保持台紙の使用状態であって、保持部の近傍を示す側面図である。
【図10】は、本発明の医療用具保持台紙の第3実施形態の主要部を示す展開図(平面図)である。
【図11】図10に示す医療用具保持台紙の使用状態であって、主要部を示す平面図である。
【図12】本発明の医療用具保持台紙を有する医療用具セットの他の構成例を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
【0127】
1 台紙(医療用具保持台紙)
11 本体部
2 保持部
21 開口
3 保持部
31 先端部
311 第1領域
312 第2領域
313 第3領域
32 孔
33 壁部
34 基端部
36 開口
37 中央部
38 差込部
4a〜4h タブ
40 タブ対
5 スリット
6 保持部
61 開口
7a〜7h タブ
70 タブ対
81、82 タブ
83 谷折り部
9 保持部
91 先端部
92 孔
93 壁部
10 シート材
100 カテーテルセット(医療用具セット)
20、20a、20b カテーテル
201、201a、201b カテーテル本体
202、202a、202b ハブ
2021、2021a ポート部
203 先端部
206 チューブ
207 三方活栓
30 包装体
50 ポケット
501 開口部
60 帯体
80 固定部材
90 収納袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する線状部の端部に立体構造をなす構造体が設けられた医療用具を保持し、長尺なシート材で構成された医療用具保持台紙であって、
前記医療用具が載置された状態で、前記構造体を覆うように前記シート材の長手方向に沿って変形する保持部と、
前記保持部の先端部が差し込まれ、前記保持部が前記構造体を覆った状態を保持する被差込部とを備え、
前記保持部の先端部は、前記保持部が前記構造体を覆った状態で、前記被差込部に差し込まれ、前記医療用具を当該医療用具保持台紙から取り出す際に引き抜く方向と反対側に向って折り返されることを特徴とする医療用具保持台紙。
【請求項2】
前記保持部は、前記構造体のほぼ全体を包むものである請求項1に記載の医療用具保持台紙。
【請求項3】
前記保持部の先端部は、前記線状部が挿通可能なように構成されている請求項1または2に記載の医療用具保持台紙。
【請求項4】
前記保持部の先端部には、前記線状部が挿通可能で、前記保持部の先端部の先端に開放した孔が形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【請求項5】
前記保持部は、前記シート材の一部を切り込むことにより形成されたものである請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【請求項6】
前記保持部の幅方向の縁部に、該縁部を折り曲げて形成された壁部を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【請求項7】
前記保持部は、基端側に開口を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【請求項8】
前記保持部は、前記シート材の途中に設けられている請求項1ないし7のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【請求項9】
前記保持部は、前記シート材の長手方向の端部に設けられている請求項1ないし7のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【請求項10】
前記被差込部は、前記シート材の一部を切り込むことにより形成されたものである請求項1ないし9のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【請求項11】
前記シート材の少なくとも表面には、樹脂材料で構成された樹脂層が形成されている請求項1ないし10のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【請求項12】
前記シート材は、その厚さが0.20〜0.55mmのものである請求項1ないし11のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【請求項13】
前記保持部は、短冊状である請求項1ないし12のいずれかに記載の医療用具保持台紙。
【請求項14】
可撓性を有する線状部の端部に立体構造をなす構造体が設けられた医療用具の前記構造体を覆う保持部と、前記保持部の先端部が差し込まれる被差込部とを備え、前記保持部の先端部は、前記保持部が前記構造体を覆った状態で、前記被差込部に差し込まれ、所定方向に向って折り返されており、前記医療用具を保持した状態で袋状の包装体に収納されている、長尺なシート材で構成された医療用具保持台紙から、前記医療用具を取り出す医療用具の取り出し方法であって、
前記包装体から前記医療用具保持台紙の少なくとも一部を取り出し、前記保持部の先端部が折り返されている方向と反対方向に前記医療用具を引き抜いて、前記医療用具を前記医療用具保持台紙から取り出すことを特徴とする医療用具の取り出し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−29558(P2010−29558A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197011(P2008−197011)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】