説明

医療用途において使用されるドレーンおよびこれを使用する方法

医療用途において使用されるドレーンが、体腔内に埋め込まれるように構成された細長の導管を含んでもよく、この導管は近位端部および遠位端部を有する。この導管は体腔から流体を排出するように構成された少なくとも1つの通路、および導管の近位端部から遠位端部に延びる少なくとも1つの内腔を含んでもよい。この内腔はこの少なくとも1つの通路によって少なくとも部分的に取り囲まれてもよく、かつ壁によってこの少なくとも1つの通路から隔てられてもよい。この壁内の少なくとも1つの穴が、内腔とこの少なくとも1つの通路との間に流体連通を提供するように構成されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その開示がその全体において参照として本願明細書に組み込まれる米国特許仮出願第60/743103号明細書に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は医療用途において使用されるドレーンおよびそのようなドレーンを使用する方法に向けられる。さらに特定すると、本発明は体腔の領域から流体を排出するために体腔の中に挿入されるように構成されたドレーン、および体腔の領域から流体を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ブレイクドレーンなどの従来式のドレーンチューブはドレーンの近位端部、すなわち使用者に最も近い端部に中央内腔を有する。この中央内腔はドレーンの遠位端部まで延びない。付け加えると、ブレイクドレーンは組織および血液凝塊の排出のための4つの通路を含む。4つの通路のせいで、各々の通路の断面寸法は小さいサイズであり、これは組織および血液凝塊の排出を妨げることがある。
【0004】
従来式のドレーンチューブはまた、いくつかの医療用途で望ましいと見込まれる他の特徴も欠いている。例えば、従来式のドレーンチューブはターゲットの部位における組織の形態学的および/または生理学的特徴をモニタする機構を含まない。また、これらは排出中にターゲット部位を観察するための視覚化機構も含まない。ブレイクドレーンなどの従来式のドレーンはドレーン通路内で形成する凝集塊などの栓または破片を除去するための機構もやはり欠いている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の、医療用途において使用されるドレーンおよび/または体腔から流体を排出する方法は上記に述べられた問題のうちの1つまたは複数を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
様々な態様において、本発明は医療用途において使用されるドレーンに向けられる。このドレーンは体腔内に埋め込まれるように構成された細長の導管を含んでもよく、この導管は近位端部および遠位端部を有する。この導管は体腔から流体を排出するように構成された少なくとも1つの通路、および導管の近位端部から遠位端部に延びる少なくとも1つの内腔を含んでもよい。この内腔はこの少なくとも1つの通路によって少なくとも部分的に取り囲まれてもよく、かつ壁によってこの少なくとも1つの通路から隔てられてもよい。内腔とこの少なくとも1つの通路との間に流体連通を提供するために壁に少なくとも1つの穴が構成されてもよい。
【0007】
いくつかの態様において、本発明は医療用途において使用されるドレーンに向けられる。このドレーンは体腔内に埋め込まれるように構成された細長の導管を含んでもよく、この導管は近位端部と遠位端部を有する。この導管は体腔から流体を排出するように構成された少なくとも1つの通路、および導管の近位端部から遠位端部に延びる少なくとも1つの内腔を含んでもよい。この内腔はこの少なくとも1つの通路によって少なくとも部分的に取り囲まれてもよく、かつ壁が導管の遠位端部でこの少なくとも1つの通路から内腔を隔ててもよい。この壁は内腔から体腔への少なくとも1つの流体の拡散を可能にするように構成された多孔質材料を含んでもよい。
【0008】
様々な態様によれば、本発明は体腔の領域を除液する方法に向けられる。本方法は体腔に細長の導管を埋め込む工程を含んでもよく、この導管は近位端部および遠位端部を有し、少なくとも1つの流体を導管の近位端部の内腔の開口部の中に供給する。この導管は前記体腔から流体を排出するように構成された通路を含んでもよく、内腔は通路によって少なくとも部分的に取り囲まれ、導管の遠位端部で壁によって通路から隔てられてもよい。少なくとも1つの流体はこの壁を通って拡散し、体腔の傷を治療するように構成されてもよい。
【0009】
いくつかの態様によれば、本発明は医療用途において使用されるドレーンに向けられる。このドレーンは体腔内に埋め込まれるように構成された細長の導管を含んでもよく、この導管は近位端部および遠位端部を有する。この導管は体腔から流体を排出するように構成された少なくとも1つの通路、および導管の近位端部から遠位端部に延びる少なくとも1つの内腔を含んでもよく、内腔はこの少なくとも1つの通路によって少なくとも部分的に取り囲まれてもよい。少なくとも1つの感知用部材が導管の遠位端部に近い場所で内腔の中にあってもよく、この感知用部材は体腔内の所望の場所で組織の形態学的および生理学的特徴のうちの少なくとも1つを感知するように構成されてもよい。
【0010】
様々な態様によれば、本発明は医療用途において使用されるドレーンに向けられる。このドレーンは体腔内に埋め込まれるように構成された細長の導管を含んでもよく、この導管は近位端部および遠位端部を有する。この導管は体腔から流体を排出するように構成された少なくとも1つの通路、および導管の近位端部から遠位端部に延びる少なくとも1つの内腔を含んでもよく、内腔はこの少なくとも1つの通路によって少なくとも部分的に取り囲まれてもよい。このドレーンは導管の遠位端部に近い場所で内腔の中に光源を含んでもよく、この光源は体腔内の所望の場所を照明するように構成されてもよい。
【0011】
様々な態様によれば、本発明は医療用途において使用されるドレーンに向けられる。このドレーンは体腔内に埋め込まれるように構成された細長の導管を含んでもよく、この導管は近位端部および遠位端部を有する。この導管は体腔から流体を排出するように構成された少なくとも1つの通路を含んでもよい。このドレーンは通路内でスライド可能に配置され、かつ導管の近位端部から前記遠位端部に延びる細長の部材を含んでもよい。膨張可能な部材が導管の遠位端部でこの細長の部材に付随してもよく、この膨張可能な部材は通路のうちの1つのサイズおよび構造に実質的に補完的なサイズおよび構造に膨張することが可能であってもよい。
【0012】
様々な態様で、本発明は体腔の領域を除液する方法に向けられる。本方法は体腔に細長の導管を埋め込む工程を含んでもよく、この導管は近位端部および遠位端部を有してもよく、かつこの導管は体腔から流体を排出するように構成された通路を含んでもよい。本方法は細長の部材を通路内にスライド可能に挿入する工程を含んでもよく、この細長の部材は導管の近位端部から遠位端部に延びてもよい。本方法はまた、導管の遠位端部で細長の部材に付随する膨張可能な部材を通路のうちの1つのサイズおよび構造に実質的に補完的なサイズおよび構造に膨張させる工程と、通路から破片を除去するように細長の部材および膨張可能な部材を導管の近位端部に向かって引き出す工程とを含んでもよい。
【0013】
いくつかの態様によれば、本発明は医療用途において使用されるドレーンに向けられる。このドレーンは体腔内に埋め込まれるように構成された細長の導管を含んでもよく、この導管は近位端部および遠位端部を有し、かつこの導管は体腔から流体を排出するように構成された通路を含んでもよい。このドレーンは導管に付随し、かつ実質的に導管の全長に延びる細長の部材を含んでもよく、この細長の部材は導管に動きを与えるように構成されてもよい。導管に動きを与えるように細長の部材を動作させるように制御装置が構成されることもあり得る。
【0014】
様々な態様によれば、本発明は医療用途において使用されるドレーンに向けられる。このドレーンは体腔内に埋め込まれるように構成された細長の導管を含んでもよく、この導管は近位端部、遠位端部、および長手方向軸を有する。このドレーンは遠位端部において導管の中で軸方向に延びるハブ部分、前記遠位端部においてこのハブ部分と導管との間に延びる3つの壁、および導管の前記近位端部から前記遠位端部に延びる少なくとも1つの内腔を含んでもよい。これらの壁はこのハブ部分の周縁部の周りで互いに等間隔に配置されてもよく、前記体腔から流体を排出するように構成される3つの通路を画成するようにこれらの壁がハブ部分と導管のうちの少なくとも一方と協働してもよく、内腔はこれらの通路のうちの少なくとも1つによって少なくとも部分的に取り囲まれてもよい。3つの通路の各々が実質的に同じ断面積を有してもよい。
【0015】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が例示のものおよび解説にすぎず、本発明を限定するものではないことは理解されるはずである。
【0016】
本願明細書に組み入れられてその一部を構成する添付の図面は本発明のいくつかの例示の実施形態を図解しており、解説と一緒になって本発明の原理を説明することに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に詳しく参照がなされ、その例が添付の図面に示される。いずれの場所であっても、同じ参照番号は同じまたは類似した部分を参照するように図面全部を通じて使用される。
【0018】
医療用途において使用される例示の実施形態のドレーン100が図1に示される。ドレーン100は、例えば人間の胸腔などの体腔に埋め込まれるように構成された細長の導管102を含んでもよい。この導管は近位端部104、遠位端部106、および長手方向軸108を有してもよい。
【0019】
ドレーン100は遠位端部106において導管の中で軸方向に延びるハブ部分110を含んでもよい。様々な態様によれば、ハブ部分110は図2の断面図に示されるように実質的に導管102の中心にあってもよい。
【0020】
いくつかの例示の態様によれば、ドレーン100は遠位端部106においてハブ部分110と導管102との間に延びる3つの壁112、114、116を含んでもよい。いくつかの実施形態においてドレーンが3つよりも多い、または少ない壁を含み得ることは理解されるはずである。壁112、114、116はハブ部分110の周縁部の周りで互いに等間隔に配置されてもよい。様々な態様によれば、壁112、114、116は体腔から流体を排出するように構成される3つの通路122、124、126を画成するようにハブ部分110および/または導管102と協働してもよい。いくつかの態様において、3つの通路122、124、126の各々が実質的に同じ断面積を有してもよい。図2に示されるように、3つの通路122、124、126は導管102の遠位端部106の断面積の大部分を含む。結果として、通路122、124、126は一層大きい凝塊および破片が体腔から排出されることが可能になるように比較的大きい断面積を備えた経路を提供することができる。一層大きい通路はまた、比較的低い組織内方成長という結果につながることもあり得る。
【0021】
ドレーン100は導管102の近位端部104から遠位端部106に延びる少なくとも1つの内腔120を含んでもよい。内腔120は通路122、124、126のうちの1つまたは複数によって少なくとも部分的に取り囲まれてもよい。様々な例示の態様によれば、内腔120は導管102の遠位端部106の中心にあって、例えばいくつかの例示の実施形態のハブ部分110を通って延びてもよい。図3の断面図に示されるように、内腔120は遠位端部106では導管102の中心にあり、近位端部104に向かって延びるにつれて導管102の壁の近くにあってもよい。
【0022】
導管102は1つまたは複数の通路122、124、126に付随する1つまたは複数のスロット132、134、136を含んでもよい。例えば、いくつかの態様によれば、導管102は各々の通路に付随する1つのスロットを含んでもよい。スロット132、134、136は通路122、124、126のうちの該当する1つと導管102の外部との間に流体連通を提供するようにサイズ設定されて配置されてもよい。
【0023】
様々な態様によれば、図1に示されるようにハブ部分110はこれを貫通する1つまたは複数の穴138を含んでもよい。これら1つまたは複数の穴138は前記内腔120と通路122、124、126のうちの少なくとも1つとの間に流体連通を提供するようにサイズ設定されて配置されてもよい。例えば、穴138は通路122、124、126のうちの1つ、いくつか、または全部と位置合わせされてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態において内腔120がハブ部分110とは別になった構造体(図示せず)によって画成されることもあり得ることは理解されるはずである。そのようなケースでは、内腔120と内腔120の外の1つまたは複数の通路との間に流体連通を提供するように穴138は内腔120を画成する構造体を貫通していてもよい。
【0025】
様々な態様によれば、穴138に加えて、または置き換えて、ハブ部分110は内腔120からハブ部分110の壁を通って通路122、124、126のうちの1つまたは複数に入る流体の拡散を可能にする材料を含んでもよい。ハブ部分110とは別になった構造体(図示せず)が内腔120を画成するいくつかの実施形態では、この構造体は内腔120から構造体の壁を通って通路122、124、126のうちの1つまたは複数に入る流体の拡散を可能にする材料を含んでもよい。拡散が通路122、124、126のうちの1つまたは複数に対して可能になるように拡散を可能にする材料をハブ部分110または構造体の一部分または全部分が含んでもよいことは理解されるはずである。
【0026】
いくつかの態様では、導管102は導管102の近位端部104において内腔120に付随する開口部118、例えば流体ポートを含んでもよい。この開口部は1つまたは複数の流体供給源(図示せず)から前記少なくとも1つの流体を受け取るように構造化されて配置されてもよい。バルブ部材128が流体ライン129を介して開口部118に流体連結されてもよい。このバルブ部材128は開口部118への流体の流れを許容または遮断するように手動または自動のどちらかで選択的に開閉するように動作可能であってもよい。
【0027】
いくつかの態様において開口部118が栓(図示せず)で選択的に開閉されてもよいことは理解されるはずである。この栓は開口部に取り外し可能に挿入されるように構造化されて配置されてもよい。いくつかの態様によれば、内腔120は少なくとも1つの流体で少なくとも部分的に満たされてよく、次いでこの少なくとも1つの流体が開口部118から流れ出るのを阻止するために栓が開口部118に挿入されてもよい。
【0028】
図4を参照すると、いくつかの実施形態によれば導管102はコーティング403、例えば抗炎症薬コーティング、抗感染薬コーティング、潤滑剤コーティング、および/または粘液溶解薬コーティングを含むこともあり得る。例えば、このコーティングはサリチル酸、アセトアミノフェン、アロエベラ、銀、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチルビグイアニド、および/またはNSAIDSを含んでもよい。適切なコーティングの限定的ではない追加的な例は米国特許第6329488号、第6596401号、第6716895号、および第6949598号明細書に見出されることが可能であり、これらの開示はそれらの全体において参照として本願明細書に組み込まれる。
【0029】
次に図5を参照すると、医療用途において使用される例示のドレーン500が図解されている。ドレーン500は例えば人間の胸腔などの体腔に埋め込まれるように構成された細長の導管502を含んでもよい。この導管は近位端部504、遠位端部506、および長手方向軸508を有してもよい。
【0030】
ドレーン500は遠位端部506において導管の中で軸方向に延びるハブ部分510を含んでもよい。ハブ部分510は導管502の近位端部504から遠位端部506に延びる内腔520を画成してもよい。様々な態様によれば、ハブ部分510は実質的に導管502の中心にあってもよい。いくつかの態様においてハブ部分510が導管502の壁の近くに配置されてもよいことは理解されるはずである。いくつかの実施形態において内腔520がハブ部分510とは別になった構造体(図示せず)によって画成されてもよいこともさらに理解されるはずである。
【0031】
いくつかの例示の態様によれば、ドレーン500は遠位端部506においてハブ部分510と導管502との間に延びる複数の壁512、514、516を含んでもよい。いくつかの実施形態においてドレーンが図5に示された3つの壁よりも多い、または少ない壁を含み得ることは理解されるはずである。様々な態様によれば、壁512、514、516は体腔から流体を排出するように構成される複数の通路522、524、526を画成するようにハブ部分510および/または導管502と協働してもよい。
【0032】
いくつかの例示の態様によれば、ドレーン500は導管502の遠位端部506に近い場所で内腔520内に1つまたは複数の感知用部材532を含んでもよい。感知用部材532は、例えば体腔内の所望の場所で組織の1つまたは複数の形態学的特性および/または1つまたは複数の生理学的特性を感知するように構成されてもよい。例えば、感知用部材532は温度、圧力、組織のOおよび/またはpHを判定するために使用されることが可能なパラメータを感知するように構成されてもよい。感知用部材532が当業者によって理解されるであろう他のパラメータを感知するように構成されてもよいことは理解されるはずである。
【0033】
感知用部材532は、例えば電線または無線接続を介して制御器540に電気的に接続されてもよい。制御器540は感知用部材532から受信された信号を受信、処理および/または解釈するように構成されてもよい。制御器540は使用者によって理解可能な形の形態学的および/または生理学的特性に関する情報を出力するように構成されてもよい。
【0034】
様々な例示の態様によれば、ドレーン500は導管502の遠位端部506に近い場所で内腔520内に光源534を含んでもよい。例えば光ファイバの光源である光源534は体腔内の所望の場所を照明するように構成されてもよい。いくつかの態様では、光源534は制御器540に電気的に接続されてよく、光源534を制御可能に操作するように構成されてもよい。1つまたは複数の感知用部材532と光源534がいくつかの実施形態において共存してもよいが、その一方で他の実施形態が1つまたは複数の感知用部材532または光源534を含み得ることは理解されるはずである。いくつかの態様によれば、感知用部材532は真空効果を感知してもよく、または1つまたは複数の圧力感知用および/またはpH感知用トランスデューサなどのトランスデューサ、温度サーミスタ、および/または例えばスチルカメラもしくはビデオカメラなどの視覚化機構を含んでもよい。このカメラは傷の治癒および/または体腔の除液の評価の補助をしてもよく、または使い捨ての光学素子を含んでもよい。いくつかの態様によれば、トランスデューサは超音波トランスデューサを含んでもよい。
【0035】
ここで図6を参照すると、医療用途において使用される例示のドレーン600が図解されている。ドレーン600は、例えば人間の胸腔などの体腔に埋め込まれるように構成された細長の導管602を含んでもよい。この導管は近位端部604、遠位端部606、および長手方向軸608を有してもよい。
【0036】
ドレーン600は遠位端部606において導管の中で軸方向に延びるハブ部分610を含んでもよい。ハブ部分610は導管602の近位端部604から遠位端部606に延びる内腔620を画成してもよい。様々な態様によれば、ハブ部分610は実質的に導管602の中心にあってもよい。いくつかの態様においてハブ部分610が導管602の壁の近くに配置されてもよいことは理解されるはずである。いくつかの実施形態において内腔620がハブ部分610とは別になった構造体(図示せず)によって画成されてもよいこともさらに理解されるはずである。
【0037】
いくつかの例示の態様によれば、ドレーン600は遠位端部606においてハブ部分610と導管602との間に延びる複数の壁612、614、616を含んでもよい。いくつかの実施形態においてドレーンが図6に示された3つの壁よりも多い、または少ない壁を含み得ることは理解されるはずである。様々な態様によれば、壁612、614、616は体腔から流体を排出するように構成される複数の通路622、624、626を画成するようにハブ部分610および/または導管602と協働してもよい。
【0038】
ドレーン600は通路622、624、626のうちの1つの中にスライド可能に配置された細長の部材650を含んでもよい。細長の部材650は導管602の近位端部604から遠位端部606に延びてもよい。膨張可能な部材652が導管602の遠位端部606に向かって細長の部材650に付随してもよい。膨張可能な部材652は、例えば細長の部材650を通って延びる内腔654を経由して、例えば膨張用空気を膨張可能部材652に供給することによって膨張可能であってもよい。
【0039】
図6に示されるように、膨張可能部材652は通路622のサイズおよび構造に実質的に補完的なサイズおよび構造に膨張可能であってもよい。したがって、いったん膨張可能部材652が実質的に膨張させられると、膨張可能部材652は導管602の近位端部604に向かう方向に押し付けられることが可能になり、それによって破片、例えば通路を詰まらせていることもあり得る破片を通路622から除去する。
【0040】
ここで図7を参照すると、医療用途において使用される例示のドレーン700が図解されている。ドレーン700は、例えば人間の胸腔などの体腔に埋め込まれるように構成された細長の導管702を含んでもよい。この導管は近位端部704、遠位端部706、および長手方向軸708を有してもよい。
【0041】
ドレーン700は遠位端部706において導管の中で軸方向に延びるハブ部分710を含んでもよい。ハブ部分710は導管702の近位端部704から遠位端部706に延びる内腔720を画成してもよい。様々な態様によれば、ハブ部分710は実質的に導管702の中心にあってもよい。いくつかの態様においてハブ部分710が導管702の壁の近くに配置されてもよいことは理解されるはずである。いくつかの実施形態において内腔720がハブ部分710とは別になった構造体(図示せず)によって画成されてもよいこともさらに理解されるはずである。
【0042】
いくつかの例示の態様によれば、ドレーン700は遠位端部706においてハブ部分710と導管702との間に延びる複数の壁712、714、716を含んでもよい。いくつかの実施形態においてドレーンが図6に示された3つの壁よりも多い、または少ない壁を含み得ることは理解されるはずである。様々な態様によれば、壁712、714、716は体腔から流体を排出するように構成される複数の通路722、724、726を画成するようにハブ部分710および/または導管702と協働してもよい。
【0043】
ドレーン700は導管702に付随し、かつ実質的に導管702の全長に延びる細長の部材760を含んでもよい。図7に示されるように、いくつかの態様によれば、細長の部材760は内腔720内にあってもよい。様々な態様によれば、細長の部材760は通路722、724、726のうちの1つの中にあってもよく、または部材760はハブ710、壁712、714、716、もしくは導管702に内蔵されてもよく、または部材760は導管の外部上にあってもよい。細長の部材760は当業者によって理解されるであろうように導管702に(例えば平行移動および/または回転の)動きを与えるように構造化されて配置されてもよい。細長の部材760は、当業者によって理解されるであろうように導管に動きを与えるように細長の部材760を操作するように構成された制御装置740に電気的に接続されてもよい。したがって、導管はいったん挿入されると、または初期の設置の後に再配置されてもよい。様々な態様によれば、制御装置740は細長の部材760および/またはドレーン700を制御可能に移動させ、かつ/または操作するためのユーザ入力に対応するために1つまたは複数のダイヤル、1つまたは複数のジョイスティックなどを含んでもよい。
【0044】
前述の導管502、602、702のうちの1つまたは複数がコーティング、例えば抗炎症薬コーティング、抗感染薬コーティング、潤滑剤コーティング、および/または粘液溶解薬コーティングを含むこともあり得ることは理解されるはずである。例えば、このコーティングはサリチル酸、アセトアミノフェン、アロエベラ、銀、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチルビグイアニド、および/またはNSAIDSを含んでもよい。
【0045】
前述の例示のドレーン100、500、600、700のうちの1つまたは複数が例えばニチノールなどの形状記憶合金を含む1つまたは複数の要素を含み得ることもやはり理解されるはずである。形状記憶合金の使用はドレーン100、500、600、700が所望の用途のために構成されること、手順の一部の中で異なる構造に変えられること、およびその原初の構造を再び取ることができることを可能にし得る。ニチノールなどの例示の形状記憶合金およびその使用法は当業者によく知られている。
【0046】
前述のドレーン500、600、700のうちの1つまたは複数が図1に関連して上記で述べられた開口部118と同様の開口部を備えた導管を含み得ることは理解されるはずである。付け加えると、前述の例示のドレーン100、500、600、700のうちの1つまたは複数に関連して検討された例示の態様のうちの任意の1つまたは複数が、当業者によって理解されるであろうような他の態様と組み合わせて使用されることもあり得る。
【0047】
前述のドレーン100、500、600、700のうちの1つまたは複数が導管の遠位端部に付随するポート(図示せず)を含み得ることもやはり理解されるはずである。このポートは、トロカールが導管の遠位端部から延びる遠位端部を有するようにトロカールを取り外し可能に受け入れるように構成されてもよい。
【0048】
前述の例示のドレーン100、500、600、700が様々な医療用途に使用され得ることは理解されるはずである。例えば、体腔の領域を除液する1つの例示の方法は、細長の導管102、502、602、702を体腔に埋め込む工程、および導管102、502、602、702の近位端部104、504、604、704において内腔120、520、620、720の中の開口部118に少なくとも1つの流体を供給する工程を含んでもよい。内腔120、520、620、720は体腔の傷を治療するために内腔の壁を通る少なくとも1つの流体の拡散を可能にするように構成されてもよい。開口部118から流体が流れ出るのを阻止するためにバルブ部材または栓が使用されてもよい。
【0049】
様々な態様によれば、体腔の領域を除液する例示の方法は、体腔に細長の導管602を埋め込む工程、および導管602によって少なくとも部分的に画成される通路622内に細長の部材650をスライド可能に挿入する工程を含んでもよい。次いで導管の前記遠位端部において細長の部材に付随する膨張可能部材が通路622のサイズおよび構造に実質的に補完的なサイズおよび構造に膨張させられてもよい。膨張した部材652が、通路622から破片を除去するように導管602の近位端部604に向かう方向に引き出されてもよい。
【0050】
本願明細書および特許請求項で使用されるときの単一形「ある」、「この」などは明確にはっきりと1つの指示対象に限定されない限り複数の指示対象を含むことに留意するべきである。したがって、例えば「ある通路」への言及は2つ以上の異なる通路を包含する。本願明細書で使用されるとき、「含む」という用語および文法的なその変形語は限定をしないように意図され、それにより、リスト内の項目の列挙がリストアップされた項目と置き換えられること、またはそれに追加されることが可能な他の類似した項目を除外することはない。
【0051】
本発明の範囲から逸脱することなく本発明のドレーンおよび方法に様々な改造および変形がなされ得ることは当業者に明らかであろう。本願明細書に開示された本発明の明細および実施の考慮より、本発明の他の実施形態は当業者に明らかであろう。本明細および例は例示のものにすぎないことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の様々な態様による例示のドレーンの透視図である。
【図2】図1の線II−IIに沿った断面図である。
【図3】図1の線III−IIIに沿った部分的断面図である。
【図4】図2と同様の断面図であり、本発明の様々な態様を図解している。
【図5】本発明の様々な態様による例示のドレーンの透視図である。
【図6】本発明の様々な態様による例示のドレーンの透視図である。
【図7】本発明の様々な態様による例示のドレーンの透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用途において使用されるドレーンであって、
体腔に埋め込まれるように構成され、近位端部および遠位端部を有する細長の導管を含み、導管が
前記体腔から流体を排出するように構成された少なくとも1つの通路と、
導管の前記近位端部から前記遠位端部に延び、前記少なくとも1つの通路によって少なくとも部分的に取り囲まれ、かつ壁によって前記少なくとも1つの通路から隔てられた少なくとも1つの内腔と、
前記内腔と前記少なくとも1つの通路との間に流体連通を提供するように構成された前記壁内の少なくとも1つの穴と
を含む、ドレーン。
【請求項2】
導管が抗炎症薬コーティング、抗感染薬コーティング、潤滑剤コーティング、粘液溶解薬コーティング、および抗炎症薬コーティングのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のドレーン。
【請求項3】
導管の遠位端部に近い場所で前記内腔の中に少なくとも1つの感知用部材をさらに含み、前記感知用部材が前記体腔内の所望の場所で組織の少なくとも1つの生理学的特性を感知するように構成される、請求項1に記載のドレーン。
【請求項4】
導管の前記遠位端部に付随するポートをさらに含み、ポートがトロカールを受け入れるように構成される、請求項1に記載のドレーン。
【請求項5】
前記ポートによって取り外し可能に受け入れられるトロカールをさらに含み、トロカールが導管の前記遠位端部から延びる遠位端部を有する、請求項4に記載のドレーン。
【請求項6】
医療用途において使用されるドレーンであって、
体腔に埋め込まれるように構成され、近位端部および遠位端部を有する細長の導管を含み、導管が
前記体腔から流体を排出するように構成された少なくとも1つの通路と、
導管の前記近位端部から前記遠位端部に延び、前記少なくとも1つの通路によって少なくとも部分的に取り囲まれた少なくとも1つの内腔と、
導管の前記遠位端部において前記内腔を前記少なくとも1つの通路から隔てる壁であって前記内腔から前記体腔への少なくとも1つの流体の拡散を可能にするように構成された多孔質材料を含む壁と
を含む、ドレーン。
【請求項7】
導管の前記近位端部において内腔に付随する開口部をさらに含み、開口部が前記少なくとも1つの流体を受け取るように構成される、請求項6に記載のドレーン。
【請求項8】
前記開口部を選択的に開閉するように構成されたバルブ部材をさらに含む、請求項7に記載のドレーン。
【請求項9】
前記開口部から流体が流れ出るのを阻止するために前記開口部の中に挿入可能な栓をさらに含む、請求項7に記載のドレーン。
【請求項10】
体腔の領域を除液する方法であって、
近位端部および遠位端部を有し、前記体腔から流体を排出するように構成された通路を含む細長の導管を体腔に埋め込む工程と、
導管の前記近位端部において内腔の開口部内へ少なくとも1つの流体を供給する工程とを含み、前記内腔が前記通路によって少なくとも部分的に取り囲まれ、かつ導管の前記遠位端部において壁によって前記通路から隔てられ、前記少なくとも1つの流体が前記壁を通って拡散し、かつ体腔の傷を治療するように構成される、方法。
【請求項11】
前記流体が前記開口部から流れ出るのを阻止する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
医療用途において使用されるドレーンであって、
体腔に埋め込まれるように構成され、近位端部および遠位端部を有する細長の導管を含み、導管が
前記体腔から流体を排出するように構成された少なくとも1つの通路と、
導管の前記近位端部から前記遠位端部に延び、前記少なくとも1つの通路によって少なくとも部分的に取り囲まれた少なくとも1つの内腔と、
導管の遠位端部に近い場所で前記内腔内に少なくとも1つの感知用部材とを含み、前記感知用部材が前記体腔内の所望の場所で組織の形態学的特性と生理学的特性のうちの少なくとも1つを感知するように構成される、ドレーン。
【請求項13】
前記感知用部材が温度、圧力、およびpHのうちの少なくとも1つを感知するように構成される、請求項12に記載のドレーン。
【請求項14】
前記感知用部材がトランスデューサを含む、請求項12に記載のドレーン。
【請求項15】
前記感知用部材がカメラを含む、請求項12に記載のドレーン。
【請求項16】
医療用途において使用されるドレーンであって、
体腔に埋め込まれるように構成され、近位端部および遠位端部を有する細長の導管を含み、導管が
前記体腔から流体を排出するように構成された少なくとも1つの通路と、
導管の前記近位端部から前記遠位端部に延び、前記少なくとも1つの通路によって少なくとも部分的に取り囲まれた少なくとも1つの内腔とを備え、さらに前記ドレーンは
導管の遠位端部に近い場所で前記内腔内に光源を含み、前記光源が前記体腔内の所望の場所を照明するように構成される、ドレーン。
【請求項17】
光源が光ファイバ光源を含む、請求項16に記載のドレーン。
【請求項18】
導管の遠位端部に近い場所で前記内腔内にカメラをさらに含む、請求項16に記載のドレーン。
【請求項19】
医療用途において使用されるドレーンであって、
体腔に埋め込まれるように構成され、近位端部および遠位端部を有し、前記体腔から流体を排出するように構成された通路を含む細長の導管と、
前記通路内にスライド可能に配置され、かつ導管の前記近位端部から前記遠位端部に延びる細長の部材と、
導管の前記遠位端部において細長の部材に付随する膨張可能部材とを含み、膨張可能部材が前記導管のサイズおよび構造に実質的に補完的なサイズおよび構造に膨張可能である、ドレーン。
【請求項20】
体腔の領域を除液する方法であって、
近位端部および遠位端部を有し、前記体腔から流体を排出するように構成された通路を含む細長の導管を体腔に埋め込む工程と、
前記通路内に細長の部材をスライド可能に挿入し、導管の前記近位端部から前記遠位端部に延びる工程と、
導管の前記遠位端部において細長の部材に付随する膨張可能部材を、前記導管のサイズおよび構造に実質的に補完的なサイズおよび構造に膨張させる工程と、
細長の部材および膨張可能部材を、前記通路から破片を除去するように導管の前記近位端部に向かう方向に押し付ける工程とを含む、方法。
【請求項21】
医療用途において使用されるドレーンであって、
体腔に埋め込まれるように構成され、近位端部および遠位端部を有し、前記体腔から流体を排出するように構成された通路を含む細長の導管と、
導管に付随し、かつ実質的に導管の全長に延び、導管に動きを与えるように構成された細長の部材と、
導管に動きを与えるように細長の部材を操作するように構成された制御装置とを含む、ドレーン。
【請求項22】
制御装置が、細長の部材を操作するための少なくとも1つのダイヤルを含む、請求項21に記載のドレーン。
【請求項23】
制御装置が、細長の部材を操作するためのジョイスティックを含む、請求項21に記載のドレーン。
【請求項24】
医療用途において使用されるドレーンであって、
体腔に埋め込まれるように構成され、近位端部、遠位端部、および長手方向軸を有する細長の導管と、
前記遠位端部において導管の中で軸方向に延びるハブ部分と、
前記遠位端部においてハブ部分と導管との間に延び、ハブ部分の周縁部の周りで互いに等間隔に配置され、前記体腔から流体を排出するように構成されて各々が実質的に同じ断面積を有する3つの通路を画成するようにハブ部分と導管のうちの少なくとも1つと協働する3つの壁と、
導管の前記近位端部から前記遠位端部に延び、前記通路のうちの少なくとも1つによって少なくとも部分的に取り囲まれた少なくとも1つの内腔とを含む、ドレーン。
【請求項25】
導管が、通路のうちの少なくとも1つと導管の外部との間に流体連通を提供する少なくとも1つのスロットを含む、請求項24に記載のドレーン。
【請求項26】
前記内腔がハブ部を通って延びる、請求項24に記載のドレーン。
【請求項27】
ハブ部がこれを貫通する少なくとも1つの穴を含み、前記穴が前記内腔と通路のうちの少なくとも1つとの間に流体連通を提供する、請求項26に記載のドレーン。
【請求項28】
ハブ部が、前記内腔から通路のうちの少なくとも1つへの少なくとも1つの流体の拡散を可能にする材料を含む、請求項26に記載のドレーン。
【請求項29】
導管が抗炎症薬コーティング、抗感染薬コーティング、潤滑剤コーティング、粘液溶解薬コーティング、および抗炎症薬コーティングのうちの少なくとも1つを含む、請求項24に記載のドレーン。
【請求項30】
導管の遠位端部に近い場所で前記内腔内に少なくとも1つの感知用部材をさらに含み、前記感知用部材が前記体腔内の所望の場所で組織の形態学的特性と生理学的特性のうちの少なくとも1つを感知するように構成される、請求項24に記載のドレーン。
【請求項31】
導管の遠位端部に近い場所で前記内腔内に光源をさらに含み、前記光源が前記体腔内の所望の場所を照明するように構成される、請求項24に記載のドレーン。
【請求項32】
前記通路のうちの1つの中にスライド可能に配置され、かつ導管の前記近位端部から前記遠位端部に延びる細長の部材と、
導管の前記遠位端部において細長の部材に付随する膨張可能部材とをさらに含み、膨張可能部材が前記導管のサイズおよび構造に実質的に補完的なサイズおよび構造に膨張可能である、請求項24に記載のドレーン。
【請求項33】
導管に付随し、かつ実質的に導管の全長に延び、導管に動きを与えるように構成された細長の部材と、
導管に動きを与えるように細長の部材を操作するように構成された制御装置とをさらに含む、請求項24に記載のドレーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−529351(P2009−529351A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549656(P2008−549656)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/060156
【国際公開番号】WO2007/082157
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(502412444)シー・アール・バード・インコーポレイテツド (22)
【Fターム(参考)】