説明

医薬合剤

【課題】カルベジロール又は薬剤学的に許容しうるその塩及びヒドロクロロチアジド又は薬剤学的に許容しうるその塩並びに薬剤学的に通常の添加剤を含む、医薬合剤の提供。
【解決手段】カルベジロール又は薬剤学的に許容しうるその塩及びヒドロクロロチアジド又は薬剤学的に許容しうるその塩並びに乳糖、サッカロース、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ポリビニルピロリドン、高分子セルロース化合物、高分散二酸化ケイ素及び架橋ポリビニルピロリドン等の薬剤学的に通常の添加剤を医薬合剤とする。
【効果】2種の活性物質であるカルベジロールとヒドロクロロチアジドは、異なる溶解度を有しており、一緒に造粒すると、最終生成物が不適切な活性物質放出及びバイオアベイラビリティを示すため、1つの合剤、例えば1つの錠剤として製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓及び心血管障害並びにこれらの関連疾患の処置に適しており、かつカルベジロール(carvedilol)及びヒドロクロロチアジドを活性物質として含む、医薬合剤(pharmaceutical combination preparation)に関する。
【0002】
式(I):
【0003】
【化1】

【0004】
で示される化合物であるカルベジロールは、ジラトレンド(Dilatrend)(登録商標)の商品名で数年間市販されている、更にα1−遮断活性を有するβ−遮断薬である。
【0005】
式(II):
【0006】
【化2】

【0007】
で示される化合物であるヒドロクロロチアジドは、エシドレックス(Esidrex)(登録商標)の名で数十年間上市されている利尿薬である。
【0008】
β−遮断薬と利尿薬との組み合わせは、高血圧、狭心症、心不全及びこれらの関連疾患のような心臓及び循環系障害の処置において長い間使用されて好結果を得てきた。カルベジロールとヒドロクロロチアジドとの併用療法の利点を調査した多くの研究が存在する(例えば、Widmannら, 1990, Eur J Clin Pharmacol 38(2) 143-146;van der Doesら, 1990, Eur J Clin Pharmacol 38(2) 147-152;McTavishら, 1993, Drugs 45(2), 232-258)。上述の全ての研究において、2種の活性物質であるカルベジロールとヒドロクロロチアジドは、2つの錠剤の形で連続して投与された。これまでのところ、この2種の活性物質の一定の組み合わせは実現できていない。
【0009】
2種の活性物質であるカルベジロールとヒドロクロロチアジドは、異なる溶解度を有しており、一緒に造粒すると、最終生成物が不適切な活性物質放出及びバイオアベイラビリティを示す。このため、1つの合剤、例えば1つの錠剤としてのこの2種の活性物質の供給には問題がある。
【0010】
本発明の目的は、上述の不都合を回避することである。
【0011】
本発明は、活性物質のカルベジロール又は薬剤学的に許容しうるその塩及びヒドロクロロチアジド又は薬剤学的に許容しうるその塩並びに薬剤学的に通常の添加剤を含む、医薬合剤に関する。更に本発明は、高血圧、狭心症、心不全及びこれらの関連疾患のような、心臓及び循環系障害の処置のための、この合剤の使用に関する。
【0012】
「医薬合剤」という用語の下に理解すべきは、同時に2種以上の活性物質を含む薬剤学的に許容しうる投与剤型である。
【0013】
式(I)及び(II)の化合物の薬剤学的に許容しうる塩は、Na又はK塩のようなアルカリ塩、Ca及びMg塩のようなアルカリ土類金属塩、更には例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸又はトルエンスルホン酸のような有機又は無機酸との塩を含み、これらは生物に対して非毒性である。
【0014】
顆粒の「乾燥減量」の下で理解すべきは、元の顆粒と一定重量まで乾燥した顆粒の間の重量差の重量測定である。乾燥は、例えば、高温での乾燥オーブン中で、赤外ランプ、マイクロ波装置、熱気送風機などにより行うことができる。
【0015】
顆粒の水分の測定は、Foss Electric社製のスーパーマティック(SUPERMATIC)迅速湿度計(正確度±0.25%)により行われる。測定原理は、測定物質の誘電率の測定に基づく。250gの試料量を使用した。
【0016】
本発明の合剤の好ましい実施態様において、ヒドロクロロチアジド又は薬剤学的に許容しうるその塩対カルベジロール又は薬剤学的に許容しうるその塩の重量比は、1:0.5〜1:10の間、好ましくは1:0.5〜1:5の間、特に1:2にある。
【0017】
10mg〜50mgの間、好ましくは25mgのカルベジロール又は薬剤学的に許容しうるその塩及び5mg〜30mgの間、好ましくは12.5mgのヒドロクロロチアジド又は薬剤学的に許容しうるその塩を経口投与剤型中に含む本発明の合剤は、特に好ましい。
【0018】
本発明の合剤は、結合剤、可塑剤、希釈剤、担体、滑沢剤(glidants)、帯電防止剤、吸着剤、分離剤、分散剤、糖衣ラッカー、消泡剤、塗膜形成剤、乳化剤、崩壊剤及び賦形剤のような添加剤を錠剤及び/又はコーティング中に含んでいてもよい。例えば、錠剤又は顆粒剤は、香味改善用添加剤、更には保存料、安定化剤、保湿剤及び乳化剤として通常使用される物質、浸透圧を変化させるための塩、緩衝化剤及び他の添加剤を含んでいてもよい。
【0019】
上述の添加剤は、有機又は無機物質、例えば、水、糖、塩、酸、塩基、アルコール、有機高分子化合物などを含んでよい。乳糖、サッカロース、ステアリン酸マグネシウム、種々のセルロース類及び置換セルロース類、高分子セルロース化合物、高分散二酸化ケイ素、トウモロコシデンプン、タルク及び種々の高分子ポリビニルピロリドン化合物が、好ましい添加剤である。例えば、架橋されていない、8,000〜630,000、好ましくは25,000の分子量を持つポリビニルピロリドン類、及び1,000,000を超える分子量を持つ架橋ポリビニルピロリドン類を使用することができる。製造に使用される全ての添加剤が非毒性であり、かつ有利には活性物質のバイオアベイラビリティを変化させないことが前提条件である。
【0020】
0〜50重量%の乳糖、0〜50重量%のサッカロース、0〜10重量%のステアリン酸マグネシウム、0〜30重量%のセルロース、0〜10重量%のポリビニルピロリドン、0〜10重量%の高分子セルロース化合物、0〜10重量%の高分散二酸化ケイ素及び0〜20重量%の架橋ポリビニルピロリドンを添加剤として含む固体投与剤型が、特に好ましい。
【0021】
約25mgのカルベジロール、約12.5mgのヒドロクロロチアジド、約25.0mgのサッカロース、約28.06mgの乳糖、約1.78mgのポリビニルピロリドン、約20.17mgの架橋ポリビニルピロリドン、約10.0mgの微結晶性セルロース、約5.32mgの高分散二酸化ケイ素及び約2.17mgのステアリン酸マグネシウムを130mg固体投与剤型あたりに含む本発明の合剤が、特に好ましい。
【0022】
更に、驚くべきことに本合剤の製造に使用される方法によって、1回の操作で2種の活性物質顆粒を安定な錠剤に打錠できることが見い出された。
【0023】
本発明の合剤の製造に必要な活性物質及び添加剤は、既知(カルベジロール(Carvedilol):EP 0004920;ヒドロクロロチアジド:薬剤学的活性物質;合成、特許、用途(Pharmaceutically Active Substances; Syntheses, Patents, Uses)、A. Kleemannら、第2版、Georg Thieme発行、1982年、469ページ)であるか、又は市販されているか、又は既知の方法により製造することができる。
【0024】
本発明の合剤の製造方法は、後述される工程を含むことができるが、これら個々の工程:
a)カルベジロール顆粒を製造する工程;
b)ヒドロクロロチアジド顆粒を製造する工程;
c)カルベジロール顆粒及びヒドロクロロチアジド顆粒を加工(ここで、2種の顆粒は、それぞれ6〜20%の間の顆粒含水量及び0.1〜1.5g/mlの間のかさ密度を有し、そして各場合の2種の顆粒の顆粒含水量及びかさ密度は、相互に30%、好ましくは20%を超えて変動しない)して、プレス塊とする工程;
d)c)で得られたプレス塊から固体投与剤型、好ましくは錠剤を製造する工程;
に限定されるものではない。
【0025】
カルベジロール顆粒は、好ましくは流動床造粒により製造され、ヒドロクロロチアジド顆粒は、好ましくは高速ミキサー/造粒機(例えば、ジオスナ(DIOSNA)P450)での造粒により製造される。
【0026】
カルベジロール顆粒及びヒドロクロロチアジド顆粒の顆粒含水量は、好ましくは10〜15%の間にある。
【0027】
2種の顆粒のかさ密度は、好ましくは0.4〜0.75g/mlの間にある。
【0028】
特定の実施態様において、合剤、更にはカルベジロール製剤単独は、光防御性フィルムを備えていてもよい。
【0029】
カルベジロールは特に感光性の活性物質であるため、活性物質の明瞭な褐色の着色は、純粋な活性物質の場合だけでなく、種々の用量のカルベジロール含有医薬の場合にも、これらの剤型が光に曝露されると起こる。
【0030】
「光防御性フィルム」の下で理解すべきは、好ましくは噴霧により、投与剤型に適用される水性フィルム懸濁液に基づくコーティングである。
【0031】
フィルム懸濁液は、好ましくは10〜50重量%のポリ(アクリル酸エチル、アクリル酸メチル)2:1、800,000、1〜10重量%のクエン酸ナトリウム、1〜25重量%のメチルヒドロキシプロピルセルロース、0〜20重量%のマクロゴール10,000、5〜40重量%のタルク、2〜25重量%の二酸化チタン、0〜10重量%のインジゴカルミンカラーラッカー、0〜2重量%のポリソルベート及び0〜1.0重量%のジメチコンを含む。
【0032】
2.348mgのポリ(アクリル酸エチル、アクリル酸メチル)2:1、800,000、約0.308mgのクエン酸ナトリウム、約1.018mgのメチルヒドロキシプロピルセルロース、約0.644mgのマクロゴール10,000、約1.624mgのタルク、約0.950mgの二酸化チタン、約0.170mgのインジゴカルミンカラーラッカー、約0.034mgのポリソルベート及び約0.004mgのジメチコンを7gのフィルム懸濁液あたりに含む光防御性フィルムが、特に好ましい。
【0033】
ポリソルベート20〜ポリソルベート85型までの全てのポリソルベート類(ポリオキシエチレン誘導体)、好ましくはポリソルベート80をフィルムコーティングのために使用することができる。
【0034】
上述の光防御性フィルムは、単独だけでなく合剤としてもカルベジロールを含む、例えば錠剤のような経口投与剤型のフィルムコーティングに使用されるが、当然のこと他の感光性活性物質を含む錠剤にも適している。
【0035】
更に別の実施態様において、本発明はまた、光防御性フィルムの適用方法を含む。
【0036】
カルベジロールは、水に著しく難溶性であるため、カルベジロール含有医薬は、特に高含量の崩壊剤(15〜20重量%の架橋ポリビニルピロリドン)を含む。
【0037】
しかしながら、1回の操作で5重量%を超える崩壊剤含量の錠剤に水性懸濁液を直接適用することが問題を伴うことは、当業者には知られている。フィルム懸濁液由来の水と錠剤由来の崩壊剤との接触により反応が起こり、このため錠剤の表面が軟化する。
【0038】
今や驚くべきことに、本明細書に後述の方法により、水性懸濁液、好ましくは、例えば前述のフィルム懸濁液のような水性光防御性懸濁液を、5%を超える崩壊剤含量を有する錠剤に1回の操作で適用できることが見い出された。
【0039】
フィルムコーティングの開始時の特異的な手順は、本方法に関して決定的に重要である:噴霧速度は、一方では錠剤表面上にフィルムの形成が可能なように、そして他方ではフィルム懸濁液の水を可能な限り迅速に錠剤表面から除去するように、開始時には低速でなければならない。この手順は、更に大量の空気の供給及び糖衣釜中の高い空気供給温度により補助される。このフィルムコーティングの臨界相が完了したら、即ち、薄膜が錠剤全体に形成されたら直ちに、噴霧速度を、従来のフィルムコーティングの場合に常用の程度まで上げることができる。フィルムコーティングは、この上昇した噴霧速度を使用して最後まで行うことができる。
【0040】
前述の特別なフィルムコーティング法はまた、フィルム懸濁液の組成により促進及び補助される。
【0041】
フィルムコーティングすべき錠剤は、糖衣釜(例えば、BRUCKS社製の50kg糖衣釜、モデル(Model)XI)に加え、光防御性懸濁液でフィルムコーティングする(例えば、WALTHER社製の二元噴霧ノズル、パイロット(PILOT)型、モデル(Model)WAによるフィルムコーティング)。
【0042】
以下のデータは、前述の糖衣釜及び二元噴霧ノズルを使用したフィルムコーティングに関する。しかし、これらの値は使用される装置に応じて変化しうる。
【0043】
最初の30〜70分間、好ましくは50分間、固体投与剤型のフィルムコーティングは、1分あたり30〜50g、好ましくは40gのフィルム懸濁液により行われ、次にフィルムコーティングが完了するまで、1分あたり60〜90g、好ましくは74gのフィルム懸濁液により行われる。
【0044】
変法では、40〜60分後に噴霧速度を1分あたり60〜90gの最大値まで連続的に上昇させることもできる。
【0045】
上述のフィルムコーティング法は、5%を超える崩壊剤含量の、例えば、錠剤のような任意の薬剤学的に許容しうる固体投与剤型のフィルムコーティングに使用することができる。
【0046】
即ち、例えば、0〜20重量%のカルベジロール、0〜50重量%の乳糖、0〜50重量%のサッカロース、0〜10重量%のステアリン酸マグネシウム、0〜30重量%のセルロース、0〜10重量%のポリビニルピロリドン、0〜10重量%の高分散二酸化ケイ素及び0〜20重量%の架橋ポリビニルピロリドンを含む薬剤学的に許容しうる固体投与剤型も、薬剤学的に許容しうる水性フィルム懸濁液でコーティングすることができる。
【0047】
本発明の方法により製造及びフィルムコーティングされた合剤は、驚くべき長期安定性を有する。
【0048】
本発明の合剤の好ましい投与剤型は、経口投与用の剤型である。好ましい投与剤型は、錠剤、カプセル剤及び糖衣錠、好ましくは錠剤である。
【0049】
本発明の合剤が投与される用量は、患者の年齢と必要性及び投与の経路に依存する。一般に、1日あたり約10〜50mgのカルベジロール及び約5〜30mgのヒドロクロロチアジドの用量が考慮される。
【0050】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様を記述することを意図したものであり、これにより本発明を限定するものではない。
【0051】
実施例1
カルベジロール顆粒の製造
a)懸濁液の製造
精製水64,500gを釜に入れて、篩過乳糖D80 15,000g、篩過サッカロース7,500g及びポリビニルピロリドン25,000(例えば、コリドン(Kollidon)25)1,500gをここに加え、30分間撹拌しながら溶解した。次に高分散二酸化ケイ素(例えば、エーロシル(Aerosil)200)3,000g及び微結晶カルベジロール37,500gを上記溶液に加え、均質な懸濁液が生成するまで30分間撹拌した。この懸濁液をコロイドミル及び篩を通して異なる容器に注入した。懸濁液は、沈降を防ぐために、流動床造粒が完了するまで連続して撹拌した。
【0052】
b)流動床造粒
微粉砕サッカロース30,000g及び架橋ポリビニルピロリドン(例えば、プラスドン(Plasdone)XL)15,000gを流動床造粒機(例えば、グラット(GLATT)−WSG150)のパンに入れた。a)で得られた懸濁液をチューブポンプ(チューブの内径:10mm)を使用して2.2mm二元ノズル(第1の物質:懸濁液;第2の物質:6barの精製圧搾空気)により導入した。噴霧造粒は、約80℃の空気供給温度及び約34℃〜37℃の生成物温度で行った。排気の含水量は、相対湿度の50〜70%に達し、噴霧時間は約120分に達した。
【0053】
c)篩い分け
流動床造粒後、顆粒を1.2mmのメッシュサイズの篩に通した。
【0054】
d)最終混合
架橋ポリビニルピロリドン(例えば、プラスドンXL)8,250g及び高分散二酸化ケイ素(例えば、エーロシル200)3,000gを1.2mmのメッシュサイズの篩に通して、ミキサー(例えば、LOEDIGE社製のプラウシェアミキサー)中で顆粒と共に均質にした。次にステアリン酸マグネシウム2,250gを1.2mmのメッシュサイズの篩に通し、篩過ステアリン酸マグネシウムを顆粒と簡単に混合して、顆粒の収量を確保した(目標重量:123,000g)。次に最終混合物のIPC値(IPC=プロセス内制御(in process control))を測定したが、これは以下の目標値を達成する必要がある:
顆粒含水量 11.5〜12.5%
乾燥減量(マイクロ波) 2.0〜3.0%
かさ密度 0.50〜0.65g/ml
【0055】
実施例2
ヒドロクロロチアジド顆粒の製造
a)造粒溶液の製造
ポリビニルピロリドン25,000(例えば、コリドン25)1,040gを撹拌しながら水9,620gに溶解した。
【0056】
b)活性物質及び添加剤の造粒
ヒドロクロロチアジド19,500g及び乳糖28,340gをミキサー/造粒機(例えば、ジオスナ(DIOSNA))中で4分間混合した。次にa)からの造粒溶液10,660gを、2barの噴霧圧でミキサー中に噴霧して、ミキサー/造粒機中で5分間造粒した。ミスト状顆粒を75℃の吸気口温度で所定の最終含水量まで乾燥した。
【0057】
c)顆粒の篩い分け
b)からの乾燥顆粒を1.25mmのメッシュサイズの調剤用篩に通して、次に顆粒含水量を測定した。目標値は、9.5〜11.0%にある。次いで顆粒重量を測定した(目標重量:74,880g)。
【0058】
d)最終混合物の製造
微結晶性セルロース15,600gを、架橋ポリビニルピロリドン(例えば、プラスドンXL)7,280g、高分散二酸化ケイ素(例えば、エーロシル200)2,080g及びステアリン酸マグネシウム1,040gと一緒に1.25mmのメッシュサイズの調剤用篩に通した。この篩過材料及びc)からの篩過顆粒を、調剤用ミキサーに加えて、30秒間混合した。完成した混合物を調剤用容器に取りだして収量を測定した。次に最終混合物のIPC値を測定したが、これは以下の目標値を達成する必要がある:
顆粒含水量 10.0〜11.0%
乾燥減量(マイクロ波) 1.5〜2.5%
かさ密度 0.50〜0.65g/ml
【0059】
実施例3
カルベジロール−ヒドロクロロチアジドのプレス塊の製造
a)プレス塊の混合
ヒドロクロロチアジド顆粒70,340g及びカルベジロール顆粒120,160gを適切な調剤用ミキサー(例えば、LOEDIGEのプラウシェアミキサー)に入れて均質に混合した。混合時間は、3分に達した。完成した混合物を、光が透過できない気密容器に充填して、収量を測定した(目標重量:19,500g)。次いで最終混合物のIPC値を測定したが、これは以下の目標値を達成する必要がある:
顆粒含水量 11.0〜12.0%
乾燥減量(マイクロ波) 2.0〜3.0%
かさ密度 0.50〜0.65g/ml
【0060】
実施例4
錠剤の製造
コンピュータ制御高性能ロータリー打錠機(例えば、自動圧縮力制御並びに錠剤重量の調節及び制御を有するキリアン(KILIAN)TX40)を使用して、プレス塊を圧縮して錠剤とし、これを光が透過できない容器に貯蔵した。
【0061】
実施例5
フィルムコーティングによる光からのカルベジロール含有医薬の防御
a)フィルム懸濁液の製造:
ファルマコート(Pharmacoat)(=メチルヒドロキシプロピルセルロース)364g、マクロゴール10,000 230g、クエン酸ナトリウム110g、タルク979g、二酸化チタン339g、トゥイーン(ポリソルベート80)12g、インジゴカルミンカラーラッカー61g及びジメチコン4gを、撹拌しながら温水(30〜60℃)6,900gに溶解した。この均質な溶液をコロイドミルに2回通した。オイドラギット(Eudragit)NE30D 401gをフィルムコーティング直前に加えた。
【0062】
b)フィルムコーティング:
実施例3からの無塵錠剤60〜70kgを糖衣釜に入れて、a)からの懸濁液でフィルムコーティングした。コア床からの噴霧ノズルの距離を約60〜70cmにして、コアを上から噴霧した。この目的のために直径1.8mmの二元ノズル(圧搾空気/液体)を使用した。噴霧気圧(精製圧搾空気)は3barに達し、吸気の温度は70℃に達し、吸気量は350〜500m3/時に達し、そして排気量は700〜1,000m3/時に達した。8mmの外径及び4mmの内径を有するPVCパイプのチューブポンプを使用して液体を導入した。ポンプ速度は、最初の50分間は10rpmとし、次いで25rpmとした。フィルム懸濁液に基づき、ポンプ速度は最初の50分間は40g懸濁液/分とし、次いで(更に約100分)段階的に74g懸濁液/分まで上昇させた。釜の回転速度は、最初の50分間は12rpmとし、次いで18rpmとした。釜の傾斜は60度とした。
【0063】
実施例A
以下の成分を含む錠剤を上述の方法により製造することができる:
活性物質
カルベジロール 25.000mg
ヒドロクロロチアジド 12.500mg
添加剤
サッカロース(ヨーロッパ局方) 25.000mg
乳糖 1H2O(ヨーロッパ局方) 28.060mg
ポリビニルピロリドン25,000(ヨーロッパ局方) 1.780mg
架橋ポリビニルピロリドンNF 20.170mg
微結晶性セルロース(ヨーロッパ局方) 10.000mg
高分散二酸化ケイ素(ヨーロッパ局方) 5.320mg
ステアリン酸マグネシウム(ヨーロッパ局方) 2.170mg
フィルムコーティング
ポリ(アクリル酸エチル、アクリル酸メチル)2:1、800,000
2.248mg
クエン酸ナトリウム(ヨーロッパ局方) 0.308mg
メチルヒドロキシプロピルセルロース(ヨーロッパ局方) 1.018mg
マクロゴール10,000 0.644mg
タルク(ヨーロッパ局方) 1.624mg
二酸化チタン(ヨーロッパ局方) 0.950mg
インジゴカルミンカラーラッカー 0.170mg
ポリソルベート80(ヨーロッパ局方) 0.034mg
ジメチコン 0.004mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質のカルベジロール又は薬剤学的に許容しうるその塩及びヒドロクロロチアジド又は薬剤学的に許容しうるその塩並びに薬剤学的に通常の添加剤を含む、医薬合剤。
【請求項2】
ヒドロクロロチアジド又は薬剤学的に許容しうるその塩対カルベジロール又は薬剤学的に許容しうるその塩の重量比が、1:0.5〜1:10の間にある、請求項1記載の医薬合剤。
【請求項3】
10mg〜50mgの間のカルベジロール又は薬剤学的に許容しうるその塩及び5mg〜30mgの間のヒドロクロロチアジド又は薬剤学的に許容しうるその塩を含む投与剤型である、請求項1〜2の1項記載の医薬合剤。
【請求項4】
結合剤、崩壊剤、滑沢剤、吸着剤、分離剤、賦形剤及び担体が、添加剤として存在する、請求項1〜3のいずれか1項記載の医薬合剤。
【請求項5】
0〜50重量%の乳糖、0〜50重量%のサッカロース、0〜10重量%のステアリン酸マグネシウム、0〜30重量%のセルロース、0〜10重量%のポリビニルピロリドン、0〜10重量%の高分子セルロース化合物、0〜10重量%の高分散二酸化ケイ素及び0〜20重量%の架橋ポリビニルピロリドンを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬合剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬合剤を含む、固体投与剤型。
【請求項7】
高血圧、狭心症、心不全及びこれらの関連疾患のような、心臓及び循環系障害の処置のための、請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬合剤の使用。
【請求項8】
高血圧、狭心症、心不全及びこれらの関連疾患のような、心臓及び循環系障害の処置のための方法であって、有効量の請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬合剤の投与を含む方法。
【請求項9】
カルベジロール又は薬剤学的に許容しうるその塩及びヒドロクロロチアジド又は薬剤学的に許容しうるその塩並びに薬剤学的に通常の添加剤を含む、医薬合剤の製造方法であって、以下の工程:
a)カルベジロール顆粒及びヒドロクロロチアジド顆粒を加工して、プレス塊とする工程(ここで、2種の顆粒は、それぞれ6〜20%の間の顆粒含水量及び0.1〜1.5g/mlの間のかさ密度を有し、そして各場合の2種の顆粒の顆粒含水量及びかさ密度は、相互に30%を超えて変動しない);
b)a)で得られたプレス塊から固体投与剤型を製造する工程;
を含む方法。
【請求項10】
カルベジロール顆粒及びヒドロクロロチアジド顆粒の顆粒含水量が、10〜15%の間にある、請求項9記載の方法。
【請求項11】
かさ密度が、0.4〜0.75g/mlの間にある、請求項9〜10の1項記載の方法。
【請求項12】
プレス塊を、打錠機により加工して錠剤にする、請求項9〜11のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
得られた固体投与剤型を、薬剤学的に許容しうる水性フィルム懸濁液でコーティングする、請求項9〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
固体投与剤型のフィルムコーティングを、最初の30〜70分間は1分あたり30〜50gのフィルム懸濁液で行い、次にフィルムコーティングが完了するまで1分あたり60〜90gのフィルム懸濁液で行う、請求項13記載の方法。
【請求項15】
請求項9〜12のいずれか1項記載の方法により製造される、請求項1〜6のいずれか1項記載の薬剤学的に許容しうる合剤。
【請求項16】
請求項13又は請求項14記載の方法により製造される、請求項1〜6のいずれか1項記載の薬剤学的に許容しうる合剤。
【請求項17】
少なくとも5重量%の崩壊剤含量を有する、請求項1〜5のいずれか1項記載の薬剤学的に許容しうる固体投与剤型であって、薬剤学的に許容しうる水性フィルム懸濁液でコーティングされている固体投与剤型。
【請求項18】
少なくとも5重量%の崩壊剤含量を有する、薬剤学的に許容しうる固体投与剤型であって、薬剤学的に許容しうる水性フィルム懸濁液でコーティングされている固体投与剤型。
【請求項19】
活性物質としてカルベジロールを含む、請求項18記載の薬剤学的に許容しうる固体投与剤型。
【請求項20】
10〜50重量%のポリ(アクリル酸エチル、アクリル酸メチル)2:1、800,000、1〜10重量%のクエン酸ナトリウム、1〜25重量%のメチルヒドロキシプロピルセルロース、0〜20重量%のマクロゴール10,000、5〜40重量%のタルク、2〜25重量%の二酸化チタン、0〜10重量%のインジゴカルミンカラーラッカー、0〜2重量%のポリソルベート及び0〜1.0重量%のジメチコンを含む、光防御性フィルム懸濁液。
【請求項21】
感光性の薬剤活性物質のフィルムコーティングのための、請求項20記載の光防御性フィルム懸濁液の使用。

【公開番号】特開2007−77160(P2007−77160A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284476(P2006−284476)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【分割の表示】特願2000−584870(P2000−584870)の分割
【原出願日】平成11年11月20日(1999.11.20)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】