説明

医薬用冷却エマルジョン

【課題】実質的に無臭の快い冷却感を有する、経済的で、粘性のある安定な、さらに、実質的に揮発性化合物を含まず、界面活性剤やアルコール系共溶媒の混入を必要としない剤型を提供する。
【解決手段】水性分散媒中に非揮発性冷却剤およびセルロースポリマーを含む、医薬品有効成分の含有に適した冷却剤エマルジョン組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、非揮発性冷却剤を含有する新規エマルジョンに関するものである。本発明は、さらに、非揮発性冷却剤、セルロースポリマーおよび水性分散媒とそこに分散される少なくとも1種類の有効成分を含有する液体剤型に関するものである。
【0002】
〔背景技術〕
医薬品剤型のデザインにおける主な懸念事項は、推奨する投与計画への患者のコンプライアンスを促進する、簡便で、均一分散された、口当たりの良い薬剤の製造である。最も一般的な医薬品剤型の一つは、嚥下可能な錠剤を含む。嚥下し易さを促進し、錠剤の不快な味を隠蔽し、および/または、知覚的に好ましい味を錠剤に付けるために、フィルム形成ポリマー、脂肪、糖またはゼラチンなどの物質で剤型をコートするのが慣例である。
【0003】
固体剤型には、液体剤型を上回る多くの短所がある。小児、高齢者、および、障害者や寝たきりの患者を含む多くの他の人々は、錠剤を嚥下するのが困難なことがしばしばある。これらの状況下で、嚥下可能な容易さから、液状の薬剤を提供するのが望ましい。さらに、投与薬剤が容易に摂取可能であれば、患者が服薬指導に従う傾向が高まる。また、液体製剤は、固体剤型よりも投与法を自由に変えることができる。
【0004】
不利な点として、液体剤型は、しばしば、懸濁液中の薬剤の維持に伴う安定性に問題がある。液体医薬品懸濁液は、配合が不十分であると、薬剤が沈殿物として沈降し、それによって、前記懸濁液中の薬剤の治療濃度を減少させる。その結果、患者は、過小投与または過剰投与される可能性があり、患者の回復が著しく損なわれることになる。
【0005】
薬剤の嚥下し易さを改善する他に、服薬指導への患者のコンプライアンスを向上させる別の方法は、非常に好ましい味、口当たり、または薬剤が効き始めていると思われる感覚的な合図を消費者に提供するものなど、他の官能特性を備えた剤型のデザインを介しており、すべて、消費者に好まれる製品を入手する周知の方法である。最近、製菓市場では、口の中やのどに冷却感を与えるミント、ガムおよび口臭清涼片も、消費者に特に人気が出ている。
【0006】
医薬品市場では、心地よい味わいに対する消費者の好みを満足させるだけでなく、生理的および/または感覚的な効果、例えば軽減速度、軽減の持続、および薬剤の外観(見た目の美しさ)の改良を強化するためにも、冷却剤が剤型に使用されてきた。例えば、冷却感をユーザーに提供するために、嚥下可能な医薬品錠剤用のコーティング剤にメンソールまたはハッカ油などの揮発性ミント様化合物を含むことが周知である。例えば、米国特許5,098,715号および米国特許5,827,852号参照。同様に、メンソール、ハッカ油および他の揮発性冷却剤が、香り付けまたは苦味マスキング用に液体医薬品製剤中で共通して使用されている。これらの揮発性冷却剤(クーラントまたはクーリング剤)は、液体鎮咳組成物中でも甘味料と共に利用されている。PCT公報WO 02/45714号参照。しかし、アスパルテームのような一部の高甘味度甘味料は、加熱すると分解する傾向がある。
【0007】
揮発性化合物は、しばしば、臭いの検出によって、あるいは、特定の大気条件下での減量によって定量的に同定できる。この揮発化または臭いは、香りの観点から、大気への香りの損失、それによる製剤の物理的不安定化を意味する。揮発性ミント様化合物の使用に伴う別の制限は、特定の患者群、例えば胃食道逆流症(GERD)患者におけるミント使用に関する食事制限である。前記の揮発性化合物の使用に関するなおも別の制限は、大衆の中での、メンソール添加薬剤の臭いに伴う知覚的な社会的偏見である。さらに、「ミント味」またはメンソール様の臭いまたは臭気を持つ剤型は、キャンディーおよびミント菓子または咳止めドロップと混同されやすい。嗅覚に頼るペットや視覚障害者の場合、これは、薬剤の誤飲または通常摂取の他の品目との混同を引き起こす可能性がある。
【0008】
香料も、典型的には、界面活性剤(surfactantまたはsurface agent)を使って水性溶媒に分散する必要がある。しばしば、これらの薬品(即ち、例えばラウリル硫酸ナトリウムまたはポリソルベート80)の添加は、味のプロファイルを「石鹸くさい」または苦いものに変える。少量のアルコール系共溶媒が必要な時もある。不利な点として、前記の共溶媒の使用は、冷却剤の味にもさらに影響を与える。
【0009】
医薬品剤型への揮発性ミント様化合物の使用に伴う短所を克服する一つの方法が、米国特許出願第10/391,396号に開示された。当該出願は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのコーティング剤、スクラロースなどの高甘味度甘味料およびメンチルエステル非揮発性冷却剤を含有する固体剤型のコーティングに適した組成物を開示した。
【0010】
冷却剤は、のどに長時間の冷却感を生じるために、チュアブル剤型にも用いられている。PCT公報97/24036号参照。しかし、前記チュアブル剤型は、一定時間口内に残るようにデザインされており、咀嚼時、完全に崩壊または溶解してはならない。前記冷却剤は、有効成分の溶解を遅らせるだけでなく、活性の発現も遅らせることができる。
【0011】
そのため、実質的に無臭の快い冷却感を提供する、経済的で、粘性のある安定な液体剤型が求められている。さらに、実質的に揮発性化合物を含まず、界面活性剤やアルコール系共溶媒の混入を必要としない剤型が求められている。
【0012】
〔発明の概要〕
本発明は、メチルエステル非揮発性冷却剤、セルロースポリマー乳化剤および水から構成される、成る、および/または、本質的に成るエマルジョン、並びに、特許請求の範囲で規定するものと同一のものを含有する液体剤型について説明する。
【0013】
本発明は、安定で、流し込み可能な経口投与液体医薬品剤型への使用に特に申し分なく適した新規エマルジョン系を提供する。得られる液体医薬品剤型は、さらに、摂取中、実質的な芳香も嗅覚刺激もなく、界面活性剤またはアルコール系共溶媒の使用に伴う味覚への有害な作用を引き起こさずに、マイルドで、快い、持続性の口内およびのどの冷却感をユーザーに提供する。
【0014】
本発明の他の特徴および長所は、発明の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなる。
【0015】
〔発明を実施するための最良の形態〕
本明細書の記述に基づいて、当業者は、本発明を最大限に利用できると考えられる。以下の具体的実施態様は、単なる一例にすぎず、本開示の残りの部分を全く制限するものではない。
【0016】
他に規定のない限り、本明細書で使用するすべての技術および科学用語は、本発明が属する技術の普通の熟練者が共通して理解している意味と同一の意味を持つ。また、刊行物、特許出願、特許および本明細書で言及する他の参考文献は、すべて、参照することによって本明細書に組み入れる。全パーセンテージは、本明細書で使用する場合、他に規定しない限り、重量換算である。
【0017】
用語「剤型」は、例えば下述の有効成分のような特定の成分の具体的予定量または投与量を含有するようにデザインされたどの組成物にも該当する。本発明の剤型は、典型的には液体であり、以下のものを含むことができるが、それらに制約されない:a)経口投与系、鼻内投与または口腔投与を含む医薬製剤送達系;またはb)ミネラル、ビタミンおよび他の機能性食品、口腔ケア剤の送達用組成物。さらに、本発明の剤型は、液体核を有する嚥下可能な液体充填剤型も含むことができる。ある実施態様では、前記剤型は、消化管に医薬有効成分を送達する経口投与系である。別の実施態様では、前記剤型は、鼻粘膜または副鼻腔への医薬有効成分の送達用鼻内投与系である。別の実施態様では、前記剤型は、スプレーまたはスワブ(綿棒塗布)液として、口腔またはのど粘膜に局所投与する。
【0018】
「乳化剤(emulsifying agentまたはemulsifier)」は、本明細書で使用する場合、2種類の不混和液体に添加するとエマルジョンを形成する物質を指す。
【0019】
「水溶性」は、本明細書で非ポリマー材と関連付けて使用する場合、やや溶けにくいから極めて溶け易いまで、即ち、非ポリマー水溶性溶質1部を溶解するのに必要な水が100部を越えないことを意味するものとする。Remington, "The Science and Practice of Pharmacy", p.208-209(2000)参照。「水溶性」は、本明細書でポリマー材と関連付けて使用する場合、水中で当該ポリマーが膨潤し、分子レベルで分散し、均質な分散液を形成できることを意味するものとする。
【0020】
「冷却剤」は、本明細書で使用する場合、第V脳神経三叉神経の自由神経終末に位置する熱レセプターを抑制または冷却レセプターを刺激する固体または液体物質を含む。ある実施態様では、当該冷却剤は、苦い、酸っぱい、甘い、うまみまたは塩辛いなどの1種類以上の味覚センサーとの有意な相互作用を起こさずに、即時的または遅発的な感覚性冷却効果をユーザーに提供する。
【0021】
「非揮発性冷却剤」は、本明細書で使用する場合、1種類以上の個別の、実質的に臭いのない、および無臭の蒸気を含まない化合物から成り、それによって、当該冷却剤が、a)50℃で開放容器中に少なくとも1時間静置すると、約1重量%以上を損失せず;通常、b)英国ロンドン、「The Royal Society of Chemistry」ウェブサイト(www.chemsoc.org/exemplarchem/entries/2001/caphane/flavour.html, 2002)の記述どおり、300原子質量(または分子)単位(amu)以上を上回る平均分子量を有する小群の冷却剤を表すものとする。「平均分子量」は、本明細書で使用する場合、Martin, Physical Pharmacy, 561(4th Ed. 1993)(参照することによって本明細書に組み入れる)の定義どおり、溶液中の重量分率またはパーセント濃度に従って重み付けした個々の成分全部の数学的加重平均(「加重平均分子量とも呼ぶ)を意味するものとする。
【0022】
「エマルジョン」は、本明細書で使用する場合、油溶性液相と水溶性液相を含有する、熱力学的には不安定だが、物理的に安定な液体組成物を指し、この場合、一方の相が小滴または小球の状態で他方の相全体に密に、かつ、均一に分散されている。エマルジョンは、典型的に、連続相(または外相)と分散相(または内相)を有する。「連続」相は、本明細書で使用する場合、実質的に均質なバルク液相で、主として、性質が極性(親水性)または非極性(疎水性)である。「分散」相は、実質的に均質な液相であり、乳化剤の不在下で、連続相/外相と異なる層を形成する。あるタイプのエマルジョンは、「水中油型(o/w)エマルジョン」で、連続相が主として極性、分散相が非極性のエマルジョンである。別のタイプのエマルジョンは、「油中水型(w/o)エマルジョン」で、連続相が主として非極性、分散相が極性のエマルジョンである。Martin,A., Physical Pharmacy, 486-496(4th Ed. 1993)参照。
【0023】
本発明の第一の実施態様は、エマルジョン組成物の総重量に基づいて、a)約0.001%〜約80%、例えば約1%〜約20%のセルロースポリマー乳化剤;b)約0.0001%〜約40%、例えば約0.01%〜約15%の非揮発性冷却剤;およびc)約50%〜約99%の水を含めたエマルジョン組成物に対するものである。
【0024】
ある実施態様では、前記エマルジョン組成物は、ミントおよびメンソールなどの揮発性冷却剤を実質的に含有しない。「揮発性冷却剤を実質的に含有しない」は、本明細書で使用する場合、エマルジョン組成物の総重量に基づいて、揮発性冷却剤の0.1%未満、例えば0.01%未満の混入を意味するものとする。
【0025】
適切なセルロースポリマーは、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシブチルメチルセルロース(hydroxybutylmethylcellulose)(HBMC)、酢酸セルロース(cellulose acetate)(CA)、酢酸フタル酸セルロース(cellulose acetate phthalate)(CAP)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(hydroxyethylcellulose)(HEC)、ヒドロキシチルエチルセルロース(hydroxythylethylcellulose)(HEEC)、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxyethylhydroxypropylmethyl cellulose)(HEMPMC)およびポリマー、およびそれらの誘導体および混合物を含むが、それらに制約されない。
【0026】
ある適切なヒドロキシプロピルメチルセルロース化合物は、「HPMC 2910」で、置換度約1.9、ヒドロキシプロピルモル置換度0.23を有し、当該化合物の総重量に基づいて、約29%〜約30%メトキシル基および約7%〜約12%ヒドロキシプロピル基を含有するセルロースエーテルである。HPMC 2910は、Dow Chemical Companyから「Methocel E」、または本発明での使用に適したHPMC-2910の一つの等級である「Methocel E5」の登録商標で市販されており、Ubbelohde粘度計で測定すると、2%水性溶液中、20℃で約4〜6cps(4〜6ミリパスカル-秒)の粘度を有する。同様に、「Methocel E6」は、本発明での使用に適したHPMC-2910の別の等級であり、Ubbelohde粘度計で測定すると、2%水性溶液中、20℃で約5〜7cps(5〜7ミリパスカル-秒)の粘度を有する。「「Methocel E15」は、本発明での使用に適したHPMC-2910の別の等級であり、Ubbelohde粘度計で測定すると、2%水性溶液中、20℃で約15000cps(15ミリパスカル-秒)の粘度を有する。「置換度」は、本明細書で使用する場合、無水グルコース環に結合する平均置換基数を意味するものとし、「ヒドロキシプロピルモル置換度」は、無水グルコース1モル当たりのヒドロキシプロピルモル数を意味するものとする。
【0027】
別の適切な微結晶セルロースは、セルロースとカルボキシメチルセルロースの乾燥共沈微結晶である。微結晶セルロースの共沈として、カルボキシメチルセルロースナトリウム(sodium carboxymethyl cellulose)が一般に使用される。微結晶セルロースは、当該微結晶セルロースの総重量に基づいて、約8%〜約19%、または約8%〜約14%のカルボキシメチルセルロースナトリウムなどのカルボキシメチルセルロースを含有することができる。上記のような微結晶セルロースは、FMCから「Avicel(登録商標)」の登録商標で市販されている。
【0028】
適切な非揮発性冷却剤は、「ほとんど溶けない」として米国薬局方XXVI改正、p.8 に記述のとおりに、少なくとも水10,000部に対する冷却剤1部の水溶解度を有し、60 rpm、No.3スピンドルのLV型Brookfield Synchro-Lectric粘度計によって25℃で測定すると、少なくとも約524センチポアの粘度を有するものを含む。ある実施態様では、前記非揮発性冷却剤は、約0.001重量%未満の水溶解度を持つ。
【0029】
適切な非揮発性冷却剤の例は、メンチルエステル、カルボキサミド、尿素、酸化フォスフィンおよびそれらの混合物を、好ましくは、当該非揮発性冷却剤が臭いを実質的に含有しないか無臭の蒸気で、従って、50℃の開放容器中に少なくとも1時間静置した場合に約1重量%以上を失わない程度まで含むが、それらに制約されない。典型的には、前記冷却剤は、平均分子量が300原子質量単位(amu)以上であることができる。適切な非揮発性冷却剤の一例は、International Flavors & Fragrancesから「Cooler #2」の登録商標で市販されているメンチルエステル混合物である。
【0030】
ある実施態様では、本発明のエマルジョンは、約25:1〜約1:25、例えば約10:1〜約1:10の重量比でセルロースポリマーと非揮発性冷却剤を含有することができる。
【0031】
前記エマルジョン組成物は、任意に、前記エマルジョン組成物の総重量に基づいて、約0%以上〜約49%未満のアルコール、例えばエタノール、グリセロール、プロピレングリコールなどのポリオール、およびそれらの混合物などを含有することができる。
【0032】
ある実施態様では、本発明の組成物は、さらに、1種類以上の有効成分を含有することができる。用語「有効成分」は、本明細書では広義に使用しており、対象とする系で実施できる、または、対象とする系内に取り込むことのできるどの材料も包含することができる。例えば、有効成分は、医薬品、機能性食品、ビタミン、補助食品、栄養素、ハーブ、染料、栄養、ミネラル、栄養補助食品など、およびそれらの組み合わせであることができる。
【0033】
本発明の剤型は、安全で、有効な量の有効成分を含有することができ、この安全で、有効な量は、投与時に治療対象の病態を有意に確実に変更する、または、確実な医師の判断の範囲内で使用される短期即時使用法または反復長期使用法によって有害な、または望ましくない状態を防止できるだけの十分な量の薬剤量を意味する。前記有効成分の安全有効量は、特定の治療対象病態;治療対象患者の身体状態および年令;あるとすれば併用療法の性質;治療期間;利用する特定の担体;投与法;採用する特異的有効成分などに応じて異なることになる。典型的には、前記有効成分は、当該剤型の総重量に基づいて、約0.001%〜約99.9%、例えば約0.1%〜約75%の量で使用する。
【0034】
前記有効成分は、多様な形の剤型中に存在できる。例えば、前記有効成分は、粒子状であることができ、当該粒子は、順に、コートすることも、コートしないこともできる。適切な粒子用コーティング剤は、例えばLachman, Lieberman and Kanig, The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, 3rd Ed. Section 3, 359-372(1986)に述べられているものなど、技術上規定されたどんなコーティング剤でも含む。前記有効成分が粒子状である場合、当該粒子(コート、非コートにかかわらず)は、典型的には、約1ミクロン〜約2000ミクロンの平均粒度を有する。当該有効成分は、本発明のエマルジョンに懸濁する固体状であることもでき、あるいは、連続相に実質的に溶解されていることもできる。
【0035】
適切な医薬品は、鎮痛剤、抗炎症剤、抗関節炎薬、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質、抗感染症薬、抗ウイルス薬、抗凝固剤、抗うつ剤、抗糖尿病薬、鎮吐剤、整腸剤、抗真菌剤、鎮痙剤、食欲抑制剤、気管支拡張剤、心臓血管用薬、中枢神経系用薬、中枢神経系興奮剤、うっ血除去剤、経口避妊薬、利尿剤、去痰剤、胃腸薬、偏頭痛用薬、乗り物酔い用薬、粘液溶解薬、筋弛緩剤、骨粗鬆症用薬、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxanes)、呼吸器用薬、睡眠補助剤、尿路用薬、口腔ケア剤、香料およびそれらの混合物を含む。
【0036】
適切な口腔ケア剤は、口臭清涼剤、歯のホワイトナー、抗菌剤、歯の鉱化剤、虫歯抑制剤、局所麻酔薬、粘膜保護剤などを含む。
【0037】
適切な香料は、メンソール、ペパーミント、ミントフレーバー、フルーツフレーバー、チョコレート、バニラ、風船ガムフレーバー、コーヒーフレーバー、リキュールフレーバーおよび配合品などを含む。
【0038】
適切な胃腸薬の例は、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、重炭酸ナトリウム、水酸化アルミニウム・炭酸ナトリウムのような制酸剤;ビサコジル(bysacodyl)、カスカラサグラダ(cascara sagrada)、ダンスロン(danthron)、センナ(senna)、フェノールフタレイン(phenolphthalein)、アロエ、ヒマシ油、リシノール酸(ricinoleic aid)、デヒドロコール酸(dehydrocholic acid)およびそれらの混合物のような刺激性緩下剤;ファモタジン(famotadine)、ラニチジン(ranitidine)、シメタジン(cimetadine)、ニザチジン(nizatidine)などのH2レセプター拮抗剤;オメプラゾール(omeprazole)またはランソプラゾール(lansoprazole)のようなプロトンポンプ阻害剤;スクラフレート(sucraflate)およびミソプロストール(misoprostol)などの消化管細胞保護剤;プルカロプリド(prucalopride)などの消化管運動機能改善薬、クラリスロマイシン(clarithromycin)、アモキシシリン(amoxicillin)、テトラサイクリン(tetracycline)およびメトロニダゾール(metronidazole)のようなH. pylori用抗生物質;ジフェノキシレート(diphenoxylate)およびロペラミド(loperamide)などの止瀉薬;グリコピロレート(glycopyrrolate);オンダンンセトロン(ondansetron)のような鎮吐剤、メサラミン(mesalamine)などの鎮痛剤;および、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxanes)などの整腸剤を含む。適切なポリジメチルシロキサンの例は、ジメチコン(dimethicone)およびシメチコン(simethicone)を含むが、それらに制約されず、米国特許4,906,478号、5,275,822号および6,103,260号に開示されているものである。用語「シメチコン」は、本明細書で使用する場合、シメチコンおよびジメチコンを含めて、より広範囲なクラスのポリジメチルシロキサンを指すが、それらに制約されない。
【0039】
本発明のある実施態様では、有効成分は、ビサコジル、ファモタジン、ラニチジン、シメチジン(cimetadine)、プルカロプリド、ジフェノキシレート、ロペラミド、ラクターゼ(lactase)、メサラミン、ビスマス、制酸剤、および医薬的に受容可能な塩、エステル、異性体、およびそれらの混合物から選択できる。
【0040】
別の実施態様では、有効成分は、緩下剤、H2レセプター拮抗剤、プロトンポンプ阻害剤、消化管細胞保護剤、消化管運動機能改善薬、抗生物質、止瀉薬および鎮吐剤から選択する胃腸薬であることができる。
【0041】
別の実施態様では、有効成分は、鎮痛剤、抗炎症剤および解熱剤、例えば、プロピオン酸誘導体、例えばイブプロフェン、ナプロキセン(naproxen)、ケトプロフェン(ketoprofen)など、を含めた非ステロイド抗炎症剤(NSAID);酢酸誘導体、例えばインドメタシン(indomethacin)、ジクロフェナック(diclofenac)、サリンダック(sulindac)、トルメチン(tolmetin)など;フェナム酸誘導体、例えばメフェナム酸(mefenamic acid)、メクロフェナム酸(meclofenamic acid)、フルフェナム酸(flufenamic acid)など;ビフェニルカルボジル酸誘導体、例えばジフルニサル(diflunisal)、フルフェニサル(flufenisal)など;オキシカム(oxicams)、例えばピロキシカム(piroxicam)、スドキシカム(sudoxicam)、イソキシカム(isoxicam)、メロキシカム(meloxicam)などから選択する。ある特定の実施態様では、有効成分は、プロピオン酸誘導体NSAID、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、フルビプロフェン、フェンブフェン(fenbufen)、フェノプロフェン(fenoprofen)、インドプロフェン(indoprofen)、ケトプロフェン、フルプロフェン(fluprofen)、ピルプロフェン(pirprofen)、カルプロフェン(carprofen)、オキサプロジン(oxaprozin)、プラノプロフェン(pranoprofen)、スプロフェン(suprofen)および医薬的に受容可能な塩、誘導体およびそれらの組み合わせから選択する。本発明の別の特定の実施態様では、有効成分は、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、ジクロフェナック、シクロベンザプリン(cyclobenzaprine)、メロキシカム、ロフェコキシブ(rofecoxib)、セレコキシブ(celecoxib)および医薬的に受容可能な塩、エステル、異性体、およびそれらの混合物から選択できる。
【0042】
本発明の別の実施例では、有効成分は、シュードエフェドリン(pseudoephedrine)、フェニルプロパノールアミン(phenylpropanolamine)、クロルフェニラミン(chlorpheniramine)、デキストロメトルファン(dextromethorphan)、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)、アステミゾール(astemizole)、ターフェナジン(terfenadine)、フェキソナフェナジン(fexofenadine)、ロラタジン(loratadine)、デスロラタジン(desloratadine)、セチリジン(cetirizine)、それらの混合物および医薬的に受容可能な塩、エステル、異性体、およびそれらの混合物から選択できる。
【0043】
前記剤型は、さらに、任意に、当該剤型の総重量に基づいて、約00%〜約70%の甘味料、約0%〜約1%のパラベンなどの防腐剤、;約0%〜約5%の二酸化チタンなどの乳白剤;および/または約0%〜約15%の着色剤などの他の成分を含むこともできる。Remington's practice of Pharmacy, Martin & Cook, 17th ed., pp.1625-30参照。
【0044】
適切な甘味料の例は、米国特許5,272,137号に開示されているものを含み、さらに、熱安定、高甘味度甘味料を含むことができる。「熱安定、高甘味度甘味料」は、本明細書で使用する場合、英国特許1,543,167号に記述の試験法に従って測定した場合、スクロースよりも少なくとも5倍高い甘味を誘発する化合物または化合物混合物を含むものとする。典型的には、前記甘味料は、約40℃で約1時間加熱した後の分解物を実質的に含まない。前記の適切な甘味料は、スクラロース、ネオテームおよびそれらの混合物を含むが、それらに制約されない。
【0045】
スクラロースは、4,1,6'-トリデオキシ-ガラクトスクロース(4,1,6'-trideoxy- galactosucrose)としても周知で、英国特許1,544,167号、米国特許5,136,031号および5,498,709号に開示されている方法に従って製造できる熱安定、高甘味度甘味料である。前記特許は、参照することによって本明細書に組み入れる。
【0046】
アミノ酸のアスパラギン酸およびフェニルアラニンから成るジペプチド誘導体のN-(N-(3,3-ジメチルブチル)-L-a-アスパルチル)-L-フェニルアラニン 1メチルエステル(N-(N-(3,3-dimethylbutyl)-L-a-aspartyl)-L-phenylalanine 1 methyl ester)としても周知のネオテームは、熱安定、高甘味度甘味料であり、2002年7月に米国で使用が承認されており、NutraSweet(登録商標)Companyから市販されている。
【0047】
着色剤は、剤型中の他の成分との化学的不相溶性を起こさないように選択する必要がある。医薬品への応用での使用に適した着色剤を本発明で使用でき、アゾ染料、キノフタロン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、インジゴイド染料、酸化鉄、水酸化鉄、酸化チタン、天然染料およびそれらの混合物を含むことができるが、それらに制約されない。さらに具体的には、適切な着色剤は、パテントブルーV、酸性ブリリアントグリーンBS、レッド2G、アゾルビン、ポンソー4R、アマランス、D&Cレッド33、D&Cレッド22、D&Cレッド26、D&Cレッド28、D&Cイエロー10、FD&Cイエロー5、FD&Cイエロー6、FD&Cレッド3、FD&Cレッド40、FD&Cブルー1、FD&Cブルー2、FD&Cグリーン3、ブリリアントブラックBN、カーボンブラック、酸化鉄ブラック、酸化鉄レッド、酸化鉄イエロー、二酸化チタン、リボフラビン、カロテン、アントシアニン、ターメリック、コチニールエキス、クロロフィリン、カンタキサンチン、キャラメル、ベタニンおよびそれらの混合物を含むが、それらに制約されない。本発明で有用な防腐剤は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、エデト酸塩の塩(エデト酸二ナトリウムなど、エチレンジアミン四酢酸の塩またはEDTAとしても周知)およびパラベン(メチル、エチル、プロピルおよびブチルp-ヒドロキシ安息香酸エステルなど)を含むが、それらに制約されない。上記の防腐剤は、典型例であるが、各防腐剤は、配合剤毎に経験に基づいて評価し、当該防腐剤の相溶性および効果を確認しなければならない。医薬配合剤中の防腐剤の効果の評価法は、当業者に周知である。
【0048】
防腐剤は、一般に、本エマルジョン100ml当たりグラム数まで、即ち、本エマルジョン100ml当たり約0.15〜約0.5gの量で存在する。例えば、アセトアミノフェンを含有する医薬エマルジョン中で、安息香酸ナトリウムは、当該エマルジョン100ml当たり、約0.15〜約0.3、または、約0.20g〜約0.3gの範囲で存在でき、ブチルパラベンは、当該エマルジョン100ml当たり約数0.01〜約数0.05g、または、約0.025g〜約0.05gの範囲で存在できる。
【0049】
ある実施態様では、本発明の分散相中に少なくとも約50%の非揮発性冷却剤および/または少なくとも約90%のセルロースポリマーを含有する。
【0050】
ある実施態様では、本発明の液体組成物は、最初に、得られる混合液が周囲条件下で肉眼的に均質なエマルジョンなるまで、前記冷却剤を乳化剤および水と配合して調製できる。次に、望みの薬剤、並びにいずれかの他の任意の成分を周囲条件下で混合しながら前記エマルジョンに添加できる。
【0051】
別法として、乳化剤の均一な分布を改善するために、水を任意のアルコールと共に、約70℃〜約85℃の温度まで加熱し、その後に、当該乳化剤を、攪拌しながら、添加できる。得られた混合液が均質になった後、加熱しながら、あるは、加熱せずに、前記冷却剤を当該混合液に添加できる。次に、そこに、医薬有効成分、並びに、いずれかの他の任意の成分を、周囲条件下で混合しながら、添加できる。
【0052】
本発明の医薬品剤型を使用して、頭痛、副鼻腔炎、咳嗽、風邪、流行性感冒、アレルギーなどの症状を治療できる。
【0053】
予想外にも、出願人らは、有効成分を本発明のエマルジョンと配合すると、得られる剤型が安定で、流し込み可能な状態を保ち、経口投与すると、ユーザーに均一な冷却特性を提供することを認めた。出願人らは、さらに、予想外にも、本発明のエマルジョンの粘度が、低剪断速度において、等量の水中冷却剤配合物、あるいは、等量の水中セルロースポリマーそれぞれの粘度よりも有意に低いことを認めた。この粘度が低めであるために、液体エマルジョンを望みの粘膜領域に流し込む、噴霧または噴射すると、当該エマルジョンは、粘膜表面に均一に広がり、コートする。
【0054】
さらに、ユーザーが振っている最中に製品に加わると思われるものと比較可能な速度で混合液体に加わる剪断速度が増加すると、得られる混合液の粘度は、実質的に変化しないことが、予想外にも認められた。驚くべきことに、得られた混合液の粘度の標準偏差も、配合液中で使用する場合の同一濃度で試験すると、冷却剤単独またはセルロースポリマー単独について報告された標準偏差よりも低かった。当該冷却剤と当該セルロースポリマーの間のこの明らかな相乗効果は、得られる混合液が、個々の冷却剤およびセルロースポリマーそれぞれよりも剪断(または、なんらかの機械的負荷)に対する反応が低い粘性を備えた、独特の、密に混ざり合った液体であることを示唆した。これは、ユーザーにとって特に有益であり、そのため、物理的操作、例えば患者による震盪または予め製品に加わる機械的振動/輸送時の揺れ、の量に関係なく同一の効能効果を受けることをユーザーは期待できる。
【0055】
この予想外の粘性プロファイルの結果、当該剤型は、経口摂取時、のどを均一にコートし、それによって、メンソールおよび他の強いミント様揮発性フレーバーを含有するコーティング剤の使用に伴って経験する場合のある不快な芳香/臭いまたは極端に偏った味を伴わずに、持続性の、マイルドな冷却感をのどおよび/または口内に提供することができた。驚くべきことに、冷却感は、主として嚥下後に起こるのであるが、口内またはのどに固体剤型が残っていないにもかかわらず、わずかに深く、あるいは、わずかに大きく息をするだけで、ユーザーは、自由に消費後数分間、冷却感を「再活性化」あるいは「再強化」することもできた。
【0056】
同様に、本発明の剤型は、任意に食塩水を含有することができ、鼻内投与時、鼻粘膜を均一にコートし、それによって、不快な芳香/臭いを伴わずに、持続性の、マイルドな冷却感を鼻内領域に提供することができる。
【0057】
なおも、さらなる本発明の長所は、本エマルジョンが、ミントなどの揮発性冷却剤を実質的に含有しなかったので、嚥下または摂取時に、「GERD」と一般に呼ばれる胃食道逆流症などの病態を悪化させずに、冷却効果をユーザーに提供したことである。
【0058】
本明細書に例示的に開示する本発明は、本明細書に具体的に開示していない構成要素、成分または工程を用いずに適切に実施できる。本発明の性質および実施法をさらに詳細に説明するために実施例数件を以下に述べる。しかし、本発明を、その内容に制約されると見なしてはならない。
【0059】
実施の形態1
セルロースポリマー、冷却剤、水およびそれらの配合物の粘度の比較
下述の表Aの配合剤を有する組成物を次のとおりに調製した:
【0060】
配合剤Aの調製
ビーカー中で水を約70℃の温度まで加熱した後、そこに冷却剤を攪拌しながら添加した。当該混合物が肉眼的に均質になった後、当該混合物を室温まで冷却した。
【0061】
配合剤Bの調製
ビーカー中で水を約70℃の温度まで加熱した後、そこにセルロースポリマーを攪拌しながら添加した。当該混合物が肉眼的に均質になった後、当該混合物を室温まで冷却した。
【0062】
配合剤Dの調製
ビーカー中で水を約70℃の温度まで加熱した後、そこにセルロースポリマーを攪拌しながら添加した。当該混合物が肉眼的に均質になった後、冷却剤を攪拌しながら添加した。当該混合物が肉眼的に均質になった後、当該混合物を室温まで冷却した。
【0063】
【表1】

【0064】
粘度の測定
配合剤Aの10mlサンプルを、カップ温度25℃、#31スピンドル、0.3 rpmのBrookfieldデジタル粘度計DV-II型に静置した。同一配合剤について、様々なrpm(0.6、1.5、3、6、12、30)でこの手法を別個に繰り返した。
【0065】
この手法を、配合剤B〜Dの各サンプルについて、それぞれ別個に繰り返した。結果を以下の表Bに示す。表中、全粘度を、センチポア(cps)で示す。
【0066】
【表2】

【0067】
この実施例は、低めの剪断速度(0.3 rpm〜3 rpm)で、配合剤Dが水中冷却剤(配合剤A)、水中セルロースポリマー(配合剤B)、もしくは、冷却剤単独のいずれよりも低い粘度を示す(即ち、希薄であった)ことを立証した。この低粘度の性質の結果として、本発明のエマルジョンは、例えば、摂取時、のど全体を均一にコートし、覆うのに特に有効であると思われる。
【0068】
この実施例は、配合剤Dが、剪断速度1.5 rpm〜3 0 rpmに対して105〜110 cpsの粘度を維持することも示した。この粘度の一貫性は、製品の物理的操作の方法にかかわりなく、同一の製品性能への期待をユーザーに提供する点で特に有利である。
【0069】
〔実施の態様〕
本発明の実施の態様は下記の通りである。
(1) エマルジョンであって、
前記エマルジョンの総重量に基づいて、
a) 約0.001重量%未満の水溶解度を有する約0.001%−約80%の非揮発性冷却剤と、
b)約0.0001%−約40%のセルロースポリマーと、
c)約50%−約99%の水と、を含み、
セルロースポリマー対非揮発性冷却剤の重量比が、約25:1−約1:25であり、
前記エマルジョンが、温度25℃および速度約1.5 rpm−約30 rpmのBrookfield粘度計(スピンドル#31)で測定すると、約100 cpsの粘度を有する、エマルジョン。
(2) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
さらに有効成分を含む、エマルジョン。
(3) 医薬品剤型であって、
実施態様2に記載のエマルジョンをさらに含み、前記有効成分が医薬的に有効な成分である、医薬品剤型。
(4) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
揮発性冷却剤を実質的に含有しない、エマルジョン。
(5) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
前記非揮発性冷却剤をメンチルエステル、カルボキサミド、尿素、酸化フォスフィン、およびそれらの混合物から成る群から選択する、エマルジョン。
【0070】
(6) 実施態様5に記載のエマルジョンであって、
前記非揮発性冷却剤がメンチルエステルである、エマルジョン。
(7) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
前記非揮発性冷却剤が約300原子分子単位以上の平均分子量を有する、エマルジョン。
(8) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
前記非揮発性冷却剤が、前記約50℃の温度条件下の開放皿中で1時間曝露した後、約1%未満の減量を有する、エマルジョン。
(9) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
連続相と分散相を有し、前記連続相が水性である、エマルジョン。
(10) 実施態様9に記載のエマルジョンであって、
前記分散相内に少なくとも約50%の非揮発性冷却剤を含有する、エマルジョン。
【0071】
(11) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
前記分散相内に少なくとも約90%のセルロースポリマーを含有する、エマルジョン。
(12) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
前記セルロースポリマーを、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、およびコポリマー、およびそれらの誘導体および混合物から成る群から選択する、エマルジョン。
(13) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
前記セルロースポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースである、エマルジョン。
(14) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
前記エマルジョンの総重量に基づいて、約0.05%−約20%の非揮発性冷却剤を含む、エマルジョン。
(15) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
前記エマルジョンの総重量に基づいて、約0.05%−約15%のセルロースポリマーを含む、エマルジョン。
【0072】
(16) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
前記エマルジョンと同一濃度の前記セルロースポリマー水溶液の両方を温度25℃、Brookfield粘度計、スピンドル#31、約6 rpm未満の速度で測定した場合、前記エマルジョンが同一濃度の前記セルロースポリマー水溶液の粘度未満の粘度を有する、エマルジョン。
(17) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
前記エマルジョンと等量の前記非揮発性冷却剤水溶液の両方を温度25℃、Brookfield粘度計、スピンドル#31、約1.5 rpm未満の速度で測定した場合、前記エマルジョンが、等量の前記非揮発性冷却剤の水溶液の粘度未満の粘度を有する、エマルジョン。
(18) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
温度25℃、#31Brookfield粘度計スピンドルにより、速度約0.3 rpmと約30 rpmで測定した場合の前記エマルジョンの粘度差が、約440 cps未満である、エマルジョン。
(19) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
さらに、エタノール、グリセロール、プロピレングリコールおよびそれらの混合物から成る群から選択する液体を含む、エマルジョン。
(20) 実施態様1に記載のエマルジョンであって、
セルロースポリマー対非揮発性冷却剤の重量比が約1:10−約10:1である、エマルジョン。
【0073】
(21) 実施態様3に記載の医薬品剤型であって、
前記有効成分を、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、うっ血除去剤、鎮咳剤、去痰剤、胃腸薬、化学療法剤、抗生物質およびそれらの組み合わせから成る群から選択する、医薬品剤型。
(22) 実施態様3に記載の医薬品剤型であって、
連続相と分散相を有し、前記有効成分が前記連続相中に実質的に溶解されている、医薬品剤型。
(23) 実施態様3に記載の医薬品剤型であって、
前記有効成分が実質的に懸濁固体状態である、医薬品剤型。
(24) 哺乳類の頭痛、副鼻腔炎、咳嗽、風邪、アレルギー、および/または流行性感冒の症状の治療法であって、
前記治療を必要とする前記哺乳類への実施態様3に記載の剤型の経口投与を含む、治療法。
(25) 哺乳類の頭痛、副鼻腔炎、咳嗽、風邪、アレルギー、および/または流行性感冒の症状の治療法であって、
前記治療を必要とする前記哺乳類への実施態様3に記載の剤型の鼻内投与を含む、治療法。
【0074】
(26) 実施態様3に記載の剤型であって、
鼻内スプレーの形態である、剤型。
(27) 塩水鼻内スプレーであって、
実施態様1に記載のエマルジョンを含む、塩水鼻内スプレー。
(28) 液体剤型であって、
前記液体の総重量に基づいて、
a. 約0.01%−約15%のメンチルエステルと、
b. 約1%−約20%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、
c. 約50%−約99%の水と、
d. アセトアミノフェン、イブプロフェン、シュードエフェドリンおよびそれらの混合物から成る群から選択する有効成分と、を含む、液体剤型。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エマルジョンであって、
前記エマルジョンの総重量に基づいて、
a) 約0.001重量%未満の水溶解度を有する約0.001%−約80%の非揮発性冷却剤と、
b)約0.0001%−約40%のセルロースポリマーと、
c)約50%−約99%の水と、を含み、
セルロースポリマー対非揮発性冷却剤の重量比が、約25:1−約1:25であり、
前記エマルジョンが、温度25℃および速度約1.5 rpm−約30 rpmのBrookfield粘度計(スピンドル#31)で測定すると、約100 cpsの粘度を有する、エマルジョン。
【請求項2】
請求項1に記載の前記エマルジョンを含む医薬品剤型であって、
有効成分をさらに含み、前記有効成分が医薬有効成分である、医薬品剤型。
【請求項3】
請求項1に記載のエマルジョンであって、
揮発性冷却剤を実質的に含有しない、エマルジョン。
【請求項4】
請求項1に記載のエマルジョンであって、
前記非揮発性冷却剤をメンチルエステル(menthyl esters)、カルボキサミド(carboxamides)、尿素、酸化フォスフィン(phosphine oxides)、およびそれらの混合物から成る群から選択する、エマルジョン。
【請求項5】
請求項4に記載のエマルジョンであって、
前記非揮発性冷却剤がメンチルエステルである、エマルジョン。
【請求項6】
請求項1に記載のエマルジョンであって、
連続相と分散相を有し、前記連続相が水性であり、
前記分散相内に少なくとも約50%の非揮発性冷却剤を含有する、エマルジョン。
【請求項7】
請求項1に記載のエマルジョンであって、
前記セルロースポリマーを、メチルセルロース(methylcellulose)、ヒドロキシプロピルセルロース(hydroxypropylcellulose)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(hydroxyethylmethylcellulose)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropylmethylcellulose)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)、微結晶セルロース(microcrystalline cellulose)、およびコポリマー、およびそれらの誘導体および混合物から成る群から選択する、エマルジョン。
【請求項8】
請求項2に記載の医薬品剤型であって、
前記有効成分を、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、うっ血除去剤、鎮咳剤、去痰剤、胃腸薬、化学療法剤、抗生物質およびそれらの組み合わせから成る群から選択する、医薬品剤型。
【請求項9】
哺乳類の頭痛、副鼻腔炎、咳嗽、風邪、アレルギー、および/または流行性感冒の症状の治療法であって、
前記治療を必要とする前記哺乳類への請求項2に記載の剤型の経口投与を含む、治療法。
【請求項10】
哺乳類の頭痛、副鼻腔炎、咳嗽、風邪、アレルギー、および/または流行性感冒の症状の治療法であって、
前記治療を必要とする前記哺乳類への請求項2に記載の剤型の鼻内投与を含む、治療法。
【請求項11】
液体剤型であって、
前記液体の総重量に基づいて、
a. 約0.01%−約15%のメンチルエステルと、
b. 約1%−約20%のヒドロキシプロピルメチルセルロースと、
c. 約50%−約99%の水と、
d. アセトアミノフェン(acetaminophen)、イブプロフェン(ibuprofen)、シュードエフェドリン(pseudoephedrine)およびそれらの混合物から成る群から選択する有効成分と、を含む、液体剤型。

【公開番号】特開2006−89479(P2006−89479A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−272285(P2005−272285)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(591252839)マクニール−ピーピーシー・インコーポレイテッド (69)
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL−PPC,INCORPORATED
【Fターム(参考)】