説明

医薬組成物

4−キナゾリンアミン系化合物のジトシル酸塩を含有する経口医薬製剤と、さらには異常なerbBファミリーPTK活性により特徴付けられる障害の治療におけるその使用方法と、を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分として4−キナゾリンアミン系化合物を含有する医薬組成物と、さらには癌のような増殖性疾患の治療における該組成物の使用と、に関する。特定的には、該医薬組成物は、EGFRおよび/またはerbB2プロテインチロシンキナーゼの阻害剤である少なくとも1種の4−キナゾリンアミン系活性成分を含有する。
【背景技術】
【0002】
医薬活性化合物は、多数の経路による投与に供すべく製剤化可能である。適切な経路は、典型的には、治療される疾患、医薬活性物質の化学的および物理的な性質、さらには治療される被験体に依存する。好適な医薬製剤としては、経口投与、直腸内投与、鼻内投与、局所投与(たとえば、頬腔内投与、舌下投与、および経皮投与)、膣内投与、または非経口投与(たとえば、筋肉内投与、皮下投与、静脈内投与、および罹患組織への直接投与)に供される製剤、あるいは吸入もしくは吹送による投与に好適な形態の製剤が挙げられる。癌を治療するための医薬組成物は、典型的には、医薬活性化合物を静脈内注入するための注射用非経口製剤である。一般的には、抗癌製剤の細胞傷害性および/または患者の衰弱が理由で、静脈内投与製剤の使用が必要とされてきた。抗癌固形製剤は、錠剤の形態で入手可能であり、たとえば、アルケラン(Alkeran)(登録商標)、リューケラン(Leukeran)(登録商標)、ミレラン(Myleran)(登録商標)、プリネトール(Purinethol)(登録商標)、タブロイド(Tabloid)(登録商標)、および最近ではゼローダ(Xeloda)(登録商標)が挙げられるが、これらは、標準的なものではなくむしろ例外的なものである。
【0003】
錠剤は、製造業者および患者の両者にいくつかの利点を提供する。錠剤は、経済的に製造可能であり、輸送、貯蔵、および分配に便利である。患者は、正確な用量で製造可能でありかつ投与が容易で携帯性のある製剤の利点を享受することが可能である。
【0004】
プロテインチロシンキナーゼEGFR(erbB−1としても知られる上皮増殖因子レセプター)およびerbB−2の二重阻害剤としての4−キナゾリンアミン系化合物は、1999年1月8日に出願され1999年7月15日に(特許文献1)として公開された国際特許出願PCT/EP99/00048号に開示されている。非水和ジトシル酸塩形および一水和ジトシル酸塩形の特定の4−キナゾリンアミン系化合物は、2001年6月28日に出願され2002年1月10日に(特許文献2)として公開された国際特許出願PCT/US01/20706号に開示された。
【0005】
特に興味深いのは、N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である。この化合物は、現在、乳癌、肺癌、膀胱癌、頭頸部癌、および胃癌をはじめとする種々の癌の治療をめざしてGW572016として開発段階にある。GW572016は、不十分な流動特性を有し、生理学的に関連するpH範囲にわたり水性媒体への溶解性が不十分である。典型的には、水への不十分な溶解性を有する薬剤を高い薬剤充填量で含有する医薬組成物の場合、典型的な医薬品製造プロセスに必要とされる高い溶解性と良好な流動特性とを保持することは困難である。さらに、低溶解性の活性成分のため、許容されるバイオアベイラビリティを達成するために高度の薬剤溶解が必要とされる。
【特許文献1】国際公開第99/35146号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/02552号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、このたび、EGFRおよび/またはerbB2プロテインチロシンキナーゼ阻害剤として有効な4−キナゾリンアミン系化合物を活性成分として含有する新規な経口医薬製剤を特定した。流動床顆粒化により製造されるそのような医薬製剤は、プロセス時の良好な流動特性を保持しつつ高度の薬剤溶解を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様において、
(i)式(I)
【化1】

【0008】
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)結合剤と、
を含む経口医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明の第2の態様において、
(i)式(I)
【化2】

【0010】
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)少なくとも1種の結合剤と、
(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、
を含む経口医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明の第3の態様において、
(i)式(I)
【化3】

【0012】
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)少なくとも1種の結合剤と、
(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、
(iv)少なくとも1種の滑沢剤と、
を含む経口医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明の第4の態様において、
(i)式(I)
【化4】

【0014】
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)少なくとも1種の結合剤と、
(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、
(iv)少なくとも1種の滑沢剤と、
(v)少なくとも1種の希釈剤と、
を含む経口医薬組成物を提供する。
【0015】
本発明の第5の態様において、哺乳動物における障害を治療する方法であって、該障害が、少なくとも1種のerbBファミリーPTKの異常な活性により特徴付けられ、
(i)式(I)
【化5】

【0016】
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)結合剤と、
を含む経口医薬組成物を該哺乳動物に投与することを含む、上記方法を提供する。
【0017】
本発明の第6の態様において、哺乳動物における障害を治療する方法であって、該障害が、少なくとも1種のerbBファミリーPTKの異常な活性により特徴付けられ、
(i)式(I)
【化6】

【0018】
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)少なくとも1種の結合剤と、
(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、
を含む経口医薬組成物を該哺乳動物に投与することを含む、上記方法を提供する。
【0019】
本発明の第7の態様において、治療に使用するための、
(i)式(I)
【化7】

【0020】
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)少なくとも1種の結合剤と、
を含む経口医薬組成物を提供する。
【0021】
本発明の第8の態様において、治療に使用するための、
(i)式(I)
【化8】

【0022】
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)少なくとも1種の結合剤と、
(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、
を含む経口医薬組成物を提供する。
【0023】
本発明の第9の態様において、治療に使用するための、
(i)式(I)
【化9】

【0024】
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)少なくとも1種の結合剤と、
(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、
(iv)少なくとも1種の滑沢剤と、
を含む経口医薬組成物を提供する。
【0025】
本発明の第10の態様において、治療に使用するための、
(i)式(I)
【化10】

【0026】
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)少なくとも1種の結合剤と、
(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、
(iv)少なくとも1種の滑沢剤と、
(v)少なくとも1種の希釈剤と、
を含む経口医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本明細書中で使用する場合、「有効量」という用語は、組織、系、動物、またはヒトに対して研究者や臨床医などが求めている生物学的もしくは医学的な応答を惹起する薬剤量または医薬剤量を意味する。さらに、「治療上有効な量」という用語は、そのような量を摂取していない対応する被験体と比較して、疾患、障害、もしくは副作用の治療、治癒、予防、もしくは寛解の改善または疾患もしくは障害の進行速度の減少をもたらす任意の量を意味する。この用語はまた、その範囲内に、正常な生理機能を強化するのに有効な量をも包含する。
【0028】
本明細書中で使用する場合、「場合により」という用語は、続いて記載される事象(複数も可)が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、事象(複数も可)が起こるときと事象が起こらないときの両方を包含する。
【0029】
本明細書中で使用する場合、「溶媒和物」という用語は、溶質(本発明では、式(I)、(II)、(III)、(IV)で示される化合物またはその塩)と溶媒とにより形成される種々の化学量論組成の複合体を意味する。本発明の目的に合ったそのような溶媒は、溶質の生物学的活性を阻害しないであろう。好適な溶媒の例としては、水、メタノール、エタノール、および酢酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、使用される溶媒は、製薬上許容される溶媒である。好適な製薬上許容される溶媒の例としては、水、エタノール、および酢酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。最も好ましくは、使用される溶媒は水である。
【0030】
本明細書中で使用する場合、「コア錠剤」という用語は、フィルムコーティングの施されていない錠剤として定義される。したがって、本明細書中で使用する場合、「錠剤」という用語は、フィルムコーティングの施されたコア錠剤として定義される。
【0031】
本明細書中で使用する場合、「PTK」という用語は、プロテインチロシンキナーゼを意味する。
【0032】
本明細書中で使用する場合、「EP」という用語は、欧州薬局方を意味し、「USP」という用語は、米国薬局方を意味し、「NF」という用語は、国民医薬品集を意味し、「JP」という用語は、日本薬局方を意味し、そして「JPE」という用語は、日本医薬品添加物規格を意味する。
【0033】
当然のことながら、以下の実施形態は、各式の定義による特定的な限定や他の形での限定がないかぎり、本明細書中に定義される式(I)および式(II)、(III)、または(IV)の範囲内に包含される化合物に関連する。同様に当然のことながら、本明細書中に記載される使用、組成物、および製造方法をはじめとする本発明の実施形態は、式(I)で示される化合物に関連して記載されているが、式(II)、(III)、および(IV)で示される化合物に適用可能である。
【0034】
経口医薬組成物
以上に述べたように、本発明に係る経口医薬組成物は、式(I)
【化11】

【0035】
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、フランまたはチアゾールである〕から選択される活性成分を含む。
【0036】
式(I)で示される化合物の側鎖CHSOCHCHNHCHは、基Hetの任意の好適な位置に結合可能である。同様に、キナゾリン核のフェニル基は、基Hetの任意の好適な位置に結合可能である。
【0037】
一実施形態では、RはClであり、XはCHであり、そしてHetはフランである。好ましくは、式(II)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物である。
【化12】

【0038】
式(II)で示される化合物は、N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンという化学名を有し、GW572016と称される。
【0039】
一実施形態では、本化合物は、式IIで示される化合物のジトシル酸塩である。他の実施形態では、本化合物は、式(II)のジトシル酸塩の一水和物形である。他の実施形態では、本化合物は、式(II)で示される化合物のジトシル酸塩の非水和物形である。
【0040】
他の選択肢の実施形態では、RはClであり、XはCHであり、そしてHetは、チアゾールである。好ましくは、式(III)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物である。
【化13】

【0041】
式IIIで示される化合物は、(4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−3−クロロフェニル)−(6−(2−((2−メタンスルホニル−エチルアミノ)−メチル)−チアゾール−4−イル)キナゾリン−4−イル)−アミンである。一実施形態では、本化合物は、式IIIで示される化合物のジトシル酸塩である。
【0042】
さらなる選択肢の実施形態では、RはBrであり、XはCHであり、そしてHetはフランである。好ましくは、式(IV)で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物である。
【化14】

【0043】
式(IV)で示される化合物は、(4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−3−ブロモフェニル)−(6−(5−((2−メタンスルホニル−エチルアミノ)−メチル)−フラン−2−イル)キナゾリン−4−イル)−アミンである。一実施形態では、本化合物は、式IIIで示される化合物のジトシル酸塩である。
【0044】
式(II)、(III)、および(IV)で示される化合物をはじめとする式(I)で示される化合物は、その範囲内に、実質的に純粋な非水和物形または水和物形さらには水和物形と非水和物形との混合物を包含する。同様に、そのような化合物は、結晶形またはアモルファス形および結晶形とアモルファス形との混合物を包含するとみなされる。
【0045】
活性成分は、経口医薬組成物の5〜85重量パーセント、好ましくは30〜60重量パーセント、より好ましくは42〜48重量パーセントまたは45〜51重量パーセントの範囲内で存在する。一実施形態では、活性成分は、経口医薬組成物の5〜85重量パーセント、好ましくは30〜60重量パーセント、より好ましくは42〜48重量パーセントまたは45〜51重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である。
【0046】
典型的には、本発明に係る塩は、製薬上許容される塩である。「製薬上許容される塩」という用語に包含される塩は、本発明に係る化合物の無毒の塩を意味する。本発明に係る化合物の塩は、式(I)で示される化合物中の置換基上の窒素から誘導される酸付加塩を包含しうる。代表的な塩としては、次の塩が挙げられる:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物塩、カルシウムエデテート塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル塩、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、モノカリウムマレエート塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクトウロン酸塩、カリウム塩、サリチル酸塩、ナトリウム塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド塩、トリメチルアンモニウム塩、および吉草酸塩。製薬上許容されない他の塩が本発明に係る化合物の調製に有用なこともあり、これは、本発明のさらなる態様をなす。
【0047】
式(I)、(II)、(III)、および(IV)で示される化合物の遊離塩基およびHCl塩は、1999年1月8日に出願され1999年7月15日に国際公開第99/35146号パンフレットとして公開された上述の国際特許出願PCT/EP99/00048号に記載の手順に従って調製可能である。そのような手順の概略を以下のスキームAに示す。与えられた特定のページの参照は、国際公開第99/35146号パンフレットに対するものである。式IIで示される化合物の遊離塩基を一般的スキームの一例として使用する。
【0048】
スキームA
手順A:アミンと4−クロロピリミジン環を含有する二環式種との反応(55頁21〜33行、69頁30〜34行、および74頁35行〜75頁4行)。
【化15】

【0049】
手順B:手順Aの生成物とヘテロアリールスズ試薬との反応(55頁33行〜56頁9行)。
【化16】

【0050】
手順C:1,3−ジオキソラン−2−イル保護基の除去によるアルデヒドの遊離(56頁11〜18行)。
【化17】

【0051】
手順D:還元的アミノ化によるアルデヒドとアミンとの反応(56頁20〜32行;実施例29:100頁18〜29行)。
【化18】

【0052】
式(I)、(II)、(III)、および(IV)で示される化合物のジトシル酸塩(その非水和形および水和形を包含する)は、2001年6月28日に出願され2002年1月10日に国際公開第02/02552号パンフレットとして公開された国際特許出願PCT/US01/20706号および2003年4月8日に出願され2003年10月23日に国際公開第03/086467号パンフレットとして公開された国際特許出願PCT/US03/10747号に記載の手順に従って調製可能である。さらなる方法を以下のスキームBに示す。
【0053】
以下のスキームBは、式(II)で示される化合物のジトシル酸塩の調製を示している。調製は、次の4つの段階で進行する。段階1:3H−6−ヨードキナゾリン−4−オン(I’)から調製されたキナゾリン(I)とアミン(II)との反応によるヨードキナゾリン(III)の生成;段階2:ヨードキナゾリン(III)とボロン酸(IV)との反応とそれに続くp−トルエンスルホン酸塩による処理とによる対応するアルデヒド塩(V)の調製;段階3:アルデヒド塩(V)からのGW572016(VI)のジトシル酸塩の調製;および段階4:GW572016ジトシル酸塩(VI)の再結晶。スキームCは、式(II)で示される化合物のジトシル酸塩の他の調製法を示している。
【化19】

【化20】

【0054】
本発明に係る経口医薬組成物は、少なくとも1種の結合剤をも含む。結合剤は、形成された錠剤または顆粒剤が一体化された状態に保持されて破壊されないように粉末状材料に凝集特性を付与すべく使用される。活性成分に適合しかつ良好な流動性および溶解に適合しうる任意の好適な結合剤が利用可能である。代表的な結合剤としては、ゼラチン、デンプン、セルロース、セルロース誘導体(たとえば、メチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース)、スクロース、ポリビニルピロリドン、天然の糖(たとえば、グルコースまたはβ−ラクトース)、コーン甘味料、天然および合成のガム(たとえば、アカシア、トラガカント、またはナトリウムアルギネート)、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
一実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、ポリビニルピロリドンポリマーまたはポビドンであり、プラスドン(Plasdone)K−29/32(登録商標)をはじめとするプラスドン(Plasdone)(登録商標)系列の製品としてニュージャージー州ウェインのインターナショナル・スペシャルティー・プロダクツ(International Specialty Products)から入手可能である。
【0056】
少なくとも1種の結合剤は、経口医薬組成物の2〜11重量パーセント、好ましくは4〜9重量パーセント、より好ましくは5.5〜7.5重量パーセントの範囲内で存在する。一実施形態では、結合剤は、経口医薬組成物の2〜11重量パーセント、好ましくは4〜9重量パーセント、より好ましくは5.5〜7.5重量パーセントの範囲内で存在するポビドンである。
【0057】
本発明に係る経口医薬組成物は、少なくとも1種の崩壊剤をも含む。崩壊剤は、投与後の組成物の破壊または崩壊を保証したりまたは促進したりすることにより活性物質の溶解を促進するように機能する。活性成分に適合しかつ良好な流動性および溶解に適合しうる任意の好適な崩壊剤が利用可能である。代表的な崩壊剤としては、デンプン、セルロースおよびセルロース誘導体(たとえば、メチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、および架橋型ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、架橋型ポリビニルピロリドン、ナトリウムデンプングリコレート、寒天、ベントナイト、ならびにキサンタンガムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
一実施形態では、少なくとも1種の崩壊剤は、プリモジェル(Primojel)(登録商標)としてオランダ国フェフヘル(Veghel)のDMVインターナショナル(DMV International)から入手可能なナトリウムデンプングリコレートである。プリモジェル(Primojel)(登録商標)は、ジャガイモデンプンの架橋およびカルボキシメチル化とそれに続く精製とにより製造された精製ナトリウムデンプングリコレート(Ph.Eur.、USP/NF、JPE)である。ナトリウムデンプングリコレートはまた、エクスプロタブ(Explotab)(登録商標)、ビバスターP(VivaStarP)(登録商標)、およびエクスプロタブCLV(Explotab CLV)(登録商標)をはじめとするエクスプロタブ(Explotab)(登録商標)系列またはビバスター(VivaStar)(登録商標)系列の製品としてニューヨーク州パターソンのJRSファーマ(JRS Pharma)から入手可能である。
【0059】
当業者には当然のことながら、以上に記載の崩壊剤は、錠剤製造プロセスの2つの段階で添加可能である。崩壊剤は、顆粒混合物に顆粒化前に添加可能である。この崩壊剤は、形成された顆粒の一部になることから顆粒内崩壊剤と呼ばれる。崩壊剤はまた、形成された顆粒に圧縮前に添加して圧縮混合物を形成することもできる。この崩壊剤は、顆粒の一部ではなく顆粒と混合状態にあることから顆粒外崩壊剤を呼ばれる。
【0060】
少なくとも1種の崩壊剤は、経口医薬組成物の1〜10重量パーセント、好ましくは2〜8重量パーセント、より好ましくは3.5〜5.5重量パーセントの範囲内で存在する。一実施形態では、崩壊剤は、経口医薬組成物の1〜10重量パーセント、好ましくは2〜8重量パーセント、より好ましくは3.5〜5.5重量パーセントの範囲内で存在するナトリウムデンプングリコレートである。一実施形態では、崩壊剤は、経口医薬組成物の1〜10重量パーセント、好ましくは2〜8重量パーセント、より好ましくは3.5〜5.5重量パーセントの範囲内で存在する顆粒外崩壊剤である。
【0061】
本発明に係る経口医薬組成物はさらに、少なくとも1種の希釈剤を含みうる。希釈剤または充填剤は、最終生成物が実用的なサイズまたは体積を有するように、たとえば、錠剤の場合、適切な圧縮が行える実用的なサイズを有するように、組成物の嵩を増大させるべく使用される。活性成分に適合しかつ良好な流動性および溶解に適合しうる任意の好適な希釈剤が利用可能である。代表的な希釈剤としては、ラクトース、スクロースまたは粉糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、イノシトール、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、乾燥デンプン、セルロース(たとえば、微結晶性セルロースまたはケイ化微結晶性セルロース)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
一実施形態では、少なくとも1種の希釈剤は、タブロース(Tabulose)(登録商標)101、102、103、112、250、301、および302をはじめとするタブロース(Tabulose)(登録商標)系列の製品としてブラジル国コチア(Cotia)のブランベル(Blanver)から入手可能な微結晶性セルロース;またはアビセル(Avicel)(登録商標)PH101、102、103、105、112、113、200、301、および302をはじめとするアビセル(Avicel)(登録商標)系列の製品としてペンシルバニア州フィラデルフィアのFMCから入手可能な微結晶性セルロース;またはビバピュール(Vivapur)99、101、102、103、105、112、200、301、および302をはじめとするビバピュール(Vivapur)(登録商標)系列の製品としてニューヨーク州パターソンのJRSファーマ(JRS Pharma)から入手可能な微結晶性セルロースである。他の実施形態では、少なくとも希釈剤は、プロソルブ(ProSolv)(登録商標)系列の製品としてニューヨーク州パターソンのJRSファーマから入手可能なケイ化微結晶性セルロースである。
【0063】
少なくとも1種の希釈剤は、経口医薬組成物の10〜70重量パーセント、好ましくは35〜50重量パーセント、より好ましくは40〜46重量パーセントの範囲内で存在する。一実施形態では、希釈剤は、経口医薬組成物の10〜70重量パーセント、好ましくは35〜50重量パーセント、より好ましくは40〜46重量パーセントの範囲内で存在する微結晶性セルロースである。一実施形態では、希釈剤は、経口医薬組成物の10〜70重量パーセント、好ましくは35〜50重量パーセント、より好ましくは40〜46重量パーセントの範囲内で存在するケイ化微結晶性セルロースである。
【0064】
本発明に係る経口医薬組成物はさらに、少なくとも1種の滑沢剤を含みうる。滑沢剤は、錠剤形成時にダイおよびパンチの表面への材料の付着を防止したり、粒子間の摩擦を減少させたり、ダイキャビティーからの錠剤の排出を促進したりするために使用され、粉末または顆粒の流動特性を改善することが可能である。活性成分に適合しかつ良好な流動性および溶解プロファイルに適合しうる任意の好適な滑沢剤が利用可能である。代表的な滑沢剤としては、タルク、マグネシウムステアレート、カルシウムステアレート、亜鉛ステアレート、ナトリウムステアリルフマレート、ステアリン酸、グリセリルベヘネート、水素化植物性油、およびポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
一実施形態では、少なくとも1種の滑沢剤は、ミズーリ州セントルイスのマリンクロットコーポレーション(Mallincrodkt Corporation)から入手可能なマグネシウムステアレートである。
【0066】
少なくとも1種の滑沢剤は、経口医薬組成物の0.1〜5重量パーセント、好ましくは0.6〜1.3重量パーセント、より好ましくは0.8〜1.2重量パーセントの範囲内で存在する。一実施形態では、滑沢剤は、経口医薬組成物の0.1〜5重量パーセント、好ましくは0.6〜1.3重量パーセント、より好ましくは0.8〜1.2重量パーセントの範囲内で存在するマグネシウムステアレートである。
【0067】
一実施形態では、経口医薬組成物はコア錠剤組成物である。
【0068】
一実施形態では、本発明に係るコア錠剤組成物は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミン、(4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−3−クロロフェニル)−(6−(2−((2−メタンスルホニル−エチルアミノ)−メチル)−チアゾール−4−イル)キナゾリン−4−イル)−アミン、もしくは(4−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−3−ブロモフェニル)−(6−(5−((2−メタンスルホニル−エチルアミノ)−メチル)−フラン−2−イル)キナゾリン−4−イル)−アミン、またはそれらの塩もしくは溶媒和物から選択される活性成分と、(ii)少なくとも1種の結合剤と、(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、を含む。
【0069】
一実施形態では、本発明に係るコア錠剤組成物は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)少なくとも1種の結合剤と、(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、(iv)少なくとも1種の希釈剤と、を含む。
【0070】
一実施形態では、本発明に係るコア錠剤組成物は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)ポビドンと、(iii)ナトリウムデンプングリコレートと、を含む。
【0071】
一実施形態では、本発明に係るコア錠剤組成物は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)ポビドンと、(iii)ナトリウムデンプングリコレートと、(iv)微結晶性セルロースと、を含む。
【0072】
一実施形態では、本発明に係るコア錠剤組成物は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)ポビドンと、(iii)ナトリウムデンプングリコレートと、(iv)微結晶性セルロースと、(v)マグネシウムステアレートと、を含む。
【0073】
一実施形態では、本発明に係るコア錠剤組成物は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)少なくとも1種の結合剤と、(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、(iv)少なくとも1種の希釈剤と、(v)少なくとも1種の滑沢剤と、を含む。
【0074】
一実施形態では、本発明に係るコア錠剤組成物は、コア錠剤組成物を基準にして、(i)5〜85重量パーセント、好ましくは30〜60重量パーセント、より好ましくは42〜48重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)2〜11重量パーセント、好ましくは4〜9重量パーセント、より好ましくは5.5〜7.5重量パーセントの範囲内で存在する少なくとも1種の結合剤と、(iii)1〜10重量パーセント、好ましくは2〜8重量パーセント、より好ましくは3.5〜5.5重量パーセントの範囲内で存在する少なくとも1種の崩壊剤と、(iv)10〜70重量パーセント、好ましくは35〜50重量パーセント、より好ましくは40〜46重量パーセントの範囲内で存在する少なくとも1種の希釈剤と、(v)0.1〜5重量パーセント、好ましくは0.6〜1.3重量パーセント、より好ましくは0.8〜1.2重量パーセントの範囲内で存在する少なくとも1種の滑沢剤と、を含む。
【0075】
一実施形態では、本発明に係るコア錠剤組成物は、コア錠剤組成物を基準にして、(i)5〜85重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)2〜11重量パーセントの範囲内で存在するポビドンと、(iii)1〜10重量パーセントの範囲内で存在するナトリウムデンプングリコレートと、(iv)10〜70重量パーセントの範囲内で存在しうる微結晶性セルロースと、(v)0.1〜5重量パーセントの範囲内で存在しうるマグネシウムステアレートと、を含む。
【0076】
一実施形態では、本発明に係るコア錠剤組成物は、コア錠剤組成物を基準にして、(i)30〜60重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)4〜9重量パーセントの範囲内で存在するポビドンと、(iii)2〜8重量パーセントの範囲内で存在するナトリウムデンプングリコレートと、(iv)35〜50重量パーセントの範囲内で存在しうる微結晶性セルロースと、(v)0.6〜1.3重量パーセントの範囲内で存在しうるマグネシウムステアレートと、を含む。
【0077】
一実施形態では、本発明に係るコア錠剤組成物は、コア錠剤組成物を基準にして、(i)42〜48重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)5.5〜7.5重量パーセントの範囲内で存在するポビドンと、(iii)3.5〜5.5重量パーセントの範囲内で存在するナトリウムデンプングリコレートと、(iv)40〜46重量パーセントの範囲内で存在しうる微結晶性セルロースと、(v)0.8〜1.2重量パーセントの範囲内で存在しうるマグネシウムステアレートと、を含む。
【0078】
一実施形態では、本発明に係るコア錠剤組成物は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)ポビドンと、(iii)ナトリウムデンプングリコレートと、(iv)微結晶性セルロースと、(v)マグネシウムステアレートと、を含む。
【0079】
本明細書に開示されている活性成分は、EGFRおよび/またはerbB2キナーゼの有効な阻害剤であること、さらにはEGFRおよび/またはerbB2を発現する細胞を含む種々の癌細胞系に対して抗腫瘍効果を有することが明らかにされている。たとえば、1999年1月8日に出願され1999年7月15日に国際公開第99/35146号パンフレットとして公開された前述の国際特許出願PCT/EP99/00048号、2001年6月28日に出願され2002年1月10日に国際公開第02/02552号パンフレットとして公開された国際特許出願PCT/US01/20706号、および2003年4月8日に出願され2003年10月23日に国際公開第03/086467号パンフレットとして公開された国際特許出願PCT/US03/10747号を参照されたい。これらの出願は、本明細書に挙げた活性成分の生物学的活性についてそれらに開示されている範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0080】
したがって、本発明において、哺乳動物における障害を治療する方法であって、該障害が少なくとも1種のerbBファミリーPTKの異常な活性により特徴付けられ、本明細書に記載の経口医薬組成物を投与することが含まれる、上記方法をも提供する。
【0081】
本明細書中で参照される異常なPTK活性とは、特定の哺乳動物被験体で予想される正常なerbBファミリープロテインキナーゼ活性から逸脱した任意のerbBファミリーPTK活性のことである。異常なerbBファミリーPTK活性は、たとえば、活性の異常な増加またはPTK活性のタイミングおよびもしくは制御の異常という形をとりうる。その場合、そのような異常な活性は、たとえば、プロテインキナーゼの過剰発現または突然変異から生じて不適切もしくは無制御な活性化を引き起こす可能性がある。さらに、当然のことながら、望ましくないPTK活性は、悪性腫瘍のような異常源に存在する可能性もある。すなわち、異常であるとみなすうえでPTK活性のレベルは異常である必要はない。もっと正確に言えば、活性が異常源に由来するのであれば、PTK活性のレベルは異常である必要はない。
【0082】
本発明に係る経口医薬組成物は、1種以上のerbBファミリーPTKの阻害剤である式(I)で示される化合物またはその非水和塩形もしくは水和塩形を含有しており、したがって、哺乳動物特にヒトにおいて異常なPTK活性により特徴付けられる障害の治療に有用である。本発明の一実施形態では、治療される障害は、異常な活性を呈する少なくとも1種のerbBファミリーPTK(EGFR、c−erb−B2、およびc−erb−B4から選択される)により特徴付けられる。他の実施形態では、治療される障害は、異常な活性を呈する少なくとも2種のerbBファミリーPTK(EGFR、c−erb−B2、およびc−erb−B4から選択される)により特徴付けられる。治療方法の一実施形態では、式(I)で示される化合物またはその非水和物形もしくは水和物形は、EGFR、c−erb−B2、およびc−erb−B4から選択される少なくとも1種のerbBファミリーPTKを阻害する。治療方法の他の実施形態では、式Iで示される化合物またはその非水和物形もしくは水和物形は、EGFR、c−erb−B2、およびc−erb−B4から選択される少なくとも2種のerbBファミリーPTKを阻害する。
【0083】
関連する障害は、異常なPTK活性により特徴付けられる任意の障害でありうる。以上に述べたように、そのような障害としては、癌および乾癬が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましい実施形態では、障害は癌である。より好ましい実施形態では、癌は、非小細胞肺癌、膀胱癌、前立腺癌、脳癌、頭頸部癌、乳癌、卵巣癌、胃癌、結腸直腸癌、または膵臓癌である。
【0084】
式(I)で示される化合物およびその非水和物形もしくは水和物形の治療上有効な量は、哺乳動物の年齢および体重、治療を必要とする正確な疾患およびその重症度、製剤の性質、ならびに投与経路(ただし、これらに限定されるものではない)をはじめとするいくつかの因子に依存するであろうが、最終的には、担当の医師または獣医師の自由裁量にゆだねられるであろう。典型的には、式(I)で示される化合物およびその非水和物形もしくは水和物形は、1日間あたり0.1〜100mg/kg(レシピエント(哺乳動物)の体重)の範囲内、より一般的には1日あたり1〜50mg/kg(体重)の範囲内で治療に供されるであろう。許容しうる一日用量は、約0.1〜約2000mg/日、好ましくは約10〜約1800mg/日でありうる。
【0085】
以上に記載の式(I)で示される化合物またはその非水和塩形もしくは水和塩形を含有する経口医薬組成物は、治療に有用である。
【0086】
本発明に係る経口医薬組成物と少なくとも1種の追加の癌治療法とをそのような他の抗癌療法との任意の治療上適切な組合せで併行的もしくは逐次的に組み合わせて利用することが可能である。追加の抗癌療法は、典型的には、外科療法、放射線療法、または化学療法のうちの1種以上から選択される。一実施形態では、追加の抗癌療法は、少なくとも1種の外科療法である。他の実施形態では、追加の抗癌療法は、少なくとも1種の放射線療法である。一実施形態では、追加の抗癌療法は、外科療法、放射線療法、または化学療法のうちの少なくとも1種である。一実施形態では、追加の抗癌療法は、少なくとも1種の抗新生物剤の投与を含む少なくとも1種の化学療法である。式(I)で示される化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学的機能性誘導体と他の抗新生物剤との組合せ投与は、(1)両方の化合物を含む単一の医薬組成物または(2)それぞれが一方の化合物を含む個別の医薬組成物の形で併行的に投与することによる本発明に係る組合せの形態をとりうる。他の選択肢として、組合せは、一方の抗新生物剤を最初に投与し他方を次に投与するかまたはその逆の順序で投与する逐次方式で個別に投与するものであってもよい。そのような逐次投与は、時間間隔が短くてもよいし時間間隔が長くてもよい。
【0087】
抗新生物剤は、細胞周期特異的に抗新生物効果を誘発しうるか(すなわち、時期特異的であり、細胞周期の特定時期に作用しうるか)、または非細胞周期特異的にDNAに結合して作用しうる(すなわち、非細胞周期特異的であり、他の機序により作用しうる)。
【0088】
式Iで示される化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学的機能性誘導体と組み合わせるのに有用な抗新生物剤としては、以下のものが挙げられる:
【0089】
(1)細胞周期特異的抗新生物剤、例としては、限定されるものではないが、ジテルペノイド類、たとえば、パクリタキセルおよびその類似体ドセタキセル;ビンカアルカロイド類、たとえば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビン;エピポドフィロトキシン類、たとえば、エトポシドおよびテニポシド;ゲムシタビン;フルオロピリミジン類、たとえば、5−フルオロウラシルおよびフルオロデオキシウリジン;抗代謝剤、たとえば、アロプリノール、フルダラビン(fludurabine)、メトトレキセート、クラドリビン(cladrabine)、シタラビン、メルカプトプリン、およびチオグアニン;ならびにカンプトテシン類、たとえば、9−アミノカンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、CPT−11、および種々の光学異性形の7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20−カンプトテシン;
【0090】
(2)細胞傷害性化学療法剤、例としては、限定されるものではないが、アルキル化剤、たとえば、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロレタミン、ヘキサメチルメラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、およびダカルバジン;抗腫瘍抗生物質、たとえば、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン(dacttinomycin)、およびミトラマイシン;ならびに白金配位錯体、たとえば、シスプラチン、カルボプラチン、およびオキサリプラチン;さらには
【0091】
(3)他の化学療法剤、例としては、限定されるものではないが、抗エストロゲン剤、たとえば、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、およびヨードキシフェン;プロゲストゲン類、たとえば、酢酸メゲストロール;アロマターゼ阻害剤、たとえば、アナストロゾール、レトラゾール、ボラゾール、およびエキセメスタン;抗アンドロゲン剤、たとえば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、および酢酸シプロテロン;LHRHのアゴニストおよびアンタゴニスト、たとえば、酢酸ゴセレリンおよびルプロリド;テストステロン5α−ジヒドロレダクターゼ阻害剤、たとえば、フィナステリド;メタロプロテイナーゼ阻害剤、たとえば、マリマスタット;抗プロゲストゲン剤;ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーターレセプター機能阻害剤;増殖因子機能阻害剤、たとえば、肝細胞増殖因子、erb−B2、erb−B4、表皮増殖因子レセプター(EGFR)、血小板由来増殖因子レセプター(PDGFR)、インスリン増殖因子レセプター(IGF−R1)、血管内皮増殖因子レセプター(VEGFR)、およびTIE−2の機能の阻害剤(本発明に記述されるVEGFR阻害剤およびTIE−2阻害剤を除く);ならびに他のチロシンキナーゼ阻害剤、たとえば、CDK2阻害剤およびCDK4阻害剤。
【0092】
これらの抗癌療法およびさらなる抗癌療法についてのさらなる説明は、2004年3月18日に公開された米国特許出願公開第2004/0053946号明細書(抗癌療法が教示される範囲内で参照により本明細書に組み入れられるものとする)に見いだしうる。
【0093】
一実施形態では、本発明に係る経口医薬組成物は、流動床顆粒化法を用いて調製された錠剤である。
【0094】
したがって、本発明の一態様において、
(a)活性成分と少なくとも1種の希釈剤とを混合しかつ流動化させることにより流動化混合物を形成することと、
(b)少なくとも1種の結合剤の顆粒化溶液を利用して該混合物を顆粒化することにより活性顆粒を形成することと、
(c)該活性顆粒を崩壊剤とブレンディングすることと、
(d)この活性顆粒/崩壊剤混合物に滑沢剤を添加しかつブレンディングすることにより圧縮ブレンドを形成することと、
(e)該圧縮ブレンドから錠剤を形成することと、
を含む錠剤の調製方法を提供する。
【0095】
本発明の他の態様において、
(a)活性成分と少なくとも1種の希釈剤とを混合しかつ流動化させることにより流動化混合物を形成することと、
(b)少なくとも1種の結合剤の水性溶液を利用して該混合物を顆粒化することにより活性顆粒を形成することと、
(c)該活性顆粒を崩壊剤とブレンディングすることと、
(d)この活性顆粒/崩壊剤混合物に滑沢剤を添加しかつブレンディングすることにより圧縮ブレンドを形成することと、
(e)該圧縮ブレンドから錠剤を形成することと、
を含む錠剤の調製方法を提供する。
【0096】
本発明の他の態様において、
(a)活性成分と少なくとも1種の希釈剤とを混合しかつ流動化させることにより流動化混合物を形成することと、
(b)少なくとも1種の結合剤の顆粒化溶液を利用して該混合物を顆粒化することにより活性顆粒を形成することと、
(c)該活性顆粒を崩壊剤および少なくとも1種の滑沢剤とブレンディングすることにより圧縮ブレンドを形成することと、
(d)該圧縮ブレンドから錠剤を形成することと、
(e)該錠剤にフィルムコーティングを施すことと、
を含む錠剤の調製方法を提供する。
【0097】
本発明の他の態様において、
(a)活性成分と少なくとも1種の希釈剤とを混合しかつ流動化させることにより流動化混合物を形成することと、
(b)少なくとも1種の結合剤の水性溶液を利用して該混合物を顆粒化することにより活性顆粒を形成することと、
(c)該活性顆粒を崩壊剤および少なくとも1種の滑沢剤とブレンディングすることにより圧縮ブレンドを形成することと、
(d)該圧縮ブレンドから錠剤を形成することと、
(e)該錠剤にフィルムコーティングを施すことと、
を含む錠剤の調製方法を提供する。
【0098】
本発明の他の態様において、
(a)活性成分と少なくとも1種の希釈剤と少なくとも1種の結合剤とを混合しかつ流動化させることにより流動化混合物を形成することと、
(b)顆粒化溶液を利用して該混合物を顆粒化することにより活性顆粒を形成することと、
(c)該活性顆粒を崩壊剤および少なくとも1種の滑沢剤とブレンディングすることにより圧縮ブレンドを形成することと、
(d)該圧縮ブレンドから錠剤を形成することと、
(e)該錠剤にフィルムコーティングを施すことと、
を含む錠剤の調製方法を提供する。
【0099】
本発明の他の態様において、
(a)活性成分と少なくとも1種の希釈剤と少なくとも1種の結合剤とを混合しかつ流動化させることにより流動化混合物を形成することと、
(b)顆粒化溶液を利用して該混合物を顆粒化することにより活性顆粒を形成することと、
(c)該活性顆粒を崩壊剤および少なくとも1種の滑沢剤とブレンディングすることにより圧縮ブレンドを形成することと、
(d)該圧縮ブレンドから錠剤を形成することと、
(e)該錠剤にフィルムコーティングを施すことと、
を含む錠剤の調製方法を提供する。
【0100】
以上に述べたように、本発明に係る錠剤形成方法は、活性成分と少なくとも1種の希釈剤とを混合することにより顆粒混合物を形成する工程(a)を含む。混合は、たとえば、ニュージャージー州ラムゼーのザ・グラット・エア・テクノロジーズ(Glatt Air Technologies)から入手可能なグラット(GLATT)(登録商標)GPCG30流動床グラニュレーターまたはドイツ国ビンツェン(Binzen)のグラット・グループ・オブ・カンパニーズ(Glatt Group of Companies)から入手可能なGLATT(登録商標)WSTCD 160/200流動床グラニュレーターのボウル中に活性成分および希釈剤を入れることにより流動床グラニュレーターを用いて行われる。場合により、活性剤との混合前に希釈剤を篩分けしてもよい。篩分けする場合、希釈剤は、USメッシュサイズ16、20、または24、好ましくは20の篩を用いて篩分けされる。次に、混合された活性剤および希釈剤は、当技術分野で公知の標準的プロセスパラメーターを用いてグラット(GLATT)(登録商標)GPCG30またはグラット(GLATT)(登録商標)WSTCD 160/200により流動化されて流動化混合物を形成する。
【0101】
好適な活性成分および希釈剤は、経口医薬組成物に関連して以上に記載したとおりである。
【0102】
他の選択肢の実施形態では、工程(a)は、活性成分と少なくとも1種の希釈剤と少なくとも結合剤とを混合することにより顆粒混合物を形成することを含む。混合は、以上に述べたように行われる。好適な活性成分、希釈剤、および結合剤は、経口医薬組成物に関連して以上に記載したとおりである。
【0103】
したがって、一実施形態では、本発明に係る流動化混合物は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)少なくとも1種の希釈剤と、を含む。
【0104】
一実施形態では、本発明に係る流動化混合物は、流動化混合物を基準にして、(i)35〜67重量パーセント、好ましくは45〜57重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)33〜65重量パーセント、好ましくは43〜55重量パーセントの範囲内で存在する少なくとも1種の希釈剤と、を含む。
【0105】
他の実施形態では、本発明に係る流動化混合物は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)微結晶性セルロースと、を含む。
【0106】
さらなる実施形態では、本発明に係る流動化混合物は、流動化混合物を基準にして、(i)35〜67重量パーセント、好ましくは45〜57重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)33〜65重量パーセント、好ましくは43〜55重量パーセントの範囲内で存在する微結晶性セルロースと、を含む。
【0107】
調製後、流動化混合物は、顆粒化溶液を用いて工程(b)で顆粒化される。顆粒化溶液は、水性溶液、非水性溶液、もしくは水性/非水性溶液でありうる。溶液は、少なくとも1種の結合剤を含んでいても含んでいなくてもよい。すなわち、顆粒化溶液は、少なくとも1種の結合剤の水性溶液、非水性溶液、もしくは水性/非水性溶液でありうるか、または他の実施形態では、少なくとも1種の結合剤は、流動化混合物中に含まれ、かつ顆粒化溶液は、水、非水性液体、もしくは水性/非水性液体である。水性溶液とは、もちろん、水または少なくとも1種の結合剤を有する水溶液のことである。非水性溶液としては、少なくとも1種の結合剤の有無を問わず、アルコール類、たとえば、エタノールもしくはイソプロパノール;有機物質、たとえば、アセトン;またはアルコール類もしくは他の有機物質の混合物、たとえば、アセトン/エタノール混合物もしくはアセトン/イソプロパノール混合物;などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。水性/非水性溶液は、少なくとも1種の結合剤の有無を問わず、水/エタノール混合物、水/アセトン混合物、または水/イソプロパノール混合物であるが、これらに限定されるものではない。
【0108】
一実施形態では、水性溶液は、精製水(USP)中の少なくとも1種の結合剤の5〜25パーセント溶液、好ましくは10〜25パーセント溶液、より好ましくは15〜25パーセント溶液である。好ましくは、水性溶液は、精製水(USP)中のポビドンの5〜25パーセント溶液、好ましくは10〜25パーセント溶液、より好ましくは15〜25パーセント溶液である。水性溶液は、たとえば、好適なボウルを備えたライティング・ミキサー(Lighting Mixer)のようなプロペラ型ミキサーを備えた好適なタンクを用いて調製される。水性混合物は、流動化混合物の形成後、適切な顆粒形成を保証する適切な速度で流動化混合物上にスプレーされる。当技術分野で公知のように、バッチサイズと入口空気温度と入口空気露点と入口空気体積との特定の組合せにより、許容される結合剤溶液スプレー速度が決定される。適切な顆粒湿潤度を提供すべく、必要に応じて追加量の水を添加してもよい。顆粒化の終了時、乾燥プロセスを促進すべく、許容湿分含有量(たとえば、乾燥減量LOD)に達するまで入口空気温度を上昇させてもよい。所望の活性顆粒生成物を生成すべく、たとえば、篩サイズとインペラー速度との適切な組合せを用いて乾燥顆粒をオンタリオ州ウォータールーのクアドロ・エンジニアリング・インコーポレーテッド(Quadro Engineering Incorporated)から入手可能なコーミル(Comil)(登録商標)のようなコーンミルに通してもよい。
【0109】
したがって、一実施形態では、本発明に係る活性顆粒は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)少なくとも1種の希釈剤と、(iii)少なくとも1種の結合剤と、を含む。
【0110】
一実施形態では、本発明に係る活性顆粒は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)微結晶性セルロースと、(iii)ポビドンと、を含む。
【0111】
一実施形態では、本発明に係る活性顆粒は、活性顆粒を基準にして、(i)5〜85重量パーセント、好ましくは30〜60重量パーセント、より好ましくは45〜51重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)4〜93重量パーセント、好ましくは31〜66重量パーセント、より好ましくは41〜49重量パーセントの範囲内で存在する少なくとも1種の希釈剤と、(iii)2〜11重量パーセント、好ましくは4〜9重量パーセント、より好ましくは6〜8重量パーセントの範囲内で存在する少なくとも1種の結合剤と、を含む。
【0112】
一実施形態では、本発明に係る活性顆粒は、活性顆粒を基準にして、(i)5〜85重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)4〜93重量パーセントの範囲内で存在する微結晶性セルロースと、(iii)2〜11重量パーセントの範囲内で存在するポビドンと、を含む。
【0113】
一実施形態では、本発明に係る活性顆粒は、活性顆粒を基準にして、(i)30〜60重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)31〜66重量パーセントの範囲内で存在する微結晶性セルロースと、(iii)4〜9重量パーセントの範囲内で存在するポビドンと、を含む。
【0114】
一実施形態では、本発明に係る活性顆粒は、活性顆粒を基準にして、(i)45〜51重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)41〜49重量パーセントの範囲内で存在する微結晶性セルロースと、(iii)6〜8重量パーセントの範囲内で存在するポビドンと、を含む。
【0115】
調製後、活性顆粒は、工程(c)で少なくとも1種の崩壊剤および少なくとも1種の滑沢剤とブレンディングされて圧縮ブレンドを形成する。最初に、活性顆粒を少なくとも1種の崩壊剤とブレンディングし、次に、活性顆粒/崩壊剤混合物を少なくとも1種の滑沢剤とブレンディングすることにより、圧縮ブレンドを形成してもよい。他の選択肢として、活性顆粒、少なくとも1種の崩壊剤、および少なくとも1種の滑沢剤は、一緒にブレンディングされて圧縮混合物を形成する。
【0116】
成分は、たとえば、スイス国ローザンヌのグラニュレーア・テクノロジーズ(Granulair Technologies)から入手可能なVブレンダー(V-Blender)またはニュージャージー州ソウェル(Sewell)のマトコン・インコーポレーテッド(Matcon, Incorporated)から入手可能なBULSキューブブレンダー(BULS cube blender)を用いてブレンド均一性が達成されるまで低rpmでブレンディングされる。当技術分野で周知のように、そのような均一性を達成するのに必要な時間は、成分の量および特性ならびに特定のプロセス装置により変化するであろう。
【0117】
圧縮ブレンドの成分、すなわち、活性顆粒、崩壊剤、および滑沢剤は、以上に記載したとおりである。
【0118】
一実施形態では、本発明に係る圧縮ブレンドは、(i)活性顆粒と、(ii)少なくとも1種の崩壊剤と、(iii)少なくとも1種の滑沢剤と、を含む。
【0119】
一実施形態では、本発明に係る圧縮ブレンドは、圧縮ブレンドを基準にして、(i)85〜99重量パーセント、好ましくは87〜91重量パーセント、より好ましくは93〜96重量パーセントの範囲内で存在する活性顆粒と、(ii)1〜10重量パーセント、好ましくは2〜8重量パーセント、より好ましくは3.5〜5.5重量パーセントの範囲内で存在する少なくとも1種の崩壊剤と、(iii)0.1〜5重量パーセント、好ましくは0.6〜1.3重量パーセント、より好ましくは0.8〜1.2重量パーセントの範囲内で存在する少なくとも1種の滑沢剤と、を含む。
【0120】
一実施形態では、本発明に係る圧縮ブレンドは、(i)活性顆粒と、(ii)ナトリウムデンプングリコレートと、(iii)マグネシウムステアレートと、を含む。
【0121】
一実施形態では、本発明に係る圧縮ブレンドは、圧縮ブレンドを基準にして、(i)85〜99重量パーセントの範囲内で存在する活性顆粒と、(ii)1〜10重量パーセントの範囲内で存在するナトリウムデンプングリコレートと、(iii)0.1〜5重量パーセントの範囲内で存在するマグネシウムステアレートと、を含む。
【0122】
一実施形態では、本発明に係る圧縮ブレンドは、圧縮ブレンドを基準にして、(i)87〜91重量パーセントの範囲内で存在する活性顆粒と、(ii)2〜8重量パーセントの範囲内で存在するナトリウムデンプングリコレートと、(iii)0.6〜1.3重量パーセントの範囲内で存在するマグネシウムステアレートと、を含む。
【0123】
一実施形態では、本発明に係る圧縮ブレンドは、圧縮ブレンドを基準にして、(i)93〜96重量パーセントの範囲内で存在する活性顆粒と、(ii)3.5〜5.5重量パーセントの範囲内で存在するナトリウムデンプングリコレートと、(iii)0.8〜1.2重量パーセントの範囲内で存在しうるマグネシウムステアレートと、を含む。
【0124】
コア錠剤は、ブレンドを錠剤の形態に圧縮することにより圧縮ブレンドから形成される(工程(d))。任意の好適な錠剤圧縮手段、たとえば、シングルパンチ機、ロータリー式錠剤機、および計装化錠剤機(ただし、これらに限定されるものではない)を使用しうる。一実施形態では、錠剤化は、ロータリー式錠剤機、たとえば、ペンシルバニア州ノースハンチンドンのエリザベス・ハタインターナショナル(Elizabeth-Hata International)またはドイツ国シュバルツェンベックのウイリアム・フェッテ・ゲーエムベーハー(William Fette GmbH)から入手可能なハタ(Hata)モデルHT−AP18SSUロータリー式タブレットプレスにより行われる。ハタ(Hata)プレスは、19.05×10.41mmの標準的凹面ツールを備える。重量、平均重量、硬度、摩損度、および崩壊時間の均一性のインプロセス制御は、圧縮操作中に適用され、必要であれば、タブレットプレスの調整が行われる。コア錠剤の組成は、以上に記載したとおりである。
【0125】
場合により、任意の好適な手段により錠剤にフィルムコーティングを施してもよい(工程(e))。一実施形態では、錠剤は、イリノイ州ホフマンエステーツのトーマス・エンジニアリングInc.(Thomas Engineering, Inc.)またはドイツ国ビンツェンのザ・グラット・グループ・オブ・カンパニーズ(the Glatt Group of Companies)から入手可能なコンピュラボ・アクセラ・コータ(Compulab Accella Coata)のようなコーターによりフィルムコーティングが施される。錠剤のコーティングは、患者の容認性を向上させ、粉塵を抑制するであろう。一実施形態では、錠剤は、ペンシルバニア州ウェストポイントのカラコン・インコーポレーテッド(Colorcon, Incorporated)から入手可能なオレンジ・オパドライ(Orange Opadry)(登録商標)YS−1−13065A水性サスペンジョンよりなる12重量パーセントの水性サスペンジョンを用いてコーティングが施される。
【0126】
一実施形態では、本発明に係る錠剤は、250mgのN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンを含有する即時放出錠剤である。
【0127】
他の実施形態では、本発明に係る錠剤は、37℃において2%w/wのトゥイーン80(Tween 80)(登録商標)を含有する900mlの0.1N HCl中で55rpmのパドル速度でUSPII型装置を用いて評価したときに、45分後、平均溶解で80パーセント以上、好ましくは85パーセント以上、より好ましくは90パーセント以上の薬剤溶解を有する。
【0128】
一実施形態では、本発明に係る錠剤は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)少なくとも1種の結合剤と、(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、(iv)フィルムコートと、を含む。
【0129】
一実施形態では、本発明に係る錠剤は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)少なくとも1種の結合剤と、(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、(iv)少なくとも1種の希釈剤と、(v)フィルムコートと、を含む。
【0130】
一実施形態では、本発明に係る錠剤は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)少なくとも1種の結合剤と、(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、(iv)少なくとも1種の希釈剤と、(v)滑沢剤と、(vi)フィルムコートと、を含む。
【0131】
一実施形態では、本発明に係る錠剤は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)ポビドンと、(iii)ナトリウムデンプングリコレートと、(iv)フィルムコートと、を含む。
【0132】
一実施形態では、本発明に係る錠剤は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)ポビドンと、(iii)ナトリウムデンプングリコレートと、(iv)微結晶性セルロースと、(v)フィルムコートと、を含む。
【0133】
一実施形態では、本発明に係る錠剤は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)ポビドンと、(iii)ナトリウムデンプングリコレートと、(iv)微結晶性セルロースと、(v)マグネシウムステアレートと、(vi)フィルムコートと、を含む。
【0134】
一実施形態では、本発明に係る錠剤は、コア錠剤組成物を基準にして、(i)5〜85重量パーセント、好ましくは30〜60重量パーセント、より好ましくは45〜51重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)2〜11重量パーセント、好ましくは4〜9重量パーセント、より好ましくは5.5〜7.5重量パーセントの範囲内で存在する少なくとも1種の結合剤と、(iii)1〜10重量パーセント、好ましくは2〜8重量パーセント、より好ましくは3.5〜5.5重量パーセントの範囲内で存在する少なくとも1種の崩壊剤と、(iv)10〜70重量パーセント、好ましくは35〜50重量パーセント、より好ましくは40〜46重量パーセントの範囲内で存在する少なくとも1種の希釈剤と、(v)0.1〜5重量パーセント、好ましくは0.6〜1.3重量パーセント、より好ましくは0.8〜1.2重量パーセントの範囲内で存在する少なくとも1種の滑沢剤と、(vi)2.0〜4重量パーセント、好ましくは2.5〜3.5重量パーセント、より好ましくは2.8〜3.2重量パーセントの範囲内で存在するフィルムコートと、を含む。
【0135】
一実施形態では、本発明に係る錠剤組成物は、(i)N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)ポビドンと、(iii)ナトリウムデンプングリコレートと、(iv)微結晶性セルロースと、(v)マグネシウムステアレートと、(vi)フィルムコートと、を含む。
【0136】
一実施形態では、本発明に係る錠剤組成物は、コア錠剤組成物を基準にして、(i)5〜85重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)2〜11重量パーセントの範囲内で存在するポビドンと、(iii)1〜10重量パーセントの範囲内で存在するナトリウムデンプングリコレートと、(iv)10〜70重量パーセントの範囲内で存在しうる微結晶性セルロースと、(v)0.1〜5重量パーセントの範囲内で存在しうるマグネシウムステアレートと、(vi)2.0〜4.0重量パーセントの範囲内で存在するフィルムコートと、を含む。
【0137】
一実施形態では、本発明に係る錠剤組成物は、コア錠剤組成物を基準にして、(i)30〜47重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)4〜9重量パーセントの範囲内で存在するポビドンと、(iii)2〜8重量パーセントの範囲内で存在するナトリウムデンプングリコレートと、(iv)35〜50重量パーセントの範囲内で存在しうる微結晶性セルロースと、(v)0.6〜1.3重量パーセントの範囲内で存在しうるマグネシウムステアレートと、(vi)2.5〜3.5重量パーセントの範囲内で存在するフィルムコートと、を含む。
【0138】
他の実施形態では、本発明に係る錠剤組成物は、コア錠剤組成物を基準にして、(i)30〜60重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)4〜9重量パーセントの範囲内で存在するポビドンと、(iii)2〜8重量パーセントの範囲内で存在するナトリウムデンプングリコレートと、(iv)35〜50重量パーセントの範囲内で存在しうる微結晶性セルロースと、(v)0.6〜1.3重量パーセントの範囲内で存在しうるマグネシウムステアレートと、(vi)2.5〜3.5重量パーセントの範囲内で存在するフィルムコートと、を含む。
【0139】
一実施形態では、本発明に係る錠剤組成物は、コア錠剤組成物を基準にして、(i)42〜48重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)5.5〜7.5重量パーセントの範囲内で存在するポビドンと、(iii)3.5〜5.5重量パーセントの範囲内で存在するナトリウムデンプングリコレートと、(iv)40〜46重量パーセントの範囲内で存在しうる微結晶性セルロースと、(v)0.8〜1.2重量パーセントの範囲内で存在しうるマグネシウムステアレートと、(vi)2.8〜3.2重量パーセントの範囲内で存在するフィルムコートと、を含む。
【0140】
一実施形態では、本発明に係る錠剤組成物は、コア錠剤組成物を基準にして、(i)45〜51重量パーセントの範囲内で存在するN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物である活性成分と、(ii)5.5〜7.5重量パーセントの範囲内で存在するポビドンと、(iii)3.5〜5.5重量パーセントの範囲内で存在するナトリウムデンプングリコレートと、(iv)40〜46重量パーセントの範囲内で存在しうる微結晶性セルロースと、(v)0.8〜1.2重量パーセントの範囲内で存在しうるマグネシウムステアレートと、(vi)2.8〜3.2重量パーセントの範囲内で存在するフィルムコートと、を含む。
【0141】
錠剤のほかに、本発明に係る組成物は、カプセル剤、キャプレット剤、ゲルキャップ剤、丸剤、および製薬技術分野で公知の任意の他の経口製剤の形態で投与することも可能である。
【0142】
一実施形態では、本発明は、式(I):
【化21】

【0143】
で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕のジトシル酸塩を製造する方法であって、
(a)式(IV):
【化22】

【0144】
〔式中、Xは、CH、N、またはCFである〕
で示される化合物をアミンと反応させて、式(V)
【化23】

【0145】
〔式中、Xは、CH、N、またはCFである〕
で示される化合物を与える工程と、
(b)式(V)で示される化合物を式(VI):
【化24】

【0146】
〔式中、Hetは、チアゾールまたはフランである〕
で示されるボロン酸と反応させてから、p−トルエンスルホン酸塩で処理することにより、式(VII):
【化25】

【0147】
〔式中、Hetは、チアゾールまたはフランである〕
で示される化合物を形成する工程と、
(c)式(VII)で示される化合物のジトシル酸塩を調製して、式(VIII):
【化26】

【0148】
〔式中、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕
で示される化合物を形成する工程と、
(d)工程(c)に従って調製された式(VIII)で示される化合物をテトラヒドロフラン(THF)の存在下で再結晶する工程と、
を含む上記方法を包含する。
【0149】
他の実施形態では、本発明は、式(I)で示される化合物のジトシル酸塩を製造する方法であって、式(VIII)で示される化合物を再結晶する工程が少なくとも20倍体積のTHFの存在下で行われることを含む上記方法を包含する。特定の実施形態では、本方法は、少なくとも25倍体積のTHF、少なくとも27倍体積のTHF、または少なくとも30倍体積のTHFの存在下で式(VIII)で示される化合物を再結晶する工程を含む。
【0150】
本発明はさらに、以上に記載されるように式(I)で示される化合物のジトシル酸塩を製造する方法であって、該化合物が式(II)または式(III)で示される化合物である上記方法を提供する。
【0151】
さらなる実施形態では、本発明は、N−フェニル−4−キナゾリンアミン誘導体のジトシル酸塩を製造する方法であって、少なくとも20倍体積のTHFの存在下でN−フェニル−4−キナゾリンアミン誘導体を再結晶する工程を含む上記方法を包含する。特定の実施形態では、本方法は、少なくとも25倍体積のTHF、少なくとも27倍体積のTHF、または少なくとも30倍体積のTHFの存在下で式(VIII)で示される化合物を再結晶する工程を含む。一態様では、N−フェニル−4−キナゾリンアミン誘導体は、N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(メチルオキシ)−6−{[3−(4−モルホリニル)プロピル]オキシ}−4−キナゾリンアミンである。
【実施例】
【0152】
以下の実施例は、単に例示を目的としたものにすぎず、なんら本発明の範囲を限定しようとするものではない。例示された化合物に与えられた物理的データは、指定したその化合物の構造と一致する。
【0153】
実施例
これらのプロセス、スキーム、および実施例で用いられる記号および規約は、本明細書中で使用する場合、現代の科学文献、たとえば、The Journal of the American Chemical SocietyまたはThe Journal of Biological Chemistryで用いられているものと一致する。一般的には、標準的な一文字略号または三文字略号を用いてアミノ酸残基を記述し、特に記載がないかぎり、これらのアミノ酸残基はL配置をとるものとする。特に記載がないかぎり、出発材料はすべて、供給業者から入手し、さらなる精製を行うことなく使用した。特に、実施例中でおよび明細書全体にわたり、以下の略号を用いることがある:
【0154】
g(グラム);mg(ミリグラム);
L(リットル);mL(ミリリットル);
μL(マイクロリットル);psi(ポンド毎平方インチ);
mm(ミリメートル);kN(キロニュートン)
cfm(立方フィート毎分);kP(キロポンド);
M(モル);mM(ミリモル);
N(規定);Kg(キログラム);
i.v.(静脈内);mol(モル);
mmol(ミリモル);RT(室温);
min(分);h(時間);
RSD(相対標準偏差);rpm(毎分回転数);
mp(融点);TLC(薄層クロマトグラフィー);
(保持時間);RP(逆相);
THF(テトラヒドロフラン);DMSO(ジメチルスルホキシド);
EtOAc(エチルアセテート);DME(1,2−ジメトキシエタン);
DCM(ジクロロメタン);DCE(ジクロロエタン);
DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);HOAc(酢酸);
POCl(オキシ塩化リン);NBu(トリ−n−ブチルアミン);
MeOH(メタノール);IMS(工業用メタノール変性アルコール);
DIPEA(ジイソプロピルエチレンアミン);PTSA(p−トルエンスルホン酸);
TMSE(2−(トリメチルシリル)エチル);TMS(トリメチルシリル);
TIPS(トリイソプロピルシリル);TBS(t−ブチルジメチルシリル);
【0155】
特に指示がないかぎり、温度はすべて、℃(摂氏度)単位で表される。反応はすべて、特に記載がないかぎり、不活性雰囲気下、室温で行った。
【0156】
(実施例1)
N−(3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミン錠剤(250mg)の調製
【0157】
20,000錠の錠剤バッチサイズのN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミン錠剤(250mg)の一実施形態について、表1は、顆粒混合物の調製に使用した成分の内容説明を含み、表2は、圧縮ブレンドの調製に使用した成分の内容説明を含む。
【表1】

【表2】

【0158】
この実施例では、表1および2に記載の重量パーセントと一致する量になるようにすべての成分を秤量した。
【0159】
(i)活性顆粒の形成(バッチサイズ:120,000錠の錠剤)
N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物および微結晶性セルロース(NF、PH.Eur.、JP)をグラット(Glatt)30グラニュレーターのボウルに添加した。好適なタンクを備えたライトニン(Lightnin)ミキサーを用いてポビドンの10%水溶液を調製した。N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物および微結晶性セルロースをグラット(Glat)30ボウル中で流動化させ、ただちに、54℃の入口空気温度において約220g/分で10%ポビドン溶液のスプレーイングを開始した。入口空気露点を10〜15℃に保持した。ポビドン溶液を適用した後、必要に応じて適切な顆粒湿潤度を得るべく精製水を添加した。顆粒化の終了時、入口空気温度を60℃に上昇させ、約2.5%のLODに達するまで乾燥を継続させた。乾燥された活性顆粒を0.075インチ丸孔篩を備えたコーミル(Comil)モデル197Sコーンミルに通して約1720RPM(28.6Hz)で処理した。
【0160】
篩分析を行い、タップ密度プロファイルを確定した。レッチェ(Retsch)篩振盪機モデルAS200ディジット(AS200 Digit)を用いて篩分析を行った。風袋測定された20、30、40、60、100、および200メッシュの篩よりなるネスト上に約20gの活性乾燥顆粒を配置した。パルスをオンにして60の振幅設定値で振盪を5分間行った。この篩分析の結果、活性顆粒の粒子サイズに関してバッチ間変動はほとんどないことが判明した。また、嵩密度(BD)およびタップ密度(TD)について顆粒をキャラクタライズした。秤量済みの顆粒を100mlメスシリンダー中に添加して、初期にならびに25、50、200、500、および1250回のタップを行った後でそれぞれ体積を測定することにより、顆粒のBDおよびTDを測定した。
【0161】
BDおよびTDは、ごくわずかのバッチ間変動を示した。
【0162】
(ii)錠剤の形成
調製された活性顆粒とナトリウムデンプングリコレートとをビン中で組み合わせ、ビンをタンブルブレンダーに移して成分を12RPMで15分間ブレンディングすることにより、圧縮ブレンドを形成した。次に、タンブルブレンダーからビンを取り出し、活性顆粒とナトリウムデンプングリコレートとのブレンドにマグネシウムステアレートを添加した。ビンを密閉してタンブルブレンダーに戻し、12RPMで3分間ブレンディングすることにより、圧縮混合物を得た。19.05×10.41mmの標準的凹面ツールを備えたハタ(Hata)モデルHT−AP18SSUロータリー式タブレットプレスを用いて圧縮ブレンドから錠剤を圧縮した。以下の仕様を有する錠剤を提供するようにタブレットプレスを調整した。
【0163】
10錠の錠剤の重量 9.00g
10錠の錠剤の重量範囲 8.80〜9.20g
個別錠剤重量 900.0mg
個別重量範囲 855.0〜945.0mg
目標平均錠剤硬度 18kp
個別硬度範囲 9〜27kp
個別厚さ範囲 5.00〜8.00mm
圧縮速度範囲 15〜45rpm
【0164】
重量、硬度、崩壊、および溶解について未コート錠をキャラクタライズした。錠剤を秤量し、たとえば、スイス国ソロトゥルン(Solothurn)のDrシュロイニガー(Dr Schleuniger)(登録商標)ファルマトロン(Pharmatron)(登録商標)から入手可能なDr.シュロイニガー(Dr. Schleuniger)(登録商標)ファルマトロン・テストリンク・インストルメント(Pharmatron Testlink Instrument)を用いて、硬度を測定した。37℃において1Lの水中で崩壊を測定し、37℃において900mlの0.1N HCl/2%w/wトゥイーン80(Tween 80)中で55rpmのパドル速度でUSPII型装置を用いて薬剤溶解を評価した。3つのグループの錠剤の結果は、以下のとおりである:
【0165】
平均重量:
#1=900.2±1.23mg;n=120
#2=902.6±1.28mg;n=90
#3=901.8±0.99;n=60
平均硬度:
#1=18.6kp
#2=19.1kp
#3=18.6kp
崩壊:
#1=2分2秒
#2=1分59秒
#3=1分57秒
【0166】
12%w/wオレンジ・オパドライ(Orange Opadry)(登録商標)/YS−1−13065−A水性サスペンジョンを用いて6〜8rpmのパン速度でトーマ・エンジニアリングInc.(Thomas Engineering Inc.)製のコンピュ・ラボ(Compu-Lab)コーターにより、形成された錠剤にコーティングを施した。2つのスプレーノズル(オリフィス開口:1.2mm)を用いて90〜120g/minの合計速度でコーティング溶液を供給した。空気流を50〜63℃の範囲内の出口空気温度で500〜700cfmに保持した。ガンとベッドとの距離を8.5〜9インチに保持した。コーティング効率が100%であると推定される3重量パーセントの利得を達成するのに十分なフィルムコーティングを施した。
【0167】
コーティング錠は、37℃において900mlの0.1N HCl/2%w/wトゥイーン80(Tween 80)中で55rpmのパドル速度でUSPII型装置を用いて、薬剤溶解についてキャラクタライズした。結果は、以下のとおりである:
【0168】
溶解%(45分間):
範囲=81〜95%
平均=#1=87
#2=93
#3=94
【0169】
表3に錠剤の組成を示す。
【表3】

【0170】
(実施例2)
N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物の調製
【0171】
以下のようにスキームCの手順に従ってN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物を調製する:
【0172】
段階1:トルエン(5倍体積)中の3H−6−ヨードキナゾリン−4−オンの攪拌サスペンジョンをトリ−n−ブチルアミン(1.2当量)で処理し、次に70〜80℃に加熱する。オキシ塩化リン(1.1当量)を添加し、次に反応混合物を加熱して還流させ、少なくとも2時間にわたりこの温度で攪拌する。次に反応混合物を55℃に冷却し、そしてトルエン(5倍体積)を添加し、続いて3−クロロ−4−{[(3−フルオロフェニル)メチル]オキシ}アニリン(1.03当量)を添加する。次に反応混合物を70〜90℃に加温し、少なくとも2時間攪拌する。得られたスラリーを第2の槽に移す。温度を70〜75℃に調整し、内容物を70〜85℃に保持しながら、1時間かけて8モル水酸化ナトリウム水溶液(2倍体積)を添加し、続いて水(6倍体積)を添加する。混合物を70〜85℃で約1時間攪拌し、次に20〜25℃に冷却する。サスペンジョンを約2時間攪拌し、濾過により生成物を捕集し、水、0.1モル水酸化ナトリウム水溶液、水、およびIMSで逐次的に洗浄し、そして真空中で乾燥させる。
【0173】
段階2:N−(3−クロロ−4−{[(3−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−6−ヨード−4−キナゾリンアミンと(5−ホルミル−2−フラニル)ボロン酸(0.374倍重量、1.35当量)と10%パラジウム担持木炭(0.028倍重量、50%水湿潤)との混合物をエタノール(工業用メタノール変性アルコール、15倍体積)中にスラリー化して灰色のサスペンジョンを与える。得られたスラリーを5分間攪拌し、次にN,N−ジ−イソプロピルエチルアミン(0.396倍体積、1.15当量)で処理する。反応スラリーを典型的には3時間にわたり70℃に加熱する。このときに反応が終了する(HPLC分析により)。混合物は、この時点では濃緑色のスラリーである。このスラリーをTHF(15倍体積)で処理してPd/C触媒だけを残すように溶液から沈澱生成物を溶解させる。次に混合物をGFAフィルターに通して熱時濾過し、触媒を除去する。槽をIMS(1倍体積)で濯ぎ、洗液を用いて触媒床を濯ぐ。水(1.5倍体積)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(1.50倍重量、4.0当量)の溶液を65℃で5分間かけて濾過溶液に添加する。反応溶液を60℃に冷却する。この際、60〜65℃で結晶化が観測される。次に、得られたスラリーを60℃で少なくとも1時間攪拌し、次に20〜25℃に冷却し、次にさらに1時間にわたりこの温度に保持する。生成物を濾過により単離し、ケークをIMS(3倍体積)で洗浄する。生成物は、湿潤ケークとして貯蔵してもよいし、乾燥させてもよい。
【0174】
段階3:5−{4−[(3−クロロ−4−{[(3−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)アミノ]−6−キナゾリニル}−2−フランカルバルデヒド4−メチルベンゼンスルホン酸塩(1倍重量)および2−(メチルスルホニル)エチルアミン塩酸塩(0.4倍重量、1.60当量)をTHF(10倍体積)中に懸濁させる。酢酸(0.354倍体積、4.00当量)およびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、1.08倍体積、4.00当量)を逐次的に添加する。得られた溶液を30〜35℃で約1時間攪拌し、次に約22℃に冷却する。次にナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(0.66倍重量、2.00当量)を添加する。得られた混合物を約22℃で2〜4時間攪拌し、次にHPLC分析のためにサンプルを採取する。水酸化ナトリウム水溶液(25%w/w、3倍体積)を添加し、続いて水(2倍体積)を添加することにより、反応を停止させる。次に水性相を分離し、THF(2倍体積)で抽出し、次に、合わせたTHF抽出物を25%w/v塩化アンモニウム水溶液(2×5倍体積)で2回洗浄する。水(1倍体積)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(p−TSA、0.74倍重量、2.5当量)の溶液を調製して約60℃に加温し、そしてN−(3−クロロ−4−{[(3−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−6−[5−({[2−(メチルスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フラニル]−4−キナゾリンアミン4−メチルベンゼンスルホン酸塩水和物種晶を添加する。バッチ温度を60±3℃に保持しながら、遊離塩基のTHF溶液を少なくとも1時間かけてp−TSA溶液に添加する。得られたサスペンジョンを約60℃で1〜2時間攪拌し、1時間かけて20〜25℃に冷却し、そしてこの温度で約1時間エージングする。固体を濾過により捕集し、95:5 THF:水(3×2倍体積)で洗浄し、そして真空中約35℃で乾燥させることにより、N−(3−クロロ−4−{[(3−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−6−[5−({[2−(メチルスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フラニル]−4−キナゾリンアミン4−メチルベンゼンスルホン酸塩水和物を鮮黄色の結晶性固体として与える。
【0175】
段階4:水性テトラヒドロフラン(80:20 THF:水、17倍体積)中のN−(3−クロロ−4−{[(3−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−6−[5−({[2−(メチルスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フラニル]−4−キナゾリンアミン4−メチルベンゼンスルホン酸塩水和物(1.00倍相対重量)のスラリーを63〜64℃に加熱し、溶液が形成されるまで少なくとも30分間保持する。高温の状態で溶液を清澄化させ、ライン洗浄を適用する(80:20 THF:水、0.5倍体積)。温度を60〜63℃に保持しながら約1時間かけてTHF(15.5倍体積)を添加し、溶液にGW572016F(0.002倍相対重量)の種晶を添加する。バッチを60〜63℃に少なくとも30分間保持して、結晶化が完了した状態にする。バッチを約2時間かけて約5℃に冷却し、生成物を濾過により単離する。水性THF(90:10 THF:水、2×2倍体積)で2回、続いて水性THF(19:1 THF:水、1×2倍体積)で1回洗浄する。45℃までの真空下でバッチを乾燥させることにより、N−(3−クロロ−4−{[(3−フルオロフェニル)メチル]オキシ}フェニル)−6−[5−({[2−(メチルスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フラニル]−4−キナゾリンアミン4−メチルベンゼンスルホン酸塩水和物を鮮黄色の結晶性固体として与える。
【0176】
(実施例3)
N−(3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミン錠剤(250mg)の調製
【0177】
120,000錠の錠剤バッチサイズのN−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミン錠剤(250mg)の一実施形態について、表4は、顆粒混合物の調製に使用した成分の内容説明を含み、表5は、圧縮ブレンドの調製に使用した成分の内容説明を含む。
【表4】

【表5】

【0178】
この実施例では、表4および5に記載の重量パーセントと一致する量になるようにすべての成分を秤量した。
【0179】
(i)活性顆粒の形成(バッチサイズ:120,000錠の錠剤)
N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物および微結晶性セルロース(NF、PH.Eur.、JP)をグラット(Glatt)WSTCD 160/200グラニュレーターのボウルに添加した。好適なタンクを備えたライトニン(Lightnin)ミキサーを用いてポビドンの20%水溶液を調製した。N−{3−クロロ−4−[(3−フルオロベンジル)オキシ]フェニル}−6−[5−({[2−(メタンスルホニル)エチル]アミノ}メチル)−2−フリル]−4−キナゾリンアミンジトシル酸塩一水和物および微結晶性セルロースをグラット(Glatt)WSTCD 160/200ボウル中で流動化させ、ただちに、58℃の入口空気温度において約2000g/分で20%ポビドン溶液のスプレーイングを開始した。入口空気湿度を10g/kg未満に保持した。ポビドン溶液を適用した後、必要に応じて適切な顆粒湿潤度を得るべく精製水を添加した。顆粒化の終了時、入口空気温度を60℃に上昇させ、約2.5%のLODに達するまで乾燥を継続させた。乾燥された活性顆粒を0.075インチ丸孔篩を備えたコーミル(Comil)モデル196Sコーンミルに通して約1000RPMで処理した。
【0180】
篩分析を行い、タップ密度プロファイルを確定した。レッチェ(Retsch)篩振盪機モデルAS200ディジット(AS200 Digit)を用いて篩分析を行った。風袋測定された20、30、40、60、100、および200メッシュの篩よりなるネスト上に約20gの活性乾燥顆粒を配置した。パルスをオンにして60の振幅設定値で振盪を5分間行った。この篩分析の結果、活性顆粒の粒子サイズに関してバッチ間変動はほとんどないことが判明した。また、嵩密度(BD)およびタップ密度(TD)について顆粒をキャラクタライズした。秤量済みの顆粒を100mlメスシリンダー中に添加して、初期にならびに25、50、100、200、300、500、および1250回のタップを行った後でそれぞれ体積を測定することにより、顆粒のBDおよびTDを測定した。
【0181】
(ii)錠剤の形成
調製された活性顆粒とナトリウムデンプングリコレートとをビン中で組み合わせ、ビンをビンブレンダーに移して成分を17RPMで15分間ブレンディングすることにより、圧縮ブレンドを形成した。次に、タンブルブレンダーからビンを取り出し、活性顆粒とナトリウムデンプングリコレートとのブレンドにマグネシウムステアレートを添加した。ビンを密閉してタンブルブレンダーに戻し、17RPMで3分間ブレンディングすることにより、圧縮混合物を得た。19.05×10.41mmの標準的凹面ツールを備えたフェッテ(Fette)モデル2090ロータリー式タブレットプレスを用いて圧縮ブレンドから錠剤を圧縮した。以下の仕様を有する錠剤を提供するようにタブレットプレスを調整した。
【0182】
10錠の錠剤の重量 9.00g
10錠の錠剤の重量範囲 8.80〜9.20g
個別錠剤重量 900.0mg
個別重量範囲 855.0〜945.0mg
目標平均錠剤硬度 18kp
個別硬度範囲 9〜27kp
個別厚さ範囲 5.00〜8.00mm
圧縮速度範囲 40,000〜100,000tpm
【0183】
重量、硬度、崩壊、および溶解について未コート錠をキャラクタライズした。錠剤を秤量し、たとえば、スイス国ソロトゥルン(Solothurn)のDrシュロイニガー(Dr Schleuniger)(登録商標)ファルマトロン(Pharmatron)から入手可能なDr.シュロイニガー(Dr.Schleuniger)(登録商標)ファルマトロン・テストリンク・インストルメント(Pharmatron Testlink Instrument)を用いて、硬度を測定した。37℃において900mLの水中で崩壊を測定し、37℃において2%w/wトゥイーン80(Tween 80)を含有する900mlの0.1N HCl中で55rpmのパドル速度でUSPII型装置を用いて薬剤溶解を評価した。
【0184】
12%w/wオレンジ・オパドライ(Orange Opadry)(登録商標)/YS−1−13065−A水性サスペンジョンを用いて5〜7rpmのパン速度でグラット(GLATT)(登録商標)1500コーターにより、形成された錠剤にコーティングを施した。5つのスプレーノズル(オリフィス開口:1.2mm)を用いて450〜550g/分の合計速度でコーティング溶液を供給した。空気流を50〜70℃の範囲内の出口空気温度で3800〜4200cfmに保持した。ガンとベッドとの距離を18〜30cmに保持した。コーティング効率が100%であると推定される3重量パーセントの利得を達成するのに十分なフィルムコーティングを施した。
【0185】
37℃において2%w/wトゥイーン80(Tween 80)を含有する900mlの0.1N HCl中で55rpmのパドル速度でUSPII型装置を用いて、薬剤溶解についてコーティング錠をキャラクライズした。
【0186】
表6に錠剤の組成を示す。
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)式(I)
【化1】

で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)結合剤と、
を含む、経口医薬組成物。
【請求項2】
(i)式(I)
【化2】

で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)少なくとも1種の結合剤と、
(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、
を含む、経口医薬組成物。
【請求項3】
(i)式(I)
【化3】

で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)少なくとも1種の結合剤と、
(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、
(iv)少なくとも1種の滑沢剤と、
を含む、経口医薬組成物。
【請求項4】
哺乳動物における障害を治療する方法であって、該障害が、少なくとも1種のerbBファミリーPTKの異常な活性により特徴付けられ、
(i)式(I)
【化4】

で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)結合剤と、
を含む経口医薬組成物を該哺乳動物に投与することを含む、上記方法。
【請求項5】
哺乳動物における障害を治療する方法であって、該障害が、少なくとも1種のerbBファミリーPTKの異常な活性により特徴付けられ、
(i)式(I)
【化5】

で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)少なくとも1種の結合剤と、
(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、
を含む経口医薬組成物を該哺乳動物に投与することを含む、上記方法。
【請求項6】
治療に使用するための、
(i)式(I)
【化6】

で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)結合剤と、
を含む、経口医薬組成物。
【請求項7】
治療に使用するための、
(i)式(I)
【化7】

で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)少なくとも1種の結合剤と、
(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、
を含む、経口医薬組成物。
【請求項8】
治療に使用するための、
(i)式(I)
【化8】

で示される化合物またはその塩もしくは溶媒和物〔式中、Rは、ClまたはBrであり、Xは、CH、N、またはCFであり、そしてHetは、チアゾールまたはフランである〕から選択される活性成分と、
(ii)少なくとも1種の結合剤と、
(iii)少なくとも1種の崩壊剤と、
(iv)少なくとも1種の滑沢剤と、
を含む、経口医薬組成物。

【公表番号】特表2008−536931(P2008−536931A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507783(P2008−507783)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/014447
【国際公開番号】WO2006/113649
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(501412463)スミスクライン ビーチャム (コーク) リミテッド (11)
【Fターム(参考)】