説明

医薬組成物

本発明は、トリミプラミンを1日1回(OD)投与するための経口送達可能な医薬組成物を提供する。前記組成物は、治療有効量のトリミプラミンおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含む。本発明の組成物は、本明細書において規定される一以上の放出プロファイルを示すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリミプラミンを含む医薬製剤に関する。より詳細には、本発明はトリミプラミンを制御放出するための経口送達可能な医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トリミプラミンは、10,11−ジヒドロ−5−(3−ジメチルアミノ−2−メチルプロピル)−5H−ジベンズ(b,f)アゼピンであり、以下の構造:
【化1】


を有する。
【0003】
トリミプラミンは、例えば悲しみ、無価値感、罪悪感、日常活動への関心の消失、食欲の変化、疲労、睡眠過剰、不眠、そして死にたい、自殺したいという思考などのうつ病の症状を緩和するために使用される。トリミプラミンは三環系抗うつ薬(TCA)であり、三環系抗うつ薬は、神経細胞による神経伝達物質であるノルエピネフリンおよびセロトニン(5−HT)の再取込みを阻害することによって作用すると、長年にわたって考えられてきた。しかし、この応答は即時に発生するが、それでも気分は約2週間にわたって高揚することがない。現在では、大脳皮質および海馬内の受容体感受性における変化が発生すると考えられている。海馬は、情動に関係する脳の一部である辺縁系の一部である。シナプス前受容体が影響を受け、a1およびb1受容体は感作され、a2受容体は脱感作される(ノルアドレナリン産生の増加をもたらす)。要約すると、トリミプラミンは、ノルエピネフリンおよびセロトニン(5−HT)の再取込みを低下させることによって機能する。
【0004】
本明細書における以前に発行された文献の列挙もしくは考察は、必ずしもその文献が当技術分野の最新技術の一部であること、もしくは一般的知識であることの承認であると見なすべきではない。
【0005】
トリミプラミンは、主要代謝産物であるデスメチルトリミプラミン、ジデスメチルトリミプラミン、2−ヒドロキシトリミプラミンおよび2−ヒドロキシデスメチルトリミプラミンへ代謝される。主要な一次脱メチル化代謝産物であるデスメチルトリミプラミンは、他の三環系抗うつ薬の脱メチル化代謝産物に類似する薬理学的活性を示すと考えられる。治療的トラフ血漿濃度の上限は、トリミプラミンについては0.24mg/Lおよびデスメチルトリミプラミンについては0.38mg/Lであると考えられるが、トリミプラミン抗うつ薬療法における濃度反応関係に関しては不十分なデータしか存在しない(非特許文献1)。
【0006】
トリミプラミンの脱メチル化は、少なくとも部分的にCYP2C19によって触媒されると思われるが、その理由は、CYP2C19活性が欠如する個人においてはトリミプラミンが高濃度であったが、脱メチル化代謝産物は低濃度であったからである。CYP2D6多型は、一次通過代謝ならびに全身性排出の両方に強力な作用を伴うトリミプラミン薬物動態における広範囲の変動性を誘発することが証明された。CYP2D6基質の超高速代謝者における平均全身性クリアランスは不良代謝者におけるより2.5倍高く、バイオアベイラビリティは不良代謝者と超高速代謝者間で6倍も相違し、全経口クリアランスにおいて約15倍の相違を生じさせ、極値は不良代謝者群では3.5L/時と低く、超高速代謝者群では712.6L/時と高かった(非特許文献2)。
【0007】
伝統的な即時放出型(IR)トリミプラミン療法におけるCYP2D6多型の作用について考察するためには、個別用量をCYP2D6遺伝子型によって誘発されるクリアランスにおける相違によって変更することができる。トリミプラミンは、150mgまでの用量については線形用量濃度関係を有するが、デスメチルトリミプラミンは既に治療用量範囲内で線形性からの逸脱を示す。CYP2D6活性の欠如は、残留している酵素経路の早期飽和を引き起こす可能性があるので、より少ない用量においても血漿濃度の非線形上昇を予測できる。遺伝子型によって誘発される薬物動態的相違は用量適応によって補正することができるが、患者において予測される薬物動態学的結果はより複雑であり、薬物動態学的変動性は臨床的に観察される応答の変動性および有害事象の一部しか説明できない。
【0008】
推奨初期用量は、2もしくは3回の分割投与で1日75mgである。初期忍容性は、第1日の晩に患者へ25mgを投与することによって試験できる。初期用量は25mgずつの増分で、通常は1日150mgまで、好ましくは夕方近くおよび/または就寝時用量に加えることによって増量することができる。1日量の大部分は、厄介な日中の鎮静を最小限に抑えるために、夕方近くか就寝時に投与すべきである。重症疾患を有する成人には、2もしくは3回の分割量で1日100mgのより高い初期用量が処方されてよい。通常の最適用量は1日150mg〜200mgであるが、一部の患者は個々の各患者の忍容性および応答に依存して1日300mg(または400mgさえ)までを必要とすることがある(非特許文献3)。
【0009】
高齢者または衰弱している患者の症例では、12.5〜25mgの試験用量を与え、45分後に起立性低血圧についてチェックするために患者が座ったり立ち上がったりするのを試験するのが賢明であると考えられる。初期用量は、通常は分割量で1日50mg以下とし、週に25mg以下の週間増分を用いて、1日60〜150mgの通常治療用量範囲内に導くべきである。特に不安定性心血管機能を有する患者では、血圧および心調律を頻回に検査すべきである。全患者において満足できる応答が得られたら、寛解を維持し、再発を回避するために用量を必要な最低水準へ調整すべきである。
【0010】
抑うつを治療するための上述したトリミプラミンのための従来型投与法には、多数の欠点が結び付いている。毎日の複数回投与はピーク対トラフ比の重大な変動をもたらし、これは臨床的に重要な有害事象が発生する機会を有意に増大させる。さらに、市場調査は、できる限り低頻度であるが定期的な覚えやすいパターンで摂取することができ、良好に忍容される経口医薬品を患者が非常に好んでいることを示唆している。このため投与頻度の減少は、患者の便宜性およびコンプライアンスの実質的な向上をもたらす。さらに、最適化は、投与法が不眠症と抑うつの組み合わせを治療するために適切であることを保証するために望ましい。このため、現行の複数回投与法から、好ましくは有害事象を有意に増加させることなく、1回の投与ではるかに多量のトリミプラミンを投与できる投与法へ変更することは好ましい。
【0011】
さらに、相違する遺伝子型のCYP2D6に結び付いた血漿曝露における広範囲の変動の結果として、不良代謝者は有効性のために必要とされるよりも有意に高度の薬物曝露を受けることになり、より重要なことに、高ピーク血漿濃度に関連する例えば起立性低血圧などの許容できない忍容性問題を経験することになる。これらの状況では、超高速代謝を備える患者以外は用量を減少させるのが通例であるが、その場合にこれらの患者は血漿中の治療的に有効レベルのトリミプラミンが得られない重大なリスクを有することになる。そこで本発明者らは、トリミプラミンの投与におけるこれらの困難な問題を減少させるために本発明に到達した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Moffat AC,Jackson JV,Widdop B,Clarke’s Isolation and Identification of Drugs,2nd edition.London:Pharmaceutical Press;1986
【非特許文献2】Kirchheinerら、 Trimipramine pharmacokinetics after intravenous and oral administration in carriers of CYP2D6 genotypes predicting poor,extensive and ultrahigh activity,Pharmacogenetics,2003 Dec;13(12):721−8
【非特許文献3】http://en.wikipedia.org/wiki/Trimipramine
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、トリミプラミンを1日1回(OD)投与するための経口送達可能な医薬組成物であって、治療有効量のトリミプラミンおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物の規定によって上記の欠陥に対処することを試みる。そのような組成物は、抑うつと不眠症の治療に加えて、本明細書の後半において記載する多数の他の医学的適応のために使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書において他の場所で特に指示しない限り、用語「トリミプラミン」は、10,11−ジヒドロ−5−(3−ジメチルアミノ−2−メチルプロピル)−5H−ジベンズ(b,f)アゼピン、その医薬上許容される塩、およびそれらの混合物を意味する。「医薬上許容される塩」には、トリミプラミンがその非毒性酸性塩もしくは塩基塩を作製することによって修飾されているトリミプラミンの誘導体が含まれ、さらにそのような塩の医薬上許容される溶媒和物(水和物を含む)にも関する。医薬上許容される塩の例には、トリミプラミンのアミン官能基の無機もしくは有機酸性塩が含まれるが、それらに限定されない。医薬上許容される塩には、例えば、有機および無機酸から形成されたトリミプラミンの非毒性塩および第4級アンモニウム塩が含まれる。そのような塩には、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来する塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩およびセシウム塩などの金属塩、例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩ならびに上記の組み合わせが含まれる。医薬上許容される有機塩の例には、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOC−(CH−COH(式中、n=0〜4)などの有機酸から調製された塩、ならびに例えばアルギン酸塩、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩などのアミノ酸から調製される塩が含まれる。マレイン酸トリミプラミンは、好ましい塩である。用語「医薬上許容される塩」には、さらにまたトリミプラミンの上記の誘導体のいずれかの混合物もまた含まれる。
【0015】
用語「経口送達可能な」には、本発明者らは、経口および口腔内(例えば、舌下もしくは経口腔)投与を含めて、経口投与のために適切であるという意味を含めている。好ましくは、本発明の組成物は、すなわち嚥下(例えば、飲食)により患者に経口投与するために設計されている。
【0016】
用語「1日1回(OD)投与」には、本発明者らは、本発明の組成物がトリミプラミンを約24時間にわたって制御および/または修飾された方法で放出するという意味を含めている。これは、本発明の組成物が、トリミプラミンの少なくとも40%は標準溶解試験に配置されてから約8時間以内に溶解されるインビトロ放出プロファイルを示すという意味を含む可能性がある。例えば、トリミプラミンの約50〜約100%(例えば約60、70、80もしくは90〜100%)は、標準溶解試験に配置されてから約8〜約24時間(例えば、約9、10、11もしくは12〜約16、18、20もしくは22時間)以内に溶解され得る。好ましくは、トリミプラミンの実質的に全部は、標準溶解試験に配置されてから約24時間以内に溶解される。用語「1日1回(OD)投与」は、トリミプラミンの従来型即時放出(IR)を排除することもまた意図されている。これを言い換えると、本発明の1日1回投与の組成物は、従来型の即時放出型製剤に比較してトリミプラミンの制御放出および/または調節放出を提供する。
【0017】
用語「1日1回(OD)投与」は、さらにまた毎晩の1回投与も含んでいる。本発明の組成物は、典型的には夜通し(すなわち、患者/病人の安静時間中および/または睡眠時間中)ではなく、トリミプラミンを毎日、制御およびまたは調節された方法で放出することが意図される、毎晩1回投与のために適切である。
【0018】
他の場所で特に指示しない限り、本明細書で使用する用語「標準溶解試験」は、米合衆国薬局方やその他に記載されているように、「パドル法(Paddle Method)」にしたがって37℃で、900mLの0.05Mリン酸緩衝水溶液(1〜7の生理的pH範囲内)の溶解媒体中において100rpmで実施される試験を意味している。
【0019】
語句「トリミプラミンの従来型即時放出(IR)」は、トリミプラミンの(製剤中に含有される)実質的に全部が即時に、例えば投与の30分間以内に放出されるという意味を含んでいる。これを言い換えると、そのようなIR製剤は、典型的にはトリミプラミンの放出を制御および/または調節する(例えば、遅延させる/維持する)ために作用する成分を実質的に全く有していない。この用語の定義は、現在は抑うつおよび不眠症を治療するために典型的に使用されている、本明細書の最初の数頁に記載されたトリミプラミンの組成物を含むことを意図している。
【0020】
用語「制御および/または調節(放出)」には、本発明者らは、投与後に、トリミプラミンの放出が、トリミプラミンを1日1回投与できる投与法を提供できるように制御および/または調節されるという意味を含めている。これは、トリミプラミンの投与間の時間を1日1回へ増加させることができるように、トリミプラミンの放出を延長および/または持続させることを含むことができる。そのような放出には、現在使用されている即時放出型製剤に比較して本発明の組成物中のトリミプラミンのより高い単回用量もまた付随することがある。
【0021】
典型的には、本発明の組成物は、投与後に、現行投与法に比較して、有害事象プロファイルが減少するように、または少なくとも有意には増加しないように、トリミプラミン用量の放出を遅延または持続させる。
【0022】
本発明の組成物の調節/制御された1日1回の放出特性は、以下でより詳細に記載するように、そのインビトロもしくはインビボ放出プロファイルまたは例えばCmax、TmaxおよびAUCなどの関連値と関連付けて規定することができる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態は、徐放型/持続放出型OD組成物である。本明細書では本発明の徐放型OD組成物と概して呼ぶこれらの組成物については、以下でより詳細に記載する。
【0024】
OD徐放性薬物送達のために適合する本発明の組成物は、典型的には、平均して約10〜約50%、例えば約15〜約45%、例えば約15〜約30%のトリミプラミンが標準溶解試験に配置されてから3時間以内に溶解する、インビトロ放出プロファイルを示すことができる。
【0025】
OD徐放性薬物送達のために適合する可能性がある本発明の組成物は、典型的には、平均して約25〜約100%、例えば約30〜約100%、例えば約40〜約100%または約50〜約100%のトリミプラミンが、標準溶解試験に配置されてから8時間以内に溶解する、インビトロ放出プロファイルを示すことができる。
【0026】
OD徐放性薬物送達のために適合する可能性がある本発明の組成物は、典型的には、標準溶解試験において配置されてから、
約5〜約40%(例えば、10〜30%)のトリミプラミンは2時間後に放出され、
約15〜約70%(例えば、20〜50%)のトリミプラミンは4時間後に放出され、
50%以上(例えば、60%以上)のトリミプラミンは8時間後に放出される、インビトロ溶解速度を示すことができる。
【0027】
好ましくは、インビトロ放出速度は、1〜7のpHには依存しない。
【0028】
OD徐放性投与のために適合する可能性がある本発明の組成物は、典型的には、単回用量の経口投与後にインビボのトリミプラミン血漿吸収プロファイルを示すが、このとき50%のトリミプラミンが血漿中に吸収される時間は、約2〜約12時間、例えば約3〜約10時間、例えば約4〜約9時間、または約5〜約7時間(例えば、約6時間)である。
【0029】
本発明のOD徐放型組成物は、さらにまた経口投与の規定時間後にインビボで本組成物から放出されるトリミプラミンの量によって規定することもできる。そのような組成物は、典型的にはあるインビボ放出プロファイルを示すことができ、
約5〜約40%(例えば、10〜30%)のトリミプラミンは投与後2時間以内に放出され、
約15〜約70%(例えば、20〜50%)のトリミプラミンは投与後4時間以内に放出され、
50%以上(例えば、60%以上)のトリミプラミンは投与後8時間以内に放出される。
【0030】
本発明の徐放型OD組成物の放出特性は、ヒトまたは動物患者に投与された場合のトリミプラミンのピーク血漿濃度(Cmax)値に関連付けて規定することができる。例えば、OD投与のために適合する可能性がある本発明の組成物は、典型的には同一用量で経口投与された場合にトリミプラミンの従来型即時放出型(IR)製剤を用いて達成されるCmax値の、約10〜約99%、例えば約20〜約80%、例えば約30〜60%のトリミプラミンCmax値を経口投与後に示す。
【0031】
本発明の徐放型OD組成物の放出特性は、ヒトまたは動物患者に任意のまた別の用量を投与する前に投与された場合に、トリミプラミンのピーク血漿濃度(Cmax)対投与24時間後のトリミプラミンの血漿濃度(C24)の比率によって規定することができる。本発明の組成物は、典型的には、好ましくは定常状態条件下で、約4:1未満、好ましくは約3:1未満、より好ましくは約2.5:1未満、最も好ましくは1.5:1〜約2:1(例えば、約1:1)であるCmax対C24比を示す。
【0032】
上記に規定した徐放型/持続放出型OD組成物は、トリミプラミンの唯一の成分しか含んでいない。しかし、不眠症および抑うつの結合療法のためには、例えば、夜間中の所望の臨床作用を維持するために睡眠時間中の血漿プロファイルの第2ピークを保証することが有益である。その結果としてトリミプラミンを分離された2つ以上の別個の成分として送達できる制御放出型製剤は、本発明の好ましい実施形態である。
【0033】
このため、本発明の徐放型/持続放出型OD組成物は、1つ以上の追加の成分、例えばパルス放出型成分および/または即時放出型成分(各々がトリミプラミンを含む)を含んでいてよい。そのような「多成分」組成物については、以下でより詳細に記載する。本発明のこの「多成分」実施形態については、以下でより詳細に記載する。
【0034】
本発明の「多成分」組成物は、典型的には:
トリミプラミンの約20〜約80%、例えば約30〜約70%、例えば約40〜約60%(典型的には約50%)(本組成物中の、すなわち任意のトリミプラミンが放出される前のトリミプラミンの総量のパーセンテージとして)が、標準溶解試験に配置された後に約0.5〜約12時間以内、例えば約1〜約10時間以内、例えば約2〜約8時間(典型的には、約3、4、5、6もしくは7時間)以内に溶解する第1成分と、
トリミプラミンのさらに約20〜約80%、例えばさらに約30〜約70%、例えばさらに約40〜約60%(典型的にはさらに約50%)(本組成物中のトリミプラミンの総量のパーセンテージとして)が、標準溶解試験に配置された後に約4〜約24時間以内、例えば約6〜約20時間以内、例えば約8〜約16時間(典型的には、約10〜14時間)以内に溶解する第2成分と、を含むインビトロ放出プロファイルを示す。
【0035】
トリミプラミンの第1成分は、初期即時放出ボーラスとして放出される可能性がある。または、トリミプラミンの第1成分は、徐放型成分として放出される可能性がある。パルス放出型もしくは徐放型成分であってよい第2成分は、典型的には、トリミプラミンの残りの用量を構成しており、同一製剤から上記に規定した時間内に放出される。好ましくは、第1および第2成分の少なくとも一方は、徐放型成分である。
【0036】
1つの好ましい実施形態では、本組成物中の約10〜約50%(例えば、約20〜約40%、例えば約30%)のトリミプラミンは、即時放出ボーラスとして放出される。残りの50〜約90%(例えば約60〜約80%、例えば約70%)は、トリミプラミンの残りが第2成分と関連付けて上記に規定した時間で放出される徐放型成分の形態にある。
【0037】
例えば、本発明の「多成分」組成物は、平均するとトリミプラミンの50%が即時放出ボーラスとして放出され、残りの用量は標準溶解試験において配置されてからおよそ4時間後に同一製剤から放出される、インビトロ放出プロファイルを示す可能性がある。
【0038】
また別の好ましい実施形態では、上記に規定した第1成分は、徐放型成分である。組成物中の残りのトリミプラミン(第2成分)は、トリミプラミンが第2成分と関連付けて上記に規定した時間後に(例えば、IRボーラスまたは、また別の徐放型成分として)放出されるパルス放出型成分の形態にある。
【0039】
本発明の「多成分」組成物は、より多くのトリミプラミンが溶解しているまた別の成分(すなわち、総計すると3つ以上の成分)を含むインビトロ放出プロファイルも示す可能性がある。
【0040】
例えば、上記に規定した本発明の組成物のインビトロ放出プロファイルは、さらに約20〜約60%、例えばさらに約25〜約50%、例えばさらに約30〜約40%のトリミプラミンが、標準溶解試験において配置されてから約6〜約24時間以内、例えば約8〜約20時間以内、例えば約10〜約16時間以内に溶解する、第3成分を含んでいてよい。
【0041】
さらに、本発明の「多成分」組成物の放出プロファイルは、さらに約10〜約40%、例えばさらに約20〜約30%のトリミプラミンが、標準溶解試験において配置されてから約8〜約24時間以内、例えば約10〜約20時間以内、例えば約12〜約16時間以内に溶解する、第4成分を含んでいてよい。
【0042】
上記に規定した本発明の「多成分」組成物は、典型的には単回経口投与後に、(組成物中のトリミプラミンの総量に基づいて)トリミプラミンの50%が血漿中に吸収される時間が約0.5〜約12時間、例えば約1〜約10時間、例えば約2〜約8時間(典型的には、約3、4、5、6もしくは7時間)である、インビボ血漿吸収プロファイルを示すことができる。残りの薬物用量は、典型的には、トリミプラミンの残り50%が血漿中に吸収される時間が約4〜約24時間、例えば約6〜約20時間、例えば約8〜約16時間(例えば、典型的には約10〜約14時間)となる、1つ以上のまた別の成分中に吸収されている。当然ながら、この時間は、少なくとも部分的に、使用される薬物放出のまた別の成分の数に依存する。
【0043】
本明細書で使用する語句「血漿吸収プロファイル」は、ヒトまたは動物患者への投与後の経時的なトリミプラミンの血漿中濃度を意味することが意図されている。当業者には公知であるように、血漿吸収プロファイルは、即時放出参照値に対する制御放出の薬物動態の解析によって測定できる。
【0044】
上記に規定した本発明の「多成分」組成物では、「1日1回(OD)投与」の定義として上に記載したようにトリミプラミンが約24時間にわたって制御および/または調節された方法で放出されるように、成分の任意の組み合わせ(例えば、上述した放出プロファイルの任意の組み合わせ)を使用することができる。
【0045】
本発明の組成物は、上記に規定した1つ以上の制御放出プロファイルを示し得る。
【0046】
本発明の組成物は、治療有効量のトリミプラミンおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含んでいる。上述した1つ以上の制御放出プロファイルを達成するために、治療有効量のトリミプラミンは、拡散制御型製剤(例えば、ワックスマトリックスもしくはペレット)、溶解制御型製剤(例えば、圧縮コーティング製剤)、溶解/拡散制御型製剤、容易に投与できる製剤(例えば、チュアブル、速溶性、スプリンクルもしくは味マスキング製剤)、腸溶コーティング製剤、浸透圧ポンプ技術製剤、不正開封防止製剤、浸食制御製剤、イオン交換樹脂ならびに上記の組み合わせを含むがそれらに限定されない、様々な多数の方法で調製されてよい。上記の製剤については、以下でより詳細に記載する。
【0047】
本発明の徐放型OD組成物は、予測可能な、胃内容排出時間とは無関係である遅延後に有益な物質を送達するプログラムされた薬物送達製剤として、トリミプラミンおよび任意で1つ以上の追加の活性物質、水性媒体へ曝露されると膨潤する1つ以上の医薬賦形剤、および任意でその他の医薬上許容される賦形剤を含むコアを含む錠剤の形態で提供されてよいが、このときコアは水不溶性コーティングでコーティングされている。コーティング内には通路を穿孔することができ、胃腸液内で可溶性もしくは膨潤性であり、その水溶性がpH非依存性であるポリマー組成物のバンドもしくはプラグで被覆することができる。可溶性ポリマーが浸食もしくは溶解されると、通路は露出され、周囲環境から流体が系内に進入し、それが膨潤してコーティングに圧力を加える。コーティングは次に破裂してコアの内容物を放出する。または、コアは水に不溶性であるが透過性であるポリマー組成物でコーティングすることができるが、通路は、水不溶性のpH非依存性もしくはpH依存性ポリマー、好ましくはpH非依存性ポリマーでコーティングすることができる。透過膜を通ってコアに進入する水は、コアが膨潤することを引き起こし、膨潤はコーティングに圧力を加える。しかし、通路を被覆する不溶性コーティングは流体による影響を受けず、本系内で発生する膨潤圧力は、不溶性コーティングと透過性ポリマーの接合部でコーティング内の弱点の発生を導く。そこで、コーティングは破裂してトリミプラミンおよび任意で1つ以上の追加の活性物質を周囲の環境へ放出する。
【0048】
本発明の多成分組成物は、さらにまたトリミプラミンおよび任意で1つ以上の追加の活性物質の即時放出ならびにトリミプラミンおよび任意で1つ以上の追加の活性物質のパルス放出を提供する、プログラムされた薬物送達製剤として提供されてよいが、このとき遅延は好ましくは胃内容排出時間には依存していない。本製剤は、典型的には胃内容排出時間とは無関係である物質の間隔をあけたパルスを用いて、上記に規定したパルス式血漿レベル時間プロファイルを提供する。
【0049】
少なくとも1つの徐放型成分は、一般にトリミプラミン、水性媒体に曝露させると膨潤する1つ以上の医薬賦形剤、および任意でその他の医薬上許容される賦形剤を含むコアの形態で存在するが、このときコアは水不溶性および不透水性コーティングでコーティングされる。
【0050】
コーティング内には通路を穿孔することができ、胃腸液内で可溶性もしくは膨潤性であり、その水溶性がpH依存性もしくはpH非依存性、好ましくはpH非依存性であるポリマー組成物のバンドもしくはプラグで被覆することができる。可溶性ポリマーが浸食もしくは溶解されると、通路は露出され、周囲環境から流体が系内に進入し、それが膨潤してコーティングに圧力を加えることを引き起こす。コーティングは次に破裂してコアの内容物を放出する。
【0051】
または、コアは水に不溶性であるが透過性であるポリマー組成物でコーティングすることができ、通路は、水不溶性のpH非依存性ポリマーでコーティングすることができる。透過膜を通過してコアに進入する水は、コアが膨潤することを引き起こし、膨潤はコーティングに圧力を加える。しかし、通路を被覆する不溶性コーティングは流体による影響を受けず、本系内で発生する膨潤圧力は、不溶性コーティングと透過性ポリマーの接合部でコーティング内の弱点の発生を導く。そこで、コーティングは破裂してトリミプラミンおよび任意で1つ以上の追加の活性物質を周囲の環境へ放出する。トリミプラミンおよび任意で1つ以上の追加の活性物質の一部分は、これにより遅延後にコアから放出される。
【0052】
即時放出型成分は、顆粒、ペレット、ビーズ、もしくは錠剤の形態で存在してよい、またはパルス放出型成分の少なくとも一部または全部を被覆する即時放出型コーティングとして存在してもよい。または、即時放出型成分は、それを水不溶性、不透水性ポリマーと混合し、パルス放出型コアをコーティングするためにこのようにして得られた混合物を使用することによって提供されてよい。
【0053】
本発明の多成分組成物は、さらにまたIR、徐放型および/またはパルス放出型ビヒクル(例えば、顆粒、粉末、ペレット、ビーズ、懸濁液、溶液、ミクロスフェア、シード、またはそれらの組み合わせ)の混合物を含む製剤として提供されてよい。IR、徐放型および/またはパルス放出型ビヒクルは、例えばカプセル剤もしくはカプレット剤などの任意の適切な製剤に組み合わされてよい。
【0054】
そのような製剤は、製剤中に含有されるトリミプラミンの約20〜約80%を含有するIRビヒクル、および製剤中に含有されるトリミプラミンの約20〜約80%を含有する徐放型および/またはパルス放出型ビヒクルを含有することができる。
【0055】
IRビヒクルは、好ましくは、トリミプラミンの粉末、溶液、懸濁液、顆粒またはペレットの形態にある。徐放型および/またはパルス放出型ビヒクルは、放出遅延性材料と混合された即時放出型ビヒクルの形態であってよい。以下でより詳細に記載するように、放出遅延性材料は、マトリックスおよび/またはコーティング(例えば、ワックス状マトリックスもしくはポリマーコーティング)の形態であってよい。または、徐放型および/またはパルス放出型ビヒクルは、マトリックス、浸透圧ポンプもしくはミクロスフェアとして調製されたトリミプラミンであってよい。
【0056】
本発明の多成分組成物はさらに、トリミプラミンのIR成分でさらにコーティングされている、放出遅延性材料でコーティングされたトリミプラミンのコアとして提供されてもよい。放出遅延性材料は、以下でより詳細に記載する任意の適切な材料(例えば、圧縮コーティング)であってよい。トリミプラミンのIR成分は、トリミプラミンを含むポリマーコーティングであってよい。
【0057】
上述した適切な多成分製剤のタイプは、例示であって、限定的ではない。上記および本明細書の残りに記載した多成分製剤を作製するために使用できる適切な医薬上許容される賦形剤については、下記で規定する。
【0058】
本発明の組成物について本明細書で記載する製剤は、主として経口投与のために設計される。適切な経口製剤には、上記製剤のカプセル剤、錠剤、液剤、粉末剤、顆粒剤、懸濁剤、マトリックス剤、ミクロスフェア剤、シード剤、ペレット剤および/またはビーズ剤が含まれるが、それらに限定されない。これらの製剤の組み合わせもまた本発明において使用できる。例えば、トリミプラミンを含む経口製剤は、カプセル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルもしくはゼラチンカプセルの内側に封入された、マイクロタブレットの形態であってよい。任意の適切なゼラチンカプセル、例えばCAPSUGELとして公知の硬質ゼラチンカプセルを使用できる。
【0059】
本発明の組成物は、拡散制御型製剤であってよい。用語「拡散制御型製剤」には、本発明者らは、本製剤からの溶解したトリミプラミンの拡散が、その製剤からのトリミプラミンの制御放出の速度において重要な役割を有する製剤を含めている。しかし、溶解プロセスもまた含まれてよい。典型的な拡散制御型製剤には、トリミプラミンのコアがポリマー(典型的には水不溶性ポリマー)でコーティングされている、いわゆる「リザーバ系」、およびトリミプラミンが任意でコーティングされてよいマトリックス(例えば、膨潤性マトリックス)全体に分散している、いわゆる「マトリックス系」が含まれる。いずれの系においても、溶解した薬物の流れおよび退出は、上記に規定した放出プロファイルの1つ以上を達成できるように制御される。
【0060】
本発明の組成物は、マトリックス技術に基づいていてよい。この技術では、トリミプラミンは、マトリックスと呼ばれる非崩壊性コアを作製する賦形剤内に包埋される。(溶解した)トリミプラミンの拡散は、コアを通して発生する。
【0061】
好ましくは、本発明の徐放型OD組成物は、トリミプラミンの有意な血漿濃度が達成される前に少なくとも一部の時間遅延があるように調製される。そのような組成物は、トリミプラミンの初期バーストを回避できる、または胃腸管の特定部分(例えば、胃)でのトリミプラミンの放出が遅延させられるように調製できる。これは、トリミプラミンと関連する任意の有害事象プロファイルを最小限に抑えるために有用な場合がある。
【0062】
トリミプラミンの刺激作用から胃を保護できる腸溶コーティング製剤もまた望ましい場合がある。そのような製剤は、非毒性であり、主として腸液内では可溶性であるが胃液中では実質的に不溶性である医薬上許容される腸溶ポリマーを含む組成物で、コーティングすることができる。
【0063】
典型的には、本発明の組成物は、公知のIR製剤におけるトリミプラミンの放出と比較して、例えば数時間までトリミプラミンの放出を延長させる。
【0064】
本発明の組成物は、放出遅延性材料を含んでいてよい。放出遅延性材料は、例えば、マトリックスもしくはコーティングの形態であってよい。本発明の組成物は、例えば、放出遅延性材料と結合されているトリミプラミンの粒子を含んでいてよい。放出遅延性材料は、典型的には、水性媒体中で徐放性速度でのトリミプラミンの放出を許容する材料である。放出遅延性材料は、他の上述した特性と結び付けて、所望の放出速度を達成できるように、選択的に選択されてよい。
【0065】
放出遅延性材料は、親水性および/または疎水性ポリマーおよび/または材料であってよい。適切な放出遅延性材料には、アクリルポリマー、アルキルセルロース、シェラック、ゼイン、水素化植物油、水素化ヒマシ油、ならびに上記の材料の1つ以上を含む組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。本発明の組成物は、約1重量%〜約80重量%の放出遅延性材料を含有していてよい。
【0066】
適切なアクリルポリマーには、例えば、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、メチルメタクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、グリシジルメタクリレートコポリマー、ならびに上記のポリマーの1つ以上を含む組み合わせが含まれる。
【0067】
適切なアルキルセルロースには、例えば、エチルセルロースが含まれる。当業者であれば、他のアルキルセルロースポリマーを含む他のセルロースポリマーを、エチルセルロースの一部または全部と置換できることを理解する。
【0068】
その他の適切な疎水性材料は、典型的には水不溶性であり、約30℃〜約200℃、好ましくは約45℃〜約90℃の融点を有していてよい。疎水性材料には、中性もしくは合成ワックス、脂肪アルコール(ラウリル、ミリスチル、ステアリル、セチルもしくは好ましくはセトステアリルアルコールなど)、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド(モノ−、ジ−、およびトリ−グリセリド)を含む脂肪酸、水素化脂肪、炭化水素、硬化油もしくは脂肪(例えば、硬化ナタネ油、ヒマシ油、牛脂、ヤシ油、大豆油)ワックス、ステアリン酸、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、炭化水素骨格を有する疎水性および親水性材料、ならびに上記の材料の1つ以上を含む組み合わせを含むことができる。
【0069】
適切なワックスには、ミツロウ、グリコワックス、キャスターワックス、カルナウバワックスおよびワックス状物質、例えば室温では通常固体であり、約30℃〜約100℃の融点を有する材料、ならびに上記のワックスの2つ以上を含む組み合わせが含まれる。
【0070】
放出遅延性材料は、さらにまた消化可能な長鎖(例えば、C−C50、好ましくはC12−C40)、置換もしくは未置換炭化水素、例えば脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、鉱物油および植物油、ワックス、ならびに上記の材料の1つ以上を含む組み合わせを含むことができる。約25℃〜約90℃の融点を有する炭化水素を使用できる。本発明の組成物は、約60重量%までの少なくとも1つの消化可能な長鎖炭化水素、および/または60重量%までの少なくとも1つのポリアルキレングリコールを含有していてよい。
【0071】
放出遅延性材料は、さらにまたポリ乳酸、ポリグリコール酸、または乳酸とグリコール酸のコポリマーを含んでいてよい。放出遅延性材料には、任意で例えば浸食促進剤(例えば、デンプンおよびガム)および/または半透過性ポリマーなどの他の添加物が含まれる。
【0072】
組成物の放出特性に影響を及ぼす放出修飾剤は、任意で本発明の組成物中に使用できる。放出修飾剤は、例えば、孔形成剤として機能できる。典型的には、孔形成剤は、薬物放出を促進する(例えば、加速する)チャネルを作製する。孔形成剤は、有機もしくは無機であってよく、使用環境においてコーティングから溶解、抽出もしくは浸出され得る材料を含むことができる。孔形成剤は、1つ以上の親水性ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、金属ステアレート(例えば、ステアリン酸マグネシウムなどのアルカリ金属ステアリン酸塩)、ポリカーボネート(カーボネート基がポリマー鎖内で繰り返し発生するカルボン酸の線状ポリエステル)、ならびに上記の放出修飾剤の2つ以上を含む組み合わせを含むことができる。
【0073】
放出遅延性材料は、少なくとも1つの通路、オリフィスなどを含む出口手段をさらに含むことができる。通路は、任意の形状、例えば円形、三角形、正方形もしくは楕円形を有していてよい。そのような出口手段は、本明細書においてより詳細に記載する浸透圧ポンプ製剤およびパルス放出型製剤において使用できる。
【0074】
上記の成分に加えて、本発明の組成物は、適切な量の他の材料、例えば製薬分野において慣習的である希釈剤、潤滑剤、結合剤、造粒助剤、着色剤、着香剤および流動促進剤もさらに含有することができる。
【0075】
適切な潤滑剤の例には、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル、タルク、鉱物油(PEG中)が含まれる。適切な結合剤の例には、水溶性ポリマー、例えば加工デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが含まれる。適切な充填剤の例には、ラクトース、微結晶セルロースが含まれる。流動促進剤の例は、二酸化ケイ素である。
【0076】
本発明の組成物は、トリミプラミンを含む1つ以上の基質を含むことができる。そのような基質は、放出遅延性材料を含む徐放型および/またはパルス放出型および/または持続放出型コーティングでコーティングされてよい。そのような組成物は、多微粒子系、例えばビーズ、イオン交換樹脂ビーズ、スフェロイド、ミクロスフェア、シード、ペレット、マトリックス、顆粒、および所望のトリミプラミンの制御放出を得るためのその他の多微粒子系で使用できる。多微粒子系は、カプセル剤、または例えば錠剤もしくはサシェ剤などの他の適切な単位製剤で提示することができる。
【0077】
所定の場合には、各々が例えば放出のpH依存性、様々な媒体(例えば、酸、塩基刺激腸液)中で放出するための時間、インビボでの放出、サイズおよび組成などの相違する特性を示す、2つ以上の多微粒子系が使用されてよい。
【0078】
一部の場合には、スフェロイドを形成するために有効成分と共に、球形化を促進する賦形剤を使用することができる。微結晶セルロースおよび含水ラクトース微粉は、そのような球形化剤の例である。さらに(または)、スフェロイドは水不溶性ポリマー、好ましくはアクリルポリマー、アクリルコポリマー、例えばメタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、またはエチルセルロースを含有することができる。そのような製剤中では、存在する任意の徐放性コーティングは、水不溶性材料、例えばワックスを単独で、または脂肪アルコール、またはシェラックもしくはゼインとの混合物中のいずれかで含むことができる。
【0079】
有効成分でコーティングされたスフェロイドもしくはビーズは、例えば、トリミプラミンを水中に溶解させ、次にその溶液を例えば糖スフェアなどの基質上にスプレーする工程によって調製することができる。任意で、有効成分が基質へ結合するのを補助するため、および/またはその溶液を着色するために、ビーズをコーティングする前に追加の成分が加えられてよい。結果として生じる基質−活性材料は、トリミプラミンを次の材料のコーティング、例えば放出遅延性材料から分離するために、バリア材料でオーバーコーティングすることができる。バリア材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む材料であってよい。しかし、当技術分野において公知の任意のフィルム形成剤を使用できる。好ましくは、バリア材料は、加工処理中の安定性および/または保管寿命を、最終生成物の溶解速度に影響を及ぼすことなく増加させる。
【0080】
所望の放出特性を達成するために、トリミプラミンは約1〜約80%(例えば、約2〜約40%)の重量取得レベルを得るために十分な量の放出遅延性材料でコーティングされてよいが、例えば所望の放出速度に依存して、より多い、またはより少ない放出遅延性材料を使用することができる。さらに、コーティングに使用される2つ以上の放出遅延性材料ならびに様々な他の医薬賦形剤が存在してよい。
【0081】
放出遅延性材料は、疎水性ポリマーの分散体を含むフィルムコーティング剤の形態であってよい。放出遅延性コーティングを適用するために典型的に使用される溶媒には、医薬上許容される溶媒、例えば水、アルコール(例えば、メタノールもしくはエタノール)、塩化メチレン、ならびに上記の溶媒の1つ以上を含む組み合わせが含まれる。
【0082】
本発明の組成物のインビボおよび/またはインビトロ放出プロファイルは、2つ以上の放出遅延性材料を使用すること、放出遅延性材料の厚さを変化させること、使用する特定の放出遅延性材料を変更すること、放出遅延性材料の相対量を変化させること、存在する任意の可塑剤が加えられる方法を変更すること、遅延性材料に比した可塑剤の量を変化させること、追加の成分もしくは賦形剤を含めること、製造方法を変化させること、または上記の組み合わせによって変化させる、例えば最適化することができる。
【0083】
マトリックス中に存在することに加えて、またはその代りに、放出遅延剤はコーティングの形態であってよい。任意で、コアをコーティングすることができる、またはゼラチンカプセルをさらに例えば本明細書に記載したコーティングなどの徐放型および/またはパルス放出型および/または持続放出型コーティングでコーティングすることができる。コーティングは、製剤の重量を約1〜約80%(例えば、約2〜約40%)へ増加させるために十分な量の疎水性材料を含むことができるが、コーティングは製剤の重量を、特に他の要素の中でも所望の放出速度に依存して、より大きな比率へ増加させることができる。
【0084】
本発明の組成物は、好ましくは多成分中において、および/または摂取されて胃液へ、次に腸液へ曝露された場合における持続性方法で、トリミプラミンを放出する。本製剤の制御放出プロファイルは、例えば、放出遅延剤、例えば疎水性材料の量を変化させること、疎水性材料に対して存在する任意の可塑剤の量を変化させること、追加の成分もしくは賦形剤を含めること、製造方法を変化させること、または上記の組み合わせによって変化させることができる。
【0085】
本発明の組成物は、実質的に全部のトリミプラミンが非晶質形で存在する方法で調製することができる。用語「非晶質」は、識別可能な結晶格子を有していない分子の無秩序な配列からなることを意味することが意図されている。非晶質トリミプラミンを含む組成物を形成するための典型的なプロセスは、トリミプラミンを水および医薬上許容されるポリマー担体を混合する工程と、非晶質トリミプラミンおよびポリマー担体を含む組成物を形成するための前記混合物を乾燥させる工程とを含んでいる。
【0086】
適切な医薬上許容されるポリマー担体には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、デキストラン、デキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、キトサン、乳酸/糖脂質コポリマー、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、レクチン、カルボポル、シリコンエラストマー、ポリアクリルポリマー、マルトデキストリン、ラクトース、フルクトース、イノシトール、トレハロース、マルトース、ラフィノース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、α−、β−、およびγ−シクロデキストリン、ならびに上記担体の組み合わせが含まれる。
【0087】
好ましいポリマー担体は、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、およびポリエチレングリコールの1つ以上である。ポリビニルピロリドン(PVP)は、典型的には約2,500〜約3,000,000、例えば約10,000〜約450,000の平均分子量を有する。
【0088】
ポリマー担体は、好ましくは、(i)トリミプラミン遊離塩基およびその医薬上許容される塩(特に塩酸塩)の両方と混和性である、(ii)蒸発によって水が除去された後に均質な非結晶固体状態分散剤中で塩を保持することができる、(iii)トリミプラミンに対して化学的に不活性である、(iv)少なくとも部分的に水溶性であり、より好ましくは完全に水溶性である。
【0089】
トリミプラミン、ポリマー担体、および水は、任意の順序で結合されてよい。典型的には、それらはトリミプラミンおよびポリマー担体の溶液を形成できるような方法で結合される。ポリマー担体および水の溶液を形成する際に、溶液を加熱することは低濃度では概して必要とされないが、温度が任意の材料の分解もしくは崩壊を生じさせないことを条件に高濃度であることが好ましい。ポリマー担体を水中に溶解させた後に、透明溶液を形成するために、適切には約25℃〜約100℃、例えば約45℃〜約80℃でトリミプラミンを加えることが好ましい。
【0090】
トリミプラミン対ポリマー担体の比率は、例えば、必要とされる正確な放出プロファイルに依存して変動させることができる。ポリマー担体対トリミプラミンの典型的な重量比は、約100:1〜約0.5:1、好ましくは約50:1〜約1:1、例えば約20:1〜約2:1(例えば、約5:1)の範囲に及ぶ。
【0091】
(好ましくは透明な)溶液の形成後には、本プロセスは、ポリマー担体中のトリミプラミンの固体状態分散体を形成するために水を回収することによって進行する。均質な固体状態分散体を提供する水を除去する任意の方法を使用できるが、適切な方法は、真空もしくはスプレー乾燥下での蒸発を含んでいる。真空下での蒸発方法には、回転式蒸発、静的真空乾燥およびそれらの組み合わせが含まれる。医薬製剤の分野の当業者であれば、温度が材料の崩壊もしくは分解を引き起こすほど高くないことを前提に、水を除去できる合理的温度を容易に決定することができる。典型的には、蒸発は、約25℃〜約100℃で発生する。水の蒸発は、均質で実質的に水を含まない固体状態分散体を提供するはずである。「実質的に含まない」は、固体状態分散体が、典型的には20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、最も好ましくは1重量%未満の残留水を含有することを意味している。
【0092】
本発明の組成物には任意の適切な医薬上許容される賦形剤を加えることができる。医薬上許容される賦形剤の例には、希釈剤、トリミプラミンビヒクル、結合剤、錠剤崩壊剤、流動促進剤、甘味料、圧縮助剤、着色剤、着香剤、懸濁化剤、分散剤、フィルム形成剤、印刷用インク、潤滑剤および/または保存料が含まれる。これらの賦形剤は、単独または任意の組み合わせで使用できる。
【0093】
医薬組成物は、例えば混合する、充填する、造粒するおよび圧縮するなどの慣習的混合方法によって調製することができる。これらの物質は、従来方法で利用できる。
【0094】
賦形剤は、多数の理由から、例えば製造を促進する、安定性を強化する、放出を制御する、生成物の特性を強化する、バイオアベイラビリティを強化する、患者の受容性を強化する、およびそれらの組み合わせのために加えることができる。
【0095】
製剤を共に保持するために役立つように使用できる代表的な結合剤には、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、糖類、およびそれらの組み合わせが含まれる。錠剤崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)は、湿潤すると膨張して錠剤が崩壊することを引き起こす。潤滑剤は、典型的には粉末材料の加工処理に役立つ。代表的な潤滑剤には、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセロール、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、植物油、ステアリン酸亜鉛、およびそれらの組み合わせが含まれる。流動促進剤の例は、二酸化ケイ素である。
【0096】
本明細書に記載した製剤は、充填剤、例えば水不溶性もしくは水溶性充填剤、またはそれらの組み合わせを含有していてよい。典型的な水不溶性充填剤には、二酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク、アルミナ、デンプン、カオリン、ポラクリリンカリウム、粉末状セルロース、微結晶セルロース、およびそれらの組み合わせが含まれる。典型的な水溶性充填剤には、水溶性の糖類および糖アルコール、好ましくはラクトース、グルコース、フルクトース、スクロース、マンノース、デキストロース、ガラクトース、対応する糖アルコールおよびその他の糖アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトール、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0097】
トリミプラミンおよび任意の添加物は、例えば溶融ペレット化技術によってサブユニットもしくはペレットとして調製することができる。この技術では、微粉化した形態にあるトリミプラミンが結合剤およびその他の任意の不活性成分と結合され、その後に混合物は、例えばペレットを形成するための高剪断ミキサー内で混合物を機械的に加工する工程によってペレット化される。用語「ペレット」には、本発明者らは、ペレット、顆粒、スフェアおよびビーズを含めている。その後、ペレットは、必要なサイズのペレットを入手するためにふるいにかけることができる。
【0098】
結合剤材料は、さらにまた微粒子形であってよく、典型的には約40℃を超える融点を有する。適切な結合剤物質には、水素化ヒマシ油、水素化植物油、その他の水素化脂肪、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0099】
経口製剤は、カプセル内の多微粒子もしくはマルチペレットの形態にあるトリミプラミンおよび任意でその他の活性物質を含有する、有効量のサブユニットを含むように調製することができる。例えば、複数の多微粒子は、上記に規定した1つ以上の放出プロファイルを提供するために十分な量でゼラチンカプセル内に配置することができる。
【0100】
サブユニット(例えば、多微粒子の形態にある)は、標準技術を使用する従来型錠剤製造装置を用いて経口錠剤に圧縮することができる。錠剤製剤には、賦形剤、例えば不活性希釈剤(例えば、ラクトース)、造粒剤および錠剤崩壊剤(例えば、コーンスターチ)、結合剤(例えば、デンプン)および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含むことができる。
【0101】
または、トリミプラミンを含有し、任意で追加の活性物質を含有するサブユニットは、押出プロセスにかけることができ、結果として生じる押出物は次に当技術分野において公知の方法によって錠剤に成形される。押出成形機のアパーチャもしくは出口ポートの直径を調節すると、押出ストランドの厚さを変化させることができる。さらに、押出成形機の出口部分は、任意の適切な形状、例えば円形、長円形もしくは長方形を有していてよい。出てくるストランドは任意の適切な方法を用いて、例えば熱線カッターまたは裁断機を用いて粒子へ縮小することができる。
【0102】
溶融押出成形多微粒子系は、押出成形機の出口オリフィスに依存して、例えば、顆粒、スフェロイド、ペレットなどの形態であってよい。用語「溶融押出成形多微粒子」および「溶融押出成形多微粒子系」および「溶融押出成形微粒子」は、本明細書で互換的に使用されており、典型的には、好ましくは類似サイズおよび/または形状の複数のサブユニットが含まれる。溶融押出成形多微粒子は、典型的には長さが約0.1〜約12mm、および直径が約0.1〜約5mmである。さらに、溶融押出成形多微粒子は、このサイズ範囲内で任意の幾何学的形状であってよい。または、押出物は、単純に所望の長さに切断し、ペレット化工程の必要性を伴わずに、単位用量のトリミプラミンに微粉化することができる。
【0103】
本明細書に記載した経口製剤の多くは、粒子の形態でトリミプラミンおよび任意で追加の活性物質を含有している。そのような粒子は、例えば味マスキング製剤、圧縮コーティング製剤、もしくは腸溶コーティング製剤などの、コーティングされた製剤のコア要素中に存在する錠剤に圧縮されてよい、またはカプセル剤、浸透圧ポンプ製剤、または他の製剤中に含有されてよい。
【0104】
コーティングされた製剤のコア要素中に存在する粒子(例えば、粉末粒子)については、粒子は約1μm〜約250μm、好ましくは約25μm〜約200μm、より好ましくは約35μm〜約150μmの粒径を有していてよい。コア要素は、典型的には約100μmのメジアン値を備える粒径分布を有する。
【0105】
考察すべきまた別のパラメータは、粒子の形状および/または任意のコア要素である。例えば、粒子/コア形状は、使用できる任意のコーティングの被覆および安定性に影響を及ぼすことができる。トリミプラミンの結晶化度および粒子のアスペクト比の両方が、粒子/コア形状に関連している。コーティングされた製剤のトリミプラミンが結晶形態を有する場合は、結晶状の鋭角は、本製剤からのトリミプラミンの早期放出を引き起こす可能性があるコーティング内の、脆弱性(例えば、応力点)を引き起こす可能性がある。さらに、薄膜コーティングの領域は破損や亀裂の影響を受けやすいので、徐放性および味マスキングのためには余り有効ではない。この潜在的問題は、比較的低いアスペクト比を有する粒子/コアによって多少は相殺される可能性がある。アスペクト比は、長さ対幅の尺度である。例えば、約1の低アスペクト比は、四角形もしくは球形である。高いアスペクト比を備える結晶は、針状結晶とともにより尖っている。高アスペクト比を備える結晶は、結晶針尖において比較的薄いコーティングを生じさせ、トリミプラミンの好ましい放出速度よりも高速の放出速度をもたらす可能性がある。粒子の低アスペクト比の球形は、コーティングの溶解性のため、および製剤中に含有される全トリミプラミンが放出される機会を増加させるための両方に有益である。このため、アスペクト比は約3未満、より好ましくは約2未満、および最も好ましくは実質的に円形を提供する約1であることが最も好ましい。これは、例えば、球形化によって達成できる。
【0106】
サイズおよび形状における不一致は、一貫性のないコーティングを導くことがある。トリミプラミンを含有する粒子のサイズおよび形状が相違する場合は、例えばエチルセルロースなどのポリマーコーティング材料は、各粒子上に様々に沈着する可能性がある。このため、コーティングされた製剤については、コーティングプロセスがより良好に制御および維持されるように、本製剤の全部ではなくても大部分の粒子が実質的に同一サイズおよび形状を有することが好ましい。
【0107】
本明細書に記載した組成物は、コーティング材料でコーティングすることができる。コーティングは、本組成物の典型的には約0〜約90重量%を含んでいる。コーティング材料には、典型的には、ポリマー、好ましくはフィルム形成ポリマー、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロース、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、高密度もしくは低密度のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリビニルピロリドン、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0108】
コーティング材料は、水溶性または水不溶性であってよい。味マスキングなどの所定の用途のためには、水不溶性ポリマーを使用することが好ましい。適切な水不溶性ポリマーには、エチルセルロースもしくはエチルセルロースの分散液、アクリル酸および/またはメタクリル酸エステルポリマー、酢酸セルロース、酪酸塩もしくはプロピオン酸塩または低含量の第4級アンモニウムを有するアクリレートもしくはメタクリレートのコポリマーならびに上記ポリマーの組み合わせが含まれる。
【0109】
本発明の組成物において使用するために好ましい疎水性もしくは水不溶性ポリマーには、例えば、メタクリル酸エステル、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール−マレイン酸無水物コポリマー、β−ピネンポリマー、木材樹脂のグリセリルエステル、ならびに上記の組み合わせが含まれる。
【0110】
コーティングはさらに、例えば糖類(例えば、ラクトース、スクロース、フルクトースおよびマンニトール)、塩(例えば、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム)および有機酸(例えば、フマル酸、コハク酸、酒石酸および乳酸)などの1つ以上のモノマー材料を含むことができる。コーティングは、本明細書で上述した充填剤をさらに含むことができる。
【0111】
コーティング組成物は、コーティングフィルムの物理的特性を向上させる添加物を含むことができる。例えば、コーティング組成物は、可塑剤を含んでいてよい。例えば、エチルセルロースは相対的に高いガラス転移温度を有しており、通常のコーティング条件下では柔軟性フィルムを形成しないので、それをコーティング材料として使用する前にエチルセルロースへ可塑剤を加えるのが有益な可能性がある。一般に、コーティング溶液に含まれる可塑剤の量は、ポリマーの濃度に基づいており、典型的にはコーティング組成物の0〜約50重量%の範囲に及ぶ。可塑剤の適切な濃度は、ルーチンの実験によって決定することができる。
【0112】
エチルセルロースおよびその他のセルロースのための可塑剤の例には、例えばセバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、フタル酸塩エステル、ヒマシ油などの可塑剤、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0113】
アクリルポリマーのための可塑剤の例には、クエン酸エステル、例えばクエン酸トリエチル21、クエン酸トリブチル、フタル酸ジブチル、1,2−プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ヒマシ油、トリアセチン、アセチル化モノグリセリド、フタル酸エステル、ヒマシ油、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0114】
典型的なコーティングは、(a)例えばアルキルセルロース(例えば、エチルセルロース)などの難透水性成分、例えばAQUACOAT(30%溶液)もしくはSURELEASE(25%溶液)と、(b)水溶性成分、例えば可溶性成分が水和または溶解すると難透水性成分を通るチャネルを形成できる物質とを含んでいる。
【0115】
好ましくは、水溶性成分(b)は、低分子量ポリマー材料、例えばヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキル(アルキルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、またはそれらの塩である。これらの水溶性ポリマー材料の特定の例には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、METHOCEL)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。水溶性成分(b)は、好ましくは約25,000未満、好ましくは約21,000未満の、好ましくは比較的低分子量である。
【0116】
コーティング内では、水溶性成分(b)対難透水性部分(a)の重量比は、典型的には約1:4〜約2:1、例えば約1:2〜約1:1、例えば約2:3である。コーティングは、典型的には、全組成物の約1〜約90重量%、例えば約2〜約50重量%、例えば約5〜約30重量%を構成する。
【0117】
好ましくは、コーティングは実質的に連続するコーティングであってよく、実質的に孔を含んでいない。これは、例えばコーティングが味マスキングを提供する場合は、特に有益である。語句「実質的に連続するコーティング」は、走査型電子顕微鏡下で1,000倍に拡大した場合に平滑で連続する外観を保持し、コーティングの孔もしくは破損が明白ではないコーティングを含むことが意図されている。典型的には、コーティングは、厚さが約0.005〜約25μm、好ましくは約0.05〜約5μmである。
【0118】
本発明の組成物において、本明細書に記載した1つ以上のコーティングを使用できる。2つ以上のコーティングが存在する場合は、各コーティングのために使用されるコーティング材料は、同一であっても相違していてもよい。
【0119】
コーティングを適用するためには、任意の適切な方法を使用できる。使用できるプロセスには、単純性もしくは複雑性コアセルベーション(液滴形成)、界面重合、液体乾燥、熱および/またはイオンゲル化、スプレー乾燥、スプレー冷却、流動層コーティング、パンコーティングおよび静電沈着が含まれる。実質的に連続するコーティングは、例えば、低露点を有する乾燥ガス中において、溶媒中のポリマーを含むコーティング組成物の溶液中のトリミプラミンの懸濁液もしくは分散液からスプレー乾燥することによって達成することができる。
【0120】
コーティングを適用するために溶媒が使用される場合は、溶媒は、好ましくはコーティング材料のためには良好な溶媒であり、トリミプラミンのためには不良な溶媒である、有機溶媒である。トリミプラミンは、溶媒中に部分的に溶解する可能性があるが、有効成分はコーティング材料よりも迅速にスプレー乾燥プロセス中に溶媒から沈降するのが好ましい。溶媒は、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール、例えばジクロロメタン(塩化メチレン)などのハロゲン化炭化水素、例えばシクロヘキサンなどの炭化水素、およびそれらの組み合わせから選択することができる。
【0121】
溶媒中のポリマーの濃度は、通常は約75重量%未満、典型的には約10〜約30重量%である。コーティング後には、典型的には、コーティングされた製剤は、約50℃〜約60℃の温度で、約1〜約2時間かけて硬化させられる。
【0122】
製剤(例えば、錠剤)は、製剤化学の当業者には容易に明白である様々な従来型の混合、粉砕および作製技術によって調製することができる。そのような技術の例は、直接圧縮(適切な回転式打錠プレス機に適する適切なパンチおよびダイを使用する)、圧縮装置に適合する適切な金型を使用する射出成形もしくは圧縮成形、造粒後の圧縮、および金型内または様々な長さに切断される押出物への押出し成形である。
【0123】
粒子もしくは錠剤が直接圧縮によって作製される場合は、粒子/錠剤への潤滑剤の添加は、粉末の流れを促進し、圧力が緩和された時点の粒子のキャッピング(粒子の一部分を破損させること)を防止するために役立つ可能性があり、時には重要である。有用な潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム(典型的には、パウダーミックス内で約0.25重量%〜約3重量%の濃度)、および水素化植物油であり、例えばステアリン酸およびパルミチン酸の水素化かつ精製されたトリグリセリドは、パウダーミックス内で約1〜約5重量%で使用できる。粉末の流動性を強化して粘着性を減少させるためには、充填剤として追加の賦形剤を加えることができる。
【0124】
経口製剤は、カプセル内の多微粒子の形態にある有効量の溶融押出成形サブユニットを含むことによって調製することができる。例えば、複数の溶融押出成形多微粒子は、経口投与した場合に所望の放出プロファイルを提供するために十分な量でゼラチンカプセル内に配置することができる。または、本組成物は、ゼラチンカプセル内に封入されたマイクロタブレットの形態であってもよい。マイクロタブレットは、典型的にはそれらの最大寸法で0.5〜7mm、例えば1〜6mm、例えば3〜4mmのサイズを有している。
【0125】
以下では、好ましい成分を有する多数の製剤について記載する。1つのタイプの製剤において使用されていると記載される成分は、たとえそのような成分が他の製剤に使用されていると列挙されない場合であっても、いずれも他のタイプの製剤においても使用できると理解されたい。さらに、以下に記載する製剤は、上述した賦形剤のいずれか、または実際に当技術分野において公知の賦形剤のいずれかもまた含有することができる。
【0126】
本発明の組成物は、ワックス製剤の形態であってよい。ワックス製剤は、ワックス状マトリックス内にトリミプラミンを含む固体製剤である。
【0127】
本発明の組成物において使用されるワックス材料は、例えば、非晶質ワックス、アニオン性ワックス、アニオン性乳化ワックス、漂白ワックス、カルナウバワックス、セチルエステルワックス、ミツロウ、キャスターワックス、例えばカチオン性乳化ワックス、セトリミド乳化ワックス、もしくは非イオン性乳化ワックスなどの乳化ワックス、ベヘン酸グリセロール、微結晶ワックス、非イオン性ワックス、パラフィン、石油ろう、鯨ろう、白ろう、ならびに上記のワックスの1つ以上の組み合わせであってよい。
【0128】
本発明において使用するために適切なアセチルエステルワックスは、典型的には約470〜約490の分子量を有しており、主として飽和脂肪アルコールおよび飽和脂肪酸のエステルを含有する混合物である。本発明の組成物において使用するために適切なワックスマトリックスは、カルナウバワックスを含有しており、その他のワックス状材料を含有していない。また別の適切なワックスマトリックスには、カルナウバワックスおよびベヘン酸グリセロールが含まれる。本発明において使用するために適切なワックスマトリックスは、コーティングを備えて、またはコーティングを備えずに使用できる。
【0129】
ワックス材料は、マトリックス材料の総重量の約30〜約95重量%、好ましくは約40〜約85重量%、より好ましくは約45〜約80重量%、最も好ましくは約50重量%〜約75重量%の範囲内で使用できる。マトリックス材料の残りは、典型的にはトリミプラミンであるが、他の任意の成分(例えば、脂肪酸石けん、以下を参照)もまた存在してもよい。ワックスの組み合わせが使用される場合は、ワックスの成分は、任意の適切な比率で使用できる。例えば、カルナウバワックスとベヘン酸グリセリルの組み合わせが使用される場合は、各ワックスの相対量は、典型的には、約99〜60部(例えば99〜約85部)のカルナウバワックスおよび約1〜約40部(例えば1〜約15部)のベヘン酸グリセリルである。カルナウバワックスとキャスターワックスの組み合わせを有する製剤は、各ワックスの相対量は、典型的には、約99〜60部(例えば99〜約85部)のカルナウバワックスおよび約1〜約40部(例えば1〜約15部)のキャスターワックスである。カルナウバワックス、ベヘン酸グリセリル、およびキャスターワックスが存在する場合は、カルナウバワックスは、典型的には存在するワックス材料の少なくとも約85%を含んでおり、残部はベヘン酸グリセリルとキャスターワックスの組み合わせから構成される。
【0130】
ワックス状製剤中には脂肪酸および脂肪酸石けんが存在していてよい。一部の場合には、脂肪酸および/または脂肪酸石けんがワックス材料の一部分に置換されてもよい。これらの任意の脂肪酸および脂肪酸石けんは、錠剤成形潤滑剤として製薬産業において一般に使用される脂肪酸および脂肪酸石けんであってよい。そのような脂肪酸および脂肪酸石けんには、固体脂肪酸(例えば、約16〜約22個の炭素原子を有する脂肪酸)、それらのアルカリ土類金属塩(特に、マグネシウム塩およびカルシウム塩)ならびに上記の組み合わせが含まれる。例えば、脂肪酸はステアリン酸であってよい。任意の脂肪酸および脂肪酸石けんは、存在する場合は、典型的にはマトリックス材料の総重量の約10%まで、例えばマトリックス材料の総重量の約1〜約9%、例えば約2〜約8%、または約3〜約6%の量で使用される。
【0131】
ワックス製剤を調製するためには、溶融造粒技術を用いて1つ以上のワックスを溶融させ、トリミプラミンを造粒するために使用できる。顆粒は、冷却させ、次に適切なサイズへ製粉することができる。有益にも、顆粒は約75ミクロン〜約850ミクロン、好ましくは約150ミクロン〜約425ミクロンの平均粒径へ製粉される。製粉された顆粒は、任意の加工助剤と混合されてよい。加工助剤には、例えば、疎水性コロイド状二酸化ケイ素が含まれる。疎水性二酸化ケイ素は、典型的にはマトリックス材料の約0.5重量%以下の量で使用できるが、必要に応じて個別製剤は変化させることができる。ワックス状顆粒およびもしあれば加工助剤の混合物は、圧縮し、次に任意でコーティングすることができる。
【0132】
ワックス製剤は、任意の適切な製剤、例えばコーティング(例えば、機能的コーティング組成物もしくは非機能関連性コーティング組成物を用いる)または非コーティング錠剤、カプセル内に含有される圧縮ペレット、またはサラサラの粉末もしくは粉末を充填したカプセル剤に調製することができる。
【0133】
コーティング組成物が機能的コーティング組成物である場合は、典型的には水不溶性成分および水溶性成分を含んでいる。コーティング組成物が非機能的コーティング組成物である場合は、典型的には、好ましくは水不溶性成分の非存在下で水溶性成分を含んでいる。コーティング組成物は、医薬上許容される色素、顔料、またはそれらの混合物を含むことができる。
【0134】
以下でより詳細に記載するように、本発明の組成物は、トリミプラミンに加えて1つ以上の活性物質を含むことができる。このため、ワックス製剤は、マトリックス内にトリミプラミンに加えて活性物質をさらに含むことができる。
【0135】
本明細書に記載したワックス製剤は、溶融物を形成するためにワックス状材料をホットメルト加工し、顆粒を形成するために前記溶融物を用いてトリミプラミンを造粒する工程によって作製することができる。顆粒は、典型的には、マトリックスを形成するために、次に製粉されて、圧縮される。本方法は、マトリックスを形成するために顆粒を圧縮する前に、顆粒を加工助剤と混合する工程をさらに含むことができる。本方法はさらに、マトリックスを機能的および/または非機能的コーティングでコーティングする工程を含むことができる。
【0136】
本発明の組成物は、圧縮コーティング製剤の形態であってよい。そのような製剤は、コア上に圧縮コーティングされたコーティング組成物とともにトリミプラミンを含有するコア組成物を含んでいる。コア組成物は、典型的には、トリミプラミンを含有するワックス状材料を含んでいる。コーティング組成物は、典型的には、親水性ポリマーおよび任意でトリミプラミンを含んでいる。
【0137】
コア組成物のワックス状材料は、典型的にはトリミプラミンの制御放出を提供できる疎水性ワックス状材料である。そのようなワックス状材料は、例えば、カルナウバワックス、トリベヘニン、脂肪アルコール(特に12〜24個の炭素原子を有する、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコールなど)、脂肪酸(特に12〜24個の炭素原子を有する、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸など)、ポリエチレン、キャスターワックス、C16−30脂肪酸トリグリセリド、ミツロウ、ならびに上記のワックスの1つ以上の組み合わせであってよい。
【0138】
コーティング組成物の親水性ポリマーは、典型的には、トリミプラミンの制御放出に役立つように選択される。そのような親水性ポリマーの例は、フィルム形成ポリマー、例えば親水性セルロースポリマー、特にヒドロキシアルキルセルロースポリマーである。そのようなヒドロキシアルキルセルロースポリマーの例には、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース(HPEC)、ヒドロキシプロピルプロピルセルロース(HPPC)、ヒドロキシプロピルブチルセルロース(HPBC)、ならびに上記のポリマーの1つ以上の組み合わせが含まれる。
【0139】
コア組成物およびコーティング組成物はどちらも、独立して充填剤、例えば水溶性もしくは水不溶性充填剤、またはそれらの混合物を含むことができる。水不溶性充填剤の例には、タルクおよび例えばリン酸カルシウムなどのカルシウム塩、例えばリン酸二カルシウムが含まれる。コーティング組成物中に充填剤が存在する場合は、それはもしあればコア組成物中の充填剤と同一であっても相違していてもよい。例えば、コア組成物は水溶性充填剤を含むことができるが、他方コーティング組成物は水不溶性充填剤を含むことができる。
【0140】
コア組成物および/またはコーティング組成物中には、さらに任意の賦形剤も存在していてよい。そのような賦形剤には、潤滑剤(例えば、タルクおよびステアリン酸マグネシウム)、流動促進剤(例えば、ヒュームドシリカもしくはコロイド状シリカ)、pH修飾剤(例えば、酸、塩基およびバッファ系)、医薬上有用な加工助剤、ならびに上記の賦形剤の1つ以上の組み合わせが含まれる。組成物中の賦形剤は、コア組成物中の賦形剤と同一であっても相違していてもよい。
【0141】
圧縮コーティング製剤を形成するためには、コア組成物成分(トリミプラミン、ワックス状材料、および任意の賦形剤)は、典型的には共に混合され、適切なコアに圧縮される。混合する工程は、適切な順序の添加で行うことができる。コアは、最初に最小容量の成分を加え、次に順に容量の多い成分を加えながら混合することができる。また別のプロセスは、ワックスを溶融させ、トリミプラミンおよび任意の賦形剤を溶融したワックスに混合する方法である。または、トリミプラミン、ワックスおよび任意の賦形剤を共に混合し、次にワックスが溶融する温度にさせることもできる。冷却したら、コアに圧縮するために固化した塊を顆粒へ製粉することができる。
【0142】
典型的には、コア組成物は、錠剤を形成するためにコーティング組成物を用いて圧縮コーティングされる。錠剤は、任意の追加のコーティングを用いてさらにコーティングされてもよい。追加のコーティングは、pH依存性もしくはpH非依存性、審美的もしくは機能的であってよく、トリミプラミンまたは相違する活性物質を含有することができる。
【0143】
トリミプラミンがコーティング組成物中に存在する場合、コア組成物中のトリミプラミン対コーティング組成物中のトリミプラミンのモル比は、約500:1〜約1:10、例えば約100:1〜約1:5、例えば約10:1〜約1:1である。
【0144】
好ましい圧縮コーティング製剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むコーティング組成物でコーティングされたトリミプラミンを含むコア組成物を含んでいる。コア組成物は、任意で1つ以上のワックス状材料、例えばカルナウバワックスを含んでおり、コーティング組成物は任意で(例えば、本発明の多成分組成物の即時放出型部分中に)トリミプラミンを含んでいる。そのような圧縮コーティング製剤は、コーティング組成物をコア組成物上に圧縮コーティングする工程によって調製することができる。
【0145】
本発明の組成物は、浸透圧ポンプ技術を使用して調製することができる。浸透圧ポンプ技術は、制御された速度でトリミプラミンを送達するために浸透圧を使用する。浸透圧ポンプ製剤は、典型的には、1つの成分がトリミプラミンを含み、もう1つの成分が浸透圧プッシュ層(浸透圧的に活性な膨張性駆動部材)、例えば浸透圧的に活性なポリマーを含む少なくとも2つの成分を含有するコアを取り囲んでいる、半透膜を含んでいる。この製剤が嚥下された後、水は主として膜の性質によって決定される速度で膜に進入する。これは、プッシュ層が膨潤することを引き起こし、浸透圧的に活性な駆動部材の作用によって、通路もしくはオリフィス(例えば、レーザードリル孔)を含む出口手段を通して、トリミプラミンを所望の制御された速度で放出する。
【0146】
浸透圧ポンプ製剤は、典型的には半透膜、例えばカプセルもしくは錠剤、または典型的には選択的に半透性材料を含む外壁を有するその他の製剤を含んでいる。選択的に透過性の材料は、好ましくは以下の:(i)宿主もしくは動物に有害な影響を及ぼさない、(ii)外部の水性液体、例えば水もしくは生体液の通過には透過性であるが、トリミプラミンの通過に対しては本質的に不透過性のままである、(iii)体液中では実質的に不溶性である、(iv)非毒性である、(v)それが曝露される環境において非浸食性である、という特性を有する。
【0147】
選択的に半透性の壁を形成するための代表的な材料には、半透性ホモポリマーおよびコポリマーが含まれる。適切な材料には、例えば、セルロースエステル、セルロースモノエステル、セルロースジエステル、セルローストリエステル、セルロースエーテル、セルロースエステル−エーテル、およびそれらの組み合わせが含まれる。これらのセルロースポリマーは、それらのアンヒドログルコース単位上で0超〜約3の置換度(DS)を有する。「置換度」は、置換基によって置換されている、またはまた別の基へ変換されているアンヒドログルコース単位上に最初から存在するヒドロキシル基の平均数である。アンヒドログルコース単位は、例えば、アシル、アルカノイル、アロイル、アルケニル、アルコキシ、ハロゲン、カルボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカーボネート、アルキルスルホネートおよびアルキルスルファメートなどの基を形成する半透性ポリマーで、部分的または完全に置換することができる。
【0148】
その他の選択的に半透性の材料には、例えば、アシル酸セルロース、ジアシル酸セルロース、トリアシル酸セルロース、酢酸セルロース、二作酸セルロース、三酢酸セルロース、モノ−、ジ−およびトリ−セルロースアルカニレート、モノ−、ジ−およびトリ−アルケニレート、モノ−、ジ−およびトリ−アロイレート、ならびに上記材料の組み合わせが含まれる。典型的なポリマーには、1.8〜2.3のDSおよび約32〜約40%のアセチル含量を有する酢酸セルロース、1〜2のDSおよび約21〜約35%のアセチル含量を有する二作酸セルロース、2〜3のDSおよび約34〜約45%のアセチル含量を有する三酢酸セルロースが含まれる。セルロースポリマーのその他の例には、1.8のDSおよび約38.5%のプロピオニル含量を有するプロピオン酸セルロース、約1.5〜約7%のアセチル含量および約39〜約42%のプロピオニル含量を有する酢酸プロピオン酸セルロース、約2.5%〜約3%のアセチル含量、約39〜約45%の平均プロピオニル含量および約2.8%〜約5.4%のヒドロキシル含量を有する酢酸プロピオン酸セルロースが含まれる。セルロースポリマーのさらにその他の例には、1.8のDS、約13〜約15%のアセチル含量、および約34%〜約39%のブチリル含量を有する酢酸酪酸セルロース、約2〜約29.5%のアセチル含量、約17〜約53%のブチリル含量および約0.5%〜約4.7%のヒドロキシル含量を有する酢酸酪酸セルロースが含まれる。適切なセルロースポリマーのさらにまた別の例には、2.9〜3のDSを有するセルローストリアシレート、例えば、セルローストリバレレート、セルローストリラウレート、セルローストリパルミテート、セルローストリオクタノエート、およびセルローストリプロピオネート、2.2〜2.6のDSを有するセルロースジエステル、例えば、セルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジカルピレート、混合セルロースエステル、例えば酢酸吉草酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、プロピオン酸コハク酸セルロース、酢酸オクタン酸セルロース、吉草酸パルミチン酸セルロース、酢酸ヘプタン酸セルロース、ならびに上記のセルロースポリマーの組み合わせが含まれる。
【0149】
その他の潜在的に適切な半透性ポリマーには、例えば、アセトアルデヒドジメチル酢酸セルロース、酢酸セルロース・エチルカルバメート、酢酸セルロース・メチルカルバメート、ジメチルアミノ酢酸セルロース、半透性ポリアミド、半透性ポリウレタン、半透性ポリスルファン、半透性スルホン化ポリスチレン、ポリアニオンとポリカチオンの共沈によって形成される架橋選択的半透性ポリマー、半透性シリコンゴム、半透性ポリスチレン誘導体、半透性ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、半透性ポリ(ビニルベンジルトリメチル)アンモニウムクロライドポリマー、ならびに先行段落に列挙した選択的半透性材料の1つ以上の組み合わせを含む、上記のポリマーのいずれかを含む組み合わせが含まれる。
【0150】
浸透圧ポンプ製剤の浸透圧的に膨張可能な駆動部材(もしくは浸透圧プッシュ層)は、典型的には膨潤性かつ膨張性インナー層である。浸透圧プッシュ層を形成するために適切な材料には、ポリマー材料および/または浸透圧剤と混合されたポリマー材料が含まれるが、それらのどちらも典型的には水もしくは生体液と相互作用し、液体を吸収し、液体の存在下では溶解することなく平衡状態へ膨潤もしくは膨張する。好ましくは、ポリマーは、ポリマー分子構造内に吸収された液体の有意な画分を保持する能力を示さなければならない。そのようなポリマーは、非常に高度に膨潤もしくは膨張できる、例えば約2〜約50倍の容積増加を示すゲルポリマーであってよい。
【0151】
オスモポリマー(osmopolymer)としても公知である適切な膨潤性親水性ポリマーは、非架橋または軽度に架橋していてよい。架橋結合は、ポリマーとの共有結合またはイオン結合であってよい。ポリマーは、植物、動物もしくは合成起源であってよい。本発明の目的のために有用なポリマー材料には、約5,000〜約5,000,000の分子量を有するポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、約10,000〜約360,000の分子量を有するポリ(ビニルピロリドン)、アニオン性およびカチオン性ヒドロゲル、ポリ(電解質)複合体、低酢酸塩残留物を有するポリ(ビニルアルコール)、寒天とカルボキシメチルセルロースの膨潤性混合物、発泡性架橋寒天と混合されたメチルセルロースを含む膨潤性組成物、マレイン酸無水物とスチレン、エチレン、プロピレン、もしくはイソブチレンとの微粉化コポリマーの分散によって生成される水膨潤性コポリマー、N−ビニルラクタムの水膨潤性ポリマー、ならびに上記のポリマーの組み合わせが含まれる。
【0152】
浸透圧プッシュ層を形成するために有用な、ゲル化可能であり液体を吸収かつ保持するその他のポリマーには、約30,000〜約300,000の範囲内の分子量を有するペクチン、例えば寒天、アカシア、カラヤ、トラガント、アルギンおよびグアールなどの多糖類、ポリ(カルボン酸)およびそれらの塩誘導体、ポリアクリルアミド、水膨潤性インデンマレイン酸無水物ポリマー、約80,000〜約200,000の分子量を有するポリアクリル酸、約100,000〜約5,000,000(しかし、もっと高い場合がある)の分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、デンプングラフトコポリマー、ポリアニオンおよびポリカチオン交換ポリマー、デンプン−ポリアクリロニトリルコポリマー、それらの元の重量の約100〜約600倍の吸水性を備えるアクリレートポリマー、ポリグルカンのジエステル、架橋ポリビニルアルコールとポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)の混合物、ゼイン(プロラミンとして入手できる)、約4,000〜約100,000の分子量を有するポリ(エチレングリコール)、ならびに上記のポリマーの組み合わせが含まれる。
【0153】
浸透圧ポンプ製剤の浸透圧的に膨張可能な駆動層は、そのままで使用できる、または上記で考察した膨潤性ポリマーと均質もしくは不均質に混合できる、浸透圧的に有効な化合物(オスマゲント(osmagent))をさらに含有していてよい。そのようなオスマゲントは、典型的には、膨潤性ポリマー内に吸収された液体中に可溶性であり、さらに外部液体に対して半透性壁を越える浸透圧勾配を示す、浸透圧的に有効な溶質である。
【0154】
適切なオスマゲントには、例えば固体化合物、例えば硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、マンニトール、尿素、ソルビタール、イノシトール、スクロース、グルコース、およびそれらの組み合わせなどが含まれる。オスマゲントの浸透圧は、典型的には約0〜約500atmであるが、それより高くてもよい。
【0155】
浸透圧的に膨張性の駆動層の膨潤性かつ膨張性ポリマーは、製剤からトリミプラミンを送達するための駆動起源を提供することに加えて、さらにまた浸透圧的に有効な化合物(もしくはオスマゲント)のための支持マトリックスとして機能することもできる。浸透圧化合物は、所望の膨張性壁または膨張性ポケットを産生するために、ポリマーと均質もしくは不均質に混合されてよい。典型的な浸透圧ポンプ製剤は、製剤の総重量に基づいて、約20〜約90重量%のポリマーおよび約80〜約10重量%の浸透圧化合物、好ましくは約35〜約75重量%のポリマーおよび約65〜約25重量%の浸透圧化合物を含んでいてよい。
【0156】
浸透圧ポンプ製剤中のトリミプラミンは、任意の適切な方法で、例えばトリミプラミンが熱応答性組成物中に分散させられている熱応答性製剤として調製することができる。または、浸透圧ポンプ製剤は、浸透圧プッシュ層とトリミプラミン組成物との界面で熱応答性組成物を含む熱応答性要素を含有していてよい。代表的な熱応答性組成物(それらの融点は括弧内に含まれている)は、カカオ脂(32℃〜34℃)、カカオ脂と2%ミツロウ(35℃〜37℃)、プロピレングリコールモノステアレートおよびジステアレート(32℃〜35℃)、水素化油、例えば水素化植物油(36℃〜37.5℃)、80%水素化植物油および20%ソルビタンモノパルミテート(39℃〜39.5℃)、80%水素化植物油および20%ポリソルベート60(36℃〜37℃)、77.5%水素化植物油、20%ソルビタントリオレエート、2.5%ミツロウおよび5.0%蒸留水(37℃〜38℃)、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、およびアラキドン(archidonic)酸などの飽和および不飽和酸を含む8〜22個の炭素原子を有する酸のモノ−、ジ−、およびトリグリセリド;飽和脂肪酸とモノ−およびジグリセリドのトリグリセリド(34℃〜35.5℃)、プロピレングリコールモノ−およびジステアレート(33℃〜34℃)、部分水素化綿実油(35℃〜39℃)、ポリオキシアルキレンおよびプロピレングリコールのブロックコポリマー、1,2−ブチレンオキシドおよびエチレンオキシドのブロックコポリマー、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのブロックコポリマー、硬化脂肪アルコールおよび脂肪(33℃〜36℃)、ヘキサジエノールおよび水性ラノリントリエタノールアミングリセリルモノステアレート(38℃)、モノ−、ジ−、およびトリグリセリドの共晶混合物(35℃〜39℃)、WITEPSOL#15、飽和植物性脂肪酸およびモノグリセリドとのトリグリセリド(33.5℃〜35.5℃)、ヒドロキシル基を含まないWITEPSOL H32(31℃〜33℃)、225〜240の鹸化値を有するWITEPSOL W25(33.5℃〜35.5℃)、220〜230の鹸化値を有するWITEPSOL E75(37℃〜39℃)、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール1000、エチレンオキシドの線状ポリマー(38℃〜41℃)、ポリエチレングリコール1500(38℃〜41℃)、ポリエチレングリコールモノステアレート(39℃〜42.5℃)、33%ポリエチレングリコール1500、47%ポリエチレングリコール6000および20%蒸留水(39℃〜41℃)、30%ポリエチレングリコール1500、40%ポリエチレングリコール4000および30%ポリエチレングリコール400(33℃〜38℃)、11〜17個の炭素原子を有する飽和脂肪酸のモノ−、ジ−、およびトリグリセリドの混合物(33℃〜35℃)、ならびに上記の混合物である。
【0157】
熱応答性担体を含む熱応答性組成物は、約20℃〜約33℃の温度で固体組成物中でトリミプラミンを貯蔵するため、膨潤している組成物界面で非混和性境界を維持するため、および約33℃を超える、好ましくは約33℃〜約40℃の温度で流動性組成物中に物質を分散させるために有用であると考えられる。
【0158】
上述した熱応答性製剤を含有するトリミプラミンが使用される場合は、そのような浸透圧ポンプ製剤中にも存在する半透性膜の完全性は、好ましくは熱応答性製剤の存在によって侵害(例えば、溶融もしくは浸食)されない。
【0159】
浸透圧ポンプ製剤中のトリミプラミンは、当技術分野において公知の適切な技術によって、例えば以下でより詳細に記載するような湿式造粒法もしくは流動層造粒法によって調製することができる。
【0160】
最初に、トリミプラミンおよびトリミプラミン層を含む成分は、造粒液として有機溶媒、例えばイソプロピルアルコール−二塩化エチレン80:20v/v(容積/容積)などの有機溶媒を用いて混合される。例えば変性アルコール100%などのその他の造粒液をこのために使用できる。トリミプラミン層を形成する成分は、個別に、例えば40メッシュスクリーンなどのスクリーンを通過させられ、次にミキサー内で完全に混合される。次に、トリミプラミン層を含む他の成分は、造粒液の一部分に溶解させられる。次に、後に調製された湿性混合物が、ブレンダ内で持続的に混合しながらトリミプラミン混合物へ緩徐に加えられる。造粒液は、湿性混合物が生成されるまで加えられ、その湿性塊は次に例えば20メッシュスクリーンなどのスクリーンに通してオーブントレイ上へ送り出される。混合物は約30℃〜約50℃で約18〜約24時間にわたり乾燥させられる。乾燥顆粒は、次に例えば20メッシュスクリーンなどのスクリーンを用いてサイジングされる。次に潤滑剤が80メッシュスクリーンなどのスクリーンを通過させられ、乾燥顆粒混合物に加えられる。この混合物は製粉ボール内に注入され、約1〜約15分間にわたりボールミル上で混合される。プッシュ層もまた、同一の湿式造粒技術によって作製することができる。組成物は、KILIAN圧縮層プレス機内で別個の層に圧縮される。
【0161】
トリミプラミン層および浸透圧的に膨張性の駆動層を提供するために使用できるまた別の製造プロセスは、流動層造粒機内で個別に各層のための粉末状成分を混合する工程を含んでいる。粉末状成分が造粒機内で乾式混合された後、造粒液(例えば、水中のポリ(ビニル−ピロリドン)、変性アルコール、95:5のエチルアルコール/水、またはエタノールおよび水の混合液)が粉末上にスプレーされる。任意で、成分は、造粒液中に溶解もしくは懸濁させることができる。次にコーティングされた粉末は、典型的には造粒機内で乾燥させられる。このプロセスは、その間に造粒液を加えながら、その中に存在する成分を造粒する。顆粒が乾燥させられた後、例えばステアリン酸もしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤が造粒機に加えられる。各個別層のための顆粒は、次に湿式造粒法について上述した方法で圧縮される。
【0162】
浸透圧プッシュ式トリミプラミン製剤および浸透圧プッシュ製剤の浸透圧プッシュ層は、トリミプラミンを成分を形成する組成物と混合する工程と、前記組成物を固体ラミナに圧縮する工程とによって製造することもできる。さらにまた別の製造方法では、トリミプラミン、任意の他の組成物形成成分および溶媒は、典型的には固体、または半固体に、例えばボールミリング法、カレンダ法、攪拌もしくはロールミリング法などの方法によって混合され、次に事前に選択された層形成形状に圧縮される。次に、オスモポリマーおよび任意でオスマゲントを含む組成物の層が、典型的にはトリミプラミンを含む層と接触させて配置される。トリミプラミンを含む第1層と、オスモポリマーおよび任意でオスマゲント組成物を含む第2層との層形成は、従来型積層プレス技術を用いることによって遂行できる。
【0163】
半透性壁は、圧縮された二重層形状を壁形成材料へモールド成形する、スプレーする、または浸漬する工程によって適用できる。浸透圧製剤の半透性壁を形成するためには、壁形成組成物が層を取り囲むまで空気の流れ内で2つの層を懸濁かつ回転させる工程を含む空気サスペンションコーティング法もまた使用できる。
【0164】
浸透圧ポンプ製剤のディスペンサは、例えば、ハードもしくはソフトカプセルの形態であってよい。カプセルもまた浸透圧性であってよい。
【0165】
ハードカプセルは、2つのパーツであるキャップおよび本体であって、典型的には本体(一般にはキャップより大きい)にトリミプラミンが充填された後に組み合わされるキャップおよび本体から構成されてよい。ハードカプセルは、キャップ部分を本体部分に被せて滑らせる、またははめ込むことによって組み合わすことができるので、トリミプラミンは完全に取り囲まれて封入される。
【0166】
浸透圧ポンプ製剤のソフトカプセルは、一体型ソフトカプセルであってよい。典型的には、ソフトカプセルは、トリミプラミンを封入している密封構造を含んでいる。カプセルは、様々なプロセス、例えばプレートプロセス、ロータリーダイプロセス、往復ダイプロセス、および連続プロセスなどによって作製できる。
【0167】
浸透圧ポンプ製剤のカプセルを形成するために有用な材料は、ゼラチン(典型的には約5〜約30ミリポアズの粘度および約150gまでのブルーム強度を有するゼラチン、または約150〜約250のブルーム値を有するゼラチン)、ゼラチン、グリセリン、水および二酸化チタンを含む組成物、ゼラチン、エリスロシン、酸化鉄および二酸化チタンを含む組成物、ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、ソルビン酸カリウムおよび二酸化チタンを含む組成物、ゼラチン、アカシア、グリセリン、および水を含む組成物、ならびにそれらの組み合わせを含む、市販で入手可能な材料であってよい。市販で入手可能なゼラチンカプセル(例えば、CAPSUGEL)もまた使用できる。
【0168】
半透性壁形成組成物は、モールド成形する、成形する、エアスプレーする、浸漬する、またはブラッシングする工程によって、層状配列でトリミプラミン含有成分および/またはカプセルの外面に適用することができる。半透性壁を適用するために使用できるまた別の技術には、空気サスペンション法およびパンコーティング法が含まれる。例えば、空気サスペンション法は、壁がカプセルを取り囲んでコーティングするまで空気の流れの中にあるカプセル配列および半透性壁形成組成物を、懸濁および回転させる工程を含んでいる。この方法は、半透性層状壁を形成するために相違する半透性壁形成組成物を用いて繰り返すことができる。
【0169】
半透性壁を製造するために適切な、典型的な溶媒には、浸透圧ポンプ製剤に使用される材料、例えば、カプセル壁、トリミプラミン、熱応答性組成物、膨張性部材、または最終ディスペンサに有害な影響を及ぼさない、不活性の無機および有機溶媒が含まれる。そのような溶媒には、水性溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、水素化溶媒、脂環式、芳香族、複素環式溶媒、およびそれらの組み合わせが含まれる。特定の溶媒には、アセトン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、n−酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルアセテート、二塩化メチレン、二塩化エチレン、二塩化プロピレン、四塩化炭素、ニトロエタン、ニトロプロパン、テトラクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、シクロヘキサン、シクロオクタン、ベンゼン、トルエン、ナフサ、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、水、ならびに、例えばアセトンおよび水、アセトンおよびメタノール、アセトンおよびエチルアルコール、二塩化メチレンおよびメタノール、および二塩化エチレン、メタノール、ならびに上記の組み合わせなどのそれらの混合物が含まれる。
【0170】
トリミプラミンを放出するための浸透圧ポンプ製剤における出口手段もしくは孔は、製造中もしくは使用時に作製できる。例えば、出口手段もしくは孔は、機械的もしくはレーザー穿孔によって、または例えばゼラチンプラグなどの壁の中の浸食性要素を浸食することによって形成できる。オリフィスは、半透性壁内に挿入されたポリマーであってよく、そのポリマーは、典型的には少なくとも1つの(微小)孔を有する(微小)多孔質ポリマーである。
【0171】
胃および消化管においてトリミプラミンを制御するための製剤の例は、トリミプラミンが、単に親水性なのではなく水膨潤性であるポリマーマトリックス中に分散させられている製剤である。そのような水膨潤性マトリックスは、典型的にはそれらの膨潤速度より実質的に緩徐である浸食速度も有しており、主として拡散によってトリミプラミンを放出する。
【0172】
マトリックスからのトリミプラミンの拡散速度は、製剤の多数の特性を変化させることによって修飾できる。例えば、トリミプラミンの拡散速度は、トリミプラミンの粒径を増加させること、マトリックスに使用されるポリマーの選択、および/またはポリマーの分子量の選択によって緩徐化することができる。マトリックスは、典型的には摂取されて好ましくは非膨潤容積の少なくとも約2倍であるサイズへ膨潤する、そして胃貯留を促進する、比較的高分子量のポリマーである。膨潤すると、マトリックスはガラス状もしくは結晶状ポリマーから一貫してゴム状のポリマーへ、長期間(例えば1〜約48時間、例えば約2〜約24時間、または約3〜約12時間)をかけて変換されることができる。
【0173】
典型的には、透過する液体が、溶液拡散のプロセス、すなわち透過する液体中でのトリミプラミンの溶解およびマトリックスから取り出される溶解した薬物の拡散によって、段階的(すなわち、徐放型)もしくはパルス型方法でのトリミプラミンの放出を引き起こす。
【0174】
典型的には、マトリックス自体は投与前には固体であるが、投与されると、溶液拡散によって(上述した放出プロファイルによって規定された)制御された方法でトリミプラミンの大半が放出されることを許容するために十分な時間にわたって、胃液に未溶解のまま(すなわち、浸食されないまま)である。このため、トリミプラミンの放出における速度限定要素は、マトリックスの浸食、溶解もしくは化学的分解ではなくマトリックスからのトリミプラミンの制御された拡散であると考えられる。
【0175】
マトリックスを形成する水膨潤性ポリマーは、非毒性であり、水(および/またはその他の液体)が吸収されると寸法的に制限されない方法で膨潤する、および組み込まれたトリミプラミンの徐放を提供するポリマーである。適切なポリマーの例には、例えば、セルロースポリマーおよびそれらの誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、および微結晶セルロース)、多糖類およびそれらの誘導体、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、多糖類ガム、マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、デンプンおよびデンプンをベースとするポリマー、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリウレタンヒドロゲル、架橋ポリアクリル酸およびそれらの誘導体、ブロックコポリマーおよびグラフトポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーであるPLURONICおよびTECTONIC)を含む上記のポリマーのコポリマー、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0176】
本明細書で使用する用語「セルロース」および「セルロース(の)」は、他に特に規定しない限り、アンヒドログルコースの線状ポリマーを意味している。適切なセルロースポリマーには、例えば、予測可能なパルス型方法で最終的には胃腸管(GI)において溶解するアルキル置換セルロースポリマーが含まれる。特定の例は、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースである。適切なアルキル置換セルロースポリマーの粘度は、20℃での2%水溶液としては典型的には約100〜約110,000センチポアズ、または20℃で1%水溶液として約1,000〜約4,000センチポアズである。典型的なアルキル置換セルロースは、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースである。ヒドロキシエチルセルロースの特定の例は、NATRASOL 250HX NFである。
【0177】
適切なポリアルキレンオキシドは、アルキル置換セルロースポリマーについて上述した特性を有するポリアルキレンオキシドである。ポリアルキレンオキシドの例は、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)であり、この用語は、本明細書では未置換エチレンオキシドの線状ポリマーを意味するために使用される。適切なPEOポリマーは、典型的には約4,000,000より大きい、好ましくは約4,500,000〜約10,000,000、より好ましくは約5,000,000〜約8,000,000の分子量を有する。好ましいポリエチレンオキシドは、約1×10〜約1×10、好ましくは約9×10〜約8×10の範囲内の重量平均分子量を備えるポリエチレンオキシドである。適切なPEOは、20℃で2%水溶液として、典型的には約50〜約2,000,000センチポアズの粘度を有する。PEOの2つの特定の例は、POLYOX NF、グレードWSR凝固剤、分子量5,000,000、およびグレードWSR 303、分子量7,000,000である。
【0178】
適切な多糖類ガムの例は、天然および改質(半合成)多糖類ガム、例えばデキストラン、キサンタンガム、ジェランガム、ウェランガムおよびラムザンガムである。
【0179】
適切な架橋ポリアクリル酸には、それらの特性がアルキル置換セルロースおよびポリアルキレンオキシドポリマーについて上に記載した特性と同一または類似する、架橋ポリアクリル酸が含まれる。典型的には、そのような架橋ポリアクリル酸は、25℃で1%水溶液として、約4,000〜約40,000センチポアズの粘度を有する。3つの特定の例は、CARBOPOL NFグレード971P、974Pおよび934Pである。また別の例には、デンプン/アクリレート/アクリルアミドコポリマーであるWATER LOCKとして公知であるポリマーが含まれる。
【0180】
上述したように、上記で考察したポリマーの親水性および水膨潤性は、トリミプラミン含有マトリックスが水および/またはその他の液体の進入に起因して、胃腔内のサイズに膨潤することを引き起こす。この膨潤は、食物摂取期中の胃内でのマトリックスの貯留を促進する。親水性および水膨潤性はさらにまた、マトリックスが平滑性となることを引き起こすが、これは蠕動に対する耐性を提供し、さらに胃内でのそれらの貯留を促進する。
【0181】
マトリックスからのトリミプラミンの放出速度は、主として吸水速度およびトリミプラミンが溶解して膨潤したポリマーから拡散する速度に依存しており、これは順にトリミプラミンの溶解度および溶解速度、トリミプラミン粒径およびマトリックス内のトリミプラミン濃度に関連している。さらに、これらのマトリックス形成ポリマーは、典型的には胃液内で極めて緩徐に溶解するので、マトリックスは少なくともかなりの期間、典型的には投与期間の少なくとも70%もしくは80%、および多くの場合には、投与期間の少なくとも90%および100%超にわたってまで、その物理的完全性を保持する。一般に、粒子は次に、緩徐に溶解もしくは分解する。完全な溶解もしくは分解は、投与から24時間以上後まで発生しない可能性があるが、多くの場合には、完全な溶解もしくは分解は投与期間から10〜24時間以内に発生する。
【0182】
膨潤性マトリックス製剤は、胃液内へのトリミプラミンの放出速度をさらに遅延させるために、わずかな疎水性特性を付与する添加物を含むことができる。そのような放出速度遅延剤の例は、グリセリルモノステアレート、脂肪酸および脂肪酸の塩(例えば、ミリスチン酸ナトリウム)である。典型的には、添加物対トリミプラミンの重量比は、約1:10〜約10:1、例えば約1:5〜約5:1の範囲内にある。
【0183】
トリミプラミンに対するポリマーの量は、所望の放出プロファイルの正確な性質、その分子量、および製剤中に存在し得る賦形剤に依存して変動してよい。しかし、ポリマーの量は、トリミプラミンの全部が放出されるまでポリマーマトリックスが実質的に無傷のままであるために十分である。用語「実質的に無傷」は、本明細書では、胃液中で可溶化されること、または細片もしくは小粒子へ破損することに起因して劣化することなく、ポリマー部分が実質的にそのサイズおよび形状を保持するポリマーマトリックスを意味するために使用される。
【0184】
水膨潤性ポリマーは、個別に、または組み合わせて使用できる。所定の組み合わせは、個別に使用された場合のそれらの成分よりも高度なトリミプラミンの制御放出を提供することが多い。そのような組み合わせには、ガム(例えば、キサンタンガム)と組み合わせた、セルロースをベースとするポリマー(例えば、ヒドロキシエチルセルロースもしくはヒドロキシプロピルセルロース)またはポリ(エチレンオキシド)が含まれる。
【0185】
膨潤性マトリックス製剤の利点は、典型的には、広範囲のトリミプラミン装填量にわたって、例えばトリミプラミン対ポリマーの約0.001:1〜約10:1の重量比で達成される。典型的な装填量(トリミプラミンおよび組み合わされたポリマーに対するトリミプラミンの重量%に関して表示する)は、約0.001%〜約50%、好ましくは約0.01%〜約40%、例えば約0.1%〜約30%、例えば約1%〜20%である。
【0186】
膨潤性マトリックス製剤は、消化状態(食後または「食物摂取」モードとも呼ばれる)にある被験者に投与された場合に最大限に利用できる。食後モードは、胃内容物の胃貯留もしくは胃通過時間を決定する胃十二指腸運動活性の独特のパターンによって、空腹時(もしくは「絶食時」モードと識別可能である。
【0187】
胃および小腸内でのトリミプラミン放出のそのような局在は、実質的な結腸分解、不活性化、またはバイオアベイラビリティの消失を減少させる、および/または防止する。
【0188】
若年および高齢患者は、例えば投与時の窒息のリスクを減少させる、および/または患者コンプライアンスを向上させるために、嚥下しやすい製剤を必要とすることが多い。本発明の組成物は、それらを患者コンプライアンスのためにより適合させるために、容易に投与可能な製剤の形態であってよい。そのような容易に投与可能な製剤には、例えば、スプリンクル製剤、味マスキング液体製剤、速溶性製剤およびチュアブル製剤が含まれる。
【0189】
以下で記載する容易に投与可能な製剤はいずれも、本発明によってトリミプラミンの所望の放出プロファイルの1つ以上を有する組成物を提供するために、上述した製剤のいずれかを含んでよいことを理解されたい。
【0190】
チュアブル製剤の例は、トリミプラミン含有チュアブル錠である。そのようなチュアブル錠は、チュアブルベースおよび任意で甘味料を含んでいる。チュアブルベースは、典型的には賦形剤、例えばマンニトール、ソルビトール、ラクトース、またはそれらの組み合わせを含んでいる。チュアブル製剤において使用される任意の甘味料は、例えば、スクロース、液体グルコース、ソルビトール、デキストロース、イソマルト、液体マルチトール、アルパルテーム、ラクトース、またはそれらの組み合わせであってよい。所定の場合には、チュアブルベースおよび甘味料は、同一成分であってよい。チュアブルベースおよび任意の甘味料は、チュアブル製剤の総重量の、典型的には約50重量%〜約90重量%を含んでいる。
【0191】
チュアブル製剤は、保存料、口腔への接着および糖の結晶化を遅延および/または防止する物質、矯味剤、酸性化剤、着色剤、ならびに上記の1つ以上の組み合わせをさらに含有していてよい。グリセリン、レシチン、水素化ヤシ油もしくはグリセリルモノステアレートは、糖の結晶化保護剤として、典型的には成分の総重量の約0.01重量%〜約2重量%の量で使用することができる。そのような保護剤は、口腔への接着を防止するために役立ち、本製剤の軟質特性もしくは噛み砕き性を向上させる。さらに、または、イソマルトもしくは液体マルチトールは、チュアブル製剤の噛み砕き特性を増強するために使用することができる。
【0192】
上述したトリミプラミンを含むチュアブル製剤を作製するための方法は、柔らかい菓子を作製するために使用される方法に類似する。そのような方法は、典型的には、それにフラッペ混合物が加えられる沸騰させた糖−コーンシロップ混合物の形成を含んでいる。沸騰させた糖−コーンシロップ混合物は、90:10〜10:90の重量部比で混合される糖およびコーンシロップから調製できる。この混合物は、水を除去し、溶融塊を形成するために120℃を超える温度へ加熱することができる。フラッペ混合物は、ゼラチン、卵白、例えばカゼインなどの乳タンパク質、および大豆タンパク質などの植物性タンパク質から調製することができ、これらはゼラチン溶液に加えられ、含気スポンジ様塊を形成するために周囲温度で高速混合される。フラッペ混合物は、次に溶融キャンディベースに加えられ、典型的には60℃〜約120℃の温度で均質になるまで混合される。トリミプラミンを含有するマトリックス、錠剤もしくはその他の製剤は、次にこの混合物に約60℃〜約90℃の温度で加えられ、その後には例えば矯味剤、着色剤、および保存料などの追加の成分を加えることができる。本製剤は、次に典型的には冷却され、所望の寸法の断片へ成形される。
【0193】
速溶性製剤は、適切な味マスキングを提供しながら、本製剤が口腔内で迅速に分解することを可能にする、微粒子および1つ以上の発泡剤を含むことができる。または、速溶性製剤は、1つの活性物質および、非直接圧縮充填剤および潤滑剤を含むマトリックスを含有していてよい。米国特許第5,178,878号明細書および米国特許第6,221,392号明細書は、速溶性製剤に関しての教示を提供する。
【0194】
本発明において使用するための典型的な速溶性製剤には、水および/または唾液活性化発泡剤、崩壊剤、および微粒子を組み込んでいる混合物が含まれる。微粒子は、典型的には、トリミプラミンを、実質的にトリミプラミンを含む保護材料と共に組み込んでいる。用語「実質的に含んでいる」は、保護材料が微粒子の外側の環境との接触からトリミプラミンを実質的に遮断するという意味を含んでいる。そこで、各微粒子は、その場合には微粒子を「マイクロカプセル」もしくは「マイクロタブレット」と呼ぶことができる、保護材料のコーティングによって被覆されたトリミプラミンの個別塊を組み込むことができる。代替として、またはさらに、各微粒子は、本明細書に記載したようなコーティング組成物によって任意にコーティングされた、保護材料のマトリックス内に分散もしくは溶解させたトリミプラミンを有していてよい。
【0195】
微粒子および発泡剤を含む混合物は、典型的には患者への直接的経口投与のために適合したサイズおよび形状の錠剤として存在する。錠剤は、水および/または唾液に曝露させると、実質的に完全に分解可能である。発泡性崩壊剤は、錠剤の分解を補助するため、および錠剤が患者の口腔内に配置された場合に発泡の明確な感覚を提供するために有効な量で存在する。
【0196】
発泡の感覚は、典型的には患者にとって心地よいだけではなく、唾液産生を刺激する傾向を示し、それにより一層の発泡作用を補助するための追加の水分を提供する。そこで、錠剤が患者の口腔内に配置されると、一般には、患者による自発行為なしで迅速に、そして実質的に完全に崩壊する。そこで、患者が錠剤を噛み砕かない場合であっても、崩壊は迅速に進行するはずである。錠剤が崩壊すると、微粒子が放出され、微粒子のスラリーもしくは懸濁液として嚥下することができる。微粒子はそこで、消化管内での溶解およびトリミプラミンの全身性分布のために患者の胃へ運ばれる。
【0197】
用語「発泡剤」および「崩壊剤」は、気体を発生する化合物を含んでいる。そのような物質は、それらが口腔内の水分および/または唾液に曝露させられると発生する化学反応の手段によって、気体を発生させることができる。気泡もしくは気体発生反応は、可溶性酸起源と(アルカリ金属)炭酸塩起源との反応の結果であることが最も多い。これら2つの一般的クラスの化合物の反応は、唾液中の水分と接触すると、二酸化炭素ガスを生成する。
【0198】
そのような唾液/水分活性化材料は、水分への曝露は錠剤を早々に崩壊させるから、吸収された水分をほとんどもしくは全く伴わない一般的な無水状態で、または安定水和形で維持すべきである。例えば、本製剤は、投与前には実質的に気密な包装内に保管することができる。
【0199】
酸起源は、ヒトが摂取するために安全である任意の酸起源であってよく、一般に食用酸、酸無水物および酸性塩を含むことができる。食用酸には、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸などが含まれる。これらの酸は直接的に摂取されるので、それらの水への総溶解度は、製剤をコップ一杯の水に溶解させることが意図される場合ほど重要ではない。上述した酸の酸無水物および酸性塩もまた使用できる。酸性塩には、ナトリウム、リン酸二水素、ピロリン酸二水素二ナトリウム、酸性クエン酸塩および酸性亜硫酸ナトリウムを含むことができる。
【0200】
炭酸塩起源には、乾燥固体炭酸塩および重炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムおよび炭酸カリウム、炭酸マグネシウムおよびセスキ炭酸ナトリウム、炭酸グリシンナトリウム、L−リシンカーボネート、炭酸アルギニン、非晶質炭酸カルシウム、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0201】
発泡性崩壊剤は、典型的には反応すると二酸化炭素を形成する崩壊剤であるが、これは必須ではない。ヒト患者にとって安全である酸素またはその他の気体を発生する発泡性崩壊剤もまた使用できる。
【0202】
発泡剤が2つの相互に反応性の成分、例えば酸起源および炭酸塩起源を含む場合は、両方の成分が実質的に完全に反応することが好ましい。このため、酸および炭酸塩起源の等モル比が好ましい。例えば、使用される酸が二陽子性である場合は、完全な中和が実現されるためには、単一反応性炭酸塩塩基のモル量の2倍、または二反応性塩基の等モル量を使用しなければならない。しかし酸もしくは炭酸塩起源どちらかの量が、他方の成分の量を超えてもよい。これは、どちらかの成分を過剰に含有する錠剤の味および/または性能を強化するために有益な場合がある。そのような場合は、どちらかの成分の追加量が未反応のままであることを容認できる。
【0203】
速溶性製剤(例えば、錠剤)は、典型的には経口投与された場合に錠剤の迅速かつ完全な崩壊を補助するために有効な量の発泡性崩壊剤を含有している。「迅速」とは、錠剤が患者の口腔内において、10分間未満、例えば約15秒間〜約7分間、例えば約30秒間〜約5分間で崩壊すべきであると理解されている。口腔内での崩壊時間は、約37℃の水中での錠剤の崩壊時間を観察することによって測定できる。錠剤は、強制的攪拌を行わずに水中に浸漬される。崩壊時間は、目視観察によって決定される、浸漬から錠剤の実質的完全な分散までの時間である。本明細書で使用する用語である、錠剤の「完全な崩壊」は、マイクロカプセルもしくはその他の離散的含有物の溶解もしくは崩壊を必要としない。
【0204】
そのような崩壊を達成するためには、速溶性製剤において典型的に使用される発泡剤もしくは崩壊剤の量は、最終組成物の約5重量%〜約50重量%、好ましくは約15重量%〜約40重量%、より好ましくは約20重量%〜約30重量%である。
【0205】
上述した錠剤は、周知の錠剤製造法によって製造できる。
【0206】
上述したように、各微粒子は、典型的には保護材料と結び付けてトリミプラミンを組み込んでいる。微粒子は、マイクロカプセル、マイクロタブレットまたはマトリックス型微粒子として提供されてよい。マイクロカプセルは、離散的な、別個に観察可能な保護材料のコーティングによって取り囲まれたトリミプラミンの離散的塊を組み込むことができる。これとは反対に、マトリックス型粒子では、トリミプラミンは、保護材料全体に溶解、懸濁、さもなければ分散させられる。所定の微粒子は、マイクロカプセルおよびマトリックス型粒子両方の属性を含むことができる。例えば、微粒子は、第1保護材料中にトリミプラミンの分散剤を組み込んでいるコア、およびコアを取り囲んでいる第1保護材料と同一であっても相違していてもよい第2保護材料のコーティングを組み込むことができる。または、微粒子は、本質的にトリミプラミンからなるコア、および保護材料を組み込んでいるコーティングであって、そのコーティング自体がその中に分散した一部のトリミプラミンを有するコーティングを組み込むことができる。微粒子は、典型的には約75〜約600ミクロン、好ましくは約150〜約500ミクロン、例えば約200〜約450ミクロンの平均径を有する。微粒子は、約200〜約300メッシュ(米国標準サイズ)、例えば約100〜約35メッシュであってよい。
【0207】
上述した速溶性製剤において使用するために適切な保護材料には、典型的には、例えばマトリックス型微粒子、マイクロタブレットおよびマイクロカプセルなどの微粒子の形成において慣習的に利用されるポリマーが含まれる。特にこれらは、セルロース材料、例えば天然型セルロース、合成セルロース誘導体、アクリルポリマーおよびビニルポリマーである。例えば、タンパク質性材料(例えば、ゼラチン、ポリペプチド)ならびに天然および合成のシェラックおよびワックスなどを含む、その他の単純ポリマーもまた使用できる。保護ポリマーは、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびアクリル樹脂材料をさらに含むことができる。
【0208】
コーティングが上記の速溶性製剤において使用される場合は、典型的にコーティングは結果として生じる粒子の総重量に基づいて少なくとも約5重量%、好ましくは少なくとも約10重量%を含んでいる。使用される保護コーティング材料の上限は、一般に余り重要ではない。所定の実施形態では、比較的厚いコーティングを提供する、コアの重量の100重量%を超えるコーティングを使用することが可能である。しかし、コーティング材料の量は、製剤が排便される前の治療有効量のトリミプラミンの放出を侵害するほど多くてはならない。
【0209】
速溶性製剤の例は、直接経口投与のために適合した、硬質の圧縮された速溶性製剤である。そのような製剤は、典型的には、しばしば保護された粒子、およびマトリックスの形態でトリミプラミンを含んでいる。マトリックスは、典型的には充填剤および潤滑剤を含んでいるが、その他の追加の成分を含むことができる。この製剤は、患者の口腔内で迅速に溶解するために適合するが、それはUSPによって試験した場合に約2%以下の破砕性を有している。一般に、この製剤はさらに少なくとも約1.5もしくは2.0kPの硬度を有する。この製剤は迅速に溶解するだけではなく、患者にとってプラスの官能的感覚を提供する方法で溶解する。詳細には、この製剤は、製剤の官能的感覚とは触知的に全く一致しない不快な粒を最小限に抑えて溶解する。
【0210】
充填剤は、典型的には非直接圧縮充填剤を含んでいる。典型的な充填剤には、例えば、非直接圧縮糖類および糖アルコールが含まれる。そのような糖類および糖アルコールには、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、およびスクロースが含まれる。例えばデキストロースは、直接圧縮糖、すなわちその圧縮性を増加させるために改質されている糖、または非直接圧縮糖のいずれかとして存在してよい。充填剤のパーセンテージは、典型的には微粒子の約25〜約98重量%、好ましくは約50〜約95重量%、例えば約60〜約90重量%の範囲内にある。
【0211】
上記で考察した速溶性製剤では、典型的には比較的高い割合の潤滑剤が使用される。潤滑剤、および特にステアリン酸マグネシウムなどの疎水性潤滑剤は、製剤の重量で約0.25〜約5重量%、好ましくは約1〜約3重量%、例えば約1.5〜約2重量%の量で使用されてよい。この比較的に高い重量%の潤滑剤の使用にもかかわらず、製剤は、典型的には、非常に優れた圧縮性、硬度、および口腔内での迅速な溶解を示す。
【0212】
疎水性潤滑剤には、例えば、アルカリ土類金属ステアリン酸塩、ステアリン酸、鉱物油および植物油、ベヘン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。親水性潤滑剤もまた使用できる。
【0213】
硬質の圧縮速溶性製剤は、典型的には少なくとも約1.5kPの硬度を有し、粒子を遊離させるために約90秒間未満で患者の口腔内で特発性かつ迅速に溶解するように設計されている。好ましくは、本製剤は、約60秒間未満で、および一層より好ましくは約30〜約45秒間で溶解する。この硬度の尺度は、径が約0.25インチ未満の小さな錠剤の使用に基づいている。より大きな錠剤については、少なくとも約2.0kPの硬度が好ましい。これらの錠剤を形成するためには、直接圧縮技術が好ましい。
【0214】
スプリンクル製剤は、本発明の組成物において使用できる投与が容易な製剤のまた別の形態である。スプリンクル製剤は、典型的には、任意で機能的もしくは非機能的コーティングを有するペレット、顆粒、マイクロタブレット、もしくはマイクロカプセルの形態にあるトリミプラミンを含んでいる。使用時には、患者もしくは介護者は、微粒子/ペレット用量を飲料もしくは柔らかな食品中へふりかけることができる。スプリンクル製剤は、それらの主要寸法において約10〜約100μm、例えば約50〜70μmの平均径を有する粒子を含んでいてよい。
【0215】
スプリンクル製剤の例は、複数のトリミプラミン含有マイクロペレットを封入している開封が容易なカプセルである。典型的には、マイクロペレットは各々、トリミプラミンおよびポリビニルピロリドンの第1コーティング混合物、および約90〜約70重量%の非親水性ポリマー(例えば、エチルセルロース)の混合物および約10〜約30重量%の親水性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の混合物の第2コーティング混合物でコーティングされた、シードを含んでいる。例えば、第2コーティング混合物は、約3部のエチルセルロース対約1部のヒドロキシプロピルセルロースを含んでいてよい。第2コーティング混合物の重量は、第2コーティングが適用される前のマイクロペレットの重量の約5〜10%である。任意で、第2コーティングは、トリミプラミンを含有している。
【0216】
第1コーティング中で使用されるポリビニルピロリドンは、典型的には約30,000〜約50,000、例えば約40,000の分子量を有する。スプリンクル製剤のシードは、糖シードであってよく、60/80のメッシュサイズを有していてよい。
【0217】
味マスキング製剤は、本発明の組成物において使用できる投与が容易な製剤のまた別の形態である。味マスキング製剤は、液体もしくは固体であってよい。
【0218】
固体味マスキング製剤は、典型的にはトリミプラミンを含むコア要素およびコア要素を取り囲んでいるコーティング材料を含んでいる。トリミプラミンを含むコア要素は、典型的には、(微)粒子、(マイクロ)タブレット、(マイクロ)カプセル、非晶質固体、ペレット、顆粒、粉末もしくはマトリックスの形態にある。コア要素は、担体もしくは賦形剤、充填剤、矯味剤、安定剤および/または着色剤を、トリミプラミンに加えて含むことができる。
【0219】
味マスキング製剤は、典型的には、製剤の総重量に基づいて、トリミプラミン含有コア要素を約50〜約99重量%、好ましくは約65〜約95重量%、例えば約80〜約90重量%含んでいる。味マスキング製剤は、典型的には、製剤の総重量に基づいて、コア要素を取り囲んでいるコーティング材料を約1〜約50重量%、好ましくは約5〜約35重量%、例えば約10〜約20重量%含んでいる。
【0220】
コア要素は、典型的には、ワックス、水不溶性ポリマー、腸溶ポリマー、部分的水溶性ポリマー、その他の適切な医薬賦形剤、ならびにそれらの組み合わせから選択される補助的成分を、約20〜約90重量%含んでいる。
【0221】
コア要素は、任意で、担体もしくは賦形剤、充填剤、矯味剤、安定剤、着色剤、およびそれらの組み合わせを含んでいる。適切な充填剤には、例えば、不溶性材料、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク、アルミナ、デンプン、カオリン、ポラクリリンカリウム、粉末状セルロース、微結晶セルロース、および上記の充填剤の1つ以上を含むそれらの組み合わせが含まれる。可溶性充填剤には、例えば、マンニトール、スクロース、ラクトース、デキストロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、および上記充填剤の1つ以上を含む組み合わせが含まれる。充填剤は、製剤の総重量に基づいて、約75重量%までの量で存在していてよい。
【0222】
コア要素は、例えば約35μm〜約125μmの粒径範囲を有する粉末の形態であってよい。そのような小さな粒径は、口腔内で実質的にザラザラしていない感触を促進する。小さな粒径は、例えば歯による、口腔内での粒子の崩壊をさらに最小限に抑える。粉末の形態にある場合、味マスキング製剤は、口腔内に直接投与することができる、または例えば水などの担体、もしくは半液体組成物、例えばシロップ、ヨーグルトなどと混合されてよい。しかし、味マスキングされたトリミプラミンは、任意の適切な単位製剤で提供することができる。
【0223】
味マスキング製剤のコーティング材料は、実質的に連続性のコーティングを提供し、味マスキングを提供する形態を取ることができる。コーティングは、さらにまたトリミプラミンの制御放出を提供できる。味マスキング製剤のコーティングに使用されるポリマーは、水不溶性ポリマー、例えばエチルセルロースであってよい。味マスキング製剤のコーティング材料は、可塑剤をさらに含んでいてよい。
【0224】
例えば粉末状製剤などの味マスキング医薬製剤を調製する方法は、味マスキング製剤を形成するために、典型的にはコア要素およびコーティング材料を希釈剤中で混合する工程と、混合物をスプレー乾燥する工程とを含んでいる。溶媒中の医薬上有効成分およびポリマーをスプレー乾燥する工程は、任意で乾燥チャンバ内で、溶媒が蒸発してポリマーコーティング材料でコーティングされたトリミプラミンが残されるように、典型的には空気の流れを噴霧状懸濁液中にスプレーする工程を含んでいる。
【0225】
例えば塩化メチレンなどの溶媒については、乾燥チャンバ内の溶媒濃度は、典型的には約40,000〜約100,000ppmの有機溶媒で維持される。そのような溶媒のためのスプレー乾燥プロセスは、約5℃〜約35℃のプロセス温度で実行することができる。製剤をスプレー乾燥する工程は、並流もしくは混成流スプレー乾燥機のいずれかまたはそれらの変形に配置された、回転式、空気圧式もしくは加圧式噴霧器のいずれかを利用して、実施することができる。乾燥ガスは、乾燥の速度を制御するために加熱もしくは冷却することができる。溶媒の沸点より低い温度が使用されてよい。入口温度は約40〜約120℃、出口温度は約5℃〜35℃であってよい。
【0226】
コーティングの形成は、材料もしくは適用の必要性を満たすために最適化できる。例えば温度、溶媒濃度、スプレー乾燥機の能力、噴霧空気圧、液滴サイズ、粘度、システム内の総空気圧および溶媒系などのプロセスパラメータを制御する工程は、高密度の連続する無孔コーティングからより多孔性のマイクロカプセル/ポリマーマトリックスまでの範囲のコーティングの形成を許容する。
【0227】
任意の残留溶媒を除去するためには、後処理工程を使用できる。後処理は、過剰な溶媒を除去するがトリミプラミンを分解させないために十分なトレイ上および/または床温度で最終生成物を乾燥させる工程を含む、後乾燥工程を含むことができる。好ましくは、乾燥温度は、約35℃〜約40℃の範囲内である。完了すると、生成物は、例えばソックフィルタもしくはサイクロン収集による収集などの適切な方法によって収集することができる。
【0228】
代表的なチュアブル味マスキング製剤は、トリミプラミンを含むコアおよび噛み砕きに抵抗するために十分な弾力性を有するポリマー混合物コーティングを含む、径が約10μm〜約1.5mmのマイクロカプセルを含んでいる。ポリマー混合物コーティングは、典型的には少なくとも約30℃の温度でポリマーフィルムを形成する約30〜約70重量%のポリマー(例えば、エチルセルロース)、および約25℃未満の温度でポリマーフィルムを形成する約30〜約70重量%のコポリマーを含んでいる。ポリマー混合物コーティングは、本製剤が本明細書の上記で考察した放出プロファイルを示すように適合させられる。
【0229】
約25℃未満の温度でポリマーフィルムを形成するコポリマーは、典型的にはメタクリル酸エステルコポリマー(例えば、約800,000の重量平均分子量を有する)またはスチレンアクリレートコポリマーである。
【0230】
上述した味マスキングトリミプラミン製剤のコアは、希釈剤および/または可塑剤を含んでいてよい。適切な可塑剤には、ポリエチレングリコール、トリアセチン、ビニルピロリドン、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸エステル、およびそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0231】
固体味マスキング製剤(例えば、ポリマーコーティングされたトリミプラミン粉末)は、使用前に例えば水などの液体ビヒクル中の懸濁液として再構成することができる。これは、再構成可能な固体味マスキング製剤が典型的には多数の液体味マスキング製剤より長い保管寿命を有しており、その懸濁剤は、再構成されると適切な味マスキングを有するという利点を有している。
【0232】
トリミプラミンは、脳内のモノアミン神経伝達物質に拮抗作用を介して臨床活性を付与する三環系抗うつ薬である。さらに、トリミプラミンは、ドーパミンD2受容体の特異的拮抗作用を示し、抗精神病作用を有することが証明されている。
【0233】
トリミプラミンは、現在ではあらゆる形態のうつ病の治療のために使用されており、一次性もしくは二次性不眠を治療するための適応を有する(www.fda.gov)。本発明は、本明細書に記載した経口送達可能な医薬組成物を提供することによってうつ病および不眠を治療するための、公知のトリミプラミン含有製剤の欠陥に対処することを目指している。しかし、これらの組成物は、以下により詳細に記載するように、うつ病および不眠に加えて他の多数の医学的適応の治療においても使用できる。
【0234】
本発明は、神経学的および/または精神的状態を治療するために特許請求の範囲において規定した経口送達可能な医薬組成物の使用を提供する。
【0235】
用語「神経学的および/または精神的状態」には、本発明者らは神経系の病理に由来するあらゆる状態を含めている。そのような状態の特定の例については、以下でより詳細に記載する。
【0236】
語句「神経学的および/または精神的状態の治療」は、神経学的、神経精神病学的、精神病および神経変性疾患の急性期、慢性期および/または予防的治療のための使用を含むことが意図されている。
【0237】
したがって、本発明の組成物を投与または使用する工程によって治療できる多数の状態がある。これらには、全ての抑うつ障害および症状、一次性および二次性不眠、統合失調症、双極性障害、統合失調性感情障害、不安障害(全般性不安障害を含む)、強迫性障害、外傷後ストレス障害、人格障害および境界性人格障害、あらゆるタイプの認知症および認知機能障害(例えば、アルツハイマー(Alzheimer)病、高齢者の軽度認知機能障害など);脳卒中の精神医学的合併症(出血性および虚血性および後遺症を含む)、てんかん、一過性虚血発作、外傷性脳損傷、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)病、筋萎縮側索硬化症;神経因性疼痛、特発性疼痛、全ての精神病(例えば、変性うつ病および緊張病)、全ての嗜癖(例えば、アルコール、ニコチンおよびアヘン剤への嗜癖)、過食症および拒食症を含む全ての摂食障害、ADHD(注意欠陥過活動性障害)を含む情動障害、全ての抑うつ障害、人格障害(境界性人格障害を含む)、睡眠障害(時差ぼけおよび不眠を含む)、ダウン症候群、髄膜炎、中枢神経系血管炎、大脳白質萎縮症および副腎白質ジストロフィ(アレクサンダー(Alexander)病、カナバン(Canavan)病、脳腱黄色腫症、クラッベ(Krabbe)病および異染性白質萎縮症を含む)、疲労、低血糖症、脳症(例えば、肝性および敗血性脳症)、脳および脊髄の腫瘍(神経膠細胞、ニューロン細胞、シュヴァン(Schwann)細胞、松果体の原発腫瘍、髄膜腫、黒色腫、肉腫、リンパ腫および転移性の多発性全身性悪性腫瘍を含む)、小脳変性および運動失調(例えば、フリードリッヒ(Friedrich)運動失調、小脳皮質性運動失調、オリーブ橋小脳変性を含む複雑性小脳性運動失調、脊髄小脳病、室頂核脳幹変性および常染色体優性運動失調)、めまい、前庭系損傷、例えば耳鳴りなどの蝸牛障害、眼振、末梢性神経障害(例えば、多発性神経障害、多発性神経根障害、運動神経障害、感覚神経障害、多発性単神経障害および神経叢障害)、代謝性骨疾患、骨粗鬆症、肺疾患(例えば、肺水腫、神経原性肺水腫、気管支喘息、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびアポトーシスもしくはネクローシスによる肺細胞死)、肥満およびその合併症、糖尿病および前糖尿病、ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0238】
毎晩1回投与するために適合する本発明の組成物は、少なくとも部分的に所望の夜通しの臨床作用を達成すると考えられるので、不眠および抑うつの複合療法のために特に適合すると考えられる。例えば、本発明の組成物は、例えば就寝する約4時間前から直前までの就寝前の夜間のいずれの時点にも投与することができる。
【0239】
例えば、単一成分徐放型OD組成物は、就寝前(例えば、午後8時頃に)に毎日投与することができる。
【0240】
任意で、トリミプラミンの第1成分を放出するIR成分と、夜間および/または午前中(例えば、午前8時頃)にトリミプラミンの第2成分を放出するパルス型および/または徐放型成分とを含む組成物を、就寝前に投与することができる。
【0241】
または、トリミプラミンの第1成分を夜通し放出する徐放型成分および午前中にトリミプラミンの第2成分を放出するパルス型成分を含む組成物を、就寝前に投与することもできる。さらに、そのような製剤は、午前中(例えば、午前8時頃に)投与されると、トリミプラミンの第2成分放出が、その後の薬物放出が有益である間には床についていたいという患者の望みと一致するから、極めて有用である。
【0242】
上述したように、本発明の組成物は、トリミプラミンに加えて1つ以上の活性物質を含むことができる。
【0243】
例えば、本発明の組成物は、また別の非定型抗精神病薬(例えば、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、アミスルプリド、クロゼピン、クロルプロマジン、もしくはデカン酸ハロペリドール)、抗パーキンソン病薬(例えば、L−DOPA、ドーパミン作動薬)、鎮静剤(例えば、ベンゾジアゼピン系鎮静剤もしくは非バルビツール酸系鎮静剤)、抗不安薬(例えば、ベンゾジアゼピン系、例えばロラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、およびアルプラゾラム)、抗うつ薬、および気分安定剤(例えば、ラモトリジン、リチウム、バルプロ酸塩、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン)を含むことができる。
【0244】
抗パーキンソン病薬は、神経弛緩薬使用に関連する遅発性ジスキネジーを治療するために使用できる。さらにいわゆる「副作用投薬」の抗パーキンソン病薬は、非定型抗精神病薬の筋肉副作用が患者を不快にさせる場合に適応である。抗パーキンソン病薬は、典型的には、例えばメシル酸ベンズトロピン、トリヘキシフェニジル、プロシクリジン、およびアマンタジンを含む抗コリン作動薬である。
【0245】
適切な抗うつ薬には、三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、イミプラミン、ドキセピン、およびクロミプラミン)、モノアミンオキシダーゼAもしくはB阻害剤(例えば、フェネルジンおよびトラニルシプロミン)、四環系抗うつ薬(例えば、マプロチリン)、セロトニン再取込み阻害剤(例えばフルオキセチン、シプラミル、S−シプラミル、パロキセチン、塩酸セルトラリン)、セロトニンおよびノルアドレナリン再取込み阻害剤(例えば、ベンラファキシンおよびデュロキセチン)、ノルアドレナリン再取込み阻害剤(例えば、レボキセチンおよびビロキサジン)、ならびに他の全てのクラスの抗うつ薬が含まれる。
【0246】
当然ながら、本明細書に記載したトリミプラミン製剤は、不眠およびうつ病に加えて多数の他の状態を治療するために使用できる。そのような状態は、不眠およびうつ病の治療に関連して上述した薬剤ではなく、(トリミプラミンに加えて)様々の追加の活性物質による治療を必要とすることがある。
【図面の簡単な説明】
【0247】
【図1】図1は単一錠および光プローブ系を用いた経時的なトリミプラミン放出の対応するグラフである。
【図2】図2は経時的な(4錠の)トリミプラミンの放出平均値のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0248】
以下では、本発明を下記の非限定的な実施例によって例示する。
【実施例1】
【0249】
トリミプラミン組成物
100mgの直接圧縮(DC)制御放出型錠剤は以下に記載するように製造した。
【0250】
以下の表1から4に記載の成分は、5分間にわたりタンブラーブレンダ(tumble blender)内で共に混合した。混合物は、8.5mm径の円形n/c(数値制御)パンチを用いて、回転式打錠機上で圧縮した。錠剤破壊強さは、8.0kp〜11.0kpであった。
【0251】
【表1】

【0252】
【表2】

【0253】
【表3】

【0254】
【表4】

【0255】
上記の錠剤では、マレイン酸トリミプラミンは、Sigma Aldrich社(米国)から入手した。Methocel K100およびK4M(ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208(ヒプロメロース))は、Colorcon社(英国)から入手した。Avicel PH200(微結晶セルロース)は、FMC BioPolymer社(アイルランド国)から入手した。商標PRUVであるフマル酸ステアリルナトリウムは、JRS Pharma GMBH社(ドイツ国)から入手した。
【実施例2】
【0256】
インビトロ放出実験
【0257】
実施例1に記載したDC錠からのトリミプラミンの放出プロファイルは、以下でより詳細に記載するように0.1M HCl中で試験した。
【0258】
溶解系
【0259】
【表5】

【0260】
0.1M HClは、精製水を用いて3.5Lの0.2M塩酸を7Lへ希釈することによって調製した。
【0261】
溶解試験の方法
【0262】
単一錠剤について、Varian社製ディッププローブ・カプラー02−101593−00を使用して、いずれか1回試験した。プローブは10mmの路長を有しており、Cary 50 UV分光計へ連結した。ゼロ示度は37℃の0.1M HCL中で読み取り、サンプル示度は30分間隔で自動的に読み取られた。
【0263】
単一標準を使用し、37℃で吸光度を測定した。1.396の変換係数を用いてマレイン酸トリミプラミンから作製した1Lのトリミプラミン中で約100mgと等価である標準濃度を使用した。
【0264】
計算:
【数1】

【0265】
組成物Cについては、以下の方法をさらに4錠の各々に対して使用した。
【0266】
アリコートは、指示した間隔で各溶解容器から採取した。各アリコートの247nmでのUV吸光度を0.1M HClのブランク溶液に対して測定し、0.015、0.03、0.09、0.12mg/mLのトリミプラミンの4つの参照標準(係数1.396を用いてマレイン酸塩から計算した)に対して校正した。トリミプラミンの溶解率(%)は、参照標準から作製した検量線を用いて計算する:
【数2】

【0267】
溶解試験の結果
【0268】
以下の表5、6、7、8は、0.1M HCl中での組成物A〜D各々のDC錠からの、16時間までのトリミプラミン放出率を示している。単一錠および光プローブ系を用いた経時的なトリミプラミン放出の対応するグラフは、図1に示した。
【0269】
【表6】

【0270】
【表7】

【0271】
【表8】

【0272】
【表9】

【0273】
表9は、4錠の組成物C(40% K100)の溶解試験結果を示している。図2は、経時的な(4錠の)トリミプラミンの放出平均値のグラフを示している。
【0274】
【表10】

【0275】
以下の特許請求の範囲では、本発明の範囲を規定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリミプラミンを1日1回(OD)投与するための経口送達可能な組成物であって、治療有効量のトリミプラミンおよび少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含む、組成物。
【請求項2】
約10〜約50%のトリミプラミンが標準溶解試験に配置されてから3時間以内に溶解するインビトロ放出プロファイルを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
約25〜約100%のトリミプラミンが標準溶解試験に配置されてから8時間以内に溶解するインビトロ放出プロファイルを示す、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
標準溶解試験に配置されてから
約5〜約40%のトリミプラミンが2時間後に放出され、
約15〜約70%のトリミプラミンが4時間後に放出され、
50%以上のトリミプラミンが8時間後に放出されるインビトロ溶解速度を示す、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
単回用量経口投与後に、約50%のトリミプラミンが血漿中に吸収される時間が約2〜約12時間であるインビボのトリミプラミン血漿吸収プロファイルを示す、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
約5〜約40%のトリミプラミンが投与後2時間以内に放出され、
約15〜約70%のトリミプラミンが投与後4時間以内に放出され、
50%以上のトリミプラミンが投与後8時間以内に放出されるインビボ放出プロファイルを示す、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
経口投与後に、同一用量で経口投与された場合にトリミプラミンの従来型即時放出型(IR)製剤を用いて達成されるCmax値の約20〜約80%であるトリミプラミンCmax値を示す、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
経口投与後に、約4:1未満のトリミプラミンのピーク血漿濃度(Cmax)対投与24時間後のトリミプラミンの血漿濃度(C24)の比率を提供する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
トリミプラミンのパルス型放出成分をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
トリミプラミンの即時放出型成分をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
標準溶解試験に配置されてから約0.5〜約12時間以内に約20〜約80%のトリミプラミンが溶解する第1成分と、
標準溶解試験に配置されてから約4〜約24時間以内にさらに約20〜約80%のトリミプラミンが溶解する第2成分と、を含むインビトロ放出プロファイルを示す、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
標準溶解試験に配置された後にさらに約20〜約60%のトリミプラミンが約6〜約24時間以内に溶解する第3成分をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
トリミプラミンの第1成分は、即時放出型(IR)ボーラスまたは徐放型成分の形態にある、請求項11または12に記載の組成物。
【請求項14】
トリミプラミンの第2成分は、パルス型放出成分または徐放型成分の形態にある、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
トリミプラミンの第1成分は即時放出型(IR)ボーラスの形態にあり、トリミプラミンの第2成分は徐放型成分の形態にある、請求項11または14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
単回用量経口投与後に、約50%のトリミプラミンが血漿中に吸収される時間が約0.5〜約12時間であり、残り50%のトリミプラミンが血漿中に吸収される時間が約3〜約24時間であるインビボ血漿吸収プロファイルを示す、請求項11から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
トリミプラミンに加えて少なくとも1つの医薬活性物質を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの追加の医薬活性物質は、非定型抗精神病薬(例えば、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、アミスルプリド、クロゼピン、クロルプロマジン、もしくはデカン酸ハロペリドール)、抗パーキンソン病薬(例えば、L−DOPA、ドーパミン作動薬、抗コリン作動薬)、鎮静剤(例えば、ベンゾジアゼピン系鎮静剤もしくは非バルビツール酸系鎮静剤)、抗不安薬(例えば、ベンゾジアゼピン系、例えばロラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼプ酸塩、ジアゼパム、およびアルプラゾラム)、抗うつ薬(例えば、三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、イミプラミン、ドキセピン、およびクロミプラミン)、モノアミンオキシダーゼAもしくはB阻害剤(例えば、フェネルジンおよびトラニルシプロミン)、四環系抗うつ薬(例えば、マプロチリン)、セロトニン再取込み阻害剤(例えば、フロキセチン、シプラミル、S−シプラミル、パロキセチン、塩酸セルトラリン、およびセロトニン)およびノルアドレナリン再取込み阻害剤(例えば、ベンラファキシンおよびデュロキセチン)、もしくはアドレナリン再取込み阻害剤(例えばレボキセチンおよびビロキサジン)、および気分安定剤(例えば、ラモトリジン、リチウム、バルプロ酸塩、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン)から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
神経学的および/または精神的状態を備える病人および/または患者を治療する方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物を前記患者および/または病人に投与する工程を含む、方法。
【請求項20】
神経学的および/または精神的状態を治療する方法であって、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物をそのような治療を必要とする病人/患者へ投与する工程を含む、方法。
【請求項21】
神経学的および/または精神的状態を治療および/または予防する際に使用するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
神経学的および/または精神的状態を予防および/または治療するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項23】
神経学的および/または精神的状態を予防および/または治療するための医薬品を製造する際の、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項24】
前記治療は、脳における神経伝達物質経路におけるトリミプラミンの作用に関連している、請求項19もしくは20に記載の方法、請求項21に記載の組成物または請求項22もしくは23に記載の使用。
【請求項25】
前記神経学的および/または精神的状態は、ドーパミン受容体に関連している、請求項19、20もしくは24に記載の方法、請求項21もしくは24に記載の組成物または請求項22から24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
前記神経学的および/または精神的状態は、全ての抑うつ障害および症状、一次性および二次性不眠、統合失調症および双極性障害、統合失調性感情障害、不安障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、人格障害および境界性人格障害を含む全ての精神病および神経症、あらゆるタイプの認知症および/または認知機能障害(例えば、高齢者の軽度認知機能障害);脳卒中の精神医学的合併症(出血性および虚血性および後遺症を含む)、てんかん、一過性虚血発作、外傷性脳損傷、パーキンソン(Parkinson)病、ハンチントン(Huntington)病、筋萎縮側索硬化症;神経因性疼痛、特発性疼痛、全ての精神病(例えば、変性うつ病および緊張病)、全ての嗜癖(例えば、アルコール、ニコチンおよびアヘン剤への嗜癖)、過食症および拒食症を含む全ての摂食障害、ADHD(注意欠陥過活動性障害)を含む情動障害、人格障害(境界性人格障害を含む)、睡眠障害(時差ぼけおよび不眠を含む)、ダウン症候群、髄膜炎、中枢神経系血管炎、大脳白質萎縮症および副腎白質ジストロフィ(アレクサンダー(Alexander)病、カナバン(Canavan)病、脳腱黄色腫症、クラッベ(Krabbe)病および異染性白質萎縮症)、疲労、低血糖症、脳症(例えば、肝性および敗血性脳症)、脳および脊髄の腫瘍(神経膠細胞、ニューロン細胞、シュヴァン(Schwann)細胞、松果体の原発腫瘍、髄膜腫、黒色腫、肉腫、リンパ腫および転移性の多発性全身性悪性腫瘍を含む)、小脳変性および運動失調(例えば、フリードリッヒ(Friedrich)運動失調、小脳皮質性運動失調、オリーブ橋小脳変性を含む複雑性小脳性運動失調、脊髄小脳病、室頂核脳幹変性および常染色体優性運動失調)、めまい、前庭系損傷、例えば耳鳴りなどの蝸牛障害、眼振、末梢性神経障害(例えば、多発性神経障害、多発性神経根障害、運動神経障害、感覚神経障害、多発性単神経障害および神経叢障害)、代謝性骨疾患、骨粗鬆症、肺疾患(例えば、肺水腫、神経原性肺水腫、気管支喘息、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびアポトーシスもしくはネクローシスによる肺細胞死)、肥満およびその合併症、糖尿病および前糖尿病、ならびにそれらの組み合わせから選択される、請求項19、20、24もしくは25のいずれか一項に記載の方法、請求項21、24もしくは25のいずれか一項に記載の組成物または請求項22から25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
それを必要とする患者にトリミプラミンの制御放出を提供するための経口投与用の医薬品を製造する際の、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項28】
任意で実施例を参照して、概して本明細書に記載したトリミプラミンの1日1回(OD)制御放出のための、経口送達可能な医薬組成物。
【請求項29】
概して本明細書に記載した神経変性状態を備える病人/患者を治療する方法。
【請求項30】
概して本明細書に記載した神経変性状態を予防および/または治療するための経口送達可能な医薬組成物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−523640(P2010−523640A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502578(P2010−502578)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001306
【国際公開番号】WO2008/125843
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(509084459)ザイスィス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】