説明

医薬組成物

【課題】 アレルギー性鼻炎や風邪等に伴なう諸症状のうち、特に、鼻粘膜の炎症による鼻閉症状に対する効果が改善された医薬組成物を提供する。
【解決手段】(A)シュードエフェドリンまたはその薬学上許容される塩、(B)フェニレフリンまたはメトキシフェナミンもしくはこれらの薬学上許容される塩、および(C)ダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキスからなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする医薬組成物。シュードエフェドリン、フェニレフリンまたはメトキシフェナミン、およびダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキスからなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物に関する。より詳細には、ウイルスや菌の感染やアレルギーに対する反応などによって引き起こされる鼻閉などの鼻炎症状の改善に優れた医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
鼻炎は、くしゃみ、水性鼻汁(鼻みず)、鼻掻痒感および鼻閉(鼻づまり)などを主症状とする疾患であり、ウイルスや菌に感染したり、花粉、ハウスダストなどの異物が鼻腔内に進入することなどによって症状が現れる。鼻炎の原因は多岐にわたっており、ウイルス、細菌、真菌の感染によるもの、花粉、ハウスダスト由来のアレルギーによるものなどがある。鼻炎の原因療法は難しく、また、時間もかかるため、鼻炎の治療法としては症状を緩和する対処療法が中心に行われている。
【0003】
ベラドンナ総アルカロイド、ロートエキス、ヨウ化イソプロパミドなどの副交感神経遮断薬は、鼻みず等の分泌を減少するため、鼻炎症状の改善に使用されている。さらに、これらの副交感神経遮断薬にエメダスチンやエバスチンなどの抗アレルギー剤を配合した鼻汁分泌抑制効果が増強された鼻炎治療用組成物(特許文献1)が知られている。
しかし、鼻炎症状の中でも特に鼻粘膜の膨張を伴なう炎症症状(鼻閉症状)は、患者にとって息苦しくつらいものであるため、患者のQOLの観点からも、また風邪等の呼吸器感染症の予防の観点からも早期に改善されることが望まれている。鼻閉緩和成分としては、主に、フェニルプロパノールアミン、シュードエフェドリン、メチルエフェドリン、フェニレフリンなどの交感神経作動薬が使用されており、さらに、塩酸フェニルプロパノールアミン又は塩酸フェニレフリンとメキタジン又はアステミゾールを配合した鼻炎治療用組成物(特許文献2)が知られている。しかしながら、鼻閉症状の改善について満足すべき医薬組成物は得られていない。
【0004】
以上のようにアレルギー性鼻炎等による鼻閉の改善剤については、未だ充分な作用を期待できるものがなく、より安全で効果の高い治療薬および治療方法が求められている。
【0005】
【特許文献1】特開2002―338486号公報
【特許文献2】特開平07−188002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、鼻閉に対して優れた効果を有する鼻炎治療用医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、(A)シュードエフェドリン、(B)フェニレフリンまたはメトキシフェナミン、および(C)ダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキスからなる群より選択される少なくとも1種とを併用するとそれぞれを単独で用いた場合に比較して、顕著な鼻閉改善効果が奏されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記に掲げる医薬組成物または鼻閉改善方法である。
(1)(A)シュードエフェドリンまたはその薬学上許容される塩、(B)フェニレフリンまたはメトキシフェナミンもしくはこれらの薬学上許容される塩、および(C)ダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキスからなる群より選択される少なくとも1種を含有する医薬組成物。
(2)鼻炎用または感冒用である(1)に記載の医薬組成物。
(3)さらに、抗ヒスタミン薬、消炎酵素、抗炎症薬、キサンチン類から選択される少なくとも1種を含有する(1)または(2)に記載の医薬組成物。
(4)鼻閉改善剤である(1)〜(3)のいずれかに記載の医薬組成物。
(5)(A)シュードエフェドリンまたはその薬学上許容される塩、(B)フェニレフリンまたはメトキシフェナミンもしくはこれらの薬学上許容される塩、および(C)ダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキスからなる群より選択される少なくとも1種を併用することからなる鼻閉改善方法。
なお、本明細書において、特に記載がない限り「%」は「W/W%」を意味するものとする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、(A)シュードエフェドリンまたはその薬学上許容される塩、(B)フェニレフリンまたはメトキシフェナミンもしくはこれらの薬学上許容される塩、および(C)ダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキスからなる群より選択される少なくとも1種を含有することで、鼻閉改善作用が顕著に優れるため、治療効果の高い医薬組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の医薬組成物は、(A)シュードエフェドリンまたはその薬学上許容される塩、(B)フェニレフリンまたはメトキシフェナミンもしくはこれらの薬学上許容される塩、および(C)ダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキスからなる群より選択される少なくとも1種を含有するものであり、これらを単独で用いた場合に比較して予想外に高い鼻閉改善効果が得られる。
【0010】
本発明におけるシュードエフェドリンまたはその薬理学上許容される塩の投与量は、当該技術分野で通常に用いられる範囲であれば特に制限されないが、経口投与の場合、成人1日当たりの投与量は、5mg以上、好ましくは15mg以上、より好ましくは30mg以上である。また上限については、薬理効果や副作用を考慮して、300mg以下、好ましくは240mg以下、より好ましくは180mg以下である。投与量は患者の状態(体重、年齢、症状、体調等)を考慮して適宜決定されるものであり、上記に限定されない。本発明の医薬組成物におけるシュードエフェドリンまたはその薬理学上許容される塩の含有量は、投与量を考慮して、剤形(形態や大きさ)、患者等によって適宜選択して決定することができる。また、シュードエフェドリンはd体、l体またはdl体のいずれであっ
てもよい。
【0011】
本発明におけるフェニレフリンまたはその薬理学上許容される塩の投与量は、当該技術分野で通常に用いられる範囲であれば特に制限されないが、経口投与の場合、成人1日当たりの投与量は、4mg以上、好ましくは5mg以上、より好ましくは6mg以上である。また上限については、薬理効果や副作用を考慮して、50mg以下、好ましくは40mg以下、より好ましくは30mg以下である。投与量は患者の状態(体重、年齢、症状、体調等)を考慮して適宜決定されるものであり、上記に限定されない。本発明の医薬組成物におけるフェニレフリンまたはその薬理学上許容される塩の含有量は、投与量を考慮して、剤形(形態や大きさ)、患者等によって適宜選択して決定することができる。
本発明において、シュードエフェドリンとフェニレフリンとの配合比は、本発明の効果を奏すれば特に制限されないが、経済性や服用量を考慮して、シュードエフェドリン100重量部に対してフェニレフリンを、通常1重量部またはそれ以上、好ましくは3重量部以上、特に好ましくは7重量部以上、通常110重量部以下、好ましくは100重量部以下、特に好ましくは90重量部以下の割合で配合することができる。
【0012】
本発明におけるメトキシフェナミンまたはその薬理学上許容される塩の投与量は、当該技術分野で通常に用いられる範囲であれば特に制限されないが、経口投与の場合、成人1日当たりの投与量は、10mg以上、好ましくは20mg以上、より好ましくは30mg以上である。また上限については、薬理効果や副作用を考慮して、200mg以下、好ましくは180mg以下、より好ましくは150mg以下である。投与量は患者の状態(体重、年齢、症状、体調等)を考慮して適宜決定されるものであり、上記に限定されない。本発明の医薬組成物におけるメトキシフェナミンまたはその薬理学上許容される塩の含有量は、投与量を考慮して、剤形(形態や大きさ)、患者等によって適宜選択して決定することができる。
本発明において、シュードエフェドリンとメトキシフェナミンとの配合比は、本発明の効果を奏すれば特に制限されないが、経済性や服用量を考慮して、シュードエフェドリン1重量部に対してメトキシフェナミンを、通常0.05重量部またはそれ以上、好ましくは0.10重量部以上、特に好ましくは0.15重量部以上、通常6重量部以下、好ましくは5重量部以下、特に好ましくは4重量部以下の割合で配合することができる。
【0013】
本発明に用いられるシュードエフェドリン、フェニレフリン、メトキシフェナミンは、薬学上許容される塩であってもよい。そのような塩として、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩等を挙げることができ、塩酸塩、硝酸塩または硫酸塩が特に好ましい。
【0014】
本発明におけるダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキス(以下、これらを合わせて「アルカロイド類」と称する)は、当該技術分野で通常用いられるものであれば特に制限されないが、特に医薬品の製造原料として用いる事ができるものが好ましい。本発明においてベラドンナ総アルカロイドとは、生薬ベラドンナ(Atoropa belladonnna Linne)の根茎、根または葉等に含まれるトロパン系アルカロイドであり、エタノール、エーテル、水等適当な抽出剤を用いて製したものであり、ここではベラドンナアルカロイドとベラドンナ総アルカロイドの両方を含めて表すものである。アルカロイド類の投与量は、当該技術分野で通常に用いられる範囲であれば特に制限されないが、経口投与の場合、成人1日あたりの投与量は、ダツラエキスでは、総アルカロイド量として、通常0.08mg以上、好ましくは0.10mg以上、特に好ましくは0.12mg以上であり、上限については通常0.8mg以下、好ましくは0.7mg以下、特に好ましくは0.6mg以下で、ベラドンナ総アルカロイドでは、通常0.08mg以上、好ましくは0.10mg以上、特に好ましくは0.12mg以上であり、上限については通常0.8mg以下、好ましくは0.7mg以下、特に好ましくは0.6mg以下で、ベラドンナエキスおよびロートエキスでは、通常8mg以上、好ましくは10mg以上、特に好ましくは12mg以上であり、上限については通常80mg以下、好ましくは70mg以下、特に好ましくは60mg以下である。投与量は患者の状態(体重、年齢、症状、体調等)を考慮して適宜決定されるものであり、上記に限定されない。本発明の医薬組成物におけるアルカロイド類の含有量は、投与量を考慮して、剤形(形態や大きさ)、患者等によって適宜選択して決定することができる。
【0015】
本発明において、シュードエフェドリンと、アルカロイド類との配合比は、本発明の効果を奏すれば特に制限されないが、経済性や服用量を考慮して、シュードエフェドリン100重量部に対してダツラエキスでは、総アルカロイド量として、通常0.05重量部またはそれ以上、好ましくは0.10重量部以上、特に好ましくは0.15重量部以上、通常5重量部以下、好ましくは2重量部以下、特に好ましくは1重量部以下の割合で、ベラドンナ総アルカロイドでは、通常0.05重量部またはそれ以上、好ましくは0.10重量部以上、特に好ましくは0.15重量部以上、通常5重量部以下、好ましくは2重量部以下、特に好ましくは1重量部以下の割合で、ベラドンナエキスおよびロートエキスでは、通常4重量部またはそれ以上、好ましくは6重量部以上、特に好ましくは8重量部以上、通常220重量部以下、好ましくは200重量部以下、特に好ましくは180重量部以下の割合で配合することができる。
【0016】
本発明において、フェニレフリンまたはメトキシフェナミンと、アルカロイド類との配合比は、本発明の効果を奏すれば特に制限されないが、経済性や服用量を考慮して、例えば、フェニレフリンまたはメトキシフェナミン100重量部に対して、ダツラエキスでは、総アルカロイド量として、通常0.05重量部またはそれ以上、好ましくは0.10重量部以上、特に好ましくは0.15重量部以上、通常20重量部以下、好ましくは10重量部以下、特に好ましくは5重量部以下の割合、ベラドンナ総アルカロイドでは、通常0.05重量部またはそれ以上、好ましくは0.10重量部以上、特に好ましくは0.15重量部以上、通常20重量部以下、好ましくは10重量部以下、特に好ましくは5重量部以下の割合、ベラドンナエキスおよびロートエキスでは、通常4重量部またはそれ以上、好ましくは6重量部以上、特に好ましくは8重量部以上、通常220重量部以下、好ましくは200重量部以下、特に180重量部以下の割合とすることができる。
【0017】
本発明に対し、抗ヒスタミン薬を含有させるまたは併用すると好適である。抗ヒスタミン薬としては、例えば、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、イプロヘプチン、イソチペンジル、ジフェテロール、ジフェニルピラリン、トリプロリジン、トリペレナミン、トンジルアミン、プロメタジン、メトジラジン、カルビノキサミン、アリメマジン、プロメタジン、メブヒドロリン、フェネタジン、ケトチフェン、アゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、テルフェナジン、エピナスチン、アステミゾール、エバスチン、セチリジン、レボカバスチン、オロパタジン、クロモグリク酸、トラニラスト、アンレキサノクス、イブジラスト、ペミロラスト、タザノラスト、エメダスチンおよびそれらの薬理学的に許容される塩(例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、フマル酸ケトチフェン、フマル酸クレマスチン、塩酸アゼラスチン、塩酸レボカバスチン、クロモグリク酸ナトリウム、フマル酸エメダスチンなど)などが例示できる。
本発明における抗ヒスタミン薬は、当該技術分野で通常に用いられる範囲であれば特に制限されないが、成人1日あたり通常1mg以上、好ましくは3mg以上であればよく、上限はさらに服用量や薬理作用を考慮して、200mg以下、好ましくは150mg以下であればよいが、抗ヒスタミン薬の種類にも依存する。さらに本発明における抗ヒスタミン薬の割合は、シュードエフェドリン1重量部に対して通常0.01重量部以上であれば効果を得ることができ、好ましくは0.015重量部以上である。また、上限はさらに服用量や薬理作用を考慮すると、通常10重量部以下、好ましくは3重量部以下であればよいが、抗ヒスタミン薬の種類にも依存するため、特にこれらに限定されるものではない。
【0018】
本発明に対し、消炎酵素または抗炎症薬を含有させるまたは併用すると鼻粘膜の炎症を抑制するため、さらに好適である。消炎酵素または抗炎症薬としては、リゾチーム、セラペプターゼ、ブロメライン、セミアルカリプロテイナーゼ、プロナーゼ、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、アラントイン、アズレン、アズレンスルホン酸、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸、ベルベリン、インドメタシン、ジクロフェナク、プラノプロフェン、ピロキシカムおよび薬理学的に許容される塩(例えば、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、アズレンスルホン酸ナトリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、ジクロフェナクナトリウムなど)などが例示できる。
本発明における消炎酵素または抗炎症薬は、当該技術分野で通常に用いられる範囲であれば特に制限されないが、成人1日あたり、塩化リゾチームは18mg以上90mg以下(力価)、ブロメラインは2万4千単位以上12万単位以下、グリチルリチン酸は20mg以上200mg以下であれば良い。さらに本発明において、消炎酵素または抗炎症薬の割合は、シュードエフェドリン1重量部に対して通常0.05重量部以上であれば効果を得ることができ、好ましくは0.1重量部以上である。また、上限はさらに服用量や薬理作用を考慮すると、通常10重量部以下、好ましくは8重量部以下であればよいが、消炎酵素または抗炎症薬の種類にも依存するため、特にこれらに限定されるものではない。
【0019】
本発明に対し、キサンチン誘導体を含有させるまたは併用すると好適である。キサンチン誘導体としては、例えば、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、ジプロフィリン、プロキシフィリン、ペントキシフィリンまたはその塩や、安息香酸ナトリウムカフェインなどが例示でき、好ましくはカフェイン、安息香酸ナトリウムカフェインなどが例示でき、また無水であっても良い。
本発明におけるキサンチン誘導体は、当該技術分野で通常に用いられる範囲であれば特に制限されないが、含有させるまたは併用する場合共に、成人1日あたり通常30mg以上、好ましくは60mg以上であればよく、上限はさらに服用量や薬理作用を考慮して、300mg以下、好ましくは150mg以下であればよいが、キサンチン誘導体の種類にも依存する。さらに本発明の組成物においてキサンチン誘導体の割合は、シュードエフェドリン100重量部に対して通常10重量部以上であればこの効果を得ることができ、好ましくは30重量部以上である。また、上限はさらに服用量や薬理作用を考慮すると、通常1000重量部以下、好ましくは500重量部以下であるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0020】
本発明に対し、必要に応じて種々の成分(薬理活性成分や生理活性成分を含む)を含有させるか、組み合わせて使用することができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、解熱鎮痛薬、鎮静催眠薬、鎮咳薬、去痰薬、ビタミン類、粘膜保護成分、清涼化成分などが例示できる。本発明において好適な成分としては、次のような成分が例示できる。
【0021】
解熱鎮痛薬成分:例えばアスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、ラクチルフェネチジン、イブプロフェンおよびケトプロフェンなど。
【0022】
鎮静催眠薬成分:例えば、ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素など。
鎮咳薬成分:アクロラミド、クロペラスチン、ペントキシベリン(カルベタペンタン)、チペピジン、ジブナート、デキストロメトルファン、コデイン、ジヒドロコデイン、ノスカピンおよびそれらの薬理学的に許容される塩(例えば、塩酸クロペラスチン、ヒベンズ酸チペピジン、臭化水素酸デキストロメトルファン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸ノスカピンなど)など。
去痰薬:グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシンなど。
【0023】
ビタミン類:例えば、ビタミンA類[例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピンおよびその薬理学的に許容される塩類(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)など]、ビタミンB類[例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニルアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトールまたはその薬理学的に許容されるこれらの塩類(例えば、塩酸チアミン、硝酸チアミン、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、酪酸リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサールカルシウム、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムなど)など]、ビタミンC類[例えば、アスコルビン酸、エリソルビン酸、その誘導体またはその薬理学的に許容される塩類(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウムなど)など]、ビタミンD類[例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロールおよびその薬理学的に許容される塩類など)など]、ビタミンE類[例えば、トコフェロールおよびその誘導体、ユビキノン誘導体およびその薬理学的に許容される塩類(酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウムなど)など]、その他のビタミン類[例えば、ヘスペリジン、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリンおよびその薬理学的に許容される塩類(塩化カルニチンなど)など]。
【0024】
粘膜保護成分:例えば、アミノ酢酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩などのアルミニウム系粘膜保護剤、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ヒドロタルサイト、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物などのマグネシウム系粘膜保護剤など。
【0025】
清涼化成分:例えば、l−メントール、d−メントール、dl−メントール、d−カンフル、dl−カンフル、d−ボルネオール、dl−ボルネオール、ゲラニオール、ユーカリ油、ベルガモット油、ウイキョウ油、ハッカ油、ケイヒ油、ローズ油、ペパーミント油などの精油や精油成分など。
【0026】
本発明の医薬組成物は、製剤の形態に応じて、医薬品、医薬部外品などに使用される様々な成分や添加物を任意に選択し、併用して製剤化することが可能である。例えば、固形製剤では、結合剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなど)、賦形剤(ショ糖、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸など)、滑沢剤(ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウムなど)、崩壊剤(メチルセルロース、ポリソルベート80、クロスカルメロースナトリウムなど)、発泡剤(炭酸水素ナトリウムなど)などを使用できる。また、半固形剤では、製剤の種類に応じた基剤、例えば、軟膏基剤(例えば、ワセリン、
流動パラフィン、ロウなどの炭化水素系基剤、セタノール、高級脂肪酸エステルなど)、ゲル基剤(例えば、カルボキシビニルポリマー、ガム質など)、油性基剤(オリーブ油、大豆油、ゴマ油、綿実油などの植物油など)などが利用できる。さらに、液剤では、基剤としての溶剤または水、油性基剤、溶解補助剤、懸濁化剤または乳化剤、等張化剤、緩衝剤などが使用できる。また、これらの組成物には、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、甘味剤、酸味剤、着色剤、香料、呈味剤などを添加してもよい。
【0027】
本発明において医薬組成物の剤型あるいは使用形態は、特に限定されず、組成物の用途あるいは種類に応じて、種々の剤型あるいは使用形態をとることができる。
剤型としては、通常、固形剤、半固形剤あるいは液剤、好ましくは固形剤の剤型をあげることができる。具体的には、錠剤(口腔内速崩解錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、液剤、ゲル剤、リポソーム剤、エキス剤、チンキ剤、レモネード剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、ゼリー剤、懸濁剤等を例示でき、特に好ましくは錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤、懸濁剤である。これらの組成物は常法により調製して得られ、その際、上述の成分に加えてその製剤に応じた慣用の添加剤を使用することができる。
【0028】
本発明の医薬組成物の用途としては、例えば、鼻炎用、感冒用などが挙げられ、具体的には、鼻炎用として、アレルギー性鼻炎、急性鼻炎、副鼻腔炎による鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどの治療あるいは緩和のための組成物、感冒用として、風邪の諸症状(のどの痛み、発熱、悪寒、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み、せき、たん、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど)の治療あるいは緩和のための組成物などに用いることができる。
【0029】
本発明の(A)シュードエフェドリンまたはその薬学上許容される塩、(B)フェニレフリンまたはメトキシフェナミンもしくはこれらの薬学上許容される塩、および(C)ダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキスからなる群より選択される少なくとも1種を併用することからなる鼻閉改善方法は、これら成分を適宜製剤化して投与することにより実施される。本発明の方法における、シュードエフェドリン、フェニレフリン、メトキシフェナミン、ダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキスは前記発明または前記組成物で用いたものと同義であり、薬学上許容される塩や使用に際する個々の用量や割合等も上記に準じる。また、この方法における、(A)シュードエフェドリン、(B)フェニレフリンまたはメトキシフェナミン、および(C)ダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキスからなる群より選択される少なくとも1種とを併用する方法については、各成分に応じて公知あるいは慣用されている製剤あるいは投与方法を用いることができる。
【実施例】
【0030】
以下に、実施例、比較例に基づいて本発明をより詳細に示すが、本発明はこれらの実施例、比較例によってなんら限定されるものではない。
試験例 鼻閉改善に関する試験
表1に示す処方で、日本薬局方(製剤総則「錠剤」)に準じて錠剤を製造し、実施例及び比較例の鼻閉改善効果について評価した。鼻閉(鼻づまり)症状を有する25名を対象として、5群各5名ずつ分け、実施例あるいは比較例の製剤を1回2錠、1日3回、食後30分以内に服用してもらい、服用30分後、1時間後、3時間後の鼻閉症状の改善度について下記評価基準に従って評価した。結果は表2に示した。
(鼻閉改善度の評価基準)
5:症状が消失した
4:わずかに残っている
3:やや改善した
2:変わらない
1:悪化した
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
ベラドンナ総アルカロイド投与群(比較例2)では鼻閉改善はほとんど認められず、また、塩酸フェニレフリン及び塩酸シュードエフェドリン投与群(比較例1)では鼻閉改善効果が少し認められたが、塩酸フェニレフリン、塩酸シュードエフェドリン及びベラドンナ総アルカロイド投与群(実施例1)ではさらに優れた鼻閉改善効果が認められた。また、塩酸シュードエフェドリン投与群(比較例3)では鼻閉改善効果の発現までに時間がかかり、また、塩酸フェニレフリン投与群(比較例4)では、服用後短時間で鼻閉改善効果を発現するが、持続しなかった。この結果から、ベラドンナ総アルカロイドは塩酸フェニレフリン及び塩酸シュードエフェドリンの鼻閉改善効果を増強することが分った。
【0034】
以下の実施例により本発明組成物の製剤例を示す。
実施例2(錠剤)
塩酸シュードエフェドリン 180 g
塩酸フェニレフリン 15 g
ベラドンナ総アルカロイド 0.12g
塩酸メキタジン 4 g
無水カフェイン 150 g
グリチルリチン酸ジカリウム 200 g
乳糖 729.88g
微結晶セルロース 465 g
ヒドロキシプロピルセルロース 50 g
ステアリン酸マグネシウム 6 g
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり200mgとなるように打錠して錠剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として9錠を服用する。
【0035】
実施例3(錠剤)
塩酸シュードエフェドリン 120 g
塩酸フェニレフリン 30 g
ベラドンナ総アルカロイド 0.2 g
塩酸エピナスチン 4 g
サイシンエキス 30 g
無水カフェイン 150 g
グリチルリチン酸ジカリウム 100 g
乳糖 466.3 g
微結晶セルロース 255 g
ヒドロキシプロピルセルロース 40 g
ステアリン酸マグネシウム 4.5 g
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり200mgとなるように打錠して錠剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として6錠を服用する。
【0036】
実施例4(錠剤)
塩酸シュードエフェドリン 60 g
塩酸メトキシフェナミン 150 g
ベラドンナ総アルカロイド 0.4 g
d−マレイン酸クロルフェニラミン 6 g
無水カフェイン 120 g
グリチルリチン酸ジカリウム 60 g
乳糖 214.6 g
微結晶セルロース 110 g
ヒドロキシプロピルセルロース 26 g
ステアリン酸マグネシウム 3 g
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり250mgとなるように打錠して錠剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として3錠を服用する。
【0037】
実施例5(チュアブル剤)
塩酸シュードエフェドリン 180 g
塩酸フェニレフリン 10 g
ベラドンナ総アルカロイド 0.4 g
d−マレイン酸クロルフェニラミン 6 g
無水カフェイン 150 g
塩化リゾチーム 75 g
キシリトール 1000 g
アスパルテーム 50 g
微結晶セルロース 262.6 g
ヒドロキシプロピルセルロース 60 g
ステアリン酸マグネシウム 6 g
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり600mgとなるように打錠してチュアブル剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として3錠を服用する。
【0038】
実施例6(顆粒剤)
塩酸シュードエフェドリン 120 g
塩酸フェニレフリン 15 g
ベラドンナ総アルカロイド 0.4 g
dl−マレイン酸クロルフェニラミン 12 g
無水カフェイン 150 g
グリチルリチン酸ジカリウム 90 g
D‐マンニトール 1892.6 g
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 600 g
コーンスターチ 600 g
ヒドロキシプロピルセルロース 120 g
上記成分を日本薬局方製剤総則「顆粒剤」に準じて製し、1包あたり1200mgとなるように分包して顆粒剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として3包を服用する。
【0039】
実施例7(錠剤)
塩酸シュードエフェドリン 144 g
塩酸フェニレフリン 6 g
ベラドンナ総アルカロイド 0.6 g
d−マレイン酸クロルフェニラミン 6 g
無水カフェイン 120 g
グリチルリチン酸ジカリウム 60 g
乳糖 868.4 g
コーンスターチ 200 g
ヒドロキシプロピルセルロース 30 g
ステアリン酸マグネシウム 5 g
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり240mgとなるように製して錠剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として6錠を服用する。
【0040】
実施例8(硬カプセル剤)
塩酸シュードエフェドリン 120 g
塩酸フェニレフリン 30 g
ダツラエキス 0.2 g(総アルカロイドとして)
塩酸エメダスチン 6 g
無水カフェイン 120 g
塩化リゾチーム 75 g
乳糖 530 g
微結晶セルロース 313.8 g
ステアリン酸マグネシウム 5 g
上記成分を日本薬局方製剤総則「カプセル剤」に準じて製し、1カプセルあたりの内容量が200mgとなるように製してカプセル剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として6カプセルを服用する。
【0041】
実施例9(軟カプセル剤)
塩酸シュードエフェドリン 60 g
塩酸フェニレフリン 15 g
ベラドンナ総アルカロイド 0.4 g
d−マレイン酸クロルフェニラミン 6 g
無水カフェイン 120 g
グリチルリチン酸ジカリウム 60 g
ポリソールベート80 300 g
グリセリン脂肪酸エステル 39 g
サラシミツロウ 259.6 g
中鎖脂肪酸トリグリセリド 40 g
上記成分を日本薬局方製剤総則「カプセル剤」に準じて製し、1カプセルあたりの内容量が300mgとなるよう製して軟カプセル剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として3カプセルを服用する。
【0042】
実施例10(錠剤)
塩酸シュードエフェドリン 120 g
塩酸フェニレフリン 30 g
ロートエキス 60 g
塩酸エピナスチン 4 g
サイシンエキス 30 g
無水カフェイン 150 g
グリチルリチン酸ジカリウム 100 g
乳糖 466.3 g
微結晶セルロース 195.2 g
ヒドロキシプロピルセルロース 40 g
ステアリン酸マグネシウム 4.5 g
上記成分を日本薬局方製剤総則「錠剤」に準じて製し、1錠あたり200mgとなるように打錠して錠剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として6錠を服用する。
【0043】
実施例11(硬カプセル剤)
塩酸シュードエフェドリン 120 g
塩酸フェニレフリン 30 g
ベラドンナエキス 20 g
塩酸エメダスチン 6 g
無水カフェイン 120 g
塩化リゾチーム 75 g
乳糖 530 g
微結晶セルロース 294 g
ステアリン酸マグネシウム 5 g
上記成分を日本薬局方製剤総則「カプセル剤」に準じて製し、1カプセルあたりの内容量が200mgとなるように製してカプセル剤を得た。なおこの製剤は、成人1日量として6カプセルを服用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シュードエフェドリンまたはその薬学上許容される塩、(B)フェニレフリンまたはメトキシフェナミンもしくはこれらの薬学上許容される塩、および(C)ダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキスからなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする医薬組成物。



【公開番号】特開2013−49729(P2013−49729A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−270917(P2012−270917)
【出願日】平成24年12月12日(2012.12.12)
【分割の表示】特願2010−163769(P2010−163769)の分割
【原出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【出願人】(000115991)ロート製薬株式会社 (366)
【Fターム(参考)】