説明

医薬製剤

【課題】プレコナリル含有溶液を含み、場合によっては1つまたは複数の追加の治療剤を含む医薬品を提供する。
【解決手段】本発明は、水性担体およびその中に懸濁させたプレコナリル粒子を含む鼻吸入薬として投与するのに適した医薬品を提供する。この水性担体は、チキソトロピー性組成物を含み、微結晶セルロースと、カルボキシアルキルセルロースアルカリ金属、ポリビニルピロリドンポリマー、およびそれらの混合物から選択されるポリマーとを含む。この水性担体は、約0.5重量%〜約15重量%の平均分子量約10,000ダルトン〜約360,000ダルトンのポリビニルピロリドンおよびその混合物、ならびに最高約10重量%のポリエチレングリコールを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレコナリルを単独で、または1つもしくは複数の他の医薬品活性剤と組み合わせて含む新規剤形の製剤、およびそれを使用する方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本願の本節または任意の節における参考文献の特定は、このような参考文献は本発明の先行技術であることを認めるものではない。プレコナリルは、3−[3,5−ジメチル−4−[3−(3−メチル−5−イソオキサゾリル)プロポキシ]フェニル]−5−(トリフルオロメチル)−1,2,4−オキサジアゾールとして知られている。他にも、具体的にはPICOVIR(登録商標)、VP 63843、およびWin 63843という名称がある。プレコナリルは、ピコルナウイルスの複製阻害薬であり、ライノウイルスに対して活性であることがわかっている新規化学成分(NCE)である。Merck Indexによれば、プレコナリルは、参照により組み込まれる特許文献1に従って調製することができる。
【0003】
プレコナリルは、感冒の治療のための抗ウイルス剤として有効であるため、感冒に関連した症状、ウイルスにより誘導された呼吸器疾患、および/もしくは他の病状を軽減する他の医薬品と共に、かつ/またはある種の剤形で投与することが有益であるはずである。NCE薬物は、全身投与した場合に安全性の問題を提起する可能性がある。したがって、プレコナリルを投与する際、例えばライノウイルス感染に対処する際に、このクラスの薬物を局所投与、例えば呼吸吸入、例えば上気道および/または下気道の治療のための口腔を経由する吸入(経口吸入送達)、ならびに鼻洞および鼻粘膜の治療のための鼻を経由する吸入(鼻吸入送達)することが好ましい。
【0004】
呼吸送達を対象とする医薬品は、一般に液体担体、例えば水性系または脂質系担体を含有することができ、これらの医薬品としては、担体に懸濁した治療剤の懸濁液と、担体に溶解した治療剤を有する溶液とが挙げられる。これまで、一般に、鼻吸入のために製剤された医薬品は、不溶性治療剤の水性懸濁液または可溶性治療剤の水溶液の水性系であった。経口吸入による投与に適した乾燥粒子として製剤された治療剤もあった。
【0005】
呼吸送達用の乾燥粉末および懸濁液の形の医薬品の投与の一貫性および有効性は、平均粒径が小さく、かつ粒径分布が狭い構成粒子に依存する。これは記述されている。例えば非特許文献1、および非特許文献2を参照のこと。さらに、病態の粒子材料を用いた有効な局所治療は、粉末または懸濁液中に含まれている治療化合物の治療部位全体に効果的に分散される能力によって限定される。したがって、懸濁液または乾燥粉末医薬品中の粒径および/もしくは粒径分布を変更し、またはそれに影響を及ぼす条件は、医薬品中の治療剤の意図される治療部位に分散される能力と、一旦投与されたらそのバイオアベイラビリティとに影響を及ぼす可能性がある。懸濁液を含む組成物は、凝結および/または凝集により物理的不安定に陥りやすい。乾燥粉末組成物は、貯蔵中に凝集しやすい。さらに、粒子材料の局所塗布は、治療剤を塗布部位に分散させる能力において限界がある。この限界によって、粒子治療剤の局所塗布による治療が非実用的になる病態もある。さらに、それぞれが異なる治療剤に応答する複数の症状を有する可能性がある病状の管理において、複数の治療剤を治療部位に供給することがより効率的でかつ有効である場合がある。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2005年8月3日出願の米国特許出願第11/196,745号には、プレコナリルと様々な治療剤の組合せが述べられているものの、プレコナリル溶液またはプレコナリルのチキソトロピー性担体懸濁液を含有する剤形については記述も示唆もない。
【0006】
プレコナリルは、水性溶媒に不溶性であり、この理由により、治療剤としてプレコナリルのみを含有する粒子水性懸濁液として調製されている。これまで、これらの懸濁液は、鼻吸入投与する場合、鼻腔で保持される能力に欠けていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,464,848号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Pritchard,J.N.,The Influence of Lung Deposition on Clinical Response,Journal of Medicine,2001,14(1).pp.19〜26
【非特許文献2】Meyer,K.C.ら、Drug Delivery to the Lung in Polymeric Site−Specific Pharmacology,Eds,A.J.Domb;John Wiley and Sons:New York,1994,pp347−367
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
目的
上記の問題を考慮すると、プレコナリル含有溶液を含み、場合によっては1つまたは複数の追加の治療剤を含む医薬品が求められている。エアゾールの形で、例えば定量吸入器または吸入送達用定量ポンプスプレーにより送達することができるプレコナリル含有溶液を含む医薬品も求められている。
【0010】
鼻吸入投与に適したチキソトロピー性挙動、および鼻腔で保持されるのに十分な粘性を投与後に有する、1つまたは複数の追加の治療剤を場合によって含むプレコナリル水性懸濁液も求められている。上記およびその他の目的ならびに/または利点が本発明によってもたらされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
したがって、本発明の一態様では、プレコナリルまたはその医薬として許容し得る塩を含有する溶液を含む医薬品であって、前記溶液がプレコナリル溶解性グリセリド油類、プレコナリル溶解性ヒドロフルオロカーボン、およびそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒を含む、医薬品が開示される。
【0012】
いくつかの実施態様では、プレコナリル含有溶液は、カプリン酸およびカプリル酸の混合物をグリセリンでエステル化することによって作製することができるトリエステルからなる群から選択される1つまたは複数の溶媒を含む。いくつかの実施態様では、プレコナリル含有溶液は、1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパン、1,1,1,2テトラフルオロエタン、およびそれらの混合物からなる群の少なくとも1つのメンバーを含む。いくつかの実施態様では、プレコナリル含有溶液は、Miglyol 812(登録商標)(Sasol North America Inc.製、約50重量%〜約65重量%のCおよび約30重量%〜約45重量%のC10を含む飽和脂肪酸の混合物から作製されたトリグリセリド)を含む。
【0013】
本発明の別の態様は、(i)プレコナリルまたはその医薬として許容し得る塩を含有する少なくとも1つの溶液と、(ii)コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、去痰薬、非ステロイド性抗炎症剤、うっ血除去薬、抗コリン薬、医薬として許容し得る亜鉛塩、抗生物質、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンDアンタゴニスト、ロイコトリエン阻害薬、PYアゴニスト、sykキナーゼ類縁体、エキネシア、ビタミンC、およびビタミンEからなる群の1つまたは複数のメンバーを含む医薬品を提供する。
【0014】
本発明の別の態様は、プレコナリルまたはその医薬として許容し得る塩、および場合によっては、1つまたは複数の追加の治療剤を含有する溶液を含む医薬品であって、該溶液が吸入経路により投与されるように適合されている、医薬品を提供することである。いくつかの好ましい実施態様では、医薬品は、プレコナリルまたはその医薬として許容し得る塩、および場合によっては、それと結合したフロ酸モメタゾン、および場合によっては、その中に懸濁させたオキシメタゾリン塩酸塩を含有する1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパン溶液を含む。いくつかの実施態様では、医薬品は、プレコナリルまたはその医薬として許容し得る塩を含有する溶液で乳化されたオキシメタゾリンHClの水溶液を含む。
【0015】
本発明のいくつかの実施態様では、プレコナリル含有溶液を含む医薬品(本明細書では、「プレコナリル医薬品」とも称する)は単独で、プレコナリル医薬品を投与するための装置に含まれている。いくつかの実施態様では、プレコナリル医薬品、および1つまたは複数の追加の治療剤を含有する1つまたは複数の別々の医薬品は、プレコナリル医薬品を、コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、去痰薬、非ステロイド性抗炎症剤、うっ血除去薬、抗コリン薬、医薬として許容し得る亜鉛塩、抗生物質、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンDアンタゴニスト、ロイコトリエン阻害薬、PYアゴニスト、sykキナーゼ類縁体、エキネシア、ビタミンC、およびビタミンEからなる群の1つまたは複数のメンバーを含む1つまたは複数の別々の医薬品と共に投与するための装置に一緒に包装され、該装置は、プレコナリル医薬品、およびそれと共に包装された1つまたは複数の別々の医薬品の同時、連続、または個別投与に適合している。いくつかの実施態様では、少なくとも1つのプレコナリル医薬品は、場合によってはプレコナリル医薬品の投与と同時に、連続的に、または個別に投与される1つまたは複数の追加の治療剤を含有する1つまたは複数の別々の医薬品と共に、キットの中に含まれているプレコナリル医薬品の吸入投与を容易にする装置を含むキットの形で包装されている。
【0016】
いくつかの実施態様では、1つまたは複数の追加の治療剤を場合によって含有するプレコナリル医薬品は、上気道もしくは下気道、ウイルス性、炎症性、または閉塞性気道疾患の治療においてこのような治療を必要とする患者に、単独で、または追加の治療剤を含有する1つもしくは複数の別々の医薬品と共に投与される。
【0017】
いくつかの実施態様では、プレコナリル含有溶液を含む医薬品は、経口吸入および鼻吸入から選択される吸入経路により投与される。いくつかの好ましい実施態様では、投与は、ネブライザー、定量ポンプスプレー装置、および加圧型定量吸入器から選択される装置を利用して行われる。プレコナリル含有溶液を含む医薬品を投与するための吸入装置を利用するいくつかの実施態様では、医薬品を経口吸入または鼻吸入の経路により投与するための投与装置により、吸入装置を場合によって適合させることができる。一実施態様では、単一の加圧型定量吸入器を、経鼻送達用に設計されたアクチュエータと経口送達用に設計されたアクチュエータを切り替えるだけで経口吸入または鼻吸入の経路用に適合させることができる。いくつかの実施態様では、プレコナリル含有溶液を含む医薬品は、例えば真皮への局所塗布用の形で提供される。
【0018】
別の態様では、本発明は、鼻粘膜への投与用の定量ポンプスプレー装置による送達のために製剤された、プレコナリル水性懸濁液、および場合によっては、1つまたは複数の追加の治療剤を含む医薬品を提供する。いくつかの実施態様では、該プレコナリルは、1つまたは複数の追加の水不溶性治療剤、例えばフロ酸モメタゾンと共に懸濁され、場合によっては1つまたは複数の追加の水溶性治療剤、例えばオキシメタゾリンHClも含有する。いくつかの実施態様では、該医薬懸濁液は、鼻粘膜に塗布した場合に「ノードリップ」特性をもたらすのに十分な粘性を投与後に有するチキソトロピー性担体溶液を含む。
【0019】
いくつかの好ましい実施態様では、プレコナリル水性懸濁液を含む医薬品は、水、プレコナリル、場合によってはオキシメタゾリンまたはその医薬として許容し得る塩、約2.5重量パーセント〜約3.5重量パーセントの微結晶セルロースとカルボキシアルキルセルロースアルカリ金属の混合物、および約0.5重量パーセント〜約5重量パーセントのポリビニルピロリドンを含むスプレー式点鼻薬組成物であり、該組成物の複素粘度は、高せん断条件の終了後約20秒以内に、高せん断条件下で測定した組成物の最低複素粘度の少なくとも約10倍に増大する。
【0020】
本発明の別の態様は、眼科用組成物を提供する。好ましい眼科用組成物は、液体、軟膏、または水性ゲルを含む。好ましい一実施態様では、該組成物は、例えばワセリン、鉱油などを含むローションまたは流動性軟膏基剤に懸濁されている水性液滴内に溶解または懸濁されている追加の治療剤を含む油中水型乳濁液であり、該組成物は、適切なプレコナリル溶解性グリセリド油または適切なプレコナリル溶解性HFCに溶解されているプレコナリルを含む。
【0021】
いくつかの実施態様では、プレコナリル含有溶液を含む医薬品は、液体経口剤形で提供される。いくつかの実施態様では、プレコナリル含有溶液を含む医薬品は、ゼラチンカプセルに被包成型されて提供される。本発明の他の利点は、当業者に明らかであろう。
本発明はさらに、以下の項目を提供する。
(項目1)
水性担体およびその中に懸濁したプレコナリル粒子を含む鼻吸入薬としての投与に適した医薬品であって、上記水性担体はチキソトロピー性組成物を含み、そして、微結晶セルロースと、アルカリ金属カルボキシアルキルセルロース、ポリビニルピロリドンポリマー、およびそれらの混合物から選択されるポリマーとを含む、医薬品。
(項目2)
上記水性担体が、約0.5重量%〜約15重量%の平均分子量約10,000ダルトン〜約360,000ダルトンのポリビニルピロリドンおよびその混合物、ならびに最高約10重量%のポリエチレングリコールを含む、項目1に記載の医薬品。
(項目3)
上記水性担体が、微結晶セルロースおよびカルボキシアルキルセルロースアルカリ金属を、せん断応力を除去して20秒以内に10倍の粘度増大が得られるように選択された量で含む、項目1に記載の医薬品。
(項目4)
さらに、フロ酸モメタゾン、デキサメタゾン、ブトキシカート、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコート、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、レテプレドノール、およびトリアムシノロンからなる群から選択される少なくとも1つのコルチコステロイドを含む、項目1から3のいずれか一項に記載の医薬品。
(項目5)
上記コルチコステロイドがフロ酸モメタゾンである、項目4に記載の医薬品。
(項目6)
水、プレコナリル、場合によってはオキシメタゾリンまたはその医薬として許容し得る塩、約2.5重量パーセント〜約3.5重量パーセントの微結晶セルロースとカルボキシアルキルセルロースアルカリ金属の混合物、および約0.5重量パーセント〜約5重量パーセントのポリビニルピロリドンを含む点鼻薬組成物としての投与に適した医薬品であって、上記組成物の複素粘度は、高せん断条件の終了後約20秒以内に、高せん断条件下で測定した組成物の最低複素粘度の少なくとも約10倍に増大する、医薬品。
(項目7)
さらに、クエン酸ナトリウム/クエン酸緩衝剤を含む保存剤、ならびにグリセリン、塩化ベンザルコニウム、およびベンジルアルコールを含む保存剤を含む、項目4のに記載の医薬品。
(項目8)
鼻吸入薬としての投与に適した医薬品であって、以下:
a.微結晶セルロースと、カルボキシアルキルセルロースアルカリ金属、ポリビニルピロリドンポリマー、およびそれらの混合物から選択されるポリマーとを含むチキソトロピー性水性担体組成物、;
b.モメタゾン、フロ酸モメタゾン、デキサメタゾン、ブトキシコート、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコート、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、ロテプレドノール、およびトリアムシノロンから選択されるコルチコステロイド;
c.オキシメタゾリンまたはその医薬として許容し得る塩から選択される鼻うっ血除去薬;および
d.上記水性担体組成物中に粒子材料として懸濁しているプレコナリル、またはその医薬として許容し得る塩、
を含む、医薬品。
(項目9)
上記水性担体が、約0.5重量%〜約15重量%の平均分子量約10,000ダルトン〜約360,000ダルトンのポリビニルピロリドンおよびその混合物を含み、さらに最高約10重量%のポリエチレングリコールを含む、項目6に記載の医薬品。
(項目10)
上記水性担体が、微結晶セルロースおよびカルボキシアルキルセルロースアルカリ金属を、せん断応力を除去して20秒以内に10倍の粘度増大が得られるように選択された量で含む、項目6に記載の医薬品。
(項目11)
さらに、コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、去痰薬、非ステロイド性抗炎症剤、鬱血除去薬、抗コリン薬、医薬として許容し得る亜鉛塩、抗生物質、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンDアンタゴニスト、ロイコトリエン阻害薬、PYアゴニスト、sykキナーゼ類縁体、エキネシア、ビタミンC、およびビタミンEからなる群の1つまたは複数のメンバーを含む、項目1から3のいずれか一項に記載の医薬品。
(項目12)
さらに、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェミラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスロラタジン、ドキシルアミン、ジフェンヒドラミン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、レボセチリジン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノルアステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン、トリプロリジン、および2つ以上のそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの抗ヒスタミン薬を含む、項目1から10のいずれか一項に記載の医薬品。
(項目13)
上記抗ヒスタミン薬がデスロラタジンおよびロラタジンから選択される、項目12に記載の医薬品。
(項目14)
さらに、アンブロキソール、グアイアフェネシン、テルピン水和物、グアイコールスルホン酸カリウム、およびカルボシスチエンからなる群から選択される少なくとも1つの去痰薬を含む、項目1から10のいずれか一項に記載の医薬品。
(項目15)
さらに、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、ピロキシカム、テノキシカム、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ナブメトン、ケトロラック、アザプロパゾン、メフェナム酸、トルフェナム酸、スリンダク、ジフルニサル、チアプロフェン酸、ポドフィロトキシン誘導体、アセメタシン、アセクロフェナク、ドロキシカム、オキサプロジン、フロクタフェニン、フェニルブタゾン、プログルメタシン、フルルビプロフェン、トルメチン、およびフェンブフェンからなる群から選択される少なくとも1つの非ステロイド性抗炎症剤を含む、項目1から10のいずれか一項に記載の医薬品。
(項目16)
さらに、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、メタンテリン、プロパンテリン、ジサイクロミン、スコポラミン、メチルスコポラミン、テレンゼピン、ベンズトロピン、QNX−ヘミオキサレート、ヘキサヒドロシラジフェニドール塩酸塩、およびピレンゼピンからなる群から選択される少なくとも1つの抗コリン薬を含む、項目1から10のいずれか一項に記載の医薬品。
(項目17)
さらに、抗菌剤、マクロライド、およびセファロスポリンからなる群から選択される少なくとも1つの抗生物質を含む、項目1から10のいずれか一項に記載の医薬品。
(項目18)
上記抗生物質が、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、フロフェニコール、ゲンタマイシン、エリソロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、ツラスロマイシン、セフロキシム、セフチブテン、セフチオフル、セファドロキシル、アモキシシリン、ペニシリン、β−ラクタム阻害薬と組み合わせたアモキシシリン、スルホンアミド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、およびプロピオン酸ナトリウムからなる群から選択される、項目17に記載の医薬品。
(項目19)
項目1から18のいずれか一項に記載の医薬品を含むエアゾール吸入剤形。
(項目20)
鼻吸入用のエアゾールを供給する装置を含む、項目19に記載のエアゾール剤形。
(項目21)
経口吸入用のエアゾールを供給する装置を含む、項目19に記載のエアゾール剤形。
(項目22)
項目1から10のいずれか一項に記載の第1の医薬品を含むエアゾール吸入剤形であって、上記第1の医薬品は、コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、去痰薬、非ステロイド性抗炎症剤、鬱血除去薬、抗コリン薬、医薬として許容し得る亜鉛塩、抗生物質、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンDアンタゴニスト、ロイコトリエン阻害薬、PYアゴニスト、sykキナーゼ類縁体、エキネシア、ビタミンC、ビタミンE、および2つ以上のそれらの組合せからなる群の少なくとも1つのメンバーを含有する溶液または懸濁液を含む少なくとも1つの追加の医薬品の同時、連続、または個別吸入投与向けに包装されている、エアゾール吸入剤形。
(項目23)
項目1から10のいずれか一項に記載の第1の医薬品を含む、ネブライザーで使用するのに適した吸入可能な組成物。
(項目24)
項目1から10のいずれか一項に記載の第1の医薬品を含む、ネブライザーで使用するのに適した吸入可能な組成物であって、上記第1の医薬品は、コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、去痰薬、非ステロイド性抗炎症剤、鬱血除去薬、抗コリン薬、医薬として許容し得る亜鉛塩、抗生物質、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンDアンタゴニスト、ロイコトリエン阻害薬、PYアゴニスト、sykキナーゼ類縁体、エキネシア、ビタミンC、ビタミンE、および2つ以上のそれらの組合せからなる群の少なくとも1つのメンバーを含有する溶液または懸濁液を含む少なくとも1つの追加の医薬品の同時、連続、または個別吸入投与向けに包装されている、組成物。
(項目25)
上気道もしくは下気道、ウイルス性、炎症性、または閉塞性気道疾患を治療する方法であって、項目1から18、23、および24のいずれか一項に記載の医薬品の有効量を投与することを含む、方法。
(項目26)
ネブライザーを用いて投与が行われる、項目25に記載の方法。
(項目27)
定量ポンプスプレー装置を用いて投与が行われる、項目25に記載の方法。
(項目28)
項目1から18、23、および24のいずれか一項に記載の少なくとも1つの医薬品を、上記医薬品を投与するための少なくとも1つの吸入装置と共に含む医薬キット。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
次に、本発明の説明で使用する用語の定義を示す。
【0023】
用語「医薬として許容し得る塩」は、無機酸、無機塩基、有機酸、および有機塩基を含めて、医薬として許容し得る酸または塩基から調製された無毒性塩を意味する。適切な無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、およびリン酸である。適切な有機酸は、例えば脂肪族、芳香族、カルボン酸、およびスルホン酸のクラスの有機酸から選択することができ、その例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルクロン酸、マレイン酸、フロ酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸、ステアリン酸、スルファニル酸、アルゲン酸、およびガラクツロン酸である。適切な無機塩基としては例えば、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛から作製された金属塩が挙げられる。適切な有機塩基は、例えばN,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルマイン(N−メチルグルカイン)、リシン、およびプロカインから選択することができる。
【0024】
用語「治療上有効量」は、投与されたとき、疾患または病状の治療または管理において治療効果をもたらすためにその中に含まれている1つまたは複数の医薬活性剤の所与の量を供給する医薬品の量を意味する。
【0025】
剤形は、一定量または単位量で提供される医薬組成物の投与形を意味し、少なくとも1つの治療剤を、送達システムを含む1つまたは複数の他の賦形剤、例えば担体、希釈剤、および着色剤と共に含む。剤形としては例えば、カプセル、吸入のために取り出される一定量のエアゾール、および吸収のために取り出される一定量の液体が挙げられる。
【0026】
これまで、プレコナリルは、エアゾールを生成するには適していない極性の低い液体、例えばトウモロコシ油およびエタノールにのみ可溶であると知られていた。したがって、吸入経路による投与に適したプレコナリル含有医薬品はこれまで、プレコナリルを吸入投
与用の粒子の形で提供することに依存してきた。この例としては、単独治療剤プレコナリルの液体担体、一般に水性担体懸濁液が挙げられる。これは、エアゾールとして分散され、プレコナリル含有粉末吸入剤を空気流で伴出し、それぞれ吸入投与される。しかし、例えばピコルナウイルスによって誘発された疾患、例えば感冒の治療において、粒子の形のプレコナリルの送達は、プレコナリル粒子の吸入により、プレコナリル粉末が患部組織に塗布されるが、この粒子医薬品では、患部組織が治療レベルのプレコナリルの欠乏した状態になり、状況によっては不利である。例えば、感冒の治療における病状の管理または治療剤の供給においては、治療剤で治療する組織を完全に被覆することが有利である。
【0027】
驚くべきことに、本発明者らは、プレコナリルがいくつかのグリセリド油類に溶解することができ、ポンプスプレービンから送達されるエアゾールとして分散されるのに適した、プレコナリル含有溶液を含む医薬品になることを発見した。有利なことには、このタイプのプレコナリル含有溶液を含む医薬品は、例えば定量ポンプスプレーディスペンサー、加圧型定量エアゾール吸入器(噴射剤と共に包装された場合)を使用して、またはネブライザーで使用されて、投与することができる。さらなる利点の中で、いくつかのグリセリド油類、例えばMiglyol 812(登録商標)(Sasol North America Inc.製、約50重量%〜約65重量%のCおよび約30重量%〜約45重量%のC10を含む飽和脂肪酸の混合物から作製されたトリグリセリド)は、MDI装置でよく使用されるヒドロフルオロカーボン噴射剤と混和可能である。プレコナリル含有溶液を含む医薬品は、プレコナリルの局所塗布により治療可能な病態の患者への吸入投与に適している。便宜上、これらの溶液を含むグリセリド油類(下記に詳述する)は、本明細書では「プレコナリル溶解性グリセリド油類」とも称する。プレコナリル溶解性グリセリド油類を利用するプレコナリル含有溶液は、経口摂取、吸入(鼻および経口)、および外表皮膚および眼への局所塗布により送達するための医薬品の調製において有用であることが考えられる。プレコナリルのプレコナリル溶解性グリセリド油溶液を含む医薬品は、ネブライザーからの経口吸入、ならびに定量ポンプスプレーによって供給される医薬品のエアゾールまたは加圧型定量吸入器装置からエアゾールとして送達される医薬品の鼻吸入および経口吸入による投与、ならびに局所投与される眼科用製剤において最も有用であると考えられる。
【0028】
適切なプレコナリル溶解性グリセリド油類は、室温における動的粘度が約33cP未満であり、これには、カプリン酸、カプリル酸、およびカプリン酸とカプリル酸の混合物の存在下でグリセリンをエステル化することによって作製されるトリグリセリドが挙げられる。好ましくは、プレコナリル溶解性グリセリド油類は、カプリル酸とカプリン酸の混合物の存在下でグリセリンをエステル化することによって生成され、ヒトにおける接触が安全であると一般に認識されているトリグリセリドを含むものから選択される。より好ましいのは、カプリン酸とカプリル酸の混合物の存在下でグリセリンをエステル化することによって生成されるトリグリセリドであり、この脂肪酸混合物は、最高約45重量%のカプリン酸を含み、残部はカプリル酸を実質的に含む。好ましいのは、約20重量%〜約45重量%のカプリン酸、および約50重量%〜約80重量%のカプリル酸を含む脂肪酸混合物の存在下でグリセリンをエステル化することによって生成されるトリグリセリドであり、この脂肪酸混合物の合計5重量%以下は、C、C12、およびC14脂肪酸の組合せを含む。
より好ましいのは、約30重量%〜約45重量%のカプリン酸、および約50重量%〜約65重量%のカプリル酸を含む脂肪酸混合物の存在下でグリセリンをエステル化することによって生成されるトリグリセリドであり、この脂肪酸混合物の合計5重量%以下は、C、C12、およびC14脂肪酸の組合せを含む。カプリン酸とカプリル酸の混合物の存在下でエステル化されたグリセリンを含む適切な市販グリセリド油類としては例えば、Sasol North Americaから入手可能なMiglyol 812(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。Sasolの製品印刷物には、Miglyol 812(登録商標)が、約50重量%〜約65重量%のカプリル酸(本明細書では、C)、および約30重量%〜約45重量%のカプリン脂肪酸(本明細書では、C10)を含み、2重量%以下のカプロン酸、2重量%以下のラウリン酸、および1重量%以下のリノール酸が存在した脂肪酸混合物から作製されたトリグリセリドとして記載されており、本明細書では、便宜上「Sasol North America Inc.製、約50重量%〜約65重量%のCおよび約30重量%〜約45重量%のC10を含む飽和脂肪酸の混合物から作製されたトリグリセリド」と記載する。
【0029】
さらに、本発明者らは驚くべきことに、プレコナリルがいくつかのヒドロフルオロカーボン凝縮相(本明細書では、便宜上「プレコナリル溶解性ヒドロフルオロカーボン」とも称する)に溶解し得ることを発見した。したがって、加圧型定量吸入器装置からの投与に適したプレコナリル含有溶液を含む医薬品が提供される。室温蒸気圧が十分に高いプレコナリル含有溶液が調製されるようにヒドロフルオロカーボン(HFC)を選択した場合、選択されたHFCは、溶媒とてしても噴射剤としても機能することができる。このような一HFCは例えば、室温蒸気圧が約66psiaである1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパン(HFA 227、Solvay)である。室温で沸騰しないほど低い室温低蒸気圧のHFCを選択することによって、定量ポンプスプレー装置またはネブライザーを利用する投与に適したプレコナリルのHFC溶液が得られることが理解される。このような低蒸気圧HFC溶液は、適切な噴射剤が溶液と共に包装されている場合、加圧型定量吸入器装置から投与できることも理解される。
【0030】
プレコナリルのプレコナリル溶解性HFC溶液を含む医薬品は、定量ポンプスプレーによって供給され、または加圧型定量吸入器装置から送達される医薬品のエアゾールの吸入(鼻吸入および経口吸入)による投与において最も有用であると考えられる。
【0031】
好ましいプレコナリル溶解性ヒドロフルオロカーボンは、プレコナリルまたはその医薬として許容し得る塩の溶解性が周囲温度(約25℃)において少なくとも約1g/mlであるものであり、周囲温度(約25℃)における蒸気圧が約66psia(例えば、1,1,1,2テトラフルオロエタン、例えばHFA−134a(DuPont))から約96psia(例えば、1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパン、例えばHFA−227(Solvay))である。
【0032】
プレコナリルを全身送達より局所送達することが好ましいので、HFC系医薬品は、経口吸入または鼻吸入により投与される医薬組成物において最も広く有用であると考えられる。医薬品を液体で消化管に経口投与する用途では、十分に非揮発性のHFCを使用できることも理解されるが、プレコナリル溶解性グリセリド油類を利用することが好ましい。
【0033】
本発明の一態様では、プレコナリル含有溶液を含む医薬品は、計量したプレコナリルをプレコナリル溶解性グリセリド油またはプレコナリル溶解性ヒドロフルオロカーボン溶媒に溶解して、プレコナリルを含有する溶液をもたらすことによって提供される。医薬品は、適量のプレコナリル、場合によっては、1つまたは複数の他の所望の治療剤、および場合によっては、1つまたは複数の他の賦形剤、例えば所望のエアゾール液滴形成を促進するための界面活性剤を含有する溶液を混合し、得られたプレコナリル含有溶液を所望の投与装置、例えば定量ポンプスプレーディスペンサー、加圧型定量吸入器(必要に応じて、噴射剤を伴う)、およびネブライザーに加えることによって調製される。
【0034】
本発明の一態様では、プレコナリル含有溶液を含む医薬品は、計量したプレコナリルを適切な容器、例えば加圧型定量吸入器本体に入れ、絞り弁を本体に適用し、プレコナリル溶解性グリセリド油、プレコナリル溶解性ヒドロフルオロカーボン、およびそれらの2つ以上の混合物から選択された溶媒の計算した重量を必要に応じて追加の噴射剤と共に容器に充填することによってもたらされる。
【0035】
医薬品の吸入送達には、医薬品を鼻または気道内の所期の部位に投与するのに適切なサイズの液滴を含む医薬品のエアゾールの供給が必要であることが理解される。担当医師は、エアゾールの有効な吸入投与の研究結果、例えばNewman, SP. Aerosol Generators and Delivery Systems, Respiratory Care, 1991, 36, pp. 939−951 , Clay, M.ら、Effect of Nebulized Aerosol Size
on Lung Deposition in Patients With Mild Asthma, Thorax 1987, 42, 120, Dolovich, M. B.ら、Optimal Delivery of Aerosols from Metered Dose Inhalers, Chest, 80(supplemental)1981, pp. 911−915, Pritchard, J. N., The Influence of Lung Deposition on Clinical Response, Journal of Medicine, 2001, 14(1), S19−S26(2001)、およびMeyer, K.C.ら、Drug Delivery to the Lung in Polymeric Site−Specific Pharmacology, Eds, A. J. Domb; John Wiley and Sons: New York, 1994, pp. 347−367を報告しており、これらはそれぞれ、参照によりその全体が組み込まれる。したがって、これらの送達装置で使用するための本発明の医薬品は、サイズ範囲が狭く、医薬品を所期の投与部位に投与するのに適した分散液を生成するのに適切な平均サイズの液滴を供給する助けとなる、当業者によって理解されている界面活性剤を場合によっては含有することができる。経鼻投与では、分散液が平均直径約20ミクロン〜約100ミクロンの液滴[D(v、0.5)]を含むことが好ましく、該液滴の90%[D(v、0.9)]の直径が200ミクロン以下であり、液滴の10%[D(v、0.1)]の直径が45ミクロン以下である。経口吸入による投与では、空気動力学的質量中央粒径は約1ミクロン〜約5ミクロンであるべきである。
【0036】
次に、本発明の医薬品を吸入により投与し、それによってプレコナリル含有溶液を含む医薬品を全身投与でなく局所投与するために使用することができる様々な送達装置の例について述べる。これらには、定量ポンプスプレーディスペンサー、加圧型定量吸入器、およびネブライザーが挙げられる。定量ポンプスプレーディスペンサーには、手動操作されるポンプが含まれ、このポンプはエアゾールの吸入後に医薬品が投与されるべき作用部位に到達するのに適切な平均直径の呼吸用サイズおよびサイズ分布を有する液滴のエアゾールを供給する際に作動したとき、その中に含まれる医薬品の定量をオリフィス経由で汲み出す。本明細書に記載する本発明組成物のエアゾールを供給するのに適したこのような手動で作動させる一ポンプは例えば、Valois Pharmaceutical Division,Franceから入手可能なVP3ラインのポンプ、例えばクリンプオン93マイクロリットルの手動操作の定量エアゾールポンプであるVP3/93モデルである。本発明の医薬製剤での使用に適したポンプスプレーディスペンサーとしては例えば、特定の定量の液体または懸濁液を投与するポンプスプレービン、例えば商標名NASONEX(登録商標)Nasal Sprayで市販されている水性懸濁液を分注するために使用されるもの、および1993年6月1日にHague Unionによって登録されたSchering Corporation Industrial Design Deposit DM/026304に開示されているスプレービンが挙げられる(それぞれSchering Corporationから入手可能である)が、これらに限定されない。
【0037】
加圧型定量吸入器(「MDI」)は、該装置と共に含まれる医薬品の正確な量のエアゾールを生成するための噴射剤、例えばクロロフルオロカーボン噴射剤、例えばCFC−11、CFC−12、ヒドロフルオロカーボン噴射剤、例えばHFC−134A、HFC−227を含み、該医薬品は、そのエアゾールを経口吸入(上気道または下気道に入る)または鼻吸入することによって投与され、鼻粘膜および/または鼻洞腔を治療する。
【0038】
本発明の医薬製剤を送達するために使用することができる加圧型定量吸入器としては例えば、Schering Ploughから入手可能なProventil HFAを送達するための現在上市されているMDI装置が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明の医薬製剤を含む加圧型定量吸入器、または定量ポンプスプレーエアゾール送達装置を利用するいくつかの実施態様では、該送達装置は交換可能な2台のアクチュエータを含むことができ、それぞれ、医薬品の経口吸入および鼻吸入送達用である。したがって、ウイルス感染の口腔部位および鼻部位を治療するための医薬品を送達するための機構が提供される。経鼻送達用の典型的アクチュエータは、オリフィス直径約1ミリメートルの円形とすることができる。経口送達で使用するためのアクチュエータをマウスピース内に封入することができ、該アクチュエータは、通常はオリフィス直径が約0.5ミリメートルである。
【0040】
本発明の医薬製剤は、ネブライザー装置を利用して投与することもできる。典型的な市販ネブライザー装置は、2つの方法の一方で、液滴をガス流に分散させる。ジェットネブライザーは、圧縮空気供給装置を用いて、ベンチュリー作用により液体をオリフィス経由で管中を引き上げ、液体を流動ガス流に導入して、その中に懸濁している液滴とし、その後その流体を1つまたは複数の固定バッフルに衝突させて、過剰に大きい液滴を除去する。超音波ネブライザーは、電動トランスデューサーを使用して、流体を高周波振動にかけ、移動ガス流に同伴され得る液滴の集団を生成する。これらの装置は、懸濁液の送達には好ましくない。
【0041】
単球ゴム空気供給装置を用いて液体を霧化するハンドヘルドネブライザーも利用可能であるが、このより広く使用されている機器は、電動圧縮機を含み、または圧縮ガスのシリンダーに連結している。様々な市販装置は、呼吸用液滴のそれぞれの生産量が全く同一ではないので所与の医薬品の送達効率において非常に多様であるが、処方者が医薬製剤の個々の装置に加えるべき正確な量を指定すると、本発明の医薬品の送達にはどの装置でも使用することができる。
【0042】
本発明は、1つまたは複数の他の治療剤(下記にさらに詳細に記載されているが、一般に治療すべき病状に応じて選択される)を場合によっては含むプレコナリル含有溶液を含む医薬品の提供も包含する。該他の治療剤としては、コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、去痰薬、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID剤)、うっ血除去薬、抗コリン薬、医薬として許容し得る亜鉛塩、抗生物質、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンDアンタゴニスト、ロイコトリエン阻害薬、PYアゴニスト、SYKキナーゼ類縁体、5−リポキシゲナーゼ阻害薬、「FLAPアンタゴニスト」(下記に定義する)、酸化防止剤、および感冒の治療で知られている化合物、具体的にはエキネシア、ビタミンC、ビタミンEなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明は、1つまたは複数の追加の治療剤を場合によっては含み、1つまたは複数の追加の治療剤を含有する完全に別々の医薬品を場合によっては含むプレコナリル含有溶液を含む少なくとも1つの医薬品、およびプレコナリル含有医薬品を投与するための少なくとも1つの装置を含むキットも包含する。追加の医薬品がキット内に含まれる場合、該装置は、プレコナリル含有医薬品、および追加の治療剤を含有する別々の医薬品の同時、連続、または個別投与に適合している。
【0043】
上記の追加の治療剤は、例えば1つまたは複数の追加の治療剤を共にプレコナリル含有溶液に溶解すること、粒子の形の1つまたは複数の追加の治療剤をプレコナリル含有溶液に懸濁すること、1つまたは複数の追加の治療剤をプレコナリル含有溶液と混和可能な溶媒に溶解し、2つの溶液を混合すること、場合によっては混合の助けとなる共溶媒または界面活性剤を含めて、1つまたは複数の追加の治療剤をプレコナリル含有溶液と混和不可能な溶媒に溶解し、2つの溶液間で乳濁液を生成すること、ならびにこれらの技法の2つ以上を利用して、プレコナリルおよび追加の治療剤を含有する溶液を含む医薬品を提供することによって、プレコナリル含有溶液を含む医薬品に組み込むことができる。プレコナリル含有溶液を含む医薬品を1つまたは複数の追加の治療剤を含む少なくとも1つの別々の医薬品と共に準備する場合、2つ以上の医薬品を別々の医薬品の同時、連続、または個別投与を可能にする形でエンドユーザーに供給することができる。さらに、疾患を治療する方法において、プレコナリルおよび追加の治療剤を含有する溶液、ならびに1つまたは複数の他の賦形剤を組み合わせてまたは別々に投与することができる。例えば、これらを同時もしくは連続的に投与することができ、すなわちこれらを組み合せて同時に投与、または組成物の構成要素を適切な順序で連続投与することができる。
【0044】
プレコナリルおよび1つまたは複数の追加の治療剤を含有する溶液を含む医薬品の例は、本発明のプレコナリル含有溶液、例えばグリセリド油に溶解したプレコナリルを、微結晶セルロースを含むチキソトロピー性製剤、追加の治療剤、例えばオキシメタゾリン塩酸塩、ならびにカルボキシアルキルセルロースアルカリ金属、ポリビニルピロリドンポリマー、およびそれらの混合物から選択されるポリマーと混合した組合せであり、体腔に塗布することができる局所医薬品を供給する。
【0045】
このような一医薬品は例えば、吸入投与による鼻腔への塗布のための製剤であり、塗布後に、鼻腔内に保持される。鼻粘膜への投与に適した水性チキソトロピー性組成物は、例えばそれぞれHaslwanterらの米国特許第6,841,146号(該’146号特許、2005年1月11日発行)、第6,824,762号(該’762号特許、2001年11月13日発行)、第6,565,832号(該’832号特許、2003年5月20日発行)、第6,316,483号(該’484号特許、2001年11月13日発行)、および第5,897,858号(該’858号特許、1999年4月27日発行)(これらはそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている組成物が知られている。
【0046】
上述するプレコナリル含有溶液と水性チキソトロピー性製剤の乳濁液を含む医薬品に加えて、本発明は、水性チキソトロピー性製剤、およびその中に懸濁させたプレコナリル粒子材料を含む、鼻粘膜への投与に適した医薬品を包含する。このような組成物は、水性チキソトロピー性製剤中に共に懸濁させた1つまたは複数の追加の粒子治療剤、例えばフロ酸モメタゾンをさらに含むことができる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,127,353号には、フロ酸モメタゾンをエアゾール投与に適した水性チキソトロピー性製剤に懸濁させる方法が記載されている。驚くべきことに、微粒子化プレコナリル粉末を使用し、該’353特許に記載されている技法および賦形剤を利用して、水性チキソトロピー性製剤およびその中に懸濁させたプレコナリルを含み、定量ポンプスプレー装置、例えば本明細書に記載する装置から懸濁液を分注することによって鼻粘膜への投与に適した医薬品を提供することができる。
【0047】
本発明者らは驚くべきことに、鼻粘膜への投与に適した平均粒径および粒径分布を有する粒子の形のプレコナリルは、投与後に鼻腔に保持される「ノードリップ」特性を有する、鼻腔への投与に適した水性チキソトロピー性製剤に懸濁し得ることを発見した。「ノードリップ」特性を有する水性製剤としては例えば、米国特許第6,841,146号(該’146号特許)、第6,824,762号(該’762号特許)、第6,565,832号(該’832号特許)、第6,316,483号(該’484号特許)、および第5,897,858号(該’858号特許)のそれぞれに記載されている製剤が挙げられる。該’146号、該’762号、該’832号、該’484号、および該’858号特許の製剤および製剤技法は、例えば上述するタイプの定量ポンプスプレービンを利用する、鼻粘膜への投与に適している。したがって、上記の特許に記載されている製剤技法および賦形剤を微粒子化プレコナリル粉末と共に利用すると、プレコナリルを鼻粘膜に投与するためのエアゾールを供給するのに適しており、一旦投与すると、医薬品を粘膜と接触させておくことができる「ノードリップ」特性を示す本発明に従うプレコナリル粒子の水性懸濁液が得られる。
【0048】
本発明に従う適切な水性チキソトロピー性担体中のプレコナリル懸濁液は、場合によっては他の治療剤を含有する分散した形のプレコナリル粒子を、該’858号および該’483号特許に教示される分散したゲル化剤、例えばポリビニルピロリドンを含む混合物、または該’146号、および該’762号、および該’832号特許に教示される微結晶セルロースおよび少なくとも1つのカルボキシアルキルセルロースアルカリ金属、場合によってはポリビニルピロリドンを含む混合物に添加することによって調製することができ、完成した組成物は、湿潤化剤、例えばポリソルベート80、保存剤、緩衝剤、保湿剤、矯味剤、および2つ以上のそれらの混合物から選択される群の1つまたは複数のメンバーも含有する。一般に、各治療剤粒子材料の液体懸濁液は、例えば治療剤粒子材料を湿潤化剤、例えばポリソルベート80の水溶液中でブレンドして、粒子治療剤の分散液を準備し、このような治療剤分散液をそれぞれゲル化剤分散液に別々に添加することによって別々に調製することが好ましい。あるいは、粒子の形の治療剤のブレンドを準備し、上記の手順に従ってそれから分散液を作製し、次いでゲル化剤分散液に添加する。このような懸濁液の構成要素およびそれらを調製する技法のそれぞれに関して、該’858号、該’483号、該’146号、該’762号、および該’832号特許のそれぞれの教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
鼻粘膜への塗布に適した粒子材料は、粒子の少なくとも80%が10ミクロン未満、90%が20ミクロン未満、10%以下が20ミクロンを超える。適切なプレコナリル粒子は、乾燥粉末を標準的なジェットミル微粒子化にかけることによって準備することができる。
【0050】
本発明の医薬品が追加の治療剤をプレコナリル含有溶液に懸濁させること、例えばプレコナリル溶解性グリセリド油溶媒を含むプレコナリル含有溶液に懸濁させたオキシメタゾリンHClを含む実施態様では、懸濁液が投与部位に適切なサイズの粒子を含まなくてはならないことを理解されたい。例えば、経口吸入向けの医薬品は、呼吸用サイズを有する粒子、好ましくは最大寸法の平均サイズが約5ミクロン未満、より好ましくは最大寸法が平均約2ミクロン未満、およびサイズ分布が約1ミクロン〜約5ミクロンである粒子を含む。理解されているように、医薬品を投与するために利用される送達装置、例えばネブライザー、定量ポンプスプレー、および加圧型定量吸入器は、呼吸器系の所望の領域に被着するのに適切なサイズ範囲を有する粒子含有液滴を供給しなければならない。
【0051】
プレコナリルを単独、または他の治療剤と組み合わせて含有する溶液を含む本発明医薬品は、喘息、ライノウイルス、新生児敗血症、ALS、I型糖尿病、ウイルスにより誘導された上気道および下気道の感染、ウイルス性髄膜炎、および生命にかかわる疾患、具体的には慢性髄膜脳炎、新生児エンテロウイルス性疾患、ポリオ、および心筋炎が含まれるが、これらに限定されない病状の治療に有用であると考えられる。本発明の組成物は、上気道の疾患の個体においてこのような疾患に関連する症状の悪化を予防するためにも予防的に使用することができる。
【0052】
本発明の組成物で治療することができるウイルス性障害には、感冒の治療および/または予防が含まれる。本発明の組成物は、上気道および下気道の障害の悪化を予防する際にも利用することができる。上気道障害に関しては、例えば、アレルギー性鼻炎に関連するうっ血および鼻閉、副鼻腔炎、真菌誘発性副鼻腔炎、細菌性副鼻腔炎、ポリポーシスなど。下気道障害に関しては例えば、下気道の障害、例えば喘息、慢性閉塞性肺障害、アレルギー性喘息、および肺気腫のためのレスキュー薬の使用の必要性を抑えるための本発明の組成物の投与が挙げられる。本発明の組成物は、鼻うっ血を含めて、季節性および通年性アレルギー性鼻炎の鼻症状(鼻閉/うっ血、鼻漏、鼻の痒み、くしゃみ)および非鼻症状(目の痒み/焼ける感じ、流涙/涙眼、眼の発赤、耳/口蓋の痒み)の治療および/または予防を必要とする患者において、そのような治療および予防にも有用であり得る。
【0053】
本発明の製剤は、ウィルス曝露後治療にも使用することができる。本組成物は、例えば世帯のメンバー、例えば子供が風邪にかかる場合、または例えばウィルス性もしくは細菌性病原体の発生率が高い設定において個体に投与される場合にも予防的に使用することができる。後者としては例えば、病院、老人ホーム、薬局などが挙げられる。
【0054】
プレコナリル含有溶液を含まない医薬品に比べて、本発明の医薬品のいくつかは、プレコナリルの経口および経鼻経路による吸入投与ならびに/または高用量負荷の利用可能性を含めて、利点を有すると考えられるが、これらに限定されない。本発明のいくつかの医薬品は、小児治療の提供においても、またいくつかの医薬品による治療を適用しやすい病状に対する治療の提供においてこれらの医薬品の局所投与による治療を容易にする上でも利点をもたらすと考えられる。
【0055】
プレコナリル投与に応答する病状の治療において、本発明の医薬品は、通常は病態、例えばイルス感染、またはさらに詳細にはウイルスにより誘導された呼吸器感染を治療するのに十分な期間、1日約1mg〜約600mg、好ましくは約200mg〜約400mgの量のプレコナリルを単回または分割投与で供給する量で利用される。
【0056】
本発明は、プレコナリルを含有する眼科用組成物も包含する。眼科用組成物では、本発明の組成物は様々な形とすることができる。例えば、これらは水性ゲルもしくは液体、または軟膏とすることができる。
好ましい一実施態様では、該組成物は、例えばワセリン、鉱油などを含むローションまたは流動性軟膏基剤に懸濁されている水性液滴内に溶解または懸濁している追加の治療剤を含み、適切なプレコナリル溶解性グリセリド油または適切なプレコナリル溶解性HFCに溶解されているプレコナリルを含む油中水型乳濁液である。ミリスチン酸イソプロピルのような追加の軟化薬材料も添加することができる。このようなローションまたは軟膏は、活性成分を運搬しかつ鼻涙管を通して長期に排液する薄膜で、結膜および角膜を覆う。該薄膜は、角膜実質からの水の蒸発損失に対するバリアにもなる。
【0057】
次に、プレコナリル含有溶液を含む医薬品に組み込むことができ、または病状の治療において別々の医薬品としてプレコナリル含有溶液を含む医薬品と共に投与することができる上記の追加の治療剤を例示する一覧を示すが、これらは包括的に列挙するものではない。
【0058】
したがって、本発明で使用することができるコルチコステロイドとしては例えば、フロ酸モメタゾン、デキサメタゾン、ブトキシコート(butoxicort)、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコート、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、ロテプレドノール、またはトリアムシノロンが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいコルチコステロイドは、フルチカゾンおよびフロ酸モメタゾンである。特に好ましいコルチコステロイドはフロ酸モメタゾンである。
【0059】
フロ酸モメタゾンは、コルチコステロイド反応性疾患皮膚疾患の炎症性および/またはそう痒性症状を治療するための皮膚での局所使用が承認されているコルチコステロイドである。この化合物は、米国特許第4,472,393号、第4,731,447号、第4,873,335号、第5,837,699号、および第6,127,353号に開示される手順に従って調製することができ、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。フロ酸モメタゾンは、容易に生体利用可能でない局所活性型ステロイドである。これは、Nasonex(登録商標)という名称で鼻腔内投与用スプレーとして市販されている。
モメタゾンの気道および肺疾患の治療のための使用は、米国特許第6,677,323号、第6,677,322号、第6,365,581号、第6,187,765号、第6,068,832号、第6,057,307号、第5,889,015号、第5,837,699号、および第5,474,759号に開示され、これらはすべて、参照によりその全体が組み込まれる。
【0060】
通常は、アレルギー性、非アレルギー性鼻炎、および/または上気道もしくは下気道の炎症性疾患の治療、例えば喘息の治療(これに限定されない)において、フロ酸モメタゾンを、実質的に非全身的に利用可能な形、例えば鼻吸入薬として、約10マイクログラム〜約5000マイクログラム(「mcg」)/日、10mcg〜4000mcg/日、10mcg〜2000mcg/日、25mcg〜1000mcg/日、25mcg〜400mcg/日、25mcg〜200meg/日、25mcg〜100mcg/日、または25mcg〜50mcg/日の範囲で単回または分割投与する。
【0061】
別の例では、コルチコステロイドがフルチカゾンである場合、1日1回、各鼻孔にプロピオン酸フルチカゾンを50μgずつ2回噴霧する用量で投与することができる。あるいは、フルチカゾンを、1日1回、各鼻孔にプロピオン酸フルチカゾン50μgを1回噴霧する用量で投与することができる。コルチコステロイドがトリアムシノロンである場合、トリアムシノロンを、1日1回、各鼻孔に220μg/日、2回噴霧の用量で投与することができる。あるいは、1日1回、各鼻孔に110μg/日を1回噴霧する用量で投与することができる。コルチコステロイドがブデソニドである場合、ブデソニドの投与量は、各鼻孔につき、1日1回、32μgを1回噴霧して、64μg/日とすることができる。
【0062】
プレコナリル含有溶液を含む医薬品中に含まれ、またはそれと共に投与することができるヒスタミンH受容体アンタゴニスト(本明細書では、別名抗ヒスタミン薬)としては例えば、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェミラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスロラタジン、ドキシルアミン、ジフェンヒドラミン、セチリジン、ジメンヒドリナート、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、レボセチリジン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノルアステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン、トリプロリジン、および上記の任意の2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいヒスタミンH受容体は、デスロラタジン、ロラタジン、フェキソフェナジン、およびセテラジン(ceterazine)である。プレコナリル含有溶液を含む医薬品を1つまたは複数の抗ヒスタミン薬と共に(該医薬品に含められ、あるいは同時、連続、または個別投与用に形で準備される)、本明細書に記載するように経口または局所投与することができる。
【0063】
デスロラタジンは、デスカルボエトキシロラチジン(Descarboethoxyloratidine)およびDCLとも呼ばれる。DCLは非鎮静型抗ヒスタミン薬であり、その専門的名称は8−クロロ−6,11−ジヒドロ−11−(4−ピペリジリデン)−5H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2]ピリジンである。この化合物は、Querciaら、Hosp. Formul., 28: 137−53(1993)、米国特許第4,659,716号、および国際公開第96/20708号に記載されている。デスロラタジンのうっ血治療のための使用は、米国特許第6,432,972号に開示されている。DCLは、Hヒスタミン受容体タンパク質のアンタゴニストである。このH受容体は、通常の抗ヒスタミン薬によって拮抗される反応を媒介する受容体である。H受容体は、例えばヒトおよび他の哺乳動物の回腸、皮膚、および気管支平滑筋に存在する。本組成物の単位(すなわち、単一)剤形として使用することができるDCLの量は、約2.5mg〜約45mg、また約2.5mg〜約20mg、また約5mg〜約10mgの範囲とすることができる。好ましい用量としては、2.5mg、5.0mg、10.0mg、および20.0mgが挙げられる。
【0064】
ロラタジンは非鎮静性抗ヒスタミン薬であり、その専門的名称は11−(4−ピペリジリデン)−5H−ベンゾ−[5,6]−シクロヘプタ−[1,2−b]−ピリジンである。この化合物は、米国特許第4,282,233号に記載されている。ロラタジンは、強力な持続性三環系抗ヒスタミン薬であり、末梢性H受容体活性の選択的アンタゴニストである。
【0065】
フェキソフェナジンは、報告によれば非鎮静性抗ヒスタミン薬であり、その専門的名称は4−[1−ヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシ−ジフェニルメチル)−1−ピペリジニル)ブチル]−α、α−ジメチル−ベンゼン酢酸である。好ましくは、その医薬として許容し得る塩は塩酸塩であり、フェキソフェナジン塩酸塩とも呼ばれる。本組成物の単位剤形として使用することができるフェキソフェナジンの量は、約40mg〜約200mg、また約60ミリグラム〜約180ミリグラム、また約120ミリグラムの範囲とすることができる。
【0066】
セチリジン塩酸塩は、報告によればH受容体アンタゴニストである。その化学名は、(±)−[2−[4−[(4−クロロフェニル)フェニルメチル]−1−ピペラジニルエトキシ]酢酸二塩酸塩である。セチリジン塩酸塩は、実験式C2125ClN・2HClのラセミ化合物である。セチリジン塩酸塩は、白色結晶質粉末であり、水溶性である。セチリジン塩酸塩は、Pfizer Inc., New York, NYから商標名ZYRTEC(登録商標)で入手可能である。本組成物の単位剤形として使用することができるセチリジンの量は、約0mg〜約40mg、また約5ミリグラム〜約10ミリグラムの範囲とすることができる。セチリジンの左旋性異性体は、本発明の製剤中のプレコナリルと組み合わせることもできる。本発明で使用するためのセチリジンの別の形は、セチリジン二硝酸塩である。
【0067】
プレコナリル溶液を含む医薬品と組み合わせて使用するのに適した去痰薬としては例えば、アンブロキソール、グアイアフェネシン、テルピン水和物、およびクアイコールスルホン酸カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。アンブロキソールは、ブロムヘキシン代謝産物であり、化学的にtrans−4(2−アミノ−3,5−ジブロモベンジル,アミン)シクロヘキサン塩酸塩と同定され、20年以上の間、去痰剤または肺胞表面活性物質刺激因子として広く使用されている。この化合物は、米国特許第3,536,712号に記載されている。グアイアフェネシンは去痰薬であり、その専門的名称は、3−(2−メトキシフェノキシ)−1,2−プロパンジオールである。この化合物は、米国特許第4,390,732号に記載されている。テルピン水和物は去痰薬であり、その専門的名称は、4−ヒドロキシ−α,α,4−トリメチルシクロヘキサン−メタノールである。グアイコールスルホン酸カリウムは去痰薬であり、その専門的名称は3−ヒドロキシ−4−メトキシベンゼンスルホン酸と4−ヒドロキシ−3−メトキシベンゼンスルホン酸一カリウムとのミックスである。
【0068】
本発明の範囲内で使用するのに適切なうっ血除去薬としては例えば、プレコナリルと組み合わせた口腔および鼻うっ血除去薬が挙げられる。本発明で有用である鼻うっ血除去薬としては例えば、交感神経刺激アミン鼻うっ血除去薬が挙げられるが、これに限定されない。米国で局所使用として現在承認されているものとしては、レブメタンフェタミン(1−デゾキシエフェドリンとも呼ばれる)、エフェドリン、エフェドリン塩酸塩、エフェドリン硫酸塩、ナファゾリン塩酸塩、オキシメタゾリンおよびその医薬として許容し得る塩、オキシメタゾリン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、ならびにプロピルヘキセドリンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明で使用するための口腔うっ血除去薬としては、フェニルプロパノールアミン、フェニレフリン、およびプソイドエフェドリン、ならびにそれらの医薬として許容し得る塩が挙げられるが、これらに限定されない。プソイドエフェドリンおよびその酸付加塩、例えばそれらのHClまたはHSOは、鼻うっ血を治療するのに安全で有効である交感神経刺激治療剤として当業者に認識されている。これらは一般に、アレルギー性鼻炎に関連する鼻うっ血の治療のために抗ヒスタミン薬と同時に経口投与される。本発明で鼻うっ血除去薬として使用する場合、1日1回〜4回で投与されたプソイドエフェドリン硫酸塩約120mgに等しい量のプソイドエフェドリンを使用することが好ましい。しかし、より少ない量のプソイドエフェドリン硫酸塩をプレコナリルと組み合わせて使用することができる。
【0069】
本発明で使用するのに適したヒスタミンH受容体アンタゴニストとしては例えば、チオペラミド、インプロミジン、ブリマミド、クロベンプロピット、イムペンタミン、ミフェチジン、S−ソプロミジン、R−ソプロミジン、3−(イミダゾル−4−イル)−プロピルグアニジン(SKF−91486)、3−(4−クロロフェニル)メチル−5−2−(1H−イミダゾル−4イル)エチル1,2,3−オキサジアゾール(GR−175737)、4−(1−シクロヘキシルペンタノイル−4−ピペリジル)1H−イミダゾール(GT−2016)、2−{2−4(5)−イミダゾリルエチルチオ}−5−ニトロピリジン(UCL−1199)クロザピン、SCH497079、およびSCH539858が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましい化合物は、共にSchering Corp.に譲渡された米国特許第6,720,328号および米国特許出願公開第20040097483号(A1)(両方とも、参照により本明細書に組み込まれ)に開示および特許請求されている。さらに、他の好ましい組成物としては、これもまたSchering Corp.に譲渡された、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,869,479号に開示されているHとHの受容体アンタゴニストを挙げることができる。他の化合物は、周知の方法で容易に評価して、H受容体における活性を判定することができる。周知の方法としては、モルモット脳膜アッセイおよびモルモット神経回腸収縮アッセイが挙げられ、両アッセイは米国特許第5,352,707号に記載されている。別の有用なアッセイはラット脳膜を利用し、Westら、”Identification of Two H3−Histamine Receptor Subtypes,” Molecular Pharmacology, Vol. 38, pages 610−613(1990)に記載されている。
【0070】
本発明で使用するための抗コリン剤としては例えば、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、メタンテリン、プロパンテリン、ジサイクロミン、スコポラミン、メトスコポラミン、テレンゼピン、ベンズトロピン、QNX−ヘミオキサレート、ヘキサヒドロシラジフェニドール塩酸塩、およびピレンゼピンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの組成物を、下記に示すように当業者に周知の量で経口または経鼻投与することが好ましい。
【0071】
本発明でプレコナリルと組み合わせで使用するための抗生物質としては例えば、マクロライド、セファロスポリン、および抗菌剤が挙げられるが、これらに限定されない。適切な抗生物質の具体例としては、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、フロルフェニコール、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、ツラスロマイシン、セフロキシム、セフチブテン、セフチオフル、セファドロキシル、アモキシシリン、ペニシリン、アモキシシリンとクラブラン酸または他の適切なβ−ラクタム阻害薬、スルホンアミド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフイソキサゾール;ニトロフラゾン、およびプロピオン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。投与することができる組成物の治療量は、当業者に周知である。
【0072】
本発明で使用するためのP2Y受容体アゴニストとしては例えば、ジカフォソル=テトラナトリウムが挙げられるが、これに限定されない。ジカフォソル=テトラナトリウムは、眼表面および眼瞼の内側層の受容体を活性化して、水、塩、ムチン、および脂質−自然涙の重要な成分の放出を刺激するP2Y受容体アゴニストである。ムチンは、特殊化した細胞で作製され、表面を潤滑するように機能する。眼の脂質は、涙膜の最外層を形成し、過剰の涙液蒸発の予防を担う油性物質である。前臨床試験では、ジカフォソルは自然涙成分の分泌を増大させたと報告されている。ジカフォソルはInspireから入手可能である。P2Y受容体アゴニストは、慢性気管支炎および嚢胞性線維症(CF)を含めて、粘液線毛クリアランス(MCC)が機能障害された様々な病態の治療のために開発されている新規クラスの化合物である。他の粘液溶解剤としては、N−アセチルシステインおよび内因性リガンド化合物UTPを挙げることができる。これらの組成物は、下記に示すように当業者に周知の量で経口または経鼻投与することができる。
【0073】
本発明と共に使用するのに適した非ステロイド性抗炎症剤(「NSAID」)としては例えば、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、ピロキシカム、テノキシカム、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、ナブメトン、ケトロラック、アザプロパゾン、メフェナム酸、トルフェナム酸、スリンダク、ジフルニサル、チアプロフェン、ポドフィロトキシン誘導体、アセメタシン、アセクロフェナク、ドロキシカム、オキサプロジン、フロクタフェニン、フェニルブタゾン、プログルメタシン、フルルビプロフェン、トルメチン、およびフェンブフェンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの組成物は、下記に示すように当業者に周知の量で経口または経鼻投与することができる。
【0074】
本発明で使用するのに適したロイコトリエンアンタゴニストおよび/または阻害薬としては例えば、ジロートン、ドセベノン、ピリポスト(Piripost)、ICI−D2318、MK−591、MK−886、1−(((R)−(3−(2−(6,7−ジフルオロ−2−キノリニル)エチニル)フェニル)−3−(2−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)チオ)メチル)シクロプロパン酢酸ナトリウム(本明細書では、便宜上「化合物LAcetate」とも呼ばれる);1−(((R)−(3−(2−(2,3−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリジン−5−イル)−(E)−エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル)プロピル)チオ)−メチル)シクロプロパン酢酸(本明細書では、便宜上「化合物LAcid」とも呼ばれる)、プランルカスト、ザフィルルカスト、およびモンテルカスト、ならびに化合物[2−[[2−(4−tert−ブチル−2−チアゾリル)−5−ベンゾフラニル]オキシメチル]フェニル]酢酸(本明細書では、便宜上「化合物FK011」または「FR150011」とも呼ばれる)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいのは、モンテルカスト、プランルカスト、ザフィルルカスト、化合物「FK011」、「LAcetate」、および「LAcid」である。これらの構成要素を含有する組成物は、下記に示すように当業者に周知の量で経口または経鼻投与することができる。
【0075】
モンテルカストは、システイニルロイコトリエンのための受容体を拮抗することができるロイコトリエンDアンタゴニストである。モンテルカストの専門的名称は、[R−(E)]−1−[[[1−[3−[2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル]フェニル]−3−[2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]プロピル]チオ]メチル]−シクロプロパン酢酸である。この化合物は、欧州特許第480,717号に記載されている。モンテルカストの好ましい医薬として許容し得る塩は、モンテルカストナトリウムとも呼ばれる一ナトリウム塩である。本発明の単位投与剤形で使用することができるモンテルカストの量は、約1ミリグラム〜100ミリグラム、また約5ミリグラム〜約20ミリグラム、好ましくは約10ミリグラムの範囲とすることができる。
【0076】
化合物1−(((R)−(3−(2−(6,7−ジフルオロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)チオ)メチルシクロプロパン酢酸は、国際公開第97/28797号および米国特許第5,270,324号に記載されているロイコトリエンアンタゴニストである。この化合物の医薬として許容し得る塩は、1−({(R)−(3−(2−(6,7−ジフルオロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)フェニル)チオ)−メチルシクロプロパン酢酸ナトリウムとも呼ばれるナトリウム塩である。
【0077】
化合物1−(((1(R)−3(3−(2−(2,3−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリジン−5−イル)−(E)−エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル)プロピル)−チオ)メチル)シクロプロパン酢酸は、国際公開第97/28797号および米国特許第5,472,964号に記載されているロイコトリエンアンタゴニストである。この化合物の医薬として許容し得る塩は、1−(((1(R)−3(3−(2−(2,3−ジクロロチエノ[3,2−b]ピリジン−5−イル)−(E)−エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル)プロピル)−チオ)メチル)シクロプロパン酢酸ナトリウムとも呼ばれるナトリウム塩である。
【0078】
プランルカストは、国際公開第97/28797号および欧州特許第173,516号に記載されているロイコトリエンアンタゴニストである。この化合物の専門的名称は、N−[4−オキソ−2−(1H−テトラゾル−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]−p−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミドである。単位剤形として使用することができるプランルカストの量は、約100mg〜約700mg、好ましくは約112mg〜約675mg、また約225mg〜約450mg、また約225mg〜約300mgの範囲とすることができる。
【0079】
ザフィルルカストは、国際公開第97/28797号および欧州特許第199,543号に記載されているロイコトリエンアンタゴニストである。この化合物の専門的名称は、シクロペンチル−3−[2−メトキシ−4−[(o−トリルスルホニル)カルバモイル]ベンジル]−1−メチルインドール−5−カルバメートである。
【0080】
化合物[2−[[2−(4−tert−ブチル−2−チアゾリル)−5−ベンゾフラニル]オキシメチル]フェニル]酢酸は、ロイコトリエンアンタゴニストおよび/または阻害薬であり、その調製方法は、米国特許第5,296,495号および特開平08−325265(A)に記載されている。この化合物の代替名称は、2−[[[2−[4−(1,1−ジメチルエチル)−2−チアゾリル]−5−ベンゾフラニル]オキシ]メチル]−ベンゼン酢酸である。この化合物はコード番号は、FK011またはFR150011である。
【0081】
本発明で使用するために考えた医薬として許容し得る亜鉛塩は、感冒に対して薬効があると報告されている水溶性塩を含む。通常は、このような調製物は、粘液膜への刺激を引き起こす濃度より低い濃度のイオン性亜鉛を含む水性または食塩溶液を含む。一般に、このような溶液中のイオン性亜鉛は、実質的に非キレート化亜鉛として存在し、遊離イオン性溶液の形である。本発明で使用するための亜鉛イオン性溶液は、通常は実質的に非キレート化亜鉛イオンを約0.004%〜約0.12%(重量/体積)の濃度で含有する。好ましくは、実質的に非キレート化イオン性亜鉛化合物は、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、および酢酸亜鉛からなる群から選択される亜鉛の鉱酸塩を含むことができる。これらの組成物は、下記に示すように当業者に周知の量で経口または経鼻投与することができる。
【0082】
SYKキナーゼ類縁体は、新規機序によりSYKキナーゼを遮断して機能する分子のクラスである。Rigel Pharmaceuticals, Inc.から入手可能な化合物R112は、SYKキナーゼ類縁体の一例である。最近の研究報告によれば、R112については、プラセボに比べて、相対的改善が20%を超え(プラセボに比べて、絶対差は9%)、R112については、プラセボに比べて、慢性鼻うっ血に関連する症状(例えば、鼻詰まり)のベースライン測定(投薬開始前)からの改善が最高38%であることが示されている。
【0083】
本明細書では、用語「5−リポキシゲナーゼ阻害薬」(「5−LO阻害薬」とも呼ばれる)は、5−リポキシゲナーゼの酵素作用を抑制、制限、遅延、またはその他の方法でそれと相互作用する任意の作用剤または化合物を包含する。5−リポキシゲナーゼ阻害薬としては例えば、ジロートン、ドセベノン、ピリポストなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書では、関連用語「5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質アンタゴニスト」または「FLAPアンタゴニスト」は、5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質の作用または活性を抑制、制限、遅延、またはその他の方法でそれと相互作用する任意の作用剤または化合物を包含し、その例としては、「FLAPアンタゴニスト」MK−591およびMK−886が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本発明に従う溶液を含有する、プレコナリルを含む医薬品に組み込み、またはそれと共に使用することができる上記の任意選択の治療剤に加えて、このような医薬品を投与して、中咽頭の不快、例えば咽頭痛、風邪、もしくは口唇潰瘍、および歯肉痛(これらに限定されない)を軽減する場合、プレコナリル含有溶液を含む医薬品は、局所麻酔剤、具体的にはフェノール、ヘキシルレゾルシノール、サリチルアルコール、ベンジルアルコール、ジクロニン、ジブカイン、ベンゾカイン、ブチカイン、塩化セチルピリジニウム、ジペリドン、チョウジ油、メントール、カンファー、オイゲノールなどを含むことができる。皮膚への塗布向けの本発明の医薬品は、同様に皮膚の不快を軽減するための治療剤を含むことができ、この治療剤としては、リドカイン、ベンゾカイン、テトラカイン、ジブカイン、プラモキシン、ジフェンヒドラミン、およびベンジルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
前述のように、いくつかの実施態様では、プレコナリル含有溶液を含む本発明の医薬品を、液体の組込みに適した任意の他の剤形に組み込むこともできる。例えば、理解されているように、本発明のプレコナリル含有溶液を含む医薬品は、摂取による投与に適した形、例えば小児への投与向けの注射器で分注した液体、およびプレコナリル含有溶液のゼラチンカプセルへの組込みで供給することができるが、これらに限定されない。本明細書に記載のプレコナリル含有溶液を含む医薬品を、医薬品が実質的に非全身的に生体利用可能である方式で投与することが好ましい。
【0086】
経口剤形調製物では、医薬として許容し得る担体(希釈剤、賦形剤、または担体材料が含まれる)も該組成物中に存在する。担体は、所期の投与形、すなわち経口錠剤、カプセル剤(固体充填、半固体充填、または液体充填)、構成用粉末、口腔ゲル、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁液などに関連して、かつ通常の製薬慣行に一致して、適切に選択される。例えば、錠剤またはカプセル剤の形での経口投与では、活性薬物成分を、任意の無毒性経口医薬として許容し得る不活性担体、具体的にはラクトース、デンプン、スクロース、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、エチルアルコール(液体の形)などと組み合わせることができる。さらに、望ましくまたは必要な場合、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、殺菌剤、および着色剤も混合物に組み込むことができる。適切な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖、コーンシロップ、天然および合成ゴム、具体的にはアカシア、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ならびにワックスが挙げられる。滑沢剤には、これらの剤形で使用するためのホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどを挙げることができる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、グアーガムなどが挙げられる。殺菌剤としては、塩化ベンザルコニウムなどが挙げられる。甘味剤および矯味剤、ならびに保存剤も、必要に応じて含めてよい。
【0087】
下記の実施例は、本発明を例示するものであって、限定するものではない。
【0088】
別段の注記のない限り、材料はすべて、APIまたはUSPグレードであった。
【実施例】
【0089】
実施例1
1,1,1,2,3,3,3テトラフルオロエタンに溶解させたプレコナリルを含むMDIディスペンサー
標準的アルミニウム10mlのエアゾールキャニスター(供給源)に、Viropharmaから入手したAPIグレードのプレコナリル約150mgを加えた。Pamasol Autoguard Crimper(登録商標)を用いて、50マイクロリットルの投与弁をキャニスターにクリンプした。キャニスターに、Solvay Fluorから入手した1,1,1,2,3,3,3ヘプタフルオロプロパン(HFA 227)を10g加えた。
【0090】
同じ方法で、150mgのプレコナリルおよび10gのHFC 227を含む10mlのキャニスターをさらに2つ準備した。これらのキャニスターを、室温(約25℃)における安定性について評価した。最初に、キャニスターはそれぞれ、キャニスターに加えた量および投与弁によって送達される溶液の体積(約50マイクロリットル)に基づいて、プレコナリルの予想量の約95%を送達した。1か月倒立貯蔵した後、各キャニスターは、最初に送達されたプレコナリルの同じ量の少なくとも98%を送達することがわかり、したがって本発明のプレコナリルHFA溶液は安定であることが実証された。
【0091】
実施例2
プレコナリル含有スプレー式点鼻薬組成物
下記の手順に従って、プレコナリル含有スプレー式点鼻薬組成物を調製した。容器に、5kgの精製水を加えた。撹拌しながら、200gのAvicel RC/591(登録商標)(FMCから入手した微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物、受け取ったままの状態で使用)を水に分散し、その後200gのグリセリンを添加した。400gの精製水を含む別の容器に、20gのクエン酸(USP商品、受け取ったままの状態で使用)および28gのクエン酸ナトリウム(USP商品、受け取ったままの状態で使用)を溶解して、クエン酸塩緩衝溶液を生成した。クエン酸塩緩衝溶液を、調製したAvicel/グリセリン分散液に添加した。
【0092】
2.5Kgの精製水を含む別の容器で、4.0gのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA二ナトリウム、USPグレード商品、受け取ったままの状態で使用)を撹拌しながら溶解した。別の容器で、1.0gのポリソルベート80(20モルのエチレンオキシドとそれぞれ1モルのソルビトールのオレイン酸エステルおよびその無水物のコポリマー生成物を含む商品の商標名、受け取ったままの状態で使用する)を、撹拌しながら200gの精製水に溶解した。このポリソルベート80溶液をEDTAナトリウム溶液に添加した。撹拌を続けて、25gのベンジルアルコールおよび150gのプレコナリル(Viropharmaから入手したAPI微粒子化粉末)をポリソルベート80/EDTAナトリウム溶液に分散した。撹拌を続けながら、ポリソルベート80/プレコナリル分散液を、Avicel/グリセリン/緩衝混合物に添加した。撹拌を続けながら、2gの塩化ベンジルに等しい量の50%塩化ベンザルコニウム溶液をポリソルベート80/プレコナリル分散液に溶解した。精製水を添加して、混合物を10Kgにした。この混合物は、15mg/gのプレコナリル、0.1mg/gのポリソルベート80、20mg/gのAvicel RC−591、20mg/gのグリセリン、2.0mg/gのクエン酸、2.8mg/gのクエン酸ナトリウム、0.2mg/gの塩化ベンザルコニウム、2.5mg/gのベンジルアルコール、および0.4mg/gのEDTAを含有する製剤になる。
【0093】
下記の表Iに示す量の構成要素を使用して、同じ手順で、スプレー式点鼻薬としての使用に適した組成物を調製した。上記に特定していない構成要素は、USPまたは医薬品グレードであり、全般的に可能な場合には、採用されている名称、具体的にはInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, 7th edition, J.A. Wenningerら、Eds.,The Cosmetic , Toiletry and Fragrance Association, Washington, D.C., U.S.A. 1997で与えられている名称によって特定される。
【0094】
【表1】

実施例1〜1Iの組成物をそれぞれ、一定分量ずつ、Valois VP3/93クリンプオンポンプを装備した定量ポンプスプレーディスペンサーに加えると、これらはスプレー式点鼻薬組成物としての使用に適していることがわかった。これらの組成物をそれぞれ、(40℃を超える)高温での安定性試験にかけ、少なくとも3か月安定であることがわかった。
【0095】
実施例3
プレコナリル含有チキソトロピー性スプレー式点鼻薬組成物
本発明に従うプレコナリル含有チキソトロピー性スプレー式点鼻薬組成物を、下記の手順で調製した。容器に、725gの精製水を加える。撹拌しながら、この水に30gのAvicel RC−591を分散し、この分散液を、Avicelが確実に分散されるように高せん断混合にかける。約85gの水を含む別の容器に、30gのプロビドン(Providone)を溶解し、透明な溶液が得られるまで撹拌する。プロビドン溶液に、50gのPEG−32(Union Carbide製、CARBOWAXTMPEG 1450)を添加し、透明な溶液が得られるまで撹拌する。撹拌を続けながら、プロビドン/PEG−32溶液をAvicel分散液に添加する。約12mlの精製水を含む別の容器に、0.3gのEDTA二ナトリウムを撹拌しながら添加する。EDTA二ナトリウムが溶解したら、0.95gの第二リン酸ナトリウムおよび5.39gの第一リン酸ナトリウムをEDTA溶液に添加し、リン酸塩緩衝液を生成する。撹拌を続けながら、リン酸塩緩衝液をAvicel分散液に添加する。別の容器で、1.2gのポリソルベート80を、撹拌しながら400mlの精製水に溶解する。このポリソルベート80溶液に、高せん断混合しながら150gのプレコナリル微粒子化粉末を分散する。撹拌を続けながら、ポリソルベート80/プレコナリル分散液をAvicel分散液に添加する。このプレコナリル/Avicel分散液に、2.5gの塩化ベンザルコニウムおよび3.0gのベンジルアルコールを添加し、溶解するまで撹拌する。撹拌を続けながら、混合物に精製水を添加して、重量1kgの混合物を得る。次いで、混合物を、凝固粒子が確実に再分散されるように高せん断混合にかける。
【0096】
この混合物を、Valois VP3/93クリンプオンポンプを装備した定量ポンプスプレーディスペンサーに加えると、プレコナリルを鼻粘膜に供給する際にスプレー式点鼻薬として使用するのに適している。これは鼻粘膜に投与するとき「ノードリップ」特性を有することも見出されると考えられる。
【0097】
実施例4
Miglyol 812(登録商標)を含むプレコナリル溶液含有医薬品
容器に、100mlのMiglyol 812(登録商標)を加える(Sasol North America Inc.製、約50重量%〜約65重量%のCおよび約30重量%〜約45重量%のC10を含む飽和脂肪酸の混合物から作製されたトリグリセリド、USPグレード、受け取ったままの状態で使用)。このトリグリセリド油に、4gの微粒子化プレコナリル(APIグレード、Viropharma)を加え、プレコナリルが溶解し、透明な溶液が得られるまで撹拌する。この溶液を定量ポンプスプレービンに加えると、鼻粘膜へのプレコナリルの吸入投与に適したエアゾールとして分注することができると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性担体およびその中に懸濁したプレコナリル粒子を含む鼻吸入薬としての投与に適した医薬品であって、前記水性担体はチキソトロピー性組成物を含む、医薬品。
【請求項2】
前記水性担体が、約0.5重量%〜約15重量%の平均分子量約10,000ダルトン〜約360,000ダルトンのポリビニルピロリドンおよびその混合物、ならびに最高約10重量%のポリエチレングリコールを含む、請求項1に記載の医薬品。
【請求項3】
前記水性担体が、微結晶セルロースおよびカルボキシアルキルセルロースアルカリ金属を、せん断応力を除去して20秒以内に10倍の粘度増大が得られるように選択された量で含む、請求項1に記載の医薬品。
【請求項4】
さらに、フロ酸モメタゾン、デキサメタゾン、ブトキシカート、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコート、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、レテプレドノール、およびトリアムシノロンからなる群から選択される少なくとも1つのコルチコステロイドを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬品。
【請求項5】
前記コルチコステロイドがフロ酸モメタゾンである、請求項4に記載の医薬品。
【請求項6】
さらに、クエン酸ナトリウム/クエン酸緩衝剤を含む保存剤、ならびにグリセリン、塩化ベンザルコニウム、およびベンジルアルコールを含む保存剤を含む、請求項4に記載の医薬品。
【請求項7】
鼻吸入薬としての投与に適した医薬品であって、以下:
.チキソトロピー性水性担体組成物;
b.プレコナリル;
.モメタゾン、フロ酸モメタゾン、デキサメタゾン、ブトキシコート、ロフレポニド、ブデソニド、デフラザコート、シクレソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾン、ロテプレドノール、およびトリアムシノロンから選択されるコルチコステロイド;
.オキシメタゾリンまたはその医薬として許容し得る塩から選択される鼻うっ血除去
含む、医薬品。
【請求項8】
さらに、コルチコステロイド、抗ヒスタミン薬、去痰薬、非ステロイド性抗炎症剤、鬱血除去薬、抗コリン薬、医薬として許容し得る亜鉛塩、抗生物質、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、ロイコトリエンDアンタゴニスト、ロイコトリエン阻害薬、PYアゴニスト、sykキナーゼ類縁体、エキネシア、ビタミンC、およびビタミンEからなる群の1つまたは複数のメンバーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬品。
【請求項9】
さらに、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェミラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスロラタジン、ドキシルアミン、ジフェンヒドラミン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、レボセチリジン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノルアステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン、トリプロリジン、および2つ以上のそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの抗ヒスタミン薬を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の医薬品。
【請求項10】
さらに、チオトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、メタンテリン、プロパンテリン、ジサイクロミン、スコポラミン、メチルスコポラミン、テレンゼピン、ベンズトロピン、QNX−ヘミオキサレート、ヘキサヒドロシラジフェニドール塩酸塩、およびピレンゼピンからなる群から選択される少なくとも1つの抗コリン薬を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の医薬品。
【請求項11】
上気道もしくは下気道、ウイルス性、炎症性、または閉塞性気道疾患を治療するための組成物であって、請求項1から1のいずれか一項に記載の医薬品の有効量を含む、組成物
【請求項12】
定量ポンプスプレー装置を用いて投与されることを特徴とする、請求項11に記載の組成物
【請求項13】
請求項1から1のいずれか一項に記載の少なくとも1つの医薬品を、前記医薬品を投与するための少なくとも1つの吸入装置と共に含む医薬キット。
【請求項14】
明細書中に記載の、上気道もしくは下気道、ウイルス性、炎症性、または閉塞性気道疾患を治療する方法。

【公開番号】特開2009−102425(P2009−102425A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25409(P2009−25409)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【分割の表示】特願2008−554324(P2008−554324)の分割
【原出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】