説明

十字形パネル

本発明は、タンクの内側においてパネルを互いに接続するために用いられる十字構造要素であって、一体品に鍛造または鋳造されており、互いに交差する垂直ウエブを備えている、十字構造要素に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温液化天然ガスを含む炭化水素のような流体を貯蔵および運搬するためのタンクに関する。このようなタンクの例として、船舶用タンク、波荷重を受ける浮遊式海洋構造物用タンク、および重力式海洋構造物用タンク、ならびに地震に晒される陸上タンクが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
タンクは、多くの異なる形状、例えば、一般的には、球、円筒、円錐、およびシェルの形状、ならびに角柱形状に設計されている。角柱形状の主な利点は、入れ子式に互いに近接させて重ねることによって、このようなタンクが占める容積を最小限に抑えることができることにある。単純な構造の角柱タンクは、曲げ作用に依存して強度を発揮するようになっているので、構造効率が劣ることになる。シェルは、当該シェルの面内の直接的な張力によって強度を発揮するようになっている。これによって、同一量の材料の場合、より大きな強度がもたらされることになる。
【0003】
角柱形状のより効率的な設計は、不均衡な負荷を吸収するために、内部支柱(張力梁)およびフレームを組み入れることである。例えば、タンク内容物の加速による非対称な負荷成分を吸収するために、ウエブフレームによって増大した内部荷重または内圧を拘束する主な手段として支柱を用いることによって、このような支柱が組み入れられた角柱タンクは、構造効率の観点から、シェル形状に匹敵するものとなる。特許文献1は、このようなタンクを開示している。この文献は、参照することによって、ここに含まれるものとする。
【0004】
構造的強度を高める以外に、支柱およびウエブフレームは、波運動によって生じたスロッシングを緩和する働きがある。スロッシングによって張力支柱およびウエブフレームに加えられる水平荷重は、梁およびウエブによって吸収されることになる。
【0005】
一部の金属構造体は、母材よりも低強度を呈する溶接接続部を有している。これは、特に、低温用途に適するいくつかの合金に当てはまる。中心面から離れて加えられる荷重を支えるウエブフレームまたは壁は、交差するフレームまたは壁の形態にある支持部において最大曲げを受けることになる。より効率的な設計は、溶接接続部をこの支持部から離し、応力の低い変曲点に可能な限り接近させることである。このような低強度の溶接部を高応力の領域から離して配置することは、安全性の理由からも望ましい。このような低強度溶接部は、極めて局部的な降伏をもたらし、過剰な熱応力または他の偶発的な荷重が加えられた場合、殆ど変形することなく時期尚早の破壊を生じることがある。これは、特に、低温積荷および可燃性積荷の場合には、危機的な状況をもたらすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際特許出願公開第2006/001711A2号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ウエブフレーム間の交差点およびその近傍において十分な強度を呈するアセンブリによって、互いに直角に交差するパネル間の接続部を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、十字形金属要素を型鍛造によって形成し、垂直方向に重ねたこれらの金属要素を互いに溶接し、十字形パネルを作製することによって、達成されている。このような十字形鍛造品は、単純な板材であってもよいし、または種々の断面の補剛材を組み入れていてもよい。本発明は、以下のように構成されている。
【0009】
タンクの内側においてウエブフレームまたは壁を互いに接続するために用いられる十字構造要素において、該要素は、一体品に鍛造または鋳造されており、互いに交差する垂直ウエブを備えている。
【0010】
十字形要素は、補剛材をさらに備えていてもよい。補剛材は、水平板材から構成されていてもよい。
【0011】
本発明による十字構造要素のアセンブリにおいて、前記要素は、互いに積み重ねられ、それらの互いに交差する垂直ウエブを介して、互いに接続されている。
【0012】
完成したアセンブリは、横断溶接部を有しておらず、垂直方向の積重ね部を互いに接合する水平方向溶接部のみを有している。
【0013】
好ましい実施形態では、アセンブリの水平方向溶接部は、垂直ウエブの水平縁の長さの全体にわたって延在しておらず、隙間によって部分的に置き換えられている。
【0014】
前記アセンブリにおいて、板延長材が、溶接によって、垂直ウエブ間に挿入されていてもよい。
【0015】
前述した少なくとも1つのアセンブリの使用であって、多数のウエブフレーム、壁、および/またはパネルをそれらの交差点において接続するようになっている、アセンブリの使用も、本発明によって構成されている。
【0016】
本発明では、「パネル」という用語は、ウエブフレーム、壁、および板材という用語を含むとみなされており、押出成形された梁から作製されていてもよい。
【0017】
以下、添付の図面に概略的に示されている例示的実施形態を参照して、本発明のさらなる詳細について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】鍛造による十字形要素の平面斜視図である。
【図2】鍛造による十字形要素の断面を示す図である。
【図3】十字形鍛造品の溶接アセンブリの斜視図である。
【図4】十字形鍛造品のアセンブリを組み入れている構造体の斜視図である。
【図5】ウエブフレームまたは壁を有するタンクの内部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、鍛造による十字形要素の平面斜視図であり、図2は、鍛造による十字形要素の断面図である。これらの図は、補剛材1を示している。補剛材1は、種々の形状および厚みを有していてもよく、または省略されていてもよい。
【0020】
図3は、水平溶接線2によって互いに接合されたこのような十字形要素のアセンブリの斜視図である。このアセンブリは、図示されているように、隙間3を含んでいるとよい。加えて、溶接部が示されている箇所に、板延長材が追加的に設けられてもよい。
【0021】
図4は、このような十字形鍛造品のアセンブリの斜視図である。この場合、補剛材は、単純板材4である。十字形鍛造品のアセンブリは、押出成形された梁から作製されてタンクの外殻に支持されている2つの互いに交差しているパネル、ウエブフレーム、または壁に接続されている。
【0022】
図5は、押出成形された梁から作製されたパネルを有するタンクの内部の斜視図である。ここでは、これらのパネルは、交差点において、十字形パネルによって互いに接続されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクの内側においてパネルを互いに接続するために用いられる十字構造要素であって、 一体品に鍛造または鋳造されており、互いに交差する垂直ウエブを備えていることを特徴とする、十字構造要素。
【請求項2】
前記要素は、補剛材(1)をさらに備えていることを特徴とする、請求項1に記載の十字構造要素。
【請求項3】
前記補剛材(1)は、水平板材を含んでいることを特徴とする、請求項2に記載の十字構造要素。
【請求項4】
請求項1に記載の十字構造要素のアセンブリであって、前記要素は、互いに積み重ねられ、それらの互いに交差する垂直ウエブを介して互いに接続されていることを特徴とする、アセンブリ。
【請求項5】
完成したアセンブリは、横断溶接部を有しておらず、垂直方向の積重ね部を互いに接合する水平方向溶接部(2)のみを有していることを特徴とする、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記水平方向溶接部は、前記垂直ウエブの水平縁の長さの全体にわたって延在しておらず、隙間(3)によって部分的に置き換えられていることを特徴とする、請求項4または5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
板延長材が、溶接によって、前記垂直ウエブ間に挿入されていることを特徴とする、請求項4,5,または6のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項8】
請求項4〜7のいずれかに記載の少なくとも1つのアセンブリの使用であって、多数のパネルをそれらの交差点において接続するようになっていることを特徴とする、少なくとも1つのアセンブリの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−509549(P2013−509549A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536734(P2012−536734)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/NO2010/000387
【国際公開番号】WO2011/053155
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512112471)アーケル・エンジニアリング・アンド・テクノロジー・アクティーゼルスカブ (7)
【Fターム(参考)】