説明

半導体ナノ結晶を用いる白色発光ダイオード及びその製造方法

【課題】色純度がよく、発光効率及び光安定性が向上して、各種表示装置の光源として使用可能な白色発光ダイオードを提供する。
【解決手段】青色発光ダイオード上に、赤色発光体123と緑色発光体121とを含む発光層が形成された白色発光ダイオードであって、前記発光層が1種以上の無機蛍光体と1種以上の半導体ナノ結晶とを含むことを特徴とする白色発光ダイオード、及びその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ナノ結晶を用いる白色発光ダイオード及びその製造方法に係り、より詳細には、青色発光ダイオード上に形成された発光層が発光体として半導体ナノ結晶を含むことによって色純度及び発光効率を向上させることができる、半導体ナノ結晶を用いる白色発光ダイオード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体を用いた白色発光ダイオード(White Light Emitting Diode)は、寿命が長く、小型化が可能で、消費電力が少なく、無水銀等の環境親和的な特徴から、既存の発光素子に取って代わる次世代発光素子の一つとして脚光を浴びている。このような白色発光ダイオードは、液晶ディスプレイ(LCD)のバックライト(Backlight)や自動車の計器パネルなどにも用いられている。
【0003】
特に、液晶ディスプレイのバックライトに用いるために、効率及び色純度に優れた三色(赤色、緑色、青色)発光ダイオードを全て使用する方法が既に提案されてきたが、製造コストが高くかつ駆動回路が複雑なため、製品の価格競争力が大きく低下するという短所があった。そこで、既存の方法のように効率及び色純度の性能を維持しながらも、製造コストを下げかつ素子の構造を単純化できる単一チップソリューション(One Chip Solution)の開発が要求されている。
【0004】
単一チップソリューションの一つとして、450nmの波長を持つInGaN系青色発光ダイオードにYAG:Ce蛍光体を組み合わせた白色LEDが開発された。このような発光ダイオードは、青色発光ダイオードから発生する青色光の一部がYAG:Ce蛍光体を励起して黄緑色を発生させ、この黄緑色と青色とを合成して白色を発光する原理で動作する。しかしながら、青色発光ダイオードにYAG:Ce蛍光体を組み合わせた白色LEDの光は、可視光線領域の一部スペクトルのみを持っているため、演色指数(color rendering index)が低く、赤色、緑色、青色のカラーフィルタを通過する際にフィルタを通過できない部分が多いため効率が落ちる他、これによって色純度が低下するという問題点も生じ、TVなどの高画質を必要とする表示素子には応用し難いという限界があった。
【0005】
最近では、青色発光ダイオードを励起源とするのではなく、エネルギー効率が高いと期待される紫外線発光ダイオードを励起源とし、青色、緑色、赤色の発光体を用いて白色発光ダイオードを製造する方法も研究されている。しかし、青色及び緑色に比べて、効率の高い赤色発光体の開発が要求されている現状にある。
【0006】
他の方法として、青色発光ダイオード上に、緑色及び赤色の無機蛍光体を塗布する方法も試みられている。しかしながら、比較的高いエネルギーで励起する無機蛍光体を可視光領域の青色波長として励起させうる適切な物質が開発されていない他、今まで開発された緑色蛍光体は安全性が低く、色純度が悪く、さらに、赤色蛍光体は効率が低いため、バックライトユニット用発光ダイオードで要求される色純度と光効率を確保できないという限界があった。
【0007】
新規の発光素材として、量子制限効果を利用する高効率ナノ結晶を用いたLED素子に関し、第1光源と、ホストマトリクスと、ホストマトリクスに埋め込まれた量子点の集合とで構成される量子点を用いた白色及び着色発光ダイオード(colored light emitting diode)が開示されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、このような量子点を用いた発光ダイオードは、高いエネルギーを持つ励起光に長時間露出された場合、発光効率が急激に減少するという問題点があった。
【特許文献1】米国特許第6,890,777号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の従来技術の問題点を解決するためのもので、その目的は、高い色純度及び発光効率を有しながらも、安定的に白色光を維持できる白色発光ダイオード、これを用いたバックライトユニット及び表示装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、発光体として無機蛍光体と半導体ナノ結晶を共に使用することによって色純度、光効率及び光安定性が向上した白色発光ダイオードを、経済的な方法で製造できる白色発光ダイオードの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の一様相は、青色発光ダイオード上に、赤色発光体と緑色発光体とを含む発光層が形成された白色発光ダイオードであって、前記発光層が少なくとも1種の無機蛍光体と少なくとも1種の半導体ナノ結晶とを含むことを特徴とする白色発光ダイオードに関する。
【0011】
上記目的を達成するための本発明の他の様相は、青色発光ダイオードを提供する段階と、前記青色発光ダイオード上に、少なくとも1種の無機蛍光体と少なくとも1種の半導体ナノ結晶とを含むことを特徴とする白色発光ダイオードの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の白色発光ダイオードは、青色発光ダイオード上に多層構造の半導体ナノ結晶を蛍光体として使用するため、色純度及び発光効率に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
青色発光ダイオード上に、赤色発光体と緑色発光体とを含む発光層が形成された本発明の白色発光ダイオードは、前記発光層が1種以上の無機蛍光体と1種以上の半導体ナノ結晶を同時に含むことを特徴とする。
【0015】
前記赤色発光体は、赤色無機蛍光体または赤色発光半導体ナノ結晶のいずれかを含むか、両者とも含み、前記緑色発光体は、緑色無機蛍光体または緑色発光半導体ナノ結晶のいずれかを含むか、両者とも含むことができる。
【0016】
本発明の白色発光ダイオードでは、青色発光ダイオード(青色LED)から放射される光によって緑色発光体及び赤色発光体が励起して緑色光及び赤色光を放射し、これらの光と発光層を通過した青色光とを組み合わせて白色を具現する。
【0017】
前記青色発光ダイオードの波長は、白色発光を構成する波長として使用することができる。前記緑色発光体は、青色発光ダイオードの青色波長を一部のみ吸収して緑色を発光することによって白色発光を構成する波長として使用することができる。前記赤色発光体は、青色発光ダイオードの青色波長を一部のみ吸収して赤色を発光する、または、緑色発光体が青色発光ダイオードの青色波長を一部のみ吸収して緑色を発光した光を再び一部のみ吸収して赤色を発光することによって白色発光を構成する波長として使用することができる。
【0018】
半導体ナノ結晶は、発光効率及び色純度が高い反面、高いエネルギー励起光源によって長時間にわたる使用時に発光効率が低下するという欠点がある。したがって、紫外線発光ダイオードを励起光源とする場合は、紫外線に該当する全ての励起光源を、青色、緑色、赤色を発光する発光体に切り換える必要があるため、発光体の寿命が低下してしまう。そこで、本発明では半導体ナノ結晶の寿命を向上させるために、青色発光ダイオードを励起光源として用いる。こうすると、青色光源の一部は白色光を構成する波長になり、それによって、緑色発光体と赤色発光体は、青色励起光源の一部のみをそれぞれに該当する波長の光に切り換えればよく、半導体ナノ結晶の寿命が向上し、半導体ナノ結晶の長所を十分に活かすことが可能になる。
【0019】
青色発光ダイオードを励起光源とし、青色発光ダイオード上に、緑色無機蛍光体と赤色発光半導体ナノ結晶を均一に混合し単一発光層を塗布して形成した場合は、青色発光波長の一部を緑色無機蛍光体が吸収して緑色波長を発光するので、赤色発光半導体ナノ結晶が青色発光波長の一部のみを赤色に切り換えればよく、その結果、半導体ナノ結晶の寿命が向上する。
【0020】
あるいは、上記の構造で、青色発光波長の一部を緑色無機蛍光体が吸収して緑色波長を発光した光を励起光源として、赤色発光半導体ナノ結晶が緑色波長の一部も吸収して赤色に切り換え、青色の励起光源よりも低い緑色の励起光源を吸収して使用することができるので、半導体ナノ結晶の寿命がより向上する。
【0021】
本発明において、前記発光層は様々な構造に設計可能である。例えば、前記発光層は、図1に示すように、赤色発光体と緑色発光体との混合発光体層10で構成されている。
【0022】
上述したように、本発明の白色発光ダイオードにおいて、発光層は無機蛍光体と半導体ナノ結晶とで構成される。したがって、赤色発光体10aと緑色発光体10bとの混合発光体層10で構成される場合に、この混合発光体層10は、1種類の無機蛍光体(緑色無機蛍光体または赤色無機蛍光体)と1種類の半導体ナノ結晶(赤色発光半導体ナノ結晶または緑色発光半導体ナノ結晶)とで構成し、または、2種類の無機蛍光体(緑色無機蛍光体及び赤色無機蛍光体)と1種類の半導体ナノ結晶(赤色発光半導体ナノ結晶または緑色発光半導体ナノ結晶)とで構成することが可能である。代案として、混合発光体層10は、1種類の無機蛍光体と2種類の半導体ナノ結晶とで構成し、または、2種類の無機蛍光体と2種類の半導体ナノ結晶とで構成してもよい。
【0023】
前記発光層は、複数の層で構成することができ、この実施例による発光ダイオードの一例を図2に示す。図2を参照すると、発光層は、青色発光ダイオード上に形成された緑色発光体層20と、この緑色発光体層20上に形成された赤色発光体層30とからなっている。
【0024】
ここで、赤色発光体30aには、赤色無機蛍光体または赤色発光半導体ナノ結晶のいずれかが単独で用いられ、または、赤色無機蛍光体と赤色発光半導体ナノ結晶が共に用いられる。一方、緑色発光体20bには、緑色無機蛍光体または緑色発光半導体ナノ結晶のいずれかが単独で用いられ、または、緑色無機蛍光体と緑色発光半導体ナノ結晶が共に用いられる。したがって、図2で、例えば、緑色発光体層20は緑色無機蛍光体で構成し、赤色発光体層は赤色発光半導体ナノ結晶で構成し、または、緑色発光体層20は緑色発光半導体ナノ結晶で構成し、赤色発光体層30は赤色無機蛍光体及び赤色発光半導体ナノ結晶で構成する。
【0025】
一方、赤色発光半導体ナノ結晶とする場合は、緑色発光体層から発光した緑色発光波長を吸収して赤色を発光できるので、半導体ナノ結晶の励起光源を青色よりも低い緑色光源とすることができ、ナノ結晶の安全性を向上させうることから、好ましくは、一例として、緑色発光体層20は緑色無機蛍光体で構成し、赤色発光体層30は赤色発光半導体ナノ結晶で構成してもよい。
【0026】
他の例として、前記発光層は、図3に示すように、赤色発光体と緑色発光体の混合発光体層40と、この混合発光体層40上に形成された赤色発光体層50とからなる。代案として、前記発光層は、赤色発光体40bと緑色発光体40aとの混合発光体層と、この混合発光体層上に形成された緑色発光体層とからなってもよい。前記混合発光体層から放射される緑色領域の発光効率が低い場合には、混合発光体層上に緑色発光体層を形成することが好ましく、混合発光体層から放射される赤色領域の発光効率が低い場合には、混合発光体層上に赤色発光体層を形成することが好ましい。
【0027】
本発明では、発光体として用いられる半導体ナノ結晶は、2種類以上の物質で構成された多層構造半導体ナノ結晶でありうる。すなわち、赤色発光半導体ナノ結晶または緑色発光半導体ナノ結晶は、多層構造半導体ナノ結晶でありうる。本発明で「半導体ナノ結晶」とは、半導体ナノ結晶が2層以上の層状構造となっており、各層が異なる種類の物質で構成され、1以上の合金層を含む半導体ナノ結晶のことを意味する。
【0028】
また、本発明で用いられる多層構造の半導体ナノ結晶は、光安定性に優れているため、青色発光ダイオードを励起源とする場合、安定した発光特性を長く維持できると期待され、無機蛍光体と一緒に使用すると、励起光源の光を一部のみ吸収可能になるため、本発明の発光ダイオードは長寿命が得られる。
【0029】
さらに、多層構造の半導体ナノ結晶は、発光波長と略同一の領域からエネルギーを吸収できるため、無機蛍光体と共に使用すると、無機蛍光体が発光した波長の光を再度吸収して発光でき、より低いエネルギーを利用でき、より長寿命化が図られる。
【0030】
多層構造の半導体ナノ結晶は、異なる種類の物質が結晶構造をなす界面に合金層が存在するので、結晶相が異なることに起因するストレスが少なく、構造が安定する。したがって、多層構造の半導体ナノ結晶を用いた発光ダイオードは、光安定性に優れているため、青色発光ダイオードを励起源とする場合に安定した発光特性を長く維持できる。また、多層構造の半導体ナノ結晶は、発光波長と略同一の領域からエネルギーを吸収できるため、無機蛍光体と一緒に使用すると、エネルギー変換(energy transfer)が起きるのを利用することができる。
【0031】
本発明で多層構造半導体ナノ結晶は、球形(図4Aないし図4C、及び図5Aないし図5C)、正4面体(tetrahedron)、円筒形、棒形、三角形、円板形(disc)、三脚形(tripod)、四脚形(tetrapod)、立方形(cube)、箱形(box)、星形(star)、管形(tube)などの多様な形状を持つことができるが、一般に、球形の構造が最も高い発光効率を有するものと知られている。
【0032】
多層構造半導体ナノ結晶は、異なる種類の物質からなる各層間の界面に、2種以上の物質の合金層(alloy interlayer)を含むことができる。このような合金層は、ナノ結晶を構成する物質間に存在する格子定数の差を緩衝して物質の安全性を高めることができる。
【0033】
図4Aないし図4Cは、球形の半導体ナノ結晶の構造を示す。球形の半導体ナノ結晶は、コア−シェル構造とされ、コアとシェル間の界面に合金層を含むことができる(図4A)。この場合、コア部分の体積が小さいか、シェルがコアに拡散していく速度がより速い場合、コア中心部分まで合金層の拡散が起きて合金コア−シェル構造となる。すなわち、図4Bに示すように、半導体ナノ結晶は、合金コア44と合金コアを包囲するシェル45とで構成される。
【0034】
一方、シェル厚さが薄いか、コアがシェルに拡散して行く速度がより速い場合、シェル外側の部分まで合金層の拡散が起きてコア−合金シェル構造を形成することになる。すなわち、図4Cに示すように、半導体ナノ結晶は、コア46とコアを包囲する合金シェル47とで構成される。
【0035】
本発明で合金層は、物質組成の勾配を持つ合金層(gradient alloy layer)でありうる。図5Aないし図5Cに、球形半導体ナノ結晶構造において合金層が均一な合金相を形成せず、物質組成の勾配(gradient)を持つ構造を示す。このような構造の半導体ナノ結晶の中でも、図5Aに示すように、コア51とシェル53間の界面に、物質組成の勾配を持つ合金層52が形成されている。また、図5Bに示すように、半導体ナノ結晶は、コア54部分が物質組成の勾配を持つ合金層であり、その周りにシェル55が形成された構造を有してもよい。他の例として、図5Cに示すように、コア−シェル構造の半導体ナノ結晶のコア57は単一の物質で構成され、シェル58が物質組成の勾配を持つ合金層で構成されてもよい。
【0036】
本発明で半導体ナノ結晶は、その大きさによって量子制限効果(Quantum confinement effect)を持つ物質はいずれも使用可能であり、具体的には、周期律表のII−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、IV族化合物またはこれらの混合物から選ばれる物質を使用することができる。
【0037】
前記II−VI族化合物の例には、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTeなどの2元素化合物、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTeなどの3元素化合物、または、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTeなどの4元素化合物が挙げられる。
【0038】
前記III−V族化合物半導体の例には、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSbなどの2元素化合物、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNPなどの3元素化合物、または、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSbなどの4元素化合物が挙げられる。
【0039】
前記IV−VI族化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTeなどの2元素化合物、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTeなどの3元素化合物、または、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTeなどの4元素化合物よりなる群から選ばれる物質を使用すればよく、前記IV族化合物は、Si、Geなどの単一元素化合物及びSiC、SiGeなどの2元素化合物よりなる群から選ばれる物質を使用すればよい。半導体ナノ結晶は、物質の組成及びサイズによって、相異なる可視光線の範囲内の発光波長を有する。たとえば、CdSeの場合、直径1.5nmのナノ結晶は450nmの波長の青色を発光し、直径6.5nmのナノ結晶は650nmの赤色を発光する。したがって、半導体ナノ結晶には、赤色発光半導体ナノ結晶および青色発光半導体ナノ結晶が含まれる。
【0040】
以下、本発明による多層構造のナノ結晶を「CdSe//ZnS」と表示する。すなわち、これは、CdSeナノ結晶とZnSナノ結晶との間に合金層が形成されていることを意味する。
【0041】
赤色発光半導体ナノ結晶及び緑色発光半導体ナノ結晶は、半導体ナノ結晶の大きさと組成を変化させて発光波長を調整することができる。例えば、赤色発光半導体ナノ結晶は直径2〜30nmの半導体ナノ結晶とし、緑色発光半導体ナノ結晶は直径2〜30nmの半導体ナノ結晶とすることができる。特に、多層構造の半導体ナノ結晶では、シェル物質またはコア物質がその他の内部に拡散していくことによって発光コアの化学的組成が変わり、発光波長が移動することができる。
【0042】
半導体ナノ結晶を構成するII−VI、III−V、IV−VI、IV族元素は、物質の固有な特性であるエネルギーバンドギャップを有しており、このようなバンドギャップによって、エネルギー遷移が起きて安定化する過程で光を発光する特性が現れる。特に、上記の半導体物質を2〜30nm以下の構造で製造した場合には、量子制限効果が現れながら物質固有のエネルギーバンドギャップが変化し、量子化したエネルギーレベルを生成しながらエネルギー密度が増加して光を発光する波長が変化し、発光効率が増加する。すなわち、このような半導体ナノ結晶を構成する成分を調節してエネルギーバンドギャップを調節でき、なお、その大きさを調節してエネルギーバンドギャップの調節ができる。
【0043】
本発明で使用可能な赤色無機蛍光体としては、(Y,Gd)BO:Eu、Y(V,P)O4:Eu、(Y,Gd)O:Eu、LaS:Eu3+、Mg(F)GeO:Mn、Y:Ru、YS:Eu、KEu2.5(WO6.25:Sm0.08、YBOSrS:Eu2+などが挙げられるが、輝度特性に優れた(Y,Gd)BO:Euを使用することが好ましい。
【0044】
本発明の緑色無機蛍光体としては、BaMgAl1017:Eu,Mn、ZnSiO:Mn、(Zn,A)SiO:Mn(Aは、アルカリ土金属)、MgAlxOy:Mn(x=1ないし10の整数、y=1ないし30の整数)、LaMgAlxOy:Tb(x=1ないし14の整数、y=8ないし47の整数)、ReBO:Tb(Reは、Sc、Y、La、Ce、及びGdからなる群より選ばれる少なくとも一つの希土類元素である)、ZnS:Cu:Al、SrGa:Ru、Tb(SrGa:Eu2+)、(Y,Gd)BO:Tb及びSrCaS:Euからなる群より選ばれる1種以上を使用すればよい。
【0045】
図6は、本発明の一実施例による発光ダイオードの断面を概略的に示し、図7は、本発明の他の実施例による緑色発光体層と赤色発光体層とを分離した状態に用いる発光ダイオード素子の断面を示す。
【0046】
図6に示すように、本発明の一実施例による発光ダイオード120は、基板上に配置されたp−タイプ半導体125とn−タイプ半導体127とで構成される青色発光ダイオードチップ120aと、この青色発光ダイオードチップをカバーする発光体を含む透明樹脂マトリクス124で構成される混合発光体層129とを含んでいる。この混合発光体層129の透明樹脂マトリクス124は、緑色発光体121及び赤色発光体123を両方とも含む。青色発光ダイオードチップのp−タイプ半導体125は電線126によって電極に連結され、n−タイプ半導体127は電線128によって電極に連結されている。
【0047】
図7に示すように、本発明の他の実施例による発光ダイオード140において、発光層は、緑色発光体層と赤色発光体層とを個別に分離して形成することができる。このような実施例では、図7に示すように、発光層149が緑色発光体141を含む透明樹脂マトリクス142と赤色発光体143を含む透明樹脂マトリクス144とを含んで構成されている。図7で、140aは青色発光ダイオードチップを表し、145はp−タイプ半導体であり、146はp−タイプ半導体と電極とを連結する電線であり、147はn−タイプ半導体147であり、148はn−タイプ半導体と電極とを連結する電線である。
【0048】
本発明の白色発光ダイオードは、例えば、液晶表示装置などの各種表示装置のバックライトユニットとして用いられる。液晶表示装置のバックライトユニットは、基板上に平坦な導光板が配置され、このような導光板の側面には発光ダイオードが配置される。通常、複数の発光ダイオードは、アレイ形態で配置される。本発明の白色発光ダイオードは、優れた色純度及び光効率を示すので、携帯電話のような小型ディスプレイのバックライトユニットの他に、多様な色再現が必要な大面積液晶ディスプレイにも適用できる。また、本発明の白色発光ダイオードは、バックライトユニットの他に、ペーパー−シン光源(paper−thin light source)、自動車のドームライト(dome light)及び照明用光源にも用途展開できる。
【0049】
本発明の他の様相は、白色発光ダイオードの製造方法に関する。本発明の方法では、青色発光ダイオードを準備した後、青色発光ダイオード上に、赤色発光体と緑色発光体とを含む発光層を形成する。このとき、発光層に1種以上の半導体ナノ結晶と1種以上の無機蛍光体を必ず含める。赤色発光体には、赤色無機蛍光体または赤色発光半導体ナノ結晶のいずれかを単独使用するか、両者とも使用し、さらに、前記緑色発光体には、緑色無機蛍光体または緑色発光半導体ナノ結晶のいずれかを単独使用するか、両者とも使用して発光層を形成する。
【0050】
前記発光層形成段階では、前記青色発光ダイオード上に、赤色発光体と緑色発光体を両方とも含む一つの混合発光体層を形成するか、前記青色発光ダイオード上に、緑色発光体層を形成し、該緑色発光体層上に赤色発光体層を形成することができる。前記発光体層を形成する他の方法として、前記青色発光ダイオード上に、赤色発光半導体ナノ結晶と緑色発光半導体ナノ結晶との混合発光体層を形成したのち、得られた混合発光体層上に赤色発光体層または緑色発光体層を形成してもよい。
【0051】
発光体を半導体ナノ結晶とする場合には、2種類以上の物質で構成された多層構造半導体ナノ結晶を用いることができる。このような多層構造半導体ナノ結晶は、上述のように、各層間の界面に2種類以上の物質の合金層を含むことができ、また、合金層が物質組成の勾配を持つ合金層でありうる。
【0052】
多層構造の半導体ナノ結晶は、金属前駆体とV族またはVI族前駆体をそれぞれ溶媒及び分散剤に入れ、これらを混合し反応させて第1ナノ結晶を形成した後、他の種類の金属前駆体とV族またはVI族前駆体をそれぞれ溶媒及び分散剤に入れ、これらを混合し反応させて、第1ナノ結晶表面上に第2ナノ結晶を成長させて製造できる。
【0053】
こうすると、第1ナノ結晶表面に第2ナノ結晶が成長し、第1ナノ結晶と第2ナノ結晶との界面で拡散(diffusion)によって合金層が形成される。この合金層は、第1ナノ結晶と第2ナノ結晶との界面で第2ナノ結晶物質が第1ナノ結晶の内部に拡散され、または、第1ナノ結晶物質が第2ナノ結晶の内部に拡散されて形成される。このように、拡散される層が減少することによって、第1ナノ結晶と第2ナノ結晶との間に合金層が形成された新しい構造のナノ結晶を製造できる。このとき、拡散する層が減少して完全になくなり、第1ナノ結晶−合金層、合金層−第2ナノ結晶の形態を持つこともある。
【0054】
半導体ナノ結晶の多層構造は、第1ナノ結晶の表面に第2ナノ結晶層を成長させ、その上に他のナノ結晶層を成長させる同一の過程を数回繰り返して形成することができる。
【0055】
多層構造の半導体ナノ結晶の製造時に使用可能な金属前駆体としては、ジメチル亜鉛(dimethyl zinc)、ジエチル亜鉛(diethyl zinc)、酢酸亜鉛(Zinc acetate)、亜鉛アセチルアセトナート(Zinc acetylactetonate)、ヨウ化亜鉛(Zinc iodide)、臭化亜鉛(Zinc bromide)、塩化亜鉛(Zinc chloride)、フッ化亜鉛(Zinc fluoride)、炭酸亜鉛(Zinc carbonate)、シアン化亜鉛(Zinc cyanide)、硝酸亜鉛(Zinc nitrate)、酸化亜鉛(Zinc oxide)、過酸化亜鉛(Zinc peroxide)、過塩素酸亜鉛(Zinc perchlorate)、硫酸亜鉛(Zinc sulfate)、ジメチルカドミウム(dimethyl cadmium)、ジエチルカドミウム(diethyl cadmium)、酢酸カドミウム(Cadmium acetate)、カドミウムアセチルアセトナート(Cadmium acetylactetonate)、ヨウ化カドミウム(Cadmium iodide)、臭化カドミウム(Cadmium bromide)、塩化カドミウム(Cadmium chloride)、フッ化カドミウム(Cadmium fluoride)、炭酸カドミウム(Cadmium carbonate)、硝酸カドミウム(Cadmium nitrate)、酸化カドミウム(Cadmium oxide)、過塩素酸カドミウム(Cadmium perchlorate)、リン化カドミウム(Cadmium phosphide)、硫酸カドミウム(Cadmium sulfate)、酢酸水銀(Mercury acetate)、ヨウ化水銀(Mercury iodide)、臭化水銀(Mercury bromide)、塩化水銀(Mercury chloride)、フッ化水銀(Mercury fluoride)、シアン化水銀(Mercury cyanide)、硝酸水銀(Mercury nitrate)、酸化水銀(Mercury oxide)、過塩素酸水銀(Mercuryper chlorate)、硫酸水銀(Mercury sulfate)、酢酸鉛(Lead acetate)、臭化鉛(Lead bromide)、塩化鉛(Lead chloride)、フッ化鉛(Lead fluoride)、酸化鉛(Lead oxide)、過塩素酸鉛(Lead perchlorate)、硝酸鉛(Lead nitrate)、硫酸鉛(Lead sulfate)、炭酸鉛(Lead carbonate)、酸化スズ(Tin acetate)、スズビスアセチルアセトナート(Tinbisacetylacetonate)、臭化スズ(Tin bromide)、塩化スズ(Tin chloride)、フッ化スズ(Tin fluoride)、酸化スズ(Tin oxide)、硫酸スズ(Tin sulfate)、四塩化ゲルマニウム(Germanium tetrachloride)、酸化ゲルマニウム(Germanium oxide)、ゲルマニウムエトキシド(Germanium ethoxide)、ガリウムアセチルアセトナート(Gallium acetylacetonate)、塩化ガリウム(Gallium chloride)、フッ化ガリウム(Gallium fluoride)、酸化ガリウム(Gallium oxide)、硝酸ガリウム(Gallium nitrate)、硫酸ガリウム(Gallium sulfate)、塩化インジウム(Indium chloride)、酸化インジウム(Indium oxide)、硝酸インジウム(Indium nitrate)、または硫酸インジウム(Indium sulfate)を使用することができるが、これに限定されることはない。
【0056】
前記VI族またはV族元素化合物としては、ヘキサンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、メルカプトプロピルシランなどのアルキルチオール化合物、サルファー−トリオクチルホスフィン(S−TOP)、サルファー−トリブチルホスフィン(S−TBP)、サルファー−トリフェニルホスフィン(S−TPP)、サルファー−トリオクチルアミン(S−TOA)、トリメチルシリルサルファー(trimethylsilyl sulfur)、硫化アンモニウム、硫化ナトリウム、セレン−トリオクチルホスフィン(Se−TOP)、セレン−トリブチルホスフィン(Se−TBP)、セレン−トリフェニルホスフィン(Se−TPP)、テルル−トリブチルホスフィン(Te−TBP)、テルル−トリフェニルホスフィン(Te−TPP)、トリメチルシリルホスフィン(trimethylsilyl phosphine)及びトリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリシクロへキシルホスフィンを含むアルキルホスフィン(alkyl phosphine)、酸化ヒ素(Arsenic oxide)、塩化ヒ素(Arsenic chloride)、硫化ヒ素(Arsenic sulfide)、臭化ヒ素(Arsenic bromide)、ヨウ化ヒ素(Arsenic iodide)、酸化窒素(Nitric oxide)、硝酸(Nitric acid)、または硝酸アンモニウム(Ammonium nitrate)などを使用することができる。
【0057】
前記溶媒の例には、炭素数6〜22の1級アルキルアミン、炭素数6〜22の2級アルキルアミン、及び炭素数6〜24の3級アルキルアミン;炭素数6〜22の1級アルコール、炭素数6〜22の2級アルコール及び炭素数6〜22の3級アルコール;炭素数6〜22のケトン及びエステル;炭素数6〜22の窒素または硫黄を含むヘテロ環化合物(heterocyclic compound);炭素数6〜22のアルカン、炭素数6〜22のアルケン、炭素数6〜22のアルキン;トリオクチルホスフィン、またはトリオクチルホスフィンオキシドなどが挙げられる。
【0058】
分散剤としては、末端にCOOH基を持つ炭素数6〜22のアルカンまたはアルケン;末端にPOOH基を持つ炭素数6〜22のアルカンまたはアルケン;末端にSOOH基を持つ炭素数6〜22のアルカンまたはアルケン;及び、末端にNH基を持つ炭素数6〜22のアルカンまたはアルケンが挙げられる。
【0059】
具体的に、この分散剤としては、オレイン酸(oleic acid)、ステアリン酸(stearic acid)、パルミチン酸(palmitic acid)、へキシルホスホン酸(hexyl phosphonic acid)、n−オクチルホスホン酸(n−octyl phosphonic acid)、テトラデシルホスホン酸(tetradecyl phosphonic acid)、オクタデシルホスホン酸(octadecyl phosphonic acid)、n−オクチルアミン(n−octyl amine)、またはヘキサデシルアミン(hexadecyl amine)が挙げられる。
【0060】
一方、多層構造のナノ結晶の製造において、第2ナノ結晶成長段階で、反応温度、反応時間及び第2ナノ結晶の金属前駆体物質の濃度を変化させることによって前記物質の拡散速度を調節できる。したがって、同じ大きさの第1ナノ結晶物質を使用する場合にも発光波長の異なる物質が得られる。同じ原理から、異なる大きさの第1ナノ結晶物質を使用する場合にも拡散速度を調節することによって同一波長で発光する物質を得ることができる。また、前記第2ナノ結晶成長段階で、反応温度を段階的に変化させることによって、第1ナノ結晶と第2ナノ結晶との界面での拡散速度を調節し、同じ大きさの第1ナノ結晶物質を使用する場合にも発光波長の異なる物質を得ることができる。
【0061】
発光層形成段階は、様々な方法で行うことができ、例えば、無機蛍光体、半導体ナノ結晶、または無機蛍光体と半導体ナノ結晶を有機バインダを含むペーストとして製造し、一つの層として積層することができる。このときに使用可能な有機バインダ樹脂は、透明な樹脂ならいずれも使用可能であり、好ましくは、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂またはエポキシ系樹脂などを使用するとよい。
【0062】
前記発光体ペーストを青色発光ダイオード上に層化する段階は、ドロップキャスティング(drop casting)、スピンコーティング(spin cating)、ディップコーティング(dip coating)、噴霧コーティング(spray coating)、流れコーティング(flow coating)またはスクリーン印刷(screen printing)等、任意の方法によればよい。
【0063】
本発明で白色発光ダイオードは、本発明の属する技術分野に知られた任意の方法によって製造可能である。例えば、発光ダイオードは、リードフレームに配置された青色発光ダイオードの周囲を、無機蛍光体及び/または半導体ナノ結晶を分散させた透明樹脂マトリクスで取り囲み、透明樹脂マトリクス、電線及びリードフレームを密封樹脂で密封して製作可能である。
【実施例】
【0064】
以下、実施例に挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を説明するためのもので、本発明を制限するためのものではない。
【0065】
(製造例1.緑色発光多層構造半導体ナノ結晶の合成)
トリオクチルアミン(Trioctylamine、「TOA」)16g、オクタデシルホスホン酸0.128g及び酸化カドミウム0.1mmolを同時に、還流コンデンサを設置した125mlフラスコに入れ、撹拌しながら反応温度を300℃に調節した。
【0066】
これとは別に、Se粉末をトリオクチルホスフィン(Trioctylphosphine、「TOP」)に溶かし、Se濃度が約2MであるSe−TOP錯体溶液を作った。
【0067】
前記撹拌中の反応混合物に、2M Se−TOP錯体溶液2mLを速く注入し、約2分間反応させた。反応が終わると、反応混合物の温度を可能な限り速く常温に低下させ、非溶媒(non solvent)であるエタノール20mLを加えて遠心分離を実施した。遠心分離された溶液の上澄み液は捨て、沈殿はトルエンに分散させて1質量%のCdSeナノ結晶溶液を合成した。
【0068】
TOA 8g、オレイン酸0.1g及び酢酸亜鉛0.1mmolを同時に、還流コンデンサを設置した125mlフラスコに加え、撹拌しながら反応温度を300℃に調節した。上記で合成した1質量%CdSeナノ結晶溶液を反応物に添加した後、0.8MのS−TOP錯体溶液0.5mLを徐々に加えながら約1時間反応させて、CdSeナノ結晶表面上にZnSナノ結晶を成長させ、その界面に拡散によって合金層を形成させた。反応終了後、CdSeナノ結晶を分離した方法と同様に、非溶媒のエタノールを20mL加えて遠心分離をした後、トルエンに分散させ、多層構造のナノ結晶CdSe//ZnSを合成した。
【0069】
このCdSe//ZnSナノ結晶の表面に、再度CdZnSを形成した。酢酸カドミウム0.05mmol、酢酸亜鉛0.1mmol、オレイン酸0.43g、TOA 8gを、還流コンデンサの設置された125mlフラスコに入れ、撹拌しながら反応温度を300℃に調節した後、上記で合成した0.5mLの1質量%CdSe//ZnSナノ結晶溶液を注入した。その直後、2mLのTOAと混合した0.8mmolのオクチルチオールを徐々に注入しつつ略1時間反応して、多層構造を有するナノ結晶CdSe//ZnS/CdZnSを形成した(ただし、記号「/」は、コア/シェル構造の半導体ナノ結晶を表すためだけに使われている。)。反応が終わると、上述したように、遠心分離によって合成された物質を分離してトルエンに分散させ、1.5質量%のCdSe//ZnS/CdZnSのトルエン溶液を得た。
【0070】
この製造例で合成された緑色発光半導体ナノ結晶のUV−VIS吸収スペクトルと紫外線で励起された光励起発光スペクトルを、図8Aに示す。
【0071】
(製造例2.赤色発光多層構造半導体ナノ結晶の合成)
TOA 32g、オレイン酸1.8g及びカドミウムオキシド1.6mmolを同時に、還流コンデンサの設置された125mlフラスコに入れ、撹拌しながら反応温度を300℃に調節した。製造例1で合成した2M Se−TOP錯体溶液0.2mLを反応物に速く注入し、1分30秒後に6mLのTOAと混合した0.8mmolのオクチルチオールを徐々に注入した。40分間反応後に、別に合成したオレイン酸亜鉛錯体溶液16mLを徐々に注入した。
【0072】
オレイン酸亜鉛錯体溶液は、4mmolの酢酸亜鉛、オレイン酸2.8g及びTOA 16gを、還流コンデンサの設置された125mlフラスコに入れ、撹拌しながら反応温度を200℃に調節して合成した。100℃以下に温度を下げた後に注入した。オレイン酸亜鉛錯体溶液の注入が完了すると直ちに、6mLのTOAと混合した6.4mmolのオクチルチオール錯体溶液を徐々に加えて略2時間反応させた。これは順に、CdSeナノ結晶を生成させた後、表面上にCdSナノ結晶を成長させ、ZnSを再度成長させた。
【0073】
反応が終わると、反応混合物の温度を可能な限り速く常温に低下させ、非溶媒(nonsolvent)であるエタノールを20mL加えて遠心分離を実施した。遠心分離された溶液の上澄み液は捨て、沈殿はトルエンに分散させて8nm大きさの多層構造のナノ結晶CdSe/CdS/ZnSを合成した。
【0074】
上記の製造例で合成された赤色発光半導体ナノ結晶のUV−VIS吸収スペクトルと紫外線で励起された光励起発光スペクトルを、図8Bに示す。また、得られた赤色発光半導体ナノ結晶を青色光源で励起するとき、時間による発光強度変化を、図9のグラフで示す。図9に示すように、多層構造の半導体ナノ結晶を用いた発光ダイオードは、安定した発光特性を長く維持することが確認できる。
【0075】
(製造例3.緑色発光半導体ナノ結晶を用いた発光ダイオードの製作)
製造例1で作られた0.5gの1質量%緑色発光半導体ナノ結晶溶液に、ヘキサンとエタノールを6:4の体積比で混合した溶液を10mL加え、6000RPMで10分間遠心分離して沈殿を得た。得られた沈殿を、クロロホルム溶媒を加えて約1質量%の溶液とした。エポキシ樹脂は、ダウコニン社で製造し販売しているSJ4500 AとB樹脂(Samjun Chemicals、Inc.,Korea)を、あらかじめ1:1体積比で混合し空気泡を除去しておいた。緑色発光半導体ナノ結晶1質量%とクロロホルム溶液0.1mLとエポキシ樹脂0.1mLを混合して均一に撹拌し、クロロホルム溶液を除去するために真空状態で約1時間維持した。このようにして製造された緑色発光半導体ナノ結晶とエポキシ樹脂との混合物50μL(リットル)を、コップ形態に作られたランプタイプの青色発光ダイオード上に約20mL塗布し、100℃で3時間硬化した。
【0076】
上記の方法で1次的に青色発光ダイオードと発光層を硬化した後、ランプ形態にモールディングするためにモールドに、エポキシ樹脂のみを加えて1次的に硬化した発光層を含む青色発光ダイオードを、100℃で3時間再び硬化してランプ形態の発光ダイオードを製作した。
【0077】
同じ条件で作られた4個のランプ形態の発光ダイオードのスペクトルを測定するために、ISP75システムを用い、積分球で収集された発光特性を評価して光転換効率及び発光スペクトルを分析した。上記の方法で製造された4個の緑色発光半導体ナノ結晶を用いたLEDの発光スペクトルを、図10に示す。図10を参照すると、最大発光波長は溶液の発光波長よりも約20nm遷移された540nmで現れ、半値幅(Full width at half maximum、FWHM)は約35nm程度で現れ、平均光転換効率は40%程度と確認された。
【0078】
(比較例1.緑色無機蛍光体を用いた発光ダイオードの製作)
青色励起光で最も効率が高く、半値幅が好ましい特性を示すと評価されているSarnoff社で製造されたTG−3540無機蛍光体0.05gとエポキシ樹脂0.1mLを撹拌して均一に混合した。このように製造された緑色無機蛍光体とエポキシ樹脂との混合物50μLを、コップ形態に作られたランプタイプの青色発光ダイオード上に約20mL塗布して、100℃で3時間硬化した。
【0079】
上記の方法で1次的に青色発光ダイオードと発光層を硬化した後、ランプ形態にモールディングするためにモールドにエポキシ樹脂のみを加えて1次的に硬化した発光層を含む青色発光ダイオードを100℃で3時間再び硬化し、ランプ形態の発光ダイオードを製作した。
【0080】
同じ条件で作られた4個のランプ形態の発光ダイオードのスペクトルを測定するために、ISP75システムを用い、積分球で収集された発光特性を評価して光転換効率及び発光スペクトルを分析した。
【0081】
上記の方法で製造された4個の緑色無機蛍光体を用いたLEDの発光スペクトルを、図11に示す。同図で、最大発光波長は535nmで現れ、半値幅は約50nm程度で現れ、平均光転換効率は30%程度と確認された。
【0082】
(製造例4.赤色発光半導体ナノ結晶を用いた発光ダイオードの製作)
製造例2で作られた赤色発光半導体ナノ結晶に、ヘキサンとエタノールを6:4の体積比で混合した溶液を20mL加え、6000RPMで10分間遠心分離して沈殿を得た。得られた沈殿に、クロロホルム溶媒を加えて約1質量%の溶液とした。エポキシ樹脂は、ダウコニン社で製造し販売しているSJ4500 AとB樹脂をあらかじめ1:1体積比で混合して空気泡を除去しておいた。赤色発光半導体ナノ結晶5mgとクロロホルム溶液0.1mLとエポキシ樹脂0.1mLを混合して均一に撹拌し、クロロホルム溶液を除去するために真空状態で約1時間維持した。このようにして製造された赤色発光半導体ナノ結晶とエポキシ樹脂との混合物(50μL)を、コップ形態に作られたランプタイプの青色発光ダイオード上に約20mL塗布し、100℃で3時間硬化した。
【0083】
上記の方法で1次的に青色発光ダイオードと発光層を硬化した後、ランプ形態にモールディングするためにモールドにエポキシ樹脂のみを加えて1次的に硬化させた発光層を含む青色発光ダイオードを100℃で3時間再び硬化し、ランプ形態の発光ダイオードを製作した。
【0084】
同じ条件で作られた4個のランプ形態の発光ダイオードのスペクトルを測定するために、ISP75システムを用い、積分球で収集された発光特性を評価して光転換効率及び発光スペクトルを分析した。
【0085】
上記の方法で製造された4個の赤色発光半導体を用いたLEDの発光スペクトルを、図12に示す。同図で、最大発光波長は溶液の発光波長よりも約20nm遷移された620nmで現れ、半値幅は約27nm程度で現れ、平均光転換効率は20%程度と確認された。
【0086】
(比較例2.赤色無機蛍光体を用いた発光ダイオードの製作)
紫外線励起光で最も効率が高く、半値幅が好ましい特性を見せるものと評価されているSr−Mg−P4O16系の赤色無機蛍光体0.1gとエポキシ樹脂0.1mLを混合して均一に撹拌した。このようにして製造された赤色無機蛍光体とエポキシ樹脂との混合物(50μL)を、コップ形態に作られたランプタイプの青色発光ダイオード上に約20mL塗布し、100℃で3時間硬化した。
【0087】
上記の方法で1次的に青色発光ダイオードと発光層を硬化した後、ランプ形態にモールディングするためにモールドにエポキシ樹脂のみを加えて1次的に硬化した発光層を含む青色発光ダイオードを100℃で3時間再び硬化し、ランプ形態の発光ダイオードを製作した。
【0088】
同じ条件で作られた4個のランプ形態の発光ダイオードのスペクトルを測定するために、ISP75システムを用い、積分球で収集された発光特性を評価して光転換効率及び発光スペクトルを分析した。
【0089】
上記の方法で製造された4個の赤色無機蛍光体を用いたLEDの発光スペクトルを、図13に示す。同図で、無機蛍光体の発光特性がほとんど現れないことが確認された。
【0090】
(実施例1.緑色無機蛍光体と赤色発光半導体ナノ結晶との混合発光層を用いた発光ダイオードの製作)
製造例2で作られた赤色発光半導体ナノ結晶に、ヘキサンとエタノールを6:4の体積比で混合した溶液(10mL)を加え、6000RPMで10分間遠心分離して沈殿を得た。得られた沈殿を、クロロホルム溶媒を加えて約1質量%の溶液として製造した。エポキシ樹脂は、ダウコニン社で製造し販売しているSJ4500 AとB樹脂をあらかじめ1:1体積比で混合して空気泡を除去しておいた。赤色発光半導体ナノ結晶5mg、クロロホルム溶液0.05mLとSarnoff社のTG−3540緑色無機蛍光体(SrCaS:Eu)0.025gとエポキシ樹脂0.1mLを混合して均一に撹拌し、クロロホルム溶液を除去するために真空状態で約1時間維持した。このようにして製造された赤色発光半導体ナノ結晶と緑色無機蛍光体とエポキシ樹脂の混合物(50μL)(ペースト)を、コップ形態に作られたランプタイプの青色発光ダイオード上に約20mL塗布し、100℃で3時間硬化した。
【0091】
上記の方法で1次的に青色発光ダイオードと発光層を硬化した後、ランプ形態にモールディングするためにモールドにエポキシ樹脂のみを加えて1次的に硬化した発光層を含む青色発光ダイオードを100℃で3時間再び硬化し、ランプ形態の図6に示すような発光ダイオードを製作した。
【0092】
同じ条件で作られた4個のランプ形態の発光ダイオードのスペクトルを測定するために、ISP75システムを用い、積分球で収集された発光特性を評価して光転換効率及び発光スペクトルを分析した。
【0093】
上記の方法で製造された4個の緑色無機蛍光体と赤色発光半導体ナノ結晶との混合発光層を用いたLEDの発光スペクトルを、図14に示す。同図で、発光波長は、緑色無機蛍光体では535nmで、赤色発光半導体ナノ結晶で620nmに現れ、平均光転換効率は30%程度と確認された。
【0094】
(実施例2.緑色無機蛍光体発光体層上に赤色発光半導体ナノ結晶の発光層を製造した構造の発光ダイオードの製作)
青色励起光で最も効率が高く、半値幅が好ましい特性を見せるものと評価されているSarnoff社で製造されたTG−3540無機蛍光体0.025gとエポキシ樹脂0.1mLを撹拌して均一に混合した。このようにして製造された緑色無機蛍光体とエポキシ樹脂の混合物(ペースト)を、コップ形態に作られたランプタイプの青色発光ダイオード上に約10mL塗布し、100℃で3時間硬化した。
【0095】
製造例2で作られた赤色発光半導体ナノ結晶に、ヘキサンとエタノールを6:4の体積比で混合した溶液(109mL)を加え、6000RPMで10分間遠心分離して沈殿を得た。得られた沈殿を、クロロホルム溶媒を加えて約1質量%の溶液として製造した。エポキシ樹脂は、ダウコニン社で製造し販売しているSJ4500 AとB樹脂をあらかじめ1:1体積比で混合して空気泡を除去しておいた。赤色発光半導体ナノ結晶5mg、クロロホルム溶液0.05mLとエポキシ樹脂0.1mLを撹拌して均一に混合し、クロロホルム溶液を除去するために真空状態で約1時間維持した。このようにして製造された赤色発光半導体ナノ結晶とエポキシ樹脂の混合物(ペースト)を、先に製造しておいた緑色無機蛍光体発光層上に約10mL塗布し、100℃で3時間硬化した。
【0096】
上記の方法で1次的に青色発光ダイオードと発光層を硬化した後、ランプ形態にモールディングするためにモールドにエポキシ樹脂のみを加えて1次的に硬化した発光層を含む青色発光ダイオードを100℃で3時間再び硬化し、ランプ形態の図7に示すような発光ダイオードを製作した。
【0097】
同じ条件で作られた4個のランプ形態の発光ダイオードのスペクトルを測定するために、ISP75システムを用い、積分球で収集された発光特性を評価して光転換効率及び発光スペクトルを分析した。
【0098】
上記の方法で製造された4個の緑色無機蛍光体発光層と赤色発光半導体ナノ結晶の発光層を用いたLEDの発光スペクトルを、図15に示す。同図で、発光波長は、緑色無機蛍光体では535nmで、赤色発光半導体ナノ結晶では620nmで現れたし、平均光転換効率は35%程度と確認された。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施例による白色発光ダイオードの模式図である。
【図2】本発明の他の実施例による白色発光ダイオードの模式図である。
【図3】本発明のさらに他の実施例による白色発光ダイオードの模式図である。
【図4A】本発明で用いられる多層構造半導体ナノ結晶の模式図である。
【図4B】本発明で用いられる多層構造半導体ナノ結晶の別の模式図である。
【図4C】本発明で用いられる多層構造半導体ナノ結晶のその他の模式図である。
【図5A】本発明で用いられる、合金層が物質組成の勾配を持つ多層構造半導体ナノ結晶の模式図である。
【図5B】本発明で用いられる、合金層が物質組成の勾配を持つ多層構造半導体ナノ結晶の別の模式図である。
【図5C】本発明で用いられる、合金層が物質組成の勾配を持つ多層構造半導体ナノ結晶のその他の模式図である。
【図6】本発明の一実施例による発光ダイオードの断面概略図である。
【図7】本発明の他の実施例による発光ダイオードの断面概略図である。
【図8A】製造例1で得た緑色発光半導体ナノ結晶の吸収及び発光スペクトルである。
【図8B】製造例2で得た赤色発光半導体ナノ結晶の吸収及び発光スペクトルである。
【図9】製造例2で得た赤色発光半導体ナノ結晶を青色光源として励起するとき、発光強度の経時変化を示すグラフである。
【図10】製造例3で製造した緑色発光半導体ナノ結晶を用いたLED素子の発光スペクトルである。
【図11】比較例1で製造した緑色無機蛍光体を用いたLED素子の発光スペクトルである。
【図12】製造例4で製造した赤色発光半導体ナノ結晶を用いたLED素子の発光スペクトルである。
【図13】比較例2で製造した赤色無機蛍光体を用いたLED素子の発光スペクトルである。
【図14】実施例1で製造したLED素子の発光スペクトルである。
【図15】実施例2で製造したLED素子の発光スペクトルである。
【符号の説明】
【0100】
121 緑色発光体
123 赤色発光体
124 透明樹脂マトリクス
125 p−タイプ半導体
126,128 電線
127 n−タイプ半導体
129 混合発光体層
141 緑色発光体
143 赤色発光体
142 緑色発光体を含む透明樹脂マトリクス
144 赤色発光体を含む透明樹脂マトリクス
145 p−タイプ半導体
147 n−タイプ半導体
146,148 電線
149 発光層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色発光ダイオード上に、赤色発光体と緑色発光体とを含む発光層が形成された白色発光ダイオードであって、前記発光層は、少なくとも1種の無機蛍光体と少なくとも1種の半導体ナノ結晶とを含むことを特徴とする、白色発光ダイオード。
【請求項2】
前記赤色発光体は、赤色無機蛍光体または赤色発光半導体ナノ結晶のいずれかを含むか、両者とも含み、
前記緑色発光体は、緑色無機蛍光体または緑色発光半導体ナノ結晶のいずれかを含むか、両者とも含むことを特徴とする、請求項1に記載の白色発光ダイオード。
【請求項3】
前記発光層は、赤色発光体と緑色発光体との混合発光体層であることを特徴とする、請求項1に記載の白色発光ダイオード。
【請求項4】
前記発光層は、
前記青色発光ダイオード上に形成された緑色発光体層と、
前記緑色発光体層上に形成された赤色発光体層とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の白色発光ダイオード。
【請求項5】
前記発光層は、
赤色発光体と緑色発光体との混合発光体層と、
前記混合発光体層上に形成された赤色発光体層とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の白色発光ダイオード。
【請求項6】
前記発光層は、
赤色発光体と緑色発光体との混合発光体層と、
前記混合発光体層上に形成された緑色発光体層とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の白色発光ダイオード。
【請求項7】
前記緑色発光半導体ナノ結晶及び赤色発光半導体ナノ結晶のうちの一つ以上は、多層構造半導体ナノ結晶であることを特徴とする、請求項1に記載の白色発光ダイオード。
【請求項8】
前記多層構造半導体ナノ結晶は、各層間の界面に各層を形成する物質を含む合金層を含むことを特徴とする、請求項7に記載の白色発光ダイオード。
【請求項9】
前記合金層は、各層を形成する物質の物質組成の勾配を持つ合金層であることを特徴とする、請求項8に記載の白色発光ダイオード。
【請求項10】
前記多層構造半導体ナノ結晶は、各層のうちの少なくとも一つが合金層を含むことを特徴とする、請求項7に記載の白色発光ダイオード。
【請求項11】
前記合金層は、各層を形成する物質の物質組成の勾配を持つ合金層であることを特徴とする、請求項10に記載の白色発光ダイオード。
【請求項12】
前記半導体ナノ結晶は、II−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、IV族化合物またはこれらの混合物から選ばれた物質であることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の白色発光ダイオード。
【請求項13】
前記II−VI族化合物は、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、及びHgZnSTeからなる群より選ばれた物質であり、
前記III−V族化合物半導体は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、及びInAlPSbからなる群より選ばれた物質であり、
前記IV−VI族化合物は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、及びSnPbSTeからなる群より選ばれた物質であり、
前記IV族化合物は、Si、Ge、SiC、及びSiGeからなる群より選ばれた物質であることを特徴とする、請求項12に記載の白色発光ダイオード。
【請求項14】
前記半導体ナノ結晶は、球形、正4面体、円筒形、棒形、三角形、円板形、三脚形、四脚形、立方形、箱形、星形、及び管形よりなる群から選ばれたいずれか1形態であることを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の白色発光ダイオード。
【請求項15】
請求項1ないし11のいずれか1項による白色発光ダイオードを備えるバックライトユニット。
【請求項16】
請求項15に記載のバックライトユニットを備える表示装置。
【請求項17】
青色発光ダイオード上に、赤色発光体と緑色発光体とを含む発光層が形成された白色発光ダイオードを製造する方法であって、
青色発光ダイオードを提供する段階と、
前記青色発光ダイオード上に、少なくとも1種の半導体ナノ結晶と少なくとも1種の無機蛍光体とを含む発光層を形成する段階と、を含むことを特徴とする、白色発光ダイオードの製造方法。
【請求項18】
前記発光層形成段階は、前記青色発光ダイオード上に、赤色発光体と緑色発光体とを含む発光層を形成する段階であって、赤色発光体として赤色無機蛍光体または赤色発光半導体ナノ結晶のいずれかを使用し、または、両者とも使用し、前記緑色発光体として緑色無機蛍光体または緑色発光半導体ナノ結晶のいずれかを使用し、または、両者とも使用して発光体層を形成することを特徴とする、請求項17に記載の白色発光ダイオードの製造方法。
【請求項19】
前記発光層形成段階は、前記青色発光ダイオード上に、赤色発光体と緑色発光体との混合発光体層を形成する段階であることを特徴とする、請求項18に記載の白色発光ダイオードの製造方法。
【請求項20】
前記発光層形成段階は、
前記青色発光ダイオード上に緑色発光体層を形成する段階と、
前記緑色発光体層上に赤色発光体層を形成する段階とを含むことを特徴とする、請求項18に記載の白色発光ダイオードの製造方法。
【請求項21】
前記発光層形成段階は、
前記青色発光ダイオード上に、赤色発光半導体ナノ結晶と緑色発光半導体ナノ結晶との混合発光体層を形成する段階と、
前記混合発光体層上に赤色発光体層を形成する段階とを含むことを特徴とする、請求項18に記載の白色発光ダイオードの製造方法。
【請求項22】
前記発光層形成段階は、
前記青色発光ダイオード上に、赤色発光体と緑色発光体との混合発光体層を形成する段階と、
前記混合発光体層上に緑色発光体層を形成する段階とを含むことを特徴とする、請求項18に記載の白色発光ダイオードの製造方法。
【請求項23】
前記緑色発光半導体ナノ結晶及び赤色発光半導体ナノ結晶は、多層構造半導体ナノ結晶であることを特徴とする、請求項18に記載の白色発光ダイオードの製造方法。
【請求項24】
前記多層構造半導体ナノ結晶は、各層間の界面に各層を形成する物質を含む合金層を含むものであることを特徴とする、請求項23に記載の白色発光ダイオードの製造方法。
【請求項25】
前記合金層は、各層を形成する物質の物質組成の勾配を持つ合金層であることを特徴とする、請求項24に記載の白色発光ダイオードの製造方法。
【請求項26】
前記多層構造半導体ナノ結晶は、各層のうちの少なくとも一つが合金層を含むことを特徴とする、請求項23に記載の白色発光ダイオードの製造方法。
【請求項27】
前記合金層は、各層を形成する物質の物質組成の勾配を持つ合金層であることを特徴とする、請求項26に記載の白色発光ダイオードの製造方法。
【請求項28】
前記発光層形成段階は、無機蛍光体、半導体ナノ結晶、または無機蛍光体と半導体ナノ結晶と有機バインダとを含むペーストとして調製し、得られたペーストを層化する段階であることを特徴とする、請求項18に記載の白色発光ダイオード製造方法。
【請求項29】
前記有機バインダは、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂またはエポキシ系樹脂であることを特徴とする、請求項28に記載の白色発光ダイオード製造方法。
【請求項30】
前記層化段階は、ドロップキャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、噴霧コーティング、流れコーティングまたはスクリーン印刷によって行われることを特徴とする、請求項28に記載の白色発光ダイオード製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−21988(P2008−21988A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158480(P2007−158480)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】