説明

半導体レーザ装置、半導体レーザ装置の製造方法および光装置

【課題】一方の半導体レーザ素子の発光点に対する他方の半導体レーザ素子の発光点の位置合わせが精度良く行われることが可能に構成された半導体レーザ装置を提供する。
【解決手段】この3波長半導体レーザ装置100(半導体レーザ装置)は、放熱基台10と、放熱基台10に接合され、放熱基台10側のp側電極26と、放熱基台10側とは反対側のn側電極27と、放熱基台10に接合される側に形成された活性層23およびリッジ部24aとを含む青紫色半導体レーザ素子20とを備え、p側電極26は、p側電極26の外縁部26a〜26dにより構成されるとともに、n側電極27側から平面的に見て認識可能に構成された位置決め基準部60a〜60dを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザ装置、半導体レーザ装置の製造方法および光装置に関し、特に、基台に接合される側に形成された活性層を有する半導体層を含む半導体レーザ素子を備える半導体レーザ装置、半導体レーザ装置の製造方法および光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基台に接合される側に形成された活性層を有する半導体層を含む半導体レーザ素子を備える半導体レーザ装置などが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、サブマウントと、半田層を介してジャンクションダウン方式でサブマウントに接合されるGaN系半導体レーザ素子とを備えたGaN系半導体レーザ実装構造体が開示されている。この特許文献1によるGaN系半導体レーザ素子は、n型GaN基板、n型クラッド層、活性層およびp型クラッド層などを有する半導体層を含むとともに、p型クラッド層には、リッジ(電流通路部)が設けられている。また、活性層に近い側の表面(下面)上にパッド電極(下側電極)が設けられているとともに、パッド電極とは反対側の半導体層の表面(上面)上にn側電極(上側電極)が設けられている。ここで、ジャンクションダウン方式とは、活性層が形成された下側電極側をサブマウントに接合する方法であり、放熱性に優れている。なお、上記特許文献1には、サブマウントに対してGaN系半導体レーザ素子をジャンクションダウン方式で接合する際に、GaN系半導体レーザ素子のどの部分を位置決め基準にしてサブマウントに対して位置決めを行うかに関して、および、サブマウントにGaN系半導体レーザ素子をジャンクションダウン方式で接合後に、さらに他の半導体レーザ素子をサブマウントに接合することに関して記載されていない。なお、GaN系半導体レーザ素子をジャンクションダウン方式で接合した後のサブマウントに他の半導体レーザ素子を接合する場合には、通常、GaN系半導体レーザ素子のn側電極(上側電極)の外縁部を位置決め基準として、所定の位置に他の半導体レーザ素子が接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−128558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、下側電極は活性層側の表面上に形成されるので、下側電極の外縁部は、電流通路部に対応する活性層の発光点の位置に精度良く対応するように形成される。一方、上側電極は下側電極とは反対側の半導体層の表面上に形成されるため、上側電極の外縁部は、発光点の位置に精度良く対応するようには形成することができないという不都合がある。このため、上記特許文献1に記載のGaN系半導体レーザ実装構造体において、n側電極(上側電極)の外縁部を認識することによりGaN系半導体レーザ素子の発光点を特定した場合、特定した発光点の位置が、実際の発光点からずれる場合があると考えられる。この場合、GaN系半導体レーザ素子の特定した発光点の位置を基準として他の半導体レーザ素子をサブマウントに接合する際に、他の半導体レーザ素子の発光点を、GaN系半導体レーザ素子の発光点に対して精度良く配置する(位置合わせを行う)ことができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、一方の半導体レーザ素子の発光点に対する他方の半導体レーザ素子の発光点の位置合わせが精度良く行われることが可能に構成された半導体レーザ装置、半導体レーザ装置の製造方法および光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による半導体レーザ装置は、基台と、基台に接合され、基台側の下側電極と、基台とは反対側の上側電極と、基台に接合される側に形成された第1活性層および第1電流通路部を有する第1半導体層とを含む第1半導体レーザ素子とを備え、下側電極は、下側電極の外縁部により構成されるとともに、上側電極側から平面的に見て認識可能に構成された位置決め基準部を有する。
【0008】
この発明の第1の局面による半導体レーザ装置では、上記のように、下側電極が、下側電極の外縁部により構成されるとともに、上側電極側から平面的に見て認識可能に構成された位置決め基準部を有することによって、第1半導体レーザ素子が基台に接合されている場合など、下側電極側から下側電極の外縁部が認識できない場合であっても、上側電極側から見て発光点の位置を特定しやすい下側電極の位置決め基準部に基づいて、発光点の位置を精度良く特定することができる。これにより、第1半導体レーザ素子の特定された発光点の位置が、実際の発光点からずれて特定されることを抑制することができる。この結果、精度良く特定された第1半導体レーザ素子の発光点に基づいて、他の半導体レーザ素子の発光点の位置合わせを精度良く行うことができる。すなわち、一方の半導体レーザ素子の発光点に対する他方の半導体レーザ素子の発光点の位置合わせが精度良く行われることが可能に構成された半導体レーザ装置を得ることができる。
【0009】
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、下側電極は、下側電極の外縁部が複数の辺から構成される形状を有しており、下側電極の位置決め基準部は、複数の辺のうちの少なくとも2辺により構成されている。このように構成すれば、下側電極の1辺のみの認識結果から発光点の位置を特定する場合と比べて、下側電極の少なくとも2辺の各々の認識結果から発光点の位置を特定することができるので、より精度良く、位置決め基準部の認識結果から発光点の位置を特定することができる。
【0010】
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、第1半導体レーザ素子の第1半導体層は、透光性を有する窒化物系半導体からなり、上側電極および下側電極は、平面的に見て、第1半導体層の形成領域の内側に形成されており、下側電極の位置決め基準部は、上側電極側から平面的に見た場合に、透光性を有する第1半導体層を介して認識可能に構成されている。このように構成すれば、上側電極側から透光性を有する第1半導体層を介して認識された下側電極の位置決め基準部に基づいて、精度良く発光点を特定することができる。
【0011】
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、基台に接合され、基台に接合される側に形成された第2活性層および第2電流通路部を有するとともに、透光性を有さない第2半導体層を含む第2半導体レーザ素子をさらに備え、第2半導体レーザ素子は、第1半導体レーザ素子の位置決め基準部を位置基準として配置されている。このように構成すれば、透光性を有さない第2半導体レーザ素子の下側の電極を下方から確認しつつ、上方(上側電極側)から平面的に見て認識可能に構成された第1半導体レーザ素子の位置決め基準部を位置基準として第2半導体レーザ素子を配置することができる。これにより、精度良く特定された第1半導体レーザ素子の発光点に基づいて、第2半導体レーザ素子の発光点の位置合わせを精度良く行うことができる。
【0012】
上記第1の局面による半導体レーザ装置において、好ましくは、基台と第1半導体レーザ素子の下側電極とを接合するための接合層をさらに備え、接合層は、少なくとも下側電極の位置決め基準部に対応する領域において、下側電極から側方にはみ出さないように配置されている。このように構成すれば、接合層が下側電極から側方にはみ出ていることに起因して下側電極と接合層との識別が困難になるのを抑制することができる。
【0013】
この発明の第2の局面による半導体レーザ装置の製造方法は、下側電極と、上側電極と、第1活性層および第1電流通路部を有する第1半導体層とを含み、下側電極が、下側電極の外縁部により構成されるとともに、上側電極側から平面的に見て認識可能に構成された位置決め基準部を有する第1半導体レーザ素子を、基台側に下側電極と第1活性層および第1電流通路部とが位置するように基台に接合する工程と、基台に接合された第1半導体レーザ素子における下側電極の位置決め基準部を、上側電極側から平面的に見て認識する工程と、第2活性層および第2電流通路部を有するとともに、透光性を有さない第2半導体層を含む第2半導体レーザ素子を、認識された下側電極の位置決め基準部を位置基準として、基台側に第2活性層および第2電流通路部とが位置するように基台に接合する工程とを備える。
【0014】
この発明の第2の局面による半導体レーザ装置の製造方法では、上記のように、第1半導体レーザ素子を基台に接合する工程と、下側電極の位置決め基準部を上側電極側から平面的に見て認識する工程と、第2半導体レーザ素子を、認識された下側電極の位置決め基準部を位置基準として基台に接合する工程とを備えることによって、第1半導体レーザ素子が基台に接合されており、下側電極側から下側電極の外縁部が認識できない場合であっても、上側電極側から見て発光点の位置を特定しやすい下側電極の位置決め基準部に基づいて、発光点の位置を精度良く特定することができる。これにより、第1半導体レーザ素子の特定された発光点の位置が、実際の発光点からずれて特定されることを抑制することができる。この結果、精度良く特定された第1半導体レーザ素子の発光点の位置に基づいて、第2半導体レーザ素子の位置合わせを精度良く行うことができる。また、透光性を有さない第2半導体レーザ素子の下側の電極を下方から確認しつつ、認識された第1半導体レーザ素子の位置決め基準部を位置基準として、第2半導体レーザ素子を配置することができる。これにより、精度良く特定された第1半導体レーザ素子の発光点に基づいて、第2半導体レーザ素子の発光点の位置合わせを精度良く行うことができる。
【0015】
この発明の第3の局面による光装置は、基台と、基台に接合され、基台側の下側電極と、基台とは反対側の上側電極と、基台に接合される側に形成された活性層および電流通路部を有する半導体層とを有する半導体レーザ素子とを含む半導体レーザ装置と、半導体レーザ装置の出射光を制御する光学系とを備え、半導体レーザ素子の下側電極は、下側電極の外縁部により構成されるとともに、上側電極側から平面的に見て認識可能に構成された位置決め基準部を有する。
【0016】
この発明の第3の局面による光装置では、上記のように、半導体レーザ素子の下側電極が、下側電極の外縁部により構成されるとともに、上側電極側から平面的に見て認識可能に構成された位置決め基準部を有することによって、下側電極側から下側電極の外縁部が認識できない場合であっても、上側電極側から見て発光点の位置を特定しやすい下側電極の位置決め基準部に基づいて、発光点の位置を精度良く特定することができる。これにより、半導体レーザ素子の特定された発光点の位置が、実際の発光点からずれて特定されることを抑制することができる。この結果、精度良く特定された一方の半導体レーザ素子の発光点に基づいて、他方の半導体レーザ素子の発光点の位置合わせを精度良く行うことが可能な半導体レーザ装置を備える光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の上面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置のレーザ光の出射方向から見た正面図である。
【図3】図1の800−800線に沿った断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による青紫色半導体レーザ素子の上面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による青紫色半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための上面図である。
【図6】本発明の第1実施形態による青紫色半導体レーザ素子の製造プロセスを説明するための下面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための正面図である。
【図8】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための正面図である。
【図9】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための正面図である。
【図10】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための正面図である。
【図11】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置の製造プロセスを説明するための上面図である。
【図13】本発明の第1実施形態の第1変形例による青紫色半導体レーザ素子の上面図である。
【図14】本発明の第1実施形態の第2変形例による青紫色半導体レーザ素子の上面図である。
【図15】本発明の第1実施形態の第3変形例による青紫色半導体レーザ素子の上面図である。
【図16】本発明の第1実施形態の第4変形例による青紫色半導体レーザ素子の上面図である。
【図17】本発明の第1実施形態の第5変形例による青紫色半導体レーザ素子の上面図である。
【図18】本発明の第2実施形態による光ピックアップ装置の構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
まず、図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による3波長半導体レーザ装置100の構造について説明する。なお、3波長半導体レーザ装置100は、本発明の「半導体レーザ装置」の一例である。
【0020】
第1実施形態による3波長半導体レーザ装置100は、図1および図2に示すように、絶縁性を有するAlNからなる放熱基台10と、放熱基台10に接合された約405nmの発振波長を有する青紫色半導体レーザ素子20と、約650nmの発振波長を有する赤色半導体レーザ素子30および約780nmの発振波長を有する赤外半導体レーザ素子40がモノリシックに形成された2波長半導体レーザ素子50とを備えている。なお、放熱基台10は、本発明の「基台」の一例である。また、青紫色半導体レーザ素子20は、本発明の「第1半導体レーザ素子」および「半導体レーザ素子」の一例であり、赤色半導体レーザ素子30および赤外半導体レーザ素子40は、本発明の「第2半導体レーザ素子」の一例である。
【0021】
また、図2に示すように、放熱基台10の上面10a上には、レーザ光の出射方向(Y方向:図1参照)と直交する方向(X方向)に沿って、一方端側(X1側)から順に、電極11a、11bおよび11cが形成されている。電極11a上には、青紫色半導体レーザ素子20が半田層12aを介して接合されている。また、電極11b上には、2波長半導体レーザ素子50の赤色半導体レーザ素子30が半田層12bを介して接合されているとともに、電極11c上には、赤外半導体レーザ素子40が半田層12cを介して接合されている。なお、半田層12aは、本発明の「接合層」の一例である。
【0022】
青紫色半導体レーザ素子20は、図1に示すように、平面的に(上方(Z1側)から)見て、矩形状のn型GaN基板21を有している。また、図2および図3に示すように、n型GaN基板21の下面上に、n型AlGaNからなるn型クラッド層22が形成されている。n型クラッド層22の下面上には、InGaNからなる量子井戸層(図示せず)とGaNからなる障壁層(図示せず)とが交互に積層された多重量子井戸(MQW)構造を有する活性層23が形成されている。また、活性層23の下面上には、p型AlGaNからなるp型クラッド層24が形成されている。なお、n型GaN基板21、n型クラッド層22、活性層23およびp型クラッド層24によって、本発明の「第1半導体層」が構成されている。なお、活性層23は、本発明の「第1活性層」の一例である。
【0023】
また、図1に示すように、青紫色半導体レーザ素子20のX2側におけるp型クラッド層24には、Y方向に沿って延びるリッジ部(凸部)24aが形成されている。また、レーザ光は、青紫色半導体レーザ素子20の出射方向(Y方向)の一方端側(Y1側)の面である光出射面20aから出射されるように構成されている。この際、レーザ光は、図2に示すように、活性層23のリッジ部24aに対応する発光点23a(図2参照)から出射されるように構成されている。なお、リッジ部24aは、本発明の「第1電流通路部」および「電流通路部」の一例である。
【0024】
また、p型クラッド層24のリッジ部24a以外の下面上と、リッジ部24aの両側面上とには、SiOからなる電流ブロック層25が形成されている。また、リッジ部24aと、電流ブロック層25の下面上とには、Auなどからなるp側電極26が形成されている。このp側電極26と放熱基台10の上面10a上に形成された電極11aとが、半田層12aを介して接合されることによって、青紫色半導体レーザ素子20と放熱基台10とが接合されている。つまり、青紫色半導体レーザ素子20は、活性層23が放熱基台10側に配置されたジャンクションダウン方式によって、放熱基台10に接合されている。なお、p側電極26は、本発明の「下側電極」の一例である。
【0025】
また、図4に示すように、p側電極26は、平面的に見て、X方向に長さL1を有するとともに、Y方向に長さL2を有する矩形状に形成されている。つまり、p側電極26は、長さL1でX方向に延びるY1側の外縁部26aおよびY2側の外縁部26bと、長さL2でY方向に延びるX1側の外縁部26cおよびX2側の外縁部26dとの4つの外縁部によって囲まれている。
【0026】
また、p側電極26が活性層23に近い位置に設けられることから、p側電極26の外縁部26a〜26dは、発光点23aに対する位置精度が高い。このため、p側電極26の外縁部26a〜26dは、発光点23aの位置を特定可能なように形成されている。具体的には、Y1側の外縁部26aを、光出射面20aから距離L3だけY2側に形成するとともに、Y2側の外縁部26bを、光出射面20aから距離L4だけY2側に形成することによって、外縁部26aおよび26bの位置と、距離L3およびL4の値とから、Y方向における発光点23a(光出射面20a)の位置を特定可能に構成されている。また、X1側の外縁部26cを、発光点23a(リッジ部24aのX方向の中央部)から距離L5だけX1側に形成するとともに、X2側の外縁部26dを、発光点23aから距離L6だけX2側に形成することによって、外縁部26cおよび26dの位置と、距離L5およびL6の値とから、X方向における発光点23aの位置を特定可能に構成されている。上記の構成により、p側電極26の外縁部26a〜26dによって特定される発光点23aの位置は、実際の発光点23aの位置に精度良く一致するように構成されている。
【0027】
また、n型GaN基板21の上面上には、Auなどからなるn側電極27が形成されている。なお、n側電極27は、本発明の「上側電極」の一例である。
【0028】
また、青紫色半導体レーザ素子20は、p側電極26およびn側電極27を除いて、可視光(約400nm以上約800nm以下)を略吸収せずに透過させる性質(透光性)を有するGaN系半導体(n型GaN基板21、n型クラッド層22、活性層23およびp型クラッド層24)と、透光性を有するSiO(電流ブロック層25)とからなるように構成されている。
【0029】
ここで、第1実施形態では、n側電極27は、平面的に見て略十字形状に形成されている。具体的には、n側電極27は、平面的に見て、p側電極26の形成領域(p側電極26の外縁部26a〜26dによって囲まれた領域)に対応する領域に形成されているとともに、p側電極26の4つの角部26eに対応する部分が長方形形状に切り欠かれることによって、略十字形状に形成されている。これにより、上方(Z1側)から見た際に、n側電極27の4つの切り欠き部27aの各々から、n型GaN基板21、n型クラッド層22、活性層23およびp型クラッド層24および電流ブロック層25を介して、4つの角部26e周辺の外縁部26a〜26dが位置決め基準部60a〜60dとして認識可能に構成されている。
【0030】
具体的には、X1側で、かつ、Y1側の角部26e周辺に位置する外縁部26aと外縁部26cとが、位置決め基準部60aとして認識可能に構成されている。また、X2側で、かつ、Y1側の角部26e周辺に位置する外縁部26aと外縁部26dとが、位置決め基準部60bとして認識可能に構成されている。また、X1側で、かつ、Y2側の角部26e周辺に位置する外縁部26bと外縁部26cとが位置決め基準部60cとして認識可能に構成されている。また、X2側で、かつ、Y2側の角部26e周辺に位置する外縁部26bと外縁部26dとが、位置決め基準部60dとして認識可能に構成されている。
【0031】
また、位置決め基準部60a〜60dは、共に、X方向に長さL7を有しているとともに、Y方向に長さL8を有している。また、外縁部26aにおける位置決め基準部60aおよび60bの長さ(L7×2)と、外縁部26bにおける位置決め基準部60cおよび60dの長さ(L7×2)とは、共に、p側電極26の長さL1の約1/3以上になるように構成されている。また、外縁部26cにおける位置決め基準部60aおよび60cの長さ(L8×2)と、外縁部26dにおける位置決め基準部60bおよび60dの長さ(L8×2)とは、共に、p側電極26の長さL2の約1/3以上になるように構成されている。
【0032】
また、p側電極26の形成領域に対応する領域に形成されたn側電極27の一部が切り欠かれていることにより、n側電極27の面積は、p側電極26の面積よりも小さくなるように構成されている。また、図2および図3に示すように、p側電極26およびn側電極27は、共に、n型GaN基板21、n型クラッド層22、活性層23およびp型クラッド層24の形成領域よりも内側に形成されている。
【0033】
また、図4に示すように、p側電極26の下面側(図2および図3参照)に配置される半田層12aは、平面的に見て、p側電極26の外縁部26a〜26dよりも内側に配置されるように構成されている。つまり、半田層12aは、平面的に見て、p側電極26の外縁部26a〜26dから側方にはみ出さないように形成されている。
【0034】
また、図1に示すように、n型GaN基板21、n型クラッド層22、活性層23およびp型クラッド層24の形成領域が、平面的に見て、電極11aが形成される領域よりも内側に配置されるように構成されていることによって、p側電極26の形成領域は、平面的に見て、電極11aが形成される領域よりも内側に配置されるように構成されている。
【0035】
2波長半導体レーザ素子50では、図2に示すように、赤色半導体レーザ素子30と赤外半導体レーザ素子40とが、共通の傾斜したn型GaAs基板51上にモノリシックに形成されている。また、赤色半導体レーザ素子30は、n型GaAs基板51の下面上のX1側に形成されているとともに、赤外半導体レーザ素子40は、n型GaAs基板51の下面上のX2側に形成されている。また、赤色半導体レーザ素子30と赤外半導体レーザ素子40とは、n型GaAs基板51の下面におけるX方向の略中央に形成された溝部52によって、互いに離間するように構成されている。
【0036】
赤色半導体レーザ素子30では、n型GaAs基板51の下面上のX1側に、AlGaInPからなるn型クラッド層31が形成されている。n型クラッド層31の下面上には、GaInPからなる量子井戸層(図示せず)とAlGaInPからなる障壁層(図示せず)とが交互に積層されたMQW構造を有する活性層32が形成されている。また、活性層32の下面上には、AlGaInPからなるp型クラッド層33が形成されている。また、赤外半導体レーザ素子40では、n型GaAs基板51の下面上のX2側に、AlGaAsからなるn型クラッド層41が形成されている。n型クラッド層41の下面上には、Al組成の低いAlGaAsからなる量子井戸層とAl組成の高いAlGaAsからなる障壁層とが交互に積層されたMQW構造を有する活性層42が形成されている。また、活性層42の下面上には、AlGaAsからなるp型クラッド層43が形成されている。なお、n型GaAs基板51と、n型クラッド層31および41と、活性層32および42と、p型クラッド層33および43とによって、本発明の「第2半導体層」が構成されている。なお、活性層32および42は、本発明の「第2活性層」の一例である。
【0037】
また、図1に示すように、p型クラッド層33および43には、それぞれ、Y方向に沿って延びるリッジ部(凸部)33aおよび43aが形成されている。また、レーザ光は、赤色半導体レーザ素子30および赤外半導体レーザ素子40の出射方向(Y方向)の一方端側(Y1側)の面である光出射面30aおよび40aから出射されるように構成されている。この際、図2に示すように、赤色半導体レーザ素子30のレーザ光は、活性層32のリッジ部33aに対応する発光点32aから出射されるとともに、赤外半導体レーザ素子40のレーザ光は、光出射面40aにおける活性層42のリッジ部43aに対応する発光点42aから出射されるように構成されている。なお、リッジ部33aおよび43aは、本発明の「第2電流通路部」の一例である。
【0038】
また、赤色半導体レーザ素子30と赤外半導体レーザ素子40とは、発光点32aと発光点42aとが所定の位置関係を満たすように、共通のn型GaAs基板51上に形成されている。具体的には、図1に示すように、赤色半導体レーザ素子30の発光点32aと赤外半導体レーザ素子40の発光点42aとは、X方向において、互いに距離L9だけ離間するように形成されている。また、赤色半導体レーザ素子30の発光点32a(光出射面30a)と赤外半導体レーザ素子40の発光点42a(光出射面40a)とは、Y方向において、互いに略同一の位置に位置するように形成されている。
【0039】
また、図2に示すように、リッジ部33aおよび43a以外の下面上と、リッジ部33aおよび43aの両側面上とには、それぞれ、SiOからなる電流ブロック層34および44が形成されている。また、リッジ部33aおよび43aの下面上と、電流ブロック層34および44の下面上とには、それぞれ、Auなどからなるp側電極35および45が形成されている。このp側電極35および45と、放熱基台10の上面10a上に形成された電極11bおよび11cとが、それぞれ、半田層12bおよび12cを介して接合されることによって、赤色半導体レーザ素子30と赤外半導体レーザ素子40から構成される2波長半導体レーザ素子50と放熱基台10とが接合されている。つまり、赤色半導体レーザ素子30および赤外半導体レーザ素子40は、共に、活性層32および42が放熱基台10側に配置されたジャンクションダウン方式によって、放熱基台10に接合されている。
【0040】
また、青紫色半導体レーザ素子20におけるp側電極26の外縁部26a〜26dと同様に、p側電極35および45の外縁部は、それぞれ、発光点32aおよび42aの位置を特定可能なように形成されている。
【0041】
また、n型GaAs基板51の上面上の略全領域には、Auなどからなるn側電極53が形成されている。また、2波長半導体レーザ素子50は、可視光を略吸収するn型GaAs基板51を含むことによって、可視光を透過しないように構成されている。
【0042】
また、赤色半導体レーザ素子30は、青紫色半導体レーザ素子20の発光点23aの位置に、赤色半導体レーザ素子30の発光点32aの位置が対応するように、放熱基台10に接合されている。具体的には、赤色半導体レーザ素子30の発光点32aは、X方向において、青紫色半導体レーザ素子20の発光点23aと距離L10だけX2側に離間した位置に配置されるように構成されている。また、赤色半導体レーザ素子30の発光点32a(光出射面30a)は、Y方向において、青紫色半導体レーザ素子20の発光点23a(光出射面20a)と互いに略同一の位置に位置するように形成されている。この際、赤色半導体レーザ素子30は、青紫色半導体レーザ素子20の位置決め基準部60a〜60dを位置基準として、放熱基台10の上面10a上に配置されている。
【0043】
なお、赤色半導体レーザ素子30の発光点32aと赤外半導体レーザ素子40の発光点42aとが所定の位置関係を満たすように形成されていることにより、赤外半導体レーザ素子40は、赤色半導体レーザ素子30を介して間接的に、青紫色半導体レーザ素子20の位置決め基準部60a〜60dを位置基準として、放熱基台10の上面10a上に配置されている。
【0044】
次に、図1、図2および図4〜図9を参照して、第1実施形態による3波長半導体レーザ装置100の製造プロセスについて説明する。
【0045】
まず、図5に示すように、減圧MOCVD法を用いて、ウェハ状態のn型GaN基板21の上面上に、n型クラッド層22、活性層23およびp型クラッド層24(図2参照)を順次成長させる。次に、フォトリソグラフィ技術によりレジストパターンを形成した後、そのレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことにより、p型クラッド層24のX方向の所定の領域以外の領域を除去する。これにより、共振器の延びる方向(Y方向)に延びるリッジ部24aが複数形成される。その後、プラズマCVDとフォトリソグラフィ技術とによって、p型クラッド層24のリッジ部24a以外の上面上と、リッジ部24aの両側面上とに電流ブロック層25を形成する。
【0046】
そして、真空蒸着法を用いて、リッジ部24aの上面上と電流ブロック層25の上面上とに、p側電極26を形成する。この際、p側電極26を、平面的に見て、X方向に長さL1を有するとともに、Y方向に長さL2を有する矩形状になるように複数形成する。また、p側電極26のY1側の外縁部26aを、光出射面20a(劈開面)から距離L3だけY2側に位置するように形成するとともに、Y2側の外縁部26bを、光出射面20aから距離L4だけY2側に位置するように形成する。また、p側電極26のX1側の外縁部26cを、発光点23a(リッジ部24aのX方向の中央部、図2参照)から距離L5だけX1側に位置するように形成するとともに、X2側の外縁部26dを、発光点23aから距離L6だけX2側に位置するように形成する。
【0047】
次に、図6に示すように、真空蒸着法を用いて、活性層23とは反対側のn型GaN基板21の下面上に、p側電極26の形成領域に対応する領域において略十字形状になるようにn側電極27を形成する。この際、平面的に見て、p側電極26のY1側の外縁部26aおよびY2側の外縁部26b(図5参照)に重なるように、n側電極27のY1側の外縁部およびY2側の外縁部をそれぞれ形成する。また、平面的に見て、p側電極26のX1側の外縁部26cおよびX2側の外縁部26d(図5参照)に重なるように、n側電極27のX1側の外縁部およびX2側の外縁部をそれぞれ形成する。そして、p側電極26の4つの角部26eに対応する部分において長方形形状に切り欠くことによって、4つの切り欠き部27aを形成する。
【0048】
これにより、p側電極26の4つの角部26eに対応する部分において長方形形状に切り欠かれた4つの切り欠き部27aの各々から、n型GaN基板21、n型クラッド層22、活性層23およびp型クラッド層24および電流ブロック層25を介して、X1側で、かつ、Y1側の角部26e周辺の位置決め基準部60aと、X2側で、かつ、Y1側の角部26e周辺の位置決め基準部60bと、X1側で、かつ、Y2側の角部26e周辺の位置決め基準部60cと、X2側で、かつ、Y2側の角部26e周辺の位置決め基準部60dとが認識可能になる。
【0049】
その後、n型GaN基板21の下面(Z2側の面、図6参照)側から、820−820線に沿って、ウェハ状態の青紫色半導体レーザ素子を劈開する。そして、端面コート処理によって、劈開したバー状態の青紫色半導体レーザ素子(図示せず)のY側の両端部の劈開面に、誘電体多層膜(図示せず)を形成する。これにより、Y1側の劈開面に光出射面20aが形成される。最後に、n型GaN基板21の下面側から、830−830線に沿って、バー状態の青紫色半導体レーザ素子を個々の青紫色半導体レーザ素子に分割(素子分割)する。これにより、図2に示すチップ状の青紫色半導体レーザ素子20が複数製造される。
【0050】
また、図2に示すように、上記した青紫色半導体レーザ素子20の製造プロセスと同様の製造プロセスに基づいて、赤色半導体レーザ素子30および赤外半導体レーザ素子40がモノリシックに形成された2波長半導体レーザ素子50が製造される。この際、赤色半導体レーザ素子30のp側電極35および赤外半導体レーザ素子40のp側電極45の外縁部は、それぞれ、発光点32aおよび42aの位置を特定可能なように形成される。
【0051】
また、図1に示すように、真空蒸着法を用いて、放熱基台10の上面10a上に電極11a、11bおよび11cを形成する。ここで、青紫色半導体レーザ素子20が電極11aに接合された際に、平面的に見て、n型GaN基板21の形成領域が電極11aの形成領域よりも内側に配置されるように、電極11aを形成する。そして、真空蒸着法を用いて、図2に示すように、電極11a、11bおよび11cの上面上に、それぞれ、半田層12a、12bおよび12cを形成する。ここで、図4に示すように、青紫色半導体レーザ素子20が電極11aに接合された際に、平面的に見て、p側電極26の形成領域よりも内側に配置されるように半田層12aを形成する。
【0052】
そして、図7に示すように、可視光を受光可能な下側カメラ101によって、青紫色半導体レーザ素子20のp側電極26側(下方:Z2側)から、p側電極26が位置する青紫色半導体レーザ素子20の下側が認識される。この際、p側電極26の外縁部26a〜26d(図4参照)が認識されることによって、発光点23aの位置が高精度に特定される。具体的には、図4に示すように、Y1側の外縁部26aからY1側に距離L3の位置で、かつ、Y2側の外縁部26bからY1側に距離L4の位置に、Y方向における発光点23a(光出射面20a)が位置することが特定されるとともに、X1側の外縁部26cからX2側に距離L5の位置で、かつ、X2側の外縁部26dからX1側に距離L6の位置に、X方向における発光点23aが位置することが特定される。
【0053】
また、図8に示すように、可視光を受光可能な上側カメラ102によって、放熱基台10の上方(Z1側)から、放熱基台10の上面10a側が認識される。この際、放熱基台10の電極11aの位置および半田層12aの位置が認識される。
【0054】
その後、青紫色半導体レーザ素子20の下側の認識結果と、放熱基台10の上面10a側の認識結果とに基づいて、青紫色半導体レーザ素子20のp側電極26と放熱基台10の電極11aとを、約300℃の熱を加えて融解させた半田層12aを介して接合する。これにより、図9に示すように、ジャンクションダウン方式によって、青紫色半導体レーザ素子20は放熱基台10に接合される。この際、青紫色半導体レーザ素子20の発光点23aは、p側電極26の外縁部26a〜26dに基づいて特定された位置に略配置される。
【0055】
そして、図10に示すように、下側カメラ101によって、2波長半導体レーザ素子50の下方から、2波長半導体レーザ素子50の下側が認識される。この際、赤色半導体レーザ素子30のp側電極35の外縁部と、赤外半導体レーザ素子40のp側電極45の外縁部とが認識されることによって、赤色半導体レーザ素子30の発光点32aおよび赤外半導体レーザ素子40の発光点42aの位置がそれぞれ特定される。
【0056】
ここで、第1実施形態の製造プロセスでは、図9および図11に示すように、上側カメラ102によって、放熱基台10の上方(Z1側)から、青紫色半導体レーザ素子20が接合された放熱基台10の上面10a側が認識されることによって、青紫色半導体レーザ素子20が上側から認識される。この際、図4に示すように、n側電極27の4つの切り欠き部27aから、p側電極26の位置決め基準部60a〜60dが認識される。これにより、Y1側の位置決め基準部60aおよび60bからY1側に距離L3の位置で、かつ、Y2側の位置決め基準部60cおよび60dからY1側に距離L4の位置に、Y方向における発光点23a(光出射面20a)が位置することが特定されるとともに、X1側の位置決め基準部60aおよび60cからX2側に距離L5の位置で、かつ、X2側の位置決め基準部60bおよび60dからX1側に距離L6の位置に、X方向における発光点23aが位置することが特定される。
【0057】
また、同時に、上側カメラ102によって、放熱基台10の電極11bおよび11cの位置と、半田層12bおよび12cの位置とが認識される。
【0058】
その後、2波長半導体レーザ素子50の下側の認識結果と、放熱基台10の上面10a側の認識結果とに基づいて、赤色半導体レーザ素子30のp側電極35と放熱基台10の電極11bとを、赤色半導体レーザ素子30の発光点32aが上記した位置に配置されるように、約300℃の熱を加えて融解させた半田層12bを介して接合する。また、赤外半導体レーザ素子40のp側電極45と放熱基台10の電極11cとを、約300℃の熱を加えて融解させた半田層12cを介して接合する。
【0059】
この際、赤色半導体レーザ素子30および赤外半導体レーザ素子40が、位置決め基準部60a〜60dを位置基準として放熱基台10の上面10a上に配置されるように調整される。具体的には、図12に示すように、赤色半導体レーザ素子30の発光点32a(光出射面30a)が、Y方向において、青紫色半導体レーザ素子20の発光点23a(光出射面20a)と互いに略同一の位置に配置されるように調整される。また、赤色半導体レーザ素子30の発光点32aが、X方向において、青紫色半導体レーザ素子20の発光点23aと距離L10だけX2側に離間した位置に配置されるように調整される。
【0060】
これにより、図2に示すように、ジャンクションダウン方式で、かつ、p側電極26の位置決め基準部60a〜60dを位置基準として、2波長半導体レーザ素子50(赤色半導体レーザ素子30および赤外半導体レーザ素子40)は放熱基台10の上面10a上に接合される。また、赤色半導体レーザ素子30の発光点32aおよび赤外半導体レーザ素子40の発光点42aが、青紫色半導体レーザ素子20の発光点23aに対応する位置に配置される。このようにして、3波長半導体レーザ装置100が製造される。
【0061】
第1実施形態では、上記のように、上方(Z1側)から見た際に、n側電極27の4つの切り欠き部27aの各々から、位置決め基準部60a〜60dを認識可能なp側電極26を備えることによって、青紫色半導体レーザ素子20が放熱基台10に接合されており、下方(Z2側)からp側電極26の外縁部26a〜26dが認識できない場合であっても、上方から見て発光点23aの位置を特定しやすいp側電極26の位置決め基準部60a〜60dに基づいて、発光点23aの位置を精度良く特定することができる。これにより、青紫色半導体レーザ素子20の特定された発光点23aの位置が、実際の発光点23aの位置からずれて特定されることを抑制することができる。この結果、精度良く特定された青紫色半導体レーザ素子20の発光点23aに基づいて、赤色半導体レーザ素子30の発光点32aおよび赤外半導体レーザ素子40の発光点42aの位置合わせを精度良く行うことができる。
【0062】
また、第1実施形態では、矩形形状のp側電極26の4辺の各々に、位置決め基準部60a〜60dを形成すれば、p側電極26の1辺のみの認識結果から発光点23aの位置を特定する場合と比べて、p側電極26の4辺の各々の認識結果から発光点23aの位置を特定することができるので、より精度良く、位置決め基準部60a〜60dの認識結果から発光点23aの位置を特定することができる。
【0063】
また、第1実施形態では、p側電極26およびn側電極27を、n型GaN基板21、n型クラッド層22、活性層23およびp型クラッド層24の形成領域よりも内側に形成するととともに、上方(Z1側)から見た際に、可視光を透過させるn型GaN基板21、n型クラッド層22、活性層23およびp型クラッド層24および電流ブロック層25を介して、位置決め基準部60a〜60dを認識可能に構成すれば、上方からn型GaN基板21、n型クラッド層22、活性層23およびp型クラッド層24および電流ブロック層25を介して認識された位置決め基準部60a〜60dに基づいて、精度良く発光点23aを特定することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、ジャンクションダウン方式で、かつ、位置決め基準部60a〜60dを位置基準として、可視光を透過しないように構成された赤色半導体レーザ素子30および赤外半導体レーザ素子40を放熱基台10の上面10a上に接合すれば、透光性を有さない2波長半導体レーザ素子50のp側電極35(45)を下方(Z2側)から確認しつつ、上方(n側電極27側)から平面的に見て認識可能に構成された青紫色半導体レーザ素子20の位置決め基準部60a〜60dを位置基準として赤色半導体レーザ素子30(赤外半導体レーザ素子40)を配置することができる。これにより、精度良く特定された青紫色半導体レーザ素子20の発光点23aに基づいて、赤色半導体レーザ素子30の発光点32aおよび赤外半導体レーザ素子40の発光点42aの位置合わせを精度良く行うことができる。
【0065】
また、第1実施形態では、p側電極26の下面に配置される半田層12aを、平面的に見て、p側電極26の外縁部26a〜26dよりも内側に配置されるように構成すれば、半田層12aがp側電極26から側方にはみ出ていることに起因してp側電極26と半田層12aとの識別が困難になるのを抑制することができる。
【0066】
また、第1実施形態では、外縁部26aにおける位置決め基準部60aおよび60bの長さ(L7×2)と、外縁部26bにおける位置決め基準部60cおよび60dの長さ(L7×2)とを、共に、p側電極26の長さL1の約1/3以上にするとともに、外縁部26cにおける位置決め基準部60aおよび60cの長さ(L8×2)と、外縁部26dにおける位置決め基準部60bおよび60dの長さ(L8×2)とを、共に、p側電極26の長さL2の約1/3以上にすれば、位置決め基準部60a〜60dを確実に認識することができるので、位置決め基準部60a〜60dの認識結果から発光点23aの位置を確実に特定することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、n側電極27の面積をp側電極26の面積よりも小さくなるように構成すれば、上方から平面的にp側電極26の位置決め基準部60a〜60dを確認する際に、n側電極27がp側電極26の全体を覆い隠すのを防止することができる。これにより、p側電極26の位置決め基準部60a〜60dを確実に特定することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、p側電極26の形成領域を、平面的に見て、電極11aが形成される領域よりも内側に配置されるように構成すれば、上方から平面的に見た際に、電極11aの外縁部とp側電極26の外縁部26a〜26dとの識別が困難になるのを抑制することができる。
【0069】
(第1実施形態の第1変形例)
図13を参照して、第1実施形態の第1変形例について説明する。この第1実施形態の第1変形例による青紫色半導体レーザ素子220では、上記第1実施形態の青紫色半導体レーザ素子20とは異なり、n側電極227において、p側電極26の4つの角部26eに対応する部分以外の部分が4箇所切り欠かれている。また、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付している。なお、青紫色半導体レーザ素子220は、本発明の「第1半導体レーザ素子」の一例であり、n側電極227は、本発明の「上側電極」の一例である。
【0070】
第1実施形態の第1変形例による青紫色半導体レーザ素子220では、図13に示すように、n型GaN基板21の上面上に形成されたn側電極227は、平面的に見て、p側電極26の形成領域に対応する領域に形成されているとともに、p側電極26の4つの外縁部26a〜26dの略中央部に対応する部分が長方形形状に切り欠かれた形状になるように形成されている。これにより、上方(Z1側)から見た際に、n側電極227の4つの切り欠き部227aの各々から、4つの外縁部26a〜26dの略中央部が位置決め基準部260a〜260dとして認識可能に構成されている。
【0071】
具体的には、Y1側の外縁部26aの略中央部が、位置決め基準部260aとして認識可能に構成されている。また、Y2側の外縁部26bの略中央部が、位置決め基準部260bとして認識可能に構成されている。また、X1側の外縁部26cの略中央部が、位置決め基準部260cとして認識可能に構成されている。また、X2側の外縁部26dの略中央部が、位置決め基準部260dとして認識可能に構成されている。
【0072】
また、p側電極26の形成領域に対応する領域に形成されたn側電極227の一部が切り欠かれていることにより、n側電極227の面積は、p側電極26の面積よりも小さくなるように構成されている。なお、第1実施形態の第1変形例による青紫色半導体レーザ素子220のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0073】
第1実施形態の第1変形例による青紫色半導体レーザ素子220の製造プロセスは、n側電極227のp側電極26の4つの辺の略中央部に対応する部分を長方形形状に切り欠く点を除いて、上記第1実施形態と同様である。
【0074】
また、第1実施形態の第1変形例による効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0075】
(第1実施形態の第2変形例)
図14を参照して、第1実施形態の第2変形例について説明する。この第1実施形態の第2変形例による青紫色半導体レーザ素子320では、上記第1実施形態の青紫色半導体レーザ素子20とは異なり、n側電極327において、p側電極26の1つの角部26eに対応する部分のみが切り欠かれている。なお、青紫色半導体レーザ素子320は、本発明の「第1半導体レーザ素子」の一例であり、n側電極327は、本発明の「上側電極」の一例である。
【0076】
第1実施形態の第2変形例による青紫色半導体レーザ素子320では、図14に示すように、n型GaN基板21の上面上に形成されたn側電極327は、平面的に見て、p側電極26の形成領域に対応する領域に形成されているとともに、p側電極26のX2側で、かつ、Y2側の角部26eに対応する部分のみが長方形形状に切り欠かれた形状になるように形成されている。これにより、上方(Z1側)から見た際に、n側電極327の切り欠き部327aから、X2側で、かつ、Y2側の角部26e周辺の外縁部26bおよび26dが位置決め基準部360として認識可能に構成されている。
【0077】
また、p側電極26の形成領域に対応する領域に形成されたn側電極327の一部が切り欠かれていることにより、n側電極327の面積は、p側電極26の面積よりも小さくなるように構成されている。なお、第1実施形態の第2変形例による青紫色半導体レーザ素子320のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0078】
また、第1実施形態の第2変形例による青紫色半導体レーザ素子320の製造プロセスは、n側電極327のX2側で、かつ、Y2側のp側電極26の角部26eに対応する部分を長方形形状に切り欠く点を除いて、上記第1実施形態と同様である。
【0079】
また、第1実施形態の第2変形例による効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0080】
(第1実施形態の第3変形例)
図15を参照して、第1実施形態の第3変形例について説明する。この第1実施形態の第3変形例による青紫色半導体レーザ素子420では、上記第1実施形態の青紫色半導体レーザ素子20とは異なり、n側電極427において、p側電極26の4つの角部26eに対応する部分が三角形形状に切り欠かれている。なお、青紫色半導体レーザ素子420は、本発明の「第1半導体レーザ素子」の一例であり、n側電極427は、本発明の「上側電極」の一例である。
【0081】
第1実施形態の第3変形例による青紫色半導体レーザ素子420では、図15に示すように、n型GaN基板21の上面上に形成されたn側電極427は、平面的に見て、p側電極26の形成領域に対応する領域に形成されているとともに、p側電極26の4つの角部26eに対応する部分が三角形形状に切り欠かれた形状になるように形成されている。これにより、上方(Z1側)から見た際に、n側電極427の4つの切り欠き部427aの各々から、4つの角部26e周辺の外縁部26a〜26dが位置決め基準部460a〜460dとして認識可能に構成されている。
【0082】
具体的には、X1側で、かつ、Y1側の角部26e周辺に位置する外縁部26aと外縁部26cとが、位置決め基準部460aとして認識可能に構成されている。また、X2側で、かつ、Y1側の角部26e周辺に位置する外縁部26aと外縁部26dとが、位置決め基準部460bとして認識可能に構成されている。また、X1側で、かつ、Y2側の角部26e周辺に位置する外縁部26bと外縁部26cとが位置決め基準部460cとして認識可能に構成されている。また、X2側で、かつ、Y2側の角部26e周辺に位置する外縁部26bと外縁部26dとが、位置決め基準部460dとして認識可能に構成されている。
【0083】
また、p側電極26の形成領域に対応する領域に形成されたn側電極427の一部が切り欠かれていることにより、n側電極427の面積は、p側電極26の面積よりも小さくなるように構成されている。なお、第1実施形態の第3変形例による青紫色半導体レーザ素子420のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0084】
また、第1実施形態の第3変形例による青紫色半導体レーザ素子420の製造プロセスは、n側電極427のp側電極26の4つの角部26eに対応する部分を三角形形状に切り欠く点を除いて、上記第1実施形態と同様である。
【0085】
また、第1実施形態の第3変形例による効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0086】
(第1実施形態の第4変形例)
図16を参照して、第1実施形態の第4変形例について説明する。この第1実施形態の第4変形例による青紫色半導体レーザ素子520では、上記第1実施形態の青紫色半導体レーザ素子20とは異なり、n側電極527は、p側電極26の形成領域に対応する領域からずれた領域に形成されている。なお、青紫色半導体レーザ素子520は、本発明の「第1半導体レーザ素子」の一例であり、n側電極527は、本発明の「上側電極」の一例である。
【0087】
第1実施形態の第4変形例による青紫色半導体レーザ素子520では、図16に示すように、n型GaN基板21の上面上に形成されたn側電極527は、平面的に見て、p側電極26の形成領域に対応する領域から、X2側で、かつ、Y1側に所定の距離ずれた領域に形成されている。これにより、上方(Z1側)から見た際に、n側電極527に重ならない位置に配置されたY2側の外縁部26bおよびX1側の外縁部26cが、それぞれ、位置決め基準部560aおよび560bとして認識可能に構成されている。
【0088】
また、n側電極527は、平面的に見て、X方向に長さL1を有しているとともに、Y方向に長さL2を有する矩形状に形成されている。つまり、p側電極26の面積とn側電極527の面積とは略同一になるように構成されている。なお、第1実施形態の第4変形例による青紫色半導体レーザ素子520のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0089】
また、第1実施形態の第4変形例による青紫色半導体レーザ素子520の製造プロセスは、n側電極527をp側電極26の形成領域に対応する領域から、X2側で、かつ、Y1側に所定の距離ずれた領域に形成する点を除いて、上記第1実施形態と同様である。
【0090】
また、第1実施形態の第4変形例による効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0091】
(第1実施形態の第5変形例)
図17を参照して、第1実施形態の第5変形例について説明する。この第1実施形態の第5変形例による青紫色半導体レーザ素子620では、上記第1実施形態の青紫色半導体レーザ素子20とは異なり、n側電極627は、平面的に見て、p側電極26の形成領域に対応する領域内に矩形状に形成されている。なお、青紫色半導体レーザ素子620は、本発明の「第1半導体レーザ素子」の一例であり、n側電極627は、本発明の「上側電極」の一例である。
【0092】
第1実施形態の第5変形例による青紫色半導体レーザ素子620では、図17に示すように、n型GaN基板21の上面上に形成されたn側電極627は、平面的に見て、n側電極627はp側電極26の形成領域に対応する領域内で矩形状に形成されている。これにより、上方(Z1側)から見た際に、p側電極26の外縁部26a〜26dの全てが位置決め基準部660として認識可能に構成されている。
【0093】
また、n側電極627は、平面的に見て、X方向に、p側電極26の長さL1よりも小さい長さL11を有しているとともに、Y方向に、p側電極26の長さL2よりも小さい長さL12を有している。また、n側電極627の面積は、p側電極26の面積よりも小さくなるように構成されている。なお、第1実施形態の第5変形例による青紫色半導体レーザ素子620のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0094】
また、第1実施形態の第5変形例による青紫色半導体レーザ素子620の製造プロセスは、n側電極627をp側電極26の形成領域に対応する領域内で矩形状に形成する点を除いて、上記第1実施形態と同様である。
【0095】
また、第1実施形態の第5変形例による効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0096】
(第2実施形態)
図1および図18を参照して、本発明の第2実施形態による光ピックアップ装置700について説明する。なお、光ピックアップ装置700は、本発明の「光装置」の一例である。
【0097】
本発明の第2実施形態による光ピックアップ装置700は、図18に示すように、上記第1実施形態による3波長半導体レーザ装置100が搭載されたキャン型の3波長半導体レーザ装置部710と、3波長半導体レーザ装置部710から出射されたレーザ光を調整する光学系720と、レーザ光を受光する光検出部730とを備えている。
【0098】
また、光学系720は、偏光ビームスプリッタ(PBS)721、コリメータレンズ722、ビームエキスパンダ723、λ/4板724、対物レンズ725、シリンドリカルレンズ726および光軸補正素子727を有している。
【0099】
また、PBS721は、3波長半導体レーザ装置部710から出射されるレーザ光を全透過するとともに、光ディスク740から帰還するレーザ光を全反射する。コリメータレンズ722は、PBS721を透過した3波長半導体レーザ装置部710からのレーザ光を平行光に変換する。ビームエキスパンダ723は、凹レンズ、凸レンズおよびアクチュエータ(図示せず)から構成されている。アクチュエータは、凹レンズおよび凸レンズの距離を変化させることにより、3波長半導体レーザ装置部710から出射されたレーザ光の波面状態を補正する機能を有している。
【0100】
また、λ/4板724は、コリメータレンズ722によって略平行光に変換された直線偏光のレーザ光を円偏光に変換する。また、λ/4板724は光ディスク740から帰還する円偏光のレーザ光を直線偏光に変換する。この場合の直線偏光の偏光方向は、3波長半導体レーザ装置部710から出射されるレーザ光の直線偏光の方向に直交する。これにより、光ディスク740から帰還するレーザ光は、PBS721によって略全反射される。対物レンズ725は、λ/4板724を透過したレーザ光を光ディスク740の表面(記録層)上に収束させる。なお、対物レンズ725は、対物レンズアクチュエータ(図示せず)により移動可能にされている。
【0101】
また、PBS721により全反射されるレーザ光の光軸に沿うように、シリンドリカルレンズ726、光軸補正素子727および光検出部730が配置されている。シリンドリカルレンズ726は、入射されるレーザ光に非点収差作用を付与する。光軸補正素子727は、回折格子により構成されており、シリンドリカルレンズ726を透過した青紫色、赤色および赤外の各レーザ光の0次回折光のスポットが後述する光検出部730の検出領域上で一致するように配置されている。
【0102】
また、光検出部730は、受光したレーザ光の強度分布に基づいて再生信号を出力する。このようにして、3波長半導体レーザ装置部710を備えた光ピックアップ装置700が構成される。
【0103】
この光ピックアップ装置700では、3波長半導体レーザ装置部710は、青紫色半導体レーザ素子20、赤色半導体レーザ素子30および赤外半導体レーザ素子40(図1参照)から、青紫色、赤色および赤外のレーザ光を独立的に出射することが可能に構成されている。また、3波長半導体レーザ装置部710から出射されたレーザ光は、上記のように、PBS721、コリメータレンズ722、ビームエキスパンダ723、λ/4板724、対物レンズ725、シリンドリカルレンズ726および光軸補正素子727により調節された後、光検出部730の検出領域上に照射される。
【0104】
ここで、光ディスク740に記録されている情報を再生する場合には、青紫色半導体レーザ素子20、赤色半導体レーザ素子30および赤外半導体レーザ素子40のうち駆動している半導体レーザ素子から出射される各々のレーザパワーが一定になるように制御しながら、光ディスク740の記録層にレーザ光を照射するとともに、光検出部730から出力される再生信号を得ることができる。また、光ディスク740に情報を記録する場合には、記録すべき情報に基づいて、青紫色半導体レーザ素子20および赤色半導体レーザ素子30(赤外半導体レーザ素子40)のうち駆動している半導体レーザ素子から出射されるレーザパワーを制御しながら、光ディスク740にレーザ光を照射する。これにより、光ディスク740の記録層に情報を記録することができる。このようにして、3波長半導体レーザ装置部710を備えた光ピックアップ装置700を用いて、光ディスク740への記録および再生を行うことができる。
【0105】
第2実施形態では、上記のように、光ピックアップ装置700が上記第1実施形態における3波長半導体レーザ装置100を備えることによって、精度良く特定された青紫色半導体レーザ素子20の実際の発光点23a(図2参照)に基づいて、赤色半導体レーザ素子30の発光点32aおよび赤外半導体レーザ素子40の発光点42a(図2参照)の位置合わせを精度良く行うことが可能な3波長半導体レーザ装置100を備える光ピックアップ装置700を得ることができる。
【0106】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0107】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、3波長半導体レーザ装置100が、青紫色半導体レーザ素子20と、赤色半導体レーザ素子30および赤外半導体レーザ素子40がモノリシックに形成された2波長半導体レーザ素子50とを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記第1および第2実施形態の青紫色半導体レーザ素子の代わりに、透光性を有する窒化物系半導体からなる緑色半導体レーザ素子や青色半導体レーザ素子を用いてもよい。また、3波長半導体レーザ装置を、透光性を有さない赤色半導体レーザ素子と、透光性を有する窒化物系半導体からなる緑色半導体レーザ素子および青色半導体レーザ素子とからなるように構成してもよい。これにより、RGBの3原色を有する3波長半導体レーザ装置を形成することが可能である。なお、この場合、透光性を有する窒化物系半導体からなる緑色半導体レーザ素子および青色半導体レーザ素子を先に放熱基台に接合した後に、透光性を有さない赤色半導体レーザ素子を最後に放熱基台に接合するという製造プロセスになる。
【0108】
また、上記第1および第2実施形態では、透光性を有する青紫色半導体レーザ素子20を、n型GaN基板21上にn型クラッド層22、活性層23およびp型クラッド層24を成長させることによって形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、サファイア基板のような透光性を有する基板を、n型GaN基板の代わりに用いてもよい。
【0109】
また、上記第1および第2実施形態では、n側電極27(227、327、427、527、627)の面積を、p側電極26の面積と略同一か、または、小さくなるように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、n側電極側(上方)から平面的に見て位置決め基準部が認識可能であれば、n側電極の面積をp側電極の面積よりも大きくしてもよい。
【0110】
また、上記第1および第2実施形態では、位置決め基準部60a〜60dに基づいて、発光点23aの位置を特定した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、n側電極27の切り欠き部27aから認識可能な角部26eと、発光点23aとの位置関係に基づいて、発光点23aの位置を特定してもよい。
【0111】
また、上記第1および第2実施形態では、青紫色半導体レーザ素子20を放熱基台10に接合する際に、下側カメラ101を用いて、青紫色半導体レーザ素子20の下方(Z2側)から、p側電極26が位置する青紫色半導体レーザ素子20の下側を認識した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上側カメラ102を用いて、青紫色半導体レーザ素子20の上方(Z1側)から、n型GaN基板21、n型クラッド層22、活性層23およびp型クラッド層24および電流ブロック層25を介して、p側電極26の外縁部26a〜26dを認識することによって、発光点23aの位置を特定した状態で、青紫色半導体レーザ素子20を放熱基台10に接合してもよい。
【0112】
また、上記第1および第2実施形態では、p側電極26の下面に配置される半田層12aを、平面的に見て、p側電極26の外縁部26a〜26dよりも内側に配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、半田層を、平面的に見て、少なくともp側電極の位置決め基準部に対応する領域においてp側電極の側方にはみ出さないように配置すればよい。あるいは、p側電極の位置決め基準部に対応する領域において、半田層が部分的にp側電極の外縁部にはみ出しているが、p側電極の外縁部にはみ出していない部分を少なくとも一部に設けた構成としてもよい。また、半田層を、平面的に見て、p側電極の外縁部よりも外側に配置することによって、p側電極の側方にはみ出すように配置してもよい。これにより、より大きな面積で放熱基台と青紫色半導体レーザ素子とを接合することができるので、青紫色半導体レーザ素子において発生した熱を放熱基台から放熱しやすくすることが可能である。
【0113】
また、上記第2実施形態では、上記第1実施形態による3波長半導体レーザ装置100をキャン型の3波長半導体レーザ装置部710に搭載した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、平板状の平面構造を有するフレーム型の3波長半導体レーザ装置に、上記第1実施形態における3波長半導体レーザ装置100を搭載してもよい。
【符号の説明】
【0114】
10 放熱基台(基台)
12a 半田層(接合層)
20、220、320、420、520、620 青紫色半導体レーザ素子(第1半導体レーザ素子、半導体レーザ素子)
23 活性層(第1活性層)
24a リッジ部(第1電流通路部、電流通路部)
26 p側電極(下側電極)
26a、26b、26c、26d 外縁部
60a、60b、60c、60d、260a、260b、260c、260d、360、460a、460b、460c、460d、560a、560b、660 位置決め基準部
27、227、327、427、527、627 n側電極(上側電極)
30 赤色半導体レーザ素子(第2半導体レーザ素子)
32、42 活性層(第2活性層)
33a、43a リッジ部(第2電流通路部)
40 赤外半導体レーザ素子(第2半導体レーザ素子)
100 3波長半導体レーザ装置(半導体レーザ装置)
700 光ピックアップ装置(光装置)
720 光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に接合され、前記基台側の下側電極と、前記基台とは反対側の上側電極と、前記基台に接合される側に形成された第1活性層および第1電流通路部を有する第1半導体層とを含む第1半導体レーザ素子とを備え、
前記下側電極は、前記下側電極の外縁部により構成されるとともに、前記上側電極側から平面的に見て認識可能に構成された位置決め基準部を有する、半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記下側電極は、前記下側電極の外縁部が複数の辺から構成される形状を有しており、
前記下側電極の位置決め基準部は、前記複数の辺のうちの少なくとも2辺により構成されている、請求項1に記載の半導体レーザ装置。
【請求項3】
前記第1半導体レーザ素子の第1半導体層は、透光性を有する窒化物系半導体からなり、
前記上側電極および前記下側電極は、平面的に見て、前記第1半導体層の形成領域の内側に形成されており、
前記下側電極の位置決め基準部は、前記上側電極側から平面的に見た場合に、透光性を有する前記第1半導体層を介して認識可能に構成されている、請求項1または2に記載の半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記基台に接合され、前記基台に接合される側に形成された第2活性層および第2電流通路部を有するとともに、透光性を有さない第2半導体層を含む第2半導体レーザ素子をさらに備え、
前記第2半導体レーザ素子は、前記第1半導体レーザ素子の位置決め基準部を位置基準として配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記基台と前記第1半導体レーザ素子の下側電極とを接合するための接合層をさらに備え、
前記接合層は、少なくとも前記下側電極の位置決め基準部に対応する領域において、前記下側電極から側方にはみ出さないように配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
【請求項6】
下側電極と、上側電極と、第1活性層および第1電流通路部を有する第1半導体層とを含み、前記下側電極が、前記下側電極の外縁部により構成されるとともに、前記上側電極側から平面的に見て認識可能に構成された位置決め基準部を有する第1半導体レーザ素子を、基台側に前記下側電極と前記第1活性層および前記第1電流通路部とが位置するように前記基台に接合する工程と、
前記基台に接合された前記第1半導体レーザ素子における前記下側電極の位置決め基準部を、前記上側電極側から平面的に見て認識する工程と、
第2活性層および第2電流通路部を有するとともに、透光性を有さない第2半導体層を含む第2半導体レーザ素子を、認識された前記下側電極の位置決め基準部を位置基準として、前記基台側に前記第2活性層および前記第2電流通路部とが位置するように前記基台に接合する工程とを備える、半導体レーザ装置の製造方法。
【請求項7】
基台と、前記基台に接合され、前記基台側の下側電極と、前記基台とは反対側の上側電極と、前記基台に接合される側に形成された活性層および電流通路部を有する半導体層とを有する半導体レーザ素子とを含む半導体レーザ装置と、
前記半導体レーザ装置の出射光を制御する光学系とを備え、
前記半導体レーザ素子の下側電極は、前記下側電極の外縁部により構成されるとともに、前記上側電極側から平面的に見て認識可能に構成された位置決め基準部を有する、光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−175028(P2012−175028A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38004(P2011−38004)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(504464070)三洋オプテックデザイン株式会社 (315)
【Fターム(参考)】