説明

半導体実装用テープキャリア及びその半導体パッケージ及び半導体実装用テープキャリアの製造方法

【課題】絶縁基材上に金属配線を形成し、実装する半導体チップ上のボンディングパッドと電気的に接続するための配線の一端側であるリード部と、はんだバンプと接続するための配線の他端側であるバンプランドのリード部とを形成する半導体実装用テープキャリアにおいて、ボンディングパッドに接続の際、一端側であるリード部とボンディングパッドとの距離が変化しても、導通孔の開口部面積が大きくならずに、その密着信頼性が向上する半導体実装用テープキャリアを提供することであり、その提供により、種々の半導体チップの実装できる、接続性が向上した、半導体パッケージを提供することである。
【解決手段】半導体実装用テープキャリアは、開口する導通孔を形成し、導通孔の領域内にある配線の一端側であるリード部が、螺旋状に成形(フォーミング)されたパターンに形成したことを特徴とする半導体実装用テープキャリア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体実装用テープキャリア及びそれを用いた半導体パッケージ及び半導体実装用テープキャリアの製造方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体実装用テープキャリアは、支持基材である絶縁基材の表面上に金属配線を形成した層構成である。前記金属配線は、半導体チップの表面上のボンディングパッドと電気的に接続するためのテープキャリアの配線の一端側であるリード部を備え、はんだバンプと電気的に接続するためのテープキャリアの配線の他端側であるバンプランドのリード部を備え、該配線の他端側のバンプランドと一端側であるリード部とは電気的に接続された回路を形成している。
【0003】
図4は、半導体実装用テープキャリアの部分拡大図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、側断面図である。
【0004】
図4(a)は、支持基材である絶縁基材1と、絶縁基材裏面側40に、はんだバンプ7、配線保護用のソルダーレジスト5が形成され、表面側50に接着剤(図上省略)と、金属配線6と、配線保護用のソルダーレジスト5からなる3層構造のテープキャリア10である。所定の位置にデバイスホールである導通孔2が形成されている。前記開口部を持つ導通孔2の領域内には、配線の一端側であるリード部3が形成され、該リード部の形状は直線形状にパターニングされている。このリード部3はインナーリード部と呼称されている。従って、前記インナーリード部3は、金属配線6の単層構造である。なお、前記開口部を持つ導通孔2は、半導体チップのボンディングパッドの形成位置と重なる位置に形成され、導通孔領域でボンディングパッドとインナーリード部が接続される。テープキャリア10の金属配線6は、前記インナーリード部3より延長した金属配線6を形成し、他端側であるバンプランド4の位置の近傍の金属配線と絶縁基材を貫通するスルホール8を介して裏面側に形成したバンプランド4とを電気的に接続させている。前記インナーリード部3とバンプランドのリード部4は回路を形成して電気的に接続されており、バンプランドのリード部4にはんだバンプ7を形成されている。
【0005】
図4(b)は、デバイスホールである導通孔2の近傍の部分拡大であり、導通孔2側にインナーリード部3が直線上に形成されている。また、前記インナーリード部3は対応するバンプランドのリード部4まで金属配線され、当該位置で、絶縁基材を貫通するスルホール8を介してバンプランドのリード部4までの回路が形成されている。すなわち、配線の一端側であるリード部と他端側であるバンプランドのリード部とは1対の回路で形成されている。
【0006】
従来の半導体実装用テープキャリアの製造方法の一例を説明する。支持基材は透明なポリイミドフイルム(以下PI基材と記す)を用い、金属は銅箔を用いる。最初の工程は、支持体であるPI基材に金型を用いて導通孔、スルーホール用孔等を穿孔する。次いで、前記絶縁基材と配線用の銅箔を貼り合せる。次いで、前記銅箔上に感光性レジストを塗布する。次いで、フォトマスクを介して、露光したレジストを形成し、レジストの現像処理する。次いで、前記レジストパターンをマスクとして、銅箔をエッチング処理し、前記レジストの剥膜処理を行い銅配線が形成される。次いで、インナーリード部及びバンプランド以外の、すなわち、配線回路の形成位置上にソルダーレジストを形成する。次いで、必
要な場合には、インナーリード部及びバンプランドにSn(錫)の薄膜、Ag、Auの薄膜等を形成する。最後にバンプランドにはんだバンプを装着する。以上により従来の半導体実装用テープキャリアが製造される。なお、スルーホールの形成方法、無電解めっき、電解めっき、又は導通孔、スルーホール用孔等の樹脂埋め込み等は、公知の材料、方法を利用する。
【0007】
従来の半導体実装用テープキャリア(以下テープキャリアと記す)を用いた半導体パッケージ(以下半導体パッケージと記す)は、半導体チップの表面上に接着剤(エラストマ)を用いて、テープキャリアが貼り付けられ、そのテープキャリアの配線の一端側であるリード部が半導体チップの表面上のボンディングパッドと電気的に接続され、且つテープキャリアの配線の他端側であるバンプランドがはんだバンプと電気的に接続されている。
【0008】
前記テープキャリアと半導体チップとの電気的な接続は、テープキャリアの配線の一端側であるリード部を撓ませた状態で行われる。
【0009】
半導体パッケージは、例えば、外形寸法が半導体チップ同じ、又は必要に応じてその外周部に付ける保護枠分だけ大きい程度であり、表面側にはんだバンプが形成され、そのテープキャリアの裏側の銅配線がエラストマを介して下部の半導体チップと張り合わされている。図では見えないが、導通孔の開口部内では、テープキャリアのインナーリード部と半導体チップ表面上のボンディングパッドと接続された後、導通孔の開口部内に封止樹脂層を形成し、封止樹脂及びソルダーレジスト層により半導体チップ及びテープキャリアの配線を保護する構造である。
【0010】
図5は、テープキャリアを用いた半導体パッケージの一例であり、半導体チップとテープキャリアの接続状態の側断面図であり、(a)は、貼り合せの直後で、(b)は、接続直後で、(c)は、樹脂封止後である。
【0011】
図5は、図下より半導体チップ20、張り合わせのためのエラストマ21、テープキャリア10のソルダーレジスト5、銅配線6、PI基材1、半田ボール7a(はんだバンプ7)と、ソルダーレジスト5及び導通孔の開口部内の封止樹脂22と積層されたμ−BGA型の半導体パッケージである。銅配線6面のインナーリード部3は、導通孔2の開口部内に延長され、直線形状に形成されている。図5(a)では、接続前の断面図であり、半導体チップ表面上のボンディングパッド12の上方に飛び出した状態でインナーリード部3が形成されている。
【0012】
図5(b)では、接続後の断面図であり、インナーリード部3が撓ませた状態に成形(フォーミング)されて半導体チップ表面上のボンディングパッド12の表面と電気的に接続されている。前記接続では、インナーリード部であるビームリード部に接続治具を介して撓ませる成形(フォーミング)しながら、ビームリード部の先端の余分なフライングリード部3bを切断し、ボンディングパッドの表面と電気的に接続する。なお、接続後のインナーリード部は、エラストマの側端部からボンディングパッドまでの最短距離で、且つ周辺材料に接触しないように、さらに熱膨張等の影響が無い程度に余裕のある長さに撓ませた状態でフォーミングされ形成されている。
【0013】
図5(c)では、導通孔2の開口部内に封止樹脂22を注入し樹脂封止する。なお、導通孔の開口部は、複数形成する場合もあり、実装する半導体チップのボンディングパッドの形成領域に従って最適位置に、最適数に適宜判断する必要がある。
【0014】
従来のテープキャリアを用いた半導体パッケージは、テープキャリアと半導体チップとの電気的な接続の際、テープキャリアの一端側であるリード部を撓ませた状態で行われる
ため、テープキャリアと半導体チップのボンディングパッドとを正確な位置に接続するには、テープキャリアと半導体チップとの段差からを含む距離を一定に保たなければならない。そのため、位置のあわせこみ等の手間が必要となり問題である。
【0015】
前記位置のあわせこみでは、各々リード部の段差、すなわちインナーリード部底面の高さとボンディングパッド表面の高さの差があり、各々ボンディングパッドでの段差にバラツキがある。例えば段差が大きい場合、撓みが少なくなり直線状に接続され、その段差が小さい場合、撓みが大きくなり湾曲状に撓んで接続される。そのため、各々ボンディングパッドでは、接続性の品質にバラツキが生じ、接続耐久性に不安を残す問題がある。
【0016】
また、テープキャリアと半導体チップとの接続部の距離を大きく取りたい場合、リード部を長く伸ばす必要がある。テープキャリアのリード部は、リード部を長くするにはより大きな開口部が必要となる。導通孔の開口部には、エラストマが形成できないため、テープキャリアと半導体チップとの密着信頼性の低下や、貼り付け時の平坦性が確保できずに接続信頼性が低下する等の問題が発生する。
【0017】
以下に公知文献を記す。
【特許文献1】特開2005−310894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の課題は、テープキャリアと半導体チップ表面上のボンディングパッドが電気的に接続される際、テープキャリアと表面上のボンディングパッドとの距離が変化しても、テープキャリアと表面上のボンディングパッドとの距離を大きく取りたい場合でも、リード部の長さを長く形成したい場合でも、導通孔の開口部面積が大きくならずに、テープキャリアと半導体チップとの密着信頼性が向上する半導体実装用テープキャリアを提供することであり、その半導体実装用テープキャリアの提供により、種々の半導体チップの実装に用いることができる、ボンディングパッドとの接続性が向上した、半導体実装用テープキャリア及びその半導体パッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の請求項1に係る発明は、支持基材である絶縁基材の表面上に金属からなる配線の回路を形成した半導体実装用テープキャリアの、実装する半導体チップの表面上のボンディングパッドと電気的に接続するための配線の一端側であるリード部と、はんだバンプと電気的に接続するための配線の他端側であるバンプランドのリード部とを形成する半導体実装用テープキャリアにおいて、
半導体実装用テープキャリアは、開口する導通孔を形成し、導通孔の領域内にある配線の一端側であるリード部が、螺旋状に成形(フォーミング)されたパターンに形成したことを特徴とする半導体実装用テープキャリアである。
【0020】
本発明の請求項2に係る発明は、半導体チップの表面上に接着剤(エラストマ)を用いて、テープキャリアが貼り付けられ、そのテープキャリアの配線の一端側であるリード部が半導体チップの表面上のボンディングパッドと電気的に接続され、且つテープキャリアの配線の他端側であるバンプランドのリード部がはんだバンプと電気的に接続した、前記請求項1記載の半導体実装用テープキャリアを用いた半導体パッケージであって、
前記半導体実装用テープキャリアの配線の一端側であるリード部が螺旋状に成形(フォーミング)された形状で、撓ませた状態でボンディングパッドと電気的に接続されていることを特徴とする半導体パッケージである。
【0021】
本発明の請求項3に係る発明は、半導体実装用テープキャリアの絶縁基材の表面上に金属からなる配線を形成し、絶縁基材裏面にはんだバンプを形成した前記請求項1記載の半導体実装用テープキャリアの製造方法であって、
少なくとも以下の工程を含む構成により半導体実装用テープキャリアを製造することを特徴とする半導体実装用テープキャリアの製造方法である。
(a)支持体である絶縁基材に導通孔を穿孔する工程。
(b)前記絶縁基材と配線用の金属箔を貼り合せる工程。
(c)前記導通孔の領域内の金属箔にエッチング処理により、渦巻き状のリード部を形成する工程。
(d)前記渦巻き状のリード部に所定の治具を押圧し、螺旋状に成形(フォーミング)する工程。
【発明の効果】
【0022】
本発明の方法によれば、テープキャリアと半導体チップ表面上のボンディングパッドが電気的に接続される際、リード部が螺旋状に変形することにより、テープキャリアと表面上のボンディングパッドとの距離が変化しても、螺旋状の中心位置はボンディングパッドの位置とずれることがなく、正確に接続することができる。
【0023】
本発明の方法によれば、テープキャリアと半導体チップ表面上のボンディングパッドが電気的に接続される際、直線形状リード部と比較して、少ない導通孔の開口部面積でリード部の長さを長くすることができる。
【0024】
本発明の方法によれば、テープキャリアと半導体チップ表面上のボンディングパッドが電気的に接続される際、テープキャリアと表面上のボンディングパッドとの距離を大きく取りたい場合でも、直線形状リード部と比較して、導通孔の開口部面積を小さくすることができることにより、エラストマの貼り付け面積を確保することができ、テープキャリアと半導体チップとの密着信頼性が向上する。
【0025】
本発明の方法によれば、テープキャリアと半導体チップ表面上のボンディングパッドが電気的に接続される際、リード部が螺旋状に変形することにより、少ない導通孔の開口部面積でリード部の長さを長くすることができるため、種々の半導体チップの実装に用いることができ、ボンディングパッドとの接続性が向上した、半導体実装用テープキャリア及びその半導体パッケージを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の半導体実装用テープキャリア及びその半導体パッケージを一実施形態に基づいて以下説明する。
【0027】
本発明の半導体実装用テープキャリア10は、支持基材1である絶縁基材の表面上に金属からなる配線6の回路を形成したものであり、実装する半導体チップ20の表面上のボンディングパッド12と電気的に接続するための配線の一端側であるリード部3と、はんだバンプ7と電気的に接続するための配線の他端側であるバンプランドのリード部4とを形成する。半導体実装用テープキャリア10は、開口する導通孔2を形成し、導通孔2の領域内にある配線の一端側であるリード部3が、螺旋状に成形(フォーミング)されたパターンのリード部を形成した(図3参照)。
【0028】
図1は、本発明の半導体実装用テープキャリアの一実施例のリード部の部分拡大図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、a−a’破線での側断面図である。なお、参考図は、螺旋状リード部32の斜視図であり、螺旋形状にフォーミングされている。
【0029】
図1(a)は、エッチング処理直後の導通孔2内に形成したリード部であり、渦巻き状リード部31のパターンが形成されている。次いで、前記渦巻き状リード部31にフォーミング用治具を押圧して、螺旋状にフォーミングされた螺旋状リード部32を形成する。
【0030】
前記渦巻き状のリード部31では、金属からなる渦巻き状のパターンを形成し、該パターンをボンディングパッドとの接続するリード部として用いている。
【0031】
図1(b)は、螺旋状にフォーミングされた螺旋状リード部32の側断面図であり、渦巻き状リード部31の中央部分を所定の深さ(ギャップg)まで下降させて、フォーミングされた形状に仕上げている。図上側は、本発明のテープキャリア10であり、その下方の半導体チップ20とエラストマ21を介して接着する状態の説明図である。導通孔2内では、螺旋状リード部32が半導体チップ20の表面のボンディングパッド12の直上にあって、ボンディングパッド12が螺旋状リード部32の中央部分と接している。
【0032】
前記ギャップgは、リード部3とボンディングパッド12との段差に相当する距離であり、渦巻き状リード部31の外周部から深さgまでその中央部分を押圧し、螺旋状リード部32にフォーミングする。螺旋状リード部32は、バネ状であり、中央部分は上若しくは下側に容易に高さ位置を変動する、すなわち、容易にギャップgの変動が可能となる。
【0033】
図2は、本発明の半導体実装用テープキャリアの製造方法を説明する工程の側断面図である。
【0034】
前記半導体実装用テープキャリアの製造方法は、絶縁基材の表面上に金属からなる配線を形成し、絶縁基材裏面にはんだバンプを形成した半導体実装用テープキャリアのであって、少なくとも以下の工程を含む製造方法である。
【0035】
最初の(a)工程では、支持体である絶縁基材に導通孔を穿孔し、導通孔付き絶縁基材1aを製造する。導通孔付き絶縁基材1aには、スルーホール孔8a、導通孔2が主として形成されている。
【0036】
次いで(b)工程では、前記絶縁基材と配線用の金属箔を貼り合せ、金属箔付き絶縁基材6aを製造する。次いで、金属箔にパターンを形成する。パターンの形成は、フォトプロセス法を用いて行い、金属箔上にレジスト塗布処理、パターン露光処理、現像及びエッチング処理、レジスト剥膜処理いよる方法である。なお、エッチング防止層9、スルーホール8は、公知の方法で形成する。
【0037】
次いで(c)工程では、前記導通孔の領域内の金属箔にエッチング処理により、金属配線部6、渦巻き状のリード部31aを形成する。前記渦巻き状のリード部は、予め所望のパターンを形成したフォトマスクを用いて形成する。
【0038】
最後に(d)工程では、前記渦巻き状のリード部に所定の治具を押圧し、螺旋状に成形(フォーミング)する。d−1、d−2、d−3は、フォーミング治具33により、渦巻き状のリード部31を螺旋状リード部32にフォーミングする過程を説明するものであり、d−1は開始時の状態であり、d−2は加熱の状態であり、d−3はフォーミングが終了した、すなわち螺旋状リード部32が製造された状態である。
【0039】
d−1では、開始時の状態であり、渦巻き状のリード部31の上下の加熱板62を近接させ、渦巻き状のリード部31を挟み込む。
【0040】
d−2では、上下の加熱板62により渦巻き状のリード部31を圧着する。この状態で
、加熱板62を350〜430℃に昇温し、1〜3分間密着させて、渦巻き状のリード部31を加熱する。
【0041】
d−3では、クランプ61、61aで渦巻き状のリード部31の両端を把持し、中央の上下軸63をギャップgの距離まで下方に押圧する。この状態を維持しながら、常温まで冷却する。以上の工程処理により、所定のギャップgにフォーミングされた螺旋状のリード部32ができあがる。
【0042】
図3は、本発明の半導体実装用テープキャリアを用いた半導体パッケージの一実施例であり、半導体パッケージのリード部の部分拡大の側断面図である。(a)は、半導体チップ20と半導体実装用テープキャリア10が貼り付けられた直後の状態であり、(b)は、ボンディングパッド12に螺旋状リード部32を電気的に接続した直後の状態であり、(c)は、導通孔2に封止樹脂22を形成した状態である。
【0043】
(a)は、半導体チップ20と半導体実装用テープキャリア10が貼り付けられた直後の状態である。本発明の半導体パッケージは、半導体チップ20の表面上に接着剤のエラストマ21を用いて、半導体実装用テープキャリア10が貼り付けられている。そのテープキャリアの導通孔2内に配線の一端側である螺旋状のリード部32が露出されている。螺旋状のリード部32は、その中央部分が下方へギャップgだけ押圧されて成形されている。従って、螺旋状のリード部32の中央部分は、ボンディングパッド12の表面に接する位置にある。
【0044】
(b)は、螺旋状リード部32がボンディングパッド12に電気的に接続した直後の状態である。螺旋状リード部32は、半導体チップの表面上のボンディングパッド12と電気的に接続され、且つテープキャリアの配線の他端側であるバンプランド4aがはんだバンプ7と電気的に接続されている(図3(a)参照)。前記本発明の半導体実装用テープキャリアの配線の一端側であるリード部が螺旋状のリード部32に成形(フォーミング)された形状で、撓ませた状態でボンディングパッド12と電気的に接続されている。
【0045】
図3に示すギャップgは、リード部3とボンディングパッド12との段差に相当する距離であり、その距離gのギャップ間では、螺旋状リード部32は、バネ状に成形(フォーミング)されたことにより、ボンディングパッド12と電気的に接続する中央部分が上若しくは下側に容易に高さ位置を変動する、すなわち、容易にギャップgの変動が可能となる。螺旋状リード部32が、バネ状に成形(フォーミング)されたことにより、撓ませた状態でボンディングパッドと電気的に接続されているため、材料からの熱膨張率差等の対応ができる。
【0046】
螺旋状リード部32では、ボンディングパッド12と電気的に接続する中央部分との位置のあわせこみが容易となる。各々リード部の段差、すなわち螺旋状リード部32の中央部分の底面の高さとボンディングパッド表面の高さの差があっても、各々ボンディングパッドでの接続は、例えば段差が大きい場合でも、その段差が小さい場合でも、撓みが均等となり、均一な湾曲状に撓んで接続される。そのため、各々ボンディングパッドでは、接続性の品質が平均化され、接続耐久性においても品質が向上する。
【0047】
ボンディングパッド12と螺旋状リード部32の中央部分との電気的に接続する方法を説明する。螺旋状リード部32の中央部分の押圧治具は、円柱状治具、例えば図2(d)上下軸63を用いる方法がある。螺旋状リード部32の中央部分に前記押圧治具を介してボンディングパッド12に押圧する。前記押圧時では、押圧治具は300℃近傍まで加熱し、0.0001N/μm2近傍で、2.0秒間近傍まで加圧する。なお、押圧条件は、適宜最適化することが好ましい。
【0048】
(c)は、導通孔2に封止樹脂22を形成した状態である。半導体パッケージの内部の配線回路等を保護する。以上により、本発明の半導体実装用テープキャリアを用いた半導体パッケージが完成する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の半導体実装用テープキャリアの一実施例のリード部の部分拡大図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、側断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の半導体実装用テープキャリアの製造方法を説明する工程の側断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の半導体実装用テープキャリアを用いた半導体パッケージの一実施例であり、半導体パッケージのリード部の部分拡大の側断面図である。
【図4】従来の半導体実装用テープキャリアの部分拡大図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、側断面図である。
【図5】従来の半導体実装用テープキャリアを用いた半導体パッケージの半導体チップとテープキャリアの接続状態の側断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…(ポリイミドの)絶縁基材、PI
1a…導通孔付き絶縁基材
2…(開口する)導通孔
3…(一端側の)リード部、インナーリード部
3b…フライングリード部
4…バンプランドのリード部、
4a…バンプランド
5…ソルダーレジスト
6…金属配線
6a…金属箔付き絶縁基材
7…はんだバンプ
7a…半田ボール
8…スルーホール
8a…スルーホール孔
9…エッチング防止層
10…半導体実装用テープキャリア
12…ボンディングパッド
20…半導体チップ
21…エラストマ
22…封止樹脂
31…渦巻き状リード部
32…螺旋状リード部
33…所定の治具、フォーミング用治具
40…絶縁基板裏側
50…絶縁基板表側
61、61a…クランプ
62…加熱板
63…上下軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基材である絶縁基材の表面上に金属からなる配線の回路を形成した半導体実装用テープキャリアの、実装する半導体チップの表面上のボンディングパッドと電気的に接続するための配線の一端側であるリード部と、はんだバンプと電気的に接続するための配線の他端側であるバンプランドのリード部とを形成する半導体実装用テープキャリアにおいて、
半導体実装用テープキャリアは、開口する導通孔を形成し、導通孔の領域内にある配線の一端側であるリード部が、螺旋状に成形(フォーミング)されたパターンに形成したことを特徴とする半導体実装用テープキャリア。
【請求項2】
半導体チップの表面上に接着剤(エラストマ)を用いて、テープキャリアが貼り付けられ、そのテープキャリアの配線の一端側であるリード部が半導体チップの表面上のボンディングパッドと電気的に接続され、且つテープキャリアの配線の他端側であるバンプランドのリード部がはんだバンプと電気的に接続した、前記請求項1記載の半導体実装用テープキャリアを用いた半導体パッケージであって、
前記半導体実装用テープキャリアの配線の一端側であるリード部が螺旋状に成形(フォーミング)された形状で、撓ませた状態でボンディングパッドと電気的に接続されていることを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項3】
半導体実装用テープキャリアの絶縁基材の表面上に金属からなる配線を形成し、絶縁基材裏面にはんだバンプを形成した前記請求項1記載の半導体実装用テープキャリアの製造方法であって、
少なくとも以下の工程を含む構成により半導体実装用テープキャリアを製造することを特徴とする半導体実装用テープキャリアの製造方法。
(a)支持体である絶縁基材に導通孔を穿孔する工程。
(b)前記絶縁基材と配線用の金属箔を貼り合せる工程。
(c)前記導通孔の領域内の金属箔にエッチング処理により、渦巻き状のリード部を形成する工程。
(d)前記渦巻き状のリード部に所定の治具を押圧し、螺旋状に成形(フォーミング)する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−28157(P2008−28157A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199166(P2006−199166)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】