説明

半導体材料ドーピング

量子井戸及び隣接するバリアを含む構造を設計し及び/又は製造するための解決法が提供される。量子井戸と隣接するバリアとの間の目標バンド不連続性が、量子井戸及び/又はバリア用のドーパントの活性化エネルギーと一致するように選択される。例えば、目標バレンスバンド不連続性は、隣接するバリア中のドーパントのドーパントエネルギーレベルが、量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド端及び/又は量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド中の自由キャリアについての基底状態エネルギーと一致するように選択されることがある。量子井戸及び隣接するバリアは、実際のバンド不連続性が目標バンド不連続性に対応するように形成されることがある。

【発明の詳細な説明】
【先行出願の参照】
【0001】
[0001]本出願は、2009年12月4日に出願した、同時係属中の米国特許仮出願第61/266,523号、名称「ドーピングの方法及び半導体デバイス」の利益を主張し、これは引用によって本明細書中に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
[0002]本開示は、一般に半導体デバイス製造に関係し、特に、量子井戸のセット及びバリアのセットを含む構造の設計及び製造に関係する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ワイドバンドギャップ半導体材料を用いて製造される多くのタイプのデバイスの製造中にドーピングを制御することは簡単ではない。特に、ワイドバンドギャップ半導体材料のための不純物レベルは深く、不純物の活性化は効率的でなく、これによりドーピングを制御することをより難しくしている。例えば、図1は、先行技術において示されるように、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)中の不純物レベルの関数として、300ケルビン(K)における活性化した不純物(マグネシウム(Mg))の例示的な割合を示す。図示したように、バレンスバンドの上端の上方ほぼ0.1電子ボルト(eV)のAlGaN中のMgアクセプタレベルに関して、不純物のほぼ1パーセントだけが活性化され、自由正孔を供給する。その結果、pタイプAlGaNの導電率がひどく制限され、これは、遠紫外発光ダイオード(LED)の性能に対して極めて有害である。
【0004】
[0004]GaNオンAlGaNヘテロ構造中への分極ドーピング(polarization doping)が、正孔蓄積層の生成をもたらすことが示されている。例えば、分極電荷が、AlGaN/GaNヘテロ界面のところに5×1013cm−2までの正孔シート濃度を誘起することが示されている。三次元正孔ガスから二次元正孔ガスへの遷移が、1013cm−2以上の正孔シート濃度を実現する。低い正孔シート濃度においては、三次元正孔蓄積層だけが存在することがある。分極電荷によって誘起された二次元正孔ガスを、AlGaN/GaN系ヘテロ構造バイポーラトランジスタ中のベース拡がり抵抗を減少させるために及び/又はpチャネルIII族窒化物系高電子移動度トランジスタ(HEMT)に対して使用することができることを、これは示唆している。
【0005】
[0005]図2は、先行技術において示されるような、金属/AlGaN/GaNヘテロ構造の例示的なバンド図を示す。このケースでは、ヘテロ構造の最上部GaN表面は窒素終端表面を備える。図2では、計算した二次元電荷濃度分布は、圧電分極電荷及び自発分極電荷、金属表面電荷、並びにヘテロ構造に関する蓄積正孔電荷を含む。AlGaN層は、ほぼ0.25のAlモル分率を含み、ドナーを含まない。GaN層は、アクセプタ濃度、N=1017cm−3を含む。図2の水平な破線は、フェルミレベルを示し、正孔は、このレベルの上方のエネルギー状態を占める。二次元正孔ガスは、大きな横方向導電率を与える。しかしながら、図2によって図示したように、二次元正孔ガスに垂直な方向のコンダクタンスは、極端に小さい。ヘテロ構造についての垂直なコンダクタンスは、ドープしていない又は空乏化したワイドバンドギャップ半導体層、例えば、AlGaN層によって制限される。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本発明の態様は、量子井戸及び隣接するバリアを含む構造を設計し及び/又は製造するための解決法を提供する。量子井戸と隣接するバリアとの間の目標バンド不連続性が、量子井戸及び/又はバリア用のドーパントの活性化エネルギーと一致するように選択される。例えば、隣接するバリア中のドーパントのドーパントエネルギーレベルが、量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド端及び/又は量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド中の自由キャリアについての基底状態エネルギーと一致するように、目標バレンスバンド不連続性が選択されることがある。量子井戸及び隣接するバリアは、実際のバンド不連続性が目標バンド不連続性に対応するように形成されることがある。
【0007】
[0007]本発明の第1の態様は、構造を製造する方法を提供し、本方法は、構造中の量子井戸と隣接するバリアとの間の目標バレンスバンド不連続性を選択するステップであって、隣接するバリア中のドーパントのドーパントエネルギーレベルが、量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド端又は量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド中の自由キャリアについての基底状態エネルギーのうちの少なくとも一方と一致する、ステップと、目標バレンスバンド不連続性に対応する実際のバレンスバンド不連続性を有する構造中の量子井戸及び隣接するバリアを形成するステップであって、形成するステップがドーパントを用いて量子井戸及び隣接するバリアをドーピングするステップを含む、ステップとを備える。
【0008】
[0008]本発明の第2の態様は、デバイスを製造する方法を提供し、本方法は、デバイス用の構造を製造するステップであって、構造が、量子井戸及び隣接するバリアを備えたヘテロ構造又は超格子層のうちの少なくとも1つを含むステップを備え、構造を製造するステップが、量子井戸と隣接するバリアとの間の目標バレンスバンド不連続性を選択するステップであって、隣接するバリア中のドーパントのドーパントエネルギーレベルが、量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド端又は量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド中の自由キャリアについての基底状態エネルギーのうちの少なくとも一方と一致する、ステップと、目標バレンスバンド不連続性に対応する実際のバレンスバンド不連続性を有する構造中の量子井戸及び隣接するバリアを形成するステップであって、ドーパントを用いて量子井戸及び隣接するバリアをドーピングすることを含む、ステップとを含む。
【0009】
[0009]本発明の第3の態様は、量子井戸及び隣接するバリアを備えたデバイス用のヘテロ構造又は超格子層のうちの少なくとも1つを設計するステップを備え、設計するステップが、量子井戸と隣接するバリアとの間の目標バレンスバンド不連続性を選択するステップであって、隣接するバリア中のドーパントのドーパントエネルギーレベルが、量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド端又は量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド中の自由キャリアについての基底状態エネルギーのうちの少なくとも一方と一致する、ステップを含む方法を提供する。
【0010】
[0010]本発明の例示的な態様は、本明細書において説明する問題のうちの1つ若しくは複数及び/又は論じていない1つ若しくは複数の他の問題を解決するように設計されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[0011]本開示のこれらの特徴及び他の特徴は、本発明の様々な態様を図示する添付した図面と合わせて本発明の様々な態様の下記の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【図1】[0012]先行技術において示されるように、AlGaN中の不純物レベルの関数として活性化した不純物の例示的な割合を示す図である。
【図2】[0013]先行技術において示されるように、金属/AlGaN/GaNn極性ヘテロ構造の例示的なバンド図である。
【図3A】[0014]一実施形態による例示的な超格子層のバレンスバンド図である。
【図3B】[0014]一実施形態による例示的な超格子層のバレンスバンド図である。
【図4】[0015]一実施形態によるバリアから隣接する量子井戸中への正孔の実空間移行を図示する例示的なバレンスバンド図である。
【図5】[0016]一実施形態による分極電荷の影響を説明する例示的なバレンスバンド図である。
【図6A】[0017]先行技術によるデバイスの動作中の注入を図示する例示的なバンド図である。
【図6B】[0017]一実施形態によるデバイスの動作中の注入を図示する例示的なバンド図である。
【図7】[0018]一実施形態による回路を製造するための例示的な流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0019]図面が同じ縮尺でないことがあることに留意されたい。図面は、本発明の典型的な態様だけを図示するように意図されており、それゆえ、本発明の範囲を限定するように考えるべきではない。図面では、類似の参照番号が、図面間で類似の要素を表す。
【0013】
[0020]上記のように、本発明の態様は、量子井戸及び隣接するバリアを含む構造を設計し及び/又は製造するための解決法を提供する。量子井戸と隣接するバリアとの間の目標バンド不連続性が、量子井戸及び/又はバリア用のドーパントの活性化エネルギーと一致するように選択される。例えば、隣接するバリア中のドーパントのドーパントエネルギーレベルが、量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド端及び/又は量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド中の自由キャリアについての基底状態エネルギーと一致するように、目標バレンスバンド不連続性を選択することができる。実際のバンド不連続性が目標バンド不連続性に対応するように、量子井戸及び隣接するバリアを形成することができる。結果として得られる構造は、バリア中のドーパントについてより低い活性化エネルギーを提供することができ、これは、対応するデバイスの動作中にバリア中のドーパント(例えば、アクセプタ)エネルギーレベルから隣接する量子井戸中への正孔のより効率的な実空間移行からもたらされることがある。本明細書中で使用される場合、別なように記さない限り、用語「セット」は、1つ又は複数(すなわち、少なくとも1つ)を意味し、句「任意の解決法」は、任意の現在知られている解決法又は後に開発される解決法を意味する。
【0014】
[0021]図面に目を向けると、図3A及び図3Bは、一実施形態による、それぞれ、例示的な超格子層10A、10Bのバレンスバンド図を示す。各超格子層10A、10Bは、バリア14及び量子井戸12をインターレースしたセットを含む。この点で、超格子層10A、10B中の各量子井戸12は、1つ又は複数の隣接するバリア14を有し、超格子層10A、10B中の各バリア14は、1つ又は複数の隣接する量子井戸12を有する。
【0015】
[0022]超格子層10A、10B中のバリア14及び量子井戸12は、異なる材料組成を使用して形成される。超格子層10A、10Bがpタイプバリア14及び量子井戸12を有するように示されているが、構造/デバイスにおける超格子層10A、10Bの所望の機能に応じて、バリア14及び量子井戸12がnタイプ組成又はpタイプ組成を含むことができることが、理解されたい。例示的な実施形態では、様々なIII族窒化物材料組成などの様々なワイドバンドギャップ半導体材料を使用して、バリア14及び量子井戸12が形成される。III族窒化物材料は、1つ又は複数のIII族元素(例えば、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、及びインジウム(In))並びに窒素(N)を含み、その結果、BAlGaInN、ここでは、0≦W、X、Y、Z≦1及びW+X+Y+Z=1である。例示的なIII族窒化物材料は、III族元素の任意のモル分率を有するAlN、GaN、InN、BN、AlGaN、AlInN、AlBN、AlGaInN、AlGaBN、AlInBN、及びAlGaInBNを含む。より具体的な例示的な実施形態では、各バリア14は、AlGa1−xNと表すことができるアルミニウムのモル分率を含むアルミニウムガリウム窒化物(AlGaN)組成を含み、各量子井戸12は、AlGa1−yNと表すことができるアルミニウムのモル分率を含むAlGaN組成を含む。さらにより具体的な例示的な実施形態では、各量子井戸12及びバリア14は、大きなアルミニウムモル分率を含む。それにもかかわらず、超格子層10A、10B中のバリア14及び量子井戸12の様々な組成が、それぞれ超格子層10A、10B中の各隣接するバリア14及び量子井戸12対の間に一連のバレンスバンド不連続性20A、20Bを形成する。
【0016】
[0023]その上、各量子井戸12及び/又はバリア14に、その形成中にドーパントをドープすることができる。量子井戸12及び/又はバリア14の材料組成並びにドーパントを添加することによって与えようとする所望の機能に基づいて、ドーパントを選択することができる。例えば、材料組成が、pタイプ組成であるかnタイプ組成であるかどうかに基づいて、異なるドーパントを選択することができる。例示的な実施形態では、pタイプ量子井戸12及び/又はバリア14にアクセプタ原子を添加して量子井戸12及び/又はバリア14内にpタイプ領域を形成するように、ドーパントを選択する。バリア14中のアクセプタ原子は、バリア14内に対応するエネルギーのアクセプタレベル22A、22Bを作り出す。pタイプIII族窒化物材料用の例示的なドーパントは、マグネシウム(Mg)及びベリリウム(Be)を含み、一方でnタイプIII族窒化物材料用の例示的なドーパントは、シリコン(Si)、Gaサイト上の炭素(C)、Nサイト上の酸素(O)、及び窒素空孔(V3+)を含む。
【0017】
[0024]バリア14中のドーパントの実効活性化エネルギー24A、24Bは、バリア14内のそれぞれアクセプタレベル22A、22Bと隣接する(1つ又は複数の)量子井戸12のバレンスバンドの最上部のところのエネルギーバンド端との間の差から構成される。一実施形態では、超格子層10A、10Bについての目標バンド不連続性を、量子井戸12についてのドーパントの活性化エネルギーと一致する(例えば、一列に並ぶ又は実質的に一列に並ぶ)ように選択する。例えば、バリア14中のそれぞれアクセプタレベル22A、22Bが隣接する量子井戸12についてのバレンスエネルギーバンド端と一致するように、目標バレンスバンド不連続性20A、20Bを選択することができる。
【0018】
[0025]例えば、目標バレンスバンド不連続性にしたがって、量子井戸12及びバリア14の各々の中の1つ又は複数の元素のモル分率を調節することによって、目標バレンスバンド不連続性20A、20Bを得ることができる。この点で、各バリア14がAlGa1−xNを含み、各量子井戸がAlGa1−yNを含む実施形態に関して、目標バレンスバンド不連続性20A、20Bを形成するようにアルミニウムのモル分率の差(y−x)を選択することができる。結果として、ドーパント(例えば、アクセプタ)の実効活性化エネルギー24A、24B(例えば、バリア中のアクセプタレベルから量子井戸への遷移のための活性化エネルギー)は、以前の取り組みよりも実質的に減少する。図3Aは、正の活性化エネルギー24Aを図示し、一方で図3Bは、負の活性化エネルギー24Bを図示する。例示的な実施形態では、活性化エネルギー24A、24Bは、量子井戸12の最上部の近くにあり、ドーパントエネルギーレベルをワイドバンドギャップ半導体(例えば、バリア14)中のエネルギーバンド端と「共鳴状態」にさせる。より具体的な例示的な実施形態では、量子井戸12についてのバレンスエネルギーバンド端及びドーパントエネルギーレベル22A、22Bは、ほぼ3熱エネルギー内(すなわち、以下)(すなわち、室温において3kT≒0.078eVの熱エネルギー内)である。
【0019】
[0026]バリア14中のドーパントの低い実効活性化エネルギー24A、24Bは、それぞれ、超格子層10A、10Bを含むデバイスの動作中にバリア14中のドーパント(例えば、アクセプタ)エネルギーレベルから隣接する量子井戸12中への正孔のより効率的な実空間移行を可能にすることができる。この点で、バリア14中のそれぞれアクセプタレベル22A、22Bが量子井戸12に関するバレンスエネルギーバンド中の自由キャリアについての基底状態エネルギーと一致するように、目標バレンスバンド不連続性20A、20Bを選択することができる。例えば、図4は、一実施形態によるバリア14から隣接する量子井戸12中への正孔の実空間移行30を図示する例示的なバレンスバンド図を示す。正孔は、量子井戸12から隣接するバリア14中へと同じ方向に沿ってやはり動くことができる。図4に図示したように、バリア14中のアクセプタレベルエネルギー位置、E、は、量子井戸12内の自由キャリアの基底状態エネルギーレベル、E(h)、と実質的に一列に並んでおり、実空間移行30を容易に実現させる。例えば、実空間移行30が、量子井戸12内での正孔の熱イオン放出32をトリガするために必要な熱活性化エネルギーよりも小さいことがある図3Aに示したような正の活性化エネルギー24Aからもたらされる場合がある。
【0020】
[0027]図3A及び図3Bに戻って、超格子層10A、10Bのバリア14及び量子井戸12の形成が、超格子層10A、10Bの導電性を高めるように並びに/又は量子井戸12ドーピング及び/若しくはバリア14ドーピングの実効的なレベルを増加させるようにさらに構成されることがある。一実施形態では、バリア14及び量子井戸12の各々の目標厚さを、不純物波動関数の特性サイズよりも小さくなるように選択することができる。バリア/量子井戸の厚さは、バリア/量子井戸を横切る電流の流れに垂直な方向のバリア/量子井戸に直ぐ隣接する(1つ又は複数の)バリア/(1つ又は複数の)量子井戸間の距離を形成することを理解されたい。
【0021】
[0028]分極電荷が、本明細書中に示した例示的なバンド図を著しく変化させることがある。この点で、図5は、一実施形態による分極電荷の影響を説明する例示的なバレンスバンド図を示す。図示したように、実空間移行30が、薄いバリア14及び量子井戸12に対してより容易に生じることがある。
【0022】
[0029]目標厚さを、不純物波動関数の特性サイズの推定値に基づいて選択することができる。一実施形態では、浅い不純物に関して、不純物波動関数の特性サイズを、ボーア半径定数を使用して推定する。別の一実施形態では、深い不純物に関して、目標厚さを、浅い不純物に対する目標厚さよりもさらに薄くなるように選択することができる。例えば、目標厚さを、単一のモノレイヤとボーア半径定数との間の範囲とすることができる。いずれにせよ、各量子井戸12及びバリア14を、目標厚さに実質的に等しい実際の厚さで形成する(例えば、成長させる)ことができる。
【0023】
[0030]本明細書中に示し説明した超格子層10A、10Bを、様々なタイプのデバイス用の構造の一部として実装することができる。特に、非常に高い正孔/電子濃度が望ましいデバイス構造中の層を作り出すために、超格子層10A、10Bを利用することができる。III族窒化物などのワイドバンドギャップ構造を用いて実装した様々なタイプのデバイスは、コンタクト層、中間層、活性層、及び/又は同様のもののうちの1つ又は複数として本明細書において説明したように製造した超格子層10A、10Bを含むことができる。例えば、デバイスは、コンタクト層として本明細書中に示し説明した超格子層10A、10Bを組み込んでいる1つ又は複数のオーミックコンタクトを含むことができる。同様に、発光ダイオード(LED)、スーパールミネッセントダイオード、レーザ、光検出器、ショットキーダイオード、及び/又は同様のものなどの様々なIII族窒化物系デバイスは、中間層として本明細書中に示し説明した超格子層10A、10Bを組み込むことができる。まださらに、ヘテロ構造電界効果型トランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ、スイッチ、無線周波数スイッチ、及び/又は同様のものなどのさらなるIII族窒化物系デバイスは、中間層として本明細書中に示し説明した超格子層10A、10Bを組み込むことができる。超格子層の製造に関して本明細書中に示し説明しているが、本発明の実施形態を、量子井戸のセット及びバリアのセットを含むヘテロ構造の製造に適用することができることを理解されたい。
【0024】
[0031]一実施形態では、遠紫外(UV)発光ダイオード(LED)は、極端に薄いバリア14及び量子井戸12を有する中間超格子層10A、10Bを含み、これが遠UV LEDの動作中に共鳴トンネリング機構を介した正孔の注入を可能にする。例えば、図6A及び図6Bは、それぞれ、先行技術によるデバイス40A及び一実施形態によるデバイス40Bの動作中に能動多重量子井戸(MQW)構造中への注入を図示する例示的なバンド図を示す。両方のデバイス40A、40Bは、遠UV LEDとして動作するように構成されている。図6Aでは、遠UV LED40Aは、標準的なn−AlGaN/n−MQW/p−AlGaN−EB/p−AlGaN/p−GaN構造を備える。図6Aに図示したように、多重量子井戸(MQW)構造中への注入は、隣接する電子ブロッキング(EB)層からの(実線矢印によって示された)熱イオン放出を介してのみ生じる。対照的に、図6Bの遠UV LED40Bは、n−AlGaN/n−MQW/p−AlGaN−AlGaN SPSL/p−GaN構造を備える。図6Bに図示したように、MQW構造中への注入は、一実施形態によれば、(実線矢印によって示された)熱イオン放出並びに隣接する短周期超格子層(SPSL)からの(点線矢印によって示された)共鳴トンネリングの両方によって生じる。
【0025】
[0032]構造を設計し及び/若しくは製造する方法並びに/又はその構造を含む対応する半導体デバイスとして本明細書中に示し説明しているが、本発明の態様が様々な代替的実施形態をさらに提供することが理解される。例えば、一実施形態では、本発明は、本明細書中で説明したように設計し製造した1つ又は複数の半導体デバイスを含む(例えば、1つ又は複数の超格子層10A、10Bを含む)回路を設計し及び/又は製造する方法を提供する。
【0026】
[0033]この点で、図7は、一実施形態による回路126を製造するための例示的な流れ図を示す。最初に、ユーザは、デバイス設計システム110を利用することができ、本明細書中で説明した方法を使用するデバイス設計図112を生成することができる。デバイス設計図112は、デバイス製造システム114によって使用されることができ、デバイス設計図112によって規定される特徴にしたがった物理デバイス116のセットを生成することができるプログラムコードを含むことができる。同様に、デバイス設計図112を、(例えば、回路中での使用のために利用可能な構成要素として)回路設計システム120に提供することができ、これをユーザが(例えば、回路中に含まれる様々なデバイスに1つ又は複数の入力部及び出力部を接続することによって)回路設計図122を生成するために利用することができる。回路設計図122は、本明細書において説明した方法を使用して設計したデバイスを含むプログラムコードを含むことができる。いずれにせよ、回路設計図122及び/又は1つ又は複数の物理デバイス116を、回路設計図122にしたがって物理回路126を生成することができる回路製造システム124に提供することができる。物理回路126は、本明細書において説明した方法を使用して設計した1つ又は複数のデバイス116を含むことができる。
【0027】
[0034]別の一実施形態では、本発明は、本明細書において説明した方法を使用することによって、半導体デバイス116を設計するためのデバイス設計システム110及び/又は製造するためのデバイス製造システム114を提供する。このケースでは、システム110、114は、本明細書において説明したような半導体デバイス116を設計し及び/又は製造する方法を実装するようにプログラムされている汎用計算デバイスを備えることができる。同様に、本発明の実施形態は、本明細書において説明した方法を使用して設計し及び/又は製造した少なくとも1つのデバイス116を含む回路126を設計するための回路設計システム120及び/又は製造するための回路製造システム124を提供する。このケースでは、システム120、124は、本明細書において説明したような少なくとも1つの半導体デバイス116を含む回路126を設計し及び/又は製造する方法を実装するようにプログラムされている汎用計算デバイスを備えることができる。
【0028】
[0035]さらに別の一実施形態では、本発明は、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体中に固定されたコンピュータプログラムを提供し、実行されたときに、コンピュータシステムが本明細書において説明したような半導体デバイスを設計し及び/又は製造する方法を実装することを可能にする。例えば、コンピュータプログラムは、デバイス設計システム110が本明細書において説明したようなデバイス設計図112を生成することを可能にすることができる。この点で、コンピュータ可読媒体は、コンピュータシステムによって実行されたときに本明細書において説明したプロセスのうちのいくつか又はすべてを実施するプログラムコードを含む。用語「コンピュータ可読媒体」が、プログラムコードのコピーを計算デバイスによって認知する、再生する、又はそうでなければ伝達することができる現在知られている又は後に開発される表現の任意のタイプの実体的な媒体のうちの1つ又は複数を含むことが、理解される。例えば、コンピュータ可読媒体は、1つ又は複数の携帯型記憶製品、計算デバイスの1つ又は複数のメモリ/記憶部品、紙、及び/又は同様のものを含むことができる。
【0029】
[0036]別の一実施形態では、本発明は、コンピュータシステムによって実行されたときに本明細書において説明したプロセスのうちのいくつか又はすべてを実施するプログラムコードのコピーを提供する方法を提供する。このケースでは、コンピュータシステムは、プログラムコードのコピーを処理することができ、特性セットのうちの1つ若しくは複数を有するデータ信号のセット及び/又はデータ信号のセット中のプログラムコードのコピーをエンコードするような方式で変更したデータ信号のセットを、第2の別個の位置における受信のために生成し送信することができる。同様に、本発明の実施形態は、本明細書において説明したプロセスのうちのいくつか又はすべてを実施するプログラムコードのコピーを取得する方法を提供し、これは、本明細書において説明したデータ信号のセットを受信し、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体中に固定されるコンピュータプログラムのコピーへとデータ信号のセットを変換するコンピュータシステムを含む。いずれのケースにおいても、データ信号のセットを、任意のタイプの通信回線を使用して送信し/受信することができる。
【0030】
[0037]さらに別の一実施形態では、本発明は、本明細書において説明したような半導体デバイスを設計するためのデバイス設計システム110及び/又は製造するためのデバイス製造システム114を生成する方法を提供する。このケースでは、コンピュータシステムを得ること(例えば、作り出すこと、維持すること、利用可能にすること、等)ができ、本明細書において説明したプロセスを実行するための1つ又は複数の構成要素を、得ること(例えば、作り出すこと、購入すること、使用すること、変更すること、等)ができ、コンピュータシステムに配置することができる。この点で、配置は、(1)計算デバイス上にプログラムコードをインストールすること、(2)コンピュータシステムに1つ又は複数の計算デバイス及び/若しくはI/Oデバイスを付加すること、(3)コンピュータシステムが本明細書において説明したプロセスを実行することを可能にするようにコンピュータシステムを組み込むこと及び/若しくは変更すること、並びに/又は同様のもの、のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0031】
[0038]本発明の様々な態様の上記の説明を、例示及び説明の目的で提示してきている。上記の説明が、網羅的であるようには意図していないし、開示した厳密な形態に本発明を限定するようには意図せず、明らかに多くの変更形態及び変形形態が可能である。当業者には明らかであるかかる変更形態及び変形形態は、別記の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造を製造する方法であって、
前記構造中の量子井戸と隣接するバリアとの間の目標バレンスバンド不連続性を選択するステップであって、前記隣接するバリア中のドーパントのドーパントエネルギーレベルが、前記量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド端又は前記量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド中の自由キャリアについての基底状態エネルギーのうちの少なくとも一方と一致する、ステップと、
前記目標バレンスバンド不連続性に対応する実際のバレンスバンド不連続性を有する前記構造中の前記量子井戸及び前記隣接するバリアを形成するステップであって、前記形成するステップが前記ドーパントを用いて前記量子井戸及び前記隣接するバリアをドーピングするステップを含む、ステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記形成するステップが、前記目標バレンスバンド不連続性にしたがって前記量子井戸及び前記隣接するバリアの各々の中の少なくとも1つの元素のモル分率を調節するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記量子井戸及び前記隣接するバリアの各々が、III族窒化物層を備え、前記III族窒化物層中の少なくとも1つのIII族元素の前記モル分率が前記目標バレンスバンド不連続性にしたがって調節される、請求項3に記載の方法。
【請求項4】
前記形成するステップが、前記量子井戸及び前記隣接するバリアの各々の厚さを不純物波動関数の推定した特性サイズ以下に制限するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ドーパントが浅い不純物を含み、前記方法が、ボーア半径定数を使用して前記不純物波動関数の前記特性サイズを推定するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ドーパントが深い不純物を含み、前記量子井戸及び前記隣接するバリアの各々の厚さが、単一のモノレイヤとボーア半径定数との間の範囲内である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記量子井戸に関する前記バレンスエネルギーバンド端及び前記ドーパントエネルギーレベルが、ほぼ3熱エネルギー内である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記選択するステップ及び形成するステップが、前記構造の超格子層を製造するステップの一部として実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記構造の前記超格子層を前記製造するステップが、前記構造のオーミックコンタクトを製造するステップの一部として実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
デバイスを製造する方法であって、
前記デバイス用の構造を製造するステップであって、前記構造が、量子井戸及び隣接するバリアを備えたヘテロ構造又は超格子層のうちの少なくとも1つを含むステップを備え、
前記構造を製造するステップが、
前記量子井戸と前記隣接するバリアとの間の目標バレンスバンド不連続性を選択するステップであって、前記隣接するバリア中のドーパントのドーパントエネルギーレベルが、前記量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド端又は前記量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド中の自由キャリアについての基底状態エネルギーのうちの少なくとも一方と一致する、ステップと、
前記目標バレンスバンド不連続性に対応する実際のバレンスバンド不連続性を有する前記構造中の前記量子井戸及び前記隣接するバリアを形成するステップであって、前記ドーパントを用いて前記量子井戸及び前記隣接するバリアをドーピングすることを含む、ステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記デバイスが、発光ダイオード、スーパールミネッセントダイオード、レーザ、光検出器、又はショットキーダイオードのうちの1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記デバイスが、ヘテロ構造電界効果型トランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ、スイッチ、又は無線周波数スイッチのうちの1つである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記構造が、前記デバイス用の中間層又はコンタクト層のうちの1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記量子井戸及び前記隣接するバリアの各々が、III族窒化物層を備え、前記形成するステップが、前記目標バレンスバンド不連続性にしたがって前記量子井戸及び前記隣接するバリアの各々の中の少なくとも1つのIII族元素のモル分率を調節することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのIII族元素がアルミニウムである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
量子井戸及び隣接するバリアを備えたデバイス用のヘテロ構造又は超格子層のうちの少なくとも1つを設計するステップを備え、
前記設計するステップが、前記量子井戸と前記隣接するバリアとの間の目標バレンスバンド不連続性を選択するステップであって、前記隣接するバリア中のドーパントのドーパントエネルギーレベルが、前記量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド端又は前記量子井戸に関するバレンスエネルギーバンド中の自由キャリアについての基底状態エネルギーのうちの少なくとも一方と一致する、ステップを含む方法。
【請求項17】
前記デバイスを製造するステップをさらに備え、
前記製造するステップが、前記目標バレンスバンド不連続性に対応する実際のバレンスバンド不連続性を有する前記構造中の前記量子井戸及び前記隣接するバリアを形成することによって前記構造を製造するステップであって、前記形成することが、前記ドーパントを用いて前記量子井戸及び前記隣接するバリアをドーピングすることを含む、ステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
回路を製造するステップをさらに備え、前記回路を前記製造するステップが、前記デバイスに少なくとも1つの入力部及び少なくとも1つの出力部を接続するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記回路を動作させるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
回路設計図を作り出すステップをさらに含み、前記作り出すステップが、前記デバイスに少なくとも1つの入力部及び少なくとも1つの出力部を接続するステップを含む、請求項16に記載の方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2013−513244(P2013−513244A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542233(P2012−542233)
【出願日】平成22年12月4日(2010.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/059003
【国際公開番号】WO2011/069140
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(507186469)センサー エレクトロニック テクノロジー インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】