説明

半導体検査装置

【課題】測定針の位置を正確に認識して測定針を正確に半導体装置の電極パッドに接触させることができる半導体検査装置を提供すること。
【解決手段】検査ボード2と、前記検査ボード2に接続された測定針3と、前記測定針3の先端部側を、測定対象の半導体装置12に対して垂直となるように規制する規制板4と、前記測定針3の先端部の位置を光学的に検出し、前記測定対象の半導体装置12を所定の検査位置に移動させることができるステージ11とを備え、前記規制板4の前記ステージ11に対向する面に、前記測定針3の先端部の位置を示す指標6が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の特性を評価する半導体検査装置に関するものであり、特に、先端側が半導体装置に対して垂直に配置された測定針を、半導体装置の電極パッドに接触させて電気的な特性を評価する半導体検査装置の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造過程において、半導体チップ上に形成された半導体回路が所望の電気的特性を発揮できるか否かの検査が行われる。
【0003】
このような半導体装置の電気的特性の評価を行う半導体検査装置の例を、図10に示す。
【0004】
図10は、従来の半導体検査装置101の断面構成を示す図である。従来の半導体検査装置101は、カード状の検査ボード102と、検査ボード102に根元側の端部が固定された測定針103と、測定針103の先端側が測定対象である半導体装置に対して垂直な方向に向くように測定針103の方向を規制する規制板104とを備えている。
【0005】
従来の半導体検査装置101によって、その電気的特性を測定される半導体装置112は、測定針103の位置を撮像画像によって認識するためのカメラ114とともに測定用のステージ111に搭載されている。
【0006】
図11に示すように、ステージ111は、カメラ114によって測定針103の位置を確認した後、半導体装置112の電極パッド113と測定針103との位置関係が正しい状態となるように、図11中白矢印115で示された方向に移動する。
【0007】
ステージ111が移動して、図12に示すように測定針103と電極パッド113との垂直方向の位置関係が正しい状態、すなわち、電極パッド113が測定針103の真下に来た状態となると、検査ボード102が図12中の白矢印116に示すように、ステージ111に近づく側に移動する。
【0008】
このようにして、それぞれの測定針103が所定の電極パッド113に接触すると、検査ボード102からの測定信号が測定針103を通して半導体装置112の電極パッド113に印加され、半導体装置112に形成された半導体回路の電気的特性が検査される。
【0009】
このような、測定針を半導体装置の電極パッドに当接させて半導体装置の電気的特性を測定する半導体検査装置として、測定針の位置を規制する規制板をガラスエポキシ樹脂で構成することで、従来のセラミック製の規制板と比較して低コストの半導体検査装置を実現することが特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−261744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来の半導体検査装置101は、測定される半導体装置とともにステージ111に載置されているカメラ114によって測定針103の位置を検出し、検出された測定針103の位置情報からステージ111を正しい位置に移動させることができるため、ステージ111上のカメラ114と被測定物である半導体装置112との位置関係を正確に規定しておくことによって、半導体装置112の電気的特性の測定を自動的に行うことができる。
【0012】
しかし、測定針103が半導体基板112に対して垂直な方向となるように配置されているため、カメラ114によって測定針103を正しく認識できずに、ステージ111上の半導体装置112の電極パッド113と、測定針103との垂直方向の位置関係を正しく配置することができない場合があった。
【0013】
測定針103と電極パッド113との垂直方向の位置関係が正しく配置されていない状態では、図13に白矢印118として示すように、検査を行うために検査ボード102が半導体装置112に近づいた際、測定針103が電極パッド113に正しく接触せず、半導体基板112やステージ111上の誤った位置117に衝突してしまう。このような事態になると、測定針103自体や、被検査物である半導体装置112、カメラ114などが損傷してしまうとう問題があった。
【0014】
本発明は上記従来の半導体検査装置の問題点に鑑み、半導体基板に対して垂直な方向に測定針が配置された半導体検査装置において、測定針の位置を正確に認識して測定針を正確に半導体装置の電極パッドに接触させることができる半導体検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明の半導体検査装置は、検査ボードと、前記検査ボードに接続された測定針と、前記測定針の先端部側を、測定対象の半導体装置に対して垂直となるように規制する規制板と、前記測定針の先端部の位置を光学的に検出し、前記測定対象の半導体装置を所定の検査位置に移動させることができるステージとを備え、前記規制板の前記ステージに対向する面に、前記測定針の先端部の位置を示す指標が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の半導体検査装置は、測定対象である半導体装置に対して垂直となるように配置された測定針の先端部の位置を示す指標が、測定針の位置を規制する規制板のステージに対向する面に配置されている。このため、測定針の先端部の位置を容易に検出することができ、測定対象の半導体装置を正しい測定位置に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる半導体検査装置の構成を示す要部拡大断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態にかかる半導体検査装置において取得された、規制板の画像イメージを示す図である。
【図3】比較例としての、従来の半導体検査装置において取得された、規制板の画像イメージを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる半導体検査装置の、測定針の先端部近傍の状態を示す要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかる半導体検査装置において、測定針の先端部の位置を示す指標に対するフォーカス位置を説明するための図である。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる半導体検査装置の構成を示す要部拡大断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態にかかる半導体検査装置に置いて取得された、規制板の画像イメージを示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態にかかる半導体検査装置の構成を示す要部拡大断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態にかかる半導体検査装置に置いて取得された、規制板の画像イメージを示す図である。
【図10】従来の半導体検査装置の構成を示す要部拡大断面図である。
【図11】従来の半導体検査装置における検査状態の第1の段階を説明するための図である。
【図12】従来の半導体検査装置における検査状態の第2の段階を説明するための図である。
【図13】従来の半導体検査装置において、測定針の位置が正しく認識されなかった場合の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の半導体検査装置は、検査ボードと、前記検査ボードに接続された測定針と、前記測定針の先端部側を、測定対象の半導体装置に対して垂直となるように規制する規制板と、前記測定針の先端部の位置を光学的に検出し、前記測定対象の半導体装置を所定の検査位置に移動させることができるステージとを備え、前記規制板の前記ステージに対向する面に、前記測定針の先端部の位置を示す指標が配置されている。
【0019】
このようにすることで本発明の半導体検査装置は、測定針の先端部側がステージ上の半導体装置に対して垂直になるように配置されているため、ステージから光学的に検出することが困難な測定針の先端部の位置を、規制板に配置された指標を用いることで容易にかつ確実に検出することができる。このため、ステージが測定対象の半導体装置を正確な測定位置に移動させることができる。
【0020】
上記構成の半導体検査装置において、前記指標は、その先端が前記測定針の先端部の位置を指し示すように配置された針状物であることが好ましい。このようにすることで、指標を用いて測定針の先端部の位置を容易に検出することができる。
【0021】
また、前記指標は、その先端が前記測定針の先端部の位置を指し示すように配置された、前記ステージの表面に対向する主面を有する板状物であることが好ましい。このようにすることで、指標をステージから光学的に検出し易くなり、測定針の先端部の位置をより確実に認識することができる。
【0022】
さらに、前記指標は、基底部に比べて先端が前記ステージに近くなるように配置されていることが好ましい。このようにすることで、指標を光学的に検出する際にフォーカスが合わせ易くなり、指標に基づいてより確実に測定針の先端部を検出することができる。
【0023】
この場合において、前記指標の先端が、前記ステージから見て前記測定針の先端部の位置よりも遠い位置にあることが好ましい。このようにすることで、指標が測定対象の半導体装置や光学的な指標検出手段に衝突してこれらを損傷してしまう可能性を排除することができる。
【0024】
また、前記指標が、前記測定針がその中心に位置するように配置された板状物であることが好ましい。このようにすることで、光学的に検出しやすい板状物を用いてその中心にある測定針の先端部を容易に検出することができる。
【0025】
さらに、この場合において、前記指標が、前記ステージに近い側ほど表面積が小さくなるように複数の板状物が積層されて段状に形成されていることが好ましい。このようにすることで、積層された板状物を段階的に検出していくことで、容易、かつ、確実に測定針の先端部の位置を検出することができる。
【0026】
以下、本発明の半導体検査装置について図面を参照して説明する。
【0027】
なお、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明にかかる半導体検査装置を構成する部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明の半導体検査装置は、参照する各図に示されていない任意の構成部材を備えることができる。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を必ずしも忠実に表したものではない。
【0028】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる半導体検査装置の構成を示す、要部拡大断面である。
【0029】
本実施形態の半導体検査装置1は、カード状の検査ボード2と、検査ボード2に根元側の端部が固定された測定針3と、測定針3の先端部側が測定対象である半導体装置12に対して垂直となるように測定針3の方向を規制する規制板4と、測定対象である半導体装置が搭載されるステージ11を備えている。
【0030】
検査ボード2は、図示しない半導体検査装置1のテスター回路部分と電気的に接続されている。検査対象の半導体装置12の表面に形成された電極パッド13に測定針が接触すると、テスター回路から所定の測定信号が半導体装置12に形成された半導体回路に印加され、この測定信号に対する半導体回路からの応答信号が測定針3を介して検査ボード2からテスター回路に伝わって、半導体回路の電気的特性が判定される。
【0031】
半導体装置12の表面には、電極パッド13が形成されている。近年の半導体装置12の小型化高密度化により、電極パッド13の面積が小さくなり、また、電極パッド13の配置間隔も狭くなっている。本実施形態の半導体検査装置1は、このように小面積で高密度に配置された電極パッド13に測定針3を正確に接触させることができるように、測定針3の検査ボード2に固定された根元側とは反対の側である、電極パッド13に接触する先端部側が、測定対象である半導体装置12に対して垂直となるように配置された、いわゆる垂直プローブタイプの半導体検査装置1である。なお、図1では、図面が煩雑となることを避けるために、測定針3と半導体装置12の電極パッド13について、それぞれ2つのみを図示しているが、本実施形態の半導体検査装置1および測定対象である半導体装置12において、測定針3および電極パッド13が2個のものに限られないことは言うまでもない。
【0032】
規制板4は、検査ボード2と所定の間隔を有して、固定部材5によって検査ボード2に固着されている。測定針3の先端部側は、規制板4に形成された貫通孔によって測定対象である半導体装置12に対して垂直となるように規制されている。なお、本明細書において半導体装置12に対して垂直とは、半導体装置12を構成する半導体基板の主面方向に対して垂直であるという意味であり、通常は、半導体装置12が搭載されるステージ11の、半導体装置12が搭載される搭載面に対して垂直であることを示している。
【0033】
また、本実施形態の半導体検査装置1では、測定針3の先端部側が規制板4の貫通孔によって、半導体装置12に対して垂直となるように規制されているものを示した。このように、規制板4の貫通孔を用いて測定針3を規制することで、測定針3が規制板4に対して可動となり、電極パッド13に接触したときに測定針3が図1における上側に撓むように湾曲することができる。このため、測定針3が電極パッド13の表面を傷つけてしまうことを回避できるとともに、測定針3の先端部の高さ方向にばらつきがあったとしても、それぞれの測定針3ごとに湾曲することでこのばらつきが吸収できるようになる。しかし、本実施形態における規制板4による測定針3の規制方法は、貫通孔によって可動な状態で規制する方法に限らず、例えば、規制板4に測定針3の先端部が固定されていて、規制板4全体を検査ボード2に対して図1における上下方向に可動であるようにすることもできる。このように、規制板4は、測定針3の先端部側を半導体装置12に対して垂直となるように規制する限りにおいて、さまざまな構成を採ることができる。
【0034】
規制板4の、測定対象である半導体装置12が搭載されるステージ11に対向する面には、測定針3の先端部を示す指標として、先端に行くにしたがってその径が細くなる針状の誘導針6が配置されている。本実施形態の半導体検査装置1では、後述するように、測定針3の先端位置を光学的に検出するものであるため、測定針3の先端部の位置を示す指標は、カメラなどによって光学的に認識可能な指標である。図1に示すように、誘導針6は、規制板4のステージ11側の表面にその基底部が固着され、誘導針6の先端が測定針3の先端部に向かうように、規制板4に対して傾斜して配置されている。
【0035】
ステージ11上には、搭載される測定対象の半導体装置12との間に所定の位置関係を保って、カメラ14が配置されている。カメラ14は、固体撮像素子(CCD)などの画像データを得ることができる周知の光学的なデバイスが利用でき、規制板4のステージ11に対向する側の面を観視して、測定針3と誘導針6の位置を認識することができる。また、ステージ11は、少なくとも半導体装置12が搭載されている搭載面における二次元方向に移動することができ、図示しない制御手段によって、カメラ14で検出された測定針3の位置情報に基づいてステージ11が移動することで、搭載されている半導体装置12の電極パッド13が、その電極パッド13に接触する所定の測定針3の真下に位置するようになる。
【0036】
測定針3の真下に電極パッド13が位置する状態で、検査ボード2とステージ11との少なくとも一方が互いに近づく方向に移動して、測定針3が所定の電極パッド13に接触し、半導体装置12に形成された半導体回路の電気的特性が測定される。
【0037】
図2は、本実施形態の半導体検査装置1において、ステージ11上に配置されたカメラ14から規制板4のステージ11に対向する面を観視したときに得られる画像の例を示している。
【0038】
本実施形態の半導体検査装置1では、測定針3それぞれに対してその先端部を指し示すように針状の誘導針6が配置されている。このため、図2に示すように、カメラ14により得られる規制板4の画像では、測定針3と誘導針6とを同時に観測することができる。
【0039】
図3は、比較例としての、図10で説明した従来の半導体検査装置101において、ステージ111に配置されたカメラ114により得られた規制板104の画像である。図3に示す、従来の半導体検査装置101の規制板104の画像では、測定針103のみが見えることになる。
【0040】
上記したように、本実施形態の半導体検査装置1では、測定針3が半導体装置12に対して垂直に配置された垂直プローブタイプであるため、ステージ11のカメラ14によって規制板4を観視した場合、測定針3はその先端を真下から見ることになり、測定針3の太さのみが点状の極めて小さな円として画像に現れることになる。しかも、測定針3の太さは、先端部がより細く尖っている以外一定であるため、カメラ14のフォーカスを調整しても測定針3を明瞭に検出することは極めて困難である。これに対し、測定針3の先端部を指し示すように配置された誘導針6は、ステージ11の搭載面に平行な方向の成分を持っているため、カメラ14によって光学的にその位置を検出しやすい。このため、カメラ14によってまず誘導針6を検出して、誘導針6が指し示す方向に測定針3の先端部を探すことで、平面視したときに極めて小さな点状の測定針3の先端部位置を、容易に検出することができる。
【0041】
本実施形態の半導体検査装置1では、測定針3の先端部を指し示す誘導針6を備えているため、測定針103のみが配置されていた従来の半導体検査装置101のカメラ114で、測定針103の先端部の位置を正確に検出できないことに起因して生じる、測定針103が半導体装置112などに接触してしまうという不具合を効果的に防止することができる。
【0042】
図4は、本実施形態の半導体検査装置1における、規制板4の測定針3と誘導針6とが配置された部分を示す要部拡大断面図である。
【0043】
図4に示すように、本実施形態の半導体検査装置1において、測定針3の先端部方向を指し示す誘導針6は、その基底部に比べて先端が、規制板4よりも遠い位置、すなわち、規制板4に対向するステージ11に近くなるように配置されている。また、誘導針6の先端の位置は、ステージ11から見て測定針3の先端よりも図中にhとして示す距離だけ遠い位置に、言い換えると、距離h分だけ規制板4に近い位置にある。
【0044】
なお、一例として、測定針3の先端部と誘導針6の先端との高さの差hを0.1mm〜0.5mm程度とすることができる。
【0045】
このように、誘導針6の先端を測定針3の先端部よりもステージ11から遠い位置にすることで、測定針3が半導体装置12の電極パッド13に接触して半導体装置12の半導体回路の電気的特性を検査する際に、誘導針6が半導体装置12に接触してしまうことを回避することができる。
【0046】
また、誘導針6の基底部を規制板4に接触させ、先端を規制板4から遠ざけて、対向するステージ11に近くなるように配置し、誘導針6の先端と測定針3の先端部との間に高さhの段差を形成することで、測定針3の先端部により容易にフォーカスを合わせることができ、検出針3の先端部の位置を確実に検出することができる。
【0047】
このことを、図5を用いて具体的に説明する。
【0048】
図5は、図4に断面形状を示した本実施形態の半導体検査装置1における測定針3と誘導針6とが配置された規制板4を、ステージ11のカメラ14から観視した状態のイメージ図である。
【0049】
図5に示すように、誘導針6は、図5中に領域Aとして示す基底部側が規制板4に最も近い位置にあり、誘導針6の中間部分の領域Bが基底部の領域Aよりも規制板4から遠く、さらに、誘導針6の先端側の領域Cが、領域Bよりもさらに規制板4から遠い位置にある。そして、測定針3の先端部は、針状の指標6の先端側の領域Aよりもさらに規制板4から遠い位置にある。
【0050】
ここで、針状の指標6の幅は、基底部の領域Aの幅が最も広いため、カメラ14によって領域Aは容易に検出することができる。領域Aが認識されたとき、隣り合う指標6の中間部分である領域Bは、領域Aよりもステージ11に近い手前側にあることから、カメラ14のフォーカスをより近い距離に合うように調整することで、領域Bが明瞭に認識できる。また、その後、カメラ14のフォーカスをさらに近い側に合うように調整することで、誘導針6の先端側の領域Cの部分を認識することができる。そして、さらにカメラ14のフォーカスをより手前に合うように調整して誘導針6が指し示す方向をたどることで、さらにステージ11に近い位置にある測定針3の先端部を容易に検出することが可能となる。
【0051】
このように、本実施形態の半導体検査装置1では、平面視したときに面積が最も大きく、より検出しやすい誘導針6の基底部をまず認識して、その後、誘導針6の中間部、先端へとフォーカスを調整することで、誘導針6によって測定針3の平面的な配置位置を指し示すのに留まらず、カメラ14から見た奥行き方向である、規制板4からの高さ方向においてもカメラ14を測定針3の先端部に誘導することができる。
【0052】
以上、本実施形態の半導体検査装置1について、針状の指標として、その太さが先端に行くにしたがって細くなる誘導針6を用いたものを例示して説明した。しかし、本実施形態の半導体検査装置1が規制板4の表面に備える針状の指標としては、上記説明した形状の誘導針6には限られない。
【0053】
例えば、測定針3のように、先端部のみが急激に細くなっていて、基底部側の太さは一定である形状のものを、上記図示した誘導針6に替えて針状の指標として用いることができる。また、例えば、基底部側は角柱状で、その先端側に短い先端の尖った針状物が固着されている形態など、少なくとも先端が針状で一つの方向を明確に指し示す形状であれば、測定針3の先端部の位置を指し示す針状の指標として用いることができる。
【0054】
また、図2に示すように、本実施形態の半導体検査装置1において、複数の測定針3全てに対応させて同じ本数の誘導針6を指標として配置した例を示した。しかし、カメラ14が誘導針6を十分に認識でき、測定針3の先端部の位置を明瞭に検出することができるのであれば、測定針3の数と誘導針6の数は必ずしも同一にする必要はない。
【0055】
また、誘導針6の長さや配置位置についても、図2に示したように、それぞれの測定針3の外側に同じ長さの誘導針を、平行に等間隔で並べることは必須ではなく、誘導針6の長さを異ならせたり、平面的な配置角度を変化させたりして、カメラ14から誘導針6がより認識しやすいように、その構成と配置を適宜設計することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、本実施形態にかかる半導体検査装置の第2の実施形態を説明する。
【0057】
第2の実施形態にかかる半導体検査装置21は、図1および図2を用いて説明した第1の実施形態にかかる半導体装置1と比較して、規制板24に配置された測定針23の先端部を示す指標が、板状物の指標としての三角板26である点で、指標が針状の誘導針6であった半導体検査装置1と異なっている。本実施形態で説明する半導体検査装置21において、ステージ11およびステージに搭載された半導体装置12やカメラ14は、図1および図2を用いて説明した第1の実施形態にかかる半導体装置1のものと全く同じであるため、同じ符号を付してその説明は省略する。
【0058】
図6は、第2の実施形態にかかる半導体検査装置21の断面構成を示す図である。第1の実施形態における図1に相当する図面である。また、図7は、第2の実施形態にかかる半導体検査装置21の規制板24をステージ11の側から見た平面状態を示す図である。図7は、第1の実施形態における図2に相当する図面である。
【0059】
図6に示すように、本実施形態の半導体検査装置21も、図示しない半導体検査装置のテスター回路に接続されているカード状の検査ボード22と、検査ボード22に根元側の端部が固定された測定針23と、測定針23の先端部側が半導体装置12に対して垂直となるように測定針23の方向を規制する規制板24を備えている。
【0060】
図6においても、図面が煩雑となることを避けるために、測定針23と半導体装置12の電極パッド13について、それぞれ2つのみを図示しているが、本実施形態の半導体検査装置21および測定対象である半導体装置12において、測定針23および電極パッド13が2個のものに限られないことは言うまでもない。
【0061】
規制板24は、検査ボード22と所定の間隔を有して固定部材25によって固着されていて、測定針23の先端部側は、規制板24に形成された貫通孔によって測定対象である半導体装置12に対して垂直となるように規制されている。本実施形態においても、規制板24は、測定針23の先端部側を半導体装置12に対して垂直となるように規制する限りにおいて、さまざまな構成を採ることができる。
【0062】
規制板24の、測定対象である半導体装置12が搭載されるステージ11に対向する面には、測定針23の先端部を示す板状物の指標として、先端に行くにしたがってその幅が小さくなる三角形状の三角板26が配置されている。図6に示すように、三角板26は、規制板24のステージ11側の表面にその基底部が固着され、三角板26の尖っている先端が測定針23の先端部に向かうように、規制板24に対して傾斜して配置されている。
【0063】
本実施形態の半導体検査装置21における三角板26は、最も大きな面積を有するその三角形の主面が、ステージ11の表面であるカメラ14が配置されている面に対向するように配置されている。このため、図7に示すように、カメラ14が撮像した規制板24の画像において、三角板26が大きな面積を占めているため、第1の実施形態として示した半導体検査装置1の針状の誘導針6と比較してもさらに検出されやすく、三角板26が指し示す位置に存在する測定針23の先端部の位置を極めて容易に検出することができる。
【0064】
このように、本実施形態の半導体検査装置21では、カメラ14によって、三角板26をより容易、かつ、確実に位置検出することができるため、例えば、図7に示すように、測定針23の数に対して三角板26の数を大幅に減らすこともできる。
【0065】
なお、本実施形態においても、三角板26を規制板24の表面に対して傾斜して配置し、さらに、三角板26の先端と測定針23の先端部との間に高さの差を設けることで、三角形板26のより広い面積部分である規制板24に近い位置から、三角板26の先端、さらに、測定針23の先端部まで、カメラ14のフォーカス位置を手前側に変化させていくことで順次確実に検出することができる。このため、本実施形態の半導体検査装置21においても、傾斜して配置された三角板26によって、測定針26の平面的な位置のみならず、その先端部の奥行き方向の位置も指し示すことができる。
【0066】
以上、第2の実施形態においては、板状物の指標として三角板26を用いることを例示して説明した。しかし、本実施形態に用いられる板状物の指標としては、主面の形状が三角形の三角板に限られるものではない。例えば、主面の形状が菱形の板状指標を用いることができ、また、先端部に向かって両側面が湾曲しながらその幅が狭くなっていく主面が楔形の板状指標など、先端がより細く、または、狭くなっていて平面的に一つの方向を指し示すことができる主面形状を持っているものであれば、各種の形状のものを板材物としての指標として用いることができる。
【0067】
なお、本実施形態に用いられる板状物の指標において、その厚みが一定である必要がないことも言うまでもない。
【0068】
(第3の実施形態)
次に、本実施形態にかかる半導体検査装置の第3の実施形態を説明する。
【0069】
第3の実施形態にかかる半導体検査装置31は、第1の実施形態にかかる半導体装置1、第2の実施形態にかかる半導体検査装置21と比較して、規制板34に形成された測定針33の先端部を示す指標が、測定針33を中心に位置するように配置された板状物としての段状円板36となっている点で、指標が針状の誘導針6であった半導体検査装置1、三角形板26であった半導体検査装置21と異なっている。なお、本実施形態で説明する半導体検査装置31においても、ステージ11およびステージに搭載された半導体装置12やカメラ14は、第1の実施形態にかかる半導体検査装置1、第2の実施形態にかかる半導体検査装置21と同じであるため、同じ符号を付してその説明は省略する。
【0070】
図8は、第3の実施形態にかかる半導体検査装置31の断面構成を示す図である。第1の実施形態における図1、第2の実施形態にかかる図6に相当する図面である。また、図9は、第3の実施形態にかかる半導体検査装置31の規制板34をステージ11の側から見た平面状態を示す図である。図9は、第1の実施形態における図2、第2の実施形態にかかる図7に相当する図面である。
【0071】
図8に示すように、本実施形態の半導体検査装置31も、図示しないテスター回路に接続されているカード状の検査ボード32、検査ボード32に根元側の端部が固定された測定針33、測定針33の先端部側が半導体装置12に対して垂直となるように規制する規制板34を備えている。
【0072】
図8においても、図面が煩雑となることを避けるために、測定針33と半導体装置12の電極パッド13について、それぞれ2つのみを図示しているが、本実施形態の半導体検査装置31および測定対象である半導体装置12において、測定針33および電極パッド13が2個のものに限られないことは言うまでもない。
【0073】
規制板34は、検査ボード32と所定の間隔を有して固定部材35によって固着されていて、測定針33の先端部側は、規制板34に形成された貫通孔によって測定対象である半導体装置12に対して垂直となるように規制されている。本実施形態においても、規制板34は、測定針33の先端部側を半導体装置12に対して垂直となるように規制する限りにおいて、さまざまな構成を採ることができる。
【0074】
規制板34の、測定対象である半導体装置12が搭載されるステージ11に対向する面には、測定針33を中心として、測定針33の先端側に近づくにつれてその直径が小さくなるように積み重ねられた段状円板36が、測定針33がその中心に位置するように配置された板状物の指標として配置されている。
【0075】
本実施形態の半導体検査装置31における段状円板36は、規制板34に密接して配置された直径が最大である第1の円板36a、第1の円板36aに積層された第1の円板36aよりも直径の小さな第2の円板36b、第2の円板36bに積層された第2の円板36bよりもさらに直径の小さな第3の円板36cの三枚の円板36a、36b、36cから構成されている。このように、本実施形態の半導体検査装置31における段状円板36は、その主面が、いずれもステージ11の表面であるカメラ14が配置されている面に対向するように、かつ、測定針33を中心とするように配置された、三枚の円板36a、36b、36cで構成されているため、図9に示すように、カメラ14が撮像した規制板34の画像において、段状円板36を容易に検出することができ、その中心に位置する測定針33の位置を容易に認識することができる。
【0076】
特に、本実施形態の半導体検査装置31では、指標である段状円板36の中心に測定針33が位置しているために、指標である段状円板36の外形を認識することができれば、直ちに測定針33の位置を検出することができる。このため、測定針3、23の配置位置の方向を指し示す指標であった、第1の実施形態における半導体検査装置1の誘導針6や、第2の実施形態における半導体検査装置21の三角板26と比較しても、より確実に、かつ、迅速に、測定針31の位置を検出することができる。
【0077】
また、本実施形態の半導体検査装置31の段状円板36は、直径が異なる3枚の円板36a、36b、36cを、ステージに近い側ほど表面積が小さくなるように順次積層して形成されている。このめ、カメラ14で、まず、最大面積の第1の円板36aを検出した後、フォーカス位置をより手前側に変化させていくことで、第2の円板36b、第3の円板36cを順次確実に検出することができ、最終的に第3の円板36cよりもさらに手前側に位置する測定針33の先端部位置を、容易に検出することができる。このため、本実施形態の半導体検査装置31においても、段状円板36によって、測定針33の平面的な位置のみならず、その先端部の奥行き方向の位置も指し示すことができる。
【0078】
以上、第3の実施形態として、三枚の円板36a、36b、36cを順次積層した段状円板36を用いることを例示した説明したが、本実施形態の規制板34に形成される測定針33の先端部位置を示す指標は、これに限られるものではない。例えば、測定針33を中心に位置するように配置された板状の指標として、円板を用いる場合でも、複数枚を積層した段状円板とはせずに、一枚の円板のみを指標として用いることができる。また、複数の円板を段状に積み重ねる場合でも、その枚数は例示した三枚に限られず、二枚や四枚以上の積層体とすることもできる。さらに、板状部材は、その平面形状から中心部の位置が明瞭に特定できる形状であれば円形には限られず、正方形や長方形、菱形などの矩形や、三角形、さらには、五角形、六角形などの多角形など、各種の形状を用いることができる。
【0079】
なお、図9に示すように、本実施形態の半導体検査装置31では、全ての測定針33に段状円板36を指標として配置した例を示したが、一部の測定針33にのみ指標を設けてもよいことは言うまでもない。
【0080】
以上、測定針の先端部側の方向を測定対象の半導体装置に対して垂直となるように規制する規制板に、測定針の先端部の位置を指し示す指標が配置された本発明の半導体検査装置について、具体例を挙げて説明した。
【0081】
本発明の半導体検査装置は、測定針の先端部を示す指標を有することで、ステージから測定針の先端部の位置を明確に検出することができ、測定針と半導体装置の電極パッドとの位置あわせを確実に行うことができる。
【0082】
なお、上記説明では、規制板に直接指標の一部が固着された例を各実施例として示したが、指標は必ずしもその一部が規制板上に密着している必要はない。例えば、測定針の先端部の周囲にリング状の指標を配置し、その固定部のみを規制板に固着するなど、指標自体が規制板から浮遊した状態で測定針の先端部位置を指し示すように配置することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の半導体検査装置は、測定対象の半導体装置の電極パッドに、確実に測定針を接触させることができ、効率よく半導体装置の電気的な特性を評価することができる半導体検査装置として有用である。
【符号の説明】
【0084】
1 半導体検査装置
2 検査ボード
3 測定針
4 規制板
6 誘導針(指標)
11 ステージ
12 半導体装置
13 電極パッド
14 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査ボードと、
前記検査ボードに接続された測定針と、
前記測定針の先端部側を、測定対象の半導体装置に対して垂直となるように規制する規制板と、
前記測定針の先端部の位置を光学的に検出し、前記測定対象の半導体装置を所定の検査位置に移動させることができるステージとを備え、
前記規制板の前記ステージに対向する面に、前記測定針の先端部の位置を示す指標が配置されていることを特徴とする半導体検査装置。
【請求項2】
前記指標は、その先端が前記測定針の先端部の位置を指し示すように配置された針状物である請求項1に記載の半導体検査装置。
【請求項3】
前記指標は、その先端が前記測定針の先端部の位置を指し示すように配置された、前記ステージの表面に対向する主面を有する板状物である請求項1に記載の半導体検査装置。
【請求項4】
前記指標は、基底部に比べて先端が前記ステージに近くなるように配置されている請求項1〜3のいずれかに記載の半導体検査装置。
【請求項5】
前記指標の先端が、前記ステージから見て前記測定針の先端部の位置よりも遠い位置にある請求項4に記載の半導体検査装置。
【請求項6】
前記指標が、前記測定針がその中心に位置するように配置された板状物である請求項1に記載の半導体定装置。
【請求項7】
前記指標が、前記ステージに近い側ほど表面積が小さくなるように複数の板状物が積層されて段状に形成されている請求項6に記載の半導体定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−3108(P2013−3108A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137654(P2011−137654)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】