半導体発光素子およびその製造方法
【課題】高い信頼性を保ちつつ輝度が高められた半導体発光素子および量産性に富むその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体発光素子は、発光層を含む半導体積層体と、反射層と、支持基板と、第1接合電極と、第2接合電極と、を有する。前記反射層は、前記半導体積層体の側の第1の面および前記第1の面の反対の側の第2の面を有し、金属からなる。前記第1接合電極は、前記第2の面と前記支持基板との間に設けられ、前記支持基板の側に突出した凸部と、平面視で前記凸部の周囲に設けられた底部と、を有する。前記第2接合電極は、前記第1接合電極の前記凸部と嵌合する凹部を有し、前記支持基板と、前記第1接合電極と、を接合することを特徴とする。
【解決手段】半導体発光素子は、発光層を含む半導体積層体と、反射層と、支持基板と、第1接合電極と、第2接合電極と、を有する。前記反射層は、前記半導体積層体の側の第1の面および前記第1の面の反対の側の第2の面を有し、金属からなる。前記第1接合電極は、前記第2の面と前記支持基板との間に設けられ、前記支持基板の側に突出した凸部と、平面視で前記凸部の周囲に設けられた底部と、を有する。前記第2接合電極は、前記第1接合電極の前記凸部と嵌合する凹部を有し、前記支持基板と、前記第1接合電極と、を接合することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置、表示装置、信号機などに用いる発光素子に対して、高輝度化が益々要求されている。
【0003】
発光層の下方に金属反射層を設けると、発光層から下方に向かう放出光が反射され、上方での光取り出し効率を高め高輝度化が容易となる。この場合、例えば、シリコン(Si)基板と、発光層を含む半導体基板と、をウェーハ接着したのち、結晶成長基板を除去した薄膜積層型発光素子とすると、高い量産性とすることが容易となる。
【0004】
金属膜の反射率は、可視光の波長が短くなるに応じて低下する。特に安定な電極金属であるAu、Pt、Pdなどの光反射率は、450nmにおいて60%以下に低下する。このため、高い光取り出し効率を得ることが困難となる。
【0005】
これに対して、AgやAlの光反射率は、450nmで90%以上と高くできる。しかしながら、AgやAlではマイグレーションを生じやすく信頼性が低下する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−335793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高い信頼性を保ちつつ輝度が高められた半導体発光素子および量産性に富むその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態にかかる半導体発光素子は、発光層を含む半導体積層体と、反射層と、支持基板と、第1接合電極と、第2接合電極と、を有する。前記反射層は、前記半導体積層体の側の第1の面および前記第1の面の反対の側の第2の面を有し、金属からなる。前記第1接合電極は、前記第2の面と前記支持基板との間に設けられ、前記支持基板の側に突出した凸部と、平面視で前記凸部の周囲に設けられた底部と、を有する。前記第2接合電極は、前記第1接合電極の前記凸部と嵌合する凹部を有し、前記支持基板と、前記第1接合電極と、を接合することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)は第1の実施形態にかかる半導体発光素子の模式平面図、図1(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
【図2】図2(a)〜(f)は、第1の実施形態にかかる半導体発光素子の製造方法の工程断面図である。
【図3】図3(a)は熱処理前の反射層のAg含有率の分布を示すグラフ図、図3(b)は熱処理後の反射層のAg含有率の分布を示すグラフ図、である。
【図4】比較例にかかる半導体発光素子の模式断面図である。
【図5】図5(a)〜(e)は、第1の実施形態にかかる半導体発光素子の変形例の製造方法の工程断面図、である。
【図6】図6(a)は熱処理前の反射層のAg含有率の分布を示すグラフ図、図6(b)は熱処理後の反射層のAg含有率の分布を示すグラフ図、である。
【図7】第2の実施形態にかかる半導体発光素子の模式断面図である。
【図8】波長に対する金属の光反射率の依存性を示すグラフ図である。
【図9】第3の実施形態にかかる半導体発光素子の模式断面図である。
【図10】図10(a)〜(f)は、第3の実施形態にかかる半導体発光素子の製造方法の工程断面図である。
【図11】第3の実施形態にかかる変形例の模式断面図である。
【図12】比較例にかかる半導体発光素子ウェーハの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1(a)は第1の実施形態にかかる半導体発光素子の模式平面図、図1(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
半導体発光素子は、放出光を放出可能な発光層22を含む半導体積層体30と、半導体積層体30の第1の面30aの側に設けられた反射層44と、第1接合電極48と、導電性SiやGeなどからなる支持基板10と、支持基板10に設けられた第2接合電極12と、を有する。半導体積層体30と、反射層44と、の間に、透明導電膜42を設けてもよい。
【0011】
半導体積層体30は、Inx(GayAl1−y)1−xP(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)なる組成式で表すInGaAlP系またはAlxGa1−xAs(0≦x≦0.6)なる組成式で表すAlGaAs系の材料を含むものとする。
【0012】
反射層44は、中央に設けられた内部領域44bと、平面視で内部領域44bの周囲に設けられた外部領域44aと、を有する。本具体例においては、外部領域44aは、平面視で内部領域44bを囲むように設けられている。外部領域44aの(合金後の)厚さT2は、内部領域44bの(合金後の)厚さT1よりも小さい。また、反射層44の第1の面44cは放出光を反射する。反射層44の第1の面44cの反対側の第2の面44dは、外部領域44aと、内部領域44bと、の間に段差T3(=T1−T2)を有する。
【0013】
もし、半導体積層体30がAuやAgなどの反射層44に直接に接すると、合金層が形成され光損失が大きくなる場合がある。また、半導体積層体30と、反射層44と、の間に透明導電膜42を設けると、半導体積層体30と、透明導電膜42と、の間で合金層を形成しにくい。このため、光損失を低減することができるのでより好ましい。
【0014】
第1接合電極48は、反射層44の第2の面44dの段差T3を覆うように設けられる。すなわち、第1接合電極48は、反射層44の内部領域44bに設けられた凸部48eと、内部領域44bの周囲の外部領域44aに設けられた底部48fと、を有する。この結果、第1接合電極48には、段差T4を生じる。また、第2接合電極12を金属半田材とし、金属半田材を溶融すると、第1接合電極48の段差T4をうめつつ、第1接合電極48と支持基板10とを接合することができる。すなわち、第2接合電極12は、第1接合電極48の凸部48eと嵌合した凹部を有する。金属半田材が凝固することにより、ウェーハ間の接着強度を高めることができる。なお、第2電極62は、導電性を有する支持基板10の裏面に設けられる。
【0015】
半導体積層体30がInGaAlP系からなるものとする。この場合、発光層22は、緑〜赤色波長範囲の光を放出できる。図1(b)において、半導体積層体30は、透明導電膜42の側から、第2導電形のコンタクト層26、第2導電形の第2の層24、発光層22、第1導電形の第1の層20、をこの順序で有している。さらに、GaPなどからなるコンタクト層26の表面には、開口部40aを有するSiO2やSi3N4などからなる絶縁層40を設けてもよい。このようにすると、電流は絶縁層40によりブロックされ、開口部42aを通って、第1電極60と第1接合電極48との間を流れる。このため、開口部42aの上方の発光領域ERが発光する。例えば、発光領域ERから上方へ向かう光G1、発光領域ERから下方へ向かい反射層44により反射された光G2、などを上方において取り出すことができる。
【0016】
第2接合電極12は、支持基板10に設けられた金属半田材とすることができる。なお、支持基板10の表面に、例えばTi/Pt/AuやCr/Auを設け、その上に第2接合電極12を設けてもよい。溶融した金属半田材は、段差T4をうめつつ、第1接合電極48と、支持基板10と、を接合する。第2接合電極12の表面をAuとする場合、第1接合電極48の表面もAuとすると、加熱加圧により熱圧着モードでも接合可能である。なお、図1(b)において、内部領域44bは矩形であるが、形状はこれに限定されず、例えば円形であってもよい。
【0017】
図2(a)〜(f)は、第1の実施形態にかかる半導体発光素子の製造方法の工程断面図である。
なお、図2(a)〜(f)は、図1(b)において端部OR(破線)を示している。図2(a)の模式図において、結晶成長基板50の上に、半導体積層体30が形成される。なお、結晶成長基板50は、GaAsからなるものとするが本発明はこれに限定されない。半導体積層体30は、結晶成長基板50の側から、第1導電形の第1の層20、発光層22、第2導電形の第2の層24、光損失が少ない第2導電形GaPなどからなるコンタクト層26を有する。第1の層20および第2の層24は、発光層40を両側から挟んで、縦方向に光を閉じ込めるクラッド層を含むことができる。コンタクト層26の上に、SiO2やSi3N4などからなる絶縁層40を形成する。
【0018】
絶縁層40の厚さは、例えば50〜200nmの範囲が好ましい。絶縁層40には開口部が設けられるが、端部ORには図示されない。絶縁層40およびその開口部に露出したコンタクト層26を覆うように、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化亜鉛、酸化錫などからなる透明導電膜42が設けられる。透明導電膜42は、可視光の一部を吸収するので、半導体積層体30と反射層44との合金を抑制できる範囲内で、例えば50〜200nmと薄くすることが好ましい。
【0019】
透明導電膜42の第2の面42bに第1金属からなる第1の膜45を形成する。第1金属は、Ag、Ag合金、Alなどとする。また、第1の膜45の厚さは、反射率を高く保つことが可能な範囲で薄く、例えば50〜400nmの範囲とすることが好ましい。
【0020】
図2(b)の模式図において、フォトレジストを用いて第1の膜45のパターニングを行う。Agの場合、例えば燐酸を含む溶液エッチング法またはドライエッチング法を用いることができる。
【0021】
図2(c)の模式図において、パターニングされた第1の膜45の上面および第1の膜45が除去された透明導電膜42の領域を覆うように第2金属からなる第2の膜46を形成する。第2金属は、Auであるものとするが、材質はPd、Ptなどであってもよい。第2の膜46と透明導電膜42との密着強度は、第1の膜45と透明導電膜42との密着強度よりも高くできる。このようにすると、ダイシングプロセスなどに必要な密着強度を高く保つことが容易となる。
【0022】
図2(d)の模式図において、第2の膜46の上に、第1接合電極48を形成する。第1接合電極48は、例えば第2の膜46の側から、チタニウム(Ti)48a、白金(Pt)48bなどのバリア金属、金(Au)48cなどの金属をこの順序で含む。また、バリア金属としてタングステン(W)/ニッケル(Ni)などを用いることもできる。なお、第1接合電極48は、パターニングプロセスを必要としないので製造プロセスを簡素化できる。すなわち、フォトリソグラフィープロセスやパターニングプロセスの回数を低減でき、量産性の高い製造方法とすることができる。第1接合電極48は、内部領域44bbの上の凸部48eと、外部領域44aの上の底部49fと、を有する。
【0023】
他方、支持基板10の上に、金属半田材などからなる第2接合電極12を形成する。金属半田材としては、例えば、AuIn、AuSn(共晶温度:約280℃)、AuGe(共晶温度:約350℃)、AuSi(共晶温度:約380℃)などの共晶やInなどを用い、その厚さを1〜5μmなどとすることができる。
【0024】
図2(e)の模式図のように第1接合電極48と、第2接合電極12とを重ね合わせ加圧し、金属半田材の融点以上に加熱する。金属半田材の融点は、その材質によって、例えば150〜400℃の温度範囲内とすることができる。溶融した金属半田材は、第1接合電極48の段差T4を埋め、隙間を生じないようにウェーハ接着を行うので、支持基板10と、半導体積層体30と、の接着強度を高めることができる。なお、段差T4は、外縁部近傍における凸部48eの表面と、底部48fの表面と、の間で測るものとする。
【0025】
さらに、ウェーハ接着プロセスの熱処理の温度により、第1の膜45と第2の膜46との界面近傍から合金化が進みやすい。熱処理プロセスの温度および時間を変化することにより、合金の組成比を制御できる。この結果、第1の膜45と、第2の膜46と、の間の接合強度が高められる。なお、内部領域44bの透明導電膜42の側は、第1の膜45であるので、合金化しても外部領域44aの光反射率よりも高い光反射率とすることが容易である。
【0026】
図3(a)は熱処理前の反射層のAg含有率の分布を示すグラフ図、図3(b)は熱処理後の反射層のAg含有率の分布を示すグラフ図、である。
縦軸は内部領域44bのAg含有率(at%:原子数百分率)、横軸はウェーハ縦方向の位置、を表す。なお、熱処理プロセスは、ウェーハ接着プロセスであってもよいし、別プロセスとしてもよい。
【0027】
図3(a)は、図2(e)のB−B線に沿ったウェーハ縦方向のAg含有率の分布を示す。熱処理前では、第1の膜45はAgが100%、第2の膜46はAgがゼロ%、である。図3(b)は、図2(f)のB−B線に沿ったAg含有率の分布を示す。熱処理後では、AgおよびAuが相互に拡散し合い曲線Aから曲線Bのように合金化が進行する。第1の膜(Ag)45の厚さが、第2の膜(Au)46の厚さよりも大きいので、AgはAuに容易に入り込む。逆にAgもAuに入り込むが、透明導電膜42と接する側で、Ag含有率を95%以上に保つようにする。なお、図1(a)において、外部領域44aの幅を内部領域44bの幅よりも十分に小さくしても、Agのマイグレーションを抑制することができる。
【0028】
発明者らの実験によれば、Agからなる第1の膜45の厚さをAuからなる第2の膜46の厚さの約20倍とし、融解した金属半田材により350℃においてウェーハ接着を行った場合、透明導電膜42と接する内部領域44bのAg含有率は95(at%)以上とすることができた。この結果、内部領域44bの透明導電膜42側の光反射率は、Agの光反射率からの低下は2%以下とできることが判明した。すなわち、例えば、Agからなる第1の膜45の厚さを約200nm、Auからなる第2の膜46の厚さを約10nm、などとすればよい。
【0029】
また、外部領域44aには、主として横方向からAgが拡散されて合金層が形成される。合金化前にはAu膜であった外部領域44aの光反射率は、Agが拡散して合金化しても、透明導電膜42と接する面の内部領域44bの光反射率よりも低くなる。
【0030】
最後に、図2(f)の模式図のように、結晶成長基板50を除去する。この場合、アンモニアと過酸化水素との混合溶液などを用いることができるが、除去プロセスはこれに限定されない。
【0031】
このあと、外部領域44aの上方をダイシングラインとしてチップへの分離プロセスを行う。このようのすると、チップの端面に第1金属が露出せず、Agなどのマイグレーションによるpn接合の短絡やAgの硫化などを抑制することができ、信頼性を高めることができる。
【0032】
図4は比較例にかかる半導体発光素子の模式断面図である。
発光層122を含み、InAlGaP系材料からなる半導体積層体130の下方には絶縁膜140が設けられている。絶縁膜140に設けられた開口部140aにおいて、半導体積層体130と透明導電膜142とが接触している。透明導電膜142の下面の中央の領域には、Ag膜144が設けられている。さらに、外部領域となる透明導電膜142の下面には、Ag膜144よりも厚いAu膜145が設けられている。Ag膜144の表面とAu膜145の表面とを覆うようにTi、Ptなどのバリアメタルからなる接合電極112が設けられている。Si基板110と、接合電極112と、は、AuIn系の合金半田により接合されている。
【0033】
AgおよびAlの反射率はAuよりも高いので、開口部140aの上方の発光領域から下方へ向かう放出光はAg膜144により、上方へ効率よく反射される。しかしながら、AgおよびAlはマイグレーションを生じやすいので素子の端面まで延在すると、移動したAg粒子によりpn接合の短絡などを生じる。厚いAu膜145は、このAgのマイグレーションを抑制することができる。しかしながら、Ag膜144のパターニングプロセスと、Au膜145のパターニングプロセスと、がそれぞれ必要となる。このため、透明導電膜142の下面において、Ag膜144と、Au膜145と、の境界には空隙部150を生じやすい。AgやAg合金は、Auなどと比較して透明導電膜142との接着強度が十分とは言えない。このため、空隙部150の近傍から、Ag膜144の剥離が生じやすい。
【0034】
これに対して、第1の実施形態では、図2(c)のように、第2の膜46は、第1の膜45の表面および側面、透明導電膜42の表面を、隙間なく覆うように設けられる。このため、第1の膜45の剥離を抑制しつつ、チップ端面へのAgのマイグレーションが抑制できる。また、第1の実施形態では、第2の膜46のパターニングプロセスは不要である。さらに、第2の膜46と第1接合電極48と、は、連続したプロセスで形成できるので、金属膜形成プロセスの回数を低減できる。
【0035】
図5(a)〜(e)は、第1の実施形態の変形例にかかる半導体発光素子製造方法の工程断面図、である。
図5(a)の模式図において、半導体積層体30のコンタクト層26の上に、SiO2やSiNなどからなる絶縁膜40、ITOなどからなる透明導電膜42、をこの順序で形成する。絶縁膜40の厚さは、例えば50〜200nmの範囲が好ましい。また、透明導電膜42は、例えば50〜200nmと薄くすることが好ましい。さらに、透明導電膜42の面42bにAuからなる第2の膜46を形成する。
【0036】
図5(b)において、第2の膜46に、Agからなる第1の膜45を形成し、パターニングを行う。第1の膜45の厚さは、反射率を高く保つことが可能な範囲で薄く、例えば50〜400nmの範囲とすることが好ましい。
【0037】
図5(c)の模式図のように、パターニングされた第1の膜45の上面および第1の膜45が除去された領域に露出した第2の膜46を覆うように第1接合金属48を形成する。第1接合電極48は、例えば第2の膜46の側から、Ti/Ptなどのバリア金属、およびAuなどの金属をこの順序で含む。
【0038】
図5(d)の模式図のように第1接合電極48と、第2接合電極12とを重ね合わせ加圧し、金属半田材の融点以上に加熱する。溶融した金属半田材は、第1接合電極48と支持基板10との間に隙間を生じないように段差を埋めつつ、ウェーハ接合を行う。
【0039】
最後に、図5(e)の模式図のように、結晶成長基板50を除去する。この場合、アンモニアと過酸化水素との混合溶液などを用いることができるが、除去プロセスはこれに限定されない。また、ウェーハ接着温度が350℃近傍であると、第2の膜46と第1の膜45との界面領域が合金化される。すなわち、AuとAgとの合金層からなる反射層44が形成される。この場合、内部領域44bの透明導電膜42の側は第2の膜46であったので、熱処理により光反射率が高い第1金属の組成比を高め、外部領域44aの光反射率よりも高くする。
【0040】
反射層44は、厚さの大きい内部領域44bと、内部領域44bのまわりの外部領域44a、を含み、放出光を上方に向かって反射する。この変形例において、第1の膜45の側面は、第2の膜46と第1接合金属48とに囲まれるのでAgからなる第1の膜45の剥離やマイグレーションが抑制される。
【0041】
図6(a)は変形例にかかる半導体発光素子の熱処理前の反射層44のAg含有率の分布を示すグラフ図、図6(b)は熱処理後の反射層44のAg含有率の分布を示すグラフ図、である。
図6(a)は、図5(d)のC−C線に沿ったウェーハ縦方向のAg含有率の分布を示す。熱処理前には、第2の膜46が透明導電膜42と接して設けられている。図6(b)は、図5(e)のC−C線に沿ったAg含有率の分布を示す。熱処理後には、Agが薄いAuへ拡散されるので、透明導電膜42の側の内部領域44bのAg含有率が高くなる。熱処理温度と時間を変化させることにより、透明導電膜42と接する面のAg含有率を95at%以上とする。すなわち、Ag含有率は第1接合電極48に向かって高くなる。また、外部領域44aには、主として横方向からAgが拡散されて合金層が形成される。合金化前にはAu膜であった外部領域44aの光反射率は、透明導電膜42と接する面の内部領域44bの光反射率よりも低くできる。
【0042】
図7は、第2の実施形態にかかる半導体発光素子の模式断面図である。
半導体積層体90は、InxGayAl1−x−yN(但し、0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)なる組成式で表される窒化物系材料からなるものとする。また、その放出光は紫外〜緑色の波長範囲であるものとする。積層体90は、Al0.2Ga0.8Nなどからなる第2クラッド層92、第2クラッド層92の上に設けられた発光層93、発光層93の上に設けられ第1導電形のAl0.2Ga0.8Nなどからなる第1クラッド層94、第1クラッド層94の上に設けられ第1導電形の電流拡散層95、を有する。半導体積層体90の断面構造はこれらに限定されず、例えばコンタクト層や光ガイド層などを有していてもよい。図7のように、発光領域ERから上方へ向かう光G1、発光領域ERから下方へ向かい反射層44により反射された光G2、などを上方において取り出すことができる。
【0043】
図8は、波長に対する金属の反射率の依存性を示すグラフ図である。
縦軸は金属の光反射率(%)、横軸は入射光の波長(μm)、である。青色光のような短い波長範囲では、金属の光反射率が低下することがある。図8に示すように、AgやAlの反射率は、450nm以上の波長範囲において90%以上と高い。他方、450nmにおいて、Auの反射率は約48%、Ptの反射率は約57%、と低い。すなわち、青色から緑色の波長範囲の光を放出する半導体発光素子の内部に設ける金属反射層は、Ag、Ag合金、Alなどを含むことが好ましい。
【0044】
第2の実施形態においても、AgとAuとを含む反射層44のうち、内部領域44bbはAgを多く含み、内部領域44bのまわりの外部領域44aのAg組成比は内部領域44bのAg組成比よりも低いようにする。このようにすると、450nmにおいて、発光強度が高い領域での反射率をAgの反射率である90%近傍とし、発光強度の低い外部領域で約50%とすることができる。すなわち、外部領域44aの幅WOを10μmなどとすれば、端面へのAgのマイグレーションを抑制しかつ密着性を保ちつつ、高い反射率を有する反射層とすることができる。
【0045】
図9は、第3の実施形態にかかる半導体発光素子の模式断面図である。
半導体発光素子は、放出光を放出可能な発光層22を含む半導体積層体30と、半導体積層体30の第1の面30aの側に設けられた反射層44と、第1接合電極48と、導電性SiやGeなどからなる支持基板10と、支持基板10に設けられた第2接合電極12と、を有する。
【0046】
反射層44は、平面視において、半導体積層体30よりも小さい。すなわち、反射層44の外縁44Sは、半導体発光素子の側面SSよりも内部にある。反射層44の外縁44sおよび表面には、第1接合電極49が設けられている。第1接合電極49は、例えば、チタニウム(Ti)49a、白金(Pt)49b、チタニウム(Ti)49cを含む。金属半田材49dをさらに含んでいてもよい。反射層44が、例えばAgなどを含んでいる場合、側面SSにAgが露出しないので、マイグレーションや硫化が抑制できる。
【0047】
また、本図のように、半導体積層体30と、反射層44と、の間に透明導電膜42を設けてもよい。この場合、透明導電膜42の外縁42sは、側面SSよりも内部とする。すなわち、側面SS近傍において、第1接合電極49と、絶縁層40と、の密着強度は、第1接合電極49と透明導電膜42との密着強度よりも高くすることが容易である。このため、ダイシング工程などにおいて、密着強度が高いことが好ましい。
【0048】
図10(a)〜(f)は、第3の実施形態にかかる半導体発光素子の製造方法の工程断面図である。
なお、図10(a)〜(f)は、ウェーハの断面において、図9の半導体素子の2分の1のサイズを示す。図10(a)において、結晶成長基板50の上に、半導体積層体30が形成される。なお、結晶成長基板50は、GaAsからなるものとする。半導体積層体30は、結晶成長基板50の側から、第1導電形の第1の層20、発光層22、第2導電形の第2の層24、光損失が少ない第2導電形GaPなどからなるコンタクト層26を有する。第1の層20および第2の層24は、発光層22を両側から挟んで、縦方向に光を閉じ込めるクラッド層を含むことができる。コンタクト層26の上に、SiO2やSi3N4などからなる絶縁層40を形成する。
【0049】
絶縁層40の厚さは、例えば50nmとする。絶縁層40には開口部が設けられる。図10(b)のように、絶縁層40およびその開口部に露出したコンタクト層26を覆うように、透明導電膜42が設けられる。透明導電膜42は、例えば60nmとする。透明導電膜42の第2の面42bに、Ag合金層などからなる反射層44(例えば、厚さ200nm)を形成する。
【0050】
図10(c)のように、チップの側面近傍(ダイシングライン近傍)の反射層44および透明導電膜42を除去する。
【0051】
続いて、図10(d)のように、反射層44および透明導電膜42が除去され露出した絶縁膜40および反射層44の上に、第1接合電極49を形成する。第1接合電極49は、例えば、チタニウム49a、白金49b、チタニウム49c、AuInなどからなる金属半田材49dを含む。第1接合電極49は、反射層44の上に凸部49eと、絶縁膜40の上に底部49fと、を有する。
【0052】
この結果、図10(e)のように、第1接合電極49は、反射層44の上において凸部49e、絶縁層40の上において底部49fを有し、段差T5を生じる。他方、支持基板10の上に、AuInなどからなる金属半田材からなる第2接合電極12を形成する。さらに、第1接合電極48と、第2接合電極12とを重ね合わせ加圧し、半田材の融点以上に加熱する。溶融した半田材は、第1接合電極49の段差T5を埋め、隙間を生じないようにウェーハ接着を行うので、支持基板10と、半導体積層体30と、の接着強度を高めることができる。なお、第1接合電極49および第2接合電極12が半田材を含んでいると、互いに溶融したのち境界(破線)が判然とは残らない。なお、第2接合電極12のみが半田材を含んでいても、段差T5を埋めることができる。
【0053】
続いて、図10(f)のように、結晶成長基板50を除去し、第1電極60および第2電極62を形成する。こののち、ダイシングラインとする領域に溝部30sを形成し、溝部30bにブレードダイシングなどを行いチップに分離する。
【0054】
図11は、第3の実施形態にかかる変形例の模式断面図である。
透明導電膜42の外縁42sが、側面SSに露出してもよい。ダイシングラインとする領域に段差を生じても、第2接合電極12が半田材を含んでいるので、半田材が溶融することにより段差T5を埋め空洞部の発生が抑制される。
【0055】
図12は、比較例にかかる半導体発光素子ウェーハの模式断面図である。
ダイシングラインには、例えばスクライビングなどによる溝部130sが設けられている。ダイシングライン近傍には、反射層および透明導電膜を設けず、チップへ分離した後の側面にはこれらが露出しない。第1接合電極149および第2接合電極112が、ともに半田材を含まない比較例の場合、段差が埋められず、ウェーハ接着後のダイシングラインの下方に空洞部C1、C2を生じる。このうち空洞部C1が生じると、空洞部C1の近傍にブレード99を回転して切断するダイシング工程などでチップの割れや欠けなどを生じやすい。これに対して第3の実施形態にかかる半導体発光素子によれば、ダイシングライン近傍に空洞部を生じることなく、チップの割れや欠けを抑制抑制できる。
【0056】
第1〜第3の実施形態にかかる半導体発光素子では、支持基板10と、反射層44と、半導体積層体30と、を含む積層構造の接着強度が高められ、高い信頼性を保ちつつ、輝度を高めることができる。また、接合電極を形成するプロセスが簡素となり、量産性が高められた製造方法とすることができる。本実施形態にかかる半導体発光素子は、照明装置、表示装置、信号機などに広く用いることができる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
10 支持基板、12 第2接合電極、22、93 発光層、30、90 半導体積層体、42 透明導電膜、44 反射層、44a 内部領域、44b 外部領域、44c 第1の面、44d 第2の面、45 第1の膜、46 第2の膜、48、49 第1接合電極、48e、49e 凸部、48f、49f 底部、50 結晶成長基板、T1 (反射層の)内部領域の厚さ、T2 (反射層の)外部領域の厚さ、T3 反射層の段差、T4、T5 第1接合電極の段差、ER 発光領域、OR 端部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置、表示装置、信号機などに用いる発光素子に対して、高輝度化が益々要求されている。
【0003】
発光層の下方に金属反射層を設けると、発光層から下方に向かう放出光が反射され、上方での光取り出し効率を高め高輝度化が容易となる。この場合、例えば、シリコン(Si)基板と、発光層を含む半導体基板と、をウェーハ接着したのち、結晶成長基板を除去した薄膜積層型発光素子とすると、高い量産性とすることが容易となる。
【0004】
金属膜の反射率は、可視光の波長が短くなるに応じて低下する。特に安定な電極金属であるAu、Pt、Pdなどの光反射率は、450nmにおいて60%以下に低下する。このため、高い光取り出し効率を得ることが困難となる。
【0005】
これに対して、AgやAlの光反射率は、450nmで90%以上と高くできる。しかしながら、AgやAlではマイグレーションを生じやすく信頼性が低下する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−335793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高い信頼性を保ちつつ輝度が高められた半導体発光素子および量産性に富むその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態にかかる半導体発光素子は、発光層を含む半導体積層体と、反射層と、支持基板と、第1接合電極と、第2接合電極と、を有する。前記反射層は、前記半導体積層体の側の第1の面および前記第1の面の反対の側の第2の面を有し、金属からなる。前記第1接合電極は、前記第2の面と前記支持基板との間に設けられ、前記支持基板の側に突出した凸部と、平面視で前記凸部の周囲に設けられた底部と、を有する。前記第2接合電極は、前記第1接合電極の前記凸部と嵌合する凹部を有し、前記支持基板と、前記第1接合電極と、を接合することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)は第1の実施形態にかかる半導体発光素子の模式平面図、図1(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
【図2】図2(a)〜(f)は、第1の実施形態にかかる半導体発光素子の製造方法の工程断面図である。
【図3】図3(a)は熱処理前の反射層のAg含有率の分布を示すグラフ図、図3(b)は熱処理後の反射層のAg含有率の分布を示すグラフ図、である。
【図4】比較例にかかる半導体発光素子の模式断面図である。
【図5】図5(a)〜(e)は、第1の実施形態にかかる半導体発光素子の変形例の製造方法の工程断面図、である。
【図6】図6(a)は熱処理前の反射層のAg含有率の分布を示すグラフ図、図6(b)は熱処理後の反射層のAg含有率の分布を示すグラフ図、である。
【図7】第2の実施形態にかかる半導体発光素子の模式断面図である。
【図8】波長に対する金属の光反射率の依存性を示すグラフ図である。
【図9】第3の実施形態にかかる半導体発光素子の模式断面図である。
【図10】図10(a)〜(f)は、第3の実施形態にかかる半導体発光素子の製造方法の工程断面図である。
【図11】第3の実施形態にかかる変形例の模式断面図である。
【図12】比較例にかかる半導体発光素子ウェーハの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1(a)は第1の実施形態にかかる半導体発光素子の模式平面図、図1(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
半導体発光素子は、放出光を放出可能な発光層22を含む半導体積層体30と、半導体積層体30の第1の面30aの側に設けられた反射層44と、第1接合電極48と、導電性SiやGeなどからなる支持基板10と、支持基板10に設けられた第2接合電極12と、を有する。半導体積層体30と、反射層44と、の間に、透明導電膜42を設けてもよい。
【0011】
半導体積層体30は、Inx(GayAl1−y)1−xP(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)なる組成式で表すInGaAlP系またはAlxGa1−xAs(0≦x≦0.6)なる組成式で表すAlGaAs系の材料を含むものとする。
【0012】
反射層44は、中央に設けられた内部領域44bと、平面視で内部領域44bの周囲に設けられた外部領域44aと、を有する。本具体例においては、外部領域44aは、平面視で内部領域44bを囲むように設けられている。外部領域44aの(合金後の)厚さT2は、内部領域44bの(合金後の)厚さT1よりも小さい。また、反射層44の第1の面44cは放出光を反射する。反射層44の第1の面44cの反対側の第2の面44dは、外部領域44aと、内部領域44bと、の間に段差T3(=T1−T2)を有する。
【0013】
もし、半導体積層体30がAuやAgなどの反射層44に直接に接すると、合金層が形成され光損失が大きくなる場合がある。また、半導体積層体30と、反射層44と、の間に透明導電膜42を設けると、半導体積層体30と、透明導電膜42と、の間で合金層を形成しにくい。このため、光損失を低減することができるのでより好ましい。
【0014】
第1接合電極48は、反射層44の第2の面44dの段差T3を覆うように設けられる。すなわち、第1接合電極48は、反射層44の内部領域44bに設けられた凸部48eと、内部領域44bの周囲の外部領域44aに設けられた底部48fと、を有する。この結果、第1接合電極48には、段差T4を生じる。また、第2接合電極12を金属半田材とし、金属半田材を溶融すると、第1接合電極48の段差T4をうめつつ、第1接合電極48と支持基板10とを接合することができる。すなわち、第2接合電極12は、第1接合電極48の凸部48eと嵌合した凹部を有する。金属半田材が凝固することにより、ウェーハ間の接着強度を高めることができる。なお、第2電極62は、導電性を有する支持基板10の裏面に設けられる。
【0015】
半導体積層体30がInGaAlP系からなるものとする。この場合、発光層22は、緑〜赤色波長範囲の光を放出できる。図1(b)において、半導体積層体30は、透明導電膜42の側から、第2導電形のコンタクト層26、第2導電形の第2の層24、発光層22、第1導電形の第1の層20、をこの順序で有している。さらに、GaPなどからなるコンタクト層26の表面には、開口部40aを有するSiO2やSi3N4などからなる絶縁層40を設けてもよい。このようにすると、電流は絶縁層40によりブロックされ、開口部42aを通って、第1電極60と第1接合電極48との間を流れる。このため、開口部42aの上方の発光領域ERが発光する。例えば、発光領域ERから上方へ向かう光G1、発光領域ERから下方へ向かい反射層44により反射された光G2、などを上方において取り出すことができる。
【0016】
第2接合電極12は、支持基板10に設けられた金属半田材とすることができる。なお、支持基板10の表面に、例えばTi/Pt/AuやCr/Auを設け、その上に第2接合電極12を設けてもよい。溶融した金属半田材は、段差T4をうめつつ、第1接合電極48と、支持基板10と、を接合する。第2接合電極12の表面をAuとする場合、第1接合電極48の表面もAuとすると、加熱加圧により熱圧着モードでも接合可能である。なお、図1(b)において、内部領域44bは矩形であるが、形状はこれに限定されず、例えば円形であってもよい。
【0017】
図2(a)〜(f)は、第1の実施形態にかかる半導体発光素子の製造方法の工程断面図である。
なお、図2(a)〜(f)は、図1(b)において端部OR(破線)を示している。図2(a)の模式図において、結晶成長基板50の上に、半導体積層体30が形成される。なお、結晶成長基板50は、GaAsからなるものとするが本発明はこれに限定されない。半導体積層体30は、結晶成長基板50の側から、第1導電形の第1の層20、発光層22、第2導電形の第2の層24、光損失が少ない第2導電形GaPなどからなるコンタクト層26を有する。第1の層20および第2の層24は、発光層40を両側から挟んで、縦方向に光を閉じ込めるクラッド層を含むことができる。コンタクト層26の上に、SiO2やSi3N4などからなる絶縁層40を形成する。
【0018】
絶縁層40の厚さは、例えば50〜200nmの範囲が好ましい。絶縁層40には開口部が設けられるが、端部ORには図示されない。絶縁層40およびその開口部に露出したコンタクト層26を覆うように、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化亜鉛、酸化錫などからなる透明導電膜42が設けられる。透明導電膜42は、可視光の一部を吸収するので、半導体積層体30と反射層44との合金を抑制できる範囲内で、例えば50〜200nmと薄くすることが好ましい。
【0019】
透明導電膜42の第2の面42bに第1金属からなる第1の膜45を形成する。第1金属は、Ag、Ag合金、Alなどとする。また、第1の膜45の厚さは、反射率を高く保つことが可能な範囲で薄く、例えば50〜400nmの範囲とすることが好ましい。
【0020】
図2(b)の模式図において、フォトレジストを用いて第1の膜45のパターニングを行う。Agの場合、例えば燐酸を含む溶液エッチング法またはドライエッチング法を用いることができる。
【0021】
図2(c)の模式図において、パターニングされた第1の膜45の上面および第1の膜45が除去された透明導電膜42の領域を覆うように第2金属からなる第2の膜46を形成する。第2金属は、Auであるものとするが、材質はPd、Ptなどであってもよい。第2の膜46と透明導電膜42との密着強度は、第1の膜45と透明導電膜42との密着強度よりも高くできる。このようにすると、ダイシングプロセスなどに必要な密着強度を高く保つことが容易となる。
【0022】
図2(d)の模式図において、第2の膜46の上に、第1接合電極48を形成する。第1接合電極48は、例えば第2の膜46の側から、チタニウム(Ti)48a、白金(Pt)48bなどのバリア金属、金(Au)48cなどの金属をこの順序で含む。また、バリア金属としてタングステン(W)/ニッケル(Ni)などを用いることもできる。なお、第1接合電極48は、パターニングプロセスを必要としないので製造プロセスを簡素化できる。すなわち、フォトリソグラフィープロセスやパターニングプロセスの回数を低減でき、量産性の高い製造方法とすることができる。第1接合電極48は、内部領域44bbの上の凸部48eと、外部領域44aの上の底部49fと、を有する。
【0023】
他方、支持基板10の上に、金属半田材などからなる第2接合電極12を形成する。金属半田材としては、例えば、AuIn、AuSn(共晶温度:約280℃)、AuGe(共晶温度:約350℃)、AuSi(共晶温度:約380℃)などの共晶やInなどを用い、その厚さを1〜5μmなどとすることができる。
【0024】
図2(e)の模式図のように第1接合電極48と、第2接合電極12とを重ね合わせ加圧し、金属半田材の融点以上に加熱する。金属半田材の融点は、その材質によって、例えば150〜400℃の温度範囲内とすることができる。溶融した金属半田材は、第1接合電極48の段差T4を埋め、隙間を生じないようにウェーハ接着を行うので、支持基板10と、半導体積層体30と、の接着強度を高めることができる。なお、段差T4は、外縁部近傍における凸部48eの表面と、底部48fの表面と、の間で測るものとする。
【0025】
さらに、ウェーハ接着プロセスの熱処理の温度により、第1の膜45と第2の膜46との界面近傍から合金化が進みやすい。熱処理プロセスの温度および時間を変化することにより、合金の組成比を制御できる。この結果、第1の膜45と、第2の膜46と、の間の接合強度が高められる。なお、内部領域44bの透明導電膜42の側は、第1の膜45であるので、合金化しても外部領域44aの光反射率よりも高い光反射率とすることが容易である。
【0026】
図3(a)は熱処理前の反射層のAg含有率の分布を示すグラフ図、図3(b)は熱処理後の反射層のAg含有率の分布を示すグラフ図、である。
縦軸は内部領域44bのAg含有率(at%:原子数百分率)、横軸はウェーハ縦方向の位置、を表す。なお、熱処理プロセスは、ウェーハ接着プロセスであってもよいし、別プロセスとしてもよい。
【0027】
図3(a)は、図2(e)のB−B線に沿ったウェーハ縦方向のAg含有率の分布を示す。熱処理前では、第1の膜45はAgが100%、第2の膜46はAgがゼロ%、である。図3(b)は、図2(f)のB−B線に沿ったAg含有率の分布を示す。熱処理後では、AgおよびAuが相互に拡散し合い曲線Aから曲線Bのように合金化が進行する。第1の膜(Ag)45の厚さが、第2の膜(Au)46の厚さよりも大きいので、AgはAuに容易に入り込む。逆にAgもAuに入り込むが、透明導電膜42と接する側で、Ag含有率を95%以上に保つようにする。なお、図1(a)において、外部領域44aの幅を内部領域44bの幅よりも十分に小さくしても、Agのマイグレーションを抑制することができる。
【0028】
発明者らの実験によれば、Agからなる第1の膜45の厚さをAuからなる第2の膜46の厚さの約20倍とし、融解した金属半田材により350℃においてウェーハ接着を行った場合、透明導電膜42と接する内部領域44bのAg含有率は95(at%)以上とすることができた。この結果、内部領域44bの透明導電膜42側の光反射率は、Agの光反射率からの低下は2%以下とできることが判明した。すなわち、例えば、Agからなる第1の膜45の厚さを約200nm、Auからなる第2の膜46の厚さを約10nm、などとすればよい。
【0029】
また、外部領域44aには、主として横方向からAgが拡散されて合金層が形成される。合金化前にはAu膜であった外部領域44aの光反射率は、Agが拡散して合金化しても、透明導電膜42と接する面の内部領域44bの光反射率よりも低くなる。
【0030】
最後に、図2(f)の模式図のように、結晶成長基板50を除去する。この場合、アンモニアと過酸化水素との混合溶液などを用いることができるが、除去プロセスはこれに限定されない。
【0031】
このあと、外部領域44aの上方をダイシングラインとしてチップへの分離プロセスを行う。このようのすると、チップの端面に第1金属が露出せず、Agなどのマイグレーションによるpn接合の短絡やAgの硫化などを抑制することができ、信頼性を高めることができる。
【0032】
図4は比較例にかかる半導体発光素子の模式断面図である。
発光層122を含み、InAlGaP系材料からなる半導体積層体130の下方には絶縁膜140が設けられている。絶縁膜140に設けられた開口部140aにおいて、半導体積層体130と透明導電膜142とが接触している。透明導電膜142の下面の中央の領域には、Ag膜144が設けられている。さらに、外部領域となる透明導電膜142の下面には、Ag膜144よりも厚いAu膜145が設けられている。Ag膜144の表面とAu膜145の表面とを覆うようにTi、Ptなどのバリアメタルからなる接合電極112が設けられている。Si基板110と、接合電極112と、は、AuIn系の合金半田により接合されている。
【0033】
AgおよびAlの反射率はAuよりも高いので、開口部140aの上方の発光領域から下方へ向かう放出光はAg膜144により、上方へ効率よく反射される。しかしながら、AgおよびAlはマイグレーションを生じやすいので素子の端面まで延在すると、移動したAg粒子によりpn接合の短絡などを生じる。厚いAu膜145は、このAgのマイグレーションを抑制することができる。しかしながら、Ag膜144のパターニングプロセスと、Au膜145のパターニングプロセスと、がそれぞれ必要となる。このため、透明導電膜142の下面において、Ag膜144と、Au膜145と、の境界には空隙部150を生じやすい。AgやAg合金は、Auなどと比較して透明導電膜142との接着強度が十分とは言えない。このため、空隙部150の近傍から、Ag膜144の剥離が生じやすい。
【0034】
これに対して、第1の実施形態では、図2(c)のように、第2の膜46は、第1の膜45の表面および側面、透明導電膜42の表面を、隙間なく覆うように設けられる。このため、第1の膜45の剥離を抑制しつつ、チップ端面へのAgのマイグレーションが抑制できる。また、第1の実施形態では、第2の膜46のパターニングプロセスは不要である。さらに、第2の膜46と第1接合電極48と、は、連続したプロセスで形成できるので、金属膜形成プロセスの回数を低減できる。
【0035】
図5(a)〜(e)は、第1の実施形態の変形例にかかる半導体発光素子製造方法の工程断面図、である。
図5(a)の模式図において、半導体積層体30のコンタクト層26の上に、SiO2やSiNなどからなる絶縁膜40、ITOなどからなる透明導電膜42、をこの順序で形成する。絶縁膜40の厚さは、例えば50〜200nmの範囲が好ましい。また、透明導電膜42は、例えば50〜200nmと薄くすることが好ましい。さらに、透明導電膜42の面42bにAuからなる第2の膜46を形成する。
【0036】
図5(b)において、第2の膜46に、Agからなる第1の膜45を形成し、パターニングを行う。第1の膜45の厚さは、反射率を高く保つことが可能な範囲で薄く、例えば50〜400nmの範囲とすることが好ましい。
【0037】
図5(c)の模式図のように、パターニングされた第1の膜45の上面および第1の膜45が除去された領域に露出した第2の膜46を覆うように第1接合金属48を形成する。第1接合電極48は、例えば第2の膜46の側から、Ti/Ptなどのバリア金属、およびAuなどの金属をこの順序で含む。
【0038】
図5(d)の模式図のように第1接合電極48と、第2接合電極12とを重ね合わせ加圧し、金属半田材の融点以上に加熱する。溶融した金属半田材は、第1接合電極48と支持基板10との間に隙間を生じないように段差を埋めつつ、ウェーハ接合を行う。
【0039】
最後に、図5(e)の模式図のように、結晶成長基板50を除去する。この場合、アンモニアと過酸化水素との混合溶液などを用いることができるが、除去プロセスはこれに限定されない。また、ウェーハ接着温度が350℃近傍であると、第2の膜46と第1の膜45との界面領域が合金化される。すなわち、AuとAgとの合金層からなる反射層44が形成される。この場合、内部領域44bの透明導電膜42の側は第2の膜46であったので、熱処理により光反射率が高い第1金属の組成比を高め、外部領域44aの光反射率よりも高くする。
【0040】
反射層44は、厚さの大きい内部領域44bと、内部領域44bのまわりの外部領域44a、を含み、放出光を上方に向かって反射する。この変形例において、第1の膜45の側面は、第2の膜46と第1接合金属48とに囲まれるのでAgからなる第1の膜45の剥離やマイグレーションが抑制される。
【0041】
図6(a)は変形例にかかる半導体発光素子の熱処理前の反射層44のAg含有率の分布を示すグラフ図、図6(b)は熱処理後の反射層44のAg含有率の分布を示すグラフ図、である。
図6(a)は、図5(d)のC−C線に沿ったウェーハ縦方向のAg含有率の分布を示す。熱処理前には、第2の膜46が透明導電膜42と接して設けられている。図6(b)は、図5(e)のC−C線に沿ったAg含有率の分布を示す。熱処理後には、Agが薄いAuへ拡散されるので、透明導電膜42の側の内部領域44bのAg含有率が高くなる。熱処理温度と時間を変化させることにより、透明導電膜42と接する面のAg含有率を95at%以上とする。すなわち、Ag含有率は第1接合電極48に向かって高くなる。また、外部領域44aには、主として横方向からAgが拡散されて合金層が形成される。合金化前にはAu膜であった外部領域44aの光反射率は、透明導電膜42と接する面の内部領域44bの光反射率よりも低くできる。
【0042】
図7は、第2の実施形態にかかる半導体発光素子の模式断面図である。
半導体積層体90は、InxGayAl1−x−yN(但し、0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)なる組成式で表される窒化物系材料からなるものとする。また、その放出光は紫外〜緑色の波長範囲であるものとする。積層体90は、Al0.2Ga0.8Nなどからなる第2クラッド層92、第2クラッド層92の上に設けられた発光層93、発光層93の上に設けられ第1導電形のAl0.2Ga0.8Nなどからなる第1クラッド層94、第1クラッド層94の上に設けられ第1導電形の電流拡散層95、を有する。半導体積層体90の断面構造はこれらに限定されず、例えばコンタクト層や光ガイド層などを有していてもよい。図7のように、発光領域ERから上方へ向かう光G1、発光領域ERから下方へ向かい反射層44により反射された光G2、などを上方において取り出すことができる。
【0043】
図8は、波長に対する金属の反射率の依存性を示すグラフ図である。
縦軸は金属の光反射率(%)、横軸は入射光の波長(μm)、である。青色光のような短い波長範囲では、金属の光反射率が低下することがある。図8に示すように、AgやAlの反射率は、450nm以上の波長範囲において90%以上と高い。他方、450nmにおいて、Auの反射率は約48%、Ptの反射率は約57%、と低い。すなわち、青色から緑色の波長範囲の光を放出する半導体発光素子の内部に設ける金属反射層は、Ag、Ag合金、Alなどを含むことが好ましい。
【0044】
第2の実施形態においても、AgとAuとを含む反射層44のうち、内部領域44bbはAgを多く含み、内部領域44bのまわりの外部領域44aのAg組成比は内部領域44bのAg組成比よりも低いようにする。このようにすると、450nmにおいて、発光強度が高い領域での反射率をAgの反射率である90%近傍とし、発光強度の低い外部領域で約50%とすることができる。すなわち、外部領域44aの幅WOを10μmなどとすれば、端面へのAgのマイグレーションを抑制しかつ密着性を保ちつつ、高い反射率を有する反射層とすることができる。
【0045】
図9は、第3の実施形態にかかる半導体発光素子の模式断面図である。
半導体発光素子は、放出光を放出可能な発光層22を含む半導体積層体30と、半導体積層体30の第1の面30aの側に設けられた反射層44と、第1接合電極48と、導電性SiやGeなどからなる支持基板10と、支持基板10に設けられた第2接合電極12と、を有する。
【0046】
反射層44は、平面視において、半導体積層体30よりも小さい。すなわち、反射層44の外縁44Sは、半導体発光素子の側面SSよりも内部にある。反射層44の外縁44sおよび表面には、第1接合電極49が設けられている。第1接合電極49は、例えば、チタニウム(Ti)49a、白金(Pt)49b、チタニウム(Ti)49cを含む。金属半田材49dをさらに含んでいてもよい。反射層44が、例えばAgなどを含んでいる場合、側面SSにAgが露出しないので、マイグレーションや硫化が抑制できる。
【0047】
また、本図のように、半導体積層体30と、反射層44と、の間に透明導電膜42を設けてもよい。この場合、透明導電膜42の外縁42sは、側面SSよりも内部とする。すなわち、側面SS近傍において、第1接合電極49と、絶縁層40と、の密着強度は、第1接合電極49と透明導電膜42との密着強度よりも高くすることが容易である。このため、ダイシング工程などにおいて、密着強度が高いことが好ましい。
【0048】
図10(a)〜(f)は、第3の実施形態にかかる半導体発光素子の製造方法の工程断面図である。
なお、図10(a)〜(f)は、ウェーハの断面において、図9の半導体素子の2分の1のサイズを示す。図10(a)において、結晶成長基板50の上に、半導体積層体30が形成される。なお、結晶成長基板50は、GaAsからなるものとする。半導体積層体30は、結晶成長基板50の側から、第1導電形の第1の層20、発光層22、第2導電形の第2の層24、光損失が少ない第2導電形GaPなどからなるコンタクト層26を有する。第1の層20および第2の層24は、発光層22を両側から挟んで、縦方向に光を閉じ込めるクラッド層を含むことができる。コンタクト層26の上に、SiO2やSi3N4などからなる絶縁層40を形成する。
【0049】
絶縁層40の厚さは、例えば50nmとする。絶縁層40には開口部が設けられる。図10(b)のように、絶縁層40およびその開口部に露出したコンタクト層26を覆うように、透明導電膜42が設けられる。透明導電膜42は、例えば60nmとする。透明導電膜42の第2の面42bに、Ag合金層などからなる反射層44(例えば、厚さ200nm)を形成する。
【0050】
図10(c)のように、チップの側面近傍(ダイシングライン近傍)の反射層44および透明導電膜42を除去する。
【0051】
続いて、図10(d)のように、反射層44および透明導電膜42が除去され露出した絶縁膜40および反射層44の上に、第1接合電極49を形成する。第1接合電極49は、例えば、チタニウム49a、白金49b、チタニウム49c、AuInなどからなる金属半田材49dを含む。第1接合電極49は、反射層44の上に凸部49eと、絶縁膜40の上に底部49fと、を有する。
【0052】
この結果、図10(e)のように、第1接合電極49は、反射層44の上において凸部49e、絶縁層40の上において底部49fを有し、段差T5を生じる。他方、支持基板10の上に、AuInなどからなる金属半田材からなる第2接合電極12を形成する。さらに、第1接合電極48と、第2接合電極12とを重ね合わせ加圧し、半田材の融点以上に加熱する。溶融した半田材は、第1接合電極49の段差T5を埋め、隙間を生じないようにウェーハ接着を行うので、支持基板10と、半導体積層体30と、の接着強度を高めることができる。なお、第1接合電極49および第2接合電極12が半田材を含んでいると、互いに溶融したのち境界(破線)が判然とは残らない。なお、第2接合電極12のみが半田材を含んでいても、段差T5を埋めることができる。
【0053】
続いて、図10(f)のように、結晶成長基板50を除去し、第1電極60および第2電極62を形成する。こののち、ダイシングラインとする領域に溝部30sを形成し、溝部30bにブレードダイシングなどを行いチップに分離する。
【0054】
図11は、第3の実施形態にかかる変形例の模式断面図である。
透明導電膜42の外縁42sが、側面SSに露出してもよい。ダイシングラインとする領域に段差を生じても、第2接合電極12が半田材を含んでいるので、半田材が溶融することにより段差T5を埋め空洞部の発生が抑制される。
【0055】
図12は、比較例にかかる半導体発光素子ウェーハの模式断面図である。
ダイシングラインには、例えばスクライビングなどによる溝部130sが設けられている。ダイシングライン近傍には、反射層および透明導電膜を設けず、チップへ分離した後の側面にはこれらが露出しない。第1接合電極149および第2接合電極112が、ともに半田材を含まない比較例の場合、段差が埋められず、ウェーハ接着後のダイシングラインの下方に空洞部C1、C2を生じる。このうち空洞部C1が生じると、空洞部C1の近傍にブレード99を回転して切断するダイシング工程などでチップの割れや欠けなどを生じやすい。これに対して第3の実施形態にかかる半導体発光素子によれば、ダイシングライン近傍に空洞部を生じることなく、チップの割れや欠けを抑制抑制できる。
【0056】
第1〜第3の実施形態にかかる半導体発光素子では、支持基板10と、反射層44と、半導体積層体30と、を含む積層構造の接着強度が高められ、高い信頼性を保ちつつ、輝度を高めることができる。また、接合電極を形成するプロセスが簡素となり、量産性が高められた製造方法とすることができる。本実施形態にかかる半導体発光素子は、照明装置、表示装置、信号機などに広く用いることができる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
10 支持基板、12 第2接合電極、22、93 発光層、30、90 半導体積層体、42 透明導電膜、44 反射層、44a 内部領域、44b 外部領域、44c 第1の面、44d 第2の面、45 第1の膜、46 第2の膜、48、49 第1接合電極、48e、49e 凸部、48f、49f 底部、50 結晶成長基板、T1 (反射層の)内部領域の厚さ、T2 (反射層の)外部領域の厚さ、T3 反射層の段差、T4、T5 第1接合電極の段差、ER 発光領域、OR 端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層を含む半導体積層体と、
前記半導体積層体の側の第1の面および前記第1の面の反対の側の第2の面を有し、金属からなる反射層と、
支持基板と、
前記第2の面と前記支持基板との間に設けられ、前記支持基板の側に突出した凸部と、平面視で前記凸部の周囲に設けられた底部と、を有する第1接合電極と、
前記第1接合電極の前記凸部と嵌合する凹部を有し、前記支持基板と、前記第1接合電極と、を接合可能な第2接合電極と、
を備えたことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記反射層は、第1金属および前記第1金属の光反射率よりも低い光反射率を有する第2金属からなる合金を含み、内部領域と、平面視で前記内部領域の周囲に設けられ前記内部領域の厚さよりも小さい厚さを有する外部領域と、を有し、
前記内部領域の前記第1の面における光反射率は、前記外部領域の前記第1の面における光反射率よりも高く、
前記第1接合電極の前記凸部は、前記内部領域を覆うように設けられたことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記反射層は、前記凸部と前記半導体積層体との間に設けられるが、前記底部と前記前記半導体層との間には設けられないことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記半導体積層体と、前記反射層と、の間に設けられた透明導電膜をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに半導体発光素子。
【請求項5】
前記反射層は、Agを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記第2接合電極は、半田材からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項7】
結晶成長基板の上に、発光層を含む半導体積層体を形成する工程と、
前記半導体積層体の上に反射層を形成する工程と、
前記反射層を覆い、凸部と前記凸部の周囲の設けられた底部とを有する第1接合電極を形成する工程と、
支持基板に半田材からなる第2接合電極を形成する工程と、
前記第1接合電極と前記第2接合電極とを重ね合わせ、前記半田材の融点以上に加熱しかつ加圧しつつ、 前記第1接合電極の前記凸部と前記底部との段差をうめ、前記第1接合電極と前記支持基板とを接合する工程と、
前記結晶成長基板を除去する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項8】
前記反射層は、第1金属および前記第1金属の光反射率よりも低い光反射率を有する第2金属からなる合金を含み、内部領域と、平面視で前記内部領域の周囲に設けられ前記内部領域の厚さよりも小さい厚さを有する外部領域と、を有し、前記内部領域の前記第1の面における光反射率は、前記外部領域の前記第1の面における光反射率よりも高く、
前記凸部は、前記内部領域を覆うように形成されることを特徴とする請求項7記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項9】
前記反射層を形成する工程は、前記第1金属からなる第1の膜を選択的に形成し、前記第1の膜および前記第1の膜が除去された領域に前記第2金属からなる第2の膜を形成する工程を含み、
前記第1金属は、Ag、Ag合金、Alのいずれかであり、
前記第2金属は、Au,Pt、Pdのいずれかであることを特徴とする請求項8記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記反射層を形成する工程は、前記第2金属からなる第2の膜を形成し、前記第2の膜の上に前記第1金属からなる第1の膜を選択的に形成する工程を含み、
前記第1金属は、Ag、Ag合金、Alのいずれかであり、
前記第2金属は、Au,Pt、Pdのいずれかであることを特徴とする請求項8記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記反射層を形成する工程は、平面視で前記半導体積層体よりも小さいAgを含む膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項7記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記反射層を形成する工程は、前記半導体積層体の表面に透明導電膜を形成し、前記透明導電膜の表面に前記反射層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項7〜11のいずれか1つに記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項1】
発光層を含む半導体積層体と、
前記半導体積層体の側の第1の面および前記第1の面の反対の側の第2の面を有し、金属からなる反射層と、
支持基板と、
前記第2の面と前記支持基板との間に設けられ、前記支持基板の側に突出した凸部と、平面視で前記凸部の周囲に設けられた底部と、を有する第1接合電極と、
前記第1接合電極の前記凸部と嵌合する凹部を有し、前記支持基板と、前記第1接合電極と、を接合可能な第2接合電極と、
を備えたことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記反射層は、第1金属および前記第1金属の光反射率よりも低い光反射率を有する第2金属からなる合金を含み、内部領域と、平面視で前記内部領域の周囲に設けられ前記内部領域の厚さよりも小さい厚さを有する外部領域と、を有し、
前記内部領域の前記第1の面における光反射率は、前記外部領域の前記第1の面における光反射率よりも高く、
前記第1接合電極の前記凸部は、前記内部領域を覆うように設けられたことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記反射層は、前記凸部と前記半導体積層体との間に設けられるが、前記底部と前記前記半導体層との間には設けられないことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記半導体積層体と、前記反射層と、の間に設けられた透明導電膜をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに半導体発光素子。
【請求項5】
前記反射層は、Agを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記第2接合電極は、半田材からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項7】
結晶成長基板の上に、発光層を含む半導体積層体を形成する工程と、
前記半導体積層体の上に反射層を形成する工程と、
前記反射層を覆い、凸部と前記凸部の周囲の設けられた底部とを有する第1接合電極を形成する工程と、
支持基板に半田材からなる第2接合電極を形成する工程と、
前記第1接合電極と前記第2接合電極とを重ね合わせ、前記半田材の融点以上に加熱しかつ加圧しつつ、 前記第1接合電極の前記凸部と前記底部との段差をうめ、前記第1接合電極と前記支持基板とを接合する工程と、
前記結晶成長基板を除去する工程と、
を備えたことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項8】
前記反射層は、第1金属および前記第1金属の光反射率よりも低い光反射率を有する第2金属からなる合金を含み、内部領域と、平面視で前記内部領域の周囲に設けられ前記内部領域の厚さよりも小さい厚さを有する外部領域と、を有し、前記内部領域の前記第1の面における光反射率は、前記外部領域の前記第1の面における光反射率よりも高く、
前記凸部は、前記内部領域を覆うように形成されることを特徴とする請求項7記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項9】
前記反射層を形成する工程は、前記第1金属からなる第1の膜を選択的に形成し、前記第1の膜および前記第1の膜が除去された領域に前記第2金属からなる第2の膜を形成する工程を含み、
前記第1金属は、Ag、Ag合金、Alのいずれかであり、
前記第2金属は、Au,Pt、Pdのいずれかであることを特徴とする請求項8記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記反射層を形成する工程は、前記第2金属からなる第2の膜を形成し、前記第2の膜の上に前記第1金属からなる第1の膜を選択的に形成する工程を含み、
前記第1金属は、Ag、Ag合金、Alのいずれかであり、
前記第2金属は、Au,Pt、Pdのいずれかであることを特徴とする請求項8記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記反射層を形成する工程は、平面視で前記半導体積層体よりも小さいAgを含む膜を形成する工程を含むことを特徴とする請求項7記載の半導体発光素子の製造方法。
【請求項12】
前記反射層を形成する工程は、前記半導体積層体の表面に透明導電膜を形成し、前記透明導電膜の表面に前記反射層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項7〜11のいずれか1つに記載の半導体発光素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−248795(P2012−248795A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121623(P2011−121623)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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