説明

半導体発光素子の製造方法

【課題】逆方向耐電圧の信頼性(通電時の経時的安定性)に優れた半導体発光素子の製造方法を提供し、更には、それに伴って生ずる電流分散特性の低下を補う為の対策を有した半導体発光素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】半導体基板1上に、MOVPE法によって、少なくとも活性層5をそれぞれ異なる導電性を示すクラッド層4、6で挟んだ発光部と、その上に高濃度に導電型決定不純物が添加されたウインドウ層8を形成する半導体発光素子の製造方法において、前記ウインドウ層8における、少なくとも前記発光部に近い側(11)を高V/III比で成長することとし、更にそれ以外の部分12において少なくとも一部分以上を高V/III比成長部11よりも低いV/III比で成長し、これによってウインドウ層中にV/III比の異なる領域(11、12)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた電流分散特性を有するウインドウ層を備え、更に、逆方向耐電圧の安定性に優れた半導体発光素子を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、AlGaInP系エピタキシャルウェハを用いて製造する高輝度の半導体発光素子、特に、発光ダイオード(LED)の需要が大幅に伸びている。従来の用途としては、電光掲示板、民生用家電製品の表示ランプなどであったが、最近の主な用途は、交通用信号、自動車の車載用ランプなどであり、このように、LEDの応用範囲は急激に拡大してきたが、これらは近年のLEDの著しい高輝度化に伴うものである。
【0003】
LEDに求められる主な特性は、輝度(出力)、動作電圧、発光波長、逆方向耐電圧、及びそれらの信頼性(経時的な変化に対する安定性)である。このうち、輝度、動作電圧、発光波長、逆方向耐電圧といった初期特性に関することは、これまでに公知となっている技術を参考にそれらを応用すれば、比較的容易にある程度のレベルにまで達することができる。
【0004】
しかし、これに対し、信頼性に関することは、前述の初期特性に関することと比較して、そのメカニズムや信頼性安定の為のキー技術など、公知となっていない部分が多々ある。特に、軽視されがちである逆方向耐電圧に関する報告などは、著しくその他の報告に比べて少数である。逆方向耐電圧は、LEDの発光特性には特に影響を及ぼすものでは無いが、LEDを使用する応用製品等に対しては重要な役割を果たす。
【0005】
LEDは、周知の通りpn接合を有するダイオード構造である。LEDの他にもダイオードは多々あるがLEDは比較的、逆方向耐電圧に優れたデバイスである。それ故、車載用など、複雑に電子回路が組み込まれるユニットに対しては、LEDが逆方向電圧に対する障壁として働くため、そういった特性を活用して回路を組むケースもある。よって、LEDにおける逆方向耐電圧特性は軽視できないと言える。しかも近年では、交通信号灯用や、車載用など、万が一の不慮のトラブルがあった際に、人命に関わる恐れがある機器に組み込まれることが増えた為、より一層、その重要度は高まっていると言える。
【0006】
なお、低温通電による信頼性に言及したものとして、例えば、特開平10−321901号公報(特許文献1)がある。特許文献1では、p形不純物のドープによる結晶性の悪化を防止し、発光効率が高く高輝度で、素子の劣化や破損が生じにくい半導体発光素子とするため、ウインドウ層をカーボンのオートドープによりp形に形成し、そのAly Ga1-yAs(0.6≦y≦0.8)からなるウインドウ層の表面側に、該ウインドウ層よりAlの混晶比率を小さくしたAlzGa1-z As(0.45≦z≦0.6、z<y)からなる保護層を設けることにより、表面側の半導体層のAlの量を減らして、水分による腐食や酸化が生じ難くすることを開示している。
【特許文献1】特開平10−321901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1には逆方向耐電圧に関する記載はない。
【0008】
上記したように、これまでの研究の結果、前述した初期特性の他、輝度、動作電圧、発光波長の信頼性では、優れた特性を達成することができた。しかし、逆方向耐電圧の信頼性だけは良好な特性を得ることは困難であった。具体的には、LED素子の連続通電試験によって逆方向耐電圧の値が経時変化(特性的には劣化)を起こしてしまうのである。これが極端に激しい場合には、当初−60Vまであった逆方向耐電圧が、1週間程度の連続通電試験によって−0V、つまり逆方向に耐性の無いLED素子が発生してしまっていた。
【0009】
従って本発明の目的は、上記課題を解決し、逆方向耐電圧の信頼性(通電時の経時的安定性)に優れた半導体発光素子の製造方法を提供し、更に、それに伴って生ずる電流分散特性の低下を補う為の対策を有した半導体発光素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
【0011】
請求項1の発明に係る半導体発光素子の製造方法は、半導体基板上に、有機金属気相成長法(MOVPE法)によって、少なくとも活性層をそれぞれ異なる導電性を示すクラッド層で挟んだ発光部と、その上に高濃度に導電型決定不純物が添加されたウインドウ層を形成し、前記ウインドウ層の表面側の一部と、前記半導体基板の裏面全面又は一部に電極を形成する半導体発光素子の製造方法において、前記ウインドウ層における、少なくとも前記発光部に近い側を高V/III比で成長することとし、更にそれ以外の部分において少なくとも一部分以上を前記高V/III比成長部よりも低いV/III比で成長し、これによってウインドウ層中にV/III比の異なる領域を設けることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明に係る半導体発光素子の製造方法は、半導体基板上に、有機金属気相成長法(MOVPE法)によって、少なくとも活性層をそれぞれ異なる導電性を示すクラッド層で挟んだ発光部と、その上に高濃度に導電型決定不純物が添加されたウインドウ層を形成し、前記ウインドウ層の表面側の一部と、前記半導体基板の裏面全面又は一部に電極を形成する半導体発光素子の製造方法において、前記ウインドウ層における、少なくとも前記発光部に近い側をオートドーピングによるC濃度が1×1017/cm3以下となるような高V/III比状態で成長することとし、更にそれ以外の部分において少なくとも一部分以上を前記高V/III比成長部よりも低いV/III比で成長し、これによってウインドウ層中にV/III比の異なる領域を設けることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の半導体発光素子の製造方法において、前記クラッド層のうち、前記ウインドウ層に近い側のクラッド層と前記ウインドウ層との間に、前記ウインドウ層に近い側のクラッド層よりも狭いバンドギャップを有し、且つ前記ウインドウ層に近い側のクラッド層よりも高濃度に導電型決定不純物が添加された狭バンドギャップ材料層を挿入することを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3に記載の半導体発光素子の製造方法において、前記狭バンドギャップ材料層の成長温度を、前記発光部の成長温度よりも低くすることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4に記載の半導体発光素子において、少なくとも前記ウインドウ層の成長開始温度を、前記狭バンドギャップ材料層を成長する際の成長温度とほぼ等しい成長温度とし、そこから段階的に、若しくはグレーディッドに成長温度を上昇させていくことによって、ウインドウ層の成長時の温度プロファイルに高低差をつけて成長することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法において、p型の導電性決定不純物が亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)のどちらか一方であり、更に、n型の導電性決定不純物がシリコン(Si)、セレン(Se)、テルル(Te)の何れか、若しくはこれらの組み合わせであること特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法において、前記半導体基板がGaAsであり、また、前記発光部を形成する主たる材料が(AlxGa1-xYIn1-YP(0≦X≦1、0≦Y≦1)であり、更に、前記ウインドウ層を形成する主たる材料がGaP、GaAsP、GaInPであることを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法において、前記活性層と前記ウインドウ層に近い側の前記クラッド層との間に、真性なアンドープ層、若しくはアンドープに限り無く近く不純物を低濃度に含んだドープ層を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項9の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法において、前記活性層に量子井戸構造を用いることを特徴とする。
【0020】
<発明の要点>
上記目的を達するために、発明者は上記課題を解決するべく鋭意努力し研究を行った結果、本発明に到達した。
【0021】
本発明は、半導体発光素子、特に発光ダイオード(LED)素子の逆方向耐電圧特性の信頼性の不良の問題が、基板に対して格子不整合となる材料によってウインドウ層を形成する場合のV/III比に依存することを見出し、これを改善すべくその方策を提供するものである。
【0022】
具体的には、ウインドウ層を成長する際、少なくとも発光部に近い側の一部分を高V/III比とすることによって逆方向耐電圧の信頼性を安定化させ、更に、前記方策によって発生する電流分散特性の低下を補うべく、前記高V/III比成長部以外の部分において、少なくとも一部分を前記高V/III比成長部よりも低V/III比で成長することで当該部分の実質的なキャリア濃度を高め、電流分散特性を向上させるものである
【発明の効果】
【0023】
本発明に示した製造方法により、少なくともウインドウ層の発光部側の成長初期段階の一部分を高V/III比で成長し、更に、それ以外の部位の少なくとも一部分以上を前記高V/III比成長領域よりも低いV/III比で成長することで、優れた初期特性を有すると共に、極めて安定した信頼性、特に逆方向耐電圧の信頼性が著しく安定した半導体発光素子を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を実施例を中心にして説明する。
【0025】
〔従来例:ウインドウ層を低V/III比で成長〕
従来例として、図4に示した構造の発光波長630nm付近の赤色発光ダイオード(LED)用エピタキシャルウェハを作製した。エピタキシャル成長方法、エピタキシャル層膜厚、エピタキシャル構造や電極形成方法及びLED素子製作方法は、以下の通りである。
【0026】
n型GaAsからなる半導体基板1上に、MOVPE法で、n型(Seドープ)GaAsからなるバッファ層(膜厚400nm、キャリア濃度1×1018/cm3)2、DBR層(分布ブラッグ反射層)3、n型(Seドープ)(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるn型クラッド層(膜厚300nm、キャリア濃度1×1018/cm3)4、アンドープ(Al0.1、Ga0.90.5In0.5Pからなる活性層(膜厚600nm)5、p型(Znドープ)(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるp型クラッド層(膜厚300nm、キャリア濃度5×1017/cm3)6、p型(Znドープ)(Al0.3Ga0.70.5In0.5Pからなる狭バンドギャップ材料層(膜厚75nm、キャリア濃度4×1018/cm3)7、p型(Znドープ)GaPからなるウインドウ層(厚さ14μm、キャリア濃度5×1018/cm3)8を、順次積層成長させた。
【0027】
MOVPE成長での成長温度は、前記バッファ層2から前記p型クラッド層6までを650℃とし、狭バンドギャップ材料層は580℃の低温とし、前記ウインドウ層8は660℃で成長した。その他の成長条件は、成長圧力50Torr、各層の成長速度は0.3〜1.0nm/sec、V/III比は約200前後で行った。但し、ウインドウ層8のV/III比のみ9とした。
【0028】
因みに、ここで言うV/III比とは、分母をTMGaやTMAlなどのIII族原料のモル数とし、分子をAsH3、PH3などのV族原料のモル数とした場合の比率(商)を指す。
【0029】
MOVPE成長において用いる原料としては、例えばトリメチルガリウム(TMGa)、又はトリエチルガリウム(TEGa)、トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリメチルインジウム(TMIn)、等の有機金属や、アルシン(AsH3)、ホスフィン(PH3)等の、水素化物ガスを用いた。
【0030】
例えば、前記n型GaAsからなるバッファ層2のようなn型層の導電型決定不純物の添加物原料としては、セレン化水素(H2Se)を用いた。前記p型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pからなるp型クラッド層6のようなp型層の導電型決定不純物の添加物原料としては、ジエチルジンク(DEZn)を用いた。その他に、n型層の導電型決定不純物の添加物原料として、シラン(SiH4)、ジエチルテルル(DETe)、ジメチルテルル(DMTe)を用いることもできる。その他に、p型層の導電型決定不純物の添加物原料として、ジメチルジンク(DMZn)を用いることもできる。
【0031】
そして、このエピタキシャルウェハの上面(基板の逆側)には、直径110μmの円形である表面電極9を、マトリックス状に蒸着で形成した。前記表面電極9は、金・ベリリウム(AuBe)合金、ニッケル(Ni)、金(Au)を、それぞれ50nm、10nm、800nmの順に蒸着した。
【0032】
更に、エピタキシャルウェハの底面(基板側)には、全面に裏面電極10を形成した。前記裏面電極10は、金・ゲルマニウム(AuGe)合金、ニッケル(Ni)、金(Au)を、それぞれ60nm、10nm、500nmの順に蒸着し、その後、電極の合金化であるアロイを、窒素ガス雰囲気中400℃で5分間行った。
【0033】
その後、上記のようにして構成された電極付きLED用エピタキシャルウェハを、表面電極9が中心になるようにダイシング装置を用いて切断し、チップサイズ300μm角のLEDベアチップを作製した。
【0034】
更に、前記LEDベアチップをTO−18ステム上にマウント(ダイボンディング)し、その後、更に、マウントされた該LEDベアチップに、ワイヤボンディングを行い、LED素子を作製した。
【0035】
そして、上記の通りに作製されたLED素子の初期特性(信頼性試験前の特性)を評価した結果、20mA通電時(評価時)の発光出力2.03mW、動作電圧1.95V、そして−10μA通電時の逆方向耐電圧約−50V(ほぼ全てのm素子において)であり、優れた初期特性を有するLED素子を得ることができた。
【0036】
次に、当該LED素子の信頼性試験を行った。信頼性試験の試験条件は、環境温度:常温(約23℃)、環境湿度:常湿(約40%)、試験通電電流:50mA、試験通電時間:168時間(1週間)である。
【0037】
信頼性試験の結果、20mA通電時(評価時)の相対出力101%、動作電圧変化率+0.3%、そして−10μA通電時の逆方向耐電圧は約−20V〜−0Vであった。つまり、発光出力と動作電圧に関しては、良好な信頼性を有するLED素子を得ることができたが、逆方向耐電圧においては大幅な劣化が確認され、更に、その中には突発的に−0Vまで劣化してしまう異常な素子まで発生した。
【0038】
また、本従来例で作製したLED用エピタキシャルウェハのSIMS分析を行い、GaPからなるウインドウ層中の炭素(C)濃度を調査したところ、深さ方向に対して一様に4×1018/cm3の濃度のCが検出された。
【0039】
〔実施例1:ウインドウ層の最下部を高V/III比で成長〕
図1に示した構造の発光波長630nm付近の赤色発光ダイオード(LED)用エピタキシャルウェハを作製した。
【0040】
エピタキシャル成長方法、エピタキシャル層膜厚、エピタキシャル構造や電極形成方法及びLED素子製作方法は、基本的に上記従来例と同じにした。
【0041】
但し、前記p型GaPからなるウインドウ層8の成長初期から5μmの部分(高V/III比成長部11)については、そのPH3流量を増大させて、V/III比約100という高V/III比下で成長した。また、それ以後の9μmの部分(低V/III比成長部12)については、従来例と同じV/III比9で成長した。
【0042】
このように作製されたLED素子の初期特性(信頼性試験前の特性)を評価した結果、20mA通電時(評価時)の発光出力2.05mW、動作電圧1.96V、そして−10μA通電時の逆方向耐電圧約−50V(ほぼ全てのLED素子において)であり、優れた初期特性を有するLED素子を得ることができた。
【0043】
次に、当該LED素子の信頼性試験を行った。信頼性試験の試験条件は従来例に記載した条件と同じである。信頼性試験の結果、20mA通電時(評価時)の相対出力102%、動作電圧変化率+0.25%、そして−10μA通電時の逆方向耐電圧は約−50Vであった。つまり、発光出力と動作電圧に加え、逆方向動作電圧においても良好な信頼性を有するLED素子を得ることができた。
【0044】
また、本実施例1で作製したLED用エピタキシャルウェハのSIMS分析を行い、GaPからなるウインドウ層中の炭素(C)濃度を調査した所、深さ方向に対して低V/III比で成長した部位のC濃度は4×1018/cm3であるのに対し、高V/III比で成長した部位のC濃度は約4×1016/cm3しか検出されなかった。つまり、本実施例1で講じた施策によって、発光層側に近い方のウインドウ層中のC濃度が減少し、これによって逆方向耐電圧の信頼性が良化したのである。
【0045】
〔実施例2:ウインドウ層の最下部を高V/III比でグレーディッド成長〕
図2に示した構造の発光波長630nm付近の赤色発光ダイオード(LED)用エピタキシャルウェハを作製した。
【0046】
エピタキシャル成長方法、エピタキシャル層膜厚、エピタキシャル構造や電極形成方法及びLED素子製作方法は、基本的に上記従来例と同じにした。
【0047】
また、p型GaPからなるウインドウ層成長時のV/III比は上記実施例1と同じとした。すなわち、p型GaPからなるウインドウ層8の成長初期から5μmの部分(高V/III比成長部13)については、そのPH3流量を増大させて、V/III比約100という高V/III比下で成長した。また、それ以後の9μmの部分(低V/III比成長部12)については、従来例と同じV/III比9で成長した。
【0048】
ただし、本実施例2における前記p型GaPからなるウインドウ層8の高V/III比成長部13は、図3の成長温度プロファイルに示すように、上記p型(Al0.3Ga0.70.5In0.5Pからなる狭バンドギャップ材料層7の成長終了時の成長温度である580℃から上記p型GaPからなるウインドウ層8の成長温度である660℃に温度が上がるまでの昇温過程において、当該p型GaPからなるウインドウ層8の成長を連続して行うようにした。つまり、発光部に近い方の成長初期のp型GaPからなるウインドウ層(高V/III比成長部13)は、成長温度が580℃から660℃にかけてグレーディッドに変化した成長層13(グレーディッド成長部)となっているのである。
【0049】
このように作製されたLED素子の初期特性(信頼性試験前の特性)を評価した結果、20mA通電時(評価時)の発光出力2.04mW、動作電圧1.91V、そして−10μA通電時の逆方向耐電圧−50V(ほぼ全てのLED素子において)であり、優れた初期特性を有するLED素子を得ることができた。
【0050】
次に、当該LED素子の信頼性試験を行った。信頼性試験の試験条件は従来例に記載した条件と同じである。
【0051】
信頼性試験の結果、20mA通電時(評価時)の相対出力101%、動作電圧変化率+0.11%、そして−10μA通電時の逆方向耐電圧は約−50Vであった。つまり、発光出力と動作電圧に加え、逆方向動作電圧においても良好な信頼性を有するLED素子を得ることができた。
【0052】
また、本実施例2で作製したLED用エピタキシャルウェハのSIMS分析を行い、GaPからなるウインドウ層中の炭素(C)濃度を調査した所、深さ方向に対して低V/III比で成長した部位のC濃度は4×l018/cm3であるのに対し、高V/III比で成長した部位のC濃度は約4×1016/cm3しか検出されなかった。つまり、本実施例2で講じた施策によっても、発光層側に近い方のウインドウ層中のC濃度が減少し、これによって逆方向耐電圧の信頼性が良化したことが確認された。
【0053】
更に、本実施例2では、前記p型GaPからなるウインドウ層を低温領域からグレーディッドに成長した為、当該p型GaPからなるウインドウ層成長初期領域のp型不純物が多く添加され、更なる低動作電圧化を達したものである。
【0054】
〔実施例3:ウインドウ層の高V/III比領域を2μm、4μm、6μmとした〕
図1に示した構造の発光波長630nm付近の赤色発光ダイオード(LED)用エピタキシャルウェハを作製した。エピタキシャル成長方法、エピタキシャル層膜厚、エピタキシャル構造や電極形成方法及びLED素子製作方法は、基本的に上記実施例1と同じにした。
【0055】
但し、ウインドウ層の高V/III比で成長する領域(高V/III比成長部11)の膜厚を、それぞれ2μm、4μm、6μmとした。これによって、それ以後の残りのウインドウ層(低V/III比成長部12)であるところの、それぞれ12μm、10μm、8μmの部分は、従来例と同じV/III比9での成長である。
【0056】
この通りに作製されたLED素子の初期特性(信頼性試験前の特性)を評価した結果、高V/III比領域の膜厚がそれぞれ2μm、4μm、6μmと変化したときの20mA通電時(評価時)の発光出力は、何れもおよそ2.02mW〜2.07mWであり、動作電圧も何れも1.94V〜1.98Vであり、そして−10μA通電時の逆方向耐電圧も何れも約−50V(ほぼ全てのLED素子において)であり、優れた初期特性を有するLED素子を得ることができた。
【0057】
次に、当該LED素子の信頼性試験を行った。信頼性試験の試験条件は従来例に記載した条件と同じである。信頼性試験の結果、高V/III比領域を2μm、4μm、6μmと変化させたが、20mA通電時(評価時)の相対出力は何れも100%〜102%であり、動作電圧変化率もいずれも±0.3%以内にあり、そして−10μA通電時の逆方向耐電圧も何れも約−50Vで変化しなかった。つまり、ウインドウ層中の高V/III比領域を2μm、4μm、6μmと変化させたが、何れも発光出力、動作電圧、逆方向動作電圧において良好な信頼性を有するLED素子を得ることができた。
【0058】
また、本実施例3で作製したLED用エピタキシャルウェハも実施例1と同様にSIMS分析を行い、GaPからなるウインドウ層中の炭素(C)濃度を調査した。その結果、深さ方向に対して低V/III比で成長した部位のC濃度は4×1018/cm3であるのに対し、高V/III比で成長した部位のC濃度は約4×1016/cm3しか検出されなかった。つまり、本実施例3で講じた施策によって、発光層側に近い方のウインドウ層中のC濃度が減少し、これによって逆方向耐電圧の信頼性が良化したのである。更に、ウインドウ層中の高V/III比で成長すべき成長初期の領域は少なくとも2μm以上あれば良いことが確認された。
【0059】
〔実施例4:ウインドウ層の高V/III比領域のV/III比を30、60、100とした〕
図1に示した構造の発光波長630nm付近の赤色発光ダイオード(LED)用エピタキシャルウェハを作製した。エピタキシャル成長方法、エピタキシャル層膜厚、エピタキシャル構造や電極形成方法及びLED素子製作方法は、基本的に上記実施例1と同じにした。
【0060】
但し、ウインドウ層の高V/III比で成長する領域(高V/III比成長部11)のV/III比を、それぞれ30、60、100とした。そして、これらのLED用エピタキシャルウェハのSIMS分析を行い、当該高V/III比領域(高V/III比成長部11)のC濃度を調査した。すると、V/III比をそれぞれ30、60、100とした時、C濃度はそれぞれ4×1017/cm3、1×1017/cm3、8×1016/cm3、4×1016/cm3であった。
【0061】
以上の通りに作製されたLED素子の初期特性(信頼性試験前の特性)を評価した結果、高V/III比領域(高V/III比成長部11)のV/III比がそれぞれ30、60、100と変化したときの20mA通電時(評価時)の発光出力は、何れもおよそ2.03mW〜2.06mWであり、動作電圧も何れも1.94V〜1.96Vであり、そして−10μA通電時の逆方向耐電圧も何れも約−50V(ほぼ全てのLED素子において)であり、優れた初期特性を有するLED素子を得ることができた。
【0062】
次に、当該LED素子の信頼性試験を行った。信頼性試験の試験条件は従来例に記載した条件と同じである。
【0063】
信頼性試験の結果、高V/III比領域のV/III比を30、60、100と変化させたが、20mA通電時(評価時)の相対出力は何れも100%〜102%であり、動作電圧変化率もいずれも±0.3%以内にあった。
【0064】
しかし、−10μA通電時の逆方向耐電圧においては、V/III比60、100のものは約−50Vで変化しなかったが、V/III比30のLED素子については逆方向耐電圧が一様に約−35V程度まで低下してしまった。つまり、ウインドウ層中の高V/III比領域のV/III比を30、60、100と変化させたLED素子のうち、高V/III比領域のV/III比を60以上としたLED素子では、発光出力、動作電圧、逆方向動作電圧において良好な信頼性を有するLED素子を得ることができた。つまり、本実施例4で講じた施策によって、発光層側に近い方のウインドウ層中のC濃度が減少し、これによって逆方向耐電圧の信頼性が良化したのである。
【0065】
更に、ウインドウ層中の高V/III比で成長すべき成長初期の領域は少なくとも2μm以上あれば良いことが確認された。
【0066】
<最適条件についての根拠>
先ず、本発明の示す改善要項である逆方向耐電圧の信頼性不良の原因は、原理原則から言うと定かなことは確認されていない。しかしながら、本発明者らは、GaAsにほぼ格子整合するAlGaInP系発光ダイオード構造上に、格子不整合系であり、且つ発光波長に対しほぼ透明なワイドバンドギャップ材料をウインドウ層として備えた発光ダイオードにおいて、逆方向耐電圧の信頼性不良とウインドウ層の成長初期に当たる部位のV/III比とに密接な関係があることを見出した。
【0067】
まず第一に、高V/III比で成長すべきウインドウ層のV/III比は、その部位に含まれる炭素(C)の含有量が1×1017/cm3以下になるように設定した方が良い。これは、多種多様な成長装置によって成長条件やその結果がそれぞれ微妙に異なる為、一概に規定することは難しいが、本発明者らの検討した結果によると、V/III比をそれぞれ9、30、60、100と変化させた際のウインドウ層中のC濃度は、それぞれ4×1018/cm3、4×1017/cm3、1×1017/cm3、8×1016/cm3、4×1016/cm3であった。つまり、この結果から、大体の目安として、高V/III比で成長すべき部位のV/III比は30以上が好ましく、より好ましくは60以上であると言える。因みに、これらのC濃度を調査する方法としては、既に周知の分析手法であるSIMS分析を行えば良い。
【0068】
また、V/III比の上限に関して述べると、V/III比は高くすれば高くする程、逆方向耐電圧が安定するというものではなく、ある一定のレベルに達すればほぼ同様に安定するものである。つまり、あるレベル以上にV/III比を高くすることは原料コストの増加に繋がることになる。よって、高V/III比で成長すべき部位のV/III比の上限は高くとも大体200程度に留めておく方が良い。
【0069】
第二に、低V/III比で成長すべき層の存在意義は、LED素子の電流分散効果を高める為である。
【0070】
これまでに述べたように、ウインドウ層成長時のV/III比を低くすると、オートドーピングによるCの含有量が高くなる。これは例えばGaPをウインドウ層に用いた場合、このCはアクセプタとしてホール(正孔)を発生する。つまりこれによってウインドウ層の実質的なキャリア濃度が増加し、ウインドウ層の抵抗が低下するので電流分散効果が向上するのである。
【0071】
通常、ウインドウ層にはp型の導電型決定不純物、例えば亜鉛(Zn)やマグネシウム(Mg)が添加される。当然、これらの添加によってウインドウ層のキャリア濃度は上昇し、結果、電流分散効果は向上する。しかし、導電型決定不純物の過剰な添加は、高キャリア濃度化による電流分散効果の向上というメリットを生ずる一方で、その他、様々なデメリットも生む。それは例えば、不純物拡散による出力信頼性の低下であったり、装置内に不純物が残存するメモリー効果であったりする。従って、導電型決定不純物の過剰な添加というものはあまり好ましくはないのである。
【0072】
そこで、上述した低V/III比成長によるCのオートドーピングによって効率良くプラスαの高キャリア濃度化を達成し、優れた電流分散効果を得ると良い。この時の低V/III比成長すべき部位のV/III比は、前述した実験結果を元に、およそ29以下のV/III比が好ましく、より好ましくは15以下であり、更に好ましくは10以下である。つまり、逆方向耐電圧の安定化の為にウインドウ層と発光部側との界面からある程度までの一部領域を高V/III比とし、それ以外の部分では電流分散効果を向上させる為にウインドウ層を低V/III比で成長し、形成するものである。
【0073】
第三に、前記狭バンドギャップ材料層の成長温度は、前記発光部、ウインドウ層の成長温度よりも低いことが好ましい。
【0074】
この理由として、通常、本発明の実施例に示したp型クラッド層(ウインドウ層に近い側のクラッド層)とウインドウ層との間にはバンド不連続が生じている。通常はこれによって電位障壁が生じ、動作電圧が上昇する。これを抑制すべく本発明の実施例では狭バンドギャップ材料層を設けてある。
【0075】
狭バンドギャップ層は、クラッド層(ウインドウ層に近い側のクラッド層)のバンドギャップよりも狭いバンドギャップを有する層であり、具体的には、クラッド層よりもAl組成の低い層で形成されている。これにより変化することは低Al組成化によってp型導電型決定不純物の添加効率が向上し、キャリア濃度が高まることである。
【0076】
バンド不連続に起因する電位障壁を通過するには擬似トンネル効果的に当該狭バンドギャップ材料層のキャリア濃度をできるだけ高めると良い。よって、更に狭バンドギャップ材料層に含まれる導電型決定不純物の濃度を高めることができれば、動作電圧の低減が図れるものである。そして、その方策として狭バンドギャップ材料層の成長温度を低くすることが挙げられるのである。前述した低Al組成化と同様にp型の導電型決定不純物はより低温であった方がその添加効率は向上し、キャリア濃度は高くなる。従って、前記狭バンドギャップ材料層の成長温度は低く設定されることが望ましいのである。
【0077】
[変形例1]
本発明における実施例においては、どの構造においても活性層とp型クラッド層との間に何も介在させない構造とした。しかし、ここに例えば真性なアンドープ層を設けたり、多少の導電型不純物を含んでいようとも擬似的にアンドープ層となるような擬似アンドープ層を設けたりする構造を採っても、単にLED素子の出力の信頼性を向上させるなどの効果が生ずるのみであり、本発明の意図する効果が得られる。
【0078】
[変形例2]
本発明における実施例においては、どの構造においても、p型クラッド層と、GaPからなるウインドウ層との間に狭バンドギャップ材料層を介在させたが、特に当該層が無い構造においても、前記p型クラッド層と前記GaPからなるウインドウ層間に生ずるバンド不連続に起因した多少の動作電圧上昇を招くのみであり、本発明の意図する効果が得られる。
【0079】
[変形例3]
本発明における実施例においては、発光波長630nmの赤色LED素子のみを作製例としたが、同じAlGaInP系の材料を用いて製作されるそれ以外のLED素子、例えば発光波長560nm〜660nmのLED素子においても、この時に用いられる各層の材料、キャリア濃度、特にウインドウ層においては一切の変更点を持たない。従って、仮にLED素子の発光波長を本発明の実施例と異なる波長帯域としても同様な効果が得られる。
【0080】
[変形例4]
本発明における実施例においては、バッファ層及びDBR層(分布ブラッグ反射層)を常に設けたLED構造を作製例としたが、これらが省略されたLED素子構造を採ることもできる。
【0081】
[変形例5]
本発明における実施例においては、p型層に添加する導電型決定不純物を亜鉛(Zn)、n型層に添加する導電型決定不純物をセレン(Se)としたが、このp型層に添加する導電型決定不純物としてマグネシウム(Mg)を用いたり、n型層に添加する導電型決定不純物としてシリコン(Si)やテルル(Te)を用いることもできる。
【0082】
[変形例6]
本発明における実施例においては、表面電極の形状が常に円形のものとした構造を採ったが、その他にも異形状、例えば四角、菱形、多角形等とすることもでき、これによっても本発明に意図する効果を得ることができる。
【0083】
[変形例7]
本発明における実施例においては、どの構造においてもウインドウ層にGaPを用いた構造を採ったが、発光波長に対し殆ど透明である材料の内、例えばGaAsPやGaInPをウインドウ層に用いた場合においても、前記GaInPによって形成された層、前記GaAsPによって形成された層は活性層で発光した光に対し吸収層とならない為にGaP組成を非常に高くする必要があり、殆どそのウインドウ層はGaPをウインドウ層に用いた場合とほぼ同じ特性を有するLED素子が得られる。従って、ウインドウ層にGaP組成の高いGaAsP、GaInPを用いた場合においても本発明を適用し、本発明の意図する効果を得ることができる。
【0084】
[変形例8]
本発明における実施例においては、どの構造においても高V/III比領域と低V/III比領域と、両方の層を形成する構造としたが、仮に低V/III比領域が無く、ウインドウ層の成長初期段階から高V/III比領域を最後まで積層した構造、つまりウインドウ層全体を高V/III比として形成した場合においても、本発明の意図する効果が得られることは当業者においては容易に類推できる。これは、低V/III比領域の形成による効果がウインドウ層の低抵抗化に大きく影響を及ぼすものであり、LED素子の電流分散効果、引いてはLEDの発光出力、動作電圧といった特性が低下することを犠牲とするならば、本発明の効果に何ら問題は無い。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施例にかかるAlGaInP系赤色LED素子用エピタキシャルウェハの断面構造図である。
【図2】本発明の他の実施例にかかるAlGaInP系赤色LED素子用エピタキシャルウェハの断面構造図である。
【図3】本発明の他の実施例にかかるウインドウ層を含めたその周辺の成長温度プロファイルを示す図である。
【図4】従来例にかかるAlGaInP系赤色LED素子用エピタキシャルウェハの断面構造図である。
【符号の説明】
【0086】
1 半導体基板
2 バッファ層
3 DBR層(分布ブラッグ反射層)
4 n型クラッド層
5 活性層
6 p型クラッド層
7 狭バンドギャップ材料層
8 ウインドウ層
9 表面電極
10 裏面電極
11 高V/III比成長部
12 低V/III比成長部
13 高V/III比成長部(グレーディッド成長部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に、有機金属気相成長法によって、少なくとも活性層をそれぞれ異なる導電性を示すクラッド層で挟んだ発光部と、その上に高濃度に導電型決定不純物が添加されたウインドウ層を形成し、前記ウインドウ層の表面側の一部と、前記半導体基板の裏面全面又は一部に電極を形成する半導体発光素子の製造方法において、
前記ウインドウ層における、少なくとも前記発光部に近い側を高V/III比で成長することとし、更にそれ以外の部分において少なくとも一部分以上を前記高V/III比成長部よりも低いV/III比で成長し、これによってウインドウ層中にV/III比の異なる領域を設けることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項2】
半導体基板上に、有機金属気相成長法によって、少なくとも活性層をそれぞれ異なる導電性を示すクラッド層で挟んだ発光部と、その上に高濃度に導電型決定不純物が添加されたウインドウ層を形成し、前記ウインドウ層の表面側の一部と、前記半導体基板の裏面全面又は一部に電極を形成する半導体発光素子の製造方法において、
前記ウインドウ層における、少なくとも前記発光部に近い側をオートドーピングによるC濃度が1×1017/cm3以下となるような高V/III比状態で成長することとし、更にそれ以外の部分において少なくとも一部分以上を前記高V/III比成長部よりも低いV/III比で成長し、これによってウインドウ層中にV/III比の異なる領域を設けることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体発光素子の製造方法において、
前記クラッド層のうち、前記ウインドウ層に近い側のクラッド層と前記ウインドウ層との間に、前記ウインドウ層に近い側のクラッド層よりも狭いバンドギャップを有し、且つ前記ウインドウ層に近い側のクラッド層よりも高濃度に導電型決定不純物が添加された狭バンドギャップ材料層を挿入することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体発光素子の製造方法において、
前記狭バンドギャップ材料層の成長温度を、前記発光部の成長温度よりも低くすることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体発光素子において、
少なくとも前記ウインドウ層の成長開始温度を、前記狭バンドギャップ材料層を成長する際の成長温度とほぼ等しい成長温度とし、そこから段階的に、若しくはグレーディッドに成長温度を上昇させていくことによって、ウインドウ層の成長時の温度プロファイルに高低差をつけて成長することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法において、
p型の導電性決定不純物が亜鉛、マグネシウムのどちらか一方であり、更に、n型の導電性決定不純物がシリコン、セレン、テルルの何れか、若しくはこれらの組み合わせであること特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法において、
前記半導体基板がGaAsであり、また、前記発光部を形成する主たる材料が(AlxGa1-xYIn1-YP(0≦X≦1、0≦Y≦1)であり、更に、前記ウインドウ層を形成する主たる材料がGaP、GaAsP、GaInPであることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法において、
前記活性層と前記ウインドウ層に近い側の前記クラッド層との間に、真性なアンドープ層、若しくはアンドープに限り無く近く不純物を低濃度に含んだドープ層を備えたことを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体発光素子の製造方法において、
前記活性層に量子井戸構造を用いることを特徴とする半導体発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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