半導体発光素子
【課題】 結晶欠陥の発生を抑え、電極形成面の凹凸を減らして平坦化し、半導体発光素子作成プロセスにおいて電極の剥がれが生じにくい半導体発光素子用ウェハーを提供すること。
【解決手段】 半導体基板1と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層2、発光層3、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層4、及び窓層5、がこの順序で積層されており、該基板には下部電極7、および該窓層には上部電極6が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層11と発光層より遠い第2窓層12とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、III族元素の組成比を変化させた第1の介在層を有することを特徴とするものである。この結果、ヒロックの少ないウェハーを得ることができる。
【解決手段】 半導体基板1と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層2、発光層3、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層4、及び窓層5、がこの順序で積層されており、該基板には下部電極7、および該窓層には上部電極6が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層11と発光層より遠い第2窓層12とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、III族元素の組成比を変化させた第1の介在層を有することを特徴とするものである。この結果、ヒロックの少ないウェハーを得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板の上に化合物半導体結晶を積層して構成される半導体発光素子に関し、特に、積層表面における結晶欠陥を低減し、平坦化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】基板の上に化合物半導体結晶を積層して構成される半導体発光素子は、結晶格子の長さが0.5%以上異なる格子不整合結晶を利用できるようになって以来、青色から赤外までの広い波長領域で高輝度の発光が可能となってきた。
【0003】例えば、米国特許5,008,718号公報に記載されている緑色発光する半導体発光素子は、図1111の如き構造を有する(以下、「従来例1」という)。該半導体発光素子1100は以下のような手順で作製される。
【0004】図11において、n型GaAs仮基板(図示せず)の上に該仮基板に格子整合したn型InAlGaP第1クラッド層102、ノンドープInAlGaP発光層103、p型InAlGaP第2クラッド層104、並びにp型GaP窓層105を成長する。GaAs仮基板(図示せず)を除去した後、前記n型第1クラッド層102上に透明基板層109を成長し、半導体発光素子用ウェハーとする。
【0005】次に、透明基板層109上に、n側電極107を設ける。窓層105の電極形成面105aの中央部に円形のp側電極106を設ける。前記ウェハーを300μm角程度の大きさに分割して、図11の半導体発光素子1100が作製される。両電極106、107は外部導体と電気的に接続される。例えばp側電極106には外部導体(図示せず)と接続された直径30μm程度の金属ワイヤ(図示せず)がボンディングされる。
【0006】半導体発光素子の輝度を高くするため、窓層105にはGaPを用いている。GaPは結晶格子の値が前記仮基板のGaAs結晶に比べて約3.4%も小さく、格子不整合結晶であるが、バンドギャップが発光層103のInAlGaP結晶のバンドギャップより十分大きいため、発光層103で発生する発光層103のバンドギャップに近いエネルギーの波長の光に対し窓層105の透過率を十分高く保つことができる。その結果、発光層103から出た光の窓層105による吸収を低減し、半導体発光素子の輝度を高くすることができる。
【0007】半導体発光素子の輝度を高くするには窓層105の抵抗値を低くすることも重要である。両電極106、107から電流を注入すると発光層103で波長560nmの緑色発光が生じる。窓層105の抵抗値が高い場合、p側電極106から注入された電流は横方向への広がりが少ないため、発光層103のp側電極106に対向する部分で集中して発光が生じる。発光層3で発生した光のうち、半導体発光素子と外部との境界面に略垂直に入射する光は効率よく半導体発光素子外部に出力されるが、その他の光は前記境界面で反射され、半導体発光素子の輝度に寄与しない。したがって、発光層103のp側電極106に対向する部分で発光が生じた場合、前記境界面に垂直に入射する光も該p側電極106で反射され、半導体発光素子の輝度が低下する。
【0008】抵抗値を下げる方法として窓層105のp型不純物濃度を高くする方法が良く知られている。ところが、典型的なp型不純物であるZn(亜鉛)、Mg(マグネシウム)、Be(ベリリウム)等は結晶中を拡散しやすい物質であり、窓層105のp型不純物濃度を高くすると発光層3までp型不純物が拡散し、該発光層3における電流の光への変換効率そのものが低下し、半導体発光素子の輝度が低下する。
【0009】このような問題を解決するため、特開平5−335619号公報では、窓層を2層構造とし、活性層に近い窓層のp型不純物濃度を低く、活性層から遠い窓層のp型不純物濃度を高くして、電流が発光層全体に広がるようにするとともに、p型不純物が発光層にまで拡散することを防止して半導体発光素子の輝度が低下することを防ぐ技術が開示されている(以下、「従来例2」という)。
【0010】図12に、従来例2の半導体発光素子1200の略断面図を示す。半導体基板101に、窓層105を2層構造とし、活性層に近い第1窓層111と活性層から遠い第2窓層112とにより、窓層105を構成している。
【0011】従来例2の半導体発光素子では、窓層105にGaAlAsを用いているが、GaAlAsはバンドギャップが狭く、緑色光に対しては透過率が低い。本発明者らは窓層をバンドギャップの大きいGaPとしても同様の効果が得られることを確認した(以下「従来例の半導体発光素子」という)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、窓層に用いるGaPのp型不純物濃度を高くすると、多数の結晶欠陥がp側電極形成面に発生し、該結晶欠陥によりp側電極形成面に凹凸が発生する。p側電極106は面積が直径約100μm程度と狭いため、p側電極形成面105aに凹凸があるとウェハーを分割し、p側電極106にワイヤーをボンディングして半導体発光素子を作成するプロセスにおいて、p側電極106が窓層105から剥がれ易いという問題がある。
【0013】上記結晶欠陥のうち、ヒロック(hill−rock)と呼ばれる結晶欠陥が最も重要である。このヒロック欠陥は、基板と異なる面方位の結晶面が生じるために発生する突起状の欠陥である。いったんヒロック欠陥が発生するとその上に成長される結晶によって平坦化されず、突起状の形状が保たれたまま結晶成長する。本発明者らはヒロック欠陥は、下地よりp型不純物濃度が高い層を成長する初期の段階で発生すること、成長層のp型不純物濃度が高いほど大量に発生することを見出した。
【0014】ヒロック欠陥が発生する理由としては、不純物濃度を高くするために、不純物材料を急激に増加させた時、GaPの主要構成元素であるGaやPの動きが不純物材料により一時的に妨げられ、成長中の結晶表面全体に均一に分散できないことが原因と考えられる。特にP、As、N、Sb等のV族元素は動きにくく、III族元素と結合して移動するため、同時に使用するIII族元素の種類が結晶欠陥の発生の有無と関係が大きい。例えばIII族元素がGaの場合、V族元素との結合が弱いために、V族元素が外れやすい。その結果、下地より不純物濃度の高い層の成長初期においてV族元素が均一に分散せず、ヒロックが発生するものと考えられる。
【0015】本発明は、III−V族化合物半導体結晶の主要構成元素であるIII族元素とV族元素が結晶成長過程において結晶表面全体に均一に分散するようにして、ヒロック等の結晶欠陥の発生を抑え、電極形成面の凹凸を減らして平坦化し、上記半導体発光素子作成プロセスにおいて電極の剥がれが生じにくい半導体発光素子用ウェハーを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の半導体発光素子は、基板と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層、及び窓層、がこの順序で積層されており、該基板には下部電極、および該窓層には上部電極が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、III族元素の組成比を変化させた第1の介在層を有することを特徴とするものである。
【0017】また、請求項2記載の半導体発光素子の半導体の各層は次の構成よりなることを特徴とするものである。
【0018】
半導体基板:GaAs、第1クラッド層:In0.5(Gax1Al1-x1)0.5P(但し、0≦x1≦1)、活性層:In0.5(Gax2Al1-x2)0.5P(但し、0≦x2<1)、または、GayAl1-yAs(但し、0≦y≦1)、または、InzGa1-zAs(但し、0≦z<1)、第2クラッド層:In0.5(Gax3Al1-x3)0.5P(但し、0≦x3≦1)、窓 層:InwGax4Al1-w-x4P(但し、0≦w≦1、0≦x4≦1)。
【0019】また、請求項3記載の半導体発光素子は、前記第1の介在層のIII族元素はIn(インジウム)元素であり、且つ、第1窓層および第2窓層のIn元素の組成比より高くしたこと特徴とするものである。
【0020】また、請求項4記載の半導体発光素子は、前記第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍に、III族元素の組成比を変化させた第2の介在層を有し、且つ、第1窓層のIII族元素のInの組成比より高くしたこと特徴とするものである。
【0021】また、請求項5記載の半導体発光素子は、基板と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層、及び窓層、がこの順序で積層されており、該基板および該窓層の片面にはそれぞれ電極が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、前記第2窓層内の不純物濃度を漸次増加させたことを特徴とするものである。
【0022】また、請求項6記載の半導体発光素子は、前記第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍の前記第1クラッド層内の不純物濃度を漸次増加させたことを特徴とするものである。
【0023】また、請求項7記載の半導体発光素子は、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍おける前記第2窓層内のIn組成比を不純物濃度の増加にほぼ比例して漸次増加させたことを特徴とするものである。
【0024】また、請求項8記載の半導体発光素子は、前記第2クラッド層と前記第1窓層との界面上に電流阻止層を配設し、且つ、該電流阻止層の形状は上部電極の形状とほぼ相似形であることを特徴とするものである。
【0025】また、請求項9記載の半導体発光素子は、前記電流阻止層が次の構成よりなることを特徴とするものである。
電流阻止層:InvAlx6Ga1-v-x6P(但し、0≦v≦1、0≦x6≦1)。
【0026】さらに、請求項10記載の半導体発光素子は、前記電流阻止層が半導体発光素子の中央部または周辺部に設けられていることを特徴とするものである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を各図面に基づき詳細に説明する。
[実施の形態1]図1は、本発明にかかる実施の形態1の半導体発光素子を説明する面であり、図1(a)は、半導体発光素子の略断面図、図1(b)は、窓層5の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【0028】本発明の実施の形態1の半導体発光素子100の結晶成長は、減圧MOVPE法(減圧MOCVD法)を用いて行い、半導体発光素子100の各層は、次の構成より成る。1はn型GaAs基板、2はn型In0.5Al0.5Pクラッド層であり、不純物はSiで不純物濃度は5×1017cm-3、厚さ約1μm、3はアンドープIn0.5(Ga0.55Al0.45)0.5P発光層、厚さ約0.5μm、4はn型In0.5Al0.5Pクラッド層、不純物はZnで不純物濃度は5×1017cm-3、厚さ約1μm、11はp型GaP第1窓層、不純物はZnで不純物濃度は1×1018cm-3、厚さ約1μm、12はp型GaP第2窓層、不純物はZnで不純物濃度は1×1019cm-3、厚さ約5μm、であり、第1窓層11と第2窓層12とにより、窓層5を形成している。
【0029】上記各層を積層した後、n型GaAs基板1の片面にn側電極7、p型窓層12の片面の電極形成面5aにp側電極6を形成し、半導体発光素子用ウェハー(以下、「実施の形態1のウェハー」という)を作成した。n側電極7は基板1全面に形成するが、p側電極6は光を取り出すために、例えば、直径約100μm程度の円形形状とした。このウェハーを約300μm角の大きさに分割し、半導体発光素子100を作成した。
【0030】p型GaP第1窓層11とp型GaP第2窓層12のZnの不純物濃度は、それぞれ、1×1018cm-3と1×1019cm-3と、その界面において、大きな不純物濃度分布に落差があるため、第2窓層12のヒロック欠陥密度の増加の要因となっていることが分かったため、図1(b)に示すように、p型GaP第1窓層11とp型GaP第2窓層12との界面近傍に、III族元素のInを添加した介在層、InGaP層(第1の介在層)を介在させる構造となっている。
【0031】実施の形態1においては、第1窓層11とp型GaP第2窓層12との界面近傍に、厚さ約0.1μmのIn0.01Ga0.99P層(Znの不純物濃度1×1018cm-3)と厚さ約0.1μmのIn0.01Ga0.99P層(Znの不純物濃度1×1019cm-3)の介在層を持つ構造となっている。
【0032】これは、InがGaと同じく結晶表面を動きやすいこと、InとV族元素との結合はGaとV族元素との結合より強固であるため、不純物濃度が急激に増加しても、InとV族元素(例えば、P、As、N、Sb等)との結合が解離し難いことから、V族元素がInと結合して移動することにより、不純物のZnが結晶表面に均一に分散することができるためと考えられる。
【0033】結晶中のIII族原素全体に対する特定のIII族原素の割合をIII族原素の組成比というが、前記両窓層11、12の界面近傍の第1窓層11および第2窓層12内の厚さ0.1μmの領域のIn組成比を約0.01とすれば、上記V族元素の均一分散を実現することができた。
【0034】実施の形態1の半導体発光素子において、要約すると、前記半導体の各層は次の構成よりなるものである。
半導体基板:GaAs、第1クラッド層:In0.5(Gax1Al1-x1)0.5P(但し、0≦x1≦1)、活性層:In0.5(Gax2Al1-x2)0.5P(但し、0≦x2<1)、または、GayAl1-yAs(但し、0≦y≦1)、または、InzGa1-zAs(但し、0≦z<1)、第2クラッド層:In0.5(Gax3Al1-x3)0.5P(但し、0≦x3≦1)、窓 層:InwAlx4Ga1-w-x4P(但し、0≦w≦1、0≦x4≦1)。
【0035】図2に、縦軸にヒロック欠陥密度、横軸にIn組成比を取り、第1窓層と第2窓層との間の介在層のIn組成比に対するヒロック欠陥密度の測定結果の一例を示す。
【0036】図2において、In組成比が、およそ、5×10-4、9×10-4、4×10-3、4×10-2、に対して、ヒロック欠陥密度は、それぞれ、約1000、100、10、5(個数/cm2)と、In組成比を0からわずかに大きくするだけでヒロック欠陥密度は大幅に減少することが分かる。図2はGaP単層について測定したものであるが半導体発光素子用ウェハーの場合、In組成比を大きくしたときのヒロック欠陥密度の減少はもう少し緩やかであった。In組成比を更に大きくするとヒロック欠陥密度も減少するが、わずかに加えた場合ほど急激な減少は見られない。
【0037】一方、窓層5のIn組成比を増加させると、In組成比が0.23迄は間接遷移の半導体であり、GaP半導体のバンドギャップの値とほぼ同じであり、ヒロック低減による結晶性の向上により、電流拡散が増加して、輝度は向上する。しかし、窓層5のIn組成比が更に高くなると、窓層5の緑色光に対する透過率が低くなって、半導体発光素子の輝度が低下する。これは、窓層5のバンドギャップが小さくなるためである。
【0038】従来例の半導体発光素子を作製するウェハー(以下、「従来例のウェハー」という)では、欠陥密度が約1000個/cm2であったものが、本実施の形態1のウェハーでは約100個/cm2と、1/5に減少した。実施の形態1のウェハーを用いて半導体発光素子を作成した場合の歩留まりは、従来のウェハーを用いた場合に対して、約30%向上した。発光波長は560nmの緑色であり、輝度は従来の半導体発光素子に比べて、約20%増加することができた。
【0039】[実施の形態2]図3は、本発明にかかる実施の形態2の半導体発光素子を説明する面であり、図3R>3(a)は、半導体発光素子の略断面図、図3(b)は、窓層5の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【0040】本発明の実施の形態2の半導体発光素子200の結晶成長は、実施の形態1と同様に、減圧MOVPE法(減圧MOCVD法)を用いて行われる。
【0041】本実施の形態2の半導体発光素子200は、窓層5全体をIn0.01Ga0.99Pとし、p型In0.01Ga0.99P第1窓層(不純物はZnで不純物濃度は1×1018cm-3、厚さ約1μm)21、p型In0.01Ga0.99P第2窓層(不純物はZnで不純物濃度は1×1019cm-3、厚さ約5μm)22、とにより、窓層5を形成している。
【0042】そして、第1窓層21とp型GaP第2窓層22との界面近傍に、厚さ約0.1μmのIn0.05Ga0.95P層(Znの不純物濃度1×1018cm-3)と厚さ約0.1μmのIn0.05Ga0.95P層(Znの不純物濃度1×1019cm-3)の介在層を持つ構造となっており、その他の各層は、実施の形態1の半導体発光素子と同じである。このように窓層5全体をInGaPとしても欠陥密度を減少させることがわかる。
【0043】本実施の形態2の半導体発光素子構成を有するウェハー(以下、「実施の形態2のウェハー」という)では、欠陥密度を約10個/cm2と従来例のウェハーに比べ、1/100に減少した。実施の形態2のウェハーを用いて半導体発光素子を作成した場合の歩留まりは、従来例のウェハーを用いて作成した場合に対し約40%向上し、輝度は従来例の半導体発光素子より、約20%増加した。
【0044】[実施の形態3]図4は、本発明にかかる実施の形態3の半導体発光素子を説明する面であり、図4R>4(a)は、半導体発光素子の略断面図、図4(b)は、窓層5の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【0045】本実施の形態3の半導体発光素子300は、窓層5全体をIn0.01(Ga0.8Al0.2)0.99P層とAlを入れた化合物半導体層とした点を除けば、実施の形態2の半導体発光素子と同じである。
【0046】即ち、p型In0.01Al0.2Ga0.79P第1窓層(不純物はZnで不純物濃度は1×1018cm-3、厚さ約1μm)31、p型In0.01Al0.2Ga0.79P第2窓層(不純物はZnで不純物濃度は1×1019cm-3、厚さ約5μm)32、とにより、窓層5を形成している。
【0047】そして、第1窓層31とp型GaP第2窓層32との界面近傍に、厚さ約0.1μmのIn0.01Al0.2Ga0.79P層(Znの不純物濃度1×1018cm-3)と厚さ約0.1μmのIn0.01Al0.2Ga0.79P層(Znの不純物濃度1×1019cm-3)の介在層を持つ構造となっている。このように、窓層5全体をInAlGaPとしても欠陥密度を減少させることがわかる。窓層5を構成するIII族元素にAlを加えることにより、窓層5のバンドギャップが小さくなることを防ぐことができる。
【0048】III族元素Alは窓層のバンドギャップを広げる効果はあるが、Gaと同様、V族元素(例えば、P、As、N、Sb等)との結合力が弱いため、結晶欠陥を減らす効果は無い。さらに、結晶表面を移動する速度が遅いためInによる結晶欠陥を抑制する効果を失わせる傾向がある。このため、緑色光を発生する半導体発光素子においては、前記第1窓層31と第2窓層32の界面近傍の第1窓層31および第2窓層32内のIn組成比を0.2以上とすることは困難であった。
【0049】本実施の形態3の半導体発光素子構成を有するウェハー(以下、「実施の形態3のウェハー」という)では欠陥密度は30個/cm2と実施の形態2のウェハーに比較して欠陥密度は約3倍となった。しかし、従来例のウェハーに比べると欠陥密度は約1/30である。本実施の形態3の半導体発光素子の輝度は従来例の半導体発光素子i比べて、約30%増加した。
【0050】実施の形態3の半導体発光素子において、要約すると、前記半導体の各層は次の構成よりなるものである。
半導体基板:GaAs、第1クラッド層:In0.5(Gax1Al1-x1)0.5P(但し、0≦x1≦1)、活性層:In0.5(Gax2Al1-x2)0.5P(但し、0≦x2<1)、または、GayAl1-yAs(但し、0≦y≦1)、または、InzGa1-zAs(但し、0≦z<1)、第2クラッド層:In0.5(Gax3Al1-x3)0.5P(但し、0≦x3≦1)、窓 層:InwAlx4Ga1-x4P(但し、0≦w≦1、0≦x4≦1)。
【0051】[実施の形態4]図5は、本発明にかかる実施の形態4の半導体発光素子を説明する面であり、図5R>5(a)は、半導体発光素子の略断面図、図5(b)は、窓層5の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【0052】本発明の実施の形態4の半導体発光素子400の結晶成長は、減圧MOVPE法(減圧MOCVD法)を用いて行い、図5(b)に示すように第2クラッド層4と第1窓層41との界面近傍の第1窓層41内にもInを添加し、In0.01Ga0.99P層とした点、第2の介在層を配設した点、を除けば、実施の形態1の半導体発光素子100と同じである。第1窓層41と第2窓層12とにより、窓層5を構成している。
【0053】本実施の形態4の半導体発光素子構成を有するウェハー(以下、「実施の形態4のウェハー」という)では欠陥密度が約80個/cm2であり、実施の形態4のウェハーを用いて半導体発光素子を作成した場合の歩留まりは、従来例のウェハーを用いた場合に対し、約40%向上した。
【0054】[実施の形態5]図6は、本発明にかかる実施の形態5の半導体発光素子を説明する面であり、図6R>6(a)は、半導体発光素子の略断面図、図6(b)は、窓層5の厚さ方向におけるp型不純物濃度の分布を示す図である。
【0055】実施の形態5の半導体発光素子500は、第1窓層11と第2窓層52の界面近傍の第2窓層52内の厚さ1μmの領域において、p型(Zn)不純物濃度を1×1018cm-3から1×1019cm-3まで1桁漸次増加させた点を除けば、実施の形態1の半導体発光素子と同じである。
【0056】本実施の形態5の半導体発光素子構成を有するウェハー(以下、「実施の形態5のウェハー」という)では、欠陥密度が従来のウェハーでは、約1000個/cm2であったものが、約500個/cm2と半減させることができた。実施の形態5のウェハーを用いて半導体発光素子を作成した場合の歩留まりは、従来例のウェハーを用いた場合に比べて、約7%向上した。
【0057】[実施の形態6]図7は、本発明にかかる実施の形態6の半導体発光素子を説明する面であり、図7R>7(a)は、半導体発光素子の略断面図、図7(b)は、窓層5の厚さ方向におけるIn組成比の分布、及び第1窓層61と第2窓層62のp型不純物濃度の分布を示す図である。
【0058】本実施の形態6の半導体発光素子600は、第1窓層61と第2クラッド層4との界面近傍の第1窓層61内の厚さ0.2μmの領域において、p型不純物濃度を5×1017cm-3から1×1018cm-3まで半桁漸次増加させたことを除けば実施の形態5の半導体発光素子と同じである。
【0059】実施の形態5のウェハーの欠陥密度は約500個/cm2であったが、本実施の形態6の半導体発光素子構成を有するウェハー(以下、「実施の形態6のウェハー」という)では欠陥密度が約300個/cm2とさらに減少させることができた。実施の形態6のウェハーを用いて半導体発光素子を作成した場合の歩留まりは、従来例のウェハーを用いた場合の歩留まりに対し、約10%向上した。
【0060】[実施の形態7]図8は、本発明にかかる実施の形態7の半導体発光素子を説明する面であり、図8R>8(a)は、半導体発光素子の略断面図、図8(b)は、窓層5の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図、及び、図8(c)は、第1窓層61と第2窓層62と第2クラッド層のp型不純物濃度の分布を示す図である。
【0061】本実施の形態7の半導体発光素子700は、第1窓層71の組成はIn0.01Ga0.99P層であり、第1窓層71と第2窓層72との界面近傍の第1窓層71内の厚さ約1μmの領域において、In組成比を0.01から0.05まで漸次増加させて、In0.05Ga0.95P層にするとともに、p型不純物濃度も1×1018cm-3から1×1019cm-3までIn組成比の増加にほぼ比例して漸次増加させた点を除けば、第1の実施の形態の半導体発光素子と同じである。
【0062】本実施の形態7の半導体発光素子構成を有するウェハー(以下、「実施の形態7のウェハー」という)では、欠陥密度を約0〜5個/cm2と略無欠陥とすることができた。この実施の形態7のウェハーを用いて半導体発光素子を作成した場合の歩留まりは、従来例のウェハーを用いた場合に対し、約50%向上した。
【0063】[実施の形態8]図9は、本発明にかかる実施の形態8の半導体発光素子800を説明するための略断面図である。実施の形態1の半導体発光素子100との違いは、第2クラッド層4と第1窓層11との間の第2クラッド層4上で、且つ、p側電極6と対向する位置に、n型電流阻止層8を設けた点である。
【0064】p側電極6の下に位置する発光層3の部分で発生した光は、p側電極6で反射されて、外部へ放射され難い。即ち、p側電極6の下に位置する発光層3の領域を流れる発光電流は、外部発光出力にあまり寄与しない無効電流である。n型電流阻止層8は、p型第2クラッド層4との界面で、n−p接合を形成している。半導体発光素子に電流を流すため、両電極6、7に順バイアス電圧を印加した時、前記接合は逆バイアスとなって、電流の流れを阻止する。従って、半導体発光素子に注入された電流は、すべて発光層3のp側電極6に対向していない部分に流れることになり、無効電流が殆ど無くなる。この場合、電流阻止層8の形状は、上部p型電極6の形状とほぼ相似形である。
【0065】n型電流阻止層8の組成は、一般的には、InvAlx6Ga1-v-x6P(但し、0≦v≦1、0≦x6≦1)が用いられ、望ましい組成の一例として、In0.01Al0.01Ga0.98Pがある。
【0066】本実施の形態8にかかる半導体発光素子では、p側電極6およびn型電流阻止層8は、直径約100μmの円形形状とした。これはp側電極6の面積を電流を流すために施すワイヤをボンディングができる必要最小限の大きさとし、p側電極6による輝度低下を最小限に抑えるためである。p側電極6およびn型電流阻止層8は素子の中央部に設けている。このため発光層3全面に均一に電流を流すことができ、半導体発光素子の輝度を従来例に比べて、約40%増加することができた。この半導体発光素子は屋外用表示板等の用途に用いることができる。
【0067】[実施の形態9]図10は、本発明の実施の形態9にかかる半導体発光素子900の略断面図を表している。実施の形態8の半導体発光素子800と同様、第2クラッド層4と第1窓層の間で第2クラッド層4上のp側電極6と対向する位置にn型電流阻止層8を設けた。本実施の形態9にかかる半導体発光素子900では、p側電極6およびn型電流阻止層8は、素子中央部分の直径約100μmの円形形状の部分を残して、素子の周辺部分に設けた。電流が素子中央の直径約100μmの狭い部分に集中するため、電流のON/OFFに対する光のON/OFFの応答速度を高めることができ、このため光通信用の光源として用いることができる。
【0068】p側電極6およびn型電流阻止層8を形成しない部分の面積Sは必要な輝度と応答速度の値とによって決定される。即ち、応答速度が遅くても良いが高い輝度が要求される場合は、Sを大きくし、逆に輝度は低くても良いが応答速度を早くする必要がある場合にはSを小さくする。
【0069】面積Sと輝度Bとの関係については、面積Sを大きくしても、輝度Bはあまり変化しない。これは、面積Sを大きくすると、電流密度が低下し、輝度Bは電流量に比例するからである。
【0070】一方、面積Sと応答速度τとの関係については、面積Sを小さくすると、応答速度τは向上する。しかし、あまり小さくし過ぎると、抵抗の増加という悪影響が生じる。一例として、面積S=100μmφでは、電流I=20mAで、順方向電圧VF=1.95Vであり、S=50μmφでは、I=20mAで、順方向電圧VF=2.2Vとなり、応答速度τは約20%向上する。しかし、順方向電圧VFが0.25V増加するので、本発明では、面積S=100μmφが多く用いられる。応答速度τの具体的な数値の一例として、面積S=100μmφとすることにより、応答速度τ17.1μsを4.4μsに向上することができた。
【0071】発光層をIn0.1Ga0.9Asとすることにより、発光波長950nmの半導体発光素子が得られ、赤外光を用いた無線通信用の光源として有効である。一方、発光層をGa0.9Al0.1Asとすることにより、発光波長850nmの半導体発光素子が得られる。前記発光波長の異なる2つの半導体発光素子を光源として用いることにより、赤外光を用いた波長多重無線通信が可能となる。また、上り信号と下り信号とで発光波長を変えることにより、赤外光を用いた全二重無線通信を行なうことも可能となる。
【0072】また発光面積が小さいので、半導体発光素子の出射光を光ファイバーへ入射することが容易である。特に、光ファイバーとしてコアがプラスチックの光ファイバー(APF)を用いる場合、発光層3をIn0.5(GaxAl1-x)0.5Pとし、Alの組成比xを0から1の間で調節することにより、APFの伝送損失の小さい波長550nm〜680nmの発光波長を有する半導体発光素子が得られる。この半導体発光素子は、APFを用いた光ファイバ通信用の光源として有効である。
【0073】以上の説明は第1クラッド層、発光層、第2クラッド層に基板に格子整合した結晶薄膜を用いた場合について説明したが、格子不整合結晶薄膜を用いても効果は変わらないことは明らかである。
【0074】また、基板としてはGaAsの場合について説明したが、サファイア等の絶縁性結晶、およびSi(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)等のIV族半導体、ZnSe等のII−VI族化合物半導体であっても良い。
【0075】また、V族元素にPを用いた場合について説明したが、As、N、Sb等その他のV族元素を用いても同様の効果が得られる。
【0076】要約すると、不純物濃度が異なる複数の窓層を積層する時、その窓層を構成する主要構成元素のうちIII族元素として結晶成長過程において結晶表面での動きが早く、V族元素と結合が強いInを添加することが重要である。しかし、Inは半導体のバンドギャップを小さくするので、添加量は発光層で生じた光に対し透過率を高く保つ範囲とする必要がある。
【0077】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の半導体発光素子よれば、基板と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層、及び窓層、がこの順序で積層されており、該基板には下部電極、および該窓層には上部電極が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、III族元素の組成比を変化させた第1の介在層を有することを特徴とするものである。
【0078】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥(ヒロック(hill−rock)と呼ばれる結晶欠陥)を大きく減少させることができ、その結果、このウェハーを用いた半導体発光素子作製時の電極剥離による不良品の発生を減少させ、半導体発光素子の生産歩留まりを高くすることができる。
【0079】また、請求項2記載の半導体発光素子によれば、半導体の各層は次の構成よりなることを特徴とするものである。
半導体基板:GaAs、第1クラッド層:In0.5(Gax1Al1-x1)0.5P(但し、0≦x1≦1)、活性層:In0.5(Gax2Al1-x2)0.5P(但し、0≦x2<1)、または、GayAl1-yAs(但し、0≦y≦1)、または、InzGa1-zAs(但し、0≦z<1)、第2クラッド層:In0.5(Gax3Al1-x3)0.5P(但し、0≦x3≦1)、窓 層:InwGax4Al1-w-x4P(但し、0≦w≦1、0≦x4≦1)。
【0080】従って、従来例のGaPに比べ、InやAlを添加することにより、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥を減少させることができるウェハーの構成を提供できる。
【0081】また、請求項3記載の半導体発光素子よれば、前記第1の介在層のIII族元素はIn(インジウム)元素であり、且つ、第1窓層および第2窓層のIn元素の組成比より高くしたこと特徴とするものである。従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥を減少させることができるウェハー作製手段を提供することができる。窓層にInを添加し過ぎると、従来例のGaPに比べ、抵抗率が増加し、動作電圧(順方向電圧VF)が増加するが、第2窓層にのみIn元素の組成比を高くすることにより、結晶欠陥は減少し、且つ、第1窓層のIn元素の組成比は低いため、動作電圧を低くすることができる。
【0082】更に、請求項1から3に記載の半導体発光素子は、基板と、III−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、および反対導電型の第2クラッド層並びに窓層がこの順序で結晶成長されており、前記基板および窓層にはそれぞれ電極が形成され、前記窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層を有し、前記第2窓層は前記第1窓層より不純物濃度の高い半導体発光素子であって、前記第1窓層および第2窓層における前記III−V族化合物半導体結晶の主要構成元素の組成比、もしくは前記第2窓層内の不純物濃度を前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において変化させ、結晶成長過程における主要構成元素を均一に分散させることにより、窓層の電極形成面における結晶欠陥を低減することができる。特に、前記結晶成長過程における主要構成元素を均一に分散させる手段として、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍における第1窓層および第2窓層内のIn組成比を、前記界面近傍から離れた各層内のIn組成比よりも高くしたことを特徴とするものである。
【0083】また、請求項4記載の半導体発光素子よれば、前記第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍に、III族元素の組成比を変化させた第2の介在層を有し、且つ、第1窓層のIII族元素のInの組成比より高くしたこと特徴とするものである。
【0084】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥を請求項3の手段に対し、より一層減少させることができるウェハー作製手段を提供することができる。また、第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍(約0.1μm厚程度)に結晶欠陥が多く存在するため、この界面近傍のみIn組成比を高くすることにより、動作電圧はあまり上がらず、且つ、結晶欠陥を減少させることができる。
【0085】また、請求項4に記載の発明にかかる半導体発光素子は前記結晶成長過程における主要構成元素を均一に分散させる手段として、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍に加えて、前記発光層と前記第1窓層の界面近傍における第1窓層内のIn組成比を、前記界面近傍から離れた第1窓層内のIn組成比よりも高くしたことを特徴とするものである。
【0086】また、請求項5記載の半導体発光素子よれば、基板と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層、及び窓層、がこの順序で積層されており、該基板および該窓層の片面にはそれぞれ電極が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、前記第2窓層内の不純物濃度を漸次増加させたことを特徴とするものである。
【0087】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の発光波長に対する透過率を減少させること無く、窓層の電極形成面上の結晶欠陥を減少させるウェハー作製手段を提供することができる。従来例では、不純物濃度を急激に変化させた界面近傍では、結晶欠陥が発生しやすかったが、不純物濃度を漸次増加させることにより、透過率及び抵抗率とも従来例と変わらないため、動作電圧も変わらず、Inを添加する場合に比べて、効果はやや小さいが、結晶欠陥は約1/2に低減でき、歩留まりを約7%向上することができた。
【0088】また、請求項6記載の半導体発光素子よれば、前記第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍の前記第1クラッド層内の不純物濃度を漸次増加させたことを特徴とするものである。
【0089】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の発光波長に対する透過率を減少させること無く、窓層の電極形成面上の結晶欠陥を請求項5の手段に比べ、さらに一層減少させるウェハー作製手段を提供することができる。クラッド層と窓層の界面近傍では、結晶欠陥が発生しやすいが、界面近傍の不純物濃度を漸次増加させることにより、透過率及び動作電圧をInを増加させる場合に比べて、効果はやや小さいものの、結晶欠陥は約3/10に低減することができた。
【0090】また、請求項7記載の半導体発光素子よれば、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍おける前記第2窓層内のIn組成比を不純物濃度の増加にほぼ比例して漸次増加させたことを特徴とするものである。
【0091】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥を請求項4、6の手段に対し、更に減少させることができるウェハー作製手段を提供することができる。この結果、歩留まりを約50%向上することができた。
【0092】また、請求項8記載の半導体発光素子よれば、前記第2クラッド層と前記第1窓層との界面上に電流阻止層を配設し、且つ、該電流阻止層の形状は上部電極の形状とほぼ相似形であることを特徴とするものである。
【0093】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥が少なく、歩留まりの良好で、無効電流の少ない半導体発光素子を提供することができる。この結果、半導体発光素子の輝度を約40%増加することができた。
【0094】また、請求項9記載の半導体発光素子よれば、前記電流阻止層が次の構成よりなることを特徴とするものである。
電流阻止層:InvAlx6Ga1-v-x6P(但し、0≦v≦1、0≦x6≦1)。
【0095】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥が少なく、歩留まりの良好で、無効電流の少ない半導体発光素子の構成を提供できる。クラッド層と窓層の間に、InとAlを含むInAlGaP電流阻止層を有するため、結晶欠陥をさらに低減することができ、一例として、結晶欠陥を0〜3/cm2程度まで低減することができた。
【0096】さらに、請求項10記載の半導体発光素子よれば、前記電流阻止層が半導体発光素子の中央部または周辺部に設けられていることを特徴とするものである。
【0097】従って、窓層の電極形成面上の結晶欠陥が少なく、歩留まりが高く、輝度の高い半導体発光素子または電流のON/OFFに対する光のON/OFFの応答が速い(変調速度の早い)半導体発光素子を提供することができる。また、電流阻止層が半導体発光素子の周辺部に設けられている場合、電流が中央部に集中し、発光部の電流密度が増加するため、動作電流を小さく選ぶことも可能であり、そのため、応答速度は、面積S=100μmφとすることにより、本発明の請求項1〜9記載の半導体発光素子の発光応答速度τが17.1μsであったものを、本発明の請求項10記載の半導体発光素子の発光応答速度τを4.4μsに向上することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態1に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【図2】本発明のGaAs基板上のGaP単層におけるヒロック密度のIn組成比依存性を表す図である。
【図3】本発明の一実施の形態2に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態3に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態4に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態5に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるp型不純物濃度の分布を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態6に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるIn組成比の分布、及び第1窓層61と第2窓層62のp型不純物濃度の分布を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態7に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図、(c)は第1窓層と第2窓層と第2クラッド層のp型不純物濃度の分布を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態8に係る半導体発光素子を説明するための略断面図である。
【図10】本発明の一実施の形態9に係る半導体発光素子を説明するための略断面図である。
【図11】従来例1の半導体発光素子の略断面図である。
【図12】従来例2の半導体発光素子の略断面図である。
【符号の説明】
100 本発明の実施の形態1の半導体発光素子
200 本発明の実施の形態2の半導体発光素子
300 本発明の実施の形態3の半導体発光素子
400 本発明の実施の形態4の半導体発光素子
500 本発明の実施の形態5の半導体発光素子
600 本発明の実施の形態6の半導体発光素子
700 本発明の実施の形態7の半導体発光素子
800 本発明の実施の形態8の半導体発光素子
900 本発明の実施の形態9の半導体発光素子
1 n型GaAs基板
2 n型In0.5Al0.5Pクラッド層
3 アンドープIn0.5(Ga0.55Al0.45)0.5P発光層
4 n型In0.5Al0.5Pクラッド層
5 窓層
5a 電極形成面
6 p側電極(上部電極)
7 n側電極(下部電極)
8 n型電流阻止層
11 p型GaP第1窓層
12 p型GaP第2窓層
21 p型In0.01Ga0.99P第1窓層
22 p型In0.01Ga0.99P第2窓層
31 p型In0.01Al0.2Ga0.79P第1窓層
32 p型In0.01Al0.2Ga0.79P第2窓層
41 第1窓層
61 第1窓層
62 第2窓層
71 p型In0.01Ga0.99P第1窓層
72 第2窓層
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板の上に化合物半導体結晶を積層して構成される半導体発光素子に関し、特に、積層表面における結晶欠陥を低減し、平坦化する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】基板の上に化合物半導体結晶を積層して構成される半導体発光素子は、結晶格子の長さが0.5%以上異なる格子不整合結晶を利用できるようになって以来、青色から赤外までの広い波長領域で高輝度の発光が可能となってきた。
【0003】例えば、米国特許5,008,718号公報に記載されている緑色発光する半導体発光素子は、図1111の如き構造を有する(以下、「従来例1」という)。該半導体発光素子1100は以下のような手順で作製される。
【0004】図11において、n型GaAs仮基板(図示せず)の上に該仮基板に格子整合したn型InAlGaP第1クラッド層102、ノンドープInAlGaP発光層103、p型InAlGaP第2クラッド層104、並びにp型GaP窓層105を成長する。GaAs仮基板(図示せず)を除去した後、前記n型第1クラッド層102上に透明基板層109を成長し、半導体発光素子用ウェハーとする。
【0005】次に、透明基板層109上に、n側電極107を設ける。窓層105の電極形成面105aの中央部に円形のp側電極106を設ける。前記ウェハーを300μm角程度の大きさに分割して、図11の半導体発光素子1100が作製される。両電極106、107は外部導体と電気的に接続される。例えばp側電極106には外部導体(図示せず)と接続された直径30μm程度の金属ワイヤ(図示せず)がボンディングされる。
【0006】半導体発光素子の輝度を高くするため、窓層105にはGaPを用いている。GaPは結晶格子の値が前記仮基板のGaAs結晶に比べて約3.4%も小さく、格子不整合結晶であるが、バンドギャップが発光層103のInAlGaP結晶のバンドギャップより十分大きいため、発光層103で発生する発光層103のバンドギャップに近いエネルギーの波長の光に対し窓層105の透過率を十分高く保つことができる。その結果、発光層103から出た光の窓層105による吸収を低減し、半導体発光素子の輝度を高くすることができる。
【0007】半導体発光素子の輝度を高くするには窓層105の抵抗値を低くすることも重要である。両電極106、107から電流を注入すると発光層103で波長560nmの緑色発光が生じる。窓層105の抵抗値が高い場合、p側電極106から注入された電流は横方向への広がりが少ないため、発光層103のp側電極106に対向する部分で集中して発光が生じる。発光層3で発生した光のうち、半導体発光素子と外部との境界面に略垂直に入射する光は効率よく半導体発光素子外部に出力されるが、その他の光は前記境界面で反射され、半導体発光素子の輝度に寄与しない。したがって、発光層103のp側電極106に対向する部分で発光が生じた場合、前記境界面に垂直に入射する光も該p側電極106で反射され、半導体発光素子の輝度が低下する。
【0008】抵抗値を下げる方法として窓層105のp型不純物濃度を高くする方法が良く知られている。ところが、典型的なp型不純物であるZn(亜鉛)、Mg(マグネシウム)、Be(ベリリウム)等は結晶中を拡散しやすい物質であり、窓層105のp型不純物濃度を高くすると発光層3までp型不純物が拡散し、該発光層3における電流の光への変換効率そのものが低下し、半導体発光素子の輝度が低下する。
【0009】このような問題を解決するため、特開平5−335619号公報では、窓層を2層構造とし、活性層に近い窓層のp型不純物濃度を低く、活性層から遠い窓層のp型不純物濃度を高くして、電流が発光層全体に広がるようにするとともに、p型不純物が発光層にまで拡散することを防止して半導体発光素子の輝度が低下することを防ぐ技術が開示されている(以下、「従来例2」という)。
【0010】図12に、従来例2の半導体発光素子1200の略断面図を示す。半導体基板101に、窓層105を2層構造とし、活性層に近い第1窓層111と活性層から遠い第2窓層112とにより、窓層105を構成している。
【0011】従来例2の半導体発光素子では、窓層105にGaAlAsを用いているが、GaAlAsはバンドギャップが狭く、緑色光に対しては透過率が低い。本発明者らは窓層をバンドギャップの大きいGaPとしても同様の効果が得られることを確認した(以下「従来例の半導体発光素子」という)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、窓層に用いるGaPのp型不純物濃度を高くすると、多数の結晶欠陥がp側電極形成面に発生し、該結晶欠陥によりp側電極形成面に凹凸が発生する。p側電極106は面積が直径約100μm程度と狭いため、p側電極形成面105aに凹凸があるとウェハーを分割し、p側電極106にワイヤーをボンディングして半導体発光素子を作成するプロセスにおいて、p側電極106が窓層105から剥がれ易いという問題がある。
【0013】上記結晶欠陥のうち、ヒロック(hill−rock)と呼ばれる結晶欠陥が最も重要である。このヒロック欠陥は、基板と異なる面方位の結晶面が生じるために発生する突起状の欠陥である。いったんヒロック欠陥が発生するとその上に成長される結晶によって平坦化されず、突起状の形状が保たれたまま結晶成長する。本発明者らはヒロック欠陥は、下地よりp型不純物濃度が高い層を成長する初期の段階で発生すること、成長層のp型不純物濃度が高いほど大量に発生することを見出した。
【0014】ヒロック欠陥が発生する理由としては、不純物濃度を高くするために、不純物材料を急激に増加させた時、GaPの主要構成元素であるGaやPの動きが不純物材料により一時的に妨げられ、成長中の結晶表面全体に均一に分散できないことが原因と考えられる。特にP、As、N、Sb等のV族元素は動きにくく、III族元素と結合して移動するため、同時に使用するIII族元素の種類が結晶欠陥の発生の有無と関係が大きい。例えばIII族元素がGaの場合、V族元素との結合が弱いために、V族元素が外れやすい。その結果、下地より不純物濃度の高い層の成長初期においてV族元素が均一に分散せず、ヒロックが発生するものと考えられる。
【0015】本発明は、III−V族化合物半導体結晶の主要構成元素であるIII族元素とV族元素が結晶成長過程において結晶表面全体に均一に分散するようにして、ヒロック等の結晶欠陥の発生を抑え、電極形成面の凹凸を減らして平坦化し、上記半導体発光素子作成プロセスにおいて電極の剥がれが生じにくい半導体発光素子用ウェハーを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の半導体発光素子は、基板と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層、及び窓層、がこの順序で積層されており、該基板には下部電極、および該窓層には上部電極が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、III族元素の組成比を変化させた第1の介在層を有することを特徴とするものである。
【0017】また、請求項2記載の半導体発光素子の半導体の各層は次の構成よりなることを特徴とするものである。
【0018】
半導体基板:GaAs、第1クラッド層:In0.5(Gax1Al1-x1)0.5P(但し、0≦x1≦1)、活性層:In0.5(Gax2Al1-x2)0.5P(但し、0≦x2<1)、または、GayAl1-yAs(但し、0≦y≦1)、または、InzGa1-zAs(但し、0≦z<1)、第2クラッド層:In0.5(Gax3Al1-x3)0.5P(但し、0≦x3≦1)、窓 層:InwGax4Al1-w-x4P(但し、0≦w≦1、0≦x4≦1)。
【0019】また、請求項3記載の半導体発光素子は、前記第1の介在層のIII族元素はIn(インジウム)元素であり、且つ、第1窓層および第2窓層のIn元素の組成比より高くしたこと特徴とするものである。
【0020】また、請求項4記載の半導体発光素子は、前記第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍に、III族元素の組成比を変化させた第2の介在層を有し、且つ、第1窓層のIII族元素のInの組成比より高くしたこと特徴とするものである。
【0021】また、請求項5記載の半導体発光素子は、基板と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層、及び窓層、がこの順序で積層されており、該基板および該窓層の片面にはそれぞれ電極が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、前記第2窓層内の不純物濃度を漸次増加させたことを特徴とするものである。
【0022】また、請求項6記載の半導体発光素子は、前記第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍の前記第1クラッド層内の不純物濃度を漸次増加させたことを特徴とするものである。
【0023】また、請求項7記載の半導体発光素子は、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍おける前記第2窓層内のIn組成比を不純物濃度の増加にほぼ比例して漸次増加させたことを特徴とするものである。
【0024】また、請求項8記載の半導体発光素子は、前記第2クラッド層と前記第1窓層との界面上に電流阻止層を配設し、且つ、該電流阻止層の形状は上部電極の形状とほぼ相似形であることを特徴とするものである。
【0025】また、請求項9記載の半導体発光素子は、前記電流阻止層が次の構成よりなることを特徴とするものである。
電流阻止層:InvAlx6Ga1-v-x6P(但し、0≦v≦1、0≦x6≦1)。
【0026】さらに、請求項10記載の半導体発光素子は、前記電流阻止層が半導体発光素子の中央部または周辺部に設けられていることを特徴とするものである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を各図面に基づき詳細に説明する。
[実施の形態1]図1は、本発明にかかる実施の形態1の半導体発光素子を説明する面であり、図1(a)は、半導体発光素子の略断面図、図1(b)は、窓層5の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【0028】本発明の実施の形態1の半導体発光素子100の結晶成長は、減圧MOVPE法(減圧MOCVD法)を用いて行い、半導体発光素子100の各層は、次の構成より成る。1はn型GaAs基板、2はn型In0.5Al0.5Pクラッド層であり、不純物はSiで不純物濃度は5×1017cm-3、厚さ約1μm、3はアンドープIn0.5(Ga0.55Al0.45)0.5P発光層、厚さ約0.5μm、4はn型In0.5Al0.5Pクラッド層、不純物はZnで不純物濃度は5×1017cm-3、厚さ約1μm、11はp型GaP第1窓層、不純物はZnで不純物濃度は1×1018cm-3、厚さ約1μm、12はp型GaP第2窓層、不純物はZnで不純物濃度は1×1019cm-3、厚さ約5μm、であり、第1窓層11と第2窓層12とにより、窓層5を形成している。
【0029】上記各層を積層した後、n型GaAs基板1の片面にn側電極7、p型窓層12の片面の電極形成面5aにp側電極6を形成し、半導体発光素子用ウェハー(以下、「実施の形態1のウェハー」という)を作成した。n側電極7は基板1全面に形成するが、p側電極6は光を取り出すために、例えば、直径約100μm程度の円形形状とした。このウェハーを約300μm角の大きさに分割し、半導体発光素子100を作成した。
【0030】p型GaP第1窓層11とp型GaP第2窓層12のZnの不純物濃度は、それぞれ、1×1018cm-3と1×1019cm-3と、その界面において、大きな不純物濃度分布に落差があるため、第2窓層12のヒロック欠陥密度の増加の要因となっていることが分かったため、図1(b)に示すように、p型GaP第1窓層11とp型GaP第2窓層12との界面近傍に、III族元素のInを添加した介在層、InGaP層(第1の介在層)を介在させる構造となっている。
【0031】実施の形態1においては、第1窓層11とp型GaP第2窓層12との界面近傍に、厚さ約0.1μmのIn0.01Ga0.99P層(Znの不純物濃度1×1018cm-3)と厚さ約0.1μmのIn0.01Ga0.99P層(Znの不純物濃度1×1019cm-3)の介在層を持つ構造となっている。
【0032】これは、InがGaと同じく結晶表面を動きやすいこと、InとV族元素との結合はGaとV族元素との結合より強固であるため、不純物濃度が急激に増加しても、InとV族元素(例えば、P、As、N、Sb等)との結合が解離し難いことから、V族元素がInと結合して移動することにより、不純物のZnが結晶表面に均一に分散することができるためと考えられる。
【0033】結晶中のIII族原素全体に対する特定のIII族原素の割合をIII族原素の組成比というが、前記両窓層11、12の界面近傍の第1窓層11および第2窓層12内の厚さ0.1μmの領域のIn組成比を約0.01とすれば、上記V族元素の均一分散を実現することができた。
【0034】実施の形態1の半導体発光素子において、要約すると、前記半導体の各層は次の構成よりなるものである。
半導体基板:GaAs、第1クラッド層:In0.5(Gax1Al1-x1)0.5P(但し、0≦x1≦1)、活性層:In0.5(Gax2Al1-x2)0.5P(但し、0≦x2<1)、または、GayAl1-yAs(但し、0≦y≦1)、または、InzGa1-zAs(但し、0≦z<1)、第2クラッド層:In0.5(Gax3Al1-x3)0.5P(但し、0≦x3≦1)、窓 層:InwAlx4Ga1-w-x4P(但し、0≦w≦1、0≦x4≦1)。
【0035】図2に、縦軸にヒロック欠陥密度、横軸にIn組成比を取り、第1窓層と第2窓層との間の介在層のIn組成比に対するヒロック欠陥密度の測定結果の一例を示す。
【0036】図2において、In組成比が、およそ、5×10-4、9×10-4、4×10-3、4×10-2、に対して、ヒロック欠陥密度は、それぞれ、約1000、100、10、5(個数/cm2)と、In組成比を0からわずかに大きくするだけでヒロック欠陥密度は大幅に減少することが分かる。図2はGaP単層について測定したものであるが半導体発光素子用ウェハーの場合、In組成比を大きくしたときのヒロック欠陥密度の減少はもう少し緩やかであった。In組成比を更に大きくするとヒロック欠陥密度も減少するが、わずかに加えた場合ほど急激な減少は見られない。
【0037】一方、窓層5のIn組成比を増加させると、In組成比が0.23迄は間接遷移の半導体であり、GaP半導体のバンドギャップの値とほぼ同じであり、ヒロック低減による結晶性の向上により、電流拡散が増加して、輝度は向上する。しかし、窓層5のIn組成比が更に高くなると、窓層5の緑色光に対する透過率が低くなって、半導体発光素子の輝度が低下する。これは、窓層5のバンドギャップが小さくなるためである。
【0038】従来例の半導体発光素子を作製するウェハー(以下、「従来例のウェハー」という)では、欠陥密度が約1000個/cm2であったものが、本実施の形態1のウェハーでは約100個/cm2と、1/5に減少した。実施の形態1のウェハーを用いて半導体発光素子を作成した場合の歩留まりは、従来のウェハーを用いた場合に対して、約30%向上した。発光波長は560nmの緑色であり、輝度は従来の半導体発光素子に比べて、約20%増加することができた。
【0039】[実施の形態2]図3は、本発明にかかる実施の形態2の半導体発光素子を説明する面であり、図3R>3(a)は、半導体発光素子の略断面図、図3(b)は、窓層5の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【0040】本発明の実施の形態2の半導体発光素子200の結晶成長は、実施の形態1と同様に、減圧MOVPE法(減圧MOCVD法)を用いて行われる。
【0041】本実施の形態2の半導体発光素子200は、窓層5全体をIn0.01Ga0.99Pとし、p型In0.01Ga0.99P第1窓層(不純物はZnで不純物濃度は1×1018cm-3、厚さ約1μm)21、p型In0.01Ga0.99P第2窓層(不純物はZnで不純物濃度は1×1019cm-3、厚さ約5μm)22、とにより、窓層5を形成している。
【0042】そして、第1窓層21とp型GaP第2窓層22との界面近傍に、厚さ約0.1μmのIn0.05Ga0.95P層(Znの不純物濃度1×1018cm-3)と厚さ約0.1μmのIn0.05Ga0.95P層(Znの不純物濃度1×1019cm-3)の介在層を持つ構造となっており、その他の各層は、実施の形態1の半導体発光素子と同じである。このように窓層5全体をInGaPとしても欠陥密度を減少させることがわかる。
【0043】本実施の形態2の半導体発光素子構成を有するウェハー(以下、「実施の形態2のウェハー」という)では、欠陥密度を約10個/cm2と従来例のウェハーに比べ、1/100に減少した。実施の形態2のウェハーを用いて半導体発光素子を作成した場合の歩留まりは、従来例のウェハーを用いて作成した場合に対し約40%向上し、輝度は従来例の半導体発光素子より、約20%増加した。
【0044】[実施の形態3]図4は、本発明にかかる実施の形態3の半導体発光素子を説明する面であり、図4R>4(a)は、半導体発光素子の略断面図、図4(b)は、窓層5の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【0045】本実施の形態3の半導体発光素子300は、窓層5全体をIn0.01(Ga0.8Al0.2)0.99P層とAlを入れた化合物半導体層とした点を除けば、実施の形態2の半導体発光素子と同じである。
【0046】即ち、p型In0.01Al0.2Ga0.79P第1窓層(不純物はZnで不純物濃度は1×1018cm-3、厚さ約1μm)31、p型In0.01Al0.2Ga0.79P第2窓層(不純物はZnで不純物濃度は1×1019cm-3、厚さ約5μm)32、とにより、窓層5を形成している。
【0047】そして、第1窓層31とp型GaP第2窓層32との界面近傍に、厚さ約0.1μmのIn0.01Al0.2Ga0.79P層(Znの不純物濃度1×1018cm-3)と厚さ約0.1μmのIn0.01Al0.2Ga0.79P層(Znの不純物濃度1×1019cm-3)の介在層を持つ構造となっている。このように、窓層5全体をInAlGaPとしても欠陥密度を減少させることがわかる。窓層5を構成するIII族元素にAlを加えることにより、窓層5のバンドギャップが小さくなることを防ぐことができる。
【0048】III族元素Alは窓層のバンドギャップを広げる効果はあるが、Gaと同様、V族元素(例えば、P、As、N、Sb等)との結合力が弱いため、結晶欠陥を減らす効果は無い。さらに、結晶表面を移動する速度が遅いためInによる結晶欠陥を抑制する効果を失わせる傾向がある。このため、緑色光を発生する半導体発光素子においては、前記第1窓層31と第2窓層32の界面近傍の第1窓層31および第2窓層32内のIn組成比を0.2以上とすることは困難であった。
【0049】本実施の形態3の半導体発光素子構成を有するウェハー(以下、「実施の形態3のウェハー」という)では欠陥密度は30個/cm2と実施の形態2のウェハーに比較して欠陥密度は約3倍となった。しかし、従来例のウェハーに比べると欠陥密度は約1/30である。本実施の形態3の半導体発光素子の輝度は従来例の半導体発光素子i比べて、約30%増加した。
【0050】実施の形態3の半導体発光素子において、要約すると、前記半導体の各層は次の構成よりなるものである。
半導体基板:GaAs、第1クラッド層:In0.5(Gax1Al1-x1)0.5P(但し、0≦x1≦1)、活性層:In0.5(Gax2Al1-x2)0.5P(但し、0≦x2<1)、または、GayAl1-yAs(但し、0≦y≦1)、または、InzGa1-zAs(但し、0≦z<1)、第2クラッド層:In0.5(Gax3Al1-x3)0.5P(但し、0≦x3≦1)、窓 層:InwAlx4Ga1-x4P(但し、0≦w≦1、0≦x4≦1)。
【0051】[実施の形態4]図5は、本発明にかかる実施の形態4の半導体発光素子を説明する面であり、図5R>5(a)は、半導体発光素子の略断面図、図5(b)は、窓層5の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【0052】本発明の実施の形態4の半導体発光素子400の結晶成長は、減圧MOVPE法(減圧MOCVD法)を用いて行い、図5(b)に示すように第2クラッド層4と第1窓層41との界面近傍の第1窓層41内にもInを添加し、In0.01Ga0.99P層とした点、第2の介在層を配設した点、を除けば、実施の形態1の半導体発光素子100と同じである。第1窓層41と第2窓層12とにより、窓層5を構成している。
【0053】本実施の形態4の半導体発光素子構成を有するウェハー(以下、「実施の形態4のウェハー」という)では欠陥密度が約80個/cm2であり、実施の形態4のウェハーを用いて半導体発光素子を作成した場合の歩留まりは、従来例のウェハーを用いた場合に対し、約40%向上した。
【0054】[実施の形態5]図6は、本発明にかかる実施の形態5の半導体発光素子を説明する面であり、図6R>6(a)は、半導体発光素子の略断面図、図6(b)は、窓層5の厚さ方向におけるp型不純物濃度の分布を示す図である。
【0055】実施の形態5の半導体発光素子500は、第1窓層11と第2窓層52の界面近傍の第2窓層52内の厚さ1μmの領域において、p型(Zn)不純物濃度を1×1018cm-3から1×1019cm-3まで1桁漸次増加させた点を除けば、実施の形態1の半導体発光素子と同じである。
【0056】本実施の形態5の半導体発光素子構成を有するウェハー(以下、「実施の形態5のウェハー」という)では、欠陥密度が従来のウェハーでは、約1000個/cm2であったものが、約500個/cm2と半減させることができた。実施の形態5のウェハーを用いて半導体発光素子を作成した場合の歩留まりは、従来例のウェハーを用いた場合に比べて、約7%向上した。
【0057】[実施の形態6]図7は、本発明にかかる実施の形態6の半導体発光素子を説明する面であり、図7R>7(a)は、半導体発光素子の略断面図、図7(b)は、窓層5の厚さ方向におけるIn組成比の分布、及び第1窓層61と第2窓層62のp型不純物濃度の分布を示す図である。
【0058】本実施の形態6の半導体発光素子600は、第1窓層61と第2クラッド層4との界面近傍の第1窓層61内の厚さ0.2μmの領域において、p型不純物濃度を5×1017cm-3から1×1018cm-3まで半桁漸次増加させたことを除けば実施の形態5の半導体発光素子と同じである。
【0059】実施の形態5のウェハーの欠陥密度は約500個/cm2であったが、本実施の形態6の半導体発光素子構成を有するウェハー(以下、「実施の形態6のウェハー」という)では欠陥密度が約300個/cm2とさらに減少させることができた。実施の形態6のウェハーを用いて半導体発光素子を作成した場合の歩留まりは、従来例のウェハーを用いた場合の歩留まりに対し、約10%向上した。
【0060】[実施の形態7]図8は、本発明にかかる実施の形態7の半導体発光素子を説明する面であり、図8R>8(a)は、半導体発光素子の略断面図、図8(b)は、窓層5の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図、及び、図8(c)は、第1窓層61と第2窓層62と第2クラッド層のp型不純物濃度の分布を示す図である。
【0061】本実施の形態7の半導体発光素子700は、第1窓層71の組成はIn0.01Ga0.99P層であり、第1窓層71と第2窓層72との界面近傍の第1窓層71内の厚さ約1μmの領域において、In組成比を0.01から0.05まで漸次増加させて、In0.05Ga0.95P層にするとともに、p型不純物濃度も1×1018cm-3から1×1019cm-3までIn組成比の増加にほぼ比例して漸次増加させた点を除けば、第1の実施の形態の半導体発光素子と同じである。
【0062】本実施の形態7の半導体発光素子構成を有するウェハー(以下、「実施の形態7のウェハー」という)では、欠陥密度を約0〜5個/cm2と略無欠陥とすることができた。この実施の形態7のウェハーを用いて半導体発光素子を作成した場合の歩留まりは、従来例のウェハーを用いた場合に対し、約50%向上した。
【0063】[実施の形態8]図9は、本発明にかかる実施の形態8の半導体発光素子800を説明するための略断面図である。実施の形態1の半導体発光素子100との違いは、第2クラッド層4と第1窓層11との間の第2クラッド層4上で、且つ、p側電極6と対向する位置に、n型電流阻止層8を設けた点である。
【0064】p側電極6の下に位置する発光層3の部分で発生した光は、p側電極6で反射されて、外部へ放射され難い。即ち、p側電極6の下に位置する発光層3の領域を流れる発光電流は、外部発光出力にあまり寄与しない無効電流である。n型電流阻止層8は、p型第2クラッド層4との界面で、n−p接合を形成している。半導体発光素子に電流を流すため、両電極6、7に順バイアス電圧を印加した時、前記接合は逆バイアスとなって、電流の流れを阻止する。従って、半導体発光素子に注入された電流は、すべて発光層3のp側電極6に対向していない部分に流れることになり、無効電流が殆ど無くなる。この場合、電流阻止層8の形状は、上部p型電極6の形状とほぼ相似形である。
【0065】n型電流阻止層8の組成は、一般的には、InvAlx6Ga1-v-x6P(但し、0≦v≦1、0≦x6≦1)が用いられ、望ましい組成の一例として、In0.01Al0.01Ga0.98Pがある。
【0066】本実施の形態8にかかる半導体発光素子では、p側電極6およびn型電流阻止層8は、直径約100μmの円形形状とした。これはp側電極6の面積を電流を流すために施すワイヤをボンディングができる必要最小限の大きさとし、p側電極6による輝度低下を最小限に抑えるためである。p側電極6およびn型電流阻止層8は素子の中央部に設けている。このため発光層3全面に均一に電流を流すことができ、半導体発光素子の輝度を従来例に比べて、約40%増加することができた。この半導体発光素子は屋外用表示板等の用途に用いることができる。
【0067】[実施の形態9]図10は、本発明の実施の形態9にかかる半導体発光素子900の略断面図を表している。実施の形態8の半導体発光素子800と同様、第2クラッド層4と第1窓層の間で第2クラッド層4上のp側電極6と対向する位置にn型電流阻止層8を設けた。本実施の形態9にかかる半導体発光素子900では、p側電極6およびn型電流阻止層8は、素子中央部分の直径約100μmの円形形状の部分を残して、素子の周辺部分に設けた。電流が素子中央の直径約100μmの狭い部分に集中するため、電流のON/OFFに対する光のON/OFFの応答速度を高めることができ、このため光通信用の光源として用いることができる。
【0068】p側電極6およびn型電流阻止層8を形成しない部分の面積Sは必要な輝度と応答速度の値とによって決定される。即ち、応答速度が遅くても良いが高い輝度が要求される場合は、Sを大きくし、逆に輝度は低くても良いが応答速度を早くする必要がある場合にはSを小さくする。
【0069】面積Sと輝度Bとの関係については、面積Sを大きくしても、輝度Bはあまり変化しない。これは、面積Sを大きくすると、電流密度が低下し、輝度Bは電流量に比例するからである。
【0070】一方、面積Sと応答速度τとの関係については、面積Sを小さくすると、応答速度τは向上する。しかし、あまり小さくし過ぎると、抵抗の増加という悪影響が生じる。一例として、面積S=100μmφでは、電流I=20mAで、順方向電圧VF=1.95Vであり、S=50μmφでは、I=20mAで、順方向電圧VF=2.2Vとなり、応答速度τは約20%向上する。しかし、順方向電圧VFが0.25V増加するので、本発明では、面積S=100μmφが多く用いられる。応答速度τの具体的な数値の一例として、面積S=100μmφとすることにより、応答速度τ17.1μsを4.4μsに向上することができた。
【0071】発光層をIn0.1Ga0.9Asとすることにより、発光波長950nmの半導体発光素子が得られ、赤外光を用いた無線通信用の光源として有効である。一方、発光層をGa0.9Al0.1Asとすることにより、発光波長850nmの半導体発光素子が得られる。前記発光波長の異なる2つの半導体発光素子を光源として用いることにより、赤外光を用いた波長多重無線通信が可能となる。また、上り信号と下り信号とで発光波長を変えることにより、赤外光を用いた全二重無線通信を行なうことも可能となる。
【0072】また発光面積が小さいので、半導体発光素子の出射光を光ファイバーへ入射することが容易である。特に、光ファイバーとしてコアがプラスチックの光ファイバー(APF)を用いる場合、発光層3をIn0.5(GaxAl1-x)0.5Pとし、Alの組成比xを0から1の間で調節することにより、APFの伝送損失の小さい波長550nm〜680nmの発光波長を有する半導体発光素子が得られる。この半導体発光素子は、APFを用いた光ファイバ通信用の光源として有効である。
【0073】以上の説明は第1クラッド層、発光層、第2クラッド層に基板に格子整合した結晶薄膜を用いた場合について説明したが、格子不整合結晶薄膜を用いても効果は変わらないことは明らかである。
【0074】また、基板としてはGaAsの場合について説明したが、サファイア等の絶縁性結晶、およびSi(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)等のIV族半導体、ZnSe等のII−VI族化合物半導体であっても良い。
【0075】また、V族元素にPを用いた場合について説明したが、As、N、Sb等その他のV族元素を用いても同様の効果が得られる。
【0076】要約すると、不純物濃度が異なる複数の窓層を積層する時、その窓層を構成する主要構成元素のうちIII族元素として結晶成長過程において結晶表面での動きが早く、V族元素と結合が強いInを添加することが重要である。しかし、Inは半導体のバンドギャップを小さくするので、添加量は発光層で生じた光に対し透過率を高く保つ範囲とする必要がある。
【0077】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の半導体発光素子よれば、基板と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層、及び窓層、がこの順序で積層されており、該基板には下部電極、および該窓層には上部電極が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、III族元素の組成比を変化させた第1の介在層を有することを特徴とするものである。
【0078】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥(ヒロック(hill−rock)と呼ばれる結晶欠陥)を大きく減少させることができ、その結果、このウェハーを用いた半導体発光素子作製時の電極剥離による不良品の発生を減少させ、半導体発光素子の生産歩留まりを高くすることができる。
【0079】また、請求項2記載の半導体発光素子によれば、半導体の各層は次の構成よりなることを特徴とするものである。
半導体基板:GaAs、第1クラッド層:In0.5(Gax1Al1-x1)0.5P(但し、0≦x1≦1)、活性層:In0.5(Gax2Al1-x2)0.5P(但し、0≦x2<1)、または、GayAl1-yAs(但し、0≦y≦1)、または、InzGa1-zAs(但し、0≦z<1)、第2クラッド層:In0.5(Gax3Al1-x3)0.5P(但し、0≦x3≦1)、窓 層:InwGax4Al1-w-x4P(但し、0≦w≦1、0≦x4≦1)。
【0080】従って、従来例のGaPに比べ、InやAlを添加することにより、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥を減少させることができるウェハーの構成を提供できる。
【0081】また、請求項3記載の半導体発光素子よれば、前記第1の介在層のIII族元素はIn(インジウム)元素であり、且つ、第1窓層および第2窓層のIn元素の組成比より高くしたこと特徴とするものである。従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥を減少させることができるウェハー作製手段を提供することができる。窓層にInを添加し過ぎると、従来例のGaPに比べ、抵抗率が増加し、動作電圧(順方向電圧VF)が増加するが、第2窓層にのみIn元素の組成比を高くすることにより、結晶欠陥は減少し、且つ、第1窓層のIn元素の組成比は低いため、動作電圧を低くすることができる。
【0082】更に、請求項1から3に記載の半導体発光素子は、基板と、III−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、および反対導電型の第2クラッド層並びに窓層がこの順序で結晶成長されており、前記基板および窓層にはそれぞれ電極が形成され、前記窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層を有し、前記第2窓層は前記第1窓層より不純物濃度の高い半導体発光素子であって、前記第1窓層および第2窓層における前記III−V族化合物半導体結晶の主要構成元素の組成比、もしくは前記第2窓層内の不純物濃度を前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において変化させ、結晶成長過程における主要構成元素を均一に分散させることにより、窓層の電極形成面における結晶欠陥を低減することができる。特に、前記結晶成長過程における主要構成元素を均一に分散させる手段として、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍における第1窓層および第2窓層内のIn組成比を、前記界面近傍から離れた各層内のIn組成比よりも高くしたことを特徴とするものである。
【0083】また、請求項4記載の半導体発光素子よれば、前記第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍に、III族元素の組成比を変化させた第2の介在層を有し、且つ、第1窓層のIII族元素のInの組成比より高くしたこと特徴とするものである。
【0084】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥を請求項3の手段に対し、より一層減少させることができるウェハー作製手段を提供することができる。また、第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍(約0.1μm厚程度)に結晶欠陥が多く存在するため、この界面近傍のみIn組成比を高くすることにより、動作電圧はあまり上がらず、且つ、結晶欠陥を減少させることができる。
【0085】また、請求項4に記載の発明にかかる半導体発光素子は前記結晶成長過程における主要構成元素を均一に分散させる手段として、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍に加えて、前記発光層と前記第1窓層の界面近傍における第1窓層内のIn組成比を、前記界面近傍から離れた第1窓層内のIn組成比よりも高くしたことを特徴とするものである。
【0086】また、請求項5記載の半導体発光素子よれば、基板と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層、及び窓層、がこの順序で積層されており、該基板および該窓層の片面にはそれぞれ電極が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、前記第2窓層内の不純物濃度を漸次増加させたことを特徴とするものである。
【0087】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の発光波長に対する透過率を減少させること無く、窓層の電極形成面上の結晶欠陥を減少させるウェハー作製手段を提供することができる。従来例では、不純物濃度を急激に変化させた界面近傍では、結晶欠陥が発生しやすかったが、不純物濃度を漸次増加させることにより、透過率及び抵抗率とも従来例と変わらないため、動作電圧も変わらず、Inを添加する場合に比べて、効果はやや小さいが、結晶欠陥は約1/2に低減でき、歩留まりを約7%向上することができた。
【0088】また、請求項6記載の半導体発光素子よれば、前記第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍の前記第1クラッド層内の不純物濃度を漸次増加させたことを特徴とするものである。
【0089】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の発光波長に対する透過率を減少させること無く、窓層の電極形成面上の結晶欠陥を請求項5の手段に比べ、さらに一層減少させるウェハー作製手段を提供することができる。クラッド層と窓層の界面近傍では、結晶欠陥が発生しやすいが、界面近傍の不純物濃度を漸次増加させることにより、透過率及び動作電圧をInを増加させる場合に比べて、効果はやや小さいものの、結晶欠陥は約3/10に低減することができた。
【0090】また、請求項7記載の半導体発光素子よれば、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍おける前記第2窓層内のIn組成比を不純物濃度の増加にほぼ比例して漸次増加させたことを特徴とするものである。
【0091】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥を請求項4、6の手段に対し、更に減少させることができるウェハー作製手段を提供することができる。この結果、歩留まりを約50%向上することができた。
【0092】また、請求項8記載の半導体発光素子よれば、前記第2クラッド層と前記第1窓層との界面上に電流阻止層を配設し、且つ、該電流阻止層の形状は上部電極の形状とほぼ相似形であることを特徴とするものである。
【0093】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥が少なく、歩留まりの良好で、無効電流の少ない半導体発光素子を提供することができる。この結果、半導体発光素子の輝度を約40%増加することができた。
【0094】また、請求項9記載の半導体発光素子よれば、前記電流阻止層が次の構成よりなることを特徴とするものである。
電流阻止層:InvAlx6Ga1-v-x6P(但し、0≦v≦1、0≦x6≦1)。
【0095】従って、半導体発光素子構成を有するウェハーの窓層の電極形成面上の結晶欠陥が少なく、歩留まりの良好で、無効電流の少ない半導体発光素子の構成を提供できる。クラッド層と窓層の間に、InとAlを含むInAlGaP電流阻止層を有するため、結晶欠陥をさらに低減することができ、一例として、結晶欠陥を0〜3/cm2程度まで低減することができた。
【0096】さらに、請求項10記載の半導体発光素子よれば、前記電流阻止層が半導体発光素子の中央部または周辺部に設けられていることを特徴とするものである。
【0097】従って、窓層の電極形成面上の結晶欠陥が少なく、歩留まりが高く、輝度の高い半導体発光素子または電流のON/OFFに対する光のON/OFFの応答が速い(変調速度の早い)半導体発光素子を提供することができる。また、電流阻止層が半導体発光素子の周辺部に設けられている場合、電流が中央部に集中し、発光部の電流密度が増加するため、動作電流を小さく選ぶことも可能であり、そのため、応答速度は、面積S=100μmφとすることにより、本発明の請求項1〜9記載の半導体発光素子の発光応答速度τが17.1μsであったものを、本発明の請求項10記載の半導体発光素子の発光応答速度τを4.4μsに向上することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態1に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【図2】本発明のGaAs基板上のGaP単層におけるヒロック密度のIn組成比依存性を表す図である。
【図3】本発明の一実施の形態2に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態3に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態4に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図である。
【図6】本発明の一実施の形態5に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるp型不純物濃度の分布を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態6に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるIn組成比の分布、及び第1窓層61と第2窓層62のp型不純物濃度の分布を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態7に係る半導体発光素子を説明する面であり、(a)は半導体発光素子の略断面図、(b)は窓層の厚さ方向におけるIn組成比の分布を示す図、(c)は第1窓層と第2窓層と第2クラッド層のp型不純物濃度の分布を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態8に係る半導体発光素子を説明するための略断面図である。
【図10】本発明の一実施の形態9に係る半導体発光素子を説明するための略断面図である。
【図11】従来例1の半導体発光素子の略断面図である。
【図12】従来例2の半導体発光素子の略断面図である。
【符号の説明】
100 本発明の実施の形態1の半導体発光素子
200 本発明の実施の形態2の半導体発光素子
300 本発明の実施の形態3の半導体発光素子
400 本発明の実施の形態4の半導体発光素子
500 本発明の実施の形態5の半導体発光素子
600 本発明の実施の形態6の半導体発光素子
700 本発明の実施の形態7の半導体発光素子
800 本発明の実施の形態8の半導体発光素子
900 本発明の実施の形態9の半導体発光素子
1 n型GaAs基板
2 n型In0.5Al0.5Pクラッド層
3 アンドープIn0.5(Ga0.55Al0.45)0.5P発光層
4 n型In0.5Al0.5Pクラッド層
5 窓層
5a 電極形成面
6 p側電極(上部電極)
7 n側電極(下部電極)
8 n型電流阻止層
11 p型GaP第1窓層
12 p型GaP第2窓層
21 p型In0.01Ga0.99P第1窓層
22 p型In0.01Ga0.99P第2窓層
31 p型In0.01Al0.2Ga0.79P第1窓層
32 p型In0.01Al0.2Ga0.79P第2窓層
41 第1窓層
61 第1窓層
62 第2窓層
71 p型In0.01Ga0.99P第1窓層
72 第2窓層
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層、及び窓層、がこの順序で積層されており、該基板には下部電極、および該窓層には上部電極が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、III族元素の組成比を変化させた第1の介在層を有することを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】 請求項1記載の半導体発光素子において、前記半導体の各層は次の構成よりなることを特徴とする半導体発光素子。
半導体基板:GaAs、第1クラッド層:In0.5(Gax1Al1-x1)0.5P(但し、0≦x1≦1)、活性層:In0.5(Gax2Al1-x2)0.5P(但し、0≦x2<1)、または、GayAl1-yAs(但し、0≦y≦1)、または、InzGa1-zAs(但し、0≦z<1)、第2クラッド層:In0.5(Gax3Al1-x3)0.5P(但し、0≦x3≦1)、窓層 :InwGax4Al1-w-x4P(但し、0≦w≦1、0≦x4≦1)。
【請求項3】 請求項1記載の半導体発光素子において、前記第1の介在層のIII族元素はIn(インジウム)元素であり、且つ、第1窓層および第2窓層のIn元素の組成比より高くしたこと特徴とする半導体発光素子。
【請求項4】 請求項1記載の半導体発光素子において、前記第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍に、III族元素の組成比を変化させた第2の介在層を有し、且つ、第1窓層のIII族元素のInの組成比より高くしたこと特徴とする半導体発光素子。
【請求項5】 基板と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層、及び窓層、がこの順序で積層されており、該基板および該窓層の片面にはそれぞれ電極が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、前記第2窓層内の不純物濃度を漸次増加させたことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項6】 請求項5記載の半導体発光素子において、前記第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍の前記第1クラッド層内の不純物濃度を漸次増加させたことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項7】 請求項5記載の半導体発光素子において、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍おける前記第2窓層内のIn組成比を不純物濃度の増加にほぼ比例して漸次増加させたことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項8】 請求項1記載の半導体発光素子において、前記第2クラッド層と前記第1窓層との界面上に電流阻止層を配設し、且つ、該電流阻止層の形状は上部電極の形状とほぼ相似形であることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項9】 請求項8記載の半導体発光素子において、前記電流阻止層が次の構成よりなることを特徴とする半導体発光素子。
電流阻止層:InvAlx6Ga1-v-x6P(但し、0≦v≦1、0≦x6≦1)。
【請求項10】 請求項8記載の半導体発光素子において、前記電流阻止層が半導体発光素子の中央部または周辺部に設けられていることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項1】 基板と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層、及び窓層、がこの順序で積層されており、該基板には下部電極、および該窓層には上部電極が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、III族元素の組成比を変化させた第1の介在層を有することを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】 請求項1記載の半導体発光素子において、前記半導体の各層は次の構成よりなることを特徴とする半導体発光素子。
半導体基板:GaAs、第1クラッド層:In0.5(Gax1Al1-x1)0.5P(但し、0≦x1≦1)、活性層:In0.5(Gax2Al1-x2)0.5P(但し、0≦x2<1)、または、GayAl1-yAs(但し、0≦y≦1)、または、InzGa1-zAs(但し、0≦z<1)、第2クラッド層:In0.5(Gax3Al1-x3)0.5P(但し、0≦x3≦1)、窓層 :InwGax4Al1-w-x4P(但し、0≦w≦1、0≦x4≦1)。
【請求項3】 請求項1記載の半導体発光素子において、前記第1の介在層のIII族元素はIn(インジウム)元素であり、且つ、第1窓層および第2窓層のIn元素の組成比より高くしたこと特徴とする半導体発光素子。
【請求項4】 請求項1記載の半導体発光素子において、前記第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍に、III族元素の組成比を変化させた第2の介在層を有し、且つ、第1窓層のIII族元素のInの組成比より高くしたこと特徴とする半導体発光素子。
【請求項5】 基板と、少なくともIII−V族化合物半導体結晶よりなる第1クラッド層、発光層、前記第1クラッド層と反対導電型の第2クラッド層、及び窓層、がこの順序で積層されており、該基板および該窓層の片面にはそれぞれ電極が形成され、該窓層は少なくとも発光層に近い第1窓層と発光層より遠い第2窓層とを有し、該第2窓層は該第1窓層より不純物濃度の高い半導体層であって、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍において、前記第2窓層内の不純物濃度を漸次増加させたことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項6】 請求項5記載の半導体発光素子において、前記第2クラッド層と前記第1窓層の界面近傍の前記第1クラッド層内の不純物濃度を漸次増加させたことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項7】 請求項5記載の半導体発光素子において、前記第1窓層と第2窓層の界面近傍おける前記第2窓層内のIn組成比を不純物濃度の増加にほぼ比例して漸次増加させたことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項8】 請求項1記載の半導体発光素子において、前記第2クラッド層と前記第1窓層との界面上に電流阻止層を配設し、且つ、該電流阻止層の形状は上部電極の形状とほぼ相似形であることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項9】 請求項8記載の半導体発光素子において、前記電流阻止層が次の構成よりなることを特徴とする半導体発光素子。
電流阻止層:InvAlx6Ga1-v-x6P(但し、0≦v≦1、0≦x6≦1)。
【請求項10】 請求項8記載の半導体発光素子において、前記電流阻止層が半導体発光素子の中央部または周辺部に設けられていることを特徴とする半導体発光素子。
【図1】
【図2】
【図9】
【図10】
【図11】
【図3】
【図4】
【図12】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図9】
【図10】
【図11】
【図3】
【図4】
【図12】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2000−101132(P2000−101132A)
【公開日】平成12年4月7日(2000.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−273238
【出願日】平成10年9月28日(1998.9.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成12年4月7日(2000.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成10年9月28日(1998.9.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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