説明

半導体発光装置用後付リフレクタ、半導体発光装置用樹脂パッケージ及び半導体発光装置

【課題】耐熱・耐光性に優れ、広い波長範囲において薄肉でも高い反射率を有し、成形性、放熱性、量産性に優れた半導体発光装置用後付リフレクタを提供する。
【解決手段】半導体発光装置用の後付リフレクタであって、
前記リフレクタは、液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物を液状射出成形することによって得られたシリコーン樹脂成形体からなり、
かつ前記樹脂成形体が、厚さ0.4mmの成形体試料について波長460nmの条件で測定した光反射率が80%以上となる樹脂成形体である半導体発光装置用後付リフレクタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具、ディスプレイ、携帯電話や液晶テレビなどのバックライト、デジタルサイネージ及びその他の光源などに用いられる半導体発光装置用の後付リフレクタ及び該リフレクタを貼付してなる半導体発光装置用樹脂パッケージ及び半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子を用いた表面実装型発光装置は、小型で電力効率がよくまた発光色も鮮やかである。また、この発光素子は半導体素子であるため球切れなどの心配がない。さらに初期駆動特性が優れ、振動や点灯のオン・オフの繰り返しに強いという特徴を有する。このような優れた特性を有するため、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いる発光装置は、各種の光源として利用されている。
【0003】
このような半導体発光装置は、リードと樹脂組成物とを一体的に成形した樹脂成形体を有してなる半導体発光装置用樹脂パッケージに、リードと電気的に接続された発光素子を搭載し、該発光素子を封止材で被覆した構成を基本構成とする。
前記パッケージを構成する樹脂成形体は、発光素子からの光の反射効率を上げるための反射枠(リフレクタ)としての壁部を有しており、樹脂成形体の材料としてはポリアミド等の熱可塑性樹脂に光の反射効率を上げるための反射材料として白色顔料を配合した熱可塑性樹脂組成物が広く用いられている。
ところで、上記反射効率向上のための樹脂成形体の部分(反射枠)を別途成形し、この反射枠を回路基板に接着剤を用いて接着する方法が開示されている。この方法は、回路基板への接着位置変更などに対する設計の自由度が大きく、放熱性の良い回路基板と組み合わせることにより得られるパッケージの放熱性が向上する利点がある。しかし、開示方法では、反射枠の量産性重視の観点から、液晶ポリマー、PBT、PPS、ナイロン等の熱可塑性樹脂による射出成形を用いており、耐光性が乏しく封止材に使用される熱硬化性樹脂との接着性にも劣ることが指摘されている(特許文献1の従来技術参照)。また、これらの熱可塑性樹脂組成物は反射率が低いという課題があった。
また、このような反射枠は、回路基板の所定位置に配置するためにばらばらに個片化した成形品(反射枠)をいったん整列させ、所定の位置まで機械搬送する複雑な工程が必須であり、この工程が大量生産を阻んでいた。
【0004】
かかる反射枠を使用しない方法として、特許文献1のようにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を使用し、トランスファー成形により配線基板(回路基板)と壁部を一体成形する方法が提案されている。この方法では、基板への接着性は改善されたものの配線基板と共に一体成形するため設計の自由度に乏しく仕様変更が容易でないこと、また、トランスファー成形法は生産性に劣るため製品の単位個数に対する金型費用が高価であり、また、壁部には熱硬化性樹脂を用いるため耐光性や耐熱性、反射特性は未だ不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−252148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような状況下、本発明は、設計上の自由度に優れる後付リフレクタにおいて、上述の従来技術の課題を解決し、耐熱・耐光性に優れ、広い波長範囲において薄肉でも高い反射率を有し、成形性、量産性に優れた半導体発光装置用後付リフレクタ、該リフレクタの製造方法、該リフレクタを貼付した半導体発光装置用樹脂パッケージ、及び樹脂パッケージを有する半導体発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0008】
本発明のリフレクタは、液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物を液状射出成形することによって得られたシリコーン樹脂成形体からなり、かつ前記樹脂成形体が、厚さ0.4mmの成形体試料について波長460nmの条件で測定した光反射率が80%以上となる樹脂成形体であることを特徴とする半導体発光装置用後付リフレクタである。
【0009】
本発明において、「リフレクタ」とは、発光素子からの光の反射効率を上げるための壁部を有する樹脂成形体であり、反射枠ともいわれる。本発明のリフレクタは、発光素子を載置する回路基板と樹脂とを一体的に形成し反射枠部分を成形するのではなく、別途反射枠を成形し、回路基板に接着剤層を介して貼付するため、後付リフレクタ(単に、「リフレクタ」ということもある。)と称するものである。
また、本発明において、「半導体発光装置」とは、上記リフレクタ、回路基板に載置された半導体発光素子(以下、単に「発光素子」と記載する場合がある。)及び発光素子を封止する封止剤を少なくとも含む発光装置をいう。
また、本発明では、発光素子を搭載前のものを「半導体発光装置用樹脂パッケージ」(以下、単に「パッケージ」と記載する場合がある。)という。
【0010】
本発明の半導体発光装置用後付リフレクタは、液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物を液状射出成形することによって得られ、成形性、耐熱性、耐光性、反射率等に優れ、前記回路基板に接着することにより発光素子を載置しやすい構造とすることができると共に、前記壁部を構成する樹脂成形体が、厚さ0.4mmの成形体試料について460nmの光の反射率が80%以上である熱硬化性シリコーン樹脂組成物により成形されているため、可視光について高反射率を維持することができ、耐光性に富むパッケージを提供することができる。
なお、厚さ0.4mmの成形体試料を用いた、光の反射率の具体的な方法については、実施形態の説明と併せて後述する。
【0011】
また、本発明の液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、液状射出成形(LIM)法に適しているが、液状射出成形(LIM)法による成形は、連続的な成形が可能であることから大量生産に適し、無駄な硬化物が発生せず二次加工が不要(すなわちバリが発生しにくい)であり、リフレクタの成形工程の自動化、成形サイクルの短縮化、成形品のコスト削減が可能になる等大きなメリットがある。LIM成形とトランスファー成形とを比較すると、LIM成形は、成形体形状の自由度が高く、単位生産量あたりの成形機および金型価格が比較的安価であるというメリットがある。
【0012】
さらに、前記壁部を構成する樹脂成形体が、厚さ0.4mmの成形体試料について波長400nmの条件で測定した光反射率が60%以上となるような樹脂成形体であることが好ましい。
【0013】
また、前記樹脂成形体のショアD硬度は、30以上80以下が好ましく、35以上75以下であることがより好ましい。硬度がこの範囲より小さくなると、得られるリフレクタが応力により変形しやすく配線基板上に貼り付ける際にゆがみが生じたり、光学設計の精度が低下したりする虞がある。また、この範囲より大きくなると、個片化したリフレクタを機械搬送する際に欠けや割れが生じたり、個片化する際にレーザーやブレードを用いるダイシング装置などの特殊かつ大掛かりな機器が必要になりコスト高となる虞がある。
【0014】
また、リフレクタの前記壁部は端部に向けて厚さが減少するようなテーパー形状を有していることが望ましい。これにより前方への光取り出しの向上を図ることができる。
【0015】
また、前記壁部の側面末端部分が、稜角部を有していないことが好ましい。このような構造とすることにより、リフレクタ製造工程において、硬化した壁部を構成する樹脂成形体の金型からの脱離が容易になる。
【0016】
本発明のリフレクタは、半導体発光素子を載置するための回路基板に接着剤層を介して貼付される。接着剤としては、変性シリコーン樹脂が好適に使用される。
【0017】
前記回路基板にヒートシンクが設けられていることが好ましい。ヒートシンクを設けることにより、さらに放熱性を高めることができる。
【0018】
なお、前記回路基板は、2層以上の多層構造になっており、前記多層構造の少なくとも1層に発光素子が実装可能とすることもできる。これにより複雑な配線パターンを持つ回路基板を用いることもできる。
【0019】
前記回路基板が、絶縁性のガラスエポキシ基板、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂基板、ポリイミド基板、窒化アルミニウム基板、窒化ホウ素基板、窒化ケイ素基板、アルミナセラミックス基板、ガラス基板、フレキシブルガラス基板、又は絶縁樹脂層を有するアルミニウム基板並びに/もしくは銅基板からなるハイブリッド基板からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ複数のプリント配線部が形成されていることが好ましい。
【0020】
本発明の半導体発光装置用樹脂パッケージの製造方法は、前記リフレクタに相当する凹みを有する、第1の金型と第2の金型との間に形成される空間部分に、液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物を液状射出成形法により充填する工程、充填された熱硬化性シリコーン樹脂組成物を加熱して硬化する工程、を少なくとも有することを特徴とする。
【0021】
このように、液状射出成形法によって樹脂成形体を形成するため、複雑な形状の凹部を有するリフレクタを製造することができ、さらには連続的な成形が可能であることから大量生産に適し、バリが発生しにくいため二次加工が不要であり、リフレクタの成形工程の自動化、成形サイクルの短縮化、成形品のコスト削減が可能になるという利点がある。
【0022】
リフレクタの成形は、従来行なわれている個別成形が使用できる。この場合には、等長トーナメント型ランナーを用いることが、金型の個々のリフレクタ空間部に均一に樹脂を行き渡らせることが出来るため好ましい。
得られたリフレクタの個片化は、例えば、金型開閉時にランナーから分離する工程を入れることにより行なうことができる。
ばらばらに個片化したリフレクタは、回路基板に接着するため一旦整列させる必要があり、個片化しない方が後の整列のために利便性良い場合にはランナー付のままユーザーに提供されても良い。本発明のリフレクタ切断予定箇所に切り込みを入れたり肉薄の部分を設けたりするだけで、引っ張りや引き裂きにより容易にランナーから切断分離することが出来る。
他の態様としては、リフレクタの成形を、複数のリフレクタがプレカットラインを介して平面状に連結した形状のシート状リフレクタ成形体とすることができる。このような成形体はランナーレス成形となり、成形用樹脂組成物の歩留まりが高くなるため、低コストでパッケージを生産することができる。このシート状リフレクタ成形体は、手作業により個片化してもよいが、次のように容易に個片化、整列、及び配線基板への接着の自動化が可能であり、自動実装に適したリフレクタを提供することができる。
即ち、得られたシート状リフレクタ成形体は、プレカットライン(個片化用に付与した切り込みや肉薄の部分)の入った穴あきシートであり、本発明の樹脂組成物成形体からなるシート状リフレクタ成形体は、引張ることにより切断予定箇所から簡単に個片化が可能であり、ダイサーなどの高価な専用治具を必要としないという利点を有し、且つ切断時に粉くずや破片が出ることが無く、切断面が滑らかであるという特性を有する。
このため、シート状リフレクタ成形体を、裏面に粘着性接着剤を介して柔軟性と伸び特性のある樹脂製シート(エクスパンドシート)に貼り付け、その後、このシートを縦横に引張ることにより、シート状リフレクタ成形体がプレカットラインで分離され、整列状態で個片化することが可能である。この整列状態のリフレクタを画像認識装置により自動ピックアップし、吸着コレット等でCOB配線基板の所定位置に搬送し、接着剤を介し貼付することが可能となる。
【0023】
前記液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物が、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)一次粒子のアスペクト比が1.2以上4.0以下、一次粒子径が0.1μm以上2.0μm以下の白色顔料、および(C)硬化触媒を含有する組成物であることが好ましい。
【0024】
特に、前記液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物に含まれる(B)白色顔料の二次粒子の中心粒径が0.2μm以上5μm以下であることが好ましく、さらには、前記(B)白色顔料がアルミナ及び/又はチタニアであることが好ましい。
【0025】
また、液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物の25℃における剪断速度100s-1の条件での粘度が、10Pa・s以上10000Pa・s以下の範囲にあることが好ましい。
なお、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)白色顔料、及び(C)硬化触媒や樹脂組成物の粘度等の詳細については、実施形態の説明にて記載する。
【0026】
本発明の半導体発光装置用樹脂パッケージは、上記の半導体発光装置用後付リフレクタを、接着剤を介して半導体発光素子を載置するための回路基板に貼付して得られたものである。リフレクタの回路基板に貼付は、如何なる方法によっても良いが、好ましくは自動実装による貼付である。なお、接着剤層とは接着剤の薄層をいうが、リフレクタが回路基板に貼付できればその厚さは問わない。
自動実装機を用いる際には個片化後のリフレクタを何らかの手段で整列させる必要があるが、前述のシート状リフレクタ成形体を用いると個片化、整列、ピックアップ、貼り付けの工程を容易に行うことが出来る。
一例を挙げると、シート状リフレクタ成形体を、裏面に粘着性接着剤を介して柔軟性と伸び特性のある樹脂製シート(エクスパンドシート)に貼り付け、その後、このシートを縦横に引張ることにより、シート状リフレクタ成形体がプレカットラインで分離され、整列状態で個片化することが可能である。この整列状態のリフレクタを画像認識装置により自動ピックアップし、吸着コレット等でCOB配線基板の所定位置に搬送し、接着剤を介し貼付することが可能となる。エクスパンドシートや粘着性接着剤の好ましい態様については後述する。
【0027】
本発明の半導体発光装置は、上記半導体発光装置用樹脂パッケージと、半導体発光素子と、該半導体発光素子を被覆する封止材とを少なくとも有してなり、前記半導体発光素子は、前記半導体発光装置用樹脂パッケージの回路基板と電気的に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、耐久性(耐光性、耐熱性)が高く、かつ優れた反射率によりLED出力を向上させることが可能な半導体発光装置用樹脂パッケージに使用する後付リフレクタ及びその製造方法が提供される。
本発明によれば、また、従来方法における、反射枠の個片化後にCOB配線基板上に貼り付ける際には、ばらばらの個片化品をピックアップし、整列させる煩雑な工程を簡略化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る半導体発光装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る半導体発光装置の実装状態を示す概略断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る半導体発光装置の実装状態を示す概略断面図である。
【図4】図1の実施形態に係る半導体発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図5】シート状リフレクタ成形体の概念図(斜視図)である。
【図6】図5のシート状リフレクタ成形体の拡大図である。
【図7】シート状リフレクタ成形体からリフレクタを個片化、整列化するための一態様を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る半導体発光装置用後付リフレクタ及びその製造方法、並びに該リフレクタを貼付してなる半導体発光装置用樹脂パッケージ、該パッケージを有する半導体発光装置を、実施形態及び実施例を用いて説明する。だたし、本発明は、この実施形態及び実施例に限定されない。
【0031】
<1.半導体発光装置概要>
図1に本発明のパッケージを有する半導体発光装置の実施形態の概略断面図を示す。
図1の半導体発光装置1は、リフレクタ(樹脂成形体)2と、回路基板10に載置される発光素子3と、発光素子3を被覆する封止材4とを有する。
リフレクタ2は、発光素子3の周囲に成形する壁部20からなり、回路基板10に接着剤30を介し貼付されている。回路基板10は、ベース基板13の表面に第1のプリント配線部11、第2のプリント配線部12が形成されたものである。なお、発光素子3が載置されている側を回路基板上側と呼び、その反対側を回路基板下側と呼ぶ。
【0032】
発光素子3は同一面側に正負一対の第1の電極3aと第2の電極3bとを有しており、それぞれの電極が、第1のプリント配線部11及び第2のプリント配線部12と電気的に接続されている。
図1の半導体発光装置1においては、同一面側に正負一対の電極を有するものについて説明するが、発光素子の上面と下面に正負一対の電極を有するものを用いる場合は、発光素子の下面の電極を導電性のダイボンド材等を用いて直接第1のプリント配線部11と電気的に接続し、上面の電極は上述の方法で第2のプリント配線部12とワイヤボインディングすればよい。
【0033】
発光素子3は、第1のプリント配線部11にダイボンド部材を介して載置されている。
第1のプリント配線部11は、発光素子3が持つ第1の電極3aとワイヤ5aを介して電気的に接続されている。また、第2のプリント配線部12は、発光素子3が持つ第2の電極3bとワイヤ5bを介して電気的に接続されている。なお、発光素子3は第1のプリント配線部11に必ずしも載置されている必要はなく、回路基板10上に載置されていればよい。
【0034】
発光素子3が載置される部分は、壁部20と回路基板10とにより凹部が形成されている。凹部は底面10a(回路基板10の上面)と側面20a(壁部20の側面)とを有している。第1のプリント配線部11は、凹部の底面10aから露出している。この露出部分にダイボンド部材を介して発光素子3を載置している。壁部20は、液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物を液状射出成形することにより成形される。凹部の開口部は、底面10aよりも広口になっており、側面20aにはテーパーを設けることもできる。
【0035】
封止材4は、発光素子3を被覆するようにパッケージ2の回路基板10と壁部20により形成される凹部内に装入される。
封止材4は、熱硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を主成分とする組成物(以下、「封止材用熱硬化性樹脂組成物」と総称する。)を用いており、発光素子3の光を直接利用する場合には透明封止するが、発光素子3の光を任意の波長に変換する場合には、通常、蛍光体を含有する。
壁部20と封止材4とは熱硬化性樹脂を用いており、膨張係数などの物理的性質が近似していることから密着性が極めてよい。また、上記構成にすることにより、耐熱性、耐光性等に優れた半導体発光装置を提供することができる。
【0036】
以下、半導体発光装置の各構成部材について詳細に説明する。
【0037】
<2.半導体発光装置用樹脂パッケージ>
<2.1.回路基板>
回路基板10は、基体であるベース基板13の表面に第1のプリント配線部11、第2のプリント配線部12が形成されたものである。
第1のプリント配線部11と第2のプリント配線部12は所定の距離を持って電気的に絶縁されている。
【0038】
回路基板10の基体であるベース基板13の材質は、電気絶縁性であり、リフローはんだ熱で変形し難い基板状の硬質材料である。基板状の硬質材料のうち絶縁性のガラスエポキシ基板、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂基板、ポリイミド基板、窒化アルミニウム基板、窒化ホウ素基板、窒化ケイ素基板、アルミナセラミックス基板、ガラス基板、フレキシブルガラス基板、絶縁樹脂層を有するアルミニウム基板並びに/若しくは銅基板からなるハイブリッド基板からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にガラスエポキシ基板、絶縁樹脂層を有するアルミニウム基板が好ましい。その他に、プリント配線したシリコン基板、炭化ケイ素基板、サファイア基板などを用いることもできる。
【0039】
第1のプリント配線部11及び第2のプリント配線部12は、鉄、リン青銅、銅合金等の電気良導体を用いて構成することができる。また、発光素子3からの光の反射率を向上させるため、第1のプリント配線部11及び第2のプリント配線部12の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともできる。また、第1のプリント配線部11及び第2のプリント配線部12の表面の反射率を向上させるため、平滑にすることが好ましい。また、放熱性を向上させるため第1のプリント配線部11及び第2のプリント配線部12の面積は大きくすることができる。これにより発光素子3の温度上昇を効果的に抑えることができ、発光素子3に比較的多くの電気を流すことができる。また、第1のプリント配線部11及び第2のプリント配線部12を肉厚にすることにより放熱性を向上することができる。
【0040】
第1のプリント配線部11及び第2のプリント配線部12は、一対の正負の電極である。第1のプリント配線部11及び第2のプリント配線部12は、少なくとも1つずつあればよいが、複数設けることもできる。また、第1のプリント配線部11に複数の発光素子3を載置する場合は、複数の第2のプリント配線部12を設ける必要もある。プリント配線部のパターンは必要に応じて任意の形状を選択することができる。
【0041】
回路基板10上のリフレクタを接着する部分は、リフレクタが隙間無く接着するためにプリント配線部、ベース基板含め平滑面であることが好ましい。
【0042】
<2.2.リフレクタ>
壁部20を構成するリフレクタ2は、液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物を液状射出成形で成形したものであり、発光素子3からの光を反射させるために回路基板10における発光素子3が載置される部分の周囲に前記回路基板に接着剤により密着形成されている。
【0043】
リフレクタ2を構成する樹脂成形体は、硬化後に可視光について高反射率を有する液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物からなる。
樹脂成形体の反射率は、具体的には、厚さ0.4mmの成形体試料について460nmの光の反射率が80%以上であることを必須とし、90%以上であることがより好ましい。
また、厚さ0.4mmの成形体試料について波長400nmの光の反射率が60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
ここで、上記厚さ0.4mmの成形体試料は、原料である液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物を例えば、10kg/cm2の圧力下、180℃で4分間、硬化させることにより行うことができる。
この反射率は、厚さ0.4mmの成形体試料を作製し、コニカミノルタ社製SPECTROPHOTOMETER CM−2600dのような測色計を用いて測定することができる。パッケージのように小型の形状の成形体しか入手できない場合は、パッケージを研磨するなどして厚さ0.4mmの試料を作製し、反射率測定装置として日本電色VSR400のような微小面反射率計を用いて、0.05mmφ以上の面積における反射率を測定することにより得ることができる。
なお、樹脂成形体の反射率は、樹脂の種類やフィラーの種類、フィラーの粒径や含有量などにより制御することができる。
上記液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物の物性等については後述する。
【0044】
リフレクタ2の壁部20は、端部に向けて厚さが減少するようなテーパー(傾斜)形状を有していることが好ましく、回路基板10と壁部20で形成される凹部は、開口方向に広口となっている。これにより前方方向への光の取り出し効率が向上し、また、液状射出成形時の金型離型性が改善される。また、前記テーパーは滑らかな方が好ましいが凹凸を設けることもできる。凹凸を設けることにより壁部20と封止材4との界面の密着性を向上することができるからである。凹部の傾斜角度は、底面から測定して95°以上150°以下が好ましいが、100°以上120°以下が特に好ましい。
また、壁部20を、液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物を用いて液状射出成形する場合、金型離型性が改善されるため、成形不良の抑制や成形サイクル時間の短縮が可能となり、量産性に優れた発光装置を提供することができる。
【0045】
また、本実施形態における壁部20の側面末端部20bには稜角部を有すが、稜角部を有していない構成としてもよい。
【0046】
以下、リフレクタ2を構成する熱硬化性シリコーン樹脂組成物について詳述する。
【0047】
<3.熱硬化性シリコーン樹脂組成物>
<3.1.熱硬化性シリコーン樹脂組成物の特性>
<3.1.1.熱硬化性シリコーン樹脂組成物の組成>
壁部20の材質である熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)白色顔料、(C)硬化触媒を主成分とし、必要に応じてその他の成分を含む。
その他の成分としては、(D)硬化速度制御剤、(E)流動性調整剤などが挙げられる。
特に(A)ポリオルガノシロキサン、(B)一次粒子のアスペクト比が1.2以上4.0以下、一次粒子径が0.1μm以上2.0μm以下の白色顔料、および(C)硬化触媒を含有してなる熱硬化性シリコーン樹脂組成物が好適である。
上記(A)乃至(C)成分の、本発明に用いる半導体発光装置用樹脂成形体用の熱硬化性シリコーン樹脂組成物の好ましい組成は以下のとおりである。
本発明に用いる熱硬化性シリコーン樹脂組成物中における(A)ポリオルガノシロキサンの含有量は、上記壁部を形成する樹脂成形体用材料として通常用いることができる範囲であれば限定されないが、通常材料全体の15重量%以上、50重量%以下であり、好ましくは20重量%以上、40重量%以下であり、より好ましくは25重量%以上、35重量%以下である。
また、上記組成物中の(B)白色顔料の含有量は、上記壁部を形成する樹脂成形体用材料として通常用いることができる範囲であれば限定されないが、例えば組成物全体の30重量%以上、85重量%以下であり、好ましくは40重量%以上80重量%以下であり、より好ましくは45重量%以上、70重量%以下である。
【0048】
<3.1.2.熱硬化性シリコーン樹脂組成物の粘度>
本発明に用いる熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、25℃における剪断速度100s-1での粘度が10Pa・s以上10,000Pa・s以下であることが好ましい。上記粘度は、半導体装置用樹脂成形体を成形する際の成形効率の観点から、150Pa・s以上1,000Pa・s以下であることがより好ましい。
【0049】
特に液状樹脂材料を用いたLIM成形では、金型の微小な隙間から材料が染み出すことに起因するバリが発生しやすく、通常、バリを除去する後処理工程が必要であり、一方、バリの発生を抑えるために金型の隙間を小さくするとショートモールド(未充填)が発生しやすくなる等の問題があるが、前記液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物の粘度が上記範囲にある場合、このような問題を解決することができ、樹脂成形体のLIM成形を容易に、効率よく行うことができる。
剪断速度100s-1での粘度が10,000Pa・sより大きいと、樹脂の流れが悪いため金型への充填が不十分となったり、射出成形を行う際に前記液状樹脂組成物供給に時間がかかるため成形サイクルが長くなったりするなどして、成形効率が低下する傾向にある。
また、上記粘度が10Pa・sより小さいと、金型の隙間から前記液状樹脂組成物が漏れてバリが発生したり、金型の隙間に射出圧力が逃げやすくなるため成形が安定しにくくなったりして、やはり成形効率が低下する傾向にある。特に成形体が小さい場合にはバリを除去するための後処理も困難になるため、バリの発生を抑えることは成形性には重要である。
【0050】
加えて、チキソトロピー性の観点から、本発明に用いる熱硬化性シリコーン樹脂組成物は25℃での剪断速度100s-1での粘度に対する25℃での剪断速度1s-1での粘度の比(1s-1/100s-1)が15以上であることが好ましく、30以上であることが特に好ましい。一方、上限は、300以下であることがより好ましい。
【0051】
成形性のよい材料とするためには、材料に一定以上のチキソトロピー性を持たせることが必要であるが、上記のような条件を満たすことにより、バリやショートモールド(未充填)の発生が少なく、成形時の材料の計量時間や成形サイクルを短縮でき、成形も安定しやすく、成形効率の高い材料となる。
【0052】
また、25℃における剪断速度100s-1での粘度に対する25℃における剪断速度1s-1での粘度の比が15未満の場合、つまり剪断速度1s-1での粘度が比較的小さい場合は、成形機や金型の隙間にも材料が入り込みやすくなり、バリが発生しやすくなったり、ノズル部で液ダレしやすくなったり、射出圧力が材料に伝わりにくく成形が安定しにくくなったりするなど、成形のコントロールが難しくなることがある。LIM成形ではスプルー部のパーティングラインの樹脂漏れが問題になりやすいが、上記の粘度範囲に調整することは樹脂漏れ抑制にも効果がある。
これらの25℃における剪断速度100s-1での粘度と剪断速度1s-1での粘度は、例えばARES−G2−歪制御型レオメータ(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)を用いて測定することができる。
【0053】
<3.2.熱硬化性シリコーン樹脂組成物の構成成分>
<(A)ポリオルガノシロキサン>
本発明におけるポリオルガノシロキサンとは、ケイ素原子が酸素を介して他のケイ素原子と結合した部分を持つ構造に有機基が付加している高分子物質を指す。ここでポリオルガノシロキサンは、常温常圧下において液体であることが好ましい。これは、半導体発光装置用樹脂成形体を成形する際に、材料の扱いが容易となるからである。また、常温常圧下において固体のポリオルガノシロキサンは、一般的に硬化物としての硬度は比較的高いが、破壊に要するエネルギーが小さく靭性が低いものや、耐光性、耐熱性が不十分で光や熱により変色しやすいものが多い傾向にあるからである。
【0054】
上記ポリオルガノシロキサンは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば以下に示す一般組成式(1)で表される化合物や、その混合物が挙げられる。
(R123SiO1/2M(R45SiO2/2D(R6SiO3/2T(SiO4/2Q ・・・(1)
ここで、上記式(1)において、R1からR6は独立して、有機官能基、水酸基、水素原子から選択される。またM、D、TおよびQは0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。
有機官能基としては、得られる樹脂成形体の光・熱に対する耐久性や硬化特性、反射特性を損じない範囲で公知の1価有機基より任意に選択して良いが、中でも炭素数1〜10のアルキル基・芳香族基・アルケニル基、炭素数1〜3のアルコキシ基が樹脂成形体が熱により着色しにくいため好ましく、中でもメチル基、フェニル基、ビニル基が工業的に入手しやすく光に対して安定であるため好ましく、ポリオルガノシロキサン及び樹脂成形体の2官能ケイ素含有量を高くすることが出来、柔軟な樹脂成形体を与えることができる観点からメチル基主体とすることが特に好ましい。
主なポリオルガノシロキサンを構成する単位は、1官能型[R3SiO0.5](トリオルガノシルヘミオキサン)、2官能型[R2SiO](ジオルガノシロキサン)、3官能型[RSiO1.5](オルガノシルセスキオキサン)、4官能型[SiO2](シリケート)であり、これら4種の単位の構成比率を変えることにより、ポリオルガノシロキサンの性状の違いが出てくるので、所望の特性が得られるように適宜選択すればよい。
【0055】
ポリオルガノシロキサンは、硬化触媒の存在下で、熱エネルギーや光エネルギー等を与えることにより硬化させる事ができる。ここで硬化とは、流動性を示す状態から、流動性を示さない状態に変化することをいい、例えば、対象物を水平より45度傾けた状態で30分間静置しても流動性がある状態を未硬化状態といい、全く流動性がない状態を硬化状態として判断することができる。また、フィラー充填量が多い等の理由で、対象物が流動性を示さない場合には、該対象物が塑性変形せず、硬度をデュロメータタイプAにて測定でき、硬度測定値が少なくとも5以上であるか否かで未硬化状態、硬化状態を判断することもできる。
ポリオルガノシロキサンは、硬化のメカニズムにより分類すると、通常、付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド架硫タイプなどのポリオルガノシロキサンを挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型ポリオルガノシロキサン)、および縮合硬化タイプ(縮合型ポリオルガノシロキサン)が好適である。中でも、副生物が無く、また、反応が非可逆性のヒドロシリル化(付加重合)によって硬化するポリオルガノシロキサンのタイプがより好適である。これは、成形加工時に副生成物が発生すると、成形容器内の圧を上昇させたり、硬化材料中に泡として残存したりする傾向にあるからである。
【0056】
付加型ポリオルガノシロキサンは、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えばビニルシラン等のアルケニル基を有するケイ素含有化合物と、例えばヒドロシラン等のヒドロシリル基を含有するケイ素化合物とを総アルケニル基量に対する総ヒドロシリル基量のモル比が0.5倍以上、2.0倍以下となる量比で混合し、Pt触媒などの付加縮合触媒の存在下反応させて得られるSi−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。
【0057】
縮合型ポリオルガノシロキサンとしては、例えば、アルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する化合物を挙げることができる。
【0058】
<(B)白色顔料>
本発明において用いる(B)白色顔料としては、一次粒子のアスペクト比が1.2以上4.0以下、一次粒子径が0.1μm以上2.0μm以下のものが好ましく、樹脂の硬化を阻害しない公知の白色顔料を適宜選択する事ができる。白色顔料としては無機および/または有機の材料を用いる事ができる。ここで白色とは、無色であり透明ではない事をいう。すなわち可視光領域に特異な吸収波長を持たない物質により入射光を乱反射させる事ができる色をいう。
【0059】
白色顔料として用いることができる無機粒子としては、アルミナ(以下、「酸化アルミニウム」と称する場合がある。)、酸化ケイ素、チタニア(以下、「酸化チタン」と称する場合がある。)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等の金属塩;窒化ホウ素、アルミナホワイト、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、ホウ酸アルミニウム、クレー、タルク、カオリン、雲母、合成雲母などが挙げられる。
中でも白色度が高く少量でも光反射効果が高く変質しにくい点からは、アルミナ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどが好ましく、特にアルミナ、チタニアが好ましい。また、材料硬化時の熱伝導率向上の点からは、アルミナ、窒化ホウ素などが特に好ましい。また、近紫外線の光反射効果が高く、近紫外線による変質が小さい観点からも、アルミナが特に好ましい。チタニアは、光触媒性、分散性、白色性等の問題が出ない程度に含有する事ができる。
これらの白色顔料は、単独もしくは2種以上混合して用いる事ができる。
【0060】
(A)ポリオルガノシロキサンの屈折率と(B)白色顔料の屈折率差が大きいほど、少量の白色顔料を添加しただけでも白色度がより高く、反射・散乱効率のよい半導体発光装置用樹脂成形体を得ることができる。(A)ポリオルガノシロキサンは屈折率が1.41程度のものが好ましく、屈折率が1.76のアルミナ粒子を(B)白色顔料として好適に用いることができる。
【0061】
また、アルミナは、紫外線の吸収能が低いことから、特に、紫外〜近紫外発光の発光素子と共に用いる場合に好適に用いることができる。本発明において用いるアルミナとしてはその結晶形態は問わないが、化学的に安定、融点が高い、機械的強度が大きい、硬度が高い、電気絶縁抵抗が大きい等の特性を持つα−アルミナが好適に使用できる。
【0062】
また、本発明において(B)白色顔料としてアルミナを用いる場合、アルミナ結晶の結晶子サイズが500Å以上2,000Å以下であることが好ましく、700Å以上1,500Å以下であることがより好ましく、900Å以上1,300Å以下であることが特に好ましい。結晶子とは、単結晶とみなせる最大の集まりをいう。
アルミナ結晶の結晶子サイズが上記範囲であると、成形時の配管、スクリュー、金型などの磨耗が少なく、磨耗による不純物が混入しにくい点で好ましい。なお、上記結晶子サイズは、X線回折測定により確認することができる。
【0063】
一般にアルミナはチタニアより耐久性が高く、アルミナとチタニアを併用した場合、チタニアの比率が増すと材料の耐久性が低下する傾向にある。一方で、チタニアは、アルミナと比較して屈折率が高く、樹脂との屈折率差が大きいため、チタニアの比率が増すと壁部の反射率が高くなる傾向にある。
そこで、アルミナに同程度以下のチタニアを添加すると、チタニアの比率から予測される程度より大きく反射率が向上し、材料の反射率を高くしつつ、耐久性の低下を極力抑制することができる。
【0064】
熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化時の熱伝導率は、成形効率及び半導体発光装置の放熱の点からも高い方が好ましいが、熱伝導率を高くするためには、純度が98%以上のアルミナを用いることが好ましく、純度99%以上のアルミナを用いることがより好ましく、特に低ソーダアルミナを用いることが好ましい。また、熱伝導率を高くするためには、窒化ホウ素を用いることも好ましく、純度が99%以上の窒化ホウ素を用いることが特に好ましい。
【0065】
また、特に、発光ピーク波長が420nm以上の発光素子を使用する半導体発光装置では、白色顔料としてチタニアも好適に使用することができる。チタニアは紫外線吸収能を持つが、屈折率が大きく光散乱性が強いため、420nm以上の波長の光の反射率が高く、少ない添加量でも高反射を発現しやすい。本発明の白色顔料としてチタニアを用いる場合は、紫外線吸収能や光触媒能が大きく高温で不安定なアナターゼ型よりも、高温で安定であり、屈折率が高く、比較的耐光性が高いルチル型が好ましく、光触媒活性を抑える目的で表面にシリカやアルミナの薄膜コートが施されたルチル型が特に好ましい。
チタニアは屈折率が高く、ポリオルガノシロキサンとの屈折率差が大きいため少ない添加量でも高反射となりやすいことから、アルミナとチタニアを50:50〜95:5(重量比)のような割合で併用してもよい。
【0066】
本発明に用いる(B)白色顔料は、その一次粒子のアスペクト比が、1.2以上4.0以下であるものが好適である。
アスペクト比は、粒子等の形状を定量的に表現する簡便な方法として一般に用いられており、本発明ではSEMなどの電子顕微鏡観察により計測した粒子の長軸長さ(最大長径)を短軸長さ(長径に垂直方向で最も長い部分の長さ)で除して求めるものとする。軸長さにばらつきがある場合は、複数点(例えば10点)をSEMで計測し、その平均値から算出することができる。あるいは、30点、100点を計測しても同様の算出結果を得ることができる。
好ましいアスペクト比は、1.25以上であり、より好ましくは1.3以上、特に好ましくは1.4以上である。一方、上限は、3.0以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2.2以下が更に好ましく、2.0以下が特に好ましく、1.8以下であることが最も好ましい。
アスペクト比が上記範囲であると、散乱により高反射率を発現しやすく、特に近紫外領域の短波長の光の反射が大きい。これにより、この樹脂成形体を用いた半導体発光装置において、LED出力を向上させることができる。
また、アスペクト比が上記範囲の白色顔料を使用することは、金型の磨耗が少ないなど、成形上も好ましい。アスペクト比が上記範囲を超えて大きい場合、顔料粒子との接触により金型の磨耗が激しくなることがあり、逆に、アスペクト比が小さい白色顔料を使用する場合も材料中の顔料の充填密度を高くできるため金型と顔料との接触頻度が上がり、金型が磨耗しやすくなる。さらに、アスペクト比が上記範囲の白色顔料を使用すると、材料粘度の調整が容易で、成形に適した粘度に調整できるので、成形サイクルの短縮や、バリの防止が可能となる等、成形性に優れた材料となる。
【0067】
アスペクト比が上記範囲であることで、白色顔料が金型の隙間に充填され、バリが発生しにくいが、アスペクト比が1.2未満のように球状に近くなると金型の隙間を通り抜けてバリが発生しやすくなる。
本発明では、アスペクト比が上記範囲に含まれる粒子が(B)白色顔料全体の60体積%以上、より好ましくは70体積%以上、特に好ましくは80体積%以上を占めることが好ましく、必ずしも全ての(B)白色顔料が上記アスペクト比の範囲を満たさなければいけないわけではないことは当業者が当然に理解できる事項である。
【0068】
アスペクト比を上記範囲とするためには、白色顔料の表面処理をしたり、研磨したりする等の一般的な方法を採ればよい。また、白色顔料を破砕(粉砕)して微細化することや、篩粉等により分級することによっても調整できる。
【0069】
本発明に用いる(B)白色顔料は、形状が破砕形状であることが好ましく、破砕後の処理により結晶の角が少ない丸みを帯びた形状となったもの、焼成などによって生成した球状でない顔料の形状も含まれる。
【0070】
また、(B)白色顔料の一次粒子径が、0.1μm以上2μm以下であるものが好適である。下限値については好ましくは0.15μm以上、より好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.25μm以上であり、上限値については好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.8μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。
一次粒子径が上記範囲である場合には、後方散乱傾向と散乱光強度を兼ね備えることで材料が高反射率を発現しやすく、特に近紫外領域等の短波長の光に対する反射が大きくなり、好ましい。
白色顔料は、一次粒子径が小さすぎると散乱光強度が小さいため反射率は低くなる傾向にあり、一次粒子径が大きすぎると散乱光強度は大きくなるが、前方散乱傾向になるため反射率は小さくなる傾向にある。
また、一次粒子径が上記範囲である場合には、成形に適した粘度への調整が容易である上、金型の磨耗が少ないなど、成形性の観点からも好ましい。一次粒子径が上記範囲よりも大きい場合、顔料粒子との接触による金型への衝撃が大きく金型の磨耗が激しくなる傾向があり、一次粒子径が上記範囲よりも小さい白色顔料を使用する場合には、材料が高粘度になりやすく、白色顔料の充填量を上げられないため、高反射等の材料特性と成形性との両立が難しくなる傾向にある。
特に、液状射出成形に好適に使用できる材料とするためには材料にある程度以上のチキソトロピー性を持たせることが必要である。一次粒子径が0.1μm以上2.0μm以下の白色顔料を組成物中に添加するとチキソトロピー性付与効果が大きく、バリやショートが少なく成形しやすい組成物とするために、粘度とチキソトロピー性を容易に調整することができる。
なお、樹脂組成物中の白色顔料の充填率を上げる等の目的で、一次粒子径が2μmよりも大きい白色顔料を併用することもできる。
【0071】
本発明にいう一次粒子とは粉体を構成している粒子のうち、他と明確に区別できる最小単位をいい、一次粒子径はSEMなどの電子顕微鏡観察により計測することができる。一方、一次粒子が凝集してできる凝集粒子を二次粒子といい、二次粒子の中心粒径は粉体を適当な分散媒(例えばアルミナの場合は水)に分散させて粒度分析計等で測定することができる。一次粒子径にばらつきがある場合は、数点(例えば10点)をSEM観察し、その平均値を粒子径とすればよい。また、測定の際、個々の粒子が球状でない場合はもっとも長い、すなわち長軸の長さを粒子径とする。
【0072】
一方、上記白色顔料は、二次粒子の中心粒径(以下、「二次粒径」と称する場合がある。)が、0.2μm以上であるものが好ましく、0.3μm以上であるものがより好ましい。上限は5μm以下であるものが好ましく、3μm以下であるものがより好ましく、2μm以下であるものが更に好ましい。
二次粒径が上記範囲であると、液状射出成形の成形性が良好となり、好ましい。また、成形に適した粘度への調整が容易で、金型の磨耗が少ない。加えて、白色顔料が金型の隙間を通過しにくいためバリが発生しにくく、かつ、金型のゲートに詰まりにくいため成形時のトラブルが起こりにくい。二次粒径が上記範囲よりも大きい場合には、白色顔料の沈降により材料が不均一となる傾向にあり、金型の磨耗やゲートの詰まりにより成形性が損なわれたり、成形品の反射の均一性が損なわれたりすることがある。
なお、樹脂組成物中の白色顔料の充填率を上げる等の目的で、二次粒径が10μmよりも大きい白色顔料を併用することもできる。なお、中心粒径とは体積基準粒度分布曲線の体積積算値が50%になる粒子径をいい、一般的に50%粒子径(D50)、メディアン径と呼ばれるものを指す。
【0073】
本発明において半導体発光装置用樹脂成形体材料中の(B)白色顔料の含有量は、使用する顔料の粒径や種類、ポリオルガノシロキサンと顔料の屈折率差により適宜選択され特に限定されない。例えば、組成物中の含有割合として通常30重量%以上、好ましくは45重量%以上であり、通常85重量%以下、好ましくは70重量%以下である。
上記範囲内であると反射率、成形性等が良好である。上記下限未満である場合には光線が透過してしまい半導体発光装置の反射効率が低下する傾向にあり、上限よりも大きい場合には材料の流動性が悪化することにより成形性が低下する傾向にある。
また、熱硬化性シリコーン樹脂組成物の熱伝導率を例えば、0.4以上3.0以下の範囲のように高くするためには、(B)白色顔料としてアルミナ及び/又はチタニアを樹脂成形体用材料全体量に対して40重量部以上90重量部以下添加することが好ましい。
または(B)白色顔料として窒化ホウ素を樹脂成形体用材料全体量に対して30重量部以上90重量部以下添加することが好ましい。なお、アルミナ、チタニア、窒化ホウ素を併用してもよい。
【0074】
<3.2.3.(C)硬化触媒>
本発明における(C)硬化触媒とは、(A)のポリオルガノシロキサンを硬化させる触媒である。この触媒はポリオルガノシロキサンの硬化機構により付加重合用触媒、縮合重合用触媒がある。
【0075】
付加重合用触媒は、前記(A)成分中のアルケニル基とヒドロシリル基との付加反応を促進するための触媒であり、この付加重合触媒の例としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。なお、この付加重合触媒の配合量は通常、白金族金属として(A)成分の重量に対して通常1ppm以上、好ましくは2ppm以上であり、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下である。
【0076】
縮合重合用触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、有機酸などの酸、アンモニア、アミン類などのアルカリ、ホウ素のアルコキシド等の有機ホウ素化合物、金属キレート化合物などを用いることができ、好適なものとしてTi、Ta、Zr、Al、Hf、Zn、Sn、Ga、Ptのいずれか1以上を含む金属キレート化合物を用いることができる。なかでも、金属キレート化合物は、Ti、Al、Zn、Zr、Gaのいずれか1以上を含むものが好ましく、Zrを含むものがさらに好ましく用いられる。
【0077】
縮合重合用触媒の配合量は、上記(A)成分の合計重量に対して通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、一方上限は通常10重量%以下、好ましくは6重量%以下である。
触媒の添加量が上記範囲であると半導体発光装置用樹脂成形体材料の硬化性、保存安定性が良好であり、加えて成形した樹脂成形体の品質が良好である。添加量が上限値を超えると樹脂成形体材料の保存安定性に問題が生じる場合があり、下限値未満では硬化時間が長くなり樹脂成形体の生産性が低下し、未硬化成分により樹脂成形体の品質が低下する傾向にある。
これらの触媒は半導体発光装置用樹脂組成物の安定性、被膜の硬度、無黄変性、硬化性などを考慮して選択される。
【0078】
<その他>
本発明の半導体発光装置用樹脂成形体用材料は、さらに硬化速度制御剤を含有することが好ましい。ここで硬化速度制御剤とは、樹脂成形体用材料を成形する際に、その成形効率を向上させるために硬化速度を制御するためのものであり、硬化遅延剤または硬化促進剤が挙げられる。
【0079】
硬化遅延剤は、特に、硬化速度が速い付加重合型ポリオルガノシロキサン組成物の液状射出成形において重要な成分である。
付加重合反応における硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3−(トリメチルシリルオキシ)−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、ジメチルマレート等のマレイン酸エステル類等が例示される。
縮合重合反応における硬化遅延剤としては、炭素数1〜5の低級アルコール、分子量500以下のアミン類、窒素や硫黄含有する有機化合物、エポキシ基含有化合物などシラノールと反応あるいは水素結合する化合物が挙げられる。
【0080】
硬化速度制御剤の種類や配合量を目的に応じて選択することにより、樹脂成形体用材料の成形が容易となる。例えば、金型への充填率が高くなったり、射出成形による成形時に金型からの漏れがなく、バリが発生しにくくなったりするメリットが得られる。
【0081】
壁部形成用材料である熱硬化性シリコーン樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他の成分を1種、または2種以上を任意の比率および組み合わせで含有させることができる。
例えば、熱硬化性シリコーン樹脂組成物の流動性コントロールや白色顔料の沈降抑制の目的で、流動性調整剤を含有させることができる。
流動性調整剤としては、添加により熱硬化性シリコーン樹脂組成物の粘度が高くなる常温から成形温度付近で固体の粒子であれば特に限定されないが、例えば、シリカ微粒子、石英ビーズ、ガラスビーズなどの無機粒子、ガラス繊維などの無機物繊維、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
【0082】
また、熱硬化性シリコーン樹脂組成物の粘度を調整するため、液状増粘剤として非硬化性のポリオルガノシロキサンを(A)ポリオルガノシロキサンに一部配合することができる。
液状増粘剤としてのポリオルガノシロキサンの配合量は(A)ポリオルガノシロキサン全体を100重量部とした時、通常、0〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部程度を(A)と置き換えて使用することができる。
【0083】
また、上記成分以外にも、上記熱硬化性シリコーン樹脂組成物には、熱硬化後の強度、靭性を高める目的で、ガラス繊維などの無機物繊維を含有させてもよく、また、熱伝導性を高めるため、熱伝導率の高い窒化ホウ素、窒化アルミ、繊維状アルミナ等を前述の白色顔料とは別に含有させることができる。その他、硬化物の線膨張係数を下げる目的で、石英ビーズ、ガラスビーズ等を含有させることができる。
これらを添加する場合の含有量は、少なすぎると目的の効果か得られず、多すぎると熱硬化性シリコーン樹脂組成物の粘度が上がり、加工性に影響するので、十分な効果が発現し、材料の加工性を損なわない範囲で適宜選択できる。通常、ポリオルガノシロキサン100重量部に対し500重量部以下、好ましくは200重量部以下である。
【0084】
また、上記熱硬化性シリコーン樹脂組成物中には、その他、イオンマイグレーション(エレクトロケミカルマイグレーション)防止剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤などを本発明の目的および効果を損なわない範囲において含有させることができる。
【0085】
<組成物の配合割合>
上記熱硬化性シリコーン樹脂組成物における(A)ポリオルガノシロキサンの含有量は、通常、樹脂組成物全体の15重量%以上、50重量%以下であり、好ましくは20重量%以上、40重量%以下であり、より好ましくは25重量%以上、35重量%以下である。なお、該樹脂組成物中に含まれる硬化速度制御剤やその他成分である液状増粘剤がポリオルガノシロキサンである場合は上記(A)の含有量に含まれるものとする。
上記熱硬化性シリコーン樹脂組成物における(B)白色顔料の含有量は、上述の通り該樹脂組成物が、樹脂成形体用材料として用いることができる範囲であれば限定されないが、通常樹脂組成物全体の30重量%以上85重量%以下であり、好ましくは40重量%以上80重量%以下であり、より好ましくは45重量%以上70重量%以下である。
上記熱硬化性シリコーン樹脂組成物における流動性調整剤の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば限定されないが、通常樹脂組成物全体の55重量%以下であり、好ましくは2重量%以上50重量%以下であり、より好ましくは5重量%以上45重量%以下である。
【0086】
<4.パッケージ以外の構成要素>
以下、図1を参照し、本発明の半導体発光装置における、パッケージ以外の構成要素について説明する。
【0087】
<4.1.半導体発光素子>
発光素子3は、近紫外領域の波長を有する光を発する近紫外半導体発光素子、紫領域の波長の光を発する紫半導体発光素子、青領域の波長の光を発する青色半導体発光素子などを用いることが可能であり、通常、これらの発光素子は350nm以上520nm以下の波長を有する光を発する。
【0088】
発光素子3として具体的には、基板上にGaAlN、ZnS、ZnSe、SiC、GaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成させたものが用いられる。
半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やPN接合を有したホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルへテロ構成のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を紫外光から赤外光まで種々選択することができる。発光層は、量子効果が生ずる薄膜とした単一量子井戸構造や多重量子井戸構造としてもよい。
【0089】
屋外などでの使用を考える場合、高輝度な発光素子3を形成可能な半導体材料として窒化ガリウム系化合物半導体を用いることが好ましく、また、赤色ではガリウム・アルミニウム・砒素系の半導体やアルミニウム・インジウム・ガリウム・燐系の半導体を用いることが好ましいが、用途によって種々利用することもできる。
【0090】
窒化ガリウム系化合物半導体を使用した場合、半導体基板にはサファイア、スピネル、SiC、Si、ZnOやGaN単結晶等の材料が用いられる。結晶性のよい窒化ガリウムを量産性よく形成させるためにはサファイア基板を用いることが好ましい。
窒化ガリウム系化合物半導体は、不純物をドープしない状態でN型導電性を示す。なお、発光効率を向上させる等所望のN型窒化ガリウム半導体を形成させる場合は、N型ドーパントとしてSi、Ge、Se、Te、C等を適宜導入することが好ましい。
【0091】
一方、P型窒化ガリウム半導体を形成させる場合は、P型ドーパンドであるZn、Mg、Be、Ca、Sr、Ba等をドープさせる。窒化ガリウム系半導体は、P型ドーパントをドープしただけではP型化しにくいためP型ドーパント導入後に、炉による加熱、低電子線照射やプラズマ照射等によりアニールすることでP型化させる必要がある。こうして形成された半導体ウエハーを部分的にエッチングなどさせ正負の各電極を形成させる。その後半導体ウエハーを所望の大きさに切断することによって発光素子を形成させることができる。
【0092】
こうした発光素子3は、必要に応じて複数個用いることができ、その組み合わせによって白色表示における演色性を向上させることもできる。
なお、発光効率を向上させるために、発光層直下に蒸着等により金属反射膜を設けサファイア等の基板を剥離除去し、新たな支持基板となるGeやSiなどのウエハーに貼り替えた裏面メタル反射層付き発光素子を用いることもできる。
【0093】
<4.2.封止材>
封止材4は、発光素子3が載置されたパッケージ2における回路基板10と壁部20とで形成される凹部内に装入され、これにより発光素子3を被覆する。
封止材4は、外部環境からの外力や埃、水分などから発光素子3を保護すると共に発光素子3から出射される光を効率よく外部に放出することを可能とする。
また、発光素子3の屈折率と空気の屈折率とは大きく異なるため、発光素子3から出射された光は効率よく外部に出力されてこないのに対し、封止材4で発光素子3を被覆することにより、発光素子3から出射された光を効率よく外部に出力することができる。また、発光素子3から出射された光の一部は、前記凹部の底面10a及び側面20bに照射され、反射して、発光素子3が載置されている主面側に出射される。これにより主面側の発光出力の向上を図ることができる。
【0094】
封止材4を構成する封止材用樹脂組成物として熱硬化性樹脂組成物を使用することが好ましい。これによって、半導体発光装置用樹脂パッケージにおける樹脂成形体を構成する熱硬化性シリコーン樹脂組成物と封止材を構成する封止材用熱硬化性樹脂組成物とはそれぞれ熱硬化性樹脂である点で共通するため、化学的性質や膨張係数などの物理的性質が近似していることから密着性がよく、樹脂成形体と封止材との界面での剥離を防止することができる。
【0095】
封止材の主成分の熱硬化性樹脂としては、透明性、耐光性、耐熱性に優れ、長期間使用してもクラックや剥離を生じることなく半導体発光装置を封止することができる樹脂が用いられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂等が例示され、その一種又は二種以上が使用できる。この中でもエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が透明性、電気絶縁性に優れ、化学的に安定な点で好ましく、特にシリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂は耐光性、耐熱性に優れ前記樹脂成形体と同種類の樹脂であることから密着性等に優れ好適に使用される。
封止材4は、発光素子3を保護するため硬質のものが好ましい。封止材4は、所望の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光体、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種を混合することもできる。ここで用いることができる拡散剤としては、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等が好ましい。また、所望外の波長の光をカットする目的で有機や無機の染料や顔料を含有させることができる。さらに、封止材4に、発光素子3からの光の波長を変換する蛍光体の一種又は二種以上を含有させることも好ましい。
また、封止材4は上記の助剤以外に紫外線吸収剤、及び酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0096】
<4.3.蛍光体>
以下に説明する蛍光体と、封止材との組成物を、上記パッケージの凹部に注入して成型したり、適当な透明支持体に薄膜上に塗布したりすることにより、波長変換部材として用いることができる。
蛍光体としては、上述の半導体発光素子の発する光に直接的または間接的に励起され、異なる波長の光を発する物質であれば特に制限はなく、無機系蛍光体であっても有機系蛍光体であっても用いることができる。例えば、以下に例示するような青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、橙色ないし赤色蛍光体の1種または2種以上を用いることができる。所望の発光色を得られるよう、用いる蛍光体の種類や含有量を適宜調整することが好ましい。
【0097】
<4.3.1.青色蛍光体>
青色蛍光体としては、発光ピーク波長が、通常420nm以上、中でも430nm以上、更には440nm以上、また、通常490nm以下、中でも480nm以下、更には470nm以下の範囲にあるものが好ましい。
具体的には、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46(Cl,F)2:Eu、(Ba,Ca,Mg,Sr)2SiO4:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46(Cl,F)2:Eu、(Ba,Ca,Sr)3MgSi28:Euが好ましく、(Ba,Sr)MgAl1017:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO46(Cl,F)2:Eu、Ba3MgSi28:Euがより好ましい。
【0098】
<4.3.2.緑色蛍光体>
緑色蛍光体としては、発光ピーク波長が、通常500nm以上、中でも510nm以上、更には515nm以上、また、通常550nm以下、中でも542nm以下、更には535nm以下の範囲にあるものが好ましい。
具体的には、Y3(Al,Ga)512:Ce、CaSc24:Ce、Ca3(Sc,Mg)2Si312:Ce、(Sr,Ba)2SiO4:Eu、β型サイアロン、(Ba,Sr)3Si612:N2:Eu、SrGa24:Eu、BaMgAl1017:Eu,Mnが好ましい。
【0099】
<4.3.3.黄色蛍光体>
黄色蛍光体としては、発光ピーク波長が、通常530nm以上、中でも540nm以上、更には550nm以上、また、通常620nm以下、中でも600nm以下、更には580nm以下の範囲にあるものが好適である。
黄色蛍光体としては、Y3Al512:Ce、(Y,Gd)3Al512:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ca,Sr)Si222:Eu、(La,Y,Gd,Lu)3(Si,Ge)611:Ceが好ましい。
【0100】
<4.3.4.橙色ないし赤色蛍光体>
橙色ないし赤色蛍光体としては、発光ピーク波長が、通常570nm以上、中でも580nm以上、更には585nm以上、また、通常780nm以下、中でも700nm以下、更には680nm以下の範囲にあるものが好ましい。
具体的には、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、(La,Y)22S:Eu、Eu(ジベンゾイルメタン)3・1,10−フェナントロリン錯体等のβ−ジケトン系Eu錯体、カルボン酸系Eu錯体、K2SiF6:Mnが好ましく、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O):Eu、(La,Y)22S:Eu、K2SiF6:Mnがより好ましい。
また、橙色蛍光体としては、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Sr,Ba)2SiO4:Eu、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Ceが好ましい。
【0101】
<4.4.保護素子>
半導体発光装置1には、さらに保護素子としてツェナーダイオードを設けることもできる。ツェナーダイオードは、発光素子3と同様、回路基板10に載置することができる。
【0102】
<4.5.ヒートシンク(外部放熱部材)>
半導体発光装置1の裏面側に放熱接着剤を介してヒートシンクを設けることができる。この放熱接着剤は、熱伝導性が高いものが好ましい。放熱接着剤の材質は、電気絶縁性のエポキシ樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。ヒートシンクの材質は熱伝導性の良好なアルミ、銅、タングステン、金などが好ましい。
【0103】
以上の構成を採ることにより、本発明に係る半導体発光装置を提供することができる。
【0104】
<5.半導体発光装置の実装状態>
上記半導体発光装置を用いて、外部電極と電気的に接続した実装状態を示す。図2は、本発明の実施形態の一つである半導体発光装置1の実装状態を示す概略断面図である。
【0105】
図2において半導体発光装置1は、メタルベースである回路基板50の上に載置されている。回路基板50は、アルミニウムや銅などの金属を含むメタル基板53a上に絶縁層53bが形成されたベース基板53の上に、プリント配線部51,52が形成されてなり、プリント配線部51,52の一部が露出するように樹脂部54にて被覆されており、その露出部分に半導体発光装置1が載置される。図2においては回路基板50としてメタルベース基板を例に挙げて説明したが、回路基板50の基体であるベース基板53の材質は、その他絶縁性のガラスエポキシ基板、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂基板、ポリイミド基板、窒化アルミニウム基板、窒化ホウ素基板、窒化ケイ素基板、アルミナセラミックス基板、炭化ケイ素基板、ガラス基板、フレキシブルガラス基板、絶縁樹脂層を有するアルミニウム基板並びに/若しくは銅基板からなるハイブリッド基板からなる群から選択される少なくとも1種により形成されていても良い。樹脂部54は半導体発光装置1の発する光に対する反射率の高い白色ソルダーレジストを用いることが好ましく、また本発明のリフレクタと同様の組成の液状熱硬化性シリコーン組成物を用いて形成してもよい。
半導体発光装置1は、回路基板50のプリント配線部51,52に半田55によって固定され、外部電極と電気的に接続される。
なお、図2においては、一つの半導体発光装置1が回路基板50の露出部分に実装されている状態を示しているが、回路基板50に同様な露出部分を複数有し、それぞれに半導体発光装置1を実装することもできる。
【0106】
図3は、本発明の実施形態の一つである半導体発光装置1Aの実装状態を示す他の概略断面図である。
【0107】
図3において半導体発光装置1Aは、メタルベースである回路基板50と一体的に形成されており、リフレクタを接着した部分から内側が半導体発光装置部1Aとなっている。回路基板50はアルミニウムや銅などの金属を含むメタル基板53a上に絶縁層53bが形成されたベース基板53の上に、プリント配線部51,52が形成されてなり、プリント配線部51,52の一部が露出するように樹脂部54にて被覆されており、その露出部分に半導体発光素子1が載置される。
本図において回路基板50はメタルベース基板となっているが、図2の回路基板と同様にベース基板の材質はその他の材質であっても良い。また樹脂部54は半導体発光装置1Aの発する光に対する反射率の高い白色ソルダーレジストを用いることが好ましく、また本発明のリフレクタと同様の組成の液状熱硬化性シリコーン組成物を用いて形成してもよい。
本実施態様においては、発光素子1の発する熱が直接回路基板に伝わるため図2の態様と比較して放熱が良いという特徴がある。ベース基板の材質を高熱伝導性であるアルミニウムや銅などのメタルベース基板や、窒化アルミニウム基板、窒化ホウ素基板、窒化ケイ素基板、アルミナセラミックス基板、炭化ケイ素基板などのセラミックス基板としたり、発光素子1の直下にベース基板より放熱性の良い基台を設けた構造とすると、上記高放熱の特性がより一層生かされ、高輝度、長寿命の半導体発光装置とすることが出来る。
本実施形態においては広い回路基板上の一部に半導体発光装置部1Aを設けるため、リフレクタを回路基板と共に一体成形すると大型の金型が必要となり生産性が低い。本発明の後付けリフレクタを接着すれば、リフレクタのみ大量生産し回路基板の任意の位置に接着できるので、本実施形態においても生産性高く、デザイン変更など設計の自由度が高くなる利点がある。
なお、図3においては、一つの半導体発光装置1Aが回路基板50の露出部分に実装されている状態を示しているが、回路基板50に同様な露出部分を複数有し、それぞれに半導体発光装置1Aを実装することもできる。
【0108】
<6.後付リフレクタおよびの半導体発光装置用樹脂パッケージの製造方法>
本発明の半導体発光装置用後付リフレクタおよびの半導体発光装置用樹脂パッケージの液状射出成形による製造方法について説明する。
図4(a)〜(f)は、図1の実施形態に係る半導体発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【0109】
まず、第1の工程として、第1の金型100と第2の金型110とによりリフレクタに対応する液状熱硬化性シリコーン樹脂を射出する空間を形成する(図4(a)及び(b))。第1の金型100には、リフレクタ2の形状に対応する凹み100bが形成されている。
【0110】
次いで、第2の工程として、第1の金型100と第2の金型110との凹みにより形成される空間部分に射出成形機を用いて前述した液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物を注入・成形する(図4(c))。
【0111】
この工程では、液状の上記熱硬化性シリコーン樹脂組成物の供給はペール缶などの所定の容器から圧送する等の方法により行われる。熱硬化性シリコーン樹脂組成物は一液型、二液型を問わず、ペールポンプ(ドラムポンプ)を用いて計量プランジャ又は、計量スクリュー部へ組成物をいったん圧送し、次に予熱された金型内に計量プランジャ(又は計量スクリュー)から所定量射出される。二液型の場合には、一液型用のペールポンプ(ドラムポンプ)2台を同軸にしてプランジャを同時に操作させる方式や、油圧機構によってリンクさせ同時に操作させる方式などにより二成分を同時に計量し、混合装置を経由して計量プランジャ(又は計量スクリュー)より射出すればよい。計量誤差を低減させるため、二つの成分は容量比で1:1に近いことが好ましく、均一に混合するためにはそれぞれの粘度も同じ程度にすることが好ましい。
【0112】
ここで、第2の工程の射出成形圧力は10〜1200kg/cm2とすることが好ましい。射出成形圧力が10kg/cm2未満では、液状硬化性組成物の金型内での流れが遅く、硬化が先行して未充填(ショート)が発生する恐れがあり、1200kg/cm2を超えると液状硬化性組成物の流れが速すぎて薄肉部などに未充填が生じる充填むらが発生したり、残留応力により成形品が膨張し型離れが悪くなる恐れがある。
さらに液状射出成形機のシリンダー温度は0℃〜100℃であることが好ましい。シリンダー温度が0℃未満では、液状熱硬化性組成物に結露水が混入、凍結し除去できなくなる可能性があり、100℃を超えると液状熱硬化性組成物の硬化反応が過度に進行し、増粘する可能性がある。
【0113】
次いで、第3の工程として、第1の金型100と第2の金型110とを加熱して射出・注入された上記熱硬化性シリコーン樹脂組成物を硬化させることにより、リフレクタ2が得られる。なお、得られたリフレクタ2は、金型から取り出された後、個片化され、後述の半導体発光装置に供される。
【0114】
この加熱・硬化工程の温度や時間等の条件は、バリやショートモールドを低減し、離型をよくする観点からは、液状射出成形時の硬化温度及び時間がそれぞれ、120℃〜230℃及び3秒〜10分間であることが好ましい。必要に応じてポストキュアを行ってもよい。
液状射出成形時の硬化温度がこの範囲より高いと、樹脂の分解劣化や、硬化速度が速すぎることに起因する未充填を引き起こす可能性がある。また硬化温度がこの範囲より低いと、硬化に時間がかかり生産性が低下したり硬化不足により型離れが悪化したりする可能性がある。また、硬化時間は熱硬化性シリコーン樹脂組成物のゲル化速度や硬化速度に応じて適宜選択すればよいが、3秒以上10分以下が好ましく、より好ましくは5秒以上200秒以下、さらに好ましくは10秒以上60秒以下である。硬化時間が上記範囲より短いと硬化不足が生じ型離れが悪化する可能性がある。また、硬化時間が上記範囲より長いと生産性が低下し、液状射出成形の利点を生かせなくなる。
【0115】
次いで、第4の工程として、上記で得られたリフレクタ2を、第1のプリント配線部11と第2のプリント配線部12とを有する回路基板10に接着剤層30を介して貼付する(図4(d))。接着剤としては、変性シリコーン樹脂を使用することが好ましい。
【0116】
次に第5工程として、発光素子3を回路基板10の第1のプリント配線部11に載置し、ワイヤ5a,5bを介して発光素子3が持つ第1の電極3a、第2の電極3bをそれぞれ第1のプリント配線部11、第2のプリント配線部12に電気的に接続する。この電気的接続は、リフレクタの回路基板への貼付の前後どちらで行なっても良いが、通常は貼付後に行なわれる。
以上の工程により、図4(e)の形状のパッケージが形成される。必要に応じ、図4(f)のように発光素子3を載置する前または後に回路基板10部分をダイシング等により切断し、個片化をおこなってもよい。
【0117】
なお、発光素子3が上面と下面に電極を持つ場合は、発光素子3の下面にある第1の電極3aに関してはワイヤを用いず、ダイボンディングにて電気的接続を取ればよい。ここで、第1のプリント配線部11、第2のプリント配線部12に保護素子を載置する場合には、該載置工程を上記第5の工程の前又は後に行えばよい。
【0118】
次いで、第6の工程として、発光素子3が載置された回路基板10とリフレクタ2の壁部20で形成される凹部内に封止材用熱硬化性樹脂組成物を装入する。
【0119】
この封止材用熱硬化性樹脂組成物の装入は、滴下法や射出法、押出法などを用いることができるが、滴下法によることが好ましい。滴下することにより前記凹部内に残存する空気を効率的に排出することができるからである。白色LEDなど発光素子の発光波長を変換する必要がある場合には封止材用熱硬化性樹脂組成物は、蛍光体を含むものが好ましい。これにより半導体発光装置の色調調整を容易にすることができる。
【0120】
次いで、第7の工程として、封止材用熱硬化性樹脂組成物を加熱・硬化して、封止材4を成形する(図4(f))。
【0121】
このような手順により、量産性よく、耐熱性、耐光性、密着性等に優れた半導体発光装置を製造することができる。特に、壁部20の材質である熱硬化性シリコーン樹脂組成物と封止材4の材料である封止材用熱硬化性樹脂組成物とは、共に熱硬化性樹脂をベースとするため、密着性が良好で壁部20と封止材4との界面の剥離が生じにくく、耐熱性、耐光性、密着性等に優れた半導体発光装置を提供することができる。
【0122】
<7.後付リフレクタの個片化方法及び実装方法>
本発明のリフレクタの成形は従来行なわれている個別成形にて行うことができるが、複数のリフレクタが連結したものを成形した場合でも、切断予定箇所に切り込みを入れたり肉薄の部分を設けることにより、引っ張るだけで容易に切断分離することが出来る。
以下、リフレクタの成形を、複数のリフレクタを平面上に一体成形し、各リフレクタ間にプレカットラインを有するシート状リフレクタ成形体とする方法により行なった場合につき説明する。このシート状リフレクタ成形体は、次のように容易に個片化、整列化が可能であり、自動実装に適したリフレクタを提供することができる。
【0123】
図5は、本発明のリフレクタをシート状に成形したシート状リフレクタ成形体200の概念図(斜視図)である。シート状リフレクタ成形体200は、個片化前のリフレクターが連結した穴あきシートであり、複数のリフレクタがプレカットラインを介して平面状に連結した形状を有する。なお、プレカットライン201が成形時に形成されている。
このような成形体はランナーレス成形となり、成形用樹脂組成物の歩留まりが高くなるため、低コストでパッケージを生産することができる。
【0124】
図6は、図5のシート状リフレクタ成形体200の一部を抜き出し拡大したものである。図6(a)は、その斜視図であり、図6(b)は、その平面図である。図面から分かるように、個片化前のリフレクタがプレカットラインで残されたつながり面202によりシート状リフレクタ成形体を形成している。本発明の液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、成形時の樹脂の流れ性に優れ、薄いつながり部分(つながり面202)を介して、樹脂がショートすること無く成形できる特性を有している。
シート状リフレクタ成形体200は、個々のリフレクタに対応する壁部が、下部のプレカットライン(個片化用に付与した切り込みや肉薄の部分)以下のつながり面により連結した構造となっている。個々のリフレクタはパッケージ凹部に対応する上下に貫通した開口を有し、該開口は上面に向かうほど広口となっており、個々のリフレクタの壁部外側はシートのつながり面に対して直角でもよいが、端部に向けて厚さが減少するテーパー(傾斜)形状を有していることが好ましい。これにより得られる半導体発光装置の光の取り出し効率が向上し、また液状射出成形時の金型離型性が改善される。成形体用樹脂組成物はシート状リフレクタ成形体のつながり面側から金型に導入され、つながり面を通じて個々のリフレクタ部分に行きわたり充填される。本発明の成形体用樹脂材料は、狭い空間でも流れが良く、つながり面を通じてショート無く樹脂をシート全体に行き渡らせることができる。
つながり面には、必要に応じて、図示するような浅い切り込みまたは肉薄部を設ける。
本発明の樹脂組成物成形体からなるシート状リフレクタ成形体は、引張ることにより切断予定箇所から簡単に個片化が可能であり、ダイサーなどの高価な専用治具を必要としないという利点を有し、且つ切断時に粉くずや破片が出ることが無く、切断面が滑らかであるという特性を有する。
【0125】
図7(a)〜(d)は、シート状リフレクタ成形体200からリフレクタを個片化、整列化するための一態様を示したものである。
【0126】
まず第一の工程として、液状射出成形により、図5のようなシート状リフレクタを成形する。シート状リフレクタには前述のプレカットライン及び上下に貫通した開口が形成されている(図7(a))。
【0127】
次いで、第二の工程として、粘着性接着剤を介してシート状リフレクタ成形体を柔軟性と伸び特性のある樹脂製シート(エクスパンドシート)に貼り付ける(図7(b))。
【0128】
第三の工程として、このシートを縦横に引張ることにより、シート状リフレクタ成形体がプレカットラインで分離され、整列状態で個片化する。(図7(c))。
【0129】
第四の工程として、この整列状態のリフレクタを画像認識装置により自動ピックアップし、吸着コレット等でCOB配線基板の所定位置に搬送し、接着剤を介し配線基板の所定の位置に貼り付ける(図7(d))。
【0130】
エクスパンドシートの基材は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、無延伸ポリオレフィン、などの伸び特性のあるフィルムが好ましい。エクスパンドシート上にリフレクタを貼り付ける粘着性接着剤層はエクスパンドシート上に塗布されていても良く、シート状リフレクタの裏面に塗布されていても良いが、エクスパンドシートから個片化済みリフレクタをピックアップする際にはリフレクタの裏面に存在し、リフレクタを配線基板に配置し接着する際には熱硬化性接着剤として挙動するものが好ましい。
【0131】
本発明のリフレクタはシリコーン樹脂組成物であるので、粘着性接着剤としてはシリコーン樹脂への接着性に優れ高温耐久性を併せ持つ変性シリコーン樹脂を主成分とする組成物であることが好ましく、適度な粘着性を発現するために必要に応じてシリコーン生ゴム(分子量が数十万以上のジメチルシリコーン)やM/Q比が0.7〜1.0のMQレジン(M:1官能ケイ素単位、Q:4官能ケイ素単位、からなる部分的に架橋したシリコーンポリマー)と呼ばれる成分を含有することができる。変性シリコーン樹脂の接着性官能基としては接着力を調整するためにエポキシ基、アクリル基、メタクリル基、イソシアヌル基、アルコキシ基、水酸基などの接着性基を適宜有していて良い。水酸基やアルコキシ基などの縮合性官能基を有する場合には縮合型触媒を微量添加しても良い。リフレクタと配線基板を接着する際の粘着性接着剤の硬化機構は熱硬化型が好ましく、触媒被毒の起きにくい過酸化物硬化型や脱離する成分が少なく高速硬化可能な付加硬化型が特に好ましい。 また、複数の硬化機構が共存していても良い。過酸化物硬化型は付加硬化型と比較して硬化にやや高温と時間を要するため、接着対象の配線基板が樹脂基材である場合には付加硬化型が好ましい。エクスパンドシートの表面は、ピックアップ時の剥離容易とするために必要に応じて剥離剤層を有していても良い。
【0132】
また、エクスパンドシート上にリフレクタを固定する粘着性接着剤とは別に、配線基板上にリフレクタを接着する接着剤を塗布することも出来る。この場合にはエクスパンドシートからの個片化済みリフレクタピックアップを容易とするために、粘着性接着剤を紫外線照射により粘着性低減できるUV硬化型アクリルシリコーン系としても良い。
前記の各接着剤層は、塗布により設けることもできるが、両面テープなどの形で所定の位置に配置されていても良い。
【0133】
従来の成形体用樹脂組成物により成形される後付けリフレクタは、個片化、及び整列の煩雑さが課題であったが、上記の方法により容易に個片化、整列を行うことができる。本発明において、配線基板に接着する前の個片化済みリフレクタは、前記エクスパンドシートに整列した状態でユーザーに提供されても良く、テープリールとして提供されても良い。
【実施例】
【0134】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0135】
実施例1として、壁部を構成する樹脂成形体用樹脂として後述する液状熱硬化性ポリオルガノシロキサン(1)を用いた熱硬化性シリコーン樹脂組成物を使用し、半導体発光装置用樹脂パッケージに対応する評価を実施するため各試験片を成形した。
また、比較例1として、ポリフタルアミド樹脂組成物(チタニア系顔料、ガラス繊維を含有)である、ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製アモデルA4122を用いて製造された市販品のパッケージ及び試験片を使用した。
また、比較例2として、高架橋度シリコーン樹脂組成物(チタニア系顔料、球状シリカを含有)である市販品のパッケージ及び試験片を使用した。
それぞれの材料及び得られた組成物の物性を測定すると共に各試験片を用いて、反射率を比較した。
【0136】
[1.液状熱硬化性ポリオルガノシロキサン(1)の製造]
ビニル基含有ポリジメチルシロキサン組成物(ビニル基:0.3mmol/g含有、粘度3500mPa・s、白金錯体触媒8ppm含有)と、ヒドロシリル基含有ポリジメチルシロキサン組成物(ビニル基:0.1mmol/g含有、ヒドロシリル基:4.6mmol/g含有、粘度600mPa・s)と、硬化遅延成分((D)硬化速度制御剤)含有ポリジメチルシロキサン(ビニル基:0.2mmol/g含有、ヒドロシリル基:0.1mmol/g含有、アルキニル基:0.2mmol/g含有、500mPa・s)とを、100:10:5で混合し、(C)硬化触媒として白金濃度7ppmを含有する液状熱硬化性ポリオルガノシロキサン(1)を得た。
なお、この液状熱硬化性ポリオルガノシロキサン(1)の屈折率は、1.41であった。
【0137】
[2.樹脂成形体用材料の調製、反射率測定用試験片の作製]
<実施例1>
(A)上記で得られた室温(25℃)で液状の熱硬化性ポリオルガノシロキサン(1)60重量部、(B)白色顔料として一次粒子径0.3μm、二次粒子の中心粒径D501.2μm、アスペクト比1.48のα結晶形破砕状アルミナを35重量部、(E)流動性調整剤として一次粒子径12nmのシリカ微粒子(比表面積140m2/g、トリメチルシリル基表面処理)を5重量部の割合で配合し、自転公転式ミキサーを用いた攪拌により白色顔料とシリカ微粒子を前記(1)に分散させ、白色の樹脂成形体用材料を得た。これらの材料を、熱プレス機にて180℃、10kg/cm2、硬化時間240秒の条件で硬化させ、直径13mm、厚さ0.4mmの実施例1の円形の試験片(テストピース)を得た。
<比較例1>
比較例1のポリフタルアミド樹脂については、ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製アモデルA4122の2mm厚のテストパネルを約10mm角の大きさに切り出したものを、試験片(テストピース)とした。
<比較例2>
比較例2の室温(25℃)で固体の高架橋度シリコーン樹脂については、2官能ケイ素単位:3官能ケイ素単位の比が1:3である縮合硬化型のシラノール含有メチルシリコーン樹脂44重量部、数μm〜100μm径の球状シリカ42重量部、白色顔料として平均粒子径0.4μmのチタニア13重量部、触媒量のアルミニウムトリアセチルアセトネートを自転公転式ミキサーにて分散させ、白色の樹脂成形体用材料を得た。この材料を、トランスファー成形機にて175℃,70kg/cm2、成形時間180秒の条件で硬化させ、厚さ550μm、10mm角の試験片を得た。
【0138】
[3.白色顔料の一次粒子径、および一次粒子のアスペクト比の測定方法]
実施例で用いた白色顔料(アルミナ粉体)のSEM観察により一次粒子径を計測した。粒子径にばらつきがある場合は、数点(例えば10点)をSEM観察し、その平均値を粒子径としてもとめた。特にばらつきが大きく、例えば、極微量含まれる微小粒子や粗大粒子を除き、小粒径と大粒径の差が5倍程度以上あるような場合には、その最大値および最小値を記録した。また、長軸長さ(最大長径)と短軸長さ(長径に垂直方向で最も長い部分の長さ)も計測し、一次粒子径については長軸の長さを採用し、長軸長さ(最大長径)を短軸長さ(長径に垂直方向で最も長い部分の長さ)で除した値をアスペクト比とした。
【0139】
[4.白色顔料の二次粒子の中心粒径D50の測定方法]
10〜20mgの白色顔料(アルミナ粉体)に0.2%のポリリン酸ナトリウム水溶液10gを加え、超音波振動でアルミナを分散させた。この分散液を用いて白色顔料の二次粒子の体積基準の中心粒径D50を日機装株式会社製 マイクロトラックMT3000IIにて測定した。なお、中心粒径D50は、積算%の体積基準粒度分布曲線が50%の横軸と交差するポイントの粒子径をいう。
【0140】
[5.試験片の反射率測定]
上記実施例1および比較例1の各試験片について、コニカミノルタ社製SPECTROPHOTOMETER CM−2600dを用いて測定径6mmにて360nmから740nmの波長における反射率を測定した。プリント配線部用金属材料(銀メッキ)の反射率の値と合わせて、測定結果を表1に示す。本発明の樹脂成形体用材料は、従来のパッケージ材であるポリフタルアミド樹脂やチタニアのみを反射材としたシリコーン樹脂、LED用に多用される銀メッキよりもバインダとして用いている樹脂及び反射材フィラーの種類・粒子径に由来し反射率が高いため、長期使用時に着色劣化しやすい銀メッキ表面の電極露出面積を少なくすることが可能である。
実施例1の試験片を液体窒素で凍結した状態でミクロトームにより切削し、パッケージ断面のSEM観察を行った。断面に露出したアルミナの一次粒子径は0.3μm、一次粒子のアスペクト比は1.48であった。
【0141】
【表1】

【0142】
[6.樹脂成形体用材料の粘度測定]
実施例1の樹脂成形体用材料について、レオメトリクス社製RMS−800にてパラレルプレートを用い、測定温度25℃で粘度測定を行った。
その結果を表2に示す。実施例1の材料は、25℃における剪断速度1s-1および100s-1での粘度、並びにその傾きが樹脂成形体の液状射出成形に適していることがわかる。
【0143】
【表2】

【0144】
[7.後付リフレクタの液状射出成形]
実施例1の樹脂成形体用材料を用いて液状射出成形により半導体発光装置用後付リフレクタを成形することができる。なお、成形は金型温度170℃、硬化時間20秒の条件で行う。
【0145】
[8.ショアD硬さ測定]
上記樹脂成形体1の各試験片(厚さ3mm)を、200℃の恒温器で10分間以上ポストキュアした後、試験片2枚を重ね、ゴム・プラスチック硬度計KORI Durometer KR−25Dを用いて、JIS K6253に従い、試験片の中心付近のショアD硬度を測定した。比較例1、2の試験片についても同様に測定を行った。
【0146】
【表3】

【0147】
表3に示す通り、実施例1の試料は従来のパッケージ用樹脂成形体と比較して、柔らかい性質を有する。測定後に傷や瘢痕がのこることも無く、応力を受けた部分の形状は復元した。一方、比較例2の試料は、硬いがもろく、硬度測定により試料が割れた。
【0148】
[9.樹脂成形体の個片化試験]
実施例1、比較例1、比較例2の反射率測定用サンプルと同様の試料を準備し、樹脂成形体試料の端から端までカッターナイフで直線状の切り込みを入れ、つながり部分の厚さが0.5mmの試料を得た。この試料について、90度折り曲げ、及び180度方向への引っ張り試験を実施し、個片化できるかどうかを調べた。結果を表4に示す
【0149】
【表4】

【0150】
表に示す通り、比較例1や比較例2の従来パッケージ用成形体と比較して、実施例1の試料はダイサー等の機器を用いなくても引っ張りのみでプレカットラインに応じて容易に個片化することが出来た。実施例1については、液状射出成形にて成形した試料においても同様に容易に個片化することが出来た。
【0151】
[10.封止材の製造]
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を385g、メチルトリメトキシシランを10.28g、及び、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末0.791gを、攪拌翼と、分留管、ジムロートコンデンサ及びリービッヒコンデンサとを取り付けた500ml三つ口フラスコ中に計量し、室温にて15分間触媒の粗大粒子が溶解するまで攪拌した。この後、反応液を100℃まで昇温して触媒を完全溶解し、ジムロートコンデンサを用いて100℃全還流下で30分間500rpmで攪拌しつつ初期加水分解を行った。
【0152】
続いて留出ラインをリービッヒコンデンサ側に切り替えて、窒素をSV20で液中に吹き込み生成メタノール及び水分、副生する低沸点ケイ素化合物を窒素に随伴させて留去しつつ100℃、500rpmにて1時間攪拌した。窒素をSV20で液中に吹き込みながらさらに130℃に昇温、保持しつつ5時間重合反応を継続し、粘度120mPa・sの反応液を得た。なお、「SV」は「Space Velocity」の略称であり、単位時間当たりの窒素吹き込み体積比(対反応液体積)を指す。
窒素の吹き込みを停止し反応液をいったん室温まで冷却した後、ナス型フラスコに反応液を移し、ロータリーエバポレーターを用いてオイルバス上120℃、圧力1kPaで50分間、微量に残留しているメタノール及び水分、低沸点ケイ素化合物を留去し、粘度230mPa・s、屈折率1.41の無溶剤の封止材液を得た。
【0153】
[11.発光装置の製造]
[11−1.発光装置の組み立て]
実施例1及び比較例1、2の個片化済みリフレクタをアクリルシリコーン系接着剤で発光素子を搭載する正負のリードを有するチップオンボード型配線基板に接着する。さらに次のようにして各々3種の発光装置を組み立てる。360nm、406nm、460nmの発光波長を有する半導体発光素子1個(定格電流20mA)をパッケージの凹部に露出している第1のプリント配線部上の所定位置にシリコーンダイボンド材(信越化学工業(株)製 KER−3000−M2)を介して設置した後、該シリコーンダイボンド材を100℃で1時間、さらに150℃で2時間硬化させる。こうして半導体発光素子をパッケージ上に搭載した後、金線で該パッケージのプリント配線部と半導体発光素子を接続する。
【0154】
[11−2.半導体発光素子の封止]
11−1にて製造した発光装置のパッケージ凹部へ、開口部上縁と同じ高さになるように前述の封止材を滴下した後、恒温器にて90℃×2時間、次いで110℃×1時間、150℃×3時間の加熱硬化を行い半導体発光素子を透明(クリア)封止し、実施例1、比較例1のパッケージ各々について360nm、406nm、460nmの発光素子を有する3種の半導体発光装置を得る。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明によれば、屋内外の照明器具、ディスプレイ、携帯電話や液晶テレビ、デジタルサイネージなどのバックライト、カメラのフラッシュライト、前照灯などの車載照明、検査用や医療用の照明、植物工場などの各種照明用光源として好適に利用することができる、半導体発光装置が提供される。
【符号の説明】
【0156】
1,1A 半導体発光装置
2 リフレクタ
3 発光素子
3a 第1の電極
3b 第2の電極
4 封止材
5a,5b ワイヤ
10 回路基板
10a (凹部の)底面
11 第1のプリント配線部
11a 第1の外部端子部
12 第2のプリント配線部
12a 第2の外部端子部
13 ベース基板
20 (リフレクタの)壁部
20a (凹部の)側面
20b 側面末端部
30 接着剤層
50 回路基板
51,52 プリント配線部
53 (メタル)ベース基板
53a メタル基板
53b 絶縁層
54 樹脂部
55 半田
100 第1の金型
100a 凸部
100b 凹部
100c 平坦部
110 第2の金型
200 シート状リフレクタ成形体
201 プレカットライン
202 つながり面
300 エクスパンドシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光装置用の後付リフレクタであって、
前記リフレクタは、液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物を液状射出成形することによって得られたシリコーン樹脂成形体からなり、
かつ前記樹脂成形体が、厚さ0.4mmの成形体試料について波長460nmの条件で測定した光反射率が80%以上となる樹脂成形体であることを特徴とする半導体発光装置用後付リフレクタ。
【請求項2】
前記樹脂成形体のショアD硬度が、30以上80以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体発光装置用後付リフレクタ。
【請求項3】
前記液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物が、(A)ポリオルガノシロキサン、(B)一次粒子のアスペクト比が1.2以上4.0以下、一次粒子径が0.1μm以上2.0μm以下の白色顔料、および(C)硬化触媒を含有する組成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体発光装置用後付リフレクタ。
【請求項4】
前記液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物の25℃における剪断速度100s-1での粘度が、10Pa・s以上10000Pa・s以下の範囲にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体発光装置用後付リフレクタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体発光装置用後付リフレクタの製造方法であって、
前記リフレクタに相当する凹みを有する、第1の金型と第2の金型との間に形成される空間部分に、液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物を液状射出成形法により充填する工程、
充填された熱硬化性シリコーン樹脂組成物を加熱して硬化する工程、
を少なくとも有することを特徴とする半導体発光装置用後付リフレクタの製造方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体発光装置用後付リフレクタの製造方法であって、
液状熱硬化性シリコーン樹脂組成物を用いた液状射出成形法により、複数のリフレクタがプレカットラインを介して平面状に連結した形状のシート状リフレクタ成形体を得た後、該リフレクタを個片化する工程を有することを特徴とする半導体発光装置用後付リフレクタの製造方法。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体発光装置用後付リフレクタを、接着剤層を介して半導体発光素子を載置するための回路基板に貼付してなることを特徴とする半導体発光装置用樹脂パッケージ。
【請求項8】
前記接着剤が、変性シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の半導体発光装置用樹脂パッケージ。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の半導体発光装置用樹脂パッケージと、半導体発光素子と、該半導体発光素子を被覆する封止材とを少なくとも有してなり、
前記半導体発光素子は、前記半導体発光装置用樹脂パッケージの回路基板と電気的に接続されていることを特徴とする半導体発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−4923(P2013−4923A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137727(P2011−137727)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】