説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】接合材を介した金属接続板の接合の良否の確認を容易にすることができる半導体装置およびその製造方法を提供する
【解決手段】半導体装置10は、半導体素子12と、半導体素子12が実装されるアイランド14と、金属接続板16を介して半導体素子12と電気的に接続されたリード20と、半導体素子12等を封止する封止樹脂38とを主要に有する構成となっている。そして、金属接続板16の端部には凹部28が設けられ、この凹部28から露出する接合材31の存在の有無を確認することによって、接続の良否が判定可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置およびその製造方法に関し、特に、金属接続板(クリップ)により半導体素子の電極とリードとが接続される半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図6を参照して、従来型の回路装置100の構成について説明する。図6(A)は回路装置100の平面図であり、図6(B)はその断面図である(特許文献1)。
【0003】
図6(A)および図6(B)を参照して、回路装置100の中央部には導電材料から成るランド102が形成され、ランド102の周囲には多数個のリード101の一端が接近している。リード101の一端は金属細線105を介して半導体素子104と電気的に接続され、他端は封止樹脂103から露出している。封止樹脂103は、半導体素子104、ランド102およびリード101を封止して一体に支持する働きを有する。
【0004】
回路装置100の製造方法は次の通りである。先ず、厚みが0.5mm程度の金属板を打ち抜き加工することで、リード101およびランド102を形成する。次に、ランド102の上面に半導体素子104を固着した後に、半導体素子104の上面に配置された電極とリード101とを金属細線105を用いて電気的に接続する。更に、トランスファーモールドを行うことで、半導体素子104、ランド102、リード101および金属細線105を封止樹脂103により被覆する。また、外部端子として機能する部分のリード101は封止樹脂103から露出させる。
【特許文献1】特開平11−340257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した構成の回路装置100では、金属細線105を経由して半導体素子104とリード101とが接続されるため、金属細線105の抵抗値の大きさがネックとなり、オン抵抗が増加してしまう問題があった。更に、半導体素子104の1つの電極に複数の金属細線105を接続すると、その抵抗値を小さくすることができるが、1つの電極に接続することができる金属細線の数には限りがあるので、飛躍的にオン抵抗を低減させることが困難であった。
【0006】
また、一方が半導体素子104の電極に接続されて他方がリード101の上面に固着される一枚の金属板から成る金属接続板を使用すると、金属接続板は金属細線よりは断面積が大きいので、上記した抵抗値を小さくすることができる。しかしながら、金属接続板は、半田等の導電性の接合材を介して半導体素子104の上面やリード101の上面に接合させる必要がある。このことから、金属接続板の下面に付着される接合材による接続の良否を視覚的に確認することが非常に困難であった。
【0007】
本発明は、上述した問題を鑑みて成されたものである。本発明の主な目的は、接合材を介した金属接続板の接合の良否の確認を容易にすることができる半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子が上面に固着されるアイランドと、前記半導体素子と電気的に接続されるリードと、前記半導体素子の上面に形成された電極と接続される第1接続部および前記リードと接続される第2接続部を有する金属接続板とを具備し、接合材を介して前記リードに接合される前記金属接続板の前記第2接続部を部分的に窪ませて凹部を設けることを特徴とする。
【0009】
本発明の半導体装置の製造方法は、アイランドの上面に固着された半導体素子および前記アイランドに一端が接近するリードを用意する第1工程と、前記半導体素子の上面に設けられた電極に金属接続板の第1接続部を接続し、前記リードの上面に接合材を介して前記金属接続板の第2接続部を接続し、前記半導体素子と前記リードとを電気的に接続する第2工程と、を具備し、前記第2工程では、前記金属接続板の前記第2接続部を部分的に窪ませた凹部から、前記リードに塗布された前記接合材の一部を露出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の半導体装置およびその製造方法によれば、金属接続板の一部を内側に窪ませて凹部を設け、この凹部から接合材の有無を視覚的に確認することによって、接続の良否が判定できる。従って、半田等の接合材を介して金属接続板が良好に接続されたか否かを容易に且つ視覚的に確認することができる。
【0011】
更に、金属接続板に凹部を設けることにより、剰余の接合材をこの凹部に収納できるので、余分な接合材がリードの上面から外部に漏出することが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1および図2を参照して、半導体装置10の構成を説明する。
【0013】
図1(A)は半導体装置10の斜視図であり、図1(B)は平面図であり、図1(C)は断面図である。
【0014】
図1(A)を参照して、半導体装置10は、半導体素子12と、半導体素子12が実装されるアイランド14と、金属接続板16を介して半導体素子12と電気的に接続されたリード20と、半導体素子12等を封止する封止樹脂38とを主要に有する構成となっている。ここでは、複数のリード20A、20B等をリード20と総称する。半導体素子12としては、MOSFET(Metal−Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、バイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等を採用可能である。例えば、半導体素子12としてMOSFETが採用されると、半導体素子12の上面にゲート電極(電極34:図1(B)参照)およびソース電極(電極36:図1(B)参照)が設けられ、下面にドレイン電極が設けられる。また、半導体素子12としてバイポーラトランジスタが採用されると、半導体素子12の上面にベース電極(電極34:図1(B)参照)およびエミッタ電極(電極36:図1(B)参照)が設けられ、下面にコレクタ電極が設けられる。
【0015】
図1(B)を参照して、半導体素子12の上面に形成された2つの電極は、各々が金属接続板16または金属細線18を経由してリードと接続される。具体的には、電極36は金属接続板16を経由して、リード20G、20F、20Eの接続部26に接続される。一方、電極34は、直径が数十μm程度のアルミニウムまたは金から成る金属細線18を経由して、リード20Hの接続部24と接続される。ここで、主電流が通過するソース電極である電極36は、制御用の電極である電極34よりも面積が広く形成されている。
【0016】
また、半導体素子12として、上面に多数の電極が設けられたLSIが採用されても良い。この場合は、LSIの電極に対応した数のリード20が設けられ、各々の電極とリード20とが金属細線18と接続される。更に、他の電極よりも通過する電流の電流値が大きい電極は、上記した金属接続板16を経由してリードと接続される。更に、LSIの裏面は、導電性または絶縁性の接合材を介してアイランド14の上面に固着される。
【0017】
アイランド14は、厚みが0.5mm程度の導電箔をエッチング加工または打ち抜き加工することで形成される。アイランド14の平面的な大きさは、上面に実装される半導体素子12よりも若干大きい程度である。例えば、半導体素子12の平面的なサイズが5.0mm×5.0mmの場合は、アイランド14の平面的なサイズは5.5mm×5.5mm程度である。更に、アイランド14の上側辺および下側辺の中間部からは、吊りリード22が封止樹脂38の側面まで延在している。この吊りリード22は、半導体装置製造工程にて、アイランド14を安定して固定するために設けられるものである。しかしながら、この吊りリード22を、他のリード20A等と同様の構成にして用いても良い。
【0018】
リード20A等は、アイランド14と同様の方法により形成され、一端がアイランド14の近傍に位置し、他端が封止樹脂38から外部に露出している。封止樹脂38から露出する部分のリード20A等はガルウイング状に折り曲げ加工され、リード20A等の外側の端部の下面は、封止樹脂38の下面と同一平面上に位置している。
【0019】
図1(B)を参照して、半導体装置10では、装置全体を一体的に封止する四角形状の封止樹脂38の両側辺から複数のリード20A等が外部に導出されている。具体的には、封止樹脂38の左側の側辺から、4つのリード(リード20D、リード20C、リード、20B、リード20A)の左側の端部が外部に導出している。そして、これらのリード20D等の右側の端部は、アイランド14に連続している。一方、封止樹脂38の右側の側辺からも、4つのリード(リード20H、リード20G、リード20F、リード20E)の左側の端部が外部に露出している。そして、リード20Hの左側の端部は、他の部分よりも幅広に形成された接続部24であり、この接続部24の上面に金属細線18がボンディングされている。また、他のリード(リード20G、リード20F、リード20E)の左側の端部は、一体的に接続部26と連続している。この接続部26の上面に金属接続板16が接続される。ここで、接続部24および接続部26と、アイランド14とは、同一平面上に配置されても良いし、アイランド14の方が接続部24等よりも上方に配置されても良いし下方に配置されても良い。
【0020】
封止樹脂38は、トランスファーモールドにより形成される熱硬化性樹脂またはインジェクションモールドにより形成される熱可塑性樹脂からなり、リード20A等の一部、アイランド14、半導体素子12、金属細線18、金属接続板16を被覆して一体的に支持している。ここで、酸化金属等から成る粒子状のフィラーが混入された上記樹脂材料を封止樹脂38の材料として採用しても良い。
【0021】
図1(A)および図1(B)を参照して、金属接続板16の左側の端部は半導体素子12の上面に設けられた電極36に接続され、右側の端部はリード20Gに連続する接続部26の上面に固着されている。金属接続板16の左側の端部の下面は、接合材32を介して、半導体素子12の上面に接合されて電気的に接続されている。接合材32としては、銅などから成る金属粉が混入された樹脂材料から成る導電性ペーストや半田が採用される。ここでは、半導体素子12の上面に設けられた電極36が全面的に接続されるように、金属接続板16が配置されている。一方、金属接続板16の右側の端部は、リード20G等の一部である接続部26の上面に接合材31を介して接合されて電気的に接続される。ここで、接合材31としては、上記した接合材32と同じ材料が採用される。また、金属接続板16の中間部は、曲折加工が施されて一部は両端部よりも上方に位置しており、半導体素子12の上面から離間されている。この様にすることで、半導体素子12の上面の端部と金属接続板16の中間部とが接触してショートすることが防止される。
【0022】
図2を参照して、半導体素子12の接続に使用される金属接続板16の構成を更に説明する。図2(A)は図1(B)の平面図を部分的に抜き出して拡大した図であり、図2(B)は金属接続板16の断面図である。
【0023】
図2(A)を参照して、金属接続板16は、半導体素子12の上面に設けられた電極36と接続される第1接続部と、リードの接続部26と接続される第2接続部42と、第1接続部40と第2接続部42とを連続させる中間部44とを備えた構成となっている。そして、金属接続板16の平面的な概略的形状は、第1接続部40が四角形形状(より具体的には正方形形状)であり、第1接続部40の右側の側辺の下部が右側に突出した形状を呈している。そして、この突出する部位の右側の先端部が第2接続部42と成っている。また、金属接続板16は、厚みが0.1mm〜0.5mm程度のアルミニウムまたは銅を主体とする一枚の金属板を所定の平面的形状に成形した後に、折り曲げ加工することで得られる。
【0024】
第2接続部42の先端部を内側に窪ませることにより凹部28が形成されている。ここでは、第2接続部42の先端部を、湾曲を呈するように切り欠くことで凹部28が形成されている。そして、本実施の形態では、凹部28の内側に対応する領域の接続部26の上面に接合材31を露出させている。
【0025】
本実施の形態では、金属接続板16の先端部に凹部28を設けることにより、接合材31による金属接続板16と接続部26との接続の良否を視覚的に且つ容易に確認することができる。具体的には、例えば接合材31として半田が採用された場合は、次の方法により金属接続板16の第2接続部42は、接続部26に接合される。即ち、接続部26の上面に半田ペーストを塗布し、塗布された半田ペーストの上面に金属接続板16の第2接続部42を載置し、更に、半田ペーストを加熱溶融して半田(接合材31)とすることにより、金属接続板16の第2接続部42は接続部26に電気的に接続される。そして、両者を接続するために必要とされる半田が十分に存在したら、半田である接合材31は凹部28の内側の領域まで延在する。一方、接合材31の量が不十分であれば、凹部28の内側に接合材31は存在しない。更に、凹部28の内側の領域は、半導体素子の上方から目視確認できるので、極めて容易且つ確実に、金属接続板16による接合の良否判定を行うことができる。
【0026】
更に、比較的多量の接合材31が接続部26に塗布されたとしても、金属接続板16の第2接続部42の下面と接続部26の上面との間から外側にはみ出した接合材31は、凹部28に収納される。従って、はみ出した接合材31の外部への流出が防止されるので、不良品の発生が抑制され、結果的に歩溜まりが向上される。
【0027】
上記した技術事項は、導電性ペーストが接合材31として採用されても同様である。
【0028】
開口部30は、金属接続板16を部分的に開口(貫通)させた部位であり、具体的には、金属接続板16の中間部44を開口することで開口部30が設けられている。そして、金属接続板16の第1接続部と半導体素子12の電極36とを接合させる接合材32が、開口部30に露出している。この開口部30の役割は、上述した凹部28と同様である。即ち、必要十分な量の接合材31(半田または導電性ペースト)が半導体素子12の電極36と第1接続部40との間に供給されると、両者の間から接合材31が開口部30の左側端部にはみ出す。また、開口部30の左側端部は、第1接続部40と同一平面上の中間部44に設けられているので、開口部30は、剰余の接合材32が移動しやすい環境である。そして、開口部30にはみ出した接合材32が視覚的に確認できたら、接合材31による金属接続板16の第1接続部40と半導体素子12の電極36との接合は良となる。一方、接合材32が開口部30から目視的に確認できなければ、この接続は不十分であると判定される。更にこの開口部30は、剰余の接合材32を貯留(収納)させて、接合材32の外側への流出を防止する機能も有する。
【0029】
更に、金属接続板16の第1接続部40の上面には、認識マーク48が形成されている。この認識マーク48は刻印または印刷により形成され、図示した略十字型または略卍型の形状以外の形状でも採用可能であり、金属接続板16の平面的な位置および角度が確認できる形状であればよい。本実施の形態では、上記したように、金属接続板16の凹部28や開口部30から接合材32をはみ出させている。そして、金属接続板16の材料は金属であり、更に接合材31の材料も金属である。従って、両者の境界線を視覚的に抽出するのは困難であるので、金属接続板16の平面的な位置を、金属接続板16の外形形状を利用して行うことは容易ではない。そこでここでは、金属接続板16の上面に認識マーク48を形成し、この認識マーク48の位置を確認することにより、金属接続板16が平面的に所定の位置に固着されたか否かを確認している。
【0030】
ここで、上記では、所謂リードフレーム型の半導体装置10を例に構造を説明したが、他の形態の半導体装置に上記した本実施の形態を適用させることもできる。例えば、導電パターンと、導電パターンに実装された半導体素子と、導電パターンと半導体素子とを接続させる金属接続板と、導電パターンの下面を露出させた状態でこれらの構成要素を被覆する封止樹脂とを具備する半導体装置に上記構造を適用させることができる。
【0031】
更には、上面が絶縁層により被覆された金属基板と、絶縁層上に形成された導電パターンと、導電パターンに実装された半導体素子と、半導体素子と導電パターンとを接続させる金属接続板とを具備する回路装置(混成集積回路装置)に、上記構造を適用させることもできる。
【0032】
図3から図5を参照して、次に、上記した構成の半導体装置10の製造方法を説明する。なお、以下に於いて、上記した構造の説明と重複する部分は省略する場合もある。
【0033】
先ず、図3を参照して、リードフレーム50を加工することにより、複数のユニット54を設ける。図3(A)はリードフレーム50全体を示す平面図であり、図3(B)は1つのユニット54を斜め上方から見た斜視図である。
【0034】
図3(A)を参照して、厚みが例えば0.5mm程度の導電箔に対して、プレス加工やエッチングを行うことで、数個〜数百個のユニット54が外枠52の内部に設けられたリードフレーム50を形成する。ここでユニットとは、1つの半導体装置を構成する要素単位のことである。この図では、額縁状の外枠52と連結された7個のユニット54が図示されているが、外枠52の内部にマトリックス状に多数個のユニット54が設けられても良い。
【0035】
リードフレーム50を所定の形状に成形するための加工方法としては、プレス加工またはエッチング加工が考えられるが、プレス加工の方が容易であり低コストで行えるので好適である。リードフレーム50の材料としては、銅または鉄を主材料とする金属や合金が採用される。
【0036】
更に、図3(A)のユニット54を参照すると、上側および下側の外枠52から複数のリードが内部に連続して延在している。そして、各ユニット54の両側には、外枠52から上下方向に延在する細長い連結部46が設けられ、アイランド14の両側は吊りリード22を経由して(図3(B)参照)連結部46と接続されている。
【0037】
図3(B)を参照して、ユニット54は、アイランド14およびリード20を具備している。この構造は、図1を参照して説明したとおりである。具体的には、中央部に四角形状のアイランド14が配置されている。そして、アイランド14の左側側辺から連続して外側に4本のリード(リード20A、リード20B、リード20C、リード20D)が延在している。更に、アイランド14の右側には、4本のリード(リード20E、リード20F、リード20G、リード20H)が配置されている。そして、リード20E、20F、20Gの左側の端部は接続部26に連続している。また、リード20Hの左側の端部は、幅広の接続部24として形成されている。
【0038】
図4(A)および図4(B)を参照して、次に、各ユニット54の上面に半導体素子12を固着する。半導体素子12の固着は、半田等の導電性接合材またはエポキシ樹脂等の絶縁性接合材を介して行われる。また、共晶結合により半導体素子12の裏面がアイランド14の上面に固着されても良い。ここで、半導体素子12としては、上記したように、MOSFET、バイポーラトランジスタ、IGBT、IC、LSI、ダイオード等が採用できる。本工程では、リードフレーム50の全てのユニット54に対して、一括して半導体素子12のダイボンディングが行われる。
【0039】
図5(A)、図5(B)および図5(C)を参照して、次に、各ユニット54に於いて、半導体素子12の上面に設けられた電極とリードとを電気的に接続する。図5(A)は本工程に於けるリードフレーム50を示す平面図であり、図5(B)は1つのユニット54を示す斜視図であり、図5(C)はユニット54を拡大して示す平面図である。
【0040】
図5(A)を参照して、本工程では、リードフレーム50の各ユニット54に於いて、半導体素子12の電極とリードとを、金属細線18および金属接続板16を使用して電気的に接続する。
【0041】
図5(B)を参照して、半導体素子12の上面の電極34(例えばゲート電極)は、直径が数十μm程度のアルミニウムまたは金から成る金属細線18を経由して、リード20Hの端部に形成された接続部24の上面と接続される。
【0042】
一方、金属接続板16の左側の端部は、半導体素子12の上面に形成された電極36(例えばソース電極)に接続され、右側の端部がリード20E等の一部である接続部26の上面に接続される。金属接続板16と半導体素子12との接続および金属接続板16と接続部26とは、半田等の接合材を介して接続される。ゲート電極である電極34と比較して、ソース電極である電極36は大電流が流れる。従って、電流が流れる方向に対して断面積が大きい金属接続板16を、電極36の接続に用いることによって、装置全体のオン抵抗を引き下げることができる。金属接続板16を接続させる接合材としては、半田または導電性ペーストが採用される。
【0043】
ここで、金属接続板16の固着は、半導体素子12の電極36および接続部26に半田ペーストを塗布させる工程と、この半田ペーストの上面に金属接続板16を載置させる工程と、半田ペーストを溶融して半田とすることで金属接続板16を接合させる工程とを含む。一方、接合材として導電性ペーストが採用された場合は、電極36および接続部26に、液状または半固形状の導電性ペーストを塗布する工程と、塗布された導電性ペーストに金属接続板16を載置する工程と、導電性ペーストに含まれる熱硬化性樹脂を加熱硬化させる工程が必要とされる。
【0044】
更に、図5(C)を参照して、金属接続板16は、半導体素子12に接続される第1接続部40と、リードの接続部26に接続される第2接続部42と、第1接続部40と第2接続部とを連続させる中間部44とから成る。そして、第1接続部40は、接合材32を介して半導体素子12の上面に設けられた電極36と接合される。また、第2接続部42は、接合材31を介して接続部26と接合される。
【0045】
本実施の形態では、接合材の外部への流出防止および視覚的な確認性の向上のために、金属接続板16に凹部28および開口部30を設けている。
【0046】
凹部28は、金属接続板16の第2接続部42の端部を内側に窪ませて設けられた部位である。そして、金属接続板16の第2接続部42の下面と接続部26の上面との間に、所定量以上の接合材31が塗布されたら、凹部28に接合材31が染み出してくる。更に、剰余の接合材31が凹部28に収納されることで、接合材31の外部への流出が防止される。
【0047】
また、開口部30も凹部28と略同様の作用を有し、半導体素子12の電極36の上面と、金属接続板16の第1接続部40との間に、必要とされる量以上の接合材31が塗布されたら、開口部30に接合材32が染み出るように設定されている。また、開口部30は、剰余の接合材32を収納させる機能も有し、このことにより接合材32が外部に漏出することによるショートの発生が防止される。
【0048】
図5(C)を参照して、上記工程が終了して、金属接続板16が固着された後に、この固着の良否判定を行う。具体的には、CCDカメラや作業員による目視により、凹部28の内部に対応する領域の接続部26の上面に、接合材31が露出しているか否かを確認する。凹部28の内部に接合材31が確認されれば、金属接続板16の第2接続部42と接続部26とは十分な量の接合材31により接合されていると判断され、このユニットに対して次工程が行われる。一方、凹部28の内部に接合材31の存在が視覚的に確認されなければ、この接合が不十分であり不良が発生していると判断され、このユニットに対しては次工程が行われない。
【0049】
更に、上記確認作業は開口部30に対しても行われる。即ち、開口部30から接合材32の存在が視覚的に確認されたら、金属接続板16の第1接続部40と、半導体素子12の電極36とが正常に接合されたと判断され、このユニットに対して次工程が行われる。する。一方、開口部30から接合材31の存在が視覚的に確認されなければ、上記接続に不良が発生していると判断され、このユニットに対しては次工程以降が行われない。
【0050】
即ち、凹部28および開口部30の両方にて接合材が視覚的に確認されたら接続が良と判定され、どちらか一方にて接合材が確認されなければ接続不良と判定される。
【0051】
次に、図5(C)を参照して、先工程にて接合された金属接続板16の位置を確認する。ここでは、金属接続板16の上面に形成された認識マーク48の位置をCCDカメラ等の撮像手段にて視覚的に確認することで、金属接続板16全体の平面的な位置および角度を確認している。そして、金属接続板16の平面的な位置および角度が所定範囲内のものであれば、その金属接続板16が設置されたユニットに対して次工程が施される。一方、金属接続板16の位置または角度が所定範囲外であれば、誤った位置に金属接続板16が接続されているので、その金属接続板16が設置されたユニットに対しては次工程以降の工程が行われない。
【0052】
ここで、上記した接合材31および接合材32の確認および金属接続板16の位置確認は、CCD等の撮像手段または目視により一括して同時に行っても良い。
【0053】
上記工程が終了した後は、リードフレーム50の各ユニット54を、モールド金型に個別に収納させて樹脂封止の工程を行う。具体的には、樹脂封止の工程では、各ユニットの半導体素子、アイランド、金属細線、金属接続板およびリードが封止樹脂により封止される。更に、封止樹脂から露出するリードの表面にメッキ膜を被着させる工程、樹脂封止された各ユニットをリードフレームから個別に分離する工程、各ユニットの良否や電気的特性を測定する工程、捺印工程等を経て、図1に示す構成の半導体装置10が完成する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の半導体装置を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は平面図であり、(C)は断面図である。
【図2】本発明の半導体装置を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は金属接続板の断面図である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は斜視図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は斜視図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は斜視図であり、(C)は平面図である。
【図6】背景技術の回路装置を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は断面図である。
【符号の説明】
【0055】

10 半導体装置
12 半導体素子
14 アイランド
16 金属接続板
18 金属細線
20、20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H リード
22 吊りリード
24 接続部
26 接続部
28 凹部
30 開口部
31 接合材
32 接合材
34 電極
36 電極
38 封止樹脂
40 第1接続部
42 第2接続部
44 中間部
46 連結部
48 認識マーク
50 リードフレーム
52 外枠
54 ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子が上面に固着されるアイランドと、
前記半導体素子と電気的に接続されるリードと、
前記半導体素子の上面に形成された電極と接続される第1接続部および前記リードと接続される第2接続部を有する金属接続板とを具備し、
接合材を介して前記リードに接合される前記金属接続板の前記第2接続部を部分的に窪ませて凹部を設けることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記金属接続板の前記第2接続部の下面が、前記接合材を介して前記リードの上面に接合され、
前記リードの上面に塗布された前記接合材の一部が、前記凹部から視覚的に確認されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記接合材の一部を前記凹部に収納させることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記金属接続板の前記第1接続部と前記第2接続部との間の中間部は、厚み方向に曲折する曲折部が設けられ、前記中間部は前記半導体素子の上面から離間されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記金属接続板を部分的に開口させた開口部を設け、
前記半導体素子の前記電極と前記金属接続板とを接合させる接合材の一部が、前記開口部から視覚的に確認可能であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記接合材の一部を前記開口部に収納させることを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記接合材は、半田または導電性ペーストであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
アイランドの上面に固着された半導体素子および前記アイランドに一端が接近するリードを用意する第1工程と、
前記半導体素子の上面に設けられた電極に金属接続板の第1接続部を接続し、前記リードの上面に接合材を介して前記金属接続板の第2接続部を接続し、前記半導体素子と前記リードとを電気的に接続する第2工程と、を具備し、
前記第2工程では、前記金属接続板の前記第2接続部を部分的に窪ませた凹部から、前記リードに塗布された前記接合材の一部を露出させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記凹部に露出した前記接合材の有無を確認することにより、前記リードの前記第2接続部と前記リードとの接続の良否を判定することを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記接合材の一部を前記凹部に収納させることを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記金属接続板を部分的に開口させた開口部を設け、
前記半導体素子の前記電極と前記金属接続板とを接合させる接合材の一部が、前記開口部から視覚的に確認可能であることを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記開口部に露出した前記接合材の有無を確認することにより、前記リードの前記第1接続部と前記半導体素子との接続の良否を判定することを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2工程の後に、前記金属接続板の位置を確認する第3工程を具備し、
前記第3工程では、前記金属接続板の上面に設けた認識マークの位置を視覚的に確認することを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−38126(P2009−38126A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199588(P2007−199588)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】