半導体装置および半導体装置の製造方法
【課題】支持基板上に半導体チップをフェイスダウン実装した構成において、半導体チップの裏面上に板状材を水平に搭載可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置1-1は、支持基板3上に突起電極7を介して半導体チップ5がフェイスダウン実装され、これらの支持基板3−半導体チップ5間に樹脂9が充填された構成である。特に、半導体チップ5は、支持基板3側に対向して配置された実装面5aと反対側の裏面5bに、段差部Aを有している。この段差部Aは、半導体チップ5の裏面5bにおける周端縁を切り欠いて設けられている。
【解決手段】半導体装置1-1は、支持基板3上に突起電極7を介して半導体チップ5がフェイスダウン実装され、これらの支持基板3−半導体チップ5間に樹脂9が充填された構成である。特に、半導体チップ5は、支持基板3側に対向して配置された実装面5aと反対側の裏面5bに、段差部Aを有している。この段差部Aは、半導体チップ5の裏面5bにおける周端縁を切り欠いて設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、特には支持基板に対して半導体チップをフェイスダウン実装してなる半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電極形成面を備えた支持基板上に半導体チップをフェイスダウン実装してなる半導体装置においては、支持基板上の電極と半導体チップ上の電極とが突起電極によって接続されている。また、突起電極同士のショートを防止し、支持基板と半導体チップとの接合強度の向上を図ることを目的とし、支持基板と半導体チップとの間には樹脂が充填された構成となっている。
【0003】
このような構成の半導体装置の製造においては、支持基板の電極面上に樹脂を塗布し、樹脂の塗布面上に半導体チップを配置し、半導体チップの裏面側からボンディングへッドを押圧する。これにより、支持基板側または半導体チップ側に設けた突起電極を介して電極間を接続すると共に、支持基板−半導体チップ間に樹脂が充填された状態とする。
【0004】
この際、支持基板−半導体チップ間からはみだした樹脂がボンディングへッドに付着することのないように、半導体チップの単面の全周に段差部を設け、電極が形成された一方の面の面積が他方の面の面積よりも小さくなる形状とする構成が提案されている。これにより、段差部が樹脂のせき止め部として機能し、素子の取り付け時に樹脂が周囲の部材に付着することを防止できるとしている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−250843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながらこのような構成では、半導体チップの電極が形成された面、すなわち素子の形成面の面積が段差部によって削られるため、半導体チップのチップ面積に占める実効的な素子の形成面積が狭くなり、半導体装置の小型化を妨げる要因となる。
【0007】
また上述した製造方法では、樹脂中にボイドが発生し易い。これを防止する方法として、支持基板上に半導体チップを実装した後に、ノズルから供給した樹脂を、毛細管現象によって支持基板−半導体チップ間に引き込んで充填する方法が行われている。しかしながらこの方法においては、樹脂の供給が終了したノズルを支持基板上における半導体チップの近傍から引き上げる際に、ノズルに引きずられた樹脂が半導体チップの裏面に付着する場合がある。この場合、半導体チップの裏面上に半導体チップやヒートシンクのような板状材を搭載すると、半導体チップと板状材との間に部分的に付着した樹脂が挟まれ、板状材が傾いたり半導体チップと板状材との間に隙間が出来て密着力が不足するなどの問題が発生する。またこのような問題は、上記特許文献1に記載された構成であっても解決することはできない。
【0008】
そこで発明は、支持基板上に半導体チップをフェイスダウン実装した構成において、半導体チップの裏面上に板状材を水平に搭載可能で、これにより半導体チップと板状材との密着性を確保して信頼性の向上が図られた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するための本発明の半導体装置は、支持基板上に突起電極を介して半導体チップがフェイスダウン実装され、これらの支持基板−半導体チップ間に樹脂が充填された構成である。特に、半導体チップは、支持基板側に対向して配置された実装面と反対側の裏面に、段差部を有している。この段差部は、半導体チップの裏面における周端縁を切り欠いて設けられている。
【0010】
このような構成の半導体装置では、フェイスダウン実装された半導体チップの裏面側を切り欠いた段差部が樹脂溜まりとなる。このため、支持基板−半導体チップ間からはみ出した樹脂が半導体チップの側壁を這い上がる樹脂が段差部に溜められ、半導体チップにおける裏面の最上部にまで乗り上げることが防止され、半導体チップの裏面が平坦に保たれる。
【0011】
また本発明の半導体装置の製造方法は、上述した構成の半導体装置の製造方法であり、支持基板上に半導体チップをフェイスダウン実装した後、ノズルの先端からの供給によって半導体チップと支持基板との間に樹脂を充填する。この際、ノズルの先端は、支持基板上において半導体チップの段差部に近接する位置に配置する。
【0012】
このような製造方法により、ノズルの先端の動作に依存して樹脂が半導体チップの端縁に這い上がっても、段差部に樹脂が溜められるため、半導体チップにおける裏面の最上部にまで乗り上げることが防止され、半導体チップの裏面が平坦に保たれる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、支持基板上に半導体チップをフェイスダウン実装した構成において、半導体チップの裏面の最上部への樹脂の乗り上げを防止することで半導体チップの裏面を平坦に保つことができる。これにより、半導体チップの裏面上に放熱板や他の半導体チップ等の板状材を水平に搭載することができ、半導体チップと板状材との密着性が確保されて、信頼性の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態の半導体装置の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態の半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図3】第1実施形態の半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図4】第1実施形態の半導体装置にさらに板状材を搭載した構成の図である。
【図5】第2実施形態の半導体装置の構成を示す図である。
【図6】第2実施形態の半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図7】第2実施形態の半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図8】第2実施形態の半導体装置にさらに板状材を搭載した構成の図である。
【図9】第3実施形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
【図10】第4実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
【図11】第5実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
【図12】第6実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施の形態を以下の順序で説明する。
1.第1実施形態(半導体チップの2辺に段差部を設けた例)
2.第2実施形態(半導体チップの1辺に段差部を設けた例)
3.第3実施形態(段差の底部を斜めにした例)
4.第4実施形態(半導体チップの2辺に連続した段差部を設けた例)
5.第5実施形態(半導体チップの1辺の一部のみに段差部を設けた例)
6.第6実施形態(半導体チップの全周に連続した段差部を設けた例)
【0016】
<1.第1実施形態>
[半導体装置の構成]
図1(a)は第1実施形態の半導体装置の断面図であり、図1(b)は第1実施形態の半導体装置の平面図である。図1(a)は図1(b)におけるA−A’断面に相当する。
【0017】
これらの図に示すように、半導体装置1-1は、支持基板3上に半導体チップ5がフェイスダウン実装されたものである。支持基板3と半導体チップ5との間には、突起電極7が挟持されていると共に、樹脂9が充填された構成となっている。以下、これらの各部材で構成される半導体装置1-1の詳細な構成について説明する。
【0018】
支持基板3は、半導体チップ7が実装された実装面3aに、電極11を露出させたものであり、実装面3a側に配線を設けた回路基板であって良い。またこの支持基板3は、基板の内部に配線を積層させたインターポーザ基板であっても良く、さらにはこの支持基板3自体が半導体チップであっても良い。
【0019】
このような支持基板3の実装面3a上には、半導体チップ5を搭載する部分を囲む状態で、樹脂9の外部流出を防止するためのダム13が設けられていることとする。またこのダム13の外周部分には、半導体装置1-1をさらに他の基板材に搭載した際に、外部との接続を図るための電極11aが設けられていても良い。尚、支持基板3は、実装面3aと反対側の裏面3bに、電極11aが引き出されていても良い。
【0020】
半導体チップ5は、支持基板3側に向けられた実装面5aに、電極15を露出させたものである。各電極15は、支持基板3の実装面3aに設けられた電極11に対して1:1で対向するように設けられている。この半導体チップ5は、電極15が設けられた実装面5aがアクティブ面として用いられており、電極15の他、ここでの図示を省略した半導体素子や配線などが実装面5a側に形成されている。
【0021】
特に本第1実施形態においては、半導体チップ5における実装面5aと反対側の裏面5bに、段差部Aが設けられているところが特徴的である。この段差部Aは、半導体チップ5の裏面5bにおける周端縁を切り欠いた形状であり、半導体チップ5の全板厚Tに対して差部部Aの板厚T1が小さくなるように構成されている。本第1実施形態においては、この段差部Aが、半導体チップ5において対向する2辺にわたって設けられていることとする。
【0022】
ここで段差部Aの板厚T1は、段差部Aの強度を十分に保つことができる大きさで、かつ段差部Aの実装面5aにも電極15や半導体素子を形成するのに十分な大きさが確保されていることとする。一方、半導体チップ5の全幅Wに対して、全板厚Tに保たれている部分の幅W1は、半導体チップ5の裏面5b上に搭載される板状材を安定した状態で保持できる範囲の大きさが確保されていることとする。また、段差部AのW2は、段差部Aの強度を十分に保つことができる範囲に抑えられていることとする。以上のような段差部Aは、上述したような強度が確保される範囲内で、容積ができるだけ大きく確保されていることが好ましい。
【0023】
尚、支持基板3の実装面3aに設けられたダム13は、半導体チップ5において段差部Aが設けられている辺のうちの一方に近接する部分において、半導体チップ5との間隔が他の部分よりも広くなるように設定されていることとする。
【0024】
突起電極7は、支持基板3における実装面3上の電極11と、半導体チップ5における実装面5a上の電極15との間に挟持され、これらの電極11−15間を電気的に接続するものである。
【0025】
樹脂9は、一般的にアンダーフィルと呼ばれるものであって、突起電極7間のショートを防止するため、および支持基板3−半導体チップ5間の接着性を強固にして半導体装置1-1の機械的強度を確保するためのものである。このような樹脂9は、例えば熱硬化性樹脂を用いて構成され、突起電極7を挟持させたことによって生じた支持基板3−半導体チップ5間の隙間に充填されている。
【0026】
[半導体装置の製造方法]
図2および図3は、第1実施形態の半導体装置の製造工程を示す製造工程図であり、次にこれらの図に従って半導体装置1-1の製造方法を説明する。
【0027】
先ず、図2(1)に示すように、半導体ウェハ21の一主面側をアクティブ面21aとし、このアクティブ面21a側に、ここでの図示を省略した半導体素子や配線、さらには電極15が形成された複数の半導体チップ領域5-1を形成する。
【0028】
次に、図2(2)に示すように、ウェハ21におけるアクティブ面21aと反対側の裏面21bにおいて、半導体チップ領域5-1間に相当する部分に、一方向に向かう幅広の溝21cを形成する。ここでは、裏面21b側に幅広の切削用のブレード23を当接させることによって、溝21cを形成する。またここで形成する溝21cは、両側の半導体チップ領域5-1にまで食い込む幅で形成されることとする。
【0029】
次いで、図2(3)に示すように、ウェハ21を、各半導体チップ領域5-1毎に分割する。ここでは、半導体チップ領域5-1間の幅よりも狭い幅の切削用のブレード25を用いることにより、半導体チップ領域5-1に影響が及ぶことのないように、ウェハ21を分断する。特に、溝21cが形成されている方向でのウェハ21の分割は、溝21cの中央部において溝21cの底部にブレード25を当接させることによって溝21cの幅方向中央部でウェハ21を分断する。
【0030】
これにより、図2(4)に示すように、電極15が形成された実装面5aと反対側の裏面5bに、周端縁を切り欠いた段差部Aを有する複数の半導体チップ5が得られる。
【0031】
次に、図3(1)に示すように、実装面3a側に電極11,11aを露出させると共に、実装面3a上の周縁に沿ってダム13が設けられた支持基板3を用意する。この支持基板3の実装面3a上に、突起電極7を介して半導体チップ5をフェイスダウン実装する。この際、突起電極7は、支持基板3の電極11上または半導体チップ5の電極15上の何れかに、予め設けられていることとする。そして、支持基板3の電極11と半導体チップ5の電極15との間に、突起電極7を挟持させる。
【0032】
次に、図3(2)に示すように、支持基板3上において半導体チップ5の段差部Aに近接する位置に、樹脂9供給用のノズル31を配置する。ここでは、支持基板3における実装面3a上のダム13と、半導体チップ5との間隔が他の部分よりも広く設定された位置にノズル31を配置することが重要である。
【0033】
そしてこのノズル31の先端から支持基板3上に樹脂9を供給し、毛細管現象によって支持基板3と半導体チップ5との間の隙間に樹脂9を吸い込ませて充填する。この際、段差部Aが形成された半導体チップ5の終端縁に沿って、ノズル31の先端を移動させながら樹脂9の供給を行っても良い。また、樹脂9は、毛細管現象が引き起こされる程度に低粘度に調整されていることが重要である。
【0034】
以上により、図3(3)に示すように、支持基板3と半導体チップ5との間に必要十分に樹脂9を充填させる。ここでは、支持基板3と半導体チップ5との間が完全に樹脂9で満たされると共に、ダム13から樹脂9が溢れることのないように樹脂9を供給する。樹脂9の供給が終了した後には、ノズル31の先端を支持基板3上から移動させる。またその後は、例えば加熱処理を行うことにより、樹脂9を硬化させると共に、突起電極7を介しての電極11−15間の電気的接続を確実にし、半導体装置1-1を完成させる。
【0035】
以上説明した第1実施形態によれば、半導体チップ5の裏面5b側を切り欠いた段差部Aが樹脂9の溜まりとなる。このため、支持基板3−半導体チップ5間からはみ出して半導体チップ5の側壁を這い上がった樹脂9が段差部Aに溜められ、半導体チップ5における裏面5bの最上部にまで乗り上げることが防止される。
【0036】
特に、図3(2)を用いて説明したように樹脂9を供給する工程では、毛細管現象によってノズル31と半導体チップ5との隙間を樹脂9が這い上がる場合がある。また図3(3)を用いて説明したように樹脂9の供給を終了したノズル31を移動する際には、ノズル31に引きずられて半導体チップ5の端縁に樹脂9が乗り上がり易い。
【0037】
そこで本第1実施形態では、ノズル31の先端を、支持基板3上において半導体チップ5の段差部Aに近接する位置に配置しているため、段差部Aの底面に樹脂9が溜められて半導体チップ5の裏面5bの最上部にまで樹脂9が達することが防止される。
【0038】
尚、このような半導体チップ5の裏面5bへの樹脂9の付着を防止するために、半導体チップ5を厚くすると、パッケージトータルの厚さが厚くなり、携帯電話は携帯端末のセットを厚くすることになる。また、樹脂量のコントロールによって対応する場合、支持基板3−半導体チップ5間のギャップばらつき、半導体チップ5の板厚Tのばらつき、ノズルの位置ばらつきなどにより、ある確率で半導体チップ5の裏面への樹脂9の乗り上げが発生する。
【0039】
しかしながら、上述した第1実施形態の構成および方法であれば、パッケージトータルの厚みを大きくすること無く、確実に半導体チップ5の裏面への樹脂9の乗り上げを防止して半導体チップ5の裏面5bを平坦に保つことができる。
【0040】
このため、図4に示すように、半導体装置1-1における半導体チップ5上に、さらに半導体チップや放熱板などの板状材33を搭載した半導体装置1-1’を構成した場合であっても、板状材33を半導体チップ5に対して水平に搭載することができる。この際、半導体チップ5の裏面5b上に接着剤35を介して板状材33を接着固定させる。尚、板状材33として半導体チップを搭載する場合であれば、半導体チップ(板状材33)において電極37や素子等が形成されたアクティブ面を上方に向けて、半導体チップ5上にもう1つの半導体チップ(板状材33)を搭載する。
【0041】
以上により、半導体チップ5上に板状材33を搭載した半導体装置1-1’において、半導体チップ5と板状材33との密着性を確保することができる。このため、半導体チップ5−板状材33間が斜めに傾いて隙間が形成されるこがなく、その後の加熱工程において隙間に溜まった水分が破裂して板状材33が剥がることを防止できる。この結果、半導体装置1-1'の信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0042】
<2.第2実施形態>
[半導体装置の構成]
図5(a)は第2実施形態の半導体装置の断面図であり、図5(b)は第2実施形態の半導体装置の平面図である。図5(a)は図5(b)におけるA−A’断面に相当する。尚、図1を用いて説明した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0043】
これらの図に示す第2実施形態の半導体装置1-2が、図1を用いて説明した第1実施形態の半導体装置と異なるところは、半導体チップ5に設けられた段差部Aが、半導体チップ5の周端縁の一辺にわたってのみ設けられている点にあり、他の構成は同様である。
【0044】
尚、支持基板3の実装面3a上に設けられたダム13は、半導体チップ5において段差部Aが設けられている辺に近接する部分において、半導体チップ5との間隔が他の部分よりも広くなるように設定されていることとする。
【0045】
[半導体装置の製造方法]
図6および図7は、第2実施形態の半導体装置の製造工程を示す製造工程図である。これらの図に示す第2実施形態の半導体装置1-2の製造方法が、第1実施形態の半導体装置の製造方法と異なるところは、溝21cの形成部分とノズル33の配置位置にあり、他の工程は同様である。
【0046】
すなわち先ず、第1実施形態と同様に、図6(1)に示すように、半導体ウェハ21のアクティブ面21a側に半導体素子、配線、および電極15が形成された複数の半導体チップ領域5-1を形成する。
【0047】
次に、図6(2)に示すように、一方向に向かう半導体チップ領域5-1間のうちの1箇所置きに幅広の溝21cを形成する。溝21cの形成方法は第1実施形態と同様であり、裏面21b側に幅広の切削用のブレード23を当接させることによって、半導体チップ領域5-1にまで食い込む幅の溝21cを形成する。
【0048】
次いで、図6(3)に示すように、ウェハ21を、各半導体チップ領域5-1ごとに分割する。ここでは、半導体チップ領域5-1間の幅よりも狭い幅の切削用のブレード25を用いることにより、半導体チップ領域5-1に影響が及ぶことのないように、ウェハ21を分断することは第1実施形態と同様である。特に、溝21cが形成されている部分においてのウェハ21の分割は、溝21cの底部にブレード25を当接させることによって溝21cの幅方向中央部でウェハ21を分断する。
【0049】
これにより、図6(4)に示すように、電極15が形成された実装面5aと反対側の裏面5bの一辺に、周端縁を切り欠いた段差部Aを有する半導体チップ5が得られる。
【0050】
次に、第1実施形態と同様に、図7(1)に示すように、実装面3a側に電極11,11aを露出させると共に、周縁に沿ってダム13が設けられた支持基板3を用意し、突起電極7を介して半導体チップ5をフェイスダウン実装する。この際、特に本第2実施形態では、半導体チップ5において段差部Aが設けられている辺部分とダム13との間隔が、半導体チップ5の他の辺部分とダム13との間隔よりも広くなるように、実装がなされるところが特徴的である。
【0051】
以降は第1実施形態と同様に行なわれる。
【0052】
すなわち図7(2)に示すように、支持基板3上において半導体チップ5の段差部Aに近接する位置に、樹脂9供給用のノズル31を配置する。このため、支持基板3における実装面3a上のダム13と、半導体チップ5との間隔が他の部分よりも広く設定された位置にノズル31を配置することになる。
【0053】
そしてこのノズル31の先端から支持基板3上に樹脂9を供給し、毛細管現象によって支持基板3と半導体チップ5との間の隙間に樹脂9を吸い込ませて充填する。この際、段差部Aが形成された半導体チップ5の終端縁に沿って、ノズル31の先端を移動させながら樹脂9の供給を行っても良い。また、樹脂9は、毛細管現象が引き起こされる程度に低粘度に調整されていることが重要である。
【0054】
以上により、図7(3)に示すように、支持基板3と半導体チップ5との間に必要十分に樹脂9を充填させる。ここでは、支持基板3と半導体チップ5との間が完全に樹脂9で満たされると共に、ダム13から樹脂9が溢れることのないように樹脂9を供給する。樹脂9の供給が終了した後には、ノズル31の先端を支持基板3上から移動させる。またその後は、例えば加熱処理を行うことにより、樹脂9を硬化させると共に、突起電極7を介しての電極11−15間の電気的接続を確実にし、半導体装置1-2を完成させる。
【0055】
以上説明した第2実施形態であっても、半導体チップ5の裏面5b側を切り欠いた段差部Aが樹脂9の溜まりとなり、樹脂9が半導体チップ5における裏面5bの最上部にまで乗り上げることが防止される。このため第1実施形態と同様に、パッケージトータルの厚みを大きくすること無く、確実に半導体チップ5の裏面への樹脂9の乗り上げを防止して半導体チップ5の裏面5bを平坦に保つことができる。
【0056】
このため、図8に示すように、半導体装置1-2における半導体チップ5上に、さらに半導体チップや放熱板などの板状材33を搭載した半導体装置1-2’を構成した場合であっても、板状材33を半導体チップ5に対して水平に搭載することができる。したがって、第1実施形態と同様に、半導体チップ5−板状材33間が斜めに傾いて隙間が形成されるこがなく、その後の加熱工程において隙間に溜まった水分が破裂して板状材33が剥がることを防止できる。この結果、半導体装置1-2'の信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0057】
また特に、本第2実施形態の構成であれば、段差部Aを半導体チップ5の一辺のみに設けた構成であるため、第1実施形態と比較して、半導体チップ5における裏面5bの最上部の面積を大きく確保できる。このため、半導体装置1-2において、半導体チップ5と板状材33との密着性を強固にすることが可能である。
【0058】
<3.第3実施形態>
[半導体装置の構成]
図9は第3実施形態の半導体装置の断面図である。この図に示す第3実施形態の半導体装置1-3が、第2実施形態の半導体装置と異なるところは、半導体チップ5の裏面5bに設けられた段差部Aの底面形状にあり、他の構成は第2実施形態と同様である。
【0059】
すなわち、第3実施形態の半導体装置1-3においては、段差部Aにおける半導体チップ5の板厚T1が、半導体チップ5の周端に向かって薄くなるように、底面部分を斜め傾斜させるように切り欠いた形状として設けられている。このような段差部Aの底面の傾斜は、段差部Aの強度を十分に保つことができ、かつ段差部Aの実装面5aに電極15や半導体素子を形成可能な程度に設定されている。
【0060】
[半導体装置の製造方法]
以上のような構成の半導体装置1-3の製造は、第2実施形態において図6(2)を用いて説明した溝21cの形成工程で用いる切削用のブレード23を、切削面がV字のブレードに変更すれば良い。V字のブレードにおけるV字の角度を選択することで、段差部Aにおける底面の傾斜が調整される。
【0061】
以上説明した第3実施形態の半導体装置1-3であっても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。これに加えて、半導体チップ5の本体分部に対して段差部Aの支持面を拡大させて支持を強固にすることが可能であるため、段差部Aの機械的強度を確保することができる。
【0062】
尚、このような半導体装置1-3においても、半導体チップ5上にさらに半導体チップや放熱板などの板状材33を搭載した半導体装置を構成することができ、このような半導体装置においても第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本第3実施形態は第1実施形態と組み合わせることも可能であり、第1実施形態と組み合わせた場合には、第1実施形態の効果に対してさらに、段差部Aの機械的強度を確保することができると言った効果が加えられる。
【0063】
<4.第4実施形態>
[半導体装置の構成]
図10は第4実施形態の半導体装置の断面図である。この図に示す第4実施形態の半導体装置1-4が、上述した第1実施形態〜第3実施形態と異なるところは、半導体チップ5の連続する2辺にわたって連続的に段差部Aを設けたところにあり、他の構成は同様である。
【0064】
このような半導体装置1-4では、支持基板3上のダム13の位置を、段差部Aに沿った部分において半導体チップ5から離れた位置としても良い。
【0065】
[半導体装置の製造方法]
以上のような構成の半導体装置1-4の製造は、ウェハを分割して半導体チップ5を形成する際、二方向に向かう半導体チップ領域間のそれぞれにおいて、1箇所置きに幅広の溝を形成する。また、支持基板3上に半導体チップ5を実装する際には、支持基板3上のダム13の位置を、段差部Aに沿った部分において半導体チップ5から離れた位置とする。そして、樹脂9を供給する際には、図中矢印に示すように、段差部Aに沿ってL字状にノズルの先端を移動させながら樹脂9の供給を行うことができる。
【0066】
以上の第4実施形態では、製造工程中において樹脂9を供給する際に、段差部Aに沿ってL字状にノズルの先端を移動させることができる。このため、上述した第1実施形態の効果に加えて、支持基板3-半導体チップ5間にボイドを発生させることなく、樹脂9の供給に要する時間を短縮することが可能になる。
【0067】
尚、このような半導体装置1-4においても、半導体チップ5上にさらに半導体チップや放熱板などの板状材33を搭載した半導体装置を構成することができ、このような半導体装置においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本第4実施形態は、第3実施形態と組み合わせて段差部Aの底面を傾斜させることができる。このように第3実施形態と組み合わせることにより、さらに第3実施形態の効果も得ることができる。
【0068】
<第5実施形態>
[半導体装置の構成]
図11は第5実施形態の半導体装置の断面図である。この図に示す第5実施形態の半導体装置1-5が、上述した第1実施形態〜第4実施形態と異なるところは、半導体チップ5における1辺上の一部のみに段差部Aを設けたところにあり、他の構成は同様である。尚、段差部Aの形成位置は、図示したような半導体チップ5の一辺上の中央に限定されることはなく、一辺上の中間部であっても良く、また半導体チップ5の角部であっても良い。
【0069】
このような半導体装置1-5は、支持基板3上のダム13の位置を、段差部Aに近接した部分においてのみ半導体チップ5から離れた位置とすれば良い。
【0070】
[半導体装置の製造方法]
以上のような構成の半導体装置1-5の製造においては、支持基板3上に半導体チップ5を実装する際には、支持基板3上のダム13の位置を、段差部Aの近傍において半導体チップ5から離れた位置とする。そして、樹脂9を供給する際には、段差部Aの近傍にノズルの先端を配置固定する。
【0071】
以上の第5実施形態では、半導体チップ5の裏面5b側に最大限に広い面積の最上面を確保することができる。したがって、半導体チップ5上にさらに半導体チップや放熱板などの板状材33を搭載した半導体装置を構成した場合、上述した第1実施形態〜第4実施形態と比較して、半導体チップ5と板状材33との密着性を最大限に確保することができる。また、ダム13と半導体チップ5との間隔を広げる部分を最小限にできるため、支持基板3と半導体チップ5の大きさを同程度して半導体装置1-5の小型化を図ることができる。
【0072】
尚、このような第5実施形態の半導体装置1-5においても、第3実施形態と組み合わせて段差部Aの底面を傾斜させることができる。このように第3実施形態と組み合わせることにより、さらに第3実施形態の効果も得ることができる。
【0073】
<第6実施形態>
[半導体装置の構成]
図12は第6実施形態の半導体装置の断面図である。この図に示す第6実施形態の半導体装置1-6が、上述した第1実施形態〜第5実施形態と異なるところは、半導体チップ5における全周に連続的に段差部Aを設けたところにあり、他の構成は同様である。
【0074】
このような半導体装置1-6は、支持基板3上のダム13の位置を、半導体チップ5の全周においてある程度の間隔を設けた設定としても良い。
【0075】
[半導体装置の製造方法]
以上のような構成の半導体装置1-6の製造においては、ウェハを分割して半導体チップ5を形成する際、半導体チップ領域間のそれぞれにおいて幅広の溝を形成しておき、この溝の中央でウェハを分割する。また、支持基板3上に半導体チップ5を実装する際には、支持基板3上に樹脂9を塗布した後に、突起電極を介して半導体チップ5をフェイスダウン実装する手順を適用することができる。
【0076】
以上の第6実施形態であっても、半導体チップ5の全周に設けられた段差部Aが、側壁を這い上がる樹脂9の溜まりになる。このため、半導体装置1-6の製造において、支持基板3上に樹脂9を供給し過ぎたとしても、過剰な樹脂9が段差部Aに溜まるため、半導体チップ5の裏面5bの最上面に樹脂9が付着することを防止できる。
【0077】
尚、このような半導体装置1-6においても、半導体チップ5上にさらに半導体チップや放熱板などの板状材33を搭載した半導体装置を構成することができ、このような半導体装置においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本第6実施形態は、第3実施形態と組み合わせて段差部Aの底面を傾斜させることができる。このように第3実施形態と組み合わせることにより、さらに第3実施形態の効果も得ることができる。
【0078】
また本第6実施形態の半導体装置1-6を製造するに際しても、第1実施形態〜第5実施形態と同様に、ノズルからの樹脂の供給を適用することも可能である。この場合、樹脂の供給に際してのノズルの配置(移動)に対応する個所のみにおいて、半導体チップ5と支持基板3上のダムとの間隔を広くすれば良い。
【符号の説明】
【0079】
1-1,1-1’,1-2,1-2’,1-3,1-4,1-5,1-6…半導体装置、3…支持基板、3a…実装面(支持基板)、5…半導体チップ、5a…実装面(半導体チップ)、5b…裏面(半導体チップ)、7…突起電極、9…樹脂、11…電極(支持基板)、15…電極(半導体チップ)、31…ノズル、33…板状材、A…段差部、T…全板厚(半導体チップ)、T1…板厚(段差部)
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、特には支持基板に対して半導体チップをフェイスダウン実装してなる半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電極形成面を備えた支持基板上に半導体チップをフェイスダウン実装してなる半導体装置においては、支持基板上の電極と半導体チップ上の電極とが突起電極によって接続されている。また、突起電極同士のショートを防止し、支持基板と半導体チップとの接合強度の向上を図ることを目的とし、支持基板と半導体チップとの間には樹脂が充填された構成となっている。
【0003】
このような構成の半導体装置の製造においては、支持基板の電極面上に樹脂を塗布し、樹脂の塗布面上に半導体チップを配置し、半導体チップの裏面側からボンディングへッドを押圧する。これにより、支持基板側または半導体チップ側に設けた突起電極を介して電極間を接続すると共に、支持基板−半導体チップ間に樹脂が充填された状態とする。
【0004】
この際、支持基板−半導体チップ間からはみだした樹脂がボンディングへッドに付着することのないように、半導体チップの単面の全周に段差部を設け、電極が形成された一方の面の面積が他方の面の面積よりも小さくなる形状とする構成が提案されている。これにより、段差部が樹脂のせき止め部として機能し、素子の取り付け時に樹脂が周囲の部材に付着することを防止できるとしている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−250843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながらこのような構成では、半導体チップの電極が形成された面、すなわち素子の形成面の面積が段差部によって削られるため、半導体チップのチップ面積に占める実効的な素子の形成面積が狭くなり、半導体装置の小型化を妨げる要因となる。
【0007】
また上述した製造方法では、樹脂中にボイドが発生し易い。これを防止する方法として、支持基板上に半導体チップを実装した後に、ノズルから供給した樹脂を、毛細管現象によって支持基板−半導体チップ間に引き込んで充填する方法が行われている。しかしながらこの方法においては、樹脂の供給が終了したノズルを支持基板上における半導体チップの近傍から引き上げる際に、ノズルに引きずられた樹脂が半導体チップの裏面に付着する場合がある。この場合、半導体チップの裏面上に半導体チップやヒートシンクのような板状材を搭載すると、半導体チップと板状材との間に部分的に付着した樹脂が挟まれ、板状材が傾いたり半導体チップと板状材との間に隙間が出来て密着力が不足するなどの問題が発生する。またこのような問題は、上記特許文献1に記載された構成であっても解決することはできない。
【0008】
そこで発明は、支持基板上に半導体チップをフェイスダウン実装した構成において、半導体チップの裏面上に板状材を水平に搭載可能で、これにより半導体チップと板状材との密着性を確保して信頼性の向上が図られた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するための本発明の半導体装置は、支持基板上に突起電極を介して半導体チップがフェイスダウン実装され、これらの支持基板−半導体チップ間に樹脂が充填された構成である。特に、半導体チップは、支持基板側に対向して配置された実装面と反対側の裏面に、段差部を有している。この段差部は、半導体チップの裏面における周端縁を切り欠いて設けられている。
【0010】
このような構成の半導体装置では、フェイスダウン実装された半導体チップの裏面側を切り欠いた段差部が樹脂溜まりとなる。このため、支持基板−半導体チップ間からはみ出した樹脂が半導体チップの側壁を這い上がる樹脂が段差部に溜められ、半導体チップにおける裏面の最上部にまで乗り上げることが防止され、半導体チップの裏面が平坦に保たれる。
【0011】
また本発明の半導体装置の製造方法は、上述した構成の半導体装置の製造方法であり、支持基板上に半導体チップをフェイスダウン実装した後、ノズルの先端からの供給によって半導体チップと支持基板との間に樹脂を充填する。この際、ノズルの先端は、支持基板上において半導体チップの段差部に近接する位置に配置する。
【0012】
このような製造方法により、ノズルの先端の動作に依存して樹脂が半導体チップの端縁に這い上がっても、段差部に樹脂が溜められるため、半導体チップにおける裏面の最上部にまで乗り上げることが防止され、半導体チップの裏面が平坦に保たれる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、支持基板上に半導体チップをフェイスダウン実装した構成において、半導体チップの裏面の最上部への樹脂の乗り上げを防止することで半導体チップの裏面を平坦に保つことができる。これにより、半導体チップの裏面上に放熱板や他の半導体チップ等の板状材を水平に搭載することができ、半導体チップと板状材との密着性が確保されて、信頼性の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態の半導体装置の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態の半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図3】第1実施形態の半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図4】第1実施形態の半導体装置にさらに板状材を搭載した構成の図である。
【図5】第2実施形態の半導体装置の構成を示す図である。
【図6】第2実施形態の半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図7】第2実施形態の半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図8】第2実施形態の半導体装置にさらに板状材を搭載した構成の図である。
【図9】第3実施形態の半導体装置の構成を示す断面図である。
【図10】第4実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
【図11】第5実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
【図12】第6実施形態の半導体装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施の形態を以下の順序で説明する。
1.第1実施形態(半導体チップの2辺に段差部を設けた例)
2.第2実施形態(半導体チップの1辺に段差部を設けた例)
3.第3実施形態(段差の底部を斜めにした例)
4.第4実施形態(半導体チップの2辺に連続した段差部を設けた例)
5.第5実施形態(半導体チップの1辺の一部のみに段差部を設けた例)
6.第6実施形態(半導体チップの全周に連続した段差部を設けた例)
【0016】
<1.第1実施形態>
[半導体装置の構成]
図1(a)は第1実施形態の半導体装置の断面図であり、図1(b)は第1実施形態の半導体装置の平面図である。図1(a)は図1(b)におけるA−A’断面に相当する。
【0017】
これらの図に示すように、半導体装置1-1は、支持基板3上に半導体チップ5がフェイスダウン実装されたものである。支持基板3と半導体チップ5との間には、突起電極7が挟持されていると共に、樹脂9が充填された構成となっている。以下、これらの各部材で構成される半導体装置1-1の詳細な構成について説明する。
【0018】
支持基板3は、半導体チップ7が実装された実装面3aに、電極11を露出させたものであり、実装面3a側に配線を設けた回路基板であって良い。またこの支持基板3は、基板の内部に配線を積層させたインターポーザ基板であっても良く、さらにはこの支持基板3自体が半導体チップであっても良い。
【0019】
このような支持基板3の実装面3a上には、半導体チップ5を搭載する部分を囲む状態で、樹脂9の外部流出を防止するためのダム13が設けられていることとする。またこのダム13の外周部分には、半導体装置1-1をさらに他の基板材に搭載した際に、外部との接続を図るための電極11aが設けられていても良い。尚、支持基板3は、実装面3aと反対側の裏面3bに、電極11aが引き出されていても良い。
【0020】
半導体チップ5は、支持基板3側に向けられた実装面5aに、電極15を露出させたものである。各電極15は、支持基板3の実装面3aに設けられた電極11に対して1:1で対向するように設けられている。この半導体チップ5は、電極15が設けられた実装面5aがアクティブ面として用いられており、電極15の他、ここでの図示を省略した半導体素子や配線などが実装面5a側に形成されている。
【0021】
特に本第1実施形態においては、半導体チップ5における実装面5aと反対側の裏面5bに、段差部Aが設けられているところが特徴的である。この段差部Aは、半導体チップ5の裏面5bにおける周端縁を切り欠いた形状であり、半導体チップ5の全板厚Tに対して差部部Aの板厚T1が小さくなるように構成されている。本第1実施形態においては、この段差部Aが、半導体チップ5において対向する2辺にわたって設けられていることとする。
【0022】
ここで段差部Aの板厚T1は、段差部Aの強度を十分に保つことができる大きさで、かつ段差部Aの実装面5aにも電極15や半導体素子を形成するのに十分な大きさが確保されていることとする。一方、半導体チップ5の全幅Wに対して、全板厚Tに保たれている部分の幅W1は、半導体チップ5の裏面5b上に搭載される板状材を安定した状態で保持できる範囲の大きさが確保されていることとする。また、段差部AのW2は、段差部Aの強度を十分に保つことができる範囲に抑えられていることとする。以上のような段差部Aは、上述したような強度が確保される範囲内で、容積ができるだけ大きく確保されていることが好ましい。
【0023】
尚、支持基板3の実装面3aに設けられたダム13は、半導体チップ5において段差部Aが設けられている辺のうちの一方に近接する部分において、半導体チップ5との間隔が他の部分よりも広くなるように設定されていることとする。
【0024】
突起電極7は、支持基板3における実装面3上の電極11と、半導体チップ5における実装面5a上の電極15との間に挟持され、これらの電極11−15間を電気的に接続するものである。
【0025】
樹脂9は、一般的にアンダーフィルと呼ばれるものであって、突起電極7間のショートを防止するため、および支持基板3−半導体チップ5間の接着性を強固にして半導体装置1-1の機械的強度を確保するためのものである。このような樹脂9は、例えば熱硬化性樹脂を用いて構成され、突起電極7を挟持させたことによって生じた支持基板3−半導体チップ5間の隙間に充填されている。
【0026】
[半導体装置の製造方法]
図2および図3は、第1実施形態の半導体装置の製造工程を示す製造工程図であり、次にこれらの図に従って半導体装置1-1の製造方法を説明する。
【0027】
先ず、図2(1)に示すように、半導体ウェハ21の一主面側をアクティブ面21aとし、このアクティブ面21a側に、ここでの図示を省略した半導体素子や配線、さらには電極15が形成された複数の半導体チップ領域5-1を形成する。
【0028】
次に、図2(2)に示すように、ウェハ21におけるアクティブ面21aと反対側の裏面21bにおいて、半導体チップ領域5-1間に相当する部分に、一方向に向かう幅広の溝21cを形成する。ここでは、裏面21b側に幅広の切削用のブレード23を当接させることによって、溝21cを形成する。またここで形成する溝21cは、両側の半導体チップ領域5-1にまで食い込む幅で形成されることとする。
【0029】
次いで、図2(3)に示すように、ウェハ21を、各半導体チップ領域5-1毎に分割する。ここでは、半導体チップ領域5-1間の幅よりも狭い幅の切削用のブレード25を用いることにより、半導体チップ領域5-1に影響が及ぶことのないように、ウェハ21を分断する。特に、溝21cが形成されている方向でのウェハ21の分割は、溝21cの中央部において溝21cの底部にブレード25を当接させることによって溝21cの幅方向中央部でウェハ21を分断する。
【0030】
これにより、図2(4)に示すように、電極15が形成された実装面5aと反対側の裏面5bに、周端縁を切り欠いた段差部Aを有する複数の半導体チップ5が得られる。
【0031】
次に、図3(1)に示すように、実装面3a側に電極11,11aを露出させると共に、実装面3a上の周縁に沿ってダム13が設けられた支持基板3を用意する。この支持基板3の実装面3a上に、突起電極7を介して半導体チップ5をフェイスダウン実装する。この際、突起電極7は、支持基板3の電極11上または半導体チップ5の電極15上の何れかに、予め設けられていることとする。そして、支持基板3の電極11と半導体チップ5の電極15との間に、突起電極7を挟持させる。
【0032】
次に、図3(2)に示すように、支持基板3上において半導体チップ5の段差部Aに近接する位置に、樹脂9供給用のノズル31を配置する。ここでは、支持基板3における実装面3a上のダム13と、半導体チップ5との間隔が他の部分よりも広く設定された位置にノズル31を配置することが重要である。
【0033】
そしてこのノズル31の先端から支持基板3上に樹脂9を供給し、毛細管現象によって支持基板3と半導体チップ5との間の隙間に樹脂9を吸い込ませて充填する。この際、段差部Aが形成された半導体チップ5の終端縁に沿って、ノズル31の先端を移動させながら樹脂9の供給を行っても良い。また、樹脂9は、毛細管現象が引き起こされる程度に低粘度に調整されていることが重要である。
【0034】
以上により、図3(3)に示すように、支持基板3と半導体チップ5との間に必要十分に樹脂9を充填させる。ここでは、支持基板3と半導体チップ5との間が完全に樹脂9で満たされると共に、ダム13から樹脂9が溢れることのないように樹脂9を供給する。樹脂9の供給が終了した後には、ノズル31の先端を支持基板3上から移動させる。またその後は、例えば加熱処理を行うことにより、樹脂9を硬化させると共に、突起電極7を介しての電極11−15間の電気的接続を確実にし、半導体装置1-1を完成させる。
【0035】
以上説明した第1実施形態によれば、半導体チップ5の裏面5b側を切り欠いた段差部Aが樹脂9の溜まりとなる。このため、支持基板3−半導体チップ5間からはみ出して半導体チップ5の側壁を這い上がった樹脂9が段差部Aに溜められ、半導体チップ5における裏面5bの最上部にまで乗り上げることが防止される。
【0036】
特に、図3(2)を用いて説明したように樹脂9を供給する工程では、毛細管現象によってノズル31と半導体チップ5との隙間を樹脂9が這い上がる場合がある。また図3(3)を用いて説明したように樹脂9の供給を終了したノズル31を移動する際には、ノズル31に引きずられて半導体チップ5の端縁に樹脂9が乗り上がり易い。
【0037】
そこで本第1実施形態では、ノズル31の先端を、支持基板3上において半導体チップ5の段差部Aに近接する位置に配置しているため、段差部Aの底面に樹脂9が溜められて半導体チップ5の裏面5bの最上部にまで樹脂9が達することが防止される。
【0038】
尚、このような半導体チップ5の裏面5bへの樹脂9の付着を防止するために、半導体チップ5を厚くすると、パッケージトータルの厚さが厚くなり、携帯電話は携帯端末のセットを厚くすることになる。また、樹脂量のコントロールによって対応する場合、支持基板3−半導体チップ5間のギャップばらつき、半導体チップ5の板厚Tのばらつき、ノズルの位置ばらつきなどにより、ある確率で半導体チップ5の裏面への樹脂9の乗り上げが発生する。
【0039】
しかしながら、上述した第1実施形態の構成および方法であれば、パッケージトータルの厚みを大きくすること無く、確実に半導体チップ5の裏面への樹脂9の乗り上げを防止して半導体チップ5の裏面5bを平坦に保つことができる。
【0040】
このため、図4に示すように、半導体装置1-1における半導体チップ5上に、さらに半導体チップや放熱板などの板状材33を搭載した半導体装置1-1’を構成した場合であっても、板状材33を半導体チップ5に対して水平に搭載することができる。この際、半導体チップ5の裏面5b上に接着剤35を介して板状材33を接着固定させる。尚、板状材33として半導体チップを搭載する場合であれば、半導体チップ(板状材33)において電極37や素子等が形成されたアクティブ面を上方に向けて、半導体チップ5上にもう1つの半導体チップ(板状材33)を搭載する。
【0041】
以上により、半導体チップ5上に板状材33を搭載した半導体装置1-1’において、半導体チップ5と板状材33との密着性を確保することができる。このため、半導体チップ5−板状材33間が斜めに傾いて隙間が形成されるこがなく、その後の加熱工程において隙間に溜まった水分が破裂して板状材33が剥がることを防止できる。この結果、半導体装置1-1'の信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0042】
<2.第2実施形態>
[半導体装置の構成]
図5(a)は第2実施形態の半導体装置の断面図であり、図5(b)は第2実施形態の半導体装置の平面図である。図5(a)は図5(b)におけるA−A’断面に相当する。尚、図1を用いて説明した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0043】
これらの図に示す第2実施形態の半導体装置1-2が、図1を用いて説明した第1実施形態の半導体装置と異なるところは、半導体チップ5に設けられた段差部Aが、半導体チップ5の周端縁の一辺にわたってのみ設けられている点にあり、他の構成は同様である。
【0044】
尚、支持基板3の実装面3a上に設けられたダム13は、半導体チップ5において段差部Aが設けられている辺に近接する部分において、半導体チップ5との間隔が他の部分よりも広くなるように設定されていることとする。
【0045】
[半導体装置の製造方法]
図6および図7は、第2実施形態の半導体装置の製造工程を示す製造工程図である。これらの図に示す第2実施形態の半導体装置1-2の製造方法が、第1実施形態の半導体装置の製造方法と異なるところは、溝21cの形成部分とノズル33の配置位置にあり、他の工程は同様である。
【0046】
すなわち先ず、第1実施形態と同様に、図6(1)に示すように、半導体ウェハ21のアクティブ面21a側に半導体素子、配線、および電極15が形成された複数の半導体チップ領域5-1を形成する。
【0047】
次に、図6(2)に示すように、一方向に向かう半導体チップ領域5-1間のうちの1箇所置きに幅広の溝21cを形成する。溝21cの形成方法は第1実施形態と同様であり、裏面21b側に幅広の切削用のブレード23を当接させることによって、半導体チップ領域5-1にまで食い込む幅の溝21cを形成する。
【0048】
次いで、図6(3)に示すように、ウェハ21を、各半導体チップ領域5-1ごとに分割する。ここでは、半導体チップ領域5-1間の幅よりも狭い幅の切削用のブレード25を用いることにより、半導体チップ領域5-1に影響が及ぶことのないように、ウェハ21を分断することは第1実施形態と同様である。特に、溝21cが形成されている部分においてのウェハ21の分割は、溝21cの底部にブレード25を当接させることによって溝21cの幅方向中央部でウェハ21を分断する。
【0049】
これにより、図6(4)に示すように、電極15が形成された実装面5aと反対側の裏面5bの一辺に、周端縁を切り欠いた段差部Aを有する半導体チップ5が得られる。
【0050】
次に、第1実施形態と同様に、図7(1)に示すように、実装面3a側に電極11,11aを露出させると共に、周縁に沿ってダム13が設けられた支持基板3を用意し、突起電極7を介して半導体チップ5をフェイスダウン実装する。この際、特に本第2実施形態では、半導体チップ5において段差部Aが設けられている辺部分とダム13との間隔が、半導体チップ5の他の辺部分とダム13との間隔よりも広くなるように、実装がなされるところが特徴的である。
【0051】
以降は第1実施形態と同様に行なわれる。
【0052】
すなわち図7(2)に示すように、支持基板3上において半導体チップ5の段差部Aに近接する位置に、樹脂9供給用のノズル31を配置する。このため、支持基板3における実装面3a上のダム13と、半導体チップ5との間隔が他の部分よりも広く設定された位置にノズル31を配置することになる。
【0053】
そしてこのノズル31の先端から支持基板3上に樹脂9を供給し、毛細管現象によって支持基板3と半導体チップ5との間の隙間に樹脂9を吸い込ませて充填する。この際、段差部Aが形成された半導体チップ5の終端縁に沿って、ノズル31の先端を移動させながら樹脂9の供給を行っても良い。また、樹脂9は、毛細管現象が引き起こされる程度に低粘度に調整されていることが重要である。
【0054】
以上により、図7(3)に示すように、支持基板3と半導体チップ5との間に必要十分に樹脂9を充填させる。ここでは、支持基板3と半導体チップ5との間が完全に樹脂9で満たされると共に、ダム13から樹脂9が溢れることのないように樹脂9を供給する。樹脂9の供給が終了した後には、ノズル31の先端を支持基板3上から移動させる。またその後は、例えば加熱処理を行うことにより、樹脂9を硬化させると共に、突起電極7を介しての電極11−15間の電気的接続を確実にし、半導体装置1-2を完成させる。
【0055】
以上説明した第2実施形態であっても、半導体チップ5の裏面5b側を切り欠いた段差部Aが樹脂9の溜まりとなり、樹脂9が半導体チップ5における裏面5bの最上部にまで乗り上げることが防止される。このため第1実施形態と同様に、パッケージトータルの厚みを大きくすること無く、確実に半導体チップ5の裏面への樹脂9の乗り上げを防止して半導体チップ5の裏面5bを平坦に保つことができる。
【0056】
このため、図8に示すように、半導体装置1-2における半導体チップ5上に、さらに半導体チップや放熱板などの板状材33を搭載した半導体装置1-2’を構成した場合であっても、板状材33を半導体チップ5に対して水平に搭載することができる。したがって、第1実施形態と同様に、半導体チップ5−板状材33間が斜めに傾いて隙間が形成されるこがなく、その後の加熱工程において隙間に溜まった水分が破裂して板状材33が剥がることを防止できる。この結果、半導体装置1-2'の信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0057】
また特に、本第2実施形態の構成であれば、段差部Aを半導体チップ5の一辺のみに設けた構成であるため、第1実施形態と比較して、半導体チップ5における裏面5bの最上部の面積を大きく確保できる。このため、半導体装置1-2において、半導体チップ5と板状材33との密着性を強固にすることが可能である。
【0058】
<3.第3実施形態>
[半導体装置の構成]
図9は第3実施形態の半導体装置の断面図である。この図に示す第3実施形態の半導体装置1-3が、第2実施形態の半導体装置と異なるところは、半導体チップ5の裏面5bに設けられた段差部Aの底面形状にあり、他の構成は第2実施形態と同様である。
【0059】
すなわち、第3実施形態の半導体装置1-3においては、段差部Aにおける半導体チップ5の板厚T1が、半導体チップ5の周端に向かって薄くなるように、底面部分を斜め傾斜させるように切り欠いた形状として設けられている。このような段差部Aの底面の傾斜は、段差部Aの強度を十分に保つことができ、かつ段差部Aの実装面5aに電極15や半導体素子を形成可能な程度に設定されている。
【0060】
[半導体装置の製造方法]
以上のような構成の半導体装置1-3の製造は、第2実施形態において図6(2)を用いて説明した溝21cの形成工程で用いる切削用のブレード23を、切削面がV字のブレードに変更すれば良い。V字のブレードにおけるV字の角度を選択することで、段差部Aにおける底面の傾斜が調整される。
【0061】
以上説明した第3実施形態の半導体装置1-3であっても、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。これに加えて、半導体チップ5の本体分部に対して段差部Aの支持面を拡大させて支持を強固にすることが可能であるため、段差部Aの機械的強度を確保することができる。
【0062】
尚、このような半導体装置1-3においても、半導体チップ5上にさらに半導体チップや放熱板などの板状材33を搭載した半導体装置を構成することができ、このような半導体装置においても第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本第3実施形態は第1実施形態と組み合わせることも可能であり、第1実施形態と組み合わせた場合には、第1実施形態の効果に対してさらに、段差部Aの機械的強度を確保することができると言った効果が加えられる。
【0063】
<4.第4実施形態>
[半導体装置の構成]
図10は第4実施形態の半導体装置の断面図である。この図に示す第4実施形態の半導体装置1-4が、上述した第1実施形態〜第3実施形態と異なるところは、半導体チップ5の連続する2辺にわたって連続的に段差部Aを設けたところにあり、他の構成は同様である。
【0064】
このような半導体装置1-4では、支持基板3上のダム13の位置を、段差部Aに沿った部分において半導体チップ5から離れた位置としても良い。
【0065】
[半導体装置の製造方法]
以上のような構成の半導体装置1-4の製造は、ウェハを分割して半導体チップ5を形成する際、二方向に向かう半導体チップ領域間のそれぞれにおいて、1箇所置きに幅広の溝を形成する。また、支持基板3上に半導体チップ5を実装する際には、支持基板3上のダム13の位置を、段差部Aに沿った部分において半導体チップ5から離れた位置とする。そして、樹脂9を供給する際には、図中矢印に示すように、段差部Aに沿ってL字状にノズルの先端を移動させながら樹脂9の供給を行うことができる。
【0066】
以上の第4実施形態では、製造工程中において樹脂9を供給する際に、段差部Aに沿ってL字状にノズルの先端を移動させることができる。このため、上述した第1実施形態の効果に加えて、支持基板3-半導体チップ5間にボイドを発生させることなく、樹脂9の供給に要する時間を短縮することが可能になる。
【0067】
尚、このような半導体装置1-4においても、半導体チップ5上にさらに半導体チップや放熱板などの板状材33を搭載した半導体装置を構成することができ、このような半導体装置においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本第4実施形態は、第3実施形態と組み合わせて段差部Aの底面を傾斜させることができる。このように第3実施形態と組み合わせることにより、さらに第3実施形態の効果も得ることができる。
【0068】
<第5実施形態>
[半導体装置の構成]
図11は第5実施形態の半導体装置の断面図である。この図に示す第5実施形態の半導体装置1-5が、上述した第1実施形態〜第4実施形態と異なるところは、半導体チップ5における1辺上の一部のみに段差部Aを設けたところにあり、他の構成は同様である。尚、段差部Aの形成位置は、図示したような半導体チップ5の一辺上の中央に限定されることはなく、一辺上の中間部であっても良く、また半導体チップ5の角部であっても良い。
【0069】
このような半導体装置1-5は、支持基板3上のダム13の位置を、段差部Aに近接した部分においてのみ半導体チップ5から離れた位置とすれば良い。
【0070】
[半導体装置の製造方法]
以上のような構成の半導体装置1-5の製造においては、支持基板3上に半導体チップ5を実装する際には、支持基板3上のダム13の位置を、段差部Aの近傍において半導体チップ5から離れた位置とする。そして、樹脂9を供給する際には、段差部Aの近傍にノズルの先端を配置固定する。
【0071】
以上の第5実施形態では、半導体チップ5の裏面5b側に最大限に広い面積の最上面を確保することができる。したがって、半導体チップ5上にさらに半導体チップや放熱板などの板状材33を搭載した半導体装置を構成した場合、上述した第1実施形態〜第4実施形態と比較して、半導体チップ5と板状材33との密着性を最大限に確保することができる。また、ダム13と半導体チップ5との間隔を広げる部分を最小限にできるため、支持基板3と半導体チップ5の大きさを同程度して半導体装置1-5の小型化を図ることができる。
【0072】
尚、このような第5実施形態の半導体装置1-5においても、第3実施形態と組み合わせて段差部Aの底面を傾斜させることができる。このように第3実施形態と組み合わせることにより、さらに第3実施形態の効果も得ることができる。
【0073】
<第6実施形態>
[半導体装置の構成]
図12は第6実施形態の半導体装置の断面図である。この図に示す第6実施形態の半導体装置1-6が、上述した第1実施形態〜第5実施形態と異なるところは、半導体チップ5における全周に連続的に段差部Aを設けたところにあり、他の構成は同様である。
【0074】
このような半導体装置1-6は、支持基板3上のダム13の位置を、半導体チップ5の全周においてある程度の間隔を設けた設定としても良い。
【0075】
[半導体装置の製造方法]
以上のような構成の半導体装置1-6の製造においては、ウェハを分割して半導体チップ5を形成する際、半導体チップ領域間のそれぞれにおいて幅広の溝を形成しておき、この溝の中央でウェハを分割する。また、支持基板3上に半導体チップ5を実装する際には、支持基板3上に樹脂9を塗布した後に、突起電極を介して半導体チップ5をフェイスダウン実装する手順を適用することができる。
【0076】
以上の第6実施形態であっても、半導体チップ5の全周に設けられた段差部Aが、側壁を這い上がる樹脂9の溜まりになる。このため、半導体装置1-6の製造において、支持基板3上に樹脂9を供給し過ぎたとしても、過剰な樹脂9が段差部Aに溜まるため、半導体チップ5の裏面5bの最上面に樹脂9が付着することを防止できる。
【0077】
尚、このような半導体装置1-6においても、半導体チップ5上にさらに半導体チップや放熱板などの板状材33を搭載した半導体装置を構成することができ、このような半導体装置においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本第6実施形態は、第3実施形態と組み合わせて段差部Aの底面を傾斜させることができる。このように第3実施形態と組み合わせることにより、さらに第3実施形態の効果も得ることができる。
【0078】
また本第6実施形態の半導体装置1-6を製造するに際しても、第1実施形態〜第5実施形態と同様に、ノズルからの樹脂の供給を適用することも可能である。この場合、樹脂の供給に際してのノズルの配置(移動)に対応する個所のみにおいて、半導体チップ5と支持基板3上のダムとの間隔を広くすれば良い。
【符号の説明】
【0079】
1-1,1-1’,1-2,1-2’,1-3,1-4,1-5,1-6…半導体装置、3…支持基板、3a…実装面(支持基板)、5…半導体チップ、5a…実装面(半導体チップ)、5b…裏面(半導体チップ)、7…突起電極、9…樹脂、11…電極(支持基板)、15…電極(半導体チップ)、31…ノズル、33…板状材、A…段差部、T…全板厚(半導体チップ)、T1…板厚(段差部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
前記支持基板上にフェイスダウン実装されると共に、実装面と反対側の裏面における周端縁を切り欠いた段差部を有する半導体チップと、
前記支持基板における実装面上の電極と前記半導体チップにおける実装面上の電極との間に挟持された突起電極と、
前記支持基板と前記半導体チップとの間に充填された樹脂とを備えた、
半導体装置。
【請求項2】
前記半導体チップの裏面上に板状材が搭載された
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記板状材は半導体チップからなる
請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップに設けられた段差部は、当該半導体チップの周端縁の一部に設けられている
請求項1〜3の何れかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップに設けられた段差部は、当該半導体チップの少なくとも1辺にわたって設けられている
請求項1〜4の何れかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体チップに設けられた段差部は、当該半導体チップの板厚が当該半導体チップの周端に向かって薄くなるように設けられている
請求1〜5の何れかに記載の半導体装置。
【請求項7】
電極が設けられた実装面と反対側の裏面における周端縁を切り欠いた段差部を有する半導体チップを用意する工程と、
支持基板において電極が設けられた実装面に対して前記半導体チップの実装面を対向配置した状態で、突起電極を介して当該支持基板上に当該半導体チップをフェイスダウン実装する工程と、
前記支持基板上において前記半導体チップの段差部に近接する位置にノズルを配置し、当該ノズルの先端からの供給によって当該半導体チップと前記支持基板との間に樹脂を充填する工程とを行なう
半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記段差部が設けられた前記半導体チップの周端縁に沿って前記ノズルを移動させながら当該ノズルの先端から樹脂の供給を行う
請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂を充填する工程の後、前記半導体チップの裏面上に板状材を搭載する
請求項7または8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
支持基板と、
前記支持基板上にフェイスダウン実装されると共に、実装面と反対側の裏面における周端縁を切り欠いた段差部を有する半導体チップと、
前記支持基板における実装面上の電極と前記半導体チップにおける実装面上の電極との間に挟持された突起電極と、
前記支持基板と前記半導体チップとの間に充填された樹脂とを備えた、
半導体装置。
【請求項2】
前記半導体チップの裏面上に板状材が搭載された
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記板状材は半導体チップからなる
請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップに設けられた段差部は、当該半導体チップの周端縁の一部に設けられている
請求項1〜3の何れかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体チップに設けられた段差部は、当該半導体チップの少なくとも1辺にわたって設けられている
請求項1〜4の何れかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体チップに設けられた段差部は、当該半導体チップの板厚が当該半導体チップの周端に向かって薄くなるように設けられている
請求1〜5の何れかに記載の半導体装置。
【請求項7】
電極が設けられた実装面と反対側の裏面における周端縁を切り欠いた段差部を有する半導体チップを用意する工程と、
支持基板において電極が設けられた実装面に対して前記半導体チップの実装面を対向配置した状態で、突起電極を介して当該支持基板上に当該半導体チップをフェイスダウン実装する工程と、
前記支持基板上において前記半導体チップの段差部に近接する位置にノズルを配置し、当該ノズルの先端からの供給によって当該半導体チップと前記支持基板との間に樹脂を充填する工程とを行なう
半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記段差部が設けられた前記半導体チップの周端縁に沿って前記ノズルを移動させながら当該ノズルの先端から樹脂の供給を行う
請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂を充填する工程の後、前記半導体チップの裏面上に板状材を搭載する
請求項7または8に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−192494(P2010−192494A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32244(P2009−32244)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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