説明

半導体装置の製造方法および装置

【課題】接続信頼性の高い半導体装置を安定的に製造することができる半導体装置の製造方法および装置を提供すること。
【解決手段】複数の回路基板1の第一端子と、複数の半導体素子2のバンプとをそれぞれ対向配置させ、各第一端子と各バンプとの間に樹脂層3を配置して複数の積層体4を形成し、複数の積層体4を加熱しながら、複数の積層体4を同時に積層体4の積層方向から加圧する。このとき、複数の積層体4を加熱炉51内で加熱しながら、加熱炉51内に配置されたダイアフラム54を複数の積層体4あるいは、複数の積層体4を挟圧するための部材531に当接させて弾性変形させることより、複数の積層体4を真空下で同時に積層体4の積層方向から加圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、例えば、半導体素子の端子と基板の端子とを、半田を用いて接合する工程を行うことにより製造される。
【0003】
半田を用いて接合を行った後の半導体素子と基板との間には、隙間ができるので、樹脂の硬化物で隙間を埋める必要がある。
【0004】
従来は、半田を用いて接合した後に、半導体素子と基板との間等に、流動性の熱硬化性樹脂を流し込んでいた。そして、樹脂を硬化することにより、半導体素子と基板の隙間を埋めていた。ところが、上述した方法では、前記隙間に隙間なく流動性の熱硬化性樹脂を流し込むことが難しいため、以下のような方法が特許文献1において、提案されている。
【0005】
特許文献1には、基板表面にフィルム状のアンダーフィル樹脂を配置し、その後、アンダーフィル樹脂上に半導体素子を搭載する方法および装置が開示されている。特許文献1では、アンダーフィル樹脂上に半導体素子を搭載した後、半導体素子を基板に圧接し、半導体素子と基板との積層体を形成した後、高圧雰囲気中でアンダーフィル樹脂を硬化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−311709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、基板と半導体素子間の接続信頼性のより高い半導体装置が求められているが、上述した製造方法では、このような要求にこたえることが難しいことがわかった。
これに加え、近年、半導体装置の量産化が求められているため、本発明者らは、半導体装置の量産に際し、以下の方法を考えた。まず、熱板のうえに、熱硬化性樹脂層がそれぞれ設けられた複数の基板を配置する。その後、熱硬化性樹脂層上に、半導体素子を配置する。
【0008】
このとき、半導体素子の端子が熱硬化性樹脂層を貫通し、基板の端子と接触するように、熱硬化性樹脂層上の半導体素子に荷重をかけ、圧接して積層体とする。この操作を繰り返し複数の積層体を得る。その後、積層体の半導体素子の端子、基板の端子同士を接合するとともに、樹脂層を加圧キュアする。
【0009】
しかしながら、この方法では、熱硬化性樹脂層が熱板により、加熱状態となるので、徐々に硬化が進行してしまうことがある。一つ目の積層体の基板と半導体素子とを圧接している間に、前記基板とは異なる他の基板上の熱硬化性樹脂層の硬化が進行してしまうことがある。
【0010】
従って、一つ目の基板と半導体素子とを圧接する力と、最後の基板と半導体素子とを圧接する力とが大きく異なってしまう。これにより、基板に設けられた端子と半導体素子に設けられた端子との間で導通不良が発生し、接続信頼性が低下することが懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、表面に半田層を有する第一端子を有する回路基板と、この回路基板の前記第一端子に接合されるバンプを有する半導体素子とを備える半導体装置の製造方法であって、
前記回路基板の第一端子と、前記半導体素子のバンプとの間に、フラックス活性化合物と熱硬化性樹脂とを含む樹脂層を配置して積層体を得る工程と、
前記積層体を前記第一端子の前記半田層の融点以上に加熱して、前記第一端子と、前記バンプとを半田接合させ、流体により前記積層体を加圧しながら、前記樹脂層を硬化させる工程とを含み、
積層体を得る前記工程では、
複数の前記回路基板の第一端子と、複数の前記半導体素子のバンプとをそれぞれ対向配置させ、各第一端子と各バンプとの間に前記樹脂層を配置して複数の積層体を形成し、複数の前記積層体を加熱炉内で加熱しながら、前記加熱炉内に配置されたダイアフラムを弾性変形させることより、前記複数の積層体を真空下で同時に前記積層体の積層方向から加圧する半導体装置の製造方法が提供される。
【0012】
この発明によれば、真空下で、複数の積層体を加熱するとともに、加圧しているので、積層体の樹脂層、樹脂層と半導体素子との界面および樹脂層と回路基板との界面に存在する気泡を脱気することができる。
これにより、半導体素子のバンプと回路基板の第一端子との接続信頼性を高めることができる。
さらに、ダイアフラムを弾性変形させて複数の積層体を加圧することで、積層体を確実に加圧することができ、半導体素子のバンプと回路基板の第一端子との接続信頼性を高めることができる。
また、本発明では、複数の積層体を加熱しながら、複数の積層体を同時に積層体の積層方向から挟圧している。これにより、一つ目の積層体の回路基板と半導体素子とを加熱しながら挟圧している間に、他の積層体を構成する熱硬化性樹脂の硬化がすすんでしまうことが抑制される。したがって、接続信頼性の高い半導体装置を安定的に製造することができる。
【0013】
また、本発明によれば、上述した製造方法に使用される装置も提供できる。
すなわち、本発明によれば、表面に半田層を有する第一端子を有する回路基板の前記第一端子と、この回路基板の前記第一端子に接合されるバンプを有する半導体素子の前記バンプとの間に、フラックス活性化合物と、熱硬化性樹脂とを含む樹脂層を配置して、積層体を形成した後、前記第一端子と、前記バンプとを接触させるための装置であって、
複数の積層体を加熱する加熱炉と、
前記加熱炉内を真空にするための手段と、
この加熱炉内に配置され、複数の積層体を同時に前記積層体の積層方向から加圧する弾性変形可能なダイアフラムと、を備える装置が提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接続信頼性の高い半導体装置を安定的に製造することができる半導体装置の製造方法および装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態にかかる半導体装置の製造工程を示す図である。
【図2】半導体装置の製造工程を示す図である。
【図3】半導体装置の製造工程を示す図である。
【図4】半導体装置の製造装置を示す断面図である。
【図5】半導体装置の製造装置を示す断面図である。
【図6】半導体装置の製造装置を示す断面図である。
【図7】複数の積層体が治具に挟まれた状態を示す断面図である。
【図8】半導体装置の製造装置を示す断面図である。
【図9】半導体装置の製造工程を示す図である。
【図10】半導体装置の製造装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
はじめに、図1〜6を参照して、本実施形態の半導体装置の製造方法の概要について説明する。
本実施形態の半導体装置の製造方法は、表面に半田層112を有する第一端子11を有する回路基板1と、この回路基板1の第一端子11に接合されるバンプ21を有する半導体素子2とを備える半導体装置の製造方法である。
この半導体装置の製造方法は、回路基板1の第一端子11と、半導体素子2のバンプ21との間にフラックス活性化合物と、熱硬化性樹脂とを含む樹脂層3を配置して積層体4を得る工程と、積層体4を第一端子11の半田層112の融点以上に加熱して、第一端子11と、バンプ21とを半田接合させ、流体により積層体4を加圧しながら、樹脂層3を硬化させる工程とを含む。
積層体4を得る前記工程では、複数の回路基板1の第一端子11と、複数の半導体素子2のバンプ21とをそれぞれ対向配置させ、各第一端子11と各バンプ21との間に樹脂層3を配置して複数の積層体4を形成し、複数の積層体4を加熱しながら、複数の積層体4を同時に積層体4の積層方向から加圧する。このとき、複数の積層体4を加熱炉51内で加熱しながら、加熱炉51内に配置されたダイアフラム54を複数の積層体4あるいは、複数の積層体4を挟圧するための部材531に当接させて弾性変形させることより、複数の積層体4を真空下で同時に積層体4の積層方向から加圧する。
【0017】
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法について詳細に説明する。
はじめに、図1に示すように、回路基板1を用意する。
この回路基板1は、たとえば、フレキシブル基板、リジット基板あるいはセラミック基板等である。
この回路基板1は第一端子11を有し、この第一端子11は、第一端子本体111と、第一端子本体111表面に設けられた半田層112とを備える。
第一端子本体111の形状は、特に限定されず、凸状のものや、凹状のものが挙げられる。また、第一端子本体111の材質は、特に制限されず、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウムが挙げられる。
半田層112の材料は、特に制限されず、錫、銀、鉛、亜鉛、ビスマス、インジウム及び銅からなる群から選択される少なくとも2種以上を含む合金等が挙げられる。これらのうち、錫、銀、鉛、亜鉛及び銅からなる群から選択される少なくとも2種以上を含む合金が好ましい。半田層112の融点は、110〜250℃、好ましくは140〜230℃である。
半田層112は、第一端子本体111に対し半田メッキされたものであってもよく、また、第一端子本体111に対し半田ボールや半田ペーストを配置し、半田バンプ等で構成されるものであってもよい。
ここで、図7に示すように、回路基板1は、複数個連なって形成されている。たとえば、回路基板1が基板である場合には、各基板同士が接続されて1枚の大型の基板を構成している。なお、大型の基板には、図7の点線で示すように、回路基板1同士を切り離すための切断ラインが形成されている。
【0018】
次に、半導体素子2を用意する(図1参照)。この半導体素子2は、バンプ21を有する。
バンプ21の形状は、特に制限されず、第一端子11に対して半田接合が行える形状であればよく、例えば、凸状のものや、凹状のものが挙げられる。また、バンプ21の材質は、特に制限されず、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウムが挙げられる。
【0019】
次に、図2に示すように、回路基板1の第一端子11と、半導体素子2のバンプ21との間に、フラックス活性化合物と熱硬化性樹脂とを含む樹脂層3を配置し、第一端子11とバンプ21との位置あわせを行う。ここでは、複数の回路基板1と複数の半導体素子2との位置あわせを行う。この工程では、回路基板1と、半導体素子2との間に樹脂層3が配置された複数の積層体4が得られる。ただし、半導体素子2のバンプ21は、樹脂層3に食い込み、第一端子11と接触する状態とはなっていない。
【0020】
樹脂層3は、回路基板1と、半導体素子2との隙間を埋めることができる熱硬化性樹脂を含んで構成される。
樹脂層3に含まれる熱硬化性樹脂は、たとえば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、マレイミド樹脂等を用いることができる。これらは、単独または2種以上を混合して用いることができる。
中でも、硬化性と保存性、硬化物の耐熱性、耐湿性、耐薬品性に優れるエポキシ樹脂が好適に用いられる。
【0021】
樹脂層3の100〜200℃における最低溶融粘度は、好ましくは1〜1000Pa・s、特に好ましくは1〜500Pa・sである。樹脂層3の100〜200℃における最低溶融粘度が上記範囲にあることにより、硬化物中に空隙(ボイド)が発生し難くなる。溶融粘度は、例えば、粘弾性測定装置であるレオメーターを用いて、フィルム状態のサンプルに10℃/分の昇温速度で、周波数1Hzのずり剪断を与えて測定される。
【0022】
樹脂層3は、半田接合の際に、半田層112の表面の酸化被膜を除去する作用を有する樹脂層である。樹脂層3が、フラックス作用を有することにより、半田層112の表面を覆っている酸化被膜が除去されるので、半田接合を行うことができる。樹脂層3がフラックス作用を有するためには、樹脂層3が、フラックス活性化合物を含有する必要がある。樹脂層3に含有されるフラックス活性化合物としては、半田接合に用いられるものであれば、特に制限されないが、カルボキシル基又はフェノール水酸基のいずれか、あるいは、カルボキシル基及びフェノール水酸基の両方を備える化合物が好ましい。
【0023】
樹脂層3中のフラックス活性化合物の配合量は、1〜30重量%が好ましく、3〜20重量%が特に好ましい。樹脂層3中のフラックス活性化合物の配合量が、上記範囲であることにより、樹脂層3のフラックス活性を向上させることができるとともに、樹脂層3中に、熱硬化性樹脂と未反応のフラックス活性化合物が残存するのが防止される。
【0024】
また、熱硬化性樹脂の硬化剤として作用する化合物の中には、フラックス作用も有する化合物がある(以下、このような化合物を、フラックス活性硬化剤とも記載する)。例えば、エポキシ樹脂の硬化剤として作用するフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等は、フラックス作用も有している。このような、フラックス活性化合物としても作用し、熱硬化性樹脂の硬化剤としても作用するようなフラックス活性硬化剤を、熱硬化性樹脂の硬化剤として含有する樹脂層3は、フラックス作用を有する樹脂層となる。
【0025】
なお、カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物とは、分子中にカルボキシル基が1つ以上存在するものをいい、液状であっても固体であってもよい。また、フェノール性水酸基を備えるフラックス活性化合物とは、分子中にフェノール性水酸基が1つ以上存在するものをいい、液状であっても固体であってもよい。また、カルボキシル基及びフェノール性水酸基を備えるフラックス活性化合物とは、分子中にカルボキシル基及びフェノール性水酸基がそれぞれ1つ以上存在するものをいい、液状であっても固体であってもよい。
【0026】
これらのうち、カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物としては、脂肪族酸無水物、脂環式酸無水物、芳香族酸無水物、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。
【0027】
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る脂肪族酸無水物としては、無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物等が挙げられる。
【0028】
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る脂環式酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0029】
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る芳香族酸無水物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等が挙げられる。
【0030】
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る脂肪族カルボン酸としては、下記一般式(1)で示される化合物や、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸等が挙げられる。
HOOC−(CH−COOH (1)
(式(1)中、nは、0以上20以下の整数を表す。)
【0031】
カルボキシル基を備えるフラックス活性化合物に係る芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、トリイル酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、トルイル酸、ケイ皮酸、サリチル酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、浸食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体、フェノールフタリン、ジフェノール酸等が挙げられる。
【0032】
これらのカルボキシル基を備えるフラックス活性化合物のうち、フラックス活性化合物が有する活性度、樹脂層の硬化時におけるアウトガスの発生量、及び硬化後の樹脂層の弾性率やガラス転移温度等のバランスが良い点で、前記一般式(1)で示される化合物が好ましい。そして、前記一般式(1)で示される化合物のうち、式(1)中のnが3〜10である化合物が、硬化後の樹脂層における弾性率が増加するのを抑制することができるとともに、回路基板1と半導体素子2との接着性を向上させることができる点で、特に好ましい。
【0033】
前記一般式(1)で示される化合物のうち、式(1)中のnが3〜10である化合物としては、例えば、n=3のグルタル酸(HOOC−(CH−COOH)、n=4のアジピン酸(HOOC−(CH−COOH)、n=5のピメリン酸(HOOC−(CH−COOH)、n=8のセバシン酸(HOOC−(CH−COOH)及びn=10のHOOC−(CH10−COOH等が挙げられる。
【0034】
フェノール性水酸基を備えるフラックス活性化合物としては、フェノール類が挙げられ、具体的には、例えば、フェノール、o−クレゾール、2,6−キシレノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−エチルフェノール、2,4−キシレノール、2,5キシレノール、m−エチルフェノール、2,3−キシレノール、メジトール、3,5−キシレノール、p−ターシャリブチルフェノール、カテコール、p−ターシャリアミルフェノール、レゾルシノール、p−オクチルフェノール、p−フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAF、ビフェノール、ジアリルビスフェノールF、ジアリルビスフェノールA、トリスフェノール、テトラキスフェノール等のフェノール性水酸基を含有するモノマー類、フェノールノボラック樹脂、o−クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールFノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等が挙げられる。
【0035】
上述したようなカルボキシル基又はフェノール水酸基のいずれか、あるいは、カルボキシル基及びフェノール水酸基の両方を備える化合物は、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂との反応で三次元的に取り込まれる。
【0036】
そのため、硬化後のエポキシ樹脂の三次元的なネットワークの形成を向上させるという観点からは、フラックス活性化合物としては、フラックス作用を有し且つエポキシ樹脂の硬化剤として作用するフラックス活性硬化剤が好ましい。フラックス活性硬化剤としては、例えば、1分子中に、エポキシ樹脂に付加することができる2つ以上のフェノール性水酸基と、フラックス作用(還元作用)を示す芳香族に直接結合した1つ以上のカルボキシル基とを備える化合物が挙げられる。このようなフラックス活性硬化剤としては、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸(2,5−ジヒドロキシ安息香酸)、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)等の安息香酸誘導体;1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,5−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3,7−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトエ酸誘導体;フェノールフタリン;及びジフェノール酸等が挙げられ、これらは1種単独又は2種以上の組み合わせでもよい。
なかでも、第一端子11およびバンプ21の接合を良好なものとするためには、フェノールフタリンを使用することが特に好ましい。フェノールフタリンを使用することで、半田層112の表面の酸化物を除去した後、エポキシ樹脂を硬化することが可能となると推測され、半田層112表面の酸化物が除去されないまま、エポキシ樹脂が硬化してしまうことを抑制でき、第一端子11およびバンプ21の半田接合を良好なものとすることができる。
【0037】
また、樹脂層3中、フラックス活性硬化剤の配合量は、1〜30重量%が好ましく、3〜20重量%が特に好ましい。樹脂層3中のフラックス活性硬化剤の配合量が、上記範囲であることにより、樹脂層のフラックス活性を向上させることができるとともに、樹脂層中に、熱硬化性樹脂と未反応のフラックス活性硬化剤が残存するのが防止される。
また、樹脂層3は、無機充填材を含んでいてもよい。
樹脂層3中に無機充填材を含有させることで、樹脂層3の最低溶融粘度を高め、第一端子11およびバンプ21間に隙間が形成されてしまうことを抑制できる。
ここで、無機充填材としては、シリカや、アルミナ等があげられる。
【0038】
さらに、樹脂層3は、硬化触媒を含んでいてもよい。
硬化触媒は、樹脂層3中の熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜選択できるが、たとえば、塗膜成形性向上の観点から、イミダゾール化合物を使用することができる。イミダゾール化合物として、2−フェニルヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4−メチルヒドロキシイミダゾール等が挙げられる。
【0039】
また、硬化触媒の配合比は、樹脂層3の構成成分の合計を100としたときに、たとえば0.01重量%以上5重量%以下とする。硬化触媒の配合比を0.01重量%以上とすることにより、硬化触媒としての機能をさらに効果的に発揮させて、樹脂層3の硬化性を向上させることができる。また、硬化触媒の配合比を5重量%以下とすることにより、樹脂層3の保存性をさらに向上させることができる。
【0040】
回路基板1と、半導体素子2との間に樹脂層3を配置する方法としては、例えば、
(1)フラックス活性化合物を含有する樹脂組成物をフィルム状に成形した樹脂フィルムを用意し、この樹脂フィルムを、回路基板1又は半導体素子2にラミネートする方法、
(2)フラックス活性化合物を含有する液状の樹脂組成物を用意し、この液状の樹脂組成物を、回路基板1又は半導体素子2の表面に塗布する方法、
(3)フラックス活性化合物を含有する樹脂組成物が溶剤に溶解又は分散されている樹脂ワニスを用意し、この樹脂ワニスを、回路基板1又は半導体素子2の表面に塗布し、次いで、樹脂ワニス中の溶剤を揮発させる方法、
が挙げられる。なお、方法(2)に係る液状の樹脂組成物は、溶剤を含有しない。
ここで、図7に示すように、樹脂層3は複数連なっており、複数の回路基板1上にまたがる1枚の樹脂シートを構成している。より詳細に説明すると、樹脂シートは複数の樹脂層3と、樹脂層3同士を連結している連結部分とで構成され、樹脂層3同士は連結部分を介して連なっている。
【0041】
次に、複数の積層体4を加熱しながら、積層体4の積層方向に沿って1バンプ当たり1〜50gの荷重がかかるように挟圧し、図3に示すように、第一端子11とバンプ21とが接触するようにバンプ21を樹脂層3にめり込ませる。このとき、樹脂層3を硬化させずに、複数の積層体4を加熱する。より具体的には、積層体4の樹脂層3の最低溶融粘度が好ましくは0.1Pa・s以上、10000Pa・s以下、さらに好ましくは、1Pa・s以上、500Pa・s以下となるように積層体4を加熱する。このように加熱することで、第一端子11とバンプ21とを確実に接触させることができる。
なお、粘度と加熱温度との関係は以下のように測定できる。
溶融粘度は、例えば、粘弾性測定装置であるレオメーターを用いて、フィルム状態のサンプルに10℃/分の昇温速度で、周波数1Hzのずり剪断を与えて測定される。
なお、本工程では、第一端子11の半田層112により、第一端子11とバンプ21とが半田接合されることはない。
【0042】
この工程では、図4〜図6に示す装置5を使用する。
装置5は、表面に半田層112を有する第一端子11を有する回路基板1の第一端子11と、この回路基板1の第一端子11に接合されるバンプ21を有する半導体素子2のバンプ21との間に、フラックス活性化合物と、熱硬化性樹脂とを含む樹脂層3を配置して、積層体4を形成した後、第一端子11と、バンプ21とを接触させるための装置である。この装置5は、複数の積層体4を同時に挟圧する挟圧部材53と、ダイアフラム54と、加熱炉51内を真空にするための気圧調整手段Pと、加熱炉51内に流体を導入する流体導入手段57とを備える。
【0043】
より、詳細に説明すると、装置5は、内部に複数の積層体4が配置される炉(加熱炉)51と、炉51内に配置される上熱板521、下熱板522と、挟圧部材である冶具53と、ダイアフラム54と、搬送部55とを備える。
炉51は、上型511と、下型512とで構成され、上型511と下型512とで構成される空間内に上熱板521、下熱板522が配置される。
上熱板521、下熱板522は、対向配置され、上熱板521と下熱板522との間には、冶具53および複数の積層体4が配置される。一対の熱板521,522は半田層112の融点未満の温度であり、樹脂層3の硬化温度未満の温度となっている。ここで、熱硬化性樹脂の硬化温度とは、熱硬化性樹脂が、JISK6900に準ずるC−ステージとなる温度のことをいう。
【0044】
冶具53は、平板状の部材531,532を備える。
部材531および部材532間に複数の積層体4が配置される。
部材531、532は、板状であり、平面矩形形状である。
【0045】
ここで、部材532、部材531の材料としては、特に制限されず、金属板、セラミックス板等が挙げられる。金属板としては、たとえば、ステンレス板、チタン板、鉛板があげられる。また、セラミック板としては、ガラス板、アルミナ板、窒化ケイ素板、ジルコニア板があげられる。ただし、熱伝導性の良好なものが好ましい。
【0046】
ダイアフラム54は、炉51内に配置されており、端部が下型512に固定されている。このダイアフラム54は、膜状の弾性体で構成され、たとえば、樹脂製またはゴム製の膜である。このダイアフラム54は、可とう性を有する。
ダイアフラム54は、硬度が10以上、70以下であり、厚みが0.5〜6mmであることが好ましい。
搬送部55は、冶具53の部材531および部材532間に挟まれた複数の積層体4を炉51内に搬送するものであり、たとえば、一対の搬送フィルムで構成される。
【0047】
次に、装置5の使用方法について説明する。
はじめに、炉51外で、図7に示すように、冶具53の部材531および部材532間に複数の積層体4を配置し、部材531および部材532で複数の積層体4をはさむ。
図7は、部材531および部材532で複数の積層体4をはさんだ状態を示す図である。
【0048】
次に、搬送部55に冶具53および複数の積層体4をのせ、炉51内に冶具53および複数の積層体4を搬送する(図4参照)。ここで、あらかじめ、上熱板521、下熱板522は加熱された状態となっている。その後、上型511を下型512側に移動させて、上型511および下型512間の隙間を閉じる。これにより、冶具53の部材531に上熱板521が当接することとなる。
次に、上型511の吸気口に接続された気圧調整手段Pにより、炉51内の気体(空気)を吸引し、炉51内を真空状態(500hPa以下)とする。より具体的には、上型511およびダイアフラム54で囲まれた部分が真空状態となる(図5参照)。なお、炉51内は真空状態であればよいがその気圧の下限値は特に限定されない。ただし、炉51の構造上の観点から0.1hPa以上であることが好ましい。
【0049】
その後、積層体4が所定の温度まで加熱されたら、図6に示すように、炉51内の気体を吸引した状態で真空状態を維持したまま、下型512に接続された流体導入手段57により、炉51内に加圧流体を導入する。なお、下型512の底面と、下熱板522との間には空隙があり、加圧流体は、下型512と、ダイアフラム54とで囲まれた空間内に導入される。加圧流体によりダイアフラム54が上方に押圧される。そして、ダイアフラム54が搬送部55の搬送フィルムを介して冶具53の部材531に当接し、部材531の表面形状に沿って弾性変形する。冶具53の部材531はダイアフラム54により上方に押圧され、冶具53は、ダイアフラム54と上熱板521とで挟圧される。そして、冶具53の部材531、532により、複数の積層体4が挟圧されることとなる。複数の積層体4を半田層112の融点未満かつ樹脂層3の硬化温度未満で加熱しながら、真空状態で積層体4の積層方向に沿って挟圧し、第一端子11とバンプ21とが接触するようにバンプ21が樹脂層3にめり込むこととなる。
なお、加圧流体としては、気体が好ましく、たとえば、窒素ガス、アルゴンガス等の非酸化性ガス、空気等のガスが好ましい。
次に、加圧流体による加圧を停止し、図示しない加圧流体排出口から加圧流体を排出する。その後、上型511、下型512を離間して、炉51内から、複数の積層体4を搬出する。
【0050】
その後、図8に示す装置6を使用して、複数の積層体4を第一端子11の半田層112の融点以上に加熱して、第一端子11と、バンプ21とを半田接合させる。
装置6は、積層体4を加圧雰囲気下で加熱することができるもので、構造としては、たとえば、積層体4を内部に収容する容器61と、この容器61内に流体を導入するための配管62とを有する。
容器61は圧力容器であることが特徴で、容器61内に積層体4を設置したのち、配管62から加熱し、さらに加圧した流体を容器61内へ流入させることにより、積層体4を加熱加圧することとなる。
また、配管62から流体を容器61内へ流入させ、加圧雰囲気下にしつつ、容器61を加熱することにより、積層体4を加熱することもできる。
容器61の材料としては、金属等があげられ、たとえば、ステンレス、チタン、銅である。
【0051】
流体により、積層体4を加圧する際の加圧力は、0.1〜10MPa、好ましくは0.5〜5MPaである。このようにすることで、硬化した樹脂層3中に空隙(ボイド)が発生し難くなる。なお、本発明において、流体で加圧するとは、積層体4の雰囲気の圧力を、大気圧より加圧力分だけ高くすることを指す。すなわち、加圧力10MPaとは、大気圧よりも、積層体にかかる圧力が10MPa大きいことを示す。
【0052】
容器61内に積層体4を設置した後、積層体4が加熱されるとともに、積層体4が加圧される。
積層体4を加圧する流体は、配管62から容器61内に導入され、積層体4を加圧することとなる。積層体4を加圧する流体としては、窒素ガス、アルゴンガス等の非酸化性ガス、空気等のガスが好ましい。
なかでも、非酸化性ガスを使用することが好ましい。非酸化性ガスを使用することで、第一端子11およびバンプ21の接合をより良好なものとすることができる。なお、非酸化性ガスとは、不活性ガス、窒素ガスのことを意味する。
積層体4の温度が半田層112の融点以上に達した後、容器61内の温度および圧力を保ちながら、所定時間、積層体4を、加熱および加圧する。これにより、積層体4の樹脂層3が硬化することとなる。
【0053】
その後、装置6から積層体4を取り出し、必要に応じて積層体4を再度硬化させる。
以上により、電子装置を得ることができる(図9参照)。図9では、第一端子11とバンプ21とが半田層112により接合され、バンプ21の先端が、半田層112に食い込んだ状態となっている。なお、図7で示した点線の切断ラインに従い、回路基板1間、樹脂層3間を切断することで、分離した複数の電子装置を得ることができる。
【0054】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態では、複数の積層体4を加熱しながら、複数の積層体4を同時に積層体4の積層方向から挟圧している。
これにより、一つ目の積層体4の回路基板1と半導体素子2とを挟圧している間に、他の積層体4の樹脂層3の硬化がすすんでしまうことが抑制される。
したがって、信頼性の高い電子装置を安定的に製造することができる。
【0055】
また、本実施形態では、加熱炉51内の気体を吸引し、真空下で、複数の積層体4を加熱するとともに加圧しているので、積層体4の樹脂層3中、樹脂層3と半導体素子2との界面および樹脂層3と回路基板1との界面に存在する気泡を脱気することができる。これにより、半導体素子2のバンプ21と回路基板1の第一端子11とを安定的に接続することができ、接続信頼性を高めることができる。
なお、真空下で複数の積層体4の加熱および加圧を行わない場合、すなわち、前記気泡が多数存在するような場合には、積層体4を得る工程における加熱により、気泡が膨張し、樹脂層3の樹脂が積層体4を挟む治具53に付着することがある。これにより、治具53から積層体4を取り外す際に、半導体素子2が回路基板1に対し位置ずれを起こし、接続信頼性が低下することがある。また、気泡が膨張することで、半導体素子2のバンプ21と回路基板1の第一端子11との位置ずれが生じることもある。
【0056】
さらに、本実施形態では、弾性変形可能なダイアフラム54を使用して、積層体4を加圧している。ダイアフラム54を、搬送フィルムを介して部材531に当接させて、弾性変形させて、積層体4の加圧を行っている。従って、部材531の表面に沿ってダイアフラム54を弾性変形させて加圧することができる。たとえば、部材531の表面に凹凸があるような場合にも、この部材531の表面に沿うようにダイアフラムを弾性変形させて加圧できる。特に、本実施形態では、ダイアフラム54は可とう性を有するので、凹凸に確実に従うようにダイアフラム54を弾性変形させて加圧できる。また、本実施形態では搬送フィルムを介してダイアフラム54を部材531に当接させているが、搬送フィルムも可とう性を有するので、部材531の表面形状に応じて変形させることができる。また、たとえば、部材531の厚みが不均一であるような場合にも、部材531の表面に沿うようにダイアフラム54を弾性変形させて加圧できる。
したがって、弾性変形不可能なプレス板等を使用する場合に比べて、過度に圧力がかかってしまう部分や、圧力が少ししかかからない部分等が生じてしまうことを抑制できる。そのため、各積層体4を確実に加圧することができ、半導体素子2のバンプ21と回路基板1の第一端子11との接続信頼性を高めることができる。
【0057】
さらに、本実施形態では、治具53を使用して、複数の積層体4を挟圧している。そのため、積層体4を加圧する際に、樹脂層3に搬送フィルムや、ダイアフラム54が直接接触することが防止され、搬送フィルムや、ダイアフラム54が樹脂層3により汚れてしまうことを防止できる。
【0058】
また、本実施形態では、積層体4を加圧流体により加圧して樹脂層3を硬化させているため、樹脂層3の硬化物中の気泡等の空隙の発生を抑制できる。さらに、第一端子11およびバンプ21を半田接合する際に、流体により積層体4を加圧すれば、樹脂層3の密度を高めて、体積を低減させることにより、第一端子11とバンプ21とが圧着する方向に力を作用させることが可能となる。
さらに、第一端子11およびバンプ21を接合する際に、流体により積層体4を加圧すれば、樹脂層3の発泡による樹脂流動が抑制でき、第一端子11およびバンプ21間のずれを確実に低減させることができる。
【0059】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
たとえば、前記実施形態では、装置5において冶具53を使用していたが、これに限らず、図10に示すように、冶具53を使用しなくてもよい。
この場合には、ダイアフラム54を直接複数の積層体4に接触させ、ダイアフラム54と上熱板521とで積層体4を挟圧してもよい。
ダイアフラム54は、積層体4の半導体素子2に接触し、半導体素子2の表面に沿うように弾性変形して、積層体4を積層方向から加圧することとなる。この場合にも、前記実施形態と同様に、各積層体4を確実に加圧することができる。
さらに、厚みの異なる半導体素子2を使用した場合であっても、半導体素子2の表面をダイアフラム54で押圧することが可能となるので、複数種類の半導体装置を同時に製造することも可能となる。
【0060】
さらに、前記実施形態では、ダイアフラム54を下型512に固定していたが、これに限らず、ダイアフラム54を上型511に固定し、上型511側から、加圧流体を導入し、ダイアフラム54により積層体4を加圧してもよい。
【0061】
また、前記実施形態では、回路基板1同士、樹脂層3同士が連なっていたが、これに限られるものではない。たとえば、あらかじめ回路基板1同士、樹脂層3同士が分離しており、回路基板1間、樹脂層3間に隙間(空隙)があってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 回路基板
2 半導体素子
3 樹脂層
4 積層体
5 装置
6 装置
11 第一端子
21 バンプ
51 加熱炉(炉)
53 挟圧部材(治具)
54 ダイアフラム
55 搬送部
57 流体導入手段
61 容器
62 配管
111 第一端子本体
112 半田層
511 上型
512 下型
521 上熱板
522 下熱板
531 部材
532 部材
P 気圧調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に半田層を有する第一端子を有する回路基板と、この回路基板の前記第一端子に接合されるバンプを有する半導体素子とを備える半導体装置の製造方法であって、
前記回路基板の第一端子と、前記半導体素子のバンプとの間に、フラックス活性化合物と熱硬化性樹脂とを含む樹脂層を配置して積層体を得る工程と、
前記積層体を前記第一端子の前記半田層の融点以上に加熱して、前記第一端子と、前記バンプとを半田接合させ、流体により前記積層体を加圧しながら、前記樹脂層を硬化させる工程とを含み、
積層体を得る前記工程では、
複数の前記回路基板の第一端子と、複数の前記半導体素子のバンプとをそれぞれ対向配置させ、各第一端子と各バンプとの間に前記樹脂層を配置して複数の積層体を形成し、複数の前記積層体を加熱炉内で加熱しながら、前記加熱炉内に配置されたダイアフラムを弾性変形させることより、前記複数の積層体を真空下で同時に前記積層体の積層方向から加圧する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
積層体を得る前記工程では、
前記加熱炉内に流体を導入し、前記ダイアフラムが前記流体により、前記積層体側に押され、前記ダイアフラムの弾性変形により、前記複数の積層体を同時に前記積層体の積層方向から加圧する半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記加熱炉内部には、前記一対の挟圧部材が配置されるとともに、前記一対の挟圧部材のうち、少なくとも一の挟圧部材の外側に前記ダイアフラムが配置され、
前記一対の挟圧部材間に、前記複数の積層体を配置した後、前記加熱炉内に前記流体を導入することで、前記ダイアフラムが前記流体により押圧されて、前記ダイアフラムが前記挟圧部材に当接して弾性変形するとともに、前記挟圧部材を押圧し、前記一対の挟圧部材が前記積層体を加圧する半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
積層体を得る前記工程では、前記積層体の前記樹脂層の粘度が0.1Pa・s以上、10000Pa・s以下となるように、前記積層体を加熱する半導体装置の製造方法。
【請求項5】
表面に半田層を有する第一端子を有する回路基板の前記第一端子と、この回路基板の前記第一端子に接合されるバンプを有する半導体素子の前記バンプとの間に、フラックス活性化合物と、熱硬化性樹脂とを含む樹脂層を配置して、積層体を形成した後、前記第一端子と、前記バンプとを接触させるための装置であって、
複数の積層体を加熱する加熱炉と、
前記加熱炉内を真空にするための手段と、
この加熱炉内に配置され、複数の積層体を同時に前記積層体の積層方向から加圧する弾性変形可能なダイアフラムと、を備える装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記加熱炉内に流体を導入する導入手段を備え、
前記導入手段から導入された流体により、前記ダイアフラムが前記積層体側に押圧され、前記ダイアフラムが弾性変形することにより、前記複数の積層体を同時に前記積層体の積層方向から加圧する構成である装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−104782(P2012−104782A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254535(P2010−254535)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】