半導体装置の製造方法
【課題】より高耐圧で高性能な半導体装置を製造することが可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板102を準備する半導体基板準備工程と、半導体基板102の表面に不純物イオン注入用マスクM1を形成し、不純物イオン注入用マスクM1の開口部からn型不純物イオンを注入する不純物イオン注入工程と、半導体基板102を所定のアニール温度に加熱してn型不純物イオンを活性化するアニール工程と、半導体基板102を所定の埋め込み拡散温度に加熱してアニール工程で活性化されたn型不純物原子の埋め込み拡散を行う埋め込み拡散工程とをこの順序で含む半導体装置の製造方法において、半導体基板準備工程において準備する半導体基板102は、埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板であることを特徴とする。
【解決手段】半導体基板102を準備する半導体基板準備工程と、半導体基板102の表面に不純物イオン注入用マスクM1を形成し、不純物イオン注入用マスクM1の開口部からn型不純物イオンを注入する不純物イオン注入工程と、半導体基板102を所定のアニール温度に加熱してn型不純物イオンを活性化するアニール工程と、半導体基板102を所定の埋め込み拡散温度に加熱してアニール工程で活性化されたn型不純物原子の埋め込み拡散を行う埋め込み拡散工程とをこの順序で含む半導体装置の製造方法において、半導体基板準備工程において準備する半導体基板102は、埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信機器などの電子機器は、異常電圧などに敏感なICやLSIが多用されている。このため、雷などの衝撃電圧(サージ電圧という。)や衝撃電流(サージ電流という。)などに対して十分な対策が必要である。このようなサージ電圧やサージ電流から電子機器を防護する半導体装置として2端子型双方向性サイリスタが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図9は、従来の2端子型双方向性サイリスタの構成を説明するために示す図である。
従来の2端子型双方向性サイリスタ900は、図9に示すように、例えば、n−型半導体基板902の一方の表面及び他方の表面それぞれにベース層932、エミッタ層942及びオーミック層952が形成され、さらに、ガラス層960及び半田層970が形成された構成を有し、このような2端子型双方向性サイリスタ900は、サージ電圧やサージ電流から電子機器を防護するサージ防護素子として用いられている。
【0004】
ところで、このような2端子型双方向性サイリスタにおいて、ベース層よりも深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成することによって、従来よりも高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)な2端子型双方向性サイリスタが実現できると考えられる。
【0005】
図10は、ベース層よりも深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成するようにした2端子型双方向性サイリスタの製造方法を説明するために示す図である。図10(a)〜図10(d)は各工程図である。
なお、図10は、2端子型双方向性サイリスタの製造方法のうち、n+型埋め込み拡散領域を形成する工程(埋め込み拡散領域形成工程という。)のみが示されている。また、「ベース層よりも深い位置に埋め込み拡散領域を形成するようにした2端子型双方向性サイリスタの製造方法」を以下では便宜上「従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法」と呼ぶことにする。
【0006】
従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法は、図10に示すように、半導体基板902を準備する半導体基板準備工程(図10(a)参照。)と、半導体基板902の一方の表面及び他方の表面それぞれに下地酸化膜910及び不純物イオン注入用マスクM1を形成し、当該不純物イオン注入用マスクM1の開口部から下地酸化膜910を介して半導体基板902にn型不純物イオン(例えばリンイオン)を注入する不純物イオン注入工程(図10(b)参照。)と、不純物イオン注入用マスクM1を除去したのち、半導体基板902を所定のアニール温度T1に加熱して半導体基板902に注入された不純物イオンを活性化するアニール工程(図10(c)参照。)と、半導体基板902をアニール温度T1よりも高い所定の埋め込み拡散温度T2に加熱して、アニール工程で活性化されたn型不純物原子の埋め込み拡散を行って、n+型埋め込み拡散領域924を形成する埋め込み拡散工程(図10(d)参照。)とをこの順序で含む。
【0007】
図10に示す各工程を順次行うことにより半導体基板902にn+型埋め込み拡散領域924を形成することができ、それによって、n+型埋め込み拡散領域924の存在しない2端子型双方向性サイリスタに比べて高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)な2端子型双方向性サイリスタを製造することができると考えられる。
【0008】
【特許文献1】特開平5−275687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の2端子型双方向性サイリスタ製造方法において、半導体基板902の深い位置にn型不純物を拡散させるためには、例えば、1275℃、140時間といった高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行う必要がある。このように、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うと、当該埋め込み拡散工程中に半導体基板902に含まれる酸素の多くがドナー化し、半導体基板902におけるn型不純物の不純物濃度が高くなってしまい、半導体基板902の深い位置にn+型埋め込み拡散領域924を形成することが困難となるという問題がある。
【0010】
図11は、従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法の問題点を説明するために示す図である。図11(a)は半導体基板準備工程(図10(a)参照。)で準備された半導体基板902における深さ方向のn型不純物の不純物濃度を示す図であり、図11(b)は埋め込み拡散工程を行った後における深さ方向のn型不純物の不純物濃度を示す図である。
なお、図11において、横軸は半導体基板902の表面からの深さを表し、縦軸は半導体基板902に含まれるn型不純物の不純物濃度を表している。
【0011】
半導体基板902は、初期状態においてはn型不純物の不純物濃度の設定値として、図11(a)の太線で示すようなn型不純物の不純物濃度(C2とする)を有しており、このようなn型不純物の不純物濃度C2を有している半導体基板902を用いて、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うと、上記したように、埋め込み拡散工程中に半導体基板902に含まれる酸素の多くがドナー化し、半導体基板902におけるn型不純物の不純物濃度が所定量(ΔC2とする)だけ高くなり、半導体基板902におけるn型不純物の不純物濃度が必要以上に高いものとなってしまう。このため、図11(b)に示すように、半導体基板902の深い位置にn+型埋め込み拡散領域924を形成することができなくなる。
【0012】
すなわち、図11の例においては、埋め込み拡散工程によって形成されるn+型埋め込み拡散領域の深さはD1の位置であり、所望とするn+型埋め込み拡散領域の深さが仮にD2であったとすれば、所望とする深さ位置にn+型埋め込み拡散領域を形成することができなくなるのである。
【0013】
なお、このような問題は、2端子型双方向性サイリスの製造方法のみに見られる問題ではなく、半導体基板の深い位置に埋め込み拡散領域を形成することが要求される半導体装置(例えば、ファーストリカバリダイオード)の製造方法全般に見られる問題である。
【0014】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、より高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)な半導体装置を製造することが可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板を準備する半導体基板準備工程と、前記半導体基板の表面に不純物イオン注入用マスクを形成し、当該不純物イオン注入用マスクの開口部から前記半導体基板にn型不純物イオンを注入する不純物イオン注入工程と、前記半導体基板を所定のアニール温度に加熱して前記半導体基板に注入されたn型不純物イオンを活性化するアニール工程と、前記半導体基板を前記アニール温度よりも高い所定の埋め込み拡散温度に加熱して前記アニール工程で活性化されたn型不純物原子の埋め込み拡散を行う埋め込み拡散工程とをこの順序で含む半導体装置の製造方法において、前記半導体基板準備工程において準備する半導体基板は、前記埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板であることを特徴とする。
【0016】
本発明の半導体装置の製造方法においては、埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板を用いて、不純物注入工程、アニール工程及び埋め込み拡散工程をこの順序で行うようにしている。このため、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うことによって、埋め込み拡散工程中に酸素(半導体基板に元々含まれている酸素又は埋め込み拡散工程中に半導体基板に導入される酸素)の多くがドナー化しても、半導体基板のn型不純物の不純物濃度はそれほど高くはならない。これにより、半導体基板の深い位置にn型不純物を拡散させることができ、半導体基板の深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成することができる。その結果、従来より高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)な半導体装置を製造することができる。なお、上記n型不純物の不純物濃度の設定値というのは、従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法において用いられる半導体基板が元々有するn型不純物の不純物濃度C2(図11(a)参照。)である。
【0017】
(2)本発明の半導体装置の製造方法においては、前記半導体基板準備工程において準備する半導体基板は、n型不純物の不純物濃度が5×1013cm−3以下の半導体基板であることが好ましい。
【0018】
このようなn型不純物の不純物濃度を有する半導体基板を用いて上記した各工程を行うことにより好結果が得られる。なお、n型不純物の不純物濃度が5×1013cm−3以下の半導体基板は、一般的には、100Ω・cm以上の比抵抗を有しているので、このような比抵抗を有する半導体基板を選べばよい。
【0019】
(3)本発明の半導体装置の製造方法においては、前記半導体基板は、引き上げ法によって製造された半導体基板であってもよい。
【0020】
このような方法とすることにより、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うことによって、埋め込み拡散工程中に半導体基板に元々含まれている酸素の多くがドナー化しても、半導体基板のn型不純物の不純物濃度はそれほど高くはならない。
【0021】
(4)本発明の半導体装置の製造方法においては、前記半導体基板は、ゾーン溶融法によって製造された半導体基板であってもよい。
【0022】
このような方法とすることにより、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うことによって、埋め込み拡散工程中に酸素が熱処理炉から半導体基板に導入され、さらには埋め込み拡散工程中に当該酸素の多くがドナー化しても、半導体基板のn型不純物の不純物濃度はそれほど高くはならない。
【0023】
(5)本発明の半導体装置の製造方法においては、前記半導体装置は、2端子型双方向性サイリスタであることが好ましい。
【0024】
このような方法とすることにより、半導体基板の深い位置に埋め込み拡散領域を形成することができるため、高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)な2端子型双方向性サイリスタを製造することができる。また、本発明の半導体装置の製造方法によって製造された2端子型双方向性サイリスタは、サージ電圧やサージ電流から電子機器を防護するサージ防護素子として、高い防護性能を有するサージ防護素子となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態においては、半導体装置として、2端子型双方向性サイリスタを例にとって説明する。
【0026】
[実施形態1]
実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法は、埋め込み拡散領域形成工程、ベース層形成工程、エミッタ層形成工程、オーミック層形成工程をこの順序で含む。以下にこれら各工程を順次説明する。
【0027】
〔埋め込み拡散領域形成工程〕
図1は、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法のうちの埋め込み拡散領域形成工程を説明するために示す図である。図1(a)〜図1(d)は各工程を示す図である。
埋め込み拡散領域形成工程は、図1に示すように、半導体基板準備工程(図1(a)参照。)、不純物イオン注入工程(図1(b)参照。)、アニール工程(図1(c)参照。)及び埋め込み拡散工程(図1(d)参照。)をこの順序で行う。
【0028】
図1(a)〜図1(d)の各工程は、図10(a)〜図10(d)の各工程に対応するものであるが、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法においては、半導体基板準備工程(図1(a)参照。)において準備する半導体基板におけるn型不純物の不純物濃度が、従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法において準備する半導体基板902と異なっている。
【0029】
すなわち、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法においては、引き上げ法によって製造された半導体基板であって、埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板102を用いる。具体的には、半導体基板102は、n型不純物の不純物濃度が5×1013cm−3以下の半導体基板である。このようなn型不純物の不純物濃度を有する半導体基板は、一般的には、100Ω・cm以上の比抵抗を有する半導体基板を選べばよい。なお、上記n型不純物の不純物濃度の設定値というのは、従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法において用いられる半導体基板902が元々有するn型不純物の不純物濃度C2(図11(a)参照。)である。
【0030】
そして、上記のようなn型不純物の不純物濃度を有する半導体基板102の一方の表面及び他方の表面それぞれに下地酸化膜110及び不純物イオン注入用マスクM1(例えばフォトレジスト又はシリコン酸化膜)を形成し、不純物イオン注入用マスクM1の開口部から下地酸化膜110を介して半導体基板102にn型不純物イオン(例えばリンイオン)を注入する不純物イオン注入工程(図1(b)参照。)と、半導体基板102を所定のアニール温度T1に加熱して半導体基板102に注入されたn型不純物イオンを活性化するアニール工程(図1(c)参照。)と、半導体基板102をアニール温度T1よりも高い所定の埋め込み拡散温度T2に加熱して、アニール工程で活性化されたn型不純物原子の埋め込み拡散を行って、n+型埋め込み拡散領域124を形成する埋め込み拡散工程(図1(d)参照。)とをこの順序で行う。
【0031】
半導体基板として上記のような不純物濃度を有する半導体基板102を用いることにより、たとえ、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行った場合でも、半導体基板102の深い位置までn型不純物を拡散させることができる。これにより、半導体基板102の深い位置にn+型埋め込み拡散領域124を形成することができる。
【0032】
図2は、半導体基板102の深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成することができる理由について説明する図である。図2は図11に対応するものであり、図2(a)は半導体基板準備工程(図1(a)参照。)において準備された半導体基板102の深さ方向のn型不純物の不純物濃度を示す図であり、図2(b)は埋め込み拡散工程(図1(d)参照。)を行った後における深さ方向のn型不純物の不純物濃度を示す図である。なお、図2においても図11同様、横軸は半導体基板102の表面からの深さを表し、縦軸は半導体基板102に含まれるn型不純物の不純物濃度を表している。
【0033】
実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法においては、図2(a)に示すように、半導体基板準備工程で準備される半導体基板102におけるn型不純物の不純物濃度(C1とする)は、従来の2端子型双方向性サイリスタ製造方法において用いられる半導体基板902におけるn型不純物の不純物濃度C2(例えば1×1015cm−3)よりも低い値となっている。具体的には、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法においては、n型不純物の不純物濃度が5×1013cm−3以下の半導体基板102としている。このような低いn型不純物の不純物濃度を有する半導体基板102を用いることによって、たとえ、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行った場合でも、図2(b)に示すように、半導体基板102の深い位置まで不純物を拡散させることができる。
【0034】
すなわち、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うことによって、埋め込み拡散工程中に半導体基板102に含まれる酸素の多くがドナー化し、半導体基板102におけるn型不純物の不純物濃度がΔC1だけ高くなったとしても、半導体基板102のn型不純物の不純物濃度はそれほど高くはならず、従来の埋め込み拡散領域を有する2端子型双方向性サイリスタ製造方法において用いられる半導体基板902がもともと有するn型不純物の不純物濃度C2と同程度の濃度となる(図2(b)参照。)。このため、半導体基板102の深い位置(所望とする位置D2とする。)までn+型不純物を拡散させることができ、半導体基板102の深い位置にまでn+型埋め込み拡散領域を形成することができる。なお、n+型埋め込み拡散領域の深さは例えば80μmであり、半導体基板表面におけるn型不純物の不純物濃度は例えば1×1017cm−3である。
【0035】
上記した埋め込み拡散領域形成工程が終了すると、続いて、ベース層形成工程、エミッタ層形成工程及びオーミック層形成工程を順次行う。
【0036】
図3は、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちのベース層形成工程を説明するために示す図である。
図4は、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちのエミッタ層形成工程を説明するために示す図である。
図5は、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちのオーミック層形成工程を説明するために示す図である。
以下、これら各工程について順次説明する。
【0037】
〔ベース層形成工程〕
ベース層を形成するための不純物イオン注入用マスクM2(例えばフォトレジスト又はシリコン酸化膜)を半導体基板102の一方の表面及び他方の表面にそれぞれ形成し、当該不純物イオン注入用マスクM2の開口部からp型不純物イオン(例えばボロンイオン)をそれぞれ注入する(図3(a)参照。)。その後、不純物イオン注入用マスクM2を除去してアニール工程を行い、p型不純物を活性化して(図3(b)参照。)、半導体基板102の一方の表面及び他方の表面それぞれにベース層132を形成する。なお、ベース層132の深さは例えば25μmであり、p型不純物の不純物濃度は例えば5×1018cm−3である。
【0038】
〔エミッタ層形成工程〕
エミッタ層を形成するための不純物イオン注入用マスクM3(例えばフォトレジスト又はシリコン酸化膜)を半導体基板102の一方の表面及び他方の表面にそれぞれ形成し、当該不純物イオン注入用マスクM3の開口部からn型不純物イオン(例えばリンイオン)をそれぞれ注入する(図4(a)参照。)。その後、不純物イオン注入用マスクM3を除去してアニール工程を行い、n型不純物を活性化して(図4(b)参照。)、半導体基板102の一方の表面及び他方の表面それぞれにエミッタ層142及びチャネルストッパ144を形成する。なお、エミッタ層142の深さは例えば10μmであり、n型不純物の不純物濃度は例えば1×1019cm−3である。
【0039】
〔オーミック層形成工程〕
オーミック層を形成するための不純物イオン注入用マスクM4(例えばフォトレジスト又はシリコン酸化膜)を半導体基板100の一方の表面及び他方の表面にそれぞれ形成し、当該不純物イオン注入用マスクM4の開口部からp型不純物イオン(例えばボロンイオン)をそれぞれ注入する(図5(a)参照。)。その後、不純物イオン注入用マスクM4を除去してアニール工程を行い、p型不純物を活性化して(図5(b)参照。)、半導体基板100の一方の表面及び他方の表面それぞれにオーミック層152を形成する。なお、オーミック層152の深さは例えば10μmであり、p型不純物濃度は例えば1×1019cm−3である。
【0040】
上記した埋め込み拡散領域形成工程、ベース層形成工程、エミッタ層形成工程及びオーミック層形成工程を行った後、ガラス層160、半田層170を順次形成することによって実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタ100が製造される。
【0041】
図6は、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法によって製造された2端子型双方向性サイリスタ100の構成を説明するために示す図である。
実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタ100は、埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板102を用いているので、半導体基板102の深い位置にn+型埋め込み拡散領域124を形成することができる。その結果、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法によって製造される2端子型双方向性サイリスタは、より高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)なものとなり、サージ防護素子として好適な2端子型双方向性サイリスタとすることができる。
【0042】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法のうちの埋め込み拡散領域形成工程を説明するために示す図である。
図8は、実施形態2及び1に係る半導体装置の製造方法のうちアニール工程S114〜埋め込み拡散工程S116における、処理温度と導入ガスの種類を説明するために示す図である。
【0043】
実施形態2に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施形態1に係る半導体装置の製造方法と同様の工程を有するが、埋め込み拡散領域形成工程S110の内容が実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と異なる。すなわち、実施形態2に係る半導体装置の製造方法においては、図7(b)に示すように、不純物イオン注入工程S112において、下地酸化膜110を介することなく半導体基板102に直接不純物イオンを注入することとしている。また、アニール工程S114と埋め込み拡散工程S116とを同一の熱処理炉で行うとともに、図8に示すように、アニール工程S114終了後、熱処理炉中に酸素ガスを導入した状態でアニール温度T1から埋め込み拡散温度T2に昇温し、熱処理炉中に酸素ガスを導入した状態のまま埋め込み拡散工程S116を開始することとしている。このため、半導体基板102には埋め込み拡散工程中に熱処理炉から酸素が導入され、導入された酸素がドナー化されることとなる。
【0044】
しかしながら、実施形態2に係る半導体装置の製造方法によれば、実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と同様に、埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板を用いて、不純物イオン注入工程、アニール工程及び埋め込み拡散工程をこの順序で行うようにしているため、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うことによって、埋め込み拡散工程中に酸素(半導体基板に元々含まれている酸素又は埋め込み拡散工程中に半導体基板に導入される酸素)の多くがドナー化しても、半導体基板のn型不純物の不純物濃度はそれほど高くはならない。これにより、半導体基板の深い位置までn型不純物を拡散させることができ、半導体基板の深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成することができる。その結果、従来より高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)な半導体装置を製造することができる。
【0045】
なお、実施形態2に係る半導体装置の製造方法によれば、不純物イオン注入工程S112においては、下地酸化膜110を介することなく半導体基板102に直接不純物イオンを注入することしているため、不純物イオン注入工程に用いる下地酸化膜の膜厚のばらつきに起因して注入される不純物イオンの濃度のばらつきを小さくすることが可能となり、逆方向耐圧VBRのばらつきの小さな半導体装置を製造することができるという効果も得られる。
【0046】
なお、実施形態2に係る半導体装置の製造方法は、埋め込み拡散領域形成工程S110以外の工程については実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と同様の工程を含むため、実施形態1に係る半導体装置の製造方法が有する効果のうち該当する効果を同様に有する。
【0047】
以上、本発明の半導体装置の製造方法を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0048】
(1)上記各実施形態においては、2端子型双方向性サイリスタの製造方法を例にとって本発明の半導体装置の製造方法を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、半導体基板の深い位置に埋め込み拡散領域を形成することが要求される他の半導体装置(例えば、ファーストリカバリダイオード。)の製造方法に本発明を適用することもできる。
【0049】
(2)上記各実施形態においては、引き上げ法により製造された半導体基板を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。実施形態2においては、ゾーン溶融法により製造された半導体基板を用いてもよい。このような場合であっても、本発明の効果を得ることができる。
【0050】
(3)上記各実施形態においては、エミッタ層形成工程の終了後にオーミック層形成工程を行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、オーミック層形成工程の終了後にエミッタ層形成工程を行うこととしてもよい。
【0051】
(4)上記各実施形態においては、ベース層形成工程及びオーミック層形成工程において、イオン注入法を用いて不純物イオンを導入しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、熱拡散法を用いて不純物イオンを導入してもよい。このとき、熱拡散法に用いる拡散源として、気体、液体又は固体の拡散源を用いることができる。気体の拡散源としては例えばBCl3(三塩化ホウ素)を用いることができ、液体の拡散源としては例えばPBF(ポリボロンフィルム)を用いることができ、固体の拡散源としては例えばBN板(窒化ホウ素からなる板)を用いることができる。
【0052】
(5)上記各実施形態においては、エミッタ層形成工程において、イオン注入法を用いて不純物イオンを導入しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、熱拡散法を用いて半導体基板に不純物イオンを導入してもよい。このとき、熱拡散法に用いる拡散源として、液体の拡散源を用いることができる。液体の拡散源としては例えばPOCl3(オキシ塩化リン)を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちの埋め込み拡散領域形成工程を説明するために示す図である。
【図2】半導体基板100の深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成することができる理由について説明する図である。
【図3】実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちのベース層形成工程を説明するために示す図である。
【図4】実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちのエミッタ層形成工程を説明するために示す図である。
【図5】実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちのオーミック層形成工程を説明するために示す図である。
【図6】実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法によって製造された2端子型双方向性サイリスタ100の構成を説明するために示す図である。
【図7】実施形態2に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法のうちの埋め込み拡散領域形成工程を説明するために示す図である。
【図8】実施形態2及び1に係る半導体装置の製造方法のうちアニール工程S114〜埋め込み拡散工程S116における、処理温度と導入ガスの種類を説明するために示す図である。
【図9】従来の2端子型双方向性サイリスタの構成を説明するために示す図である。
【図10】ベース層よりも深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成するようにした2端子型双方向性サイリスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図11】従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法の問題点を説明するために示す図である。
【符号の説明】
【0054】
100,900・・・2端子型双方向性サイリスタ、102,902・・・半導体基板、110,910・・下地酸化膜、112・・・保護酸化膜、120,141,143,920・・・n型不純物イオン注入領域、122,922・・・活性化されたn型不純物領域、124,924・・・埋め込み拡散領域、131,151・・・p型不純物イオン注入領域、132,932・・・ベース層、142,942・・・エミッタ層、152,952・・・オーミック層、160,960・・・ガラス層、170,970・・・半田層、M1〜M4・・・不純物イオン注入用マスク
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信機器などの電子機器は、異常電圧などに敏感なICやLSIが多用されている。このため、雷などの衝撃電圧(サージ電圧という。)や衝撃電流(サージ電流という。)などに対して十分な対策が必要である。このようなサージ電圧やサージ電流から電子機器を防護する半導体装置として2端子型双方向性サイリスタが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図9は、従来の2端子型双方向性サイリスタの構成を説明するために示す図である。
従来の2端子型双方向性サイリスタ900は、図9に示すように、例えば、n−型半導体基板902の一方の表面及び他方の表面それぞれにベース層932、エミッタ層942及びオーミック層952が形成され、さらに、ガラス層960及び半田層970が形成された構成を有し、このような2端子型双方向性サイリスタ900は、サージ電圧やサージ電流から電子機器を防護するサージ防護素子として用いられている。
【0004】
ところで、このような2端子型双方向性サイリスタにおいて、ベース層よりも深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成することによって、従来よりも高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)な2端子型双方向性サイリスタが実現できると考えられる。
【0005】
図10は、ベース層よりも深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成するようにした2端子型双方向性サイリスタの製造方法を説明するために示す図である。図10(a)〜図10(d)は各工程図である。
なお、図10は、2端子型双方向性サイリスタの製造方法のうち、n+型埋め込み拡散領域を形成する工程(埋め込み拡散領域形成工程という。)のみが示されている。また、「ベース層よりも深い位置に埋め込み拡散領域を形成するようにした2端子型双方向性サイリスタの製造方法」を以下では便宜上「従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法」と呼ぶことにする。
【0006】
従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法は、図10に示すように、半導体基板902を準備する半導体基板準備工程(図10(a)参照。)と、半導体基板902の一方の表面及び他方の表面それぞれに下地酸化膜910及び不純物イオン注入用マスクM1を形成し、当該不純物イオン注入用マスクM1の開口部から下地酸化膜910を介して半導体基板902にn型不純物イオン(例えばリンイオン)を注入する不純物イオン注入工程(図10(b)参照。)と、不純物イオン注入用マスクM1を除去したのち、半導体基板902を所定のアニール温度T1に加熱して半導体基板902に注入された不純物イオンを活性化するアニール工程(図10(c)参照。)と、半導体基板902をアニール温度T1よりも高い所定の埋め込み拡散温度T2に加熱して、アニール工程で活性化されたn型不純物原子の埋め込み拡散を行って、n+型埋め込み拡散領域924を形成する埋め込み拡散工程(図10(d)参照。)とをこの順序で含む。
【0007】
図10に示す各工程を順次行うことにより半導体基板902にn+型埋め込み拡散領域924を形成することができ、それによって、n+型埋め込み拡散領域924の存在しない2端子型双方向性サイリスタに比べて高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)な2端子型双方向性サイリスタを製造することができると考えられる。
【0008】
【特許文献1】特開平5−275687号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の2端子型双方向性サイリスタ製造方法において、半導体基板902の深い位置にn型不純物を拡散させるためには、例えば、1275℃、140時間といった高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行う必要がある。このように、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うと、当該埋め込み拡散工程中に半導体基板902に含まれる酸素の多くがドナー化し、半導体基板902におけるn型不純物の不純物濃度が高くなってしまい、半導体基板902の深い位置にn+型埋め込み拡散領域924を形成することが困難となるという問題がある。
【0010】
図11は、従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法の問題点を説明するために示す図である。図11(a)は半導体基板準備工程(図10(a)参照。)で準備された半導体基板902における深さ方向のn型不純物の不純物濃度を示す図であり、図11(b)は埋め込み拡散工程を行った後における深さ方向のn型不純物の不純物濃度を示す図である。
なお、図11において、横軸は半導体基板902の表面からの深さを表し、縦軸は半導体基板902に含まれるn型不純物の不純物濃度を表している。
【0011】
半導体基板902は、初期状態においてはn型不純物の不純物濃度の設定値として、図11(a)の太線で示すようなn型不純物の不純物濃度(C2とする)を有しており、このようなn型不純物の不純物濃度C2を有している半導体基板902を用いて、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うと、上記したように、埋め込み拡散工程中に半導体基板902に含まれる酸素の多くがドナー化し、半導体基板902におけるn型不純物の不純物濃度が所定量(ΔC2とする)だけ高くなり、半導体基板902におけるn型不純物の不純物濃度が必要以上に高いものとなってしまう。このため、図11(b)に示すように、半導体基板902の深い位置にn+型埋め込み拡散領域924を形成することができなくなる。
【0012】
すなわち、図11の例においては、埋め込み拡散工程によって形成されるn+型埋め込み拡散領域の深さはD1の位置であり、所望とするn+型埋め込み拡散領域の深さが仮にD2であったとすれば、所望とする深さ位置にn+型埋め込み拡散領域を形成することができなくなるのである。
【0013】
なお、このような問題は、2端子型双方向性サイリスの製造方法のみに見られる問題ではなく、半導体基板の深い位置に埋め込み拡散領域を形成することが要求される半導体装置(例えば、ファーストリカバリダイオード)の製造方法全般に見られる問題である。
【0014】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、より高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)な半導体装置を製造することが可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板を準備する半導体基板準備工程と、前記半導体基板の表面に不純物イオン注入用マスクを形成し、当該不純物イオン注入用マスクの開口部から前記半導体基板にn型不純物イオンを注入する不純物イオン注入工程と、前記半導体基板を所定のアニール温度に加熱して前記半導体基板に注入されたn型不純物イオンを活性化するアニール工程と、前記半導体基板を前記アニール温度よりも高い所定の埋め込み拡散温度に加熱して前記アニール工程で活性化されたn型不純物原子の埋め込み拡散を行う埋め込み拡散工程とをこの順序で含む半導体装置の製造方法において、前記半導体基板準備工程において準備する半導体基板は、前記埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板であることを特徴とする。
【0016】
本発明の半導体装置の製造方法においては、埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板を用いて、不純物注入工程、アニール工程及び埋め込み拡散工程をこの順序で行うようにしている。このため、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うことによって、埋め込み拡散工程中に酸素(半導体基板に元々含まれている酸素又は埋め込み拡散工程中に半導体基板に導入される酸素)の多くがドナー化しても、半導体基板のn型不純物の不純物濃度はそれほど高くはならない。これにより、半導体基板の深い位置にn型不純物を拡散させることができ、半導体基板の深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成することができる。その結果、従来より高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)な半導体装置を製造することができる。なお、上記n型不純物の不純物濃度の設定値というのは、従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法において用いられる半導体基板が元々有するn型不純物の不純物濃度C2(図11(a)参照。)である。
【0017】
(2)本発明の半導体装置の製造方法においては、前記半導体基板準備工程において準備する半導体基板は、n型不純物の不純物濃度が5×1013cm−3以下の半導体基板であることが好ましい。
【0018】
このようなn型不純物の不純物濃度を有する半導体基板を用いて上記した各工程を行うことにより好結果が得られる。なお、n型不純物の不純物濃度が5×1013cm−3以下の半導体基板は、一般的には、100Ω・cm以上の比抵抗を有しているので、このような比抵抗を有する半導体基板を選べばよい。
【0019】
(3)本発明の半導体装置の製造方法においては、前記半導体基板は、引き上げ法によって製造された半導体基板であってもよい。
【0020】
このような方法とすることにより、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うことによって、埋め込み拡散工程中に半導体基板に元々含まれている酸素の多くがドナー化しても、半導体基板のn型不純物の不純物濃度はそれほど高くはならない。
【0021】
(4)本発明の半導体装置の製造方法においては、前記半導体基板は、ゾーン溶融法によって製造された半導体基板であってもよい。
【0022】
このような方法とすることにより、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うことによって、埋め込み拡散工程中に酸素が熱処理炉から半導体基板に導入され、さらには埋め込み拡散工程中に当該酸素の多くがドナー化しても、半導体基板のn型不純物の不純物濃度はそれほど高くはならない。
【0023】
(5)本発明の半導体装置の製造方法においては、前記半導体装置は、2端子型双方向性サイリスタであることが好ましい。
【0024】
このような方法とすることにより、半導体基板の深い位置に埋め込み拡散領域を形成することができるため、高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)な2端子型双方向性サイリスタを製造することができる。また、本発明の半導体装置の製造方法によって製造された2端子型双方向性サイリスタは、サージ電圧やサージ電流から電子機器を防護するサージ防護素子として、高い防護性能を有するサージ防護素子となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態においては、半導体装置として、2端子型双方向性サイリスタを例にとって説明する。
【0026】
[実施形態1]
実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法は、埋め込み拡散領域形成工程、ベース層形成工程、エミッタ層形成工程、オーミック層形成工程をこの順序で含む。以下にこれら各工程を順次説明する。
【0027】
〔埋め込み拡散領域形成工程〕
図1は、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法のうちの埋め込み拡散領域形成工程を説明するために示す図である。図1(a)〜図1(d)は各工程を示す図である。
埋め込み拡散領域形成工程は、図1に示すように、半導体基板準備工程(図1(a)参照。)、不純物イオン注入工程(図1(b)参照。)、アニール工程(図1(c)参照。)及び埋め込み拡散工程(図1(d)参照。)をこの順序で行う。
【0028】
図1(a)〜図1(d)の各工程は、図10(a)〜図10(d)の各工程に対応するものであるが、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法においては、半導体基板準備工程(図1(a)参照。)において準備する半導体基板におけるn型不純物の不純物濃度が、従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法において準備する半導体基板902と異なっている。
【0029】
すなわち、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法においては、引き上げ法によって製造された半導体基板であって、埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板102を用いる。具体的には、半導体基板102は、n型不純物の不純物濃度が5×1013cm−3以下の半導体基板である。このようなn型不純物の不純物濃度を有する半導体基板は、一般的には、100Ω・cm以上の比抵抗を有する半導体基板を選べばよい。なお、上記n型不純物の不純物濃度の設定値というのは、従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法において用いられる半導体基板902が元々有するn型不純物の不純物濃度C2(図11(a)参照。)である。
【0030】
そして、上記のようなn型不純物の不純物濃度を有する半導体基板102の一方の表面及び他方の表面それぞれに下地酸化膜110及び不純物イオン注入用マスクM1(例えばフォトレジスト又はシリコン酸化膜)を形成し、不純物イオン注入用マスクM1の開口部から下地酸化膜110を介して半導体基板102にn型不純物イオン(例えばリンイオン)を注入する不純物イオン注入工程(図1(b)参照。)と、半導体基板102を所定のアニール温度T1に加熱して半導体基板102に注入されたn型不純物イオンを活性化するアニール工程(図1(c)参照。)と、半導体基板102をアニール温度T1よりも高い所定の埋め込み拡散温度T2に加熱して、アニール工程で活性化されたn型不純物原子の埋め込み拡散を行って、n+型埋め込み拡散領域124を形成する埋め込み拡散工程(図1(d)参照。)とをこの順序で行う。
【0031】
半導体基板として上記のような不純物濃度を有する半導体基板102を用いることにより、たとえ、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行った場合でも、半導体基板102の深い位置までn型不純物を拡散させることができる。これにより、半導体基板102の深い位置にn+型埋め込み拡散領域124を形成することができる。
【0032】
図2は、半導体基板102の深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成することができる理由について説明する図である。図2は図11に対応するものであり、図2(a)は半導体基板準備工程(図1(a)参照。)において準備された半導体基板102の深さ方向のn型不純物の不純物濃度を示す図であり、図2(b)は埋め込み拡散工程(図1(d)参照。)を行った後における深さ方向のn型不純物の不純物濃度を示す図である。なお、図2においても図11同様、横軸は半導体基板102の表面からの深さを表し、縦軸は半導体基板102に含まれるn型不純物の不純物濃度を表している。
【0033】
実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法においては、図2(a)に示すように、半導体基板準備工程で準備される半導体基板102におけるn型不純物の不純物濃度(C1とする)は、従来の2端子型双方向性サイリスタ製造方法において用いられる半導体基板902におけるn型不純物の不純物濃度C2(例えば1×1015cm−3)よりも低い値となっている。具体的には、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法においては、n型不純物の不純物濃度が5×1013cm−3以下の半導体基板102としている。このような低いn型不純物の不純物濃度を有する半導体基板102を用いることによって、たとえ、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行った場合でも、図2(b)に示すように、半導体基板102の深い位置まで不純物を拡散させることができる。
【0034】
すなわち、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うことによって、埋め込み拡散工程中に半導体基板102に含まれる酸素の多くがドナー化し、半導体基板102におけるn型不純物の不純物濃度がΔC1だけ高くなったとしても、半導体基板102のn型不純物の不純物濃度はそれほど高くはならず、従来の埋め込み拡散領域を有する2端子型双方向性サイリスタ製造方法において用いられる半導体基板902がもともと有するn型不純物の不純物濃度C2と同程度の濃度となる(図2(b)参照。)。このため、半導体基板102の深い位置(所望とする位置D2とする。)までn+型不純物を拡散させることができ、半導体基板102の深い位置にまでn+型埋め込み拡散領域を形成することができる。なお、n+型埋め込み拡散領域の深さは例えば80μmであり、半導体基板表面におけるn型不純物の不純物濃度は例えば1×1017cm−3である。
【0035】
上記した埋め込み拡散領域形成工程が終了すると、続いて、ベース層形成工程、エミッタ層形成工程及びオーミック層形成工程を順次行う。
【0036】
図3は、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちのベース層形成工程を説明するために示す図である。
図4は、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちのエミッタ層形成工程を説明するために示す図である。
図5は、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちのオーミック層形成工程を説明するために示す図である。
以下、これら各工程について順次説明する。
【0037】
〔ベース層形成工程〕
ベース層を形成するための不純物イオン注入用マスクM2(例えばフォトレジスト又はシリコン酸化膜)を半導体基板102の一方の表面及び他方の表面にそれぞれ形成し、当該不純物イオン注入用マスクM2の開口部からp型不純物イオン(例えばボロンイオン)をそれぞれ注入する(図3(a)参照。)。その後、不純物イオン注入用マスクM2を除去してアニール工程を行い、p型不純物を活性化して(図3(b)参照。)、半導体基板102の一方の表面及び他方の表面それぞれにベース層132を形成する。なお、ベース層132の深さは例えば25μmであり、p型不純物の不純物濃度は例えば5×1018cm−3である。
【0038】
〔エミッタ層形成工程〕
エミッタ層を形成するための不純物イオン注入用マスクM3(例えばフォトレジスト又はシリコン酸化膜)を半導体基板102の一方の表面及び他方の表面にそれぞれ形成し、当該不純物イオン注入用マスクM3の開口部からn型不純物イオン(例えばリンイオン)をそれぞれ注入する(図4(a)参照。)。その後、不純物イオン注入用マスクM3を除去してアニール工程を行い、n型不純物を活性化して(図4(b)参照。)、半導体基板102の一方の表面及び他方の表面それぞれにエミッタ層142及びチャネルストッパ144を形成する。なお、エミッタ層142の深さは例えば10μmであり、n型不純物の不純物濃度は例えば1×1019cm−3である。
【0039】
〔オーミック層形成工程〕
オーミック層を形成するための不純物イオン注入用マスクM4(例えばフォトレジスト又はシリコン酸化膜)を半導体基板100の一方の表面及び他方の表面にそれぞれ形成し、当該不純物イオン注入用マスクM4の開口部からp型不純物イオン(例えばボロンイオン)をそれぞれ注入する(図5(a)参照。)。その後、不純物イオン注入用マスクM4を除去してアニール工程を行い、p型不純物を活性化して(図5(b)参照。)、半導体基板100の一方の表面及び他方の表面それぞれにオーミック層152を形成する。なお、オーミック層152の深さは例えば10μmであり、p型不純物濃度は例えば1×1019cm−3である。
【0040】
上記した埋め込み拡散領域形成工程、ベース層形成工程、エミッタ層形成工程及びオーミック層形成工程を行った後、ガラス層160、半田層170を順次形成することによって実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタ100が製造される。
【0041】
図6は、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法によって製造された2端子型双方向性サイリスタ100の構成を説明するために示す図である。
実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタ100は、埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板102を用いているので、半導体基板102の深い位置にn+型埋め込み拡散領域124を形成することができる。その結果、実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法によって製造される2端子型双方向性サイリスタは、より高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)なものとなり、サージ防護素子として好適な2端子型双方向性サイリスタとすることができる。
【0042】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法のうちの埋め込み拡散領域形成工程を説明するために示す図である。
図8は、実施形態2及び1に係る半導体装置の製造方法のうちアニール工程S114〜埋め込み拡散工程S116における、処理温度と導入ガスの種類を説明するために示す図である。
【0043】
実施形態2に係る半導体装置の製造方法は、基本的には実施形態1に係る半導体装置の製造方法と同様の工程を有するが、埋め込み拡散領域形成工程S110の内容が実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と異なる。すなわち、実施形態2に係る半導体装置の製造方法においては、図7(b)に示すように、不純物イオン注入工程S112において、下地酸化膜110を介することなく半導体基板102に直接不純物イオンを注入することとしている。また、アニール工程S114と埋め込み拡散工程S116とを同一の熱処理炉で行うとともに、図8に示すように、アニール工程S114終了後、熱処理炉中に酸素ガスを導入した状態でアニール温度T1から埋め込み拡散温度T2に昇温し、熱処理炉中に酸素ガスを導入した状態のまま埋め込み拡散工程S116を開始することとしている。このため、半導体基板102には埋め込み拡散工程中に熱処理炉から酸素が導入され、導入された酸素がドナー化されることとなる。
【0044】
しかしながら、実施形態2に係る半導体装置の製造方法によれば、実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と同様に、埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板を用いて、不純物イオン注入工程、アニール工程及び埋め込み拡散工程をこの順序で行うようにしているため、高温・長時間の条件で埋め込み拡散工程を行うことによって、埋め込み拡散工程中に酸素(半導体基板に元々含まれている酸素又は埋め込み拡散工程中に半導体基板に導入される酸素)の多くがドナー化しても、半導体基板のn型不純物の不純物濃度はそれほど高くはならない。これにより、半導体基板の深い位置までn型不純物を拡散させることができ、半導体基板の深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成することができる。その結果、従来より高耐圧で高性能(高速応答性能、サージ印加時電圧上昇抑制性能)な半導体装置を製造することができる。
【0045】
なお、実施形態2に係る半導体装置の製造方法によれば、不純物イオン注入工程S112においては、下地酸化膜110を介することなく半導体基板102に直接不純物イオンを注入することしているため、不純物イオン注入工程に用いる下地酸化膜の膜厚のばらつきに起因して注入される不純物イオンの濃度のばらつきを小さくすることが可能となり、逆方向耐圧VBRのばらつきの小さな半導体装置を製造することができるという効果も得られる。
【0046】
なお、実施形態2に係る半導体装置の製造方法は、埋め込み拡散領域形成工程S110以外の工程については実施形態1に係る半導体装置の製造方法の場合と同様の工程を含むため、実施形態1に係る半導体装置の製造方法が有する効果のうち該当する効果を同様に有する。
【0047】
以上、本発明の半導体装置の製造方法を上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0048】
(1)上記各実施形態においては、2端子型双方向性サイリスタの製造方法を例にとって本発明の半導体装置の製造方法を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、半導体基板の深い位置に埋め込み拡散領域を形成することが要求される他の半導体装置(例えば、ファーストリカバリダイオード。)の製造方法に本発明を適用することもできる。
【0049】
(2)上記各実施形態においては、引き上げ法により製造された半導体基板を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。実施形態2においては、ゾーン溶融法により製造された半導体基板を用いてもよい。このような場合であっても、本発明の効果を得ることができる。
【0050】
(3)上記各実施形態においては、エミッタ層形成工程の終了後にオーミック層形成工程を行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、オーミック層形成工程の終了後にエミッタ層形成工程を行うこととしてもよい。
【0051】
(4)上記各実施形態においては、ベース層形成工程及びオーミック層形成工程において、イオン注入法を用いて不純物イオンを導入しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、熱拡散法を用いて不純物イオンを導入してもよい。このとき、熱拡散法に用いる拡散源として、気体、液体又は固体の拡散源を用いることができる。気体の拡散源としては例えばBCl3(三塩化ホウ素)を用いることができ、液体の拡散源としては例えばPBF(ポリボロンフィルム)を用いることができ、固体の拡散源としては例えばBN板(窒化ホウ素からなる板)を用いることができる。
【0052】
(5)上記各実施形態においては、エミッタ層形成工程において、イオン注入法を用いて不純物イオンを導入しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、熱拡散法を用いて半導体基板に不純物イオンを導入してもよい。このとき、熱拡散法に用いる拡散源として、液体の拡散源を用いることができる。液体の拡散源としては例えばPOCl3(オキシ塩化リン)を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちの埋め込み拡散領域形成工程を説明するために示す図である。
【図2】半導体基板100の深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成することができる理由について説明する図である。
【図3】実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちのベース層形成工程を説明するために示す図である。
【図4】実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちのエミッタ層形成工程を説明するために示す図である。
【図5】実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造工程のうちのオーミック層形成工程を説明するために示す図である。
【図6】実施形態1に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法によって製造された2端子型双方向性サイリスタ100の構成を説明するために示す図である。
【図7】実施形態2に係る2端子型双方向性サイリスタの製造方法のうちの埋め込み拡散領域形成工程を説明するために示す図である。
【図8】実施形態2及び1に係る半導体装置の製造方法のうちアニール工程S114〜埋め込み拡散工程S116における、処理温度と導入ガスの種類を説明するために示す図である。
【図9】従来の2端子型双方向性サイリスタの構成を説明するために示す図である。
【図10】ベース層よりも深い位置にn+型埋め込み拡散領域を形成するようにした2端子型双方向性サイリスタの製造方法を説明するために示す図である。
【図11】従来の2端子型双方向性サイリスタの製造方法の問題点を説明するために示す図である。
【符号の説明】
【0054】
100,900・・・2端子型双方向性サイリスタ、102,902・・・半導体基板、110,910・・下地酸化膜、112・・・保護酸化膜、120,141,143,920・・・n型不純物イオン注入領域、122,922・・・活性化されたn型不純物領域、124,924・・・埋め込み拡散領域、131,151・・・p型不純物イオン注入領域、132,932・・・ベース層、142,942・・・エミッタ層、152,952・・・オーミック層、160,960・・・ガラス層、170,970・・・半田層、M1〜M4・・・不純物イオン注入用マスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を準備する半導体基板準備工程と、
前記半導体基板の表面に不純物イオン注入用マスクを形成し、当該不純物イオン注入用マスクの開口部から前記半導体基板にn型不純物イオンを注入する不純物イオン注入工程と、
前記半導体基板を所定のアニール温度に加熱して前記半導体基板に注入されたn型不純物イオンを活性化するアニール工程と、
前記半導体基板を前記アニール温度よりも高い所定の埋め込み拡散温度に加熱して前記アニール工程で活性化されたn型不純物原子の埋め込み拡散を行う埋め込み拡散工程とをこの順序で含む半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板準備工程において準備する半導体基板は、前記埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板準備工程において準備する半導体基板は、n型不純物の不純物濃度が5×1013cm−3以下の半導体基板であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板は、引き上げ法によって製造された半導体基板であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板は、ゾーン溶融法によって製造された半導体基板であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体装置は、2端子型双方向性サイリスタであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
半導体基板を準備する半導体基板準備工程と、
前記半導体基板の表面に不純物イオン注入用マスクを形成し、当該不純物イオン注入用マスクの開口部から前記半導体基板にn型不純物イオンを注入する不純物イオン注入工程と、
前記半導体基板を所定のアニール温度に加熱して前記半導体基板に注入されたn型不純物イオンを活性化するアニール工程と、
前記半導体基板を前記アニール温度よりも高い所定の埋め込み拡散温度に加熱して前記アニール工程で活性化されたn型不純物原子の埋め込み拡散を行う埋め込み拡散工程とをこの順序で含む半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板準備工程において準備する半導体基板は、前記埋め込み拡散工程でドナー化される酸素原子の量の分だけ、n型不純物の不純物濃度の設定値よりもn型不純物の不純物濃度を低くした半導体基板であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板準備工程において準備する半導体基板は、n型不純物の不純物濃度が5×1013cm−3以下の半導体基板であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板は、引き上げ法によって製造された半導体基板であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板は、ゾーン溶融法によって製造された半導体基板であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体装置は、2端子型双方向性サイリスタであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−40786(P2010−40786A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202386(P2008−202386)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【出願人】(591132955)株式会社秋田新電元 (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【出願人】(591132955)株式会社秋田新電元 (29)
【Fターム(参考)】
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