説明

半導体装置の製造装置、半導体装置の製造方法、及び治具

【課題】配線基板に実装される半導体装置に設けるバンプの高さを揃える半導体装置の製造装置、製造方法、及び治具を提供することを課題とする。
【解決手段】配線基板にバンプ5を介して実装される半導体装置2を製造する装置1であって、バンプ5を複数載置した半導体装置2に載せる、バンプ5の先端と接触する接触面6を有する治具4と、各バンプ5を溶かして先端を接触面6に揃える加熱手段3と、を備え、接触面6は、半導体装置2が常温の状態で各バンプ5の高さが揃うように、各バンプ5を溶かす際の半導体装置2の熱変形量に応じて湾曲している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造装置、半導体装置の製造方法、及び治具に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を配線基板に実装する技術としては、例えば、半田バンプを用いたものがある(例えば、特許文献1,2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−4127号公報
【特許文献2】特開平10−13007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バンプが設けられる半導体装置の表面は、平坦でない場合がある。例えば、基板に載置した半導体チップを樹脂で固めた半導体パッケージのように、材質の相違する部材で構成されるような半導体装置では、温度変化に起因した反りを不可避的に有する場合がある。平坦でない面にバンプを設けても各バンプの高さは揃わないため、半導体装置をそのまま配線基板に実装すると、配線基板と各バンプとの間で接触不良を起こす場合がある。そこで、バンプをリフローする際に治具で各バンプの高さを調整することも試みられているが、各バンプの高さが完全に揃うまでには至っていない。
【0005】
そこで、本願は、配線基板に実装される半導体装置に設けるバンプの高さを揃える半導体装置の製造装置、製造方法、及び治具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、以下の装置を開示する。
配線基板にバンプを介して実装される半導体装置を製造する装置であって、
前記バンプを複数載置した前記半導体装置に載せる、該バンプの先端と接触する接触面を有する治具と、
各バンプを溶かして先端を前記接触面に揃える加熱手段と、を備え、
前記接触面は、前記半導体装置が常温の状態で各バンプの高さが揃うように、各バンプを溶かす際の該半導体装置の熱変形量に応じて湾曲している、
半導体装置の製造装置。
【0007】
なお、上記半導体装置の製造装置を、製造方法あるいは治具としての側面から捉えることも可能である。
【発明の効果】
【0008】
配線基板に実装される半導体装置に設けるバンプの高さを揃える半導体装置の製造装置、製造方法、及び治具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】半導体装置の製造装置の構成図である。
【図2】半導体装置の製造方法のフローチャートである。
【図3】半導体装置の状態変化を示す図である。
【図4】反対側に反っている半導体装置の状態変化を示す図である。
【図5】半導体装置を配線基板に実装する際の状態を示す図である。
【図6】反対側に反っている半導体装置を配線基板に実装する際の状態を示す図である。
【図7】治具の接触面の形状を決定する際のプロセスを示す図である。
【図8】治具の接触面の形状を決定する際の一例を示す図である。
【図9】治具の接触面の形状を決定する際の一例を示す図である(反対側に反っている場合)。
【図10】従来例に係る治具を使った場合の半導体装置の状態変化を示す図である。
【図11】従来例に係る治具を使った場合の半導体装置を配線基板に実装する際の状態を示す図である。
【図12】半導体装置の内部構造を示した図である。
【図13】フリップチップBGAの組み立て図である(その1)。
【図14】フリップチップBGAの組み立て図である(その2)。
【図15】変形例に係る搬送キャリアの上面図である。
【図16】変形例に係る搬送キャリアのF−F断面図である。
【図17】変形例に係る搬送キャリアのG−G断面図である。
【図18】変形例に係る治具の上面図である。
【図19】変形例に係る治具のH−H断面図である。
【図20】変形例に係る治具のI−I断面図である。
【図21】搬送キャリアに半導体装置を載せた状態を示す図である。
【図22】搬送キャリアに治具を載せた状態を示す図である。
【図23】支柱と半導体装置の部分を拡大した図である(加熱前)。
【図24】支柱と半導体装置の部分を拡大した図である(加熱中)。
【図25】支柱と半導体装置の部分を拡大した図である(加熱後)。
【図26】各半田ボールの高さを調整し終えた半導体装置を示す図である。
【図27】支柱の部分の寸法を示した図である。
【図28】変形例に係る搬送キャリアの上面図である。
【図29】変形例に係る搬送キャリアのJ−J断面図である。
【図30】変形例に係る搬送キャリアのK−K断面図である。
【図31】搬送キャリアに半導体装置を載せた状態を示す図である。
【図32】変形例に係る治具の上面図である。
【図33】変形例に係る治具のL−L断面図である。
【図34】変形例に係る治具のM−M断面図である。
【図35】搬送キャリアに半導体装置を載せた状態を示す図である。
【図36】搬送キャリアに治具を載せた状態を示す図である。
【図37】接触面を段差状にした場合の状態を示す図である。
【図38】接触面を段差状にした場合の状態を示す図である。
【図39】半導体装置の反る部位を示した図である。
【図40】上側に反る半導体装置のN−N断面図である。
【図41】下側に反る半導体装置のN−N断面図である。
【図42】中空部分を設けた治具の一例を示す図である(上側に反る場合)。
【図43】中空部分を設けた治具の一例を示す図である(下側に反る場合)。
【図44】中空部分を設けた段差を有する治具の一例を示す図である(上側に反る場合)。
【図45】中空部分を設けた段差を有する治具の一例を示す図である(下側に反る場合)。
【図46】半導体装置の反る部位を示した図である。
【図47】上側に反る半導体装置のO−O断面図である。
【図48】下側に反る半導体装置のO−O断面図である。
【図49】溝を設けた治具の一例を示す図である(上側に反る場合)。
【図50】溝を設けた治具の一例を示す図である(下側に反る場合)。
【図51】溝を設けた段差を有する治具を用いた場合の状態を示す図である(上側に反る場合)。
【図52】溝を設けた段差を有する治具を用いた場合の状態を示す図である(下側に反る場合)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
半導体装置の製造装置の一態様を図1に示す。本実施形態に係る半導体装置の製造装置1は、図1に示すように、半導体装置2の半田ボールを加熱する加熱装置3と、半導体装置2の上に載せる治具4とを備える。加熱装置3は、半導体装置2に載置された複数の半田ボールをリフロー加熱するために設けられており、電気ヒータ等で加熱する。治具4は、少なくとも半導体装置2と接触する面が、溶解した半田が接触しても濡れない材料で構成されている。溶解した半田が接触しても濡れないものとしては、例えば、セラミックスで形成されたもの、或いはフッ素樹脂、クロム、めっき等で表面処理を施したものが挙げられる。
【0011】
半導体装置の製造装置1を使って実行する半導体装置製造方法のフローチャートを図2に示す。また、この半導体装置の製造方法が実行される際の半導体装置2の状態変化を図3に示す。半導体装置の製造装置1のオペレータは、図2に示すように、加熱装置3に載せた半導体装置2に治具4を載せた後(S101)、半導体装置2の各半田ボール5を加熱する(S102)。加熱温度は、半田ボール5の組成にもよるが、例えば、Sn−37Pbであれば210〜230℃程度であり、Sn−Ag−Cuであれば230〜260℃程度である。
【0012】
ここで、加熱装置3に載せる半導体装置2には、リフロー前の半田ボール5が複数載置されている(図3(a))。半導体装置2は、反っているため、符号Aに示されるように各半田ボール5の高さが揃っていない。半田ボール5は、半導体装置2を配線基板に実装するためのバンプの一態様である。半田ボール5以外のバンプの態様としては、ペースト印刷やめっき法で形成した半田バンプ、金や銅などの材料で形成したバンプなどが挙げられる。
【0013】
治具4は、リフロー前の半田ボール5が複数載置された半導体装置2の上に載せられる(図3(b))。治具4は、半導体装置2の各半田ボール5が加熱されて溶解すると、治具4の下面に形成されている接触面6が半田ボール5の先端を押す(図3(c))。各半田ボール5は加熱によって溶解しても表面張力により概ね球状の形態を維持する。但し、各半田ボール5の高さは、治具4に押された分だけ低くなる。
【0014】
なお、半導体装置2の半田ボール5が加熱されている間は、半導体装置2が熱で変形する。図3では、元々反っていた半導体装置2が、半田ボール5が加熱されている間は反りが緩和されている。しかし、半導体装置2は、半田ボール5の加熱が終わって常温になると、再び元の形に戻る(図3(d))。リフロー加熱時に治具4に押された各半田ボール5は、半導体装置2が常温に戻ると、符合Bに示されるように先端が揃う(図3(e))。なお、半田ボール5が固化する温度は、半田ボール5の組成にもよるが、例えば、Sn−37Pbであれば概ね183℃以下であり、Sn−Ag−Cuであれば概ね220℃以下である。
【0015】
なお、図3では、半導体装置2が下側に反っている場合を例に示したが、反対側に反っている場合についても図4に示すように、下側に反っている場合と同様である。
【0016】
また、治具4と半導体装置2との間にはスペーサ等の部材を配置しておくことが好まし
い。この部材は、リフロー時に各半田ボール5が溶解しても、治具4が半導体装置2に接近しすぎないようにするものであり、リフロー時に全ての半田ボール5が治具4の接触面に接触し且つ各半田ボール5が潰れない程度に、治具4と半導体装置2との間隔を規定する。スペーサは、治具4に設けてもよい。
【0017】
このようにして製造された半導体装置2を配線基板に実装する際の状態を図5に示す。この半導体装置2は、半田ボール5の高さが揃っているため、図5に示すように、半導体装置2を配線基板51に載せると、全ての半田ボール5が配線基板51に接触する。よって、配線基板51に実装された半導体装置2の各半田ボール5と配線基板51との間で接触不良が生じにくい。図5では、半導体装置2が上側に反っている場合を例に示したが、反対側に反っている場合についても図6に示すように、上側に反っている場合と同様である。
【0018】
ここで、治具の接触面の形状を決定する際のプロセスを図7に示す。また、治具の接触面の形状を決定する場合のプロセスの一例を図8に示す。治具の接触面の形状を決定する際は、半導体装置を実装する配線基板の被実装面の形状を特定する(S201)。上記配線基板51の被実装面は平なので、特定された形状は平面である(図8(a))。ここで特定した配線基板の被実装面の形状を現す関数をY=A(X)とする。この関数は、上述したステップS101〜S102の処理によって実現したい、各バンプの高さを表したものである。
【0019】
次に、半田ボールをリフロー加熱する際の半導体装置の変形量を特定する(S202)。変形量は、次のように特定する。まず、非加熱時の半導体装置の実装面の形状を特定する(図8(b))。非加熱時の半導体装置の実装面の形状を現す関数をY=B(X)とする。次に、加熱時の半導体装置の実装面の形状を特定する(図8(c))。加熱時の半導体装置の実装面の形状を現す関数をY=C(X)とする。そして、加熱時と非加熱時の半導体装置の実装面の形状の差異から、変形量を特定する(図8(d))。変形量は、Y=B(X)−C(X)で表される関数となる。この関数は、リフロー加熱時の半導体装置の変形量を表したものである。
【0020】
次に、治具の接触面の形状を決定する(S203)。治具の接触面の形状は、上述したステップS101〜S102の処理によって実現したい、各半田ボールの高さを表したものから、リフロー加熱時の半導体装置の変形量を取り除いた物理量である。具体的には、Y=A(X)−(B(X)−C(X))で表される関数である(図8(e))。このような関数によって特定される形状の接触面を形成する治具を半導体装置に載せ、各半田ボールをリフロー加熱することで、各半田ボールの先端が配線基板の被実装面の形状に一致するものとなる。図8では、半導体装置2が下側に反っている場合を例に示したが、反対側に反っている場合についても図9に示すように、下側に反っている場合と同様である。
【0021】
なお、治具の接触面の形状は、X軸とY軸に直交するZ軸を含めた三軸の座標系で示しても良い。また、治具の接触面の形状は、各半田ボールの高さを配線基板の形状に合わせるにあたり、リフロー加熱による半導体装置の変形量が相殺されるようになっていればよく、上記関数によって特定される形状に限定されるものではない。
【0022】
このようにして接触面の形状が決定された治具の寸法は、概ね次のようになる。例えば、半導体装置が、一辺が34mm以下の正方形のBGAの場合、反りは50〜150μm程度となる。よって、治具4の接触面6の最も深い部分の深さは、50〜150μm程度になる。また、半導体装置が、一辺が35mm以上の正方形のBGAの場合、反りは150〜250μm程度である。よって、治具4の接触面6の最も深い部分の深さは、150〜250μm程度になる。
【0023】
上記実施形態の比較例として、リフロー加熱時の半導体装置の変形量を考慮しないで作成した治具を使った場合を考える。リフロー加熱時の半導体装置の変形量を考慮しないで作成した治具とは、換言すると、上述した治具の接触面の形状を決定するプロセスにおいてステップS202を省略して決定したものであり、具体的には、接触面がY=A(X)で表される関数によって特定される形状の治具である。このような治具で各半田ボールの高さを整えても、図10の符号Cが示すように、各半田ボールの高さが揃わない。よって、図11の符号Dや符号Eが示すように、配線基板に実装された半導体装置の半田ボールが該配線基板に接触せず、実装不良を引き起こす。
【0024】
ここで、半導体装置に反りが発生するメカニズムを説明する。図12は、6種類の半導体装置について、それぞれの内部構造を示した図である。図12の上から順に、シングルチップのモールド樹脂タイプBGA(Ball Grid Array)(図12(a))、マルチチッ
プのモールド樹脂タイプBGA(図12(b))、チップスタックのモールド樹脂タイプBGA(図12(c))、CSP(Chip Size Package)(図12(d))、ヒートスプ
レッダを備えたフリップチップBGA(図12(e))、ヒートスプレッダと封止枠を備えたフリップチップBGA(図12(f))を示している。これらの半導体装置を構成するモールド樹脂7や基板8、チップ9、ヒートスプレッダ10、封止枠11は熱膨張係数やヤング率といった物性値が互いに異なり、また、このような部材同士が組み合わさることにより、各部材に加わった応力が相互に作用し、凸状の反りや凹状の反りが発生する(図12(g))。
【0025】
例えば、ヒートスプレッダを備えたフリップチップBGAを組み立てる場合、まず、図13に示すように、基板8にチップ9を搭載する。チップ9の材質はSiであり、熱膨張係数は3.6ppmである。また、基板8は有機基板であり、熱膨張係数はチップ9よりも高い16〜18ppmである。チップ9を基板8に搭載する際は、一般的には220℃程度、最高で250℃程度になるように加熱を行ない、両者を接合する。よって、熱膨張係数の違いにより材料の伸び率が異なり、両者が常温になると図13に示すように凸状に反る。次に、図14に示すように、チップ9を搭載した基板8にヒートスプレッダ10を搭載する。ヒートスプレッダ10を搭載する場合は、約150〜200℃程度に加熱して両者を接合する。Cuで構成されるヒートスプレッダ10の場合、熱膨張係数は基板8の熱膨張係数と同程度であるため、ヒートスプレッダ10の接合により基板8の反りは若干低減する。しかしながら、それでもなお基板8に反りが不可避的に残ることとなる。
【0026】
なお、本願で開示する半導体装置製造装置の態様としては、例えば、以下に示すような変形例もある。以下では、上述した実施形態との相違点について説明する。本変形例で用いる搬送キャリアの上面図を図15に示す。この搬送キャリア12は、図15に示すように、半導体装置を搭載する搭載スペース13を4つ設けたキャリア本体14と、リフロー加熱時に治具がキャリア本体14に接近しすぎるのを規制するための支柱15を備える。搬送キャリア12のF−F断面図を図16に、G−G断面図を図17に示す。搭載スペース13は、図16や図17に示すように、半導体装置が嵌る凹状に形成されている。
【0027】
本変形例で用いる治具の上面図を図18に示す。本変形例で用いる治具24は、図18に示すように、搬送キャリア12の各搭載スペース13に対応する位置に接触面26がそれぞれ形成されている。また、支柱15が嵌合する孔16が設けられている。治具24のH−H断面図を図19に、I−I断面図を図20に示す。各接触面26は、図19や図20に示すように、リフロー加熱時に各半田ボールの先端を揃える形状になっている。この形状は、図7や図8を使って説明した既述のプロセスによって決定したものである。
【0028】
本変形例で半導体装置の半田ボールの先端を揃える際は、図21に示すように、搬送キ
ャリア12の各搭載スペース13に、リフロー前の半田ボール25が複数載置された半導体装置22を搭載する。なお、半田ボール25は、半導体装置22が搬送キャリア12の各搭載スペース13に搭載された状態で半導体装置22に載置してもよい。
【0029】
次に、搬送キャリア12に治具24を載せる。搬送キャリア12に治具24を載せる場合は、図22に示すように、支柱15を孔16に嵌める。半導体装置22が反っているため、搬送キャリア12に治具24を載せると、図23に示すように、半導体装置22に載置されている一部の半田ボール25が接触面26に接触する。このため、支柱15が孔16に完全に嵌らずに隙間が生じ、治具24が浮いた状態になる。
【0030】
次に、半導体装置22の半田ボール25を加熱して溶解すると、治具24の接触面26が、図24に示すように半田ボール25の先端を押す。各半田ボール25の高さは、治具24に押された分だけ低くなる。
【0031】
半田ボール25の加熱を終えると、図25に示すように、半導体装置22が常温になって再び元の形に戻る。リフロー加熱時に治具24に押された各半田ボール25は、半導体装置22が常温に戻ると、図26で符合Jが示すように先端が揃う。
【0032】
なお、支柱15の形状や寸法は、例えば、次のようにして決定する。図27は、支柱15の部分を拡大した図である。搬送キャリア12と治具24との間の隙間を規定する支柱15の高さHは、搬送キャリア12に搭載された状態の半導体装置22の高さh1に半田ボール25の高さh2を加算したものから、所定の値xを減算することにより決定する。ここで、所定の値xは、互いに隣接する各半田ボール25の間隔や、半田ボール25の大きさに応じて適宜定める値であり、例えば、50〜200μmとする。
【0033】
なお、本願で開示する半導体装置製造装置の態様としては、例えば、以下に示すような変形例もある。以下では、上述した変形例との相違点について説明する。本変形例で用いる搬送キャリアの上面図を図28に示す。本変形例で用いる搬送キャリア32は、図28に示すように、半導体装置を搭載する搭載スペース33を設けたキャリア本体34と、リフロー加熱時に治具がキャリア本体34に接近しすぎるのを規制するための支柱35を備える。搬送キャリア32のJ−J断面図を図29に、K−K断面図を図30に示す。搭載スペース33は、図29や図30に示すように、半導体装置が嵌る凹状に形成されている。この搭載スペース33に嵌める半導体装置は、上述した変形例に係る搬送キャリア12の搭載スペース33と異なり、図31に示すように、半導体装置であるBGAを多数並べたシート17を嵌める。このシート17は、既述した実施形態に係る半導体装置2や変形例に係る半導体装置22等を複数個まとめてシート状にしたものであり、本変形例では10個の半導体装置を1枚のシート17にしている。なお、搬送キャリア12に載せる半導体装置は10個に限られるものでなく、如何なる数量であってもよい。
【0034】
本変形例で用いる治具の上面図を図32に示す。本変形例で用いる治具44は、図32に示すように、搬送キャリア32の搭載スペース33に対応する位置に接触面46が形成されている。この接触面46は、10個の半導体装置にそれぞれ対応した形になっている。すなわち、接触面46は、図33や図34に示すように、リフロー加熱時、シート17に設けられている各半導体装置のそれぞれについて半田ボールの先端を揃える形状になっている。この形状は、図7や図8を使って説明した既述のプロセスによって決定したものである。なお、この治具44には、シート17の反りを防ぐためのシート押さえ18が設けられている。
【0035】
本変形例でシート17の各半導体装置の半田ボールの先端を揃える際は、図35に示すように、搬送キャリア32の搭載スペース33に、リフロー前の半田ボール45が複数載
置された半導体装置を10個並べたシート17を搭載する。
【0036】
次に、搬送キャリア32に治具44を載せる。搬送キャリア32に治具44を載せる場合は、図36に示すように、支柱35を孔36に嵌める。
【0037】
次に、シート17の各半導体装置の半田ボールを加熱して溶解すると、上記実施形態や変形例と同様、治具44の接触面46が半田ボールの先端を押す。なお、このとき、シート17は、シート押さえ18によって押さえられて反りが防止される。半導体装置42が常温になって再び元の形に戻ると、シート17の各半導体装置の半田ボールの先端が揃う。シート17の各半導体装置をダイシングすれば、各半導体装置を配線基板に実装できる。
【0038】
なお、治具の接触面は、上記実施形態や各変形例のように、連続的な円弧によって各半田ボールを全面的に押さえる構造としてもよいが、例えば、次のような形状としてもよい。以下、接触面の各変形例について説明する。
【0039】
半田ボールのサイズやピッチによっては、隣接する半田ボール同士が接触し、回路がショートする可能性も考えられる。このような場合に備えて、図37や図38に示すように、治具の接触面の形状を円弧ではなく段差状とする。これにより、半田ボール同士の接触を防ぐことができる。なお、接触面の半田ボールと触れる部分は、図7や図8を使って説明した既述のプロセスによって決定した形状とする。
【0040】
また、半導体装置の構造によっては、例えば図39に示すように、中心部分が硬い故にその周辺部分のみが反る場合が有り得る。例えば、中心に硬いチップが埋まっているような場合である。このような半導体装置の場合、N−N断面が図40や図41に示すように反る。半導体装置が周辺部分のみ反る場合、治具の接触面は、中央部分を開口させてもよい。この場合の治具の構造を図42や図43に示す。半導体装置の一部のみが反る場合、このように反らない部分を開口にすることで接触面の一部を省いても良い。なお、このように周辺部分のみが反る場合の治具としては、図42や図43に示したようなもののみならず、図44や図45に示すように、半田ボールが接触する部分を段差状にしたものであってもよい。
【0041】
また、半導体装置の構造によっては、例えば図46に示すように、周辺部分が硬い故にその内側である中心部分のみが反る場合が有り得る。例えば、ヒートスプレッダを支える封止枠を周辺部分に有するような場合である。このような半導体装置の場合、O−O断面が図47や図48に示すように反る。このように、半導体装置が中心部分のみ反る場合、治具の接触面は、周辺部分に溝が設けられていても良い。この場合の治具の構造を図49や図50に示す。半導体装置の一部のみが反る場合、このように反らない部分を溝にすることで接触面の一部を省いても良い。なお、このように中央部分のみが反る場合の治具としては、図49や図50に示したようなもののみならず、図51や図52に示すように、半田ボールが接触する部分を段差状にしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0042】
1・・半導体装置の製造装置
2,22,42・・半導体装置
3・・加熱装置
4,24,44・・治具
5,25,45・・半田ボール
6,26,46・・接触面
7・・モールド樹脂
8・・基板
9・・チップ
10・・ヒートスプレッダ
11・・封止枠
12,32・・搬送キャリア
13,33・・搭載スペース
14,34・・キャリア本体
15,35・・支柱
16,36・・孔
17・・シート
18・・シート押さえ
51・・配線基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板にバンプを介して実装される半導体装置を製造する装置であって、
前記バンプを複数載置した前記半導体装置に載せる、該バンプの先端と接触する接触面を有する治具と、
各バンプを溶かして先端を前記接触面に揃える加熱手段と、を備え、
前記接触面は、前記半導体装置が常温の状態で各バンプの高さが揃うように、各バンプを溶かす際の該半導体装置の熱変形量に応じて湾曲していることを特徴とする
半導体装置の製造装置。
【請求項2】
前記接触面の形状は、平面を示す座標量から前記熱変形量を示す座標量を減算した値に基づいて決定されることを特徴とする
請求項1に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項3】
配線基板にバンプを介して実装される半導体装置を製造する方法であって、
前記バンプを複数載置した前記半導体装置に、該バンプの先端と接触する接触面を有する治具を載せる工程と、
各バンプを溶かして先端を前記接触面に揃える工程と、を有し、
前記接触面は、前記半導体装置が常温の状態で各バンプの高さが揃うように、各バンプを溶かす際の該半導体装置の熱変形量に応じて湾曲していることを特徴とする
半導体装置の製造方法。
【請求項4】
配線基板に実装される半導体装置に設けられるバンプの高さを揃える治具であって、
前記半導体装置に複数載置されたバンプの先端と接触する接触面を備え、
前記接触面は、前記半導体装置が常温の状態で各バンプの高さが揃うように、各バンプを溶かす際の該半導体装置の熱変形量に応じて湾曲していることを特徴とする
治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公開番号】特開2011−176037(P2011−176037A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37621(P2010−37621)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】