説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】配線基板の一面を封止する封止体の配線基板の端縁部における剥離を防止し、信頼性を大幅に向上させると共に、更なる小型化を可能とした半導体装置を提供する。
【解決手段】配線基板2の一面には、複数のボンディングパッド6が端縁部に沿って並ぶボンディングパッド群6A,6Bと、一面を被覆する絶縁膜11とが設けられ、半導体チップ3の配線基板2と対向する面とは反対側の面には、複数のチップパッド13が端縁部に沿って並ぶチップパッド群13A,13Bが設けられ、ボンディングパッド6とチップパッド13との間がボンディングワイヤー14を介して電気的に接続され、絶縁膜11には、ボンディングパッド群6A,6Bを露出させる開口部12が設けられ、この開口部12は、配線基板2の端縁部に臨んで開口されると共に、配線基板2の端縁部に沿って並ぶボンディングパッド群6A,6Bの間で連続して開口されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体チップの集積度が年々向上し、それに伴って配線の微細化や多層化などが進んでいる。一方、半導体パッケージ(半導体装置)の高密度実装化のためには、パッケージサイズの小型化が必要となっている。例えば、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)などの半導体パッケージは、パッケージ基板上に半導体チップを実装し、この半導体チップとパッケージ基板との間をワイヤーボンディング等で接続した構造を有している(例えば、特許文献1を参照。)。この場合、パッケージ基板の裏面全面に外部接続用のはんだボール等の外部接続端子を配置することができるため、多ピン化に対応可能なパッケージ形態となっている。
【0003】
ここで、従来の半導体装置の一例として図11及び図12に示すBGA型の半導体パッケージ100について説明する。なお、図11は、この半導体パッケージ100を示す平面図であり、図12は、この半導体パッケージ100を示す断面図である。
【0004】
この半導体パッケージ100は、図11及び図12に示すように、半導体チップ101が配線基板102上に実装されてなるものであり、この半導体チップ101の配線基板102と対向する面とは反対側の面(上面)には、複数のチップパッド群103A,103Bが設けられている。また、これら複数のチップパッド群103A,103Bは、半導体チップ101の端縁部に沿って並ぶ複数のチップパッド103によって構成されている。
【0005】
一方、配線基板102の半導体チップ101が実装される面(上面)には、複数のボンディングパッド群104A,104Bが設けられている。また、これら複数のボンディングパッド群104A,104Bは、配線基板102の端縁部に沿って並ぶ複数のボンディングパッド104によって構成されている。
【0006】
そして、これらチップパッド群103A,103Bを構成するチップパッド103と、ボンディングパッド群104A,104Bを構成するボンディングパッド104とは、それぞれボンディングワイヤー105を介して電気的に接続されている。
【0007】
配線基板102の半導体チップ101が実装される面とは反対側の面(下面)には、外部接続端子となる複数のはんだボール106が設けられている。また、配線基板102の両面は、上記ボンディングパッド群104A,104B及びはんだボール106が配置された部分を除いてソルダーレジスト(絶縁膜)107によって被覆されている。さらに、この半導体パッケージ100では、半導体チップ101を保護するため、配線基板102の一面が半導体チップ101を覆う封止樹脂(封止体)108によって封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−19394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年では、携帯機器等の小型・薄型化により、半導体パッケージの更なる小型化の要求が高まっている。このため、上記半導体パッケージ100では、図12に示すように、半導体チップ101の端部と配線基板102の端部との間の距離S’を短くして、パッケージ全体を小型化することが検討されている。
【0010】
一方、上記ソルダーレジスト107には、図11に示すように、配線基板102の端縁部に沿って並ぶボンディングパッド群104A,104Bをそれぞれ露出させる開口部109A,109Bが設けられ、これら開口部109A,109Bは、配線基板102の端縁部に臨んで開口されている。
【0011】
しかしながら、上述した半導体チップ101の端部と配線基板102の端部との間の距離S’が0.4mm程度まで短くなると、配線基板102の開口部109A,109Bから露出した面よりも、開口部109A,109Bの間にあるソルダーレジスト107の被覆部分107aの方が、封止樹脂108との特性差が大きいために、半導体パッケージ100に熱が加わった際に、この封止樹脂108とソルダーレジスト107aとの界面に熱応力が集中してしまい、ソルダーレジスト107の被覆部分107aにおいて封止樹脂108が剥離し易くなるといった問題が発生してしまう。そして、このような封止樹脂108の剥離は、半導体パッケージ100の信頼性を大幅に低下させることになる。
【0012】
さらに、上述した半導体チップ101の端部と配線基板102の端部との間の距離S’が短くなるほど、ソルダーレジスト107の被覆部分107aにかかる応力が大きくなる。このため、配線基板102の端縁部においては、開口部109A,109Bの間にあるソルダーレジスト107の被覆部分107aの方が、開口部109A,109Bの両端にあるソルダーレジスト107の被覆部分107bに比べて、封止樹脂108の剥離が生じ易い。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る半導体装置は、配線基板と、配線基板の一面に実装された半導体チップと、半導体チップを覆った状態で配線基板の一面を封止する封止体と、配線基板の他面に配置された外部接続端子とを備え、配線基板の一面には、半導体チップが実装される実装領域と、実装領域の外側に位置して複数のボンディングパッドが端縁部に沿って並ぶ2つ以上のボンディングパッド群と、一面を被覆する絶縁膜とが設けられ、半導体チップの配線基板と対向する面とは反対側の面には、ボンディングパッド群に対応して、複数のチップパッドが端縁部に沿って並ぶ2つ以上のチップパッド群が設けられ、ボンディングパッド群を構成するボンディングパッドとチップパッド群を構成するチップパッドとの間がボンディングワイヤーを介して電気的に接続され、絶縁膜には、ボンディングパッド群を露出させる開口部が設けられ、この開口部は、配線基板の端縁部に臨んで開口されると共に、配線基板の端縁部に沿って並ぶ2つ以上のボンディングパッド群の間で連続して開口されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記半導体装置を製造する際に、配線基板となる部分が複数並んで形成された母配線基板の一面に、半導体チップを配線基板となる部分毎に実装する工程と、半導体チップを覆うように母配線基板の一面を封止材によって封止する工程と、母配線基板を配線基板となる部分毎に切断することによって個々の半導体装置に分割する工程とを含み、母配線基板の一面を被覆する絶縁膜に、配線基板となる部分の境界線を挟んで隣接するボンディングパッド群を露出させる開口部を設け、母配線基板を境界線に沿って切断することによって、この開口部を分断し、配線基板の端縁部に臨んで開口されると共に、配線基板の端縁部に沿って並ぶ2つ以上のボンディングパッド群の間で連続して開口された開口部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、配線基板の一面を封止する封止体の配線基板の端縁部における剥離を防止し、信頼性を大幅に向上させると共に、更なる小型化を可能とした半導体装置及びその製造方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態として示す半導体パッケージの平面図である。
【図2】図1に示す半導体パッケージの断面図である。
【図3】図1に示す半導体パッケージを製造する際に用いられる母配線基板の平面図である。
【図4】図1に示す半導体パッケージの製造工程を順に説明するための断面図である。
【図5】図1に示す半導体パッケージの製造工程を順に説明するための断面図である。
【図6】図1に示す半導体パッケージの製造工程を順に説明するための断面図である。
【図7】図1に示す半導体パッケージの製造工程を順に説明するための断面図である。
【図8】図1に示す半導体パッケージの製造工程を順に説明するための断面図である。
【図9】第2の実施形態として示す半導体パッケージの平面図である。
【図10】図9に示す半導体パッケージを製造する際に用いられる母配線基板の平面図である。
【図11】従来の半導体パッケージを示す平面図である。
【図12】図11に示す半導体パッケージの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用した半導体装置及びその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0018】
[第1の実施形態]
(半導体装置)
先ず、本発明を適用した半導体装置の一例として、図1及び図2に示すBGA型の半導体パッケージ1について説明する。なお、図1は、この半導体パッケージ1を示す平面図であり、図2は、この半導体パッケージ1を示す断面図である。
【0019】
この半導体パッケージ1は、図1及び図2に示すように、配線基板2と、この配線基板2の一面(上面)に搭載された半導体チップ3と、この半導体チップ3を覆った状態で配線基板2の上面を封止する封止樹脂(封止体)4と、配線基板2の他面(下面)に配置された複数のはんだボール(外部接続端子)5とを備えることによって、BGA(Ball Grid Array)と呼ばれるパッケージ構造を有している。
【0020】
配線基板2は、平面視で矩形状を為すプリント配線板からなり、このプリント配線板は、例えばガラスエポキシ樹脂等からなる絶縁基材の面上にCu等の導電材料からなる配線パターン等を形成し、その表面をソルダーレジスト(絶縁膜)で被覆したものからなる。
【0021】
具体的に、この配線基板2の上面中央部には、半導体チップ体3が実装される実装領域2aが設けられている。また、配線基板2の実装領域2aの外側には、複数のボンディングパッド群6A,6Bが設けられている。これら複数のボンディングパッド群6A,6Bは、配線基板2の端縁部に沿って並ぶ複数のボンディングパッド6によって構成されている。さらに、各ボンディングパッド6は、配線基板2の上面において引き回された配線パターン7の一端に設けられている。
【0022】
一方、配線基板2の他面(下面)には、複数の接続ランド8が格子状に並んで設けられている。そして、上記はんだボール5は、これら接続ランド8の上に配置されている。その他にも、配線基板2には、下面において引き回された配線パターン9や、上面側の配線パターン7と下面側の配線パターン9(接続ランド8を含む。)との間を電気的に接続するためのビア(貫通電極)10などが設けられている。
【0023】
また、配線基板2の表面は、ボンディングパッド6や接続ランド8の形成位置を除いて、例えば熱硬化性エポキシ樹脂等からなるソルダーレジスト(絶縁膜)11によって被覆されている。このうち、上面のソルダーレジスト11には、ボンディングパッド6を露出させる開口部12が設けられている。この開口部12は、配線基板2の端縁部に臨んで開口されると共に、配線基板2の端縁部に沿って並ぶボンディングパッド群6A,6Bの間で連続して開口されている。
【0024】
半導体チップ3は、平面視で矩形状を為すと共に、配線基板2よりも小さく、接着剤や接着フィルム(DAF:Die Attached Film)などの接着層3aを介して配線基板2の実装領域2aに接着固定されている。半導体チップ3の配線基板2と対向する面とは反対側の面(上面)には、上記ボンディングパッド群6A,6Bに対応して、複数のチップパッド群13A,13Bが設けられている。また、これら複数のチップパッド群13A,13Bは、半導体チップ3の端縁部に沿って並ぶ複数のチップパッド13によって構成されている。
【0025】
なお、図1には、配線基板2及び半導体チップ3の相対する端縁部において、それぞれ2つのボンディングパッド群6A,6B及び2つのチップパッド群13A,13Bが並んで配置された構成が図示されているものの、実際は配線基板2及び半導体チップ3の端縁部に並ぶ範囲で、ボンディングパッド群及びチップパッド群が一定の間隔を空けた状態で複数(2つ以上)並んで配置されている。
【0026】
そして、これらチップパッド群13A,13Bを構成するチップパッド13と、ボンディングパッド群6A,6Bを構成するボンディングパッド6とは、その並び方向において順に、ボンディングワイヤー14を介して電気的に接続されている。
【0027】
封止樹脂4は、半導体チップ3、並びにチップパッド13とボンディングパッド6との間の結線部分を保護するためのものであり、配線基板2の上面を全面的に封止している。また、封止樹脂4は、平面視で配線基板2と一致した形状を為すことで、この封止樹脂4の端面が配線基板2の端面と連続した面を形成している。なお、封止樹脂4は、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂に、ガラス繊維などからなるフィラーを充填したものからなる。
【0028】
ここで、半導体パッケージ1では、上述したボンディングパッド群6A,6Bを構成する各ボンディングパッド6の並び方向の間隔が、チップパッド群13A,13Bを構成する各チップパッド13の並び方向の間隔よりも大きくなっている。
【0029】
このため、ボンディングパッド6とチップパッド13とを等間隔に並べた場合には、その並び方向の両端に向かうほど、ボンディングパッド6とチップパッド13との間を接続するボンディングワイヤー14の角度が大きくなる。さらに、パッド数が増加するほど、ボンディングワイヤー14の角度が設計ルールの制約条件を超えてしまう可能性が生じてしまう。
【0030】
そこで、半導体パッケージ1では、複数のボンディングパッド6を複数のボンディングパッド群6A,6Bにグループ化すると共に、複数のチップパッド13を複数のチップバッド群13A,13Bにグループ化することによって、各グループ内でボンディングパッド6とチップパッド13との間をボンディングワイヤー14で接続したときに、このボンディングワイヤー14の角度が大きくなることを防止している。
【0031】
したがって、この半導体パッケージ1では、ボンディングパッド群6A,6Bの並び方向の間隔が、ボンディングパッド群6A,6Bを構成する各ボンディングパッド6の並び方向の間隔よりも大きく、チップパッド群13A,13Bの並び方向の間隔が、チップパッド群13A,13Bを構成する各チップパッド13の並び方向の間隔よりも大きくなっている。
【0032】
そして、本発明を適用した半導体パッケージ1では、上述したボンディングパッド群6A,6Bを露出させる開口部12が、配線基板2の端縁部に臨んで開口されると共に、配線基板2の端縁部に沿って並ぶボンディングパッド群6A,6Bの間で連続して開口されている。
【0033】
これにより、本発明を適用した半導体パッケージ1では、上記従来の半導体パッケージ100のような封止樹脂108とソルダーレジスト107との界面において熱応力が集中し易い開口部109A,109Bの間にあるソルダーレジスト11の被覆部分107aを無くすことができるため、配線基板2の上面を封止する封止樹脂4の配線基板2の端縁部における剥離を防止し、耐湿性などの信頼性を大幅に向上させることが可能である。
【0034】
また、本発明を適用した半導体パッケージ1では、配線基板2の端部と半導体チップ3の端部との間の距離Sを小さくする、例えば0.4mm以下とすることによって、更なる小型化を図ることが可能である。
【0035】
(半導体装置の製造方法)
次に、本発明を適用した半導体装置の製造方法として、上記図1に示す半導体パッケージ1の製造工程について説明する。
上記半導体パッケージ1を製造する際は、先ず、図3及び図4に示すように、上記配線基板2となる部分が複数並んで形成された母配線基板20を用意する。この母配線基板20は、上記配線基板2となる部分がマトリックス状に複数並んで形成されると共に、最終的に上記配線基板2となる部分のダイシングライン(境界線)Lに沿って切断することで、上記配線基板2となる部分を個々の配線基板2として切り出すことが可能となっている。
【0036】
また、母配線基板20の一面を被覆するソルダーレジスト11には、配線基板2となる部分のダイシングラインLを挟んで隣接するボンディングパッド群6A,6Bを露出させる開口部12Aが設けられている。
【0037】
次に、図5に示すように、母配線基板20の各配線基板2となる部分に半導体チップ3を実装する。具体的には、各配線基板2の実装領域2aとなる部分に、接着剤や接着フィルム(DAF:Die Attached Film)などの接着層3aを介して半導体チップ3を接着固定する。
【0038】
そして、母配線基板20の各配線基板3となる部分毎に、上記ボンディングパッド群6A,6Bを構成するボンディングパッド6と上記チップパッド群13A,13Bを構成するチップパッド13との間を、Au線やCu線等からなるボンディングワイヤー14により結線する。
【0039】
次に、図6に示すように、各半導体チップ3、並びにチップパッド13とボンディングパッド6との間の結線部分を保護するため、母配線基板20の半導体チップ3が実装された面(一面)を封止樹脂(封止材)4Aにより封止する。この封止工程では、例えばトランスファー方式やポッティング方式などのモールド成形法を用いることができる。
【0040】
次に、図7に示すように、母配線基板20の封止樹脂4Aで封止された面とは反対側の面(他面)に、はんだボール5を配置する。このはんだボール5の配置は、図示を省略する吸着機構を用いて配線基板2となる部分毎に行う。
【0041】
次に、図8に示すように、母配線基板20の封止樹脂4A側にダイシングテープ21を貼着した後、図示を省略するダイシングブレードを用いて母配線基板20をダイシングテープ21とは反対側からダイシングラインLに沿って切断する。これにより、個々の半導体パッケージ1に分割する。そして、これら半導体パッケージ1をダイシングテープ21から引き剥がすことで、上記図1に示す半導体パッケージ1を得ることができる。
【0042】
また、本発明を適用した半導体パッケージ1の製造方法では、母配線基板20をダイシングラインLに沿って切断することによって、このダイシングラインLを挟んで隣接する配線基板2となる部分の間で、上記開口部12Aが分断される。これにより、分割された半導体パッケージ1には、配線基板2の端縁部に臨んで開口されると共に、配線基板2の端縁部に沿って並ぶボンディングパッド群13A,13Bの間で連続して開口された開口部12が形成されることになる。
【0043】
以上のような工程を経ることによって、上記半導体パッケージ1を一括して製造することが可能である。また、本発明では、このようなMAP(Mold Array Process)と呼ばれる複数の半導体パッケージ1を一括して封止する生産方式を用いることにより、上記半導体パッケージ1を効率良く製造することができるため、その製造コストの低減を図ることが可能である。
【0044】
また、本発明では、配線基板2の端部と半導体チップ3の端部との間の距離Sを小さくする、例えば0.4mm以下とすることによって、1つの母配線基板20から切り出される配線基板2の取り数を増やすことができるため、半導体パッケージ1の更なる小型化を図ると共に、この半導体パッケージ1の製造コストを低減することが可能である。
【0045】
[第2の実施形態]
(半導体パッケージ)
次に、本発明を適用した半導体パッケージ1の他例として、図9に示すBGA型の半導体パッケージ1Aについて説明する。なお、図9は、この半導体パッケージ1Aを示す平面図である。
なお、以下の説明では、上記半導体パッケージ1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0046】
この半導体パッケージ1Aは、図9に示すように、配線基板2の上面のソルダーレジスト11に、配線基板2の端縁部に沿った領域を露出させる露出部15が設けられ、この露出部15が上記開口部12に連続して配線基板2の周囲を囲むように設けられている以外は、上記半導体パッケージ1と同様の構造を有している。
【0047】
この場合、上記開口部12に連続して、配線基板2の端縁部に沿った領域を露出させる露出部15が配線基板2の周囲を囲むように設けられていることから、上記従来の半導体パッケージ100のような封止樹脂108とソルダーレジスト107との界面において熱応力が集中し易い開口部109A,109Bの間にあるソルダーレジスト11の被覆部分107aや、開口部109A,109Bの両端にあるソルダーレジスト107の被覆部分107bを無くすことができる。これにより、配線基板2の上面を封止する封止体4の配線基板2の端縁部における剥離を更に防止でき、耐湿性などの信頼性を更に向上させることが可能である。
【0048】
(半導体装置の製造方法)
次に、本発明を適用した半導体装置の製造方法として、上記図9に示す半導体パッケージ1Aの製造工程について説明する。
上記半導体パッケージ1Aを製造する際は、先ず、図10に示すように、上記配線基板2となる部分が複数並んで形成された母配線基板20Aを用意する。この母配線基板20Aは、上記配線基板2となる部分がマトリックス状に複数並んで形成されると共に、最終的に上記配線基板2となる部分のダイシングライン(境界線)Lに沿って切断することで、上記配線基板2となる部分を個々の配線基板2として切り出すことが可能となっている。
【0049】
また、母配線基板20Aの一面を被覆するソルダーレジスト11には、配線基板2となる部分のダイシングラインLを露出させる開口部12Bが設けられている。また、この開口部12Bからは、ダイシングラインLを挟んで隣接するボンディングパッド群6A,6Bが露出している。
【0050】
次に、上記図5に示す場合と同様に、母配線基板20Aの各配線基板2となる部分に半導体チップ3を実装する。具体的には、各配線基板2の実装領域2aとなる部分に、接着剤や接着フィルム(DAF:Die Attached Film)などの接着層(図示せず。)を介して半導体チップ3を接着固定する。
【0051】
そして、母配線基板20Aの各配線基板2となる部分毎に、上記ボンディングパッド群6A,6Bを構成するボンディングパッド6と上記チップパッド群13A,13Bを構成するチップパッド13との間を、Au線やCu線等からなるボンディングワイヤー14により結線する。
【0052】
次に、上記図6に示す場合と同様に、各半導体チップ3、並びにチップパッド13とボンディングパッド6との間の結線部分を保護するため、母配線基板20Aの半導体チップ3が実装された面(一面)を封止樹脂(封止材)4Aにより封止する。この封止工程では、例えばトランスファー方式やポッティング方式などのモールド成形法を用いることができる。
【0053】
次に、上記図7に示す場合と同様に、母配線基板20Aの封止樹脂4Aで封止された面とは反対側の面(他面)に、はんだボール5を配置する。このはんだボール5の配置は、図示を省略する吸着機構を用いて配線基板2となる部分毎に行う。
【0054】
次に、上記図8に示す場合と同様に、母配線基板20Aの封止樹脂4A側にダイシングテープ21を貼着した後、図示を省略するダイシングブレードを用いて母配線基板20Aをダイシングテープ21とは反対側からダイシングラインLに沿って切断する。これにより、個々の半導体パッケージ1Aに分割する。そして、これら半導体パッケージ1Aをダイシングテープ21から引き剥がすことで、上記図9に示す半導体パッケージ1Aを得ることができる。
【0055】
また、本発明を適用した半導体パッケージ1Aの製造方法では、母配線基板20AをダイシングラインLに沿って切断することによって、このダイシングラインLを挟んで隣接する配線基板2となる部分の間で、上記開口部12Bが分断される。これにより、分割された半導体パッケージ1Aには、配線基板2の端縁部に沿った領域を露出させると共に、上記開口部12に連続して配線基板2の周囲を囲む露出部15が形成されることになる。
【0056】
以上のような工程を経ることによって、上記半導体パッケージ1Aを一括して製造することが可能である。また、本発明では、このようなMAP(Mold Array Process)と呼ばれる複数の半導体パッケージ1を一括して封止する生産方式を用いることにより、上記半導体パッケージ1を効率良く製造することができるため、その製造コストの低減を図ることが可能である。
【0057】
また、本発明では、配線基板2の端部と半導体チップ3の端部との間の距離Sを小さくする、例えば0.4mm以下とすることによって、1つの母配線基板20Aから切り出される配線基板2の取り数を増やすことができるため、半導体パッケージ1の更なる小型化を図ると共に、この半導体パッケージ1の製造コストを削減することが可能である。
【0058】
なお、本発明は、上記第1及び第2の実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記半導体パッケージ1,1Aでは、配線基板2上に1つの半導体チップ3を実装した構成となっているが、上記半導体チップ3の代わりに、複数の半導体チップを積層したチップ積層体を配線基板2上に実装した構成とすることも可能である。
【0059】
また、上記半導体パッケージ1,1Aでは、配線基板2上に半導体チップ3をフェイスアップで搭載した構成となっているが、配線基板2の端部と半導体チップ3の端部との距離Sが短い場合には、配線基板2上に半導体チップ3をフリップチップ実装で搭載した構成の半導体パッケージに本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,1A…半導体パッケージ(半導体装置) 2…配線基板 3…半導体チップ 4…封止樹脂(封止体) 4A…封止樹脂(封止材) 5…はんだボール(外部接続端子) 6A,6B…ボンディングパッド群 6…ボンディングパッド 7…配線パターン 8…接続ランド 9…配線パターン 10…ビア(貫通電極) 11…ソルダーレジスト(絶縁膜) 12…開口部 12A,12B…開口部 13A,13B…チップパッド群 13…チップパッド 14…ボンディングワイヤー 15…露出部 20,20A…母配線基板 21…ダイシングテープ L…ダイシングライン(境界線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、
前記配線基板の一面に実装された半導体チップと、
前記半導体チップを覆った状態で前記配線基板の一面を封止する封止体と、
前記配線基板の他面に配置された外部接続端子とを備え、
前記配線基板の一面には、前記半導体チップが実装される実装領域と、前記実装領域の外側に位置して複数のボンディングパッドが端縁部に沿って並ぶ2つ以上のボンディングパッド群と、前記一面を被覆する絶縁膜とが設けられ、
前記半導体チップの前記配線基板と対向する面とは反対側の面には、前記ボンディングパッド群に対応して、複数のチップパッドが端縁部に沿って並ぶ2つ以上のチップパッド群が設けられ、
前記ボンディングパッド群を構成するボンディングパッドと前記チップパッド群を構成するチップパッドとの間がボンディングワイヤーを介して電気的に接続され、
前記絶縁膜には、前記ボンディングパッド群を露出させる開口部が設けられ、この開口部は、前記配線基板の端縁部に臨んで開口されると共に、前記配線基板の端縁部に沿って並ぶ2つ以上のボンディングパッド群の間で連続して開口されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁膜には、前記配線基板の端縁部に沿った領域を露出させる露出部が設けられ、この露出部は、前記開口部に連続して前記配線基板の周囲を囲むように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記配線基板の端部と前記半導体チップの端部との間の距離が0.4mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ボンディングパッド群の並び方向の間隔が、前記ボンディングパッド群を構成する各ボンディングパッドの並び方向の間隔よりも大きく、
前記チップパッド群の並び方向の間隔が、前記チップパッド群を構成する各チップパッドの並び方向の間隔よりも大きく、
前記ボンディングパッド群を構成する各ボンディングパッドの並び方向の間隔が、前記チップパッド群を構成する各チップパッドの並び方向の間隔よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ボンディングパッド群は、前記配線基板の相対向する端縁部に、それぞれ並んで設けられ、
前記チップパッド群は、前記半導体チップの相対向する端縁部に、それぞれ並んで設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記封止体は、その端面が前記配線基板の端面と連続した面を形成していることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の半導体装置を製造する際に、
前記配線基板となる部分が複数並んで形成された母配線基板の一面に、前記半導体チップを前記配線基板となる部分毎に実装する工程と、
前記半導体チップを覆うように前記母配線基板の一面を封止材によって封止する工程と、
前記母配線基板を前記配線基板となる部分毎に切断することによって個々の半導体装置に分割する工程とを含み、
前記母配線基板の一面を被覆する絶縁膜に、前記配線基板となる部分の境界線を挟んで隣接するボンディングパッド群を露出させる開口部を設け、前記母配線基板を境界線に沿って切断することによって、この開口部を分断し、前記配線基板の端縁部に臨んで開口されると共に、前記配線基板の端縁部に沿って並ぶ2つ以上のボンディングパッド群の間で連続して開口された開口部を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記母配線基板の一面を被覆する絶縁膜に、前記配線基板となる部分の境界線を露出させる開口部を設け、前記母配線基板を境界線に沿って切断することによって、この開口部を分断し、前記配線基板の端縁部に沿った領域を露出させると共に、前記開口部に連続して前記配線基板の周囲を囲む露出部を形成することを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−99725(P2012−99725A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247651(P2010−247651)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】