説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】 高い測定精度を有しつつ、測定時間の短縮が可能なマイクロレンズのモニタ用構造体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 半導体装置は、画素領域に設けられたマイクロレンズと、画素領域の他の領域である周辺領域の上に設けられ、マイクロレンズの形状と相関があり、基板に垂直な面に含まれる断面の形状が同一のモニタ用構造体を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CCDやCMOSイメージセンサなどの固体撮像装置や液晶表示装置等の半導体装置には、感度を向上させるためのマイクロレンズ(オンチップレンズとも称する)が設けられているものがある。
【0003】
特許文献1では、撮像装置のマイクロレンズの品質測定のため、チップの周辺の領域に半球状のモニタ用構造体を形成している。そして、マイクロレンズ用のモニタ用構造体の表面形状をAFM(原子力間顕微鏡)で測定することによって、マイクロレンズ形成工程の異常、すなわちマイクロレンズの形状の異常を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−351853
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロレンズの形状の確認においては、マイクロレンズの断面形状や曲率や高さが重要である。しかし、特許文献1においては、マイクロレンズのモニタ用構造体が半球形状であるため、AFMでラスタ走査する必要がある。AFMのラスタ走査によって得られた複数の断面形状を合成し、マイクロレンズの断面形状や曲率や高さを得ることになる。しかし、AFMでラスタ走査をする際には、必ずマイクロレンズの頂点(トップ)を通るラインで走査できるとは限らないため、正確な断面形状等を取得することができずに測定誤差につながる要因となりうる。また、走査間隔を狭めることで測定誤差を低減することは出来るが、限界がある。また、走査間隔を狭めると走査するラインが増加するため、長い測定時間が必要となる。
【0006】
そこで、本発明においては、高い測定精度を有しつつ、測定時間の短縮が可能なマイクロレンズのモニタ用構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置は、画素領域に設けられたマイクロレンズと、前記画素領域の他の領域である周辺領域に設けられ、前記マイクロレンズの形状と相関があり、底面を有し、前記底面に垂直な方向での断面の形状が前記断面に直行する方向に渡って同一であるモニタ用構造体を有する。
【0008】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、画素を含む画素領域に設けられたマイクロレンズと、前記画素領域の他の領域である周辺領域に設けられ、底面を有し、前記底面に垂直な面に含まれる断面の形状が前記断面に直行する方向に渡って同一なモニタ用構造体を有する半導体装置の製造方法において、前記モニタ用構造体と前記マイクロレンズとを同時に形成する工程を有する。
【発明の効果】
【0009】
高い測定精度を有しつつ、測定時間の短縮が可能なマイクロレンズのモニタ用構造体及びその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態を説明するマイクロレンズ及びモニタ用構造体の模式的な平面図及び断面図。
【図2】第1の実施形態を説明する半導体ウエハの模式的な平面図。
【図3】第1の実施形態を説明する光電変換装置の模式的な断面図。
【図4】第2の実施形態を説明するマイクロレンズ及びモニタ用構造体の模式的な平面図及び断面図。
【図5】第2の実施形態を説明するマイクロレンズ及びモニタ用構造体の模式的な平面図及び断面図。
【図6】第1の実施形態を説明するマイクロレンズ及びモニタ用構造体のフォトマスクの遮光パターンを模式的に示した図。
【図7】第3の実施形態を説明するモニタ用構造体の断面の測定結果を示したグラフ。
【図8】第3の実施形態を説明するマイクロレンズとモニタ用構造体の形状の関係を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の半導体装置は、画素領域に設けられたマイクロレンズと、画素領域の他の領域に設けられたモニタ用構造体とを有する。モニタ用構造体は、マイクロレンズの形状と相関がある形状を有する。具体的には、モニタ用構造体は、底面を有し、底面に垂直な方向での断面の形状が、断面に直行する方向に渡って同一形状となる。あるいは、底面が矩形の領域を少なくとも有し、その矩形の領域においてモニタ用構造体の断面の形状が、断面に垂直な方向に渡って同一形状となる。つまり、このモニタ用構造体は、ある断面形状が所定の長さだけ延在する形状である。例えば、円柱の半分や、いわゆるかまぼこ型などである。このようなモニタ用構造体を有することで、マイクロレンズの形状についてAFM等の走査によって形状測定をする場合に、高い測定精度を有しつつ、測定時間の短縮が可能となる。
【0012】
なお、同一形状とは、同一の形状となるように設計され、製造されたものであり、製造時の誤差などによる形状の不一致は同一の範囲とみなす。
【0013】
以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
本実施形態では、半導体装置として光電変換装置を例に、図1〜図3、及び図6を用いて説明する。まず、図2の半導体ウエハの模式的な平面図を用いて、マイクロレンズとモニタ用構造体との位置関係について説明する。
【0015】
図2は半導体ウエハ200における半導体チップ201のレイアウトを示した平面図である。図2は、半導体ウエハ200の表面に半導体チップ201の外縁等を投影したものである。図2では説明のため半導体ウエハ200に2つの半導体チップ201を示しているが、実際には、多くの半導体チップ201が半導体ウエハ200上に設けられている。
【0016】
半導体チップ201のそれぞれは、画素が配された画素領域202とそれ以外の領域である周辺領域203とを有している。周辺領域203には、画素領域202から信号を読み出すための駆動回路や、画素領域202からの信号を処理する信号処理回路や、外部回路との接続のための端子(パッド)等が設けられている。ここで、本実施形態のマイクロレンズは画素領域202に画素に対応して設けられており、モニタ用構造体は周辺領域203の一部であるモニタ領域204に設けられている。モニタ用構造体は、画像に関係する画素領域202とは別のモニタ領域204に設けられているため、測定時にモニタ用構造体にダメージを与えてしまった場合にも、画像へのダメージの影響を抑制することが可能である。
【0017】
次に、このマイクロレンズとモニタ用構造体の形状について、図1を用いて説明する。図1(a)は、マイクロレンズの平面構造101、平面構造101におけるA−B線の断面構造102、及び平面構造101におけるC−D線の断面構造103を示している。マイクロレンズの平面構造101は、上方からの投影図ともいえる。図1(a)の平面構造101は画素領域202の一部を示しており、画素領域202には画素104が二次元に配されている。長さWは画素104の1辺の長さであり、また、画素ピッチである。画素ピッチは、平面構造において、画素の中心と隣接する画素の中心とを結ぶ線分の長さである。なお、本実施形態においては、画素104は正方形としている。よって、画素の長さWは画素ピッチと等しいため、簡単のため画素の長さWを示している。ここで、画素104は正方形に限らず、長さWは画素の形状の1辺か直径か対角線で規定可能である。
【0018】
ここで、1つのマイクロレンズ105がそれぞれの画素104に対応して配されている。つまり、画素領域202には、マイクロレンズアレイが配されている。つまり、マイクロレンズ105も画素104と同様に長さWのピッチで配されている。マイクロレンズ105は平面構造101に示すように上方から見ると円状の形を有している。また、マイクロレンズ105は、断面構造102及び断面構造103に示すように、高さhの半円の断面形状106と高さhの半円の断面形状107を有している。つまり、マイクロレンズ105は高さhの半球状の形を有している。なお、マイクロレンズの平面形状は楕円や矩形のような形であってもよい。また、図1(a)において、複数のマイクロレンズ105は、隣接するマイクロレンズと互いに接しており、レンズ間ギャップのない構成となっている。この断面形状とは半導体装置の半導体基板の表面に垂直な面(断面)に含まれる形状である。あるいは、この断面形状とはマイクロレンズの底面に垂直な面(断面)に含まれる形状である。
【0019】
次に、図1(b)において、モニタ領域204にモニタ用構造体群110が配置されている。ここでモニタ用構造体群110は少なくとも1つのモニタ用構造体115を有する。ここで、モニタ用構造体115は、ある長さにおいて等しい断面形状を有する。図1(b)の平面構造111に示すように、モニタ用構造体115は長さWと長さmを有する楕円状の平面形状を有する。そして、モニタ用構造体115は、同一の断面形状を有する領域114を有する。領域114は、長さdと長さWを有する矩形の形状を有している。この領域114の2辺はE−F線とG−H線に含まれている。領域114におけるモニタ用構造体の形状を断面構造112及び断面構造113を用いて説明する。ここで、断面構造112とは断面構造112a及び断面構造112bをまとめて示すものである。
【0020】
平面構造111のE−F線における断面構造112aに示すように、モニタ用構造体115は半円の形状116aを有する。また、平面構造111のG−H線における断面構造112bに示すようにモニタ用構造体115は半円の形状116bを有する。このように矩形の領域114において、モニタ用構造体115は半円の形状を連続して有している。この時、E−F線及びG−H線に直行する断面である、I−J線における断面構造113において、モニタ用構造体115は断面形状117を有する。断面形状117は、領域114(長さdの範囲)において、一定の高さh’を有する。この高さh’は、図1(a)のマイクロレンズ105の高さhと相関がある。また、この長さdは、AFM等の測定装置におけるY方向の分解能よりも長い。例えば、マイクロレンズのピッチである長さWに対して、モニタ用構造体115の長手方向の寸法mは、W<mの関係となっていることが好ましい。そして、領域114の長さdは、W≦d<mの関係を有することが好ましい。また、長さdは長さWの1倍以上500倍以下(W≦d≦500W)であるとよい。モニタ用構造体115が長すぎても半導体装置のチップ上に配置が難しいため、画素領域202に配置される画素の長さ以下であると良い。例えば、画素領域202に画素が二次元に配置され、横方向に500個の画素が配置されている場合には、長さdは500画素分の長さ以下、つまり長さWの500倍以下の長さにするとよい。例えば、長さWを1.86μmとし、100個の画素が配置されているとすると、領域114の長さdを約180μmとすることができる。この時、モニタ用構造体115の長手方向の寸法mを約190μmとなる。
【0021】
更に、図3を用いて、マイクロレンズ105とモニタ用構造体群110を有する光電変換装置について説明する。図3(a)は、図1(a)の平面構造101のA−B線における半導体基板までを含む断面模式図である。図3(b)は図1(b)の平面構造111のE−F線における半導体基板までを含む断面模式図であり、図3(c)は図1(b)の平面構造111のI−J線における半導体基板までを含む断面模式図である。図1(a)の平面構造101のC−D線における断面形状は図3(a)と、図1(b)の平面構造111のG−H線における断面形状は図3(b)と、概ね等しいので、説明を省略する。図3(a)〜図3(c)において、半導体装置は、この順に積層された半導体基板301と、配線構造体302と、保護層303と、平坦化層304と、カラーフィルタ層305と、平坦化層306と、を有している。平坦化層306の上に、マイクロレンズ105とモニタ用構造体群110とが設けられている。半導体基板301には、画素領域202においては少なくとも光電変換素子307が設けられ、モニタ領域204を含む周辺領域203には少なくともトランジスタなどの回路素子308が設けられている。ここで、画素領域202には、図3(a)に示すように、画素104が設けられている。この画素104は、少なくとも1つの光電変換素子307を有している。画素104は長さWを有する。また、モニタ領域204には回路素子308を設けなくてもよい。配線構造体302は絶縁膜と配線とコンタクト等のプラグを有し、例えばシリコン酸化膜からなる絶縁膜と銅を主成分とした配線とを有する。この配線の積層数は複数であってもよい。保護層303は、外部からの水分やカラーフィルタ層からの不純物の半導体基板への拡散を抑制するための物であり、例えばシリコン窒化膜を有する。平坦化層304及び平坦化層306は、凹凸を埋めるための物であり、無くてもよい。平坦化層304及び平坦化層306は、有機材料、例えば、スピンコートが可能な樹脂からなる。カラーフィルタ層305は複数の色のフィルタを有しており、例えば、画素領域202において、各画素に1つの色が対応するように原色のフィルタが配列されている。なお、モニタ領域204では、回路素子に光が入射しないように、例えば青のフィルタがモニタ領域204覆うように配されている。また、配線構造体においても、モニタ領域204においては、例えば遮光膜としても機能する配線がモニタ領域204を覆うように配されている。本実施形態のマイクロレンズ105及びモニタ用構造体群110は、光電変換装置において図3のような構成を有する。以上、説明したようなモニタ用構造体115を有することで、測定時間を短縮しつつ、測定精度を向上することが可能となる。
【0022】
測定時間の短縮と測定精度の向上について、詳細に説明する。まず、モニタ用構造体が、図1(a)に示すような画素領域202のマイクロレンズ105と同じ形状を有する場合について説明する。その場合には、モニタ用構造体は半球状であり、その半球の高さの測定をするには、AFM等の測定装置において、X方向に走査しながらY方向に走査するエリア走査(ラスタスキャン等)を行い、ある平面における高さのデータを得る必要がある。つまり、複数の断面形状を入手することで半球の頂点を含む断面形状を入手することになり、X方向への走査が複数必要であり、時間がかかる。また、半球の頂点を含む断面がどの位置にあるのか不明なため、正しい半球の高さを測定しているか不明であり、測定精度が高いとは言い難い。また、測定精度を高めるには走査間隔を狭める必要があるため、更に時間がかかってしまう。
【0023】
一方、本実施形態のモニタ用構造体によれば、モニタ用構造体115の領域114を測定装置によって、X方向に1回走査をすることで、マイクロレンズ105の高さhと対応が取れた高さを測定することが出来る。よって、複数回の走査が不要であり、またマイクロレンズの高さhと対応する高さh’を確実に測定することが出来るため高い測定精度を有する。よって、このようなモニタ用構造体を用いることで、AFM等の走査により測定する装置を用いる場合において、高い測定精度を有しつつ、測定時間を短縮させることが可能となるのである。
【0024】
本実施形態のモニタ用構造体の製造方法について説明する。本実施形態では、モニタ用構造体群110を、複数のマイクロレンズ105と同時に製造する。本実施形態では、モニタ用構造体群110が複数のマイクロレンズ105と同時に、階調露光法で製造された場合について説明する。本実施形態では、階調露光法の一例として、面積階調マスクを用いた場合について説明する。ハーフトーンマスク等、他のマスクを用いてもよい。面積階調マスクは露光装置で解像しない微細な遮光の密度変化、あるいは微細な遮光の面積の変化で階調を作る方法である。面積階調マスクについては後に詳述する。
【0025】
まず、図3に示した平坦化層306を形成するまでは、一般の半導体プロセスを用いて実施可能である。その後、平坦化層306の上に、画素領域202及び周辺領域203に渡って、感光性の有機材料からなるマイクロレンズ材料層(感光性の材料層)を形成する。例えば、感光性の樹脂をスピンコートによって塗付する。ここで、平坦化層306は省略し、マイクロレンズ材料層で平坦化をすることも可能である。そして、マイクロレンズ材料層に対して、面積階調マスクを用いてマイクロレンズ材料層の任意の箇所を露光し、現像及び焼成をする。以上の工程で、マイクロレンズ105及びモニタ用構造体115が形成される。この後、モニタ用構造体群110のうち少なくとも1つのモニタ用構造体115をAFM等で測定することで、マイクロレンズ105の形状、あるいは高さを求める。マイクロレンズの形状、高さを求める際には、本実施例と同じ条件でマイクロレンズとモニタ用構造体を試作し、それらの相関関係を求めておけばよい。マイクロレンズ105の高さや形状が所望の値である場合には、次の処理へ進む。しかし、マイクロレンズ105の高さや形状が所望の値でない場合には、マイクロレンズ105及びモニタ用構造体群110を半導体装置から除去し、再度、マイクロレンズ及びモニタ用構造体群110を形成し(リワーク)、再度、測定を行う。再測定の後のフローは最初の測定の時と同様である。
【0026】
次に、面積階調マスクについて、図6を用いて説明する。図6(a)は1つのマイクロレンズ105用のフォトマスクの遮光パターン601である。本実施形態のように複数のマイクロレンズを形成する場合には、この遮光パターン601を複数配列してフォトマスクを形成する。図6(b)はモニタ用構造体115用のフォトマスクの遮光パターン602である。本実施形態のように複数のモニタ用構造体115を形成する場合には、この遮光パターン602を複数配列してフォトマスクを形成する。これら複数の遮光パターン601と複数の遮光パターン602とは同一のフォトマスクの任意の位置に設ける。
【0027】
遮光パターン601はその中心603から外周604へ向かって遮光の有無で透過光量を調整している。この遮光は露光装置で解像しない大きさである。遮光の有無は、マイクロレンズ105の形状と感光性材料の感度との関係から導き出される透過光量分布の値を、仮想的に二次元に設けられたセルに当てはめ、各セルで二値化したものである。ここで領域605は少なくとも中心603を含む一行(X方向に配列した)のセルの遮光パターンを含む領域である。なお、領域605は二行分のセルを夫君でいてもよい。
【0028】
遮光パターン602は遮光パターン601の領域605を一次元に繰り返し連続して配置することで形成している。具体的には、遮光パターン601の中心603近傍の2行分のセルを抜き出し、Y方向に繰り返し延在させて形成している。つまり、遮光パターン602の線606はマイクロレンズの中心603に対応するパターン上に存在している。このような設計方法によって、遮光パターン601と遮光パターン602とが設計され、フォトマスクが形成される。なお、長さW’は縮小露光や現像等を経て出来上がりのマイクロレンズあるいはモニタ用構造体の幅が長さWとなるような値である。
【0029】
このような製造方法によって形成されたモニタ用構造体によって、マイクロレンズの形状あるいは高さについて測定可能である。なお、マイクロレンズ105の高さ等を決める因子として、マイクロレンズ材料の膜厚、露光条件、現像条件等があるが、本実施形態ではマイクロレンズ及びモニタ用構造体は同時に製造されるために、それらの高さ等の関係は精度の高いものとなる。
【0030】
モニタ用構造体は、本実施例の製造方法のように、マイクロレンズと同時に製造することが望ましい。本実施例ではマイクロレンズ材料層を形成する工程から焼成する工程まで、同じタイミングで露光し、同じタイミングで現像等をし、同じマイクロレンズ材料層からマイクロレンズとモニタ用構造体を形成している。マイクロレンズが形成されるまでに受ける熱や光からの影響と同じ影響をモニタ用構造体にも与えることが出来るためである。このように同時に製造することで、モニタ用構造体はマイクロレンズの形状に相関がある形状を有することが容易となる。また、材料が同一であることが望ましい。また、モニタ用構造体のためのフォトマスクとマイクロレンズのためのフォトマスクを1枚のフォトマスクとし、同時に露光されることが望ましい。これらは、マイクロレンズとモニタ用構造体の形状の相関関係をより強いものとすることが出来る。しかしながら、相関関係が得られるのであれば、このように同時に形成することに限ることはなく、また同じ材料であることに限定されるものでもない。
【0031】
また、本実施形態のようにマイクロレンズが複数存在する場合には、モニタ用構造体も複数設けることが望ましい。マイクロレンズを形成する際の隣接マイクロレンズからの影響を、モニタ用構造体でも同様にするためである。測定の際には、両端のモニタ用構造体を除くモニタ用構造体で測定を行う。このような配置及び測定を行うことで、より高精度な測定が可能である。
【0032】
また、モニタ用構造体の高さや形状を変える場合には、遮光の配置を変更し遮光パターン602を変更することで調整することができる。また、モニタ用構造体の形状がマイクロレンズの形状と異なる場合でも、モニタ用構造体の高さや形状とマイクロレンズの高さや形状との相関関係を予め得ておけばよい。この相関関係とモニタ用構造体の測定結果とによって、画素領域内撮像装置上のオンチップマイクロレンズの高さや形状の情報を得ることができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のモニタ用構造体によれば、高い測定精度で測定時間を短縮することが可能となる。
【0034】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態の製造方法とは異なり、マイクロレンズ及びモニタ用構造体がリフロー法によって製造された場合について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、図1と対応する図面であるが、完成した構成ではなく形成途中のマイクロレンズとモニタ用構造体の部材を示している。図5は、図4の後に出来上がるマイクロレンズとモニタ用構造体を示す図面である。図4及び図5は図1と対応し、図1と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0035】
リフロー法でマイクロレンズを形成する場合には、感光性の有機材料からなるマイクロレンズ材料を設け、露光し、現像した後に、熱処理を行うことで、マイクロレンズを形成する。具体的には、図3の平坦化層306の上に、感光性の樹脂であるマイクロレンズ材料を塗付し、所望の形(円柱や四角柱等)になるよう露光及び現像をする。その後、マイクロレンズ材料の部材(パターン)が溶融する温度で熱処理を行うことでマイクロレンズ材料の表面に曲率を形成する。
【0036】
図4は、所望の形になるように露光及び現像をした後のマイクロレンズ材料の部材を示している。図4(a)はマイクロレンズのための部材であり、図4(b)はモニタ用構造体のための部材である。
【0037】
まず、図4(a)の平面構造401には、矩形状のマイクロレンズのための部材405が設けられている。この部材405は、平面構造401のA−B線での断面構造402においては同じく矩形の断面形状406を有し、平面構造401のC−D線での断面構造403においては同じく矩形の断面形状407を有している。いずれも、第1の実施形態とは異なり長さWよりは一回り小さく形成されている。
【0038】
次に、図4(b)の平面構造411には、モニタ用構造体となる部材415が設けられている。この部材415は、平面構造411のE−F線での断面構造412aにおいて矩形の断面形状416aを有し、G−H線での断面構造412bにおいて矩形の断面形状416bを有する。また、部材415は、平面構造411のI−J線での断面構造413において、矩形の断面形状417を有している。こちらも長さWより一回り小さく、長さmよりも一回り小さく形成されている。
【0039】
このような図4(a)及び図4(b)の部材に対して、熱処理を行い、図5(a)及び図5(b)に示すマイクロレンズ505及びモニタ用構造体515が得られる。
【0040】
図5(a)の平面構造501のマイクロレンズ505は円状であり、長さWよりも小さく、隣接するマイクロレンズは接しておらず、隣接するマイクロレンズの間には間隔がある。マイクロレンズ505は、平面構造501のA−B線での断面構造502において半円状の断面形状506を有し、平面構造501のC−D線での断面構造503において半円状の断面形状507を有する。断面形状506及び断面形状507においても、マイクロレンズ505は長さWよりも小さく、隣接するマイクロレンズとの間に間隔がある。つまり、第1の実施形態のマイクロレンズ105よりも本実施形態のマイクロレンズ505は小さくなっている。それは、リフロー法によってマイクロレンズを形成する場合には、隣接するマイクロレンズが接してしまうと、半球状の形状を維持できなくなってしまうためである。
【0041】
そして、図5(b)の平面構造511において、モニタ用構造体群510のモニタ用構造体515は、楕円状であり、長さWより小さく、長さmより小さい。また、隣接するモニタ用構造体515と接しておらず、その間には間隔がある。モニタ用構造体515は、平面構造511のE−F線での断面構造512aにおいて半球状の断面形状516aを有し、平面構造511のG−H線での断面構造512bにおいて半球状の断面形状516bを有する。いずれも長さWよりも小さく、隣接するモニタ用構造体515とは接していない。そして、断面形状516a及び断面形状516bはほぼ同一の形状となっている。また、モニタ用構造体515は、平面構造511のI−J線での断面構造513において、端部が曲率を有する長方形の断面形状517を有している。断面形状517は、長さdの領域514を有し、領域514において高さh’’で一定となっている。つまり、領域514においては、第1の実施形態と同様に等しい断面形状となっている。
【0042】
このように、本実施形態にて説明したリフロー法によっても、本発明のモニタ用構造体を形成することが可能である。
【0043】
なお、本実施形態にて形成したマイクロレンズ及びモニタ用構造体をマスクとしてエッチングを行ってもよい。具体的には、マイクロレンズ材料を設ける前に、別のマイクロレンズ材料を設けておき、本実施形態の手順で形成したマイクロレンズ及びモニタ用構造体をマスクとして、それらの形状を別のマイクロレンズ材料に転写するようにエッチングを行う。このような方法によってもマイクロレンズ及びモニタ用構造体を形成することが可能である。このような方法によれば、隣接するマイクロレンズ同士、及び隣接するモニタ用構造体同士を第1の実施形態のように接触させることが可能となる。マイクロレンズ同士が接触していることで、集光効率が向上し、光電変換装置の場合には感度を向上させることが可能となる。
【0044】
(第3の実施形態)
本実施形態では、マイクロレンズとモニタ用構造体のモニタ用構造体との形状を変化させた場合について図7及び図8を用いて説明する。
【0045】
図7は、第1の実施形態の製造方法によって形成したモニタ用構造体の形状をAFMにて測定したグラフである。図7は、横軸が位置であり、縦軸が高さ(μm)を示している。つまり、図7には、断面形状の測定結果が示されている。図7(b)は、モニタ用構造体が基準の形状を有する場合の測定結果である。マイクロレンズの高さhとモニタ用構造体の高さh’とが等しい場合である。一方、図7(a)は、モニタ用構造体の高さを図7(b)よりも低くした場合の測定結果である。図7(c)は、モニタ用構造体の間隔を図7(b)よりも広くしたものである。
【0046】
図8は、図7(a)〜図7(c)に示した異なる形状のモニタ用構造体とマイクロレンズとの関係を示している。図8は、縦軸に図7のモニタ用構造体の高さ(μm)を取り、横軸にマイクロレンズの高さ(μm)を取ったグラフである。まず、図8(b)は、縦軸に図7(b)のモニタ用構造体の高さ(μm)を取り、横軸にマイクロレンズの高さ(μm)を取ったグラフである。第1の実施形態の製造方法において、露光条件を変化させて、具体的には露光量を増減させて、マイクロレンズ及びモニタ用構造体の高さを変化させている。ここで、マイクロレンズが高くなった場合にはモニタ用構造体も高くなり、マイクロレンズが低くなった場合にはモニタ用構造体も低くなっており、マイクロレンズの高さhとモニタ用構造体の高さh’の関係は近似線802で示すように直線となっている。このようにマイクロレンズの高さhとモニタ用構造体の高さh’には強い相関関係があり、高い精度でマイクロレンズの高さ及び形状を測定することが可能であることが分かる。
【0047】
次に、図8(a)は、縦軸に図7(a)のモニタ用構造体の高さを取り、横軸にマイクロレンズの高さを取ったグラフである。図8(a)の測定結果はモニタ用構造体の高さを基準とした図7(b)よりも低くしている以外は、図8(b)と同様である。マイクロレンズの高さhとモニタ用構造体の高さh’とが等しい高さでない場合においても、マイクロレンズが高くなった場合にはモニタ用構造体も高くなる。また、マイクロレンズが低くなった場合にはモニタ用構造体も低くなる。そして、マイクロレンズの高さとモニタ用構造体の高さの関係は近似線801で示すように直線となっており、相関関係があることが分かる。このように、マイクロレンズの高さとモニタ用構造体の高さが異なっていてもよい。
【0048】
図8(c)は、縦軸に図7(c)のモニタ用構造体の隣接するモニタ用構造体との間隔を取り、横軸にマイクロレンズの高さを取ったグラフである。図8(c)の測定結果はモニタ用構造体の間隔を基準とした図7(b)よりも広げている以外は、図8(b)と同様に露光量を変化させてマイクロレンズの高さを変化させている。その時の間隔の変化は、マイクロレンズの高さの変化と対応し、それらの関係は近似線803で示すようにほぼ直線を有している。よって、モニタ用構造体の間隔とマイクロレンズの高さとの相関関係があることが分かる。なお、本実施形態では説明しないが、間隔を変えた場合にも、モニタ用構造体の高さとマイクロレンズの高さとの間に相関関係はある。
【0049】
図8(a)〜図8(c)より、画素領域202のマイクロレンズの高さの変化に応じてモニタ用構造体の高さあるいは間隔が対応して変化する相関関係があることがわかる。このような相関関係に基づき、マイクロレンズの高さを求めることが出来るため、高い測定精度を得ることが出来る。
【0050】
なお、図7(c)及び図8(c)より、複数のモニタ用構造体の間に間隔があるモニタ用構造体を設けることで、AFM等の測定装置だけでなく、SEM(走査型電子顕微鏡)によってその間隔を測定し、マイクロレンズの高さを測定することが可能となる。
【0051】
また、マイクロレンズが反射防止膜を含む(マイクロレンズの基体が反射防止膜に覆われている)場合には、モニタ用構造体も同じ反射防止膜を含むことが望ましい。それは、マイクロレンズとモニタ用構造体との形状、あるいは寸法の相関関係を高めることが出来るためである。
【0052】
以上のようなモニタ用構造体を有する半導体装置によって、測定時間を短縮しつつ測定誤差を低減可能である。なお、本発明は実施形態に限定されることはなく、また、各実施形態は適宜組み合わせ可能である。半導体装置についても、固体撮像装置を含む光電変換装置のみならず、表示装置等のマイクロレンズを有する装置に適用可能である。
【0053】
なお、本発明のマイクロレンズと画素との配置関係は、1つの画素に対して1つのマイクロレンズの場合のみならず、複数の画素に対して1つのマイクロレンズの場合、あるいは1つの画素に対して複数のマイクロレンズの場合など任意の配置が可能である。また、上述のモニタ用構造体は複数の場合について説明してきたが、1つあるいは複数のマイクロレンズに対して1つのモニタ用構造体が設けられていてもよく、1つあるいは複数のマイクロレンズに対して複数のモニタ用構造体が設けられていてもよい。但し、マイクロレンズが複数存在する場合には、モニタ用構造体も複数設けることが望ましい。マイクロレンズを形成する際の隣接マイクロレンズからの影響をモニタ用構造体でも同様にするためである。
【符号の説明】
【0054】
101 マイクロレンズの平面構造
102 マイクロレンズの平面構造のA−B線での断面構造
103 マイクロレンズの平面構造のC−D線での断面構造
104 画素
105 マイクロレンズ
106 マイクロレンズのA−B線の断面形状
107 マイクロレンズのC−D線の断面形状
110 モニタ用構造体群
111 モニタ用構造体の平面構造
112 モニタ用構造体の平面構造のE−F線、G−H線での断面構造
113 モニタ用構造体の平面構造のI−J線での断面構造
115 モニタ用構造体
116 モニタ用構造体のE−F線、G−H線での断面形状
117 モニタ用構造体のI−J線での断面形状


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素領域に設けられたマイクロレンズと、
前記画素領域の他の領域である周辺領域に設けられ、前記マイクロレンズの形状と相関があり、底面を有し、前記底面に垂直な方向での断面の形状が前記断面に直行する方向に渡って同一であるモニタ用構造体を有する半導体装置。
【請求項2】
前記モニタ用構造体は、前記マイクロレンズと同じ材料からなる請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記断面の形状は前記マイクロレンズの頂点を含む断面と同じ形状である請求項1あるいは2のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記モニタ用構造体の断面の形状は、前記マイクロレンズと同じ断面形状を有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記画素領域の上に複数の前記マイクロレンズが設けられている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記周辺領域は、複数の前記モニタ用構造体を有する請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記矩形の領域は、前記断面に直行する方向に沿った2辺を有し、
前記2辺は長さdを有し、
前記長さdは前記画素領域の画素の辺の長さWとW≦dの関係を有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記画素領域には複数の画素が設けられており、
前記長さdは前記長さWの1倍以上500倍以下である請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記マイクロレンズと前記モニタ用構造体は、反射防止膜を含む請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記画素領域には、光電変換素子が設けられている請求項1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
画素を含む画素領域に設けられたマイクロレンズと、
前記画素領域の他の領域である周辺領域に設けられ、底面を有し、前記底面に垂直な面に含まれる断面の形状が前記断面に直行する方向に渡って同一なモニタ用構造体を有する半導体装置の製造方法において、
前記モニタ用構造体と前記マイクロレンズとを同時に形成する工程を有する半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記モニタ用構造体と前記マイクロレンズとを同時に形成する工程において、
前記モニタ用構造体及び前記マイクロレンズの材料が同一であることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記モニタ用構造体と前記マイクロレンズとを同時に形成する工程において、
前記モニタ用構造体及び前記マイクロレンズのためのフォトマスクは、1つのフォトマスクであることを特徴とする請求項11あるいは12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記モニタ用構造体と前記マイクロレンズとを同時に形成する工程は、
感光性の材料層を前記画素領域から前記周辺領域に渡って設ける工程と、
前記モニタ用構造体、及び前記マイクロレンズのためのフォトマスクを用いて前記材料層を露光する工程と、を含む請求項11乃至13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記フォトマスクは、階調マスクである請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記階調マスクは、
前記マイクロレンズのための遮光パターンと、
前記マイクロレンズの中心を含む断面に対応する前記遮光パターンの一部の領域を一次元に繰り返し配置することで形成した前記モニタ用パターンのための遮光パターンと、を有する請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記モニタ用構造体と前記マイクロレンズとを同時に形成する工程は、
前記露光する工程の後に、前記感光性の材料を現像し、前記感光性の材料の構造体を形成する工程と、
前記感光性の材料の構造体の表面が曲率を有するように熱処理を行う工程と、を有する請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記モニタ用構造体と前記マイクロレンズとを同時に形成する工程は、
前記材料層を設ける工程の前に、前記モニタ用構造体と前記マイクロレンズとを構成する材料層を設ける工程を有し、
前記熱処理を行う工程の後に、前記表面が曲率を有する感光性の材料のパターンをマスクとして前記材料層をエッチングする工程を有する請求項17に記載の半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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