説明

半導体装置用テープキャリア及びその製造方法

【課題】ボンディング時に配線リードをノッチ部で切断すること、及び配線リードの未切断の発生を抑制することを可能とした半導体装置用テープキャリアを提供する。
【解決手段】所定の位置に第1ボンディング用窓2Aが形成された絶縁性テープ2と、絶縁性テープ2上に所定のパターンで形成された配線リード3とを備え、配線リード3は、第1ボンディング用窓2A内に露出して所定の幅Wを有する切断用のノッチ部30C、及び第1ボンディング用窓2A内に露出して所定の幅Wを有する半導体チップ接続用の第1連結部33Cを有し、配線リード3が300MPaから350MPaの引張強度とボンディング加熱時に10%から20%の伸び率とを有するとき、配線リード3の所定の幅W及びWの比W/Wが0.725以下に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置用テープキャリア及びその製造方法に関し、特にテープ基材のボンディング用窓内に配線リードの一部が露出する半導体装置用テープキャリア及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半田ボールを使用して装置搭載用基板としてのプリント基板へ表面実装を行うBGA(Ball Grid Array)パッケージタイプの半導体装置は、パッケージの平面全体でプリント基板との電気的接続が可能となるため、アウターリードを用いたQFP(Quad Flat Package)等のようにパッケージの端縁で電気的接続するものと比べて端子(リード)間のピッチを狭めることなく、多ピン(多端子)化が図れるという特長がある。
【0003】
このようなBGAパッケージタイプの中には、TAB(Tape Automated Bonding)テープをパッケージの構造材として使用したものが知られている。TABテープを用いたBGAパッケージは、薄型化及び小型化が図れ、例えばμBGA(米国テセラ社登録商標)等のCSP(Chip Size Package)を製造することが可能となる。
【0004】
μBGAパッケージは、テープBGAタイプのCSPであり、半導体チップとTABテープとの間にエラストマー(低弾性樹脂)を介在させ、S字又はJ字形状のリードで半導体チップとTABテープとを接続した構造をもつものが知られている(例えば特許文献1,2)。このμBGAパッケージの特長は、半導体チップとTABテープとの間にエラストマーを介在させたことにより、パッケージとプリント基板との間に生じる熱応力を緩和することができ、半田ボール接続部の寿命を向上させることができる点にある。
【0005】
TABテープと半導体チップとを接続するボンディング工程は、TABテープに設けられた配線リードのリード接続部を半導体チップの電極パッドに対向する位置に位置決めした後、ボンディングツールを配線リードの上方から降下させて配線リードのリード接続部近傍の部位を切断してから、配線リードのリード接続部をボンディングツールでさらに押し下げて電極パッドに接続することにより行われる。
【0006】
この場合、配線リードの切断部に切断部以外の部位のリード幅よりも小さいリード幅を有するノッチ部を設け、このノッチ部をボンディングツールで切断して電極パッドに配線リードのリード接続部を接続することを可能とする半導体装置用テープキャリアが用いられる(例えば特許文献3,4)。この半導体装置用テープキャリアの特長は、TABテープと半導体チップとを接続するボンディング時に配線リードを切断する際のリード切断性を高めることができる点にある。
【特許文献1】特開2005−101638号公報
【特許文献2】特表平10−506235号公報
【特許文献3】特開平10−41344号公報
【特許文献4】特開平10−41345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、配線リードにノッチ部を有する従来の半導体装置用テープキャリアによると、ボンディング時に配線リードがノッチ部以外の部位で切断されたり、あるいは配線リードそのものが切断されなかったりすることがある。このため、配線リードを半導体チップに接続するボンディング時に接続不良が発生し、実装工程における生産性が低下する結果となる。
【0008】
従って、本発明の目的は、ボンディング時に配線リードをノッチ部で的確に切断することができるとともに、配線リードの未切断の発生を抑制することができる半導体装置用テープキャリア及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、上記目的を達成するために、所定の位置にボンディング用窓が形成された絶縁性のテープ基材と、前記テープ基材上に所定のパターンで形成された配線リードとを備え、前記配線リードは、前記ボンディング用窓内に露出して所定の幅Wを有する切断用のノッチ部、及び前記ボンディング用窓内に露出して所定の幅Wを有する半導体チップ接続用のリード接続部を少なくとも有し、前記配線リードが300MPaから350MPaの引張強度とボンディング加熱時に10%から20%の伸び率とを有するとき、前記配線リードの前記所定の幅W及びWの比W/Wが0.725以下に設定されることを特徴とする半導体装置用テープキャリアを提供する。
【0010】
(2)本発明は、上記目的を達成するために、所定の位置にボンディング用窓が形成された絶縁性のテープ基材と、前記テープ基材上に所定のパターンで形成された配線リードとを備え、前記配線リードは、前記ボンディング用窓内に露出して所定の幅Wを有する切断用のノッチ部、及び前記ボンディング用窓内に露出して所定の幅Wを有する半導体チップ接続用のリード接続部を少なくとも有する半導体装置用テープキャリアの製造方法であって、前記テープ基材の片面に金属箔を形成する第1ステップと、前記金属箔にエッチング処理を施すことにより前記配線リードを形成する第2ステップとを含み、前記配線リードを形成するにあたり、前記配線リードが300MPaから350MPaの引張強度とボンディング加熱時に10%から20%の伸び率とを有するとき、前記配線リードの前記所定の幅W及びWの比W/Wが0.725以下に設定されることを特徴とする半導体装置用テープキャリアの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、ボンディング時に配線リードをノッチ部で的確に切断することができるとともに、配線リードの未切断の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[実施の形態]
図1(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置用テープキャリアの全体を説明するために示す平面図とそのA−A断面図である。図1(a)は平面図を、図1(b)はA−A断面図をそれぞれ示す。図2は、本発明の実施の形態に係る半導体装置用テープキャリアの要部を説明するために示す平面図である。
【0013】
(半導体装置用テープキャリアの全体構成)
図1(a)及び(b)において、符号1で示す半導体装置用テープキャリアは、テープ基材としての絶縁性テープ2と、この絶縁性テープ2の半導体チップ側に位置する複数の配線リード3,3,…とから大略構成されている。
【0014】
半導体装置用テープキャリア1の半導体チップ側には、エラストマー等の低弾性樹脂材料によって形成された熱応力緩和部材4(図3(a),(b))が配線リード3,3,…の一部を覆うように配置されている。熱応力緩和部材4には、絶縁性テープ2の第1ボンディング用窓2A,2A及び第2ボンディング用窓2B,2B(後述)に対応する位置で開口するウインドウホール4A,4Aが設けられている。
【0015】
(絶縁性テープ2の構成)
絶縁性テープ2は、図1(a)及び(b)に示すように、テープ長手方向に並列する第1ボンディング用窓2A,2A、及びテープ幅方向に並列する第2ボンディング用窓2B,2Bを所定の位置に有し、全体が接着剤付きのポリイミド樹脂フィルムによって形成されている。第1ボンディング用窓2A,2Aはテープ幅方向寸法を、また第2ボンディング用窓2B,2Bはテープ長手方向寸法をそれぞれ長手方向寸法とする平面矩形状の貫通孔によって形成されている。
【0016】
絶縁性テープ2には、第1ボンディング用窓2A,2Aの内側に位置し、かつ配線リード3にバンプ(図示せず)を接続するための第1バンプホール2C,2C,…が設けられている。また、絶縁性テープ2には、第2ボンディング用窓2B,2Bの内側に位置し、かつ配線リード3,3,…にバンプ(図示せず)を接続するための第2バンプホール2D,2D,…が設けられている。
【0017】
絶縁性テープ2の両側縁には、テープ長手方向に所定の間隔をもって並列する複数のスプロケットホール2E,2E,…がそれぞれ設けられている。
【0018】
(配線リード3,3,…の構成)
配線リード3,3,…は、図1(a)及び(b)に示すように、第1ボンディング用窓2A,2A及び第2ボンディング用窓2B,2Bの長手方向に所定の間隔をもって並列し、絶縁性テープ2に第1ボンディング用窓2A,2A及び第2ボンディング用窓2B,2Bを跨ぐようにして配置されている。
【0019】
図2は、配線リード3,3,…を拡大して示す。但し、配線リード3,3,…の形状は、プリント基板のレイアウトに依存するので、図1(a)に示したものと一致していない。配線リード3,3,…は、それぞれがリード長手方向端部としての第1リード部3A,第2リード部3B、及び第1リード部3Aと第2リード部3Bとの間に介在する第3リード部3Cからなり、絶縁性テープ2の半導体チップ側面に設けられている。そして、配線リード3,3,…の全体が所定のパターンからなる銅箔によって形成されている。配線リード3のリード厚は均一な寸法として例えば18μmに設定されている。
【0020】
配線リード3,3,…には、その表面にめっき処理を施すことによりAu(金)膜(図示せず)が形成されている。
【0021】
第1リード部3Aは絶縁性テープ2における第1ボンディング用窓2A又は第2ボンディング用窓2Bの内側又は外側に、また第2リード部3Bは絶縁性テープ2における第1ボンディング用窓2A又は第2ボンディング用窓2Bの外側又は内側にそれぞれ配置されている。第1リード部3A及び第2リード部3Bのリード幅は寸法Wに設定されている。
【0022】
第3リード部3Cは、リード両側縁にノッチ300C,300Cを形成することにより設けられた切断用のノッチ部30C、ノッチ部30Cの第1リード部3A側に隣接するボンディング部31C、ボンディング部31Cに隣接する傾斜部32C、傾斜部32Cと第1リード部3Aとを連結する第1連結部33C、及びノッチ部30Cと第2リード部3Bとを連結する第2連結部34Cを含み、全体が第1ボンディング用窓2A又は第2ボンディング用窓2B内に露出して配置されている。
【0023】
ノッチ部30Cは、ボンディング時にボンディングツール(図示せず)のボンディング部31Cへの押圧によって切断される部位であり、その最小リード幅が所定の寸法Wに設定されている。
【0024】
ボンディング部31Cは、ボンディング時にボンディングツールが接触する部位であり、そのリード幅が所定の寸法W(W<W)に設定されている。
【0025】
傾斜部32Cは、ボンディング部31Cと第1連結部33Cとの間に介在し、そのリード幅が第1連結部33C側からボンディング部31C側に向かって漸次大きくなる寸法に設定されている。
【0026】
第1連結部33Cは、第1ボンディング用窓2A又は第2ボンディング用窓2Bの開口縁近傍に位置し、そのリード幅が所定の寸法W(W<W<W)に設定されている。そして、比W/Wは、300MPaから350MPaの引張強度とボンディング加熱時に10%から20%の伸び率とを有し、かつ配線リード3のリード厚が例えば18μmのとき0.725以下に設定されている。これにより、ボンディング時に配線リード3がノッチ部30Cで的確に切断されるとともに、配線リード3の未切断の発生が抑制される。
【0027】
第2連結部34Cは、第1ボンディング用窓2A又は第2ボンディング用窓2Bの開口縁近傍に位置し、そのリード幅が第1連結部33Cのリード幅と同一の寸法Wに設定されている。
【0028】
以上述べたボンディング部31C,傾斜部32C,第1連結部33C及び第1リード部3Aは、半導体チップをプリント基板に接続するリード接続部301C(図3(b))を構成する。
【0029】
ここで、本実施の形態に示す半導体装置用テープキャリア1の配線リード3を半導体チップの電極パッドに接続するボンディングを実施した場合の効果につき、図3(a),(b)及び表1を用いて考察する。
【0030】
図3(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置用テープキャリアの配線リードを半導体チップに接続するボンディング工程を説明するために示す断面図である。図3(a)はボンディング工程前の状態を、図3(b)はボンディング工程後の状態をそれぞれ示す。
【0031】
本考察は、下記の<実施例1>,<実施例2>,<実施例3>及び<比較例>に示す半導体装置用テープキャリア1を用い、これら各半導体装置用テープキャリア1の配線リード3を半導体チップに接続するボンディングを実施し、ボンディングの実施後における配線リード3のノッチ部30Cでの切断有無を判定することにより試みた。配線リード3のリード厚を18μmに、ボンディング時の加熱温度を180℃にそれぞれ設定した。
【0032】
図3(a)及び(b)は、熱応力緩和部材4を介して半導体チップ5を半導体装置用テープキャリア1に接続するボンディング工程を示し、このボンディング工程の終了後に所定の工程を施すことによりBGAパッケージ6が製造される。先ず、図3(a)において、半導体チップ5の電極パッド5Aに対向させてボンディングツール7を配置する。次に、図3(b)において、ボンディングツール7を降下させて配線リード3のボンディング部31Cに当接させた後、さらにボンディングツール7でボンディング部31Cを降下させて第3リード部3Cをノッチ部30Cで切断してから、配線リード3のボンディング部31Cを電極パッド5Aに接続した。
【実施例1】
【0033】
320MPaの引張強度と180℃で伸び率15%とを有し、比W/Wが(1)W/W=0.6,(2)W/W=0.685,(3)W/W=0.725,(4)W/W=1に設定された配線リード3を備えた半導体装置用テープキャリア1
【実施例2】
【0034】
300MPaの引張強度と180℃で伸び率20%とを有し、比W/Wが(1)W/W=0.6,(2)W/W=0.685,(3)W/W=0.725,(4)W/W=1に設定された配線リード3を備えた半導体装置用テープキャリア1
【実施例3】
【0035】
350MPaの引張強度と180℃で伸び率10%とを有し、比W/Wが(1)W/W=0.6,(2)W/W=0.685,(3)W/W=0.725,(4)W/W=1に設定された配線リード3を備えた半導体装置用テープキャリア1
【0036】
<比較例>
390MPaの引張強度と180℃で伸び率25%とを有し、比W/Wが(1)W/W=0.6,(2)W/W=0.685,(3)W/W=0.725,(4)W/W=1に設定された配線リード3を備えた半導体装置用テープキャリア1
【0037】
このようにして、実施例1〜3及び比較例に示す半導体装置用テープキャリア1を用いてそれぞれボンディングが実施された配線リード3の全サンプル数Nに対する未切断の配線リード3のサンプル数nの割合n/Nを未切断発生率(%)として算出すると、表1に示すような結果が得られた。
【0038】
【表1】

【0039】
<実施例1>の半導体装置用テープキャリア1を用いたボンディングにおいては、配線リード3の未切断発生率が配線リード3の比率W/Wを(1)W/W=0.6に設定した場合に0%であり、(2)W/W=0.685に設定した場合に5%であり、(3)W/W=0.725に設定した場合に18%であり、(4)W/W=1に設定した場合に100%である。
【0040】
<実施例2>の半導体装置用テープキャリア1を用いたボンディングにおいては、配線リード3の未切断発生率が配線リード3の比率W/Wを(1)W/W=0.6に設定した場合に2%であり、(2)W/W=0.685に設定した場合に8%であり、(3)W/W=0.725に設定した場合に35%であり、(4)W/W=1に設定した場合に100%である。
【0041】
<実施例3>の半導体装置用テープキャリア1を用いたボンディングにおいては、配線リード3の未切断発生率が配線リード3の比率W/Wを(1)W/W=0.6に設定した場合に0%であり、(2)W/W=0.685に設定した場合に2%であり、(3)W/W=0.725に設定した場合に0%であり、(4)W/W=1に設定した場合に100%である。
【0042】
<比較例>の半導体装置用テープキャリア1を用いたボンディングにおいては、配線リード3の未切断発生率が配線リード3の比率W/Wを(1)W/W=0.6に設定した場合に6%であり、(2)W/W=0.685に設定した場合に17%であり、(3)W/W=0.725に設定した場合に90%であり、(4)W/W=1に設定した場合に100%である。
【0043】
これより、配線リード3が300MPaから350MPaの引張強度と180℃で10%から20%の伸び率とを有し、比W/Wを0.725以下に設定した場合に配線リード3の未切断の発生が抑制されることが確認された。
【0044】
各実施例1〜3に示す半導体装置用テープキャリア1を用いてボンディングを実施した場合、比較例に示す半導体装置用テープキャリア1を用いてボンディングを実施した場合と比べて、銅箔自体の引張強度が低下していること(390MPaに対して300MPa〜350MPa)、及びボンディング時の加熱温度(180℃)付近で銅箔の伸びが小さくなっていること(25%に対して10%〜20%)により銅箔が切断し易くなるため、比W/Wの上限値を高い数値(0.685に対して0.725)に設定しても配線リード3の未切断の発生が抑制される。
【0045】
以上より、比W/Wを0.725まで大にすることができるので、ノッチ部30Cの幅が狭くなることによって生じる配線リード3の変形を抑えることができる。一方、配線リード3の未切断を確実に抑制することを考えると、比W/Wをできるだけ小さくすることが望ましいが、配線リード3の変形を抑制することを考えると、比W/WはW/W≧0.5が好ましい。
【0046】
次に、本実施の形態に係る半導体装置用テープキャリアの製造方法につき、図4(a)〜(g)を用いて説明する。
【0047】
図4(a)〜(g)は、本実施の形態に係る半導体装置用テープキャリアの製造方法を説明するために示す断面図である。図4(a)は帯状フィルムの形成工程を、図4(b)は絶縁性テープの形成工程を、図4(c)は金属箔の形成工程を、図4(d)は感光性レジストの形成工程を、図4(e)は露光・現像工程を、図4(f)は配線リードの形成工程を、図4(g)は配線リードのめっき工程をそれぞれ示す。
【0048】
本実施の形態に示す半導体装置用テープキャリアの製造方法は、「帯状フィルムの形成」及び「絶縁性テープの形成」・「金属箔の形成」・「感光性レジストの形成」・「露光・現像」・「配線リードの形成」・「配線リードのめっき」の各工程が順次実施されるため、これら各工程を順次説明する。
【0049】
「帯状フィルムの形成」
図4(a)に示すように、接着剤付きのポリイミド樹脂フィルムからなるフィルム素材(図示せず)を切断して帯状フィルム51を形成する。
【0050】
「絶縁性テープの形成」
図4(b)に示すように、帯状フィルム51にプレス機で打ち抜くことにより設けられた第1ボンディング用窓2A,2A,…(図1)、第2ボンディング用窓2B,2B,…、第1バンプホール2C,2C,…(図1)、第2バンプホール2D,2D,…及びスプロケットホール2E,2E,…(図1)を有する絶縁性テープ2を形成する。
【0051】
「金属箔の形成」
図4(c)に示すように、ラミネート加工技術を用い、絶縁性テープ2の一方側面に金属箔としての銅箔55を貼付する。
【0052】
「感光性レジストの形成」
図4(d)に示すように、銅箔55の表面に例えば液体状の感光性レジスト56を塗布して乾燥させる。この場合、感光性レジスト56に代えて固体状の感光性レジスト(図示せず)を用いてもよい。
【0053】
「露光・現像」
図4(e)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用い、感光性レジスト56に露光及び現像を順次実施して銅箔55の一部を露出させる(銅箔55のパターニングを行う)。そして、絶縁性テープ2の他方側面から第1ボンディング用窓2A,2A,…、第2ボンディング用窓2B,2B,…、第1バンプホール2C,2C,…、及び第2バンプホール2D,2D,…内を裏止め部材57で裏止めする。
【0054】
「配線リードの形成」
図4(f)に示すように、絶縁性テープ2上の銅箔55にエッチング処理を施した後、銅箔55から感光性レジスト56を剥離するとともに、第1ボンディング用窓2A,2A,…、第2ボンディング用窓2B,2B,…、第1バンプホール2C,2C,…、及び第2バンプホール2D,2D,…内から裏止め部材57を除去して所定のパターンをもつ配線リード3,3,…を形成する。この場合、配線リード3,3,…が形成されると、第3リード部3C,3C,…がノッチ部30C(図1)を有しながら、第1ボンディング用窓2A,2A,…及び第2ボンディング用窓2B,2B,…内に露出して絶縁性テープ2上に配置される。
【0055】
「配線リードのめっき」
図4(g)に示すように、配線リード3,3,…と半導体チップ5の電極パッド5A(図3(b))との良好な接続を実施するために、配線リード3,3,…の表面にめっき処理を施すことによりAu(金)膜59,59,…を形成する。
【0056】
[実施の形態の効果]
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0057】
(1)ボンディング時に配線リード3をノッチ部30Cで的確に切断することができるとともに、配線リード3の未切断の発生を抑制することができる。
【0058】
(2)配線リード3のノッチ部30Cを除く部位のリード幅Wを従来の場合と比べて小さい寸法(約30%小さい寸法)に設定することができる。これにより、配線リード3,3,…間の寸法を短縮することができ、配線リード3の絶縁性テープ2に対する実装密度を高めることができる。
【0059】
以上、本発明の半導体装置用テープキャリア及びその製造方法を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
【0060】
(1)本実施の形態では、配線リード3のリード厚を均一な寸法として比W/Wが0.725以下に設定される場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、配線リード3のリード厚が均一な寸法でない場合には比W/Wをボンディング時における配線リード3の未切断発生率が急激に増加する直前の比に設定する。
【0061】
(2)本実施の形態では、ボンディング部31Cのリード幅Wが第1連結部33Cのリード幅Wよりも大きい(W<W<W)配線リード3を備えた半導体装置用テープキャリア1に適用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、ボンディング部31Cのリード幅Wが第1連結部33Cのリード幅Wと等しい(W<W=W)配線リード3を備えた半導体装置用テープキャリア1にも本実施の形態と同様に適用可能である。また、本発明は、ボンディング部31Cのリード幅Wが第1連結部33Cのリード幅Wよりも小さい(W<W<W)配線リード3を備えた半導体装置用テープキャリア1であってもよい。この場合、比W/Wは0.725以下に設定される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置用テープキャリアの全体を説明するために示す平面図とA−A断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係る半導体装置用テープキャリアの要部を説明するために示す平面図。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置用テープキャリアの配線リードを半導体チップに接続するボンディングを実施する場合について説明するために示す断面図。
【図4】(a)〜(g)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置用テープキャリアの製造方法を説明するために示す断面図。
【符号の説明】
【0063】
1…半導体装置用テープキャリア
2…絶縁性テープ、2A…第1ボンディング用窓、2B…第2ボンディング用窓、2C…第1バンプホール、2D…第2バンプホール、2E…スプロケットホール
3…配線リード、3A…第1リード部、3B…第2リード部、3C…第3リード部、30C…ノッチ部、31C…ボンディング部、32C…傾斜部、33C…第1連結部、34C…第2連結部、300C…ノッチ、301C…リード接続部
4…応力緩和部材、4A…ウインドウホール
5…半導体チップ、5A…電極パッド
6…BGAパッケージ
7…ボンディングツール
51…帯状フィルム
55…銅箔
56…感光性レジスト
57…裏止め部材
59…Au膜
,W,W…寸法
/W,W/W…比

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置にボンディング用窓が形成された絶縁性のテープ基材と、
前記テープ基材上に所定のパターンで形成された配線リードとを備え、
前記配線リードは、前記ボンディング用窓内に露出して所定の幅Wを有する切断用のノッチ部、及び前記ボンディング用窓内に露出して所定の幅Wを有する半導体チップ接続用のリード接続部を少なくとも有し、
前記配線リードが300MPaから350MPaの引張強度とボンディング加熱時に10%から20%の伸び率とを有するとき、前記配線リードの前記所定の幅W及びWの比W/Wが0.725以下に設定されることを特徴とする半導体装置用テープキャリア。
【請求項2】
前記配線リードは、320MPaの引張強度とボンディング加熱時に15%の伸び率とを有する銅箔によって形成されている請求項1に記載の半導体装置用テープキャリア。
【請求項3】
前記配線リードの前記半導体チップ接続用のリード接続部は、前記切断用のノッチ部に隣接する位置に前記所定の幅Wより大なる所定の幅Wを有するボンディング部を有する請求項1に記載の半導体装置用テープキャリア。
【請求項4】
前記配線リードの前記半導体チップ接続用のリード接続部は、前記切断用のノッチ部に隣接する位置に前記所定の幅Wと等しい幅を有するボンディング部を有する請求項1に記載の半導体装置用テープキャリア。
【請求項5】
前記配線リードは、リード厚が18μmの寸法に設定される請求項1に記載の半導体装置用テープキャリア。
【請求項6】
所定の位置にボンディング用窓が形成された絶縁性のテープ基材と、
前記テープ基材上に所定のパターンで形成された配線リードとを備え、
前記配線リードは、前記ボンディング用窓内に露出して所定の幅Wを有する切断用のノッチ部、及び前記ボンディング用窓内に露出して所定の幅Wを有する半導体チップ接続用のリード接続部を少なくとも有する半導体装置用テープキャリアの製造方法であって、
前記テープ基材の片面に金属箔を形成する第1ステップと、
前記金属箔にエッチング処理を施すことにより前記配線リードを形成する第2ステップとを含み、
前記配線リードを形成するにあたり、前記配線リードが300MPaから350MPaの引張強度とボンディング加熱時に10%から20%の伸び率とを有するとき、前記配線リードの前記所定の幅W及びWの比W/Wが0.725以下に設定されることを特徴とする半導体装置用テープキャリアの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−200245(P2009−200245A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40249(P2008−40249)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】