説明

半導体装置用収納トレイおよび半導体装置の検査方法

【課題】従来の半導体装置用収納トレイでは、半田ボールの欠落が確認された場合に、その欠落が出荷後のどの段階で発生したかを特定することが困難である。
【解決手段】収納トレイ10は、半導体装置90用の収納トレイであって、半導体装置90が収納される凹部12と、凹部12の底部に形成された開口部14と、を備えている。半導体装置90は、外部電極端子として導体ボール92を有する。開口部14の最小開口面積は、導体ボール92の最大断面積よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置用収納トレイ、およびそれを用いた半導体装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
BGA(Ball Grid Array)パッケージ型の半導体装置は、その外部電極端子として半田ボールを有している。かかる半導体装置においては、その出荷後に半田ボールの欠落が発見されることがあり、欠落がどの段階で生じたのかを特定することが求められる。半導体装置は、外観検査で良品判定を受けた上で、収納トレイに収納された状態で出荷される。したがって、半田ボールの欠落は、主に、出荷後に収納トレイ内で発生すると考えられる。
【0003】
図4および図5は、従来の半導体装置用収納トレイを示す断面図である。これらの収納トレイ101は、BGAパッケージ型の半導体装置102を収納する凹部103を備えている。特に図5においては、凹部103の底部に、半導体装置102よりも小さく且つその半田ボール104よりも大きな開口部105が形成されている。
【0004】
なお、本発明に関連する先行技術文献としては、特許文献1〜3が挙げられる。
【特許文献1】特開2001−139089号公報
【特許文献2】特開平7−112785号公報
【特許文献3】特開2005−162307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図4の収納トレイ101を用いた場合、半導体装置102を収納したままの状態で、半田ボール104の欠落の有無を確認することができない。すなわち、出荷後に半田ボール104の欠落の有無を確認するには、半導体装置102と収納トレイ101との結束を解かなければならない。
【0006】
これに対して、図5の収納トレイ101によれば、半導体装置102を収納したままの状態でも、開口部105を通じて半田ボール104の欠落の有無を確認することが可能である。ところが、この収納トレイ101では、半田ボール104の欠落が確認された場合に、その欠落が出荷後のどの段階で発生したかを特定することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による半導体装置用収納トレイは、外部電極端子として導体ボールを有する半導体装置用の収納トレイであって、上記半導体装置が収納される凹部と、上記凹部の底部に形成された開口部と、を備え、上記開口部の最小開口面積は、上記導体ボールの最大断面積よりも小さいことを特徴とする。
【0008】
この収納トレイにおいては、半導体装置が収納される凹部の底部に開口部が形成されている。これにより、半導体装置を収納したままの状態でも、この開口部を通じて導体ボールの欠落の有無を確認することが可能となる。さらに、この開口部の最小開口面積は、導体ボールの最大断面積よりも小さい。これにより、欠落した導体ボールが開口部から収納トレイの外に出るのを防ぐことができる。したがって、欠落した導体ボールが収納トレイ内に残ることになるため、欠落が出荷後のどの段階で発生したかを特定することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、半導体装置を収納したまま導体ボールの欠落の有無を確認するとともに、欠落が出荷後のどの段階で発生したかを特定することが可能な半導体装置用収納トレイ、およびそれを用いた半導体装置の検査方法が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明による半導体装置用収納トレイおよび半導体装置の検査方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0011】
図1は、本発明による半導体装置用収納トレイの第1実施形態を示す断面図である。収納トレイ10は、半導体装置90用の収納トレイであって、半導体装置90が収納される凹部12と、凹部12の底部に形成された開口部14と、を備えている。半導体装置90は、外部電極端子として導体ボール92を有する、BGAパッケージ型の半導体装置である。導体ボール92は、例えば半田ボールである。
【0012】
開口部14の最小開口面積は、導体ボール92の最大断面積よりも小さい。ここで、開口部14の最小開口面積は、開口部14の開口面積が一定でない場合にはその最小値として定義され、開口部14の開口面積が一定である場合にはその値として定義される。また、導体ボール92の最大断面積は、導体ボール92の断面積の最大値として定義される。導体ボール92を球とみなせば、その中心を通る断面の面積が、導体ボール92の最大断面積ということになる。
【0013】
凹部12の底部は、開口部14に向かって下降傾斜している。これにより、凹部12の深さは、開口部14に近づくにつれて、次第に大きくなっている。
【0014】
本実施形態に係る半導体装置の検査方法は、収納トレイ10の凹部12に半導体装置90が収納された状態で、凹部12の底部の下面側から開口部14を通じて、半導体装置90から導体ボール92が欠落したか否かを確認するものである。
【0015】
本実施形態の効果を説明する。収納トレイ10においては、半導体装置90が収納される凹部12の底部に開口部14が形成されている。これにより、半導体装置90を収納したままの状態でも、この開口部14を通じて導体ボール92の欠落の有無を確認することが可能となる。さらに、この開口部14の最小開口面積は、導体ボール92の最大断面積よりも小さい。これにより、欠落した導体ボール92が開口部14から収納トレイ10の外に出るのを防ぐことができる。したがって、欠落した導体ボール92が収納トレイ10内に残ることになるため、欠落が出荷後のどの段階で発生したかを特定することが可能となる。
【0016】
さらに、凹部12の底部が開口部14に向かって下降傾斜しているため、半導体装置90から欠落した導体ボール92は、図1に矢印で示すように、開口部14に入り込み易くなる。欠落した導体ボール92が開口部14に入り込んでいれば、例えば、収納トレイ10の裏面(凹部12の底部の下面)に光を当てたときに、その光が導体ボール92で反射するので、導体ボール92が欠落したことを容易に確認することができる。
【0017】
ところで、図4に示した収納トレイ101においては、欠落した半田ボール104が凹部103内を移動することにより、収納トレイ101に収納された他の半導体装置にまで悪影響が及ぶ可能性がある。これに対して、図1の収納トレイ10においては、開口部14の存在により、欠落した導体ボール92が凹部12内を移動しにくい。特に本実施形態のように凹部12の底部が開口部14に向かって下降傾斜している場合は、尚更である。このため、欠落した導体ボール92が収納トレイ10に収納された他の半導体装置に悪影響を及ぼす可能性を低減させることができる。
【0018】
また、図5に示した収納トレイ101においては、開口部105からの異物の混入が懸念される。この点、図1の収納トレイ10においては、導体ボール92の最大断面積よりも小さな最小開口面積を有する開口部14が設けられている。これにより、開口部14から異物が混入する確率を低減させることができる。
(第2実施形態)
【0019】
図2は、本発明による半導体装置用収納トレイの第2実施形態を示す断面図である。収納トレイ20は、半導体装置90用の収納トレイであって、半導体装置90が収納される凹部22と、凹部22の底部に形成された開口部24と、を備えている。開口部24の最小開口面積は、導体ボール92の最大断面積よりも小さい。本実施形態においては、複数の開口部24が凹部22の底部に形成されている。これらの開口部24は、例えば、正方格子状または斜格子状に配列される。
【0020】
本実施形態に係る半導体装置の検査方法は、収納トレイ20の凹部22に半導体装置90が収納された状態で、凹部22の底部の下面側から開口部24を通じて、半導体装置90から導体ボール92が欠落したか否かを確認するものである。
【0021】
本実施形態によれば、複数の開口部24が設けられているため、開口部24を通じた、導体ボール92の欠落の有無の確認が容易になる。また、複数の導体ボール92が欠落した場合に、それらの導体ボール92の各々を開口部24内に止めることが可能となる。さらに、収納トレイ20が樹脂材料からなる場合に、その熱応力を緩和する効果が得られる。
【0022】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記各実施形態において、開口部の開口面積は、一定であってもよいし、そうでなくてもよい。開口面積が一定である場合の開口部の断面を図3(a)に示す。また、開口面積が一定でない場合の開口部の断面の例を図3(b)に示す。
【0023】
図3(b)において、凹部の底部の上面S1における開口部の開口面積は、下面S2における開口部の開口面積よりも大きい。前者の開口面積は導体ボール92の最大断面積よりも大きい一方で、後者の開口面積は導体ボール92の最大断面積よりも小さい。より詳細には、開口部の開口面積は、上面S1から下面S2に行くにつれて、単調に小さくなっている。したがって、下面S2における開口面積が、当該開口部の最小開口面積ということになる。
【0024】
かかる構造によれば、導体ボール92の一部が下面S2からはみ出る程に、導体ボール92を開口部内に深く入り込ませることができる。これにより、導体ボール92が開口部内に止まり易くなるため、当該導体ボール92が凹部内を移動して他の半導体装置に悪影響を及ぼす可能性を一層低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による半導体装置用収納トレイの第1実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明による半導体装置用収納トレイの第2実施形態を示す断面図である。
【図3】(a)および(b)は、実施形態の変形例を説明するための断面図である。
【図4】従来の半導体装置用収納トレイを示す断面図である。
【図5】従来の半導体装置用収納トレイを示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
10 収納トレイ
12 凹部
14 開口部
20 収納トレイ
22 凹部
24 開口部
90 半導体装置
92 導体ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電極端子として導体ボールを有する半導体装置用の収納トレイであって、
前記半導体装置が収納される凹部と、
前記凹部の底部に形成された開口部と、を備え、
前記開口部の最小開口面積は、前記導体ボールの最大断面積よりも小さいことを特徴とする半導体装置用収納トレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置用収納トレイにおいて、
前記底部は、前記開口部に向かって下降傾斜している半導体装置用収納トレイ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置用収納トレイにおいて、
複数の前記開口部が前記底部に形成されている半導体装置用収納トレイ。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置用収納トレイにおいて、
前記複数の前記開口部は、格子状に配列されている半導体装置用収納トレイ。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の半導体装置用収納トレイにおいて、
前記底部の上面における前記開口部の開口面積は、前記底部の下面における前記開口部の開口面積よりも大きい半導体装置用収納トレイ。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置用収納トレイにおいて、
前記開口部の開口面積は、前記底部の前記上面から前記下面に行くにつれて、単調に小さくなる半導体装置用収納トレイ。
【請求項7】
請求項5または6に記載の半導体装置用収納トレイにおいて、
前記底部の前記上面における前記開口部の開口面積は、前記導体ボールの最大断面積よりも大きく、
前記底部の前記下面における前記開口部の開口面積は、前記導体ボールの最大断面積よりも小さい半導体装置用収納トレイ。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかに記載の半導体装置用収納トレイの前記凹部に前記半導体装置が収納された状態で、前記底部の下面側から前記開口部を通じて、当該半導体装置から前記導体ボールが欠落したか否かを確認することを特徴とする半導体装置の検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−143544(P2008−143544A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−331095(P2006−331095)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】