半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システム
【課題】システム利用者がコスト改善業務の為、製造コスト情報の分析システムに対して多様な要求を行う手段を提供する。
【解決手段】活用軸定義手段Hで複数の作業IDを括る「括りデータ」を入力する。集計データ集計保持手段Cは、この「括りデータ」を元に集計データを集計し保持する。さらに提供データ集計保持手段Dは、この集計データを組み合わせて提供データを抽出し、送信先に提供データを送信する。
【解決手段】活用軸定義手段Hで複数の作業IDを括る「括りデータ」を入力する。集計データ集計保持手段Cは、この「括りデータ」を元に集計データを集計し保持する。さらに提供データ集計保持手段Dは、この集計データを組み合わせて提供データを抽出し、送信先に提供データを送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体のウェハ製造工場で発生する製造コスト情報を集計し、分析するシステム、特に同一システムを異なる業務ドメインで共用することに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体工場は、半導体素子を製造するための、多種の業務(製品処理条件の設定と管理、装置の性能管理、装置の保守など)とそれを遂行する多数の技術者(製品工程別、装置別など)を有し、更にその技術者は、半導体素子の製造コストの改善活動(製品処理条件設定の時間削減と使用材料削減、装置の性能改善、装置の保守時間削減と使用材料削減など)を実施している。
【0003】
多種の業務の領域(「業務ドメイン」と呼ぶ)の技術者達は、改善活動の業務サイクルとして、それぞれに製造コストの改善計画を提案し、それら複数の改善計画の優先順位付けと組合せ実施による全体最適された統合計画を作成する(6ヶ月単位に実施)。
【0004】
更に、実績との比較による改善効果の確認を行い(1ヶ月単位に実施)、計画期間末での効果を予測し(1ヶ月単位に実施)、効果が不足する場合には追加改善計画を作成する(1ヶ月単位に実施)。本発明は、多種の業務ドメインの技術者達が、改善活動の業務サイクルを実現するために必要なデータを計算できる、半導体工場の製造コスト情報の分析システムを提供する。
【0005】
この製造コスト情報の分析システムは、コスト改善活動の技術者個々のデータ分析の要求である検索のキー項目、キー項目の集約程度、及び分析期間を標準的な方法で指定する機能を有し、指定されたキー項目、キー項目の集約程度、及び分析期間にて製造コスト情報を、許容される時間にて算出できる。
【0006】
従来の、財務会計管理者を想定した原価管理システムでは、半導体工場における、多種の業務ドメインの多数の技術者達が利用する、装置作業別のコストデータはデータサイズが大きく、算出するために長大な時間を要していた。そのため、技術者は、改善計画の効果の算出、複数の改善計画の効果の比較、期末までの効果予測、追加改善計画の効果の算出に時間が掛かり、改善活動の業務サイクルを実現することが出来なかった。
【0007】
また、特開2003−162310号公報(特許文献1)に記載の技術では、各製造工程のロスコストを容易に算出する手段を提供することで、たとえコスト計算に不慣れな者であっても、各製造工程で発生する各種ロスの損失金額を容易に分析することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−162310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
半導体工場においては、フォトリソグラフィ、スパッタ、エッチング等と言った多種の業務ドメインが存在し、それぞれに多数の技術者たちが活動する。そして、これらの多数の技術者たちが同一の原価管理システムを用いることとなる。
【0010】
しかし、上記の装置作業別のコストデータはデータサイズが大きく、算出するために長大な時間を必要としていた。
【0011】
その為、技術者は改善計画の効果の算出、複数の改善計画の効果の比較、期末までの効果予測、追加改善計画の効果の算出に時間が掛かり、改善活動の業務サイクルを実現することが出来なかった。
【0012】
本発明の目的は、システム利用者がコスト改善業務の為、製造コスト情報の分析システムに対して多様な要求を行う手段を提供することにある。
【0013】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0015】
本発明の代表的な実施の形態に関わる半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムは、履歴データ、マスタデータ、経費データの入力インターフェースである入力手段と、入力手段より入力された各種データを保持するデータ保持手段と、入力手段より入力された各種データから、装置の作業に伴い消費した費用を集計してウェハ製造コストの総和を導出・保持する集計データ集計保持手段と、ウェハ製造コストの総和から、分析したコストを利用者に提示するための提供データを抽出・検索し、生成し、保持する提供データ集計保持手段と、を含み、外部端末内の外部トリガー手段からグルーピングテーブル及び期間データを受け付けることが可能であって、半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムは更に活用軸定義手段を含み、活用軸定義手段から入力される1又は2以上の括りデータに従い、集計データ集計保持手段は1又は2以上のウェハ製造コストの総和を作成し、提供データ集計保持手段は、1又は2以上のウェハ製造コストの総和を用いて1又は2以上の提供データを生成し、外部端末に出力することを特徴とする。
【0016】
この半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムは、提供データ集計保持手段で用いられる検索データが「作業」、「装置」、「製品」、「費目」、「組織」、「工程」であることを特徴としても良い。
【0017】
この半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムにおいて、提供データ集計保持手段は、検索データ中「装置」、「組織」及び「製品」の何れか1を、他の「作業」、「費目」及び「工程」の何れか1又は2を検索対象として用いることを特徴としても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明を採用することにより、同一のシステムを用いる異なるシステム利用者が、個々にシステム利用者共通の作業手順の元、任意に設定したデータ項目のみで集計データを作成し、提供データと集計データを共に保持することが可能となり、かつ他のシステム利用者も同様に、グルーピングテーブル及び期間データで表示させたい検索項目と検索開始終了時刻を設定することで、要求する提供データを得ることができる。
【0019】
また、本発明を採用することにより、他の業務ドメインのシステム利用者が、これらデータに基づき作製した改善計画を、その設定方法から容易に理解することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ウェハ製造工場における製造に係る費用と製品コストの関係を表す図である。
【図2】従来の製造コスト情報の分析システムの構成を表す模式図である。
【図3】履歴データの構成を表す模式図である。
【図4】マスタデータの構成を表す模式図である。
【図5】経費データの構成を表す模式図である。
【図6】集計データの構成を表す模式図である。
【図7】従来のシステムの処理工程を表す概念図である。
【図8】本発明の実施の形態に関わるシステムの処理工程を表す概念図である。
【図9】従来のシステムの集計データの概要を表す概念図である。
【図10】本発明に関わるシステムの集計データの概要を表す概念図である。
【図11】検索項目と「括りデータ」の関係を表す概念図である。
【図12】本発明のシステム構成を表す概念図である。
【図13】グルーピングテーブルのうち各検索項目の検索集計項目を示すテーブルを表す概念図である。
【図14】グルーピングテーブルのうち検索項目組合せを示すテーブルを表す概念図である。
【図15】期間データの構成を表す概念図である。
【図16】本発明の集計データの例を表す図である。
【図17】本発明に関わるコスト構造のモデルである。
【図18】一般的な90nmプロセスにおけるウェハコストに占める勘定項目の割合を表すグラフである。
【図19】図18で表した一般的な製造コスト分類と、本願発明に関わる製造コスト分類の差異を表す模式図である。
【図20】SEMI規格上で自動化されている製造装置の稼働時間管理監視と作業区分を表す概念図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態における6つの活用軸の用途を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。しかし、特に明示した場合を除き、それは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部又は全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものでなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0022】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合を除き、必ずしも必須のものでないことは言うまでもない。
【0023】
以下、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。また、それに先立ち、従来の実施の形態についても説明する。
【0024】
(従来の実施の形態)
一般的な製造工場における製品コストは、「製造に関わる費用」を、ある基準を用いて製品に割り当てることで算出できる。ここで「製造に関わる費用」とは、製品を作るために消費された費用であり、材料費、人件費、償却費、保守費などが上げられる。
【0025】
図1は、ウェハ製造工場における製造に係る費用と製品コストの関係を表す図である。
【0026】
半導体のウェハ製造工場における、上記割当て方法は、図1に示すように、一般に、製造に係る費用を、半導体製造装置(以下、装置)の作業を介して製品に割り当てる。
【0027】
すなわち、装置は、製造に係る費用を消費して種々の作業を行うので、これら製造に係る費用を、作業に関連付けして、1作業当たりの製造に係る費用を集計した後、製品別コストを算出する。
【0028】
以下、製造に係る費用を作業に関連付けし、1作業当たりに集計した費用を、「作業コスト」という。
【0029】
製品別コストを算出するにあたり、作業が当該費用割当て製品を特定できる場合は、作業コストをその製品に割り当てる。しかし、作業が当該費用割当て製品を特定できない場合や、製造に係る費用が作業に関連付けできない場合は、それら製造に係る費用は、配賦により製品への割当てを行う。
【0030】
従来は、任意性の強い、例えば勘定項目にある費目もしくは組織と製品との視点でのみでデータが構造化されていた。
【0031】
なお、ウェハ製造工場では、一般に、仕掛品に対しても、完成品同様、製品、もしくは、ウェハと称す。また、製品の製造単位をロットと称す。
【0032】
ここで、上記、製造に係る費用を作業に関連付けし、作業コストを算出する方法例を以下に説明する。
【0033】
製造に係る費用を、装置の作業と関連付けする際、装置の作業を、プロセス[イ]、アイドル[ロ]、保守[ハ]、故障[ニ]、の4つに区分する。
【0034】
これら区分は、SEMI(半導体・FPD・太陽光発電産業製造装置・材料国際的工業会)で規定するE10(導体製造装置の信頼性、有用性、整備性の定義と測定のための仕様)の状態を参酌して決定する。
【0035】
たとえば、プロセス[イ]は、E10における生産時間、および、エンジニアリング時間状態、アイドル[ロ]は、E10における待機状態、保守[ハ]は、E10における計画ダウン時間状態、故障[ニ]は、E10における計画外ダウン時間、および非計画時間状態、である。
【0036】
ここで、製造に係る費用(材料費、人件費、保守費、償却費を例とする)と上記[イ]〜[ニ]との関連付けにおいては、費用は必ずしも1つの作業に限定しない。
【0037】
たとえば、一般には、材料費は[イ]と、保守で用いる保守費は[ハ]と関連付けるが、人件費、償却費は[イ][ロ][ハ][ニ]の4つの作業と、関連付けてもよい。
【0038】
また、1作業実績当りに消費した費用は、予め設定した製造に係る費用の1作業当たりの単価と、1作業における当該費用の消費の実績から算出することができる。
【0039】
算出の具体例を以下に説明する。
【0040】
1回の作業における材料費は、1作業当りの材料単価と1作業当りの材料の消費量で算出する。1作業当りの材料単価は、作業回数もしくは、作業時間を単位として、予め、材料の種類とともに設定する。1作業当たりに消費する材料は、装置の加工条件(レシピIDという)で一意に決定されるので、1作業での材料の消費量を、消費回数、もしくは、消費時間で把握できる。材料単価と材料の消費量を掛けることで、1回の作業における材料費が求まる。
【0041】
1回の作業における保守費は、1作業当りの保守項目単価と消費量で算出する。1作業当たりの保守項目とは、交換部品や外注作業など、保守作業で消費する項目であり、予め、保守項目とその単価を設定する。1作業当たりに消費する保守項目は、保守条件(保守IDという)で一意に決定されるので、保守項目単価とその消費量を掛けることで、1回の作業における保守費が求まる。
【0042】
また、1回の作業における人件費、償却費は、単位時間当りの人件費、償却費と当該作業の所要時間で算出する。予め、単位時間当りの人件費、償却費を設定し、単位時間当りの人件費、償却費と当該作業の所要時間を掛けることで、1回の作業における人件費、償却費が求まる。
【0043】
ウェハ製造工場における製品コストに関するニーズには、以下がある。
【0044】
1)製造に係る費用を、できるだけ装置の作業に関連付けしたい。
【0045】
2)製造に係る費用を、製品別のほか、費目別、部門別に集計したい。なお、集計したコストを各々、費目別コスト、部門別コストという。
【0046】
ここで、「費目別コスト」とは、作業で用いる材料などのコスト区分を示すものである。材料費や労務費、経費などが、費目に含まれる。
【0047】
「部門別コスト」とは、作業に係る人や装置が属する組織の区分を示すものである。製造ライン毎の製造直接部門に関わるコスト、製造間接部門に関わるコスト、管理部門に関わるコスト、はここに含まれる。
【0048】
また、製品別コストのほか、費目別コストや部門別コストなど、製造に係るコストを以下、製造コストいう。
【0049】
3)多様なコスト改善業務に対応するため、製造コストとともに、その内訳、すなわち、作業コストを把握したい。なお、コスト改善業務とは、財務会計管理者が当期期首に設定した製造コストの目標値を達成するために、種々の業務エンジニアが、製造コストの改善計画を立案し、実施することである。
【0050】
種々の業務の区分を業務ドメインという。主に、前述した装置の作業[イ]〜[ニ]別に区分し、その業務ドメインごとにコスト改善を実施することが一般的である。
【0051】
業務ドメインの例として、作業区分プロセス[イ]の業務ドメインは、製品処理条件の設定と管理、作業区分アイドル[ロ]の業務ドメインは、装置の性能管理、作業区分保守[ハ]の業務ドメインは、装置の保守改善、作業区分故障[ニ]の業務ドメインは、装置の故障改善、等がある。
【0052】
各業務ドメインは、コスト改善業務の具現として、装置作業の改善を立案し、実施する。
【0053】
装置作業の改善の例としては、
◇作業区分プロセス[イ]の業務ドメインは、製品処理における処理時間削減と使用材料削減、
◇作業区分アイドル[ロ]の業務ドメインは、装置の性能改善、
◇作業区分保守[ハ]の業務ドメインは、装置保守における保守時間削減と使用材料削減、
◇作業区分故障[ニ]の業務ドメインは、装置故障における故障時間削減、
があげられる。
【0054】
装置作業の改善を立案、実施し、製造コストの低減を確認し、その効果が不足の場合には、新たな装置作業の改善を立案、実施することを、コスト改善業務サイクルという。
【0055】
各業務ドメインにおけるコスト改善業務サイクルの実行のため、製造コストとともに、当該改善に係る作業コストを把握する必要がある。
【0056】
また、各業務ドメインのコスト改善の影響が、他の業務ドメインで把握できるように、製造コスト、作業コストの内容は、共通・共有される必要がある。
【0057】
製造コストや作業コストを総じて、製造コスト情報という。本発明の対象は、半導体工場の製造コスト情報の分析システムに係るものである。
【0058】
業務ドメイン担当者は、分析システムを用いて、製造コスト情報を把握することで、コスト改善業務サイクルを実行する。ここで、財務会計管理者や業務ドメイン担当者など、分析システムを用いる者を、システム利用者という。
【0059】
上述したコストの算出方法を用いた、従来技術による製造コスト情報の分析システムを以下に説明する。
【0060】
図2は、従来の製造コスト情報の分析システムの構成を表す模式図である。図3は、履歴データ1の構成を表す模式図である。図4は、マスタデータ2の構成を表す模式図である。図5は、経費データ3の構成を表す模式図である。図6は、集計データ4の構成を表す模式図である。
【0061】
従来システムは、図2に示すように、
・ウェハ製造工場の、履歴データ1とマスタデータ2と経費データ3を当該システムに入力する入力手段Aと
・入力された履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3から、集計データ4を集計、保持する手段(C)と、
・集計データ4から、提供データ5を集計、保持する手段(D)と、
・提供データ5をシステム利用者に表示する手段(F)と、
・ 提供データ5を(F)に出力する手段(E)と、
を有する。
【0062】
履歴データ1とは、図3に示すように、装置の作業の実績、および、製品への作業の実績を示すデータであり、各々以下の項目からなる。
【0063】
1−1 装置作業の実績
装置ID:装置を特定するID
作業ID:装置の作業を区分し、特定するID(マスタデータの外部キー。)
開始時刻:上記作業IDの作業を開始した時刻
終了時刻:上記作業IDの作業を終了した時刻
期間:上記開始から終了までの時間
装置作業履歴ID:上記、装置ID、作業ID、開始時刻、終了時刻を一意に決定するID(装置における1回の作業を特定するID)
1−2 製品作業の実績
ロットID:製品(ウェハ)の括りを特定するID
製品(ウェハ)ID:製品を特定するID
装置作業履歴ID:上記ロットに対する装置作業のID(装置作業の外部キー)。
【0064】
レシピID:ロットに対する装置のプロセス作業の条件を特定するID(マスタデータの作業IDの外部キー)
開始時刻:上記装置作業履歴IDの開始した時刻
終了時刻:上記装置作業履歴IDの終了した時刻
マスタデータ2とは、図4に示すように、装置の作業に割付ける物、人、もしくは、装置の作業で消費される物を示すデータであり、各々以下の項目からなる。
【0065】
また、製品の仕様も示すデータである。
【0066】
また、コスト改善業務において、材料消費量の改善、処理時間の改善等の作業仕様を設定するデータである。
【0067】
2−1 作業仕様
作業ID:装置の作業を区分し、特定するID
使用材料:作業の実行の際、消費される物。作業に割り付けられる物
材料ID:使用材料を特定するID(マスタデータの材料単価の外部キー)
消費量:1回の作業当たり、もしくは、単位時間当たりに消費する使用材料の量
装置ID:当該作業IDを実行する装置のID(経費データの償却費の外部キー)
組織ID:当該作業IDを管理する組織のID(経費データの人件費の外部キー)
2−2 製品仕様
品種ID:製品群を特定するID
工程ID:製品群の加工工程を特定するID
装置ID:装置を特定するID
レシピID:ロットに対する装置のプロセス作業の条件を特定するID(マスタデータの作業IDの外部キー)
経費データ3とは、図5に示すように、装置の作業に割付ける物、および、人の金額を示すデータであり、各々以下の項目からなる。
【0068】
また、コスト改善業務において、材料単価の改善等の1作業当りの費用を設定するデータである。
【0069】
3−1 材料単価
材料ID:作業で使用する材料を特定するID
単価:作業の消費量当たりの金額
3−2 償却費
装置ID:当該作業IDを実行する装置のID
償却費:作業に割付けられる、単位時間当たりの償却費
3−3 人件費
組織ID:当該作業IDを実行する人のID
人件費:装置に割付けられる、単位時間当たりの人件費
集計データ4の集計、保持する集計データ集計保持手段Cとは、外部から入力された履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3、から、装置作業履歴IDごとに、作業に割付けた費用を集計し、集計データ4を作成する機能、および、集計データ4を保持する機能である。
【0070】
集計データ4とは、図6に示すように、装置作業履歴IDごとに集計した費用、すなわち作業コスト、および、集計に用いた履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3のデータ項目を十全的に示すデータである。
【0071】
提供データ5の集計、保持する提供データ集計保持手段Dとは、集計データ4から、システム利用者が要求する提供データ5を作成し、保持する機能である。
【0072】
提供データ5とは、予め設定した集計データを集計する期間において、装置作業履歴IDの費用を、製品別、部門別、費目別に集計したデータであり、各々、製品別コスト、部門別コスト、費目別コストである。
【0073】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に付いて図を用いて説明する。
【0074】
既述の通り従来は、任意性の強い、例えば「費目」、「組織」「製品」の視点のみでデータが構造化されていた。これに対し、本発明においては、半導体ウェハ製造の特徴を十分汲み取ることができるように「作業」、「装置」、「工程」の3つの視点を加え、6つの活用軸とする点に特徴がある。
【0075】
すなわち、半導体装置の製造に際しては、製造ロットのウェハ(製品)が工場に投入され、工場の製造装置(装置)、もしくは組織(部門)により、多数の製造工程(工程)での加工処理(作業)が施され、勘定項目にある資源(費目)が消費されると共に、完成品ウェハとなる。この投入から完成品ウェハになるまでの作業では、ウェハへの付加価値創造と共に、改善業務対象の製造コストが発生する。
【0076】
コスト構造とは、発生した製造コストが、どのように製品のほか、部門、工程等に紐づいているかを表すものである。
【0077】
図17は、本発明に関わるコスト構造のモデルである。もちろん、コスト構造は改善業務の考え方と係わり合いを持つものであり、任意性はある。必要な検討を行うことで、図17のような合理性のある構造モデルを設定することができる。本発明においては、資源を、配賦ではなく、コストの発生、すなわち作業により製品に割付けることを特徴とする。
【0078】
従来例から、上記図17で追加された3つの視点を説明する。
【0079】
「装置(製造装置)」とは、製造装置の減価償却費に関わるデータ活用軸のことを言う。
【0080】
図18は、一般的な90nmプロセスにおけるウェハコストに占める勘定項目の割合を表すグラフである。この一般的な製造コスト分類では、ウェハ製造コストを、勘定科目で分類していた。
【0081】
この図を見ても分かるとおり、製造装置の減価償却費は製造コストの4割を占める。
【0082】
図19は、図18で表した一般的な製造コスト分類と、本願発明に関わる製造コスト分類の差異を表す模式図である。
【0083】
従来では、この勘定科目で分類した費用を製品別、組織別、費目別の各コストに配賦していた。このような分類方法だと、「収集したウェハ製造コスト」=「製品コストの総和」=「組織コストの総和」=「費目コストの総和」となる。
【0084】
これに対し本願発明においては、「製造に係る費用」を、「作業」単位で収集/集計する。つまり1作業毎のコストを見積もり、それを集計することとなる。
【0085】
1作業毎のコストが求まると、その作業の状態から6つのコストの産出が可能となる。すなわち、製品別コスト、作業別コスト、工程別コスト、部門別コスト、費目別コスト、装置別コストである。
【0086】
それぞれの総和は、従来同様、「収集したウェハ製造コスト」と同じになる。
【0087】
「工程」とは、投入から完成品ウェハになるまでの間に行われる各製造工程で積み上げた工程に関わるデータ活用軸のことを言う。先端の製品では、投入から完成品ウェハになるまでの間に行われる製造工程は600工程を超える。これは、フォトリソグラフィ(半導体回路の露光焼付け)製造工程を起点に同種の製造工程が30回から40回繰り返されるためである。
【0088】
「作業」とは、製造装置の稼働時間に関わるデータ活用軸のことを言う。図20は、SEMI規格上で自動化されている製造装置の稼働時間管理監視と作業区分を表す概念図である。従来でも、「製造に関わる費用」を収集する際に、名称は勘定費目であったとしても、「作業」を用いて収集することは広く用いられていた。これに対し、本願発明では、作業別コストを導出する点に特徴がある。このように、プロセス、アイドル、保守、故障に区分して「作業」を管理することも可能である。
【0089】
システム利用者は、コスト改善業務のため、製造コスト情報の分析システムに対して、多様な要求を行う。一般的には、提供データのみならず、当該提供データを構成する集計データの表示を要求する。
【0090】
集計データ4は、前述したように、装置作業履歴IDごとの作業コストデータ、および、それを構成する十全的なデータであり、構成されるデータ項目は、多数のシステム利用者に用いられるように、共通的・一意的である。
【0091】
システム利用者は、当該提供データとその集計データを同時に把握することで、製造コスト情報の分析が可能になる。
【0092】
しかしながら、全ての集計データを集計し、保持するためには多大なデータ保管容量とデータ集計時間を必要とし、製造コスト情報の分析システムを用いたコスト改善業務サイクルが十分に実行できない状況にある。
【0093】
すなわち、集計データが、コスト改善業務サイクルに許容されるデータ保管容量とデータ集計時間にて集計、保持できる必要がある。
【0094】
図7は従来のシステムの処理工程を表す概念図である。また、図8は、本発明の実施の形態に関わるシステムの処理工程を表す概念図である。これらの図を用いて本発明の説明を行う。
【0095】
従来の実施の形態では、集計データ4を図7に示すように、システム利用者の多様な要求に対して共通的・一意的に作成する。これに対し、本発明の実施の形態では、図8のように、システム利用者個々が、システム利用者共通の作業手順のもと、任意に設定したデータ項目のみで作成することで、前述した課題を解決する。
【0096】
図9は、従来のシステムの集計データの概要を表す概念図である。また、図10は、本発明に関わるシステムの集計データの概要を表す概念図である。
【0097】
従来のシステムでは、個々の製品別コスト、部門別コスト、費目別コスト等の提供データを集計する際に、それぞれ装置作業履歴ID、費用、作業ID、装置IDに基づく独自の検索式を用意し、集計データ4を生成する。そして、そこから、提供データ集計保持手段により提供データを提供する。
【0098】
これに対し、本発明のシステムは、図10に示すように、
・集計データと提供データの検索項目、および、その「括りデータ」、
・提供データ5の算出期間を設定する期間データ、
を、当該分析システムに入力し、これらのデータと履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3から集計データ4を作成する。
【0099】
すなわち、一定の「括りデータ」にまとめ、蓄積し、それを2以上の検索式で用いることで、提供データにデータの蓄積量を低減する。
【0100】
ここで集計データを構成する、履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3のデータ項目の内、システム利用者が把握したいデータ項目をシステムに表示させることを検索と称する。また、検索の項目を検索項目という。
【0101】
本発明のシステムでは、活用軸定義手段Hにより、作業、装置、製品、費目、組織、工程の6つを定義する。これらは、システム利用者の要求を網羅するデータ項目の分類である。
【0102】
システム利用者は、検索項目から具体的な検索データ項目を設定する。
【0103】
例えば、「作業」の検索項目について、マスタデータの作業IDを検索データ項目とする。
【0104】
また、「装置」の検索項目について、経費データの装置IDを検索データ項目とする。
【0105】
「製品」の検索項目について、マスタデータの製品IDを検索データ項目とする。
【0106】
「費目」の検索項目については、経費データの材料IDを検索データ項目とする。
【0107】
「組織」の検索項目について、経費データの組織IDを検索データ項目とする。
【0108】
「工程」の検索項目について、マスタデータの工程IDを検索データ項目とする。
【0109】
本発明のシステムでは、活用軸定義手段Hにより、検索データ項目の「括りデータ」を定義する。
【0110】
図11は、検索項目と「括りデータ」の関係を表す概念図である。
【0111】
図11に示すように、6つの検索項目、作業、装置、製品、費目、組織、工程、に対して、作業ID、装置ID、製品ID、材料ID、組織ID、工程ID、を各々グルーピングした作業グループID、装置グループID、製品グループID、材料グループID、組織グループID、工程グループID、を括りデータとして設定する。
【0112】
図11左上の検索項目「作業」を例に挙げる。
【0113】
作業グループIDG−1は、作業ID−1と作業ID−3をまとめたものである。また、作業グループIDG−2は、作業ID−2と作業ID−Nをまとめたものである。
【0114】
このように、いくつかの「括りデータ」のフォーマットを用意し、集計データの作成時に集計データ集計保持手段Cはこれらの「括りデータ」のフォーマットを基準に検索データ項目を集計し、「括りデータ」を作成する。集計された「括りデータ」のみを蓄積する。そして、これらの「括りデータ」を用いて、集計データ集計保持手段C(工場システムサーバ)は集計データ4の集計保持を行う。
【0115】
図11では「括りデータ」を一つ、すなわち2階層として表した。しかし、実際の運用に際しては2階層には限定しない。すなわち検索項目内で、括りデータ同士を括り、新たな括りを設定することも可能である。
【0116】
6つの検索項目に対して、検索項目と検索データ項目の関係、検索データ項目とその括りデータの関係は、活用軸定義手段Hにより、予め設定する。
【0117】
本発明のシステムでは、グルーピングテーブルにより、システム利用者ごとに、1つまたは複数の一式の検索項目を設定する。これを「検索項目組合せ」と呼ぶ。また、検索項目ごとに検索データ項目またはその括りデータを1つ設定する。これを「検索集計項目」と呼ぶ。また、期間データにより、システム利用者ごとに、集計データを集計したい期間を設定する。これを、「集計期間」と呼ぶ。
【0118】
ここで、検索集計項目に関して、製品ID別、組織ID別、材料ID別で集計、保持された集計データは、詳細度が小さいといい、製品グループID別、組織グループID別、材料グループID別で集計、保持された集計データは、詳細度が大きいという。
【0119】
従来のシステムでは、全ての検索データ項目からなる集計データを作成するが、本発明のシステムでは、このように、各システム利用者が、いわゆる、見たい項目(検索項目組合せ)見たい項目の詳細度(検索集計項目)、見たい期間(集計期間)のみの集計データ4を各々作成することとで、課題である、集計データ4として保持するデータ量の巨大化、集計データ4の集計、保持時間の伸長化を防止することができる。
【0120】
また、集計データ、提供データの検索項目(作業、装置、製品、費目、組織、工程)定義により、見たい項目(検索項目組合せ)見たい項目の詳細度(検索集計項目)、見たい期間(集計期間)の設定方法を一意に決めることで、他のシステム利用者がその集計データと提供データの前提である検索項目組合せ、検索集計項目、集計期間を容易に理解することができる。同様に再計算させることができる。
【0121】
次に、上記概念図とハードウェアとの関係を説明する。
【0122】
図12は、本発明のシステム構成を表す概念図である。
【0123】
本発明のシステムは、図12に示すように、入力手段Aと、データ保持手段Bと、集計データ集計保持手段Cと、提供データ集計保持手段Dと、出力手段Eと、表示手段Fと、外部トリガー手段Gと、活用軸定義手段Hと、を含む。
【0124】
入力手段Aは、ウェハ製造工場の、履歴データ1とマスタデータ2と経費データ3を当該システムに入力する外部インターフェースである。
【0125】
本実施の形態においては、グルーピングテーブル7、期間データ8も、この入力手段Aより入力される。
【0126】
データ保持手段Bは、入力された履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3を保持するメモリ等の記憶手段である。
【0127】
集計データ集計保持手段Cは、入力された履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3から、装置の作業に伴い消費した費用を集計する、データサーバ上で動作するプログラムモジュールである。
【0128】
この集計データ集計保持手段Cは、システム利用者が要求するグルーピングテーブル7及び期間データ8毎に、データ保持手段Bに保持された履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3から集計データ4を算出する。
【0129】
提供データ集計保持手段Dは、集計データ4から、提供データ5を集計、保持するソフトウェアモジュールである。この提供データ集計保持手段Dも、データサーバ上で動作するプログラムモジュールである。
【0130】
図12では、集計する提供データとして、「作業」、「装置」、「製品」、「費目」、「組織」、「工程」の6項目を挙げている。この項目を抽出する際に、独自の検索式を用いるのではなく、集計データ集計保持手段Cで作成した集計データの組み合わせにより、「作業」等の提供データを抽出するのが本発明の特徴である(図10参照)。
【0131】
出力手段Eは、提供データ5を表示手段Fに出力するアプリケーションサーバと端末との間のインターフェースモジュールである。
【0132】
表示手段Fは、提供データ5を各業務ドメイン担当者に開示するための液晶ディスプレイなどの表示手段である。
【0133】
活用軸定義手段Hは、集計データ4、提供データ5を構成するデータ項目を分類する検索項目、および、そのデータ項目を括るデータ項目を定義するプログラムモジュールである。活用軸定義手段Hは、データベースサーバ上で動作する。
【0134】
外部トリガー手段Gは、グルーピングテーブル7、期間データ8を入力するソフトウェアモジュールである。この外部トリガー手段Gは、各業務ドメイン担当者が操作する端末上で動作する。すなわち、業務ドメインの担当者は、活用軸定義情報を作成するために必要な情報であるグルーピングテーブル7、期間データ8を外部トリガー手段Gより入力し、集計データ集計保持手段Cは集計データを活用軸定義手段Hにおいて設定した検索項目(作業、装置、製品、費目、組織、工程)を用いて集計データを集計する。
【0135】
ここで検索項目とは、履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3のデータ項目を分類した「作業」、「装置」、「製品」、「費目」、「組織」、「工程」の6項目である。
【0136】
検索データ項目は、上記6つの、「作業」、「装置」、「製品」、「費目」、「組織」、「工程」の項目に対して、履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3のデータ項目から設定する。具体的には、それぞれ、作業ID、装置ID、製品ID、材料ID、組織ID、工程IDとなる。
【0137】
これらの、検索項目と検索データ項目の関係、および、検索データ項目とそれを括るデータ項目の関係は、予め、活用軸定義手段Hにより、本システムに設定される。
【0138】
グルーピングテーブル7は、システム利用者が要求する各検索項目の検索集計項目を示すテーブル、および、システム利用者が要求する検索項目組合せを示すテーブルである。図13は、グルーピングテーブル7のうち各検索項目の検索集計項目を示すテーブルを表す概念図である。また、図14は、グルーピングテーブル7のうち検索項目組合せを示すテーブルを表す概念図である。
【0139】
期間データ8は、システム利用者が要求する集計データ4の集計開始と集計完了のデータである。図15は、期間データ8の構成を表す概念図である。
【0140】
このように構成することで、システム利用者は自身が要求する提供データに必要な検索項目とその詳細度をグルーピングテーブル7で設定することが可能である。
【0141】
以下に、図13−図15の事例を用いて設定方法を説明する。
【0142】
あるシステム利用者が集計データの検索集計項目を、費目については材料グループIDで、組織については組織IDで、製品については製品IDで、装置については装置IDで、作業については作業グループIDで、工程については工程グループIDで、集計させる場合は、グルーピングテーブルの検索項目に対して、材料グループID、組織ID、製品ID、装置ID、作業グループID、工程グループIDの値を入れた表(図13)を用意する。
【0143】
また、当該システム利用者が、当該集計データに対して、費目、組織、作業のみで検索させる場合は、グルーピングテーブルの検索項目組合せに対して、図14中の組合せ(1)のように設定する。
【0144】
2010年12月1日10:00:00から同年12月14日9:59:59までについて提供データを要求する場合には、期間データの集計開始項目に2010年12月1日10:00:00を、集計完了項目に2010年12月14日9:59:59を期間データ8に入力する。
【0145】
本発明のシステムは、システム利用者により、図13―図15のように設定されたグルーピングテーブル7、期間データ8、および、履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3を用いて、集計データ4を作成することを特徴とする。
【0146】
図16は、本発明の集計データの例を表す図である。図16の結果は、図14の設定に基づいた結果である。
【0147】
従来のシステムとは異なり、図16に示すように、材料グループID、組織ID、作業グループIDのみに該当する装置作業履歴IDとその費用から集計データ組合せ(1)を作成し、その組合せ(1)の集計データを用いて、当該システム利用者が所期に要求する集計データ4を作成、表示する。
【0148】
当該システム利用者が設定していない検索データ項目、すなわち、装置ID、製品ID、工程グループIDについての集計は行わない。
【0149】
組合せ(2)、(3)、(4)についても、同様に、システム利用者が設定した検索データ項目のみを作成、表示する。
【0150】
本発明のシステムでは、集計データ集計保持手段Cは、外部トリガー手段Gにより入力されたグルーピングテーブル7、期間データ8にもとづき、集計した費用と、入力した検索項目のグルーピングIDのみの履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3のデータ項目を用いて集計データ4を作成する。
【0151】
提供データ集計保持手段Dは、上記、必要十分な集計データを用いて、提供データ5を作成する。
【0152】
このように、本発明システムでは、システム利用者個々が、システム利用者共通の作業手順のもと、任意に設定したデータ項目のみで集計データを作成し、提供データ5と当該集計データ4をともに保持することが可能となり、出力手段Eにより、提供データ5と当該集計データ4を同時に表示することができる。
【0153】
他のシステム利用者も同様に、グルーピングテーブル、および、期間データで、表示させたい検索項目と検索開始終了時刻を設定することで、要求する提供データを得ることができる。
【0154】
本発明のシステムは、検索項目の定義、および、グルーピングテーブルによる検索データ項目の設定、期間データによる集計期間の設定を可能とすることで、他のシステム利用者は、当該システム利用者が作成した提供データ5と当該集計データ4を、容易に理解することできる。
【0155】
また、他の業務ドメインのシステム利用者が、これらデータに基づき作成した改善計画を、その設定方法から容易に理解することができる。
【0156】
また、本発明のシステムでは、工場システム(図12参照)で保持される各種データを全てデータサーバで保持する必要が無い。期間データ8で制限された所定のデータのみ保持で切ればよい。従って、データサーバ(図12参照)で必要とされる記憶容量を圧縮することが可能となる。
【0157】
このように、全てのシステム利用者の要求に対応できる集計データ4を一義的に作成するのではなく、システム利用者別に必要十分な、従来のシステムにおける集計データに比して、データ項目の少ない集計データを作成することで、課題である集計データ4データ容量の巨大化、と算出時間の伸長化を解決する。
【0158】
また、集計データの作成手順が、システム利用者に置いて共通であり、そのデータの信用性を向上することができる。
【0159】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に付いて図を用いて説明する。
【0160】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態を踏まえ、どのような改善業務を行えるかを示す実施例である。
【0161】
本実施の形態では、業務ドメインは第1の実施の形態で上げた6つの活用軸の中からそれ以下の軸を選択して、改善業務を行えることを示すものである。
【0162】
ここで「それ以下の軸」とは「自分の属する軸」と、その軸以外の1つあるいは2つの軸(「共通的に必要な軸」)双方のことを言う。また「自分の属する軸」とは、「製品」、「装置」、「組織」の各軸のことをいい、「共通的に必要な軸」とは固有の業務ドメインに属さない、「作業」、「工程」、「費目」のことを言う。
【0163】
図21は、本発明の第2の実施の形態における6つの活用軸の用途を表す図である。
この図の通り、製品などの自分の属する軸については排他的に一つが選択される。そして、「共通的に必要な軸」については、1つないし2つ選択されることにより、合計2ないし3の軸により改善点の洗い出しを行うことが可能となる。
【0164】
業務ドメインとして、作業区分プロセス[イ]の業務ドメインは、製品処理条件の設定と管理、作業区分アイドル[ロ]の業務ドメインは、装置の性能管理、作業区分保守[ハ]の業務ドメインは、装置の保守改善、作業区分故障[ニ]の業務ドメインは、装置の故障改善、がある。
【0165】
各業務ドメインは、コスト改善業務の具現として、装置作業の改善を立案し、実施する。
【0166】
装置作業の改善の例として、作業区分プロセス[イ]の業務ドメインは、製品処理における処理時間削減と使用材料削減、作業区分アイドル[ロ]の業務ドメインは、装置の性能改善、作業区分保守[ハ]の業務ドメインは、装置保守における保守時間削減と使用材料削減、作業区分故障[ニ]の業務ドメインは、装置故障における故障時間削減、がある。
【0167】
このように、上記定義された業務ドメイン毎に、その責任に応じ、図21に示す6つの活用軸の幾つかのみを利用し製造コストの改善活動を行うことが可能となる。
【0168】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、半導体のウェハ製造工場で発生する製造コスト情報を集計し、分析するシステムで利用可能である。
【符号の説明】
【0170】
1…履歴データ、2…マスタデータ、3…経費データ、4…集計データ、
5…提供データ、7…グルーピングテーブル、8…期間データ、
A…入力手段、B…データ保持手段、C…集計データ集計保持手段、
D…提供データ集計保持手段、E…出力手段、F…表示手段、
G…外部トリガー手段、H…活用軸定義手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体のウェハ製造工場で発生する製造コスト情報を集計し、分析するシステム、特に同一システムを異なる業務ドメインで共用することに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体工場は、半導体素子を製造するための、多種の業務(製品処理条件の設定と管理、装置の性能管理、装置の保守など)とそれを遂行する多数の技術者(製品工程別、装置別など)を有し、更にその技術者は、半導体素子の製造コストの改善活動(製品処理条件設定の時間削減と使用材料削減、装置の性能改善、装置の保守時間削減と使用材料削減など)を実施している。
【0003】
多種の業務の領域(「業務ドメイン」と呼ぶ)の技術者達は、改善活動の業務サイクルとして、それぞれに製造コストの改善計画を提案し、それら複数の改善計画の優先順位付けと組合せ実施による全体最適された統合計画を作成する(6ヶ月単位に実施)。
【0004】
更に、実績との比較による改善効果の確認を行い(1ヶ月単位に実施)、計画期間末での効果を予測し(1ヶ月単位に実施)、効果が不足する場合には追加改善計画を作成する(1ヶ月単位に実施)。本発明は、多種の業務ドメインの技術者達が、改善活動の業務サイクルを実現するために必要なデータを計算できる、半導体工場の製造コスト情報の分析システムを提供する。
【0005】
この製造コスト情報の分析システムは、コスト改善活動の技術者個々のデータ分析の要求である検索のキー項目、キー項目の集約程度、及び分析期間を標準的な方法で指定する機能を有し、指定されたキー項目、キー項目の集約程度、及び分析期間にて製造コスト情報を、許容される時間にて算出できる。
【0006】
従来の、財務会計管理者を想定した原価管理システムでは、半導体工場における、多種の業務ドメインの多数の技術者達が利用する、装置作業別のコストデータはデータサイズが大きく、算出するために長大な時間を要していた。そのため、技術者は、改善計画の効果の算出、複数の改善計画の効果の比較、期末までの効果予測、追加改善計画の効果の算出に時間が掛かり、改善活動の業務サイクルを実現することが出来なかった。
【0007】
また、特開2003−162310号公報(特許文献1)に記載の技術では、各製造工程のロスコストを容易に算出する手段を提供することで、たとえコスト計算に不慣れな者であっても、各製造工程で発生する各種ロスの損失金額を容易に分析することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−162310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
半導体工場においては、フォトリソグラフィ、スパッタ、エッチング等と言った多種の業務ドメインが存在し、それぞれに多数の技術者たちが活動する。そして、これらの多数の技術者たちが同一の原価管理システムを用いることとなる。
【0010】
しかし、上記の装置作業別のコストデータはデータサイズが大きく、算出するために長大な時間を必要としていた。
【0011】
その為、技術者は改善計画の効果の算出、複数の改善計画の効果の比較、期末までの効果予測、追加改善計画の効果の算出に時間が掛かり、改善活動の業務サイクルを実現することが出来なかった。
【0012】
本発明の目的は、システム利用者がコスト改善業務の為、製造コスト情報の分析システムに対して多様な要求を行う手段を提供することにある。
【0013】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0015】
本発明の代表的な実施の形態に関わる半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムは、履歴データ、マスタデータ、経費データの入力インターフェースである入力手段と、入力手段より入力された各種データを保持するデータ保持手段と、入力手段より入力された各種データから、装置の作業に伴い消費した費用を集計してウェハ製造コストの総和を導出・保持する集計データ集計保持手段と、ウェハ製造コストの総和から、分析したコストを利用者に提示するための提供データを抽出・検索し、生成し、保持する提供データ集計保持手段と、を含み、外部端末内の外部トリガー手段からグルーピングテーブル及び期間データを受け付けることが可能であって、半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムは更に活用軸定義手段を含み、活用軸定義手段から入力される1又は2以上の括りデータに従い、集計データ集計保持手段は1又は2以上のウェハ製造コストの総和を作成し、提供データ集計保持手段は、1又は2以上のウェハ製造コストの総和を用いて1又は2以上の提供データを生成し、外部端末に出力することを特徴とする。
【0016】
この半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムは、提供データ集計保持手段で用いられる検索データが「作業」、「装置」、「製品」、「費目」、「組織」、「工程」であることを特徴としても良い。
【0017】
この半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムにおいて、提供データ集計保持手段は、検索データ中「装置」、「組織」及び「製品」の何れか1を、他の「作業」、「費目」及び「工程」の何れか1又は2を検索対象として用いることを特徴としても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明を採用することにより、同一のシステムを用いる異なるシステム利用者が、個々にシステム利用者共通の作業手順の元、任意に設定したデータ項目のみで集計データを作成し、提供データと集計データを共に保持することが可能となり、かつ他のシステム利用者も同様に、グルーピングテーブル及び期間データで表示させたい検索項目と検索開始終了時刻を設定することで、要求する提供データを得ることができる。
【0019】
また、本発明を採用することにより、他の業務ドメインのシステム利用者が、これらデータに基づき作製した改善計画を、その設定方法から容易に理解することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ウェハ製造工場における製造に係る費用と製品コストの関係を表す図である。
【図2】従来の製造コスト情報の分析システムの構成を表す模式図である。
【図3】履歴データの構成を表す模式図である。
【図4】マスタデータの構成を表す模式図である。
【図5】経費データの構成を表す模式図である。
【図6】集計データの構成を表す模式図である。
【図7】従来のシステムの処理工程を表す概念図である。
【図8】本発明の実施の形態に関わるシステムの処理工程を表す概念図である。
【図9】従来のシステムの集計データの概要を表す概念図である。
【図10】本発明に関わるシステムの集計データの概要を表す概念図である。
【図11】検索項目と「括りデータ」の関係を表す概念図である。
【図12】本発明のシステム構成を表す概念図である。
【図13】グルーピングテーブルのうち各検索項目の検索集計項目を示すテーブルを表す概念図である。
【図14】グルーピングテーブルのうち検索項目組合せを示すテーブルを表す概念図である。
【図15】期間データの構成を表す概念図である。
【図16】本発明の集計データの例を表す図である。
【図17】本発明に関わるコスト構造のモデルである。
【図18】一般的な90nmプロセスにおけるウェハコストに占める勘定項目の割合を表すグラフである。
【図19】図18で表した一般的な製造コスト分類と、本願発明に関わる製造コスト分類の差異を表す模式図である。
【図20】SEMI規格上で自動化されている製造装置の稼働時間管理監視と作業区分を表す概念図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態における6つの活用軸の用途を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。しかし、特に明示した場合を除き、それは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部又は全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものでなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0022】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素は、特に明示した場合及び原理的に明らかに必須であると考えられる場合を除き、必ずしも必須のものでないことは言うまでもない。
【0023】
以下、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。また、それに先立ち、従来の実施の形態についても説明する。
【0024】
(従来の実施の形態)
一般的な製造工場における製品コストは、「製造に関わる費用」を、ある基準を用いて製品に割り当てることで算出できる。ここで「製造に関わる費用」とは、製品を作るために消費された費用であり、材料費、人件費、償却費、保守費などが上げられる。
【0025】
図1は、ウェハ製造工場における製造に係る費用と製品コストの関係を表す図である。
【0026】
半導体のウェハ製造工場における、上記割当て方法は、図1に示すように、一般に、製造に係る費用を、半導体製造装置(以下、装置)の作業を介して製品に割り当てる。
【0027】
すなわち、装置は、製造に係る費用を消費して種々の作業を行うので、これら製造に係る費用を、作業に関連付けして、1作業当たりの製造に係る費用を集計した後、製品別コストを算出する。
【0028】
以下、製造に係る費用を作業に関連付けし、1作業当たりに集計した費用を、「作業コスト」という。
【0029】
製品別コストを算出するにあたり、作業が当該費用割当て製品を特定できる場合は、作業コストをその製品に割り当てる。しかし、作業が当該費用割当て製品を特定できない場合や、製造に係る費用が作業に関連付けできない場合は、それら製造に係る費用は、配賦により製品への割当てを行う。
【0030】
従来は、任意性の強い、例えば勘定項目にある費目もしくは組織と製品との視点でのみでデータが構造化されていた。
【0031】
なお、ウェハ製造工場では、一般に、仕掛品に対しても、完成品同様、製品、もしくは、ウェハと称す。また、製品の製造単位をロットと称す。
【0032】
ここで、上記、製造に係る費用を作業に関連付けし、作業コストを算出する方法例を以下に説明する。
【0033】
製造に係る費用を、装置の作業と関連付けする際、装置の作業を、プロセス[イ]、アイドル[ロ]、保守[ハ]、故障[ニ]、の4つに区分する。
【0034】
これら区分は、SEMI(半導体・FPD・太陽光発電産業製造装置・材料国際的工業会)で規定するE10(導体製造装置の信頼性、有用性、整備性の定義と測定のための仕様)の状態を参酌して決定する。
【0035】
たとえば、プロセス[イ]は、E10における生産時間、および、エンジニアリング時間状態、アイドル[ロ]は、E10における待機状態、保守[ハ]は、E10における計画ダウン時間状態、故障[ニ]は、E10における計画外ダウン時間、および非計画時間状態、である。
【0036】
ここで、製造に係る費用(材料費、人件費、保守費、償却費を例とする)と上記[イ]〜[ニ]との関連付けにおいては、費用は必ずしも1つの作業に限定しない。
【0037】
たとえば、一般には、材料費は[イ]と、保守で用いる保守費は[ハ]と関連付けるが、人件費、償却費は[イ][ロ][ハ][ニ]の4つの作業と、関連付けてもよい。
【0038】
また、1作業実績当りに消費した費用は、予め設定した製造に係る費用の1作業当たりの単価と、1作業における当該費用の消費の実績から算出することができる。
【0039】
算出の具体例を以下に説明する。
【0040】
1回の作業における材料費は、1作業当りの材料単価と1作業当りの材料の消費量で算出する。1作業当りの材料単価は、作業回数もしくは、作業時間を単位として、予め、材料の種類とともに設定する。1作業当たりに消費する材料は、装置の加工条件(レシピIDという)で一意に決定されるので、1作業での材料の消費量を、消費回数、もしくは、消費時間で把握できる。材料単価と材料の消費量を掛けることで、1回の作業における材料費が求まる。
【0041】
1回の作業における保守費は、1作業当りの保守項目単価と消費量で算出する。1作業当たりの保守項目とは、交換部品や外注作業など、保守作業で消費する項目であり、予め、保守項目とその単価を設定する。1作業当たりに消費する保守項目は、保守条件(保守IDという)で一意に決定されるので、保守項目単価とその消費量を掛けることで、1回の作業における保守費が求まる。
【0042】
また、1回の作業における人件費、償却費は、単位時間当りの人件費、償却費と当該作業の所要時間で算出する。予め、単位時間当りの人件費、償却費を設定し、単位時間当りの人件費、償却費と当該作業の所要時間を掛けることで、1回の作業における人件費、償却費が求まる。
【0043】
ウェハ製造工場における製品コストに関するニーズには、以下がある。
【0044】
1)製造に係る費用を、できるだけ装置の作業に関連付けしたい。
【0045】
2)製造に係る費用を、製品別のほか、費目別、部門別に集計したい。なお、集計したコストを各々、費目別コスト、部門別コストという。
【0046】
ここで、「費目別コスト」とは、作業で用いる材料などのコスト区分を示すものである。材料費や労務費、経費などが、費目に含まれる。
【0047】
「部門別コスト」とは、作業に係る人や装置が属する組織の区分を示すものである。製造ライン毎の製造直接部門に関わるコスト、製造間接部門に関わるコスト、管理部門に関わるコスト、はここに含まれる。
【0048】
また、製品別コストのほか、費目別コストや部門別コストなど、製造に係るコストを以下、製造コストいう。
【0049】
3)多様なコスト改善業務に対応するため、製造コストとともに、その内訳、すなわち、作業コストを把握したい。なお、コスト改善業務とは、財務会計管理者が当期期首に設定した製造コストの目標値を達成するために、種々の業務エンジニアが、製造コストの改善計画を立案し、実施することである。
【0050】
種々の業務の区分を業務ドメインという。主に、前述した装置の作業[イ]〜[ニ]別に区分し、その業務ドメインごとにコスト改善を実施することが一般的である。
【0051】
業務ドメインの例として、作業区分プロセス[イ]の業務ドメインは、製品処理条件の設定と管理、作業区分アイドル[ロ]の業務ドメインは、装置の性能管理、作業区分保守[ハ]の業務ドメインは、装置の保守改善、作業区分故障[ニ]の業務ドメインは、装置の故障改善、等がある。
【0052】
各業務ドメインは、コスト改善業務の具現として、装置作業の改善を立案し、実施する。
【0053】
装置作業の改善の例としては、
◇作業区分プロセス[イ]の業務ドメインは、製品処理における処理時間削減と使用材料削減、
◇作業区分アイドル[ロ]の業務ドメインは、装置の性能改善、
◇作業区分保守[ハ]の業務ドメインは、装置保守における保守時間削減と使用材料削減、
◇作業区分故障[ニ]の業務ドメインは、装置故障における故障時間削減、
があげられる。
【0054】
装置作業の改善を立案、実施し、製造コストの低減を確認し、その効果が不足の場合には、新たな装置作業の改善を立案、実施することを、コスト改善業務サイクルという。
【0055】
各業務ドメインにおけるコスト改善業務サイクルの実行のため、製造コストとともに、当該改善に係る作業コストを把握する必要がある。
【0056】
また、各業務ドメインのコスト改善の影響が、他の業務ドメインで把握できるように、製造コスト、作業コストの内容は、共通・共有される必要がある。
【0057】
製造コストや作業コストを総じて、製造コスト情報という。本発明の対象は、半導体工場の製造コスト情報の分析システムに係るものである。
【0058】
業務ドメイン担当者は、分析システムを用いて、製造コスト情報を把握することで、コスト改善業務サイクルを実行する。ここで、財務会計管理者や業務ドメイン担当者など、分析システムを用いる者を、システム利用者という。
【0059】
上述したコストの算出方法を用いた、従来技術による製造コスト情報の分析システムを以下に説明する。
【0060】
図2は、従来の製造コスト情報の分析システムの構成を表す模式図である。図3は、履歴データ1の構成を表す模式図である。図4は、マスタデータ2の構成を表す模式図である。図5は、経費データ3の構成を表す模式図である。図6は、集計データ4の構成を表す模式図である。
【0061】
従来システムは、図2に示すように、
・ウェハ製造工場の、履歴データ1とマスタデータ2と経費データ3を当該システムに入力する入力手段Aと
・入力された履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3から、集計データ4を集計、保持する手段(C)と、
・集計データ4から、提供データ5を集計、保持する手段(D)と、
・提供データ5をシステム利用者に表示する手段(F)と、
・ 提供データ5を(F)に出力する手段(E)と、
を有する。
【0062】
履歴データ1とは、図3に示すように、装置の作業の実績、および、製品への作業の実績を示すデータであり、各々以下の項目からなる。
【0063】
1−1 装置作業の実績
装置ID:装置を特定するID
作業ID:装置の作業を区分し、特定するID(マスタデータの外部キー。)
開始時刻:上記作業IDの作業を開始した時刻
終了時刻:上記作業IDの作業を終了した時刻
期間:上記開始から終了までの時間
装置作業履歴ID:上記、装置ID、作業ID、開始時刻、終了時刻を一意に決定するID(装置における1回の作業を特定するID)
1−2 製品作業の実績
ロットID:製品(ウェハ)の括りを特定するID
製品(ウェハ)ID:製品を特定するID
装置作業履歴ID:上記ロットに対する装置作業のID(装置作業の外部キー)。
【0064】
レシピID:ロットに対する装置のプロセス作業の条件を特定するID(マスタデータの作業IDの外部キー)
開始時刻:上記装置作業履歴IDの開始した時刻
終了時刻:上記装置作業履歴IDの終了した時刻
マスタデータ2とは、図4に示すように、装置の作業に割付ける物、人、もしくは、装置の作業で消費される物を示すデータであり、各々以下の項目からなる。
【0065】
また、製品の仕様も示すデータである。
【0066】
また、コスト改善業務において、材料消費量の改善、処理時間の改善等の作業仕様を設定するデータである。
【0067】
2−1 作業仕様
作業ID:装置の作業を区分し、特定するID
使用材料:作業の実行の際、消費される物。作業に割り付けられる物
材料ID:使用材料を特定するID(マスタデータの材料単価の外部キー)
消費量:1回の作業当たり、もしくは、単位時間当たりに消費する使用材料の量
装置ID:当該作業IDを実行する装置のID(経費データの償却費の外部キー)
組織ID:当該作業IDを管理する組織のID(経費データの人件費の外部キー)
2−2 製品仕様
品種ID:製品群を特定するID
工程ID:製品群の加工工程を特定するID
装置ID:装置を特定するID
レシピID:ロットに対する装置のプロセス作業の条件を特定するID(マスタデータの作業IDの外部キー)
経費データ3とは、図5に示すように、装置の作業に割付ける物、および、人の金額を示すデータであり、各々以下の項目からなる。
【0068】
また、コスト改善業務において、材料単価の改善等の1作業当りの費用を設定するデータである。
【0069】
3−1 材料単価
材料ID:作業で使用する材料を特定するID
単価:作業の消費量当たりの金額
3−2 償却費
装置ID:当該作業IDを実行する装置のID
償却費:作業に割付けられる、単位時間当たりの償却費
3−3 人件費
組織ID:当該作業IDを実行する人のID
人件費:装置に割付けられる、単位時間当たりの人件費
集計データ4の集計、保持する集計データ集計保持手段Cとは、外部から入力された履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3、から、装置作業履歴IDごとに、作業に割付けた費用を集計し、集計データ4を作成する機能、および、集計データ4を保持する機能である。
【0070】
集計データ4とは、図6に示すように、装置作業履歴IDごとに集計した費用、すなわち作業コスト、および、集計に用いた履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3のデータ項目を十全的に示すデータである。
【0071】
提供データ5の集計、保持する提供データ集計保持手段Dとは、集計データ4から、システム利用者が要求する提供データ5を作成し、保持する機能である。
【0072】
提供データ5とは、予め設定した集計データを集計する期間において、装置作業履歴IDの費用を、製品別、部門別、費目別に集計したデータであり、各々、製品別コスト、部門別コスト、費目別コストである。
【0073】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に付いて図を用いて説明する。
【0074】
既述の通り従来は、任意性の強い、例えば「費目」、「組織」「製品」の視点のみでデータが構造化されていた。これに対し、本発明においては、半導体ウェハ製造の特徴を十分汲み取ることができるように「作業」、「装置」、「工程」の3つの視点を加え、6つの活用軸とする点に特徴がある。
【0075】
すなわち、半導体装置の製造に際しては、製造ロットのウェハ(製品)が工場に投入され、工場の製造装置(装置)、もしくは組織(部門)により、多数の製造工程(工程)での加工処理(作業)が施され、勘定項目にある資源(費目)が消費されると共に、完成品ウェハとなる。この投入から完成品ウェハになるまでの作業では、ウェハへの付加価値創造と共に、改善業務対象の製造コストが発生する。
【0076】
コスト構造とは、発生した製造コストが、どのように製品のほか、部門、工程等に紐づいているかを表すものである。
【0077】
図17は、本発明に関わるコスト構造のモデルである。もちろん、コスト構造は改善業務の考え方と係わり合いを持つものであり、任意性はある。必要な検討を行うことで、図17のような合理性のある構造モデルを設定することができる。本発明においては、資源を、配賦ではなく、コストの発生、すなわち作業により製品に割付けることを特徴とする。
【0078】
従来例から、上記図17で追加された3つの視点を説明する。
【0079】
「装置(製造装置)」とは、製造装置の減価償却費に関わるデータ活用軸のことを言う。
【0080】
図18は、一般的な90nmプロセスにおけるウェハコストに占める勘定項目の割合を表すグラフである。この一般的な製造コスト分類では、ウェハ製造コストを、勘定科目で分類していた。
【0081】
この図を見ても分かるとおり、製造装置の減価償却費は製造コストの4割を占める。
【0082】
図19は、図18で表した一般的な製造コスト分類と、本願発明に関わる製造コスト分類の差異を表す模式図である。
【0083】
従来では、この勘定科目で分類した費用を製品別、組織別、費目別の各コストに配賦していた。このような分類方法だと、「収集したウェハ製造コスト」=「製品コストの総和」=「組織コストの総和」=「費目コストの総和」となる。
【0084】
これに対し本願発明においては、「製造に係る費用」を、「作業」単位で収集/集計する。つまり1作業毎のコストを見積もり、それを集計することとなる。
【0085】
1作業毎のコストが求まると、その作業の状態から6つのコストの産出が可能となる。すなわち、製品別コスト、作業別コスト、工程別コスト、部門別コスト、費目別コスト、装置別コストである。
【0086】
それぞれの総和は、従来同様、「収集したウェハ製造コスト」と同じになる。
【0087】
「工程」とは、投入から完成品ウェハになるまでの間に行われる各製造工程で積み上げた工程に関わるデータ活用軸のことを言う。先端の製品では、投入から完成品ウェハになるまでの間に行われる製造工程は600工程を超える。これは、フォトリソグラフィ(半導体回路の露光焼付け)製造工程を起点に同種の製造工程が30回から40回繰り返されるためである。
【0088】
「作業」とは、製造装置の稼働時間に関わるデータ活用軸のことを言う。図20は、SEMI規格上で自動化されている製造装置の稼働時間管理監視と作業区分を表す概念図である。従来でも、「製造に関わる費用」を収集する際に、名称は勘定費目であったとしても、「作業」を用いて収集することは広く用いられていた。これに対し、本願発明では、作業別コストを導出する点に特徴がある。このように、プロセス、アイドル、保守、故障に区分して「作業」を管理することも可能である。
【0089】
システム利用者は、コスト改善業務のため、製造コスト情報の分析システムに対して、多様な要求を行う。一般的には、提供データのみならず、当該提供データを構成する集計データの表示を要求する。
【0090】
集計データ4は、前述したように、装置作業履歴IDごとの作業コストデータ、および、それを構成する十全的なデータであり、構成されるデータ項目は、多数のシステム利用者に用いられるように、共通的・一意的である。
【0091】
システム利用者は、当該提供データとその集計データを同時に把握することで、製造コスト情報の分析が可能になる。
【0092】
しかしながら、全ての集計データを集計し、保持するためには多大なデータ保管容量とデータ集計時間を必要とし、製造コスト情報の分析システムを用いたコスト改善業務サイクルが十分に実行できない状況にある。
【0093】
すなわち、集計データが、コスト改善業務サイクルに許容されるデータ保管容量とデータ集計時間にて集計、保持できる必要がある。
【0094】
図7は従来のシステムの処理工程を表す概念図である。また、図8は、本発明の実施の形態に関わるシステムの処理工程を表す概念図である。これらの図を用いて本発明の説明を行う。
【0095】
従来の実施の形態では、集計データ4を図7に示すように、システム利用者の多様な要求に対して共通的・一意的に作成する。これに対し、本発明の実施の形態では、図8のように、システム利用者個々が、システム利用者共通の作業手順のもと、任意に設定したデータ項目のみで作成することで、前述した課題を解決する。
【0096】
図9は、従来のシステムの集計データの概要を表す概念図である。また、図10は、本発明に関わるシステムの集計データの概要を表す概念図である。
【0097】
従来のシステムでは、個々の製品別コスト、部門別コスト、費目別コスト等の提供データを集計する際に、それぞれ装置作業履歴ID、費用、作業ID、装置IDに基づく独自の検索式を用意し、集計データ4を生成する。そして、そこから、提供データ集計保持手段により提供データを提供する。
【0098】
これに対し、本発明のシステムは、図10に示すように、
・集計データと提供データの検索項目、および、その「括りデータ」、
・提供データ5の算出期間を設定する期間データ、
を、当該分析システムに入力し、これらのデータと履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3から集計データ4を作成する。
【0099】
すなわち、一定の「括りデータ」にまとめ、蓄積し、それを2以上の検索式で用いることで、提供データにデータの蓄積量を低減する。
【0100】
ここで集計データを構成する、履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3のデータ項目の内、システム利用者が把握したいデータ項目をシステムに表示させることを検索と称する。また、検索の項目を検索項目という。
【0101】
本発明のシステムでは、活用軸定義手段Hにより、作業、装置、製品、費目、組織、工程の6つを定義する。これらは、システム利用者の要求を網羅するデータ項目の分類である。
【0102】
システム利用者は、検索項目から具体的な検索データ項目を設定する。
【0103】
例えば、「作業」の検索項目について、マスタデータの作業IDを検索データ項目とする。
【0104】
また、「装置」の検索項目について、経費データの装置IDを検索データ項目とする。
【0105】
「製品」の検索項目について、マスタデータの製品IDを検索データ項目とする。
【0106】
「費目」の検索項目については、経費データの材料IDを検索データ項目とする。
【0107】
「組織」の検索項目について、経費データの組織IDを検索データ項目とする。
【0108】
「工程」の検索項目について、マスタデータの工程IDを検索データ項目とする。
【0109】
本発明のシステムでは、活用軸定義手段Hにより、検索データ項目の「括りデータ」を定義する。
【0110】
図11は、検索項目と「括りデータ」の関係を表す概念図である。
【0111】
図11に示すように、6つの検索項目、作業、装置、製品、費目、組織、工程、に対して、作業ID、装置ID、製品ID、材料ID、組織ID、工程ID、を各々グルーピングした作業グループID、装置グループID、製品グループID、材料グループID、組織グループID、工程グループID、を括りデータとして設定する。
【0112】
図11左上の検索項目「作業」を例に挙げる。
【0113】
作業グループIDG−1は、作業ID−1と作業ID−3をまとめたものである。また、作業グループIDG−2は、作業ID−2と作業ID−Nをまとめたものである。
【0114】
このように、いくつかの「括りデータ」のフォーマットを用意し、集計データの作成時に集計データ集計保持手段Cはこれらの「括りデータ」のフォーマットを基準に検索データ項目を集計し、「括りデータ」を作成する。集計された「括りデータ」のみを蓄積する。そして、これらの「括りデータ」を用いて、集計データ集計保持手段C(工場システムサーバ)は集計データ4の集計保持を行う。
【0115】
図11では「括りデータ」を一つ、すなわち2階層として表した。しかし、実際の運用に際しては2階層には限定しない。すなわち検索項目内で、括りデータ同士を括り、新たな括りを設定することも可能である。
【0116】
6つの検索項目に対して、検索項目と検索データ項目の関係、検索データ項目とその括りデータの関係は、活用軸定義手段Hにより、予め設定する。
【0117】
本発明のシステムでは、グルーピングテーブルにより、システム利用者ごとに、1つまたは複数の一式の検索項目を設定する。これを「検索項目組合せ」と呼ぶ。また、検索項目ごとに検索データ項目またはその括りデータを1つ設定する。これを「検索集計項目」と呼ぶ。また、期間データにより、システム利用者ごとに、集計データを集計したい期間を設定する。これを、「集計期間」と呼ぶ。
【0118】
ここで、検索集計項目に関して、製品ID別、組織ID別、材料ID別で集計、保持された集計データは、詳細度が小さいといい、製品グループID別、組織グループID別、材料グループID別で集計、保持された集計データは、詳細度が大きいという。
【0119】
従来のシステムでは、全ての検索データ項目からなる集計データを作成するが、本発明のシステムでは、このように、各システム利用者が、いわゆる、見たい項目(検索項目組合せ)見たい項目の詳細度(検索集計項目)、見たい期間(集計期間)のみの集計データ4を各々作成することとで、課題である、集計データ4として保持するデータ量の巨大化、集計データ4の集計、保持時間の伸長化を防止することができる。
【0120】
また、集計データ、提供データの検索項目(作業、装置、製品、費目、組織、工程)定義により、見たい項目(検索項目組合せ)見たい項目の詳細度(検索集計項目)、見たい期間(集計期間)の設定方法を一意に決めることで、他のシステム利用者がその集計データと提供データの前提である検索項目組合せ、検索集計項目、集計期間を容易に理解することができる。同様に再計算させることができる。
【0121】
次に、上記概念図とハードウェアとの関係を説明する。
【0122】
図12は、本発明のシステム構成を表す概念図である。
【0123】
本発明のシステムは、図12に示すように、入力手段Aと、データ保持手段Bと、集計データ集計保持手段Cと、提供データ集計保持手段Dと、出力手段Eと、表示手段Fと、外部トリガー手段Gと、活用軸定義手段Hと、を含む。
【0124】
入力手段Aは、ウェハ製造工場の、履歴データ1とマスタデータ2と経費データ3を当該システムに入力する外部インターフェースである。
【0125】
本実施の形態においては、グルーピングテーブル7、期間データ8も、この入力手段Aより入力される。
【0126】
データ保持手段Bは、入力された履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3を保持するメモリ等の記憶手段である。
【0127】
集計データ集計保持手段Cは、入力された履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3から、装置の作業に伴い消費した費用を集計する、データサーバ上で動作するプログラムモジュールである。
【0128】
この集計データ集計保持手段Cは、システム利用者が要求するグルーピングテーブル7及び期間データ8毎に、データ保持手段Bに保持された履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3から集計データ4を算出する。
【0129】
提供データ集計保持手段Dは、集計データ4から、提供データ5を集計、保持するソフトウェアモジュールである。この提供データ集計保持手段Dも、データサーバ上で動作するプログラムモジュールである。
【0130】
図12では、集計する提供データとして、「作業」、「装置」、「製品」、「費目」、「組織」、「工程」の6項目を挙げている。この項目を抽出する際に、独自の検索式を用いるのではなく、集計データ集計保持手段Cで作成した集計データの組み合わせにより、「作業」等の提供データを抽出するのが本発明の特徴である(図10参照)。
【0131】
出力手段Eは、提供データ5を表示手段Fに出力するアプリケーションサーバと端末との間のインターフェースモジュールである。
【0132】
表示手段Fは、提供データ5を各業務ドメイン担当者に開示するための液晶ディスプレイなどの表示手段である。
【0133】
活用軸定義手段Hは、集計データ4、提供データ5を構成するデータ項目を分類する検索項目、および、そのデータ項目を括るデータ項目を定義するプログラムモジュールである。活用軸定義手段Hは、データベースサーバ上で動作する。
【0134】
外部トリガー手段Gは、グルーピングテーブル7、期間データ8を入力するソフトウェアモジュールである。この外部トリガー手段Gは、各業務ドメイン担当者が操作する端末上で動作する。すなわち、業務ドメインの担当者は、活用軸定義情報を作成するために必要な情報であるグルーピングテーブル7、期間データ8を外部トリガー手段Gより入力し、集計データ集計保持手段Cは集計データを活用軸定義手段Hにおいて設定した検索項目(作業、装置、製品、費目、組織、工程)を用いて集計データを集計する。
【0135】
ここで検索項目とは、履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3のデータ項目を分類した「作業」、「装置」、「製品」、「費目」、「組織」、「工程」の6項目である。
【0136】
検索データ項目は、上記6つの、「作業」、「装置」、「製品」、「費目」、「組織」、「工程」の項目に対して、履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3のデータ項目から設定する。具体的には、それぞれ、作業ID、装置ID、製品ID、材料ID、組織ID、工程IDとなる。
【0137】
これらの、検索項目と検索データ項目の関係、および、検索データ項目とそれを括るデータ項目の関係は、予め、活用軸定義手段Hにより、本システムに設定される。
【0138】
グルーピングテーブル7は、システム利用者が要求する各検索項目の検索集計項目を示すテーブル、および、システム利用者が要求する検索項目組合せを示すテーブルである。図13は、グルーピングテーブル7のうち各検索項目の検索集計項目を示すテーブルを表す概念図である。また、図14は、グルーピングテーブル7のうち検索項目組合せを示すテーブルを表す概念図である。
【0139】
期間データ8は、システム利用者が要求する集計データ4の集計開始と集計完了のデータである。図15は、期間データ8の構成を表す概念図である。
【0140】
このように構成することで、システム利用者は自身が要求する提供データに必要な検索項目とその詳細度をグルーピングテーブル7で設定することが可能である。
【0141】
以下に、図13−図15の事例を用いて設定方法を説明する。
【0142】
あるシステム利用者が集計データの検索集計項目を、費目については材料グループIDで、組織については組織IDで、製品については製品IDで、装置については装置IDで、作業については作業グループIDで、工程については工程グループIDで、集計させる場合は、グルーピングテーブルの検索項目に対して、材料グループID、組織ID、製品ID、装置ID、作業グループID、工程グループIDの値を入れた表(図13)を用意する。
【0143】
また、当該システム利用者が、当該集計データに対して、費目、組織、作業のみで検索させる場合は、グルーピングテーブルの検索項目組合せに対して、図14中の組合せ(1)のように設定する。
【0144】
2010年12月1日10:00:00から同年12月14日9:59:59までについて提供データを要求する場合には、期間データの集計開始項目に2010年12月1日10:00:00を、集計完了項目に2010年12月14日9:59:59を期間データ8に入力する。
【0145】
本発明のシステムは、システム利用者により、図13―図15のように設定されたグルーピングテーブル7、期間データ8、および、履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3を用いて、集計データ4を作成することを特徴とする。
【0146】
図16は、本発明の集計データの例を表す図である。図16の結果は、図14の設定に基づいた結果である。
【0147】
従来のシステムとは異なり、図16に示すように、材料グループID、組織ID、作業グループIDのみに該当する装置作業履歴IDとその費用から集計データ組合せ(1)を作成し、その組合せ(1)の集計データを用いて、当該システム利用者が所期に要求する集計データ4を作成、表示する。
【0148】
当該システム利用者が設定していない検索データ項目、すなわち、装置ID、製品ID、工程グループIDについての集計は行わない。
【0149】
組合せ(2)、(3)、(4)についても、同様に、システム利用者が設定した検索データ項目のみを作成、表示する。
【0150】
本発明のシステムでは、集計データ集計保持手段Cは、外部トリガー手段Gにより入力されたグルーピングテーブル7、期間データ8にもとづき、集計した費用と、入力した検索項目のグルーピングIDのみの履歴データ1、マスタデータ2、経費データ3のデータ項目を用いて集計データ4を作成する。
【0151】
提供データ集計保持手段Dは、上記、必要十分な集計データを用いて、提供データ5を作成する。
【0152】
このように、本発明システムでは、システム利用者個々が、システム利用者共通の作業手順のもと、任意に設定したデータ項目のみで集計データを作成し、提供データ5と当該集計データ4をともに保持することが可能となり、出力手段Eにより、提供データ5と当該集計データ4を同時に表示することができる。
【0153】
他のシステム利用者も同様に、グルーピングテーブル、および、期間データで、表示させたい検索項目と検索開始終了時刻を設定することで、要求する提供データを得ることができる。
【0154】
本発明のシステムは、検索項目の定義、および、グルーピングテーブルによる検索データ項目の設定、期間データによる集計期間の設定を可能とすることで、他のシステム利用者は、当該システム利用者が作成した提供データ5と当該集計データ4を、容易に理解することできる。
【0155】
また、他の業務ドメインのシステム利用者が、これらデータに基づき作成した改善計画を、その設定方法から容易に理解することができる。
【0156】
また、本発明のシステムでは、工場システム(図12参照)で保持される各種データを全てデータサーバで保持する必要が無い。期間データ8で制限された所定のデータのみ保持で切ればよい。従って、データサーバ(図12参照)で必要とされる記憶容量を圧縮することが可能となる。
【0157】
このように、全てのシステム利用者の要求に対応できる集計データ4を一義的に作成するのではなく、システム利用者別に必要十分な、従来のシステムにおける集計データに比して、データ項目の少ない集計データを作成することで、課題である集計データ4データ容量の巨大化、と算出時間の伸長化を解決する。
【0158】
また、集計データの作成手順が、システム利用者に置いて共通であり、そのデータの信用性を向上することができる。
【0159】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に付いて図を用いて説明する。
【0160】
第2の実施の形態は、第1の実施の形態を踏まえ、どのような改善業務を行えるかを示す実施例である。
【0161】
本実施の形態では、業務ドメインは第1の実施の形態で上げた6つの活用軸の中からそれ以下の軸を選択して、改善業務を行えることを示すものである。
【0162】
ここで「それ以下の軸」とは「自分の属する軸」と、その軸以外の1つあるいは2つの軸(「共通的に必要な軸」)双方のことを言う。また「自分の属する軸」とは、「製品」、「装置」、「組織」の各軸のことをいい、「共通的に必要な軸」とは固有の業務ドメインに属さない、「作業」、「工程」、「費目」のことを言う。
【0163】
図21は、本発明の第2の実施の形態における6つの活用軸の用途を表す図である。
この図の通り、製品などの自分の属する軸については排他的に一つが選択される。そして、「共通的に必要な軸」については、1つないし2つ選択されることにより、合計2ないし3の軸により改善点の洗い出しを行うことが可能となる。
【0164】
業務ドメインとして、作業区分プロセス[イ]の業務ドメインは、製品処理条件の設定と管理、作業区分アイドル[ロ]の業務ドメインは、装置の性能管理、作業区分保守[ハ]の業務ドメインは、装置の保守改善、作業区分故障[ニ]の業務ドメインは、装置の故障改善、がある。
【0165】
各業務ドメインは、コスト改善業務の具現として、装置作業の改善を立案し、実施する。
【0166】
装置作業の改善の例として、作業区分プロセス[イ]の業務ドメインは、製品処理における処理時間削減と使用材料削減、作業区分アイドル[ロ]の業務ドメインは、装置の性能改善、作業区分保守[ハ]の業務ドメインは、装置保守における保守時間削減と使用材料削減、作業区分故障[ニ]の業務ドメインは、装置故障における故障時間削減、がある。
【0167】
このように、上記定義された業務ドメイン毎に、その責任に応じ、図21に示す6つの活用軸の幾つかのみを利用し製造コストの改善活動を行うことが可能となる。
【0168】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、半導体のウェハ製造工場で発生する製造コスト情報を集計し、分析するシステムで利用可能である。
【符号の説明】
【0170】
1…履歴データ、2…マスタデータ、3…経費データ、4…集計データ、
5…提供データ、7…グルーピングテーブル、8…期間データ、
A…入力手段、B…データ保持手段、C…集計データ集計保持手段、
D…提供データ集計保持手段、E…出力手段、F…表示手段、
G…外部トリガー手段、H…活用軸定義手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履歴データ、マスタデータ、経費データの入力インターフェースである入力手段と、
前記入力手段より入力された各種データを保持するデータ保持手段と、
前記入力手段より入力された各種データから、装置の作業に伴い消費した費用を集計してウェハ製造コストの総和を導出・保持する集計データ集計保持手段と、
前記ウェハ製造コストの総和から、分析したコストを利用者に提示するための提供データを抽出・検索し、生成し、保持する提供データ集計保持手段と、を含み、
外部端末内の外部トリガー手段からグルーピングテーブル及び期間データを受け付けることが可能な半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムであって、
該半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムは更に活用軸定義手段を含み、
前記活用軸定義手段から入力される1又は2以上の括りデータに従い、前記集計データ集計保持手段は1又は2以上のウェハ製造コストの総和を作成し、
前記提供データ集計保持手段は、前記1又は2以上のウェハ製造コストの総和を用いて1又は2以上の提供データを生成し、前記外部端末に出力することを特徴とする半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システム。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムにおいて、
前記提供データ集計保持手段で用いられる検索データが「作業」、「装置」、「製品」、「費目」、「組織」、「工程」であることを特徴とする半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システム。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムにおいて、
前記提供データ集計保持手段は、前記検索データ中前記「装置」、前記「組織」及び前記「製品」の何れか1及び他の前記「作業」、前記「費目」及び前記「工程」の何れか1又は2を検索対象として用いることを特徴とする半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システム。
【請求項1】
履歴データ、マスタデータ、経費データの入力インターフェースである入力手段と、
前記入力手段より入力された各種データを保持するデータ保持手段と、
前記入力手段より入力された各種データから、装置の作業に伴い消費した費用を集計してウェハ製造コストの総和を導出・保持する集計データ集計保持手段と、
前記ウェハ製造コストの総和から、分析したコストを利用者に提示するための提供データを抽出・検索し、生成し、保持する提供データ集計保持手段と、を含み、
外部端末内の外部トリガー手段からグルーピングテーブル及び期間データを受け付けることが可能な半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムであって、
該半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムは更に活用軸定義手段を含み、
前記活用軸定義手段から入力される1又は2以上の括りデータに従い、前記集計データ集計保持手段は1又は2以上のウェハ製造コストの総和を作成し、
前記提供データ集計保持手段は、前記1又は2以上のウェハ製造コストの総和を用いて1又は2以上の提供データを生成し、前記外部端末に出力することを特徴とする半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システム。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムにおいて、
前記提供データ集計保持手段で用いられる検索データが「作業」、「装置」、「製品」、「費目」、「組織」、「工程」であることを特徴とする半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システム。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システムにおいて、
前記提供データ集計保持手段は、前記検索データ中前記「装置」、前記「組織」及び前記「製品」の何れか1及び他の前記「作業」、前記「費目」及び前記「工程」の何れか1又は2を検索対象として用いることを特徴とする半導体装置製造工場の製造コスト情報の分析システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−20546(P2013−20546A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155032(P2011−155032)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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