説明

半導体装置

【課題】フリップチップ実装を行なっても共振や不要発振を起こしにくく且つ寄生効果が小さいMMICを実現できるようにすると共に、MMIC及びMFICの実装を確実に行なえるようにする。
【解決手段】Si等からなる基板11の主面には、GNDプレーン12と誘電体膜13と第1の配線パターン14とが順次形成され、該第1の配線パターン14,誘電体膜13及びGNDプレーン12によりマイクロストリップ線路が構成されている。基板11上には、素子形成面に高周波トランジスタ及び第2の配線パターン21が形成されたMMICチップ22がその素子形成面と基板11の主面とを対向させ、MBB法を用いて固着されている。MMICチップ22においては、第2の配線パターン21と基板11に設けられた誘電体膜13とGNDプレーン12とによってマイクロストリップ線路が構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、準ミリ波帯域からミリ波帯域までの高周波用半導体装置に関し、特に、寄生効果を低減する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信分野における技術の進展は著しく、通信機器が扱う周波数帯域もマイクロ波帯域からミリ波帯域へとより高い周波数帯域への展開が図られている。これに伴い、通信機器に用いられるトランジスタ素子の高速化も著しく、最近では、III−V族等の化合物半導体を用いたヘテロ接合トランジスタ素子等において100GHzを越えるカットオフ周波数を持つデバイスが実現されている。ところが、このようなマイクロ波帯域からミリ波帯域までの高周波帯域を扱う通信機器においては、トランジスタの素子特性と同様に回路を構成する半導体チップの実装方法が問題となる。例えば、実装工程を経た後に新たな寄生容量や寄生インダクタンス(=寄生リアクタンス)が回路中に生じることが多く、この寄生リアクタンスが通信機器に与える影響は、その通信機器が扱う周波数に比例して大きくなるため、該周波数が上昇するほど寄生リアクタンス成分を抑える必要がある。また、前述のマイクロ波帯域からミリ波帯域までの周波数帯域を扱う通信機器においては、回路を構成する素子同士又は回路同士を接続する接続部品等の寸法が信号の波長と近づくため、回路設計を行なう際には接続部品の寸法を十分に考慮する必要がある。
【0003】
このような問題を解決する技術に、第1の従来例として、トランジスタ素子と受動回路とを半導体基板上に半導体プロセスを用いて作製するMMIC(=Monolithic Microwave IC)がある。このMMICは、1つの半導体チップにトランジスタと周辺回路とが一体化されてなり、一体化されることにより接続部品の数が減るため寄生リアクタンス成分が減少する。また、微細加工に優れた半導体プロセスを用いているため高精度な加工を実現できると共に、半導体プロセスの量産効果によって製造コストの低減も期待できる。
【0004】
また、第2の従来例として、さらなる低コスト及び高性能で且つ応用範囲の広い準ミリ波帯域からミリ波帯域までの半導体集積回路を実現する、非特許文献1等に開示されたMFIC(Millimeter−wave Flip−chip IC)がある。このMFICは、マイクロバンプボンディング法(以下、MBB法と称す。)と呼ばれるフリップチップ実装法を用いて寄生効果を抑制するICモジュール技術であって、半導体プロセスの精密性及び量産性を生かしながら設計自由度をも確保し、高性能なミリ波帯域の半導体ICを低コストで実現できるのが特徴である。
【0005】
以下、第2の従来例に係るMFICについて図面を参照しながら説明する。
【0006】
図10は従来のMFICの断面構成を示している。図10に示すように、Si等からなる基板101の主面上には、AuからなるGNDプレーン102とSiO からなる誘電体膜103と導体膜からなる配線パターン104とが順次形成され、該配線パターン104,誘電体膜103及びGNDプレーン102によりマイクロストリップ線路が構成されている。基板101の上における配線パターン104の上には、素子形成面に化合物半導体等からなり高周波トランジスタを有する半導体チップ105が該素子形成面を配線パターン104と対向させて光硬化性絶縁樹脂106を用いて固着されている。半導体チップ105の素子形成面には電極パッド107が選択的に形成され、配線パターン104にはボンディングパッド104aが選択的に形成され、互いにマイクロバンプ108を介在させて電気的に接続されている。
【0007】
このように、第2の従来例に係るMFICは、バンプ108の厚みを数μmと小さくできるので、バンプ108の寄生インダクタ成分を無視することができる。また、配線パターン104を半導体プロセスを用いて作製できるため、アルミナ基板等の上に印刷技術を用いて配線を行なう通常のハイブリッドICと比べてはるかに高精度のパターニングを実現できる。さらに、同様な半導体プロセスを用いる第1の従来例に係るMMICに比べても、このMFICは受動回路を化合物半導体基板上ではなくSi等からなる安価な基板101上に形成できるので大幅な低コスト化が可能になる。
【非特許文献1】電子情報通信学会1994年秋季大会講演論文集第39項
【非特許文献2】電子情報通信学会1997年総合大会講演論文集 エレクトロニクス1分冊 第68ページ(講演番号C−2−13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記第1の従来例に係るMMICは、現状では通信機器のすべての回路を1チップの半導体ICに集積化することは極めて困難であり、実際には、通信機器のすべての回路を幾つかのMMICに分割し、分割したMMICごとにそれぞれ異なる機能を持たせておき、各MMICを組み合わせて所定の回路を構成する必要がある。
【0009】
そこで、MMICの実装方法としてフリップチップ実装が試みられているが、MMICのフリップチップ実装には、例えば、非特許文献2に述べられているような問題が存在する。この問題を図面に基づいて説明する。
【0010】
図11は従来のMMICがフリップチップ実装されてなる半導体装置の断面構成を示している。図11に示すように、絶縁性基板111の主面には第1の配線パターン112が形成され、主面と反対側の面には第1のGNDプレーン113が形成され、第1の配線パターン112と第1のGNDプレーン113とにより第1のマイクロストリップ線路が構成され、第1の配線パターン112は絶縁性基板111に適当に設けられた第1のビアホール114を通して接地されている。
【0011】
絶縁性基板111の主面には、素子形成面を該主面と対向させたMMICチップ115がバンプ116を介在させて実装されている。MMICチップ115の素子形成面には高周波トランジスタ(図示せず)及び第2の配線パターン117が形成され、素子形成面と反対側の面には第2の配線パターン117と第2のマイクロストリップ線路を構成する第2のGNDプレーン118が形成され、第2の配線パターン117は基板に適当に設けられた第2のビアホール119を通して接地されている。
【0012】
このように、従来のMMIC115を用いたフリップチップ実装は、絶縁性基板111及びMMICチップ115のそれぞれがGNDプレーン113,118を有しており、これらが空間的に分離しているため、接地電位が安定せず、共振や不要発振といった予期せぬトラブルを生じる危険性がある。また、図11に示すように、第1のGNDプレーン113,第1のビアホール114,第1の配線112,バンプ116,第2のビアホール119及び第2のGNDプレーン118からなる擬似的な閉空間が構成され、この閉空間はマイクロストリップ線路中を伝搬する信号によって容易に励起されて空洞共振を起こす。その結果、絶縁性基板111及びMMICチップ115の材料や寸法によって空洞共振の共振周波数が使用周波数に近づくような場合には回路動作に予期せぬ大きな影響を与えてしまうという問題を有している。
【0013】
一方、図10に示すMFICにおいても、現状では、基板101上に通信機器のすべての回路を集積化することは不可能であり、前述のMMICと同様に、機能ごとに1つのMFICに集積化し、互いに機能が異なるこれらのMFIC同士を接続することにより回路全体の機能を実現するという方法が現実的である。従って、MMICと同様に、MFICチップ同士又はMFICチップと他の基板との接続をどのように行なうかは未解決のままである。しかも、図10に示すように、MMICチップと異なり、MFICチップの場合は既に半導体チップ105が基板101上に設けられているため、MMICの技術の延長のみでは実装できないという問題を有している。
【0014】
本発明は、前記従来の問題に鑑み、フリップチップ実装を行なっても共振や不要発振を起こしにくく且つ寄生効果が小さいMMICを実現できるようにすることを第1の目的とし、MFIC又はMMICを組み合わせて用いる高周波回路用の半導体装置において、フリップチップ実装を可能にすることを第2の目的とし、さらに、フリップチップ実装に代わる実装方法を実現することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る第1の半導体装置は、前記第1の目的を達成するMMICであって、主面に、導体膜からなる接地パターン、誘電体膜、及び導体膜からなる第1の配線パターンが順次形成された基板と、素子形成面に、高周波トランジスタ、及び該高周波トランジスタと接続された導体膜からなる第2の配線パターンを有する半導体チップとを備え、半導体チップの素子形成面が基板の主面と対向した状態で、第2の配線パターンと第1の配線パターンとが互いに接続されていると共に、第2の配線パターン、誘電体膜及び接地パターンにより半導体チップのマイクロストリップ線路が構成されている。
【0016】
第1の半導体装置によると、基板上の半導体チップの素子形成面が基板の主面と対向した状態で初めて、該半導体チップの第2の配線パターンと基板上に設けられた誘電体膜と接地パターンとからなる半導体チップのマイクロストリップ線路を構成するため、半導体チップの素子形成面と反対側の面には接地パターンを設ける必要がない。従って、半導体チップの素子形成面と反対側の面に接地パターンを設けなくても半導体チップにマイクロストリップ線路が形成されるため、該マイクロストリップ線路が擬似的な閉空間を構成することがない。
【0017】
本発明に係る第2の半導体装置は、前記第1の目的を達成するMMICであって、主面に導体膜からなる第1の配線パターンを有すると共に主面と反対側の面に接地パターンを有する誘電体からなる基板と、素子形成面に、高周波トランジスタ及び該高周波トランジスタと接続された導体膜からなる第2の配線パターンを有する半導体チップとを備え、半導体チップの素子形成面が基板の主面と対向した状態で、第2の配線パターンと第1の配線パターンとが互いに接続されていると共に、第2の配線パターン、誘電体膜及び接地パターンにより半導体チップのマイクロストリップ線路が構成されている。
【0018】
第2の半導体装置によると、基板上の半導体チップの素子形成面が基板の主面と対向した状態で初めて、該半導体チップの第2の配線パターンと基板と接地パターンとからなる半導体チップのマイクロストリップ線路が構成されるため、半導体チップの素子形成面と反対側の面には接地パターンを設ける必要がない。従って、半導体チップの主面と反対側の面に接地パターンを設けなくても半導体チップにマイクロストリップ線路が形成されるため、該マイクロストリップ線路が擬似的な閉空間を構成することがない。
【0019】
本発明に係る第3の半導体装置は、前記第1の目的を達成するMMICであって、主面に、導体膜からなる第1の接地パターン、誘電体膜、及び導体膜からなる第1の配線パターンが順次形成された基板と、素子形成面に高周波トランジスタ及び該高周波トランジスタと接続された導体膜からなる第2の配線パターンを有すると共に、素子形成面の反対側の面に導体膜からなる第2の接地パターンを有する半導体チップとを備え、半導体チップの素子形成面が基板の主面と対向した状態で、第2の配線パターンと第1の配線パターンとが互いに接続されていると共に、第1の接地パターンは、該第1の配線パターンにおける半導体チップの素子形成面と対向する領域に開口部を有している。
【0020】
第3の半導体装置によると、素子形成面が基板の主面と対向する半導体チップが、素子形成面と反対側の面に第2の接地パターンを有するとしても、基板上の第1の接地パターンが該第1の接地パターンにおける半導体チップの素子形成面と対向する領域に開口部を有しているため、該第1の接地パターンが半導体チップの第2の配線パターンと擬似的な閉空間を構成することがない。
【0021】
第1又は第2の半導体装置において、誘電体膜がBCB又はポリイミドからなることが好ましい。
【0022】
本発明に係る第4の半導体装置は、前記第1の目的を達成するMMICであって、主面に導体膜からなる第1の配線パターンを有すると共に主面と反対側の面に第1の接地パターンを有する誘電体からなる基板と、素子形成面に高周波トランジスタ及び該高周波トランジスタと接続された導体膜からなる第2の配線パターンを有すると共に、素子形成面の反対側の面に導体膜からなる第2の接地パターンを有する半導体チップとを備え、半導体チップの素子形成面が基板の主面と対向した状態で、第2の配線パターンと第1の配線パターンとが互いに接続されていると共に、第1の接地パターンは、該第1の配線パターンにおける半導体チップの素子形成面と対向する領域に開口部を有している。
【0023】
第4の半導体装置によると、素子形成面が基板の主面と対向する半導体チップが、素子形成面と反対側の面に第2の接地パターンを有するとしても、基板の主面と反対側の面に設けられた第1の接地パターンが該第1の接地パターンにおける半導体チップの素子形成面と対向する領域に開口部を有しているため、第1の接地パターンが半導体チップの第2の配線パターンと擬似的な閉空間を構成することがない。
【0024】
第1〜第4の半導体装置において、第1の配線パターンと第2の配線パターンとが、厚さが5μm以下のバンプを介して接続されていることが好ましい。
【0025】
第1〜第4の半導体装置において、高周波トランジスタの動作周波数が10GHz以上であることが好ましい。
【0026】
第1〜第4の半導体装置において、半導体チップが、少なくとも1つの高周波トランジスタと、少なくとも1つの受動素子とを有するMMICであることが好ましい。
【0027】
本発明に係る第5の半導体装置は、前記第2の目的を達成するMFICであって、主面に凹部又は孔部からなる空間部を有すると共に導体膜からなる第1の配線パターンを有する第1の基板と、主面が第1の基板の主面と対向し且つ第1の基板の空間部を跨ぐように設けられ、主面に接地パターン、誘電体膜、及び導体膜からなる第2の配線パターンが順次形成された第2の基板と、素子形成面が第2の基板の主面と対向するように設けられ、素子形成面に高周波トランジスタ及び該高周波トランジスタと接続された導体膜からなる第3の配線パターンを有する半導体チップとを備え、半導体チップは、第1の基板の空間部に位置するように設けられており、第1の配線パターンと第2の配線パターンとは互いに接続され、第2の配線パターンと第3の配線パターンとは互いに接続されている。
【0028】
第5の半導体装置によると、主面が半導体チップの素子形成面と対向する第2の基板は、その主面が第1の基板に設けられた凹部又は孔部からなる空間部を跨ぐように対向し、且つ、第2の基板の主面に設けられた半導体チップが第1の基板の空間部に位置するように設けられているため、第2の基板を第1の基板に対してフリップチップ実装を行なう際に、第2の基板の主面に設けられた半導体チップが妨げとならない。
【0029】
第5の半導体装置において、第1の配線パターンと第2の配線パターンとがバンプを介して接続されていることが好ましい。
【0030】
第5の半導体装置において、第1の基板と第2の基板とが光硬化型樹脂材により互いに固着されていることが好ましい。
【0031】
第5の半導体装置において、第1の基板がポリイミドを主成分とするフィルムからなることが好ましい。
【0032】
第5の半導体装置において、第1の基板が、第1の配線パターンと電気的に接続された外部リードをさらに有していることが好ましい。
【0033】
本発明に係る第6の半導体装置は、前記第3の目的を達成するMFICであって、第1の基板上に主面が第1の基板と反対側に位置するように設けられ、該主面に、高周波トランジスタ又は高周波回路が形成された半導体チップ、及び該半導体チップと電気的に接続された第1の配線パターンをそれぞれ有する第2の基板と、第1の基板上に主面が第1の基板と反対側に位置するように設けられ、該主面に第2の配線パターンを有する第3の基板と、第2の基板の主面上及び第3の基板の主面上に、互いに隣接する第2の基板の端部と第3の基板の端部とを跨ぐように設けられ、第1の配線パターンと第2の配線パターンとを電気的に接続する板状の接続手段とを備えている。
【0034】
第6の半導体装置によると、第1の基板上にそれぞれの主面が第1の基板と反対側に位置するように設けられ、主面に半導体チップ及び第1の配線パターンを有する第2の基板と主面に第2の配線パターンを有する第3の基板とが、板状の接続手段により電気的に接続されているため、第2の基板と第3の基板とをフリップフロップ実装を用いることなく組み合わせることができる。また、接続手段が板状を有するため、ボンディングワイヤやリボンよりも機械的強度が向上する。
【0035】
第6の半導体装置において、接続手段が導電性のリードからなることが好ましい。
【0036】
第6の半導体装置において、リードが、第1の配線パターンとの間及び第2の配線パターンとの間にそれぞれバンプを介して接続されていることが好ましい。
【0037】
第6の半導体装置において、リードが、第1の配線パターン及び第2の配線パターンとそれぞれ光硬化型樹脂材により固着されていることが好ましい。
【0038】
第6の半導体装置において、接続手段が接続用半導体チップと該接続用半導体チップに設けられた第3の配線パターンとからなることが好ましい。
【0039】
第6の半導体装置において、接続用半導体チップが第3の配線パターンと接続された素子をさらに有していることが好ましい。
【0040】
第6の半導体装置において、接続用半導体チップが第3の配線パターンと接続されたフィルタ回路をさらに有していることが好ましい。
【0041】
第6の半導体装置において、接続手段が樹脂からなるフィルムと該フィルムに設けられた第3の配線パターンとからなることが好ましい。
【0042】
第6の半導体装置において、第3の配線パターンはコプレーナ線路であることが好ましい。
【0043】
第6の半導体装置において、第3の基板が主面上に高周波トランジスタ又は高周波回路をさらに有していることが好ましい。
【0044】
本発明に係る第7の半導体装置は、前記第3の目的を達成するMMICであって、第1の基板上に主面が第1の基板と反対側に位置するように設けられ、該主面に、高周波トランジスタ又は高周波回路、及び高周波トランジスタ又は高周波回路と電気的に接続された第1の配線パターンを有する第2の基板と、第1の基板上に主面が第1の基板と反対側に位置するように設けられ、該主面に第2の配線パターンを有する第3の基板と、第2の基板の主面上及び第3の基板の主面上に、互いに隣接する第2の基板の端部と第3の基板の端部とを跨ぐように設けられ、第1の配線パターンと第2の配線パターンとを電気的に接続する板状の接続手段とを備えている。
【0045】
第7の半導体装置によると、第1の基板上にそれぞれの主面が第1の基板と反対側に位置するように設けられ、主面に高周波トランジスタまたは高周波回路及び第1の配線パターンを有する第2の基板と主面に第2の配線パターンを有する第3の基板とが、板状の接続手段により電気的に接続されているため、第2の基板と第3の基板とをフリップフロップ実装を用いることなく組み合わせることができる。また、接続手段が板状を有するため、ボンディングワイヤやリボンよりも機械的強度が向上する。
【0046】
本発明に係る第8の半導体装置は、前記第2又は第3の目的を達成するMFICであって、主面に第1の配線パターンを有する第1の基板と、素子形成面が第1の基板の主面と対向するように設けられ、素子形成面に第1の配線パターンと電気的に接続された高周波トランジスタ又は高周波回路を有する半導体チップと、第1の基板の主面に、一端が第1の配線パターンと電気的に接続され且つ他端が導波管の内部に位置するように設けられた導体部材とを備えている。
【0047】
第8の半導体装置によると、主面に、第1の配線パターン及び該第1の配線パターンと電気的に接続された半導体チップを有する第1の基板に、一端が第1の配線パターンと接続され、他端が導波管の内部に位置するように設けられた導体部材を備えれているため、半導体チップと導波管とが容易に且つ確実に接続されるので、さらに高い周波数帯域で動作させることが可能となる。
【0048】
本発明に係る第9の半導体装置は、前記第2又は第3の目的を達成するMMICであって、主面に、高周波トランジスタ又は高周波回路、及び高周波トランジスタ又は高周波回路と接続された第1の配線パターンを有する第1の基板と、第1の基板の主面に、一端が第1の配線パターンと電気的に接続され且つ他端が導波管の内部に位置するように設けられた導体部材とを備えている。
【0049】
第9の半導体装置によると、主面に形成された高周波トランジスタ又は高周波回路と該高周波トランジスタ又は高周波回路と接続された第1の配線パターンとを有する第1の基板に、一端が第1の配線パターンと接続され、他端が導波管の内部に位置するように設けられた導体部材を備えているため、半導体チップと導波管とが容易に且つ確実に接続されるので、さらに高い周波数帯域で動作させることが可能となる。
【0050】
第8又は第9の半導体装置において、導体部材が板状又は針状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0051】
本発明の第1又は第2の半導体装置によると、基板上の半導体チップが、素子形成面と基板の主面とを対向させた状態で初めて、半導体チップの第2の配線パターンと基板上に設けられた誘電体膜と接地パターンとからなるマイクロストリップ線路が構成されるため、半導体チップの素子形成面と反対側の面には接地パターンを設ける必要がなくなる。その結果、半導体チップの素子形成面と反対側の面に接地パターンを設けなくてもマイクロストリップ線路が形成されるため、該マイクロストリップ線路が擬似的な閉空間を構成しなくなるので、共振や不要発振が生じなくなり、半導体チップに対して安定且つ高性能なフリップチップ実装を実現できる。
【0052】
本発明の第3又は第4の半導体装置によると、素子形成面が基板の主面と対向する半導体チップが、該素子形成面と反対側の面に第2の接地パターンを有するとしても、基板上の第1の接地パターンが該第1の接地パターンにおける半導体チップの素子形成面と対向する領域に開口部を有しているため、基板の第1の接地パターンが半導体チップの第2の接地パターンと擬似的な閉空間を構成することがないので、共振や不要発振が生じなくなり、半導体チップに対して安定且つ高性能なフリップチップ実装を実現できる。
【0053】
第1又は第3の半導体装置において、誘電体膜がBCB又はポリイミドからなると、所望の特性を有するマイクロストリップ線路を確実に形成できる。
【0054】
第1〜第4の半導体装置において、第1の配線パターンと第2の配線パターンとが、厚さが5μm以下のバンプを介して接続されていると、バンプを介在させてもその厚みが5μm以下であるため、該バンプの厚みに起因する寄生インダクタンスの増加を無視できる。
【0055】
第1〜第4の半導体装置において、高周波トランジスタの動作周波数が10GHz以上であると、準ミリ波帯域からミリ波帯域までの高周波半導体装置を確実に得ることができる。
【0056】
第1〜第4の半導体装置において、半導体チップが、少なくとも1つの高周波トランジスタと、少なくとも1つの受動素子とを有するMMICであると、一般に多機能で且つ高性能なMMICチップのフリップチップ実装を実現できる。
【0057】
本発明の第5の半導体装置によると、主面にフリップチップ実装された半導体チップを有する第2の基板を第1の基板に対してフリップチップ実装する際に、半導体チップが第1の基板に設けられた凹部又は孔部からなる空間部に入り込むため、第2の基板上に半導体チップが突出していても確実に実装できる。
【0058】
第5の半導体装置において、第1の配線パターンと第2の配線パターンとがバンプを介在して接続されていると、第1の配線パターンと第2の配線パターンとの電気的接続を安定に且つ確実に行なうことができる。
【0059】
第5の半導体装置において、第1の基板と第2の基板とが光硬化型樹脂材により互いに固着されていると、第1の基板と第2の基板とがより強固に固着されるため、装置の信頼性が向上する。
【0060】
第5の半導体装置において、第1の基板がポリイミドを主成分とするフィルムからなると、装置の特性を犠牲にすることなく製造コストを低減できる。
【0061】
第5の半導体装置において、第1の基板が、第1の配線パターンと電気的に接続された外部リードをさらに有していると、他の半導体装置と容易に接続することができる。
【0062】
本発明の第6又は第7の半導体装置によると、第1の基板上にそれぞれの主面が第1の基板と反対側に位置するように設けられ、且つ、板状の接続手段により第2の基板と第3の基板とが電気的に接続されているため、フリップフロップ実装を用いることなく互いに異なる基板を組み合わせることができる。また、第2の基板と第3の基板との電気的接続にボンディングワイヤやリボンよりも機械的強度が大きい板状の接続手段を用いているため、接続部においてインピーダンスに乱れが生じず、また、インダクタンスも低減できる。
【0063】
第6又は第7の半導体装置において、接続手段が導電性のリードからなると、電気的な接続が容易に且つ確実に行なえると共に、ボンディングワイヤに比べてインダクタンスが小さくなる。
【0064】
第6又は第7の半導体装置において、リードが、第1の配線パターンとの間及び第2の配線パターンとの間にそれぞれバンプを介して接続されていると、異なる基板の配線パターン同士を容易に且つ安定に接続できる。
【0065】
第6又は第7の半導体装置において、接続手段が接続用半導体チップと該接続用半導体チップに設けられた第3の配線パターンとからなると、接続手段本体の形状と第3の配線パターンの形状とを独立に決定できるため、接続手段本体の機械的強度を犠牲にすることなく第3の配線パターンの形状を最適化できる。
【0066】
第6又は第7の半導体装置において、接続用半導体チップが第3の配線パターンと接続された素子をさらに有していると、例えば、接続用半導体チップ上に、容量素子,抵抗素子又はインダクタ等の受動素子からなるインピーダンス整合回路を設けたり、受動素子を設けたりして、種々の機能を持たせることができるため、高周波半導体装置の設計の自由度を向上できる。
【0067】
第6又は第7の半導体装置において、接続用半導体チップが第3の配線パターンと接続されたフィルタ回路をさらに有していると、所望の周波数を持つ信号のみを伝達することができるため、第2の基板又は第3の基板に形成される回路の構成を簡略化できる。
【0068】
第6又は第7の半導体装置において、接続手段が樹脂からなるフィルムと該フィルムに設けられた第3の配線パターンとからなると、接続手段本体の形状と第3の配線パターンの形状とを独立に決定できるため、接続手段本体の機械的強度を犠牲にすることなく第3の配線パターンの形状を最適化できる上に、この最適化を半導体チップを用いる場合よりも低コストで行なえる。
【0069】
第6又は第7の半導体装置において、第3の配線パターンはコプレーナ線路であると、第2の基板側及び第3の基板側との特性インピーダンスを乱すことなく接続できる。
【0070】
第6又は第7の半導体装置において、第3の基板が主面上に高周波トランジスタ又は高周波回路をさらに有していると、多段構成の高周波半導体装置を容易に且つ確実に得ることができる。
【0071】
本発明の第8又は第9の半導体装置によると、高周波トランジスタ等が設けられた半導体チップがフリップチップ実装された第1の基板に、一端が第1の配線パターンと接続され、他端が導波管の内部に位置する導体部材を備えているため、半導体チップと導波管とが容易に且つ確実に接続されるので、さらに高い周波数帯域で動作させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態はフリップチップ実装を可能とするMMICに関する。
【0073】
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0074】
図1(a)は第1の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図1(a)に示すように、Si又はガラス等からなる基板11の主面には、例えば、チタン(Ti)及び金(Au)が積層されてなるGNDプレーン12とベンゾシクロブテン(BCB)からなる誘電体膜13と、Ti及びAuが積層されてなる第1の配線パターン14とが順次形成され、該第1の配線パターン14,誘電体膜13及びGNDプレーン12によりマイクロストリップ線路が構成されている。第1の配線パターン14は接地を必要とする箇所ではビアホール(図示せず)を介してGNDプレーン12と接続されている。
【0075】
基板11上には、素子形成面に動作周波数が30GHzの高周波トランジスタ(図示せず)及び該高周波トランジスタと接続された第2の配線パターン21が形成されたガリウムヒ素(GaAs)からなるMMICチップ22がその素子形成面と基板11の主面とを対向させ、基板11との隙間に光硬化性樹脂材23が充填されることにより固着されている。
【0076】
MMICチップ22の第2の配線パターン21には適当な位置に複数の電極パッド21aが設けられており、第2の配線パターン21と基板11の第1の配線パターン14とは、電極パッド21aと第1の配線パターン14との間にそれぞれバンプ24を介在させ、MBB法を用いて電気的に接続されている。
【0077】
本実施形態に係るMMICチップ22においては、該MMICチップ22がフリップチップ実装されることにより、第2の配線パターン21と基板11に設けられた誘電体膜13とGNDプレーン12とによりマイクロストリップ線路が構成されるため、MMICチップ22の素子形成面と反対側の面にGNDプレーンを設ける必要がない。
【0078】
すなわち、MMICチップ22の第2の配線パターン21は、あらかじめ基板11の誘電体膜13の材料及び膜厚、バンプ24の高さ寸法並びにMMICチップ22と基板11との間に位置する部材の材料の種類及び距離等を考慮に入れ、MMICチップ22が基板11上にフリップチップ実装された状態で所望の特性を持つマイクロストリップ線路が得られるように設計されている。
【0079】
本願発明者らは、MBB法を用いてMMICチップ22をフリップチップ実装を行なう際に誘電体膜13に例えば厚さが26μmのBCB膜を用いると、MMICチップ22の線路幅を約70μmとすれば特性インピーダンスが50Ωの線路を得られるという知見を得ている。
【0080】
このように、本実施形態に係る半導体装置は、MMICチップ22が基板11に対してフリップチップ実装されて初めて高周波回路として正常に機能し、本来、実装時に寄生効果として悪影響を及ぼすと考えられる基板11側の誘電体膜13及びGNDプレーン12を積極的にMMICチップ22側の回路の一部として用いている。これにより、MMICチップ22の主面と反対側の面(裏面)にGNDプレーンが設けられていないため、マイクロストリップ線路がビアホールやバンプと疑似的な閉空間を構成しないので、空洞共振が生じなくなり、その結果、動作が安定な高周波回路を得ることができる。
【0081】
また、MMICチップ22を形成する際に、チップ全体の厚みの調整、GNDプレーンを形成するための裏面メタライズ、GNDプレーンと素子形成面の配線パターンとを電気的に接続するためのビアホールの形成がそれぞれ不要となるので、裏面にGNDプレーンを有する通常のMMICチップよりも製造コストを低減できる。
【0082】
また、図1(b)の一変形例に示すように、基板11の代わりにセラミックからなる基板11Aを用いてもよい。ここで、図1(b)において、図1(a)に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。この場合には、図1(b)に示すように、GNDプレーン12を基板11Aの主面と反対側の面に形成すると共に、主面に第1の配線パターン14を形成して、基板11A自体を誘電体として用いたマイクロストリップ線路を構成する。
【0083】
このような構成であっても、MMICチップ22の第2の配線パターン21の形状を基板11Aの厚さと誘電率とを勘案して設計することにより、本実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0084】
なお、本実施形態及び後述の各実施形態において、バンプ24は必ずしも必要でなく、各配線パターン14,21と電極パッド21a等とを直接接合させたり、単に接触させておいて収縮性樹脂材を用いてMMICチップ22と基板11とを固着させてもよい。
【0085】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は通常のMMICのフリップチップ実装を可能にする基板構造に関する。
【0086】
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0087】
図2(a)は第2の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図2(a)において、図1(a)に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。基板11上の第1のGNDプレーン12Aにおける半導体チップ22Aの素子形成面と対向する領域には開口部12aが設けられており、MMICチップ22Aは、該素子形成面と反対側の面に第2のGNDプレーン25を有し、通常のMMICの構成を持つ。
【0088】
このように、本実施形態によると、基板11上の第1のGNDプレーン12Aにおける半導体チップ22Aの素子形成面と対向する領域に開口部12aが設けられているため、マイクロストリップ線路が導体膜で囲まれてなる疑似的な閉空間が構成されなくなるので、空洞共振が生じることがなくなり、その結果、動作が安定する高周波回路を実現できる。
【0089】
また、一般に、高周波回路を用いるフリップチップ実装においては、半導体チップの回路を構成するマイクロストリップ線路の近傍に基板側のGNDプレーンからなる面積が相対的に大きい導体面が設けられているため、半導体チップのマイクロストリップ線路から放射された電磁波がこの導体面に反射することにより、半導体チップの回路の動作に影響を与えることがある。従って、導体面が半導体チップのマイクロストリップ線路に近接する程、その影響は大きくなるため、例えばMBB法の特徴を生かしてバンプの高さ寸法を小さくして、バンプ部の寄生効果を低減しようとしても、かえって導体面からの電磁波の反射の影響が大きくなり、回路の特性を劣化させるおそれがある。
【0090】
しかしながら、本実施形態においては、第1のGNDプレーン12AにおけるMMICチップ22Aの素子形成面と対向する領域が除去されているため、第1のGNDプレーン12Aからの反射の影響を考慮する必要がなく最適なバンプの高さ寸法を選ぶことができる。
【0091】
なお、図2(b)の一変形例に示すように、基板11の代わりにセラミックからなる基板11Aを用いてもよい。ここで、図2(b)において、図2(a)に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。この場合には、図2(b)に示すように、GNDプレーン12Aを基板11Aの主面と反対側の面に形成すると共に、主面に第1の配線パターン14を形成して、基板11A自体を誘電体として用いたマイクロストリップ線路を構成する。
【0092】
このような構成であっても、第2の実施形態と同様の効果を奏する。ただし、基板11Aの下側近傍に他の導体があった場合には、第1のGNDプレーン12Aに開口部12aを設けた効果が十分に得られなくなるので注意を要する。
【0093】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態はMFICのフリップチップ実装を可能にする基板構造に関する。
【0094】
以下、本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0095】
図3は第3の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図3に示すように、セラミック等からなり、主面に凹部からなる空間部31aを有する第1の基板31は、主面にTi及びAuが積層されてなる第1の配線パターン32が形成され、主面と反対側の面にはTi及びAuが積層されてなる第1のGNDプレーン33が形成され、第1の配線パターン32,第1の基板31及び第1のGNDプレーン33から第1のマイクロストリップ線路34が構成されている。第1の配線パターン32は第1の基板31に適当に設けられたビアホール(図示せず)を通して接地されている。
【0096】
第1の基板31の主面には、Siからなる第2の基板41が第1の基板31の空間部31aを跨ぐようにフリップチップ実装されている。さらに、第2の基板41の主面には、例えば動作周波数が30GHzの高周波トランジスタ(図示せず)等が形成されたGaAs等からなる半導体チップ42が、第1の基板31の凹部からなる空間部31aに入り込むようにフリップチップ実装されることにより第2の基板41とMFICチップ40を構成している。
【0097】
第2の基板41の主面上には、Ti及びAuが積層されてなる第2のGNDプレーン43a,BCBからなる誘電体膜43b及びTi及びAuが積層されてなる第2の配線パターン43cが順次形成され、第2のGNDプレーン43a,誘電体膜43b及び第2の配線パターン43cから第2のマイクロストリップ線路43が構成されている。第2の配線パターン43cはバンプ44を介在させて第1の基板31の第1の配線パターン32及び半導体チップ42とそれぞれ電気的に接続されている。ここで、第1の基板31及び第2の基板41の接続部、すなわちバンプ44の近傍を光硬化型樹脂材を用いて固着すればさらに強固に接続できる。
【0098】
このように、本実施形態によると、第1の基板31には凹部からなる空間部31aが設けられているため、MFICチップ40における第2の基板41の主面上に設けられた半導体チップ42が第1の基板31に設けられた空間部31aに入り込むようにすれば確実にフリップチップ実装が可能となる。
【0099】
なお、本実施形態においては、1つの半導体チップ42を持つMFICチップ40を第2の基板41にフリップチップ実装したが、複数の半導体チップ42を持つMFICチップ40を用いてもよい。この場合には、第1の基板31の主面に、MFICチップ40と対向する領域に全面にわたって空間部31aを設けてもよく、各半導体チップ42に対向する領域ごとに複数の空間部31aを設けてもよい。
【0100】
また、本実施形態では第1の基板31上に設けた線路をマイクロストリップ線路34としたが、コプレーナ線路等の他の形態の線路であってもよい。
【0101】
また、第1の基板31には、凹部からなる空間部31aの代わりに凹部を貫通させた孔部からなる空間部を設けてもよい。
【0102】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態はMFICのフリップチップ実装を可能にする基板構造に関する。
【0103】
以下、本発明の第4の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0104】
図4は第4の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図4において、図3に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。図4に示すように、第3の実施形態に係る半導体装置との差異は、第1の基板として、ポリイミド等からなり孔部からなる空間部31bを有するフィルムベース31Aを用いていることである。従って、MFICチップ40における第2の基板41の主面上に設けられた半導体チップ42が第1の基板31Aに設けられた空間部31bに入り込むようにフリップチップ実装されている。
【0105】
本実施形態においては、MFICチップ40を実装する基板の材料に安価で且つ加工が容易なフィルムを用いている。一般に、セラミック等からなる高硬度な基板を機械的に加工して凹部を形成することは難しくコストも高くなりがちであるが、本実施形態のように、ポリイミド等からなるフィルムベース31Aの場合はパンチ等を用いれば容易に孔部からなる空間部31bを形成できるため、MFICチップ40の実装が極めて容易に実現できる。
【0106】
なお、フィルムベース31Aには、孔部からなる空間部31bの代わりに凹部からなる空間部を設けてもよい。
【0107】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態はMFICのパッケージングに関する。
【0108】
以下、本発明の第5の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0109】
図5(a)及び(b)は第5の実施形態に係る半導体装置であって、(a)は断面構成を示し、(b)は(a)のI−I線におけるMFICチップの実装前の平面構成を示している。図5(a)に示すように、パッケージ用の筐体51には、主面に凹部52aと導体膜からなる第1の配線パターン53とを有し、主面と反対側の面に導体膜からなるGNDプレーン54が形成された第1の基板としてのセラミックからなるパッケージベース52が嵌合され、配線パターン53,パッケージベース52及びGNDプレーン54によりマイクロストリップ線路が構成されている。
【0110】
パッケージベース52の主面には、第3の実施形態に示した、第2の基板41と該第2の基板41にフリップチップ実装された半導体チップ42とからなるMFICチップ40がパッケージベース52の凹部52aを跨ぎ且つ半導体チップ42を該凹部52aに入り込ませるようにフリップチップ実装されている。配線パターン53は、筐体51の内側で内部リード55と接続され、該内部リード55は筐体の外部に延びる外部リード56と接続されている。ここで、内部リード55と外部リード56とは一体に形成されていてもよい。
【0111】
図5(b)に示すように、パッケージベース52の主面上であって、方形状の凹部52aの周辺部の図面上の左端部側及び右端部側で且つ配線パターン53の両側部にそれぞれ間隔をおいて4つの接地パターン57が形成され、各接地パターン57はパッケージベース52を貫通するビアホール(図示せず)を介してGNDプレーン54に接続されている。
【0112】
本実施形態に係る半導体装置のパッケージは、図5(b)に示す接地パターン57が形成されている側の外部リード56から高周波信号を取り出し、他の側の外部リード56からバイアス信号を取り出すのに適した構成を持つ。従って、例えばMFICチップ40側の配線パターンにもコプレーナ線路のようにGNDプレーンが形成されていれば配線パターンと同一面で接地が可能となるため、より高い周波数帯域においてもインピーダンスの乱れを少なくすることができる。
【0113】
このように、本実施形態によると、MFICチップ40が寄生効果が小さいフリップチップ実装によってパッケージングされているため、MFICが持つ優れた高周波特性を生かしたまま、他の基板に容易に接続することができる。
【0114】
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態はフリップチップ実装に代わる実装方法であって、MFIC又はMMICを母基板上に実装する実装構造に関する。
【0115】
以下、本発明の第6の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0116】
図6(a)は第6の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図6(a)に示すように、例えば、真ちゅう等からなり導電性を有する母基板としての第1の基板61上には、Siからなる第2の基板71及び該第2の基板71の両側にセラミックからなる第3の基板81が、それぞれ主面を第1の基板と反対側に位置するように、例えば導電性のペースト等を用いて固着されている。
【0117】
第2の基板71は、主面上にTi及びAuが積層されてなる第1のGNDプレーン72a,BCBからなる誘電体膜72b及びTi及びAuが積層されてなる第1の配線パターン72cが順次形成され、第1のGNDプレーン72a,誘電体膜72b及び第1の配線パターン72cから第1のマイクロストリップ線路72が構成されている。第1の配線パターン72cは第2の基板71に適当に設けられたビアホール(図示せず)を通して接地されている。
【0118】
第2の基板71上には、素子形成面に動作周波数が30GHzの高周波トランジスタ又は高周波回路(図示せず)を有するMMICチップ73がマイクロバンプ74を用いたMBB法によってフリップチップ実装されており、第2の基板71と共にMFICチップ70を構成している。
【0119】
第3の基板81にはそれぞれ、主面に銅,チタン又は金等からなる第2の配線パターン82が形成され、主面と反対側の面には銅,チタン又は金等からなる第2のGNDプレーン83が形成され、第2の配線パターン82,第3の基板81及び第2のGNDプレーン83から第2のマイクロストリップ線路がそれぞれ形成されて回路基板80を構成している。さらに、第3の基板81上には受動素子が設けられていてもよい。
【0120】
ここで、第1の基板61の基板面を基準とする、MFICチップ70の第1の配線パターン72cの上面の高さ位置と回路基板80の第2の配線パターン82の上面の高さ位置とはほぼ同一であり、第1の配線パターン72cと第2の配線パターン82とは板状の接続手段としての導電性のリード84を用いて互いに接続されている。
【0121】
リード84は、例えば、表面を金メッキされた金属からなり、第1の配線パターン72cと第2の配線パターン82の各接続部とは、例えば、熱圧着されて接続されている。また、MBB法を用いて、Auからなるマイクロバンプを介在させてもよく、さらに、光硬化型樹脂材を用いて固着すればより強固な接続を得られる。
【0122】
本実施形態によると、MFICチップ70と回路基板80とを第1の基板61上に固着し、互いにリード84を用いて電気的(高周波的)に接続されている。従って、通常のボンディングワイヤ又はリボンを用いる場合に比べて、リード84自体が強固であり変形が少ないため、基板同士を電気的に接続する接続部においてインピーダンスに乱れが生じない接続構造を実現できる。
【0123】
また、あらかじめ、MFICチップ70及び回路基板80の各GNDプレーン72a,83に対して適当なインピーダンスのマイクロストリップ線路となるようリード84の幅寸法を設計することもでき、MFICチップ70及び回路基板80にそれぞれ最適化された低損失な接続部を形成できる。すなわち、リード84の幅寸法を、同一幅ではなく、MFICチップ70上又はその近傍においては該MFICチップ70の第1の配線パターン72cの配線幅に合わせると共に、回路基板80上又はその近傍においては該回路基板80の第2の配線パターン82の配線幅に合わせることにより、該第1の配線パターン72c及び該第2の配線パターン82とそれぞれ一致するインピーダンス調整機能を持たせることができる。
【0124】
なお、本実施形態においては、MFICチップ70の第1の配線パターン72cの上面と回路基板80の第2の配線パターン82の上面との第1の基板61の基板面からの高さがほぼ同一となるようにしているが、MFICチップ70における第2の基板71及び第1のマクロストリップ線路72の総膜厚と、回路基板80における第3の基板81,第2の配線パターン82及び第2のGNDプレーン83の総膜厚とが異なる場合であっても、第1の基板61における、MFICチップ70の下側の膜厚と回路基板80の下側の膜厚とを第1の配線パターン72cの上面及び第2の配線パターン82の上面とがほぼ同一の高さとなるように加工して調整すればよい。
【0125】
なお、MFICチップ70,回路基板80及びリード84の位置関係を図面上で明確にするために、互いに隣接するMFICチップ70と回路基板80との側面にそれぞれ間隙を設けているが、実際の半導体装置は必ずしもこの間隙を必要としない。
【0126】
また、図6(b)の第1変形例に示すように、第1の基板61上に、互いにリード84を用いて電気的に接続された複数のMFICチップ70を有する構成としてもよい。このようにすると、多段構成の高周波回路を容易に且つ確実に得ることができる。
【0127】
また、図6(c)の第2変形例に示すように、第1の基板61上には、MFICチップ70の代わりにMMICチップ75を設けてもよい。MMICチップ75は、例えば、GaAsからなる第2の基板76の素子形成面に動作周波数が30GHzの高周波トランジスタを有する高周波トランジスタ部77及び第1の配線パターン78が設けられ、素子形成面と反対側の面には第1のGNDプレーン79が形成されている。
【0128】
このように、MMICチップ75を直接第1の基板61上に設けることもでき、図6(a),(b)及び(c)から容易に類推できるように、第1の基板61上に、1つ以上のMFICチップ70,MMICチップ75及び回路基板80をそれぞれ所望の特性が得られるように適当に組み合わせてもよい。
【0129】
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態はフリップチップ実装に代わる実装方法であって、MFIC又はMMICを母基板上に実装する実装構造に関する。
【0130】
以下、本発明の第7の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0131】
図7は第7の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図7において、図6(a)に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。図7に示すように、MFICチップ70と回路基板80とを電気的に接続する板状の接続手段に接続用半導体チップ85を用いている。
【0132】
接続用半導体チップ85は、主面がMFICチップ70の第2の基板71及び回路基板80の第3の基板81に跨るように該主面を第2及び第3の基板71,81に対向させて実装され、且つ、該主面に第3の配線パターン86が形成されている。第3の配線パターン86は第2の基板71の第1の配線パターン72c及び第3の基板81の第2の配線パターン82とそれぞれバンプ87を介在させて接続されている。ここで、接続用半導体チップ85と第2の基板71及び第3の基板81とを光硬化型樹脂材を用いて固着すれば、該接続用半導体チップ85と第2及び第3の基板71,81との互いの電気的な接続がさらに確実となると共に、装置の長期信頼性が向上する。
【0133】
本実施形態は、MFICチップ70と回路基板80との電気的な接続手段としてリード84に代わって接続用半導体チップ85を用いている。このため、リード84の場合はその機械的強度の制約からリード84の形状が制限されるが、接続用半導体チップ85の場合は、該接続用半導体チップ85に設けられた第3の配線パターン86を用いてMFICチップ70と回路基板80とを電気的に接続するため、該第3の配線パターン86の形状を機械的強度とは独立に設計できる。
【0134】
さらに、容量素子,抵抗素子又はインダクタ等の受動素子からなるインピーダンス整合回路を設けたり、受動素子を設けたりして接続手段に種々の機能を持たせることが可能となる。
【0135】
また、接続用半導体チップ85上に第3の配線パターン86を用いてフィルタ回路を構成し、所望の周波数帯域のみを伝達するような接続手段を設けることもできる。
【0136】
また、接続用半導体チップ85として適当な能動素子を含むMMICチップを用いてもよく、この場合には、さらに多様な機能を持たせることも可能となる。
【0137】
なお、本実施形態においても、第6の実施形態に示したように、第1の基板61上に、1つ以上のMFICチップ70,MMICチップ75及び回路基板80をそれぞれ所望の特性が得られるように適当に組み合わせられることはいうまでもない。
【0138】
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態はフリップチップ実装に代わる実装方法であって、MFIC又はMMICを母基板上に簡便に実装する実装構造に関する。
【0139】
以下、本発明の第8の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0140】
図8(a)は第8の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図8(a)において、図6(a)に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。図8(a)に示すように、MFICチップ70と回路基板80とを電気的に接続する板状の接続手段にポリイミド等の樹脂からなる接続用フィルム88を用いている。
【0141】
接続用フィルム88は、MFICチップ70の第2の基板71及び回路基板80の第3の基板81に跨るように設けられ、基板側との対向面には、図8(b)の平面図に示すように、信号線89Aと該信号線89Aの両側部と互いに間隔をおいた2本の接地線89Bとからなる第3の配線パターンとしてのコプレーナ線路89が形成されている。
【0142】
コプレーナ線路89は、信号線89Aの線路幅の寸法と該信号線89A及び接地線89Bの側部同士の間隔の寸法とを適当に選ぶことにより所定のインピーダンスを得られる。コプレーナ線路89は、信号線89A及び各接地線89Bの両端部にそれぞれ設けられたバンプ90を介在させて、第2の基板71の第1の配線パターン72c及び第3の基板81の第2の配線パターン82とそれぞれ接続されている。ここで、接続用フィルム88と第2の基板71及び第3の基板81とを光硬化型樹脂材を用いて固着すれば、該接続用半導体チップ85と第2及び第3の基板71,81との互いの接続がさらに確実となる。
【0143】
このように、本実施形態によると、MFICチップ70と回路基板80との電気的な接続手段としてリード84又は接続用半導体チップ85に代わって接続用フィルム88を用いている。このため、接続手段の配線形状の自由度及び多様な機能の追加を接続用半導体チップ85を用いる場合よりも簡便に且つ低コストで実現できる。
【0144】
なお、接続用フィルム88上の配線パターンはコプレーナ線路89に限らない。例えば、コプレーナ線路89を用いずに、インピーダンス整合をとる場合には、接続用フィルム88上の配線パターンの線幅が、MFICチップ70側の領域においては第1の配線パターン72cと同一とし、且つ、回路基板80側の領域においては第2の配線パターン82と同一となるようにすればよい。
【0145】
なお、本実施形態においても、第6の実施形態に示したように、第1の基板61上に、1つ以上のMFICチップ70,MMICチップ75及び回路基板80をそれぞれ所望の特性が得られるように適当に組み合わせられることはいうまでもない。
【0146】
(第9の実施形態)
本発明の第9の実施形態はMFIC又はMMICをより高い周波帯域で使用できるパッケージングに関する。
【0147】
以下、本発明の第9の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0148】
図9は第9の実施形態に係る半導体装置の断面構成を示している。図9において、図6(a)に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。図9に示すように、導体からなる筐体91には、その一部に半導体装置を実装する実装ステージ部91aと導波管となる導波部91bが設けられている。実装ステージ部91aには、接続用リード84Aを用いて電気的に接続されたMFICチップ70と回路基板80とが導電性のペースト等を用いて固着されており、MFICチップ70の第1の配線パターン72cにおける回路基板80と反対側の端部には、一端が第1の配線パターン72cと電気的に接続され、他端が導波部91bに位置するアンテナ用リード94が設けられている。
【0149】
導波部91bは、所望の周波数の電磁波に対して導波路となる寸法を有しており、アンテナ用リード94の端部が導波部91bの内部に置かれていることにより、導波部91bを伝播する電波信号をMFICチップ70に伝えることができる。
【0150】
このように、本実施形態によると、導波管の設計技術として公知のように、導波部91bの終端部の位置とアンテナ用リード94の位置とを最適化することにより、所望の周波数帯域において低損失な信号伝達が可能となる。
【0151】
なお、筐体91を直接に導波管回路(図示せず)に接続してもよく、導波部91bの開口部を利用して空間に電波を放出することもできる。
【0152】
また、本実施形態においては、アンテナにアンテナ用リード94を用いたが、導体からなる針状の部材であってもよい。
【0153】
また、MFICチップ70と回路基板80との電気的な接続手段に接続用リード84Aを用いたが、図7に示す接続用半導体チップ85又は図8に示す接続用フィルム88を用いてもよい。
【0154】
さらに、筐体91の実装ステージ部91a上には、第6の実施形態に示すように、1つ以上のMFICチップ70,MMICチップ75及び回路基板80をそれぞれ所望の特性が得られるように組み合わせてもよく、また、第3又は第4の実施形態に示すフリップチップ実装されたMFICチップ40を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を示す構成断面図である。図1(b)は本発明の第1の実施形態の一変形例に係る半導体装置を示す構成断面図である。
【図2】(a)は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を示す構成断面図である。図2(b)は本発明の第2の実施形態の一変形例に係る半導体装置を示す構成断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置を示す構成断面図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置を示す構成断面図である。
【図5】(a)及び(b)は第5の実施形態に係る半導体装置であって、(a)は構成断面図であり、(b)は(a)のI−I線におけるMFICチップの実装前の平面図である。
【図6】(a)は本発明の第6の実施形態に係る半導体装置を示す構成断面図である。図6(b)は本発明の第6の実施形態の第1変形例に係る半導体装置を示す構成断面図である。図6(c)は本発明の第6の実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す構成断面図である。
【図7】本発明の第7の実施形態に係る半導体装置を示す構成断面図である。
【図8】(a)及び(b)は第8の実施形態に係る半導体装置であって、(a)は構成断面図であり、(b)は(a)の接続手段の平面図である。
【図9】本発明の第9の実施形態に係る半導体装置であって、MFICチップを実装したパッケージを示す部分構成断面図である。
【図10】従来のMFICを示す構成断面図である。
【図11】従来のMMICがフリップチップ実装されてなる半導体装置を示す構成断面図である。
【符号の説明】
【0156】
11 基板
11A 基板(誘電体)
12 GNDプレーン(接地パターン)
12A 第1のGNDプレーン
12a 開口部
13 誘電体膜
14 第1の配線パターン
21 第2の配線パターン
21a 電極パッド
22 MMICチップ(半導体チップ)
22A MMICチップ(半導体チップ)
23 光硬化性樹脂材
24 バンプ
25 第2のGNDプレーン
31 第1の基板
31A フィルムベース(第1の基板)
31a 空間部(凹部)
31b 空間部(孔部)
32 第1の配線パターン
33 第1のGNDプレーン
34 第1のマイクロストリップ線路
40 MFICチップ
41 第2の基板41
42 半導体チップ
43 第2のマイクロストリップ線路
43a 第2のGNDプレーン
43b 誘電体膜
43c 第2の配線パターン
44 バンプ
51 筐体
52 パッケージベース(第1の基板)
52a 凹部
53 配線パターン
54 GNDプレーン
55 内部リード
56 外部リード
57 接地パターン
61 第1の基板
70 MFICチップ
71 第2の基板
72 第1のマイクロストリップ線路
72a 第1のGNDプレーン
72b 誘電体膜
72c 第1の配線パターン
73 MMICチップ
74 マイクロバンプ
75 MMICチップ
76 第2の基板
77 高周波トランジスタ部
78 第1の配線パターン
79 第1のGNDプレーン
80 回路基板
81 第3の基板
82 第2の配線パターン
83 第2のGNDプレーン
84 リード(接続手段)
84A 接続用リード
85 接続用半導体チップ(接続手段)
86 第3の配線パターン
87 バンプ
88 接続用フィルム(接続手段)
89 コプレーナ線路(第3の配線パターン)
89A 信号線
89B 接地線
90 バンプ
91 筐体
91a 実装ステージ部
91b 導波部(導波管)
94 アンテナ用リード(導体部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面に、導体膜からなる接地パターン、誘電体膜、及び導体膜からなる第1の配線パターンが順次形成された基板と、
素子形成面に、高周波トランジスタ、及び該高周波トランジスタと接続された導体膜からなる第2の配線パターンを有する半導体チップとを備え、
前記半導体チップの素子形成面が前記基板の主面と対向した状態で、前記第2の配線パターンと前記第1の配線パターンとが互いに接続されていると共に、
前記第2の配線パターン、前記誘電体膜及び前記接地パターンにより前記半導体チップのマイクロストリップ線路が構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
主面に導体膜からなる第1の配線パターンを有すると共に前記主面と反対側の面に接地パターンを有する誘電体からなる基板と、
素子形成面に、高周波トランジスタ及び該高周波トランジスタと接続された導体膜からなる第2の配線パターンを有する半導体チップとを備え、
前記半導体チップの素子形成面が前記基板の主面と対向した状態で、前記第2の配線パターンと前記第1の配線パターンとが互いに接続されていると共に、
前記第2の配線パターン、前記誘電体膜及び前記接地パターンにより前記半導体チップのマイクロストリップ線路が構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
主面に、導体膜からなる第1の接地パターン、誘電体膜、及び導体膜からなる第1の配線パターンが順次形成された基板と、
素子形成面に高周波トランジスタ及び該高周波トランジスタと接続された導体膜からなる第2の配線パターンを有すると共に、前記素子形成面の反対側の面に導体膜からなる第2の接地パターンを有する半導体チップとを備え、
前記半導体チップの素子形成面が前記基板の主面と対向した状態で、前記第2の配線パターンと前記第1の配線パターンとが互いに接続されていると共に、
前記第1の接地パターンは、該第1の配線パターンにおける前記半導体チップの素子形成面と対向する領域に開口部を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記誘電体膜はBCB又はポリイミドからなることを特徴とする請求項1又は3に記載の半導体装置。
【請求項5】
主面に導体膜からなる第1の配線パターンを有すると共に前記主面と反対側の面に第1の接地パターンを有する誘電体からなる基板と、
素子形成面に高周波トランジスタ及び該高周波トランジスタと接続された導体膜からなる第2の配線パターンを有すると共に、前記素子形成面の反対側の面に導体膜からなる第2の接地パターンを有する半導体チップとを備え、
前記半導体チップの素子形成面が前記基板の主面と対向した状態で、前記第2の配線パターンと前記第1の配線パターンとが互いに接続されていると共に、
前記第1の接地パターンは、該第1の配線パターンにおける前記半導体チップの素子形成面と対向する領域に開口部を有していることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンとは、厚さが5μm以下のバンプを介して接続されていることを特徴とする請求項1〜3及び5のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記高周波トランジスタの動作周波数は10GHz以上であることを特徴とする請求項1〜3及び5のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体チップは、少なくとも1つの高周波トランジスタと、少なくとも1つの受動素子とを有するMMICであることを特徴とする請求項1〜3及び5のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
主面に凹部又は孔部からなる空間部を有すると共に導体膜からなる第1の配線パターンを有する第1の基板と、
主面が前記第1の基板の主面と対向し且つ前記第1の基板の前記空間部を跨ぐように設けられ、主面に接地パターン、誘電体膜、及び導体膜からなる第2の配線パターンが順次形成された第2の基板と、
素子形成面が前記第2の基板の主面と対向するように設けられ、前記素子形成面に高周波トランジスタ及び該高周波トランジスタと接続された導体膜からなる第3の配線パターンを有する半導体チップとを備え、
前記半導体チップは、前記第1の基板の前記空間部に位置するように設けられており、
前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンとは互いに接続され、
前記第2の配線パターンと前記第3の配線パターンとは互いに接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンとはバンプを介して接続されていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1の基板と前記第2の基板とは光硬化型樹脂材により互いに固着されていることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の基板はポリイミドを主成分とするフィルムからなることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1の基板は、
前記第1の配線パターンと電気的に接続された外部リードをさらに有していることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項14】
第1の基板上に主面が前記第1の基板と反対側に位置するように設けられ、該主面に、高周波トランジスタ又は高周波回路が形成された半導体チップ、及び該半導体チップと電気的に接続された第1の配線パターンをそれぞれ有する第2の基板と、
前記第1の基板上に主面が前記第1の基板と反対側に位置するように設けられ、該主面に第2の配線パターンを有する第3の基板と、
前記第2の基板の主面上及び第3の基板の主面上に、互いに隣接する前記第2の基板の端部と前記第3の基板の端部とを跨ぐように設けられ、前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンとを電気的に接続する板状の接続手段とを備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
前記接続手段は導電性のリードからなることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記リードは、
前記第1の配線パターンとの間及び前記第2の配線パターンとの間にそれぞれバンプを介して接続されていることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記リードは、
前記第1の配線パターン及び前記第2の配線パターンとそれぞれ光硬化型樹脂材により固着されていることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記接続手段は接続用半導体チップと該接続用半導体チップに設けられた第3の配線パターンとからなることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第3の配線パターンは、
前記第1の配線パターンとの間及び前記第2の配線パターンとの間にそれぞれバンプを介して接続されていることを特徴とする請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記第3の配線パターンは、
前記第1の配線パターン及び前記第2の配線パターンとそれぞれ光硬化型樹脂材により固着されていることを特徴とする請求項18に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記接続用半導体チップは前記第3の配線パターンと接続された素子をさらに有していることを特徴とする請求項18に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記接続用半導体チップは前記第3の配線パターンと接続されたフィルタ回路をさらに有していることを特徴とする請求項18に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記接続手段は樹脂からなるフィルムと該フィルムに設けられた第3の配線パターンとからなることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記第3の配線パターンは、
前記第1の配線パターンとの間及び前記第2の配線パターンとの間にそれぞれバンプを介して接続されていることを特徴とする請求項23に記載の半導体装置。
【請求項25】
前記第3の配線パターンは、
前記第1の配線パターン及び前記第2の配線パターンとそれぞれ光硬化型樹脂材により固着されていることを特徴とする請求項23に記載の半導体装置。
【請求項26】
前記第3の配線パターンはコプレーナ線路であることを特徴とする請求項23に記載の半導体装置。
【請求項27】
前記第3の基板は主面上に高周波トランジスタ又は高周波回路をさらに有していることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
【請求項28】
第1の基板上に主面が前記第1の基板と反対側に位置するように設けられ、該主面に、高周波トランジスタ又は高周波回路、及び前記高周波トランジスタ又は前記高周波回路と電気的に接続された第1の配線パターンを有する第2の基板と、
前記第1の基板上に主面が前記第1の基板と反対側に位置するように設けられ、該主面に第2の配線パターンを有する第3の基板と、
前記第2の基板の主面上及び第3の基板の主面上に、互いに隣接する前記第2の基板の端部と前記第3の基板の端部とを跨ぐように設けられ、前記第1の配線パターンと前記第2の配線パターンとを電気的に接続する板状の接続手段とを備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項29】
前記接続手段は導電性のリードからなることを特徴とする請求項28に記載の半導体装置。
【請求項30】
前記接続手段は、接続用半導体チップと該接続用半導体チップに設けられた第3の配線パターンとからなることを特徴とする請求項28に記載の半導体装置。
【請求項31】
前記接続手段は、樹脂からなるフィルムと該フィルムに設けられた第3の配線パターンとからなることを特徴とする請求項28に記載の半導体装置。
【請求項32】
主面に第1の配線パターンを有する第1の基板と、
素子形成面が前記第1の基板の主面と対向するように設けられ、前記素子形成面に前記第1の配線パターンと電気的に接続された高周波トランジスタ又は高周波回路を有する半導体チップと、
前記第1の基板の主面に、一端が前記第1の配線パターンと電気的に接続され且つ他端が導波管の内部に位置するように設けられた導体部材とを備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項33】
主面に、高周波トランジスタ又は高周波回路、及び前記高周波トランジスタ又は前記高周波回路と接続された第1の配線パターンを有する第1の基板と、
前記第1の基板の主面に、一端が前記第1の配線パターンと電気的に接続され且つ他端が導波管の内部に位置するように設けられた導体部材とを備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項34】
前記導体部材は板状又は針状であることを特徴とする請求項32又は33に記載の半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−141215(P2008−141215A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339218(P2007−339218)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【分割の表示】特願平10−107664の分割
【原出願日】平成10年4月17日(1998.4.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】