半導体製造装置及び半導体製造方法。
【課題】半導体基板を溶液に浸漬しないで半導体基板表面に転写部の形状を転写できる仕組みを提供すること。
【解決手段】転写部の形状を半導体基板表面に転写する半導体製造装置が、溶液が通過する穴があり、溶液の触媒として作用する転写部を、半導体基板の表面近傍に配置する配置手段と、溶液を転写部よりも上部から、穴を介して半導体基板の表面近傍に供給する供給手段を備える。
【解決手段】転写部の形状を半導体基板表面に転写する半導体製造装置が、溶液が通過する穴があり、溶液の触媒として作用する転写部を、半導体基板の表面近傍に配置する配置手段と、溶液を転写部よりも上部から、穴を介して半導体基板の表面近傍に供給する供給手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
半導体製造装置及び半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、結晶系太陽電池においては、シリコン基板における平面状の表面を凹凸状に変形させることにより、いわゆる「光トラップ効果」を利用したエネルギー変換効率の向上が図られている。これは、基板表面が平面である場合に比べて、凹凸の斜面で一旦反射した光をも隣接する凹凸の斜面で受光して取込むことにより、実質的に表面からの反射率を低減させることが可能となるためである。その結果、入射光の総量が増大することになるため、変換効率の増加が実現される。
溶液にシリコンウエハを浸漬させて、シリコンウエハ全表面に凹部に形成する技術としては以下のような技術が開示されている。
【0003】
先行文献1においては、シリコンウエハ表面に凹部に形成するために、過酸化水素とフッ酸溶液との混合溶液の中に浸漬させて、全表面を凸部に加工しかつ全表面に白金を成膜したシリコンウエハ表面と、凹部を形成させたいシリコンウエハ表面を接触させる技術が開示されている。
処理液を分解触媒に一旦接触させた後に、ウエハ表面に供給する技術としては以下のような技術が開示されている。
【0004】
先行文献2においては、ウエハ表面の有機物を除去するために、過酸化水素水を表面が二酸化マンガンで被覆されたメッシュを通した後に、容器の穴から過酸化水素水を排出し、ウエハ保持具に保持されたウエハ上に処理液を供給する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】(雑誌名)「Electrochemical andSolid-State Letters」(タイトル)「Fabrication of LowReflectivity Poly-Crystalline Si Surface by Structure Transfer Method」2010.11.18発行 Vol.14,No2,p.B13-B15
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−195835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術における半導体基板表面を浸漬して転写処理する場合には、半導体基板表面が浸漬可能な大量の溶液が必要になり、転写処理自体に必要な量を超えた溶液を準備する必要があり、少枚数の半導体基板を転写処理する場合においては、浸漬するために大量の溶液を使用することが、溶液のコストアップとなってしまい、転写処理に十分な量のだけの溶液を使用したいといった課題を解決することはできないという問題がある。
本願発明は、半導体基板を溶液に浸漬しないで半導体基板表面に転写部の形状を転写できる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、転写部の形状を半導体基板の表面に転写する半導体製造装置であって、溶液が通過する穴があり、前記溶液の触媒として作用する前記転写部を、前記半導体基板の表面近傍に配置する配置手段と、前記溶液を前記転写部よりも上部から、前記穴を介して前記半導体基板の表面近傍に供給する供給手段と、を備えることを特徴する。
また、前記供給手段は、前記配置手段が前記転写部を配置したあとに供給することを特徴する。
また、前記供給手段は、前記溶液を前記半導体基板毎に所定量供給することを特徴する。
また、前記転写部は、前記半導体基板の表面と対向する平面を備えることを特徴する。
また、前記対向する平面に前記触媒をさらに備えることを特徴する。
また、前記対向する平面に均等に供給すべく、前記所定量の溶液を分配する分配手段をさらに備えることを特徴とする。
また、前記転写部の配置位置を制御する配置位置制御手段をさらに備えることを特徴とする。
また、前記触媒は、前記溶液の分解触媒であることを特徴とする。
また、前記溶液は、前記半導体基板を酸化しかつ溶解する機能を備えることを特徴とする。
また、前記基板はシリコン基板であることを特徴とする。
また、前記半導体は太陽電池であることを特徴とする。
また、前記溶液は、温度を加熱保温していることを特徴とする。
また、前記分配手段に使用する部材はテフロンであり、前記テフロンの表面を親水性に加工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明は、半導体基板を溶液に浸漬しないで半導体基板表面に転写部の形状を転写できる仕組みを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ハードウエア構成(断面図)を示す図である。
【図2】処理ステップを示す図である。
【図3】転写部の表面を示す図である。
【図4】基板の表面を示す図である。
【図5】転写部及び基板の断面図を示す図である。
【図6】転写部及び基板の断面図を示す図である。
【図7】転写部及び基板の断面図を示す図である。
【図8】基板の断面図を示す図である。
【図9】ハードウエア構成(断面図)を示す図である。
【図10】処理ステップを示す図である。
【図11】ハードウエア構成(断面図)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を説明する。
<第1の実施例>
図1は、転写部の形状を半導体基板表面に転写する半導体製造装置のハードウエア構成を示す図である。
図1は、本願発明の半導体製造装置を横から見た図の断面図である。
100は基板であり、本願発明の転写処理の対象となるものである。
【0012】
101は基板保持部であり、基板100を基板保持部に保持した状態で、転写処理を実行する位置に配置、または転写処理を実行しない位置に配置するものである。
基板保持部(位置1)101は、転写処理を実行しない位置であり、基板100の表面は転写処理されていない。
【0013】
基板保持部(位置2)101は、転写処理を実行する位置であり、基板100が位置2に配置された後に、転写部103を基板100の表面近傍に配置することで転写処理を開始する。
基板保持部(位置3)101は、転写処理を実行しない位置であり、基板100の表面は転写処理されている。
図示しない基板保持部の水平移動制御部により、基板100を上に載せた(保持した)状態にて位置1と位置2と位置3で所定の時間停止するように移動する。
基板保持部101の部材としては、基板100との相性からシリコンにしてもよい。
これにより、転写処理により基板100が破損することを回避することができる。
【0014】
102は配置位置制御部であり、転写処理中でない時に基板100を保持した基板保持部と衝突しないように、転写部ユニット104(転写部103、分散部108、固定部110を含む)を一体で持ち上げることができる。
【0015】
転写処理中の時には、図5に示すように転写部を半導体基板の表面近傍に配置する。また図6または図7に示すように転写部を半導体基板の表面に接触するために、転写部ユニット104(転写部103、分散部108、固定部110を含む)である一体で降ろすことができる。
配置位置制御部102は、図5に示すように転写部を半導体基板の表面近傍に配置することがきる(配置手段)。
配置位置制御部102は、転写部103を半導体基板毎に所定の時間(例えば転写処理時間)の間、所定の位置において停止配置することができる。
配置位置制御部102は、転写部の配置位置(高さ)を所定の高さに制御することができる(配置位置制御手段)。
【0016】
103は転写部であり、転写処理において、基板100の表面近傍に配置または接触させるためのものである。少なくとも基板100に対向する表面には触媒(白金)がコーティングされており、基板100の表面近傍(または接触)に配置されると、溶液404(過酸化水素水とフッ化水素水の混合溶液)中で過酸化水素水の分解触媒として作用することで、図8に示すように基板100の表面がエッチングされる。
転写部103は、図5に示すように転写部を半導体基板の表面近傍に配置した時に半導体基板100の表面と対向することが可能な、平面を備えている。
転写部103は、半導体基板100の表面と対向する当該平面には白金である触媒201をさらに備えている。
105は液供給口であり、供給制御部111から送られた溶液404を転写部ユニット104内部の液スペース106に送るための供給口である。
【0017】
106は液スペースであり、液供給口105から送られた溶液404を転写部ユニット104の外部に出す分散口107に送る前に一旦溶液が溜まる3次元の空間スペースである。液供給口105は1つに限定されるものではなく、分散口107のように、供給制御部から送られた所定量の溶液404を液スペース106に均一に分散されるように、複数(例えば100個程度)の液供給口が2次元的に配置されているものであってもよい。
【0018】
107は分散口であり、液スペース106に溜まった溶液404を転写部103に均一に分散させるための穴(供給口)である。分散口は溶液404が転写部103に均一に分散されるように、複数(例えば100個程度)の穴が2次元的に配置されているものである。
分散口107により、半導体基板100の表面と対向する平面に均等に供給すべく、所定量の溶液を分配することができる(分配手段)。
【0019】
108は分散部であり、液スペース106を内包する、箱型の形状をした転写部ユニット104の一部である。つまり分散口107は分散部108下部(液スペース106よりも低い位置)に開いた穴である。つまり液供給口105は分散部108上部(液スペース106よりも高い位置)に開いた穴である。
また分散部の部材としては転写処理の際に、基板100への押下圧力や基板100自体の反りを考慮するとゴムのような弾性体を使用するものとする。
【0020】
分散部は溶液404に対する耐食性を備えることが望ましいので、耐食性を高めるに、分散部の部材にテフロン(登録商標)を使用したり、分散部の表面をテフロン加工するものとする。
溶液が分散部をうまく通過するために、さらに疎水性であるテフロン表面には親水性の加工をするものとする。
【0021】
109は配置角度制御部であり、転写部ユニット104の接触面と基板100の表面とが平行になるように、転写部ユニット104の角度を制御(補正)する機構である。
110は固定部であり、転写部103を分散部108に固定(接続)するためのものである。
【0022】
111は供給制御部であり、転写処理回数(例えば基板100単位)単位で所定の量(例えば50cc単位)の溶液404を供給する。供給制御部111は転写部103の上部(転写部103よりも高い位置)に設置させてもよく。転写部103よりも下部(転写部103よりも低い位置)に設置されてもよい。
供給制御部111は、溶液を転写部よりも上部(転写部103よりも高い位置)から、穴を介して半導体基板の表面近傍に供給することができる(供給手段)
供給制御部111は、配置位置制御部102が転写部を半導体基板の表面近傍に配置したあとに溶液を供給する。
供給制御部111は、つまり溶液404を半導体基板100毎に所定量供給する。
【0023】
本願発明の溶液404は、フッ化水素酸水溶液(HF)濃度が5.4Mであり、過酸化水素水(H2O2)濃度が7.2Mの混合溶液、または濃度が2.7Mであり、過酸化水素水(H2O2)濃度が8.1Mの混合溶液を使用して転写処理を行った。
【0024】
本願発明の溶液404の温度は、室温放置温度(例えば25℃)、または溶液を加熱して溶液温度を所定範囲に保持した温度(例えば60℃)に制御して転写処理を行った。常温だと反応速度が遅く、反応熱で60℃になると速度が速くなることが測定された。そのため、穴から注入する溶液は、60℃に加熱保温しておくことが望ましい。
図2を説明する。
図2は、転写部の形状を半導体基板表面に転写する半導体製造装置による半導体製造方法(処理ステップ)である。
ステップS101では、基板100を移動(位置2)する。
【0025】
ステップS102では、配置手段により、転写部103を半導体基板100の表面近傍(所定の位置)に配置(配置工程)し、所定の時間、当該所定の位置に保持する。転写部103を半導体基板100の表面近傍(所定の位置)を所定の位置に保持する時間は1秒〜5秒程度であり、当該保持時間はステップS103及びステップS104の各工程時間も含んだ時間である。
【0026】
ステップS103では、配置工程の後、供給工程の前に、分配手段により、供給手段から送られた溶液を転写部の上部(分散スペース)401に均等に分散するように分配する(分配工程)。
【0027】
ステップS104では、分配工程が終わると、供給手段から送られた所定の量の溶液を転写部よりも上部(分散スペース)401から穴202を介して半導体基板の表面近傍に供給する(供給工程)。
【0028】
ステップS105では、供給工程が終わると、図5乃至図7に示すように転写部103と基板100との距離を変え、エッチング部302の深さを制御するために、転写部の位置をさらに下げる(別の所定の位置に変更する)かいなかを判定する。
下げない(しない)場合はステップS106に進む。
下げる(する)場合はステップS102に進む。
ステップS106では、転写部103(転写部ユニット104)を待機位置に上げる。
ステップS107では、基板100を移動(位置1または位置3)する。
ステップS108では、次に転写処理する基板があるかを判定する。
ある場合は、基板保持部が基板100を入れ替えて、ステップS101に進む。
ない場合は、終了する。
図3を説明する。
【0029】
図3は転写部103の半導体基板100の表面と対向することが可能な平面(転写部の表面)を上から見た図である。つまりこの平面が図5乃至図7の転写処理中に基板100と接触可能な平面である。
201の領域は転写部の領域であり、転写部の表面には触媒である白金がコーティングされている。
【0030】
202の領域は、転写部に開いた穴であり、転写部の表面(半導体基板100の表面と対向することが可能な平面)と裏面を貫通している。つまり、この穴により、図5乃至図7の転写処理中に供給手段から送られた所定の量の溶液を半導体基板の表面近傍に供給する
【0031】
転写部に開いた穴は丸型でなくてもよく、どのような形状でもよく(例えば四角型、三角型、星型、アルファベット文字、直線、曲線、LSIの配線パターン等)転写処理中に、供給手段から送られた溶液を転写部103よりも上部(図3に示す転写部の裏面)から半導体基板の表面近傍(半導体基板100の表面と対向することが可能な平面)に供給できる形状でればよい。さらに穴の数は特に限定されるものではない。さらに穴同士の配置関係は、一定間隔に整列する必要はなく特に限定されるものではない。また図3に示す全ての穴202(100%)またはその一部(例えば割合50%)を転写部の表面(半導体基板100の表面と対向することが可能な平面)と裏面を貫通させないように転写部103を形状加工して、供給手段から送られた溶液を転写部103よりも上部(図3に示す転写部の裏面)から半導体基板の表面近傍(半導体基板100の表面と対向することが可能な平面)に供給できる形状に加工したものも本願発明の穴に該当とするものである。
【0032】
なお、転写部103の半導体基板100の表面と対向することが可能な平面(転写部の表面)を上か見た図の形は、四角形に限定されたものではなく、円形型や、その他、本願発明の転写処理を実行可能な形状であればよい。
なお、図3の転写部の表面にある円形の穴202の直径は20μm程度である。
なお、図3の転写部の表面にある触媒201の最短のスペースは2μm程度である。
図4を説明する。
【0033】
図4は図5乃至図7の転写処理加工が完了した後の、半導体基板100の表面を上から見た図である。つまりこの表面が図5乃至図7の転写処理中に転写部103と接触可能な表面である。
301の領域は非転写部分の領域であり、202の穴の領域(エッチングされない)に該当する領域である。
302の領域は転写部分の領域であり、201の触媒の領域(エッチングされる)に該当する領域である。
【0034】
なお、半導体基板100の表面を上から見た図の形は、四角形に限定されたものではなく、単結晶シリコンウエハのような円形型や、その他、本願発明の転写処理を実行可能な形状であればよい。
図5を説明する。
図5は図1を拡大した図である。
【0035】
図5は、配置位置制御部102が、溶液が通過する穴202があり、溶液の触媒として作用する転写部103を半導体基板100の表面近傍に配置した場合を示す図である。
【0036】
なお、半導体基板100の表面近傍とは、転写部103との距離が例えば数μm程度であり、触媒201(転写部103)と基板100が実際に接触していなくても、基板100がエッチング(転写部の形状の転写)される距離である。
【0037】
図5は、供給制御部111が、分散口107を通過した溶液を転写部103よりも上部(分散スペース401)から、穴(保持スペース202)を介して半導体基板100の表面近傍(反応スペース403)に供給するように溶液を供給した場合を示す図である。
転写部103と分散部108との間には、転写部全域に溶液404が、拡散しやすいように、分散スペース401(空間)がある。
【0038】
供給制御部111が溶液を供給したあと、穴202は、溶液を穴と基板によってできた空間スペースに所定の時間保持することが可能な保持スペースとして機能する。
【0039】
これにより、溶液404と触媒201と基板100との化学反応領域である反応スペース403に所定の時間の間、反応に必要な溶液404の供給を継続することができる。
【0040】
なお、図5に示しように触媒201は転写部103の全面を被覆する必要はなく、転写処理において基板100に対向する面にあればよい。また転写部103の部材すべてを触媒201で作成してもよい。
【0041】
なお、転写部103の断面図は円形であるが四角や三角でもよく、円形に特に限定されないが、反応スペース403及び分散スペース401への溶液404の拡散を考慮すると円形が望ましい。
図6を説明する。
図6は図1を拡大した図である。
【0042】
図6は、配置位置制御部102が、溶液が通過する穴202があり、溶液の触媒として作用する転写部103を半導体基板100の表面と接触するように配置した場合を示す図である。
【0043】
図6は、供給制御部111が、分散口107を通過した溶液を転写部103よりも上部(分散スペース401)から、穴(保持スペース202)を介して半導体基板100の表面(反応スペース403)に供給するように溶液を供給した場合を示す図である。
図5の場合と比べて配置位置制御部102が、転写部103をより低く配置した場合である。
【0044】
矢印である(1)乃至(5)は溶液404の供給ルート(供給路)であり、(1)は液スペース106であり、(2)は分散口107であり、(3)は分散スペース401(隙間)であり、(4)は穴202であり、(5)は反応スペース(隙間)403であり、上部である(1)から下部である(5)に溶液404は落下する。
図7を説明する。
図7は図1を拡大した図である。
【0045】
図7は、配置位置制御部102が、溶液が通過する穴202があり、溶液の触媒として作用する転写部103を半導体基板100の表面と接触するように配置した場合を示す図である。
【0046】
図7は、供給制御部111が、分散口107を通過した溶液を転写部103よりも上部(分散スペース401)から、穴(保持スペース202)を介して半導体基板100の表面(反応スペース403)に供給するように溶液を供給した場合を示す図である。
図6の場合と比べて配置位置制御部102が、転写部103をさらに低く配置した場合である。
図8を説明する。
図8は図5乃至図7の転写処理加工が完了した後の、半導体基板100の断面図である。
301の領域は非転写部分の領域であり、202の穴の領域(エッチングされない)に該当する領域である。
302の領域は転写部分の領域であり、201の触媒の領域(エッチングされる)に該当する領域である。
<第2の実施例>
図9を説明する。
図9は、転写部の形状を半導体基板表面に転写する半導体製造装置のハードウエア構成を示す図である。
図9は、本願発明の半導体製造装置を横から見た図の断面図である。
100は基板であり、第1の実施例の記載で記載されたものと同じ機能を示すものである。
101は基板保持部であり、第1の実施例の記載で記載されたものと同じ機能を示すものである。
102は配置位置制御部であり、第1の実施例の記載で記載されたものと同じ機能を示すものである。
103は転写部であり、第1の実施例の記載で記載されたものと同じ機能を示すものである。
109は配置角度制御部であり、第1の実施例の記載で記載されたものと同じ機能を示すものである。
404は溶液である。
【0047】
501は給液槽である。吸収部503が給液槽501内で溶液を吸収するために所定の時間配置されるための液槽である。所定の時間配置されることで、所定の量の溶液を吸収部503の内部に保持することができる。また給液槽501を第1の実施例での、基板保持部(位置2)101の位置さらに下に、設置することで、転写処理位置と吸収部503内への溶液の供給処理を同じスペースでの上下で行うことが可能となる。
【0048】
503は吸収部である。吸収部503は、給液槽501内で溶液を吸収し、給液槽501外で溶液を保持するために、部材がスポンジで作成された転写部ユニット104である。
504は台である。台504の部材として、吸収部503が給液槽501内で溶液を吸収しやすさを考慮するとゴムのような弾性体であることが望ましい。
図10を説明する。
図10は、転写部の形状を半導体基板表面に転写する半導体製造装置による半導体製造方法(処理ステップ)である。
ステップS201では、吸収部503が給液槽501内で溶液を吸収するために転写部103(転写部ユニット104)を給液槽内に配置する。
ステップS202では、転写部103(転写部ユニット104)を待機位置に上げる。
ステップS203では、基板100を移動(位置2)する。
ステップS204では、配置手段により、転写部103を半導体基板100の表面近傍(所定の位置)に配置する(配置工程)。
【0049】
ステップS205では、配置手段がさらに、転写部ユニット104を半導体基板100の表面に押圧し、吸収部503に保持する所定の量の溶液を転写部よりも上部(分散スペース)401から穴202を介して半導体基板の表面近傍に供給する(供給工程)。
ステップS206では、転写部103(転写部ユニット104)を待機位置に上げる。
ステップS207では、基板100を移動(位置1または位置3)する。
ステップS208では、次に転写処理する基板があるかを判定する。
ある場合は、基板保持部が基板100を入れ替えて、ステップS101に進む。
ない場合は、終了する。
<第3の実施例>
図11を説明する。
図11は、転写部の形状を半導体基板表面に転写する半導体製造装置のハードウエア構成を示す図である。
図11は、本願発明の半導体製造装置を横から見た図の断面図である。
【0050】
601は基板保持部回転部であり、第1の役割として、転写処理が終了し、転写部103が待機位置にある場合に、基板100を保持したままで、基板保持部101を回転させることで、転写処理後に基板表面に残留する溶液404を遠心力で基板表面から取り除くために本願発明の半導体製造装置に追加構成されてもよい。
【0051】
第2の役割として、転写処理中に基板表面に供給された後の溶液404を遠心力で基板外周にも均一に分散するようにステップS103及び、ステップS104において、転写部ユニット104及び基板100を保持した基板保持部101を一体で回転するために本願発明の半導体製造装置に追加構成されてもよい。
<変形例>
【0052】
尚、本願発明において使用する溶液は、半導体基板を酸化する機能を備える酸化剤である過酸化水素水(H2O2)、二クロム酸カリウム水溶液(K2Cr2O7)、マンガン酸カリウム水溶液(KMnO4)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、酸素(O2)又はオゾン(O3)を溶解させた水、の中から選ばれる少なくとも1種の酸化剤を含んでいればよい。かつ、半導体基板を溶解する機能を備える溶解剤であるフッ化水素酸を含んでいればよい。つまり酸化剤と溶解剤の混合水溶液であればよい。
【0053】
尚、本願発明において使用する触媒は、溶液中の酸化剤の分解触媒であり、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、それらの内少なくとも1つを含む合金、の中から選ばれる少なくとも1種であればよい。
【0054】
尚、本願発明において使用する触媒は、スパッタリング法、メッキ法、CVD法によって形成された膜、あるいは化合物の塗布被膜から還元生成して形成した膜が採用されるが、膜に限定されない。
【0055】
尚、本願発明において転写処理する対象の半導体は、太陽電池、光デバイス、MEMS構造を備えたデバイス、または大規模集積回路(LSI)を備えたデバイスであってもよい。
尚、本願発明における転写処理する対象の基板は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、炭化ケイ素(SiC)、GaAs、InGaAsであってもよい。
【0056】
尚、基板の転写処理枚数を高める(スループットの向上)ために、本願発明における転写処理の転写部ユニット104を複数し、複数の基板を同時に転写処理することもできる。
【符号の説明】
【0057】
100 半導体基板(太陽電池用シリコン基板)
103 転写部
201 触媒(白金)
202 穴
404 溶液(過酸化水素水とフッ化水素水の混合溶液)
【技術分野】
【0001】
半導体製造装置及び半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、結晶系太陽電池においては、シリコン基板における平面状の表面を凹凸状に変形させることにより、いわゆる「光トラップ効果」を利用したエネルギー変換効率の向上が図られている。これは、基板表面が平面である場合に比べて、凹凸の斜面で一旦反射した光をも隣接する凹凸の斜面で受光して取込むことにより、実質的に表面からの反射率を低減させることが可能となるためである。その結果、入射光の総量が増大することになるため、変換効率の増加が実現される。
溶液にシリコンウエハを浸漬させて、シリコンウエハ全表面に凹部に形成する技術としては以下のような技術が開示されている。
【0003】
先行文献1においては、シリコンウエハ表面に凹部に形成するために、過酸化水素とフッ酸溶液との混合溶液の中に浸漬させて、全表面を凸部に加工しかつ全表面に白金を成膜したシリコンウエハ表面と、凹部を形成させたいシリコンウエハ表面を接触させる技術が開示されている。
処理液を分解触媒に一旦接触させた後に、ウエハ表面に供給する技術としては以下のような技術が開示されている。
【0004】
先行文献2においては、ウエハ表面の有機物を除去するために、過酸化水素水を表面が二酸化マンガンで被覆されたメッシュを通した後に、容器の穴から過酸化水素水を排出し、ウエハ保持具に保持されたウエハ上に処理液を供給する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】(雑誌名)「Electrochemical andSolid-State Letters」(タイトル)「Fabrication of LowReflectivity Poly-Crystalline Si Surface by Structure Transfer Method」2010.11.18発行 Vol.14,No2,p.B13-B15
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−195835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術における半導体基板表面を浸漬して転写処理する場合には、半導体基板表面が浸漬可能な大量の溶液が必要になり、転写処理自体に必要な量を超えた溶液を準備する必要があり、少枚数の半導体基板を転写処理する場合においては、浸漬するために大量の溶液を使用することが、溶液のコストアップとなってしまい、転写処理に十分な量のだけの溶液を使用したいといった課題を解決することはできないという問題がある。
本願発明は、半導体基板を溶液に浸漬しないで半導体基板表面に転写部の形状を転写できる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、転写部の形状を半導体基板の表面に転写する半導体製造装置であって、溶液が通過する穴があり、前記溶液の触媒として作用する前記転写部を、前記半導体基板の表面近傍に配置する配置手段と、前記溶液を前記転写部よりも上部から、前記穴を介して前記半導体基板の表面近傍に供給する供給手段と、を備えることを特徴する。
また、前記供給手段は、前記配置手段が前記転写部を配置したあとに供給することを特徴する。
また、前記供給手段は、前記溶液を前記半導体基板毎に所定量供給することを特徴する。
また、前記転写部は、前記半導体基板の表面と対向する平面を備えることを特徴する。
また、前記対向する平面に前記触媒をさらに備えることを特徴する。
また、前記対向する平面に均等に供給すべく、前記所定量の溶液を分配する分配手段をさらに備えることを特徴とする。
また、前記転写部の配置位置を制御する配置位置制御手段をさらに備えることを特徴とする。
また、前記触媒は、前記溶液の分解触媒であることを特徴とする。
また、前記溶液は、前記半導体基板を酸化しかつ溶解する機能を備えることを特徴とする。
また、前記基板はシリコン基板であることを特徴とする。
また、前記半導体は太陽電池であることを特徴とする。
また、前記溶液は、温度を加熱保温していることを特徴とする。
また、前記分配手段に使用する部材はテフロンであり、前記テフロンの表面を親水性に加工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明は、半導体基板を溶液に浸漬しないで半導体基板表面に転写部の形状を転写できる仕組みを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ハードウエア構成(断面図)を示す図である。
【図2】処理ステップを示す図である。
【図3】転写部の表面を示す図である。
【図4】基板の表面を示す図である。
【図5】転写部及び基板の断面図を示す図である。
【図6】転写部及び基板の断面図を示す図である。
【図7】転写部及び基板の断面図を示す図である。
【図8】基板の断面図を示す図である。
【図9】ハードウエア構成(断面図)を示す図である。
【図10】処理ステップを示す図である。
【図11】ハードウエア構成(断面図)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を説明する。
<第1の実施例>
図1は、転写部の形状を半導体基板表面に転写する半導体製造装置のハードウエア構成を示す図である。
図1は、本願発明の半導体製造装置を横から見た図の断面図である。
100は基板であり、本願発明の転写処理の対象となるものである。
【0012】
101は基板保持部であり、基板100を基板保持部に保持した状態で、転写処理を実行する位置に配置、または転写処理を実行しない位置に配置するものである。
基板保持部(位置1)101は、転写処理を実行しない位置であり、基板100の表面は転写処理されていない。
【0013】
基板保持部(位置2)101は、転写処理を実行する位置であり、基板100が位置2に配置された後に、転写部103を基板100の表面近傍に配置することで転写処理を開始する。
基板保持部(位置3)101は、転写処理を実行しない位置であり、基板100の表面は転写処理されている。
図示しない基板保持部の水平移動制御部により、基板100を上に載せた(保持した)状態にて位置1と位置2と位置3で所定の時間停止するように移動する。
基板保持部101の部材としては、基板100との相性からシリコンにしてもよい。
これにより、転写処理により基板100が破損することを回避することができる。
【0014】
102は配置位置制御部であり、転写処理中でない時に基板100を保持した基板保持部と衝突しないように、転写部ユニット104(転写部103、分散部108、固定部110を含む)を一体で持ち上げることができる。
【0015】
転写処理中の時には、図5に示すように転写部を半導体基板の表面近傍に配置する。また図6または図7に示すように転写部を半導体基板の表面に接触するために、転写部ユニット104(転写部103、分散部108、固定部110を含む)である一体で降ろすことができる。
配置位置制御部102は、図5に示すように転写部を半導体基板の表面近傍に配置することがきる(配置手段)。
配置位置制御部102は、転写部103を半導体基板毎に所定の時間(例えば転写処理時間)の間、所定の位置において停止配置することができる。
配置位置制御部102は、転写部の配置位置(高さ)を所定の高さに制御することができる(配置位置制御手段)。
【0016】
103は転写部であり、転写処理において、基板100の表面近傍に配置または接触させるためのものである。少なくとも基板100に対向する表面には触媒(白金)がコーティングされており、基板100の表面近傍(または接触)に配置されると、溶液404(過酸化水素水とフッ化水素水の混合溶液)中で過酸化水素水の分解触媒として作用することで、図8に示すように基板100の表面がエッチングされる。
転写部103は、図5に示すように転写部を半導体基板の表面近傍に配置した時に半導体基板100の表面と対向することが可能な、平面を備えている。
転写部103は、半導体基板100の表面と対向する当該平面には白金である触媒201をさらに備えている。
105は液供給口であり、供給制御部111から送られた溶液404を転写部ユニット104内部の液スペース106に送るための供給口である。
【0017】
106は液スペースであり、液供給口105から送られた溶液404を転写部ユニット104の外部に出す分散口107に送る前に一旦溶液が溜まる3次元の空間スペースである。液供給口105は1つに限定されるものではなく、分散口107のように、供給制御部から送られた所定量の溶液404を液スペース106に均一に分散されるように、複数(例えば100個程度)の液供給口が2次元的に配置されているものであってもよい。
【0018】
107は分散口であり、液スペース106に溜まった溶液404を転写部103に均一に分散させるための穴(供給口)である。分散口は溶液404が転写部103に均一に分散されるように、複数(例えば100個程度)の穴が2次元的に配置されているものである。
分散口107により、半導体基板100の表面と対向する平面に均等に供給すべく、所定量の溶液を分配することができる(分配手段)。
【0019】
108は分散部であり、液スペース106を内包する、箱型の形状をした転写部ユニット104の一部である。つまり分散口107は分散部108下部(液スペース106よりも低い位置)に開いた穴である。つまり液供給口105は分散部108上部(液スペース106よりも高い位置)に開いた穴である。
また分散部の部材としては転写処理の際に、基板100への押下圧力や基板100自体の反りを考慮するとゴムのような弾性体を使用するものとする。
【0020】
分散部は溶液404に対する耐食性を備えることが望ましいので、耐食性を高めるに、分散部の部材にテフロン(登録商標)を使用したり、分散部の表面をテフロン加工するものとする。
溶液が分散部をうまく通過するために、さらに疎水性であるテフロン表面には親水性の加工をするものとする。
【0021】
109は配置角度制御部であり、転写部ユニット104の接触面と基板100の表面とが平行になるように、転写部ユニット104の角度を制御(補正)する機構である。
110は固定部であり、転写部103を分散部108に固定(接続)するためのものである。
【0022】
111は供給制御部であり、転写処理回数(例えば基板100単位)単位で所定の量(例えば50cc単位)の溶液404を供給する。供給制御部111は転写部103の上部(転写部103よりも高い位置)に設置させてもよく。転写部103よりも下部(転写部103よりも低い位置)に設置されてもよい。
供給制御部111は、溶液を転写部よりも上部(転写部103よりも高い位置)から、穴を介して半導体基板の表面近傍に供給することができる(供給手段)
供給制御部111は、配置位置制御部102が転写部を半導体基板の表面近傍に配置したあとに溶液を供給する。
供給制御部111は、つまり溶液404を半導体基板100毎に所定量供給する。
【0023】
本願発明の溶液404は、フッ化水素酸水溶液(HF)濃度が5.4Mであり、過酸化水素水(H2O2)濃度が7.2Mの混合溶液、または濃度が2.7Mであり、過酸化水素水(H2O2)濃度が8.1Mの混合溶液を使用して転写処理を行った。
【0024】
本願発明の溶液404の温度は、室温放置温度(例えば25℃)、または溶液を加熱して溶液温度を所定範囲に保持した温度(例えば60℃)に制御して転写処理を行った。常温だと反応速度が遅く、反応熱で60℃になると速度が速くなることが測定された。そのため、穴から注入する溶液は、60℃に加熱保温しておくことが望ましい。
図2を説明する。
図2は、転写部の形状を半導体基板表面に転写する半導体製造装置による半導体製造方法(処理ステップ)である。
ステップS101では、基板100を移動(位置2)する。
【0025】
ステップS102では、配置手段により、転写部103を半導体基板100の表面近傍(所定の位置)に配置(配置工程)し、所定の時間、当該所定の位置に保持する。転写部103を半導体基板100の表面近傍(所定の位置)を所定の位置に保持する時間は1秒〜5秒程度であり、当該保持時間はステップS103及びステップS104の各工程時間も含んだ時間である。
【0026】
ステップS103では、配置工程の後、供給工程の前に、分配手段により、供給手段から送られた溶液を転写部の上部(分散スペース)401に均等に分散するように分配する(分配工程)。
【0027】
ステップS104では、分配工程が終わると、供給手段から送られた所定の量の溶液を転写部よりも上部(分散スペース)401から穴202を介して半導体基板の表面近傍に供給する(供給工程)。
【0028】
ステップS105では、供給工程が終わると、図5乃至図7に示すように転写部103と基板100との距離を変え、エッチング部302の深さを制御するために、転写部の位置をさらに下げる(別の所定の位置に変更する)かいなかを判定する。
下げない(しない)場合はステップS106に進む。
下げる(する)場合はステップS102に進む。
ステップS106では、転写部103(転写部ユニット104)を待機位置に上げる。
ステップS107では、基板100を移動(位置1または位置3)する。
ステップS108では、次に転写処理する基板があるかを判定する。
ある場合は、基板保持部が基板100を入れ替えて、ステップS101に進む。
ない場合は、終了する。
図3を説明する。
【0029】
図3は転写部103の半導体基板100の表面と対向することが可能な平面(転写部の表面)を上から見た図である。つまりこの平面が図5乃至図7の転写処理中に基板100と接触可能な平面である。
201の領域は転写部の領域であり、転写部の表面には触媒である白金がコーティングされている。
【0030】
202の領域は、転写部に開いた穴であり、転写部の表面(半導体基板100の表面と対向することが可能な平面)と裏面を貫通している。つまり、この穴により、図5乃至図7の転写処理中に供給手段から送られた所定の量の溶液を半導体基板の表面近傍に供給する
【0031】
転写部に開いた穴は丸型でなくてもよく、どのような形状でもよく(例えば四角型、三角型、星型、アルファベット文字、直線、曲線、LSIの配線パターン等)転写処理中に、供給手段から送られた溶液を転写部103よりも上部(図3に示す転写部の裏面)から半導体基板の表面近傍(半導体基板100の表面と対向することが可能な平面)に供給できる形状でればよい。さらに穴の数は特に限定されるものではない。さらに穴同士の配置関係は、一定間隔に整列する必要はなく特に限定されるものではない。また図3に示す全ての穴202(100%)またはその一部(例えば割合50%)を転写部の表面(半導体基板100の表面と対向することが可能な平面)と裏面を貫通させないように転写部103を形状加工して、供給手段から送られた溶液を転写部103よりも上部(図3に示す転写部の裏面)から半導体基板の表面近傍(半導体基板100の表面と対向することが可能な平面)に供給できる形状に加工したものも本願発明の穴に該当とするものである。
【0032】
なお、転写部103の半導体基板100の表面と対向することが可能な平面(転写部の表面)を上か見た図の形は、四角形に限定されたものではなく、円形型や、その他、本願発明の転写処理を実行可能な形状であればよい。
なお、図3の転写部の表面にある円形の穴202の直径は20μm程度である。
なお、図3の転写部の表面にある触媒201の最短のスペースは2μm程度である。
図4を説明する。
【0033】
図4は図5乃至図7の転写処理加工が完了した後の、半導体基板100の表面を上から見た図である。つまりこの表面が図5乃至図7の転写処理中に転写部103と接触可能な表面である。
301の領域は非転写部分の領域であり、202の穴の領域(エッチングされない)に該当する領域である。
302の領域は転写部分の領域であり、201の触媒の領域(エッチングされる)に該当する領域である。
【0034】
なお、半導体基板100の表面を上から見た図の形は、四角形に限定されたものではなく、単結晶シリコンウエハのような円形型や、その他、本願発明の転写処理を実行可能な形状であればよい。
図5を説明する。
図5は図1を拡大した図である。
【0035】
図5は、配置位置制御部102が、溶液が通過する穴202があり、溶液の触媒として作用する転写部103を半導体基板100の表面近傍に配置した場合を示す図である。
【0036】
なお、半導体基板100の表面近傍とは、転写部103との距離が例えば数μm程度であり、触媒201(転写部103)と基板100が実際に接触していなくても、基板100がエッチング(転写部の形状の転写)される距離である。
【0037】
図5は、供給制御部111が、分散口107を通過した溶液を転写部103よりも上部(分散スペース401)から、穴(保持スペース202)を介して半導体基板100の表面近傍(反応スペース403)に供給するように溶液を供給した場合を示す図である。
転写部103と分散部108との間には、転写部全域に溶液404が、拡散しやすいように、分散スペース401(空間)がある。
【0038】
供給制御部111が溶液を供給したあと、穴202は、溶液を穴と基板によってできた空間スペースに所定の時間保持することが可能な保持スペースとして機能する。
【0039】
これにより、溶液404と触媒201と基板100との化学反応領域である反応スペース403に所定の時間の間、反応に必要な溶液404の供給を継続することができる。
【0040】
なお、図5に示しように触媒201は転写部103の全面を被覆する必要はなく、転写処理において基板100に対向する面にあればよい。また転写部103の部材すべてを触媒201で作成してもよい。
【0041】
なお、転写部103の断面図は円形であるが四角や三角でもよく、円形に特に限定されないが、反応スペース403及び分散スペース401への溶液404の拡散を考慮すると円形が望ましい。
図6を説明する。
図6は図1を拡大した図である。
【0042】
図6は、配置位置制御部102が、溶液が通過する穴202があり、溶液の触媒として作用する転写部103を半導体基板100の表面と接触するように配置した場合を示す図である。
【0043】
図6は、供給制御部111が、分散口107を通過した溶液を転写部103よりも上部(分散スペース401)から、穴(保持スペース202)を介して半導体基板100の表面(反応スペース403)に供給するように溶液を供給した場合を示す図である。
図5の場合と比べて配置位置制御部102が、転写部103をより低く配置した場合である。
【0044】
矢印である(1)乃至(5)は溶液404の供給ルート(供給路)であり、(1)は液スペース106であり、(2)は分散口107であり、(3)は分散スペース401(隙間)であり、(4)は穴202であり、(5)は反応スペース(隙間)403であり、上部である(1)から下部である(5)に溶液404は落下する。
図7を説明する。
図7は図1を拡大した図である。
【0045】
図7は、配置位置制御部102が、溶液が通過する穴202があり、溶液の触媒として作用する転写部103を半導体基板100の表面と接触するように配置した場合を示す図である。
【0046】
図7は、供給制御部111が、分散口107を通過した溶液を転写部103よりも上部(分散スペース401)から、穴(保持スペース202)を介して半導体基板100の表面(反応スペース403)に供給するように溶液を供給した場合を示す図である。
図6の場合と比べて配置位置制御部102が、転写部103をさらに低く配置した場合である。
図8を説明する。
図8は図5乃至図7の転写処理加工が完了した後の、半導体基板100の断面図である。
301の領域は非転写部分の領域であり、202の穴の領域(エッチングされない)に該当する領域である。
302の領域は転写部分の領域であり、201の触媒の領域(エッチングされる)に該当する領域である。
<第2の実施例>
図9を説明する。
図9は、転写部の形状を半導体基板表面に転写する半導体製造装置のハードウエア構成を示す図である。
図9は、本願発明の半導体製造装置を横から見た図の断面図である。
100は基板であり、第1の実施例の記載で記載されたものと同じ機能を示すものである。
101は基板保持部であり、第1の実施例の記載で記載されたものと同じ機能を示すものである。
102は配置位置制御部であり、第1の実施例の記載で記載されたものと同じ機能を示すものである。
103は転写部であり、第1の実施例の記載で記載されたものと同じ機能を示すものである。
109は配置角度制御部であり、第1の実施例の記載で記載されたものと同じ機能を示すものである。
404は溶液である。
【0047】
501は給液槽である。吸収部503が給液槽501内で溶液を吸収するために所定の時間配置されるための液槽である。所定の時間配置されることで、所定の量の溶液を吸収部503の内部に保持することができる。また給液槽501を第1の実施例での、基板保持部(位置2)101の位置さらに下に、設置することで、転写処理位置と吸収部503内への溶液の供給処理を同じスペースでの上下で行うことが可能となる。
【0048】
503は吸収部である。吸収部503は、給液槽501内で溶液を吸収し、給液槽501外で溶液を保持するために、部材がスポンジで作成された転写部ユニット104である。
504は台である。台504の部材として、吸収部503が給液槽501内で溶液を吸収しやすさを考慮するとゴムのような弾性体であることが望ましい。
図10を説明する。
図10は、転写部の形状を半導体基板表面に転写する半導体製造装置による半導体製造方法(処理ステップ)である。
ステップS201では、吸収部503が給液槽501内で溶液を吸収するために転写部103(転写部ユニット104)を給液槽内に配置する。
ステップS202では、転写部103(転写部ユニット104)を待機位置に上げる。
ステップS203では、基板100を移動(位置2)する。
ステップS204では、配置手段により、転写部103を半導体基板100の表面近傍(所定の位置)に配置する(配置工程)。
【0049】
ステップS205では、配置手段がさらに、転写部ユニット104を半導体基板100の表面に押圧し、吸収部503に保持する所定の量の溶液を転写部よりも上部(分散スペース)401から穴202を介して半導体基板の表面近傍に供給する(供給工程)。
ステップS206では、転写部103(転写部ユニット104)を待機位置に上げる。
ステップS207では、基板100を移動(位置1または位置3)する。
ステップS208では、次に転写処理する基板があるかを判定する。
ある場合は、基板保持部が基板100を入れ替えて、ステップS101に進む。
ない場合は、終了する。
<第3の実施例>
図11を説明する。
図11は、転写部の形状を半導体基板表面に転写する半導体製造装置のハードウエア構成を示す図である。
図11は、本願発明の半導体製造装置を横から見た図の断面図である。
【0050】
601は基板保持部回転部であり、第1の役割として、転写処理が終了し、転写部103が待機位置にある場合に、基板100を保持したままで、基板保持部101を回転させることで、転写処理後に基板表面に残留する溶液404を遠心力で基板表面から取り除くために本願発明の半導体製造装置に追加構成されてもよい。
【0051】
第2の役割として、転写処理中に基板表面に供給された後の溶液404を遠心力で基板外周にも均一に分散するようにステップS103及び、ステップS104において、転写部ユニット104及び基板100を保持した基板保持部101を一体で回転するために本願発明の半導体製造装置に追加構成されてもよい。
<変形例>
【0052】
尚、本願発明において使用する溶液は、半導体基板を酸化する機能を備える酸化剤である過酸化水素水(H2O2)、二クロム酸カリウム水溶液(K2Cr2O7)、マンガン酸カリウム水溶液(KMnO4)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、酸素(O2)又はオゾン(O3)を溶解させた水、の中から選ばれる少なくとも1種の酸化剤を含んでいればよい。かつ、半導体基板を溶解する機能を備える溶解剤であるフッ化水素酸を含んでいればよい。つまり酸化剤と溶解剤の混合水溶液であればよい。
【0053】
尚、本願発明において使用する触媒は、溶液中の酸化剤の分解触媒であり、白金(Pt)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、それらの内少なくとも1つを含む合金、の中から選ばれる少なくとも1種であればよい。
【0054】
尚、本願発明において使用する触媒は、スパッタリング法、メッキ法、CVD法によって形成された膜、あるいは化合物の塗布被膜から還元生成して形成した膜が採用されるが、膜に限定されない。
【0055】
尚、本願発明において転写処理する対象の半導体は、太陽電池、光デバイス、MEMS構造を備えたデバイス、または大規模集積回路(LSI)を備えたデバイスであってもよい。
尚、本願発明における転写処理する対象の基板は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、炭化ケイ素(SiC)、GaAs、InGaAsであってもよい。
【0056】
尚、基板の転写処理枚数を高める(スループットの向上)ために、本願発明における転写処理の転写部ユニット104を複数し、複数の基板を同時に転写処理することもできる。
【符号の説明】
【0057】
100 半導体基板(太陽電池用シリコン基板)
103 転写部
201 触媒(白金)
202 穴
404 溶液(過酸化水素水とフッ化水素水の混合溶液)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写部の形状を半導体基板の表面に転写する半導体製造装置であって、
溶液が通過する穴があり、前記溶液の触媒として作用する前記転写部を、前記半導体基板の表面近傍に配置する配置手段と、
前記溶液を前記転写部よりも上部から、前記穴を介して前記半導体基板の表面近傍に供給する供給手段と、
を備えることを特徴する半導体製造装置。
【請求項2】
前記供給手段は、前記配置手段が前記転写部を配置したあとに供給することを特徴する請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記供給手段は、前記溶液を前記半導体基板毎に所定量供給することを特徴する請求項1または請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記転写部は、前記半導体基板の表面と対向する平面を備えることを特徴する請求項1乃至請求項3に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記対向する平面に前記触媒をさらに備えることを特徴する請求項4に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記対向する平面に均等に供給すべく、前記所定量の溶液を分配する分配手段をさらに備えることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の半導体製造装置。
【請求項7】
前記転写部の配置位置を制御する配置位置制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
前記触媒は、前記溶液の分解触媒であることを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
前記溶液は、前記半導体基板を酸化しかつ溶解する機能を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
前記基板はシリコン基板であることを特徴とする請求項1乃至請求項9に記載の半導体製造装置。
【請求項11】
前記半導体は太陽電池であることを特徴とする請求項1乃至請求項10に記載の半導体製造装置。
【請求項12】
前記溶液は、温度を加熱保温していることを特徴とする請求項1乃至請求項11に記載の半導体製造装置。
【請求項13】
前記分配手段に使用する部材はテフロンであり、前記テフロンの表面を親水性に加工することを特徴とする請求項6乃至請求項11に記載の半導体製造装置。
【請求項14】
転写部の形状を半導体基板の表面に転写する半導体製造装置による半導体製造方法であって、
溶液が通過する穴があり、前記溶液の触媒として作用する前記転写部を、前記半導体基板の表面近傍に配置する配置工程と、
前記溶液を前記転写部よりも上部から、前記穴を介して前記半導体基板の表面近傍に供給する供給工程と、
を含むことを特徴する半導体製造方法。
【請求項1】
転写部の形状を半導体基板の表面に転写する半導体製造装置であって、
溶液が通過する穴があり、前記溶液の触媒として作用する前記転写部を、前記半導体基板の表面近傍に配置する配置手段と、
前記溶液を前記転写部よりも上部から、前記穴を介して前記半導体基板の表面近傍に供給する供給手段と、
を備えることを特徴する半導体製造装置。
【請求項2】
前記供給手段は、前記配置手段が前記転写部を配置したあとに供給することを特徴する請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記供給手段は、前記溶液を前記半導体基板毎に所定量供給することを特徴する請求項1または請求項2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記転写部は、前記半導体基板の表面と対向する平面を備えることを特徴する請求項1乃至請求項3に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記対向する平面に前記触媒をさらに備えることを特徴する請求項4に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記対向する平面に均等に供給すべく、前記所定量の溶液を分配する分配手段をさらに備えることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の半導体製造装置。
【請求項7】
前記転写部の配置位置を制御する配置位置制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
前記触媒は、前記溶液の分解触媒であることを特徴とする請求項1乃至請求項7に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
前記溶液は、前記半導体基板を酸化しかつ溶解する機能を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
前記基板はシリコン基板であることを特徴とする請求項1乃至請求項9に記載の半導体製造装置。
【請求項11】
前記半導体は太陽電池であることを特徴とする請求項1乃至請求項10に記載の半導体製造装置。
【請求項12】
前記溶液は、温度を加熱保温していることを特徴とする請求項1乃至請求項11に記載の半導体製造装置。
【請求項13】
前記分配手段に使用する部材はテフロンであり、前記テフロンの表面を親水性に加工することを特徴とする請求項6乃至請求項11に記載の半導体製造装置。
【請求項14】
転写部の形状を半導体基板の表面に転写する半導体製造装置による半導体製造方法であって、
溶液が通過する穴があり、前記溶液の触媒として作用する前記転写部を、前記半導体基板の表面近傍に配置する配置工程と、
前記溶液を前記転写部よりも上部から、前記穴を介して前記半導体基板の表面近傍に供給する供給工程と、
を含むことを特徴する半導体製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−41898(P2013−41898A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176456(P2011−176456)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【出願人】(594056384)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【出願人】(594056384)
【Fターム(参考)】
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