説明

半導体集積回路、液晶表示装置、および半導体集積回路の検査方法

【課題】短時間の電圧印加によって、高い精度で異物の混入が検知可能な半導体集積回路、および半導体集積回路の検査方法を実現する。
【解決手段】本発明の半導体集積回路の検査方法では、半導体集積回路の信号配線L1〜L4の近辺に設けられた複数のダミー配線LD1・LD2に電圧を印加することにより、互いに隣接するダミー配線LD1とダミー配線LD2との間に電位差を設ける。ダミー配線LD1とダミー配線LD2との間に異物が混入していた場合、発生するリーク電流を測定することにより、異物を検出する。さらに、ダミー配線LD1・LD2は、他の信号配線と電気的に独立しているため、高い電圧を印加することができる。これにより、異物とダミー配線との間に絶縁膜等が存在しても、絶縁膜等をより確実に破壊でき、テスト工程における異物の検出精度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路内の異物混入の有無を検査するための試験に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自家用車等の車内に液晶表示装置が搭載されることが多くなってきている。液晶表示装置は、ナビゲーション等を行う表示だけでなく、自動車のスピード等を表示する部分にも使用されるようになってきている。このため、液晶表示装置に使用する駆動用ドライバLSIは、自動車で使用される他の部品と同様の高い信頼性を要求されている。
【0003】
そこで、LSIの高信頼性を満たすため、製造工程でLSIに異物が付着しないように管理すると共に、製造工程で異物が付着したLSIをテスト工程で検出することにより、異物が付着したLSIの出荷を防止している。
【0004】
異物が配線間に付着している場合、配線間がショートするので、リーク電流が発生する。このため、テスト工程では、配線間のリーク電流を測定することにより、異物が付着したLSIを検出する。
【0005】
ここで、駆動用ドライバLSIの配線間に付着した異物が完全に配線間をショートしている場合は、電気的な測定で異物を検知できる。しかしながら、異物と配線との間に薄い絶縁膜等があり、配線間が完全にショートしていない場合は、電気的な測定では異物を検知できない。
【0006】
そこで、上記のテスト工程では、LSI内部で配線同士の電位差ができるだけ高くなるようにストレスを印加して、異物と配線との間にある絶縁膜等を破壊するストレス試験を取り入れている。これにより、電気的測定で異物を検知することができるようになり、異物が付着したLSIをテスト工程で除去できる。
【0007】
例えば、液晶駆動用ドライバに設けられる階調表示基準電圧生成回路におけるストレス試験について、以下に説明する。階調表示基準電圧生成回路は、アクティブマトリックス方式の液晶表示装置において、抵抗分割により中間電圧を生成して液晶素子を駆動する回路である。
【0008】
図17は、階調表示基準電圧生成回路901の構成を示している。階調表示基準電圧発生回路901は、基準電圧(中間調電圧)がそれぞれ入力される9個の端子VI0・VI8・VI16・VI24・VI32・VI40・VI48・VI56・VI63、およびγ補正のための抵抗比を持たせた8個の抵抗素子R0〜R7を備えている。抵抗素子R0を7等分した箇所、および各抵抗素子R1〜R7を8等分した箇所には、それぞれ階調配線が接続され、64階調の階調表示基準電圧V0〜V63がそれぞれ出力される。なお、階調表示基準電圧のレベル数が、表示可能な階調数となる。
【0009】
ここで図17のような階調表示基準電圧生成回路では、端子VI0と端子VI8との間にストレス電圧を印加し、同様に、端子VI8〜端子VI63の各端子間にも、順次ストレス電圧を印加する。各端子間の階調配線間に異物が混入している場合、階調配線間の電圧により異物と配線との間にある絶縁膜等が破壊されると、その後のテスト工程においてリーク電流の有無を測定することにより、異物を検知することができる。
【0010】
また、特許文献1では、表示器用階調配線の配線を工夫することにより、各階調配線にさらに高いストレス電圧を印加できる構成が開示されている。
【0011】
図18は、特許文献1に係る階調表示基準電圧生成回路902の構成を示す回路図である。階調表示基準電圧生成回路902では、前半部分の階調配線W1〜W17aと、後半部分の階調配線W17b〜W33とが互い違いに配置され、入力端子V1〜V4には0Vを印加し、入力端子V5〜V9には、例えば12Vのストレス電圧を印加する。これにより、前半部分の階調配線W1・W5・W9・W13・W17aのそれぞれの間は抵抗素子R1により分圧され、後半部分の階調配線W17b・W21・W25・W29・W33のそれぞれの間は抵抗素子R2により分圧されるにもかかわらず、階調配線W1〜W17aの電位は全て0Vとなる一方、階調配線W17b〜W33の電位は全て12Vとなる。すなわち、各階調配線間の電位差は、いずれも12Vとなる。
【0012】
なお、図17に示す階調表示基準電圧生成回路901では、各階調配線間の電位差は、各端子に印加されるストレス電圧を分圧した電位差となる。これに対し、階調表示基準電圧生成回路902では、各階調配線間の電位差は印加されるストレス電圧と等しいので、さらに高い確率で絶縁膜等を破壊することができる。これにより、階調表示基準電圧生成回路901の構成に比べ、その後のテスト工程において、階調配線間に混入した異物の検出精度をさらに向上させることができる。
【特許文献1】特開2001−290128号公報(2001年10月19日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来の構成では、半導体集積回路の最大定格電圧より高いストレス電圧をかけることができないという問題を生じる。
【0014】
具体的には、従来の構成では、ストレス電圧は半導体素子がつながる信号配線や階調配線に印加されるため、半導体集積回路の最大定格電圧より高いストレス電圧を印加すると、回路内部の素子が破壊される虞がある。このため、信号配線や階調配線に印加されるストレス電圧は、最大定格電圧以下に抑える必要がある。
【0015】
しかしながら、ストレス電圧を最大定格電圧と等しくした場合、ユーザの使用時に絶縁膜等の状態が変化し、初期故障の原因となる、絶縁膜等をより確実に破壊するためには、ストレス電圧の印加時間を長くする必要がある。このため、ストレス試験の試験時間が長くなり、ウエハテスト生産効率が低下してしまう。
【0016】
さらに、従来の構成では、信号配線にストレス電圧を印加することによっては電位差を設けられない配線がある場合、当該配線間にある異物を検出できないという問題を生じる。例えば、液晶駆動用ドライバの出力回路のオペアンプ回路における非反転側信号配線と反転側信号配線との間はほとんど等電位であるため、配線にストレス電圧を印加することによっては、両配線間に電位差を設けることができない。そのため、上記両配線間に異物が混入していた場合に、従来のストレス試験では異物を検出できない虞がある。
【0017】
図19は、出力回路903の構成を示す回路図である。一般に、出力回路903は、オペアンプの出力を反転入力にフィードバックを行うボルテージフォロワの回路により構成されており、電源電圧範囲いっぱいの出力振幅が得られる広いダイナミックレンジを必要とするため、レイル・ツー・レイル型のオペアンプ回路OPが使用される。
【0018】
オペアンプ回路OPの非反転入力端子IN+には、後述するD/A変換回路から出力される電圧VINが入力され、出力端子OUTを反転入力端子IN−に帰還させることにより、オペアンプ回路OPはボルテージフォロワの回路として動作する。ここで、出力端子OUTの電圧VOUTは、非反転入力端子IN+に入力される電圧VINと等しくなるため、非反転入力端子IN+と反転入力端子IN−とは等電位となる。
【0019】
図20は、オペアンプ回路OPの差動部904の詳細を示す回路図である。オペアンプ回路OPの差動部には、PMOSトランジスタであるトランジスタQ1・Q2から構成される第1差動対、およびNMOSトランジスタであるトランジスタQ3・Q4から構成される第2差動対が設けられている。トランジスタQ1・Q3のゲートは、非反転側信号配線L1によって互いに接続され、オペアンプ回路OPの非反転入力端子IN+を構成する。トランジスタQ1・Q2のゲートは、反転側信号配線L2によって互いに接続され、オペアンプ回路OPの反転入力端子IN−を構成する。
【0020】
なお、トランジスタQ1・Q3のドレインは、信号配線L3によって互いに接続され、トランジスタQ2・Q4のドレインは、信号配線L4によって互いに接続される。
【0021】
差動対を構成するトランジスタは、トランジスタ特性を限りなく等しくする必要があり、設計上のトランジスタサイズだけでなく、製造条件も同じにする必要がある。このため、差動対を構成するトランジスタはチップ上の同じ位置に配置され、差動対を構成するトランジスタの信号配線も、トランジスタ付近では近接して配置される。
【0022】
図21は、差動部904のレイアウトパターンを示す平面図である。トランジスタQ1・Q3およびトランジスタQ2・Q4は、各々のトランジスタのゲート幅を2等分し、それぞれ対角線上に配置される。このように配置することにより、製造時のアライメントづれ等によりトランジスタサイズが微変動した場合、差動対のトランジスタ双方が同じように影響を受けるため、トランジスタサイズが異なることを防ぐことができる。
【0023】
なお、斜線の入った信号配線は、下層の信号配線であり、半透明に描かれた信号配線は、上層の信号配線である。トランジスタQ1〜Q4において、ゲート・ドレイン・ソースの各電極は、コンタクトを介して下層の信号配線と接続されている。下層の信号配線と上層の信号配線とは、スルーホールによって互いに接続されている。
【0024】
上記のように、ゲートが互いに接続されるトランジスタQ1・Q3およびトランジスタQ2・Q4は、互いに対角線上に配置されるため、非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2とは、各トランジスタのゲート上を互いに並走するように配置されることとなる。ここで、非反転入力端子IN+に入力される電圧VINは、反転入力端子IN−に入力される電圧VOUTに等しいため、非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2とは常に等電位となる。このため、上記のストレス試験では、非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2との間にストレス電圧を印加することができない。
【0025】
したがって、並走する非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2との間に異物が混入し、異物と信号配線との間に絶縁膜等がある場合、ストレス試験で絶縁膜等を破壊することができず、その後のテスト工程で、異物が混入したLSIを検出できないという問題が生じる。2値で判断するデジタル回路では、異物により微小リークが発生しても動作に影響は少ないが、アナログ回路では致命的な不良となる場合がある。
【0026】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、短時間の電圧印加によって、高い精度で異物の混入が検知可能な半導体集積回路、および半導体集積回路の検査方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明に係る半導体集積回路は、上記課題を解決するために、信号配線と電気的に独立している複数のダミー配線を備え、上記ダミー配線は、互いに隣接する2本のダミー配線が電位差を有するように配置されることを特徴としている。
【0028】
通常、半導体集積回路内への異物の混入は、製造工程におけるダスト発生が原因となって発生するため、異物は半導体集積回路内に分散して混入している。したがって、半導体集積回路内のいずれかに異物が検知された場合、信号配線にも異物が混入している虞があるため、半導体集積回路を不良と判定することが妥当である。
【0029】
上記の構成によれば、ダミー配線は、互いに隣接する2本のダミー配線が電位差を有するように配置されているので、ダミー配線間に異物が混入していた場合、異物の抵抗によりダミー配線間でリーク電流が発生する。また、異物とダミー配線との間に絶縁膜等が存在していても、絶縁膜等を破壊することができるため、ダミー配線間でリーク電流が発生する。したがって、テスト工程において、リーク電流を測定することにより、半導体集積回路内に異物が混入しているか否かを高い精度で判定できる。また、ダミー配線が信号配線付近に設けられている場合、信号配線への異物混入をさらに高い精度で判定できる。
【0030】
さらに、各ダミー配線は、半導体集積回路内の信号配線と電気的に独立しているので、ダミー配線に高電圧を印加しても、半導体集積回路内の半導体素子等に電圧は印加されない。よって、ダミー配線に高電圧を印加して、ダミー配線間に高い電位差を設けることにより、異物と信号配線との間の絶縁膜等をさらに高い確率で破壊できる。このため、従来のストレス試験では検知できない異物を検知することができ、さらに、電圧印加時間も短時間で済む。したがって、短時間の電圧印加によって、高い精度で異物の混入が検知可能な半導体集積回路を実現できるという効果を奏する。
【0031】
本発明に係る半導体集積回路は、さらにアナログ回路を含むことが好ましい。
【0032】
上記のように、異物によって信号配線からリーク電流が発生すると、アナログ回路の場合は、デジタル回路に比べ致命的な不良となる場合がある。そこで、上記の構成によれば、アナログ回路を含む半導体集積回路内にダミー配線が配置されているので、回路内の異物を高い精度で検出することにより、致命的な不良を回避できる。
【0033】
本発明に係る半導体集積回路では、上記複数のダミー配線は、柵状の配線パターンを形成していることが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、複数のダミー配線が、柵状の配線パターンを形成しているので、混入した異物に電圧を印加できる領域を広く確保できる。したがって、異物をさらに効率よく検知できる。
【0035】
本発明に係る半導体集積回路では、さらに増幅回路を含み、当該増幅回路の非反転入力端子に接続された非反転側信号配線と反転入力端子に接続された反転側信号配線とが並行に配置された領域において、互いに隣接する少なくとも2本のダミー配線が、上記非反転側信号配線と上記反転側信号配線との間に設けられることが好ましい。
【0036】
半導体集積回路の信号配線のうち、増幅回路の非反転側信号配線および反転側信号配線は常に等電位であるので、従来の構成では両配線間に電位差を設けることができない。そのため、両配線間に異物があり、異物と信号配線との間の絶縁膜等が存在しても、ストレス試験で、絶縁膜等を破壊することができない虞がある。絶縁膜等を破壊することができない場合、リーク電流が発生しないため、テスト工程において高い精度で異物を検出することはできない。
【0037】
一方、上記の構成では、互いに隣接する少なくとも2本のダミー配線が非反転側信号配線と反転側信号配線との間に設けられる。したがって、ダミー配線間に電圧を印加することにより、異物によるダミー配線間のリーク電流が生じるようになる。これにより、非反転側信号配線と反転側信号配線との間の異物も検出できるようになるので、異物の検出精度をさらに向上させることができる。
【0038】
本発明に係る半導体集積回路では、上記電位差は、上記半導体集積回路の最大定格電圧より高いことが好ましい。
【0039】
従来のストレス試験では、信号配線にストレス電圧を印加していたため、回路の最大定格電圧より高いストレス電圧を印加することができない。そのため、異物と信号配線との間の絶縁膜等を破壊することができない場合があった。一方、上記の構成では、互いに隣接する2本のダミー配線間の電位差は、上記半導体集積回路の最大定格電圧より高いので、異物とダミー配線との間に絶縁膜等が存在していても、絶縁膜等をより確実に破壊することができる。また、リーク電流値も大きくなるので、テスト工程においてリーク電流の測定がさらに容易になる。したがって、異物の検出精度をさらに向上させることができ、また、電圧の印加も短時間で済むので、試験時間をさらに短くすることができる。
【0040】
本発明に係る液晶表示装置では、上記半導体集積回路を液晶駆動回路として備えることが好ましい。
【0041】
上記の構成によれば、液晶表示装置は、複数のダミー配線が設けられた半導体集積回路を液晶駆動回路として備えている。これにより、テスト工程において異物の混入した液晶駆動回路をより高い精度で検出することが可能となり、故障の少ない液晶表示装置を提供することができる。
【0042】
本発明に係る半導体集積回路の検査方法は、上記課題を解決するために、半導体集積回路内の信号配線と電気的に独立した複数のダミー配線に対し、互いに隣接する2本のダミー配線が電位差を有するように電圧を印加する第1工程と、上記電圧の印加時に、上記隣接するダミー配線間のリーク電流を測定することにより上記半導体集積回路の良否を判定する第2工程とを含むことを特徴としている。
【0043】
上記の構成によれば、第1工程では、複数のダミー配線に対し、互いに隣接する2本のダミー配線が電位差を有するように電圧を印加することにより、ダミー配線間に異物が混入していた場合、異物の抵抗によりダミー配線間のリーク電流が発生する。また、異物とダミー配線との間に絶縁膜等が存在していても、絶縁膜等を破壊することができるため、ダミー配線間でリーク電流が発生する。これにより、テスト工程である第2工程において、リーク電流を測定することにより、半導体集積回路の良否を判定する。
【0044】
ここで、各ダミー配線は、半導体集積回路内の信号配線と電気的に独立しているので、ダミー配線に高電圧を印加しても、半導体集積回路内の半導体素子等に電圧は印加されない。したがって、ダミー配線に高電圧を印加して、ダミー配線間に高い電位差を設けることにより、異物と信号配線との間の絶縁膜等をさらに高い確率で破壊でき、また、電圧の印加時間も短時間で済む。したがって、短時間の電圧印加によって、高い精度で異物の混入が検知可能な半導体集積回路の検査方法を実現できるという効果を奏する。
【0045】
本発明に係る半導体集積回路の検査方法では、上記半導体集積回路は、さらにアナログ回路を含むことが好ましい。
【0046】
上記のように、異物によって信号配線からリーク電流が発生すると、アナログ回路の場合は、デジタル回路に比べ致命的な不良となる場合がある。そこで、上記の構成によれば、アナログ回路を含む半導体集積回路内にダミー配線が配置されているので、回路内の異物を高い精度で検出することにより、致命的な不良を回避できる。
【0047】
本発明に係る半導体集積回路の検査方法では、上記複数のダミー配線は、柵状の配線パターンを形成していることが好ましい。
【0048】
上記の構成によれば、複数のダミー配線が、柵状の配線パターンを形成しているので、混入した異物に電圧を印加できる領域を広く確保できる。したがって、異物をさらに効率よく検知できる。
【0049】
半導体集積回路の信号配線のうち、増幅回路の非反転側信号配線および反転側信号配線は常に等電位であるので、従来の構成では両配線間に電位差を設けることができない。そのため、両配線間に異物があり、異物と信号配線との間の絶縁膜等が存在しても、ストレス試験で、絶縁膜等を破壊することができない虞がある。絶縁膜等を破壊することができない場合、リーク電流が発生しないため、テスト工程において高い精度で異物を検出することはできない。
【0050】
一方、上記の構成では、互いに隣接する少なくとも2本のダミー配線が非反転側信号配線と反転側信号配線との間に設けられる。したがって、ダミー配線間に電圧を印加することにより、異物によるダミー配線間のリーク電流が生じるようになる。これにより、非反転側信号配線と反転側信号配線との間の異物も検出できるようになるので、異物の検出精度をさらに向上させることができる。
【0051】
本発明に係る半導体集積回路の検査方法では、上記電位差は、上記半導体集積回路の最大定格電圧よりも高いことが好ましい。
【0052】
従来のストレス試験では、信号配線にストレス電圧を印加していたため、回路の最大定格電圧より高いストレス電圧を印加することができない。そのため、異物を信号配線との間の絶縁膜等を確実に破壊することができなかった。一方、上記の構成では、互いに隣接する2本のダミー配線間の電位差は、上記半導体集積回路の最大定格電圧より高いので、異物とダミー配線との間に絶縁膜等が存在していても、絶縁膜等をより確実に破壊することができる。また、リーク電流値も大きくなるので、第2工程において、リーク電流の測定がさらに容易になる。したがって、異物の検出精度をさらに向上させることができ、また、電圧の印加も短時間で済むので、試験時間をさらに短くすることができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明に係る半導体集積回路は、以上のように、信号配線と電気的に独立している複数のダミー配線を備え、上記ダミー配線は、互いに隣接する2本のダミー配線が電位差を有するように配置される。また、本発明に係る半導体集積回路の検査方法は、半導体集積回路内の信号配線と電気的に独立した複数のダミー配線に対し、互いに隣接する2本のダミー配線が電位差を有するように電圧を印加する第1工程と、上記電圧の印加時に、上記隣接するダミー配線間のリーク電流を測定することにより上記半導体集積回路の良否を判定する第2工程とを含む。したがって、短時間の電圧印加によって、高い精度で異物の混入が検知可能な半導体集積回路、および半導体集積回路の検査方法を実現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図7に基づいて説明すると以下の通りである。
【0055】
図1は、本実施形態に係る差動部1のレイアウトパターンを示す平面図である。差動部1は、図21に示す差動部904に、さらに複数のダミー配線LD1・LD2を設けた構成であり、図19に示すオペアンプ回路OPに設けられる。ダミー配線LD1・LD2は、メタルの配線のみにて構成され、オペアンプ回路OPに設けられる他の信号配線とは電気的に独立している。そのため、差動部1の電気的な接続を示す回路図は、図20に示す差動部904の回路図と同一である。
【0056】
ダミー配線LD1・LD2は、例えば、信号配線の近辺に設けられ、図1では、差動部1を覆うように、信号配線L1〜L4が設けられる層の上層に柵状に設けられている。また、図1では、ダミー配線LD1とダミー配線LD2とは、それぞれ8本図示されており、さらに、ダミー配線LD1とダミー配線LD2とが隣接するように、互い違いに配置されている。
【0057】
電圧印加工程(第1工程)では、互いに隣接する2本のダミー配線が電位差を有するように、ダミー配線LD1とダミー配線LD2との間に電圧が印加される。ダミー配線LD1・LD2は、他の信号配線とは電気的に独立しているので、ダミー配線LDには増幅回路が設けられるLSI(半導体集積回路)の最大定格電圧より高い電圧を印加することができる。例えば、本実施形態では、LSIの最大定格電圧が15Vの場合、印加する電圧を20Vに設定する。
【0058】
テスト工程(第2工程)では、電圧の印加時に、互いに隣接するダミー配線間のリーク電流を測定し、LSIの良否を判定する。互いに隣接するダミー配線間に異物が存在しない場合、リーク電流は零になる。しかしながら、ダミー配線間に異物が混入していた場合、異物の抵抗によりリーク電流が発生する。このリーク電流を検出することにより、少なくともLSI内部に異物が存在すると判定できる。
【0059】
なお、ダミー配線に付着した異物とダミー配線との間に絶縁膜等が存在している場合であっても、電圧を印加することにより、当該絶縁膜等を破壊することができる。絶縁膜等が破壊されると、ダミー配線間が完全にショートするようになるため、リーク電流が発生する。そのため、電圧印加工程を経ることにより、テスト工程において、より高い精度で異物が存在すると判定できる。本実施形態では、例えば、1μA以上のリーク電流が発生した場合を不良とする。なお、LSIの回路構成、信頼性の要求度合い等により、LSIを不良とするリーク電流の下限値は異なる。
【0060】
通常、LSI内部への異物の混入は、製造工程におけるダスト発生が原因となって発生するため、異物はLSI内部に分散して混入している。したがって、LSI内部のいずれかに異物が検知された場合、信号配線にも異物が混入している虞があるため、LSIを不良と判定することが妥当である。本実施形態に係る構成では、高い精度でLSI内部に異物が存在するか否かを判定できるので、LSIの良否を精度よく判定することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、LSIの最大定格電圧より高い電圧を印加することができるため、従来のストレス試験に比べ、ダミー配線に付着した異物とダミー配線との間に存在する絶縁膜等を、より確実に破壊することができる。また、印加する電圧を高くすることにより、電圧の印加時間を短くすることができ、LSIの生産効率を向上させることができる。さらに、テスト工程でのリーク電流値も大きくなるので、リーク電流の検出が容易になる。
【0062】
なお、印加する電圧を高くしすぎると、配線間の絶縁層が破壊される虞があるので、印加する電圧の上限値は、LSIの構造、材料等の製造プロセスにより、配線間の絶縁層が破壊されない値に設定される。
【0063】
続いて、互いに隣接するダミー配線間に電圧を与えるための構成について説明する。
【0064】
図2は、ダミー配線LD1・LD2と、後述する液晶表示装置のソースドライバの出力回路148との配置関係を示す概略図である。出力回路148は、図1に示す差動部1を備える増幅回路を含み、ソースドライバ内に複数配置される。ダミー配線LD1およびダミー配線LD2は、ともに各出力回路148に分岐するように配置されており、ダミー配線LD1はダミー配線用パッドPAに接続され、ダミー配線LD2はダミー配線用パッドPBに接続されている。
【0065】
図3は、図2の破線内の部分の詳細を示しており、ダミー配線LD1とダミー配線LD2とで形成されるダスト検知パターンを示す拡大図である。各ダミー配線LD1・LD2の分岐部分は、くし型形状のパターンを形成しており、一方のくし型形状パターンの間隙部分に他方のくし型形状パターンの枝部分を差し込んで、互いの分岐部分を嵌め込むように、ダスト検知パターンが形成されている。これにより、ダミー配線LD1とダミー配線LD2とが、互い違いに配置され、互いに隣接する2本のダミー配線が略平行になるように、ダスト検知パターンは柵状の配線パターンとなる。なお、ダミー配線のパターンは、くし型に限定されず、螺旋状等であってもよい。
【0066】
図2に示すダミー配線用パッドPAとダミー配線用パッドPBとの間には、図4に示すように、電源Eによって電圧が与えられる。電源Eは、液晶表示装置の他の駆動電源とは別系統の電源である。なお、ダミー配線用パッドは、液晶表示装置内に3個以上設けたほうがダミー配線LDのインピーダンスを低減できる。
【0067】
なお、通常の集積回路には、高電圧のサージ電圧から回路を保護するためのダイオードなどの保護素子が設けられている。通常保護素子は電源端子とGND端子に対してサージ電圧による電流を流す回路を設ける。このため入力端子に電源電圧以上の電圧を与えると、保護素子により電源方向に電流が流れ、電圧を上げることができない。電源端子に与える電圧を上げれば、入力端子に与える電圧も上げられるが、電源端子は、集積回路内部の素子につながるため最大定格を超えることはできない。このため、保護素子を設けた端子は最大定格電圧を越えた電圧を与えることはできない。一方、ダミー配線用パッドPAおよびダミー配線用パッドPBには、ダミー配線LD1とダミー配線LD2との間にLSIの電源電圧を超える電圧が印加できるように、保護素子は設けられていない。
【0068】
なお、保護素子を設けた場合、図5のように、印加する電圧が電源電圧VDDを超えると、ダミー配線用パッドPAから駆動電源への電流が発生し、ダミー配線LD1とダミー配線LD2との間に電源電圧VDDを超える電圧を印加することができなくなる。
【0069】
続いて、ダミー配線の配置パターンの変形例について説明する。
【0070】
図6は、本実施形態に係る差動部11のレイアウトパターンを示す平面図である。差動部11のレイアウトパターンは、図1に示す差動部1において、ダミー配線LD1・LD2を上層に設ける代わりに、ダミー配線LD1・LD2を1本ずつ非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2との間に設けたものである。
【0071】
図1に示す差動部1では、非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2とが互いに並走する部分において、非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2とは常に等電位となる。したがって、従来のストレス試験では、非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2との間に異物が付着していた場合、配線間にストレス電圧を印加することができない。
【0072】
そこで、図6に示す差動部11では、電圧印加工程において、ダミー配線LD1とダミー配線LD2との間に電圧を印加する。これにより、非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2との間に異物が付着していた場合でも、テスト工程において、リーク電流が発生する。差動部11では、非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2との間にのみダミー配線LDを設けているので、差動部11の近辺の異物は検出できないが、従来の構成では検出できなかった非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2との間の異物を高い精度で検出できる。なお、非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2との間に、ダミー配線を3本以上配置してもよい。
【0073】
図7は、本実施形態に係る差動部21のレイアウトパターンを示す平面図である。差動部21のレイアウトパターンは、図6に示す差動部11において、さらに上層にもダミー配線LD1・LD2を設けたものである。非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2との間に配置された下層側のダミー配線LD1およびダミー配線LD2は、それぞれ上層側のダミー配線LD1およびダミー配線LD2と、スルーホールを介して接続されている。
【0074】
当該構成では、電圧印加工程において、ダミー配線LD1とダミー配線LD2との間に電圧を印加し、テスト工程において、リーク電流を測定することにより、非反転側信号配線L1と反転側信号配線L2との間の異物を検出できるだけでなく、差動部21の近辺の異物も高い精度で検出できる。
【0075】
電圧を印加する電源について、図7に示す構成では、下層側のダミー配線LD1および下層側のダミー配線LD2が、図2に示すダミー配線用パッドPAおよびダミー配線用パッドPBにそれぞれ接続されている。なお、下層側のダミー配線LD1・LD2間に電圧を印加する電源と、上層側のダミー配線LD1・LD2間に電圧を印加する電源とは異なっていてもよく、この場合は、下層側のダミー配線と上層側のダミー配線とを接続するスルーホールは不要となる。
【0076】
また、図1、図6および図7では、増幅回路の差動部の上層にダミー配線を設ける構成について説明したが、これに限るものではない。ダミー配線を設ける位置はそれほど厳密に定める必要はなく、回路内の空きスペースに合わせてダミー配線の配線パターンの形状を変化させてもよい。したがって、差動部と同一の層にダミー配線を設けてもよい。また、ダミー配線を増幅回路の差動部以外における他の信号配線の近辺に設けてもよい。
【0077】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図8ないし図16に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態では、実施の形態1に係る出力回路148を備えたTFT(薄膜トランジスタ)方式の液晶表示装置の構成を説明する。
【0078】
図8は、本実施の形態に係る液晶表示装置100の要部構成を示すブロック図である。液晶表示装置100は、アクティブマトリックス方式の代表例であるTFT(薄膜トランジスタ)方式の液晶表示装置であり、TFT方式の液晶パネル110、対向電極120、ソースドライバ部130、ゲートドライバ部150、コントローラ170および液晶駆動電源180を有している。
【0079】
対向電極120は、相互に連結された1つの共通電極であり、液晶パネル110内に設けられる。
【0080】
ソースドライバ部130は、複数のソースドライバ140を備えており、ゲートドライバ部150は、複数のゲートドライバ160を備えている。コントローラ170は、外部から入力された表示データに基づいて、ソースドライバ部130にデジタル信号である表示データDおよび制御信号S1を入力する。また、コントローラ170は、ゲートドライバ部150に、制御信号S2を入力する。液晶駆動電源180は、外部基準電圧VRを発生する回路であり、ソースドライバ140に設けられる階調表示基準電圧生成回路147(後述)に外部基準電圧VRを印加する。
【0081】
ソースドライバ部130は、コントローラ170から入力された表示データDを時分割して複数のソースドライバ140にラッチする。各ソースドライバ140は、時分割された表示データDをD/A(デジタル/アナログ)変換することにより、表示対象画素の明るさに応じた階調表示用のアナログ電圧(以下、「階調表示電圧」)を液晶パネル110に出力する。
【0082】
図9は、液晶パネル110の構成を示す回路図である。液晶パネル110には、ソース信号ライン111、ゲート信号ライン112、対向電極(共通電極)120および液晶表示素子113が設けられている。
【0083】
ソース信号ライン111は、所定の間隔を空けて互いに平行に複数本設けられている。一方、ゲート信号ライン112は、ソース信号ライン111と直交する方向に、所定の間隔を空けて互いに平行に複数本設けられている。
【0084】
液晶表示素子113は、ソース信号ライン111とゲート信号ライン112との各交差点に設けられており、画素容量114、画素電極115およびTFT116を有している。画素容量114の一端は、画素電極115に結合されており、画素容量114の他端は、対向電極120に結合されている。TFT116は、画素電極115への電圧印加をオンオフ制御する。TFT116のソースはソース信号ライン111に接続され、TFT116のゲートはゲート信号ライン112に接続され、TFT116のドレインは画素電極115に結合されている。
【0085】
ソース信号ライン111には、図8に示すソースドライバ部130から、階調表示電圧が出力される。一方、ゲート信号ライン112には、図8に示すゲートドライバ部150から、列方向に並んだTFT116を順次オンするための走査信号が与えられる。
【0086】
TFT116がオン状態の場合、画素電極115にソース信号ライン111からの階調表示電圧が印加され、画素容量114に電荷が蓄積される。これにより、液晶の光透過率が階調表示電圧に応じて変化して、画素表示が行われる。
【0087】
図10(a)は、ソースドライバ部130からの階調表示電圧が高い時の液晶駆動波形を示す波形図であり、図10(b)は、ソースドライバ部130からの階調表示電圧が低い時の液晶駆動波形を示す波形図である。図10(a)および(b)において、ソースドライバ駆動電圧131は、ソースドライバ部130による階調表示電圧を表す波形である。ゲートドライバ駆動電圧151は、ゲートドライバ部150による駆動電圧を表す波形である。対向電極電位121は、対向電極120の電位波形を表している。画素電極電圧132は、画素電極115における電圧波形を表している。ここで、液晶材料に印加される電圧は、画素電極115と対向電極120との間の電位差によって表され、図10(a)および(b)においては、斜線で示されている。
【0088】
例えば、図10(a)では、ゲートドライバ駆動電圧151のレベルが「ハイレベル」の期間だけTFT116がオンし、ソースドライバ駆動電圧131と対向電極電位121との間の差を表す電圧が、画素電極115に印加される。その後、ゲートドライバ駆動電圧151のレベルは「ローレベル」になると、TFT116はオフ状態となる。その場合、画素容量114によって、TFT116がオン状態における上述の電圧が維持される。
【0089】
図10(b)の場合も同様である。ただし、図10(b)の場合は、図10(a)の場合と比べてソースドライバ駆動電圧131が低いため、液晶材料に印加される電圧も低くなっている。
【0090】
このように、液晶材料に印加する電圧をアナログ電圧として変化させることによって、液晶の光透過率をアナログ的に変え、多階調表示を実現している。なお、表示可能な階調数は、液晶材料に印加されるアナログ電圧の選択肢の数によって決定される。
【0091】
続いて、図11に基づいて、図8に示すソースドライバ140の構成について説明する。
【0092】
図11は、ソースドライバ140の概略構成を示すブロック図である。ソースドライバ140は、シフトレジスタ141、入力ラッチ回路142、サンプリングメモリ143、ホールドメモリ144、レベルシフタ回路145、D/A変換回路(デジタル・アナログ変換回路)146、出力回路148および階調表示基準電圧生成回路147を備えている。
【0093】
シフトレジスタ141には、図8に示すコントローラ170から制御信号S1が入力される。制御信号S1は、スタートパルスSPおよびクロックCKを含んでおり、シフトレジスタ141は、スタートパルスSPおよびクロックCKに基づいてシフト動作を実行する。なお、端子Sはカスケード出力端子である。
【0094】
入力ラッチ回路142には、コントローラ170から表示データDが入力される。表示データDは、R(赤)、G(緑)およびB(青)のデータ(DR、DGおよびDB)から構成され、入力ラッチ回路142は、それらのデータをラッチする。
【0095】
サンプリングメモリ143は、ソースドライバ140に64個設けられる。各サンプリングメモリ143は、入力ラッチ回路142によってラッチされた表示データを、シフトレジスタ141のシフト動作に応じて、時分割によって記憶する。各サンプリングメモリ143に記憶された表示データDは、コントローラ170からの水平同期信号に同期して生成される信号(図示せず)に基づいてホールドメモリ144に一括転送される。
【0096】
各ホールドメモリ144に転送された表示データDは、レベルシフタ回路145を介してD/A変換回路(デジタル・アナログ変換回路)146に出力される。また、階調表示基準電圧生成回路147は、図8に示す液晶駆動電源180から供給される外部基準電圧VRに基づいて、64階調の階調表示基準電圧を生成し、各レベルの階調表示基準電圧をD/A変換回路146に出力する。
【0097】
各D/A変換回路146は、レベルシフタ回路145から転送された表示データDに基づいて、上記の64階調の階調表示基準電圧のうちの1つを選択することにより、表示データDをアナログ電圧信号に変換する。
【0098】
図12は、D/A変換回路146の構成を示す回路図である。D/A変換回路146には、階調表示基準電圧(V0〜V63)を供給する64本の基準電圧配線、信号D0〜D5・D0B〜D5Bがそれぞれ入力される配線およびアナログスイッチ1461が設けられている。上記基準電圧配線は、階調表示基準電圧V0・V1・V2…V62・V63の順番に配置されている。信号D0B・D1B・D2B・D3B・D4B・D5Bは、それぞれ信号D0・D1・D2・D3・D4・D5の反転信号である。
【0099】
図13(a)は、アナログスイッチ1461を示す回路図である。アナログスイッチ1461は、ゲートGとソースAとドレインBとを有している。
【0100】
図13(b)はアナログスイッチ1461の動作を示しており、ゲートGの信号が“H(ハイレベル)”の場合、アナログスイッチ1461はオンして、ソースAとドレインBとが導通する。また、ゲートGの信号が“L(ローレベル)”の場合、アナログスイッチ1461はハイインピーダンス(Z)になる。
【0101】
図14は、図12に示すD/A変換回路146の動作を示す真理値表である。D/A変換回路146は、この真理値表に従って、階調表示基準電圧V0〜V63のうちの1つをアナログ電圧信号として出力端子OUTへ出力する。
【0102】
階調表示基準電圧生成回路147の構成は、図17に示す階調表示基準電圧生成回路901や図18に示す階調表示基準電圧生成回路902と同様の構成であってもよい。また、階調表示基準電圧生成回路901や階調表示基準電圧生成回路902において、複数のダミー配線を設け、互いに隣接したダミー配線間に電圧が印加される構成としてもよい。これにより、隣接するダミー配線間には階調表示基準電圧生成回路の最大定格電圧を超える電圧を印加することができるため、回路内に混入した異物の検出精度をさらに向上させることができる。
【0103】
階調表示基準電圧生成回路147では、各抵抗素子R0〜R7にγ補正と呼ばれる抵抗比を持たせており、上記階調表示基準電圧に変換するための液晶駆動出力電圧に、γ補正の抵抗比による折れ線特性を持たせるようにしている。
【0104】
図15は、階調表示基準電圧生成回路147における液晶駆動出力電圧の階調表示データに関する特性を示すグラフである。横軸は階調表示データ(デジタル入力)を表し、縦軸は液晶駆動出力電圧(アナログ電圧)を表している。このように、γ補正の抵抗比による折れ線特性が現れており、この折れ線特性に基づいて液晶材料の光学特性を補正する。これにより、液晶材料の光学特性に合わせたより自然な階調表示を行うことができる。
【0105】
出力回路148は、D/A変換回路146から出力されるアナログ電圧信号をインピーダンス変換して、液晶駆動電圧出力端子149に出力する。各液晶駆動電圧出力端子149は、図9に示すソース信号ライン111に接続されており、インピーダンス変換された階調電圧が、階調表示電圧としてソース信号ライン111に供給される。このようにして、表示データDR・DG・DBは、液晶の表示を行う階調表示電圧に変換される。
【0106】
また、出力回路148は、実施の形態1に係る差動部1、差動部11又は差動部21を有するオペアンプ回路OPを有している。上述のように、オペアンプ回路OP内の信号配線の近辺には、ダミー配線LD1・LD2が設けられている。
【0107】
図16は、ソースドライバ140にダミー配線LD1・LD2が設けられた構成を示している。ダミー配線LD1およびダミー配線LD2は、ともに各出力回路148に分岐するように配置されており、ダミー配線LD1はダミー配線用パッドPAに接続され、ダミー配線LD2はダミー配線用パッドPBに接続されている。したがって、出力回路148内に異物が混入している場合、ダミー配線LD1とダミー配線LD2との間に電圧を印加する電圧印加工程を行なうことにより、テスト工程において異物を精度よく検出できる。
【0108】
各実施形態では、主にダミー配線を出力回路148のオペアンプ回路内に設ける構成について説明したが、これに限るものではない。ダミー配線は、液晶表示装置100の他の回路内に設けることが可能である。また、ダミー配線を、あらゆる半導体集積回路内に設けることにより、半導体集積回路内の異物の検出精度を向上させることができ、特にアナログ回路を含む半導体集積回路内に設けることが好ましい。
【0109】
また、定電流インバータにおいても、回路内の信号配線にストレス電圧を印加することによっては、配線間に電位差を設けることができない箇所が存在する。その場合でも、当該配線間にダミー配線を設けて、ダミー配線間に電圧を印加する電圧印加工程を行なうことにより、テスト工程において回路内の異物を精度よく検出できる。
【0110】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明に係る半導体集積回路の検査方法は、半導体集積回路内の異物混入の有無を検査する用途に好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本実施形態に係る差動部のレイアウトパターンを示す平面図である。
【図2】本実施形態に係るダミー配線と、液晶表示装置のソースドライバの出力回路との配置関係を示す概略図である。
【図3】上記ダミー配線によって形成されるダスト検知パターンを示す概略図である。
【図4】上記ダミー配線間に電圧を印加する構成を示す概略図である。
【図5】ダミー配線用パッドに保護素子を設けた構成を示す参考図である。
【図6】本実施形態に係る他の差動部のレイアウトパターンを示す平面図である。
【図7】本実施形態に係るさらに他の差動部のレイアウトパターンを示す平面図である。
【図8】本実施の形態に係る液晶表示装置の要部構成を示すブロック図である。
【図9】上記液晶表示装置に設けられる液晶パネルの構成を示す回路図である。
【図10】(a)は、上記液晶表示装置に設けられるソースドライバ部からの階調表示電圧が高い時の液晶駆動波形を示す波形図であり、(b)は、当該階調表示電圧が低い時の液晶駆動波形を示す波形図である。
【図11】上記ソースドライバ部に設けられるソースドライバの概略構成を示すブロック図である。
【図12】上記ソースドライバに設けられるD/A変換回路の構成を示す回路図である。
【図13】(a)は、上記D/A変換回路内のアナログスイッチの構成を示す回路図であり、(b)は、当該アナログスイッチの動作を示す表である。
【図14】上記D/A変換回路の動作を示す真理値表である。
【図15】上記ソースドライバに設けられる階調表示基準電圧生成回路における、液晶駆動出力電圧の階調表示データに関する特性を示すグラフである。
【図16】上記ソースドライバにダミー配線LD1・LD2が設けられた構成を示す図である。
【図17】従来技術を示すものであり、階調表示基準電圧生成回路の回路構成を示す図である。
【図18】他の従来技術を示すものであり、階調表示基準電圧生成回路の回路構成を示す図である。
【図19】上記ソースドライバに設けられる出力回路の構成を示す回路図である。
【図20】上記出力回路に設けられるオペアンプ回路の差動部の詳細を示す回路図である。
【図21】上記差動部のレイアウトパターンを示す平面図である。
【符号の説明】
【0113】
100 液晶表示装置(液晶表示装置)
148 出力回路(半導体集積回路・液晶駆動回路)
OP オペアンプ回路(増幅回路)
IN+ 非反転入力端子
IN− 反転入力端子
LD1・LD2 ダミー配線
L1 非反転側信号配線
L2 反転側信号配線
L3・L4 信号配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号配線と電気的に独立している複数のダミー配線を備え、
上記ダミー配線は、互いに隣接する2本のダミー配線が電位差を有するように配置されることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
さらにアナログ回路を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
上記複数のダミー配線は、柵状の配線パターンを形成していることを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
さらに増幅回路を含み、
当該増幅回路の非反転入力端子に接続された非反転側信号配線と反転入力端子に接続された反転側信号配線とが並行に配置された領域において、互いに隣接する少なくとも2本のダミー配線が、上記非反転側信号配線と上記反転側信号配線との間に設けられることを特徴とする請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項5】
上記電位差は、上記半導体集積回路の最大定格電圧より高いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体集積回路を液晶駆動回路として備える液晶表示装置。
【請求項7】
半導体集積回路内の信号配線と電気的に独立した複数のダミー配線に対し、互いに隣接する2本のダミー配線が電位差を有するように電圧を印加する第1工程と、
上記電圧の印加時に、上記隣接するダミー配線間のリーク電流を測定することにより上記半導体集積回路の良否を判定する第2工程とを含むことを特徴とする半導体集積回路の検査方法。
【請求項8】
上記半導体集積回路は、さらにアナログ回路を含むことを特徴とする請求項7に記載の半導体集積回路の検査方法。
【請求項9】
上記複数のダミー配線は、柵状の配線パターンを形成していることを特徴とする請求項7に記載の半導体集積回路の検査方法。
【請求項10】
上記半導体集積回路が増幅回路を含む場合、
当該増幅回路の非反転入力端子に接続された非反転側信号配線と反転入力端子に接続された反転側信号配線とが並行に配置された領域において、互いに隣接する少なくとも2本のダミー配線が、上記非反転側信号配線と上記反転側信号配線との間に設けられることを特徴とする請求項7に記載の半導体集積回路の検査方法。
【請求項11】
上記電位差は、上記半導体集積回路の最大定格電圧よりも高いことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の半導体集積回路の検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2008−281537(P2008−281537A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128455(P2007−128455)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】