説明

半導電性ローラ、プロセスカートリッジおよび電子写真装置

【課題】軸芯体の周囲に弾性層を有し、その外周に少なくとも導電性樹脂層を配置した半導電性ローラにおいて、該樹脂層にアミノ樹脂を含み、かつ該半導電性ローラのJIS−A硬度を40°以下とすることにより、トナー帯電性に優れ、変形回復性に優れる半導電性ローラを提供する。電子写真方式に用いられる半導電性ローラにおいて、トナー帯電性、変形回復性に優れる半導電性ローラを得る。
【解決手段】軸芯体の周囲に弾性層を有し、その外周に少なくとも導電性樹脂層を配置した半導電性ローラにおいて、該樹脂層にアミノ樹脂を含み、かつ該半導電性ローラのJIS−A硬度を25°以上、40°以下とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンターあるいはファクシミリの受信装置など電子写真方式を採用した装置に組み込まれる感光体に接触させて使用される半導電性ローラおよびこれを用いたプロセスカートリッジ、電子写真装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ、プリンター等の電子写真装置には、感光体を帯電させたり、静電潜像を顕像化するため、103〜1010Ωの半導電性領域でその目的にあった導電性(電気抵抗)を有する弾性ローラが一般に用いられている。たとえば、非磁性一成分接触現像方式の電子写真装置では、互いに圧接されている現像ローラから感光体(ドラム)へ現像剤(トナー)を移動させて静電潜像を顕像化し、現像が成される。このような電子写真装置に用いられる弾性ローラはより高いレベルの要求品質を満たした半導電性ローラにするために、導電性ゴム層上に単または複数の樹脂層を形成した構成の半導電性ローラが多く用いられる。
【0003】
このような電子写真装置に用いられる弾性ローラは感光体と所定の接触幅をもって圧接したり、ブレード等によって薄層化されたトナーを担持するため、変形しやすく、かつ変形回復性に優れる必要がある。
【0004】
さらに現像ローラとして用いる場合、ローラは安定したトナー帯電性が要求され、そのため前記樹脂層にメラミン、尿素樹脂等の帯電特性に優れた樹脂を用いる方法が特許文献1に報告されている。しかし、本発明者らによる特許文献1に記載の発明の検討の結果、特許文献1に記載されているこれらの樹脂成分は、反応性が高いため、樹脂層の硬度を上昇させ、柔軟性や可とう性が充分でない場合があり、セット性能(変形回復性)やトナーに対するストレスによる劣化などの問題が懸念された。
【特許文献1】特開平9−146362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複写機、プリンターあるいはファクシミリの受信装置など、電子写真方式を採用した装置に使用される現像ローラに必要とされる性能はより高度になっており、前述したような高画質化に要求される安定したトナー帯電性と、変形回復性の両立が特に課題となっている。本発明の目的とするところはトナー帯電性およびセット性能に優れる高品位の半導電性ローラを提供すること、またはこのような半導電性ローラを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、軸芯体の周囲に弾性層を有し、その外周に反応性アミノ樹脂の硬化物を含む導電性樹脂層を有している半導電性ローラにおいて、該半導電性ローラのJIS−A硬度(JIS K6253:1997)が25°以上、40°以下であることを特徴とする半導電性ローラが提供される。
【0007】
また本発明によるプロセスカートリッジ及び電子写真装置は、潜像を担持する感光体に対向した状態でトナーを担持する現像ローラを備え、該現像ローラが上記感光体にトナーを付与することにより該潜像を可視化するプロセスカートリッジ及び電子写真装置において現像ローラとして上記半導電性ローラを用いるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以降、本発明に係る半導電性ローラを電子写真装置の現像ローラとして用いた態様に基き詳細に説明する。
【0009】
本発明に係る半導電性口一ラであるところの現像ローラ1は、図1、2に示すように、円柱状または中空円筒状の導電性軸芯体2外周面に弾性層3が固定され、この弾性層3の外周面に導電性樹脂層4が積層された導電性部材から構成される。現像ローラ1の断面図である図2では、この導電性樹脂表面層が最表面層であるが、弾性層3の内周、弾性層3と樹脂層4の間、または表面層4の外周に、さらに弾性体または表面層を1層以上積層させてもよい。
【0010】
そして、該現像ローラの導電性樹脂層は、反応性アミノ樹脂の硬化物を含み、且つ該現像ローラは、JIS−A硬度(JIS K6253:1997に準拠)が、25°以上、40°以下である点に特徴を有する。従来の、反応性アミノ樹脂を含む弾性層を備えたローラ部材は、反応種として極めて反応性の高い成分が使用されている為に、非常の硬度が高くなり、現像ローラとして使用した場合、トナーにストレスを与えてしまうことが懸念されたが、本発明によれば、帯電特性に優れる反応性アミノ樹脂の硬化物を用いつつ、その反応性の制御により硬度の上昇を抑えたことにより、上記の懸念が払拭できる現像ローラを得ることができるものである。
以下、現像ローラの各構成要素について順番に説明する。
【0011】
(1)導電性軸芯体2について;
前記導電性軸芯体2は、導電性部材の電極および支持部材として機能するもので、例えばアルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金、クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄、合成樹脂などの導電性の材質で構成される。導電性軸基体の外径は通常4〜10mmの範囲にある。
【0012】
(2)弾性層3について;
弾性層3は、導電性部材が適切なニップ幅ないしニップ圧でもって被帯電体表面に押圧して被帯電体表面を均一に帯電できるよう、適切な硬度および電気抵抗値を有する。この弾性層は、ゴム材の成型体により形成される。上記原料ゴムとしては、従来より導電性ゴムローラに用いられている種々のゴムを用いることができる。具体的には、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、多硫化ゴム、ウレタンゴム等のゴムを単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。この中でも、特にセット性能等の観点からシリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリトリフルオロプロピルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらポリシロキサンの共重合体等が挙げられる。またこれらのシリコーンゴムの平均重合度は、4000〜16000の範囲にあることが好ましい。また弾性層のJIS−A硬度(JIS K6253:1997に準拠)としては10〜40°であることが好ましい。
【0013】
ゴム材料中には、導電剤を必須成分とし、非導電性充填剤,架橋剤,触媒,分散促進剤等の各種添加剤が適宜配合される。
導電性付与剤としてはグラファイト、カーボンブラック、アルミニウム、銅、錫等の導電性金属または酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化錫一酸化アンチモン固溶体等の導電性金属酸化物などの微粒子を用いることができる。このうち、カーボンブラックは比較的容易に入手でき、良好な帯電性が得られる。
【0014】
非導電性充填剤としては、珪藻土、シリカ、石英粉末、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミノケイ酸、炭酸カルシウム等が挙げられる。架橋剤としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、P−クロロベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。弾性層3の体積固有抵抗値は、100Vの直流電圧印加時で103〜1010Ω・cmの範囲にあることが好ましい。例えば、導電剤としてカーボンブラックを用いる場合は、ゴム材に対して5〜90質量部配合される。また、弾性層の厚さは1.0〜6.0mmの範囲にあればよく、2.0〜5.0mmの範囲にあることが好ましい。
【0015】
(3)導電性樹脂層4について;
導電性樹脂層4は、反応性アミノ樹脂の硬化物を含んでいる。反応性アミノ樹脂とは、なお、本明細書において、「反応性アミノ樹脂」とは、反応性基(アミノ基、イミノ基、メチロール基、アルキルエーテル基等)を有し、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、ヒドロキシル基等と反応可能なアミノ樹脂を指し、具体的には例えば、上記反応性基を有するメラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂などを挙げることができる。この中でメラミン樹脂は膜の架橋性、トナー帯電性に優れ、特に好適に用いられる。
【0016】
またメラミン樹脂硬化物の原料として用いられる反応性メラミン樹脂および反応性グアナミン樹脂としては、所望の硬度の現像ローラを得る上で、フルエーテル型で、重量平均重合度が1.8以下のものが望ましい。これらを用いることによって、従来より使用されていたイミノ型、メチロール型のメラミンや重合度の高いメラミンの課題、即ち、自己縮合反応の割合が高く、充分なトナー帯電性が得られる含有量で使用した場合、膜の硬度が著しく上昇し、柔軟性、可とう性の低い膜になり、トナー帯電性と変形回復性の両立が難しい、と言う課題を解決することができるものである。
さらに尿素樹脂を用いる場合には重量平均重合度が2.0以下のものが望ましい。
【0017】
前記樹脂層を形成する反応性アミノ樹脂の硬化物としては、反応性アミノ樹脂を単独で反応させて得られた硬化物を用いることもできるが、反応性アミノ樹脂と他のポリオール成分と硬化反応させた硬化物を用いる方が自己膜補強性、膜柔軟性等の観点から望ましい。
【0018】
この際用いられるポリオール成分は水酸基価60以下のものが特に好適である。このようなポリオール成分の使用により、膜の硬度上昇を抑え、柔軟性、可とう性が高く、変形回復性に優れ、且つ帯電性能に優れた現像ローラを得ることができる。この様に、反応性アミノ樹脂と、水酸基価60以下のポリオールとを反応させて硬化物を得る場合において、反応性アミノ樹脂と水酸基価60以下のポリオールとは、得られる硬化物の柔軟性、可撓性を考慮すると、反応性アミノ樹脂10〜60重量%に対して、当該ポリオールを90〜10質量%の割合で反応させることが好ましい。前記樹脂層4においてアミノ樹脂と反応して用いられるポリオール成分としては、自己膜補強性、トナー帯電性等の観点から特にウレタン樹脂、ポリエステル樹脂またはポリエーテル樹脂等が好ましい。またこれらの樹脂成分の数平均分子量としては3000〜6000であることが好ましい。ウレタン樹脂や、ポリエステル樹脂またはポリエーテル樹脂、および他の変性樹脂の1種又は2種以上を混合して用いることもでき、現像を行うシステムに応じて適宜選択して用いることにより、その現像システムに適したトナー帯電量を得ることができる。また前記樹脂層の硬化反応において、必要とされる焼成条件によっては硬化触媒を用いてもよい。
【0019】
前記樹脂層4には導電性を付与するためにカーボンブラックを添加してもよい。前記樹脂層に添加するカーボンブラックは、前記樹脂層を形成する樹脂100質量部に対して、5〜50質量部であることが望ましい。さらに樹脂層の膜厚が、1〜100μmであることが望ましい。本発明に用いられるカーボンブラックの平均粒径およびDBP吸油量に特に制限はないが、膜補強性と導電付与性の点から、平均粒径10〜50nm、DBP吸油量50〜150ml/100gであることが好ましい。樹脂層4には、弾性層3と樹脂層4との接着性改良のために、アミノ基を有するシランカップリング剤を添加してもよい。シランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルアミノエトキシプロピルジアルコキシシラン等があげられる。
【0020】
樹脂層4にはローラ表面の粗さ制御のために微粒子を添加してもよい。粗さ制御用微粒子としては、平均粒径が8〜30μmであることが好ましい。また、樹脂層に添加する粒子添加量が、樹脂層の樹脂固形分100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。さらに、粗さ制御用微粒子の成分としてはポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等を用いることができる。
【0021】
樹脂層4の、弾性層上への塗工方法としては、スプレー、浸漬、ロールコート等が挙げられるが、浸漬塗工すなわち、特開昭57−5047号公報に記載されているような浸漬槽上端から塗料をオーバーフローさせる方法は、前記樹脂層を形成する方法として簡便で生産安定性に優れ、一般的に利用されている。
【実施例】
【0022】
以下に本発明の半導電性ローラを、現像ローラとしてレーザービームプリンタに適用した例について説明する。
【0023】
[実施例1]
軸芯体2としてSUS製の芯金にニッケルメッキを施し、さらに接着剤を塗布、焼付けしたものを用いた。ついで、軸芯体2を金型に配置し、液状シリコーンゴム材料(25℃における粘度が9000Pa・sの末端ビニル基封鎖の直鎖状ポリジメチルシロキサン45質量部と、25℃における粘度が40Pa・sであり1つのビニル基を有する分岐ポリシロキサンセグメントと、二官能性のジメチルシロキサンを約200個連続して有する直鎖状オイルセグメントとからなるブロックポリマー55質量部とからなるポリシロキサン混合物に、架橋剤として1分子中にケイ素結合水素原子を2個以上有したオルガノシロキサンと白金系触媒を加え、耐熱性付与剤としてシリカ粉体を0.2質量部、およびカーボンブラックを35質量部混合した付加型シリコーンゴム組成物)を金型内に形成されたキャビティに注入した。続いて、金型を加熱してシリコーンゴムを加硫硬化し、冷却後に脱型し、弾性層3を軸芯体2の外周に設けた。弾性層のJIS−A硬度は34°であった。
【0024】
次にポリオール成分(ポリエーテルポリウレタン、Mn=4000、OHV=30)70質量部、反応性のメラミン樹脂A(商品名:ニカラックMW−30、三和ケミカル社製)30質量部、カーボンブラック(商品名:トーカブラック#7360SB、東海カーボン製)10質量部、及び樹脂粒子(商品名:MX1500H、綜研化学社製)10質量部、アルキルベンゼンスルホン酸系触媒1質量部を総固形分比30%になるようにMEKに溶解、混合し、サンドミルにて均一に分散し樹脂層形成用分散液を得た。次にこの分散液を浸漬塗工した後乾燥させ、150℃にて2時間加熱処理することで、前記弾性層外周に導電性樹脂層を設け、実施例1の現像ローラを得た。
【0025】
[実施例2]
実施例1の反応性メラミン樹脂を反応性メラミン樹脂B(商品名:ニカラックMW−22・・・三和ケミカル社製)に変更した。それ以外は実施例1と同様にして実施例2の現像ローラを得た。
【0026】
[実施例3]
実施例1の反応性メラミン樹脂の量を60質量部に変更した。それ以外は実施例1と同様にして実施例3の現像ローラを得た。
【0027】
[実施例4]
実施例1のメラミン樹脂をグアナミン樹脂D(商品名:ニカラックBX−4000、三和ケミカル社製)に変更した。それ以外は実施例1と同様にして実施例4の現像ローラを得た。
【0028】
[実施例5]
実施例1のメラミン樹脂を尿素樹脂E(商品名:ニカラックMX−202、三和ケミカル社製)に変更した。それ以外は実施例1と同様にして実施例5の現像ローラを得た。
【0029】
[実施例6]
実施例1のポリオール成分をポリエーテルポリウレタンB(Mn=3700、OHV=60)に変更した。それ以外は実施例1と同様にして実施例6の現像ローラを得た。
【0030】
[実施例7]
実施例1のポリオール成分をポリエステルC(Mn=3300、OHV=45)のに変更した。それ以外は実施例1と同様にして実施例7の現像ローラを得た。
【0031】
[実施例8]
実施例1のポリオール成分をポリエーテルE(Mn=3400、OHV=30)に変更した。それ以外は実施例1と同様にして実施例8の現像ローラを得た。
【0032】
[比較例1]
実施例1のメラミン樹脂前駆体をイミノ型のメラミン樹脂前駆体C(商品名:ニカラックMX−730、三和ケミカル社製)に変更した。それ以外は実施例1と同様にして比較例1の現像ローラを得た。
【0033】
[比較例2]
実施例1のメラミン樹脂の量を70質量部に変更した。それ以外は実施例1と同様にして比較例2の現像ローラを得た。
【0034】
[比較例3]
実施例1のメラミン樹脂の量を5質量部に変更した。それ以外は実施例1と同様にして比較例3の現像ローラを得た。
【0035】
[比較例4]
実施例1のポリオール成分をポリエステルD(Mn=3300、OHV=80)に変更した。それ以外は実施例1と同様にして比較例4の現像ローラを得た。
【0036】
以上により作製した現像ローラのJIS−A硬度、トナー帯電量を測定した。また得られた現像ローラをキヤノン製レーザービームプリンタに装填し、画像濃度、セット性能の評価を行った。ローラのJIS−A硬度(JIS K6253:1997に準拠)測定にはタイプAデュロメータ(高分子計器製)を用いた。
またトナーの帯電量の測定は、画像評価後の現像ローラ表面のトナーを吸引してファラデーゲージに採取し、その帯電量をエレクトロメータ(商品名:KEITHLEY 616、東陽テクニカ製)にて測定した。またその際の採取重量から重量当たりの帯電量を求めた。
【0037】
なお、本発明の実施例における現像ローラを備えたプロセスカートリッジ及びレーザービームプリンタの概略構成を図3、4に示す。本実施例において、レーザービームプリンタは、非磁性一成分現像方式を用いている。その現像容器18内には、非磁性トナーが収納されており、感光体1と対向した開口部内に、感光体1と接触するようにして、現像ローラ9が設置されている。現像ローラ9は、上述したように、軸芯体2上に、弾性層3、樹脂層4が形成されている。
【0038】
画像濃度の評価は、上記の電子写真装置を用い、非磁性一成分ブラックトナーのベタ画像を出力し、紙面上の濃度を反射濃度計(商品名:GretagMacbeth RD918、マクベス社製)を用いて9点測定し、平均値を計算した。またその数値に基づき以下の基準で評価した。
◎:14.0以上
○:1.35〜1.40
△:1.30〜1.35
×:1.30以下
セット性能の評価は、ローラ両端の軸芯体に対し、各1kgの荷重をかけた状態で室温下2週間ガラス面に放置した後、ローラをプロセスカートリッジに組み込み、画像出力し画像評価を以下の基準で行った。
◎:圧接跡が画像上に見られないもの
○:圧接跡が極薄く見られるが画像に影響のないもの
△:圧接跡が見られ画像に影響するもの
×:圧接跡が明瞭に見られ画像に影響するもの
以上の結果を表1、表2に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
実施例1〜8のローラはいずれも良好な画像濃度とセット性能を示した。それに対しイミノ型メラミン前駆体を用いた比較例1、メラミン樹脂前駆体の使用量が70質量部である比較例2、ポリオール成分の水酸基価が80である比較例4はローラの硬度が上昇し、セット性能が低下した。またメラミン樹脂の含有量が5質量部である比較例3はトナー帯電性が低く、低い画像濃度を示した。
【0042】
以上のように軸芯体の周囲に弾性層を有しその外周に少なくとも導電性樹脂層を配置した現像ローラにおいて、該樹脂層にアミノ樹脂を含み、かつ該現像ローラのJIS−A硬度(JIS K6253)が40°以下とすることにより、トナー帯電性、変形回復性に優れた半導電性ローラが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一例として示す半導電性ローラの概念図。
【図2】図1の断面の概念図。
【図3】本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概念図。
【図4】本発明の電子写真画像形成装置の一例を示す概念図。
【符号の説明】
【0044】
1:半導電性ローラ
2:軸芯体
3:弾性層
4:樹脂層
5: 感光ドラム
6: 帯電装置
7: レーザー光
8: 現像装置
9: 現像ローラ
10: トナー供給ローラ
11: 規制ブレード
12: トナー
13: 転写ローラ
14: クリーニングブレード
15: 廃トナー容器
16: 定着装置
17: 紙
18: 現像容器
19: 端部シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯体の周囲に弾性層を有し、その外周に反応性アミノ樹脂の硬化物を含む導電性樹脂層を有している半導電性ローラにおいて、該半導電性ローラのJIS−A硬度(JIS K6253:1997)が25°以上、40°以下であることを特徴とする半導電性ローラ。
【請求項2】
前記硬化物が、反応性アミノ樹脂と水酸基価60以下のポリオールとの反応により得られたものである請求項1に記載の半導電性ローラ。
【請求項3】
前記硬化物が、前記反応性アミノ樹脂10〜60質量%に対して、前記ポリオールを90〜40質量%の割合で反応させて得られたものである請求項2に記載の半導電性ローラ。
【請求項4】
前記反応性アミノ樹脂がフルエーテル型で重合度1.8以下のメラミン樹脂またはフルエーテル型で重合度1.8以下のグアナミン樹脂である請求項1〜3の何れかに記載の半導電性ローラ。
【請求項5】
前記反応性アミノ樹脂が重合度2.0以下の尿素樹脂である請求項1〜3の何れかに記載の半導電性ローラ。
【請求項6】
前記導電性樹脂層が、更にポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステルから群から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含んでいる請求項1〜5のいずれかに記載の半導電性ローラ。
【請求項7】
半導電性ローラがトナーを担持して潜像担持体に接触または近接して用いられる現像ローラである請求項1〜6のいずれかに記載の半導電性ローラ。
【請求項8】
電子写真装置に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、現像ローラとして請求項1〜7のいずれかに記載の半導電性ローラを用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
潜像を担持する感光体に対向した状態でトナーを担持する現像ローラを備え、該現像ローラが上記感光体にトナーを付与することにより該潜像を可視化する電子写真装置において用いられる現像ローラが、請求項1〜7のいずれに記載の半導電性ローラであることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−163042(P2006−163042A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−355363(P2004−355363)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】