説明

半極性(Al,In,Ga,B)Nベースの発光ダイオードの製造のための方法

560〜580nmの範囲においてピーク放射波長を有する、黄色発光ダイオード(LED)が開示される。該LEDは、一つ以上のIII族窒化物ベースの半極性面上に成長され、該LEDのアクティブ層は、インジウム(In)含有の単一量子井戸構造または多重量子井戸構造から成る。該LED量子井戸は、2〜7nmの範囲の厚さを有する。また、少なくとも一つの半極性の黄色LEDが含まれる、多色LEDあるいは白色LEDも開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、Hitoshi Sato、Hirohiko Hirasawa、Roy B.Chung、Steven P.DenBaars、James S.SpeckおよびShuji Nakamuraにより、「METHOD FOR FABRICATION OF SEMIPOLAR (Al,In,Ga,B)N BASED LIGHT EMITTING DIODES」と題され、代理人整理番号30794.264−US−P1(2008−415−1)、2008年4月4日出願の同時係属中かつ同一人に譲渡された米国仮特許出願第61/042,644号の35 U.S.C.セクション119(e)に基づく利益を主張し、当該出願は本明細書において参照により援用される。
【0002】
本出願は、以下の同時係属中かつ同一人に譲渡された出願に関連する。
【0003】
すなわち、Hitoshi Sato、Roy B.Chung、Feng Wu、James S.Speck、Steven P.DenBaarsおよびShuji Nakamuraにより、「MOCVD GROWTH TECHNIQUE FOR PLANAR SEMIPOLAR (Al,In,Ga,B)N BASED LIGHT EMITTING DIODES」と題され、代理人整理番号30794.274−US−U1(2008−534)、本願と同日出願の米国特許出願第xx/xxx,xxx号であって、当該出願は、Hitoshi Sato、Roy B.Chung、Feng Wu、James S.Speck、Steven P.DenBaarsおよびShuji Nakamuraにより、「MOCVD GROWTH TECHNIQUE FOR PLANAR SEMIPOLAR (Al,In,Ga,B)N BASED LIGHT EMITTING DIODES」と題され、代理人整理番号30794.274−US−P1(2008−534)、2008年4月4日出願の米国仮出願第61/042,639号の35 U.S.C.セクション119(e)に基づく利益を主張する、出願と、
Michael Iza、Hitoshi Sato、Steven P.DenbaarsおよびShuji Nakamuraにより、「METHOD FOR DEPOSITION OF MAGNESIUM DOPED (Al,In,Ga,B)N LAYERS」と題され、代理人整理番号30794.187−US−U1(2006−678)、2007年8月16日出願の米国特許出願第11/840,057号であって、当該出願は、Michael Iza、Hitoshi Sato、Steven P.DenbaarsおよびShuji Nakamuraにより、「METHOD FOR DEPOSITION OF MAGNESIUM DOPED (Al,In,Ga,B)N LAYERS」と題され、代理人整理番号30794.187−US−P1(2006−678−1)、2006年8月16日出願の米国仮出願第60/822,600号の35 U.S.C.セクション119(e)に基づく利益を主張する、出願とであって、
これらの出願は本明細書において参照により援用される。
【0004】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、黄色発光ダイオード(LED)およびそれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
(2.関連技術の説明)
(注:本出願は明細書全体にわたって指し示されている通り、例えば[x]のようなブラケット内の一つ以上の参照番号によって、多数の異なる出版物を参照する。これらの参照番号に従って並べられたこれらの異なる出版物のリストは、以下の「参考文献」と題するセクションで見られる。これらの出版物のそれぞれは本明細書において参照により援用される。)
現在の電子および光電子デバイス向けの窒化物技術は極性のc方向に沿って成長される窒化物膜を利用する。しかしながら、III族窒化物ベースの光電子および電子デバイスにおける従来のc面量子井戸(QW)構造は、強い圧電性かつ自発性の分極の存在に起因して、望ましくない量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)を受ける。c方向に沿った強い固有の電場は電子とホールの空間的隔離を引き起こし、ひいては制限されたキャリア再結合効率、低減された振動子強度、および赤方偏移した放射をもたらす。
【0006】
GaN光電子デバイスにおける自発性かつ圧電性の分極効果を除去する一つのアプローチは、デバイスを結晶の無極性面上に成長させることである。このような面は同数のGa原子とN原子を含み、電荷的中性である。さらには、その後の無極性の層は結晶学的に互いに同等であり、結晶が成長方向に沿って分極されない。GaN内のこのような2つのファミリーの対称性の同等な無極性面は、集合名詞的にa面として知られる{11−20}ファミリーと、集合名詞的にm面として知られる{1−100}ファミリーである。残念ながら、カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)の研究者によってもたらされた進歩にもかかわらず、無極性窒化物の成長は困難なままであり、III族窒化物産業において未だ広く採用されていない。
【0007】
GaN光電子デバイスにおける分極効果を低減し、あるいは可能ならば除去するための別のアプローチは、デバイスを結晶の半極性面上に成長させることである。半極性面の用語は、2つの零でないh、i、またはkミラー指数、および零でないlミラー指数を有する広範な面を参照するのに使われ得る。c面GaNヘテロエピタキシーにおける半極性面の一部のよく見られる例は、ピットのファセットで見られる、{11−22}、{10−11}、および{10−13}面である。これらの面はまた、たまたま、著者らがプレーナー膜の形で成長させた面とちょうど同じである。ウルツ鉱型結晶構造における他の半極性面の例には、{10−12}、{20−21}および{10−14}面があるが、これに限定されない。窒化物結晶の分極ベクトルはこれらの面内に横たわるのでもなく、これらの面に垂直でもなく、寧ろ面の表面の法線に対して幾らかの角度で傾いている。例えば、{10−11}および{10−13}面はc面に対してそれぞれ62.98°および32.06°である。
【0008】
自発性の分極に加えて、窒化物に内在する第2の分極は圧電性の分極である。これは、異なる組成(およびそれゆえ異なる格子定数)の(Al,In,Ga,B)N層が窒化物へテロ構造において成長されるときに起こり得るのと同様に、材料が圧縮歪みまたは引っ張り歪みを被るときに起こる。例えば、GaNテンプレート上の薄いAlGaN層は面内引っ張り歪みを有し、GaNテンプレート上の薄いInGaN層は面内圧縮歪みを有し、どちらもGaNとの格子不整合に起因する。それゆえ、GaN上のInGaN QWについては、圧電性の分極はInGaNおよびGaNの自発性の分極とは逆方向を向く。GaNと格子整合したAlGaN層については、圧電性の分極はAlGaNおよびGaNの自発性の分極と同じ方向を向く。
【0009】
c面窒化物上の半極性面を使用することの利点は、総計的な分極が低減されることである。特定の面上の特定の合金組成については零の分極すらあり得る。このような論議は将来の科学文献で詳細が議論されよう。重要な点はc面窒化物構造の分極と比べて分極が低減されることである。低減された分極場はより厚いQWの成長を可能にする。これにより、より高いインジウム(In)組成と、ひいてはより長い波長の放射が、達成され得る。より長い波長の放射領域における半極性/無極性ベースの窒化物LEDを製造するために多くの努力がなされている[1〜6]。
【0010】
本明細書により半極性(Al,In,Ga,B)N半導体結晶上に青色、緑色、および黄色のLEDを製造することを可能にする発明を開示する。LEDからのより長い波長の放射がAlInGaP材料系から報告されているが、窒化物およびリン化物のいずれにおいても、560nm〜570nmの範囲で放射する黄色LEDの開発に成功していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の先行技術における制限を克服し、および本明細書を読解することで明確になる他の制限を克服するために、本発明は、少なくとも一つのIII族窒化物ベースの半極性面上に成長され、560ナノメートル(nm)より長いピーク放射波長と、20ミリアンペア(mA)の電流において3.5ミリワット(mW)より大きい出力パワーとを有する、少なくとも一つの黄色、アンバー色または赤色のLEDを開示する。
【0012】
LEDは典型的には光を放射するためのアクティブ層を含み、ここで、半極性面は、十分に厚いアクティブ層の厚みと、十分に高いアクティブ層のインジウム(In)組成と、十分に高いアクティブ層の結晶の品質とを可能にし、それによって、光が、560nmより長いピーク放射波長と、20mAの電流において3.5mWより大きい出力パワーとを有する。アクティブ層は典型的には、少なくとも一つのQWを含む、In含有の単一量子井戸(SQW)構造または多重量子井戸(MQW)構造を含み、QWは、20mAの電流において3.5mWより大きい出力パワーを得るのに十分に高い結晶の品質を有する。一例に、QWは2nmから7nmの範囲の厚みを有し、および/または結晶の品質は9×10cm−2以下の貫通転位(TD)密度である。
【0013】
本発明はさらに、黄色、アンバー色、または赤色の発光LED(例えば、半極性面上に成長される半極性の黄色LED)が含まれる、多色の光を放射するための多色LEDデバイス、および黄色、アンバー色、または赤色の発光LED(例えば、半極性面上に成長される半極性の黄色LED)が含まれる、白色の光を放射するための白色LEDを開示する。半極性の黄色LEDは、例えば、{11−22}半極性面上に成長されるIII族窒化物ベースのLEDであり得る。
【0014】
本発明はさらに、一つ以上のIII族窒化物ベースの半極性面上に成長される、青色発光のQWおよび黄色発光のQWが含まれる、白色LEDデバイスを開示する。典型的には、白色LEDデバイスは、青色の光を放射するための第1のIn組成を有する、第1のInGaN QWである青色発光のQWと、黄色の光を放射するための第2のIn組成を有する、第2のInGaN QWである黄色発光のQWとが含まれる、MQWを含む。
【0015】
本発明はさらに、少なくとも一つのIII族窒化物ベースの半極性面上への成長により、黄色、アンバー色、または赤色のLEDを製造する方法を開示し、そのような方法によって、LEDが560nmより長いピーク放射波長と、20mAの電流において3.5mWより大きい出力パワーとを有する光を放射する。本発明はまた、白色の光を放射する白色LEDデバイスを製造する方法を開示し、そのような方法は、一つ以上のIII族窒化物ベースの半極性面上に、青色発光の量子井戸を成長させること、および黄色発光の量子井戸を成長させることを含む。さらに、本発明は、LEDから白色の光を放射する方法を開示し、そのような方法は、青色発光の量子井戸から青色の光を放射すること、および黄色発光の量子井戸から黄色の光を放射することを含み、ここで、青色発光の量子井戸および黄色発光の量子井戸は一つ以上のIII族窒化物ベースの半極性面上に成長される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
ここでは図面を参照し、図中では、全体にわたって、同一の参照番号は対応する部分を表わす。
【図1】図1は、本発明に従った、半極性GaN薄膜のための成長プロセスのフローチャートである。
【図2】図2は、本発明の実施形態に従った、InGaN MQW、またはSQWを含む窒化物ベースのダイオードデバイス層の堆積についての、温度プロファイル(温度対時間)である。
【図3】図3は、LED技術を使用する異なる材料系(c面UCSB、無極性UCSB、c面InGa1−xN(ここで0≦x≦1)、半極性UCSB、(AlGa1−x0.52In0.48P、およびNichia LEDによるInternational Workshop on Nitride Semiconductor(IWN)2006(IWN06))について、外部量子効率(EQE)対ピーク放射波長(nm)、および現在の開発状況のグラフであり、人間の眼の波長応答(眼の感度プロファイル)もまた示されている。
【図4a】図4(a)は、(SQWおよびMQWについて)LED中のQWの数、またはMQW周期の数に対する、半極性LEDからのエレクトロルミネセンス(EL)の出力パワー(任意単位、a.u.)およびELのピーク放射波長(nm)の依存性をプロットしているグラフである。
【図4b】図4(b)は、QWの厚み(nm)に対する、半極性LEDからのELの出力パワー(a.u.)およびピークのELの波長(nm)の依存性をプロットしているグラフである。
【図5a】図5(a)は、1mAから100mAまでの直流(DC)電流の関数として、(11−22)GaN上に成長された黄色LEDのELのピーク放射波長(nm、塗り潰しの円)およびELの半値全幅(FWHM)(nm、中空の三角)をプロットしている。
【図5b】図5(b)は、10%デューティサイクルかつ10KHzでのパルス電流について、半極性面上のInGaN QWを含む黄色発光LED(塗り潰しのダイヤモンドおよび円)、およびAlInGaP LED(中空の三角)について、駆動電流(mA)の関数として、出力パワー(mW)およびEQE(%)をプロットしている。
【図6】図6は、半極性面上に成長された、半極性の、黄色、アンバー色または赤色のIII族窒化物ベースのLEDの断面の概略図である。
【図7】図7は、Commission Internationale d’Eclairage(CIE)1931年の(x,y)色度図であり、ここで、各LEDの実際の座標は図7の座標と一致しない可能性があることを指摘した上で、三角形の中の領域はUCSB半極性の青色、緑色および黄色LEDを結合することによって生成され得る色を示し、三角形の周囲に沿って走るスケールは、色座標x,yに対応し、光の波長をナノメートル(nm)で示す。
【図8】図8は、単一の構造内に2つの異なるバンドギャップを有するQWを使用して製造され得る白色LED向けのバンド構造の概略図であり、白色LEDの層を横切る位置の関数としてエネルギーをプロットしている。
【図9】図9は、一つ以上のIII族窒化物ベースの半極性面上に成長される一つ以上の青色発光のQWおよび黄色発光のQWが含まれる、白色LEDの断面の概略図である。
【図10】図10は、(11−22)黄色LEDデバイスの[1−100]断面における透過型電子顕微鏡(TEM)の画像であり、ここで、スケールは40nmの距離を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の好ましい実施形態の記載では、本明細書の一部分を成し、かつ例示を目的として発明が実施され得る特定の実施形態が示される添付図面への参照がされている。本発明の範囲を逸脱することなく、他の実施形態が利用され得、構造上の変更がされ得ると解されるべきである。
【0018】
(概要)
本発明は、{10−1−1}、{11−22}、および他の面のようなバルク半極性GaN基板を有する、青色、緑色、黄色、白色、および他の色のLEDの製造のための方法を記載する。半極性(Al,In,Ga,B)N半導体結晶は、前述の開示で記載したように、構造内の内部分極の不連続性に起因する、零あるいは低減された内部電場を有する多層構造の製造を可能にする。本発明はIII族窒化物ベースの光電子工学における最初の黄色LEDを記載する。さらに、本発明は、膜の品質の改善をもたらすn型GaNの低温成長を援用する。半極性(Al,In,Ga,B)N半導体の配向の使用は、低減された内部電場と、ひいては[0001]窒化物半導体に比べてより長い波長の放射のための、より厚いQWとより高いIn組成をもたらす。黄色LEDの発明は、高出力の白色LEDの製造を可能にする。
【0019】
(技術的説明)
(プロセスステップ)
本発明は有機金属気相堆積(MOCVD)を介した半極性{10−1−1}および{11−22}GaNの成長の方法、および黄色LEDの製造の方法を記載する。図1は、後続の段落に記載される本発明の実施形態に従って、{10−1−1}または{11−22}バルクGaN基板上の半極性GaN薄膜のためのMOCVD成長プロセスのステップを図解したフローチャートである。
【0020】
ブロック100は反応炉への基板の装填を表わす。例えば、半極性LED構造の成長のため、バルク{10−1−1}または{11−22}GaN基板がMOCVD反応炉へ装填される。
【0021】
ブロック102は水素および/または窒素および/またはアンモニア雰囲気下での基板の加熱を表わす。水素および/または窒素雰囲気下で基板を加熱するため、反応炉のヒーターがオンされ、設定温度に近づけられる。一般的に、窒素および/または水素は大気圧下で基板上を流れる。
【0022】
ブロック104は基板上へのn型窒化物半導体膜/層(この場合はn型GaN)の堆積を表わす。ブロック102の加熱ステップの後、温度が1100℃に設定され、n型GaNの成長を開始するため毎分54μmol(マイクロモル毎分)のトリメチルガリウム(TMGa)がジシランと共に30分間反応炉へ導入される。4slm(標準リットル毎分)のアンモニア(NH)もこの段階で導入され、成長の終了まで一定のレベルに保たれる。
【0023】
ブロック106はn型窒化物層上への窒化物MQWの堆積を表わす。ブロック104の所望のn型GaNの厚さが達成されたら、反応炉の温度設定ポイントが815℃に下げられ、毎分6.9μmolのトリエチルガリウム(TEGa)が反応炉へ導入されて20nmの厚さのGaNバリア層が成長される。所望の厚さのGaNバリアが達成されたら、3nmの厚さのInGaN SQWを堆積するため毎分10.9μmolのトリメチルインジウム(TMIn)が反応炉へ導入される。InGaN層の堆積後、QW構造を完了させるGaNの成長のため、毎分6.9μmolのTEGaが再び反応炉へ導入される。このステップはMQWを形成するために複数回繰り返され得る。
【0024】
ブロック108は電子ブロック層の堆積を表わす。SQW/MQWが堆積されたら、Mgが僅かにドープされた10nmの厚さのAlGaN電子ブロック層を形成するために、毎分3.6μmolのTMGa、毎分0.7μmolのトリメチルアルミニウム(TMAl)、および毎分2.36×10−2μmolのCpMgが反応炉へ導入される。
【0025】
ブロック110はSQW/MQW上への低温窒化物p型半導体膜の堆積を表わす。ブロック108にて所望のAlGaNの厚さが達成されたら、反応炉の設定温度が10分間820℃に保たれる。この期間の最初の3分間は、毎分12.6μmolのTMGaと毎分9.8×10−2μmolのCpMgが反応炉へ導入される。最後の7分間は、CpMgの流れが2倍にされる。それから、温度が1分内に875℃に近づけられ、この近づける時間の間にTMGaの流れは一定に保たれ、CpMgは元の毎分9.8×10−2μmolへ低減される。p−GaNの成長は875℃においてもう1分間継続される。
【0026】
ブロック112は水素欠乏雰囲気ガス内での膜(特にp−GaN)のアニーリングを表わす。反応炉が冷却したら、ブロック100〜110で形成された窒化物ダイオード構造が取り除かれ、MgがドープされたGaN(p−GaN)を活性化するために700℃の温度で15分間水素欠乏雰囲気内でアニールされる。
【0027】
ブロック114は本方法の結果物である、より長い波長の放射を有する(Al,Ga,In,B)Nダイオード膜を表わし、ここで、ブロック104〜110で成長される層は典型的には半極性の配向にて成長され、例えばブロック100の基板の半極性面上に成長させることによる。例えば、本方法は、黄色、アンバー色、または赤色のLEDを製造するために使用され得、そのような方法は、LEDが560nmより長いピーク放射波長および20mAの電流において3.5mWより大きい出力パワーを有する光を放射するように、LEDを少なくとも一つのIII族窒化物ベースの半極性面上に成長させることを含む。典型的には、半極性面は、十分に厚いアクティブ層の厚みと、十分に高いアクティブ層のインジウム(In)組成と、十分に高いアクティブ層の結晶の品質とを可能にし、それによって、光が、560nmより長いピーク放射波長と、20mAの電流において3.5mWより大きい出力パワーとを有する。結晶の品質は、例えば9×10cm−2以下の転位密度(例えばTD)であり得る。量子井戸は、例えば2nmから7nmの範囲の厚みを有し得る。
【0028】
本方法はまた、白色の光を放射する白色LEDデバイスを製造するために使用され得、そのような方法は、一つ以上のIII族窒化物ベースの半極性面上に青色の光および黄色の光を放射するQWを成長させることを含む。
【0029】
成長を完了した後、ブロック114の半極性GaNはLEDへ加工処理される。先ず、ブロック110のp−GaN上に、p型コンタクトのための電子ビーム蒸着器によって、2000オングストローム(Å)から2500Åの厚さのインジウム錫酸化物(ITO)が堆積される。ITOは、350nmから800nmの間の光の波長について90%よりも高いという、従来のメタルp型コンタクト(ニッケル(Ni)/金(Au)、つまりNi/Auのような、同じ波長領域において約40%の透明度を有するもの)に比べて、より高い透明度を有する。ITOコンタクトによってより高い光の抽出が期待される。
【0030】
ITOが堆積されたら、n型GaNを露出するために1から3分間Clガスを使用したドライエッチング技術によってブロック114の膜にメサが形成される。それから、ITOを透明にするために、500℃から700℃の温度で5から10分間、NおよびO雰囲気下でITO層がアニールされる。n型GaN層へのオーミックコンタクト(n−コンタクト)を形成するために、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、Ni、およびAu層を有するメタルコンタクトが電子ビーム蒸着器によってn−GaN層上に堆積される。N−コンタクトはまた、300℃〜500℃の温度で3〜5分間N雰囲気下でアニールされる。LED製造の最終ステップは、パッケージ化の目的のためにn−コンタクトおよびITO上に電子ビーム蒸着によって3000Åから6000Åの厚さのAu層を堆積することである。
【0031】
(利点と改善点)
既存の実用化は、表面に平行なc面を有したGaNを成長させる。現在のc面窒化物技術に比べて、本発明には幾つかの有利な傑出点がある。図2は本発明の実施形態についての温度プロファイル(温度対時間)を示し、1000℃でのシリコンがドープされたGaN(GaN:Si)の成長、それに続く800℃でのSQW構造(第1のGaNバリア層、InGaN層、第2のGaNバリア層)の成長、それに続く800℃でのAlGaN電子ブロック層の成長、それに続く805℃および850℃でのMgがドープされたGaN(GaN:Mg)の成長を示している。
【0032】
通常、c面GaN膜のためのn−GaNは典型的には1050℃の温度で堆積/成長される。図2は、しかしながら、本発明はc面III族窒化物(例えばGaN)の成長に使用される温度よりも10〜50℃低い低温でn型III族窒化物(例えばブロック104のn−GaN)を堆積/成長させることを示し、それゆえ、低温成長されたn−GaNは低温成長されたp−GaNと同様に利用される。図2はまた、MQW上のp型III族窒化物層(例えばブロック110のp−GaN)は、c面III族窒化物またはGaNの成長に使用される温度よりも最高250℃低い温度で成長されることを示す。
【0033】
現在のc面の青色LEDは毎分3.9〜8.6μmolのTMInを使用して成長され、2〜2.5nmの典型的な厚さのQWを生成する。本発明におけるSQWの堆積(ブロック106)の期間中、より高い流量の毎分10.6μmolのTMInおよびより低い温度(10〜40℃低い)が使用され、より厚いQWが成長される。従って、ブロック106のIn含有QWまたはIn含有MQWは、c面窒化物ベースの発光QW層の厚さよりも厚い厚さに、c面窒化物ベースの発光QW層を成長させるのに使用される成長速度よりも速い成長速度、および/またはc面窒化物ベースの発光QW構造を成長させるのに使用される温度よりも低い温度(10〜40℃低い)で、n型層の上に成長される。その結果は、より長い波長の放射を可能にする、より高いInN組成とより高い品質のアクティブ領域である。
【0034】
既存の実用化は黄色LEDを生産することができていない。図3は、c面UCSB LED、無極性UCSB LED、c面InGaN LED、(AlGa1−x0.52In0.48P LED、およびNichiaによるIWN06について、現在利用可能なLEDの、放射されるピーク波長に対する外部量子効率(EQE)を図示する。表1にアンバー色領域における商用可能なAlInGaPベースのLEDをまとめる。図3および表1の両方から分かるように、III族リン化物あるいはIn窒化物材料系のいずれにおいても、560nm〜580nmのピーク波長を放射する黄色LEDは存在していない。赤色およびアンバー色のLEDはしばらくの間AlInGaP材料系により生産されており、可視スペクトルの紫外、青色、および緑色の領域における光を放射するLEDは(Al,In,Ga)N合金(c面UCSB、無極性UCSB、およびc面InGaN)により生産されている。しかしながら、本発明に先立って、これまでどの材料系においても560nm〜580nmの間の波長の黄色領域においてLEDは製造されていない。
【0035】
初めて、本発明は、AlInGaPベースの商用LEDからのより長い波長の発光に匹敵する出力パワーを有する、より長い波長での光を放射する窒化物LEDを達成した(図3に「半極性‐UCSB」と指し示される、564nmの波長で5.9mW、および575.7nmの波長で3.5mWを放射する本発明のLED)。波長564nmの光を放射するLED、および波長575.7nmの光を放射するLEDについて、外部量子効率はそれぞれ13.4%および8.2%である[6]。図3に示されるように、{11−22}および/または{10−11}面を使用する、450nmの波長で光を放射する青色LED、および520nmの波長で光を放射する緑色LEDは(それらは半極性面上のLED)、UCSBにより開発された。
【0036】
【表1】

図4(a)は、QWの数に対する、LEDの出力パワーおよび放射のピーク波長の依存性を示す。半極性LEDの出力パワーは、基板の裏を通したシリコン光検出器を使用して光出力を測定することにより評価された。ピーク波長において小さなシフトしかなく、出力パワーの変化は0.1mW以内であり、前に議論された成長条件によって実現されたQWの高い品質を指し示していることに注目することが重要である。さらに、この結果は、より少ない成長時間を有する、より効率的な成長を指し示し、ひいてはInGaNの熱予算が大幅に減少され得る。本発明は、このことが黄色LEDの製造に成功した一因であると確信する。
【0037】
図4(b)は、QWの厚みと半極性LEDから放射される出力パワーおよびピーク波長との間の関係を観測するためのセットの実験の結果を記載する。ピーク放射波長は、QWの厚みが増大するほど、アクティブ層内のインジウム組成が高くなるほど、増大する。しかしながら、キャリア再結合の効率に直接的に関係する出力パワーは、この特定のサンプルについては3nmの光学的厚さを示し、そして急峻に落ち込む。この振舞いは、より高いIn組成を有するアクティブ層の不十分な結晶品質にほぼ起因するようである。高品質なQWと3nmに最適化されたQWの厚みとの組み合わせによって、本発明は560nmから580nmの範囲においてピーク波長を有する光を放射する高出力LEDを生産することができた。
【0038】
図4(a)、図4(b)、図5(a)および図5(b)は、少なくとも一つのIII族窒化物ベースの半極性面上に成長され、560nmより長いピーク放射波長と20mAの電流で3.5mWより大きい出力パワーとを有する、少なくとも一つの黄色、アンバー色または赤色のLEDを図示する。図4(a)、図4(b)、図5(a)および図5(b)は、LEDは典型的には光を放射するためのアクティブ層を含むことを示し、ここで、半極性面は、十分に厚いアクティブ層の厚みと、十分に高いアクティブ層のIn組成と、十分に高いアクティブ層の結晶の品質とを可能にし、それによって、光が、560nmより長いピーク放射波長と、20mAの電流において3.5mWより大きい出力パワーとを有する。
【0039】
(LED構造)
図6はまた、少なくとも一つのIII族窒化物ベースの半極性面602上に成長され、560nmより長いピーク放射波長と、20mAの電流において3.5mWより大きい出力パワーとを有する、少なくとも一つの黄色、アンバー色または赤色のLED600を図示する。半極性面602は、GaNのトップ表面604(または後続の層が成長される表面)あるいは半極性の配向(例えば半極性方向608に成長される)を有するIII族窒化物基板606である。III族窒化物ベースの半極性面602は、例えば{11−22}または{10−1−1}半極性面であり得るが、他の半極性面もまた可能である。
【0040】
LED600はアクティブ層を含み、LED600のアクティブ層は、In含有SQW構造610(QW612(例えばGaNバリア層614とGaNバリア層616との間のInGaN QW612)を含む)あるいはMQW構造618(例えば、QW612(例えばGaNバリア層614と616との間のInGaN QW612)とQW620(GaNバリア層616と622との間のInGaN QW層620)を含む2周期のMQW構造618を含むが、MQW構造618はMQW構造が2つ以上のQW612、620を含むように2周期より多く含み得る)が含まれる。
【0041】
QW612、620はピーク放射波長および出力パワーを有する光を放射するためのものである。ピーク放射波長はQW612、620中のIn量が増加するほど増大し、QW612および620の厚み624および626を増大させるとQW612および620中のインジウム量が増加する。それゆえ、QW612および620は、560nmより長いピーク放射波長を有する光(例えばアンバー色、黄色またはアンバー色の光)を放射するのに十分に高いIn量を得るために、十分に厚い厚み624および626を有する。QWは典型的には2nmから7nmの厚み624および626(すなわち厚み624および626はそれぞれ2nm〜7nmの厚さ)を有する。QW612、620はより厚く、それゆえc面(Al,In,Ga,B)NベースのQWに比べてより長い波長を有する光を放射することができる。一例に、LED600中のQW612、620の数および/または厚み624、626は、図4(a)および図4(b)中の出力パワーとELのピーク波長の曲線との交点に対応する厚み624、626およびQW612、620の数を選ぶことによって、波長の放射および出力パワーを最適化(すなわち最大化)するよう選択され得る。
【0042】
QW構造610、またはMQW構造618は、p型窒化物(例えばGaN)層628とn型窒化物(例えばGaN)層630との間にある。p−GaN628、n−GaN630はそれぞれホール、電子をQW612、620に提供し、それによって電子とホールがQW612のバンドギャップエネルギーに対応する最小の光子エネルギーを有する光を放射するためにQW612内で再結合できる。QW612中に混入されるIn量はQWのバンドギャップを決定し、ひいては放射される光子の最小エネルギー、ゆえに光子の波長を決定する。
【0043】
LED600は典型的にはさらに、p型GaN層628へのオーミックコンタクトを形成するp型コンタクト層(例えばITO)632と、n型GaN層630へのオーミックコンタクトを形成するn型コンタクト層(例えばTi/Al/Ni/Au)634とを含む。外部電源は、p−コンタクト層632とn−コンタクト層634との間に電流または電圧を供給し得、ひいては電子とホールが光を放射するために再結合できるように電子とホールをQW612中へドライブするのに必要な電力を供給する。メタライゼーション層(例えばAu)636および638は、LED600と外部電源との間の電気的/機械的なコンタクトを改善するために、p−コンタクト層632上およびn−コンタクト層634上にあり得る。
【0044】
LED600はまた、バリア層622とp型GaN層628との間に電子ブロック層640(例えばAlGaN)を含み得る。
【0045】
典型的には、層630、610、618、640、および628は、方向608に沿ってそれぞれのトップ上に、および基板606上に(例えば、層606上に層630、層630上に層614、層614上に層612、層612上に層616、など)、エピタキシャル成長される。このような方法では、QW層612、620はそれぞれ半極性の配向、つまり半極性面602の半極性の配向を有するトップ表面642、644を有する。典型的には、n型層630、バリア層614、バリア層616、バリア層622、ブロック層640、p型層628はそれぞれ、半極性の配向、つまり半極性面602の半極性の配向を有するトップ表面646、648、650、652、654、および656を有する。
【0046】
黄色LEDの製造に成功したことにより、半極性ベースのLEDのスペクトルを拡幅した。図7の色度図は、半極性GaN基板上に製造される多色LEDの可能性を示す。現在の白色LEDは、YAG蛍光体上で輝く450nm(青色)LEDを有するYAG蛍光体を使用して製造される。これは白色LEDの製造に最も普通に使用される技術ではあるが、この技術の最大の欠点は蛍光体膜での50%の変換損失である。白色LEDを生産するための他の方法はLEDの異なる色を結合することである。図7によって示されるように、青色と黄色のLEDを結合することにより、専ら窒化物技術をベースにした高出力かつ高効率の白色LEDを製造することが可能になる。加えて、高出力の多色LEDは今や、青色、緑色、および黄色の半極性ベースの窒化物LED、および赤色のAlInGaP LEDを結合することによって可能である。
【0047】
図7は、黄色LEDの発明は今や、青色、緑色、および黄色のLEDの結合によって多色LEDの製作を可能にすること、および高出力の白色LEDが青色と黄色のLEDを結合することによって実現され得ることを示す。図3に示されるように、{11−22}および/または{10−11}面を使用する、450nmの波長で光を放射する青色LED、および520nmの波長で光を放射する緑色LEDは(それらは半極性面上のLED)、UCSBにより開発された[3、5]。図7の三角形700の中の領域は、UCSB半極性の青色(例えば波長λ=433.5nmの光を放射)、緑色(例えばλ=519.2nmの光を放射)、および黄色(例えば波長λ=564nmの光を放射)のLEDを結合することによって生成され得る色を示す。このように、多色の光を放射する多色LEDデバイスは、LED600(例えば、III族窒化物ベースの{11−22}面などの半極性面602上に成長され、黄色の光を放射する少なくとも一つのIII族窒化物ベースの半極性の黄色LED600)、および他の窒化物ベースの(または窒化物ベースでない)LEDであって青色、緑色、赤色、および/または他の色の光を放射するものが含まれる。同様に、白色の光を放射する白色LEDデバイスは、LED600(例えば、III族窒化物ベースの{11−22}面などの半極性面上に成長され、黄色の光を放射する少なくとも一つのIII族窒化物ベースの半極性の黄色LED600)、および他の窒化物ベースの、および窒化物ベースでないLEDであって青色、緑色、赤色、および/または他の色の光を放射するものが含まれ得、それによって複数のLEDにより放射される光の結合が白色の光になる。例えば、白色発光LEDデバイスは青色発光LEDおよび黄色発光LEDを含み得る。
【0048】
単一の(Al,In,Ga,B)N材料系による、可視スペクトルの広範囲で放射する高品質なQWの成長は、可能性のある別の技術を示唆する。デバイス中の異なるバンドギャップのInGaNアクティブ層の成長は単一の白色LED構造を製作するのに利用され得る。このような白色LED構造のバンド構造800が図8に示され、伝導バンドE、価電子バンドE、半極性のn型GaN(n−GaN)層804と半極性のp型GaN(p−GaN)層806との間のMQW構造802を図示し、ここで、MQW構造802は、青色の光810を放射するためのQW808(In組成xを有する、例えばInGa1−xN)と、黄色の光816、818を放射するためのQW812、814(In組成xを有する、例えばInGa1−xN)と、バリア層820、822(例えばGaN)とを含む。QW808のバンド構造は、青色のアクティブ領域808内のInの解離が最小で、黄色のアクティブ領域812、814用により高いホール注入があるように注意深く設計される。SQWは青色のアクティブ領域808用に、およびMQWは黄色の放射816、818の効率を上げるために黄色のアクティブ領域812、814用に利用され得る。フリップチップ実装技術とこのバンド構造により、白色LEDは単一のデバイス上に実現され得る。青色の光810は少なくともQW808内のバンドギャップエネルギー(E−E)に等しいエネルギーを有して放射され、黄色の光816、818は少なくともQW812、814内のバンドギャップエネルギー(E−E)に等しいエネルギーを有して放射される。
【0049】
図9は、図6に基づき、白色LED900を図示し、そのようなLEDは、一つ以上のIII族窒化物ベースの半極性面602上に成長される(例えば単一の成長構造における)、一つ以上の青色発光QW902および一つ以上の黄色発光QW612、620を含む。このように、LED900は、青色発光QW902および黄色発光QW612が含まれるMQWを含む。典型的には、LED900の青色のアクティブ領域904は、第1のGaNバリア層906と第2のGaNバリア層614との間に、青色の光を放射するための少なくとも一つの青色発光QW902(例えば、青色の光を放射するための第1のIn組成と厚み908を有する第1のInGaN QW)を含み、黄色のアクティブ領域610は、第2のGaNバリア層614と第3のGaNバリア層616との間に、黄色の光を放射するための黄色発光QW612(例えば、黄色の光を放射するための第2のIn組成と厚み624、626を有する第2のInGaN QW)を含み、一つ以上のIII族窒化物の半極性面602は、III族窒化物のn型層630または基板606の表面646、604である(ただし、半極性面602は他の層の表面であり得る)。青色のアクティブ領域904および黄色のアクティブ領域610、618は典型的には、n型層630とp型層628との間にある。上述したように、黄色のアクティブ領域618は通常(ただし限定されないが)MQW構造であり、図9の層610、904、618、640、628、および630は典型的には他のトップ上にエピタキシャル成長され、半極性の配向608を有する。
【0050】
図6および図9の実施形態において、QW612、620、および902のIn含有量、および厚み624、626、908は、QW612、620、および902によって放射される光の最小のバンドギャップ、ゆえに波長を決定する。これらの例では、In含有量および厚み908は、アクティブ層902が青色の光(または青色の光に対応する波長)を放射するように選択され、In含有量および厚み624、626は、アクティブ層612、620が黄色、アンバー色および/または赤色の光(または黄色、アンバー色および/または赤色の光に対応する波長)を放射するように選択される。しかしながら、青色のアクティブ領域904は、多色を放射するLEDデバイス(多色LEDデバイス)または白色の光を放射するLEDデバイス(白色LEDデバイス)を得るために、他の色の光を放射するアクティブ領域、あるいはn型層630とp型層628との間に導入/成長され得る他の色の光を放射する追加的なアクティブ領域に代替され得る。他の色の光を放射するアクティブ領域は、QWが他の色の光を放射することができるようなIn混入x(例えばInGa1−xN)および厚みをQWが有することを必要とする。
【0051】
図10は、(11−22)GaN基板上の半極性のInGaN QW構造の代表的な断面TEM画像を示し、n型GaN:Si層1000、GaN:Si1000上のInGaN QW層1002、InGaN QW1002上のGaNキャップ層1004、GaNキャップ層1004上のAlGaN電子ブロック層1006、AlGaN電子ブロック層1006上のp型GaN:Mg層1008、低いTD密度(<5×10cm−2)、および急峻な界面1010、1012を有するプレーナーInGaN QW1002を示す。QW612および620の結晶の品質を上げることにより、デバイス600の出力パワーを増大させ、例えば、QW612および620は、20mAの電流において3.5mWより大きい、あるいは200mAの電流において29.2mWより大きい出力パワーを得るのに十分に高い結晶の品質を有する。図10は、結晶の品質は、TD、プレーナーQWおよび/または急峻な界面1012であるか、あるいはこれらによって測定され得ることを示す。このように、20mAの電流において3.5mWより大きい出力パワーが、5×10cm−2以下あるいは9×10cm−2以下のTD密度で得られ得る。
【0052】
(参考文献)
以下の参考文献は本明細書において参照により援用される。
【0053】
【表2】

(結び)
ここでは本発明の好ましい実施形態の記載を締め括る。前述の一つ以上の発明の実施形態の記載は図示および記載の目的のために提示された。それは網羅的であったり正確な開示形態で発明を限定することを意図したものではない。先述の教示に照らして様々な改変および変形が可能である。発明の範囲はこの詳細な説明によるのではなく、寧ろ添付の特許請求の範囲によって限定されることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの黄色、アンバー色または赤色の発光ダイオード(LED)であって、
該LEDは、
少なくとも一つのIII族窒化物ベースの半極性面上に成長され、
560nmより長いピーク放射波長と、
20mAの電流において3.5mWより大きい出力パワーと
を有する、LED。
【請求項2】
光を放射するためのアクティブ層をさらに備え、
前記半極性面は、
十分に厚い該アクティブ層の厚みと、
十分に高い該アクティブ層のインジウム(In)組成と、
十分に高い該アクティブ層の結晶の品質と
を可能にし、
それによって、該光が、
560nmより長いピーク放射波長と、
20mAの電流において3.5mWより大きい出力パワーと
を有する、請求項1に記載のLED。
【請求項3】
前記LEDのアクティブ層は、
少なくとも一つの量子井戸を備える、インジウム(In)含有の単一量子井戸構造または多重量子井戸構造を備え、
該量子井戸は、
20mAの電流において3.5mWより大きい出力パワーを得るのに十分に高い結晶の品質を有する、請求項1に記載のLED。
【請求項4】
前記量子井戸は、2nmから7nmの範囲の厚みを有する、請求項3に記載のLED。
【請求項5】
前記結晶の品質は、9×10cm−2以下の転位密度である、請求項3に記載のLED。
【請求項6】
請求項1に記載のLEDを備える、多色LEDデバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のLEDを備える、白色LEDデバイス。
【請求項8】
多色発光ダイオード(LED)デバイスであって、該デバイスは、
少なくとも一つの半極性の黄色LEDを備える、デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載の多色LEDデバイスであって、前記半極性の黄色LEDは、
III族窒化物ベースの{11−22}半極性面上に成長されるIII族窒化物ベースのLEDである、デバイス。
【請求項10】
白色発光ダイオード(LED)デバイスであって、該デバイスは、
少なくとも一つの半極性の黄色LEDを備える、デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の白色LEDデバイスであって、前記半極性の黄色LEDは、
III族窒化物ベースの{11−22}半極性面上に成長されるIII族窒化物ベースのLEDである、デバイス。
【請求項12】
白色LEDデバイスであって、該デバイスは、
一つ以上のIII族窒化物ベースの半極性面上に成長される、
青色発光の量子井戸と、
黄色発光の量子井戸と
を備える、デバイス。
【請求項13】
多重量子井戸をさらに備え、該多重量子井戸は、
青色の光を放射するための第1のIn組成を有する、第1のInGaN量子井戸である青色発光の量子井戸と、
黄色の光を放射するための第2のIn組成を有する、第2のInGaN量子井戸である黄色発光の量子井戸と
を備える、請求項12に記載の白色LEDデバイス。
【請求項14】
黄色、アンバー色、または赤色の発光ダイオード(LED)を製造する方法であって、該方法は、
少なくとも一つのIII族窒化物ベースの半極性面上に該LEDを成長させることを包含し、
それによって、該LEDが、
560nmより長いピーク放射波長と、
20mAの電流において3.5mWより大きい出力パワーと
を有する光を放射する、方法。
【請求項15】
白色の光を放射する白色LEDデバイスを製造する方法であって、該方法は、
一つ以上のIII族窒化物ベースの半極性面上に、
青色発光の量子井戸を成長させることと、
黄色発光の量子井戸を成長させることと
を包含する、方法。
【請求項16】
LEDから白色の光を放射する方法であって、該方法は、
青色発光の量子井戸から青色の光を放射することと、
黄色発光の量子井戸から黄色の光を放射することと
を包含し、
該青色発光の量子井戸と該黄色発光の量子井戸は、
一つ以上のIII族窒化物ベースの半極性面上に成長される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−517098(P2011−517098A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503244(P2011−503244)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/039667
【国際公開番号】WO2009/124315
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】