説明

半田ボール吸着プレート

【課題】1枚に1万穴ないし数万穴の吸着孔を持ち、安価でかつ必要強度を有する半田ボール吸着プレートの製造方法を提供する。
【解決手段】吸着孔5を吸着面側の径を吸引面側の径より大きい半田ボールの表面に沿ったテーパー状に形成するため吸着面側より片面フォトリソエッチングにより形成し、その後アフターエッチングおよび電解研磨を施した1枚の吸着面シート20、吸着面シートの吸着孔を補強するため吸着面シートの吸着孔の吸引面側の径と同じ径の吸着孔を両面フォトエッチングにより形成した複数枚の吸着孔補強シート21〜29、および吸着面を補強するため吸着孔補強シートより厚いシートを用い吸着孔対応の位置に吸着孔補強シートの吸着孔の径より大きい径の穴を両面フォトエッチングにより形成した複数枚の吸着面補強シート40〜49を重ね合わせ拡散接合して形成されたことを特徴とする半田ボール吸着プレート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体チップをパッケージまたは基板にマウントする際に用いられる半田ボールを供給するピックアップヘッド用の吸着プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半田ボールを吸着するピックアップヘッドの吸着プレートは樹脂の母材に吸着面よりドリルで吸着孔をあけ、吸引面からは複数のパッケージ対応の吸着孔群の隙間に吸着面補強用の枠が残るようにパッケージのサイズ対応のザグリを入れた構造のものが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(イ)従来の製造方法では1枚の吸着プレートで1万穴ないし数万穴をドリルで吸着孔を あけなければならないので非常に高価なものとなっていた。
(ロ)また、半田ボールは一般に直径0.3mm以下であり、したがってこれを吸着する 吸着孔も直径0.3mm以下であり、このような穴をあけるドリルは長いものは無 いので吸着孔の深さもたとえば1mm以下にする必要がある。従って複数パッケー ジ用の吸着プレートを作ろうとすると全体を1mm以下の薄板で作ると吸着時に吸 着面が変形するため吸着面と反対側の吸引面に強度保持枠をつけておく必要が出て くる。この構造を実現するため樹脂母材は厚いものを使い、吸引面より強度保持枠 分を残してパッケージサイズ対応のザグリをして吸着孔対応の部分の厚さをドリリ ング可能な厚さまで削っていたのでさらに高価なものになる要因であった。
(ハ)このように複数個のパッケージ用の吸着プレートはパッケージ間に補強枠が入るの でチップを直接基板にマウントする場合は最小間隔に制約があった。
本発明は以上の問題点を解決するためのものである。
【問題を解決するための手段】
【0004】
吸着孔を吸着面側の径を吸引面側の径より大きい半田ボールの表面に沿ったテーパー状に形成するため吸着面側より片面フォトリソエッチングにより形成し、その後アフターエッチングおよび電解研磨を施した1枚の吸着面シート、
吸着面シートの吸着孔を補強するため吸着面シートの吸着孔の吸引面側の径と同じ径の吸着孔を両面フォトエッチングにより形成した複数枚の吸着孔補強シート、
および吸着面を補強するため吸着孔補強シートより厚いシートを用い吸着孔対応の位置に吸着孔補強シートの吸着孔の径より大きい径の穴を両面フォトエッチングにより形成した複数枚の吸着面補強シート
を重ね合わせ拡散接合して形成されたことを特徴とする半田ボール吸着プレートである。
【発明の効果】
【0005】
吸着面シートの吸着孔を片面フォトリソエッチング後アフターエッチおよび電解研磨を施したので吸着孔の吸着面および吸引面周辺に残るフォトリソエッチングによる穴あけの特徴であるバリが無くなり半田ボールの表面に沿った吸着孔の形成が実現できる。
【0006】
また吸着面シートは非常に薄いのでテーパー状にあけた吸着孔の半田ボールを支える部分は吸着面シートのみでは充分な強度が得られない。そのため、吸着面シートの吸引面側の吸着孔の径と同じ径の穴を両面エッチングで形成したシートを複数枚重ねるので吸着孔の必要強度を得ることが出来る。
【0007】
さらに半田ボール吸着プレートは一般に複数パッケージ対応のものとなり数が多くなると吸着面の面積が大きくなり、全ての吸着孔で半田ボールを安定よく吸着すると吸着プレートには大きな吸引力がかかり歪か出る。吸着面シート、吸着孔補強シートより厚いシートを複数枚重ねて拡散接合することにより吸着面の歪を必要値以下に抑えることが出来る。このように吸着面補強シートで吸着面の歪を押さえるので吸着エリヤ内にパッケージを任意の位置に配置出来る。パッケージ間に補強枠を設けた従来の方式にくらべパッケージ配列の自由度が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施例の形態について図1から図3を参照しながら説明する。図1は本発明の半田ボール吸着プレート(1)を示し、図1(a)は平面図で、吸着面側を示す。吸着面エリヤ(2)内に複数のパッケージエリヤ(3)がある。図1(b)は側面図で半田ボール吸着プレート(1)は吸着面側より厚さ0.1mmの1枚の吸着面シート(20)、同じく厚さ0.1mmの9枚の吸着孔補強シート(21)〜(29)、および厚さ0.2mmの10枚の吸着面補強シート(40)〜(49)を拡散接合した状態を示す。
【0009】
図2は図1の平面図のA−A断面を拡大表示したものである。吸着面シート(20)、吸着孔補強シート(21)〜(29)および吸着面補強シート(40)〜(49)のそれぞれの吸着孔の位置は全て同じ位置であることを示している。吸着面補強シート(40)〜(49)の吸着孔の径はシートの厚さを厚くした分、吸着孔補強シートの吸着孔の径は大きい穴径となる。
【0010】
図3は吸着面シート(20)の吸着孔(5)の拡大図を示す。本発明の実施例では直径0.3mmの半田ボールの直径の三分の一の深さの吸着孔をあけた状況を示す。吸着孔は出来るだけ半田ボールの球面に沿った形状で形成したいため、吸着面より片面フォトリソエッチングであける。吸着孔の径は吸着面側が概ね半田ボールの直径0.3mmよりやや小さい目、吸引側が概ね直径0.1mmがねらい目である。しかしフォトリソエッチングであけた穴の表面周辺には必ず、バリ(7)が出る。このバリ(7)をフォトリソエッチング後マスクを使わないアフターエッチングおよび電解研磨で溶解し角の取れた形を形成し半田ボールの球面に沿った吸着孔(5)を実現する。
本発明は以上のような構成よりなっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)本発明の一実施例を示す半田ボール吸着プレートの平面図である。(b)[図1](a)の側面図である。
【図2】[図1](a)のA−A断面の拡大図である。
【図3】本発明の実施例の半田ボール吸着プレートの構成要素の一つである吸着面シートの吸着孔拡大断面を、そこに吸着された状態の半田ボールとを併せて示す。
【符号の説明】
【0012】
1 半田ボール吸着プレート
2 吸着エリヤ
3 パッケージエリヤ
5 吸着孔
6 半田ボール
7 バリ
20 吸着面シート
21〜29 吸着孔補強シート
40〜49 吸着面補強シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着孔を吸着面側の径を吸引面側の径より大きい半田ボールの表面に沿ったテーパー状に形成するため吸着面側より片面フォトリソエッチングにより形成し、その後アフターエッチングおよび電解研磨を施した1枚の吸着面シート、
吸着面シートの吸着孔を補強するため吸着面シートの吸着孔の吸引面側の径と同じ径の吸着孔を両面フォトエッチングにより形成した複数枚の吸着孔補強シート、
および吸着面を補強するため吸着孔補強シートより厚いシートを用い吸着孔対応の位置に吸着孔補強シートの吸着孔の径より大きい径の穴を両面フォトエッチングにより形成した複数枚の吸着面補強シート
を重ね合わせ拡散接合して形成されたことを特徴とする半田ボール吸着プレートならびにその製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−201386(P2007−201386A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47443(P2006−47443)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(591034028)東洋精密工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】