説明

単一光子重合性プレセラミック高分子組成物および多光子重合性プレセラミック高分子組成物

単一光子反応性組成物または多光子反応性組成物は、液体ポリシラザン前駆体と、多官能性アクリレート添加剤と、単一光子光硬化性組成物または多光子光硬化性組成物とを含む。本発明は、独立して用いることができるか、または他のシステムに統合することができるミクロ燃焼器、ミクロ熱交換器、センサーおよびアクチュエータシステム、ミクロ流体素子およびミクロオプティックスシステムなどのデバイスを含む、例えば、耐熱性材料としてセラミック系微細構造体を提供するために用いることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高温エレクトロニクス、電気通信および生体用途のためにセラミック系微細構造体を提供する際に有用なポリシラザン含有組成物またはポリシロキサザン含有組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック材料は周知され、高い弾性率、硬度、高温安定性および耐薬品性などの幾つかの並外れた特性のゆえに様々な用途ために広く用いられている。しかし、セラミック材料は、重く、脆く、そして加工することも難しい。他方、有機ポリマーは、強靱で、柔軟性で、軽く、そして製作するのが容易である。低い弾性率および比較的低い分解温度は有機ポリマーの主たる欠点である。プレセラミックポリマー技術は、欠点を最少にしつつポリマーとセラミックの両方の利点を共有する材料を製造するために前途有望なプロセスとして出現しつつある。
【0003】
更に、マイクロエレクトロニクスおよびマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)などの用途のためのミクロンサイズ(または、より小さくさえある)セラミック構造体を作るための新たな方法が必要とされている。特にやりがいのある分野は、三次元(3D)セラミック構造体を作ることである。これらの用途分野は、伝統的なセラミック技術を用いては非常に困難である。プレセラミックポリマーは、これらの要件に答えて独特の特性を与える。
【0004】
ポリシラザンなどの多くのポリマーは、セラミック前駆体として作用することが知られており、セラミック構造体の製造のためのこうしたポリマーの使用は報告されてきた。深X線リトグラフィ、電鋳およびプラスチック成形を含むLIGA(ジャーマンリトグラフィ、ガルバノフォーミングおよびアブフォーミング)プロセスを用いるポリ(ビニルシラザン)の熱分解による小型化セラミック構造体の形成は実証されてきた。注入可能なポリマー前駆体技術は詳述されてきた。ポリシラザンを用いて高温MEMSを製作するための微細鍛造金型方法も開示されてきた。しかし、記載された技術のすべては複雑で時間のかかる処理を含んでいる。
【0005】
光重合は固体微細構造体を構築するための代替経路を提供する。光重合技術は、直接パターン形成能力、自立構造体および費用効果に優れた処理を提供する。ステレオリトグラフィなどの層バイ層プロセスを通して、光重合技術は、三次元構造体の製作を見込むことも可能である。液体ポリシラザンのラジカル開始光重合を用いてセラミック微細構造体を作ろうと努力が払われてきた。しかし、低い重合速度が観察された。
【0006】
単一光子重合技術は、ポリシラザンを含むチオ−エン化学を用いてパターン化プレセラミックポリマー微細構造体を形成させるために用いられてきた。ポリマーナノ複合材の2光子重合は、3Dシリカ微細構造体をパターン化するために用いられてきた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡潔に言うと、本発明は、
a)液体ポリシラザン前駆体と、
b)多官能性アクリレート添加剤と、
c)単一光子光硬化性組成物または多光子光硬化性組成物と、
を含む単一光子反応性組成物または多光子反応性組成物を提供する。
【0008】
好ましい実施形態において、本発明は、
a)液体ポリシラザン前駆体と、
b)多官能性アクリレート添加剤と、
c)i)単一光子光硬化性組成物と、
ii)少なくとも1種の多光子光増感剤および任意に電子受容体と電子供与体の一方または両方を含む多光子光硬化性組成物
の一方または両方を好ましくは含む単一光子光硬化性組成物または多光子光硬化性組成物と、
を含む単一光子反応性組成物または多光子反応性組成物を提供する。
【0009】
好ましくは、多光子光増感剤はフルオレセインの少なくとも1.5倍の2光子吸収断面積を有する。
【0010】
本発明のもう1つの態様において、本発明は、(好ましくは、微細構造化されている)プレセラミックポリマーまたはセラミックを製造する方法であって、
a)i)液体ポリシラザン前駆体と、
ii)多官能性アクリレート添加剤と、
iii)少なくとも1種の多光子光増感剤および任意に電子受容体と電子供与体の一方または両方を含む多光子光硬化性組成物と、
を含む多光子反応性組成物を提供する工程と、
b)前記組成物(好ましくは微細構造化パターンを有する)を、前記組成物を少なくとも部分的に反応させるのに十分な光で画像状に照射する工程と、
c)任意に、少なくとも部分的に反応した前記多光子組成物の可溶性部分を除去する(好ましくは微細構造化プレセラミックポリマーを提供する)工程と、
d)任意に、少なくとも部分的に反応した前記組成物の残りの部分(除去が行われなかった場合、少なくとも部分的に反応した組成物の全体であることが可能である)を、前記ポリシラザンを少なくとも部分的に熱分解させる(好ましくは微細構造化セラミックを提供する)のに十分な時間にわたり高温に供する工程と、
を含む方法を提供する。
【0011】
この方法は、単一露出工程においてポリシラザン材料の三次元(3D)微細構造化を可能にする点で有利である。本方法は、多官能性アクリレート添加剤のない組成物と比べてより高い架橋密度のみでなく、改善された多光子感光性も組成物に提供する。本方法は金型を必要とせずにセラミック微細構造体を製造し、複雑な地形の構造体のために特に有用である。また、この方法によって、セラミック構造体を部分的に完成した物品に添加することが可能である。
【0012】
なおもう1つの態様において、本発明は、(好ましくは、微細構造化されている)プレセラミックポリマーまたはセラミックを製造する方法であって、
a)i)液体ポリシラザン前駆体と、
ii)多官能性アクリレート添加剤と、
iii)単一光子光硬化性組成物と、
を含む単一光子反応性組成物を提供する工程と、
b)前記組成物(好ましくは微細構造化パターンを有する)を、前記組成物を少なくとも部分的に反応させるのに十分な光で画像状に照射する工程と、
c)任意に、少なくとも部分的に反応した前記単一光子組成物の可溶性部分を除去する(好ましくは微細構造化プレセラミックポリマーを提供する)工程と、
d)任意に、少なくとも部分的に反応した前記組成物の残りの部分(除去が行われなかった場合、少なくとも部分的に反応した組成物の全体であることが可能である)を、前記ポリシラザンを少なくとも部分的に熱分解する(好ましくは微細構造化セラミックを提供する)のに十分な時間にわたり高温に供する工程と、
を含む方法を提供する。
【0013】
この方法は、改善された単一光子感光性を組成物に提供し、よって一般に短縮された製造時間をもたらす点で有利である。
【0014】
ポリシラザン含有/多官能性アクリレート含有反応性組成物を光開始させる単一光子方法に加えて、本発明は、ポリシラザン含有・多官能性アクリレート含有光反応性組成物を多光子光増感させる方法を提供する。多光子方法は、少なくとも2個の光子の同時吸収を引き起こすのに十分な光で組成物を照射し(好ましくは、パルス照射し)、よって組成物が光に露出されるところで少なくとも1つのラジカル開始化学反応を誘導することを含む。光反応性組成物は、(a)ラジカル開始化学反応を受けることができる少なくとも1種のポリシラザン含有反応性化学種および少なくとも1種の多官能性アクリレート含有反応性化学種(好ましくは、モノマー、オリゴマーおよび反応性ポリマーからなる群から選択された硬化性化学種)と(b)少なくとも1種の多光子光硬化性組成物を含む。
【0015】
本発明の方法は、重合開始化学種(ラジカルなど)を効率的に形成させるために任意に電子受容体と電子供与体の一方または両方と(多くの一般的に入手できる染料のそれと比べて)比較的大きい2光子吸収断面積を有する少なくとも1種の多光子光増感剤を(光化学的に有効な量で)組み合わせることにより、強化された多光子感光性を提供する。本発明の方法の増加した感光性は、例えば、三次元光パターンによって三次元構造体の迅速な製作を可能にするとともに露出のために(例えば、ナノ秒およびピコ秒のNd:YAGレーザなどの頑丈な工業レーザを含む)より低いピーク強度のレーザの使用を可能にすることにより有用性を提供する。
【0016】
チオールのない、すなわち、−SH含有化合物のないポリシラザン/多官能性アクリレート含有反応性組成物の単一光子重合および多光子重合の使用によってパターン化プレセラミック微細構造体を製造することは技術上新規であると考えられる。多光子技術は、単一露出/現像サイクルにおいてサブミクロン解像度を有する中空または中実の三次元微細構造体の製作を可能にする。成形または粉末成形などの他の方法によって形成させることができない複雑な3D形状を製作することが可能である。
【0017】
本発明者らの知識の及ぶかぎりでは、単一光子光硬化性組成物および多光子光硬化性組成物はポリシラザン重合と多官能性アクリレート重合の組み合わせに関して開示されたことはない。
【0018】
定義
この特許出願において用いられる時、
「a」、「an」および「the」は記載されているエレメントの1つ以上の意味するために「少なくとも1つ」と互換可能に用いられる。
「硬化」は、重合を引き起こすこと、および/または架橋を引き起こすことを意味する。
「電子励起状態」は、電磁放射線の吸収を経由して到達できるとともに10-13秒より長い寿命を有する分子の電子基底状態よりエネルギーにおいて高い分子の電子状態を意味する。
「エチレン系不飽和基」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する部分を意味する。
「ヘテロアルキル」は、好ましくは、酸素、窒素および硫黄である(反応性化学種の反応を)妨害しない少なくとも1個のヘテロ原子を含むアルキル基を意味する。
「露出システム」は光学システムと光源を意味する。
「多光子吸収」は、同じエネルギーの単一光子の吸収によってエネルギー的に到達できない電子励起状態に達するための2個以上の光子の同時吸収を意味する。
「光学システム」は、レンズなどの屈折光学エレメント、鏡などの反射光学エレメントおよび回折格子などの回折光学エレメントから選択された少なくとも1つのエレメントを含む、光を制御するためのシステムを意味する。光エレメントは、ディフューザ、導波路、および光学分野で公知の他のエレメントも含む。
「光化学的に有効な量」は、(例えば、密度、粘度、色、pH、屈折率あるいは他の物理的特性または化学的特性の変化によって証拠となるような)選択された露出条件下で所望の反応を反応性化学種が受けることを可能にするのに十分な量を意味する。
「光開始剤」は、光を吸収し、励起状態に達し、その後、分解して重合開始性化学種を作る電子受容体であることが可能である分子を意味する。
「光増感剤」は、活性化のために光開始剤が必要とするよりも低いエネルギーの光を吸収し、光開始性化学種を作るために光開始剤または電子受容体と相互作用することによって光開始剤を活性化するために必要とされるエネルギーを下げる分子、またはそれ自体が光を吸収することによって光重合を開始させる分子であることを意味する。
「ポリシラザン」は、少なくとも1個のSi−N連結を含む線状、分岐または環状の主鎖の少なくとも1つを有する化合物を意味する。これらの化合物は少なくとも1個のエチレン系不飽和基またはSiH基を含む。
「ポリシロキサザン」は、Si−N連結とSi−O連結の両方を含む線状、分岐または環状の主鎖の少なくとも1つを有する化合物を意味する。簡単のために、本願において、「ポリシラザン」は「ポリシロキサザン」および「ポリウレアシラザン」も含む。
「ポリウレアシラザン」は、少なくとも1個のSi−N連結を含むとともに2個の窒素原子の各々に結合された少なくとも1個のカルボニル基を有する少なくとも1個の線状、分岐または環状の主鎖を有する化合物を意味する。
「同時」は10-14秒以下の時間以内に起きる2つの事象を意味する。
「置換アリール」基は、ハロゲン、アルキル基、ヘテロアルキル基、エチレン系不飽和基の1つ以上などの(反応性化学種の反応を)妨害しない基によって置換されたアリール基を意味する。
「十分な光」は、単一光子吸収または多光子吸収を引き起こすのに十分な強度と適切な波長の光を意味する。
「三次元光パターン」は、光エネルギー分布が体積または多平面に存在し、単一平面に存在しない光学的画像を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ポリシラザン
それらのすべてがランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマーであることが可能である有用なポリシラザンは式Iによって一般に表される線状ポリシラザンを含む。
【化1】

式中、R1およびR2は独立してH、9個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状の脂肪族基、7個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状のヘテロアルキル基、13個未満の炭素原子を有する置換アリール基または非置換アリール基、エチレン系不飽和基であるか、またはR1およびR2は合一して8個未満の炭素原子を有する環を形成してもよく、R3およびR5は独立してH、7個未満の炭素原子を有する線状または分岐のアルキル基または7個未満の炭素原子を有する線状または分岐のヘテロアルキル基であり、R4はHまたはエチレン系不飽和基であり、aおよびbは、a+bの合計が1であり、bが零より大きく、好ましくは、aはbより大きいようなモル分率を表す。式Iのポリシラザンの数平均分子量は、約160g/モル〜約10,000g/モル、好ましくは約300g/モル〜約7,000g/モル、より好ましくは約500〜約3,000g/モル、最も好ましくは約700g/モル〜約2,000g/モルの範囲であることが可能である。
【0020】
有用な環状ポリシラザンの例には、式IIによって一般に表されるものが挙げられる。
【化2】

式中、R1、R2、R3、R4、R5、aおよびbは式Iのポリシラザンに関して記載された通りである。式IIの環状ポリシラザンの数平均分子量は、約160g/モル〜約3,000g/モル、好ましくは約300g/モル〜約2,000g/モル、より好ましくは約350g/モル〜約1,500g/モルの範囲であることが可能である。他の有用な環状ポリシラザンの例には、線状ポリシラザン部分と環状ポリシラザン部分の両方を含むものが挙げられる。
【0021】
有用な分岐ポリシラザンの例には、ポリシラザンの反復単位の少なくとも1個以上の中のR1とR2の一方または両方が式IIIによって表される構造を有する、式I(分岐を有する線状ポリシラザン)または式II(分岐を有する環状ポリシラザン)によって一般に表されるものも挙げられる。
【化3】

式中、R5は式Iに関して記載された通りであり、R6はH、9個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状の脂肪族基、7個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状のヘテロアルキル基、13個未満の炭素原子を有する置換アリール基または非置換アリール基、エチレン系不飽和基であり、cは、a、bおよびcの合計が1であり、bが零より大きく、好ましくは、bがcより大きく、cが零より大きく、好ましくは、aがbより大きいようなモル分率を表す。分岐ポリシラザンの数平均分子量は、約160g/モル〜約3,000g/モル、好ましくは約300g/モル〜約2,000g/モル、より好ましくは約350g/モル〜約1,500g/モルの範囲であることが可能である。他の有用な分岐ポリシラザンの例には、多分岐を含むものおよび環状ポリシラザン部分を含むものが挙げられる。
【0022】
Si−N単位に加えてSi−O単位を含むポリシラザンはポリシロキサザンと呼ばれ、本発明において有用である。
【0023】
有用な線状ポリシロキサザンには、式IVによって一般に表されるものが挙げられる。
【化4】

式中、R1、R2、R7およびR8は独立してH、9個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状の脂肪族基、7個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状のヘテロアルキル基、13個未満の炭素原子を有する置換アリール基または非置換アリール基、エチレン系不飽和基であるか、またはR1とR2またはR7とR8は各対がそれぞれ独立に合一して8個未満の炭素原子を有する環を形成し、R3およびR5は独立してH、7個未満の炭素原子を有する線状または分岐のアルキル基または7個未満の炭素原子を有する線状または分岐のヘテロアルキル基であり、R4はHまたはエチレン系不飽和基であり、e、fおよびdは、e、fおよびdの合計が1であり、fおよびdがそれぞれ零より大きく、好ましくはeがfとdの両方より大きいようなモル分率を表す。式IVのポリシロキサザンの数平均分子量は、約160g/モル〜約10,000g/モル、好ましくは約300g/モル〜約7,000g/モル、より好ましくは約500g/モル〜約3,000g/モル、最も好ましくは約700g/モル〜約2,000g/モルの範囲であることが可能である。
【0024】
有用なポリシロキサザンは環状または分岐であってもよい。有用な環状ポリシロキサザンには、Si−O連結を含む環状部分を有するポリシロキサザンおよびSi−O連結が環状部分の中にないポリシロキサザンが挙げられる。有用な分岐ポリシロキサザンには、Si−N連結またはSi−O連結の一方または両方で分岐されているポリシロキサザンが挙げられる。
【0025】
特に有用な市販ポリシラザンであるキオン(KION)VL20(ペンシルバニア州ハンチントンバレーのキオン・コーポレーション(KiON Corp(Huntington Valley,PA))から入手できる)は次の構造を有する。
【化5】

式中、nは1〜20の整数であり、R10はHまたはビニル基であることが可能である。
【0026】
2個の窒素原子の各々に結合されているカルボニル基を含むポリシラザンはポリウレアシラザンと呼ばれ、本発明において有用である。
【0027】
有用な線状ポリウレアシラザンには、式VIによって一般に表されるものが挙げられる。
【化6】

式中、R1、R2、R3、R4およびR5は式Iのポリシラザンに関して記載された通りであり、R9はH、7個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状の脂肪族基であり、g、hおよびiは、g、hおよびiの合計が1であり、hとiの両方が零より大きく、好ましくはgはhより大きいようなモル分率を表す。式VIのポリウレアシラザンの数平均分子量は、約160g/モル〜約10,000g/モル、好ましくは約300g/モル〜約7,000g/モル、より好ましくは約500g/モル〜約3,000g/モル、最も好ましくは約700g/モル〜約2,000g/モルの範囲であることが可能である。
【0028】
有用な環状ポリウレアシラザンには、式VIIによって一般に表されるものが挙げられる。
【化7】

式中、R1、R2、R3、R4およびR5は式Iのポリシラザンに関して記載された通りであり、R9とg、hおよびiは式VIのポリウレアシラザンに関して記載された通りである。式VIIの環状ポリウレアシラザンの数平均分子量は、約160g/モル〜約3,000g/モル、好ましくは約300g/モル〜約2,000g/モル、より好ましくは約350g/モル〜約1,500g/モルの範囲であることが可能である。他の有用な環状ポリウレアシラザンの例には、線状ポリウレアシラザン部分と環状ポリウレアシラザン部分の両方を含むものが挙げられる。
【0029】
有用な分岐ポリウレアシラザンの例には、式VI(分岐を有する線状ポリウレアシラザン)または式VII(分岐を有する環状ポリウレアシラザン)によって一般に表されるものが挙げられる。ここで、ポリウレアシラザンの反復単位の少なくとも1個以上の中のR1とR2の一方または両方は上述した式IIIによって表される構造を有する。
【0030】
アクリレート
本発明は少なくとも1種の多官能性アクリレートを含む。一官能性アクリレートは、架橋密度を下げるために任意に用いることが可能である。一般に好ましいアクリレートは、硬化性化学種、例えば、付加重合性のアクリレートモノマーおよびオリゴマーまたはメタクリレート(以後(メタ)アクリレートとしばしば呼ぶ)モノマーおよびオリゴマーならびにラジカル重合性または架橋性のアクリレートおよびメタクリレートなどの付加架橋性のアクリレートポリマーまたはメタクリレートポリマーならびにそれらの混合物を含む。
【0031】
適する(メタ)アクリレートは、例えば、米国特許第5,545,676号明細書、欄1行65〜欄2行26においてパラゾット(Palazzotto)らによって記載され、それらには、モノ−、ジ−およびポリ−アクリレートおよびメタクリレート(例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート)、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、トリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート、分子量約200〜500のポリエチレングリコールのビスアクリレートおよびビスメタクリレート、米国特許第4,652,274号明細書のものなどのアクリレート化モノマーと米国特許第4,642,126号明細書のものなどのアクリレート化オリゴマーの共重合性混合物が挙げられる。適する反応性ポリマーには、例えば、ポリマー鎖当たり1〜約50の(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレート側基を有するポリマーが挙げられる。例には、多アクリレート添加剤として用いることができるペンタエリトリトールトリアクリレート(PETA、ペンシルバニア州エクストンのサートマー・カンパニー・インコーポレーテッド(Sartomer Company,Inc.(Exton,PA))から入手できる)およびトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)も挙げられる。2種以上のモノマー、オリゴマーおよび/または反応性アクリレートポリマーの混合物を必要ならば用いることが可能である。
【0032】
アクリレートは以下で記載された量で組成物の中に存在することが可能である。
【0033】
多光子光増感剤
光反応性組成物の多光子光硬化性組成物の中で用いるために適する多光子光増感剤は、十分な光に露出された時に少なくとも2個の光子を同時に吸収することができるとともにフルオレセインの好ましくは少なくとも1.5倍の2光子吸収断面積を有する光増感剤である。
【0034】
好ましくは、光増感剤は(反応性化学種が液体である場合)反応性化学種に可溶性であるか、または組成物の中に含まれる反応性化学種および(以下で記載するような)あらゆる結合剤と適合性である。最も好ましくは、光増感剤は、米国特許第3,729,313号明細書に記載された試験手順を用いて、光増感剤の単一光子吸収スペクトル(単一光子吸収条件)に重なる波長範囲内での連続照射下で2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンを増感させることもできる。現在入手できる材料を用いて、その試験を次の通り行うことが可能である。
【0035】
分子量45,000〜55,000、ヒドロキシル含有率9.0〜13.0%のポリビニルブチラール(ブットバール(Butvar)(登録商標)B76、ミズーリ州セントルイスのソルチア(Solutia(St.Louis,MO)))のメタノール中の5%(体積質量(weight by volume))溶液5.0部、トリメチロールプロパントリメタクリレート0.3部および2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン(Bull.Chem. Soc.Japan,42,2924−2930頁(1969年)を参照すること)0.03部の組成を有する標準試験溶液を調製することが可能である。この溶液に光増感剤として試験しようとする化合物0.01部を添加することが可能である。その後、0.05mmのナイフオリフィスを用いて、得られた溶液を0.05mmのクリアポリエステルフィルム上にナイフ被覆することが可能であり、被膜を約30分にわたり空気乾燥させることが可能である。乾燥させたが柔軟で粘着性の被膜上に空気の最少閉じ込めで注意深く0.05mmのクリアポリエステルカバーフィルムを置くことが可能である。その後、得られたサンドイッチ構造体に可視範囲と紫外線範囲の両方で光を提供するタングステン光源(FCH(登録商標)650ワット石英−沃素ランプ、オハイオ州クリーブランドのゼネラル・エレクトリク・ライティング(General Electric Lighting(Cleveland,OH)))からの161,000ルックスの入射光に3分にわたり露出することが可能である。構造体の中に露出領域と未露出領域を提供するためにステンシルを通して露出を行うことが可能である。露出後に、カバーフィルムを除去することが可能であり、ゼログラフィにおいて従来から用いられたタイプのカラートナー粉末などの微細着色粉末で被膜を処理することが可能である。試験された化合物が光増感剤である場合、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンからの光発生ラジカルによってトリメチロールプロパントリメタクリレートモノマーは光露出領域内で重合される。重合された領域が本質的に粘着性フリーなので、着色粉末は被膜の粘着性未露出領域のみに本質的に限って選択的に接着し、ステンシル中の画像に対応する視像を提供する。
【0036】
多光子光硬化性組成物は、好ましくは、(1)少なくとも2個の光子を同時に吸収するとともにフルオレセインの少なくとも1.5倍の2光子吸収断面積(J.Opt.Soc.Am.B,13,481頁(1996年)においてC.ズ(C.Xu)およびW.W.ウェブ(W.W.Webb)によって記載された方法によって測定された、約75×10-50cm4 sec/光子を一般に上回る)を有する少なくとも1種の多光子光増感剤、(2)任意に、多光子光増感剤とは異なるとともに光増感剤の電子励起状態に電子を供与することができる少なくとも1種の電子供与体化合物(好ましくは、零より大きく且つp−ジメトキシベンゼンのそれ以下である酸化電位を有する電子供与体化合物)および(3)光増感剤の電子励起状態から電子を受容することにより光増感されることができ、よって少なくとも1個のラジカルの形成をもたらす少なくとも1つの電子受容体(好ましくは、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、アジニウム塩、クロロメチル化トリアジンおよびトリアリールイミダゾリルダイマーからなる群から選択された電子受容体)の化学的に有効な量を含む。
【0037】
好ましくは、光増感剤は、保存安定性の問題にある程度基づいて選択することも可能である。従って、特定の光増感剤の選択は、(電子供与体化合物および/または光開始剤の選択に応じてのみでなく)用いられる特定の反応性化学種にある程度応じて決まることが可能である。
【0038】
特に好ましい多光子光増感剤には、以下の構造を有するローダミンB(すなわち、N−[9−(2−カルボキシフェニル)−6−(ジエチルアミノ)−3H−キサンテン−3−イリデン]−N−エチルエタンアミン塩)のような大きい多光子吸収断面積を示す増感剤ならびに例えば、国際公開第98/21521号パンフレットおよび同第99/53242号パンフレットにおいてマーダー(Marder)およびペリー(Perry)らによって記載された光増感剤の4つの類が挙げられる。
【化8】

4つの類は、次の通り記載することが可能である。(a)共役π(pi)電子橋に2個の供与体が連結している分子、(b)1個以上の電子受容性基で置換されている共役π(pi)電子橋に2個の供与体が連結している分子、(c)共役π(pi)電子橋に2個の受容体が連結している分子および(d)1個以上の電子供与性基で置換されている共役π(pi)電子橋に2個の受容体が連結している分子(ここで、「橋」は、2個以上の化学基を連結する分子断片を意味し、「供与体」は共役π(pi)電子橋に結合可能である低いイオン化電位を有する原子または原子の群を意味し、「受容体」は共役π(pi)電子橋に結合可能である高い電子親和度を有する原子または原子の群を意味する)。
【0039】
こうした好ましい光増感剤の代表的な例には、以下のものが挙げられる(式中、Buはブチルであり、Meはメチルである)。
【化9】

【0040】
光増感剤の上述した4つの類は、標準ウィティヒ条件下でアルデヒドとイリドを反応させることにより、または国際公開第98/21521号パンフレットに記載されたようにマクマリー反応を用いることにより調製することが可能である。
【0041】
他の化合物は、大きい多光子吸収断面積を有するとして(例えば、米国特許第6,100,405号明細書および米国特許第5,770,737号明細書において)レインハルド(Reinhardt)らによって記載されている。但し、これらの断面積は上述した方法以外の方法によって決定された。こうした化合物の代表的な例には、
【化10】

が挙げられる。
【0042】
有用な多光子光増感剤のもう1つの類は、米国特許出願公開第2004/0067431A1号明細書に記載されている半導体ナノ粒子量子ドットである。これらは、2個以上の光子の吸収によって到達できる少なくとも1つの電子励起状態を有する半導体ナノ粒子の少なくとも1つのタイプを含む。より詳しくは、本発明の組成物中で多光子光増感剤として用いることができる半導体ナノ粒子量子ドットには、2個以上の光子の吸収(好ましくは同時吸収)によって到達できる少なくとも1つの電子励起状態を有するものが挙げられる。好ましくは、量子ドットは、反応性化学種に実質的に可溶性(従って、実質的に非凝集性)である。好ましいナノ粒子量子ドットは、光反応性組成物のすべての成分の全質量を基準にして約1.0質量%より大きい(好ましくは約2.0%より大きい、より好ましくは約5.0%より大きい)反応化学種中の溶解度を一般に示す。ナノ粒子量子ドットは、光反応性組成物がヒトの目によって見た時に光学的にクリアであるように反応性化学種中で好ましくは十分に可溶性である。
【0043】
適するナノ粒子量子ドットは、一般に約1nm〜約50nmの間の平均径に及ぶ。好ましくは、ナノ粒子量子ドットは、少なくとも約1.5nm、より好ましくは少なくとも約2nmの平均径を有する。ナノ粒子量子ドットは、好ましくは約30nm以下の平均径、より好ましくは約10nmの平均径を有する。かなり狭いサイズ分布を有するナノ粒子量子ドットは、競争する1光子吸収を避けるために好ましい。
【0044】
ナノ粒子量子ドットは1種以上の半導体材料を含むことが可能である。有用な半導体材料には、例えば、第II−VI族半導体(例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTeおよびMgTeなど)、第III−V族半導体(例えば、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlAs、AlP、AlSbおよびAlSなど)、第IV族半導体(例えば、GeおよびSiなど)、第I−VII族半導体(例えば、CuClなど)、それらの合金およびそれらの混合物(例えば、三元混合物および四元混合物)が挙げられる。好ましい半導体ナノ粒子量子ドットは、第IV族半導体または第II−VI族半導体(より好ましくは第II−VI族半導体、最も好ましくは亜鉛またはカドミウムを含む第II−VI族半導体を含む。
【0045】
半導体ナノ粒子(例えば、シリコンまたはゲルマニウムなどの一元素半導体およびGaAs、InP、CdSeまたはZnSなどの化合物半導体)は、標準コロイド化学に基づく湿式化学プロセスを用いて合成することが可能である。一般的な合成は、ナノ粒子の成長を制御し、凝集を防ぐために作用することが可能である高温配位溶媒(例えば、アミンまたはホスフィン)に半導体の分子前駆体(例えば、CdSeのためのジメチルカドミウムおよびトリオクチルホスフィンセレニド)の迅速添加(例えば注入による)を含む(例えば、マリー(Murray)ら,J.Am.Chem.Soc.115,8706頁(1993年)を参照すること)。前駆体の高度に反応性の性質を考慮して、および/または成長ナノ粒子の酸化を防ぐか、または最少にするために、合成は不活性雰囲気(例えば窒素雰囲気)内で一般に行われる。
【0046】
有用な半導体ナノ粒子量子ドットの選択、それらの調製の詳細およびそれらの適合性を助けるために望ましい表面処理および反応化学種中の分散性は米国特許出願公開第2004/0067431A1号明細書に記載されている。
【0047】
電子供与体化合物
光反応性組成物の多光子光硬化性組成物の中で有用な電子供与体化合物は、光増感剤の電子励起状態に電子を供与できる(光増感剤自体以外の)化合物を含む。こうした化合物は、任意に、光開始剤系の多光子感光性を増すために用いてもよく、よって光反応性組成物の光反応を引き起こすために必要とされる露出を減らす。電子供与体化合物は、零より大きく、且つp−ジメトキシベンゼンのそれ以下である酸化電位を好ましくは有する。好ましくは、酸化電位は、標準カロメル電極(「S.C.E」)に対して約0.3〜1ボルトの間である。
【0048】
電子供与体化合物も反応性化学種に好ましくは可溶性であり、(上述したように)保存安定性の問題にある程度基づいて選択される。適する供与体は、所望の波長の光に露出されると、一般に光反応性組成物の硬化の速度または画像密度を増すことができる。
【0049】
一般に、特定の光増感剤および光開始剤と合わせて用いるために適する電子供与体化合物は、例えば米国特許第4,859,572号明細書(ファリド(Farid)ら)における3つの成分の酸化電位と還元電位を比較することにより選択することが可能である。こうした電位は実験的に測定することが可能である(例えば、R.J.コックス(R.J.Cox)著「感度(Photographic Sensitivity)」,チャプター15,アカデミック・プレス(Academic Press)(1973年)によって記載された方法によって)か、またはN.L.ウェインバーグ(N.L.Weinburg)編「電子有機合成の技術、パートII:化学の技術(Technique of Electroorganic Synthesis Part II Techniques of Chemistry)」,Vol.V(1975年)ならびにC.K.マン(C.K.Mann)およびK.K.バーンズ(K.K.Barnes)著「非水系における電子化学反応(Electrochemical Reactions in Nonaqueous Systems)」(1970年)などの参考文献から得ることが可能である。こうした電位は相対的なエネルギー関係を反映し、国際公開第01/96409号パンフレット(PCT/US01/19164)に記載されたように用いることが可能である。
【0050】
適する電子供与体化合物には、例えば、B.ボーマン(B.Voman)ら編「光化学の進歩(Advances in Photochemistry)」,Volume13,427−488頁,ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons),New York(1986年)においてD.F.イートン(D.F.Eaton)によって、米国特許第6,025,406号明細書,欄7行42−61においてオクスマン(Oxman)らによって、および米国特許第5,545,676号明細書,欄4行14〜欄5行18においてパラゾット(Palazzotto)らによって記載されたものが挙げられる。こうした電子供与体化合物には、アミン(トリエタノールアミン、ヒドラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリフェニルアミン(およびそのトリフェニルホスフィン類似体およびトリフェニルアルシン類似体)、アミノアルデヒドおよびアミノシランを含む)、アミド(燐含有アミドを含む)、エーテル(チオエーテルを含む)、ウレア(チオウレアを含む)、スルフィン酸塩、(アルキル)n(アリール)mホウ酸(式中、n+m=4)塩(テトラアルキルアンモニウム塩は好ましい)、SnR4化合物(式中、各Rは独立してアルキル、アラルキル(特にベンジル)、アリールおよびアルカリール基から選択される)などの種々の有機金属化合物(例えば、n−C37Sn(CH33、(アリル)Sn(CH33および(ベンジル)Sn(n−C373)およびフェロセンなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。電子供与体化合物は非置換であることが可能であるか、または(反応性化学種の反応を)妨害しない1個以上の置換基で置換されていることが可能である。特に好ましい電子供与体化合物は、電子供与体原子(窒素、酸素、燐または硫黄原子など)および電子供与体原子にアルファ位で炭素原子または珪素原子に結合された引抜可能な水素原子を含む。有用な電子供与体化合物の多くの例は国際公開第01/96409号パンフレットに記載されている。
【0051】
ラジカル誘導反応のために好ましい電子供与体化合物には、1個以上のジュロリジニル部分を含むアミン、アルキルアリールホウ酸塩および芳香族スルフィン酸の塩が挙げられる。しかし、こうした反応のために、電子供与体化合物は必要ならば(例えば、光反応性組成物の保存安定性を改善するため、または解像度、コントラストおよび相互関係を修正するために)省くことも可能である。
【0052】
電子受容体
光反応性組成物の反応性化学種のために適する電子受容体化合物は、多光子光増感剤の電子励起状態から電子を受容することにより光増感されることができ、よって少なくとも1個のラジカルの形成をもたらす(光増感剤自体以外の)化合物である。こうした電子受容体には、クロロメチル化トリアジン(例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−アリール−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン)、ジアゾニウム塩(例えば、アルキル、アルコキシ、ハロまたはニトロなどの基で任意に置換されたフェニルジアゾニウム塩)、スルホニウム塩(例えば、アルキル基またはアルコキシ基で任意に置換され、隣接アリール部分を橋架けする2,2’−オキシ基を任意に有するトリアリールスルホニウム塩)、アジニウム塩(例えば、N−アルコキシピリジニウム塩)およびトリアリールイミダゾリルダイマー(好ましくは、アルキル、アルコキシまたはハロなどの基で任意に置換された2,2’,4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾールなどの2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマー)など、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0053】
電子受容体は反応性化学種に好ましくは可溶性であり、好ましくは保存安定性(すなわち、光増感剤と電子供与体化合物の存在下で反応性化学種に溶解させた時に反応性化学種の反応を自発的に促進しない)である。従って、特定の電子受容体の選択は、上述したように、選択された特定の反応性化学種、光増感剤および電子供与体化合物にある程度応じて決まることが可能である。
【0054】
好ましい電子受容体には、クロロメチル化トリアジン、トリアリールイミダゾリルダイマー(より好ましくは、2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマー)、スルホニウム塩およびジアゾニウム塩が挙げられる。クロロメチル化トリアジンおよび2,4,5−トリフェニルイミダゾリルダイマーは、より好ましい。
【0055】
単一光子光硬化性組成物
単一光子光硬化性組成物は、一成分系、二成分系または三成分系であることが可能である。一成分系は光化学的に有効な量の少なくとも1種の一光子光開始剤を含む。こうした化合物の例には、電磁スペクトルの紫外線部分または可視部分の波長を有する放射線に露出されたときにラジカル源を発生させるラジカル光開始剤が挙げられる。
【0056】
有用なラジカル光開始剤には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アリールグリオキサレート、アシルホスフィンオキシド、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、チオキサントン、特に、イソプロピルチオキサントンおよび2−クロロチオキサントン、クロロアルキルトリアジン、ビスイミダゾール、トリアシルイミダゾール、ピリリウム化合物、スルホニウム塩、メルカプト化合物、キノン、アゾ化合物、有機過酸化物およびそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
こうしたラジカル光開始剤およびそれらの調製のための方法は技術上知られている。多くは市販されている。
【0058】
あるいは、有用な二成分一光子光開始剤系および三成分一光子光開始剤系は、(1)少なくとも1種の一光子光増感剤および(2)(i)一光子光増感剤とは異なるとともに一光子光増感剤の電子励起状態に電子を供与することができる少なくとも1種の電子供与体化合物(好ましくは、零より大きく且つp−ジメトキシベンゼンのそれ以下である酸化電位を有する電子供与体化合物)と(ii)一光子光増感剤の電子励起状態から電子を受容することにより光増感されることができ、よって少なくとも1個のラジカルの形成をもたらす少なくとも1種の光開始剤(好ましくは、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、アジニウム塩、クロロメチル化トリアジンおよびトリアリールイミダゾリルダイマーからなる群から選択された光開始剤)の一方または両方、の光化学的に有効な量を含む。
【0059】
一光子光増感剤は、好ましくは約200〜約800ナノメートルの間(より好ましくは約200〜約700ナノメートルの間、最も好ましくは約300〜約600ナノメートルの間)の波長の範囲内のどこかで光を吸収できる。
【0060】
好ましくは、一光子光増感剤は、反応化学種の反応を実質的に妨害する官能基を実質的に含まず、反応性化学種(反応性化学種が液体である場合)に可溶性であるか、または反応性化学種と適合性であり、組成物の中に含まれる(上述した)一切の結合剤と適合性である。最も好ましくは、一光子光増感剤は、米国特許第3,729,313号明細書、欄2行46〜欄3行10に記載された試験手順を用いて、一光子光増感剤(単一光子吸収条件)の単一光子吸収スペクトルに重なる波長範囲内での連続照射下で2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンを増感させることもできる。現在入手できる材料を用いて、その試験を多官能性光増感剤のために上述したように行うことが可能である。
【0061】
好ましくは、一光子光増感剤は、保存安定性の問題にある程度基づいて選択することも可能である。従って、特定の光増感剤の選択は、(電子供与体化合物および/または光開始剤の選択に応じてのみでなく)用いられる特定の反応性化学種にある程度応じて決まることが可能である。
【0062】
適する一光子光増感剤は、ケトン、クマリン染料(例えばケトクマリン)、キサンテン染料、アクリジン染料、チアゾール染料、チアジン染料、オキサジン染料、アジン染料、アミノケトン染料、ポルフィリン、芳香族多環式炭化水素、p−置換アミノスチリルケトン化合物、アミノトリアリールメタン、メロシアニン、スクアリリウム染料およびピリジニウム染料の範疇の化合物を含むことが考えられる。キサンテン染料、ケトン(例えば、モノケトンまたはアルファ−ジケトン)、ケトクマリン、アミノアリールケトンおよびp−置換アミノスチリルケトン化合物は好ましい一光子光増感剤である。光増感剤の混合物も用いることが可能である。高い感度を要求する用途のために、ジュロリジニル部分を含む一光子増感剤を用いることが一般に好ましい。
【0063】
場合によって、光増感剤は、例えばチオキサントンとして単独で重合を光開始することが可能である。
【0064】
これらの材料は、米国特許第6,750,266B2号明細書に詳しく記載されている。
【0065】
単一光子光硬化性組成物に関する電子供与体化合物は、多光子光硬化性組成物に関して開示された電子供与体化合物であることが可能である。
【0066】
光反応性組成物の調製
本発明において有用な反応性化学種(すなわち、ポリシラザンおよびアクリレート)、多光子光増感剤、電子供与体化合物および電子受容体化合物は、上述した方法および引用された参考文献における方法によって、または技術上知られている他の方法によって調製することが可能であり、多くは市販されている。本発明の成分は、組み合わせのいずれかの順序および組み合わせの方式(任意に、攪拌あるいはかき混ぜ)を用いて「安全光」条件下で組み合わせることが可能である。但し、光開始剤(電子受容体)を最後(そして、他の成分の溶解を促進するために任意に用いられるあらゆる加熱工程後)に添加することが時には好ましい(保存寿命および熱安定性の観点から)。溶媒が認め得るほどに組成物の成分と反応しないように選択されるかぎり、必要ならば溶媒を用いることが可能である。適する溶媒には、例えば、アセトン、ジクロロメタンおよびアセトニトリルが挙げられる。反応性化学種自体も他の成分のための溶媒として時には作用することが可能である。
【0067】
光硬化性組成物の成分は、(上で定義された通り)光化学的に有効な量で存在する。本組成物は、固形分の全質量(すなわち、溶媒以外の成分の全質量)を基準にして一般に少なくとも約5質量%(好ましくは少なくとも約10質量%、より好ましくは少なくとも約20質量%)から約99.79質量%以下(好ましくは約95質量%以下、より好ましくは約80質量%以下)の1種以上の反応性化学種、任意に、約10質量%以下(好ましくは少なくとも約0.01質量%、より好ましくは少なくとも約0.1質量%、最も好ましくは少なくとも約0.2質量%、好ましくは約5質量%以下、より好ましくは約2質量%以下)の1種以上の光増感剤、任意に、約10質量%以下(好ましくは約5質量%以下)の1種以上の電子供与体化合物(好ましくは少なくとも約0.1質量%、より好ましくは約0.1質量%〜約5質量%)および任意に、約10質量%以下の1種以上の光開始剤または電子受容体化合物(好ましくは約0.1質量%〜約5質量%)を含むことが可能である。
【0068】
多官能性アクリレートは、全組成物の重量を基準にして約0.1質量%〜約50質量%、好ましくは約3質量%〜約30質量%、より好ましくは約10質量%〜約20質量%の範囲内で反応性組成物中に存在することが可能である。
【0069】
全固形分を基準にして約0.001〜5.0質量%の量で有機過酸化物、ヒドロペルオキシド、アシルペルオキシドおよびアゾ化合物のいずれかなどの、熱分解中に構造一体性を維持するのを助けるために熱ラジカル開始剤を添加することが望ましい場合がある。好ましい例には、2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよび2,5−ジメチル−2,5−ジ−(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサンが挙げられる。
【0070】
所望の末端用途に応じて、多様な補助剤を光反応性組成物の中に含めることが可能である。適する補助剤には、溶媒、希釈剤、樹脂、結合剤、可塑剤、顔料、染料、無機または有機の強化充填剤または増量充填剤(組成物の全重量を基準にして約10〜90質量%の好ましい量で)、チキソトロープ剤、指示薬、禁止剤、安定剤、紫外線吸収剤および薬物(例えば、浸出性弗化物)などが挙げられる。こうした補助剤の量およびタイプならびにこうした補助剤の組成物への添加方式は当業者によく知られている。
【0071】
露出の前に、得られた光反応性組成物は、当業者に知られている様々な被覆方法(例えば、ナイフ塗布およびスピン塗布を含む)のいずれかによって必要ならば基材上に被覆することが可能である。基材は、特定の用途および用いられる露出の方法に応じて例えば、フィルム、シートまたは他の表面であることが可能である。好ましい基材は、一般に均一な厚さを有する光反応性組成物の層の調製を可能にするのに十分に平坦である。
【0072】
被覆があまり望ましくない用途の場合、代案として光反応性組成物は塊状形態を取って露出されることが可能である。被覆後、反応性組成物は、残留溶媒の一部または全部を除去するために、任意に穏やかに焼成(例えば、ホットプレート上または炉内)することが可能である。基材は適するいかなる材料(例えば、ガラス、融解石英、シリコン、弗化カルシウム)からも製造することが可能であり、特定の用途および用いられる露出の方法に応じて、多様なフィルム、シート、ウェハおよび他の表面から選択することが可能である。基材は光反応性組成物の基材への粘着力を強化するためにプライマ(例えば、シランカップリング剤)で任意に前処理することが可能である。
【0073】
単一光子露出システムおよびその用途
単一光子光反応性組成物は、接触リトグラフィまたは投影リトグラフィ(例えば、W.モロー(W.Moreau)著「半導体リトグラフィ:原理、実施および材料(Semiconductor Lithography:Principles,Practices,and Materials)」(第三版),プレナム・プレス(Plenum Press):New York,1991年を参照すること)などの標準フォトリトグラフィを用いて光パターン化することが可能である。光源は、化学線(すなわち、光反応プロセスを開始できる放射線)を生じさせるいかなる光源であることも可能であり、光反応性組成物の中で用いられる光開始剤または光増感剤のために適切な波長で十分な強度を提供する実際上いかなる光源であることも可能である。こうした波長は、一般に電磁スペクトルの紫外線部分または可視光部分にあり、約150〜約800nm、好ましくは約200〜約600nm、より好ましくは約240〜約500nmの範囲内であることが可能である。露出時間は、画像形成を引き起こすために用いられる露出システムのタイプ(開口率、光強度空間分布の幾何形状および平均光強度などのその随伴変数)に応じて、および露出された光反応性組成物の性質に応じて一般に異なる。
【0074】
多光子露出システムおよびその用途
多光子硬化のために有用な露出システムは、少なくとも1つの光源(通常はパルスレーザ)および少なくとも1つの光学エレメントを含む。適する光源には、例えば、アルゴンイオンレーザ(例えば、コヒーレント・インノバ(Coherent Innova))によって送り込まれたフェムト秒近赤外チタンサファイアオシレータ(例えば、コヒーレント・ミラ・オプティマ(Coherent Mira Optima)900−F、カリフォルニア州サンタクララの(Santa Clara,CA))を含む。76MHzで作動するこのレーザは、200フェムト秒未満のパルス幅を有し、700nmと980nmとの間で整調可能であり、1.4ワット以下の平均出力を有する。しかし、実際には、(光反応性組成物の中で用いられる)光増感剤のために適切な波長で(多光子吸収を引き起こすのに)十分な強度を提供するいかなる光源も用いることが可能である(こうした波長は、一般に約300〜約1500nm、好ましくは約600〜約1100nm、より好ましくは約750〜約850nmの範囲内であることが可能である。ピーク強度は、一般に少なくとも約106W/cm2から推移することが可能である。パルス流束量の上限は光反応性組成物の消耗限界によって一般に決定される)。例えば、Q−交換Nd:YAGレーザ(例えば、スペクトル−フィジックス・クオンタ−レイPRO(Spectra−Physics Quanta−Ray PRO)、カリフォルニア州マウンテンビュー(Mountain View,CA))、可視波長染料レーザ(例えば、スペクトル−フィジックス・クオンタ−レイPRO(Spectra−Physics Quanta−Ray PRO)によって送り込まれたスペクトル−フィジックス・シラ(Spectra−Physics Sirah)およびQ−交換ダイオードポンプレーザ(例えば、スペクトル−フィジックス・FCbar(Spectra−Physics FCbar)(登録商標))も用いることが可能である。好ましい光源は、約10-8秒未満(より好ましくは約10-9秒未満、最も好ましくは約10-11秒未満)のパルス長を有する近赤外パルスレーザである。上述したピーク強度およびパルス流束量の基準を満たす限り他のパルス長を用いることが可能である。
【0075】
本発明の方法を行う際に有用な光学エレメントには、屈折光学エレメント(例えば、レンズおよびプリズム)、反射光学エレメント(例えば、再帰反射板または集束鏡)、回折光学エレメント(例えば、回折格子、位相マスクおよびホログラム)、偏光光学エレメント(例えば、直線偏光子およびウェーブプレート)、拡散体、ポッケルスセル、導波管、ウェーブプレートおよび複屈折液晶などが挙げられる。こうした光学エレメントは、焦点調節、ビームデリバリ、ビーム/モード整形、パルス整形およびパルスタイミングのために有用である。一般に、光学エレメントの組み合わせを用いることが可能であり、他の適切な組み合わせは当業者によって認識されている。高度に集束した光を提供するために大きな開口率を有する光学素子を用いることがしばしば望ましい。しかし、所望の強度分布(およびその空間配置)を提供する光学エレメントのあらゆる組み合わせは用いることが可能である。例えば、露出システムは、0.75NA対物レンズ(ゼイス(Zeiss)20X Fluar、ニューヨーク州ソーンウッドのカール・ゼイス・ミクロ・イメージング・インコーポレーテッド(Carl Zeiss Micro Imaging Inc.(Thornwood,NY)))を備えた走査共焦顕微鏡(バイオラド(BioRad)MRC600、ニューヨーク州ソーンウッド(Thornwood,NY))を含むことが可能である。
【0076】
一般に、光反応性組成物の多光子露出は、組成物内の光強度の三次元空間分布を制御するための手段として光学システムに加えて(上述したような)光源を用いて行うことが可能である。例えば、パルスレーザからの光は、焦点が組成物の体積内であるような方式で焦点調節レンズを通過することが可能である。所望の形状に対応する三次元パターンで焦点を走査するか、移すことが可能であり、よって所望の形状の三次元画像をもたらす。組成物の露出体積または照明体積は、組成物を移動させるか、光源を移動(例えば、ガルボ−ミラーを用いてレーザビームを移動させる)させることにより走査することが可能である。
【0077】
例えば反応化学種の溶解度特性とは異なる溶解度特性を有する材料を生成させる反応化学種の反応を光が誘導する場合、得られた画像は、例えば適切な溶媒の使用を通して露出領域または非露出領域のいずれかを除去することにより、または技術上知られている他の手段によって任意に現像することが可能である。硬化した複雑な三次元物体をこの方式で調製することが可能である。
【0078】
露出時間は、画像形成を引き起こすために用いられる露出システムのタイプ(および開口率、光強度空間分布の幾何形状およびレーザパルス中のピーク光強度などのその随伴変数(より高い強度およびより短いパルス持続時間はピーク光強度におおよそ対応する))に応じて、および露出された組成物(および光増感剤、光開始剤および電子供与体化合物のその濃度)の性質に応じて一般に異なる。一般に、焦点の領域におけるより高いピーク光強度は他の全部が同じとしてより短い露出時間を可能にする。直線画像形成速度または「書き込み」速度は、約10-8〜10-15秒(好ましくは約10-11〜10-14秒)のレーザパルス持続時間および約102〜109パルス/秒(好ましくは約103〜108パルス/秒)を用いて一般に約5〜100,000マイクロメートル/秒であることが可能である。
【0079】
2002年10月2日出願の譲受人の米国特許出願公開第2004/0068023A1号明細書で開示されたように、単一光子反応性放射線または多光子反応性放射線は、非露出反応性組成物の溶解度特性とは異なる溶解度特性を有する材料をもたらす反応性組成物における反応を誘導する。その後、被露出材料と非被露出材料の得られたパターンは、適切な溶媒により露出領域または非露出領域のいずれかを除去することにより現像することが可能である。露出後であるが現像前の任意のポスト露出焼成は、特定の光反応性組成物のために必要な場合がある。反応済みで複雑なシームレス三次元構造をこの方式で調製することが可能である。
【0080】
得られた構造は適するあらゆるサイズおよび形状を有することが可能であるが、本発明の方法は物品の微細組織化表面に微細構造を付加するために特に適合する。こうした構造は、物品の表面上、あるいは表面の機構内または表面の機構上に形成することが可能である。
【0081】
光パターン化構造は、プレセラミックポリマーをセラミック材料に変換するために熱処理(熱分解)することが可能である。重合反応後、得られた高分子材料は、セラミック材料を形成させるために典型的には熱分解される。例えば、熱処理のために用いられる条件に応じて、非晶質構造または結晶質構造を得ることが可能である。非晶質構造は、特に約700〜1200℃、好ましくは900〜1200℃の温度範囲内で熱分解を行う時に一般に得られる。より高い温度、例えば、1200〜2000℃、好ましくは1500〜2000℃で熱処理を行う時、少なくとも部分的に結晶質の構造が典型的に得られる。熱分解は、保護ガスカバー下または反応ガスカバー(例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、アンモニアなど)下で、または真空で典型的に行われる。更に、熱分解は、高分子材料をセラミック材料に変換するために約0.5〜2時間にわたり典型的に行われる。任意に、セラミック材料は熱分解後に追加の処理を受ける。例えば、900℃から2000℃以下、好ましくは1600〜2000℃の温度で0.5〜2時間以上にわたる焼結手順後に安定体が典型的に得られる。
【0082】
焼結後、構造体は実質的に無機組成物および焼結工程の前より小さい寸法を有する。
【0083】
有用性
これらの耐熱性材料に関する代表的な用途には、独立して用いることができるか、またはミクロエレクトロメカニカルシステムなどの他のシステムに統合することができるミクロ燃焼器、ミクロ熱交換器、センサーおよびアクチュエータシステム、ミクロ流体素子およびミクロオプティックスシステムなどのパターン化セラミックデバイスが挙げられる。高温に耐えることができるセラミックスは、セラミックスの優れた熱特性、耐腐食性および耐薬品性、高い弾性率および硬度のゆえに従来の高分子材料の良好な代替品である。
【実施例】
【0084】
本発明の目的および利点を以下の実施例により更に例示するが、これらの実施例において挙げた特定の材料および材料の量ならびに他の条件および詳細は本発明を不当に限定すると解釈されるべきではない。
【0085】
用語解説
特に注記がない限り、脱酸素された乾燥溶媒および乾燥試薬と合わせて乾燥窒素雰囲気下ですべての手順を行った。特に注記がない限り、すべての溶媒および試薬はウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI))から購入したか、または購入することが可能である。
【0086】
本明細書で用いられる時、
「VL20」は、ペンシルバニア州ハンチングドンバレーのKiONコーポレーション(KiON Corporation(Huntingdon Valey,PA))から購入したVL20硬化性ポリシラザンを意味する。
「Dye1」は、多光子増感性染料であるビス−[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]−1−(2−エチルヘキシルオキシ),4−(メトキシ)ベンゼンを意味する。
「TMPTA」はトリメチロールプロパントリアクリレートを意味する。
「ITX」は、ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY))から入手できるダロキュア(DAROCURE)ITXを意味する。
「イルガキュア(IRGACURE)819」は、ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY))から入手できるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドを意味する。
【0087】
「Dye1」、ビス−[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]−1−(2−エチルヘキシルオキシ),4−(メトキシ)ベンゼンの調製
米国特許第5,189,136号明細書の手順により本質的に調製された2,5−ビス(クロロメチル)−1−メトキシ−4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼン(28.26g)とトリエチルホスファイト(37.4g)の混合物を加熱して6時間にわたり還流させた。冷却後、生成物を高真空下で加熱して残留トリエチルホスファイトを除去した。濃い油を得、それは数日後にゆっくり結晶化し、特に精製せずに以下の工程で用いた。濃い油(11.60g)、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド(12.34g)および乾燥テトラヒドロフラン(400mL)の混合物にカリウムt−ブトキシド(テトラヒドロフラン中の1.0M、44mL)を滴下した。混合物を室温で3時間にわたり攪拌し、その後、溶媒を真空下で除去した。水(100mL)を残留物に添加し、混合物を塩化メチレンで数回抽出した。組み合わせ有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を真空下で除去した。30/70塩化メチレン/ヘキサンを用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィによって粗製品を精製して、14.44gのDye1、ビス−[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]−1−(2−エチルヘキシルオキシ),4−(メトキシ)ベンゼンを鮮明な緑色の固体としてもたらした。構造をスペクトル分析によって確認した。
【0088】
実施例1〜3
2光子重合によるポリ(ビニルシラザン)の硬化
各スライドに接着させた接着剤テープ(スコッチ(SCOTCH)810マジックテープ(登録商標)、ミネソタ州セントポールのスリーエム・カンパニー(3M Company(St.Paul,MN))から入手できる)の約1cm離れた2つの細片の間の3つのきれいなガラス顕微鏡スライドの各々の上にVL20(2.00g)、TMPTA(0.30g)、ITX(0.040g)Dye1(0.011g)およびジクロロメタン(0.26g)の混合物の数滴を置いた。次いで、ガラスカバースリップが各混合物の上に置かれた。800nmの波長、公称パルス幅45fs、80MHzのパルス反復速度および約1.5mmのビーム径で動作するダイオードポンプTi:サファイアレーザ(カリフォルニア州マウンテンビューのスペクトル−フィジックス(Spectra−Physics(Mountain View,CA)))を用いて2光子重合を行った。光学縦列は、低分散ターニングミラー、ビームエキスパンダ、光学能を変えるための光学アテニュエータ、シャッターとしての音響光学変調器および垂直z軸段上に据えられたコンピュータ制御2軸(x−y軸)ガルボミラー走査システムからなっていた。100Xの油浸漬プランフルオライト(Plan Fluorite)顕微鏡対物レンズ(開口率1.4、ニューヨーク州メルビルのニコン・インストルメンツ・インコーポレーテッド(Nikon Instruments,Inc.(Melville,NY))を用いて、レーザ光をサンプルに焦点を合わせた。顕微鏡対物レンズの位置を調節して、ポリマー組成物とガラススライドの界面に焦点を設定した。コンピュータコントロール下で、焦点合わせされたレーザをラスターして、幅約100マイクロメートルの一連のバーを形成させた。レーザの走査速度を0.67mm/秒から43mm/秒まで変え、レーザの平均出力を約7mWから約12mWまで変えて、平均出力の関数として限界書き込み速度を決定した。限界書き込み速度は、以下で記載する現像工程後に無傷のままである重合済み構造を提供する所定の平均出力での最大走査速度である。サンプルのレーザへの露出後、各サンプルを現像した。各ガラススライドをアセトンで洗浄して、未重合ポリ(ビニルシラザン)を除去した。各ガラススライドを室温で空気中で乾燥させた後、光学顕微鏡を用いて、それぞれを検査した。データを表1に示している。
【0089】
【表1】

【0090】
データは、重合済みパターン化プレセラミック微細構造における平均出力への限界書き込み速度の高度直線依存性を示している。類似の手順および組成物を用いて、パターン化プレセラミック微細構造は、ポリシラザンの代わりに、またはポリシラザンに加えてポリシロキサザンとポリウレアシラザンの一方または両方を用いて製造することが可能である。
【0091】
実施例4
1光子重合済みポリ(ビニルシラザン)−アクリレート組成物からのセラミック構造体
ガラス顕微鏡スライドの片側をノーランド・オプティカル・アドヘシブ(NORLAND OPTICAL ADHESIVE)81(ニュージャージー州クランベリーのノーランド・プロダクツ(Norland Products(Cranbury,NJ))から入手できる)により約500マイクロメートルの厚さで被覆した。被膜から約4インチ(10cm)であったモデル66001ランプハウジング(コネチカット州スタンフォードのオリエル・コーポレーション(Oriel Corp.(Stanford,CT))から入手できる)とモデルUSH−200DPランプ(カリフォルニア州サイプレスのウシオ・アメリカ・インコーポレーテッド(USHIO America,Inc.(Cypress,CA))から入手できる)を含む光源を用いて被膜をシャドーマスクを通して2分にわたり照射した。その後、酢酸エチル中でスライドを洗浄して未硬化接着剤を除去することによりサンプルを現像した。その後、サンプルを空気のストリームの中で約2分にわたり乾燥させて、片側に硬化した接着剤のパターンを有するガラススライドをもたらした。第2のガラススライドをスリーエム・エスペ・エクスプレス(3M ESPE EXPRESS)7301ビニルポリシロキサン歯科用印象材料(ミネソタ州セントポールのスリーエム・エスペ(3M ESPE(St.Paul,MN))から入手できる)で被覆し、エクスプレス(EXPRESS)歯科用印象材料が硬化した接着剤に接触しているように、接着剤を上で硬化させたスライドにこのスライドを押し付けた。スライドを約5分にわたり互いに押し付けられたままにして、歯科用印象材料が硬化することを可能にし、その時間後に、スライドを分離した。硬化した歯科用印象材料は、硬化した接着剤のパターンの逆を保持し、次の工程のための型を提供した。VL20(4.00g)、TMPTA(0.55g)、テトラビニルシラン(1.00g)、白金(II)アセチルアセトネート(0.02g)、イルガキュア(IRGACURE)819(0.01g)、ジクミルペルオキシド(0.04g)およびジクロロメタン(5滴)の混合物をガラススライド上の硬化した歯科用印象材料上に注いで、パターンを混合物で満たした。オリエル(Oriel)ハウジング内のモデルUSH−200DPランプで2分にわたり混合物を照射した。照射を停止した後、サンプルを放置して室温で約3時間にわたり静置した。歯科用印象材料型を硬化したポリシラザン層から注意深く引き剥がした。10℃/分の速度で600℃まで2時間にわたり加熱し、その後、800℃で2時間にわたり加熱し、その後、1000℃で2時間にわたり加熱することにより、硬化したポリシラザン層をモデル3−550炉(コネチカット州ブルームフィールドのネイテック(Neytech(Bloomfield,CT))から入手できる)内で空気中で熱分解させた。サンプルを含む炉を放置して室温に冷却し、セラミック構造体を取り出した。製造されたセラミック構造体は型の正確な複製であった。不活性熱分解用雰囲気を用いて、他の有用なセラミック構造体を製造することが可能である。
【0092】
本発明の種々の予見できない修正および変更は、本発明の範囲および精神を逸脱せずに当業者に明らかになるであろう。本明細書で記載された例示的な実施形態および実施例によって本発明が不当に限定されることは意図されておらず、こうした実施例および実施形態が例のみとして提示され、本発明の範囲が次の通り本明細書に記載された特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されていることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)液体ポリシラザン前駆体と、
b)多官能性アクリレート添加剤と、
c)単一光子光硬化性組成物または多光子光硬化性組成物と、
を含む組成物。
【請求項2】
前記液体ポリシラザン前駆体が、
式I
【化1】

(式中、R1およびR2は独立してH、9個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状の脂肪族基、7個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状のヘテロアルキル基、13個未満の炭素原子を有するアリール基、エチレン系不飽和基であるか、またはR1とR2は合一して8個未満の炭素原子を有する環を形成することが可能であり、R3およびR5は独立してH、7個未満の炭素原子を有する線状または分岐のアルキル基または7個未満の炭素原子を有する線状または分岐のヘテロアルキル基であり、R4はHまたはエチレン系不飽和基であり、aおよびbは、a+bの合計が1であり、bが零より大きいようなモル分率を表す)
式II
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、aおよびbは式Iのポリシラザンに関して記載された通りである)
および式IV
【化3】

(式中、R1、R2、R7およびR8は独立してH、9個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状の脂肪族基、7個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状のヘテロアルキル基、13個未満の炭素原子を有するアリール基、エチレン系不飽和基であるか、またはR1とR2またはR7とR8は各対がそれぞれ独立に合一して8個未満の炭素原子を有する環を形成し、R3およびR5は独立してH、7個未満の炭素原子を有する線状または分岐のアルキル基または7個未満の炭素原子を有する線状または分岐のヘテロアルキル基であり、R4はHまたはエチレン系不飽和基であり、e、fおよびdは、e、fおよびdの合計が1であり、fおよびdがそれぞれ零より大きく、eがfとdの両方より大きいようなモル分率を表す)
[さらに必要に応じてR1またはR2あるいは両方が式III
【化4】

(式中、R5は式Iに関して記載された通りであり、R6はH、9個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状の脂肪族基、7個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状のヘテロアルキル基、13個未満の炭素原子を有するアリール基、エチレン系不飽和基であり、cは、a、bおよびcの合計が1であり、bが零より大きく、bがcより大きく、aがbより大きいようなモル分率を表す)
によって表される構造を有する]
の1つ以上を有する1個以上の単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記液体ポリシラザン前駆体が式
【化5】

(式中、nは1〜20の整数であり、R10はHまたはビニル基である)
を有する1個以上の単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリシラザン前駆体がポリシロキサザンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリシロキサザンが式IV
【化6】

(式中、R1、R2、R7およびR8は独立してH、9個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状の脂肪族基、7個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状のヘテロアルキル基、13個未満の炭素原子を有する置換アリール基または非置換アリール基、エチレン系不飽和基であるか、またはR1とR2またはR7とR8は各対がそれぞれ独立に合一して8個未満の炭素原子を有する環を形成し、R3およびR5は独立してH、7個未満の炭素原子を有する線状または分岐のアルキル基または7個未満の炭素原子を有する線状または分岐のヘテロアルキル基であり、R4はHまたはエチレン系不飽和基であり、e、fおよびdは、e、fおよびdの合計が1であり、fおよびdがそれぞれ零より大きいようなモル分率を表す)
によって表される構造を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリシラザン前駆体がポリウレアシラザンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリウレアシラザンが式VI
【化7】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は式Iのポリシラザンに関して記載された通りであり、R9はH、7個未満の炭素原子を有する線状、分岐または環状の脂肪族基であり、g、hおよびiは、g、hおよびiの合計が1であり、hとiの両方が零より大きく、好ましくはgがhより大きいようなモル分率を表す)
および式VII
【化8】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は式Iのポリシラザンに関して記載された通りであり、R9とg、hおよびiは、式VIのポリウレアシラザンに関して記載された通りである)
の少なくとも1つによって表される構造を有する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記アクリレートが、付加重合性のアクリレートモノマーまたはメタクリレートモノマー、付加重合性のアクリレートオリゴマーまたはメタクリレートオリゴマーおよび付加架橋性のアクリレートポリマーまたはメタクリレートポリマーの1つ以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記光硬化性組成物が単一光子光硬化性組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記光開始剤がラジカル源を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記光硬化性組成物が、多光子光増感剤および任意に電子受容体と電子供与体の一方または両方を含む多光子光硬化性組成物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記多光子光増感剤が十分な光に露出された時に少なくとも2個の光子を吸収し、フルオレセインの少なくとも1.5倍の2光子吸収断面積を有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記多光子光増感剤が(a)ローダミンB、(b)2個の供与体が共役π(pi)電子橋に連結している分子、(c)1個以上の電子受容性基で置換されている共役π(pi)電子橋に2個の供与体が連結している分子、(d)2個の受容体が共役π(pi)電子橋に連結している分子、および(e)1個以上の電子供与性基で置換されている共役π(pi)電子橋に2個の受容体が連結している分子からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記多光子光増感剤がフルオレセイン塩である、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
前記多光子光増感剤が1個以上の半導体量子ドットを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項16】
前記半導体量子ドットがセレン化カドミウム(CdSe)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化カドミウム(CdS)および硫化亜鉛(ZnS)の1つ以上を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記電子受容体がクロロメチル化トリアジン、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、アジニウム塩、トリアリールイミダゾリルダイマーおよびそれらの混合物の1つ以上を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項18】
前記電子供与体がアミン、アミド、エーテル、ウレア、スルフィン酸およびその塩、フェロシアン化物塩、アスコルビン酸およびその塩、ジチオカルバミン酸およびその塩、キサントゲン酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、(アルキル)n(アリール)mホウ酸(式中、n+m=4)塩、SnR4化合物(式中、各Rは独立してアルキル、アラルキル(特にベンジル)、アリールおよびアルカリール基から選択される)、フェロセンおよびそれらの混合物の1つ以上を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項19】
a)i)液体ポリシラザン前駆体と、
ii)多官能性アクリレート添加剤と、
iii)単一光子光硬化性組成物または多光子光硬化性組成物と、
を含む単一光子反応性組成物または多光子反応性組成物を提供する工程と、
b)前記組成物を、前記組成物を少なくとも部分的に反応させるのに十分な光で画像状に照射する工程と、
c)任意に、少なくとも部分的に反応した前記組成物の可溶性部分を除去する工程と、
d)任意に、少なくとも部分的に反応した前記組成物の残りの部分を、前記ポリシラザンを少なくとも部分的に熱分解させるのに十分な時間にわたり高温に供する工程と、
を含む方法。
【請求項20】
前記光硬化性組成物が単一光子光硬化性組成物である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記光硬化性組成物が、多光子光増感剤および任意に電子受容体と電子供与体の一方または両方を含む多光子光硬化性組成物である、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2008−525627(P2008−525627A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549571(P2007−549571)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/047182
【国際公開番号】WO2006/071914
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】