単体るつぼ
【課題】容量、均一性、および長期間のフラックス安定性を最大化し、卵形欠陥、消耗現象、およびシャッター関連の短期間のフラックス不安定性を最少化する分子ビームエピタキシ(MBE)エフージョンセル用のるつぼおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】全体として基部41と、円錐形部42とを備え、円錐部42の一端には、るつぼ40の外部に向かって開口する第一の、または外側のオリフィス43を持つち、基部41と円錐部42は単体の一体部品を形成しているるつぼ40において、基部41は実質的に円筒構成であって、側壁44と、側壁44の一端に配置された底45と、側壁44の他端に配設されたマイナス抜き勾配テーパを持つ壁、すなわちネック46とを有する。円錐部42は、るつぼの第二オリフィス47から第一オリフィス43の周縁まで延在する部分によって画成され、円錐部42は、プラス抜き勾配壁48と環状リップ49とを備える。
【解決手段】全体として基部41と、円錐形部42とを備え、円錐部42の一端には、るつぼ40の外部に向かって開口する第一の、または外側のオリフィス43を持つち、基部41と円錐部42は単体の一体部品を形成しているるつぼ40において、基部41は実質的に円筒構成であって、側壁44と、側壁44の一端に配置された底45と、側壁44の他端に配設されたマイナス抜き勾配テーパを持つ壁、すなわちネック46とを有する。円錐部42は、るつぼの第二オリフィス47から第一オリフィス43の周縁まで延在する部分によって画成され、円錐部42は、プラス抜き勾配壁48と環状リップ49とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には複合半導体産業および関連産業における部品製造で用いられる装置に関する。より具体的には、本発明は、分子ビームエピタキシ(MBE)エフュージョン(effusion)セルまたはソースに関する。
【背景技術】
【0002】
分子ビームエピタキシ(MBE)は、分子ビームまたは原子ビームを基板上へ指向させることにより、真空中で材料の薄膜を基板上へ堆積させることを伴う成長プロセスである。堆積した原子や分子は、エネルギー的に好ましい基板上の格子位置へ移動し、これが加熱されると、高い結晶品質と最適な厚さ均一性を持つ膜の成長がもたらされる。MBEは、複合半導体研究および半導体デバイス製造業において、元素半導体層、金属層、および絶縁層の薄膜堆積に広く用いられている。
【0003】
MBE堆積に用いられる主要装置は、熱エフュージョンセルまたは熱エフュージョンソースである。熱エフュージョンセルは、例えばガリウム砒素その他の元素または化合物を収容するるつぼを有する。このるつぼが抵抗フィラメントによって加熱されると、材料が加熱され、エフュージョン(噴散)されてオリフィスを出て、超高真空成長チャンバへ入り、チャンバ内に置かれた基板上に堆積する。普通は、複数のセルがポートを介して成長チャンバ内に取付けられる。ひとつまたは複数のセルを運転して、基板ホルダー上に取付けられた基板へ所定の角度で指向されるビームを発生させる。ビームの制御は普通、シャッターまたはバルブを介して行う。使用中、様々な準備手順が基板上で行われ、セルにパワーが供給されて加熱され、シャッターは閉じられておらず、意図するエピタキシャル堆積が、加熱されて回転する基板上に行われる。成長完了後、形成されたウェーハを冷却し、検査し、チャンバから取り出す動作を行う。
【0004】
ソースるつぼは、高いエフュージョン(噴散)温度において不活性な材料で作られる。好ましい材料は耐熱窒化ホウ素(pyrolytic boron nitride)(PBN)である。るつぼは普通、真空チャンバ内で成形マンドレルを使用して化学蒸着(CVD)プロセスで成形される。これまでに、様々な、るつぼの設計や構成がMBEに用いられてきた。しかしこれら先行技術のるつぼには重大な限界がある。既存のるつぼに関する主な問題は、(1)少容量、(2)均一性の欠如、(3)卵形欠陥の発生、(4)フラックスの短期間不安定性(short term flux transient)、および(5)フラックスの長期間不安定性(long term flux transient)、である。
【0005】
容量は、特定のMBEプロセスにとって必要な量の材料を保持するるつぼの能力に関わる。大きい容量は、ソース材料の1充填当たり、より多くのデバイスを作ることを可能にする。直線壁円筒形構成を用いた設計では、意図する容量を達成している場合もある。しかし、全長にわたる円筒構成のるつぼは、抜き勾配が零の円筒形オリフィスから発せられるビームがごく狭い範囲に限定されるので、均一性で劣る傾向がある。
【0006】
均一性は、主として、るつぼのオリフィスから発せられる材料によってターゲット基板領域上に堆積する層の厚さの均一性に関連する。均一性は成分にも依存するかもしれない。これまでに、いくつかの設計において、プラス抜き勾配の円錐形に構成したるつぼ本体を用いて均一性が達成されている。しかし、全体が円錐構成のるつぼは、容量が限定され、消耗現象を呈し、フラックスが不安定である。
【0007】
卵形欠陥は、形成された半導体デバイスに存在する形状欠陥である。ソースに関連する卵形欠陥は、るつぼの底部で溶融した材料からの飛沫が原因であり、この飛沫は、るつぼのオリフィスに材料滴が凝縮し、それが溶融物中へ転がって戻るとき発生すると考えられる。オリフィス域は温度が低いので、そこに材料が凝縮する。卵形欠陥の発生は、いくつかの設計において、るつぼのオリフィスまたはリップ(縁)を加熱することによって低減されている。そのような設計は「ホットリップ」(hot lip)装置、と普通に呼ばれている。ホットリップソースのいくつかの設計におけるひとつの問題は、流体動力学的に不安定なフラックスを発生することであり、好ましからざるレベルの不純物を発生することであり、そして、しばしば消耗効果を呈することである。
【0008】
短期間の、すなわちシャッター関連のフラックス不安定性は、ソースシャッターの作動に起因するエフュージョンレートの時間的変化である。長期間のフラックス不安定性は、溶融材料の表面積に起因するエフュージョンレートの時聞的変化である。フラックス不安定性は、るつぼ全体が円錐形である設計において特に問題である。
【0009】
短期間および長期間のフラックス不安定性は、出願人の譲受人によって製造されたひとつの設計において低減されたが、これは、直線壁円筒形るつぼ本体をオリフィス端において円錐形インサートと組み合わせたものを、デュアルフィラメントるつぼ加熱システムと併用するものである。デュアルフィラメントシステムにおいては、ひとつのフィラメントがるつぼの基部を加熱し、他方の独立に制御されるフィラメントがるつぼのリップを加熱する。このようにしてできる「ホットリップ」システムは、ホットリップるつぼシステムにおいて通常経験する卵形欠陥の発生を低減するとともに、流体動力学的不安定性と急速な消耗現象を最少にする。更に、インサートと組み合わされた直線壁るつぼによって得られる大きなるつぼ容積は、溶融物とシャッターとの間の熱的バッフル(緩衝装置)を形成して、流体動力学的安定性を更に改善する。この設計は、先行技術による他のるつぼより進んでいるが、欠点も持っているようである。すなわち、リップを加熱するフィラメントは、円筒形るつぼ本体の外壁があるので、円錐形インサートに近接して最適に配置できていないと考えられる。
【0010】
この技術において従来技術の不利な点、欠点、および限界を克服するエフュージョンセルるつぼの設計が必要であるにもかかわらず、これまでに知られているところでは、何一つ開発されていない。
【0011】
従って、この発明の目的は、MBEエフュージョンセル用の単体で一体のマイナス抜き勾配のるつぼを提供することである。この発明の更なる目的は、容量、均一性および長期間のフラックス安定性を最大にし、卵形欠陥、消耗現象、およびシャッター関連短期間フラックス不安定性を最小にする、るつぼを提供することである。この発明の更なる目的は、化学蒸着によって、PBN製るつぼのような、マイナス抜き勾配を持つ単体閉じ込め構造を作るための方法と装置を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、単体材料から作られる剛性壁構造体を備える容器を提供し、前記容器は内部空間を画成する所定の構成を有し、前記内部空間は第一の周囲寸法を持ち、前記壁構造体は少なくともひとつのオリフィスを持ち、前記オリフィスは第二の周囲寸法を持ち、前記第二の周囲寸法は前記第一の周囲寸法より小さい。
【0013】
この発明の特徴、利点および目的は、以下の説明、特許請求範、および図面を参照すれば、当該技術に精通する者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、円錐形構成の従来技術のるつぼを持つMBEエフュージョンセルの一部破断斜視図である。
【図2】図2は、直線壁円筒形の本体と、円錐形インサートとを有する従来技術のるつぼを持つデュアルフィラメントエフュージョンセルの一部の断面図である。
【図3】図3は、この発明の単体で一体のマイナス抜き勾配MBEるつぼの実施例の斜視図である。
【図4】図4は、図3に示するつぼの正面図である。
【図5】図5は、図3のるつぼの5−5断面図である。
【図6】図6は、図4に示するつぼの平面図である。
【図7】図7は、るつぼの底面図である。
【図8】図8は、一体るつぼの製作に用いるCVDマンドレルの一部断面側面図である。
【図9】図9は、マンドレルアセンブリのトップ部材の一部断面側面図である。
【図10】図10は、マンドレルアセンブリのボトム部材の一部断面側面図である。
【図11】図11は、マンドレルアセンブリのセンタースタッド部材の側面図である。
【図12】図12は、CVD中、マンドレルアセンブリを使用方向に懸垂するため、それに取付けられるハンガー(懸垂)部材の側面図である。
【図13】図13は、この発明の単体で一体のマイナス抜き勾配MBEるつぼのもう一つの実施例の中心軸に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.エフュージョンセル設計
この発明のるつぼは、MBEエフュージョンセルでの使用に最適である。図1を参照すると、代表的なMBEエフュージョンセル10は、例えば合衆国ミネソタ州セントポールのEPI MBE Equipment Group が製造するもののように、全体的には、ヘッドアセンブリ11と、取付けフランジ・サポート・アセンブリ12とを備える。取付けフランジ・サポート・アセンブリ12は、エフュージョンセル10をMBE成長チャンバ(不図示)へ結合する。このアセンブリ12は更に、ヘッドアセンブリ11を、成長チャンバ内の所定位置に支持する。取付けフランジ・サポート・アセンブリ12は、所定直径の円筒形シーリングフランジ21と、そのフランジ21に接続され外側へ向いた、ネジ込み式パワーコネクタ19とオメガ(商標)型サーモカップルコネクタ20を持つ。内側へ向いた所定長さの複数のサポート22がフランジ21の反対側へ接続されている。パワー導体23とサーモカップルリード24がそれぞれ、パワーコネクタ19とサーモカップルコネクタ20からフランジ21を通ってヘッドアセンブリ11まで延びている。ヘッドアセンブリ11は、内部中央に配設されてフィラメント14とヘッドシールド15に取り囲まれたるつぼ13を含む。フィラメント14はPBNで絶縁したタンタル製が好ましい。ヘッドシールド15は高純度タンタルフォイルの多層構造が好ましい。帯状のサーモカップル16(不図示)がるつぼ13の基部近傍の外側に接続されている。パワー導体23はフィラメント14へ接続され、サーモカップルリード24はサーモカップル16へ接続されている。るつぼ13は円錐構成であって、所定の直径で外側に向き、環状のリップ18を持つオリフィス17を持つ。るつぼ13は、例えばPBN製である。エフュージョンセル10は、例えば内蔵シャッター、内蔵水冷システムなど、種々の特徴をオプションとして含むことができる。
【0016】
図2は、EPI MBE Equipment Groupによって製造されたもうひとつのヘッドアセンブリ構造であって、改良されたデュアルフィラメント加熱システムと、改良されているが多部品のるつぼ設計を示す。この加熱システムは、るつぼ27の底部すなわち基部を加熱する第一フィラメント28と、るつぼ27の頂部すなわち先端部を加熱する第二フィラメント29を含む。フィラメント28と29は、るつぼ27の各部を差別的に加熱できるようにするため、独立して制御される。ヒートシールディング30がるつぼ27とフィラメント28、29を取り囲んでいる。このデュアルフィラメント構造によって機能が改善される。るつぼ27は円筒本体31と円錐形インサート32とを含む。円筒形本体31の壁の抜き勾配(テーパ)はほとんどない、すなわちプラスの抜き勾配(テーパ)もマイナスの抜き勾配もない。本体31の壁は、図1に示す円錐形るつぼに比較して大きな所定の内部容積を画成する。円錐形インサート32の抜き勾配は明らかにプラスである。この上記「ホットリップ」構成によって卵形欠陥の発生が低減される。
【0017】
更に、デュアルフィラメント28、29による差別加熱は、他のホットリップソース設計によく見られる流体動力学的不安定性や急速消耗現象を最少にする。
【0018】
図2に示するつぼ27の設計は、いくつかの点で図1に示するつぼ13より優れているが、なお重大な限界を持っている。特に、るつぼ本体31は、先端フィラメント29を円錐形インサート33から分離し、ある程度絶縁する。この分離によって、インサート33の最適加熱が妨げられると考えられる。この発明によれば、マイナス抜き勾配すなわちマイナステーパを持つ円錐形インサートを、るつぼ本体に組込んで一体るつぼとすることにより、デュアルフィラメント加熱システムの先端フィラメントを、先端に対して最適に配設することができる。更に、円錐部の寸法と構成も最適化することができる。この発明は更に、化学蒸着によってマイナス抜き勾配部分を持つ単体で一体のるつぼを製作するための方法と装置を提供する。
【0019】
2.るつぼ構造(Crucible Structure)
図3ないし図7に、この発明の単体るつぼ40の実施例を示す。このるつぼ40は、全体として基部41と、円錐形部42とを備え、円錐部42の一端には、るつぼ40の外部に向かって開口する第一の、または外側のオリフィス43を持つ。基部41と円錐部42は単体の一体部品を形成している。るつぼ40は不活性の耐食性材料で作られる。好ましい材料はPBNであって、例えばニューハンプシャー州ハドソンの CVD Products Inc.が販売している Pyrosyl(商標)である。
【0020】
るつぼ40用のPBNの好ましい厚さは約0.035インチ(0.08cm)である。るつぼ40は、以下詳細に述べる化学蒸着プロセスによって製作される。
【0021】
以下に述べるベース部材41要素と円錐部材42要素との間のすべての境界エッジは丸みを持っていることが好ましい。るつぼ40の長さとその他の寸法は、この発明の基本的教示に則って変更することができるが、図示の実施例のるつぼ40の長さは約5.3インチ(13.4cm)である。
【0022】
基部41は実質的に円筒構成であって、側壁44と、側壁44の一端に配置された底45と、側壁44の他端に配設されたマイナス抜き勾配テーパを持つ壁、すなわちネック46とを有する。側壁44は、実質的に一定の周囲長さと、所定の長さとを持つ。図示の基部41の直径は約1.4インチ(3.5cm)である。基部41の長さは約2.9インチ(7.3cm)である。マイナス抜き勾配壁46は、るつぼ40の(すなわち側壁44の)中心縦軸(不図示)の方向へ内側へ(横方向へ)、基部41の外側の縦方向面に対して約45度が望ましいテーパが付いている。マイナス抜き勾配壁46はその外端で終端を成し、第二の、すなわち内側のオリフィス47を画成している。第二オリフィス47は、るつぼ40の最小直径領域であって、この実施例においては約0.6インチ(1.5cm)である。
【0023】
円錐部42は、るつぼの第二オリフィス47から第一オリフィス43の周縁まで延在する部分によって画成される。円錐部42は、プラス抜き勾配壁48と環状リップ49とを備える。この実施例においては、円錐部の長さは約2.3インチ(5.8cm)である。壁48は、るつぼ40の縦中心軸から離れるように外(横)向きのテーパを持ち、その角度は前記中心軸から測定して約9.0度が好ましい。環状リップ49は、壁48の終端から好ましくは直角に外に向かって延在する。第一オリフィスの直径は、図示の実施例の場合、約1.5インチ(3.8cm)が好ましい。環状リップ49の幅は約0.8インチ(2.0cm)である。
【0024】
図5からよく分かるように、るつぼ40は普通、MBE用の角度で上向きとされる。元素または化合物は、るつぼに添加されて、デュアルフィラメントシステム、例えばエフュージョンソースのシステムによって加熱され、溶融物50となる。使用状態において、るつぼ40の円錐部42の厚さの均一性レベルは、円錐形るつぼによって得られる均一性と同じ程度である。しかしこの設計はなお、消耗現象を最少にする。すべてのタイプのセルにおいて、セル温度が一定であると、ビーム等価圧力は時間とともにソース溶融材料の消耗により減少する。この現象は、円錐形るつぼを用いるセル中の溶融表面積の減少が急速であるので、円錐形るつぼを用いるセルにおいて顕著である。この現象は、ホットリップセルにおける材料使用効率が通常は多少低いので、ホットリップセルにおいて更に助長される。この原因は恐らく、ホットリップ領域からの、基板へ指向されないような再蒸発であろう。この発明のるつぼ40は、溶融表面51のサイズ(面積)と形状とを終始一定に保つことによって、事実上、消耗現象を排除する。溶融表面51の基板側から「見た」部分は、内側のオリフィスのサイズと同等である。これに対して、全体的に円錐形であるるつぼにおいては、充填溶融物の容積消耗につれて、るつぼのオリフィスと溶融表面との間の距離が増大し、溶融表面積が減少し、よって、それらに消耗現象を呈する。この発明のるつぼ40のもうひとつの利点は、直線壁円筒形基部41によって得られるるつぼの容積が大きく、円錐形るつぼに比べて、使用できる容積が増大する。もうひとつの利点は、一体の円錐部42によって得られる内側のオリフィス47が、溶融物50とシャッター(不図示)との間に熱バッフルを形成し、流体動力学的安定性を改善し、シャッターに関連する不安定性を低減することである。最後に、一体的に形成されたの円錐形部42は、デュアルフィラメント加熱システムの先端フィラメントを最適に位置決めすることを可能にし、卵形欠陥の発生を最少にする。
【0025】
図13に単体るつぼ90のもうひとつの実施例を示す。この一体るつぼ90は円筒形で、全体として基部91と、円錐部92とから成り、円錐部92の一端には第一の、すなわち外側のオリフィス98を備える。るつぼ90は、化学蒸着プロセスによるPBN製が好ましい。この特定のるつぼ90の実施例の概略寸法は、長さが8.1インチ(20.5cm)、基部91での最も広い直径が2.9インチ(7.3cm)、内側オリフィス96での最も狭い直径が0.9インチ(2.2cm)である。
【0026】
基部91は、直線側壁93と、一端を閉じる底壁94を持つ。テーパ付き壁95は、壁93の反対側に配設されて、この角度はるつぼ90の軸99に対して測定して約30度のマイナス抜き勾配角度Bを持つ。円錐部92は、約15度のプラス抜き勾配角度Cを有するテーパ付きの壁97を持つ。重要なことは、この円錐部分92が、図3ないし図7に示するつぼ40の円錐部42に比べて、著しく小さい寸法(軸方向長さが約0.3インチ(0.7cm))を持つことである。この一体設計により、極めて小さいオリフィスすなわちノズルを持ち、エフュージョンセルシャッターをソース材料すなわち溶融物のごく近くに配置することができるという点で、本質的に「仮想の」るつぼであるるつぼ90の構造を提供することができる。このため、シャッターを更に小さくすることもできる。これに対して、従来技術は、大きいオリフィスを教示しているとともに、大きいシャッターが必要であり、かつソースから遠く離れたところに配設されるセル設計が必要である。
【0027】
3.るつぼの製造方法
上記のるつぼ40と90は化学蒸着で作られる。化学蒸着は、例えば CVD Products Inc.によって実用化されている。図示のるつぼの製作にとって好ましい材料はPBNである。化学蒸着において、PBNは、ガス状の三塩化ホウ素、アンモニア、および希釈剤をサブミリメータ圧力と約摂氏1800度の温度のもとで成長チャンバへ導入して製造される。ただし、この方法は、化学蒸着によって様々な材料を作るため、他の化学薬品に関しても用いることができる。
【0028】
図8ないし図12を参照すると、化合物の反応でできたPBNが、形成マンドレル55上に堆積している。CVDプロセスが終わると、成形された製品、この場合にるつぼは、以下に説明するプロセスでマンドレルから分離される。成形マンドレル55は、グラファイトで作られた4部分アセンブリである。これは基本的に、トップ部材56、ボトム部材57、センタースタッドすなわちニップル58とを備える。トップ部材56とボトム部材57は別々の部品であって、センタースタッド58によって接続されている。CVDチャンバ内において、成形マンドレル55は、トップ部材56の上端の中心に配設されたネジ孔60へ接続されたトップスタッド59によって作動位置に維持されている。
【0029】
ボトム部材57はグラファイトで形成され、高密度で予め純度を高めた微粒子グラファイトが好ましく、中心部に穴があけられている。グラファイトは約300度Cで酸化し始める。ボトム部材57の寸法は、形成されるべきるつぼの寸法に依存する。このるつぼ40の場合、部材57は円筒形で、長さが約3.1インチ、直径が約1.3インチである。部材57のボトムエッジは丸められている。
【0030】
重要なことは、上端が角度A、好ましくは45度のマイナス抜き成形勾配を持つテーパ付きネック65であることである。図10で最もよく示すように、テーパ付き部分すなわちネック65の両端66と67は丸められている。ネック65の上端の直径は約0.58インチが好ましい。ボトム部材57の軸穴68の直径は5/16インチ、深さは2+7/8好ましい。軸穴68は、ネジ付き上部69を持ち、その深さは3/4インチで、3/8−16UNCが好ましい。
【0031】
図9を参照すると、トップ部材56も中空でグラファイト製、好ましくは、高密度の予め純度を高めた微粒子グラファイト製である。トップ部材56の寸法も形成されるべきるつぼの寸法に依存する。重要なことは、部材56は曲線形であって、プラス抜き成形勾配のテーパ付きネック73とリップを形成する基部74とを持つことである。るつぼ40の場合、部材56のテーパネック73は、長さが約2.1インチ、底部の直径が約0.58インチ、および頂部の直径が約1.4インチである。基部74は、直径が2.8インチ、厚さが約0.7インチである。ネック73と基部74の接続部には丸みを付けることが好ましい。トップ部材56の軸穴75は、直径が5/16インチで、部材56の全長を貫通穿孔することが好ましい。軸穴75の上部60のネジは、深さ1.0インチで3/4−10 UNCであり、下部76のネジは、深さ3/4インチで3/8−16 UNCである。
【0032】
図11を参照すると、センタースタッド58も中空でグラファイト製、好ましくは高密度の予め純度を高めた微粒子グラファイト製である。スタッド58の寸法は、形成されるるつぼの寸法と構成に依存するが、特に、トップ部材56のネジ孔76とボトム部材57のネジ穴69の寸法とタイプに依存する。検討された上記の好ましい実施例において、スタッド58は、好ましくは、長さが約1.5インチ、外周ネジが3/8−16 UNC、軸チャネル(孔)80の直径が3/16インチである。重要な点は、スタッド58の肉厚(スタッド58本体の外径と孔80の直径の差の1/2)は、トップ部材56とボトム部材57を締め付けて一体とするのに十分な厚さであるとともに、以下に説明するるつぼ成形中の冷却プロセスにおいてスタッド58が壊れるように薄いことである。この構造と、構成材料のタイプの組合せによって、トップ部材56とボトム部材57とをしっくり結合するとともに、意図する破壊を可能にするスタッドができる。
【0033】
図12を参照すると、トップスタッドまたはハンガースタッド59は、好ましくは中実でグラファイト製、粗い粒子で押し出しグラファイト製である。スタッド59の寸法は成形されるるつぼの寸法と構成に依存するが、特に、トップ部材56のネジ穴60の寸法とタイプに依存する。検討した上記のるつぼ40の実施例において、スタッド59は、好ましくは、長さが約4.5インチ、外周ネジが3/4−10 UNCである。スタッド59には、その一端に直径3/16インチ、深さ1+1/2インチの軸孔84を有する。直径1/8インチの横孔85がスタッド59の側部に配設され、軸孔84に連通接続している。図12のスタッド59の左端がトップ部材56の孔60へ、横孔85がマンドレル55の外に出たままになるようにねじ込まれる。孔84と85は、マンドレル55の内部空洞の通気手段を提供する。
【0034】
この発明のるつぼの製造プロセスは下記のステップを含む。まず、センタースタッド58を用いて、トップ部材56とボトム部材57をねじ締め一体とする。
【0035】
次に、ハンガースタッド59をトップ部材56の孔60へねじ込む。重要な点は、ハンガースタッド59内のチャネル84と85が、アセンブリ55の整列した軸方向チャネル75と68の内部圧力を逃がすように配向されることである。こうしてできたマンドレルアセンブリ55をCVD成長チャンバに入れる。次に、当該技術分野において公知のプロセスによってPBNのCVDコーティングが行われる。高温成長プロセスの完了後、できあがったマンドレルとコンテナのアセンブリを冷却する。成形マンドレル55のグラファイト材料は、熱収縮率の大きな差によって、PBNより高率で収縮する。マンドレルアセンブリ55の縦方向の収縮によって、るつぼの小さい直径のネック部のPBNが壊されないように、センタースタッド58が壊れるように設計されている。この破壊によって、マンドレル55のトップ部材56とボトム部材57は、るつぼ40のネック部47の近傍の軸方向の収縮によってPBNシェルを破壊することなく、マンドレル55の外側に形成されたPBNシェル内において独立して収縮することができる。冷却終了後、このアセンブリを別の酸化チャンバへ移してボトム部材57を取り除く。空気インジェクタをマンドレル55の中心空洞内へ挿入する。このアセンブリを300℃を超える温度、好ましくは750℃で所定時間、好ましくは約40時間加熱し、ボトム部材57を酸化させると、これが今度は成形されたPBNるつぼ40の「内側」基部41となる。加熱されたボトム部材57への空気流をインジェクタ経由で調節して酸化を最適化する。酸化によってボトム部材57が破壊されるが、そうしないと、新しく成形されたるつぼ基部41の壁46はマイナス抜き勾配であるので、ボトム部材57を除去できない。PBNは酸化温度が高く、約1200℃まで安定であるので、このプロセスの加熱ステップ中は酸化しない。続いて、マンドレル55の残りの部分であるトップ部材56を、そのプラス抜き勾配を利用して、るつぼの円錐形部42から抜き取る。このプロセスによって、MBEでの使用に特に適したマイナス抜き勾配部分を持つ単体の一体るつぼができる。
【0036】
検討された上記製造方法はMBE用のエフュージョンセルるつぼに関するものであるが、この方法は、単体で剛性壁を持つマイナス抜き勾配の、様々な用途のためのコンテナの製造に用いることができる。このような構造は、化学蒸着による様々な化合物から作ることができる。更に、MBE技術に精通する者は、両端が閉じ、側壁の所定位置に開口部を有し、関連する円錐形部を持とうが、持つまいが、円筒形本体を含むが、それに限定されない上記方法を用いて、他の設計がなし得ることを認めるであろう。
【0037】
上記説明と添付図面は説明用であり、限定を意図するものではない。この発明をその好ましい実施例に関連して開示したが、下記特許請求範囲によって定義されるこの発明の精神と範囲内において、他の実施例があり得ることを理解するべきである。ある請求項が、規定された機能を実行するための手段またはステップとして表現されている場合、当該請求項が、明細書中に記載されている対応する構造、材料、または動作、またはそれと構造的同等物と同等構造の両方を含む同等の事項を包含するものと解釈されることを意図している。
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には複合半導体産業および関連産業における部品製造で用いられる装置に関する。より具体的には、本発明は、分子ビームエピタキシ(MBE)エフュージョン(effusion)セルまたはソースに関する。
【背景技術】
【0002】
分子ビームエピタキシ(MBE)は、分子ビームまたは原子ビームを基板上へ指向させることにより、真空中で材料の薄膜を基板上へ堆積させることを伴う成長プロセスである。堆積した原子や分子は、エネルギー的に好ましい基板上の格子位置へ移動し、これが加熱されると、高い結晶品質と最適な厚さ均一性を持つ膜の成長がもたらされる。MBEは、複合半導体研究および半導体デバイス製造業において、元素半導体層、金属層、および絶縁層の薄膜堆積に広く用いられている。
【0003】
MBE堆積に用いられる主要装置は、熱エフュージョンセルまたは熱エフュージョンソースである。熱エフュージョンセルは、例えばガリウム砒素その他の元素または化合物を収容するるつぼを有する。このるつぼが抵抗フィラメントによって加熱されると、材料が加熱され、エフュージョン(噴散)されてオリフィスを出て、超高真空成長チャンバへ入り、チャンバ内に置かれた基板上に堆積する。普通は、複数のセルがポートを介して成長チャンバ内に取付けられる。ひとつまたは複数のセルを運転して、基板ホルダー上に取付けられた基板へ所定の角度で指向されるビームを発生させる。ビームの制御は普通、シャッターまたはバルブを介して行う。使用中、様々な準備手順が基板上で行われ、セルにパワーが供給されて加熱され、シャッターは閉じられておらず、意図するエピタキシャル堆積が、加熱されて回転する基板上に行われる。成長完了後、形成されたウェーハを冷却し、検査し、チャンバから取り出す動作を行う。
【0004】
ソースるつぼは、高いエフュージョン(噴散)温度において不活性な材料で作られる。好ましい材料は耐熱窒化ホウ素(pyrolytic boron nitride)(PBN)である。るつぼは普通、真空チャンバ内で成形マンドレルを使用して化学蒸着(CVD)プロセスで成形される。これまでに、様々な、るつぼの設計や構成がMBEに用いられてきた。しかしこれら先行技術のるつぼには重大な限界がある。既存のるつぼに関する主な問題は、(1)少容量、(2)均一性の欠如、(3)卵形欠陥の発生、(4)フラックスの短期間不安定性(short term flux transient)、および(5)フラックスの長期間不安定性(long term flux transient)、である。
【0005】
容量は、特定のMBEプロセスにとって必要な量の材料を保持するるつぼの能力に関わる。大きい容量は、ソース材料の1充填当たり、より多くのデバイスを作ることを可能にする。直線壁円筒形構成を用いた設計では、意図する容量を達成している場合もある。しかし、全長にわたる円筒構成のるつぼは、抜き勾配が零の円筒形オリフィスから発せられるビームがごく狭い範囲に限定されるので、均一性で劣る傾向がある。
【0006】
均一性は、主として、るつぼのオリフィスから発せられる材料によってターゲット基板領域上に堆積する層の厚さの均一性に関連する。均一性は成分にも依存するかもしれない。これまでに、いくつかの設計において、プラス抜き勾配の円錐形に構成したるつぼ本体を用いて均一性が達成されている。しかし、全体が円錐構成のるつぼは、容量が限定され、消耗現象を呈し、フラックスが不安定である。
【0007】
卵形欠陥は、形成された半導体デバイスに存在する形状欠陥である。ソースに関連する卵形欠陥は、るつぼの底部で溶融した材料からの飛沫が原因であり、この飛沫は、るつぼのオリフィスに材料滴が凝縮し、それが溶融物中へ転がって戻るとき発生すると考えられる。オリフィス域は温度が低いので、そこに材料が凝縮する。卵形欠陥の発生は、いくつかの設計において、るつぼのオリフィスまたはリップ(縁)を加熱することによって低減されている。そのような設計は「ホットリップ」(hot lip)装置、と普通に呼ばれている。ホットリップソースのいくつかの設計におけるひとつの問題は、流体動力学的に不安定なフラックスを発生することであり、好ましからざるレベルの不純物を発生することであり、そして、しばしば消耗効果を呈することである。
【0008】
短期間の、すなわちシャッター関連のフラックス不安定性は、ソースシャッターの作動に起因するエフュージョンレートの時間的変化である。長期間のフラックス不安定性は、溶融材料の表面積に起因するエフュージョンレートの時聞的変化である。フラックス不安定性は、るつぼ全体が円錐形である設計において特に問題である。
【0009】
短期間および長期間のフラックス不安定性は、出願人の譲受人によって製造されたひとつの設計において低減されたが、これは、直線壁円筒形るつぼ本体をオリフィス端において円錐形インサートと組み合わせたものを、デュアルフィラメントるつぼ加熱システムと併用するものである。デュアルフィラメントシステムにおいては、ひとつのフィラメントがるつぼの基部を加熱し、他方の独立に制御されるフィラメントがるつぼのリップを加熱する。このようにしてできる「ホットリップ」システムは、ホットリップるつぼシステムにおいて通常経験する卵形欠陥の発生を低減するとともに、流体動力学的不安定性と急速な消耗現象を最少にする。更に、インサートと組み合わされた直線壁るつぼによって得られる大きなるつぼ容積は、溶融物とシャッターとの間の熱的バッフル(緩衝装置)を形成して、流体動力学的安定性を更に改善する。この設計は、先行技術による他のるつぼより進んでいるが、欠点も持っているようである。すなわち、リップを加熱するフィラメントは、円筒形るつぼ本体の外壁があるので、円錐形インサートに近接して最適に配置できていないと考えられる。
【0010】
この技術において従来技術の不利な点、欠点、および限界を克服するエフュージョンセルるつぼの設計が必要であるにもかかわらず、これまでに知られているところでは、何一つ開発されていない。
【0011】
従って、この発明の目的は、MBEエフュージョンセル用の単体で一体のマイナス抜き勾配のるつぼを提供することである。この発明の更なる目的は、容量、均一性および長期間のフラックス安定性を最大にし、卵形欠陥、消耗現象、およびシャッター関連短期間フラックス不安定性を最小にする、るつぼを提供することである。この発明の更なる目的は、化学蒸着によって、PBN製るつぼのような、マイナス抜き勾配を持つ単体閉じ込め構造を作るための方法と装置を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、単体材料から作られる剛性壁構造体を備える容器を提供し、前記容器は内部空間を画成する所定の構成を有し、前記内部空間は第一の周囲寸法を持ち、前記壁構造体は少なくともひとつのオリフィスを持ち、前記オリフィスは第二の周囲寸法を持ち、前記第二の周囲寸法は前記第一の周囲寸法より小さい。
【0013】
この発明の特徴、利点および目的は、以下の説明、特許請求範、および図面を参照すれば、当該技術に精通する者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、円錐形構成の従来技術のるつぼを持つMBEエフュージョンセルの一部破断斜視図である。
【図2】図2は、直線壁円筒形の本体と、円錐形インサートとを有する従来技術のるつぼを持つデュアルフィラメントエフュージョンセルの一部の断面図である。
【図3】図3は、この発明の単体で一体のマイナス抜き勾配MBEるつぼの実施例の斜視図である。
【図4】図4は、図3に示するつぼの正面図である。
【図5】図5は、図3のるつぼの5−5断面図である。
【図6】図6は、図4に示するつぼの平面図である。
【図7】図7は、るつぼの底面図である。
【図8】図8は、一体るつぼの製作に用いるCVDマンドレルの一部断面側面図である。
【図9】図9は、マンドレルアセンブリのトップ部材の一部断面側面図である。
【図10】図10は、マンドレルアセンブリのボトム部材の一部断面側面図である。
【図11】図11は、マンドレルアセンブリのセンタースタッド部材の側面図である。
【図12】図12は、CVD中、マンドレルアセンブリを使用方向に懸垂するため、それに取付けられるハンガー(懸垂)部材の側面図である。
【図13】図13は、この発明の単体で一体のマイナス抜き勾配MBEるつぼのもう一つの実施例の中心軸に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.エフュージョンセル設計
この発明のるつぼは、MBEエフュージョンセルでの使用に最適である。図1を参照すると、代表的なMBEエフュージョンセル10は、例えば合衆国ミネソタ州セントポールのEPI MBE Equipment Group が製造するもののように、全体的には、ヘッドアセンブリ11と、取付けフランジ・サポート・アセンブリ12とを備える。取付けフランジ・サポート・アセンブリ12は、エフュージョンセル10をMBE成長チャンバ(不図示)へ結合する。このアセンブリ12は更に、ヘッドアセンブリ11を、成長チャンバ内の所定位置に支持する。取付けフランジ・サポート・アセンブリ12は、所定直径の円筒形シーリングフランジ21と、そのフランジ21に接続され外側へ向いた、ネジ込み式パワーコネクタ19とオメガ(商標)型サーモカップルコネクタ20を持つ。内側へ向いた所定長さの複数のサポート22がフランジ21の反対側へ接続されている。パワー導体23とサーモカップルリード24がそれぞれ、パワーコネクタ19とサーモカップルコネクタ20からフランジ21を通ってヘッドアセンブリ11まで延びている。ヘッドアセンブリ11は、内部中央に配設されてフィラメント14とヘッドシールド15に取り囲まれたるつぼ13を含む。フィラメント14はPBNで絶縁したタンタル製が好ましい。ヘッドシールド15は高純度タンタルフォイルの多層構造が好ましい。帯状のサーモカップル16(不図示)がるつぼ13の基部近傍の外側に接続されている。パワー導体23はフィラメント14へ接続され、サーモカップルリード24はサーモカップル16へ接続されている。るつぼ13は円錐構成であって、所定の直径で外側に向き、環状のリップ18を持つオリフィス17を持つ。るつぼ13は、例えばPBN製である。エフュージョンセル10は、例えば内蔵シャッター、内蔵水冷システムなど、種々の特徴をオプションとして含むことができる。
【0016】
図2は、EPI MBE Equipment Groupによって製造されたもうひとつのヘッドアセンブリ構造であって、改良されたデュアルフィラメント加熱システムと、改良されているが多部品のるつぼ設計を示す。この加熱システムは、るつぼ27の底部すなわち基部を加熱する第一フィラメント28と、るつぼ27の頂部すなわち先端部を加熱する第二フィラメント29を含む。フィラメント28と29は、るつぼ27の各部を差別的に加熱できるようにするため、独立して制御される。ヒートシールディング30がるつぼ27とフィラメント28、29を取り囲んでいる。このデュアルフィラメント構造によって機能が改善される。るつぼ27は円筒本体31と円錐形インサート32とを含む。円筒形本体31の壁の抜き勾配(テーパ)はほとんどない、すなわちプラスの抜き勾配(テーパ)もマイナスの抜き勾配もない。本体31の壁は、図1に示す円錐形るつぼに比較して大きな所定の内部容積を画成する。円錐形インサート32の抜き勾配は明らかにプラスである。この上記「ホットリップ」構成によって卵形欠陥の発生が低減される。
【0017】
更に、デュアルフィラメント28、29による差別加熱は、他のホットリップソース設計によく見られる流体動力学的不安定性や急速消耗現象を最少にする。
【0018】
図2に示するつぼ27の設計は、いくつかの点で図1に示するつぼ13より優れているが、なお重大な限界を持っている。特に、るつぼ本体31は、先端フィラメント29を円錐形インサート33から分離し、ある程度絶縁する。この分離によって、インサート33の最適加熱が妨げられると考えられる。この発明によれば、マイナス抜き勾配すなわちマイナステーパを持つ円錐形インサートを、るつぼ本体に組込んで一体るつぼとすることにより、デュアルフィラメント加熱システムの先端フィラメントを、先端に対して最適に配設することができる。更に、円錐部の寸法と構成も最適化することができる。この発明は更に、化学蒸着によってマイナス抜き勾配部分を持つ単体で一体のるつぼを製作するための方法と装置を提供する。
【0019】
2.るつぼ構造(Crucible Structure)
図3ないし図7に、この発明の単体るつぼ40の実施例を示す。このるつぼ40は、全体として基部41と、円錐形部42とを備え、円錐部42の一端には、るつぼ40の外部に向かって開口する第一の、または外側のオリフィス43を持つ。基部41と円錐部42は単体の一体部品を形成している。るつぼ40は不活性の耐食性材料で作られる。好ましい材料はPBNであって、例えばニューハンプシャー州ハドソンの CVD Products Inc.が販売している Pyrosyl(商標)である。
【0020】
るつぼ40用のPBNの好ましい厚さは約0.035インチ(0.08cm)である。るつぼ40は、以下詳細に述べる化学蒸着プロセスによって製作される。
【0021】
以下に述べるベース部材41要素と円錐部材42要素との間のすべての境界エッジは丸みを持っていることが好ましい。るつぼ40の長さとその他の寸法は、この発明の基本的教示に則って変更することができるが、図示の実施例のるつぼ40の長さは約5.3インチ(13.4cm)である。
【0022】
基部41は実質的に円筒構成であって、側壁44と、側壁44の一端に配置された底45と、側壁44の他端に配設されたマイナス抜き勾配テーパを持つ壁、すなわちネック46とを有する。側壁44は、実質的に一定の周囲長さと、所定の長さとを持つ。図示の基部41の直径は約1.4インチ(3.5cm)である。基部41の長さは約2.9インチ(7.3cm)である。マイナス抜き勾配壁46は、るつぼ40の(すなわち側壁44の)中心縦軸(不図示)の方向へ内側へ(横方向へ)、基部41の外側の縦方向面に対して約45度が望ましいテーパが付いている。マイナス抜き勾配壁46はその外端で終端を成し、第二の、すなわち内側のオリフィス47を画成している。第二オリフィス47は、るつぼ40の最小直径領域であって、この実施例においては約0.6インチ(1.5cm)である。
【0023】
円錐部42は、るつぼの第二オリフィス47から第一オリフィス43の周縁まで延在する部分によって画成される。円錐部42は、プラス抜き勾配壁48と環状リップ49とを備える。この実施例においては、円錐部の長さは約2.3インチ(5.8cm)である。壁48は、るつぼ40の縦中心軸から離れるように外(横)向きのテーパを持ち、その角度は前記中心軸から測定して約9.0度が好ましい。環状リップ49は、壁48の終端から好ましくは直角に外に向かって延在する。第一オリフィスの直径は、図示の実施例の場合、約1.5インチ(3.8cm)が好ましい。環状リップ49の幅は約0.8インチ(2.0cm)である。
【0024】
図5からよく分かるように、るつぼ40は普通、MBE用の角度で上向きとされる。元素または化合物は、るつぼに添加されて、デュアルフィラメントシステム、例えばエフュージョンソースのシステムによって加熱され、溶融物50となる。使用状態において、るつぼ40の円錐部42の厚さの均一性レベルは、円錐形るつぼによって得られる均一性と同じ程度である。しかしこの設計はなお、消耗現象を最少にする。すべてのタイプのセルにおいて、セル温度が一定であると、ビーム等価圧力は時間とともにソース溶融材料の消耗により減少する。この現象は、円錐形るつぼを用いるセル中の溶融表面積の減少が急速であるので、円錐形るつぼを用いるセルにおいて顕著である。この現象は、ホットリップセルにおける材料使用効率が通常は多少低いので、ホットリップセルにおいて更に助長される。この原因は恐らく、ホットリップ領域からの、基板へ指向されないような再蒸発であろう。この発明のるつぼ40は、溶融表面51のサイズ(面積)と形状とを終始一定に保つことによって、事実上、消耗現象を排除する。溶融表面51の基板側から「見た」部分は、内側のオリフィスのサイズと同等である。これに対して、全体的に円錐形であるるつぼにおいては、充填溶融物の容積消耗につれて、るつぼのオリフィスと溶融表面との間の距離が増大し、溶融表面積が減少し、よって、それらに消耗現象を呈する。この発明のるつぼ40のもうひとつの利点は、直線壁円筒形基部41によって得られるるつぼの容積が大きく、円錐形るつぼに比べて、使用できる容積が増大する。もうひとつの利点は、一体の円錐部42によって得られる内側のオリフィス47が、溶融物50とシャッター(不図示)との間に熱バッフルを形成し、流体動力学的安定性を改善し、シャッターに関連する不安定性を低減することである。最後に、一体的に形成されたの円錐形部42は、デュアルフィラメント加熱システムの先端フィラメントを最適に位置決めすることを可能にし、卵形欠陥の発生を最少にする。
【0025】
図13に単体るつぼ90のもうひとつの実施例を示す。この一体るつぼ90は円筒形で、全体として基部91と、円錐部92とから成り、円錐部92の一端には第一の、すなわち外側のオリフィス98を備える。るつぼ90は、化学蒸着プロセスによるPBN製が好ましい。この特定のるつぼ90の実施例の概略寸法は、長さが8.1インチ(20.5cm)、基部91での最も広い直径が2.9インチ(7.3cm)、内側オリフィス96での最も狭い直径が0.9インチ(2.2cm)である。
【0026】
基部91は、直線側壁93と、一端を閉じる底壁94を持つ。テーパ付き壁95は、壁93の反対側に配設されて、この角度はるつぼ90の軸99に対して測定して約30度のマイナス抜き勾配角度Bを持つ。円錐部92は、約15度のプラス抜き勾配角度Cを有するテーパ付きの壁97を持つ。重要なことは、この円錐部分92が、図3ないし図7に示するつぼ40の円錐部42に比べて、著しく小さい寸法(軸方向長さが約0.3インチ(0.7cm))を持つことである。この一体設計により、極めて小さいオリフィスすなわちノズルを持ち、エフュージョンセルシャッターをソース材料すなわち溶融物のごく近くに配置することができるという点で、本質的に「仮想の」るつぼであるるつぼ90の構造を提供することができる。このため、シャッターを更に小さくすることもできる。これに対して、従来技術は、大きいオリフィスを教示しているとともに、大きいシャッターが必要であり、かつソースから遠く離れたところに配設されるセル設計が必要である。
【0027】
3.るつぼの製造方法
上記のるつぼ40と90は化学蒸着で作られる。化学蒸着は、例えば CVD Products Inc.によって実用化されている。図示のるつぼの製作にとって好ましい材料はPBNである。化学蒸着において、PBNは、ガス状の三塩化ホウ素、アンモニア、および希釈剤をサブミリメータ圧力と約摂氏1800度の温度のもとで成長チャンバへ導入して製造される。ただし、この方法は、化学蒸着によって様々な材料を作るため、他の化学薬品に関しても用いることができる。
【0028】
図8ないし図12を参照すると、化合物の反応でできたPBNが、形成マンドレル55上に堆積している。CVDプロセスが終わると、成形された製品、この場合にるつぼは、以下に説明するプロセスでマンドレルから分離される。成形マンドレル55は、グラファイトで作られた4部分アセンブリである。これは基本的に、トップ部材56、ボトム部材57、センタースタッドすなわちニップル58とを備える。トップ部材56とボトム部材57は別々の部品であって、センタースタッド58によって接続されている。CVDチャンバ内において、成形マンドレル55は、トップ部材56の上端の中心に配設されたネジ孔60へ接続されたトップスタッド59によって作動位置に維持されている。
【0029】
ボトム部材57はグラファイトで形成され、高密度で予め純度を高めた微粒子グラファイトが好ましく、中心部に穴があけられている。グラファイトは約300度Cで酸化し始める。ボトム部材57の寸法は、形成されるべきるつぼの寸法に依存する。このるつぼ40の場合、部材57は円筒形で、長さが約3.1インチ、直径が約1.3インチである。部材57のボトムエッジは丸められている。
【0030】
重要なことは、上端が角度A、好ましくは45度のマイナス抜き成形勾配を持つテーパ付きネック65であることである。図10で最もよく示すように、テーパ付き部分すなわちネック65の両端66と67は丸められている。ネック65の上端の直径は約0.58インチが好ましい。ボトム部材57の軸穴68の直径は5/16インチ、深さは2+7/8好ましい。軸穴68は、ネジ付き上部69を持ち、その深さは3/4インチで、3/8−16UNCが好ましい。
【0031】
図9を参照すると、トップ部材56も中空でグラファイト製、好ましくは、高密度の予め純度を高めた微粒子グラファイト製である。トップ部材56の寸法も形成されるべきるつぼの寸法に依存する。重要なことは、部材56は曲線形であって、プラス抜き成形勾配のテーパ付きネック73とリップを形成する基部74とを持つことである。るつぼ40の場合、部材56のテーパネック73は、長さが約2.1インチ、底部の直径が約0.58インチ、および頂部の直径が約1.4インチである。基部74は、直径が2.8インチ、厚さが約0.7インチである。ネック73と基部74の接続部には丸みを付けることが好ましい。トップ部材56の軸穴75は、直径が5/16インチで、部材56の全長を貫通穿孔することが好ましい。軸穴75の上部60のネジは、深さ1.0インチで3/4−10 UNCであり、下部76のネジは、深さ3/4インチで3/8−16 UNCである。
【0032】
図11を参照すると、センタースタッド58も中空でグラファイト製、好ましくは高密度の予め純度を高めた微粒子グラファイト製である。スタッド58の寸法は、形成されるるつぼの寸法と構成に依存するが、特に、トップ部材56のネジ孔76とボトム部材57のネジ穴69の寸法とタイプに依存する。検討された上記の好ましい実施例において、スタッド58は、好ましくは、長さが約1.5インチ、外周ネジが3/8−16 UNC、軸チャネル(孔)80の直径が3/16インチである。重要な点は、スタッド58の肉厚(スタッド58本体の外径と孔80の直径の差の1/2)は、トップ部材56とボトム部材57を締め付けて一体とするのに十分な厚さであるとともに、以下に説明するるつぼ成形中の冷却プロセスにおいてスタッド58が壊れるように薄いことである。この構造と、構成材料のタイプの組合せによって、トップ部材56とボトム部材57とをしっくり結合するとともに、意図する破壊を可能にするスタッドができる。
【0033】
図12を参照すると、トップスタッドまたはハンガースタッド59は、好ましくは中実でグラファイト製、粗い粒子で押し出しグラファイト製である。スタッド59の寸法は成形されるるつぼの寸法と構成に依存するが、特に、トップ部材56のネジ穴60の寸法とタイプに依存する。検討した上記のるつぼ40の実施例において、スタッド59は、好ましくは、長さが約4.5インチ、外周ネジが3/4−10 UNCである。スタッド59には、その一端に直径3/16インチ、深さ1+1/2インチの軸孔84を有する。直径1/8インチの横孔85がスタッド59の側部に配設され、軸孔84に連通接続している。図12のスタッド59の左端がトップ部材56の孔60へ、横孔85がマンドレル55の外に出たままになるようにねじ込まれる。孔84と85は、マンドレル55の内部空洞の通気手段を提供する。
【0034】
この発明のるつぼの製造プロセスは下記のステップを含む。まず、センタースタッド58を用いて、トップ部材56とボトム部材57をねじ締め一体とする。
【0035】
次に、ハンガースタッド59をトップ部材56の孔60へねじ込む。重要な点は、ハンガースタッド59内のチャネル84と85が、アセンブリ55の整列した軸方向チャネル75と68の内部圧力を逃がすように配向されることである。こうしてできたマンドレルアセンブリ55をCVD成長チャンバに入れる。次に、当該技術分野において公知のプロセスによってPBNのCVDコーティングが行われる。高温成長プロセスの完了後、できあがったマンドレルとコンテナのアセンブリを冷却する。成形マンドレル55のグラファイト材料は、熱収縮率の大きな差によって、PBNより高率で収縮する。マンドレルアセンブリ55の縦方向の収縮によって、るつぼの小さい直径のネック部のPBNが壊されないように、センタースタッド58が壊れるように設計されている。この破壊によって、マンドレル55のトップ部材56とボトム部材57は、るつぼ40のネック部47の近傍の軸方向の収縮によってPBNシェルを破壊することなく、マンドレル55の外側に形成されたPBNシェル内において独立して収縮することができる。冷却終了後、このアセンブリを別の酸化チャンバへ移してボトム部材57を取り除く。空気インジェクタをマンドレル55の中心空洞内へ挿入する。このアセンブリを300℃を超える温度、好ましくは750℃で所定時間、好ましくは約40時間加熱し、ボトム部材57を酸化させると、これが今度は成形されたPBNるつぼ40の「内側」基部41となる。加熱されたボトム部材57への空気流をインジェクタ経由で調節して酸化を最適化する。酸化によってボトム部材57が破壊されるが、そうしないと、新しく成形されたるつぼ基部41の壁46はマイナス抜き勾配であるので、ボトム部材57を除去できない。PBNは酸化温度が高く、約1200℃まで安定であるので、このプロセスの加熱ステップ中は酸化しない。続いて、マンドレル55の残りの部分であるトップ部材56を、そのプラス抜き勾配を利用して、るつぼの円錐形部42から抜き取る。このプロセスによって、MBEでの使用に特に適したマイナス抜き勾配部分を持つ単体の一体るつぼができる。
【0036】
検討された上記製造方法はMBE用のエフュージョンセルるつぼに関するものであるが、この方法は、単体で剛性壁を持つマイナス抜き勾配の、様々な用途のためのコンテナの製造に用いることができる。このような構造は、化学蒸着による様々な化合物から作ることができる。更に、MBE技術に精通する者は、両端が閉じ、側壁の所定位置に開口部を有し、関連する円錐形部を持とうが、持つまいが、円筒形本体を含むが、それに限定されない上記方法を用いて、他の設計がなし得ることを認めるであろう。
【0037】
上記説明と添付図面は説明用であり、限定を意図するものではない。この発明をその好ましい実施例に関連して開示したが、下記特許請求範囲によって定義されるこの発明の精神と範囲内において、他の実施例があり得ることを理解するべきである。ある請求項が、規定された機能を実行するための手段またはステップとして表現されている場合、当該請求項が、明細書中に記載されている対応する構造、材料、または動作、またはそれと構造的同等物と同等構造の両方を含む同等の事項を包含するものと解釈されることを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単体材料によって構成される剛性の壁構造体を備え、内部空間を画成する所定の構成を有し、前記内部空間は第一の周囲寸法を持ち、前記壁構造体は少なくともひとつのオリフィスを有し、前記オリフィスは第二の周囲寸法を有し、前記第二の周囲寸法は前記第一の周囲寸法より小さいコンテナ。
【請求項2】
前記壁構造体の材料が不活性で耐食性であり、所定酸化温度の空気中で熱的に安定している請求項1のコンテナ。
【請求項3】
前記壁構造体材料が耐熱性窒化ホウ素である請求項2のコンテナ。
【請求項4】
前記壁構造体の所定構成が、前記オリフィスの近傍に配設されたマイナス抜き勾配角度部を有する請求項1のコンテナ。
【請求項5】
前記壁構造体の所定構成は:
(a)円筒形基部であって、前記基部は一端が閉じられているとともに、対向端に配設された前記マイナス抜き勾配角度部を有し、前記マイナス抜き勾配角度部は前記オリフィスで終端を成し、前記基部の直径が前記第一の周囲寸法を決める、前記円筒形基部と;
(b)前記基部に軸整列するとともに前記基部に連通接続される円錐形部であって、前記円錐形部は前記オリフィスから前記基部から遠ざかって延在し、第二のオリフィスで終端を成すプラス抜き勾配角度を有し、前記第二のオリフィスは前記第二の周囲寸法より大きい第三の周囲寸法を持ち、前記円錐形部は更に前記第二のオリフィスの周りに配設されたリップを有する、
前記円錐形部とを備えた請求項4のコンテナ。
【請求項6】
単体エフュージョンセルるつぼにおいて:
(a)内部空間を取り囲む円筒形基部であって、前記基部は所定の直径を持つ直線壁部分を有するとともに一端が閉じられていて、前記基部は更に、前記閉止端の対向端に配設されるマイナス抜き勾配角度部を有し、前記マイナス抜き勾配角度部は、前記直線壁部分の直径より小さい所定の直径を持つ第一の内側のオリフィスで終端を成す、前記円筒形基部と;
(b)前記基部に軸整列して連通接続される円錐形部であって、前記円錐形部は、前記第一オリフィスから前記基部から離れて延在して第二のオリフィスで終端を成すプラス抜き勾配角度を有し、前記第二のオリフィスは前記第一のオリフィスの直径より大きい直径を有し、前記円錐部は更に、前記第二のオリフィスの周りに配設されたリップを有する、前記円錐形部とを備え、
(c)前記基部と前記円錐形部は、耐熱性窒化ホウ素単体を備えた単体エフュージョンセルるつぼ。
【請求項7】
基板上へ堆積させる材料を加熱するためのエフュージョンセルにおいて:
取付けフランジと、前記取付けフランジから延在する少なくともひとつの支持ポストとを備える支持アセンブリと;
前記少なくともひとつの支持ボストに接続されるヘッドアセンブリであって、前記ヘッドアセンブリは、前記材料を保持するためのコンテナと、前記コンテナ内の前記材料を加熱するため前記コンテナの少なくとも一部分を取り囲むヒーターとを備える、前記ヘッドアセンブリとを備え、
前記コンテナは、内部空間を画成する所定の形状を持つ剛性壁構造体を備え、前記内部空間は第一の周囲寸法を持ち、前記壁構造体は少なくともひとつのオリフィスを有し、前記オリフィスは第二の周囲寸法を持ち、前記第二の周囲寸法は前記第一の周囲寸法より小さいエフュージョンセル。
【請求項8】
前記壁構造体材料が耐熱性窒化ホウ素である請求項7のコンテナ。
【請求項9】
前記壁構造体の所定構成が、前記オリフィスの近傍に配設されたマイナス抜き勾配角度部を有する請求項7のコンテナ。
【請求項10】
前記壁構造体の所定構成が:
(a)円筒形基部であって、前記基部は一端が閉じられているとともに、対向端に配設された前記マイナス抜き勾配角度部を有し、前記マイナス抜き勾配角度部は前記オリフィスで終端を成し、前記基部の直径が前記第一の周囲寸法を決める、前記円筒形基部と;
(b)前記基部に軸整列するとともに前記基部に連通接続される円錐形部であって、前記円錐形部は前記オリフィスから前記基部から遠ざかって延在し、第二のオリフィスで終端を成すプラス抜き勾配角度を有し、前記第二のオリフィスは前記第二の周囲寸法より大きい第三の周囲寸法を持ち、前記円錐形部は更に前記第二のオリフィスの周りに配設されたリップを有する、前記円錐形部とを備えた請求項9のコンテナ。
【請求項1】
単体材料によって構成される剛性の壁構造体を備え、内部空間を画成する所定の構成を有し、前記内部空間は第一の周囲寸法を持ち、前記壁構造体は少なくともひとつのオリフィスを有し、前記オリフィスは第二の周囲寸法を有し、前記第二の周囲寸法は前記第一の周囲寸法より小さいコンテナ。
【請求項2】
前記壁構造体の材料が不活性で耐食性であり、所定酸化温度の空気中で熱的に安定している請求項1のコンテナ。
【請求項3】
前記壁構造体材料が耐熱性窒化ホウ素である請求項2のコンテナ。
【請求項4】
前記壁構造体の所定構成が、前記オリフィスの近傍に配設されたマイナス抜き勾配角度部を有する請求項1のコンテナ。
【請求項5】
前記壁構造体の所定構成は:
(a)円筒形基部であって、前記基部は一端が閉じられているとともに、対向端に配設された前記マイナス抜き勾配角度部を有し、前記マイナス抜き勾配角度部は前記オリフィスで終端を成し、前記基部の直径が前記第一の周囲寸法を決める、前記円筒形基部と;
(b)前記基部に軸整列するとともに前記基部に連通接続される円錐形部であって、前記円錐形部は前記オリフィスから前記基部から遠ざかって延在し、第二のオリフィスで終端を成すプラス抜き勾配角度を有し、前記第二のオリフィスは前記第二の周囲寸法より大きい第三の周囲寸法を持ち、前記円錐形部は更に前記第二のオリフィスの周りに配設されたリップを有する、
前記円錐形部とを備えた請求項4のコンテナ。
【請求項6】
単体エフュージョンセルるつぼにおいて:
(a)内部空間を取り囲む円筒形基部であって、前記基部は所定の直径を持つ直線壁部分を有するとともに一端が閉じられていて、前記基部は更に、前記閉止端の対向端に配設されるマイナス抜き勾配角度部を有し、前記マイナス抜き勾配角度部は、前記直線壁部分の直径より小さい所定の直径を持つ第一の内側のオリフィスで終端を成す、前記円筒形基部と;
(b)前記基部に軸整列して連通接続される円錐形部であって、前記円錐形部は、前記第一オリフィスから前記基部から離れて延在して第二のオリフィスで終端を成すプラス抜き勾配角度を有し、前記第二のオリフィスは前記第一のオリフィスの直径より大きい直径を有し、前記円錐部は更に、前記第二のオリフィスの周りに配設されたリップを有する、前記円錐形部とを備え、
(c)前記基部と前記円錐形部は、耐熱性窒化ホウ素単体を備えた単体エフュージョンセルるつぼ。
【請求項7】
基板上へ堆積させる材料を加熱するためのエフュージョンセルにおいて:
取付けフランジと、前記取付けフランジから延在する少なくともひとつの支持ポストとを備える支持アセンブリと;
前記少なくともひとつの支持ボストに接続されるヘッドアセンブリであって、前記ヘッドアセンブリは、前記材料を保持するためのコンテナと、前記コンテナ内の前記材料を加熱するため前記コンテナの少なくとも一部分を取り囲むヒーターとを備える、前記ヘッドアセンブリとを備え、
前記コンテナは、内部空間を画成する所定の形状を持つ剛性壁構造体を備え、前記内部空間は第一の周囲寸法を持ち、前記壁構造体は少なくともひとつのオリフィスを有し、前記オリフィスは第二の周囲寸法を持ち、前記第二の周囲寸法は前記第一の周囲寸法より小さいエフュージョンセル。
【請求項8】
前記壁構造体材料が耐熱性窒化ホウ素である請求項7のコンテナ。
【請求項9】
前記壁構造体の所定構成が、前記オリフィスの近傍に配設されたマイナス抜き勾配角度部を有する請求項7のコンテナ。
【請求項10】
前記壁構造体の所定構成が:
(a)円筒形基部であって、前記基部は一端が閉じられているとともに、対向端に配設された前記マイナス抜き勾配角度部を有し、前記マイナス抜き勾配角度部は前記オリフィスで終端を成し、前記基部の直径が前記第一の周囲寸法を決める、前記円筒形基部と;
(b)前記基部に軸整列するとともに前記基部に連通接続される円錐形部であって、前記円錐形部は前記オリフィスから前記基部から遠ざかって延在し、第二のオリフィスで終端を成すプラス抜き勾配角度を有し、前記第二のオリフィスは前記第二の周囲寸法より大きい第三の周囲寸法を持ち、前記円錐形部は更に前記第二のオリフィスの周りに配設されたリップを有する、前記円錐形部とを備えた請求項9のコンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−79736(P2011−79736A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−271283(P2010−271283)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【分割の表示】特願平8−533541の分割
【原出願日】平成8年5月3日(1996.5.3)
【出願人】(508043785)ビーコ コンパウンド セミコンダクター インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271283(P2010−271283)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【分割の表示】特願平8−533541の分割
【原出願日】平成8年5月3日(1996.5.3)
【出願人】(508043785)ビーコ コンパウンド セミコンダクター インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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