説明

単分散性で安定したナノ金属銀を製造するための方法、及び当該方法により得られる生産物

本発明は、湿式粉砕法による金属銀ナノ粒子の調製方法に関し、当該方法により調製される金属銀ナノ粒子は、粒子径が1nm〜100nmの範囲内で、平均径が20nm〜40nmであり、単分散性で12ヶ月以上の安定性を有し、広範囲の濃度で調製される。本発明は、以下の4工程、a)タンニン類及び好ましくはタンニン酸から選択された還元剤溶液を調製する工程、b)銀塩溶液を調製する工程、c)反応工程、(d)固体と液体との分離工程から構成され、粒子サイズは、還元剤の性質及び電流のpHの制御によって決定される。最終工程は、ユーザが生成物を望ましい媒体中に導入することによって調製した後の、材料の分離及び濃度を高めるために設計される。得られた粒子は、水、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ニトロセルロース、ポリウレタン、ビニール、アクリル、アルコール及び高密度及び低密度ポリエチレンのような広範囲の有機材料及びポリマー、ナイロン(登録商標)、ABS及び/又はその混合液ような異なる媒体中に再懸濁される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ナノ粒子を調製するための方法に関し、特に、異なる媒体において、単分散性で安定したナノ金属銀を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀粒子は、殺菌剤及び抗ウイルス剤として用いられることが知られており、ナノ粒子に特に関心がもたれているという理由から、その殺菌剤としての機能は粒子の大きさに反比例して向上する。この材料は他にも、有機化合物の水素化の触媒としても用いられている。
【0003】
本文における特定の用語の使用において混乱を避けるために、「ナノ粒子」は一般に、直径が100nm以下の粒子に関して用い、「単分散」は大きさの可変性が低い粒子群を同定するために用い、「安定性」は粒子の大きさが変わらない材料の特性、及び貯蔵期間の間、機械的又は化学的方法を適用せずに単分散性であるという材料の特性として理解される。
【0004】
金属銀のナノ粒子を製造するための従来の方法として、基本的には、以下の2つの種類が存在している。a)プラズマによって棒状の金属銀を気化するまで加熱し、気化した銀を適切な気体の雰囲気下で冷却し、金属銀の細塵(不活性雰囲気中で)又は使用した気体の種類に関連した銀の複合物を得る方法。b)、還元反応中の銀イオン溶液を界面活性剤及び安定剤の存在下において湿式粉砕することによって、生産物のサイズを制御する方法。
【0005】
金属銀粒子が基質表面に形成されるため、界面活性剤及び安定化剤の添加が不要であり、反応が3時間続くという、湿式粉砕により銀を還元する用途に及ぼす、光の存在による効果が、近年報告されている(“Preparation of silver nanoparticles by photo-reduction for surface-enhances Raman scattering”; Huiying Jia, Jiangbo Zeng, Wei Song, Jing An, Bing Zhao; Thin Solid Films 496 (2006) 281-287. “Photochemical preparation of nanoparticles of Ag in aqueous solution and on the surface of mesoporous silica”; G. V. Krylova, A. M. Eremenko, N. P. Smirnova, S. Eustis; Theoretical and experimental chemistry (2005) 41(2) 105-110)。
【0006】
Xuelinは、光の存在下において、銀ナノ粒子を得るための還元剤としてのクエン酸ナトリウムの使用について報告している(“Seedless, surfactantless photoreduction synthesis of silver nanoplates”; Xuelin Tian, Kai Chen, Gengyu Cao; Materials Letters 60 (2006) 828-830)。
【0007】
他の文献において、反応が8〜24時間続く場合における、金属銀ナノ粒子の沈殿について記載されている(CN1810422, Gao, 2006)。他の文献においては、反応を加速させるために、混合液を100℃近くまで加熱している(CN1686646, Liu, 2005; CN1669914, Luo, 2005)。
【0008】
湿式粉砕方法を用いた場合、反応において用いられる界面活性剤とナノ粒子を決定付けるための用途とが対応している必要があり、これに対して、界面活性剤を取り除く方法に生産物を供する必要があるため、添加剤の選択に重大な問題があることは明らかである。さらに、銀ナノ粒子の大きさに影響するため、反応混合液中の添加剤の濃度を制御する必要がある。一方、反応時間が比較的長いので、粒子サイズの分布が広範囲に渡ることに注意することが重要である。
【発明の概要】
【0009】
従来の文献に見られる問題に鑑みて、本発明の目的は、金属銀粒子を調製するための新規な方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、得られるナノ粒子の大きさの制御が容易な湿式粉砕方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、単分散性の金属銀ナノ粒子を生産することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、平均直径が1nm〜100nmの金属銀ナノ粒子を生産することである。
【0013】
本発明の他の目的は、平均直径が5nm〜60nmの金属銀ナノ粒子を生産することである。
【0014】
本発明の他の目的は、12ヶ月以上安定性を有する金属銀ナノ粒子を生産することである。
【0015】
本発明の他の目的は、様々な応用において、容易に分散する銀ナノ粒子の生産物を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、大量の金属銀ナノ粒子を生産するために、本来の湿度(湿式粉砕法)を減少した方法を提供することにある。
【0017】
本発明の実体をより理解するために、本発明の及ぶ範囲を図示した一連の図面と共に本発明を説明する。これらの図面は以下に表される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の金属銀ナノ粒子を得るための方法を表すブロックを含む図である。
【図2】図2は、本発明の方法による生産物における、銀ナノ粒子の大きさの分布を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の方法による他の生産物における、銀ナノ粒子の大きさの分布を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明に記載の方法により調製した生産物における、単分散性のナノ金属銀の顕微鏡写真である。
【図5】図5は、本発明に記載の方法により調製した他の生産物における、単分散性のナノ金属銀の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔本発明の簡単な説明〕
本発明は、金属銀ナノ粒子を調製するための湿式粉砕方法、及びこれにより得られる生産物に関する。この粒子の直径は1nm〜100nmの範囲であり、平均直径20nm〜40nmの間である。またこの粒子は、単分散性で、12ヶ月以上の安定性を有し、かつ大量であるという特徴がある。
【0020】
本発明の方法は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム及びアンモニアの水酸化物のようなアルカリの添加を制御することによって、アルカリ範囲にpHを調節した、硝酸塩、硫酸塩等のような溶解性の銀塩の溶液を基本材料として必要とする。タンニン類が還元剤として用いられ、この範疇にはタンニン酸が含まれる。
【0021】
本発明の重要な側面は、粒子の大きさ及びその可変性に関連した影響を及ぼす、反応前、反応中及び反応後における溶液のpHの適切な制御に関する。
【0022】
本発明において提案する方法と現状の技術の方法との主な相違点は、還元剤としてタンニン類、好ましくはタンニン酸を用いることである。さらに、100nmよりも小さい値に粒子の大きさを制御することである。さらに、公知の方法における界面活性剤及び安定剤の機能を満たしているので、さらなる添加剤を必要としないという、さらなる利点を有している。さらに、この方法においては、生産工程を単純化すると同時に、反応中における生産されたナノ粒子の凝集、及び精製段階後の再凝集を妨げる。
【0023】
この方法は、以下の4つの工程
a)その濃度及び量が、反応効率及び得られる粒子サイズに直接的に影響する、0.01質量%〜20質量%の濃度の還元剤の水溶液を調製する工程、
b)0.01質量%〜20質量%の濃度の銀塩の水溶液を調製する工程、
c)反応器内において、還元溶液と銀溶液とを混合し、反応中に水酸化アンモニウムによってpHを10.5〜11.5の間に制御する工程であって、当該工程において反応持続時間は1.0時間までとすることができるが、約15分で95%以上の変換に達する工程、
d)デカンテーション、遠心分離法、ろ過方法等のような、固体と液体とを分離するいずれかの方法によって、母溶液から、形成された金属銀のナノ粒子を除去する工程、
を含む。
【0024】
この反応は日光の存在によって促進されることを見出している。
【0025】
上述したように、還元剤としてタンニン類又はタンニン酸を用いることによって、得られるナノ粒子のサイズを制御するための他の種類の添加剤を使用する必要性を排除する。それにもかかわらず、平均粒子サイズの範囲を制御することが可能な、タンニンの使用に加えた上述した方法のバリエーションが存在する。これらを連続して説明する。
【0026】
本発明の一形態において、水酸化アンモニウムの添加により銀塩溶液のpHを11.5までのアルカリ範囲に調整することによって、ナノ粒子の大きさを制御する。この溶液のpHを反応前に制御しないとき、この反応の結果として得られるナノ粒子の平均粒子サイズは約40nm〜50nmであり、銀酸化物の形成が検出される。銀酸化物はこの方法による生産量を減少させる。
【0027】
本発明の他の形態において、水酸化アンモニウムの添加によって、還元溶液のpHを11.5までの範囲のアルカリに制御する。
【0028】
上述した本発明の一形態における一方又は両方の溶液における、混合前のpHの調整は、最終製品におけるナノ粒子のサイズに顕著な効果を示す。
【0029】
凝集剤の添加又はナノ粒子が凝集するまで溶液を酸性化することによって、「ゼータ電位」(粒子表面の電荷及び他の粒子との電荷の集約を表す)を変化させた場合に、母溶液からナノ粒子を得るための相の分離が容易になる。
【0030】
この方法又はこの方法の他のいずれかの形態において、生産物は、水、アルコール、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ニトロセルロース、ポリウレタン、ビニール材料、アクリル材料、高密度及び低密度ポリエチレンのような広範囲の有機材料及びポリマー、ナイロン(登録商標)、ABS、並びに/又はこれらの混合物のような、異なる媒体に再分散される粒子を含む、湿ったペースト状で得られる。
【0031】
〔本発明の詳細な説明〕
本発明は、2つの溶液の反応によって、金属銀のナノ粒子を調製するための湿式粉砕方法に関し、上記溶液の一方は、硝酸塩及び硫酸塩を含む群から選択される、可溶性の銀塩の水溶液であり、他方は、タンニン類の群から選択され、好ましくはタンニン酸である還元剤の還元溶液である。
【0032】
特に、水溶液中の還元剤として、タンニン類及びタンニン酸を用いた場合の主な利点は、100nmより小さい値に粒子サイズを制御することに加えて、タンニン類及びタンニン酸が公知の方法における界面活性剤及び安定化剤の替わりになり、方法を単純化すると同時に、製造されたナノ粒子の反応中の凝集及び精製段階後の再凝集を妨げるという事実にある。
【0033】
平均粒子サイズが定義された範囲内であり、その大きさのばらつきがわずかな(単分散)ナノ粒子を確実に生産するために、反応前、反応中及び反応後の溶液のpHの適切な制御を維持する必要があり、このようなpH制御を本発明の異なる可能性における典型的な結果を含む表1に示すことができる。
【0034】
【表1】

表1のデータから明らかなように、銀塩溶液のpHを調整しないことによる品質への影響は、やがて顕著になり、生産物の平均粒子サイズが比較的大きく、酸化銀が形成され、一方でこの方法による生産量が減少するという結果を招く。また、いくつかの最終用途において効率の悪い、「品質の悪い」生産物が結果として得られる。
【0035】
図1に示す本発明の方法の詳細についての続きは、上述した処理及び経路を挿入語句の番号により示すことによって、説明される。
【0036】
工程1.還元溶液(100)の調製
タンニンを含む群から選択され、好ましくはタンニン酸である還元剤(5)を、ハロゲンを含まない水(10)中に溶解させ、0.01質量%〜20質量%の濃度の水溶液(35)を形成する。
【0037】
代替の形態において、表1に規定した形態と一致させるために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム及び水酸化アンモニアから選択される水酸化物(25)であって、好ましくは水酸化アンモニウムの添加によって、還元溶液のpHを最大11.5までのアルカリ範囲に調整する。
【0038】
工程2.銀溶液(200)の調製
硫酸銀及び硝酸銀を含む群から選択され、好ましくは硝酸銀である銀塩(15)を、ハロゲンを含まない水(20)に溶解させ、0.01質量%〜20質量%の濃度の水溶液(40)を形成する。
【0039】
代替形態において、表1の規定に従って、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム及び水酸化アンモニアから選択される水酸化物(30)であって、好ましくは水酸化アンモニウムの添加によって、銀塩溶液のpHを最大11.5までのアルカリ範囲に調整し、溶液の劣化を遅らせるという効果を得る。
【0040】
銀の水溶液は、好ましくは、反応実現の直前、及びその使用の最大15分前に、好ましくは調製されるべきである。
【0041】
工程3.反応及び金属銀ナノ粒子(300)の生産
効果的な混合液を確保するために、還元溶液(35)及び銀塩溶液(40)を、反応器内において、室温及び室内圧力の条件下において、少なくとも15分間撹拌した。15分間の撹拌は、95%以上の変換に達するのに十分な時間である。実験結果は、光の存在によって、反応速度が上昇するという効果を示す。この理由から、光透過性の壁を有する反応器を用いることが推奨される。
【0042】
還元溶液(35)及び銀塩溶液(40)を添加した直後に、水酸化アンモニウム(50)を添加することによって、混合液のpHを10.5〜11.5の間、好ましくは10.5になるように調整する。
【0043】
反応の結果、単分散性の金属銀ナノ粒子の懸濁液(45)が得られる。
【0044】
工程4.母溶液(400)からの分離
銀ナノ粒子(45)の懸濁液から母溶液(55)を分離するために、沈殿法、ろ過法又は遠心分離法のような、いずれかの固体−液体分離方法を使用することができる。分離工程を容易に行うために、ゼータ電位を変更する凝集剤又は酸(65)を用いることができる。酸として、使用する銀塩と同じ官能基の酸を用いることが好ましい。
【0045】
得られた生産物(60)は、ナノメートルサイズで、安定しており、容易に単分散し得る金属銀の湿ったペーストであり、反応前のpH調整が関連する調製方法に依存して、粒子サイズ分布の変動性が低く(単分散性)、平均粒子サイズが1nm〜100nmの範囲内である。
【0046】
銀ナノ粒子(60)を含む生産物を、最終使用者による使用の必要性にしたがって、水若しくは他の有機溶液、モノマー又は樹脂による他の洗浄工程に供される。
【0047】
上述したように、上記方法により得られた製品は、湿ったペーストの好ましい形態を含んでおり、その粒子は、水、アルコール、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ニトロセルロース、ポリウレタン、ビニール、アクリル、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのような広範囲の有機材料及びポリマー、ナイロン(登録商標)、ABS及び/又はその混合物のような異なる媒体に再分散可能である。
【0048】
図2は、本発明の方法により得られたペースト中における金属銀の粒子サイズの分布を示すグラフである。粒子サイズの分布から、平均サイズが47.0nmであり(D50)、粒子の90%は、サイズが41.5nmよりも大きく(D10)、粒子の90%は、サイズが56.0nmよりも小さい(D90)ことを観察することができる。測定は、Coulter LS230装置を用いて、レーザ光線の回折によって行った。
【0049】
図3は、本発明の方法によって得られた銀ナノ粒子サイズの分布を示すグラフであり、以下の粒子サイズ分布を示す:D10が4.7nm、D50が21.0nm、D90が40.7nm。測定を、AcoustoSizerII装置を用いて、超音波減衰によって行った。
【0050】
図4は、単分散性の金属銀ナノ生産物の顕微鏡写真であり、その粒子は本発明の方法によって調製され、大きさは10nm〜20nmの間である。
【0051】
図5は、本発明に係る方法によって調製した、粒子サイズが5nm〜20nmの間である、単分散性の金属銀ナノ生産物の顕微鏡写真である。粒子サイズの範囲は1nm〜100nmであることが分かる。
【0052】
本発明の方法についての上記説明は、得られる生産物の金属銀ナノ粒子が、相同性、安定性、単分散性及びさらに好ましい形態を含む上述した他の性質に確実に達するために必要な段階を反映している。上述した説明及び関連する図面は本発明の方法及び生産物の例示であると考えられるべきであるがこれに限定されない。物質に関する知識を有する者にとって、本発明を実行するために変更を取り入れることが可能であり、このような変更は、以下の請求項においてさらに表現され本発明の範囲外であると認めることができないことは明らかである。以下の特許請求の範囲には、新規な特徴として請求する本発明を記載する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単分散で安定した金属銀ナノ粒子を生産するための湿式粉砕方法であって、
a)銀塩の水溶液を調製する工程と、
b)還元剤の水溶液を調製する工程と、
c)上記水溶液を混合して、これらの反応を引き起こす工程と、
d)上記銀ナノ粒子から上記母溶液を分離する工程とから構成され、
i)上記還元剤の水溶液はタンニン類の還元剤を0.01質量%〜20質量%含み、
ii)上記銀塩の水溶液は溶解性銀塩を0.01質量%〜20質量%含み、
iii)2つの上記水溶液を混合し、そのpHを10.5〜11.5の間に制御することによって、上記反応が起こり、
iv)上記母溶液の分離が、上記金属粒子のゼータ電位の変更によって促進されることを特徴とする方法。
【請求項2】
上記還元溶液を、好ましくはタンニン酸であるタンニンから調製することを特徴とする請求項1に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項3】
上記還元溶液のpHを、好ましくは11.5までのアルカリ範囲に調整することを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項4】
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム及び水酸化アンモニアを含む群から選択される水酸化物を用いて、上記還元溶液のpHを変更することを特徴とする請求項3に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項5】
水酸化アンモニウムを用いて、上記還元溶液のpHを変更することを特徴とする請求項4に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項6】
上記還元溶液のpHを調整したときに、上記銀塩溶液のpHを11.5までのアルカリ範囲に調整した場合、平均粒子サイズが約10nm〜20nmの生産物が上記方法により得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項7】
上記還元溶液のpHを調整しないときに、上記銀塩溶液のpHを11.5までのアルカリ範囲に調整した場合、平均粒子サイズが約20nm〜30nmの生産物が上記方法により得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項8】
好ましくは硝酸銀である、硝酸塩及び硫酸塩を含む群からの可溶性銀塩から、上記銀塩溶液を調製することを特徴とする請求項1に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項9】
上記銀塩溶液のpHを、好ましくは11.5のアルカリ範囲に調整することを特徴とする請求項8に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項10】
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム及び水酸化アンモニアを含む群から選択される水酸化物を用いて、上記銀塩溶液のpHを変更することを特徴とする請求項9に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項11】
水酸化アンモニウムを用いて、上記還元溶液のpHを変更することを特徴とする請求項10に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項12】
上記銀塩溶液のpHを調整しないとき、平均粒子サイズが約40nm〜50nmの生産物が得られ、当該生産物の質を低下させる酸化銀が形成されることを特徴とする請求項1、8及び9のいずれか1項に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項13】
上記銀塩溶液を、上記還元溶液との反応のわずか15分前に調製することによって、その劣化を防ぐことを特徴とする請求項1に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項14】
上記還元溶液及び上記銀塩溶液を反応器内において撹拌することによって混合し、金属銀ナノ粒子を形成することを特徴とする請求項1に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項15】
上記還元溶液及び上記銀塩溶液の反応の混合を、好ましくは日光である光の存在下で行うことを特徴とする請求項14に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項16】
上記反応器は日光が透過し得る壁を有していることを特徴とする請求項14に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項17】
水酸化アンモニウムを用いて、上記反応の混合液のpHを変更することを特徴とする請求項1に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項18】
上記反応液の混合を最大1.0時間まで行い得ることを特徴とする請求項1に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項19】
上記反応液の混合が、好ましくは30分間未満であることを特徴とする請求項18に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項20】
上記反応液の混合が、少なくとも15分間であることを特徴とする請求項18に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項21】
15分後の上記反応の進行が、少なくとも95%であることを特徴とする請求項20に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項22】
上記溶液の上記反応による生産物として得られたナノ粒子の懸濁液を、従来の固体相−液体相分離方法に供し、上記母溶液から上記ナノ粒子を分離することを特徴とする請求項1に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項23】
上記ゼータ電位を変更する凝集剤又は酸を用いて、上記相の分離を容易に行うことを特徴とする請求項22に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項24】
上記酸として、使用する上記銀塩と同一の官能基を有する酸を使用することを特徴とする請求項23に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項25】
好ましくは硝酸を使用することを特徴とする請求項24に記載のナノ金属銀を生産するための方法。
【請求項26】
上記粒子が単分散状態におけるサイズ分布で存在することを特徴とする請求項1に記載の方法により得られた金属銀ナノ粒子のペースト。
【請求項27】
上記粒子の大きさが1nm〜100nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の方法により得られた金属銀ナノ粒子のペースト。
【請求項28】
上記粒子の平均サイズ(D50)が、好ましくは20nm〜40nmの間であることを特徴とする請求項1に記載の方法により得られた金属銀ナノ粒子のペースト。
【請求項29】
上記金属銀ナノ粒子は、水、アルコール、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ニトロセルロース、ポリウレタン、ビニール樹脂、アクリル樹脂、高密度及び低密度ポリエチレンのような有機材料及びポリマー、ナイロン(登録商標)、ABS及び/又はこれらの混合物、並びに他の溶媒中に、容易に再分散することを特徴とする請求項1に記載の方法により得られた金属銀ナノ粒子ペースト。
【請求項30】
粒子を再分散させるための機械的な労働をエンドユーザに要求することなく、12ヶ月より長い保存期間の間、安定していることを特徴とする請求項1に記載の方法により得られた金属銀ナノ粒子ペースト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−513718(P2010−513718A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542667(P2009−542667)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【国際出願番号】PCT/MX2007/000047
【国際公開番号】WO2008/075933
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(509094089)セルヴィシオス インダストリアレス ペニョーレス,ソシエダッド アノニマ デ キャピタル ヴァリアブル (4)
【Fターム(参考)】