説明

単層カーボンナノチューブ合成用触媒

カーボンナノチューブの大量合成に用いることのできる担持金属触媒を調製する方法および工程を提供する。金属および支持体の塩は、同じ溶媒に可溶であるように選択する。触媒は、金属と支持体材料との共析出によって液相から調製することができる。本方法を用いることで、支持体に担持される触媒量を増やすことができる。この触媒を使用することで、カーボンナノチューブの収率が増加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学蒸着法による単層カーボンナノチューブの合成に用いる担持触媒を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属ナノ粒子は、100nm未満の平均粒径、大きな表面積と高い反応性を持つ金属粒子と定義されている。金属ナノ粒子は、反応触媒としての用途(反応基質としての使用も含む)も見出され、材料の作用や特性の向上、薬剤送達における使用、カーボンナノチューブの合成用触媒や水素ガス合成用触媒としての使用、また金属水素化物の製造における使用などから、工業用素材として重要性を増している。
【0003】
金属ナノ粒子の製造には、プラズマまたはレーザ式気相反応、蒸発凝縮作用、様々な湿式化学法など、幾つかの技法がある。例えば米国特許第6,660,680号(Hampden-Smith他)には、有機金属を電解触媒粉末の前駆体として用いることが記載されている。この工程では、有機金属と支持体材料とを含む液体を飛沫エアロゾル化し、キャリアガス中の飛沫を加熱して液体を除去し、支持体相上に担持する形態で触媒粒子を形成する。しかし、確実、簡単かつ安価に、ナノ粒子の寸法を制御して製造する技法は現在のところ存在していない。現在の技法では、製造される粒子の結晶度は低く、所望のナノ粒径からの粒径分布も広い。また特別な装置や、長い処理時間、高価で特殊な薬品を必要とする。例えば金属ナノ粒子を製造する好ましい方法として、湿式冶金や噴霧熱分解が挙げられる。しかしこれらの方法には、扱いの困難な有毒物質を調製して取り扱う必要や、気体・液体排出物についての環境排出物規制要件を満たす必要、100nm未満の平均粒径を製造するのが困難であることなど、幾つかの重大な欠点がある。
【0004】
金属ナノ粒子合成に望ましいと考えられる湿式化学法の一つに、熱分解がある。熱分解反応を比較的単純な装置で行うことができるからである。しかし、現在知られている熱分解を用いて金属ナノ粒子を形成する方法では、界面活性剤を別個添加する必要があり、方法が煩雑でコストがかかるものとなっている。
【0005】
金属ナノ粒子の特定の用途として、カーボンナノチューブの製造における使用が挙げられる。カーボンナノチューブは炭素原子によって作られる六角形のネットワークであり、両端がそれぞれ半球フラーレンで塞がれた継ぎ目のないチューブ形状をしている。最初のカーボンナノチューブとして、アーク放電中に炭素を蒸着して得られた多層の同軸チューブ又は多層(multi-walled)カーボンナノチューブが飯島澄男により1991年に報告されている。1993年、飯島のグループとDonald Bethune率いるIBMチームとはそれぞれ独自に、炭素を鉄、コバルト等の遷移金属と共にアーク発生器内で蒸発して単層(single-wall)ナノチューブの作成が可能であることを発見した(飯島他、Nature 363:603(1993);Bethune他、Nature 363:605(1993)及び米国特許第5,424,054号参照)。この合成は、大量の煤煙と金属粒子に混じった少量の不均一なナノチューブを得るものであった。
【0006】
現在、単層および多層カーボンナノチューブの合成方法は主に3種ある。カーボン竿のアーク放電(Journet他、Nature 388:756(1997))、炭素のレーザ切断(Thess他、Science 273:483(1996))、および炭化水素の化学蒸着(Ivanov他、Chem.Phys.Lett223:329(1994);Li他、Science 274:1701(1996))である。多層カーボンナノチューブは接触炭化水素分解により工業規模で製造することが可能であるが、単層カーボンナノチューブは依然としてグラム単位でしか製造することができない。
【0007】
独特な機械的および電気的特性を有しているという理由から、多層カーボンナノチューブより単層カーボンナノチューブが一般に好まれている。多層カーボンナノチューブの場合、不飽和炭素結合価間で架橋することによって欠陥が補われたものが残ってしまうが、単層カーボンナノチューブの場合、隣接する壁がなく欠陥を補うことができないので、欠陥を持つ単層カーボンナノチューブが生じにくい。欠陥の無い単層ナノチューブには、チューブ直径、同軸シェル数、キラリティーを変化させることによって調整できる顕著な機械的、電子的、磁気的特性が期待される。
【0008】
製造された単層ナノチューブ(SWNT)の直径は触媒粒子径に比例することが知られている。3nm未満の触媒粒子が直径の小さなカーボンナノチューブの成長に好ましいことが一般に認められている。さらに、触媒粒径の分布によって、SWNTの収率と均質性が変化する。従って、粒径が小さくかつ粒径分布が狭いほど、SWNTの品質は高くなる。しかし小さな触媒粒子は、カーボンナノチューブの合成に必要な高い温度において凝集しやすい。さらに、平均粒径の小さな触媒は合成が難しい。例えばTanaka他(2004)、Carbon 24:1285-1292は、カーボンナノ繊維の合成を目的とした触媒の調製方法を開示しており、硝酸第二鉄および硝酸ニッケル溶液から炭酸第二鉄および炭酸ニッケルを調製している。また、触媒と支持体の比から、製造されたSWNTの量と品質を調べることができる。触媒:支持体の比を約1:10〜約1:20とするのが一般的であるが、触媒粒子が凝集塊を形成するため、支持体に担持する触媒の量を増加させるのは困難である。従って1:1〜1:3という触媒:支持体比はSWNTの製造には好適ではない、という報告もある。しかし、その比を増加させると、SWNTを大量製造する場合の材料費が高くなってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、粒径の分散度を最小化しつつ、平均粒径の制御が可能な、触媒担持量の多い担持金属ナノ粒子を製造する熱分解方法であって、簡単で確実かつ低コストの方法が必要とされている。そこで本発明は、SWNTの大量合成に用いることのできる金属ナノ粒子触媒を製造する方法および工程を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本発明は、単層カーボンナノチューブを高収率に成長させる方法および工程に使用することのできる、担持金属ナノ粒子を製造する方法および工程を提供する。金属触媒と支持体の塩を、均質な溶液が得られるまで溶媒中で混合し、溶液を加熱し、溶媒を蒸発させることで担持金属ナノ粒子を製造することができる。
【0011】
一態様において本発明は、触媒、支持体および溶媒を混合して溶液を得る段階;および前記溶液を加熱して担持金属ナノ粒子を形成する段階を含む、担持金属ナノ粒子を製造する方法を提供する。触媒はV族金属、VI族金属、VII族金属、VIII金属、ランタニド、遷移金属およびそれらの混合物から選ばれる金属の塩であってもよい。支持体はAl、SiまたはMgの塩であってもよい。金属塩と支持体の対イオンは、硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、過塩素酸塩、硫酸塩、硫化物、酢酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、メトキシド、エトキシドまたはアセチルアセトネートであってもよい。触媒と支持体とは、約1:1〜約1:5の比で、好ましくは約1:1〜約1:3の比で混合する。溶媒は水、メタノール、エタノールまたはグリコールエーテルであってもよい。金属塩と支持体は、両者が溶媒に可溶であるように選択する。あるいはさらに金属塩と支持体は、好ましくは同様の融点を有するものであってもよい。
【0012】
別の態様において本方法は、触媒、支持体および溶媒を混合し(ここで前記触媒と前記支持体は約1:1〜約1:5の比である)前記溶液を加熱して形成した担持金属ナノ粒子に、炭素前駆体ガスを接触させて単層カーボンナノチューブを製造する段階を含む。触媒はV族金属、VI族金属、VII族金属、VIII金属、ランタニド、遷移金属およびそれらの混合物から選ばれる金属の塩であってもよい。支持体はAl、SiまたはMgの塩であってもよい。金属塩と支持体の対イオンは、硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、過塩素酸塩、硫酸塩、硫化物、酢酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、メトキシド、エトキシドまたはアセチルアセトネートであってもよい。触媒と支持体とは、約1:1〜約1:5の比で、好ましくは約1:1〜約1:3の比で混合する。溶媒は水、メタノール、エタノールまたはグリコールエーテルであってもよい。金属塩と支持体は、両者が溶媒に可溶であるように選択する。
【0013】
本発明の上記および他の態様は以下の詳細な説明を参照して明らかになるであろう。また本願では、特定の工程や組成について詳述する様々な参照文献に言及するが、参照することで本願にその内容が全て含まれるものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
I.定義
特に述べない限りは、明細書、請求項を含む本願において用いられる下記の語は、下記のように定義される。なお、明細書および請求項において用いられる「一つの(a、an)」「その(the)」で示される単数形は、文脈から明らかとされる場合を除いては、複数形を含むものとする。一般的な化学用語の定義は、例えばCareyおよびSundberg(1992)"Advanced Organic Chemistry第3版” 第A巻および第B巻、Plenum Press(ニューヨーク州);およびCotton他(1999)“Advanced Inorganic Chemistry 第6版”、Wiley(ニューヨーク州)が参照可能である。
【0015】
本願において「単層カーボンナノチューブ」または「一次元カーボンナノチューブ」の語は、交換可能に用いるものであり、実質的に炭素原子の単層からなる壁を有し、黒鉛型結合で六角形結晶構造に配置された、炭素原子の薄いシートを円筒状にしたものを意味する。
【0016】
本願において「多層カーボンナノチューブ」の語は、2個以上の同軸チューブからなるナノチューブを意味する。
【0017】
「有機金属(metalorganic)」または「有機金属(organometallic)」の語は、交換可能に用いるものであり、有機化合物と金属、遷移金属または金属ハロゲン化物との配位化合物を意味する。
【0018】
II.概要
本発明は、担持金属ナノ粒子を製造する方法および工程を開示する。金属ナノ粒子は、同じ反応容器内に金属と支持体材料とを溶解し、溶媒を蒸発させることで製造される。金属と支持体材料との比は約1:1〜約1:3とすることができる。このようにして製造した金属ナノ粒子を用いて炭素蒸着法を行うことで、炭素の単層ナノチューブ(SWNT)および構造体を大規模に製造することができる。本発明の方法で製造した触媒により、高品質の炭素SWNTが高収率で得られる。本発明の方法および工程は、約2分の1の支持体材料しか必要としないため、SWNTの製造コストを抑えることができるという利点がある。さらに、SWNTの収率を約100%以上、増やすことが可能である。
【0019】
III.触媒
触媒の組成は、当業者に公知のどのような組成であってもよい。触媒粒子自体は、フェリ磁性または強磁性を示す材料であれば、どのようなものを用いてもよい。粒子が、例えば鉄、酸化鉄などの磁性金属または合金、あるいはコバルト、ニッケル、クロム、イットリウム、ハフニウムまたはマンガンなどのフェライトの粒子であるのが都合が良い。本発明で有用な粒子の全体的な粒径は好ましくは50nm〜約1μmまでであるが、一般に個々の粒径は約400nm〜約1μmであっても良い。触媒粒子は好ましくは少なくとも単磁区(single domain)の大きさ、一般には約2nm未満である。
【0020】
カーボンナノチューブの成長工程における金属触媒の機能は、炭素前駆体を分解し、炭素の規則的に並んだ蒸着を補助することにある。本発明の方法および工程では、金属触媒として金属ナノ粒子を用いるのが好ましい。触媒として選択した金属または金属の組み合わせを処理して、所望の粒径及び粒径分布を得ることができる。金属ナノ粒子は、カーボンナノチューブを合成する際に、その支持体として使用するのに好適な材料上に担持して分離することができる。当分野で公知であるように、支持体を用いると、触媒粒子同士が分離されて触媒組成物中により大きな表面積の触媒材料を提供することができる。支持体材料としては、結晶シリコン、ポリシリコン、窒化ケイ素、タングステン、マグネシウム、アルミニウムおよびそれらの酸化物、好ましくは酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウムまたは二酸化チタン、またはそれらの混合物、それらに元素を付加して改変したものの粉末が挙げられ、支持体粉末として用いる。シリカ、アルミナおよび当分野で公知の他の材料を支持体として用いることができ、好ましくはアルミナを支持体として用いる。
【0021】
金属触媒は、V族金属(V、Nbおよびそれらの混合物等)、VI族金属(Cr、W、Moおよびそれらの混合物等)、VII族金属(Mn、Re等)、VIII族金属(Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptおよびそれらの混合物等)、ランタニド(Ce、Eu、Er、Ybおよびそれらの混合物等)または遷移金属(Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Sc、Y、Laおよびそれらの混合物等)から選択することができる。バイメタル触媒のような本発明に用いることのできる混合触媒の例としては、Co−Cr、Co−W、Co−Mo、Ni−Cr、Ni−W、Ni−Mo、Ru−Cr、Ru−W、Ru−Mo、Rh−Cr、Rh−W、Rh−Mo、Pd−Cr、Pd−W、Pd−Mo、Ir−Cr、Pt−Cr、Pt−WおよびPt−Moが挙げられる。好ましくは金属触媒は鉄、コバルト、ニッケル、モリブデンまたはそれらの混合物、例えばFe−Mo、Co−MoおよびNi−Fe−Moである。
【0022】
金属、バイメタル、または複数金属の組み合わせを用いて、規定の粒径および粒径分布を有する金属ナノ粒子を調製する。触媒ナノ粒子は、同一出願人による同時係属の米国特許出願第10/304,316に記載するように、または当分野で公知の他の方法によって、不動態化(passivating)溶媒に添加した対応の金属塩を熱分解し、金属ナノ粒子を得るように溶媒の温度を調節して調製することができる。金属ナノ粒子の粒径および直径は、不動態化溶媒中に適当な濃度の金属を用いることで制御可能であり、また反応時間を制御することによって、熱分解温度で反応を進行させることが可能になる。金属塩は金属のどのような塩であってもよく、塩が溶媒に溶けるように、および/または金属塩の融点が不動態化溶媒の沸点より低くなるように選択することができる。従って、金属塩は金属イオンと対イオンを含んでおり、対イオンとしては硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、過塩素酸塩、硫酸塩、硫化物、酢酸塩、ハロゲン化物、メトキシドまたはエトキシド等の酸化物、アセチルアセトネート等が挙げられる。例えば、金属塩は酢酸鉄(FeAc)、酢酸ニッケル(NiAc)、酢酸パラジウム(PdAc)、酢酸モリブデン(MoAc)等、およびそれらの組み合わせであってもよい。金属塩の融点は好ましくは不動態化溶媒の沸点より約5℃〜50℃低く、より好ましくは沸点より約5℃〜約20℃低い。溶媒は、グリコールエーテル、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、H(OCHCHO(CHCH(以下一般名「ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル」を用いる)等のエーテルであってもよい。
【0023】
得られるナノ粒子の寸法を制御する因子として、金属塩と不動態化溶媒との相対量が挙げられる。広範囲のモル比(ここでは不動態化溶媒1モルあたりの金属塩の総モル数として表す)を、金属ナノ粒子の形成に用いることができる。一般的な金属塩:不動態化溶媒モル比は、約0.0222(1:45)〜約2.0(2:1)の範囲にある値である。従って例えば約5.75×10−5〜約1.73×10−3モル(10〜300mg)の酢酸鉄を約3×10−4〜約3×10−3モル(50〜500ml)のジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルに入れることができる。
【0024】
本発明の別の態様において、2種以上の金属からなる金属ナノ粒子を形成する目的で、2種以上の金属塩を反応容器に導入することができる。第一の金属塩と第二の金属塩のモル比は、約1:1〜約10:1、あるいはその間の値、例えば2:1、3:1、3:2、4:1、4:3などとすることができる。様々な組成の金属ナノ粒子を合成する目的で、金属塩の他の組み合わせや、第一の金属塩と第二の金属塩について他のモル比が使用可能であることが当業者には理解できるであろう。
【0025】
好ましくは、金属塩を含む反応混合物に支持体材料を添加する。支持体材料は固体で添加してもよいし、不動態化溶媒に溶解したのち、金属塩を含む溶液に添加してもよい。固体支持体の例としては、シリカ、アルミナ、MCM−41、MgO、ZrO、アルミニウム安定化酸化マグネシウム、ゼオライト、または当分野で公知の他の支持体、およびそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、Al−SiOハイブリッド支持体を用いることができる。好ましくは、支持体材料は不動態化溶媒に可溶である。一側面において、金属塩と支持体材料との対イオンは同じものであり、従って例えば亜硝酸塩を金属塩と支持体材料とにおける対イオンとすることができる。故に、支持体材料は支持体材料の要素と対イオンとを含み、ここで対イオンは硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、過塩素酸塩、硫酸塩、硫化物、酢酸塩、ハロゲン化物、メトキシドおよびエトキシドなどの酸化物、またはアセチルアセトネートなどとすることができる。従って例えば、亜硝酸塩は、金属イオン(亜硝酸第一鉄(ferrous nitrite))および支持体材料(亜硝酸アルミニウム(aluminum nitrite))における対イオンとすることができ、あるいは支持体は酸化アルミニウム(Al)またはシリカ(SiO)であってもよい。支持体材料を粉末状にして、小さな粒径と大きな表面積を提供することができる。粉末状支持体材料の粒径は好ましくは約0.01μm〜約100μm、より好ましくは約0.1μm〜約10μm、さらにより好ましくは約0.5μm〜約5μm、最も好ましくは約1μm〜約2μmである。粉末状支持体材料の表面積は約50〜約1000m/g、より好ましくは約200〜約800m/gとすることができる。粉末状酸化物は新たに調製してもよいし、市販のものを用いてもよい。例えば、1〜2μmの粒径で、300〜500m/gの表面積を有する好適なAl粉末がAlfa Aesar(マサチューセッツ州ウォードヒル)またはDegussa(ニュージャージー州)により市販されている。粉末状酸化物を添加して、粉末状酸化物と、金属ナノ粒子を形成するのに用いられる金属の初期量との所望の重量比を達成することができる。通常、重量比を約10:1〜約15:1とすることができる。例えば100mgの酢酸鉄を出発原料として用いる場合、約320〜480mgの粉末状酸化物を溶液に導入することができる。金属ナノ粒子と粉末状酸化物の重量比は、約1:1〜1:10、例えば1:1、2:3、1:4、3:4、1:5などとすることができる。
【0026】
均質混合物を形成したのち、熱分解によって金属ナノ粒子を得る。反応容器内にある少なくとも一つの金属塩の融点より高い温度に反応容器の内容物を加熱することによって、熱分解反応を開始する。好適な熱源としてマントルヒータ、ホットプレート、ブンセンバーナ等の標準的な実験用加熱器が挙げられる。金属塩の融点より高い温度に反応容器の内容物の温度を上昇させる他の方法は当業者に自明であろう。金属ナノ粒子の平均粒径は、熱分解時間を調節することによって制御することができる。反応時間は通常、所望のナノ粒径に応じて約20分〜約2400分の範囲でおこなう。反応容器の内容物の温度を金属塩の融点未満の温度に下げ、熱分解反応を所望の時点で停止することができる。従って、単に熱源を取り外すか停止させて反応容器の温度を下げて反応を停止することもでき、あるいは反応容器を浴槽に入れて反応を停止することもできる。
【0027】
好ましくは、加熱段階において、反応容器の内容物を還流させる。標準的な還流装置、例えば市販されている還流装置を用いることができる。熱分解中、水(または他の冷却剤)を凝縮ジャケット(condensing jacket)に通過させる。不動態化溶媒からの蒸気は管を通過するにつれて冷却され、不動態化溶媒蒸気が凝縮する。凝縮した不動態化溶媒は反応容器内に戻る。この再凝縮によって、熱分解反応中に起こりうる不動態化溶媒の大量の損失を防ぐことができる。従って、金属と不動態化溶媒との相対比率は、反応を通じて実質的に一定である。当業者には、還流が熱分解反応を行うのに好ましい方法ではあるが、ナノ粒子形成には必須ではないということが理解できるであろう。均質混合物の温度が金属塩の融点より上に設定される限り、所望の熱分解反応が起きて金属ナノ粒子が形成される。
【0028】
約0.01nm〜約20nm、より好ましくは約0.1nm〜約3nm、最も好ましくは約0.3nm〜2nmの平均粒径を有する金属ナノ粒子を調製することができる。従って金属ナノ粒子の粒径を0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10nm、最大約20nmとすることができる。別の側面において、金属ナノ粒子はある範囲の粒径または粒径分布を有していてもよい。例えば金属ナノ粒子は、約0.1nm〜約5nm、約3nm〜約7nmまたは約5nm〜約11nmの範囲の粒径を有していてもよい。
【0029】
生成した金属ナノ粒子の寸法と分布は、好適な方法によって確認することができる。確認方法の一つとして、透過電子顕微鏡法(TEM)が挙げられる。好適なモデルとしてFEI社(オレゴン州ヒルズバロ)から市販されているPhillips CM300FEG TEMが挙げられる。金属ナノ粒子のTEM顕微鏡写真を撮る場合、1滴以上の金属ナノ粒子/不動態化溶媒溶液を、TEM顕微鏡写真撮影に好適な炭素膜グリッドまたは他のグリッド上に載せる。次いでTEM装置を用いてナノ粒子の顕微鏡写真を撮影する。得た写真を用いて、形成されるナノ粒子の寸法分布を調べることができる。
【0030】
当業者に明らかなように、こうして調製した触媒を貯蔵して後で使用することができる。別の態様において、金属ナノ粒子を予め調製し、不動態化溶媒から単離し、精製し、好適な量の同一または別種の不動態化溶媒に粉末状酸化物を添加することができる。金属ナノ粒子と粉末状酸化物を均質に分散し、不動態化溶媒から抽出し、上記するように有効表面積を増加する処理を行うことができる。金属ナノ粒子と粉末状酸化物との混合物を調製する他の方法は当業者に自明であろう。
【0031】
本発明で生成した金属ナノ粒子の寸法と分布は、好適な方法によって確認することができる。確認方法の一つとして、透過電子顕微鏡法(TEM)が挙げられる。好適なモデルとしてFEI社(オレゴン州ヒルズバロ)から市販されているPhillips CM300FEG TEMが挙げられる。金属ナノ粒子のTEM顕微鏡写真を撮る場合、1滴以上の金属ナノ粒子/不動態化溶媒溶液を、TEM顕微鏡写真撮影に好適な炭素膜グリッドまたは他のグリッド上に滴下する。次いでTEM装置を用いてナノ粒子の顕微鏡写真を撮影する。得た写真を用いて、形成されるナノ粒子の寸法分布を調べることができる。金属ナノ粒子の合成に2種以上の金属塩を用いる場合、得られる金属ナノ粒子の組成はX線回折(XRD)によって調べることができる。好適なXRD装置としては、Bruker-AXS GMBH(ドイツ国カールスルーエ)から市販されているBruker D−8型X線回折装置が挙げられる。通常、XRD分析用には、SiO基材などの測定基材上に金属ナノ粒子/不動態化溶媒混合物を一滴滴下して金属ナノ粒子の試料とする。基材を250℃に加熱して不動態化溶媒を蒸発させ、金属ナノ粒子のみを残す。
【0032】
このように形成した金属ナノ粒子は、化学蒸着(CVD)工程によってカーボンナノチューブ、ナノ繊維、および他の一次元炭素ナノ構造体を合成するための成長触媒として用いることができる。上記のように調製した担持触媒ナノ粒子を用いて触媒(Fe、Ni、Co、Cu、Moなど)を分散し、SWNTの合成に重要な触媒の粒径を制御する。さらに、本発明の方法を用いると、支体材料上に担持される触媒の量を増やすことが可能になる。従って本発明の触媒は、触媒の単位重量当たりの効果がより高く、またSWNTの大量製造における経済性がより高い。
【0033】
IV.炭素前駆体
カーボンナノチューブは、炭素含有ガス等の炭素前駆体を用いて合成することができる。概して、800℃〜1000℃まで熱分解しない炭素含有ガスであればどのようなものを用いてもよい。好適な炭素含有ガスの例としては、一酸化炭素や、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、エチレン、アセチレン、プロピレン等の飽和および不飽和の脂肪族炭化水素、アセトン、メタノール等の含酸素炭化水素、ベンゼン、トルエン、ナフタレン等の芳香族炭化水素、および一酸化炭素とメタンの混合物等、上記ガスの混合物が挙げられる。一般に、アセチレンを用いると多層カーボンナノチューブの形成が促進されるが、単層カーボンナノチューブを形成する供給ガスとしてはCOとメタンが好ましい。炭素含有ガスは、水素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトンおよびキセノン等の希釈ガスまたはそれらの混合物と任意に混合してもよい。
【0034】
V.カーボンナノチューブの合成
本発明の方法および工程により、SWNTを大量に合成することができる。本発明の一側面において、文献(Harutyunyan他、NanoLetters 2、525(2002))に記載の方法によって、上記で調製した担持金属ナノ粒子を炭素源に反応温度で接触させることができる。あるいは、担持金属ナノ粒子をエアロゾル化し、反応温度に維持された反応器に導入することができる。同時に、炭素前駆ガスを反応器に導入する。反応器内の反応物質流は、反応器の壁上に析出する炭素生成物の量を低減するように制御することができる。このようにして、製造されるカーボンナノチューブを回収し分離することができる。
【0035】
担持金属ナノ粒子は、公知の方法いずれかによってエアロゾル化することができる。一つの方法において、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンまたはラドンのような不活性ガスを用いて担持金属ナノ粒子をエアロゾル化する。好ましくはアルゴンを用いる。一般に、アルゴンまたは別のいずれかのガスを、粒子注入器に強制的に通過させ反応器へ導入する。粒子注入器は、担持金属ナノ粒子を保持することができ、かつ担持金属ナノ粒子を攪拌する手段を備えるものであればどのような容器であってもよい。従って、機械攪拌器を設けたビーカーに、粉末状多孔質酸化物基材上に担持された触媒を入れてもよい。アルゴン等のキャリアガスへの触媒の取り込みを促進する目的で、担持金属ナノ粒子を攪拌または混合してもよい。
【0036】
概して、ナノチューブの合成は同一出願人による同時係属の米国特許出願第10/727,707(2003年12月3日出願)に記載するように行う。不活性キャリアガス(好ましくはアルゴンガス)を、粒子注入器に通過させる。粒子注入器はビーカーまたは他の容器であってもよく、粉末状多孔質酸化物基材上に担持された成長触媒を入れておく。アルゴンガス流への粉末状多孔質酸化物基材の取り込みを促進する目的で、粒子注入器内の粉末状多孔質酸化物基材を攪拌または混合してもよい。あるいは、不活性ガスを乾燥システムに通過させて乾燥させる。粉末状多孔質酸化物を取り込んだアルゴンガスを予熱器に通過させて、このガス流の温度を約400℃〜約500℃に上げてもよい。次いで、取り込まれた粉末状多孔質酸化物を反応チャンバに送る。メタンの流れまたは他の炭素源ガスと水素の流れも反応チャンバに送る。典型的な流量としては、アルゴンについては500sccm、メタンについては400sccm、Heについては100sccmが挙げられる。さらに、500sccmのアルゴンを螺旋流入口へ導入し、反応チャンバの壁上に析出する炭素生成物の量を低減することができる。反応チャンバは、加熱器を用いて反応時に約300℃〜900℃に加熱することができる。温度は好ましくは炭素前駆ガスの分解温度未満に維持する。例えば、1000℃を超える温度では、メタンは金属成長触媒により炭素ナノ構造体を形成するのではなく、分解されて直接煤煙を生じることが知られている。反応チャンバで合成したカーボンナノチューブとその他の炭素ナノ構造体を回収し、特徴を分析することができる。
【0037】
本発明の一側面において、合成したSWNTの粒径分布は実質的に均一である。従って、SWNTの約90%が平均径の約25%内、より好ましくは平均径の約20%内、さらにより好ましくは平均径の約15%内におさまる直径を有する。従って、合成されたSWNTの粒径分布は平均径内の約10%〜約25%、より好ましくは平均径内の約10%〜約20%、さらにより好ましくは平均径内の約10%〜約15%である。
【0038】
炭素SWNTは、約4重量%〜約60重量%(担持触媒ナノ粒子に対する炭素の重量%)の範囲の収率で合成することができる。得られたSWNTの特徴は、透過電子顕微鏡法(TEM)、ラマン分光法、熱重量測定器(TGA)などによって調べることができる。
【0039】
SWNTのラマンスペクトルには、1590cm−1付近のGバンド、1350cm−1付近のDバンド、約100〜300cm−1付近の半径方向伸縮モード(radial breathing mode、RBM)の3個のピークが存在する。RBM振動数はSWNTの直径に反比例しているので、SWNT直径の計算に用いることができる。通常、RBMピークの赤方偏移はSWNT平均径の増加に対応している。ラマン分光で観測可能な(Raman-allowed)フォノンモードE2gに関連する二次元モード(tangential mode)のGバンドでは2つのピークが重なっている場合もある。約1593および1568cm−1付近の2つのピークは半導性SWNTに割り当てられ、約1550cm−1付近の広いブライト−ウィグナー−フナオ(Breit-Wigner-Fnao)線は金属性SWNTに割り当てられている。従ってGバンドは、金属性SWNTと半導性SWNTとを区別する方法を提供する。Dバンド構造は不規則な炭素、非晶質炭素の存在、sp−炭素ネットワークに由来する他の欠陥に関連している。SWNTのラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドとの比(IG:IDまたはG/D比)は、製造したSWNTの純度と品質を調べる指標として用いることができる。好ましくはIG:IDは約1〜約500であり、より好ましくは約5〜約400である。
【0040】
本発明の方法および工程を用いて、IG:IDが約10〜約40のSWNTを製造することができる。SWNTの特性は触媒の粒径によって変化する。触媒粒子の粒径はSQUIDによって推定することができる。このようにして調製した触媒粒子を用いて、より純度と品質の高いSWNTを得ることができる。
【0041】
上記した方法及び工程により製造したカーボンナノチューブおよびナノ構造は、フィールド・エミッション素子、メモリ素子(高密度メモリアレイ、メモリロジックスイッチングアレイ)、ナノMEMS、AFMイメージングプローブ、分散(distributed)診断センサーおよびひずみセンサー等に用いることができる。他の重要な用途としては、熱制御材料、超強力および軽量補強材およびナノ複合材料、EMIシールド材料、触媒支持体、ガス貯蔵材料、高表面積電極、および軽量導線ケーブルおよびワイヤ等が挙げられる。
【0042】
実施例
以下に、本発明を実施する特定の態様の実施例を説明する。実施例は本発明を例証する目的のためだけに記載するものであり、いかなる意味においても本発明の範囲を限定するものではない。用いた数値(例えば量、温度等)の精度には注意を払ったが、多少の実験誤差や偏差はもちろん許容されるべきである。
【実施例1】
【0043】
担持触媒の調製
支持体材料を金属塩溶液に含浸して触媒を調製した。典型的な手順において、Fe(SO・5HOをFe:Al=1:2のモル比で用いた。窒素雰囲気下、Fe(SO・5HOを水に1mM:20mMのモル比で添加した。次いで亜硝酸アルミニウムを金属塩含有水溶液に添加した。窒素雰囲気下で、機械的攪拌棒を用いて反応混合物を混合し、溶媒を除去するために混合物上にNガスを流しながら、約110℃に加熱した。反応フラスコの壁に暗色フィルムが形成された。暗色フィルムを回収して瑪瑙乳鉢で粉砕し、黒色の微粉を得た。
【実施例2】
【0044】
カーボンナノチューブの合成
Harutyunyan他、NanoLetters 2、525(2002)に記載の実験装置を用いて、カーボンナノチューブを合成した。実施例1の触媒を用い、メタンを炭素源として(T=800℃、メタンガス流量=60sccm)、CVDにより大量のSWNTを成長させた。炭素SWNTは、約120重量%(鉄/アルミナ触媒に対する炭素の重量%)の収率で合成することができた。得られたSWNTの透過電子顕微鏡法(TEM)画像を分析したところ、束が製造されたことが分かった。上記の方法で製造した炭素SWNTの、λ=532nmおよびλ=785nmレーザ励起におけるラマンスペクトルを、それぞれ図1および図2に示す。本発明の触媒を用いて作製したカーボンナノチューブの品質は文献に記載の触媒により製造したSWNTと同程度であり、さらに収率は高かった。
【0045】
好ましい実施形態および様々な別の実施形態を参照して本発明を詳細に述べたが、本発明の精神および範囲内で様々に改変した形態および詳細が可能であることが当業者には理解されよう。本願において参照した全ての印刷された特許と公報は、ここに参照して全文を開示に含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】アルミナ担持鉄ナノ粒子を1:2の比で用いて成長させた炭素SWNTのラマンスペクトル(λ=532nm励起)を示す。
【図2】アルミナ担持鉄ナノ粒子を1:2の比で用いて成長させた炭素SWNTのラマンスペクトル(λ=785nm励起)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒、支持体および溶媒を混合して溶液を得る段階;および
前記溶液を加熱して担持金属ナノ粒子を形成する段階
を含む、担持金属ナノ粒子を製造する方法。
【請求項2】
前記触媒が金属イオンと対イオンとを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属イオンは、V族金属、VI族金属、VII族金属、VIII金属、ランタニド、遷移金属およびそれらの混合物からなる群より選ばれる金属のイオンであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属は、Fe、V、Nb、Cr、W、Mo、Mn、Re、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Ce、Eu、Er、Yb、Ag、Au、Zn、Cd、Sc、Y、Laおよびそれらの混合物からなる群より選ばれることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記金属は、Cr、Fe、Ni、Co、Y、Hf、Moまたはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記金属は、Co−Cr、Co−W、Co−Mo、Ni−Cr、Ni−W、Ni−Mo、Ru−Cr、Ru−W、Ru−Mo、Rh−Cr、Rh−W、Rh−Mo、Pd−Cr、Pd−W、Pd−Mo、Ir−Cr、Pt−Cr、Pt−WおよびPt−Moからなる群より選ばれることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記金属は、Fe−Mo、Co−MoおよびNi−Fe−Moからなる群より選ばれることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記対イオンは、硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、過塩素酸塩、硫酸塩、硫化物、酢酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、メトキシド、エトキシドおよびアセチルアセトネートからなる群より選ばれることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記支持体が金属イオンと対イオンとを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記金属イオンは、Al、SiおよびMgからなる群より選ばれる金属のイオンであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属イオンはAlであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記対イオンは、硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、過塩素酸塩、硫酸塩、硫化物、酢酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、メトキシド、エトキシドおよびアセチルアセトネートからなる群より選ばれることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
支持体の対イオンが触媒の対イオンと同じものであることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒と前記支持体が約1:1〜約1:5の比であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記比が約1:1〜約1:3であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリコールエーテルおよびそれらの組み合わせからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記溶媒は水であることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記溶媒はグリコールエーテルであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記グリコールエーテルは2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールであることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項20】
前記溶液の加熱が、前記溶液の還流を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
触媒、支持体および溶媒を混合し(ここで前記触媒と前記支持体は約1:1〜約1:5の比である)、前記溶液を加熱して担持金属ナノ粒子を形成する段階;および
炭素前駆体ガスを担持金属ナノ粒子に接触させて単層カーボンナノチューブを製造する段階
を含む、単層カーボンナノチューブを調製する化学蒸着方法。
【請求項22】
前記触媒が金属イオンと対イオンとを含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記金属イオンは、V族金属、VI族金属、VII族金属、VIII金属、ランタニド、遷移金属およびそれらの混合物からなる群より選ばれる金属のイオンであることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記金属は、Fe、V、Nb、Cr、W、Mo、Mn、Re、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Ce、Eu、Er、Yb、Ag、Au、Zn、Cd、Sc、Y、Laおよびそれらの混合物からなる群より選ばれることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記金属は、Cr、Fe、Ni、Co、Y、Hf、Moまたはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記金属は、Co−Cr、Co−W、Co−Mo、Ni−Cr、Ni−W、Ni−Mo、Ru−Cr、Ru−W、Ru−Mo、Rh−Cr、Rh−W、Rh−Mo、Pd−Cr、Pd−W、Pd−Mo、Ir−Cr、Pt−Cr、Pt−WおよびPt−Moからなる群より選ばれることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記金属は、Fe−Mo、Co−MoおよびNi−Fe−Moからなる群より選ばれることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記対イオンは、硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、過塩素酸塩、硫酸塩、硫化物、酢酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、メトキシド、エトキシドおよびアセチルアセトネートからなる群より選ばれることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記支持体が金属イオンと対イオンとを含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記金属イオンは、Al、SiおよびMgからなる群より選ばれる金属のイオンであることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記金属イオンはAlであることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記対イオンは、硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、過塩素酸塩、硫酸塩、硫化物、酢酸塩、ハロゲン化物、水酸化物、メトキシド、エトキシドおよびアセチルアセトネートからなる群より選ばれることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項33】
支持体の対イオンが触媒の対イオンと同じものであることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記比が約1:1〜約1:3であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項35】
前記溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリコールエーテルおよびそれらの組み合わせからなる群より選ばれることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項36】
前記溶媒は水であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記溶媒は水であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記溶液の加熱が、前記溶液の還流を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項39】
前記炭素前駆体ガスがメタンであることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項40】
前記炭素前駆体ガスが不活性ガスおよび水素を更に含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記不活性ガスがアルゴン、ヘリウム、窒素、水素またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項40に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−520429(P2008−520429A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543216(P2007−543216)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/041621
【国際公開番号】WO2006/055678
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(504325287)ザ オハイオ ステート ユニバーシティー リサーチ ファウンデーション (24)
【Fターム(参考)】