説明

単結晶引上方法

【課題】単結晶のネック部を所定径まで拡げるクラウン工程において、結晶中のドーパント濃度の面内均一性を向上し、結晶の有転位化を抑制する。
【解決手段】種結晶Pをルツボ3内のシリコン融液Mに接触させ、前記ルツボからチョクラルスキー法によりシリコン単結晶Cを引き上げる単結晶引上方法であって、前記種結晶から形成した単結晶のネック部P1を所定径まで拡げたクラウン部C1を形成する工程において、前記クラウン部の径をd(mm)、前記クラウン部の引上方向長さをL(mm)とすると、結晶回転速度sω(rpm)とルツボ回転速度cω(rpm)とは、式(1)及び式(2)により規定する回転速度に制御される。
[数1]
sω=α/(cω×d) ・・・(1)
α=4×10-×L−3×10-×L−6×10-×L−0.0069×L+0.3 ・・・(2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」という)によって単結晶を育成しながら引き上げる単結晶引上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン単結晶の育成に関し、CZ法が広く用いられている。この方法は、図5に示すように、ヒータ51の熱によりルツボ50内にシリコン溶融液Mを形成し、その表面に種結晶Pを接触させ、ルツボ50を回転させるとともに、この種結晶Pを回転させながら上方へ引上げることによって、種結晶Pの下端に単結晶Cを形成していくものである。
具体的な引上工程としては、種結晶Pの先端部を溶解し、ネック部P1を形成するネッキング工程、ネック部P1下端から結晶径を直胴部直径にまで拡径した円錐状のクラウン部C1を形成するクラウン工程、製品となる単結晶(直胴部C2)を育成する直胴工程、直胴工程後の単結晶直径を徐々に縮径したテール部(図示せず)を形成するテール工程が行われる。
【0003】
ところで、前記CZ法による単結晶育成工程においては、単結晶に所定の抵抗率を与えるために、ルツボ内のシリコン溶融液にドーパント不純物(添加剤)を添加するドーピング処理が行われる。
従来、このドーピング処理としては、ドーパント不純物としてホウ素、燐、砒素、アンチモン等の微量元素を石英ガラスルツボ内のシリコン融液に直接的に添加することによって行われている。
【0004】
しかしながら、所定の抵抗率を得るために多量のドーパント不純物を添加した際、単結晶育成の初期段階であるクラウン工程にあっては、溶融液中のドーパント濃度が高い上に、結晶直下の溶融液中のドーパント不純物が拡散し難いために、引上軸に直交する結晶面内のドーパント濃度が大きくばらつくという課題があった。
また、結晶面内のドーパント濃度のばらつきによって、結晶と溶融液との固液界面において組成的過冷却が生じ易く、結晶の有転位化を招来するものであった。
【0005】
尚、単結晶中の不純物濃度のうち、酸素濃度の面内均一性を向上する方法に関しては、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された単結晶引上方法においては、ルツボの回転方向と単結晶の回転方向とを同方向とし、それらの回転数の比率を所定値以上に制御することにより、単結晶に含まれる酸素の濃度の面内均一性を向上するようになされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−239097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の単結晶引上方法にあっては、直胴部C2における酸素濃度の面内均一性を向上させることを目的とするものであり、前記課題の解決のために、その方法を用いても、クラウン部C1のドーパント濃度の面内均一性を向上させることができなかった。
これは、クラウン工程においては、直胴工程のように結晶を垂直方向(引上方向)のみに育成するのではなく、結晶を水平方向(径方向)にも育成する必要があるため、単に特許文献1に開示の方法を適用しても、ドーパント濃度の面内均一性の向上を図ることができなかったものと推察される。
【0008】
本発明は、前記したような事情の下になされたものであり、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる単結晶引上方法であって、単結晶のネック部を所定径まで拡げるクラウン工程において、結晶中のドーパント濃度の面内均一性を向上し、結晶の有転位化を抑制することのできる単結晶引上方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するためになされた、本発明に係る単結晶引上方法は、種結晶をルツボ内のシリコン融液に接触させ、前記ルツボからチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる単結晶引上方法であって、前記種結晶から形成した単結晶のネック部を所定径まで拡げ、円錐状のクラウン部を形成する工程において、前記クラウン部の径をd(mm)、前記クラウン部の引上方向長さをL(mm)とすると、結晶回転速度sω(rpm)とルツボ回転速度cω(rpm)は、式(1)及び式(2)により規定される関係式を満たす回転速度に制御されることに特徴を有する。
[数1]
sω=α/(cω×d) ・・・(1)
α=4×10-×L−3×10-×L−6×10-×L−0.0069×L+0.3 ・・・(2)
【0010】
尚、前記クラウン部を形成する工程において、前記単結晶の回転方向と前記ルツボの回転方向とは、同方向であることが望ましい。
また、前記クラウン部を形成する工程において、前記結晶回転速度sωは、10〜40rpmの範囲内となるように制御されることが望ましく、前記ルツボ回転速度cωは、10〜15rpmの範囲内となるように制御されることが望ましい。
【0011】
このような方法によれば、結晶径を拡げるクラウン工程において、引上方向の結晶長さと結晶径とに応じた結晶回転速度、及びルツボ回転速度が制御される。これにより、結晶直下の溶融液を効率よく攪拌し、溶融液中のドーパント不純物を拡散することができる。その結果、結晶中のドーパント濃度の面内均一性を向上し、クラウン工程における結晶の有転位化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、チョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる単結晶引上方法であって、単結晶のネック部を所定径まで拡げるクラウン工程において、結晶中のドーパント濃度の面内均一性を向上し、結晶の有転位化を抑制することのできる単結晶引上方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係る単結晶引上方法が適用される単結晶引上装置の構成を示す断面図である。
【図2】図2は、図1の単結晶引上装置による単結晶引上工程の流れを示すフローである。
【図3】図3は、本発明に係る実施例、及び比較例に用いた、クラウン長(結晶長さ)に対するα値を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明に係る実施例、及び比較例の結果を示し、クラウン径(結晶径)に対する抵抗率面内分布の変化を示すグラフである。
【図5】図5は、従来の単結晶引上方法を説明するための単結晶引上装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る単結晶引上方法の実施の形態について図面に基づき説明する。図1は本発明に係る単結晶引上方法が実施される単結晶引上装置の全体構成を示すブロック図である。
この単結晶引上装置1は、円筒形状のメインチャンバ2aの上にプルチャンバ2bを重ねて形成された炉体2と、炉体2内に設けられたルツボ3と、ルツボ3に装填された半導体原料(原料ポリシリコン)Mを溶融する抵抗加熱ヒータ4(以下、単にヒータと呼ぶ)と、育成される単結晶Cを引上げる引上げ機構5とを有している。
【0015】
尚、ヒータ4において、ルツボ3を囲むように円筒状のスリット部4aが発熱部として設けられている。また、ルツボ3は二重構造であり、内側が石英ガラスルツボ3a、外側が黒鉛ルツボ3bで構成されている。
また、引上げ機構5は、モータ駆動される巻取り機構5aと、この巻取り機構5aに巻き上げられる引上げワイヤ5bを有し、このワイヤ5bの先端に種結晶Pが取り付けられている。
【0016】
また、メインチャンバ2a内において、ルツボ3の上方且つ近傍には、単結晶Cの周囲を包囲するように、上部と下部に開口が形成された輻射シールド6が設けられている。この輻射シールド6は、育成中の単結晶Cにヒータ4等からの余計な輻射熱を遮蔽すると共に、炉内のガス流を整流するためのものであり、メインチャンバ2a内において、ヒータ4の周りに設けられた断熱部材7の上端に支持されている。
尚、輻射シールド6下端と溶融液面との間の距離寸法(ギャップ)は、育成する単結晶の所望の特性に応じて所定の距離を維持するよう制御される。
【0017】
また、図1に示すように単結晶引上装置1は、シリコン溶融液Mの温度を制御するヒータ4の供給電力量を制御するヒータ制御部9と、ルツボ3を引上げ軸周りに回転させるモータ10と、モータ10の回転数を制御するモータ制御部10aとを備えている。また、ルツボ3の高さを制御する昇降装置11と、昇降装置11を制御する昇降装置制御部11aと、成長結晶の引上げ速度と回転数を制御するワイヤリール回転装置制御部12とを備えている。これら各制御部9、10a、11a、12はコンピュータ8の演算制御装置8bに接続されている。
【0018】
このように構成された単結晶引上装置1においては、最初に石英ガラスルツボ3aに原料ポリシリコンMを装填し、コンピュータ8の記憶装置8aに記憶されたプログラムに基づき図2のフローに沿って結晶育成工程が開始される。
先ず、炉体2内が所定の雰囲気となされ、ルツボ3内に装填された原料ポリシリコンMが、ヒータ4による加熱によって溶融され、シリコン溶融液Mとされる(図2のステップS1)。
さらに、演算制御装置8bの指令によりモータ制御部10aと昇降装置制御部11aとが作動し、ルツボ3が所定の高さ位置において所定の回転速度(rpm)で回転動作される。
【0019】
次いで、演算制御装置8bの指令により、ワイヤリール回転装置制御部12が作動し、ワイヤ5bが降ろされる。そして、ワイヤ5bに取付けられた種結晶Pがシリコン融液Mに接触され、種結晶Pの先端部を溶解するネッキングが行われてネック部P1が形成開始される(図2のステップS1)。
【0020】
ネック部P1が形成されると、演算制御装置8bの指令によりヒータ4への供給電力や、引上げ速度(通常、毎分数ミリの速度)などをパラメータとして引上げ条件が調整される。そして、ルツボ3の回転方向と同じ方向に所定の回転速度(rpm)で種結晶Pが回転開始され、結晶径を拡径するクラウン工程(図2のステップS3)が行われる。
【0021】
このクラウン工程にあっては、結晶回転速度をsω(rpm)、ルツボ回転速度をcω(rpm)、結晶径(クラウン径)をd(mm)とすると、式(1)を満足するように結晶及びルツボの回転速度の制御がなされる。また、式(1)中のα値は、垂直方向の結晶長さ(クラウン長)をL(mm)とすると、式(2)によって規定される。
尚、クラウン径dの最大値は、高速回転時においてネック部P1への負荷による破損防止を考慮して320mm程度が望ましい。
また、クラウン長Lの最大値は、クラウン部重量によるネック部P1への負荷、及び生産の効率性を考慮して、結晶径の1/2程度が望ましい。
また、クラウン径d及びクラウン長Lの測定方法は限定しないが、例えば、炉体2の外に設けたCCDカメラ(図示せず)等によって測定し、その測定結果をコンピュータ8の演算制御装置8bに入力するようにすればよい。
[数2]
sω=α/(cω×d) ・・・(1)
α=4×10-×L−3×10-×L−6×10-×L−0.0069×L+0.3 ・・・(2)
【0022】
ここで、上記式(1)には、クラウン径d、及び垂直方向の結晶長さ(クラウン長)Lが変数として含まれるため、この式(1)を満足するよう結晶回転速度sω(望ましくは10〜40rpmの範囲内)、及びルツボ回転速度cω(望ましくは10〜15rpmの範囲内)を制御することにより、そのときのクラウン部C1の形状に応じた回転速度の制御がなされる。
この制御により、結晶直下の溶融液が効率よく攪拌され、溶融液中のドーパント不純物が拡散される。その結果、結晶中のドーパント濃度の面内均一性が向上される。
【0023】
尚、ルツボ回転速度が高いほど酸素濃度が上昇するため、クラウン工程において、少なくとも直胴工程に移行する直前の段階にあっては、ルツボ3の回転速度cωを15rpm以下に制御することが望ましい。そのように制御することにより、直胴部における酸素濃度の過度の上昇を防止することができる。
【0024】
また、前記式(1)に代入するα値は、前記式(2)により規定されるが、α値の誤差は、α±0.002の範囲内であることが望ましい。これは、式(1)に代入するα値が、式(2)で規定される値よりも0.002以上となると(クラウン形状が鋭角化する)、組成的過冷却による有転位化は生じないが、結晶径を所定の径まで成長させるのに時間を要し非効率的であるためである。また、結晶回転による攪拌効果も小さいためである。
一方、式(1)に代入するαの値が、式(2)で規定される値よりも0.002以下になると(クラウン形状がフラット化する)、結晶の水平方向の成長速度が速すぎて、組成的過冷却による有転位化を誘発しやすくなるためである。また、ルツボ回転速度と結晶回転速度との差が大きくなり、溶融液が波立って、有転位化しやすくなるためである。
【0025】
クラウン工程が終了すると、製品部分となる直胴部C2を形成する直胴工程(図2のステップS4)が行われる。
この直胴工程においても、引き続き、式(1)を満足するようにルツボ3と単結晶Cの回転速度の制御がなされ、それにより結晶直下の溶融液が効率よく攪拌され、単結晶Cのドーパント濃度の面内均一性が向上される。
そして、直胴工程が終了すると、単結晶直径が徐々に縮径されるテール工程に移行し、このテール工程においてテール部(図示せず)が形成され、単結晶Cの育成が完了する(図2のステップS5)。
【0026】
以上のように、本発明に係る実施の形態によれば、結晶径を拡げるクラウン工程において、引上方向の結晶長さ(クラウン長)Lと結晶径(クラウン径)dとに応じた結晶回転速度、及びルツボ回転速度が制御される。これにより、結晶直下の溶融液を効率よく攪拌し、溶融液中のドーパント不純物を拡散することができる。その結果、結晶中のドーパント濃度の面内均一性を向上することができ、クラウン工程における結晶の有転位化を抑制することができる。
【0027】
尚、前記実施の形態においては、結晶回転方向とルツボ回転方向とを同方向としたが、その形態に限定されず、結晶回転方向とルツボ回転方向とを逆方向としてもよい。その場合、結晶回転方向とルツボ回転方向とを同方向とする場合よりも結晶直下の溶融液が攪拌され難くなるが、本発明による効果は十分に得ることができる。
【実施例】
【0028】
本発明に係る単結晶引上方法について、実施例に基づきさらに説明する。本実施例では、前記実施の形態に沿って単結晶引き上げを行い(実施例1、2)、クラウン工程における無転位成長率、及びクラウン部における抵抗率の面内分布((最大値−最小値)/最小値)について検証した。また、実施例1の条件を一部変更した比較例1,2の結果についても検証した。
【0029】
(実施例1)
実施例1では、結晶径200mmの砒素添加結晶の育成を行った。
具体的な実験条件として、砒素のドーピング量を550〜600gとし、クラウン工程において、炉内圧力を100Torr以上、引上速度を0.9〜1.3(mm/min)で制御した。
また、本発明に係る実施形態で示した前記式(1)を満足するように結晶回転速度及びルツボ回転速度の制御を行ったが、更に結晶回転速度は10〜40rpm、ルツボ回転速度は10〜15rpmの間で制御を行った。結晶の回転方向とルツボの回転方向とは同方向とした。
また、式(1)に代入するα値は、図3のグラフに示すクラウン長(横軸)に対するα値(縦軸)の値とした。この実施例1におけるα値は、式(2)により規定されるα値に対して±0.002の範囲内である。
そして、クラウン部形成完了まで引き上げられた複数の単結晶のうち、10本の単結晶を標本として選び、無転位化率、及び抵抗率面内分布を測定した。
【0030】
(実施例2)
実施例2では、結晶の回転方向とルツボの回転方向とを逆方向とした。その他の条件は実施例1と同一にした。
尚、式(1)に代入するα値は、図3のグラフに示すクラウン長(横軸)に対するα値(縦軸)の値とした。この実施例2におけるα値は、式(2)により規定されるα値に対して±0.002の範囲内である。
【0031】
(比較例1)
比較例1では、式(1)に代入するα値は、図3のグラフに示すクラウン長(横軸)に対するα値(縦軸)の値とした。この比較例1におけるα値は、式(2)により規定されるα値に対して0.002以上小さい値である(クラウン部形状はフラット状に近づく)。その他の条件は実施例1と同一にした。
【0032】
(比較例2)
比較例3では、式(1)に代入するα値は、図3のグラフに示すクラウン長(横軸)に対するα値(縦軸)の値とした。この比較例2におけるα値は、式(2)により規定されるα値に対して0.002以上大きい値である(クラウン部形状は鋭角状に近づく)。その他の条件は実施例1と同一にした。
【0033】
表1に、実施例の結果として、クラウン工程における無転位成長率をそれぞれ示す。
表1に示すように、実施例1では90%の無転位成長率でクラウン部を形成することができた。また、結晶の回転方向とルツボの回転方向とを逆方向とした実施例2においても、80%の高い無転位成長率でクラウン部を形成することができた。
一方、比較例1(α値が小さい場合)では、無転位成長率は70%と、大きく低下しなかったが、クラウン部の育成時間が実施例1,2の場合よりも約2倍を要し、投入ドーパント量が約1.7倍となった。また、比較例2(α値が大きい場合)では、無転位でクラウン部を成長させることができなかった。
【0034】
【表1】

【0035】
また、図4に、クラウン部における抵抗率の面内分布((最大値−最小値)/最小値)を示す。図4のグラフにおいて、縦軸は抵抗率面内分布(%)、横軸はクラウン径(mm)を示す。
図4に示すように、実施例1では、抵抗率面内分布が5%以下となり、引上方向に直交する面において濃度のムラが小さくなった。
実施例2では、実施例1と同様に抵抗率面内分布が5%以下となったが、実施例1よりは分布率が高くなった。
【0036】
一方、比較例1、2では、抵抗率面内分布が高くなり、引上方向に直交する面において濃度のムラが大きくなった。尚、比較例2にあっては、クラウン部を全て形成することができなかったため、クラウン径100mmまでの結果となった。
このように比較例1,2において、引上方向に直交する面内において濃度のムラが大きいということは、低抵抗率結晶の育成において予期しない抵抗率の低下(ドーパント濃度の上昇)が発生しやすく、組成的過冷却の発生によって有転位化しやすいことを示している。
【0037】
以上の実施例の結果より、本発明に係る単結晶引き上げ方法によれば、育成する単結晶の直径を直胴部直径にまで広げるクラウン工程において、結晶の有転位化を抑制できることを確認した。
【符号の説明】
【0038】
1 単結晶引上装置
2 炉体
3 ルツボ
4 ヒータ
C 単結晶
C1 クラウン部
C2 直胴部
M シリコン溶融液
P 種結晶
P1 ネック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種結晶をルツボ内のシリコン融液に接触させ、前記ルツボからチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる単結晶引上方法であって、
前記種結晶から形成した単結晶のネック部を所定径まで拡げ、円錐状のクラウン部を形成する工程において、
前記クラウン部の径をd(mm)、前記クラウン部の引上方向長さをL(mm)とすると、結晶回転速度sω(rpm)とルツボ回転速度cω(rpm)は、式(1)及び式(2)により規定される関係式を満たす回転速度に制御されることを特徴とする単結晶引上方法。
[数1]
sω=α/(cω×d) ・・・(1)
α=4×10-×L−3×10-×L−6×10-×L−0.0069×L+0.3 ・・・(2)
【請求項2】
前記クラウン部を形成する工程において、
前記単結晶の回転方向と前記ルツボの回転方向とは、同方向であることを特徴とする請求項1に記載された単結晶引上方法。
【請求項3】
前記クラウン部を形成する工程において、
前記結晶回転速度sωは、10〜40rpmの範囲内となるように制御されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載された単結晶引上方法。
【請求項4】
前記クラウン部を形成する工程において、
前記ルツボ回転速度cωは、10〜15rpmの範囲内となるように制御されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された単結晶引上方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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