説明

単結晶引上方法

【課題】引き上げる単結晶の大きさに拘わらず、1.3×1018atoms/cm以上の高酸素濃度を有する単結晶を有転位化させることなく育成することができる単結晶引上方法を提供する。
【解決手段】単結晶Cを引き上げる際、炉内圧力を40〜80torr、ルツボ回転数を3〜8rpmの間で制御すると共に、上下一対の電磁コイル13,14により印加される上部磁場と下部磁場の磁場強度比(上部磁場/下部磁場)を0.7〜0.95の間で制御し、かつ、シリコン溶融液Mの液面M1を0(mm)位置とし、前記液面M1に対して垂直である鉛直方向における前記液面M1から上方向を正の方向、前記液面M1から下方向を負の方向としたとき、前記単結晶Cの中心軸上の前記鉛直方向における磁場強度が0(ガウス)となる0磁場水平位置を−10〜+100mmの間に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」という)によりシリコン単結晶を引き上げる単結晶引上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン単結晶の育成に関し、CZ法が広く用いられている。この方法は、図4に示すように、炉体55内においてヒータ52の加熱によりルツボ50内にシリコン溶融液Mを形成し、その液面M1に種結晶Pを接触させ、ルツボ50を回転させるとともに、この種結晶Pを前記ルツボ50と反対方向に回転させながら上方へ引上げることによって、種結晶Pの下端に単結晶Cを形成していくものである。
尚、図4に示すように、ルツボ50の上方には、単結晶Cの引上領域を囲むように輻射シールド51が設けられる。輻射シールド51は、育成する単結晶Cの外周面への輻射熱を効果的に遮断するものであって、これにより引き上げ中の単結晶Cの凝固を促進し、単結晶Cを速やかに冷却することができる。
【0003】
ところで近年では、デバイスの歩留まり向上のためにウエハの大口径化が進んでいる。そのため、シリコン単結晶Cが大型化し、そのような単結晶を引き上げる際には、大口径のルツボ50内に大量のシリコン溶融液Mを形成する必要がある。
しかしながら、ルツボ50内の溶融液量が増加すると、溶融液内の対流が複雑化し、酸素濃度等の所望の結晶特性や無転位結晶を得ることが難しくなる。
【0004】
前記課題を解決するために、溶融液Mにカスプ磁場を印加して溶融液Mの対流を制御するカスプ磁場印加方式が採用されている。
例えば、特許文献1には、カスプ磁場強度を300〜600G(ガウス)とし、雰囲気圧力を50torr以上に制御することにより、結晶成長方向の酸素濃度分布および結晶面内の酸素濃度分布を均一に制御すると共に、有転位化を防止できる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−239096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された方法は、溶融液中の酸素、及びルツボ内から溶け出した酸素がシリコン単結晶(固液界面)に到達するのが難しく、酸素濃度が1.3×1018atoms/cmを越えるような高濃度酸素を有するシリコン単結晶の育成が困難という課題があった。
なお、このような高酸素濃度のシリコン単結晶を得るためには、炉内圧力を高い値で設定することで、シリコン溶融液からの酸素の蒸発を抑制して、シリコン溶融液中の酸素濃度を高めることができる。しかしながらこの場合は、溶融液表面から蒸発するシリコンと酸素の化合物(オキサイド)が炉外に排出されにくくなり、このオキサイドが炉内で固化して溶融液に落下し、これが結晶に取り込まれて有転位化する虞があった。
【0007】
本発明は、前記したような事情の下になされたものであり、チョクラルスキー法によってルツボからシリコン単結晶を引上げる単結晶引上方法であって、ウエハの大口径化に伴ってルツボ内の溶融液量が増加した場合でも、1.3×1018atoms/cm以上の高酸素濃度を有する単結晶を有転位化させることなく育成することができる単結晶引上方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するためになされた本発明に係る単結晶引上方法は、ヒータの加熱によりルツボ内にシリコン溶融液を形成し、前記ルツボの周囲に配置された上下一対の電磁コイルにより、前記シリコン溶融液に対してカスプ磁場を印加すると共に、チョクラルスキー法により前記ルツボから1.3×1018atoms/cm(old−ASTM)以上の酸素濃度を有するシリコン単結晶を引き上げる単結晶引上方法であって、前記シリコン単結晶を引き上げる際の炉内圧力を40〜80torr、ルツボ回転数を3〜8rpmの間で制御すると共に、前記上下一対の電磁コイルにより印加される上部磁場と下部磁場の磁場強度比(上部磁場/下部磁場)を0.7〜0.95の間で制御し、かつ、前記シリコン溶融液の液面を0(mm)位置とし、前記液面に対して垂直である鉛直方向における前記液面から上方向を正の方向、前記液面から下方向を負の方向としたとき、前記シリコン単結晶の中心軸上の前記鉛直方向における磁場強度が0(ガウス)となる0磁場水平位置を−10〜+100mmの間に制御することを特徴とする。
【0009】
このように前記単結晶を引き上げる際の炉内圧力を40〜80torrの間で制御することにより、溶融液中に溶け出した酸素の蒸発を抑制して、溶融液中の酸素を結晶中に取り込みやすくなり、かつ、溶融液表面から蒸発するオキサイドを炉外に排出させやすい状態を形成することができる。
また、ルツボ回転数を3〜8rpmの間で制御することにより、溶融液とルツボとの摩擦によって、ルツボが含む酸素を溶融液に多く溶け込ませることができる。
また、上下一対の電磁コイルにより印加される磁場強度比(上部磁場/下部磁場)を0.7〜0.95の間で制御することにより、ルツボの底部から結晶直下(固液界面)に湧き上がって自由液面側に向かう溶融液対流が優位に形成され、ルツボ底部から溶融液に溶け込む酸素が、この対流に乗って結晶に取り込まれやすくなり、高酸素濃度結晶を得ることができる。
また、0磁場水平位置を−10〜+100mmの間で制御することにより、ルツボの回転方向に流れる電流(電子)と鉛直方向の磁束密度とによってローレンツ力が形成され、結晶直下(固液界面)から溶融液の自由液面を通ってルツボ壁側に向かう溶融液対流を形成することができる。
これにより、前記磁場強度比の効果と重畳して結晶直下からルツボ壁に向かう強い対流が形成され、液面に浮遊する異物(例えば、オキサイドが炉内で固化して溶融液に落下した異物)を結晶(固液界面)から遠ざけ、結晶の有転位化を防止することができる。
したがって、本発明によれば、ルツボ内のシリコン溶融液量に拘わらず(ルツボ内の溶融液量が増加した場合でも)、1.3×1018atoms/cm以上の高酸素濃度を有する単結晶を有転位化させることなく育成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、チョクラルスキー法によってルツボからシリコン単結晶を引上げる単結晶引上方法において、ウエハの大口径化に伴ってルツボ内の溶融液量が増加した場合でも、1.3×1018atoms/cm以上の高酸素濃度を有する単結晶を有転位化させることなく育成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明に係る単結晶引上方法が実施される単結晶引上装置の構成を示す断面図である。
【図2】図2は、図1の単結晶引上装置の一部拡大断面図である。
【図3】図3は、本発明に係る単結晶引上方法の流れを示すフローである。
【図4】図4は、従来の単結晶引上方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る単結晶引上方法の実施の形態について図面に基づき説明する。図1は本発明に係る単結晶引上方法が実施される単結晶引上装置の構成を示す断面図である。図2は、図1の単結晶引上装置の一部拡大断面図である。
この単結晶引上装置1は、円筒形状のメインチャンバ2aの上にプルチャンバ2bを重ねて形成された炉体2と、炉体2内に設けられたルツボ3と、ルツボ3に装填された半導体原料(原料ポリシリコン)を溶融してシリコン溶融液Mとする抵抗加熱ヒータ4(以下、単にヒータと呼ぶ)と、育成される単結晶Cを引上げる引上げ機構5とを有している。
【0013】
前記ヒータ4には、ルツボ3を囲むように円筒状のスリット部4aが発熱部として設けられている。
また、ルツボ3は二重構造であり、内側が石英ガラスルツボ3a、外側が黒鉛ルツボ3bで構成されている。
また、引上げ機構5は、モータ駆動される巻取り機構5aと、この巻取り機構5aに巻き上げられる引上げワイヤ5bを有し、このワイヤ5bの先端に種結晶Pが取り付けられている。
【0014】
また、メインチャンバ2a内において、ルツボ3の上方且つ近傍には、単結晶Cの周囲を包囲する輻射シールド6が配置されている。この輻射シールド6は、上部と下部が開口形成され、育成中の単結晶Cにヒータ4等からの余計な輻射熱を遮蔽すると共に、炉内のガス流を整流するものである。
尚、輻射シールド6は、炉体2内において位置固定され、輻射シールド6下端と溶融液の液面M1との間の距離寸法(ギャップ)は、単結晶Cの育成に伴いルツボ3を上昇させることにより、所定の距離を維持するように制御される。
【0015】
また、図1に示すようにメインチャンバ2aの外側には、その周囲を囲むように上下一対のカスプ磁場印加用電磁コイル13、14が設置され、これによりルツボ3のシリコン溶融液M内にカスプ磁場を印加して単結晶を育成するMCZ法(Magnetic field applied CZ法)が実施される。本実施の形態においては、このMCZ法を用い、シリコン溶融液Mに対し所定の磁場(図2の磁力線B)を形成することにより、シリコン溶融液Mの対流を制御する。
【0016】
また、図1に示すように単結晶引上装置1は、シリコン溶融液Mの温度を制御するヒータ4の供給電力量を制御するヒータ制御部9と、ルツボ3を引上げ軸周りに回転させるモータ10と、モータ10の回転数を制御するモータ制御部10aとを備えている。また、ルツボ3の高さを制御する昇降装置11と、昇降装置11を制御する昇降装置制御部11aと、単結晶Cの引上げ速度と結晶回転数を制御するワイヤリール回転装置制御部12とを備えている。さらには、カスプ磁場印加用電磁コイル13,14の動作制御を行う電磁コイル制御部15を備えている。これら各制御部9、10a、11a、12、15はコンピュータ8の演算制御装置8bに接続されている。
【0017】
このように構成された単結晶引上装置1においては、最初に石英ガラスルツボ3aに原料ポリシリコンを装填し、コンピュータ8の記憶装置8aに記憶されたプログラムに基づき、図3のフローに沿って単結晶引上工程が開始される。
先ず、炉体2内が所定の雰囲気(好ましくはアルゴンガス雰囲気)となされ、ルツボ3内に装填された原料ポリシリコンが、ヒータ4による加熱によって溶融され、シリコン溶融液Mとされる(図3のステップS1)。
さらに、演算制御装置8bの指令によりモータ制御部10aと昇降装置制御部11aとが作動し、ルツボ3が所定の高さ位置において所定の回転速度(rpm)で回転動作される。
【0018】
次いで、演算制御装置8bの指令により電磁コイル制御部15が作動し、カスプ磁場印加用電磁コイル13,14にそれぞれ所定の電流が流される。これによりシリコン溶融液M内に所定強度のカスプ磁場(図2の磁力線B)が印加される(図3のステップS2)。
また、演算制御装置8bの指令により、引上機構制御部12が作動し、巻取り機構5aが作動してワイヤ5bが下降する。そして、ワイヤ5bに取付けられた種結晶Pがシリコン溶融液Mに接触され、種結晶Pの先端部を溶解するネッキングが行われてネック部P1が形成される(図3のステップS3)。
【0019】
ネック部P1が形成されると、演算制御装置8bの指令によりヒータ4への供給電力や、引上げ速度(通常、毎分数ミリの速度)、印加する磁場強度などをパラメータとして引上げ条件が調整され、また、ルツボ3の回転方向とは逆方向に所定の回転速度(例えば12rpm)で種結晶Pが回転される(図3のステップS4)。
そして、ネック部P1を所望の直径まで拡径する拡径部を形成し(図3のステップS5)、その後、所望の直径を維持する直胴部を形成し(図3のステップS6)、最後に、所望の直径から縮径する縮径部を形成する(図3のステップS7)。
【0020】
前記シリコン単結晶を引き上げる際の炉内圧力は40〜80torrの間で制御される。
これにより、溶融液中に溶け出した酸素の蒸発を抑制して、溶融液中の酸素を結晶中に取り込みやすくなり、かつ、溶融液表面から蒸発するオキサイドを炉外に排出させやすい状態を形成することができる。
また、モータ制御部10aの制御によりルツボ3の回転数が3〜8rpmの間で制御される。これにより、溶融液とルツボとの摩擦によって、ルツボが含む酸素を溶融液に多く溶け込ませることができる。
即ち、前記ルツボ回転数が3rpmを下回ると、溶融液Mとルツボ3との摩擦が弱まり、溶融液Mに溶け込む酸素量が減るため、高酸素濃度(1.3×1018atoms/cm以上)の結晶を得るのが困難となるためである。一方、ルツボ回転数が8rpmを超えると、溶融液Mの対流が乱れ、無転位結晶を得るのが困難になるためである。
【0021】
また、上下のカスプ磁場印加用電磁コイル13,14により印加される磁場強度比(上部磁場/下部磁場)が、0.7〜0.95の間となるよう、電磁コイル制御部15によって各コイル13,14に流す電流が制御される。
このように前記磁場強度比を制御することにより、ルツボ3の底部から結晶直下(固液界面)に湧き上がって自由液面側に向かう溶融液対流F(図2参照)が優位に形成される。
その結果、ルツボ底部から溶融液Mに溶け込む酸素が、この対流Fに乗って単結晶Cに取り込まれやすくなり、所望の高酸素濃度の結晶を得やすくなる。
【0022】
また、シリコン溶融液Mの液面M1に対して垂直である鉛直方向において、前記シリコン単結晶の中心軸上の前記鉛直方向における磁場強度が0(ガウス)となる水平位置H(液面M1と平行な面の位置:0磁場水平位置と呼ぶ)が制御される。
具体的には、前記液面M1を0(mm)位置とし、液面M1から上方向を正の方向、液面M1から下方向を負の方向としたとき、前記0磁場水平位置が−10〜+100mmの間となるように、上下一対の電子コイルの設置位置や昇降装置11によりルツボ3の高さを調整して制御する。
このように0磁場水平位置Hを制御することにより、ルツボの回転方向に流れる電流(電子)と鉛直方向の磁束密度とによってローレンツ力が形成され、結晶直下(固液界面)から溶融液の自由液面を通ってルツボ壁側に向かう溶融液対流E(図2参照)を形成することができる。
これにより、前記磁場強度比の効果と重畳して結晶直下からルツボ壁に向かう強い対流Eが形成され、液面M1に浮遊する異物(例えば、オキサイドが炉内で固化して溶融液に落下した異物)を結晶(固液界面)から遠ざけ、結晶の有転位化を防止することができる。
【0023】
ここで、0磁場水平位置Hが、−10mmよりも低い位置にあると、結晶直下(固液界面)から溶融液の自由液面を通ってルツボ壁側に向かう溶融液対流Eが形成されにくくなり、単結晶Cが有転位化する頻度が高くなる。一方、0磁場水平位置Hが+100mmよりも高い位置にあると、結晶直下(固液界面)からルツボ壁側に向かう溶融液対流Eが強くなり過ぎてしまい、溶融液M中の酸素が結晶に到達しにくくなり、所望の高酸素濃度の結晶を得るのが困難になるためである。
【0024】
以上のように、本実施の形態によれば、上述したように、炉内圧力、ルツボ回転数、磁場強度比及び0磁場水平位置を所定の範囲に制御することにより、ウエハの大口径化に伴ってルツボ内の溶融液量が増加した場合でも、1.3×1018atoms/cm以上の高酸素濃度を有する単結晶を有転位化させることなく育成することができる。
【0025】
なお、前述した結晶回転数は、主に、シリコン単結晶を引き上げる際の径制御に用いられるため、特に限定されるものではないが、溶融液対流Eとの関係上、15rpm以下に制御することが好ましい。
ここで、前記結晶回転数が15rpmを超える場合には、結晶直下(固液界面)からルツボ壁側に向かう溶融液対流Eが更に強くなり、溶融液M中の酸素が結晶に到達しにくくなり、所望の高酸素濃度の結晶を得るのが困難となる場合があるためである。
また、前記結晶回転数は、引き上げるシリコン単結晶の形状を安定化させる関係上、3rpm以上であることがより好ましい。
【実施例】
【0026】
本発明に係る単結晶引上方法について、実施例に基づきさらに説明する。
図1乃至図3に示す前記実施の形態に基づき、表1に示す各条件(実施例1〜12,比較例1〜7)で3本ずつ単結晶の引き上げを行った。表1において、磁場強度比とは、上下一対のカスプ磁場印加用電磁コイルにより印加される上部磁場と下部磁場の磁場強度比(上部磁場/下部磁場)である。また、0磁場水平位置(mm)とは、シリコン溶融液Mの液面M1を0(mm)位置とし、前記液面M1に対して垂直である鉛直方向における前記液面M1から上方向を正の方向、前記液面M1から下方向を負の方向としたとき、前記シリコン単結晶の中心軸上の前記鉛直方向における磁場強度が0(ガウス)となる高さ(例えば、図2中の符号H)である。
また、全ての条件において、目標酸素濃度を1.3×1018atoms/cm以上、原料シリコン量を300kg、引き上げるシリコン単結晶の直径を12インチ、結晶回転数を12rpm、炉内の不活性ガス(Arガス)流量を100L/minとした。
【0027】
【表1】

【0028】
表2に、表1の条件に対応する実験結果として、無転位状態で引き上げられた結晶本数(無転位化本数)、及び無転位で引き上げられた結晶のうち、直胴部の結晶長0mm、500mm、1000mmの3点の位置での酸素濃度が1.3×1018atoms/cm以上であった本数(酸素濃度特性満足本数)を示す。
【0029】
【表2】

【0030】
表2に示すように、無転位化本数と酸素濃度特性満足本数とが共に2本以上となる好ましい条件は、実施例1〜12である。
具体的には、磁場強度比が0.7〜0.95の間、0磁場水平位置が−10〜+100mmの間、炉内圧が40〜80torrの間、ルツボ回転数が3〜8rpmの間の条件において良好な結果が得られた。
【0031】
以上の実施例の結果より、本発明に係る単結晶引上方法によれば、引き上げる単結晶が大型のものであっても、酸素濃度が1.3×1018atoms/cm以上の高酸素濃度を有する単結晶を有転位化させることなく育成することができることを確認した。
【符号の説明】
【0032】
1 単結晶引上装置
2 炉体
3 ルツボ
4 ヒータ
4a 発熱部
5 引上機構
6 輻射シールド
C 単結晶
M シリコン溶融液
P 種結晶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータの加熱によりルツボ内にシリコン溶融液を形成し、前記ルツボの周囲に配置された上下一対の電磁コイルにより、前記シリコン溶融液に対してカスプ磁場を印加すると共に、チョクラルスキー法により前記ルツボから1.3×1018atoms/cm(old−ASTM)以上の酸素濃度を有するシリコン単結晶を引き上げる単結晶引上方法であって、
前記シリコン単結晶を引き上げる際の炉内圧力を40〜80torr、ルツボ回転数を3〜8rpmの間で制御すると共に、
前記上下一対の電磁コイルにより印加される上部磁場と下部磁場の磁場強度比(上部磁場/下部磁場)を0.7〜0.95の間で制御し、
かつ、前記シリコン溶融液の液面を0(mm)位置とし、前記液面に対して垂直である鉛直方向における前記液面から上方向を正の方向、前記液面から下方向を負の方向としたとき、前記シリコン単結晶の中心軸の前記鉛直方向における磁場強度が0(ガウス)となる0磁場水平位置を−10〜+100mmの間に制御することを特徴とする単結晶引上方法。
【請求項2】
前記シリコン単結晶を引き上げる際の結晶回転数は、15rpm以下に制御することを特徴とする請求項1に記載の単結晶引上方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−23415(P2013−23415A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160431(P2011−160431)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(507182807)コバレントマテリアル株式会社 (506)
【Fターム(参考)】