説明

単線式通信プロトコルにおけるマスターデバイスにより受信されるデータの検出

【課題】本発明は、単線式の接続部を介した2つのデバイス間のデータ送信に関する方法及びシステムを提供し、単線式プロトコルにおける通信速度の増加を可能にする。
【解決手段】第2デバイスから単線式の接続部を介して第1デバイスに送信されるデータのバイナリ状態を、前記接続部を介して前記第2デバイスに2状態の信号を送信することが可能な第1デバイスによって決定する方法であって、前記バイナリ状態は、前記2状態の信号の立ち上がりエッジの傾斜に応じて決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には電子回路に関し、具体的には単線式の接続部を介した2つのデバイス間のデータ送信に関する。本発明は、具体的には単線式プロトコル(SWP)として公知であるプロトコルを実施するシステムに適用する。
【背景技術】
【0002】
単線式通信プロトコルは、単線式の接続部を共有するマスターデバイス及びスレーブデバイス間で、同時双方向方式(全二重)で互いにデータを送信するために規定されている。ほとんどの場合、マスターデバイスによってスレーブデバイスに送信される信号は、交換を同期化することが可能なクロック信号である。マスターデバイスからスレーブデバイスへの方向では、周期的信号のデューティサイクルが、送信されるべきデータのバイナリ状態に応じて変調される。スレーブデバイスからマスターデバイスへの方向では、スレーブデバイスは、スレーブデバイスが送信するデータのバイナリ状態に応じて、スレーブデバイスが接続部に加える電荷を調節する。スレーブデバイスによる検出が、デューティサイクルの測定によって行なわれる。マスターデバイスによる検出が、接続部からスレーブデバイスにより引き出される電流のレベルを閾値と比較することによって行なわれる。スレーブデバイスによる電荷の調節は、一般的には、マスターデバイスにより検出されるべき電荷が常に信号の高い状態に存在するように、周期的信号に同期させて低い状態の間に電荷を置くことによって行なわれる。
【0003】
米国特許第5903607号明細書は、マスター回路及びスレーブ回路間のデータの符号化及び送信の一例について説明している。
【0004】
単線式プロトコルにおける通信速度は、特にマスターデバイス側での検出に必要な遅延に関連している。比較を行なうために、信号の立ち上がりエッジの後レベルが整定されるまで待機する必要がある。
【0005】
更に、レベルによる検出は、回線のノイズに対して高感度であり、レベルを区別するために比較的高いセキュリティ限度を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5903607号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常のシステムの欠点の全て又は一部を克服する単線式通信プロトコルを有することが望ましい。
【0008】
通信速度を増加することが特に望ましい。
【0009】
マスターデバイス側に、回線のノイズに対して高感度ではない検出機構を有することが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これら及び他の目的の全て又は一部を達成するために、本発明の少なくとも1つの実施形態は、第2デバイスから単線式の接続部を介して第1デバイスに送信されるデータのバイナリ状態を、前記接続部を介して前記第2デバイスに2状態の信号を送信することが可能な第1デバイスによって決定する方法であって、前記バイナリ状態は、前記2状態の信号の立ち上がりエッジの傾斜に応じて決定されることを特徴とする方法を提供する。
【0011】
一実施形態によれば、前記傾斜は、立ち上がりエッジの発生の際の容量性素子の電荷レベルに基づいて決定される。
【0012】
一実施形態によれば、前記電荷レベルは、受信された状態を決定すべく閾値と比較される。
【0013】
一実施形態によれば、前記立ち上がりエッジは、第1バイナリ状態の間又は第2バイナリ状態の間に終わる。
【0014】
一実施形態によれば、前記第2デバイスは、前記バイナリ状態に応じて前記接続部に加える電荷を調節する。
【0015】
一実施形態によれば、前記2状態の信号は、前記第2デバイスによってクロック信号として用いられる。
【0016】
一実施形態によれば、前記2状態の信号は、前記第1デバイスから前記第2デバイスに送信されるべきデータに応じて調節されるデューティサイクルを有する。
【0017】
本発明の少なくとも1つの実施形態は、別のデバイスが送信するデータのバイナリ状態に応じて単線式の接続部に加える電荷を調節することが可能な前記別のデバイスに、前記接続部を介して2状態の信号を送信することが可能な送受信デバイスであって、前記2状態の信号の立ち上がりエッジの傾斜を表わす情報を測定するための要素と、前記バイナリ状態を決定すべく、前記情報を閾値と比較するための要素とを備えることを特徴とするデバイスを提供する。
【0018】
一実施形態によれば、前記デバイスは、前記2状態の信号を送信するために増幅器の電力を切り換える要素を更に備え、該要素は、前記別のデバイスの電荷に対応する状態の検出後に作動される。
【0019】
本発明は、更に、マスターデバイスとスレーブデバイスとの間の単線式の接続部を介する同時双方向送信システムを提供する。
【0020】
本発明の前述の目的、特徴及び利点を、添付図面を参照して本発明を限定するものではない特定の実施形態について以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】要素が備えるデバイス間で単線式通信プロトコルを内部で実施する該要素の内の少なくとも1つを有する無線周波通信システムを示すブロック図である。
【図2】マスター回路及びスレーブ回路間の単線式通信システムを示すブロック図である。
【図3】マスターデバイスによって送信されるべき信号の形状の一例を示す図である。
【図4】近距離通信ルータタイプの適用における電圧レベル及び電流レベルの一例を示す図である。
【図5】マスターデバイスの一実施形態を示す機能的部分ブロック図である。
【図6】図5の検出回路の一実施形態を示す概略図である。
【図7】図6の回路の動作を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
同一の要素は、異なる図面において同一の参照番号で示されており、タイミング図は正しい縮尺で図示されていない。明瞭さのために、本発明の理解に有用なステップ及び要素のみが、図示され、説明されている。特に、送信されるべきデータ及び受信データの生成及び利用の機構については詳述されておらず、本発明は、通常の機構に適合する。更に、説明された実施形態を実施可能な様々なハードウェアシステム及びデバイスのいずれについても詳述されておらず、本発明の実施は、単線式プロトコル(SWP)を実施可能なあらゆるシステム又はデバイスに適合する。
【0023】
図1は、第1要素1及び別の要素2間の無線周波通信システムを示すブロック図であり、各要素は、アンテナ11又はアンテナ21を用いて通信すべくトランシーバ回路を備えている。通信システムは、例えば誘導結合による無線周波通信システムである。例えば、要素2は、非接触型カード又はリーダタイプの無線周波の装置であり、要素1は、接触型処理部(セキュア識別モジュール(SIM)、携帯電話処理回路等)を備える同様の装置である。
【0024】
要素の内の少なくとも1つ(例えば、要素1)は、無線周波通信部12及び処理部14間の通信を管理することが可能ないわゆるNFCルータ13(近距離通信)を備える。ルータ13は、特に、部品が双方向に通信する無線周波通信部と、部品が単線3を介して通信する処理部14との間のインターフェイスとして用いられる前記部品を有する。
【0025】
このタイプの適用例では、ルータ13及び処理部14間の通信に用いられる全二重プロトコルはSWPプロトコルである。ルータは、マスターデバイスとして機能し、スレーブデバイスとして機能する回路14にデータを送信する。
【0026】
図2は、単線式の接続部3を介するマスターデバイス13(MD)及びスレーブデバイス14(SD)間の単線式通信システムの一実施形態を示すブロック図である。図2は、説明される実施形態が、単線式通信プロトコルを利用すべくこの構成を備えているシステムのタイプが何であれ適用可能であることを更に一般的に示している。
【0027】
図3は、マスターデバイス13によって回線3を介して与えられる周期的信号S1の形状の一例を示すタイミング図であり、周期的信号S1は、送信されるべき一連のデジタルデータの関数であるデューティサイクルを有する。図3の例では、状態1の送信が、クロック周期Tの約4分の3に亘って高レベルHで行なわれる(クロック周期Tの約4分の1に亘って低レベルLである)一方、状態0の送信が、このクロック周期の約4分の1のみに亘って高レベルHで行なわれる(残りの約4分の3に亘って低レベルLである)。信号S1は、電圧VMDの形で出力増幅器を用いてマスターデバイスによって送信される。
【0028】
図4A、図4B及び図4Cは、送信されるバイナリ状態を区別するために、単線式プロトコルで用いられる電圧レベル及び電流レベルの一例を示す。これらのレベルは、信号の整定時間を考慮に入れていない。
【0029】
図4Aは、信号VMDの高レベルH及び低レベルLの夫々の電圧レベルを示す。プロトコルは、規格化されている方式で周期的信号の低レベル及び高レベルに関する電圧範囲を(低レベルLに関してレベルVOLmin とレベルVOLmax との間で、高レベルHに関してレベルVOHmin とレベルVOHmax との間で)規定する。具体的な例(1.62ボルト乃至1.98ボルト間にある供給電圧Vddに関するSWP規格(クラスC))では、レベルVOHmax 及びレベルVOHmin は夫々Vdd(例えば、1.98ボルト)及び0.85×Vdd(例えば、1.377ボルト)であり、レベルVOLmax は0.15×Vdd(例えば、0.297ボルト)であり、レベルVOLmin は接地(0ボルト)である。
【0030】
図4Bは、スレーブデバイス14の入力電圧に相当し、従ってスレーブデバイス側における信号VMDの形態に相当する信号VSDの電圧範囲を示す。電圧範囲は、受信信号が高レベルH又は低レベルLにあるとスレーブデバイス14がみなす電圧が規定される。電圧範囲は、信号が低レベルLにあるとみなすためにレベルVILmin 及びレベルVILmax によって規定され、信号が高レベルHにあるとみなすためにレベルVIHmin 及びレベルVIHmax によって規定される。範囲VOLmin 乃至VOLmax 及び範囲VOHmin 乃至VOHmax は、言うまでもなく夫々範囲VILmin 乃至VILmax 及び範囲VIHmin 乃至VIHmax 内にある。スレーブデバイスによる信号VSDのレベルの検出により、信号S1を復元することが可能となる。スレーブデバイス14は、この信号を、マスターデバイスとの交換を同期させるための信号として用い、低レベルの継続時間にこの信号によって伝送されるデータを検出するためにも用いる。
【0031】
図4Cは、データをマスターデバイス13に送信するために、スレーブデバイス14によって行なわれる単線式の接続部3における電荷の調節を示す。図4Cは、回線3における電流IW の範囲ILmin乃至ILmax及び範囲IHmin乃至IHmaxを示し、範囲は、スレーブデバイスによって送信されるデータのバイナリ状態0及びバイナリ状態1を規定する。系統的な取得プログラムの上記の例を参照すると、閾値ILmin及び閾値ILmaxは夫々0マイクロアンペア及び約20マイクロアンペアであり、閾値IHmin及び閾値IHmaxは夫々約600マイクロアンペア及び約1ミリアンペアである。
【0032】
スレーブデバイス14は時間に関して、回線に電荷を加える(従って、電流IW を規定する)ために、信号VSDが低い期間を用いる。従って、マスターデバイス13が信号VMDの状態を高い状態に切り換えるとき、マスターデバイス13は回線における電流を推定することが可能である。
【0033】
通常のデバイスでは、この電流レベルを検出するために、信号VMDが高レベルに整定される必要がある。(スレーブデバイスによって加えられる電荷によって決まる)この整定時間は、従って信号VMDの高レベルの最小継続時間を決定し、送信されるビット0が高レベルである最小継続時間を決定し、システムフローの速度を決定する。
【0034】
図5は、周期的な流れS1を送信し、代わりに受信されるデータのバイナリ状態S2を決定するための回路4の一実施形態を示すマスターデバイスの部分ブロック図である。送信されるべき信号(例えば、図3の形状)が、デジタル列S1の形で出力増幅器41(出力バッファOB)に与えられる。この出力増幅器は、回線3に接続されている単一パッド42に電圧VMDを与える。パッド42に存在する信号は、立ち上がりエッジの傾斜を推定するために、マスターデバイス自体によって用いられる。図5の例では、信号VMDは、傾斜検出回路43の容量性素子431を帯電するためのスイッチKをオンするために用いられる。スイッチK及び容量性素子431は、供給電圧Vddが印加される2つの端子間の電流源432と直列である。容量性素子431の電荷レベルは、測定回路44(MES)によって推定され、測定回路44は、受信データに相当するバイナリ信号S2を与える。
【0035】
図5は、出力増幅器41の好ましい実施形態を示し、この実施形態によれば、スレーブデバイスによって加えられる電荷が大量である場合には、前記出力増幅器は、送信電力を調節する。この目的は、一旦信号S2の検出が行なわれると、電圧VMDの安定したレベルの整定の遅延を回避するために、立ち上がりエッジの比較的大きな傾斜を取り戻すことであり、電圧VMDの安定したレベルは、マスターデバイスからスレーブデバイスへの方向に送信されるデータを測定するために、スレーブデバイス側で更に用いられる。
【0036】
このような機能は、例えば、出力電力を変化させるために、出力増幅器41内の高レベルに設定するための回路(一般にはPチャネルMOSトランジスタ)及び/又は低レベルに設定するための回路(一般にはNチャネルMOSトランジスタ)を切り換えることによって得られる。示された例では、最大電力用に形成された低レベルに設定するための1つの回路411と、夫々比較的低い電力(SP)用及び比較的高い電力(BP)用に形成された高レベルに設定するための2つの回路412及び413とが仮定されている。例えば、回路412及び回路413を形成するPチャネルMOSトランジスタに異なるサイズが与えられ、回路411を形成するNチャネルMOSトランジスタのサイズが、Pチャネルトランジスタのサイズの合計と同一である。言うまでもなく逆の場合も可能である。
【0037】
マスターデバイスは、信号の整定傾斜が、回線に存在し、従ってスレーブデバイスによって加えられる電荷によって決定されるように、低電力回路413で構成される増幅器41で送信することにより開始する。一旦検出が行なわれると、測定デバイス44が状態1の存在を増幅器41に示す場合には、増幅器41は高電力回路411に切り換える。従って、より大きな電流を出力することが可能となる。より大きな電荷であっても、立ち上がりエッジの傾斜は十分となる。
【0038】
大量の電荷で立ち上がりエッジを大きくすることにより、送信速度の増加が可能になる。
【0039】
しかしながら、特に送信速度の増加が所望でない場合には、出力増幅器41の切換は任意である。しかしながら、立ち上がりエッジの傾斜の解釈による状態の決定により、システムはノイズに対して高感度ではなくなる。
【0040】
スレーブデバイス側では、立ち上がりエッジの傾斜の介在は決して不利ではない。逆に、信号VMDの整定時間が2つの電荷レベルの場合で同一であるように、出力増幅器41の回路のサイズが決定され得る。これは、高い電荷レベルにおける立ち上がりエッジの終わりでより大きな傾斜を引き起こすことによって、低い電荷レベルの場合と略同一の時間で高電荷レベルとつながるためである。周期的信号を復元し、受信信号を復号化すべく、高い状態又は低い状態の継続時間を無関係に検出することが可能になるので、スレーブデバイスの形成に更に柔軟性をもたらす。
【0041】
図6は、スイッチK(例えば、MOSトランジスタ又はバイポーラタイプのトランジスタ)が、閾値Refと端子42に存在する電圧とを比較する比較器435によってオフされるように制御されている傾斜検出回路43及び測定回路44の実施形態を示す。パッド42における信号の反転器436が、コンデンサ431を短絡させるためにコンデンサ431に並列に配置される別のスイッチK′を制御する。従って、信号VMDが低いとき、スイッチK′はオンされている。信号VMDの立ち上がりエッジの発生の際(比較器435及び反転器436における信号の整定時間を無視する)には、スイッチKはオンされて、スイッチK′はオフされる。従って、コンデンサ431は帯電する。信号VMDのレベルが閾値Refに達するとき、帯電は中断される。測定回路44は、閾値THとコンデンサ431の両端間の電圧レベルとを比較する比較器441を備える。比較器441は、信号S2を与える。
【0042】
図7A乃至図7Eは、図6の回路の動作を示すタイミング図である。これらのタイミング図は夫々、流れ1010を送信するためのマスターデバイスの信号S1の形状と、流れ0011を送信すべく回線にスレーブデバイスによって加えられる電荷のレベルR2の形状と、電圧VMDの形状と、容量性素子431の両端間の電圧V431 の形状と、マスターデバイスによって検出される信号S2の形状との一例を示す。以下の説明を簡略化するために、回路を通って伝わる時間は無視される。
【0043】
信号S1の各周期Tで、前記信号は、時間t1で高レベルに切り換わり、次に0の送信のために時間t2o で低レベルに切り換わるか、又は1の送信のために次の時間t21 で低レベルに切り換わる。各時間t1の前の時間t0で、すなわち前の周期Tの低い状態Lの間に、スレーブデバイスは、例えば、1を送信すべく最大又は比較的高い電荷レベルで、或いは次に0を送信すべく(比較的高い電荷レベルと比べた場合)最小又は比較的低い電荷レベルで電荷を加える。これは、信号R2の2つのレベルS(低い電荷レベル)及びレベルB(高い電荷レベル)によって示されている(図7B)。この例では、各時間t0で必要であれば、信号R2が一方のレベルから他方のレベルに切り換わると仮定されている。一般的にSWPプロトコルでは、信号S1及び信号S2が夫々1及び0である通信待機状態が存在する。スレーブデバイスは、電荷レベルを切り換えることによりこの状態を停止する。
【0044】
各時間t1で、(実際には、電圧レベルが反転器436を切り換えるほど十分になるとすぐに)スイッチK′を切り、スイッチKを入れることにより、信号VMDが増加し始める。従って、コンデンサ431の帯電が時間t1で略開始される。電圧V431 の傾斜が、電流源432によって設定され、好ましくは一定の電流で設定される。しかしながら、電圧VMDの傾斜は、スレーブデバイスによって加えられる電荷のレベルB又はレベルSによって決まる。この傾斜差から、送信されるレベル0又はレベル1を検出することが可能であるという利点がある。
【0045】
低い電荷レベルS(状態0の送信)では、傾斜が、高い電荷レベルB(状態1の送信)より大きい。従って、電圧VMDは時間t30 で閾値Refに達し、電荷レベルBの場合に電圧VMDが閾値Refに達するとき(時間t31 )より早い。
【0046】
比較器441の閾値THは、電流(従って、電圧VMD)の傾斜が大きい場合に、スイッチKをオフする際のコンデンサ431の両端間で達する電圧レベルより大きいように選択される。従って、信号S2は、受信されたバイナリ状態0を示す低レベルLのままである。
【0047】
スレーブデバイスによって加えられる電荷がより大きい電荷レベルBでは、信号VMDの傾斜がより小さい。
【0048】
比較器435の閾値Refは、信号VMDの傾斜が小さい場合には、電圧VMDが閾値Refに達する前に、コンデンサ431の両端間の電圧V431 が閾値THに達するように選択される。従って、比較器441は、時間t41 で切り換わり、バイナリ状態1を示す信号S2の高い状態への切り換わりを引き起こす。
【0049】
簡略化された実施形態では、増幅器41は出力電力を変更せず、電圧VMDが時間t31 で閾値Refに達する。スイッチKがオフされて、コンデンサ431の帯電が停止される。
【0050】
示された好ましい実施形態では、時間t41 での信号S2の切換が、出力増幅器41(図5)のより大きな電力への切換を引き起こす。従って、信号VMD(又はIW )の立ち上がりエッジの傾斜が変化され、その結果前記信号がより速く高レベルに達する。このため、コンデンサ431の帯電がより早く停止される。
【0051】
信号S1の各立ち下がりエッジ(時間t20 、時間t21 )では、コンデンサ431は、スイッチK′をオンすることによりリセット(放電)される。
【0052】
コンデンサ431の帯電を中断することにより、検出回路の電力消費を減少させるという利点がある。
【0053】
様々な回路の同期は、マスターデバイス側では、該マスターデバイスが自身の回路だけでなくスレーブデバイスの回路の同期をも管理するので問題ではない。
【0054】
様々な実施形態が説明されているが、様々な変更及び改良が当業者の技量の範囲内にある。特に、同期の時間と電圧のレベル及び閾値との選択は、上記に述べられた機能的表示及び用途に基づき当業者の技量の範囲内にある。更に、上記に述べられた機能的表示に基づく本発明の実際の実施も当業者の技量の範囲内にあり、特に様々な段階のゲインを出力する増幅器が形成され得る。更に、示されたバイナリ状態0及びバイナリ状態1は一般的であり、反転されてもよい。
【符号の説明】
【0055】
3 単線式の接続部、回線
13 第1デバイス、マスターデバイス、NFCルータ
14 第2デバイス、スレーブデバイス、処理部
43 傾斜検出回路
44 測定回路
431 容量性素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2デバイスから単線式の接続部を介して第1デバイスに送信されるデータのバイナリ状態を、前記接続部を介して前記第2デバイスに2状態の信号を送信することが可能な第1デバイスによって決定する方法であって、
前記バイナリ状態は、前記2状態の信号の立ち上がりエッジの傾斜に応じて決定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記傾斜は、立ち上がりエッジの発生の際の容量性素子の電荷レベルに基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電荷レベルは、受信された状態を決定すべく閾値と比較されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記立ち上がりエッジは、第1バイナリ状態の間又は第2バイナリ状態の間に終わることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2デバイスは、前記バイナリ状態に応じて前記接続部に加える電荷を調節することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記2状態の信号は、前記第2デバイスによってクロック信号として用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記2状態の信号は、前記第1デバイスから前記第2デバイスに送信されるべきデータに応じて調節されるデューティサイクルを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
別のデバイスが送信するデータのバイナリ状態に応じて単線式の接続部に加える電荷を調節することが可能な前記別のデバイスに、前記接続部を介して2状態の信号を送信することが可能な送受信デバイスであって、
前記2状態の信号の立ち上がりエッジの傾斜を表わす情報を測定するための要素と、
前記バイナリ状態を決定すべく、前記情報を閾値と比較するための要素と
を備えることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
前記2状態の信号を送信するために増幅器の電力を切り換える要素を更に備え、該要素は、前記別のデバイスの電荷に対応する状態の検出後に作動されることを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
マスターデバイスとスレーブデバイスとの間の単線式接続部を介する同時双方向送信システムであって、
前記マスターデバイスは、請求項1に記載の方法の実行に適合されていることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−253986(P2009−253986A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93279(P2009−93279)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(509096153)エス テ マイクロエレクトロニクス(ローセット)エス アー エス (15)
【Fターム(参考)】