説明

単電池および単電池を備える蓄電装置

【課題】過度の電圧が印加されることを抑制する単電池を提供する。
【解決手段】複数の電池要素35を含む積層体38を外装体22cに収容した全固体型の単電池22であって、外装体22の内部には不活性気体が充填されており、積層体38の集電体33aと集電体33aよりも電位の低い集電体33bとの間の電圧が、予め定められた上限電圧よりも大きくなった場合に、外装体22の内部の放電領域51において気体が電離して放電が生じるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単電池および単電池を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術において、単電池を容器の内部に収容した蓄電装置が知られている。蓄電装置が複数個の単電池を有する場合には、複数個の単電池を並べて容器の内部に収容することが知られている。
【0003】
単電池のうち二次電池は、充電および放電が可能であるために、近年急速に需要が拡大している。充電が可能な二次電池には、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、およびリチウムイオン電池などが含まれる。これらの二次電池は、充放電回路から電気を供給することにより充電することができるが、充電を過度に行なうと、いわゆる過充電の状態になり、性能劣化が生じる場合があるため、適切な制御が施された上で使用されている。例えば、リチウムイオン電池を過充電すると、電気容量の低下等の性能劣化が生じる場合がある。このように、二次電池は所定の範囲内で充電することが好ましい。
【0004】
特開2009−152129号公報においては、過充電検出回路が電池パックの温度を検出するためのサーミスタを含む電池パックが開示されている。この電池パックは、サーミスタによりリチウムイオン電池が所定の温度よりも高くなったことが検出された場合には、過充電検出回路において、過充電を検出するための閾値電圧を切り替えて、満充電となる前に過充電を検出することが開示されている。
【0005】
また、特開平11−55866号公報においては、複数の単位セルを有するバッテリの充電装置において、バッテリの放電時に放電下限電圧に最も早く達する容量制限セルを検出し、また、充電時に充電上限電圧に最も早く達する上限電圧セルとして検出する。そして、容量制限セルと上限電圧セルとが等しいと判断した場合には、上限電圧セルの端子電圧が充電上限電圧を超えないように制御しながら充電を行なうことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−152129号公報
【特許文献2】特開平11−55866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
二次電池や充電装置には、充電時に電池が過充電の状態にならないように、充電を遮断するための保護回路が配置されている。過充電防止の保護回路には様々な種類の回路が提案されている。たとえば上記の特開2009−152129号公報に開示されているように、電池パックの内部に保護回路を設け、温度が高くなったことを検出して、過充電を回避することが知られている。このような過充電を防止する保護回路は、保護回路を制御するための制御IC(集積回路)や制御スイッチなどが必要であり、また、二次電池の未使用時においても、保護回路には待機電流が流れるために、蓄電されている電気の容量が減少したり、電池の寿命が短くなったりするという問題がある。また、二次電池の充電装置の保護回路の故障等により、電池に対して過度の電圧が印加される場合には、電池の性能が低下するという問題が生じる。
【0008】
本発明は、過度の電圧が印加されることを抑制する単電池および蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の単電池は、複数の電池要素を含む蓄電部を外装体に収容した全固体型の単電池であって、外装体の内部には、不活性気体が充填されており、蓄電部は、第1の導電性部材と第1の導電性部材よりも電位の低い第2の導電性部材とを有する。第1の導電性部材と第2の導電性部材との間の電圧が、予め定められた上限電圧よりも大きくなった場合に、外装体の内部において気体が電離して放電が生じるように形成されている。
【0010】
上記発明においては、第1の導電性部材に接続されている第1の放電電極と、第2の導電性部材に接続されている第2の放電電極とを備え、第1の放電電極と第2の放電電極との間の距離が、第1の導電性部材と第2の導電性部材との間の距離よりも小さくなるように形成されており、第1の導電性部材と第2の導電性部材との間の電圧が、予め定められた上限電圧よりも大きくなった場合に、第1の放電電極と第2の放電電極との間で放電が生じることが好ましい。
【0011】
上記発明においては、外装体の内部に充填される気体は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンおよび窒素のうち少なくとも一つの気体を含むことができる。
【0012】
本発明の蓄電装置は、充電が可能な蓄電部、蓄電部を収容する外装体、および外装体から突出する端子を含む単電池と、少なくとも一つの単電池を内部に収容する容器とを備える。容器の内部には、不活性気体が充填されている。単電池の端子は、第1の端子と第1の端子よりも電位の低い第2の端子とを含み、第1の端子と第2の端子との間の電圧が、予め定められた上限電圧よりも大きくなった場合に、容器の内部において気体が電離して放電が生じるように形成されている。
【0013】
上記発明においては、第1の端子に接続されている第1の放電電極と、第2の端子に接続されている第2の放電電極とを備え、第1の放電電極と第2の放電電極との間の距離が、第1の端子と第2の端子との間の距離よりも小さくなるように形成されており、第1の端子と第2の端子との間の電圧が、予め定められた上限電圧よりも大きくなった場合に、第1の放電電極と第2の放電電極との間で放電が生じることが好ましい。
【0014】
上記発明においては、複数の単電池を備え、1つの単電池の正極側の端子が第1の端子を構成し、他の単電池の負極側の端子が第2の端子を構成することができる。
【0015】
上記発明においては、容器は密閉可能に形成されている密閉容器を含み、単電池の外装体は、外部から圧力が加わることにより変形可能に形成されており、密閉容器の内部に充填されている気体は、大気圧よりも大きくなるように加圧されていることが好ましい。
【0016】
上記発明においては、単電池を収容する容器の内部に充填される気体は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンおよび窒素のうち少なくとも一つの気体を含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、過度の電圧が印加されることを抑制する単電池および蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1における第1の単電池の概略断面図である。
【図2】実施の形態1における第1の単電池の概略斜視図である。
【図3】実施の形態1における第1の単電池の内部の積層体の拡大概略断面図である。
【図4】平行平板の電極同士の距離および圧力に対する放電電圧を説明するグラフである。
【図5】実施の形態1における第2の単電池の概略断面図である。
【図6】実施の形態1における第2の単電池の内部の積層体の拡大概略断面図である。
【図7】実施の形態1における第3の単電池の概略断面図である。
【図8】実施の形態1における第4の単電池の概略断面図である。
【図9】実施の形態1における第5の単電池の概略断面図である。
【図10】実施の形態1における第6の単電池の概略断面図である。
【図11】実施の形態2における第1の蓄電装置の概略断面図である。
【図12】実施の形態2における第1の蓄電装置の単電池の概略斜視図である。
【図13】実施の形態2における第1の蓄電装置の単電池の概略断面図である。
【図14】実施の形態2における第2の蓄電装置の概略断面図である。
【図15】実施の形態2における第3の蓄電装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
図1から図10を参照して、実施の形態1における単電池および蓄電装置について説明する。本実施の形態における蓄電装置は、電池セルとしての単電池と単電池を収容する容器とを備える。
【0020】
図1に、本実施の形態における単電池の概略断面図を示す。本実施の形態においては、充電が可能な二次電池のうち、リチウムイオン電池を例示して説明する。本実施の形態における単電池22は、電池要素35を有し、蓄電が可能な蓄電部を含む。本実施の形態における蓄電部は、複数の電池要素35が積層された積層体38により構成されている。積層体38は、外部の装置との接続を行うための端子22a,22bに接続されている。単電池22は、積層体38を内部に収容する外装体22cを備える。端子22a,22bは、外装体22cから突出するように形成されている。
【0021】
図2に、本実施の形態における単電池の概略斜視図を示す。図1および図2を参照して、本実施の形態における単電池22は、直方体状に形成されている。端子22a,22bは、電気の導通を行う部分である。端子22aが正極であり、端子22bが負極である。それぞれの端子22a,22bは、充放電回路40に接続されている。
【0022】
外装体22cは、内部の気体を密閉可能に形成されている。本実施の形態における外装体22cは、アルミニウム等の金属で形成されている。外装体22cとしては、この形態に限られず、内部の気体を密閉可能な材質にて形成することができる。
【0023】
図3に、本実施の形態における単電池の積層体の拡大概略断面図を示す。本実施の形態における積層体38は、複数の電池要素35が積層されることにより、電気的に直列に接続されている。電池要素35は、正極層30と、負極層31と、正極層30および負極層31の間に介在する電解質層32とを有する。また、電池要素35は、集電体33を有する。図3に示す積層体38では、正極層30、負極層31および電解質層32が集電体33を介して積層されている。
【0024】
本実施の形態における単電池22は、全固体型電池である。本実施の形態における正極層30、負極層31および電解質層32は、それぞれの層が固体である。本実施の形態においては、それぞれの層が粉体により形成されている。本実施の形態における正極層30、負極層31および電解質層32は、たとえば材料となる粉末をプレス機により圧縮することにより形成することができる。
【0025】
正極層30は、粒子状の正極活物質を有する。正極活物質としては、全固体電池に採用可能な任意の物質を採用することができる。正極活物質としては、例えば、LiCoOまたはLiNiOなどのリチウムおよび遷移金属の層状複合酸化物の粉末、LiMnなどのスピネル型の粉末、またはLiFePOなどのオリビン型の粉末等を用いることができる。負極層31は、粒子状の負極活物質を有する。負極活物質としては、全固体電池に採用可能な任意の物質を採用することができる。負極活物質としては、例えば、In粉末、Al粉末などの金属系およびSi等の半金属系の活物質や、メソカーボンマイクロビーズ粉末などの炭素系の活物質を用いることができる。また、LiTi12、TiO、Fe等の酸化物も負極活物質として用いることができる。
【0026】
電解質層は、イオン導電性を有する粒子状の固体電解質を有する。固体電解質としては、全固体電池に採用可能な任意の物質を採用することができる。本実施の形態における固体電解質としては、たとえば、硫化物系の固体電解質または酸化物系の固体電解質等を用いることができる。硫化物系の固体電解質としては、LiS−P、LiS−SiS、またはLiS−GeS等を用いることができる。酸化物系の固体電解質としては、LiS−P等を用いることができる。また、Li0.35La0.55TiO、Li2.9PO3.30.46等も用いることができる。
【0027】
固体電解質は、硫化物系や酸化物系等の無機固体電解質に限られずに、有機高分子電解質を採用することができる。全固体電池に採用される有機高分子電解質としては、真性ポリマーと称される完全に固化した電解質を用いることが好ましい。または、有機高分子電解質としては、ゲル状の固体電解質でも構わない。有機高分子電解質としては、たとえば、リチウム塩を含むポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、またはポリアクリロニトリル等を例示することができる。
【0028】
積層体38のそれぞれの正極層30および負極層31の外側には、集電体33が配置されている。本実施の形態における集電体33は、金属箔により形成されている。集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、銅、ニッケル、チタン、または白金などの材質を用いることができる。また、表面を修飾した集電体等を用いることができる。
【0029】
本実施の形態の全固体電池においては、正極層、負極層および電解質層が粉体を圧縮することにより形成されているが、この形態に限られず、全固体電池は、それぞれの層が固体であれば構わない。たとえば、材料となる粉体を焼結して一体化することによりそれぞれの層を形成しても構わない。または、それぞれの層はポリマー(樹脂)により形成されていても構わない。また、正極層および負極層は、活物質の他に、固体電解質、導電助剤、および結着材等が含まれていても構わない。また、電解質層は、固体電解質の他に結着材等が含まれていても構わない。
【0030】
単電池の蓄電部としては、直方体状の積層体に限られず、任意の形状のものを採用することができる。たとえば、正極層、負極層および電解質層の積層体が帯状に形成され、この帯状の積層体が巻回されたものが外装体の内部に配置されていても構わない。
【0031】
図1を参照して、本実施の形態における積層体38は、積層体38の正極側の端部に配置されている集電体33aと、負極側の端部に配置されている集電体33bとを有する。集電体33aは、外部の装置に接続される正極の端子22aに接続されている。集電体33bは、外部の装置に接続される負極の端子22bに接続されている。
【0032】
本実施の形態における積層体38の一方の端部に配置されている集電体33aは、放電を生じさせるための第1の導電性部材として機能する。また、積層体38の他方の端部に配置されている集電体33bは、放電を生じさせるための第1の導電性部材よりも電位の低い第2の導電性部材として機能する。
【0033】
本実施の形態における単電池22は、外装体22cの内部にて気体が電離して放電を生じさせるための気体が充填されている。外装体22cの内部に充填される気体としては不活性気体を例示することができる。たとえば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスおよび窒素のうち少なくとも一つの気体を含む気体を例示することができる。アルゴン等の気体は、放電が生じやすい気体であり、また、不活性気体であるために、放電が生じて電離気体が形成されたとしても活性物質等が生じにくく、放電により他の部材に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0034】
外装体22cの内部の圧力については、外装体22cの内部の気圧が高くなりすぎると、内部の圧力に耐えるために外装体22cを強固に形成する必要性が生じる。または、外装体22cが大型になる。このために、外装体22cの内部に充填する気体の圧力は、たとえば10気圧以下であることが好ましい。
【0035】
本実施の形態においては、単電池22の外部に配置されている充放電回路40により、端子22aおよび端子22bとの間に電圧を印加して単電池22を充電する。本実施の形態においては、充放電回路40により定電流充電を行なう。すなわち、充電するときの電流値がほぼ一定になるように単電池22に電気を供給する。
【0036】
充電の開始時等の単電池22に残留する電気の容量が少ない場合には、端子22aと端子22bとの間の電圧(電位差)は小さい状態である。単電池22が充電されて蓄電されている容量が大きくなるに従って、端子22aと端子22bとの間の電圧が上昇する。単電池22の端子22aと端子22bとの間の電圧が、予め定められた上限電圧に達したときに充電を終了することができる。例えば、電気の容量が予め定められた容量に達したときの電圧を、充電を終了するための上限電圧に設定することができる。
【0037】
外装体22cの内部においては、充電に伴って集電体33aと集電体33bとの間の電圧が上昇する。本実施の形態における単電池22は、集電体33aと集電体33bとの間の電圧が、充電を終了するための上限電圧を超えると、外装体22cの内部において、絶縁破壊が生じて放電が生じるように形成されている。本実施の形態においては、集電体33aと集電体33bとの間の気体が電離して放電が生じ、電離気体50が生成される。集電体33aと集電体33bとの間の領域が放電領域51になる。本実施の形態における放電は、例えば火花放電である。
【0038】
外装体22cの内部で放電が生じることにより、集電体33aと集電体33bとの間の電圧上昇を抑制することができる。単電池22が予め定められた電気容量を超えて充電されることを抑制することができる。すなわち、過充電を抑制することができる。または、外部の充放電回路40が故障した場合などに、単電池22の端子22a,22bに大きな電圧が印加される場合がある。このような場合においても、蓄電部としての積層体38に大きな電圧が印加されることを抑制し、積層体38を保護することができる。本実施の形態における単電池は、電子制御によらずに単電池に過度の電圧が印加されることを抑制することができる。
【0039】
また、単電池に過充電を防止する保護回路を設けた場合には、単電池の未使用時においても保護回路には待機電流が流れる。このために、単電池に蓄電されている電気の容量が減少したり、充電および放電の回数が増加するために電池の寿命が短くなったりする。本実施の形態の単電池では、未使用時には放電が生じないために、第1の導電性部材と第2の導電性部材との間に電流が流れることを回避できる。すなわち、単電池に蓄電されている電気容量が減少したり、単電池の寿命が短くなったりすることを抑制できる。
【0040】
さらに、電解質層が液体の場合には、レドックスシャトル剤を添加する方法または重合剤を添加する方法等により過充電を抑制することが可能であるが、全固体電池では電解質層が固体であるために、このような方法を適用することが困難である。しかしながら、本実施の形態のように、外装体の内部において放電を生じさせることにより、全固体電池に過充電等を抑制する機能を持たせることができる。
【0041】
図1に示す例においては、電離気体50が生成される領域としての放電領域51は、積層体38の側方に配置されているが、この形態に限られず、放電領域51は、積層体38の内部であっても構わない。すなわち、積層体38の内部にて放電が生じても構わない。
【0042】
次に、外装体22cの内部において、予め定められた上限電圧にて放電を生じさせるための構成について説明する。本実施の形態の単電池22は、集電体33a,33b同士の間の電圧が予め定められた上限電圧よりも大きくなった場合に放電が生じるように、外装体22cの内部の気体の圧力および気体の種類が選定されている。
【0043】
図4は、放電を生じさせる電極同士の距離および気体の圧力と、放電が生じる電圧との関係を説明するグラフである。図4のグラフは、パッシェンの法則に基づくグラフであり、所定の気体の雰囲気中に平行平板の電極を配置したときの放電電圧を説明している。
【0044】
横軸は、平行平板の電極同士の間の距離dに電極が配置されている空間の気圧pを乗じた値を示している。変数pdが大きな値から減少すると放電が生じる電圧Viが減少するが、所定値の値未満においては、変数pdが減少するほど放電が生じる電圧Viが増加することが分かる。たとえば、電極間同士の距離dが一定の場合には、大気圧から所定の気圧までは、圧力が減少するほど放電を生じさせるために必要な電圧Viは減少する。所定の気圧未満では、圧力が減少するほど、放電を生じさせるために必要な電圧Viが上昇する。
【0045】
放電を生じさせる気体を変更した場合においても、変数pdを変化させると同様の傾向を示すが、放電を生じさせるために必要な電圧Viの大きさが変化する。このように、例えば、外装体の内部に充填する気体の種類を変更したり、外装体の内部に充填する気圧を変更したりすることにより、放電が生じるときの電圧を調整することができる。更に、後述する様に、放電が生じる電極同士の距離を変更したり、放電が生じる電極の形状や材質を変更したりすることにより、放電が生じる電圧Viを調整することができる。
【0046】
図5に、本実施の形態における第2の単電池の概略断面図を示す。第2の単電池22は、複数の電池要素35を含む積層体38を有する。積層体38においては、電池要素35同士が接続部材36により電気的に接続されている。
【0047】
図6に、本実施の形態における第2の単電池の積層体の拡大概略断面図を示す。第2の単電池の電池要素35は、正極層30、負極層31および電解質層32の両側に配置されている集電体33を有する。1つの電池要素35の負極側の集電体33と、他の電池要素35の正極側の集電体33とが接続部材36により接続されている。本実施の形態においては、複数の電池要素35が電気的に直列に接続されている。電池要素35の接続方法については、直列に限られず、少なくとも一部の電池要素35が並列に接続されていても構わない。このように、蓄電部としての積層体38は、複数の電池要素35が接続部材36により電気的に接続されていても構わない。
【0048】
図5を参照して、本実施の形態における第2の単電池22においても、積層体38の正極側の端部に配置されている集電体33aと、積層体38の負極側の端部に配置されている集電体33bとの間の電圧が予め定められた上限電圧を超えた場合に放電領域51において放電を生じさせることができる。この結果、過充電を抑制したり、過度の電圧が積層体に印加されることを抑制したりすることができる。
【0049】
図7に、本実施の形態における第3の単電池の概略断面図を示す。第3の単電池は、第1の導電性部材としての集電体33aに接続されている第1の放電電極37aと、第2の導電性部材としての集電体33bに接続されている第2の放電電極37bとを備える。第1の放電電極37aと第2の放電電極37bとの間の距離は、正極側の集電体33aと負極側の集電体33bとの間の距離よりも小さくなるように形成されている。本実施の形態における第1の放電電極37aと第2の放電電極37bは、棒状に形成されている。第1の放電電極37aと第2の放電電極37bとは、先端部が互いに対向するように形成されている。
【0050】
放電電極37a,37bは、放電時の熱によっても変形を抑制する任意の材質にて形成することができる。例えば、放電電極の材質としては、鉄、ステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、銅、白金、またはタングステン等を採用することができる。本実施の形態における放電電極37a,37bは、互いに対向する先端部が尖るように形成されている。このように、放電電極の先端部を細くすることにより、放電を生じ易くすることができる。放電電極の形状としては、この形態に限られず、板状、針状、柱状、または球状などの任意の形状を採用することができる。
【0051】
本実施の形態の第3の単電池においては、第1の放電電極37aと第2の放電電極37bとに挟まれる領域にて優先的に放電を生じさせることができる。第1の放電電極37aと第2の放電電極37bとの間の領域を放電領域51に設定することができる。このために、放電を生じさせる電極同士の間隔を任意に調整することができる。放電電極37a,37b同士の距離は、予め定められた所望の電圧にて放電が生じる様に設定することができる。また、放電を生じさせる位置を任意に設定することができるために、放電領域51と積層体38との間の距離を大きくすることができる。このために、放電に伴う熱や電磁波の積層体38に対する影響を軽減することができる。さらに、積層体38を任意の厚さで形成することができる。たとえば、電池要素35の積層数を多くすることができて、積層体38を厚く形成することができる。積層体38を厚く形成することにより、単電池のエネルギー密度を向上させることができる。
【0052】
本実施の形態の第3の単電池においては、外装体22cの内部に充填される気体の種類や気圧に加えて、放電電極37a,37bの材質、放電電極37a,37b同士の間の距離、および放電電極37a,37bの形状を選定することにより、蓄電部の上限電圧などに基づいた所望の電圧にて放電を生じさせることができる。
【0053】
例えば、電池要素35を38個の直列に接続した積層体38を備え、外装体22cの内部に充填する気体として乾燥アルゴンを用いて、外装体22cの内部の気圧を1気圧に設定する。放電電極37a,37bとして平行平板の電極を採用し、1つの電池要素35に印加される上限電圧を約5Vとした場合には、積層体38の集電体33a,33bに印加できる上限電圧を約190Vに設定することができる。この場合には、第1の放電電極37aと第2の放電電極37bとの距離を15.8μmにすることにより、放電電極37a,37b同士の間の領域で放電が生じる電圧を192Vに設定することができる。このために、たとえば、充電中に集電体33aと集電体33bとの間の電圧が、約190Vを越えた場合には、放電領域51にて放電が生じて過充電を回避することができる。
【0054】
図8に、本実施の形態における第4の単電池の概略断面図を示す。本実施の形態の第3の単電池においては、積層体38の側方のうち一方の側に放電電極37a,37bを配置している。これに対して、本実施の形態の第4の単電池においては、積層体38の側方のうち、両側に放電電極37a,37bが配置されている。このように、複数の箇所に放電電極を配置することができる。この構成により、所望の電圧になったときに、より確実に放電を生じさせることができる。
【0055】
図9に、本実施の形態における第5の単電池の概略断面図を示す。本実施の形態の第5の単電池においては、積層体38の積層方向のほぼ中央の集電体33cが、側方に延びている。積層体38の正極側の集電体33aには、放電電極37aが接続されている。この放電電極37aと集電体33cとが近接して対向している。集電体33aに接続されている放電電極37aと、集電体33cとの間に放電領域51を形成することができる。この放電部分においては、集電体33aが第1の導電性部材として機能し、集電体33cが第2の導電性部材として機能する。
【0056】
また、集電体33cには放電電極37aが接続されている。この放電電極37aと、負極側の集電体33bとが近接して対向している。集電体33cに接続されている放電電極37aと、集電体33bとの間に放電領域51を形成することができる。この放電部分においては、集電体33cが第1の導電性部材として機能し、集電体33bが第2の導電性部材として機能する。本実施の形態の第5の単電池においては、一つの放電部分においては集電体33cが第2の導電性部材として機能し、さらに、他の放電部分においては集電体33cが第1の導電性部材として機能する。
【0057】
このように、第5の単電池においては、積層体の積層方向の端部と積層方向の途中の箇所との間において放電が生じるように形成されている。積層体38の端部の集電体33a,33bと、積層体38の途中の集電体33cとの間の電圧が予め定められた上限電圧よりも高くなった場合に、放電が生じるように形成されている。
【0058】
本実施の形態の第5の単電池においては、集電体33aに放電電極37aが接続され、集電体33cに放電電極37aが接続されているが、この形態に限られず、それぞれの放電電極37aが配置されてなくても構わない。この場合においても、集電体33aと集電体33cとの間の領域、および集電体33cと集電体33bとの間の領域にて放電を生じさせることができる。
【0059】
図10に、本実施の形態における第6の単電池の概略断面図を示す。前述の放電電極においては、集電体から棒状の導電性部材が突出しているが、第6の単電池の放電電極37a,37bは、それぞれの集電体33a,33bが延長されている形状を有している。平板状の集電体33aに放電電極37aが接続され、平板状の集電体33bに放電電極37bが接続されている。それぞれの放電電極37a,37bは、板状に形成されている。第6の単電池の放電電極37a,37bは、それぞれの集電体33a,33bが延びる形状を有している。放電電極37a,37bのそれぞれの先端部は、互いに対向するように近接して配置されており、放電領域51が形成されている。集電体33aと集電体33bとの間の電圧が、所望の上限電圧を超えたときに放電領域51において放電を生じさせることができる。
【0060】
本実施の形態においては、単電池として全固体電池のうちリチウムイオン電池を例示して説明したが、この形態に限られず、任意の全固体二次電池に本発明を適用することができる。たとえば、リチウムイオンの代わりに、プロトン、ナトリウムイオン、アルミニウムイオン、銅イオン、マグネシウムイオン、またはカルシウムイオン等の他のイオンが移動するロッキングチェア型二次電池に本発明を適用することができる。または、リザーブ型二次電池に本発明を適用することもできる。
【0061】
(実施の形態2)
図11から図15を参照して、実施の形態2における単電池および蓄電装置について説明する。本実施の形態における蓄電装置は、単電池の外部にて気体が電離して放電が生じる構成を備える。
【0062】
図11に、本実施の形態における第1の蓄電装置の概略断面図を示す。図12に、本実施の形態における第1の蓄電装置の単電池の概略斜視図を示す。図11および図12を参照して、本実施の形態における蓄電装置は、単電池22を内部に収容する容器としての密閉容器24を含む。密閉容器24は、内部が密閉可能に形成されている。
【0063】
本実施の形態の蓄電装置は、密閉容器24の内部に加圧された気体が充填されている。本実施の形態においては、大気圧よりも高い圧力で気体が充填されている。密閉容器24の内部に充填する気体としては、化学的に不活性であり、放電が生じても活性物質が生じない気体であることが好ましい。密閉容器24の内部に充填される気体としては、不活性気体を例示することができる。たとえば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスおよび窒素のうち少なくとも一つの気体を含む気体を例示することができる。
【0064】
単電池22は、正極の端子22aと負極の端子22bとを有する。正極の端子22aと負極の端子22bとは、互いに近接して配置されている。また、本実施の形態における単電池22の端子22a,22bは、板状に形成されている。端子22a,22bの形状としては、この形態に限られず、任意の形状を採用することができる。端子22a,22bは、充放電回路40に接続されている。本実施の形態における単電池22は直方体状であるが、この形態に限られず、任意の形状を採用することができる。
【0065】
本実施の形態における単電池22の外装体22cは、外部から圧力が加わることにより変形可能な材質で形成されている。本実施の形態における外装体22cは、アルミニウムラミネートフィルムで形成されている。外装体22cとしては、この形態に限られず、外部から圧力が加わったときに変形可能な任意の材質を採用することができる。
【0066】
外部から圧力が加わったときに変形可能な材質としては、例えば、高分子フィルム、金属フィルム、または高分子フィルムと金属フィルムとが積層された複合積層フィルム等を採用することができる。高分子フィルムの材質としては、ポリエチレン、ナイロン、またはポリプロピレン等を例示することができる。金属フィルムの材質としては、アルミニウム、ステンレス鋼、またはニッケル等を例示することができる。
【0067】
図13に、本実施の形態における単電池の拡大概略断面図を示す。本実施の形態における単電池は、全固体型のリチウムイオン電池である。図13は、単電池22の端子22a,22bが配置されている側の端部の概略断面図である。正極側の端子22aは、積層体38の正極側の端部の集電体33aに接続されている。また、負極側の端子22bは、積層体38の負極側の端部の集電体33bに接続されている。
【0068】
図11および図13を参照して、本実施の形態の第1の蓄電装置においては、単電池22が、放電可能な気体が内部に充填されている密閉容器24に収容されている。単電池22の正極側の端子22aと負極側の端子22bとの間の電圧が、予め定められた上限電圧よりも大きくなった場合には、端子22a,22b同士の間で放電が生じるように形成されている。本実施の形態においては、単電池22の外装体22cの外側の放電領域51にて気体が電離して放電が生じるように形成されている。
【0069】
密閉容器24の内部に充填されている気体の種類、気圧、および正極側の端子22aと負極側の端子22bとの距離は、予め定められた所望の電圧にて放電が生じるように設定されている。また、外装体22cの内部に充填される気体は、外装体22cの外部に充填される気体よりも放電が生じにくい気体の種類および気圧が選定されていることが好ましい。
【0070】
本実施の形態の第1の蓄電装置は、単電池22の正極側の端子22aが第1の端子として機能する。また、負極側の端子22bが、第1の端子よりも電位の低い第2の端子として機能する。端子同士の間の電圧が予め定められた上限電圧を超えた場合に、密閉容器24の内部にて放電が生じる。このために、例えば充電を行っている期間中に、端子22a,22b同士の間の電圧が蓄電装置の上限電圧に到達したときに、放電領域51にて放電が生じて過充電を抑制することができる。または、外部の充放電回路40が故障した場合等に、単電池22の端子22a,22bに大きな電圧が印加される場合がある。このような場合においても、単電池22の内部の蓄電部に大きな電圧が印加されることを抑制し、単電池を保護することができる。
【0071】
本実施の形態における蓄電装置は、密閉容器24の内部に加圧した気体を充填することが好ましい。例えば、密閉容器24の内部の気圧を1気圧よりも高くすることが好ましい。単電池22の内部の正極層または負極層に含まれる活物質は、充電および放電を繰り返すことにより膨張したり収縮したりする。正極層または負極層が膨張したり収縮したりすると、それぞれの層に亀裂が生じたり、それぞれの層同士の界面での抵抗が増加する場合がある。密閉容器24の内部に加圧した気体を充填することにより、単電池22を気体にて加圧することができる。単電池22を気体により加圧することにより、それぞれの層に亀裂が生じたり界面抵抗が増加したりすることを抑制できる。すなわち、単電池の性能が低下することを抑制できる。
【0072】
一方で、密閉容器24の内部の圧力を高くしすぎると、密閉容器24を強固な構造にしなければならなくなる。または、密閉容器24が大型になる。密閉容器24の内部に充填する気体の圧力は、例えば10気圧以下であることが好ましい。また、密閉容器24の内部に充填する気体は、密閉容器24の内部の高い圧力においても液化しないことが好ましい。たとえば、圧力が10気圧になっても液化しない気体が好ましい。
【0073】
更には、密閉容器24の内部の気体を循環するための循環装置を密閉容器に接続することが好ましい。密閉容器24の内部の気体を循環させることにより、単電池22を効率よく冷却することができる。また、単電池22の熱は、密閉容器24の内部に充填される気体を介して放熱されるために、密閉容器24の内部に充填する気体は、熱伝導率の高い気体を選定することが好ましい。
【0074】
図14に、本実施の形態における第2の蓄電装置の概略断面図を示す。本実施の形態の第2の蓄電装置は、複数の単電池22を含む。密閉容器24には、複数の単電池22が収容されている。複数の単電池22は、互いに電気的に接続されている。第2の蓄電装置は、図12に示す単電池22と、正極側の端子22aが外装体の一方の側から突出し、負極側の端子22bが外装体の他方の側から突出している単電池22とを備える。
【0075】
本実施の形態の第2の蓄電装置においては、それぞれの単電池22が、電気的に直列に接続されている。1つの単電池22の正極側の端子22aが、互いに隣り合う他の単電池22の負極側の端子22bに接続されている。また、本実施の形態の第2の蓄電装置においては、単電池22の積層体が構成されている。単電池22の積層体は、密閉容器24の内部に収容されている。
【0076】
本実施の形態の第2の蓄電装置においては、単電池22の積層体の一方の端部に配置されている単電池22の端子22aが第1の端子を構成する。また、単電池22の積層体の他方の端部に配置されている単電池22の端子22bが第2の端子を構成する。この第1の端子22aと第2の端子22bとの間の電圧が予め定められた上限電圧よりも大きくなった場合に放電が生じる。密閉容器24の内部の放電領域51にて放電を生じさせることができる。このように、複数の単電池22を備える蓄電装置においても、密閉容器の内部に放電領域を形成して放電を生じさせることにより、過充電等を抑制することができる。また、複数の単電池22の外部にて放電が生じるために、それぞれの単電池22の内部の蓄電部に対して、過度の電圧が印加されることを抑制できる。
【0077】
図15に、本実施の形態における第3の蓄電装置の概略断面図を示す。第3の蓄電装置においては、第1の端子としての1つの単電池22の端子22aに接続されている第1の放電電極37aと、第2の端子としての他の単電池22の端子22bに接続されている第2の放電電極37bとを有する。第1の放電電極37aと第2の放電電極37bとの間の距離は、第1の端子としての端子22aと第2の端子としての端子22bとの間の距離よりも小さくなるように形成されている。本実施の形態の第2の蓄電装置においては、第1の放電電極37aと第2の放電電極37bとの間で気体が電離して放電が生じる。第1の放電電極37aと第2の放電電極37bとの間に放電領域51が形成される。
【0078】
放電が生じた場合には、熱や電磁波が発生する。密閉容器24の内部に放電電極37a,37bを配置することにより、放電が生じる場所を特定することができる。放電のときに生じる熱や電磁波が単電池22に悪影響を及ぼすことを抑制できる。また、放電電極37a,37bを配置することにより、密閉容器24の内部において、単電池22を任意の位置に配置することができる。または、多くの単電池22を配置したり積層したりすることができる。このために、蓄電装置のエネルギー密度を向上させることができる。
【0079】
放電電極37aと放電電極37bとの間の距離は、密閉容器24の内部に充填される気体の種類、気圧、放電電極の形状、および放電電極の材質等に基づいて、予め定められた上限電圧にて放電が生じるように設定することができる。
【0080】
例えば、単電池22として、アルミニウムラミネートフィルムで密封され、1つの単電池22の端子22a,22b同士の電圧が5Vにて過充電となるリチウムイオン電池を準備する。このリチウムイオン電池を、38個直列に接続して密閉容器24の内部に収容して蓄電装置を形成する。また、密閉容器24の内部を2気圧の乾燥アルゴンで充填する。加圧した気体を密閉容器24の内部に充填することにより単電池22を加圧することができる。また、密閉容器24の内部に、平行平板電極の形態で第1の放電電極および第2の放電電極を配置し、第1の放電電極と第2の放電電極との間の距離を約7.9μmに設定する。
【0081】
この蓄電装置に対して、端子22aと端子22bとの間に、例えば、約192Vの電圧が印加されると、放電電極37a,37b同士の間で放電が生じて、端子22aと端子22bとの間に過度の電圧が印加されることを抑制できる。また、蓄電装置の過充電を抑制することができる。すなわち、1つの単電池に約5Vより大きな電圧が印加されることを抑制することができるために、過充電を抑制することができる。
【0082】
本実施の形態における単電池の外装体は、外部から圧力が加わったときに変形可能な材質にて形成されているが、この形態に限られず、外部から圧力が加わっても変形しない材質を採用しても構わない。また、本実施の形態における蓄電装置の容器は、内部が密閉可能に形成されているが、この形態に限られず、単電池の周りに放電を生じさせる気体の雰囲気を形成可能な任意の容器を採用することができる。
【0083】
本実施の形態における単電池は、リチウムイオン電池を例に取り上げて説明したが、この形態に限られず、二次電池であれば、任意の電池を採用することができる。また、本実施の形態におけるリチウムイオン電池は、電解質が固体である全固体電池を例示したが、この形態に限られず、正極層と負極層との間に配置される電解質が液体であっても構わない。また、正極層と負極層との間にセパレータ等が配置されていても構わない。
【0084】
その他の構成、作用および効果については、実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。
【0085】
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される変更が含まれている。
【符号の説明】
【0086】
22 単電池
22a,22b 端子
22c 外装体
24 密閉容器
30 正極層
31 負極層
32 電界質層
33,33a,33b 集電体
35 電池要素
36 接続部材
37a,37b 放電電極
38 積層体
40 充放電回路
50 電離気体
51 放電領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池要素を含む蓄電部を外装体に収容した全固体型の単電池であって、
外装体の内部には、不活性気体が充填されており、
蓄電部は、第1の導電性部材と第1の導電性部材よりも電位の低い第2の導電性部材とを有し、
第1の導電性部材と第2の導電性部材との間の電圧が、予め定められた上限電圧よりも大きくなった場合に、外装体の内部において気体が電離して放電が生じるように形成されていることを特徴とする、単電池。
【請求項2】
第1の導電性部材に接続されている第1の放電電極と、
第2の導電性部材に接続されている第2の放電電極とを備え、
第1の放電電極と第2の放電電極との間の距離が、第1の導電性部材と第2の導電性部材との間の距離よりも小さくなるように形成されており、
第1の導電性部材と第2の導電性部材との間の電圧が、予め定められた上限電圧よりも大きくなった場合に、第1の放電電極と第2の放電電極との間で放電が生じる、請求項1に記載の単電池。
【請求項3】
外装体の内部に充填される気体は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンおよび窒素のうち少なくとも一つの気体を含む、請求項1または2に記載の単電池。
【請求項4】
充電が可能な蓄電部、蓄電部を収容する外装体、および外装体から突出する端子を含む単電池と、
少なくとも一つの単電池を内部に収容する容器とを備え、
容器の内部には、不活性気体が充填されており、
単電池の端子は、第1の端子と第1の端子よりも電位の低い第2の端子とを含み、
第1の端子と第2の端子との間の電圧が、予め定められた上限電圧よりも大きくなった場合に、容器の内部において気体が電離して放電が生じるように形成されていることを特徴とする、蓄電装置。
【請求項5】
第1の端子に接続されている第1の放電電極と、
第2の端子に接続されている第2の放電電極とを備え、
第1の放電電極と第2の放電電極との間の距離が、第1の端子と第2の端子との間の距離よりも小さくなるように形成されており、
第1の端子と第2の端子との間の電圧が、予め定められた上限電圧よりも大きくなった場合に、第1の放電電極と第2の放電電極との間で放電が生じる、請求項4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
複数の単電池を備え、
1つの単電池の正極側の端子が第1の端子を構成し、他の単電池の負極側の端子が第2の端子を構成する、請求項4または5に記載の蓄電装置。
【請求項7】
容器は密閉可能に形成されている密閉容器を含み、
単電池の外装体は、外部から圧力が加わることにより変形可能に形成されており、
密閉容器の内部に充填されている気体は、大気圧よりも大きくなるように加圧されている、請求項4から6のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項8】
単電池を収容する容器の内部に充填される気体は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンおよび窒素のうち少なくとも一つの気体を含む、請求項4から7のいずれか一項に記載の蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−93135(P2013−93135A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233109(P2011−233109)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】