印刷および同類用のマーキング部材・基板間界面の予熱
【課題】熱源に必要なエネルギの総量を削減することができ。その上、必要に応じた加熱を提供し、それによってウォームアップ時間を削減、未利用の熱エネルギを削減することができるシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】基板22と近隣のマーキング部材18との定着を促進するために、基板22(またはマーキング部材18)の予熱が用いられる。基板22とマーキング部材18との間の界面となる部材を主として加熱すること、および印刷システム10内で基板22(またはマーキング部材18)への加熱ポイントとマーキング挟持部との間の距離を最小化することによって、マーキング部材18を基板22表面20に加える前に、熱エネルギが放散する時間量が最小化され、さらにエネルギ消費を削減するために、対処可能な加熱が用いられてもよい。その上に、急速な、必要に応じた加熱を提供するために、光加熱を使用することができる。
【解決手段】基板22と近隣のマーキング部材18との定着を促進するために、基板22(またはマーキング部材18)の予熱が用いられる。基板22とマーキング部材18との間の界面となる部材を主として加熱すること、および印刷システム10内で基板22(またはマーキング部材18)への加熱ポイントとマーキング挟持部との間の距離を最小化することによって、マーキング部材18を基板22表面20に加える前に、熱エネルギが放散する時間量が最小化され、さらにエネルギ消費を削減するために、対処可能な加熱が用いられてもよい。その上に、急速な、必要に応じた加熱を提供するために、光加熱を使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、(印刷などの)積層転写方法およびこの方法用のシステムに関し、さらに詳しくはトナーなどのイメージング部材が用紙などの基板へ加えられる場所である界面の予熱に関する。
【背景技術】
【0002】
積層転写システムは、マーキング部材を基板上に加えるさまざまな装置のうちの1つを使用する。1つの周知の例は、例えば印刷、複写、ファクシミリなどに使用される電子写真装置である。このような装置では、感光性ドラムまたはウェブ(巻き取り紙)が光によって露出されて、その上に潜像を形成する。典型的にはトナーにより、画像が現像される。用紙などの基板へトナーが転写され、熱および圧力によりトナーが基板へ定着され、それによって潜像または現像された画像から永続的画像を作り出す。
【0003】
電子写真装置の典型的な定着段階では、2つのローラが所望の圧力で互いに接触し、それによってローラ間の接触線に沿って挟持部(ニップ=nip)を形成する。一方のまたは両方のローラが、例えばローラスリーブまたはコアの一部を形成する電気的エレメントによって加熱される。それゆえに、このようなシステムは加熱加圧定着器(HPF=hot pressure fuser)と呼ばれる。1つの変形例では、ウェブまたはベルトはローラのうちの1つを取り替え、ローラかそれともベルトかまたは両方とも加熱される。ローラとベルトとの接触領域は、挟持部を形成する。いずれにしても、トナー担持基板(現像画像を含む)が挟持部を通過すると、熱および圧力はトナーを軟化させまたは溶解し、それによって基板および近隣のトナー粒子に定着させる。
【0004】
しかしながら、加熱加圧定着器は、電子写真装置の全エネルギ経費の大部分ではないにしても、典型的にはかなりの部分を消費している。加えて、典型的な加熱加圧定着器は、動作温度まで加熱するのが相対的に遅く、それゆえに電子写真装置が動作状態までウォームアップするのに必要な時間の主要な原因となる。
【0005】
エネルギ消費および動作可能待機時間を削減するために、HPFの代替策が研究されている。このような代替策は、冷間圧力定着(CPF=cold pressure fusing)および温間圧力定着(WPF=warm pressure fusing)を含む。これらの名前が示唆するように、これらの代替策は、それぞれ周囲温度でおよび周囲温度を少し上回る温度で、定着しようとする。これを成し遂げるために、相対的に低温度で定着する特別なトナーが開発されてきた。しかしながら、低温度でトナー粒子の定着が立証されてはいるものの、CPFおよびWPFがともに直面する重要な問題は、基板へのトナーの定着不足である。この一理由は、基板表面の隙間(例えば、繊維間のまたはコーティング部材間の小孔)内へのトナーの流量が少ないことであり、結果的に機械的接着不足になると推測される。
【0006】
トナーがすでに加えられている基板を加熱する代わりに、トナーを加える前の、からの基板が加熱されてもよいことが知られている。これは、マルチパスシステム、ならびに感光性ウェブおよび圧力転写挟持部を使用するシステムにおいて有益である。しかしながら、このような基板予熱システムは、依然として2つのローラ、または1つのローラおよびベルトを使用し、ローラ、ベルトまたは両方のうちの一部として電気加熱エレメントを含む。本明細書において使用されるように、予熱という用語は、マーキング部材を基板に加える前に、基板、マーキング部材などの、システムのエレメントを加熱することを指す。
【0007】
さらにトナー自体を、定着の前に予熱することができることが知られている。これは、加熱されたプールからトナーを取り出すことか、それとも加熱された転写ウェブまたはドラムにトナーを加えることかによって成し遂げられる。しかしながらこれらの方法では、トナーは、トナーの一表面または別の表面を加熱することを顧慮せずにバルクで加熱されるか、それとも最終的に基板に接触する側とは反対側から加熱されるかいずれかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
定着する界面を圧力定着の前に加熱する際に消費されるエネルギを最小化するために、マーキング部材と基板との界面において、一方または両方のエレメントを加熱する装置の配置を選択することに、当技術分野で十分に注意を払われたことはなかった。さらに、定着するマーキング部材と基板との間の界面を圧力定着の前に加熱する際に消費されるエネルギを最小化する、熱源および熱伝達部材のタイプに対する調査は不十分であった。最後に、マーキング部材および/または基板の加熱サイクルをより速くして、上述した装置のウォームアップ時間問題に対処する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
それに応じて、本開示は、例えば電子写真マーキングシステムにおいて、積層転写システム用に、マーキング部材を基板に定着するまたは溶融定着するためのエネルギ消費を効率化し、低下させるシステムおよび方法を対象とする。本開示は、特にマーキング部材を基板に定着することに関して、電子写真マーキングシステムにおける急速なウォームアップ時間をもたらすシステムおよび方法も対象とする。
【0010】
本開示の一態様によれば、シリンダーなどの熱伝達部材は、基板およびマーキング部材が互いに接触する場所、すなわちマーキング部材・基板間界面で、基板、マーキング部材、または両方の一部に、吸収、伝導、対流などによって熱エネルギを付与する熱源を設けられる。本明細書では、「吸収」は、光エネルギの吸収などの放射エネルギの吸収を意味すると意図される。一実施形態では、熱源は抵抗加熱器である。別の実施形態では、熱源は、別の電気式、電気機械式の発光体(例えば、フィラメント、レーザなど)または電気化学式熱源でもよい。熱伝達部材は、基板にもっとも近いまたは物理的に接触しており、この基板は自身の上にマーキング部材を受けて定着することになる。熱源を駆動するエネルギ、およびそれゆえにこの熱源によって生成される熱量は、トナーが基板内へ定着することを可能にするための最小量の熱エネルギだけが、基板へ伝達されるように制御される。典型的にはこれは、熱伝達部材が熱を基板に付与するポイントが、マーキング部材が基板へ加えられる場所である挟持部に物理的に近接していることを意味する。本開示が統合化された種々のシステムが、熱伝達ポイントと挟持部との間の近接性の種々の度合いを定義することになるものの、本開示の概念および物理的に近接した状態という用語の使用は、熱伝達ポイントと挟持部との間の距離を最小化するための、システムエレメントおよびシステム動作の意図のある設計を包含し、さらになお効果的な予熱をもたらすと意味される。
【0011】
熱伝達ポイントと挟持部との間の距離が最小化されると、放熱時間が最小化されることになる。すなわち、基板を予熱するのに必要な熱エネルギ量が最小化される。その上に、これは典型的には、基板の厚さの一部分だけであって、好ましくは、マーキング部材がこの厚さ方向のすべてとは限らないがある程度まで加えられることになる場所である、表面から反対の表面へ広がる一部分、が加熱されて、この場合もさらに、効果的な基板予熱に必要となる熱エネルギを最小化する、ことを意味する。
【0012】
本開示の別の態様によれば、この熱源は、抵抗加熱器の代わりに発光ダイオード(LED=light emitting diode)バーまたはアレイ、固体レーザ・バーまたはアレイなどの光源である。ここで「光」は、人間の裸眼で視認できるか否か(例えば、可視光、赤外線など)を問わず、任意の出力波長の任意の電磁気源を意味すると意図されることが理解されよう。この場合、円筒形の熱伝達部材は、光源によって放出された光の波長において光学的に高吸収性であるように選択された部材から成る熱吸収層を含んでもよい。光源は、吸収性のコーティングが塗布された透明なシリンダー内に配置されてもよい。光源は、透明なシリンダーを通して吸収性コーティングを照射する。代わりの構成としては、光源は、吸収性コーティングを直接に照射するように、シリンダーにもっとも近くかつ外側に配置されてもよい。光源の1つの利点は、熱伝達部材(および最終的には基板)の一部を選択的に加熱して、基板を予熱するのに消費されるエネルギを削減する能力である(すなわち、マーキング部材を受けない一部の基板を加熱するために使われるはずのエネルギを節約する)。光源の別の利点は、熱伝達部材の所望の部分を急速に加熱し、それゆえに装置のウォームアップ時間を削減する能力である。
【0013】
本開示のさらに別の態様によれば、熱伝達部材は、熱源に設けられたウェブまたはベルトである。この場合も、熱源は、吸収、伝導、対流などを経由してもよく、抵抗加熱器または別の電気式、電気機械式もしくは電気化学式加熱器を含んでもよく、または光源でもよい。本開示のこの態様によってもたらされる1つの利点は、ベルトがより長い期間の間基板と接触し、それによって熱伝達部材から基板へさらに効果的な熱伝達をもたらすことである。
【0014】
本開示のさらに別の態様によれば、基板を予熱する代わりに、マーキング部材が予熱される。典型的にはこれは、熱源から、基板上に堆積されることになるマーキング部材を運ぶドラム、ウェブまたはプレートの一領域へ、熱エネルギを向けることによって成し遂げることができる。熱源は、この場合も抵抗加熱器または別の電気式、電気機械式もしくは電気化学式加熱器でもよくまたは光源でもよい。熱源を駆動するエネルギ、およびそれゆえにこの熱源によって生成される熱量は、マーキング部材が基板内へおよび近隣の任意のマーキング部材と、定着することを可能にするための最小量の熱エネルギだけが、基板へ伝達されるように制御される。典型的にはこれは、熱伝達部材が熱をマーキング部材に付与するポイントが、マーキング部材が基板へ加えられる場所である挟持部に物理的に近接していることを意味する。その上に、これは典型的には、ドラム、ウェブまたはプレート上のマーキング部材の山の厚さの一部分だけであって、好ましくは、この厚さ方向のすべてとは限らないがある程度まで基板へ加えられるマーキング部材の表面から、ドラム、ウェブ、プレートなどと接触している反対の表面へ広がる一部分、が加熱される、ことを意味する。もちろん基板およびマーキング部材がともに、上述した装置によって同様に予熱されてもよい。
【0015】
本開示のさらに追加の態様によれば、熱伝達部材は、ローラでもウェブでもなく、むしろマーキング部材が基板へ加えられるポイントに極めて近接して配置されるように形成され、形作られた部材である。この部材の正確な断面形状は、アプリケーションによって変化することになるが、しかし一例は、基板のマーキング部材側上の圧力ドラムとマーキング部材を受ける基板表面との間のくさび状領域において近接して適合する、大略、三角形の断面を有する部材である。この態様によれば、熱伝達部材は、抵抗加熱器または別の電気式、電気機械式もしくは電気化学式加熱器を含む熱源を用いてもよい。代わりの構成としては、熱源は、マーキング部材が基板へ加えられるポイントに極めて近接して光エネルギが加えられるように、プリズムなどの、適切に形作られたミラーまたはレンズを通して向けられてもよい。熱源は、基板、マーキング部材、または両方を加熱してもよい。本開示のこの態様の利点は、マーキング部材を基板表面に加える前に、熱エネルギが放散する時間量が最小化され、すなわち熱源を駆動するのに必要なエネルギの総量を最小値に保つことができることを意味することである。
【0016】
上述した各態様では、熱源を駆動するエネルギ量およびそれゆえにこの熱源によって生成される熱エネルギ量は、基板へのマーキング部材の効果的な定着をもたらすのに必要な量に制限される。必要とする実際のエネルギ量は、マーキング部材、基板、挟持部に加えられる圧力、動作環境温度、湿度、および圧力、システムを通じた基板の行程速度などの多くの要因に依存することになる。しかしながら、マーキング部材が基板へ加えられるポイントに物理的に近接した予熱部材を位置付けることによって、基板および/またはマーキング部材を加熱して定着を支援するために消費されるエネルギは、最小化することができる。その上に、ウォームアップ時間の削減から利益を得るアプリケーションでは、光源などの適切な熱源の選択が、エネルギ使用量の最小化およびウォームアップ時間の削減をともにもたらすことができる。この部材を基板に定着することに続いて、マーキング部材および基板の両端間に圧力を加えることなどの、他の手段がマーキング部材の定着を完了するために使用することができる。結果として、基板へ十分に定着され、十分に溶融定着されたマーキング部材層がもたらされる。
【0017】
本明細書に添付された図面において、類似の参照番号は、種々の図面間の類似のエレメントを示す。図面は、説明に役立つが、一定の縮尺では描かれていない。以下に図面の説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本開示に従う基板予熱熱伝達部材を含む電子写真印刷システムの一部分における最初の実施形態の側面図である。
【図2】図1に示される基板予熱熱伝達部材を含む電子写真印刷システムの一部分における実施形態の別の側面図であり、基板への熱伝達を図示する。
【図3】本開示に従う基板予熱熱伝達部材を含む電子写真印刷システムの一部分における別の実施形態の側面図であり、マーキング部材を基板に加える前に基板およびマーキング部材へともに熱伝達する様子を図示する。
【図4】本開示に従う光加熱機構を含む電子写真印刷システムの一部分における別の実施形態の側面図であり、同様に基板への熱伝達を図示する。
【図5】図5Aおよび図5Bは、それぞれいっしょに動作するおよび独立に動作する光加熱機構が、内部に配置されたローラ熱伝達部材の切り取り斜視図である。
【図6】本開示に従うベルト型基板予熱熱伝達部材を含む電子写真印刷システムの一部分におけるさらに別の実施形態の側面図である。
【図7】本開示に従うマーキング部材特定型予熱装置を含む電子写真印刷システムの一部分におけるさらに別の実施形態の側面図である。
【図8】本開示に従うマーキング挟持部から最小限の間隔で形作られ配置された基板予熱熱伝達部材を含む電子写真印刷システムの一部分におけるさらに追加の実施形態の側面図である。
【図9】図9A、図9B、および図9Cは、それぞれミラー、レンズ、またはプリズムなどの光部材、および光熱源を含む基板予熱熱伝達部材であって、それぞれ本開示に従うマーキング挟持部から最小限の間隔で配置される基板予熱熱伝達部材、を含む電子写真印刷システムの一部分における別の実施形態のいくつかの変形例の側面図である。
【図10】本開示の一実施形態に従うヒートパイプ式熱伝達部材のシステムの側面図である。
【図11】本開示の一実施形態に従うヒートパイプ式熱伝達部材のコンポーネントの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、本開示に従う電子写真印刷システム10の一部分における最初の実施形態が、その中に示される。システム10は、圧力/ガイドドラム12、14の対を含む。圧力/ガイドドラム12は、マーキング部材18を基板22の主要な表面20に供給する転写面ウェブ16を運ぶ。ベルト16はトランスフィックス型ベルトでもよく、すなわちマーキング部材18が、現像後に感光性部材(図示されない)からトランスフィックス型ベルトへ転写される、またはマーキング部材18自体が感光性部材でもよいことを意味する。図1の実施形態は、ウェブ16によって運ばれたマーキング部材18を示すものの、本開示の教示は、マーキング部材18がドラム12によって直接運ばれるシステムへ、またはウェブ16が、類似の機能性を有する別のエレメントによって取り替えられるシステムへ、等しく適用されることも理解されよう。
【0020】
システム10は、さらに熱伝達部材26、28の対を含む。熱伝達部材26は、マーキング部材18を受ける表面であって基板22の表面20にもっとも近く位置され、他方で熱伝達部材28は、表面20と反対の表面24にもっとも近く位置される。一実施形態では、熱伝達部材26、28はローラであり、基板22がシステム10を通過しながら、基板22と物理的に接触しているように配置される。熱伝達部材26は、加熱機構30を備え、少なくとも熱伝達部材26の外面を加熱する。一実施形態では、加熱機構30は、熱伝達部材26内に配置された抵抗性加熱エレメントであり、導通される(すなわち電流が加熱機構30へ加えられる)と、加熱機構30が発光体熱エネルギを熱伝達部材26の表面へ供給するようにする。別の実施形態では、加熱機構30は、熱伝達部材26の外部に位置されてもよく、発光体フィラメント加熱器、熱風加熱器、または要するに、熱伝達部材26の表面を制御可能なように加熱することができる、任意の電気式、電気機械式もしくは電気化学式加熱器でもよい。熱伝達部材28は、典型的には分離した加熱機構と関連付けられないことになり、その表面は、一般には動作の間、周囲の温度となる。
【0021】
動作中、基板22が熱伝達部材26、28の間を通過しながら、基板22の表面20は加熱される。以下でさらに説明されるように、消費電力を最小化するために、基板22は、表面20へ加えられるマーキング部材が表面20に定着するのに足りるだけ、加熱される。次いで基板22は熱伝達部材26、28から抜け出て、マーキング部材を運ぶウェブ16の表面が表面20と物理的に接触する(または近接した状態にされる)と、マーキング部材18は、挟持部32において表面20へ加えられる。
【0022】
図2を参照して、基板22の加熱がさらに説明される。基本的には、基板22へのマーキング部材18の定着(および基板22への定着ポイントにおけるマーキング部材粒子同士の定着)を促進するのに必要な熱エネルギの最小量だけを付与することが、目標となる。これを成し遂げるために、表面20は、熱伝達部材26のそばを通過する。それによって熱エネルギは、基板22内へ伝達されて、基板22内に境界等温線を作り出す。熱伝達部材26との接触と挟持部32との接触の間における、基板22内の熱エネルギの放散を考慮して、挟持部32における表面20の温度が基板22内へのマーキング部材の定着を可能にするために、基板22内へ伝達された熱エネルギがちょうど足りるように、熱伝達部材26の表面の温度が制御される。例えば、陰影を付けられた領域34は、熱伝達部材26から生じる熱を図示し、図2に示されるように、基板22内に境界等温線34’の形成を含んでいる。一般に境界等温線34’は、大略、熱伝達部材26の表面20との接触領域と、ウェブ16の表面20との接触領域との間の側面部分へ制限される。その上に、tが基板22の厚さの場合、次いで加熱された領域34の深さd1は、挟持部32の領域内の基板22の温度が定着することを可能にするのに足りるという条件で、d1<tとなるようにしてもよい。挟持部32における基板22の温度が、マーキング部材18の定着を促進するのに足りているので、基板22へ新たに付与されるどんな熱エネルギも、浪費されることになる。
【0023】
基板を予熱するのに消費されるエネルギを削減するために、熱伝達部材26を挟持部32に近接して位置することが望ましいことが、上述した説明から理解されよう。すなわち、熱伝達部材26の表面20との接触領域と、ウェブ16の表面20との接触領域との間の距離S1を最小化することが望ましい。これは、有益なことに、図3に図示された状態をもたらすことができ、この状態では、熱伝達部材26によって放射された熱が、基板22だけでなくウェブ16上のマーキング部材18も、熱伝達部材26に近接して通過しながら予熱することができる。一部の実施形態では、これにより、基板22へ供給される必要がある熱エネルギがより少なくて済むので、有利な場合がある。一部の実施形態では、これは、加熱される必要がある基板22の部分がより小さくて済むことを意味する(すなわち、d2<d1)。これは、このような実施形態では、全エネルギ消費はより低下することができることを意味する。
【0024】
上述した実施形態では、加熱機構は電気式、電気機械式または電気化学式と仮定されていた。本開示は、そのようには制限されない。図4に関してシステム40が示され、その中で加熱機構42は、発光ダイオード(LED)バーまたはアレイ、固体レーザ・バーまたはアレイなどの光熱源である。光源の利点は、オンとオフとの間で迅速に循環し、したがって必要なときにかつ必要となるときにだけ、熱伝達部材44の所望の一部を急速に加熱し、それによって装置ウォームアップ時間および余分のエネルギ使用量を削減する能力である。光源の別の利点は、熱伝達部材44の特定の部分を選択的に加熱し、他方で別の部分を加熱しない能力であり、以下でさらに説明されることになる。
【0025】
熱伝達部材44は、光加熱機構42の放出波長において光学的に透明なローラまたは円筒形ドラム46で構成される。熱吸収層48は、光源によって放出された光の波長において吸収性の高い部材から成り、ローラ46へ、典型的にはローラ46の外面上へ加えられる。ローラまたは円筒形ドラム46は円筒形空洞を定義し、光加熱機構42がその中に配置されてもよい。光加熱機構42からの光エネルギ(ビーム50)が、ドラム46の放射状に内部へ向かう表面から、ドラム46の放射状に外部へ向かう表面への(すなわち、ドラム46を通って放射状に外部へ向かう)方向に送られ、層48によって吸収され、その結果として上述した領域34、34’内へ熱エネルギが伝搬する。ドラム46の内部へ向かう表面上の反射防止コーティング(図示されない)が、層48による吸収および/または吸収率を改善してもよい。
【0026】
光加熱機構42は、図4に図示された単一のビームを放出する、単一の放出装置でもよく、他方で光加熱機構は、一般にビーム50に平行に、ローラ46の軸の長さに沿って広がる多重光ビームを生成することができる多重放出装置でもよい。これは、4つの発光ダイオードバーを図示する図5Aに図示されるが、この数は任意であり、より多くてもより少なくてもよいし、1次元のビーム列を備えたバーでもよくまたは2次元のビームアレイを備えたアレイでもよく、本開示のアプリケーションに依存する。
【0027】
一部の実施形態では、光加熱機構42を含むバーまたはアレイ内の各放出体は、図5Aに示されるように、いっしょに動作する。図5Bに図示されたような別の実施形態では、各バーまたはアレイ内の個々の放出体は、独立に動作する。独立した動作により、定着が基板22の一部の領域内で行われることになるときに、これらの領域が加熱され、他方でマーキング部材を受けない領域は熱エネルギを供給されないという、望ましい選択肢が与えられる。例えば、所与の時間t1において、一部の放出体は動作しているが、別の放出体は動作していない。後の時間t2において、異なる組の放出体が動作してもよい。マーキング部材の配置に合わせて放出体の動作を調整するために、ソフトウェアが使用され、その結果、マーキング部材が加えられることになる場所で選択された放出体が、一ラインずつまたは一ピクセルずつの基準で、このマーキング部材を受けることになる基板の一部を加熱するように動作してもよい。個々に対処可能な光源により、熱伝達部材44の一部を選択的に加熱し(最終的には基板22を加熱し)、基板22を予熱するのに消費されるエネルギを削減することが可能となる。
【0028】
すぐ上で説明した実施形態が、熱伝達部材44のコア内に配置された光加熱機構42を含む一方で、本開示の範囲内には、光加熱エレメントを熱伝達部材44(図示されない)の外部に設けることが含まれる。多重光ビームを生成することができる、単一または多重放出体のレーザ・ダイオード、レーザ、ラスタ・光スキャナ、ならびに他の装置およびシステムが、このような外部源の例である。このような場合には、光加熱機構42の出力は、吸収層48へ向けられる。このような配置により、ローラ46が光学的に透明である必要性、およびローラ46内に光加熱機構42を収容できるのに必要な、相対的に広い空洞領域の必要性は、不要となる。
【0029】
上述した実施形態がローラを熱伝達部材として利用したが、他の装置が本明細書において考えられる。例えば、図6は、加熱ベルト62、64の対を含むシステム60を図示する。図6に示される実施形態では、光加熱機構66が用いられるが、電気式、電気機械式または電気化学式加熱機構が、本明細書においてあらかじめ説明されたやり方で代用されてもよい。ベルト64は、光加熱機構66によって放出された光の波長において吸収性の表面を有するように選択される。その上に、ベルト62と表面20との間の接触領域が直線状に示されるものの、大きい半径のカーブに渡って接触するなどの、別の配置が可能であり、これにより、表面20に対してベルト62をぴんと張った状態にすることが可能となる。一般に、ベルト62と表面20との間で接触領域をより大きくし、接触をより長くすると、ベルト62から基板22への熱エネルギのさらに効率的な伝達が可能となる。加えてベルト62は、ローラ68、69によって駆動されおよび/またはローラ上に乗り、これらのローラは、一般に上述した熱伝達部材(すなわち、図1の部材26)を含むローラよりも小さい直径を有することになる。これにより、熱エネルギ源を挟持部へより近接して位置決めする(すなわち、長さsを削減する)ことが可能となって、基板22を加熱して定着を可能にするのに必要なエネルギ量をさらに削減する。
【0030】
すぐ上で説明された実施形態では、加熱機構は光であり、ベルト62の外部に配置される。しかしながら、加熱機構66がローラ68、69の間に位置され、ウェブ62を背面から(すなわち、内側から)照射してもよいことを理解されたい。その上に、熱エネルギは、電気式、電気機械式または電気化学式加熱器によって供給されてもよく、この加熱器は、ローラ68、69の間に、またはローラ68、69のうちの一方もしくは両方に配置されてもよい(図示されない)。
【0031】
ドラムまたはベルトの加熱に対する代替策は、基板および他のマーキング部材との定着が促進されるように、マーキング部材を加熱することである。このように行う一実施形態は、図3に関して上述した。図3に示される実施形態が、基板およびマーキング部材をともに加熱するものの、マーキング部材だけを加熱する実施形態は、本開示によって考えられる。熱伝達部材26は、基板22を加熱せず、上述したようにマーキング部材18だけを加熱するように位置付けられてもよい。しかしながら図7に示される別の実施形態では、一実施形態70は、ウェブ16によって運ばれるマーキング部材の山を個々に対処することができる光加熱機構72を含む。この場合も光加熱機構72は、発光ダイオード(LED)バーまたはアレイ、固体レーザ・バーまたはアレイなどを含んでもよい。光加熱機構72の各放出体は、個々に対処可能であり、その結果、光が単に生成され、ウェブ16の裸の表面上ではなくマーキング部材の山の上に入射されて、全駆動エネルギが最小化されるようにしてもよい。これは典型的には、ウェブ(またはドラムもしくはプレート)上のマーキング部材山18の厚さの一部分だけであって、好ましくは、この厚さ方向のすべてとは限らないがある程度まで基板へ加えられるマーキング部材の表面から、ドラム、ウェブ、プレートなどと接触している反対の表面へ広がる一部分、が加熱される、ことを意味する。さらにこの場合も、必要となる光エネルギは、マーキング部材を加熱して定着を促進するのに必要な最小値だけとなるように、制御される。マーキング部材粒子間の熱伝達は、粒子間の有効な接触領域が小さいので、不足していることに留意されたい。したがって、「界面の」マーキング部材粒子によって吸収された熱は、マーキング部材粒子を互いにおよび基板へ焼結するように駆動する圧力が加えられるまで、これらの粒子に大部分は閉じ込められる。
【0032】
定着用に、基板かそれともマーキング部材かを予熱するのに必要なエネルギを最小化する一態様は、基板およびマーキング部材のうちのいずれかまたは両方を加熱する時点と、マーキング(転写)挟持部においてマーキング部材を基板に加える時点との間の時間を最小化することである。システムのスループットレートは一定である。これにより、加熱点と挟持部との間の距離を最小化するように、システム設計が制限される。したがって本開示の別の実施形態によれば、熱伝達部材は、ローラでもベルトでもなく、むしろマーキング部材が基板へ加えられるポイントに極めて近接して配置されるように形成され、形作られた部材である。この部材の正確な断面形状は、アプリケーションによって変化することになるが、一例80が図8に図示される。上述したエレメントに加えて、システム80は、圧力ドラム12の周りを包むようなウェブ16のマーキング部材側面と基板表面20との間のくさび状領域に極めて近接して適合する、実質的にくさび状のまたは三角形の断面を有する熱伝達部材82を含む。この実施形態によれば、熱伝達部材82は、抵抗加熱器、または電気式、電気機械式または電気化学式加熱器などの他の任意のエネルギ源を含む熱源を用いてもよい。
【0033】
図9A、図9B、および図9Cは、別の実施形態のいくつかの変形例を図示し、これらの変形例は、マーキング部材が加えられるポイントに極めて近接した基板(または同等に、マーキング部材)への熱エネルギの供給を促進し、したがって未使用の熱エネルギが最小限となるような、基板(または同等に、マーキング部材)の予熱を可能にする。図9Aを参照して、熱伝達部材86aは、光ビームBを生成する光加熱機構88a(LEDバー、アレイ、固体レーザなど)を含み、図9Aに図示された実施形態ではミラーを含むエレメントであって、適切に位置付けられた光エレメント90aが、光ビームBを表面20へ(または図示されないマーキング部材18へ)向ける。図9Bを参照して、この場合も熱伝達部材86bは、光ビームBを生成する光加熱機構88b(LEDバー、アレイ、固体レーザなど)を含む。この変形例ではレンズ90bが、ビームBの焦点を表面20に合わせる。最後に、図9Cを参照して、この場合も熱伝達部材86cは、光ビームBを生成する光加熱機構88c(LEDバー、アレイ、固体レーザなど)を含む。この変形例ではプリズム90cが、ビームBを表面20上へ向ける。
【0034】
本明細書において説明された各実施形態では、光加熱エレメントは、モノリシック多重放出装置、同時動作用に接続された多重ディスクリート装置、または独立した動作用に接続された多重ディスクリート装置を、それぞれの場合、一装置ずつの基準または一放出体ずつの基準で、含んでもよい。
【0035】
図9A、図9B、および図9Cの各実施形態は、本明細書で開示されたより広い概念をただ単に例示しているだけであり、その概念は、マーキング部材が基板へ加えられるポイントに近接した状態に、熱伝達部材を意図的に設計するとともに配置し、その結果、マーキング部材が基板に定着するのを促進するまたは支援するのに、熱エネルギの最小量だけが必要となることである。
【0036】
図10および11を参照し、本開示の別の実施形態100によれば、熱伝達部材102は、ヒートパイプを含んでもよいし、またはヒートパイプで構成されてもよい。熱伝達部材102自体は、円筒形の筺体108(例えば、ヒートパイプ構造を形成する、囲われた環状の空洞を含む2重の円筒形壁)内に、加熱機構104、および密閉され流体で充填された少なくとも1つの空洞106を含む。
【0037】
空洞106は、この特定のアプリケーションにとって効果的な熱伝達が望まれる温度に近い、囲われた流体の気化圧力に対応して制御される内部圧力を維持する。空洞106の「熱い」(すなわち、発熱)部分における一定の相変化(気化)を通して、空洞106の「冷たい」(すなわち、放熱)部分への気化流体の伝達、および放熱部分の近くでの凝縮に続く、大きな熱量が、急速な相変化による熱伝達効果のために、迅速に伝達することができる。この熱伝達は、固体の壁(例えば、図1の熱伝達部材26の壁)を通した純粋な熱伝導よりも効率的に行うことができる。典型的には、ヒートパイプ内において、凝縮(液体)流体を「熱い」領域へ戻して、熱伝達サイクルを継続しようとするために、芯部材110も使用される。それゆえに、加熱機構104において生成された(加熱機構104を発生源とする)熱は、迅速におよび効率的に円筒形の筺体108の外面へ伝達することができ、引き続いて基板22へ結合することができる。
【0038】
上述した実施形態における基板(またはマーキング部材)への加熱ポイントとマーキング挟持部との間の距離を最小化することによって、マーキング部材を基板表面に加える前に、熱エネルギが放散する時間量が最小化され、すなわち熱源を駆動するのに必要なエネルギの総量を最小値に保つことができることを意味することを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本開示は、(印刷などの)積層転写方法およびこの方法用のシステムに関し、さらに詳しくはトナーなどのイメージング部材が用紙などの基板へ加えられる場所である界面の予熱に関する。
【背景技術】
【0002】
積層転写システムは、マーキング部材を基板上に加えるさまざまな装置のうちの1つを使用する。1つの周知の例は、例えば印刷、複写、ファクシミリなどに使用される電子写真装置である。このような装置では、感光性ドラムまたはウェブ(巻き取り紙)が光によって露出されて、その上に潜像を形成する。典型的にはトナーにより、画像が現像される。用紙などの基板へトナーが転写され、熱および圧力によりトナーが基板へ定着され、それによって潜像または現像された画像から永続的画像を作り出す。
【0003】
電子写真装置の典型的な定着段階では、2つのローラが所望の圧力で互いに接触し、それによってローラ間の接触線に沿って挟持部(ニップ=nip)を形成する。一方のまたは両方のローラが、例えばローラスリーブまたはコアの一部を形成する電気的エレメントによって加熱される。それゆえに、このようなシステムは加熱加圧定着器(HPF=hot pressure fuser)と呼ばれる。1つの変形例では、ウェブまたはベルトはローラのうちの1つを取り替え、ローラかそれともベルトかまたは両方とも加熱される。ローラとベルトとの接触領域は、挟持部を形成する。いずれにしても、トナー担持基板(現像画像を含む)が挟持部を通過すると、熱および圧力はトナーを軟化させまたは溶解し、それによって基板および近隣のトナー粒子に定着させる。
【0004】
しかしながら、加熱加圧定着器は、電子写真装置の全エネルギ経費の大部分ではないにしても、典型的にはかなりの部分を消費している。加えて、典型的な加熱加圧定着器は、動作温度まで加熱するのが相対的に遅く、それゆえに電子写真装置が動作状態までウォームアップするのに必要な時間の主要な原因となる。
【0005】
エネルギ消費および動作可能待機時間を削減するために、HPFの代替策が研究されている。このような代替策は、冷間圧力定着(CPF=cold pressure fusing)および温間圧力定着(WPF=warm pressure fusing)を含む。これらの名前が示唆するように、これらの代替策は、それぞれ周囲温度でおよび周囲温度を少し上回る温度で、定着しようとする。これを成し遂げるために、相対的に低温度で定着する特別なトナーが開発されてきた。しかしながら、低温度でトナー粒子の定着が立証されてはいるものの、CPFおよびWPFがともに直面する重要な問題は、基板へのトナーの定着不足である。この一理由は、基板表面の隙間(例えば、繊維間のまたはコーティング部材間の小孔)内へのトナーの流量が少ないことであり、結果的に機械的接着不足になると推測される。
【0006】
トナーがすでに加えられている基板を加熱する代わりに、トナーを加える前の、からの基板が加熱されてもよいことが知られている。これは、マルチパスシステム、ならびに感光性ウェブおよび圧力転写挟持部を使用するシステムにおいて有益である。しかしながら、このような基板予熱システムは、依然として2つのローラ、または1つのローラおよびベルトを使用し、ローラ、ベルトまたは両方のうちの一部として電気加熱エレメントを含む。本明細書において使用されるように、予熱という用語は、マーキング部材を基板に加える前に、基板、マーキング部材などの、システムのエレメントを加熱することを指す。
【0007】
さらにトナー自体を、定着の前に予熱することができることが知られている。これは、加熱されたプールからトナーを取り出すことか、それとも加熱された転写ウェブまたはドラムにトナーを加えることかによって成し遂げられる。しかしながらこれらの方法では、トナーは、トナーの一表面または別の表面を加熱することを顧慮せずにバルクで加熱されるか、それとも最終的に基板に接触する側とは反対側から加熱されるかいずれかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
定着する界面を圧力定着の前に加熱する際に消費されるエネルギを最小化するために、マーキング部材と基板との界面において、一方または両方のエレメントを加熱する装置の配置を選択することに、当技術分野で十分に注意を払われたことはなかった。さらに、定着するマーキング部材と基板との間の界面を圧力定着の前に加熱する際に消費されるエネルギを最小化する、熱源および熱伝達部材のタイプに対する調査は不十分であった。最後に、マーキング部材および/または基板の加熱サイクルをより速くして、上述した装置のウォームアップ時間問題に対処する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
それに応じて、本開示は、例えば電子写真マーキングシステムにおいて、積層転写システム用に、マーキング部材を基板に定着するまたは溶融定着するためのエネルギ消費を効率化し、低下させるシステムおよび方法を対象とする。本開示は、特にマーキング部材を基板に定着することに関して、電子写真マーキングシステムにおける急速なウォームアップ時間をもたらすシステムおよび方法も対象とする。
【0010】
本開示の一態様によれば、シリンダーなどの熱伝達部材は、基板およびマーキング部材が互いに接触する場所、すなわちマーキング部材・基板間界面で、基板、マーキング部材、または両方の一部に、吸収、伝導、対流などによって熱エネルギを付与する熱源を設けられる。本明細書では、「吸収」は、光エネルギの吸収などの放射エネルギの吸収を意味すると意図される。一実施形態では、熱源は抵抗加熱器である。別の実施形態では、熱源は、別の電気式、電気機械式の発光体(例えば、フィラメント、レーザなど)または電気化学式熱源でもよい。熱伝達部材は、基板にもっとも近いまたは物理的に接触しており、この基板は自身の上にマーキング部材を受けて定着することになる。熱源を駆動するエネルギ、およびそれゆえにこの熱源によって生成される熱量は、トナーが基板内へ定着することを可能にするための最小量の熱エネルギだけが、基板へ伝達されるように制御される。典型的にはこれは、熱伝達部材が熱を基板に付与するポイントが、マーキング部材が基板へ加えられる場所である挟持部に物理的に近接していることを意味する。本開示が統合化された種々のシステムが、熱伝達ポイントと挟持部との間の近接性の種々の度合いを定義することになるものの、本開示の概念および物理的に近接した状態という用語の使用は、熱伝達ポイントと挟持部との間の距離を最小化するための、システムエレメントおよびシステム動作の意図のある設計を包含し、さらになお効果的な予熱をもたらすと意味される。
【0011】
熱伝達ポイントと挟持部との間の距離が最小化されると、放熱時間が最小化されることになる。すなわち、基板を予熱するのに必要な熱エネルギ量が最小化される。その上に、これは典型的には、基板の厚さの一部分だけであって、好ましくは、マーキング部材がこの厚さ方向のすべてとは限らないがある程度まで加えられることになる場所である、表面から反対の表面へ広がる一部分、が加熱されて、この場合もさらに、効果的な基板予熱に必要となる熱エネルギを最小化する、ことを意味する。
【0012】
本開示の別の態様によれば、この熱源は、抵抗加熱器の代わりに発光ダイオード(LED=light emitting diode)バーまたはアレイ、固体レーザ・バーまたはアレイなどの光源である。ここで「光」は、人間の裸眼で視認できるか否か(例えば、可視光、赤外線など)を問わず、任意の出力波長の任意の電磁気源を意味すると意図されることが理解されよう。この場合、円筒形の熱伝達部材は、光源によって放出された光の波長において光学的に高吸収性であるように選択された部材から成る熱吸収層を含んでもよい。光源は、吸収性のコーティングが塗布された透明なシリンダー内に配置されてもよい。光源は、透明なシリンダーを通して吸収性コーティングを照射する。代わりの構成としては、光源は、吸収性コーティングを直接に照射するように、シリンダーにもっとも近くかつ外側に配置されてもよい。光源の1つの利点は、熱伝達部材(および最終的には基板)の一部を選択的に加熱して、基板を予熱するのに消費されるエネルギを削減する能力である(すなわち、マーキング部材を受けない一部の基板を加熱するために使われるはずのエネルギを節約する)。光源の別の利点は、熱伝達部材の所望の部分を急速に加熱し、それゆえに装置のウォームアップ時間を削減する能力である。
【0013】
本開示のさらに別の態様によれば、熱伝達部材は、熱源に設けられたウェブまたはベルトである。この場合も、熱源は、吸収、伝導、対流などを経由してもよく、抵抗加熱器または別の電気式、電気機械式もしくは電気化学式加熱器を含んでもよく、または光源でもよい。本開示のこの態様によってもたらされる1つの利点は、ベルトがより長い期間の間基板と接触し、それによって熱伝達部材から基板へさらに効果的な熱伝達をもたらすことである。
【0014】
本開示のさらに別の態様によれば、基板を予熱する代わりに、マーキング部材が予熱される。典型的にはこれは、熱源から、基板上に堆積されることになるマーキング部材を運ぶドラム、ウェブまたはプレートの一領域へ、熱エネルギを向けることによって成し遂げることができる。熱源は、この場合も抵抗加熱器または別の電気式、電気機械式もしくは電気化学式加熱器でもよくまたは光源でもよい。熱源を駆動するエネルギ、およびそれゆえにこの熱源によって生成される熱量は、マーキング部材が基板内へおよび近隣の任意のマーキング部材と、定着することを可能にするための最小量の熱エネルギだけが、基板へ伝達されるように制御される。典型的にはこれは、熱伝達部材が熱をマーキング部材に付与するポイントが、マーキング部材が基板へ加えられる場所である挟持部に物理的に近接していることを意味する。その上に、これは典型的には、ドラム、ウェブまたはプレート上のマーキング部材の山の厚さの一部分だけであって、好ましくは、この厚さ方向のすべてとは限らないがある程度まで基板へ加えられるマーキング部材の表面から、ドラム、ウェブ、プレートなどと接触している反対の表面へ広がる一部分、が加熱される、ことを意味する。もちろん基板およびマーキング部材がともに、上述した装置によって同様に予熱されてもよい。
【0015】
本開示のさらに追加の態様によれば、熱伝達部材は、ローラでもウェブでもなく、むしろマーキング部材が基板へ加えられるポイントに極めて近接して配置されるように形成され、形作られた部材である。この部材の正確な断面形状は、アプリケーションによって変化することになるが、しかし一例は、基板のマーキング部材側上の圧力ドラムとマーキング部材を受ける基板表面との間のくさび状領域において近接して適合する、大略、三角形の断面を有する部材である。この態様によれば、熱伝達部材は、抵抗加熱器または別の電気式、電気機械式もしくは電気化学式加熱器を含む熱源を用いてもよい。代わりの構成としては、熱源は、マーキング部材が基板へ加えられるポイントに極めて近接して光エネルギが加えられるように、プリズムなどの、適切に形作られたミラーまたはレンズを通して向けられてもよい。熱源は、基板、マーキング部材、または両方を加熱してもよい。本開示のこの態様の利点は、マーキング部材を基板表面に加える前に、熱エネルギが放散する時間量が最小化され、すなわち熱源を駆動するのに必要なエネルギの総量を最小値に保つことができることを意味することである。
【0016】
上述した各態様では、熱源を駆動するエネルギ量およびそれゆえにこの熱源によって生成される熱エネルギ量は、基板へのマーキング部材の効果的な定着をもたらすのに必要な量に制限される。必要とする実際のエネルギ量は、マーキング部材、基板、挟持部に加えられる圧力、動作環境温度、湿度、および圧力、システムを通じた基板の行程速度などの多くの要因に依存することになる。しかしながら、マーキング部材が基板へ加えられるポイントに物理的に近接した予熱部材を位置付けることによって、基板および/またはマーキング部材を加熱して定着を支援するために消費されるエネルギは、最小化することができる。その上に、ウォームアップ時間の削減から利益を得るアプリケーションでは、光源などの適切な熱源の選択が、エネルギ使用量の最小化およびウォームアップ時間の削減をともにもたらすことができる。この部材を基板に定着することに続いて、マーキング部材および基板の両端間に圧力を加えることなどの、他の手段がマーキング部材の定着を完了するために使用することができる。結果として、基板へ十分に定着され、十分に溶融定着されたマーキング部材層がもたらされる。
【0017】
本明細書に添付された図面において、類似の参照番号は、種々の図面間の類似のエレメントを示す。図面は、説明に役立つが、一定の縮尺では描かれていない。以下に図面の説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本開示に従う基板予熱熱伝達部材を含む電子写真印刷システムの一部分における最初の実施形態の側面図である。
【図2】図1に示される基板予熱熱伝達部材を含む電子写真印刷システムの一部分における実施形態の別の側面図であり、基板への熱伝達を図示する。
【図3】本開示に従う基板予熱熱伝達部材を含む電子写真印刷システムの一部分における別の実施形態の側面図であり、マーキング部材を基板に加える前に基板およびマーキング部材へともに熱伝達する様子を図示する。
【図4】本開示に従う光加熱機構を含む電子写真印刷システムの一部分における別の実施形態の側面図であり、同様に基板への熱伝達を図示する。
【図5】図5Aおよび図5Bは、それぞれいっしょに動作するおよび独立に動作する光加熱機構が、内部に配置されたローラ熱伝達部材の切り取り斜視図である。
【図6】本開示に従うベルト型基板予熱熱伝達部材を含む電子写真印刷システムの一部分におけるさらに別の実施形態の側面図である。
【図7】本開示に従うマーキング部材特定型予熱装置を含む電子写真印刷システムの一部分におけるさらに別の実施形態の側面図である。
【図8】本開示に従うマーキング挟持部から最小限の間隔で形作られ配置された基板予熱熱伝達部材を含む電子写真印刷システムの一部分におけるさらに追加の実施形態の側面図である。
【図9】図9A、図9B、および図9Cは、それぞれミラー、レンズ、またはプリズムなどの光部材、および光熱源を含む基板予熱熱伝達部材であって、それぞれ本開示に従うマーキング挟持部から最小限の間隔で配置される基板予熱熱伝達部材、を含む電子写真印刷システムの一部分における別の実施形態のいくつかの変形例の側面図である。
【図10】本開示の一実施形態に従うヒートパイプ式熱伝達部材のシステムの側面図である。
【図11】本開示の一実施形態に従うヒートパイプ式熱伝達部材のコンポーネントの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、本開示に従う電子写真印刷システム10の一部分における最初の実施形態が、その中に示される。システム10は、圧力/ガイドドラム12、14の対を含む。圧力/ガイドドラム12は、マーキング部材18を基板22の主要な表面20に供給する転写面ウェブ16を運ぶ。ベルト16はトランスフィックス型ベルトでもよく、すなわちマーキング部材18が、現像後に感光性部材(図示されない)からトランスフィックス型ベルトへ転写される、またはマーキング部材18自体が感光性部材でもよいことを意味する。図1の実施形態は、ウェブ16によって運ばれたマーキング部材18を示すものの、本開示の教示は、マーキング部材18がドラム12によって直接運ばれるシステムへ、またはウェブ16が、類似の機能性を有する別のエレメントによって取り替えられるシステムへ、等しく適用されることも理解されよう。
【0020】
システム10は、さらに熱伝達部材26、28の対を含む。熱伝達部材26は、マーキング部材18を受ける表面であって基板22の表面20にもっとも近く位置され、他方で熱伝達部材28は、表面20と反対の表面24にもっとも近く位置される。一実施形態では、熱伝達部材26、28はローラであり、基板22がシステム10を通過しながら、基板22と物理的に接触しているように配置される。熱伝達部材26は、加熱機構30を備え、少なくとも熱伝達部材26の外面を加熱する。一実施形態では、加熱機構30は、熱伝達部材26内に配置された抵抗性加熱エレメントであり、導通される(すなわち電流が加熱機構30へ加えられる)と、加熱機構30が発光体熱エネルギを熱伝達部材26の表面へ供給するようにする。別の実施形態では、加熱機構30は、熱伝達部材26の外部に位置されてもよく、発光体フィラメント加熱器、熱風加熱器、または要するに、熱伝達部材26の表面を制御可能なように加熱することができる、任意の電気式、電気機械式もしくは電気化学式加熱器でもよい。熱伝達部材28は、典型的には分離した加熱機構と関連付けられないことになり、その表面は、一般には動作の間、周囲の温度となる。
【0021】
動作中、基板22が熱伝達部材26、28の間を通過しながら、基板22の表面20は加熱される。以下でさらに説明されるように、消費電力を最小化するために、基板22は、表面20へ加えられるマーキング部材が表面20に定着するのに足りるだけ、加熱される。次いで基板22は熱伝達部材26、28から抜け出て、マーキング部材を運ぶウェブ16の表面が表面20と物理的に接触する(または近接した状態にされる)と、マーキング部材18は、挟持部32において表面20へ加えられる。
【0022】
図2を参照して、基板22の加熱がさらに説明される。基本的には、基板22へのマーキング部材18の定着(および基板22への定着ポイントにおけるマーキング部材粒子同士の定着)を促進するのに必要な熱エネルギの最小量だけを付与することが、目標となる。これを成し遂げるために、表面20は、熱伝達部材26のそばを通過する。それによって熱エネルギは、基板22内へ伝達されて、基板22内に境界等温線を作り出す。熱伝達部材26との接触と挟持部32との接触の間における、基板22内の熱エネルギの放散を考慮して、挟持部32における表面20の温度が基板22内へのマーキング部材の定着を可能にするために、基板22内へ伝達された熱エネルギがちょうど足りるように、熱伝達部材26の表面の温度が制御される。例えば、陰影を付けられた領域34は、熱伝達部材26から生じる熱を図示し、図2に示されるように、基板22内に境界等温線34’の形成を含んでいる。一般に境界等温線34’は、大略、熱伝達部材26の表面20との接触領域と、ウェブ16の表面20との接触領域との間の側面部分へ制限される。その上に、tが基板22の厚さの場合、次いで加熱された領域34の深さd1は、挟持部32の領域内の基板22の温度が定着することを可能にするのに足りるという条件で、d1<tとなるようにしてもよい。挟持部32における基板22の温度が、マーキング部材18の定着を促進するのに足りているので、基板22へ新たに付与されるどんな熱エネルギも、浪費されることになる。
【0023】
基板を予熱するのに消費されるエネルギを削減するために、熱伝達部材26を挟持部32に近接して位置することが望ましいことが、上述した説明から理解されよう。すなわち、熱伝達部材26の表面20との接触領域と、ウェブ16の表面20との接触領域との間の距離S1を最小化することが望ましい。これは、有益なことに、図3に図示された状態をもたらすことができ、この状態では、熱伝達部材26によって放射された熱が、基板22だけでなくウェブ16上のマーキング部材18も、熱伝達部材26に近接して通過しながら予熱することができる。一部の実施形態では、これにより、基板22へ供給される必要がある熱エネルギがより少なくて済むので、有利な場合がある。一部の実施形態では、これは、加熱される必要がある基板22の部分がより小さくて済むことを意味する(すなわち、d2<d1)。これは、このような実施形態では、全エネルギ消費はより低下することができることを意味する。
【0024】
上述した実施形態では、加熱機構は電気式、電気機械式または電気化学式と仮定されていた。本開示は、そのようには制限されない。図4に関してシステム40が示され、その中で加熱機構42は、発光ダイオード(LED)バーまたはアレイ、固体レーザ・バーまたはアレイなどの光熱源である。光源の利点は、オンとオフとの間で迅速に循環し、したがって必要なときにかつ必要となるときにだけ、熱伝達部材44の所望の一部を急速に加熱し、それによって装置ウォームアップ時間および余分のエネルギ使用量を削減する能力である。光源の別の利点は、熱伝達部材44の特定の部分を選択的に加熱し、他方で別の部分を加熱しない能力であり、以下でさらに説明されることになる。
【0025】
熱伝達部材44は、光加熱機構42の放出波長において光学的に透明なローラまたは円筒形ドラム46で構成される。熱吸収層48は、光源によって放出された光の波長において吸収性の高い部材から成り、ローラ46へ、典型的にはローラ46の外面上へ加えられる。ローラまたは円筒形ドラム46は円筒形空洞を定義し、光加熱機構42がその中に配置されてもよい。光加熱機構42からの光エネルギ(ビーム50)が、ドラム46の放射状に内部へ向かう表面から、ドラム46の放射状に外部へ向かう表面への(すなわち、ドラム46を通って放射状に外部へ向かう)方向に送られ、層48によって吸収され、その結果として上述した領域34、34’内へ熱エネルギが伝搬する。ドラム46の内部へ向かう表面上の反射防止コーティング(図示されない)が、層48による吸収および/または吸収率を改善してもよい。
【0026】
光加熱機構42は、図4に図示された単一のビームを放出する、単一の放出装置でもよく、他方で光加熱機構は、一般にビーム50に平行に、ローラ46の軸の長さに沿って広がる多重光ビームを生成することができる多重放出装置でもよい。これは、4つの発光ダイオードバーを図示する図5Aに図示されるが、この数は任意であり、より多くてもより少なくてもよいし、1次元のビーム列を備えたバーでもよくまたは2次元のビームアレイを備えたアレイでもよく、本開示のアプリケーションに依存する。
【0027】
一部の実施形態では、光加熱機構42を含むバーまたはアレイ内の各放出体は、図5Aに示されるように、いっしょに動作する。図5Bに図示されたような別の実施形態では、各バーまたはアレイ内の個々の放出体は、独立に動作する。独立した動作により、定着が基板22の一部の領域内で行われることになるときに、これらの領域が加熱され、他方でマーキング部材を受けない領域は熱エネルギを供給されないという、望ましい選択肢が与えられる。例えば、所与の時間t1において、一部の放出体は動作しているが、別の放出体は動作していない。後の時間t2において、異なる組の放出体が動作してもよい。マーキング部材の配置に合わせて放出体の動作を調整するために、ソフトウェアが使用され、その結果、マーキング部材が加えられることになる場所で選択された放出体が、一ラインずつまたは一ピクセルずつの基準で、このマーキング部材を受けることになる基板の一部を加熱するように動作してもよい。個々に対処可能な光源により、熱伝達部材44の一部を選択的に加熱し(最終的には基板22を加熱し)、基板22を予熱するのに消費されるエネルギを削減することが可能となる。
【0028】
すぐ上で説明した実施形態が、熱伝達部材44のコア内に配置された光加熱機構42を含む一方で、本開示の範囲内には、光加熱エレメントを熱伝達部材44(図示されない)の外部に設けることが含まれる。多重光ビームを生成することができる、単一または多重放出体のレーザ・ダイオード、レーザ、ラスタ・光スキャナ、ならびに他の装置およびシステムが、このような外部源の例である。このような場合には、光加熱機構42の出力は、吸収層48へ向けられる。このような配置により、ローラ46が光学的に透明である必要性、およびローラ46内に光加熱機構42を収容できるのに必要な、相対的に広い空洞領域の必要性は、不要となる。
【0029】
上述した実施形態がローラを熱伝達部材として利用したが、他の装置が本明細書において考えられる。例えば、図6は、加熱ベルト62、64の対を含むシステム60を図示する。図6に示される実施形態では、光加熱機構66が用いられるが、電気式、電気機械式または電気化学式加熱機構が、本明細書においてあらかじめ説明されたやり方で代用されてもよい。ベルト64は、光加熱機構66によって放出された光の波長において吸収性の表面を有するように選択される。その上に、ベルト62と表面20との間の接触領域が直線状に示されるものの、大きい半径のカーブに渡って接触するなどの、別の配置が可能であり、これにより、表面20に対してベルト62をぴんと張った状態にすることが可能となる。一般に、ベルト62と表面20との間で接触領域をより大きくし、接触をより長くすると、ベルト62から基板22への熱エネルギのさらに効率的な伝達が可能となる。加えてベルト62は、ローラ68、69によって駆動されおよび/またはローラ上に乗り、これらのローラは、一般に上述した熱伝達部材(すなわち、図1の部材26)を含むローラよりも小さい直径を有することになる。これにより、熱エネルギ源を挟持部へより近接して位置決めする(すなわち、長さsを削減する)ことが可能となって、基板22を加熱して定着を可能にするのに必要なエネルギ量をさらに削減する。
【0030】
すぐ上で説明された実施形態では、加熱機構は光であり、ベルト62の外部に配置される。しかしながら、加熱機構66がローラ68、69の間に位置され、ウェブ62を背面から(すなわち、内側から)照射してもよいことを理解されたい。その上に、熱エネルギは、電気式、電気機械式または電気化学式加熱器によって供給されてもよく、この加熱器は、ローラ68、69の間に、またはローラ68、69のうちの一方もしくは両方に配置されてもよい(図示されない)。
【0031】
ドラムまたはベルトの加熱に対する代替策は、基板および他のマーキング部材との定着が促進されるように、マーキング部材を加熱することである。このように行う一実施形態は、図3に関して上述した。図3に示される実施形態が、基板およびマーキング部材をともに加熱するものの、マーキング部材だけを加熱する実施形態は、本開示によって考えられる。熱伝達部材26は、基板22を加熱せず、上述したようにマーキング部材18だけを加熱するように位置付けられてもよい。しかしながら図7に示される別の実施形態では、一実施形態70は、ウェブ16によって運ばれるマーキング部材の山を個々に対処することができる光加熱機構72を含む。この場合も光加熱機構72は、発光ダイオード(LED)バーまたはアレイ、固体レーザ・バーまたはアレイなどを含んでもよい。光加熱機構72の各放出体は、個々に対処可能であり、その結果、光が単に生成され、ウェブ16の裸の表面上ではなくマーキング部材の山の上に入射されて、全駆動エネルギが最小化されるようにしてもよい。これは典型的には、ウェブ(またはドラムもしくはプレート)上のマーキング部材山18の厚さの一部分だけであって、好ましくは、この厚さ方向のすべてとは限らないがある程度まで基板へ加えられるマーキング部材の表面から、ドラム、ウェブ、プレートなどと接触している反対の表面へ広がる一部分、が加熱される、ことを意味する。さらにこの場合も、必要となる光エネルギは、マーキング部材を加熱して定着を促進するのに必要な最小値だけとなるように、制御される。マーキング部材粒子間の熱伝達は、粒子間の有効な接触領域が小さいので、不足していることに留意されたい。したがって、「界面の」マーキング部材粒子によって吸収された熱は、マーキング部材粒子を互いにおよび基板へ焼結するように駆動する圧力が加えられるまで、これらの粒子に大部分は閉じ込められる。
【0032】
定着用に、基板かそれともマーキング部材かを予熱するのに必要なエネルギを最小化する一態様は、基板およびマーキング部材のうちのいずれかまたは両方を加熱する時点と、マーキング(転写)挟持部においてマーキング部材を基板に加える時点との間の時間を最小化することである。システムのスループットレートは一定である。これにより、加熱点と挟持部との間の距離を最小化するように、システム設計が制限される。したがって本開示の別の実施形態によれば、熱伝達部材は、ローラでもベルトでもなく、むしろマーキング部材が基板へ加えられるポイントに極めて近接して配置されるように形成され、形作られた部材である。この部材の正確な断面形状は、アプリケーションによって変化することになるが、一例80が図8に図示される。上述したエレメントに加えて、システム80は、圧力ドラム12の周りを包むようなウェブ16のマーキング部材側面と基板表面20との間のくさび状領域に極めて近接して適合する、実質的にくさび状のまたは三角形の断面を有する熱伝達部材82を含む。この実施形態によれば、熱伝達部材82は、抵抗加熱器、または電気式、電気機械式または電気化学式加熱器などの他の任意のエネルギ源を含む熱源を用いてもよい。
【0033】
図9A、図9B、および図9Cは、別の実施形態のいくつかの変形例を図示し、これらの変形例は、マーキング部材が加えられるポイントに極めて近接した基板(または同等に、マーキング部材)への熱エネルギの供給を促進し、したがって未使用の熱エネルギが最小限となるような、基板(または同等に、マーキング部材)の予熱を可能にする。図9Aを参照して、熱伝達部材86aは、光ビームBを生成する光加熱機構88a(LEDバー、アレイ、固体レーザなど)を含み、図9Aに図示された実施形態ではミラーを含むエレメントであって、適切に位置付けられた光エレメント90aが、光ビームBを表面20へ(または図示されないマーキング部材18へ)向ける。図9Bを参照して、この場合も熱伝達部材86bは、光ビームBを生成する光加熱機構88b(LEDバー、アレイ、固体レーザなど)を含む。この変形例ではレンズ90bが、ビームBの焦点を表面20に合わせる。最後に、図9Cを参照して、この場合も熱伝達部材86cは、光ビームBを生成する光加熱機構88c(LEDバー、アレイ、固体レーザなど)を含む。この変形例ではプリズム90cが、ビームBを表面20上へ向ける。
【0034】
本明細書において説明された各実施形態では、光加熱エレメントは、モノリシック多重放出装置、同時動作用に接続された多重ディスクリート装置、または独立した動作用に接続された多重ディスクリート装置を、それぞれの場合、一装置ずつの基準または一放出体ずつの基準で、含んでもよい。
【0035】
図9A、図9B、および図9Cの各実施形態は、本明細書で開示されたより広い概念をただ単に例示しているだけであり、その概念は、マーキング部材が基板へ加えられるポイントに近接した状態に、熱伝達部材を意図的に設計するとともに配置し、その結果、マーキング部材が基板に定着するのを促進するまたは支援するのに、熱エネルギの最小量だけが必要となることである。
【0036】
図10および11を参照し、本開示の別の実施形態100によれば、熱伝達部材102は、ヒートパイプを含んでもよいし、またはヒートパイプで構成されてもよい。熱伝達部材102自体は、円筒形の筺体108(例えば、ヒートパイプ構造を形成する、囲われた環状の空洞を含む2重の円筒形壁)内に、加熱機構104、および密閉され流体で充填された少なくとも1つの空洞106を含む。
【0037】
空洞106は、この特定のアプリケーションにとって効果的な熱伝達が望まれる温度に近い、囲われた流体の気化圧力に対応して制御される内部圧力を維持する。空洞106の「熱い」(すなわち、発熱)部分における一定の相変化(気化)を通して、空洞106の「冷たい」(すなわち、放熱)部分への気化流体の伝達、および放熱部分の近くでの凝縮に続く、大きな熱量が、急速な相変化による熱伝達効果のために、迅速に伝達することができる。この熱伝達は、固体の壁(例えば、図1の熱伝達部材26の壁)を通した純粋な熱伝導よりも効率的に行うことができる。典型的には、ヒートパイプ内において、凝縮(液体)流体を「熱い」領域へ戻して、熱伝達サイクルを継続しようとするために、芯部材110も使用される。それゆえに、加熱機構104において生成された(加熱機構104を発生源とする)熱は、迅速におよび効率的に円筒形の筺体108の外面へ伝達することができ、引き続いて基板22へ結合することができる。
【0038】
上述した実施形態における基板(またはマーキング部材)への加熱ポイントとマーキング挟持部との間の距離を最小化することによって、マーキング部材を基板表面に加える前に、熱エネルギが放散する時間量が最小化され、すなわち熱源を駆動するのに必要なエネルギの総量を最小値に保つことができることを意味することを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーキング部材を基板上に付着する方法であって、
マーキング部材の潜像を転写面上に形成するステップと、
前記基板および前記マーキング部材のうちの少なくとも一方を加熱するステップであって、該加熱するステップが、引き続いてマーキング部材・基板間界面となる、前記基板およびマーキング部材のうちの前記少なくとも一方の一部へ制限されるように加熱するとともに、界面のマーキング部材が前記基板に定着することを可能にするのに十分な期間だけ、加熱するステップと、
前記基板と前記転写面とを物理的に近接した状態にするステップであって、前記マーキング部材が前記転写面から前記基板へ転写されるように近接した状態にし、それによって前記基板およびマーキング部材のうちの少なくとも一方の加熱ステップが、前記基板において前記マーキング部材の定着を促進する、近接した状態にするステップを含み、
引き続いて前記マーキング部材・基板間界面となる、前記基板およびマーキング部材のうちの前記少なくとも一方の前記一部の前記加熱ステップが、前記基板において前記マーキング部材の定着を促進するのに必要な最小期間だけであるようにし、それによって前記定着に必要なエネルギを節約する、方法。
【請求項2】
前記基板およびマーキング部材のうちの少なくとも一方の前記加熱ステップは、引き続いて前記マーキング部材・基板間界面となる、前記基板およびマーキング部材のうちの前記少なくとも一方の一部において、前記加熱ステップが前記一部の外側よりも大きくなるようにし、さらに、吸収、伝導、および対流で構成される群から選択された加熱方法によって成し遂げられ、
前記加熱ステップは、前記転写面に近接して配置された熱伝達部材と関連付けられた加熱エレメントを作動させるステップによってもたらされ、
前記基板と前記熱伝達部材とを物理的に近接した状態にするステップは、前記熱伝達部材が熱エネルギを前記基板に伝達して、前記基板内に高温度領域を作り出すようにする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱伝達部材は、該熱伝達部材の外面上に光吸収層を含み、
前記加熱エレメントを作動させるステップは、光熱源を作動させるステップであって、該光熱源の出力の少なくとも一部が前記光吸収層へ向けられるようにするステップを含み、
前記熱伝達部材を加熱するステップは、前記光熱源によって前記光吸収層を加熱するステップを含み、熱エネルギを前記基板に伝達して、前記基板内に高温度領域を作り出す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記光加熱エレメントは、前記光熱源の放出波長において実質上光学的に透明な円筒形ドラムであり、
前記円筒形ドラムは、円筒形空洞を定義し、
前記光熱源は、前記円筒形空洞内に配置され、該光熱源からの光ビーム出力が、前記円筒形ドラムの放射状の内面から前記円筒形ドラムの放射状の外面への方向に向けられるように方向付けられ、
前記熱吸収層は、前記円筒形ドラムの前記放射状の外面上に配置されて、前記光熱源による前記光ビーム出力の少なくとも一部が、前記円筒形ドラムを通過後、前記熱吸収層上に入射するようにする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
さらに、
前記転写面上の前記マーキング部材と前記熱伝達部材とを物理的に近接した状態にするステップであって、前記マーキング部材内の高温度領域内で、前記高温度領域の外側よりも大きな量となるまで、前記吸収層が熱エネルギを前記マーキング部材に伝達するようにする、ステップと、
前記基板と前記転写面とを物理的に近接した状態にするステップであって、前記マーキング部材が、少なくとも前記高温度領域内で十分な熱を保持するようにし、それによって、前記マーキング部材の前記高温度領域内の前記温度がさらに前記マーキング部材の定着を促進する、ステップとを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記マーキング部材内の前記高温度領域は、前記マーキング部材の全厚未満の厚さである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記熱伝達部材は、前記熱吸収層が配置された表面を有するベルトであり、
前記加熱エレメントは、前記ベルトの前記表面へ向けられ、
前記ベルトおよび前記基板の前記表面は、熱エネルギが前記ベルトの前記表面から前記基板へ伝達されるように、物理的に近接した状態にされる、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記熱伝達部材は、実質的にくさび状の断面を有し、それによって前記マーキング部材が前記転写面から前記基板へ転写される場所に極めて近接して、該熱伝達部材を配置させるようにし、それによって前記定着に必要なエネルギをさらに節約する、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記熱伝達部材は、光ビームを放出する光加熱エレメントと、前記マーキング部材が前記転写面から前記基板へ転写される場所に極めて近接して位置付けられた光エレメントとを含み、前記光エレメントは、前記マーキング部材が前記転写面から前記基板へ転写される前記場所に同様に極めて近接した前記基板の領域に、前記光ビームを向け、それによって前記定着に必要なエネルギをさらに節約する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記光エレメントは、前記ビームの少なくとも一部を前記基板へ向け、プリズム、ミラー、およびレンズで構成される群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項1】
マーキング部材を基板上に付着する方法であって、
マーキング部材の潜像を転写面上に形成するステップと、
前記基板および前記マーキング部材のうちの少なくとも一方を加熱するステップであって、該加熱するステップが、引き続いてマーキング部材・基板間界面となる、前記基板およびマーキング部材のうちの前記少なくとも一方の一部へ制限されるように加熱するとともに、界面のマーキング部材が前記基板に定着することを可能にするのに十分な期間だけ、加熱するステップと、
前記基板と前記転写面とを物理的に近接した状態にするステップであって、前記マーキング部材が前記転写面から前記基板へ転写されるように近接した状態にし、それによって前記基板およびマーキング部材のうちの少なくとも一方の加熱ステップが、前記基板において前記マーキング部材の定着を促進する、近接した状態にするステップを含み、
引き続いて前記マーキング部材・基板間界面となる、前記基板およびマーキング部材のうちの前記少なくとも一方の前記一部の前記加熱ステップが、前記基板において前記マーキング部材の定着を促進するのに必要な最小期間だけであるようにし、それによって前記定着に必要なエネルギを節約する、方法。
【請求項2】
前記基板およびマーキング部材のうちの少なくとも一方の前記加熱ステップは、引き続いて前記マーキング部材・基板間界面となる、前記基板およびマーキング部材のうちの前記少なくとも一方の一部において、前記加熱ステップが前記一部の外側よりも大きくなるようにし、さらに、吸収、伝導、および対流で構成される群から選択された加熱方法によって成し遂げられ、
前記加熱ステップは、前記転写面に近接して配置された熱伝達部材と関連付けられた加熱エレメントを作動させるステップによってもたらされ、
前記基板と前記熱伝達部材とを物理的に近接した状態にするステップは、前記熱伝達部材が熱エネルギを前記基板に伝達して、前記基板内に高温度領域を作り出すようにする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱伝達部材は、該熱伝達部材の外面上に光吸収層を含み、
前記加熱エレメントを作動させるステップは、光熱源を作動させるステップであって、該光熱源の出力の少なくとも一部が前記光吸収層へ向けられるようにするステップを含み、
前記熱伝達部材を加熱するステップは、前記光熱源によって前記光吸収層を加熱するステップを含み、熱エネルギを前記基板に伝達して、前記基板内に高温度領域を作り出す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記光加熱エレメントは、前記光熱源の放出波長において実質上光学的に透明な円筒形ドラムであり、
前記円筒形ドラムは、円筒形空洞を定義し、
前記光熱源は、前記円筒形空洞内に配置され、該光熱源からの光ビーム出力が、前記円筒形ドラムの放射状の内面から前記円筒形ドラムの放射状の外面への方向に向けられるように方向付けられ、
前記熱吸収層は、前記円筒形ドラムの前記放射状の外面上に配置されて、前記光熱源による前記光ビーム出力の少なくとも一部が、前記円筒形ドラムを通過後、前記熱吸収層上に入射するようにする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
さらに、
前記転写面上の前記マーキング部材と前記熱伝達部材とを物理的に近接した状態にするステップであって、前記マーキング部材内の高温度領域内で、前記高温度領域の外側よりも大きな量となるまで、前記吸収層が熱エネルギを前記マーキング部材に伝達するようにする、ステップと、
前記基板と前記転写面とを物理的に近接した状態にするステップであって、前記マーキング部材が、少なくとも前記高温度領域内で十分な熱を保持するようにし、それによって、前記マーキング部材の前記高温度領域内の前記温度がさらに前記マーキング部材の定着を促進する、ステップとを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記マーキング部材内の前記高温度領域は、前記マーキング部材の全厚未満の厚さである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記熱伝達部材は、前記熱吸収層が配置された表面を有するベルトであり、
前記加熱エレメントは、前記ベルトの前記表面へ向けられ、
前記ベルトおよび前記基板の前記表面は、熱エネルギが前記ベルトの前記表面から前記基板へ伝達されるように、物理的に近接した状態にされる、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記熱伝達部材は、実質的にくさび状の断面を有し、それによって前記マーキング部材が前記転写面から前記基板へ転写される場所に極めて近接して、該熱伝達部材を配置させるようにし、それによって前記定着に必要なエネルギをさらに節約する、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記熱伝達部材は、光ビームを放出する光加熱エレメントと、前記マーキング部材が前記転写面から前記基板へ転写される場所に極めて近接して位置付けられた光エレメントとを含み、前記光エレメントは、前記マーキング部材が前記転写面から前記基板へ転写される前記場所に同様に極めて近接した前記基板の領域に、前記光ビームを向け、それによって前記定着に必要なエネルギをさらに節約する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記光エレメントは、前記ビームの少なくとも一部を前記基板へ向け、プリズム、ミラー、およびレンズで構成される群から選択される、請求項9に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−42954(P2012−42954A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175545(P2011−175545)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】
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