説明

印刷キャリブレーション処理装置、画像形成装置、印刷キャリブレーション処理方法、画像形成方法

【課題】印刷用紙に印刷する画像の裏写りによる画質の劣化を防止できる印刷キャリブレーション処理装置の提供。
【解決手段】階調特性生成用の濃度の異なる複数のパッチをテスト画像として画像形成部に出力するテスト画像出力部と、前記画像形成部で前記テスト画像を印刷用紙に印刷したテストチャートの印刷面および裏面の画像を読み取って、印刷面および裏面の階調特性データを生成する階調特性データ生成部と、前記階調特性データ生成部で生成した印刷面の階調特性と裏面の階調特性に基づいて、最大階調の補正値を決定する階調補正データ作成部と、前記階調補正データ作成部で作成した階調補正データを格納する階調補正データ格納部と、前記階調補正データ格納部に格納する階調補正データにより、前記画像形成部へ出力する画像データを階調補正する階調補正部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書に記載の実施形態は、印刷用紙の印刷面に印刷する画像が、印刷面とは反対の裏面側に写る、いわゆる裏写りを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、MFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置において、文字等の画像を印刷する印刷媒体である用紙については、例えば再生紙、厚い用紙や薄い用紙等の種々の特性の用紙について使用可能としている。
【0003】
ところで、使用する用紙の特性、あるいは印刷画像の濃度等によっては、印刷用紙に浸透した色材が印刷用紙の裏面側から視認できる裏写りが生じることがある。この裏写りは、例えば片面印刷では裏面側の体裁を悪くする。また、片面印刷および両面印刷では、色材の滲みを伴うため、印刷面における画質の劣化を招き、両面印刷では、印刷面の画像が裏写りする画像と重なると判読が困難となる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、印刷用紙に印刷する画像の裏写りによる画質の劣化を防止できる印刷キャリブレーション処理装置、画像形成装置、印刷キャリブレーション処理方法、画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る印刷キャリブレーション処理装置は、一つの観点として、階調特性生成用の濃度の異なる複数のパッチをテスト画像として画像形成部に出力するテスト画像出力部と、前記画像形成部で前記テスト画像を印刷用紙に印刷したテストチャートの印刷面および裏面の画像を読み取って、印刷面および裏面の階調特性データを生成する階調特性データ生成部と、前記階調特性データ生成部で生成した印刷面の階調特性と裏面の階調特性に基づいて、最大階調の補正値を決定して階調補正データを作成する階調補正データ作成部と、前記階調補正データ作成部で作成した階調補正データを格納する階調補正データ格納部と、前記階調補正データ格納部に格納する階調補正データにより、前記画像形成部へ出力する画像データを階調補正する階調補正部と、を有する印刷キャリブレーション処理装置に従う。
【0006】
本実施形態に係る画像形成装置は、一つの観点として、原稿画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部で読み取った画像データを受け取って印刷用紙に画像を印刷する画像形成部と、階調特性生成用の濃度の異なる複数のパッチをテスト画像として前記画像形成部に出力するテスト画像出力部と、前記画像形成部で前記テスト画像を印刷用紙に印刷したテストチャートの印刷面および裏面の画像を前記画像読取部で読み取り、読み取った印刷面および裏面の階調特性データを生成する階調特性データ生成部と、前記階調特性データ生成部で生成した印刷面の階調特性と裏面の階調特性に基づいて、最大階調の補正値を決定して階調補正データを作成する階調補正データ作成部と、前記階調補正データ作成部で作成した階調補正データを格納する階調補正データ格納部と、前記階調補正データ格納部に格納する階調補正データにより、前記画像形成部へ出力する画像データを階調補正する階調補正部と、を有する画像形成装置に従う。
【0007】
本実施形態に係る印刷キャリブレーション処理方法は、一つの観点として、階調特性生成用の濃度の異なる複数のパッチをテスト画像として画像形成部に出力し、前記画像形成部で前記テスト画像を印刷用紙に印刷したテストチャートの印刷面および裏面の画像を読み取って、印刷面および裏面の階調特性データを生成し、前記生成した印刷面の階調特性と裏面の階調特性に基づいて、最大階調の補正値を決定して階調補正データを作成し、前記作成した階調補正データを階調補正データ格納部に格納し、前記階調補正データ格納部に格納する階調補正データにより、前記画像形成部へ出力する画像データを階調補正する、印刷キャリブレーション処理方法に従う。
【0008】
本実施形態に係る画像形成方法は、一つの観点として、原稿画像読取部で読み取った画像データを受け取って印刷用紙に画像を印刷し、階調特性生成用の濃度の異なる複数のパッチをテスト画像として画像形成部に出力し、前記画像形成部で前記テスト画像を印刷用紙に印刷したテストチャートの印刷面および裏面の画像を読み取って、印刷面および裏面の階調特性データを生成し、前記生成した印刷面の階調特性と裏面の階調特性に基づいて、最大階調の補正値を決定して階調補正データを作成し、前記作成した階調補正データを階調補正データ格納部に格納し、前記階調補正データ格納部に格納する階調補正データにより、前記画像形成部へ出力する画像データを階調補正する、画像形成方法に従う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態の画像形成装置を示す縦断面図。
【図2】図1の画像形成装置を含む画像処理システムの構成を示す。
【図3】図1に示す画像形成装置のハードウエア構成の一例を示す。
【図4】キャリブレーション処理部のブロック図を示す。
【図5】キャリブレーション処理部の動作を示すフローチャート。
【図6】プリントしたテストチャートを示す。
【図7】(A)はテストチャートの表面を読み込んで印刷した図、(B)はテストチャートの裏面を読み込んで印刷した図。
【図8】(A)は裏写りの階調補正を要する階調特性データを示し、(B)は裏写り減少のための階調補正データを示す。
【図9】(A)は裏写りの階調補正を不要とする階調特性データを示し、(B)は裏写り減少補正を不要とする階調補正データを示す。
【図10】裏写りの階調補正を行って印刷するフローチャート。
【図11】第2の実施形態を示すフローチャートで、片面および両面印刷に対応するキャリブレーション処理部の処理動作を示す。
【図12】(A)は第2の実施形態における階調特性データを示し、(B)は片面印刷用の階調補正データを示し、(C)は両面印刷用の階調補正データを示す。
【図13】裏写りの階調補正を行って印刷する第2の実施形態のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態に係る印刷キャリブレーション処理装置を備えた画像形成装置を図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
第1の実施形態
図1は本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図で、プリンタ機能、コピー機能、原稿両面読み取り機能等を備えた画像形成装置の一例である複合機(MFP(Multi Function Peripheral)とする)を示す。図2は、図1の画像形成装置を含む画像処理システムの構成を示す。図3は図1に示す画像形成装置のハードウエア構成の一例を示す。図4はキャリブレーション処理部のブロック図を示す。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態による画像形成装置1は、画像読取部Rと、画像形成部Pと、を備えている。また、図2に示すように、パソコン等の端末装置30は印刷ジョブなどの印刷データを生成し、ネットワーク31を介して画像形成装置1に送信する。画像形成装置1は、送信された印刷データを受け、印刷データに応じた画像を印刷用紙上に出力する。
【0013】
画像読取部Rは、シート原稿およびブック原稿の画像をスキャンして読み取る機能を有している。画像読取部Rは、原稿台ガラス2の下方に走査光学系3と、走査光学系3により導かれた原稿反射光を受光する受光部4を配置している。また、画像読取部Rは、自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)5を原稿台ガラス2の上部に開閉可能に配置し、原稿台ガラス2に隣接して配置したADF用のスリットガラス6まで原稿を自動搬送する。
【0014】
原稿台ガラス2に載置した原稿を読み取る場合、原稿面を下向きにして原稿台ガラス2に載置し、スタートボタンを押すと、原稿の読み取りが開始される。原稿の読み取りが開始されると、副走査方向に移動する走査光学系3により原稿が照明され、原稿の反射光が受光部4に導かれて原稿が読み取られる。したがって、原稿の原稿面を上向きにして原稿台ガラス2に載置し、原稿の読み取りを行うと、原稿の裏面側が読み取られる。
【0015】
画像形成部Pは、画像読取部Rにて原稿から読み取られた画像や外部機器から画像形成装置に送信された画像データ等に基づいて、シートに現像剤像を形成する機能を有している。画像形成部Pは、複数段に給紙カセットを備えた給紙カセット部7と、中間転写ベルト8と、感光体ドラムや現像器等からなるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の画像形成プロセス部(プリントエンジン部)9(9Y,9M,9C,9K)、定着装置10および排出トレイ11を備えている。また、画像形成部Pは、給紙カセットから給紙されたシートの片面に印刷を行った後、シートを反転し、再度、画像形成プロセス部に導く自動両面ユニットを備える。
【0016】
本実施形態による画像形成装置1は、CPU(制御部)21、メモリ部22、ハードディスク部(記憶装置)23、キャリブレーション処理部24、通信インターフェース(I/F)25、ユーザーインターフェース(UI)26、表示部27等を備えている。
【0017】
CPU21は、メモリ部22または記憶装置23に格納された画像処理プログラムに基づいて所定の処理を実行し、画像形成装置の動作を制御する。
【0018】
メモリ部22は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)等から構成されることができ、画像形成装置において利用される種々の情報やプログラムを格納する役割を有している。
【0019】
ここで、画像形成プロセス部9(9Y,9M,9C,9K)は、現像剤像をシートに転写するための各色の感光体の感光面上に静電潜像を形成し、各色の現像器により感光体の感光面上に形成された静電潜像を現像し顕像化する。このようにして各色の感光体上に形成する現像剤像を、中間転写ベルト8のベルト面上に転写し(いわゆる、一次転写)、中間転写ベルト8の回転によって搬送される現像剤像を、所定の二次転写位置Tにて、搬送されるシート上に転写する。
【0020】
シート上に転写された現像剤像は、定着装置10にてシートに対して加熱定着される。現像剤象が加熱定着されたシートは、複数の搬送ローラ対によって搬送路内を搬送され、排出トレイ11上に順次排出される。
【0021】
図4はキャリブレーション処理部24のブロック図を示し、表示部27の選択スイッチを操作してキャリブレーション動作が選択されると動作を開始する。キャリブレーション処理部24は、裏写り防止の対象となる用紙を積載した給紙カセットの用紙に対してテスト画像を形成するためのテスト画像出力部41を有し、テスト画像出力部41からテスト画像を画像形成部Pに出力する。図6は裏写り防止対象となる用紙にテスト画像を印刷したテストチャートTCを示す。図6のテストチャーチTCは、濃度の異なる複数のパッチを副走査方向に沿って濃度の薄いパッチから濃いパッチに順に形成している。
【0022】
キャリブレーション処理部24は、テストチャートTCの濃度を読み取る濃度読取部42を有し、本実施形態では濃度読取部42として画像読取部Rを用いている。具体的には、原稿台ガラス2にテストチャートTCの印刷面を下向きにして印刷面を読み取る表面読取処理と、続いて印刷面を上向きにして印刷面と反対の裏面を読み取る裏面読取処理によって、表裏両面の画像濃度を読み取り、表面および裏面のパッチの濃度値を演算する。そして、濃度読取部42の読取結果に基づいて、階調補正データ作成部43で裏写りを減少させる階調補正データの作成を行う。
【0023】
ここで、図7(A)は濃度読取部42で読み取ったテストチャートTCの印刷面の印刷結果、図7(B)は同じくテストチャートTCの裏面の印刷結果を示す。
【0024】
濃度読取部42で演算した表裏両面の濃度値の一例を図8(A)に示す。図8(A)は、横軸にパッチデータ値(階調)、縦軸に濃度値を示し、45度の傾きを有する直線の特性線は、目標階調特性線を示す。図6のテストチャートTCの表面の濃度は、目標階調特性線よりも濃度値が低階調から高階調に渡って高めに出力され、最大階調よりも手前側のX点で飽和する。
【0025】
一方、裏面濃度は、図7(B)に示すように、低階調から中間階調に渡っては裏写りがなく、中間階調から高階調に渡って裏写りが発生している。
【0026】
ここで、階調補正データ作成部43は、裏面濃度階調特性データにおいて、予め設定した裏写りが許容できる濃度限界値Dに対応するパッチデータ値Yを求める。裏面濃度は、パッチデータ値Yよりも越えて存在しており、許容できる濃度以上の裏写りが存在する。また、印刷面である表面濃度の飽和点Xは裏面のパッチデータ値Yよりも大きい。すなわち、裏面パッチデータ値Yを越えないように表面の濃度値を決定すれば、選択した用紙での裏写りが低減できる。そして、中間階調については、目標階調特性線を境にして表面濃度の階調特性線と逆の特性線を階調補正データとする。図8(B)は階調補正データの特性線を示す。
【0027】
階調補正データ作成部43で作成した、例えば図8(B)に示す階調補正データを階調補正データ格納部44に格納し、実際のプリント時に階調補正部45に送信して印刷用画像データを補正し、画像形成部Pに出力する。
【0028】
図8(A)は、許容できない裏写りが発生した場合を示し、図9(A)に示すように、裏面の濃度が予め設定した裏面濃度限界値Dを超えない場合、Y(Yは実質的に無限大)>Xであるため、図9(B)に示すように、表面濃度の飽和点Xのパッチデータ値(階調)を階調補正データの最大値となるように階調補正データを作成する。
【0029】
なお、図8(A)、図9(A)において、裏面濃度限界値Dを一定値としているが、調整できるようにしてもよい。
【0030】
図5は、キャリブレーション処理部24の処理動作を示し、キャリブレーションを開始すると、テスト画像出力部41からテストチャート画像を出力し(ACT1)、画像形成部Pからテストチャートを出力(印刷)する(ACT2)。その後、濃度読取部42において、この片面印刷したテストチャートのパッチの濃度値を表面および裏面について読み取る(ACT3)。階調補正データ作成部43は、ACT3で読み取った表面および裏面の濃度値に基づいて、階調補正データを作成し(ACT4)、階調補正データ格納部44に階調補正データを格納する(ACT5)。
【0031】
次に、キャリブレーション処理部24で、キャリブレーション処理が終了後、パソコン30からの印刷データが画像形成装置1に送信されると、図10に示すフローチャートに従って、裏写りの低減された印刷が行われる。
【0032】
図10において、画像形成装置1は、パソコン30から印刷データを受信すると(ACT11)、先ず、階調補正部45は階調補正データ格納部44に格納している階調補正データを受け取る(ACT12)。そして、階調補正部45は階調補正データに基づいて印刷画像データの階調特性を補正する(ACT13)。その後、画像形成部Pは階調補正後の印刷用画像データにより印刷を行う(ACT14)。したがって、印刷済みの用紙は、裏写りが低減される。
【0033】
なお、本実施形態は、テストチャートの濃度値を読み取って裏写りの低減した階調補正を行っているが、読み取ったCIELABのL*値を使用して明度により階調補正データを作成してもよい。
【0034】
第2の実施形態
上記した第1の実施形態において、キャリブレーション処理部24は、片面印刷時の裏写りの低減処理について説明したが、本実施形態では、片面印刷時と両面印刷時の両方の印刷時の裏写り低減処理について説明する。
【0035】
図4に示すキャリブレーション処理部24は、キャリブレーションを開始すると、テスト画像出力部41からテストチャート画像を出力し(ACT21)、画像形成部Pからテストチャートを出力(印刷)する(ACT22)。その後、濃度読取部42において、この片面印刷したテストチャートのパッチの濃度値を表面および裏面について読み取る(ACT23)。階調補正データ作成部43は、ACT23で読み取った表面および裏面の濃度値に基づいて、階調補正データを作成し(ACT24)、階調補正データ格納部44に階調補正データを格納する(ACT25)。
【0036】
濃度読取部42は、読み取ったテストチャートの各パッチの表面、裏面の濃度値を演算する。そして、その結果は、例えば図12(A)に示す階調特性データのグラフのように示される。この図からわかるように表面濃度と裏面濃度の階調特性の両方がグラフ上に示される。
【0037】
濃度読取部42で読み取ったテストチャートの各パッチの表面、裏面の濃度値が、例えば、図12(A)のような階調特性を持つとする。表面濃度は、パッチデータ値(階調)のXの点で階調飽和をしている。また、裏面濃度は、Yの点で、あらかじめ決められた第1裏面濃度限界値(片面印刷用)D1を越えている。また、裏面濃度は、Zの点で、あらかじめ決められた第2裏面濃度限界値(両面印刷用)D2を越えている。このような場合、図8(A)と同様に、Y<Xなので、図12(B)に示すYのパッチデータ値(階調)を階調補正データの最大値となるように片面印刷用階調補正データを作成する。また、この階調補正データの中間値は、目標階調特性と対称なるように作成する。なお、第1裏面濃度限界値(片面印刷用)D1と、第2裏面濃度限界値(両面印刷用)D2を調整可能としても良い。
【0038】
次に、Z<Xなので、図12(C)に示すように、Zのパッチデータ値(階調)を階調補正データの最大値となるように両面印刷用階調補正データを作成する。また、この階調補正データの中間値は、目標階調特性と対称となるように作成する。
【0039】
以上により、第2の実施形態によれば、片面印刷時、両面印刷時において、それぞれの裏面の限界濃度を越えない階調補正データを作成することができる。両面印刷時に裏写りによる視認性の悪さを解決したキャリブレーションが実現できる。
【0040】
図13は、本第2の実施形態におけるパソコン30からの印刷データを印刷するフローチャートを示す。
【0041】
画像形成装置1がパソコン30からの印刷用画像データを受信する(ACT31)。続いて印刷モードの指定が両面か片面かの判定をする(ACT32)。両面印刷指定の場合は、階調補正部45が階調補正データ格納部44から両面印刷時階調補正データを受け取る(ACT33)。また、片面印刷指定の場合は、階調補正部が階調補正データ格納部44から片面印刷時階調補正データを受け取る(ACT36)。そして、階調補正部45は、階調補正データに基づいて印刷用画像データを補正する(ACT34)。その後、画像形成部Pは階調補正後の印刷用画像データを印刷する(ACT35)。
【0042】
なお、ここまでは濃度値で使って説明したが、読み取ったCIELABのL*値を使用して明度により片面印刷用階調補正データと両面印刷用階調補正データを作成しても良い。
【0043】
本第2の実施形態によれば、両面印刷時に裏写りによる視認性の悪さを解決したキャリブレーションを提供することができる。
【0044】
なお、上記した各実施形態では、パッチをモノクロで形成しているが、有彩色で形成してもよい。
【0045】
図4で説明した処理は、画像形成装置1に設けられた記憶領域に予め記憶されているプログラムを内部データ処理用CPU21に実行させる場合を例示したがプログラムをネットワークからからMFP1にダウンロードしても良く、プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶させたものをMFP1にインストールしても良い。記録媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば良い。記録媒体としては、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DRAM、SRAM(Static Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)、フラッシュメモリを用いることができる。
【0046】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施できる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0047】
1 画像形成装置(MFP)
R 画像読取部、P 画像形成部
2 原稿台ガラス
3 走査光学系
4 受光部
5 自動原稿搬送装置(ADF)
21 CPU(制御部)、22 メモリ部
24 キャリブレーション処理部
41 テスト画像出力部
42 濃度読取部
43 階調補正データ作成部
44 階調補正データ格納部
45 階調補正部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
階調特性生成用の濃度の異なる複数のパッチをテスト画像として画像形成部に出力するテスト画像出力部と、
前記画像形成部で前記テスト画像を印刷用紙に印刷したテストチャートの印刷面および裏面の画像を読み取って、印刷面および裏面の階調特性データを生成する階調特性データ生成部と、
前記階調特性データ生成部で生成した印刷面の階調特性と裏面の階調特性に基づいて、最大階調の補正値を決定して階調補正データを作成する階調補正データ作成部と、
前記階調補正データ作成部で作成した階調補正データを格納する階調補正データ格納部と、
前記階調補正データ格納部に格納する階調補正データにより、前記画像形成部へ出力する画像データを階調補正する階調補正部と、
を有する印刷キャリブレーション処理装置。
【請求項2】
前記階調補正データ作成部は、裏面階調特性データに対し、設定する裏面濃度の限界値に対応する階調を最大階調とする階調補正データを作成する請求項1に記載の印刷キャリブレーション処理装置。
【請求項3】
前記階調補正データ作成部は、裏面階調特性データに対し、濃度値の異なる2つの裏面濃度の限界値を設定し、濃度値の高い第1裏面濃度限界値に対応する階調を片面印刷用の最大階調とする片面印刷用階調補正データと、濃度値の低い第2裏面濃度限界値に対応する階調を両面印刷用の最大階調とする両面印刷用階調補正データを作成する請求項1に記載の印刷キャリブレーション処理装置。
【請求項4】
原稿画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部で読み取った画像データを受け取って印刷用紙に画像を印刷する画像形成部と、
階調特性生成用の濃度の異なる複数のパッチをテスト画像として前記画像形成部に出力するテスト画像出力部と、
前記画像形成部で前記テスト画像を印刷用紙に印刷したテストチャートの印刷面および裏面の画像を前記画像読取部で読み取り、読み取った印刷面および裏面の階調特性データを生成する階調特性データ生成部と、
前記階調特性データ生成部で生成した印刷面の階調特性と裏面の階調特性に基づいて、最大階調の補正値を決定して階調補正データを作成する階調補正データ作成部と、
前記階調補正データ作成部で作成した階調補正データを格納する階調補正データ格納部と、
前記階調補正データ格納部に格納する階調補正データにより、前記画像形成部へ出力する画像データを階調補正する階調補正部と、
を有する画像形成装置。
【請求項5】
前記階調補正データ作成部は、裏面階調特性データに対し、設定する裏面濃度の限界値に対応する階調を最大階調とする階調補正データを作成する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記階調補正データ作成部は、裏面階調特性データに対し、濃度値の異なる2つの裏面濃度の限界値を設定し、濃度値の高い第1裏面濃度限界値に対応する階調を片面印刷用の最大階調とする片面印刷用階調補正データと、濃度値の低い第2裏面濃度限界値に対応する階調を両面印刷用の最大階調とする両面印刷用階調補正データを作成する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
階調特性生成用の濃度の異なる複数のパッチをテスト画像として画像形成部に出力し、
前記画像形成部で前記テスト画像を印刷用紙に印刷したテストチャートの印刷面および裏面の画像を読み取って、印刷面および裏面の階調特性データを生成し、
前記生成した印刷面の階調特性と裏面の階調特性に基づいて、最大階調の補正値を決定して階調補正データを作成し、
前記作成した階調補正データを階調補正データ格納部に格納し、
前記階調補正データ格納部に格納する階調補正データにより、前記画像形成部へ出力する画像データを階調補正する、
印刷キャリブレーション処理方法。
【請求項8】
前記階調補正データは、裏面階調特性データに対し、設定する裏面濃度の限界値に対応する階調を最大階調とする請求項7に記載の印刷キャリブレーション処理方法。
【請求項9】
前記階調補正データは、裏面階調特性データに対し、濃度値の異なる2つの裏面濃度の限界値を設定し、濃度値の高い第1裏面濃度限界値に対応する階調を片面印刷用の最大階調とする片面印刷用階調補正データと、濃度値の低い第2裏面濃度限界値に対応する階調を両面印刷用の最大階調とする両面印刷用階調補正データである請求項7に記載の印刷キャリブレーション処理方法。
【請求項10】
原稿画像読取部で読み取った画像データを受け取って印刷用紙に画像を印刷し、
階調特性生成用の濃度の異なる複数のパッチをテスト画像として画像形成部に出力し、
前記画像形成部で前記テスト画像を印刷用紙に印刷したテストチャートの印刷面および裏面の画像を読み取って、印刷面および裏面の階調特性データを生成し、
前記生成した印刷面の階調特性と裏面の階調特性に基づいて、最大階調の補正値を決定して階調補正データを作成し、
前記作成した階調補正データを階調補正データ格納部に格納し、
前記階調補正データ格納部に格納する階調補正データにより、前記画像形成部へ出力する画像データを階調補正する、
画像形成方法。
【請求項11】
前記階調補正データは、裏面階調特性データに対し、設定する裏面濃度の限界値に対応する階調を最大階調とする請求項10に記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記階調補正データは、裏面階調特性データに対し、濃度値の異なる2つの裏面濃度の限界値を設定し、濃度値の高い第1裏面濃度限界値に対応する階調を片面印刷用の最大階調とする片面印刷用階調補正データと、濃度値の低い第2裏面濃度限界値に対応する階調を両面印刷用の最大階調とする両面印刷用階調補正データである請求項10に記載の画像形成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−234354(P2011−234354A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91774(P2011−91774)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】