説明

印刷システム及びサーバ

【課題】 印刷枚数が制限枚数を超える場合に、他の適切な印刷装置から制限枚数を譲ってもらうことが可能な印刷システムを提供する。
【解決手段】 各MFPにはそれぞれサーバによって印刷制限枚数(100枚)が設定される。第3MFPは、5回目の印刷により残枚数が5枚となった後、6回目に10枚の印刷要求があった場合、残枚数が5枚不足しているため、サーバに対し、その5枚分を要求枚数とした、制限枚数の譲渡要求を行う。これに対しサーバは、他の各MFPから印刷履歴情報を取得し、各MFPの印刷頻度に基づいて適切なMFP(第4MFP)を譲渡元MFPに決定する。そして、第4MFPに対しては制限枚数を要求枚数分だけ減じる旨の要求を、第3MFPに対しては制限枚数を要求枚数分だけ増加させる旨の要求を行う。これにより、第4MFPから第3MFPへのサーバを介した制限枚数の譲渡が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバと複数の印刷装置がネットワークに接続されてなる印刷システム、及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークに接続された複数の印刷装置の各々に印刷の制限枚数が設定された印刷システムとして、ある印刷装置において印刷枚数が制限枚数を超える場合に、他の印刷装置から制限枚数を譲ってもらうよう構成されたものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、ある印刷装置において印刷枚数が制限枚数を超えてしまう場合に、その超過分を他の印刷装置から分配してもらうべく、他の複数の印刷装置に対して順次、制限枚数の取得要求を行う技術が開示されている。この技術では、取得要求を行う印刷装置は、取得要求を順次行う度に、超過分を他の印刷装置(未だ取得要求を行っていない印刷装置)の総数で除算することにより要求枚数を算出し、その算出した要求枚数分の取得要求を行う。そして、取得要求された他の印刷装置は、自身の残枚数が要求枚数以上であれば、その要求枚数を要求元に分配する。
【0004】
また例えば、特許文献2には、サーバと複数の印刷装置がネットワークに接続された印刷システムにおいて、ある印刷装置の印刷枚数が制限枚数を超えてしまう場合に、その超過分についてサーバへ補充要求を行うことにより、サーバから制限枚数を補充してもらう技術が開示されている。この技術では、補充要求を受けたサーバは、他の印刷装置のうち例えば残枚数の最も多い印刷装置に対してその補充要求分(超過分)だけ制限枚数の返却を要求する。そして、その返却された枚数を補充要求元の印刷装置へ割り当てることにより、補充要求元の制限枚数の補充を実現する。
【特許文献1】特開2004−343416号公報
【特許文献2】特開2006−251904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記各特許文献に開示された技術では、ある印刷装置での超過分を他の印刷装置から譲渡してもらうにあたり、単に、その時点における他の印刷装置の状態をみて譲渡元の印刷装置を決めているに過ぎず、必ずしもその譲渡元の決定が適切に行われているとはいえない。
【0006】
例えば、使用頻度が比較的高い印刷装置において、たまたまその印刷装置の残枚数に余裕があったというだけでその印刷装置から譲ってもらうようにすると、その譲った印刷装置もその後すぐに制限枚数に達してしまう可能性が高い。そうなると、その印刷装置もまた他の印刷装置から制限枚数を譲ってもらう必要が生じることになり、結果として印刷制限枚数の譲渡が何度も繰り返されてしまって、各印刷装置を利用するユーザが不都合を感じるおそれがある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、印刷枚数が制限枚数を超える場合に、他の適切な印刷装置から制限枚数を譲ってもらうことが可能な印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、サーバと、複数の印刷装置とがネットワークを介して相互に通信可能に構成された印刷システムであって、印刷装置は、印刷可能な枚数を制限するための印刷制限枚数を設定する制限枚数設定手段と、印刷要求を受け付け、その印刷要求に応じて、制限枚数設定手段による印刷制限枚数の設定後の累積印刷枚数が印刷制限枚数を超えない範囲内で印刷処理を実行する印刷実行手段と、印刷要求を受けた場合、その印刷要求に基づく印刷枚数に対し、印刷実行手段により印刷可能な残枚数が不足しているか否かを判断する第1判断手段と、その第1判断手段により残枚数が不足していると判断された場合、サーバに対し、印刷制限枚数を譲渡してもらうための譲渡要求を送信する譲渡要求手段と、サーバから譲渡指示を受けた場合に、その譲渡指示に従って印刷制限枚数を更新する更新手段と、を備え、サーバは、印刷装置から譲渡要求を受信した場合、その譲渡要求の送信を行った印刷装置以外の他の各印刷装置の中から、それら各印刷装置の印刷頻度に基づいて印刷制限枚数の譲渡元となる印刷装置を決定する譲渡元決定手段と、その譲渡元決定手段により譲渡元として決定された印刷装置に対してはその印刷装置における印刷制限枚数を削減する旨の譲渡指示を、譲渡要求を行った印刷装置に対してはその印刷装置における印刷制限枚数を増加する旨の譲渡指示を、それぞれ送信する譲渡指示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このように構成された印刷システムでは、ある印刷装置からの譲渡要求をサーバが受信した場合に、サーバは、他の各印刷装置の中から譲渡元となる印刷装置を決定するが、その際、各印刷装置の印刷頻度に基づいて譲渡元の決定を行う。
【0010】
そのため、例えば、印刷頻度が高い印刷装置であるにも拘わらず譲渡元決定の時点でたまたま残枚数が多かったからというだけでそれが譲渡元に決定されてしまうといった、短絡的な譲渡元の決定(特許文献2に開示された方法に相当)を防ぐことができ、譲渡要求を行った印刷装置は、印刷頻度が考慮された上で決定された他の適切な印刷装置から印刷制限枚数を譲ってもらうことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印刷システムであって、サーバにおける譲渡元決定手段は、印刷頻度の最も少ない印刷装置を譲渡元として決定することを特徴とする。
【0012】
このように構成された印刷システムによれば、譲渡要求を行った印刷装置は、印刷頻度の最も少ない他の印刷装置から印刷制限枚数を譲ってもらうため、その譲渡元の印刷装置に与える影響(例えば、印刷制限枚数が削減されることによりその印刷装置において印刷制限枚数へ到達する時期が早まることの懸念等)を最小限に抑えることができる。
【0013】
ここで、譲渡元決定手段が譲渡元を決定する際の判断基準となる印刷頻度の具体例としては、各印刷装置における印刷の頻度を表すものである限り種々考えられるが、例えば請求項3に記載のように、一定期間における印刷枚数の平均値、又は第1判断手段により残枚数が不足していると判断された回数が考えられる。
【0014】
即ち、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の印刷システムであって、サーバにおける譲渡元決定手段は、各印刷装置のうち、予め定められた一定期間における印刷枚数の平均値が最も少ない印刷装置、又は、第1判断手段により残枚数が不足していると判断された回数が最も少ない印刷装置、のいずれか一方を、譲渡元として決定することを特徴とする。
【0015】
印刷枚数の平均値が少なければそれだけ印刷頻度も低いと考えることができ、また、第1判断手段によって残枚数が不足していると判断された回数が少なければそれだけ印刷頻度も低いと考えることができる。つまり、印刷枚数の平均値及び残枚数不足と判断された回数はいずれも、複数の印刷装置の印刷頻度を相対的に評価できる適切なパラメータである。そのため、譲渡要求を行った印刷装置は、より適切な印刷装置から印刷制限枚数を譲ってもらうことができる。
【0016】
そして、上記のように印刷枚数の平均値又は残枚数不足と判断された回数に基づいてサーバが譲渡元を決定するよう構成された印刷システムは、より具体的には、例えば請求項4〜6のいずれかに記載のように構成することができる。
【0017】
即ち、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の印刷システムであって、印刷装置における譲渡要求手段が送信する譲渡要求は、少なくとも不足分を要求枚数として要求するものであり、サーバにおける譲渡元決定手段は、各印刷装置のうち、予め定められた一定期間における印刷枚数の平均値が最も少ない印刷装置を譲渡元として決定すると共に、その決定した譲渡元の印刷装置における印刷可能な残枚数が譲渡要求による要求枚数より少ない場合は、更に、他の一又は複数の印刷装置についても、上記平均値が少ない順に譲渡元として決定することを特徴とする。
【0018】
このように構成された印刷システムでは、印刷枚数の平均値が最小の印刷装置を譲渡元として決定するにあたり、1つの印刷装置だけで要求枚数を充足できない場合は、印刷枚数の平均値が少ない順に他の印刷装置も譲渡元として決定する。そのため、譲渡要求を行った印刷装置は可能な限り最大限の譲渡を受けることができ、残枚数不足によって印刷できないという事態の発生をより抑制することができる。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の印刷システムであって、印刷装置における譲渡要求手段が送信する譲渡要求は、少なくとも不足分を要求枚数として要求するものであり、サーバにおける譲渡元決定手段は、各印刷装置のうち、第1判断手段により残枚数が不足していると判断された回数が最も少ない印刷装置を譲渡元として決定すると共に、その決定した譲渡元の印刷装置における印刷可能な残枚数が譲渡要求による要求枚数より少ない場合は、更に、他の一又は複数の印刷装置についても、その回数(残枚数不足と判断された回数)が少ない順に譲渡元として決定することを特徴とする。
【0020】
このように構成された印刷システムでは、残枚数不足と判断された回数が最小の印刷装置を譲渡元として決定するにあたり、1つの印刷装置だけで要求枚数を充足できない場合は、その回数が少ない順に他の印刷装置も譲渡元として決定する。そのため、譲渡要求を行った印刷装置は可能な限り最大限の譲渡を受けることができ、残枚数不足によって印刷できないという事態の発生をより抑制することができる。
【0021】
また、請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の印刷システムであって、印刷装置における譲渡要求手段が送信する譲渡要求は、少なくとも不足分を要求枚数として要求するものであり、サーバにおける譲渡元決定手段は、まず、各印刷装置のうち、予め定められた一定期間における印刷枚数の平均値が最も少ない印刷装置について、その印刷装置における印刷可能な残枚数が譲渡要求による要求枚数より少ないか否か判断して、その要求枚数以上ならばその印刷装置を譲渡元として決定し、その要求枚数より少ない場合は、第1判断手段により残枚数が不足していると判断された回数が最も少ない印刷装置を譲渡元として決定することを特徴とする。
【0022】
このように構成された印刷システムによれば、譲渡元の印刷装置を1つのみとすることで、他の各印刷装置に与える影響を最小限に抑えることができる。そのため、他の印刷装置への影響を極力抑えたいような印刷システムが要求される場合により効果的である。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の印刷システムであって、サーバは、印刷装置に対して印刷制限枚数の設定を要求する設定要求手段を備え、印刷装置における制限枚数設定手段は、設定要求手段による要求に従って印刷制限枚数の設定を行うことを特徴とする。
【0024】
このように構成された印刷システムによれば、サーバによって印刷装置各々の印刷制限枚数を一元的・効率的に管理することが可能となる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の印刷システムであって、印刷装置は、印刷実行手段によって複数種類の印刷処理を実行可能に構成されており、印刷装置における譲渡要求手段は、第1判断手段により残枚数が不足していると判断された場合、印刷要求に基づく印刷処理が予め決められた種類の印刷処理であった場合に、譲渡要求の送信を行うことを特徴とする。
【0026】
このように構成された印刷システムでは、印刷装置は、あらゆる印刷要求に対して残枚数不足の場合に譲渡要求を送信するのではなく、予め決められた種類の印刷処理について印刷要求があった場合に譲渡要求を送信する。そのため、他の印刷装置への影響を最小限に抑えつつ、制限枚数の譲渡を必要十分に受けることができる。
【0027】
そして、どのような種類の印刷処理の場合に譲渡要求を送信するかについては適宜考えられるが、例えば請求項9に記載のように、印刷装置がファクシミリデータを受信する受信手段を備えたものである場合は、予め決められた種類の印刷処理は、受信手段により受信したファクシミリデータに基づく印刷処理を、上記予め決められた種類の印刷処理として、残枚数不足の場合に譲渡要求を行うようにするとよい。
【0028】
ファクシミリデータは、一般的には、ユーザ(受信側)が意図しない任意のタイミングで受信されるものであるため、受信した場合にはそれをリアルタイムに印刷出力して、ユーザにファクシミリデータが受信されたことを視覚的に知らしめることが望まれる。そのため、ファクシミリデータに基づく印刷処理を行う際に、受信はしたものの残枚数が不足しているということで印刷できないとなると、ユーザに悪影響を及ぼすおそれがある。
【0029】
そこで、少なくともファクシミリデータを受信した場合に、残枚数が不足しているときは他の印刷装置から印刷制限枚数を譲渡してもらうようにすれば、ファクシミリデータに基づく印刷処理が実行されないままの状態が続いてしまうのを抑止することができる。
【0030】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の印刷システムであって、印刷装置は、更新手段によって印刷制限枚数が更新された後、印刷要求に基づく印刷枚数に対してその更新後の残枚数が不足しているか否かを判断する第2判断手段と、第2判断手段により残枚数が不足していると判断された場合、印刷要求に応じた印刷処理を行うことができない旨の通知を行う通知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0031】
即ち、印刷装置は、印刷処理実行時に残枚数が不足していた場合、サーバを介して他の印刷装置から印刷制限枚数を譲渡してもらうが、他の各印刷装置における印刷可能な残枚数によっては、必ずしも不足している分全てを譲渡してもらえるとは限らない。そこで、印刷装置は、譲渡要求に対してサーバから譲渡指示(印刷制限枚数の増加指示)を受けた後もまだ残枚数が不足している場合、即ち印刷要求に応じた印刷枚数分全てを印刷できない場合は、印刷処理を行うことができない旨の通知を行うのである。
【0032】
そのため、このように構成された印刷システムによれば、譲渡実行後もまだ残枚数不足の場合には上記通知を行うことで、ユーザは、残枚数不足によって印刷できないことを知ることができ、ユーザにとって使い勝手のよい印刷システムの提供が可能となる。
【0033】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の印刷システムであって、印刷装置における制限枚数設定手段は、印刷要求を行うユーザ単位で印刷制限枚数が設定されるよう構成され、印刷装置が備える他の各手段もそれぞれユーザ単位で動作を実行するよう構成されており、サーバにおける各手段はそれぞれ、印刷装置から特定のユーザに対応した譲渡要求を受信した場合、複数の印刷装置におけるその特定のユーザに対して設定された情報を対象としてそれぞれ動作を実行するよう構成されていることを特徴とする。
【0034】
このように構成された印刷システムによれば、印刷装置相互間のサーバを介した印刷制限枚数の譲渡が、各印刷装置に設定された同一ユーザ間で行われるため、他のユーザの残枚数に影響を与えることなく、印刷制限枚数の譲渡を実施することができる。
【0035】
次に、請求項12に記載の発明は、印刷制限枚数が予め個々に設定された複数の印刷装置と相互に通信可能なサーバであって、印刷装置から印刷制限枚数の譲渡要求を受信した場合、その譲渡要求の送信を行った印刷装置以外の他の各印刷装置の中から、それら各印刷装置の印刷頻度に基づいて印刷制限枚数の譲渡元となる印刷装置を決定する譲渡元決定手段と、譲渡元決定手段により譲渡元として決定された印刷装置に対してはその印刷装置における印刷制限枚数を削減する旨の譲渡指示を、譲渡要求を行った印刷装置に対してはその印刷装置における印刷制限枚数を増加する旨の譲渡指示を、それぞれ送信する譲渡指示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0036】
このように構成されたサーバによれば、印刷装置から譲渡要求を受けた場合、他の各印刷装置の印刷頻度に基づいて印刷制限枚数の譲渡元を決定するため、請求項1に記載の印刷システムを実現でき、その場合、請求項1と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0038】
[第1実施形態]
(1)印刷システムの全体構成
図1は、本実施形態の印刷システム全体の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の印刷システム10は、サーバ5と、第1MFP(Multifunction Peripheral)1と、第2MFP2と、第3MFP3と、第4MFP4と、パーソナルコンピュータ(以下「PC」という)6とを備え、これらがLAN(Local Area Network)7を介して相互に通信可能に接続されている。
【0039】
まず、各MFP1〜4の構成について説明するが、本実施形態では、各MFP1〜4はいずれも同じ構成である。そのため、ここでは代表として第1MFP1についてその構成を説明し、他の各MFP2〜4の詳細説明は省略する。
【0040】
第1MFP1は、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能、ネットワーク通信機能などを備えた装置であり、制御部11、時計16、プリンタ部17、スキャナ部18、FAX部19、操作部20、表示部21,インタフェース(I/F)22などを備え、これらがバス23によって接続されている。
【0041】
制御部11は、CPU12、ROM13、RAM14、EEPROM15などを備えたマイコンを中心に構成されており、ROM13に記憶されている各種制御プログラムに基づいて、プリンタ部17、スキャナ部18、FAX部19、表示部21、I/F22等の各部を制御する。
【0042】
時計16は、一般的なコンピュータシステムにおいて通常備えられている周知のリアルタイムクロックであり、第1MFP1の電源のオン・オフにかかわらず常に内蔵バッテリ(図示略)で動作するものである。この時計16により、制御部11は現在時刻を知ることができる。
【0043】
プリンタ部17は、制御部11からの印刷指示に従って印刷処理を実行するものであり、図示は省略したものの、記録媒体としての用紙がセットされる給紙カセット、その用紙を搬送する搬送部、搬送中の用紙への印刷(画像形成)を行う画像形成部などを備えてなるものである。
【0044】
本実施形態の第1MFP1では、PC6から印刷要求を受けた場合、スキャナ部18により読み取られた原稿等の画像についてその画像の印刷要求操作がユーザによりなされた場合、又はFAX部19によりファクシミリデータが受信されたことによりFAX部19からその受信内容の印刷要求がなされた場合などに、制御部11が、プリンタ部17に対して印刷処理の実行を指示する。これを受けたプリンタ部17は、その指示に基づいて用紙への印刷を実行する。
【0045】
但し、本実施形態の第1MFP1では、無条件に印刷処理が行われるわけではなく、1日あたりに印刷可能な枚数が制限されている。具体的には、1日あたりに印刷可能な制限枚数として、例えば100枚が設定されている。そのため、制限枚数が100枚に設定された後の累積の印刷枚数が100枚を超えると、原則的にはそれ以上の印刷処理を行うことはできない。
【0046】
しかし、第1MFP1では、累積の印刷枚数が100枚を超える場合、制御部11が、その超える分(不足分)の制限枚数を他の各MFP2〜4から譲渡してもらうように構成されている。但し本実施形態では、ファクシミリデータの印刷に限って制限枚数を譲渡してもらうよう構成されている。この制限枚数の譲渡については、後で詳しく説明する。
【0047】
なお、プリンタ部17により行われる印刷処理の実行履歴(印刷履歴情報;図4参照)は、EEPROM15に記憶されている。制御部11は、プリンタ部17に対して印刷指示を行う際、このEEPROM15に記憶されている印刷履歴情報を参照する。そして、制限枚数に対して印刷可能な残枚数が印刷すべき枚数分残っているかどうかを確認した上で、残っている場合にはそのまま印刷処理を実行させ、不足している場合(且つファクシミリデータの印刷である場合)には他の各MFP2〜4から制限枚数を譲渡してもらうための所定の処理を実行するのである。
【0048】
スキャナ部18は、原稿等の読み取り対象から光学的に画像を読み取り可能なイメージセンサを備えたものであり、読み取った画像は、主として制御部11によって適宜処理される。例えば、読み取られた画像につき、ユーザによる操作部20の操作によって印刷すべき旨の操作がなされた場合は、制御部11はその読み取られた画像を印刷させるべく、プリンタ部17へ印刷指示を出す。また例えば、読み取られた画像につき、その画像を示すデータをPC6へ送信すべき旨の操作がユーザによりなされた場合は、制御部11はその画像データをI/F22を介してPC6へ送信する。
【0049】
FAX部19は、外部の公衆回線8からファクシミリデータが送信されてきたときにそのファクシミリデータを受信し、制御部11へその受信したファクシミリデータの内容(画像)の印刷を要求する。なお、スキャナ部18によって読み取られた画像を公衆回線8側へ送信する一般的機能も当然に備えている。
【0050】
操作部20は、ユーザにより操作可能な各種スイッチ等が設けられてなるものである。ユーザは、この操作部20に設けられた各種スイッチを操作することにより、当該第1MFP1に対する各種設定、処理要求等を行うことができる。
【0051】
表示部21は、例えばLCD(液晶ディスプレイ)やLEDなどを備えてなるものであり、当該第1MFP1の動作状態など、種々の情報が表示される。ユーザはこの表示内容を見ることによって、第1MFP1の状態や動作状況などを知ることができる。
【0052】
I/F22は、当該第1MFP1がLAN7を介してサーバ5やPC6等と相互にデータ通信を行うための周知のインタフェース装置である。
【0053】
次に、サーバ5の構成について説明する。サーバ5は、各MFP1〜4を個々に管理する機能を備えると共に、後述するように、いずれかのMFPから制限枚数の譲渡要求があった場合にその譲渡要求に応じた各種処理を実現する機能をも備えている。このような機能を備えた本実施形態のサーバ5は、制御部31、時計37、操作部38、表示部39、I/F40などを備え、これらがバス41によって接続されている。
【0054】
制御部31は、CPU32、ROM33、RAM34、EEPROM35などを備えたマイコン、及びハードディスク装置(HDD)36を中心に構成されており、HDD36やROM13に記憶されている各種制御プログラムに基づいて、上述した制限枚数の譲渡に関わる処理を中心とする各種処理を実行する。
【0055】
操作部38は、例えばキーボードやマウス等を備えてなるものであり、表示部39は、例えばLCD等からなるものである。I/F40は、当該サーバ5がLAN7を介して各MFP1〜4やPC6等と相互にデータ通信を行うための周知のインタフェース装置である。
【0056】
また、PC6は、図示は省略したものの、CPU、ROM、RAM、HDD、キーボード、マウス、ディスプレイなどを備えた一般的な構成である。そして、このPC6のHDDには、オペレーティングシステム(OS)や、文書作成ソフト、画像編集ソフト等の各種アプリケーションソフトがインストールされている。そのため、PC6のユーザは、これらアプリケーションソフトで作成・編集等した画像を各MFP1〜4のいずれかに送信し、その送信先のMFPにて用紙への印刷を行わせることができる。
【0057】
(2)サーバを介してMFP間で行われる制限枚数の譲渡について
次に、サーバ5及び各MFP1〜4の基本的な動作について、特にサーバ5を介して各MFP1〜4間で行われる制限枚数の譲渡について、図2のシーケンス図を用いて説明する。図2に示すように、サーバ5は、一定の時間間隔で(本実施形態では毎日0時に)、各MFP1〜4に対し、印刷可能な制限枚数の初期設定を行う。具体的には、各MFP1〜4に対し、印刷制限枚数を100枚に設定更新するよう要求する。併せて、印刷枚数を0枚に、印刷可能な残枚数を100枚にそれぞれ設定更新するよう要求する。なお、ここでいう印刷枚数とは、設定更新後に実際に印刷処理が行われた累積枚数を意味する。
【0058】
また、サーバ5のEEPROM35には、各MFP1〜4における印刷履歴情報が記憶されており、サーバ5は、この印刷履歴情報に基づいて各MFP1〜4を管理するよう構成されている。
【0059】
図3に、サーバ5が管理する(即ちEEPROM35に記憶されている)各MFP1〜4の印刷履歴情報を示す。図3に示すように、サーバ5が管理する印刷履歴情報は、4つのMFP1〜4毎にそれぞれ、制限枚数の初期設定が行われてから現在までの印刷枚数(累積印刷枚数)、制限枚数、その制限枚数に対してあと何枚印刷可能であるかを示す残枚数、過去に印刷枚数が制限枚数に到達した回数(以下「制限到達回数」という)、及び一日あたりの平均印刷枚数である。
【0060】
図3は、制限枚数100枚が初期設定された直後であって、まだどのMFPもその初期設定から印刷が行われておらずに残枚数が100枚のままになっている状態が例示されている。なお、制限枚数については、サーバ5を管理する管理者等によって適宜変更することも可能である。
【0061】
一方、各MFP1〜4においても、それぞれ自身の印刷履歴情報が管理されている。即ち、各MFP1〜4のEEPROM15には、図4に例示するように、自身の印刷履歴情報が記憶されている。図4(a)は、第1MFP1が管理する(即ちEEPROM15に記憶されている)印刷履歴情報であり、図4(b)は、第2MFP2が管理する印刷履歴情報であり、図4(c)は、第3MFP3が管理する印刷履歴情報であり、図4(d)は、第4MFP4が管理する印刷履歴情報である。
【0062】
図4に示すように、各MFP1〜4においても、印刷枚数、制限枚数、残枚数、制限到達回数、及び平均印刷枚数が記憶され、管理されている。そして、印刷処理が実行される毎に、制御部11が、印刷処理の種類(印刷種類)と共にその印刷処理の履歴を順次記憶していく。
【0063】
図4に示された印刷種類のうち、「PC−Print」は、PC6からの印刷要求に基づいてなされた印刷処理であることを示し、「Copy」は、スキャナ部18により読み取られた画像の印刷要求に基づいてなされた印刷処理であることを示し、「FAX」は、FAX部19において受信されたファクシミリデータの印刷要求に基づいてなされた印刷処理(以下「FAX記録」ともいう)であることを示す。
【0064】
なお、図3及び図4に示した印刷履歴情報は、あくまでも一例である。後述する図5、及び第2実施形態の図10の印刷履歴情報についても同様である。
【0065】
図2に戻り、上記のようにサーバ5による初期設定がなされると、各MFP1〜4では、制御部11がそのサーバからの初期設定要求に従って自身の印刷履歴情報を更新する。そのため、初期設定の直後は、各MFP1〜4における残枚数はいずれも100枚となり、その後印刷処理が実行される度に、その実行された枚数ずつ、残枚数が減っていく。
【0066】
例えば第1MFP1では、初期設定後、1回目の印刷処理で15枚の印刷(PC−Print。図4(a)参照。)がなされて残枚数が85枚となり、2回目の印刷処理で20枚の印刷(Copy)がなされて残枚数が65枚となり、3回目の印刷処理でも20枚の印刷処理(Copy)がなされて残枚数が45枚となり、4回目の印刷処理で10枚の印刷処理(FAX)がなされて残枚数が35枚となり、5回目の印刷処理で20枚の印刷処理(Copy)がなされて残枚数が15枚となっている。
【0067】
同様に、他の各MFP2〜4についても、図2及び図4に示すように、印刷処理が実行される毎に残枚数が減っていく。また、印刷処理が実行される毎に、図4に示すように、その実行された印刷処理の履歴が印刷の種類と共に印刷履歴情報として記憶されていく。そのため、印刷処理が実行される毎に、印刷履歴情報における印刷枚数及び残枚数は更新されていく。
【0068】
ところで、図2において、第3MFP3については、5回目の印刷処理が実行されたとき、残枚数が5枚にまで減っており、原則的にはその後はあと5枚しか印刷できない状態となっている。しかし本実施形態では、印刷の種類がFAX記録の場合は、残枚数が不足している場合にはサーバ5を介して他のMFPから制限枚数を譲渡してもらい、FAX記録を行うようにされている。
【0069】
即ち、図2に示すように、第3MFP3において、6回目の印刷処理として10枚の印刷要求(FAX記録。図4(c)参照。)がなされると、残枚数が5枚であるために残枚数不足としてそのままでは印刷できない。そこで、第3MFP3は、その印刷要求がFAX記録であることを確認した上で、サーバ5に対し、制限枚数の譲渡要求を通知(送信)する。具体的には、不足分の5枚を要求枚数として、その要求枚数分を他のMFPの制限枚数から譲渡して欲しい旨の要求を行う。
【0070】
サーバ5は、第3MFP3からの譲渡要求を受けると、各MFPに対し、各MFPにて管理されている現在の印刷履歴情報を要求・取得する。そして、その取得した各MFPの印刷履歴情報に基づき、譲渡元のMFPを決定する。具体的には、本実施形態では、譲渡要求を行った第3MFP3以外の他の各MFP1,2,4のうち、平均印刷枚数が最小のMFPを譲渡元として決定する。
【0071】
本例では、図2,図4に示すように、平均印刷枚数が最も少ないMFPは第4MFP4である。また、この第4MFP4の現時点での残枚数は70枚であり、譲渡要求による要求枚数である5枚を十分に確保できる。そこで、サーバ5は、その第4MFP4を譲渡元のMFPとして決定する。
【0072】
譲渡元のMFPの決定後、サーバ5は、譲渡元である第4MFP4から譲渡先(譲渡要求元)である第3MFP3への、制限枚数の譲渡を行う。具体的には、サーバ5は、譲渡元の第4MFP4に対して、制限枚数を要求枚数分変更(5枚削減)するよう要求すると共に、譲渡先の第3MFP3に対して、制限枚数を要求枚数分変更(5枚増加)するよう要求する。つまり、譲渡元及び譲渡先の各MFPに対してそれぞれ削減及び増加の旨の譲渡指示を出すのである。
【0073】
そして、サーバ5は、譲渡元及び譲渡先の各MFP3,4にそれぞれ上記要求(譲渡指示)を出した後は、図5に示すように、自身が管理する印刷履歴情報を更新しておく。図5は、譲渡実行により、第3MFP3については制限枚数が105枚に増えると共に残枚数も10枚に増え、第4MFP4については制限枚数が95枚に減ると共に残枚数も65枚に減った状態を示している。
【0074】
これに対し、譲渡元の第4MFP4は、サーバ5からの譲渡指示に従って、自身が管理する印刷履歴情報として、図4(d)に示すように、制限枚数を5枚譲渡した旨の履歴を追加する。その結果、制限枚数は95枚に減り、残枚数も65枚に減る。
【0075】
一方、譲渡先の第3MFP3は、サーバ5からの譲渡指示に従って、自身が管理する印刷履歴情報として、図4(c)に示すように、制限枚数を5枚譲渡してもらった旨の履歴を追加する。その結果、制限枚数は105枚に増え、残枚数も10枚に増える。
【0076】
また、MFP3は、印刷履歴情報のうち制限到達回数についても、図4(c)に示すように、「2回」から1つ増やして「3回」に更新する。即ち、残枚数不足によってその不足分を他のMFPから譲ってもらうということは、印刷枚数が制限枚数に到達したということである。そのため、他のMFPから譲渡を受けて印刷処理を実行する際は、制限到達回数も更新されるのである。
【0077】
これにより、第3MFP3では、10枚の印刷処理を実行可能な状態となる。そのため、第3MFP3の制御部11は、10枚のFAX記録を実行する。そして、そのFAX記録の結果も、第3MFP3における新たな印刷履歴としてEEPROM15に記憶される(図4(c)参照)。
【0078】
(3)印刷システムにおいて実行される各種制御処理の説明
次に、本実施形態の印刷システム10において実行される各種制御処理について、図6〜図9の各フローチャートを用いて具体的に説明する。
【0079】
(3−1)MFPが実行する印刷制御処理
まず、各MFP1〜4が実行する印刷制御処理について、図6〜図8を用いて説明する。図6は、各MFP1〜4が実行する印刷制御処理を示すフローチャートである。各MFP1〜4では、その動作開始後、制御部11内のCPU12が、ROM13に記憶されている印刷制御処理のプログラムを読み出し、このプログラムに従って処理を実行する。
【0080】
CPU12は、この印刷制御処理を開始すると、まずS100にて、制限枚数変更処理を実行する。この制限枚数変更処理の詳細は図7に示す通りである。即ち、CPU12は、S110にて、サーバ5から印刷履歴情報の要求があったか否かを判断する。そして、印刷履歴情報の要求がない場合は(S110:NO)、S120に進み、印刷履歴情報の要求があった場合は(S110:YES)、S115にて、サーバ5へ印刷履歴情報を送信する。
【0081】
具体的には、自身がEEPROM15に記憶・管理している印刷履歴情報である、制限枚数が初期設定された後から現在に至るまでの印刷枚数(累積印刷枚数)、制限枚数、残枚数、過去の制限到達回数、及び平均印刷枚数を、それぞれサーバ5へ送信する(図4参照)。
【0082】
CPU12は、続くS120にて、サーバ5から制限枚数の更新要求が来たか否かを判断する。なお、このサーバ5からの更新要求は、後述する図9のS315又はS355においてサーバ5により実行される処理に相当するものである。そして、更新要求が来ない場合は(S120:NO)、S130に進み、更新要求が来た場合は(S120:YES)、S125にて、自身が管理している印刷履歴情報を更新する。具体的には、制限枚数を更新すると共に、それに合わせて残枚数も更新する。
【0083】
そして、CPU12は、S130にて、時計16の時刻情報に基づいて現在時刻が0時になったか否かを判断する。ここで、まだ0時になっていない場合は(S130:NO)、そのままこの制限枚数変更処理を終了するが、0時になった場合は(S130:YES)、S135にて、平均印刷枚数を更新する。具体的には、当該MFPがはじめて稼働した時から現在までの間の日数を稼働日数として、その稼働日数の間に実行された全ての印刷処理による印刷枚数の総数を稼働日数で除算することにより、過去の一日あたりの平均印刷枚数を求める。そして、自身の印刷履歴情報における平均印刷枚数をその求めた新たな平均印刷枚数に更新するのである。
【0084】
平均印刷枚数の更新後、CPU12は、S140にて、サーバ5に対しても、サーバ5にて管理されている印刷履歴情報中の当該MFPに対応した平均印刷枚数を、S135で求めた平均印刷枚数に更新するよう要求する。
【0085】
このようにしてS100(図4)の制限枚数変更処理が終了すると、CPU12は、S200にて、印刷処理の実行に移る。この印刷処理の詳細は図8に示す通りである。即ち、CPU12は、まずS210にて、印刷要求があるか否かを判断する。即ち、PC6から印刷要求があったか否か、スキャナ部18により読み取られた画像についての印刷要求があったか否か、或いはFAX部19によるファクシミリデータの印刷要求があったか否かを判断する。
【0086】
そして、印刷要求がなかった場合は(S210:NO)、そのままこの印刷処理を終了するが、印刷要求があった場合は(S210:YES)、S215にて、その印刷要求による要求枚数と、印刷履歴情報として記憶されている現在の残枚数を確認する。そして、CPU12は、その確認結果に基づき、S220にて、残枚数が不足しているか否か、即ち、現在の残枚数が要求された印刷枚数よりも少ないか否かを判断する。
【0087】
その判断の結果、残枚数が不足していない場合は(S220:NO)、S255に進み、その印刷要求に応じた印刷処理を実行する。即ち、プリンタ部17に対して印刷を実行させる。そして、印刷処理の実行後、CPU12は、S260にて、その実行した印刷枚数分に基づいて印刷枚数と残枚数をそれぞれ更新し、サーバ5に対しても、続くS265にて同様の更新要求を出す。これにより、自身及びサーバ5の双方で、印刷実行後の印刷履歴情報が更新されることになる。
【0088】
一方、S220の判断処理において、残枚数が不足していると判断された場合は(S220:YES)、CPU12は、S225にて、その印刷要求がFAX記録であるか否かを判断する。そして、FAX記録でない場合は(S225:NO)、S270にて、印刷制限(制限枚数に達したこと)のために印刷できない旨をユーザへ通知した上で、この印刷処理を終了する。このユーザへの通知は、例えば、表示部21へ所定のメッセージを表示させること等により行う。
【0089】
印刷要求がFAX記録であった場合は(S225:YES)、CPU12は、S230にて、サーバ5に対し、制限枚数の譲渡要求を通知する。即ち、残枚数が不足していて印刷できないことから、その不足分を要求枚数として、サーバ5に対し、他のMFPから譲渡してもらうよう要求するのである。
【0090】
その後、CPU12は、S235にて、その譲渡要求に対してサーバ5から制限枚数を更新(増加)する旨の要求(譲渡指示)が来るまで待機する。そして、サーバ5から制限枚数更新要求が来た場合は(S235:YES)、S240にて、その要求(譲渡指示)に従って、譲渡を受けた枚数分について制限枚数及び残枚数をそれぞれ更新する。これにより、MFP側では、制限枚数、残枚数が増加することとなる。
【0091】
そして、CPU12は、S245にて、自身が管理する印刷履歴情報における制限到達回数を更新(1つインクリメント)し、続くS250にて、S240による更新後もやはり残枚数が不足しているか否か、即ち、譲渡してはもらったものの要求枚数分全てを譲渡してはもらえなかったか否かを判断する。このとき、更新後もやはり残枚数が不足している場合は(S250:YES)、CPU12は、S270にて印刷制限のために印刷できないことをユーザへ通知する。そして、印刷履歴情報の更新のための処理(S265)を実行した上で、この印刷処理を終了する。これにより、印刷は行われないものの、サーバ5に記憶されている制限到達回数は更新される。
【0092】
一方、譲渡によって残枚数が要求枚数以上になった場合は(S250:NO)、CPU12は、S255以下の処理を行う。即ち、印刷の実行(S255)、及びその印刷実行に伴う印刷履歴情報の更新のための処理(S260,S265)を実行する。これにより、サーバ5に記憶されている印刷枚数、残枚数、及び制限到達回数はそれぞれ更新される。
【0093】
このように、本実施形態の各MFP1〜4は、残枚数不足によってサーバ5へ制限枚数の譲渡要求を行った場合は、結果的に印刷できたか否かにかかわらず、制限到達回数を更新するようにしている。そのため、この制限到達回数は、換言すれば、S220において残枚数が不足していると判断された回数とみなすこともでき、よってS245の制限到達回数の更新処理は、S220で肯定判定された後(S225の前)に行うようにしてもよい。
【0094】
(3−2)サーバが実行するMFP管理処理
次に、サーバ5が実行するMFP管理処理について、図9を用いて説明する。図9は、サーバ5が実行するMFP管理処理を示すフローチャートである。サーバ5では、その動作開始後、制御部31内のCPU32が、ROM33に記憶されているMFP管理処理のプログラムを読み出し、このプログラムに従って処理を実行する。
【0095】
CPU32は、このMFP管理処理を開始すると、まずS310にて、時計16の時刻情報に基づいて現在時刻が0時になったか否かを判断する。ここで、まだ0時になっていない場合は(S310:NO)、S320に移行するが、0時になった場合は(S310:YES)、S315にて、各MFP1〜4に対する制限枚数及び残枚数の初期設定を指示する。即ち、1日の制限枚数を100枚に更新すると共に、それに合わせて印刷枚数を0枚、残枚数を100枚にそれぞれ更新するよう、各MFP1〜4へ要求するのである。なお、CPU32は、このS315の更新要求の際、サーバ5自身が管理している各MFP1〜4の印刷履歴情報についても、同様に更新しておく。
【0096】
CPU32は、続くS320で、各MFP1〜4から印刷履歴情報の更新要求があるか否かを判断する。このとき、各MFP1〜4のいずれかにおいて、図7の制限枚数変更処理におけるS140の処理(平均印刷枚数の更新要求)、又は図8の印刷処理におけるS265の処理(印刷履歴情報の更新要求)があった場合は(S320:YES)、CPU32は、S325にて、その要求に応じてサーバ5自身が管理する印刷履歴情報を更新し、続くS330に進む。一方、印刷履歴情報の更新要求がなかった場合は(S320:NO)、そのままS330に進む。
【0097】
S330では、CPU32は、各MFP1〜4のいずれかから制限枚数の譲渡要求があるか否かを判断する。ここで譲渡要求がない場合は(S330:NO)、S310の処理に戻るが、譲渡要求があった場合は(S330:YES)、S335にて、各MFPに対し、各MFPにおいて管理されている現在の印刷履歴情報を要求する。
【0098】
そして、CPU32は、各MFPそれぞれからその要求した印刷履歴情報を取得すると(S340:YES)、S345にて、その取得した印刷履歴情報に基づき、譲渡要求を行ったMFP以外の他の各MFPのうち、過去の平均印刷枚数が最小のMFPを選択すると共に、そのMFPにおける残枚数が、譲渡要求による要求枚数分残っているか否かを判断する。
【0099】
このとき、平均印刷枚数が最小のMFPにおける残枚数が要求枚数以上であれば(S345:YES)、CPU32は、S350にて、そのMFPを譲渡元MFPとして選択し、そのMFPにおける現在の制限枚数のうち要求枚数分を譲渡枚数として設定する。この場合、そのMFP1つで譲渡要求に対応できることから、その選択した譲渡元MFP1つがそのまま最終的な譲渡元MFPとして決定されることとなる。
【0100】
そしてCPU32は、S355にて、その譲渡元として選択(決定)された譲渡元MFPに対し、S350にて設定された譲渡枚数に基づく制限枚数の更新を要求する。つまり、譲渡元MFPに対し、要求枚数分の制限枚数をサーバ側へ譲渡すべき旨の譲渡指示を行うのである。これにより、譲渡元MFPでは、その要求に応じて、制限枚数及び残枚数がそれぞれ要求枚数分だけ減ることとなる。
【0101】
更にCPU32は、S360にて、譲渡先のMFP、即ち譲渡要求を行ったMFPに対し、譲渡元MFPによる譲渡枚数の総数に基づく制限枚数の更新を要求する。つまり、譲渡先のMFPに対し、要求枚数分の制限枚数を譲渡する旨の譲渡指示を行うのである。これにより、譲渡先のMFPでは、要求に応じて、制限枚数及び残枚数がそれぞれ要求枚数分だけ増えることになる。つまり、S355及びS360の各処理により、譲渡元MFPから譲渡先MFPへのサーバ5を介した制限枚数の譲渡が実現されるのである。
【0102】
その後CPU32は、S365にて、自身が管理している各MFP1〜4の印刷履歴情報を更新した上で、再びS310以下の処理に戻る。即ち、譲渡元MFP及び譲渡先MFPのそれぞれの印刷履歴情報を、上記実行した制限枚数の譲渡に応じて更新するのである。
【0103】
一方、S345の判断処理において、平均印刷枚数が最小のMFPにおける残枚数が要求枚数に満たなかった場合は(S345:NO)、そのMFPからだけでは要求枚数全てを充足できないことになる。
【0104】
この場合、CPU32は、S370にて、まずはその平均印刷枚数が最小のMFPを譲渡元MFPとして選択し、その譲渡元MFPにおける現在の残枚数の全てをその譲渡元MFPからの譲渡枚数として設定する。そして、S375にて、要求枚数に対する現時点での残りの必要枚数(不足分)を演算する。即ち、要求枚数から、S370にて選択した譲渡元MFPの残枚数(その譲渡元MFPからの譲渡枚数)を減算することで、残りの必要枚数を算出する。
【0105】
そして、CPU32は、続くS380にて、今までに譲渡元MFPとして選択されたMFP以外の他の各MFPの中で、平均印刷枚数が最小のMFPを抽出する。そして、S385にて、その抽出したMFPにおける残枚数が、S375で算出した必要枚数分残っているか否かを判断する。
【0106】
ここで、その抽出したMFPの残枚数が必要枚数分残っていた場合は(S385:YES)、CPU32は、S390にて、そのMFPを新たに譲渡元MFPとして選択し、そのMFPにおける現在の制限枚数のうち必要枚数分を譲渡枚数として設定する。これにより、S370で選択された譲渡元MFP及びS390で選択された譲渡元MFPの、複数のMFPが、いずれも最終的な譲渡元MFPとして決定されたこととなる。
【0107】
このようにして複数の譲渡元MFPが決定されると、CPU32は、S355以下の処理を行うことにより、譲渡元MFPから譲渡先MFPへの制限枚数の譲渡を行う。即ち、S355では、選択された複数の譲渡元MFPのそれぞれに対し、譲渡元MFP毎に設定された譲渡枚数(S370,S390にて設定)に基づく制限枚数の更新を要求する。S360では、譲渡先MFPに対し、複数の譲渡元MFPによる譲渡枚数の総数に基づく制限枚数の更新を要求する。
【0108】
一方、CPU32は、S385の処理において、S380で抽出したMFPにおいてもなお、その残枚数が必要枚数分残っていないと判断した場合は(S385:NO)、S395にて、その抽出したMFPについても譲渡元MFPとして選択し、その選択した譲渡元MFPにおける現在の残枚数の全てをその譲渡元MFPからの譲渡枚数として設定する。そして、S400にて、要求枚数に対する現時点での残りの必要枚数(不足分)を再び演算し直す。即ち、現時点での必要枚数から、S395にて選択した譲渡元MFPの残枚数(その譲渡元MFPからの譲渡枚数)を減算することで、新たな必要枚数を算出する。
【0109】
そして、CPU32は、続くS405にて、全てのMFPについてチェック済みか否か、即ち、譲渡要求を行ったMFPを除く他の各MFP(但し残枚数が残っているもの)の全てが譲渡元MFPとして選択されたか否かを判断する。そして、未だチェック済みでないMFPが残っている場合は(S405:NO)、S380以下の処理に戻り、全てチェック済みであれば(S405:YES)、それまでに選択された譲渡元MFPを全て、最終的な譲渡元MFPとして決定し、S355以下の処理に進む。
【0110】
(4)第1実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態の印刷システム10では、各MFP1〜4が、印刷処理を実行する際に、その印刷処理に必要な枚数分の残枚数が不足している場合には、サーバ5を介して他の一又は複数のMFPから制限枚数を譲渡してもらうことができる。
【0111】
サーバ5は、いずれかのMFPから制限枚数の譲渡要求を受けた場合は、その譲渡要求を行ったMFP以外の他の各MFPのうち、一日あたりの平均印刷枚数が最小のMFPを譲渡元MFPとして選択し、その譲渡元MFPにおける現時点での残枚数をその譲渡元MFPからの譲渡枚数として設定する。この場合に、もし、その譲渡元MFP1つの譲渡枚数だけでは要求枚数に場合は、更に、平均印刷枚数が最も小さい順に、要求枚数分が充足されるまで、順次、他の各MFPを譲渡元MFPとして選択していく。そして、最終的に選択(決定)された一又は複数の譲渡元MFPそれぞれの譲渡枚数の総数を、譲渡先MFPへ譲渡する。これにより、譲渡先MFPにおいては、要求枚数全てを譲渡された場合は、印刷処理を実行する。但し、譲渡枚数の総数が要求枚数に満たなかった場合は、印刷制限のために印刷できないことをユーザへ通知する。
【0112】
従って、本実施形態の印刷システム10によれば、残枚数不足によって譲渡要求を行ったMFPは、サーバ5において他の各MFPそれぞれの印刷頻度が考慮された上で適切な印刷装置が譲渡元MFPとして決定され、その譲渡元MFPから制限枚数を譲ってもらうことができる。
【0113】
そのため、その譲渡元MFPに与える影響(例えば、制限枚数が削減されることによりその譲渡元MFPにおいて制限枚数へ到達する時期が早まることの懸念等)を最小限に抑えることができる。また、譲渡元MFPが制限枚数を譲渡先MFPに譲ることによって生じる、譲渡元MFPのユーザ側の不都合も、抑制することができる。
【0114】
また、本実施形態では、サーバ5が譲渡元MFPを選択する際の判断基準として、過去の平均印刷枚数を用い、平均印刷枚数が最小のMFPから順次、一又は複数のMFPを譲渡元MFPとして選択している。このように平均印刷枚数を判断基準としているのは、複数のMFPの印刷頻度を相対的に評価できるパラメータとして平均印刷枚数は最適なパラメータの1つであるからである。そのため、譲渡要求を行ったMFPは、より適切なMFPから制限枚数を譲ってもらうことが可能となる。
【0115】
しかも、サーバ5は、譲渡元MFPを選択するにあたり、平均印刷枚数が最小の1つのMFPだけでは要求枚数を充足できない場合は、更に、平均印刷枚数が少ない順に他のMFPも譲渡元として選択、決定する。そのため、譲渡要求を行ったMFPは可能な限り最大限の制限枚数の譲渡を受けることができ、残枚数不足によって印刷できないという事態の発生をより抑制することができる。
【0116】
また、本実施形態の印刷システム10では、サーバ5によって各MFP1〜4それぞれの印刷履歴情報が管理されているため、サーバ5によって各MFP1〜4が一元的・効率的に管理された、より効率的な印刷システムが実現されている。
【0117】
また、本実施形態の印刷システム10では、各MFP1〜4において、あらゆる印刷要求に対して残枚数不足の場合に譲渡要求を行うのではなく、ファクシミリデータの印刷を行う場合に限り、サーバ5へ譲渡要求を行って他のMFPから制限枚数の譲渡を受けるようにしている。そのため、他のMFPへの影響を最小限に抑えつつ、制限枚数の譲渡を必要十分に受けることができる。
【0118】
特に、ファクシミリデータは、一般的にはユーザが意図しない任意のタイミングで受信されるものであるため、受信はしたものの残枚数が不足しているということで印刷できないとなると、ユーザに悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、少なくともファクシミリデータの印刷については上記のように譲渡要求を行ってでも印刷を行うようにすることで、受信したファクシミリデータが印刷されないままとなる事態を防ぐことができる。
【0119】
また、譲渡要求を行ったMFPは、その譲渡要求に対してサーバ5から譲渡指示(つまり他のMFPからの譲渡)を受けた場合に、譲渡枚数の総数が要求枚数(不足分)に満たない場合は、印刷を行わずにその旨を通知するようにしている。そのため、ユーザにとって使い勝手のよい印刷システムの提供が可能となる。
【0120】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の印刷システムについて説明する。本実施形態の印刷システムは、第1実施形態の印刷システム10と比較して、各MFP1〜4のEEPROM15に記憶され管理されている印刷履歴情報、及びサーバ5のEEPROM35に記憶され管理されている各MFP1〜4の印刷履歴情報が異なり、これに伴い、各MFP1〜4において実行される印刷制御処理及びサーバ5において実行されるMFP管理処理の内容も若干異なる。それ以外の各MFP1〜4及びサーバ5の構成は、基本的には第1実施形態と同じである。そのため、以下の説明では、第1実施形態と異なる部分に絞って説明することとする。
【0121】
(1)本実施形態における制限枚数の譲渡の概要
まず、本実施形態の印刷システムにおいて各MFP1〜4にて管理されている印刷履歴情報を、図10を用いて説明する。本実施形態の印刷システムでは、各MFP1〜4において、印刷履歴情報がユーザ毎に個別に管理されている。即ち、例えば印刷システムを利用するために当該印刷システムに登録しているユーザがユーザA,B,C,D,Eの5人いるとした場合に、各MFP1〜4においては、その5人のユーザ毎に個別に印刷履歴情報が管理されているのである。そのため、サーバ5において管理されている各MFPの印刷履歴情報も、ユーザ毎に個別に記憶・管理されている。
【0122】
図10は、各MFP1〜4それぞれにおいてユーザ毎に管理されている印刷履歴情報のうち、一例として、第1MFP1及び第2MFP2のそれぞれで管理されている、ユーザAの印刷履歴情報を示すものである。
【0123】
図10に例示するように、第1MFP1及び第2MFP2のそれぞれにおいて、ユーザAの印刷履歴情報が管理されている。図10(a)では、第1MFP1におけるユーザAの現時点での印刷履歴として、0時における制限枚数の初期設定から3回の印刷処理が実行され、その結果、印刷枚数の累積が98枚で印刷可能な残枚数が2枚になっていること等が記憶されている。一方、図10(b)では、第2MFP2におけるユーザAの現時点での印刷履歴として、0時における制限枚数の初期設定から3回の印刷処理が実行され、その結果、印刷枚数の累積が33枚で印刷可能な残枚数が67枚になっていること等が記憶されている。
【0124】
この状態において、ユーザAが第1MFP1においてPC6からの5枚分の印刷要求を行った場合、現時点では、残枚数が2枚しかないことから、3枚分の不足が生じ、そのままではその印刷要求に対する印刷処理を実行することはできない。
【0125】
そこで、本実施形態においても、他の各MFP2〜4のいずれか1つ又は複数から制限枚数を3枚分譲渡してもらう。その場合、サーバは5、基本的には、第1実施形態と同様に、平均印刷枚数の最も少ないMFPから順に譲渡元MFPを選択していくわけだが、本実施形態では、あくまでも同一ユーザ間で制限枚数の譲渡が行われる。
【0126】
即ち、サーバ5は、第1MFP1から制限枚数の譲渡要求を受けたとき、その譲渡要求が第1MFP1におけるユーザAからのものであることに基づき、他の各MFP2〜4に対し、あくまでもそのユーザAについての印刷履歴情報を要求・取得する。そして、その取得した各MFP2〜4のうち、ユーザAの平均印刷枚数が最小のものを譲渡元MFPとして選択する。
【0127】
図10の例では、譲渡元MFPとして第2MFP2が選択された場合が例示されている。そして、第2MFP2におけるユーザAの現時点での残枚数が64枚であり、第1MFP1からの要求枚数を十分に充足できることから、サーバ5は、最終的にこの第2MFP2のみを譲渡元MFPとして決定する。そして、その第2MFP2におけるユーザAの制限枚数のうち3枚を、譲渡枚数として第1MFP1へ譲るよう要求(譲渡指示)する。
【0128】
その結果、図10に示すように、第1MFP1の制限枚数は103枚に増えて残枚数も5枚に増え、これにより、PC6からの5枚の印刷要求について印刷処理を実行できるようになる。
【0129】
(2)印刷システムにおいて実行される各種制御処理の説明
次に、本実施形態の印刷システムにおいて実行される各種制御処理について、図11〜図13の各フローチャートを用いて具体的に説明する。
【0130】
(2−1)MFPが実行する印刷制御処理
図11は、各MFP1〜4が実行する印刷制御処理(図6参照)のうち、S100の制限枚数変更処理を示すフローチャートであり、図12は、同じく印刷制御処理のうち、S200の印刷処理を示すフローチャートである。
【0131】
まず、図11の制限枚数変更処理について説明する。各MFP1〜4のCPU12は、まずS510にて、サーバ5からユーザ指定の印刷履歴情報の要求があったか否かを判断する。そして、ユーザ指定の印刷履歴情報の要求がない場合は(S510:NO)、S520に進み、ユーザ指定の印刷履歴情報の要求があった場合は(S510:YES)、S515にて、その指定されたユーザに対応した印刷履歴情報を送信する。例えば、ユーザAについて印刷履歴情報の要求があった場合は、ユーザAについての印刷履歴情報のみを送信することとなる。なお、送信する印刷履歴情報の具体的種類は、第1実施形態における図7のS115と同様である。
【0132】
CPU12は、続くS520にて、サーバ5からユーザ指定の制限枚数の更新要求が来たか否かを判断する。なお、このサーバ5からの更新要求は、後述する図13のS715又はS755においてサーバ5により実行される処理に相当するものである。そして、ユーザ指定の更新要求が来ない場合は(S520:NO)、S530に進み、ユーザ指定の更新要求が来た場合は(S520:YES)、S525にて、自身が管理している印刷履歴情報のうち、その指定されたユーザの印刷履歴情報(制限枚数及び残枚数)を更新する。
【0133】
そして、CPU12は、S530にて0時になったか否かを判断し、0時になった場合は(S530:YES)、S535にて、ユーザ毎にそれぞれ過去の一日あたりの平均印刷枚数を更新する。そして、その更新後、S540にて、サーバ5に対し、サーバ5にて管理されている印刷履歴情報中の当該MFPに対応した平均印刷枚数を、ユーザ毎に更新するよう要求する。
【0134】
次に、図12の印刷処理について説明する。各MFP1〜4のCPU12は、まずS610にて、登録ユーザによる印刷要求があるか否かを判断する。そして、印刷要求があった場合は(S610:YES)、S615にて、そのユーザの印刷要求による要求枚数と、印刷履歴情報として記憶されているそのユーザの現在の残枚数を確認する。そして、CPU12は、その確認結果に基づき、S620にて、残枚数が不足しているか否か、即ち、そのユーザにおける現在の残枚数が、要求された印刷枚数よりも少ないか否かを判断する。
【0135】
その判断の結果、残枚数が不足していない場合は(S620:NO)、S650に進み、その印刷要求に応じた印刷処理を実行する。そして、印刷処理の実行後、CPU12は、S655にて、その実行した印刷枚数分に基づいてそのユーザの印刷枚数と残枚数をそれぞれ更新し、サーバ5に対しても、続くS660にて、そのユーザを対象とした同様の更新要求を出す。これにより、MFP自身及びサーバ5の双方で、そのユーザに対応した印刷履歴情報が更新されることになる。
【0136】
一方、S620の判断処理において、残枚数が不足していると判断された場合は(S620:YES)、CPU12は、S625にて、サーバ5に対し、そのユーザを指定して制限枚数の譲渡要求を通知する。即ち、そのユーザの残枚数が不足していて印刷できないことから、その不足分を要求枚数として、サーバ5に対し、他のMFPにおける同一ユーザの制限枚数から譲渡してもらうよう要求するのである。
【0137】
その後、CPU12は、S630にて、その譲渡要求に対してサーバ5から制限枚数を更新(増加)する旨の要求(譲渡指示)が来るまで待機する。そして、サーバ5からそのユーザに対する制限枚数の更新要求が来た場合は(S630:YES)、S635にて、その要求(譲渡指示)に従って、譲渡を受けた枚数分についてそのユーザの制限枚数及び残枚数をそれぞれ更新する。これにより、MFP側では、そのユーザの制限枚数、残枚数が増加することとなる。
【0138】
そして、CPU12は、S640にて、自身が管理する印刷履歴情報におけるそのユーザの制限到達回数を更新し、続くS645にて、S635による更新後もやはりそのユーザの残枚数が不足しているか否か判断する。このとき、更新後もやはり残枚数が不足している場合は(S645:YES)、CPU12は、S665にて印刷制限のために印刷できないことをユーザへ通知する。そして、サーバ5へそのユーザの印刷履歴情報の更新要求を出した上で(S660)、この印刷処理を終了する。一方、譲渡によってそのユーザの残枚数が要求枚数以上になった場合は(S645:NO)、CPU12はS650以下の処理を行う。
【0139】
(2−2)サーバが実行するMFP管理処理
次に、サーバ5が実行するMFP管理処理について、図13のフローチャートに従って説明する。図13に示すように、本実施形態のサーバ5のCPU32は、まずS710にて、現在時刻が0時になったか否かを判断する。そして、0時になった場合は(S710:YES)、S715にて、各MFP1〜4に対し、ユーザ毎の制限枚数及び残枚数の初期設定を指示する。即ち、ユーザ毎に、制限枚数を100枚に更新すると共に、印刷枚数を0枚、残枚数を100枚にそれぞれ更新するよう要求するのである。なお、CPU32は、このS715の更新要求の際、サーバ5自身が管理している各MFP1〜4の印刷履歴情報についても、同様にユーザ毎に更新しておく。
【0140】
CPU32は、続くS720で、各MFP1〜4からユーザ指定の印刷履歴情報の更新要求があるか否かを判断し、更新要求があった場合は(S720:YES)、CPU32は、S725にて、その要求に応じてサーバ5自身が管理する印刷履歴情報をユーザ単位で更新し、続くS730に進む。一方、印刷履歴情報の更新要求がなかった場合は(S720:NO)、そのままS730に進む。
【0141】
S730では、CPU32は、各MFP1〜4のいずれかからユーザ指定の制限枚数の譲渡要求があるか否かを判断する。そして、譲渡要求があった場合は(S730:YES)、S735にて、各MFPに対し、各MFPにおいて管理されている現在の印刷履歴情報のうちその指定ユーザのものを要求する。
【0142】
そして、CPU32は、各MFPそれぞれからその要求した指定ユーザの印刷履歴情報を取得すると(S740:YES)、S745にて、その取得した印刷履歴情報に基づき、譲渡要求を行ったMFP以外の他の各MFPのうち、指定ユーザの過去の平均印刷枚数が最小のMFPを選択すると共に、そのMFPにおける指定ユーザの残枚数が、譲渡要求による要求枚数分残っているか否かを判断する。
【0143】
このとき、平均印刷枚数が最小のMFPにおける指定ユーザの残枚数が要求枚数以上であれば(S745:YES)、CPU32は、S750にて、そのMFPを譲渡元MFPとして選択し、そのMFPにおける指定ユーザの現在の制限枚数のうち要求枚数分を譲渡枚数として設定する。
【0144】
そしてCPU32は、S755にて、その譲渡元として選択(決定)された譲渡元MFPに対し、S750にて設定された譲渡枚数に基づく、指定ユーザの制限枚数の更新を要求する。つまり、譲渡元MFPに対し、指定ユーザの制限枚数を要求枚数分だけサーバ側へ譲渡すべき旨の譲渡指示を行うのである。これにより、譲渡元MFPでは、その要求に応じて、指定ユーザの制限枚数及び残枚数がそれぞれ要求枚数分だけ減ることとなる。
【0145】
更にCPU32は、S760にて、譲渡先のMFP、即ち譲渡要求を行ったMFPに対し、譲渡元MFPによる譲渡枚数の総数に基づく制限枚数の更新を要求する。つまり、譲渡先のMFPに対し、指定ユーザの要求枚数分の制限枚数を譲渡する旨の譲渡指示を行うのである。これにより、譲渡先のMFPでは、要求に応じて、指定ユーザの制限枚数及び残枚数がそれぞれ要求枚数分だけ増えることになる。つまり、S755及びS760の各処理により、譲渡元MFPから譲渡先MFPへの、サーバ5を介した同一ユーザ間の制限枚数の譲渡が実現されるのである。
【0146】
その後CPU32は、S765にて、自身が管理している各MFP1〜4の印刷履歴情報における指定ユーザの情報を更新した上で、再びS710以下の処理に戻る。
【0147】
一方、S745の判断処理において、指定ユーザの平均印刷枚数が最小のMFPにおける残枚数が要求枚数に満たなかった場合は(S775:NO)、CPU32は、S770にて、まずはその平均印刷枚数が最小のMFPを譲渡元MFPとして選択し、その譲渡元MFPにおける指定ユーザの現在の残枚数全てを、その譲渡元MFPからの譲渡枚数として設定する。そして、S775にて、要求枚数に対する現時点での残りの必要枚数(不足分)を演算する。即ち、要求枚数から、S770にて選択した譲渡元MFPにおける指定ユーザの残枚数(その譲渡元MFPからの譲渡枚数)を減算することで、残りの必要枚数を算出する。
【0148】
そして、CPU32は、続くS780にて、今までに譲渡元MFPとして選択されたMFP以外の他の各MFPの中で、指定ユーザの平均印刷枚数が最小のMFPを抽出する。そして、S785にて、その抽出したMFPにおける指定ユーザの残枚数が、S775で算出した必要枚数分残っているか否かを判断する。
【0149】
ここで、その抽出したMFPにおける指定ユーザの残枚数が必要枚数分残っていた場合は(S785:YES)、CPU32は、S790にて、そのMFPを新たに譲渡元MFPとして選択し、そのMFPにおける指定ユーザの現在の制限枚数のうち、必要枚数分を譲渡枚数として設定する。
【0150】
このようにして新たにまた譲渡元MFPが決定されると、CPU32は、S755以下の処理を行うことにより、譲渡元MFPから譲渡先MFPへの、同一ユーザ間での制限枚数の譲渡を行う。
【0151】
一方、CPU32は、S785の処理において、S780で抽出したMFPにおいてもなお、指定ユーザの残枚数が必要枚数分残っていないと判断した場合は(S785:NO)、S795にて、その抽出したMFPについても譲渡元MFPとして選択し、その選択した譲渡元MFPにおける指定ユーザの現在の残枚数全てを、その譲渡元MFPからの譲渡枚数として設定する。そして、S800にて、要求枚数に対する現時点での残りの必要枚数(不足分)を再び演算し直す。即ち、現時点での必要枚数から、S795にて選択した譲渡元MFPにおける指定ユーザの残枚数(その譲渡元MFPからの譲渡枚数)を減算することで、新たな必要枚数を算出する。
【0152】
そして、CPU32は、続くS805にて、全てのMFPについてチェック済みか否かを判断し、未だチェック済みでないMFPが残っている場合は(S805:NO)、S780以下の処理に戻り、全てチェック済みであれば(S805:YES)、それまでに選択された譲渡元MFPを全て、最終的な譲渡元MFPとして決定し、S755以下の処理に進む。
【0153】
(3)第2実施形態の効果
以上説明した本実施形態の印刷システムによれば、各MFP相互間のサーバ5を介した制限枚数の譲渡が、各MFPに設定された同一ユーザ間で行われるため、他のユーザの残枚数に影響を与えることなく制限枚数の譲渡を実施することができる。
【0154】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0155】
例えば、上記第1実施形態では、各MFP1〜4において、印刷要求に対して残枚数が不足していた場合に、その印刷要求がFAX記録である場合に限り、サーバ5に対して制限枚数の譲渡要求を行うようにしたが(図8のS225〜S230)、このようにFAX記録の場合に限って譲渡要求を行うようにするのはあくまでも一例である。
【0156】
即ち、上記第1実施形態では、FAX記録は他の印刷要求と比較して優先的に印刷すべきものであることに鑑み、FAX記録の場合には他のMFPから制限枚数を譲ってもらってでも印刷を実行するようにし、併せて、FAX記録以外の印刷要求があった場合に残枚数不足で印刷できない場合はそれを許容することによって他のMFPに与える影響を最小限に抑えるようにしているのである。
【0157】
そのため、上記構成に限らず、例えば、FAX記録とは別の他の印刷要求の場合のみ、或いはFAX記録及び他の一又は複数種類の印刷要求の場合のみ、譲渡要求を行えるようにしてもよい。或いは、全ての種類の印刷要求について譲渡要求を行えるようにしてもよい。
【0158】
また、上記各実施形態では、サーバ5は、制限枚数の譲渡元MFPを選択する判断基準として、平均印刷枚数を採用し、平均印刷枚数が最小のMFPから順次選択していくようにしたが(図9のS345、図13のS745)、このように平均印刷枚数を判断基準とするのはあくまでも一例であり、各MFP1〜4の過去の印刷頻度に応じて譲渡元MFPを適切に選択できる限り、その判断基準は特に限定されない。
【0159】
具体的には、例えば、過去の制限到達回数が最小のMFPから順次選択していくようにしてもよい。制限到達回数が少ないMFPほど、印刷頻度が少ないMFPであるといえる。そのため、制限到達回数を判断基準として譲渡元MFPを選択するようにしても、上記各実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0160】
また、上記各実施形態では、あるMFPからの譲渡要求に対して平均印刷枚数が最小のMFP1つだけではその要求枚数を充足できない場合、他のMFPも譲渡元MFPとして選択するようにしたが、このような方法とは別に、平均印刷枚数が最小のMFP1つだけで足りない場合は、その時点で譲渡不可としてもよい。
【0161】
或いは、平均印刷枚数が最小のMFP1つだけでは足りない場合、制限到達回数が最小のMFPについて要求枚数を充足するかどうか判断し、充足できるのであればそのMFPを譲渡元MFPとして選択するようにしてもよい。
【0162】
但しこの場合においても、制限到達回数が最小のMFP1つだけではやはり要求枚数を充足できない場合も想定される。その場合は、その時点で譲渡不可としてもよいし、更にまた別の判断基準に基づいて譲渡元MFPを探すようにしてもよい。
【0163】
また、上記実施形態では、0時になる毎に、サーバ5は各MFP1〜4における制限枚数及び残枚数の初期設定を行い(図9のS310、図13のS710)、各MFP1〜4は平均印刷枚数を更新するようにしたが(図7のS130〜、図11のS530〜)、このように0時になる毎に初期設定・更新を行うのもあくまでも一例であり、これら初期設定・更新を行うタイミングは特に限定されるものではない。
【0164】
また、印刷システムを構成するMFPの数についても、上記各実施形態で例示した4つというのはあくまでも一例に過ぎない。また、複数のMFPがLANを介してサーバに接続されている印刷システムにおいて、必ずしも全てのMFPが制限枚数等をサーバに管理されるものではなくてもよい。つまり、サーバによって管理される複数のMFPと管理されないMFPとが混在した印刷システムにおいても、少なくともサーバによって管理される複数のMFPとサーバとの間については本発明の適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】実施形態の印刷システム全体の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態の印刷システムで行われる、サーバを介したMFP間の制限枚数の譲渡を説明するためのシーケンス図である。
【図3】第1実施形態のサーバが管理する各MFPの印刷履歴情報を示す説明図である。
【図4】第1実施形態の各MFPがそれぞれ管理する印刷履歴情報を示す説明図である。
【図5】第1実施形態のサーバが管理する各MFPの印刷履歴情報の、制限枚数の譲渡実施前後の変化例を示す説明図である。
【図6】第1実施形態の各MFPにおいて実行される印刷制御処理を示すフローチャートである。
【図7】図6の印刷制御処理におけるS100の制限枚数変更処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】図6の印刷制御処理におけるS200の印刷処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】第1実施形態のサーバにおいて実行されるMFP管理処理を示すフローチャートである。
【図10】第2実施形態の各MFPがそれぞれ管理する印刷履歴情報を説明するための説明図である。
【図11】第2実施形態の各MFPにおいて実行される制限枚数変更処理を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態の各MFPにおいて実行される印刷処理を示すフローチャートである。
【図13】第2実施形態のサーバにおいて実行されるMFP管理処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0166】
1…第1MFP、2…第2MFP、3…第3MFP、4…第4MFP、5…サーバ、6…PC、7…LAN、8…公衆回線、10…印刷システム、11,31…制御部、12,32…CPU、13,33…ROM、14,34…RAM、15,35…EEPROM、16,37…時計、17…プリンタ部、18…スキャナ部、19…FAX部、20,38…操作部、21,39…表示部、22,40…I/F、23,41…バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、複数の印刷装置とがネットワークを介して相互に通信可能に構成された印刷システムであって、
前記印刷装置は、
印刷可能な枚数を制限するための印刷制限枚数を設定する制限枚数設定手段と、
印刷要求を受け付け、該印刷要求に応じて、前記制限枚数設定手段による前記印刷制限枚数の設定後の累積印刷枚数が該印刷制限枚数を超えない範囲内で印刷処理を実行する印刷実行手段と、
前記印刷要求を受けた場合、該印刷要求に基づく印刷枚数に対し、前記印刷実行手段により印刷可能な残枚数が不足しているか否かを判断する第1判断手段と、
前記第1判断手段により前記残枚数が不足していると判断された場合、前記サーバに対し、前記印刷制限枚数を譲渡してもらうための譲渡要求を送信する譲渡要求手段と、
前記サーバから譲渡指示を受けた場合に、該譲渡指示に従って前記印刷制限枚数を更新する更新手段と、
を備え、
前記サーバは、
前記印刷装置から前記譲渡要求を受信した場合、該譲渡要求の送信を行った印刷装置以外の他の各印刷装置の中から、該各印刷装置の印刷頻度に基づいて前記印刷制限枚数の譲渡元となる印刷装置を決定する譲渡元決定手段と、
前記譲渡元決定手段により譲渡元として決定された印刷装置に対しては該印刷装置における前記印刷制限枚数を削減する旨の前記譲渡指示を、前記譲渡要求を行った印刷装置に対しては該印刷装置における前記印刷制限枚数を増加する旨の譲渡指示を、それぞれ送信する譲渡指示手段と、
を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記サーバにおける前記譲渡元決定手段は、前記印刷頻度の最も少ない前記印刷装置を前記譲渡元として決定する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷システムであって、
前記サーバにおける前記譲渡元決定手段は、前記各印刷装置のうち、予め定められた一定期間における印刷枚数の平均値が最も少ない印刷装置、又は、前記第1判断手段により前記残枚数が不足していると判断された回数が最も少ない印刷装置、のいずれか一方を、前記譲渡元として決定する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置における前記譲渡要求手段が送信する前記譲渡要求は、少なくとも前記不足分を要求枚数として要求するものであり、
前記サーバにおける前記譲渡元決定手段は、前記各印刷装置のうち、予め定められた一定期間における印刷枚数の平均値が最も少ない印刷装置を前記譲渡元として決定すると共に、該決定した譲渡元の印刷装置における印刷可能な残枚数が前記譲渡要求による要求枚数より少ない場合は、更に、他の一又は複数の前記印刷装置についても、前記平均値が少ない順に前記譲渡元として決定する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
請求項3に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置における前記譲渡要求手段が送信する前記譲渡要求は、少なくとも前記不足分を要求枚数として要求するものであり、
前記サーバにおける前記譲渡元決定手段は、前記各印刷装置のうち、前記第1判断手段により前記残枚数が不足していると判断された回数が最も少ない印刷装置を前記譲渡元として決定すると共に、該決定した譲渡元の印刷装置における印刷可能な残枚数が前記譲渡要求による要求枚数より少ない場合は、更に、他の一又は複数の前記印刷装置についても、前記回数が少ない順に前記譲渡元として決定する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
請求項3に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置における前記譲渡要求手段が送信する前記譲渡要求は、少なくとも前記不足分を要求枚数として要求するものであり、
前記サーバにおける前記譲渡元決定手段は、まず、前記各印刷装置のうち、予め定められた一定期間における印刷枚数の平均値が最も少ない印刷装置について、該印刷装置における印刷可能な残枚数が前記譲渡要求による要求枚数より少ないか否か判断して、該要求枚数以上ならば該印刷装置を前記譲渡元として決定し、該要求枚数より少ない場合は、前記第1判断手段により前記残枚数が不足していると判断された回数が最も少ない印刷装置を前記譲渡元として決定する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の印刷システムであって、
前記サーバは、前記印刷装置に対して前記印刷制限枚数の設定を要求する設定要求手段を備え、
前記印刷装置における前記制限枚数設定手段は、前記設定要求手段による要求に従って前記印刷制限枚数の設定を行う
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は、前記印刷実行手段によって複数種類の印刷処理を実行可能に構成されており、
前記印刷装置における前記譲渡要求手段は、前記第1判断手段により前記残枚数が不足していると判断された場合、前記印刷要求に基づく印刷処理が予め決められた種類の印刷処理であった場合に、前記譲渡要求の送信を行う
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は、ファクシミリデータを受信する受信手段を備え、
前記予め決められた種類の印刷処理は、前記受信手段により受信したファクシミリデータに基づく印刷処理である
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は、
前記更新手段によって前記印刷制限枚数が更新された後、前記印刷要求に基づく印刷枚数に対して該更新後の前記残枚数が不足しているか否かを判断する第2判断手段と、
前記第2判断手段により前記残枚数が不足していると判断された場合、前記印刷要求に応じた印刷処理を行うことができない旨の通知を行う通知手段と、
を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の印刷システムであって、
前記印刷装置における前記制限枚数設定手段は、前記印刷要求を行うユーザ単位で前記印刷制限枚数が設定されるよう構成され、当該印刷装置が備える他の前記各手段もそれぞれ前記ユーザ単位で動作を実行するよう構成されており、
前記サーバにおける前記各手段はそれぞれ、前記印刷装置から特定のユーザに対応した前記譲渡要求を受信した場合、前記複数の印刷装置における前記特定のユーザに対して設定された情報を対象としてそれぞれ動作を実行するよう構成されている
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項12】
印刷制限枚数が予め個々に設定された複数の印刷装置と相互に通信可能なサーバであって、
前記印刷装置から前記印刷制限枚数の譲渡要求を受信した場合、該譲渡要求の送信を行った印刷装置以外の他の各印刷装置の中から、該各印刷装置の印刷頻度に基づいて前記印刷制限枚数の譲渡元となる印刷装置を決定する譲渡元決定手段と、
前記譲渡元決定手段により譲渡元として決定された印刷装置に対しては該印刷装置における前記印刷制限枚数を削減する旨の譲渡指示を、前記譲渡要求を行った印刷装置に対しては該印刷装置における前記印刷制限枚数を増加する旨の譲渡指示を、それぞれ送信する譲渡指示手段と、
を備えたことを特徴とするサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−113658(P2010−113658A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287805(P2008−287805)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】