説明

印刷処理装置及びその制御方法

【課題】必要な印刷物の数が不確定な場合であっても、適切な部数の印刷物を準備することができる印刷処理装置、その制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】印刷処理装置には、印刷部117と、予め定められた人の予め定められた範囲内における存否を検出することにより、印刷部117によって印刷される印刷物を配布する対象者数を決定する画像処理部105と、対象者数に相当する部数の印刷の実行を印刷部117に指示する印刷設定部116と、が設けられている。画像処理部105は、印刷部117に前記印刷の実行が指示された後においても予め定められた人の存否の検出及び対象者数の決定を継続し、印刷設定部116は、印刷部117に印刷の実行を指示した後に、対象者数が変更された場合、部数の変更を印刷部117に指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の出入りがある場所での印刷に好適な印刷処理装置、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷処理装置における印刷部数の決定は、印刷時にユーザが手動で設定する必要がある。そのため、必要な印刷物の数が不確定な場合、印刷部数の決定は困難であり、印刷時に多めに印刷したり、足りなくなってから追加で印刷したりすることで対応している。
【0003】
しかし、印刷時に多めに印刷することは資源及び費用を無駄になることが考えられる。また、足りなくなってからの印刷では、必要なときに間に合わないことも考えられる。
【0004】
写真の印刷に関しては、写真を印刷する場合であって、その印刷部数が当該写真に含まれている人数である場合に、当該人数を検出し、この検出結果に基づいて出力部数を制御するプリンタ一体型カメラが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−219329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているプリンタ一体型カメラは、写真内の人数に対応する印刷を実行するものであるが、出入りの自由な空間に存在する人に対してどれだけの部数を印刷すればよいかを決定することは困難である。
【0007】
本発明は、必要な印刷物の数が不確定な場合であっても、適切な部数の印刷物を準備することができる印刷処理装置、その制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
【0009】
本発明に係る印刷処理装置は、検出手段による検出結果に基づいて、印刷物の配布対象である対象者数を設定する設定手段と、前記設定手段によって設定された対象者数に対応する部数の印刷物の印刷を印刷手段に実行させる制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記印刷手段に前記印刷の処理を制御しているときに、前記設定手段において対象者数が更新された場合、前記更新された対象者数に対応する部数の印刷物の印刷を前記印刷手段に実行させることを特徴とする。
また、検出手段による検出結果に基づいて、印刷物の配布対象である対象者数を設定する設定手段と、前記印刷手段が印刷した印刷物の残部数を検出する残部数検出手段と、前記設定手段によって設定された対象者数及び前記検出手段によって検出された残部数に基づく印刷部数の印刷を印刷手段に実行させる制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、必要な印刷物の数が不確定な場合であっても、適切な部数の印刷物を準備することができる。従って、資源及び費用の無駄を抑制し、また、迅速に印刷物を準備することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの構成を示す機能構成図である。
【0013】
第1の実施形態では、図1に示すように、撮像装置101と印刷処理装置110とがネットワーク109により互いに接続されている。ネットワーク109は、例えばインターネット又はローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)等である。
【0014】
撮像装置101は、撮像制御部102、撮像部103、メモリ部104、画像処理部105及び通信部108を有する。また、画像処理部105は、認識部106及び個人検出部107を有する。撮像装置101は、検出手段として機能し、印刷対象者数に関する情報を検出結果としてネットワークを介して印刷処理装置110に出力する。
【0015】
通信部108は、ネットワーク109を介して印刷処理装置110から個人識別情報を受信し、この個人識別情報をメモリ部104へ伝達する。また、通信部108は、画像処理部105内の個人検出部107から伝達された印刷対象者数をネットワーク109を介して印刷処理装置110に送信する。更に、通信部108は、メモリ部104に記憶されている画像データをネットワーク109を介して印刷処理装置110へ送信することもある。ここで、個人識別情報とは、印刷物を配布する可能性がある予め定められた人を識別するための情報である。例えば、個人識別情報は、撮像装置101から得られた画像から誰の顔であるかを判別するための情報(顔画像データ又は顔画像の特徴量データ)である。また、印刷対象者数とは、印刷物を配布する対象者の数を示す情報である。
【0016】
撮像制御部102は、CPU、RAM及びROMによって構成され、撮像部103、画像処理部105及び通信部108の制御を行う。具体的にはROMに格納されたプログラムをRAMへ読み出し、読み出されたプログラムに基づいてCPUが撮像装置101の各処理を実行する。
【0017】
撮像部103は、撮像制御部102による制御に基づき、CCD等の撮像素子から入力される画像データをメモリ部104に伝達する。
【0018】
メモリ部104は、撮像部103から伝達された画像データを記憶する画像データ用のメモリを有する。そして、画像処理部105へ画像データを送信し、画像処理部105により処理された画像データを記憶する。また、メモリ部104は、通信部108が受信した印刷処理装置110からの個人識別情報(顔画像データ又は顔画像の特徴量データ)を記憶する。
【0019】
画像処理部105は、メモリ部104に記憶されている画像データを読み込み、ノイズ除去処理、高画質化処理及び解像度変換処理等の画像処理を行う回路である。また、画像処理部105は、画像データの圧縮処理等も行う。更に、画像処理部105には、上述のように、認識部106及び個人検出部107が含まれている。認識部106は、メモリ部104に記憶されている画像データを読み込み、予め定められた範囲内を撮影して得られた画像データにどのような人が含まれているかを認識する。そして、認識部106は、認識結果の情報を個人検出部107へ伝達する。個人検出部107は、メモリ部104から伝達された個人識別情報に基づいて、認識部106から伝達された認識結果の情報から印刷対象者数を検出する。そして、個人検出部107は、印刷対象者数を通信部108へ伝達する。更に、個人検出部107は、認識結果の情報に含まれている人に関し、どの人について印刷要求を行ったのかという情報を認識部106に伝達する。認識部106は、この情報を受け取ると、誰についての印刷要求が済んだのかということを認識する。個人検出部107は、検出された印刷対象者数に関する情報を検出結果として印刷処理装置110に送信する。
【0020】
印刷処理装置110には、印刷制御部111、通信部112、画像取得部113、メモリ部114、印刷設定取得部115、印刷設定部116及び印刷部117が含まれる。
【0021】
印刷制御部111は、通信部112、画像取得部113、印刷設定取得部115、印刷設定部116、印刷部117の制御を行う。
【0022】
通信部112は、印刷設定取得部115により取得された個人識別情報をネットワーク109を介して撮像装置101へ送信する。また、通信部112は、撮像装置101からネットワーク109を介して送信された印刷対象者数を受信し、印刷設定部116へ伝達する。更に、通信部112は、撮像装置101からネットワーク109を介して送信された画像データを受信し、メモリ部114に記憶することもある。
【0023】
画像取得部113は、印刷部117により印刷物として印刷される画像データを取得する。画像取得部113は、例えば、書類、写真等の内容を読み取るスキャナ装置である。
【0024】
メモリ部114は、画像取得部113により取得された画像データを記憶するメモリである。メモリ部114により記憶されている画像データは、印刷部117が印刷可能である。
【0025】
印刷設定取得部115は、印刷を行う際の設定内容をユーザに入力させるためのユーザインタフェースである。この印刷設定取得部115を介して入力させる設定内容としては、例えば、印刷画質、印刷形式、印刷部数、印刷対象選択、印刷の開始、印刷の中断及び印刷の終了等が挙げられる。また、本実施形態においては、印刷物を配布する予定の人を識別するための情報である個人識別情報は、ネットワーク109上のデータベース等に格納される。そして、このデータベース等から印刷設定取得部115がユーザにより指示された顔画像データの集合(例えば、特定部署の社員の顔の画像データ)を個人識別情報として予めメモリ114に格納しておく。
【0026】
印刷設定部116は、印刷設定取得部115により取得された設定内容の情報(印刷設定情報)を受け取り、印刷部117の処理として設定するためのメモリを有する。さらに、印刷設定部116は、通信部112から検出結果である印刷対象者数を受け取り、印刷部117における印刷部数として設定する。
【0027】
印刷部117は、印刷設定部116の印刷設定情報に基づく印刷制御部111に指示に応じて、メモリ部114に記憶されている画像データを印刷する。
【0028】
印刷処理装置110では、画像取得部113が取得した画像データは、印刷部117によって印刷されるデータ(印刷データ)としてメモリ部114に記憶される。そして、印刷部117により、メモリ部114から印刷データが読み込まれ、印刷設定部116において設定された印刷設定情報に基づいて、この印刷データの印刷が実行される。なお、印刷データは、コンピュータ等により作成された文書データ等であってもよい。
【0029】
なお、図1では、1台の撮像装置101及び1台の印刷処理装置110がネットワーク109により接続されているが、撮像装置101及び印刷処理装置110の数は、いずれも2台以上であってもよい。
【0030】
次に、第1の実施形態に係る印刷システムの動作について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの動作を示すフローチャートである。図3は、本発明の第1の実施形態に係る印刷システムが使用される状況の一例を示す図である。
【0031】
この説明では、図3に示すように、撮像装置101及び印刷処理装置110が会議室301内に設置されているものとする。そして、会議室301内にいる人へ配布するための資料を、印刷処理装置110を用いて印刷することとする。また、会議室301内には、「社員」とそれ以外の人(ここでは、「訪問客」)が出入り可能な状況になっており、「社員」に第1の形式の印刷物を配布し、「訪問客」に第2の形式の印刷物を配布するものとする。第1の形式は、例えば2in1(1枚の用紙に2頁分の文書が含まれた形式)であり、第2の形式は、例えば1in1(1枚の用紙に1頁分の文書が含まれた形式)である。つまり、印刷対象者である予め定められた人の範疇として「社員」及び「訪問客」の2種類を設定し、この範疇毎に印刷物の印刷形式を変更するものとする。なお、範疇の種類に応じて、印刷する紙のサイズ及び種類を変更してもよいし、範疇の種類に応じて、白黒又はカラーで印刷してもよい。
【0032】
先ず、ステップS201において、印刷処理装置110の画像取得部113が画像データを取得し、これをメモリ部114が印刷物の印刷データとして記憶する。例えば、印刷設定取得部115を介したユーザからの指示に基づいて、画像取得部113が書類、写真等の内容を読み取り、メモリ部114が記憶する。また、ユーザから印刷設定取得部115を介して、メモリ部114に記憶されている印刷データを印刷する旨の指示があった場合には、ステップS201が省略され、印刷制御部111がその旨を認識する。但し、メモリ部114に記憶されている印刷データが複数ある場合には、どの印刷データを印刷するかという指示も印刷制御部111が実行する。
【0033】
次に、ステップS202において、印刷制御部111は、印刷設定取得部115を介して入力されたユーザの印刷対象場所(印刷対象者を検出する場所)を認識する。図3に示す例では、印刷対象場所として会議室301が選択されたものとする。印刷対象場所が会議室301に設定されると、会議室301の外部にも印刷処理装置110に接続された撮像装置が存在している場合であっても、会議室301内の撮像装置101がその後の処理で用いられる唯一の撮像装置として特定される。
【0034】
次に、ステップS203において、ユーザによって特定の個人識別情報の取得指示が入力された場合、印刷制御部111がネットワーク109上のデータベースからユーザの指示に対応する範疇の個人識別情報(顔画像データの集合)を取得する。
【0035】
図3に示す例では、印刷処理装置110は、個人識別情報として、会議室301に入室する可能性がある特定部署の「社員」の顔の画像データを取得するものとする。また、この例では、「社員」と「訪問客」との間で印刷形式を相違させることとしている。そのため、ステップS203において、印刷処理装置110は、ユーザによる入力に基づいて、「社員」用の印刷形式の情報及び「訪問客」用の印刷形式の情報を取得し、メモリ部114に格納する。
【0036】
次に、ステップS204において、印刷制御部111がユーザに印刷の準備が整ったことを不図示のディスプレイ等を介して通知する。印刷設定取得部115を介して印刷開始の要求の入力が検出された場合、印刷制御部111は、印刷処理を開始する。
【0037】
次に、ステップS205において、通信部112が、ステップS202で入力された印刷対象場所に対応する撮像装置、ここでは会議室301内の撮像装置101との通信を開始する。
【0038】
次に、ステップS206において、撮像装置101の通信部108が印刷処理装置110の通信部112からの通信要求を受信し、通信を開始する。
【0039】
次に、ステップS207において、通信部112が印刷設定取得部115を介して指定された個人識別情報、つまり「社員」の顔の画像データの集合を通信部108に送信する。
【0040】
次に、ステップS208において、通信部108が個人識別情報を受信し、これをメモリ部104へ伝達する。メモリ部104は、この個人識別情報を記憶する。
【0041】
次に、ステップS209において、印刷対象者数が検出される。印刷対象者数の検出では、先ず、撮像制御部102は、撮像部103の撮像素子によって会議室301内を撮像させ、得られた画像データをメモリ部104に記憶させる。次に、画像処理部105は、メモリ部104から個人識別情報及び会議室301内の画像データを受け取る。そして、画像処理部105内の認識部106は、顔認識技術等を利用することでどのような顔の人が会議室301内に在席しているかを認識する。この認識結果の情報及び個人識別情報を用いて個人検出部107が「社員」を検出し、その検出された人数をカウントする。そして「社員」として認識できなかった顔の人を「訪問者」とし、その人数をカウントする。
【0042】
ここで、ステップS209の詳細について説明する。図4は、認識部106による認識結果の情報(テーブル)の一例を示す図である。図4に示す認識情報の結果は、例えば認識部106の内部に保有されるが、メモリ部104に記憶されてもよい。認識部106は、会議室301内の画像データをメモリ部104から受け取ると、この画像データを分析することにより、図4に示すように、検出人物401の欄に、その時点で会議室301内に在席している人物に任意の番号を割り当てる。そして、後述の人の存否の確認のために、画像データから顔の画像データを抽出し、それぞれの番号に割り当てる。例えば、5人が在席している場合には、認識部106は、これらの人物に「A」〜「E」という番号を割り当てる。そして、認識部106は、これらの5人の状態として、「在席」という認識結果を状態402の欄に記憶する。また、この時点では、撮像装置101から印刷処理装置110への印刷要求は行われていないため、「印刷要求前」という認識結果も状態402の欄に記憶される。その後、認識部106は、認識結果の情報を個人検出部107に伝達する。個人検出部107は、個人識別情報及び認識部106から伝達された認識結果の情報に基づいて、「A」〜「E」のうちの誰が「社員」であるかを識別した上で、印刷対象者数として、「社員」の数及び「訪問客」の数を検出し、通信部108に伝達する。図4に示す例において、「A」〜「D」が「社員」で、「E」が「訪問客」であれば、個人検出部107は、「社員」の数が4、「訪問客」の数が1という印刷対象数を通信部108に伝達する。更に、個人検出部107は、どの人物に対する印刷要求が済んだかを認識させるために、認識部106にも印刷対象数を伝達する。なお、状態402の内容は、検出人物401が会議室301から退出したり、再び会議室に戻ってきたりした場合に変更されるが、その場合の動作の詳細については後述する。
【0043】
次に、ステップS210において、通信部108が印刷対象者数(「社員」が4、「訪問客」が1)を通信部112へ送信する。
【0044】
次に、ステップS211において、通信部112が印刷対象者数を受信し、印刷設定部116へ伝達する。
【0045】
次に、ステップS212において、印刷設定部116に設定されている情報に基づき、印刷部117が、ステップS201で取得された画像データの印刷対象者数に相当する部数の印刷を開始する。つまり、印刷部117は、「社員」用の第1の形式で4部、「訪問客」用の第2の形式で1部の印刷を開始する。
【0046】
また、本実施形態では、印刷部117による印刷が開始された後でも、ユーザによる印刷終了の指示を印刷設定取得部115が取得するまでは、撮像装置101は印刷対象者に変化がないか確認し、印刷処理装置110はこの結果に応じた印刷を行う。
【0047】
つまり、印刷が開始された後でも、ステップS213において、例えば予め定められた一定の時間毎に、ステップS209と同様に、画像処理部105が印刷対象者の認識を継続する。この認識動作は、印刷処理装置110において印刷終了の要求があった旨の情報を撮像制御部102が受け取るまで継続する。但し、ステップS209では、認識部106がその時点で会議室301内に在席する人物を認識しているだけであるが、ステップS213では、認識部106は、既に在席していた人が退席していないか、新たに在席している人がいないかという存否も認識する。
【0048】
そして、印刷対象者に変化が生じている場合、つまり、会議室301内において人の出入りが発生している場合には、ステップS214において、認識部106が、認識結果の情報を更新し、更新後の認識結果の情報を個人検出部107に伝達する。出入りの状態に応じた認識部106の動作について説明する。
【0049】
図5Aは、認識部106による更新後の認識結果の情報(テーブル)の一例を示す図である。認識部106は、印刷要求後に在席していた人が退席したことを認識すると、状態402の欄に記憶されている情報である「在席」を「退席」に変更する。例えば、「D」が退席している場合には、図5Aに示すように、「D」の状態を「退席」とする。
【0050】
図5Bは、認識部106による更新後の認識結果の情報(テーブル)の他の一例を示す図である。認識部106は、新たに人物が加わったことを認識すると、検出人物401の欄に、それまでに在席していた人物の番号に加えて、新たに加わった人物にも任意の番号を割り当てる。例えば、それまでに「A」〜「E」の5人が在席していたところに、新たに1人が加わった場合には、認識部106は、図5Bに示すように、新たに加わった人物に「F」という番号を割り当てる。そして、認識部106は、この新たに加わった人物の状態として、「在席、追加」という認識結果を状態402の欄に記憶する。また、認識部106は、既に在席していた「A」〜「E」の状態を認識し、変化があれば、その結果を状態402の欄に記憶する。例えば、「A」〜「E」の全員が在席していれば、変化がないため、新たに記憶する必要はない。更に、認識部106は、図5Aに示す場合と同様に、「A」〜「E」については印刷の要求が完了していることを記憶する。
【0051】
図5Cは、認識部106による更新後の認識結果の情報(テーブル)の更に他の一例を示す図である。認識部106は、新たに人物が加わったこと及びそれまで在席していた人が退席したことを認識すると、図5Cに示すように、新たに加わった人物に任意の番号を割り当てると共に、退席した人の状態を変更する。例えば、それまでに「A」〜「E」の5人が在席していたところに、新たに1人が加わった場合には、図5Bに示す場合と同様に、認識部106は、新たに加わった人物に「F」という番号を割り当てる。そして、認識部106は、この新たに加わった人物の状態として、「在席、追加」という認識結果を状態402の欄に記憶する。また、「C」が退席している場合には、その旨を状態402の欄に記憶する。更に、認識部106は、図5A及び図5Bに示す場合と同様に、「A」〜「E」については印刷の要求が完了していることを記憶する。
【0052】
次いで、個人検出部107が、更新された認識結果の情報に基づいて、印刷対象者数を新たに検出し、通信部108に伝達する。図5Aに示す例では、「社員」である「D」が退席しているので、「社員」が3、「訪問客」が1という印刷対象数を伝達する。また、図5Bに示す例では、「F」が「社員」であれば、「社員」が5、「訪問客」が1という印刷対象数を伝達し、「F」が「訪問客」であれば、「社員」が4、「訪問客」が2という印刷対象数を伝達する。また、図5Cに示す例では、「F」が「社員」であれば、「社員」が4、「訪問客」が1という印刷対象数を伝達し、「F」が「訪問客」であれば、「社員」が3、「訪問客」が2という印刷対象数を伝達する。
【0053】
次に、ステップS215において、通信部108が最新の印刷対象者数を通信部112へ送信する。
【0054】
次に、S216において、通信部112が最新の印刷対象者数を受信し、印刷設定部116へ伝達する。
【0055】
次に、ステップS217において、印刷制御部111は、印刷設定部116に設定されている印刷部数分の印刷を印刷部117が行っている途中であれば、印刷設定部116に設定された印刷対象者数の情報を更新する。そして、印刷制御部111は、設定が更新された印刷対象者に対応する部数の印刷の実行を印刷部117に実行させる。この更新により、印刷対象者数が少なくなった場合、それに対応する分だけ発行部数を印刷するので過剰な印刷を抑制できる。一方、既に印刷部117が当該印刷部数の印刷を終了した後であれば、印刷部117に不足分の追加の印刷を開始させる。なお、印刷設定部116は、それまでに印刷設定部116自身に設定されている印刷部数分の印刷を印刷部117が行っている最中であっても、新たな印刷対象者数を通信部112から受け取ることができる。
【0056】
このように、ステップS214〜ステップS217は、会議室301において人の出入りが発生した場合の処理を示している。
【0057】
そして、ステップS218において、印刷設定取得部115を介してユーザによる印刷処理の終了を検出すると、ステップS219において、印刷制御部111は、通信部112に印刷終了の指示があった旨の情報を通信部108へ送信させる。
【0058】
次に、ステップS220において、通信部108が印刷終了の指示があった旨の情報を受信し、これを撮像制御部102へ伝達する。撮像制御部102は、画像処理部105に対して印刷対象者数の更新処理を終了させる。
【0059】
そして、ステップS221において、通信部108が通信部112との通信を終了し、ステップS222において、通信部112が通信部108との通信を終了する。
【0060】
このような第1の実施形態によれば、印刷物の配布人数が不確定な場合においても、ユーザは印刷部数を気にせずに容易に適切な部数の印刷物を取得することができる。
【0061】
なお、人の区別は、「社員」と「訪問客」との区別に限定されず、例えば、「説明員」と「聴講者」とを区別したり、「自部門」と「他部門」とを区別したりしてもよい。また、区別(範疇の種類)を3種類以上の複数種類にしてもよい。更に、また、人の区別を行わずに、印刷対象場所内の全員の数を印刷対象者数としてもよい。また、上述の実施形態では、「社員」及び「訪問客」に応じて印刷形式を変更しているが、印刷形式を変更しなくてもよい。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、撮像装置と印刷処理装置とが個別のものとして構成されており、これらがネットワークを介して接続されているが、第2の実施形態では、これらが一体となっている。図6は、本発明の第2の実施形態に係る印刷システムの構成を示す機能構成図である。
【0063】
第2の実施形態では、図6に示すように、印刷処理システムとして撮像機能付き印刷処理装置601が構成されている。この撮像装置付印刷処理装置601には、制御部602、撮像部103、メモリ部604、画像処理部105、画像取得部113、印刷設定取得部115、印刷設定部116及び印刷部117が含まれている。また、画像処理部105には、認識部106及び個人検出部107が含まれている。
【0064】
制御部602は、第1の実施形態における撮像制御部102及び印刷制御部111を組み合わせたものと同様の機能を有し、撮像部103、画像処理部105、画像取得部113、印刷設定取得部115、印刷設定部116及び印刷部117の制御を行う。また、メモリ部604は、第1の実施形態におけるメモリ部104及びメモリ部114を組み合わせたものと同様の機能を有する。
【0065】
このように構成された第2の実施形態では、画像取得部113が取得した画像データをメモリ部604が記憶する。また、制御部602は、印刷設定取得部115が取得した印刷設定内容に応じて、撮像部103、画像処理部105、画像取得部113、印刷設定部116及び印刷部117を制御する。そして、撮像部103が印刷対象場所を撮影し、撮像部103により取得された画像データをメモリ部604が記憶し、画像処理部105がこの画像データから印刷対象場所内の印刷対象者数を検出する。印刷対象者数の検出方法は、第1の実施形態のものと同様である。画像処理部105によって検出された印刷対象者数は、印刷設定部116へ伝達される。そして、印刷部117が、印刷設定部116に伝達された印刷対象者数に応じてメモリ604に記憶されている画像データを印刷データとして印刷する。
【0066】
このような第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。更に、第1の実施形態の通信部108及び112が不要であるため、構成が簡易なものとなる。
【0067】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、印刷対象者数に等しい印刷部数が印刷されるが、印刷対象場所内の全員が印刷物を必要としない場合もある。例えば、展示会場では、一部又は全部のパンフレット等の印刷物を必要としない者が来場することもあるので、来場者の全員分の印刷物を印刷したのでは、大量の過剰分が生じることがある。逆に、必要とする人を確認しながら印刷したのでは、配布に時間がかかってしまう。そこで、第3の実施形態では、このような場合を想定し、1又は2以上の印刷物を印刷済みの状態にしておき、持ち去られた部数に応じて印刷部数を調整することとする。図7は、本発明第3の実施形態に係る印刷システムの構成を示す機能構成図である。
【0068】
第3の実施形態では、図7に示すように、印刷処理装置110に印刷物検出部718が設けられている。印刷物検出部718は、印刷部117により印刷された印刷物が印刷処理装置110の予め定められた位置、例えば排出部(図示せず)に何部残っているかを検出する。つまり、印刷物検出部718は、印刷物の残部数を検出する残部数検出手段として機能する。そして、検出された残印刷部数mを印刷制御部111に伝達する。印刷制御部111は、この残印刷部数mを印刷設定部116に伝達する。また、本実施形態では、印刷制御部111がユーザに、印刷済みの状態で印刷処理装置110の排紙部に確保しておく印刷物の数(残数値k)を入力させ、ユーザインタフェース等を介して残数値kが入力されると、この残数値kを印刷設定取得部115が取得する。印刷設定取得部115は、印刷設定の内容と共に、残数値kを印刷設定部116に伝達する。印刷設定部116において、その内部に有するメモリに残数値が記憶される。
【0069】
印刷制御部111は、次の条件にしたがって追加印刷部数nを算出し、これを印刷部117に伝達する。そして、印刷部117がこの追加印刷部数n分の印刷を実行する。
(条件1)a≦mのとき(印刷対象者数aが残印刷部数m以下のとき)
n=0
(条件2)a>m、かつa<kのとき(印刷対象者数aが、残印刷部数mより多く、かつ残数値kより少ないとき)
n=a−m
(条件3)a>m、かつa≧kのとき(印刷対象者数aが、残印刷部数mより多く、かつ残数値k以上のとき)
n=k−m
【0070】
次に、具体的な例を挙げて、本実施形態の動作について説明する。ここでは、説明の簡素化のために、印刷対象場所内に在席している人を区別することなく、同一形式の印刷物が配布されるものとする。
【0071】
本実施形態では、ステップS202又はS203において、残数値kが入力され、これを印刷設定取得部115が取得する。そして、印刷設定取得部115がステップS204において、印刷開始の要求を取得すると、印刷設定取得部115が残数値kを印刷設定部116に伝達する。そして、印刷設定部116において、その内部に有するメモリに記憶される残数値が更新される。ここでは、残数値kとして「5」が入力されたものとする。
【0072】
その後、第1の実施形態と同様の処理を経て、撮像装置108の通信部108が印刷対象者数aを通信部112に送信する。また、初期状態であるため、印刷物検出部718は残印刷部数mとして「0」を検出し、これを印刷設定部116に伝達する。印刷設定部116において、その内部に有するメモリに印刷対象者数aが記憶される。例えば、印刷対象者数aが「10」である場合、上記の(条件3)が満たされるため、印刷制御部111は、追加印刷部数nとして「5」を算出し、印刷部117に5部の印刷を実行させる。この結果、印刷部117は、残印刷部数mが「5」になるまで、印刷を行うことになる。
【0073】
印刷完了後、残印刷部数mが「5」になっている状態で、印刷対象者数aが「10」のまま、3部の印刷物が持ち去られると、印刷設定部116のメモリに記憶される残印刷部数mが「2」に更新されるため、(条件3)における追加印刷部数nが「3」となる。このため、印刷制御部111は、印刷部117に3部の印刷を実行させ、印刷部117は、残印刷部数mが「5」になるまで、印刷を行うことになる。
【0074】
また、残印刷部数mが「5」になっている状態で、印刷対象者数aが「2」に変化した場合には、(条件1)が満たされることになるため、追加印刷部数nが「0」となる。従って、印刷部117は追加の印刷を行わない。更に、印刷対象者数aが「2」のまま、2部の印刷物が持ち去られると、残印刷部数mが「3」になる。この場合でも、(条件1)が満たされたままであるため、追加印刷部数nは「0」のままであり、印刷部117は追加の印刷を行わない。
【0075】
印刷完了後、印刷対象者数aが「2」のまま、更に2部の印刷物が持ち去られると、残印刷部数mが「1」になるため、(条件2)が満たされ、追加印刷部数nが「1」となる。このため、印刷制御部111は、印刷部117に1部の印刷を実行させ、印刷部117は、残印刷部数mが「2」になるまで((条件1)が満たされるまで)、印刷を行うことになる。
【0076】
また、印刷対象者数aが「2」で、残印刷部数mが「3」となっている状態から、印刷対象者数aが「4」に変化した場合にも、(条件2)が満たされ、追加印刷部数nが「1」となる。このため、印刷制御部111は、印刷部117に1部の印刷を実行させ、印刷部117は、残印刷部数mが「4」になるまで((条件1)が満たされるまで)、印刷を行うことになる。
【0077】
このように、本実施形態では、印刷対象者数aが残印刷部数mよりも多い場合に、印刷設定部111が印刷対象者数a又は残数値kから残印刷部数mを減じて得られる値を追加印刷部数nとして、印刷部117が追加印刷部数nの印刷を印刷部117に実行させる。従って、本実施形態によれば、印刷物を必要とする人の数が不確定な場合であっても、印刷物の過剰分を抑制すると共に、印刷物を必要とする人に迅速に配布することができる。
【0078】
また、本発明の実施形態は、例えばコンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記憶したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記の印刷処理用のプログラムも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記憶媒体、伝送媒体及びプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る印刷システムの構成を示す機能構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る印刷システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態に係る印刷システムが使用される状況の一例を示す図である。
【図4】認識部106による認識結果の情報(テーブル)の一例を示す図である。
【図5A】認識部106による更新後の認識結果の情報(テーブル)の一例を示す図である。
【図5B】認識部106による更新後の認識結果の情報(テーブル)の他の一例を示す図である。
【図5C】認識部106による更新後の認識結果の情報(テーブル)の更に他の一例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る印刷システムの構成を示す機能構成図である。
【図7】本発明第3の実施形態に係る印刷システムの構成を示す機能構成図である。
【符号の説明】
【0080】
101:撮像装置
102:撮像制御部
103:撮像部
104:メモリ部
105:画像処理部
106:認識部
107:個人検出部
108:通信部
109:ネットワーク
110:印刷処理装置
111:印刷制御部
112:通信部
113:画像取得部
114:メモリ部
115:印刷設定取得部
116:印刷設定部
117:印刷部
301:会議室
601:撮像機能付き印刷処理装置
602:制御部
604:メモリ部
718:印刷物検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出手段による検出結果に基づいて、印刷物を配布する対象者数を設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された対象者数に対応する部数の印刷物の印刷を印刷手段に実行させる制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記印刷手段に前記印刷の処理を制御しているときに、前記設定手段において対象者数が更新された場合、前記更新された対象者数に対応する部数の印刷物の印刷を前記印刷手段に実行させることを特徴とする印刷処理装置。
【請求項2】
前記検出手段は、撮像手段であることを特徴とする請求項1に記載の印刷処理装置。
【請求項3】
前記設定手段は、範疇毎に前記対象者数を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記範疇の種類に応じて前記印刷物の印刷形式、印刷サイズ及び種類の少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項3に記載の印刷処理装置。
【請求項5】
検出手段による検出結果に基づいて、印刷物を配布する対象者数を設定する設定手段と、
印刷手段が印刷した印刷物の残部数を検出する残部数検出手段と、
前記設定手段によって設定された対象者数及び前記検出手段によって検出された残部数に基づく印刷部数の印刷を印刷手段に実行させる制御手段とを有することを特徴とする印刷処理装置。
【請求項6】
検出手段による検出結果に基づいて、印刷物を配布する対象者数をメモリに設定する設定ステップと、
前記設定ステップにおいて設定された対象者数に対応する部数の印刷物の印刷を印刷手段に制御手段が実行させる制御ステップとを有し、
前記制御ステップにおいて、前記印刷手段に前記印刷の処理を制御しているときに前記設定ステップにおいて対象者数が更新された場合、前記制御手段が、前記更新された対象者数に対応する部数の印刷物の印刷を前記印刷手段に実行させることを特徴とする印刷処理装置の制御方法。
【請求項7】
検出手段による検出結果に基づいて、印刷物を配布する対象者数をメモリに設定する設定ステップと、
印刷手段が印刷した印刷物の残部数を残部数検出手段が検出する検出ステップと、
前記設定ステップにおいて設定された対象者数及び前記検出ステップにおいて検出された残部数に基づく印刷部数の印刷を印刷手段に制御手段が実行させる制御ステップとを有することを特徴とする印刷処理装置の制御方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の制御方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−179006(P2008−179006A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12780(P2007−12780)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】