印刷制御装置、印刷方法及びプログラム
【課題】フラッシングで一定の量のインクが強制的に吐出されると、インクが無駄に吐出される。
【解決手段】本印刷制御装置は、液体を吐出するノズルを移動させるキャリッジを備え、前記キャリッジを移動させて、前記キャリッジと共に移動する前記ノズルから液体を吐出し、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷し、前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行い、前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行うことを特徴とする。
【解決手段】本印刷制御装置は、液体を吐出するノズルを移動させるキャリッジを備え、前記キャリッジを移動させて、前記キャリッジと共に移動する前記ノズルから液体を吐出し、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷し、前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行い、前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行うことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置、印刷方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体(インクなど)を吐出して媒体(紙、布、OHPシートなど)にドットを形成し、媒体に印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。このようなインクジェットプリンタには、印刷時に移動するキャリッジが設けられている。そして、インクジェットプリンタは、キャリッジと共に動くヘッドのノズルからインクを吐出して、吐出したインク滴を媒体に着弾させて、印刷処理を行う。
【0003】
このようなインクジェットプリンタでは、インクの増粘を抑制するために、フラッシング動作が行われる。フラッシング動作とは、媒体に着弾しないようにインクを強制的に吐出して、インクをインク受け部に吐出する動作である。キャリッジの移動範囲外に設けられるインク受け部や、キャリッジの移動範囲内に設けられる縁なし印刷で打ち漏れたインクが着弾する溝部にフラッシングをすることができる。このフラッシング動作により、ノズル内のインクを排出することができるので、インクの増粘を抑制することができる。
【特許文献1】特開平9−52374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フラッシング動作で吐出されるインク量は、ノズルから吐出されたインク量とは関係なく、ある一定の量のインクが吐出される。
このため、インクが増粘しにくい状況にも係わらず、フラッシングで一定の量のインクが強制的に吐出されると、インクが無駄に吐出されることになる。
本発明では、媒体に吐出される液体の量に応じて、強制的に吐出される液体の量を定める。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明を達成するための主たる発明は、液体を吐出するノズルを移動させるキャリッジを備え、前記キャリッジを移動させて、前記キャリッジと共に移動する前記ノズルから液体を吐出し、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷し、前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行う印刷制御装置に関する。そして、この印刷制御装置では、前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行う。
【0006】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0008】
液体を吐出するノズルを移動させるキャリッジと、
前記キャリッジを移動させて、前記キャリッジと共に移動する前記ノズルから液体を吐出させ、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷するコントローラであって、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行うコントローラと、
を備える印刷制御装置であって、
前記コントローラは、前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行う
ことを特徴とする印刷制御装置。
このような印刷制御装置によれば、インク滴が無駄に吐出されることがなく、フラッシング動作で吐出されるインクの量を抑制することができる。
【0009】
かかる印刷制御装置であって、前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量が多くなるときには、強制的に吐出される前記液体の量は少なくなる。
このような印刷制御装置によれば、フラッシング動作で吐出されるインクの量を抑制することができる。
【0010】
かかる印刷制御装置であって、前記画像を形成する際に前記液体が吐出される印刷の範囲が狭くなると、強制的に吐出される前記液体の量は多くなる。
このような印刷制御装置によれば、フラッシング動作で吐出されるインク量を適正な量に調整することができる。
【0011】
かかる印刷制御装置であって、前記画像を形成する際に前記液体が吐出される単位面積あたりのドット数が少なくなると、強制的に吐出される前記液体の量は多くなる。
このような印刷制御装置によれば、フラッシング動作で吐出されるインク量を適正な量に調整することができる。
【0012】
かかる印刷制御装置であって、前記ノズルが複数設けられて、前記コントローラは、前記画像を形成する際に各前記ノズルから吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記それぞれのノズルから吐出して前記フラッシング動作を行う。
このような印刷制御装置によれば、各ノズルからフラッシング動作で吐出されるインク量を抑制することができる。
【0013】
かかる印刷制御装置であって、前記ノズルが複数設けられて、前記コントローラは、前記画像を形成する際に複数の前記ノズルから吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体をそれぞれ前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行う。
このような印刷制御装置によれば、各ノズル列からフラッシング動作で吐出されるインク量を抑制することができる。
【0014】
かかる印刷制御装置であって、前記コントローラは、画素データ及びフラッシング用のデータを含む印刷データを作成する際に、前記フラッシング用データを前記画素データに基づいて作成し、前記画素データに基づいて前記ノズルから前記液体を吐出させることにより、前記画像を形成し、前記フラッシング用のデータに基づいて前記ノズルから前記液体を吐出させることにより、前記フラッシング動作を行う。
このような印刷制御装置によれば、フラッシング用のデータに基づいて、適切な量の液体を強制的に吐出することができる。
【0015】
かかる印刷制御装置であって、前記コントローラは、前記画像を前記媒体に形成する際に、移動する前記ノズルからインクを吐出する動作と、前記媒体を搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、前記搬送動作と前記搬送動作の間に前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体が、その搬送動作と搬送動作の間に行われる前記フラッシング動作において前記ノズルから吐出される。
このような印刷制御装置によれば、適切な量の液体を強制的に吐出することができる。
【0016】
かかる印刷制御装置であって、前記コントローラは、前記フラッシング動作で強制的に吐出される前記液体を、前記キャリッジの移動の範囲内に設けられた液体受け部に吐出させる。
このような印刷制御装置によれば、キャリッジの移動距離を短縮して、印刷速度の低下を防止することができる。
【0017】
かかる印刷制御装置であって、前記キャリッジの移動方向に設けられた複数の前記ノズル列は、各ノズル列が異なったタイミングで液体を吐出する。
このような印刷装置によれば、各ノズル列が異なったタイミングでインクをインク受け部に吐出するため、インク受け部の幅を狭くすることができる。
【0018】
かかる印刷制御装置であって、前記フラッシング動作は、前記画像を形成する際の液体の吐出の前に行われる。
このような印刷制御装置によれば、形成する画像に応じて、フラッシング動作を行うことができる。
【0019】
かかる印刷制御装置であって、前記キャリッジが動き始めてから、前記媒体に前記ノズルから前記液体を吐出するまでの間に、前記フラッシング動作を行う。
このような印刷装置によれば、ドット形成処理の直前にノズルの目詰まりを確実に解消することができるため、画質が向上する。
【0020】
かかる印刷制御装置であって、前記ノズルから液体を吐出することを終了してから、前記キャリッジが停止するまでの間に、前記フラッシング動作を行う。
このような印刷装置によれば、その直前のドット形成処理の際にインクを吐出していないノズルの目詰まりを解消することができるため、画質が向上する。
【0021】
ノズルから液体を吐出し、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷し、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行う
印刷方法であって、
前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行うことを特徴とする印刷方法。
このような印刷方法によれば、インク滴が無駄に吐出されることがなく、フラッシング動作で吐出されるインクの量を抑制することができる。
【0022】
かかるプログラムであって、プリンタに、
ノズルから液体を吐出させて、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷させて、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行わせて、
前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行わせる機能を実現させるためのプログラム。
このようなプログラムによれば、インク滴が無駄に吐出されることがなく、フラッシング動作で吐出されるインクの量を抑制することができる。
【0023】
===印刷システムの構成===
次に、印刷システム(コンピュータシステム)の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態の記載には、コンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムを記録した記録媒体等に関する実施形態も含まれている。
【0024】
図1は、印刷システムの外観構成を示した説明図である。この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを備えている。プリンタ1は、紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する印刷装置である。コンピュータ110は、プリンタ1と電気的に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。表示装置120は、ディスプレイを有し、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のユーザインターフェースを表示する。入力装置130は、例えばキーボード130Aやマウス130Bであり、表示装置120に表示されたユーザインターフェースに沿って、アプリケーションプログラムの操作やプリンタドライバの設定等に用いられる。記録再生装置140は、例えばフレキシブルディスクドライブ装置140AやCD−ROMドライブ装置140Bが用いられる。
【0025】
コンピュータ110にはプリンタドライバがインストールされている。プリンタドライバは、表示装置120にユーザインターフェースを表示させる機能を実現させるほか、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのプログラムである。このプリンタドライバは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録されている。または、このプリンタドライバは、インターネットを介してコンピュータ110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
【0026】
なお、「印刷装置」とは、狭義にはプリンタ1を意味するが、広義にはプリンタ1とコンピュータ110とのシステムを意味する。
「印刷制御装置」とは、印刷処理を制御する装置であり、プリンタドライバをインストールしたコンピュータ及びプリンタを含む。
【0027】
===プリンタドライバ===
<プリンタドライバについて>
図2は、プリンタドライバが行う基本的な処理の概略的な説明図である。既に説明された構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。
コンピュータ110では、コンピュータに搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバ112やアプリケーションプログラム114やプリンタドライバ116などのコンピュータプログラムが動作している。ビデオドライバ112は、アプリケーションプログラム114やプリンタドライバ116からの表示命令に従って、例えばユーザインターフェース等を表示装置120に表示する機能を有する。アプリケーションプログラム114は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザは、アプリケーションプログラム114のユーザインターフェースを介して、アプリケーションプログラム114により編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム114は、印刷の指示を受けると、プリンタドライバ116に画像データを出力する。
【0028】
プリンタドライバ116は、アプリケーションプログラム114から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをプリンタに出力する。ここで、印刷データとは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと画素データとを有するデータである。ここで、コマンドデータとは、プリンタに特定の動作の実行を指示するためのデータである。また、画素データとは、印刷される画像(印刷画像)を構成する画素に関するデータであり、例えば、ある画素に対応する紙上の位置に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)である。
【0029】
プリンタドライバ116は、アプリケーションプログラム114から出力された画像データを印刷データに変換するため、解像度変換処理・色変換処理・ハーフトーン処理・ラスタライズ処理などを行う。以下に、プリンタドライバ116が行う各種の処理について説明する。
【0030】
解像度変換処理は、アプリケーションプログラム114から出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、紙に印刷する際の解像度に変換する処理である。例えば、紙に画像を印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラム114から受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。以下、画像データを解像度変換処理したRGBデータをRGB画像データと呼ぶ。
【0031】
色変換処理は、RGBデータをCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する処理である。なお、CMYKデータは、プリンタが有するインクの色に対応したデータである。この色変換処理は、RGB画像データの階調値とCMYK画像データの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタドライバ116が参照することによって行われる。この色変換処理により、各画素についてのRGBデータが、インク色に対応するCMYKデータに変換される。なお、色変換処理後のデータは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKデータである。以下、RGB画像データを色変換処理したCMYKデータをCMYK画像データと呼ぶ。
【0032】
ハーフトーン処理は、高階調数のデータを、プリンタが形成可能な階調数のデータに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などを利用して、プリンタがドットを分散して形成できるように画素データを作成する。プリンタドライバ116は、ハーフトーン処理を行うとき、ディザ法を行う場合にはディザテーブルを参照し、γ補正を行う場合にはガンマテーブルを参照し、誤差拡散法を行う場合は拡散された誤差を記憶するための誤差メモリを参照する。ハーフトーン処理されたデータは、前述のRGBデータと同等の解像度(例えば720×720dpi)を有している。ハーフトーン処理されたデータは、例えば、各画素につき1ビット又は2ビットのデータから構成される。以下、ハーフトーン処理されたデータのうち、1ビットデータのものを2値データと呼び、2ビットデータのものを多値データと呼ぶ。
【0033】
ラスタライズ処理は、マトリクス状の画像データを、プリンタに転送すべきデータ順に変更する処理である。ラスタライズ処理されたデータは、印刷データに含まれる画素データとして、プリンタに出力される。ラスタライズ処理については後述する。
【0034】
<プリンタドライバの設定について>
図3は、プリンタドライバのユーザインターフェースの説明図である。このプリンタドライバのユーザインターフェースは、ビデオドライバ112を介して、表示装置に表示される。ユーザーは、入力装置130を用いて、プリンタドライバの各種の設定を行うことができる。
【0035】
ユーザーは、この画面上から、印刷モードを選択することができる。例えば、ユーザーは、印刷モードとして、高速印刷モード又はファイン印刷モードを選択することができる。そして、プリンタドライバは、選択された印刷モードに応じた形式になるように、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷の解像度(印刷するときのドットの間隔)を選択することができる。例えば、ユーザーは、この画面上から、印刷の解像度として720dpiや360dpiを選択することができる。そして、プリンタドライバは、選択された解像度に応じて解像度変換処理を行い、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷に用いられる印刷用紙を選択することができる。例えば、ユーザーは、印刷用紙として、普通紙や光沢紙を選択することができる。紙の種類(紙種)が異なれば、インクの滲み方や乾き方も異なるため、印刷に適したインク量も異なる。そのため、プリンタドライバは、選択された紙種に応じて、画像データを印刷データに変換する。
【0036】
このように、プリンタドライバは、ユーザインターフェースを介して設定された条件に従って、画像データを印刷データに変換する。なお、ユーザーは、この画面上から、プリンタドライバの各種の設定を行うことができるほか、カートリッジ内のインクの残量を知ること等もできる。
【0037】
===プリンタの構成===
<インクジェットプリンタの構成について>
図4は、本実施形態のプリンタの全体構成のブロック図である。また、図5は、本実施形態のプリンタの全体構成の概略図である。また、図6は、本実施形態のプリンタの全体構成の横断面図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
【0038】
本実施形態のプリンタは、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、およびプリンタ側コントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、プリンタ側コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を形成する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をプリンタ側コントローラ60に出力する。検出器群50から検出結果を受けたプリンタ側コントローラ60は、その検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0039】
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の方向(以下、搬送方向という)に所定の搬送量で紙を搬送させるためのものである。すなわち、搬送ユニット20は、紙を搬送する搬送機構(搬送手段)として機能する。搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。ただし、搬送ユニット20が搬送機構として機能するためには、必ずしもこれらの構成要素を全て必要とするわけではない。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ内に自動的に給紙するためのローラである。給紙ローラ21は、D形の断面形状をしており、円周部分の長さは搬送ローラ23までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて紙を搬送ローラ23まで搬送できる。搬送モータ22は、紙を搬送方向に搬送するためのモータであり、DCモータにより構成される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、印刷が終了した紙Sをプリンタの外部に排出するローラである。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
【0040】
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能である。(これにより、ヘッドが移動方向に沿って移動する。)また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。キャリッジモータ32は、キャリッジ31を移動方向に移動させるためのモータであり、DCモータにより構成される。
【0041】
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、ヘッド41を有する。ヘッド41は、インク吐出部であるノズルを複数有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。このヘッド41は、キャリッジ31に設けられている。そのため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(「ドット列」又は「ラスタライン」ともいう)が紙に形成される。
【0042】
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出センサ53は、印刷される紙の先端の位置を検出するためのものである。この紙検出センサ53は、給紙ローラ21が搬送ローラ23に向かって紙を給紙する途中で、紙の先端の位置を検出できる位置に設けられている。なお、紙検出センサ53は、機械的な機構によって紙の先端を検出するメカニカルセンサである。詳しく言うと、紙検出センサ53は搬送方向に回転可能なレバーを有し、このレバーは紙の搬送経路内に突出するように配置されている。そのため、紙の先端がレバーに接触し、レバーが回転させられるので、紙検出センサ53は、このレバーの動きを検出することによって、紙の先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている。光学センサ54は、発光部から紙に照射された光の反射光を受光部が検出することにより、紙の有無を検出する。そして、光学センサ54は、キャリッジ31によって移動しながら紙の端部の位置を検出する。光学センサ54は、光学的に紙の端部を検出するため、機械的な紙検出センサ53よりも、検出精度が高い。
【0043】
プリンタ側コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニット(制御手段)である。プリンタ側コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0044】
なお、「コントローラ」とは、プリンタドライバをインストールしたコンピュータと、プリンタ側コントローラ60とを含む。
【0045】
<印刷動作について>
図7は、印刷時の処理のフロー図である。以下に説明される各処理は、プリンタ側コントローラ60が、メモリ63内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各処理を実行するためのコードを有する。
【0046】
印刷命令受信(S001):まず、プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110からインターフェース部61を介して、印刷命令を受信する。この印刷命令は、コンピュータ110から送信される印刷データのヘッダに含まれている。そして、プリンタ側コントローラ60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の給紙処理・搬送処理・インク吐出処理等を行う。
【0047】
給紙処理(S002):給紙処理とは、印刷すべき紙をプリンタ内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に紙を位置決めする処理である。プリンタ側コントローラ60は、給紙ローラ21を回転させ、印刷すべき紙を搬送ローラ23まで送る。プリンタ側コントローラ60は、搬送ローラ23を回転させ、給紙ローラ21から送られてきた紙を印刷開始位置に位置決めする。紙が印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド41の少なくとも一部のノズルは、紙と対向している。
【0048】
ドット形成処理(S003):ドット形成処理とは、移動方向に沿って移動するヘッドからインクを断続的に吐出させ、紙上にドットを形成する処理である。プリンタ側コントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動し、キャリッジ31を移動方向に移動させる。そして、プリンタ側コントローラ60は、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッドからインクを吐出させる。ヘッドから吐出されたインク滴が紙上に着弾すれば、紙上にドットが形成される。移動するヘッドからインクが断続的に吐出されるので、紙上には移動方向に沿った複数のドットからなるドット列(ラスタライン)が形成される。
【0049】
搬送処理(S004):搬送処理とは、紙をヘッドに対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。プリンタ側コントローラ60は、搬送モータを駆動し、搬送ローラを回転させて紙を搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
【0050】
排紙判断(S005):プリンタ側コントローラ60は、印刷中の紙の排紙の判断を行う。印刷中の紙に印刷すべきデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、プリンタ側コントローラ60は、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットから構成される画像を徐々に紙に印刷する。
【0051】
排紙処理(S006):印刷中の紙に印刷すべきデータがなくなれば、プリンタ側コントローラ60は、排紙ローラを回転させることにより、その紙を排紙する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
【0052】
印刷終了判断(S007):次に、プリンタ側コントローラ60は、印刷を続行するか否かの判断を行う。次の紙に印刷を行うのであれば、印刷を続行し、次の紙の給紙処理を開始する。次の紙に印刷を行わないのであれば、印刷動作を終了する。
【0053】
<ノズルについて>
図8は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル群Kと、シアンインクノズル群Cと、マゼンタインクノズル群Mと、イエローインクノズル群Yが形成されている。各ノズル群は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個(本実施形態では180個)備えている。
【0054】
各ノズル群の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720)である場合、k=4である。
【0055】
各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど若い番号が付されている(♯1〜♯180)。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯180よりも搬送方向の下流側に位置している。各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。また、光学センサ54は、紙搬送方向の位置に関して、一番上流側にあるノズル♯180とほぼ同じ位置にある。
【0056】
===ラスタライズ処理からドットの形成までの流れ===
<プリンタドライバ側の処理>
下記の説明では説明の簡略化のため、ブラックインクK、シアンインクC、マゼンタインクM、イエローインクYの4色のうちの1色、例えば、ブラックインクKに注目する。
【0057】
図9は、プリンタドライバが行うハーフトーン処理により作成された画素データを示す図である。図9の説明においては、説明の簡略化のため、画像データは16×24画素の画素データから構成されている。図9に示しているように、プリンタドライバでハーフトーン処理された画素データは各画素につき1ビットのデータから構成される。ハーフトーン処理された画素データはラスタデータ順に配置されている。ここで「ラスタデータ」とは、ラスタラインに対応する画素データの意味である。ここでは画像データは24本のラスタデータから構成され、各ラスタデータは16個の画素データから構成されている。画素データの右側には、ラスタデータの番号が示されている。各画素データは0か1であり、後述するように、画素データが0の画素にはドットが形成されず、画素データが1の画素にはドットが形成される。
【0058】
図10は、ノズルとラスタデータとの関係を示す図である。図10には、ハーフトーン処理後の画素データと、図の左側に複数のノズルを有しているノズル列とが示されている。図10では、ノズル列はノズル♯1から4を有している。この図においては、説明の簡略化のため、ノズル数を4個にしている。図10の左側には、パス1からパス6のときのノズル列の位置が示されている。ここで「パスn」とは、n回目のドット形成処理の意味である。この図では、パス毎にノズル列の位置が移動しているが、実際には紙の方が搬送されて、パス毎にノズル列と紙との相対的な位置関係が変わる。
【0059】
パス1のときには、ノズル#1、#2、#3及び#4は、1、3、5及び7番目のラスタラインを作成する。このため、パス1のときには、1、3、5及び7番目のラスタデータが必要になる。同様に、パス2のときには、ノズル#1、#2、#3及び#4は、2、4、6及び8番目のラスタラインを作成する。パス3のときには、ノズル#1、#2、#3及び#4は、9、11、13及び15番目のラスタラインを作成する。パス4のときには、ノズル#1、#2、#3及び#4は、10、12、14及び16番目のラスタラインを作成する。パス5のときには、ノズル#1、#2、#3及び#4は、17、19、21及び23番目のラスタラインを作成する。パス6のときには、ノズル#1、#2、#3及び#4は、18、20、22及び24番目のラスタラインを作成する。
【0060】
つまり、ノズルとラスタラインとの関係から各パスに必要なラスタデータが決まる。そこで、プリンタドライバは、ノズルとラスタラインとの関係に基づいて、各パスに必要なラスタデータをそれぞれ抽出し、各パス用のデータを作成する。前述のラスタライズ処理とは、このような処理である。
【0061】
図11は、ラスタライズ処理されたデータを示す図である。図11には、パス1用のデータ、パス2用のデータ、パス3用のデータ、パス4用のデータ、パス5用のデータ、及びパス6用のデータが示されている。図の右側にはラスタデータの番号が示されている。パス1用のデータには、1、3、5及び7番目のラスタデータが含まれる。パス2用のデータには、2、4、6及び8番目のラスタデータが含まれる。パス3用のデータには、9、11、13及び15番目のラスタデータが含まれる。パス4用のデータには、10、12、14及び16番目のラスタデータが含まれる。パス5用のデータには、17、19、21及び23番目のラスタデータが含まれる。パス6用のデータには、18、20、22及び24番目のラスタデータが含まれる。
【0062】
このようにラスタライズ処理された画素データは、印刷データに含まれてプリンタ側に送信される。
【0063】
<プリンタの処理>
プリンタは、プリンタドライバから受信した印刷データに基づいて、紙に画像を印刷する。
【0064】
図12は、パス1の説明図である。図12の上図は、パス1用のデータを示す図である。図12の下図は、パス1のドット形成の様子を示す図である。図12の下図には、紙が太線で長方形として示されている。説明の簡略化のために、画素を示す升目が紙に形成されているが、この升目は仮想のものであり、実際には目に見えるものではない。図の上方にはパス1用のデータが示されている。紙の左側には、パス1を行う前のノズル列の位置が示されている。紙の右側には、パス1を行った後のノズル列の位置が示されている。ノズル列は矢印で示すように左側から右側へ移動する。ノズル列が移動するときに、画素データが0の画素には、ピエゾ素子は駆動されずノズルからインクは吐出されない。画素データが1の画素には、ピエゾ素子が駆動されてノズルからインクが吐出される。インクが吐出され、インクが紙に着弾すると、紙にドットが形成される。このため、画素データが1の画素には黒ドットが形成される。
【0065】
図13は、パス2のドット形成の様子を示す図である。パス2では、ノズル列は矢印で示すように右側から左側へ移動する。パス2で形成されるドットは黒丸で表され、パス1で形成されたドットは白丸で表されている。
【0066】
図14は、パス3のドット形成の様子を示す図である。パス3では、ノズル列は矢印で示すように左側から右側へ移動する。パス3で形成されるドットは黒丸で表され、パス1とパス2とで形成されたドットは白丸で表されている。プリンタは、このようにしてノズル列を往復移動させながら、パス毎に各パス用のデータに従ってドットを形成する。
【0067】
図15は、全部のパスを終えた様子を示している。但し、図15では、升目を表していない。図15に示すように、紙には多数のドットで構成される画像が印刷される。
【0068】
===縁なし印刷===
<縁なし印刷時の印刷データ>
図16は、縁なし印刷時の印刷データの説明図である。「縁なし印刷」では、紙の全表面を対象として印刷を行う。この「縁なし印刷」により、紙の4辺の縁にも余白なくインクを吐出して印刷することができるので、写真と同じイメージの出力結果が得られる。このため、「縁なし印刷」が可能なインクジェットプリンタが、近年人気を集めている。
【0069】
同図において、内側の実線の四角形は、紙の大きさを示している。同図において、外側の点線の四角形は、印刷データの大きさを示している。縁なし印刷では、紙よりも大きい領域にインクを吐出して、紙の全面に印刷を行っている。そのため、印刷データの大きさは紙の大きさよりも大きい。そのため、プリンタは、紙の範囲外にもインクを吐出することになる。
【0070】
<突起・溝部について>
図17Aは、縁なし印刷時のインクの吐出の説明図である。図17Bは、縁なし印刷時のインクの着弾の説明図である。既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので、説明を省略する。
【0071】
ヘッド41のノズルからインク滴Ipが吐出され、吐出されたインク滴Ipが紙Sに着弾し、紙Sに印刷されるべき画像を構成するドットDが形成される。縁なし印刷の場合、前述の通り、印刷データは紙の大きさよりも大きい範囲に対応している。そのため、この印刷データに基づいてノズルからインクを吐出すれば、吐出されたインクの一部は、紙Sに着弾せずに、プラテン24に着弾する。しかし、プラテン24に着弾したインクが紙の裏側に付着すると、紙が汚れてしまうため望ましくない。そこで、紙の裏側の汚れを防ぐため、縁なし印刷を行うプリンタのプラテン24は、突起242(凸部やリブともいう)と、溝部244(凹部ともいう)と、吸収部材246とを備えている。
【0072】
突起242は、プラテン24が紙Sを支持する際に、紙と接触する部材である。この突起242は、紙が溝部244に接しないように、構成される。また、この突起242は、縁なし印刷時にインク滴が着弾しないような位置に、設けられている。なぜなら、突起242がインクによって汚れると、紙の裏面を汚すからである。そのため、例えば、突起242は、図中の紙の右側端から出るような位置には設けられていない。仮に、突起242の中央部分が紙の右端を支持したり、突起242がインクの打ち漏らし領域に設けられていたりすると、縁なし印刷時に、突起242がインクによって汚れるおそれがある。ところで、紙の右側端は固定ガイドによって案内されているため、印刷時の紙の右側端の走査方向の位置(図中の紙Sの右側端の位置)は、どのような幅の紙であっても、同様に決まっている。このため、突起242の位置は、固定ガイド82の位置を基準に定まっている。また、印刷する紙の幅(紙の走査方向の長さ)は、規定のサイズに決まっている。例えば、A4サイズの紙ならば紙の幅は210mmであり、ハガキならば、紙の幅は100mmである。そこで、突起242は、どのような規定サイズの紙であっても、縁なし印刷時のインクの打ち漏らし領域に位置しないように、設けられている。
【0073】
図中に示された紙Sは、搬送ユニットが搬送する紙(プリンタ1が印刷可能な紙)の中で最も幅の小さい紙であるハガキである。そして、搬送ユニットは、このハガキよりも大きい幅の紙も搬送する(プリンタは、ハガキよりも大きい幅の紙を搬送する)。そのため、図中の紙Sを支持する突起242よりも左側に、この紙Sよりも大きい紙を支持するための突起242も存在している。
【0074】
溝部244は、プラテン24に設けられた窪みである。溝部244は、突起242に対して凹んでいるため、仮に溝部244がインクによって汚れても、紙の裏面を汚さないように構成されている。このため、紙に着弾しなかった縁なし印刷時のインクが溝部244に着弾するように、溝部244が構成されている。すなわち、縁なし印刷時のインクを打ち漏らす領域(打ち漏らし領域)は、溝部244に位置するようになっている。
【0075】
吸収部材246は、インクを吸収するための部材であり、例えば吸水性のスポンジ等から構成される。この吸収部材246は、溝部244に設けられている。そして、吸収部材246は、縁なし印刷時に溝部244に着弾するインクを吸収する。吸収部材246がインクを吸収することにより、打ち漏らしたインクの離散を防いでいる。既に説明したとおり、プリンタは幅の異なる複数の紙に印刷可能なので、印刷可能な規定サイズの紙に合わせて、その紙に対応する打ち漏らし領域に吸収部材246が設けられている(図中左側においても、ハガキ以外の紙(例えばA4サイズの紙など)のための吸収部材が、設けられていることが示されている)。
【0076】
===フラッシング動作===
「フラッシング」動作とは、媒体(紙、布、OHPシートなど)に着弾しないようにインクを強制的に吐出する動作である。フラッシング動作を行うことにより、使用していないノズル内のインクを排出することができるので、インクの増粘を抑制することができる。このフラッシング動作は、所定のタイミングにて、行われる。
【0077】
<参考例のフラッシング動作について>
図18Aから図18Dは、参考例のフラッシング動作の説明図である。図18Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図18Bは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図18Cは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図18Dは、キャリッジ31のフラッシング動作の説明図である。既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので、説明を省略する。
【0078】
ドット形成処理(図7、S003)の際に、キャリッジ31は、以下のように動作する。まず、ドット形成処理を行う前、キャリッジ31は、図18Aに示すように、紙の右端より外側の位置(ヘッド41の下面が紙Sに面していない位置)で、停止している。そして、キャリッジ31は、図中の左方向に向かって加速し、所定の速度で定速移動する。そして、キャリッジ31が定速で移動しているときに、図18Bに示すように、紙Sに着弾するように、ヘッド41のノズルからインクの吐出を開始する。インクの吐出が終了して、ドット形成処理が終わると、キャリッジ31は減速する。そして、キャリッジ31は、図18Cに示すように、紙の左端より外側の位置(ヘッド41の下面が紙Sに面していない位置)で停止する。
【0079】
繰り返してドット形成処理が行われる場合、キャリッジ31は、図18Cの停止位置から折り返して、図中の右方向に向かって移動し、ドット形成処理を行う。ドット形成処理が終わると、インクの吐出が終了して、キャリッジ31は減速して、図18Aの停止位置に停止する。このように、キャリッジ31は、ドット形成処理が繰り返し行われるとき、図18Aの停止位置と図18Cの停止位置との間で往復移動することになる。
【0080】
参考例では、ドット形成処理時のキャリッジの往復移動の範囲よりも外側に、インク受け部301が設けられている(図18A〜図18D参照)。インク受け部301には、フラッシング動作で吐出されるインクを吸収するための吸収部材247が設けられている。
【0081】
参考例では、フラッシング動作を行うとき、ドット形成処理時のキャリッジの往復移動の範囲よりも外側に設けられたインク受け部301まで、キャリッジ31が移動しなければならない。このため、印刷途中でフラッシング動作が行われると、印刷速度が低下していた。
【0082】
<本実施形態のフラッシング動作について>
図19Aから図19Dは、本実施形態のキャリッジ31のフラッシング動作の説明図である。図19Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図19Bは、キャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うフラッシング動作の説明図である。図19Cは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図19Dは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので、説明を省略する。
【0083】
本実施形態では、図19A〜図19Dに示すように、参考例のようなインク受け部301は設けられていない。一方、本実施形態では、参考例と同様に、ドット形成処理時のキャリッジ31の移動の範囲内に、縁なし印刷で打ち漏れたインクが着弾する溝部244が設けられている。そして、本実施形態では、縁なし印刷で紙から打ち漏れたインクが着弾する溝部に、フラッシング動作で吐出するインクが着弾する。つまり、参考例のインク受け部301の代わりに、本実施形態では、縁なし印刷で打ち漏れたインクが着弾する溝部244は、フラッシング動作で吐出されるインクが着弾するインク受け部を兼ねている。
【0084】
本実施形態の吸収部材246は、縁なし印刷で紙から打ち漏れたインクを吸収する参考例の吸収部材246よりも高い吸水性を持っている。本実施形態の吸収部材246は、縁なし印刷で紙から打ち漏れたインクを吸収するだけでなく、フラッシング動作により吐出されるインクも吸収するからである。
【0085】
本実施形態では、ドット形成処理(図7、S003)の際に、キャリッジ31は、以下のように動作する。ドット形成処理を行う前、キャリッジ31は、図19Aに示すように、紙の右側より外側の位置(ヘッド41の下面が紙Sに面していない位置)で、停止している。そして、キャリッジ31は、図中の左方向に向かって加速する。キャリッジ31が動き始めてから、ヘッド41のノズルから紙に着弾するようにインクを吐出する前(キャリッジの加速中)に、図19Bに示すように、溝部244にインクが着弾するように、インクを強制的に吐出してフラッシング動作を行う。フラッシング動作が終わると、キャリッジ31は定速移動して、図19Cに示すように、定速移動中にヘッドからインクを吐出してドット形成処理を行う。ドット形成処理が終わると、キャリッジ31は減速し、図19Dに示すように、キャリッジ31は、紙の左端より外側の位置(ヘッド41の下面が紙Sに面していない位置)で停止する。
【0086】
キャリッジ31は、図19Dの停止位置から折り返して、前述の通りに、繰り返してドット形成処理を行うことができる。キャリッジ31は、ドット形成処理が繰り返し行われるとき、図19Aの停止位置と図19Dの停止位置との間で往復して移動することになる。本実施形態では、往復移動の範囲内で、フラッシング動作を行うことができる。従って、印刷途中でフラッシング動作を行う場合でも、印刷速度の低下を防止できる。
【0087】
参考例では、キャリッジ31は、インク受け部301にインクを吐出してフラッシング動作を行うときは、停止している。そのため、インク受け部301の幅は、ヘッド41の幅と同じ、またはそれより広くなくてはならない。一方、本実施形態では、図19Bに示すように、キャリッジ31が動いているときに、キャリッジ31の移動方向に設けられた複数のノズル列は、各ノズル列が異なったタイミングで、移動方向前から順に、インクを溝部に吐出させてフラッシング動作を行う。例えば、キャリッジ31が図中の左方向に移動する場合、左のノズル列から順に、フラッシング動作が行われる。これにより、溝部244の幅をヘッド41の幅よりも狭くすることができるので、溝部244の幅を小さくすることができる。
【0088】
ところで、フラッシング動作は、使用していないノズルのインクの増粘を抑制するものなので、画像を形成する際に多量のインクを吐出するノズルに対しては、あまり必要とされない。にもかかわらず、フラッシング動作の際に、どのノズルからも一律に同じ量のインクを強制的に吐出させると、無駄なインクが吐出されることがある。
そこで、本実施形態では、以下に説明するように、画像を形成する際に吐出されるインク量に応じた量のインクをノズルから吐出している。
【0089】
===第1実施形態===
<プリンタドライバ側の処理について>
図20は、第1実施形態におけるパス1の説明図である。図20の上図は、第1実施形態におけるパス1用のデータを示す図である。図20の下図は、第1実施形態におけるドット形成(インクの吐出)の様子を示す図である。なお、紙は、前述の図10の紙と同じ大きさの紙である。
【0090】
第1実施形態では、図20に示すように、各ラスタデータには、16画素分の画素データと、画素データの左右にある4個(4画素分)の余白分のデータと、余白分のデータの左右にある4個のフラッシング用のデータとが含まれる。紙の縁に余白を設けて画像を印刷する場合、余白となる紙の縁にインクが吐出されないように、画像を形成するための画素データと、フラッシング用のデータとの間に、0の余白分データが作成される。但し、縁なし印刷の場合、この余白分データの代わりに、画像を形成するための画素データが、この領域まで設定される。フラッシング用のデータは、図19Bのように、溝部244にインクを強制的に吐出するためのデータである。
【0091】
フラッシング用のデータは画素データに応じて作成される。具体的には、一列のラスタデータに1の画素データが、0個のときは、1のフラッシング用データが4個作成される。また、一列のラスタデータに1の画素データが、1個または2個あるときは、1のフラッシング用データが3個作成される。一列のラスタデータに1の画素データが、3個から6個あるときは、1のフラッシング用データが2個作成される。一列のラスタデータに1の画素データが、7個から14個あるときは、1のフラッシング用データが1個作成される。一列のラスタデータに1の画素データが、15個か16個あるときは、1のフラッシング用データは0個のため作成されない。
【0092】
1の画素データが多い場合、ノズルから吐出されるインク滴も多くなる。インク滴が多く吐出されると、ノズルが増粘しにくくなる。ノズルが増粘しにくいときは、フラッシング動作で吐出される液体は少なくしても良い。このため、1の画素データが多い場合、1のフラッシング用のデータを少なくしている。逆に、1の画素データが少ない場合、ノズルが増粘しやすいので、1のフラッシング用のデータを多くしている。
【0093】
ノズル列が左から右方向へ移動するパスの場合には、図の左側の余白分データの左側に、1のフラッシング用のデータが作成される。一方、ノズル列が右から左方向へ移動するパスの場合には、図の右側の余白分データの右側に、1のフラッシング用のデータが作成される。
【0094】
第1実施形態では、図20に示すように、パス1のノズル♯1に対応するラスタデータでは、1の画素データが2個あるので、1のフラッシング用データが3個作成される。ノズル#2に対応するラスタデータでは、1の画素データが6個あるので、1のフラッシング用データが2個作成される。ノズル#3に対応するラスタデータでは、1の画素データが10個あるので、1のフラッシング用データが1個作成される。ノズル#4に対応するラスタデータでは、1の画素データが14個あるので、1のフラッシング用データが1個作成される。また、パス1ではノズル列が左から右方向へ移動するので、これらの1のフラッシング用データは、図の左側の余白分データの左側に作成される。
【0095】
また例えば、図13に示すように、パス2のノズル#2に対応するラスタデータでは、1の画素データが8個ある。このため、パス2のノズル♯2に対応するラスタデータでは、右側の余白分データの右側に、1のフラッシング用データが2個作成されることになる(図示しない)。更に、図14に示すように、パス3のノズル#2に対応するラスタデータでは、1の画素データが2個ある。このため、パス3のノズル♯2に対応するラスタデータでは、左側の余白分データの左側に、1のフラッシング用のデータが3個作成されることになる(図示しない)。
【0096】
上記のように作成された印刷データがプリンタ側に送信される。
【0097】
<プリンタの処理について>
図20には、パス1で吐出されるインク滴の説明図が含まれている(下図参照)。プリンタドライバから受信した印刷データに基づいて、プリンタ側ではノズルからインク滴が吐出される。
【0098】
図20に示すように、パス1ではノズル列は左側から右方向へ移動される。ノズル#1に対応するラスタデータに含まれるフラッシング用データに基づいて、ノズル#1から3滴のインク滴が強制的に吐出されて、溝部244に着弾する。3滴のインク滴が強制的に吐出されることによって、ノズルは目詰まりしにくい状態となる。ノズル#1に対応するラスタデータに含まれる画素データに基づいて、ノズル#1から2滴のインク滴が紙に吐出されて、紙の中央部分に着弾する。そして、紙に着弾したインク滴はドットを形成する。
【0099】
また、図20に示すように、ノズル#2、ノズル#3、ノズル#4からも同様にインク滴が吐出される。それぞれのノズルから、ラスタデータに含まれるフラッシング用データと、画素データと、余白分のデータと、に基づいてインク滴が吐出される。他のパスでも同様に、ラスタデータに基づいてインク滴が吐出される。
【0100】
図21Aから図21Dは、パス1におけるノズル#4の動作の説明図である。図21Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31が停止している状態を示す説明図である。図21Bは、キャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うノズル#4のフラッシング動作の説明図である。図21Cは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図21Dは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので、説明を省略する。
【0101】
図21Aから図21Dでは、ノズル#4に着目している。また、他のノズルからもインク滴が吐出されているが、ここでは不図示である。
【0102】
パス1の際に、ノズル♯4は、以下のように動作する。ドット形成処理を行う前、キャリッジ31は、図21Aに示すように、紙の左側より外側の位置(ヘッド41の下面が紙Sに面していない位置)で、停止している。そして、キャリッジ31は、図中の右方向に向かって加速する。キャリッジ31が動き始めてから、ノズル♯4から紙に着弾するようにインクを吐出する前(キャリッジの加速中)に、図20の左側のフラッシング用のデータに従って、ノズル♯4からインクが吐出される。これにより、図21Bに示すように、溝部244にインクが着弾するように、インクが強制的に吐出されフラッシング動作が行われる。パス1のノズル♯4のフラッシング動作では、1滴のインク滴が吐出される。このフラッシング動作が終わると、余白分のデータに従って、4画素分のインク不吐出の期間がある。その後、16個の画素データに従って、インクが吐出される。画素データに従ってインクが吐出されると、そのインクは紙に着弾し、紙にドットを形成する。画素データに応じたインクの吐出が終わると、再び余白分のデータに従って、4画素分のインク不吐出の期間がある。その後、キャリッジ31は減速し、紙の右端より外側の位置で停止する。キャリッジ31の減速から停止までの間では、4個の0のフラッシング用のデータに従って、ノズル♯4からはインクは吐出されない。
【0103】
図22Aから図22Dは、パス2におけるノズル#2の動作の説明図である。図22Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31が停止している状態を示す説明図である。図22Bは、キャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うノズル#2のフラッシング動作の説明図である。図22Cは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図22Dは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図22Aから図22Dでは、ノズル#2に着目している。
【0104】
パス2では、キャリッジ31は右側から左方向へ移動する。ノズル#2に対応するラスタデータに含まれる図20の右側のフラッシング用データに基づいて、ノズル#2から2滴のインク滴が吐出される。これにより、図22Bに示すように、溝部244にインク滴が着弾するようにインク滴が強制的に吐出されてフラッシング動作が行われる。
【0105】
図23Aから図23Dは、パス3におけるノズル#2の動作の説明図である。図23Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31が停止している状態を示す説明図である。図23Bは、キャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うノズル#2のフラッシング動作の説明図である。図23Cは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図23Dは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図23Aから図23Dでは、ノズル#2に着目している。
【0106】
パス3では、キャリッジ31は左側から右方向へ移動する。ノズル2に対応するラスタデータに含まれる図20の左側のフラッシング用データに基づいて、ノズル#2から3滴のインク滴が吐出される。これにより、図23Bに示すように、溝部244にインク滴が着弾するようにインク滴が強制的に吐出されフラッシング動作が行われる。
【0107】
パス1のノズル♯4とパス2のノズル♯2とを比較すると(図21Dと図22Dとを比較すると)、パス1のノズル♯4の方が、画像を形成する際に前記液体が吐出される印刷の範囲が広いため、紙に吐出されるインク滴の量が多い。このため、パス1のノズル♯4は、パス2のノズル♯2と比べて、インクが増粘しにくい状態である。そして、本実施形態によれば、図21Bと図22Bとを比較して明らかな通り、図21Bの方が、フラッシング動作時に吐出されるインク滴の量が少なくなる。これにより、パス1のノズル♯4は、フラッシング動作時に無駄なインク滴を吐出しないで済む。
【0108】
パス1のノズル♯4とパス3のノズル♯2とを比較すると(図21Dと図23Dとを比較すると)、パス1のノズル♯4の方が、単位面積あたりのドット数が多いため、紙に吐出されるインク滴の量が多い。このため、パス1のノズル♯4は、パス3のノズル♯2と比べて、インクが増粘しにくい状態である。そして、本実施形態によれば、図21Bと図23Bとを比較して明らかな通り、図21Bの方が、フラッシング動作時に吐出されるインク滴の量が少なくなる。これにより、パス1のノズル♯4は、フラッシング動作時に無駄なインク滴を吐出しないで済む。
【0109】
===第2実施形態===
第2実施形態では、第1実施形態のように一つのノズルの動作に着目するのではなく、一つのノズル列にある複数のノズルの動作に着目している。つまり、第2実施形態では、全ノズルから吐出されるインク量の合計に応じて、フラッシング動作時に各ノズルから強制的に吐出されるインク量が定まっている。また、図24から図26は、キャリッジ31と紙Sとの相対的な位置関係を示している。印刷時には紙Sが搬送方向に搬送されて、キャリッジ31は左右の移動方向に移動する。また、説明の容易化のため、溝部244に着弾したインク滴も、紙Sとともに移動させて描かれている。
【0110】
図24Aから図24Cは、第2実施形態のパス1における複数のノズルの動作の説明図である。図24Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31が停止している状態を示す平面図である。図24Bは、印刷時のインクの着弾の平面図である。図24Cは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので、説明を省略する。なお、他のノズル列からもインク滴が吐出されてもよいが、ここでは不図示である。
【0111】
第2実施形態のパス1では、4つのノズルは、以下のように動作する。ドット形成処理を行う前、キャリッジ31は、図24Aに示すように、紙の左端より外側の位置(ヘッド41の下面が紙Sに面していない位置)で、停止している。キャリッジ31は、図中の右方向に向かって加速する。図24Bに示すように、溝部244にインクが着弾するように、各ノズルから1滴のインクが強制的に吐出されフラッシング動作が行われる。フラッシング動作後、紙にインクが吐出されてインクが着弾する。図24Cに示すように、キャリッジ31はフラッシング動作と紙に対するインクの吐出が終わると、紙の右端より外側の位置で停止する。図24Cに示すように、パス1の印刷領域(ドットが形成される領域)は比較的広く、パス1では多くのインク滴が紙に吐出される。
【0112】
図25Aから図25Cは、第2実施形態のパス2における複数のノズルの動作の説明図である。図25Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31が停止している状態を示す平面図である。図25Bは、印刷時のインクの着弾を示す平面図である。図25Cは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。
【0113】
図25Aから図25Cでは、パス1で形成されたドットは白丸で表されている。第2実施形態では、図25Aに示すように、キャリッジ31は右側から左方向に移動される。図25Bに示すように、溝部244にインクが着弾するように、4つのノズルから2滴のインクが強制的に溝部244に吐出されて、フラッシング動作が行われる。図25Cに示すように、パス2の印刷領域はパス1の印刷領域よりも狭く、パス2ではパス1より少ないインク滴が紙に吐出される。このため、パス2では、パス1よりも、フラッシング時に吐出されるインク量が多い。
【0114】
図26Aから図26Cは、第2実施形態のパス3における複数のノズルの動作の説明図である。図26Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31が停止している状態を示す平面図である。図26Bは、印刷時のインクの着弾を示す平面図である。図26Cは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。
【0115】
図26Aから図26Cでは、パス1及びパス2で形成されたドットは白丸で表されている。第2実施形態では、図26Aに示すように、キャリッジ31は左側から右方向へ移動する。図26Bに示すように、溝部244にインクが着弾するように、4つのノズルから3滴のインクが強制的に溝部244に吐出されて、フラッシング動作が行われる。図26Cに示すように、パス3の印刷領域はパス2の印刷領域とほぼ同じ幅であるが、パス3の印刷領域に形成される画像の濃度がパス2の印刷領域に形成される画像の濃度よりも淡いので、パス3の印刷領域の単位面積あたりのドット数が少なくなり、パス3ではパス2より少ないインク滴が紙に吐出される。このため、パス3では、パス2よりも、フラッシング時に吐出されるインク量が多い。
【0116】
なお、特に説明は省略するが、第2実施形態でも、プリンタドライバ側で、図24〜図26の動作を行なうための印刷データが作成されている。前述のように、プリンタドライバ側で作成されたラスタデータに基づいて、フラッシング動作を行えば、フラッシング動作で吐出されるインク滴の量を調節することができるので、インク消費量を抑えることができる。
【0117】
===その他の実施の形態===
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0118】
前述の実施形態では、印刷処理を制御する印刷制御装置が、プリンタドライバをインストールしたコンピュータと、プリンタとから構成されている。しかし、印刷制御装置はこれに限られるものではない。例えば、プリンタドライバの機能をプリンタ自身が備えているのであれば、プリンタ単体が印刷制御装置になり得る。
【0119】
前述の実施形態では、キャリッジが動き始めてから、紙にインクを吐出するまでの間にフラッシング動作を行っていた。しかし、フラッシング動作を行うタイミングは、これに限られるものではない。例えば、紙にインクを吐出するのを終了してからキャリッジが停止するまでの間にフラッシング動作を行っても良い。つまり、紙に吐出されたインク滴の量に応じてフラッシングが行われていれば、ノズルの増粘を抑えることができる。
【0120】
前述の実施形態では、吐出されるインク滴の大きさが同じであった。しかし、インク滴の大きさは、これに限られるものではない。例えば、ノズルから異なる大きさのインク滴を吐出しても良い。このような場合、大きい方のインク滴を吐出するほうが良い。なぜならば、小さいインク滴より大きいインク滴の方が、飛散しないで溝部に着弾するからである。
【0121】
===まとめ===
(1)前述の実施形態の印刷制御装置は、プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110と、プリンタ1と、を備える。この印刷制御装置は、インクを吐出するノズルを移動させるキャリッジ31と、キャリッジ31を移動させて、キャリッジ31と共に移動するノズルからインクを吐出させ、紙にインクを着弾させて、紙に画像を印刷するコントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)とを備える。また、この印刷制御装置では、コントローラは、紙に着弾しないようにノズルからインクを強制的に吐出するフラッシング動作を行う。
但し、インクが増粘しにくい状態のノズルに対してフラッシング動作の際にいつも一定の量のインクを吐出すると、インクが無駄に吐出されてしまう。一方、ノズルのインクが増粘しやすいか否かは、画像を形成する際に吐出されるインクの量に応じて異なる。
そこで、前述の実施形態では、コントローラは、画像を形成する際に吐出されるインクの量に応じた量のインクをノズルから吐出してフラッシング動作を行う。これにより、適正な量のインクを強制的に吐出することができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0122】
(2)前述の実施形態では、画像を形成する際に吐出されるインクの量が多くなるときには、インクが増粘しにくい状態になるので、強制的に吐出されるインクの量を少なくしている。これにより、適正な量のインクを吐出することができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0123】
(3)前述の実施形態では、画像を形成する際にインクが吐出される印刷の範囲が狭くなると、強制的に吐出されるインクの量は多くなる。これは、画像を形成する際にインクが吐出される印刷の範囲が狭くなると、画像を形成する際に吐出されるインクの量が少なくなり、インクが増粘し易い状態になるためである。
これにより、前述の実施形態では、適正な量のインクを吐出することができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0124】
(4)前述の実施形態では、画像を形成する際にインクが吐出される単位面積あたりのドット数が少なくなると、強制的に吐出されるインクの量は多くなる。これは、画像を形成する際にインクが吐出される単位面積あたりのドット数が少なくなると、画像を形成する際に吐出されるインクの量が少なくなり、インクが増粘し易い状態になるためである。
これにより、前述の実施形態では、適正な量のインクを吐出することができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0125】
(5)前述の第1実施形態では、ノズルが複数設けられて、コントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)は、画像を形成する際に各ノズルから吐出されるインクの量に応じた量のインクをそれぞれのノズルから吐出してフラッシング動作を行う。これは、画像を形成する際に吐出されるインクの量がノズル毎に異なれば、ノズル毎にインクの増粘のしやすさが異なるからである。
これにより、前述の第1実施形態では、適正な量のインクを吐出することができるので、各ノズルからインクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0126】
(6)前述の第2実施形態では、ノズルが複数設けられて、コントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)は、画像を形成する際に複数のノズルから吐出されるインクの量に応じた量のインクをそれぞれのノズルから吐出してフラッシング動作を行う。画像を形成する際に各ノズルが同じような量のインクを吐出すると考えられる場合、各ノズルに対して同じようなフラッシング動作を行なっても、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
これにより、ノズル毎にフラッシング時に吐出するインクの量を計算しなくても良いので、計算の負荷が軽くなる。
【0127】
(7)前述の実施形態では、コントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)は、印刷データに基づいて、ノズルからインクを吐出させる。印刷データは、画素データとフラッシング用のデータとを含んでいる。コントローラは、画素データに基づいてノズルからインクが吐出させることにより、画像を形成する。また、コントローラは、フラッシング用のデータに基づいてノズルからインクを吐出させることにより、フラッシング動作を行う。そして、コントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)は、フラッシング用データを画素データに基づいて作成する。
本実施形態では、コントローラが、印刷データに応じてノズルからインクを吐出させれば、画像を形成する際に吐出されるインクの量に応じた量のインクをノズルから吐出してフラッシング動作を行うことができる。
【0128】
(8)前述の実施形態では、コントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)は、画像を紙に形成する際に、ドット形成処理(S003)と搬送処理(S004)とを交互に繰り返している。そして、搬送動作と搬送動作との間に行われるパスにおいて吐出されるインクの量に応じた量のインクが、そのパスの際に行われるフラッシング動作においてノズルから吐出される。例えば、パス1における画素データに応じて吐出されるインク量に応じたインク量が、パス1におけるフラッシング動作においてノズルから吐出される。
これにより、増粘に応じた適正な量のインクを強制的に吐出することができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
なお、前述の実施形態では、各パスにおける画素データに応じて吐出されるインク量に応じて、各パスにおけるフラッシング動作において吐出されるインク量が定まっているが、これに限られるものではない。例えば、紙の全体に吐出されるインク量に応じて、その紙を印刷する間に行われるフラッシング動作において吐出されるインク量が定まっても良い。
【0129】
(9)前述の実施形態では、コントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)は、フラッシング動作で強制的に吐出されるインクを、キャリッジ31の移動の範囲内に設けられた溝部244に吐出させる。これにより、キャリッジ31の移動距離を短縮することができて、印刷速度の低下を防止することができる。
【0130】
(10)前述の実施形態では、キャリッジ31の移動方向に設けられた複数のノズル列は、各ノズル列が異なったタイミングでインクを吐出する。これにより、インクが着弾する溝部244の幅を狭くすることができる。
【0131】
(11)前述の実施形態では、フラッシング動作は、画像を形成する際のインクの吐出の前に行われる。これにより、画像を形成する前にノズルの目詰まりを解消できるので、画質を向上することができる。
【0132】
(12)前述の実施形態では、キャリッジ31が動き始めてから、紙にノズルからインクを吐出するまでの間に、フラッシング動作を行う。これにより、画像を形成する前にノズルの目詰まりを解消することができ、画質を向上することができる。
【0133】
(13)なお、画像を形成する前にフラッシング動作を行うのではなく、ノズルからインクを吐出することを終了してから、キャリッジ31が停止するまでの間に、フラッシング動作を行なっても良い。このようにしても、適正な量のインクを強制的に吐出することができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0134】
(14)前述の構成要素を全て含む印刷制御装置によれば、全ての効果を奏するので、望ましい。但し、必ずしも全ての構成要素を含む必要はない。要するに、適正な量のインクを強制的に吐出することができ、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる構成であれば良い。
【0135】
(15)前述の印刷方法では、ノズルからインクを吐出し、紙にインクを着弾させて、紙に画像を印刷し、紙に着弾しないようにノズルからインクを強制的に吐出するフラッシング動作を行う。そして、画像を形成する際に吐出されるインクの量に応じた量のインクをノズルから吐出してフラッシング動作を行う。これにより、適正な量のインクを強制的に吐出させることができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0136】
(16)前述のプリンタドライバ(プログラムの一例)は、コンピュータに、印刷データを生成させて、この印刷データをプリンタに送信させている。プリンタは、この印刷データに応じて、ノズルからインクを吐出させて、媒体にインクを着弾させて、紙に画像を印刷させるとともに、紙に着弾しないようにノズルからインクを強制的に吐出するフラッシング動作を行わせる。また、プリンタは、印刷データに応じて、画像を形成する際に吐出されるインクの量に応じた量のインクをノズルから吐出してフラッシング動作を行なう。
このようなプリンタドライバによれば、プリンタに適正な量のインクを強制的に吐出させることができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】印刷システムの全体構成の説明図である。
【図2】プリンタドライバが行う基本的処理の説明図である。
【図3】プリンタドライバのユーザインターフェースの説明図である。
【図4】プリンタの全体構成のブロック図である。
【図5】プリンタの全体構成の概略図である。
【図6】プリンタの全体構成の横断面図である。
【図7】印刷時の処理のフロー図である。
【図8】ノズルの配列を示す説明図である。
【図9】プリンタドライバが行うハーフトーン処理により作成された画素データを示す図である。
【図10】ノズルとラスタデータとの関係を示す図である。
【図11】ラスタライズ処理されたデータを示す図である。
【図12】パス1用のデータとドット形成の様子を示す図である。
【図13】パス2用のデータとドット形成の様子を示す図である。
【図14】パス3用のデータとドット形成の様子を示す図である。
【図15】ドットで構成された画像を示す図である。
【図16】縁なし印刷時の印刷データの説明図である。
【図17】図17Aは、縁なし印刷時のインクの吐出の説明図である。図17Bは、縁なし印刷時のインクの着弾の説明図である。
【図18】図18Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図18Bは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図18Cは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図18Dは、キャリッジ31のフラッシング動作の説明図である。
【図19】図19Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図19Bは、キャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うフラッシング動作の説明図である。図19Cは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図19Dは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。
【図20】図20は、第1実施形態のパス1用のデータと、ドット形成の様子を示す図である。
【図21】図21Aは、第1実施形態のパス1におけるドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図21Bは、パス1におけるキャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うフラッシング動作の説明図である。図21Cは、パス1における印刷時のインクの着弾の説明図である。図21Dは、パス1におけるドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。
【図22】図22Aは、第1実施形態のパス2におけるドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図22Bは、パス2におけるキャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うフラッシング動作の説明図である。図22Cは、パス2における印刷時のインクの着弾の説明図である。図22Dは、パス2におけるドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。
【図23】図23Aは、第1実施形態のパス3におけるドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図23Bは、パス3におけるキャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うフラッシング動作の説明図である。図23Cは、パス3における印刷時のインクの着弾の説明図である。図23Dは、パス3におけるドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。
【図24】図24Aは、第2実施形態のパス1におけるドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。図24Bは、パス1における印刷時のインクの着弾の平面図である。図24Cは、パス1におけるドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。
【図25】図25Aは、第2実施形態のパス2におけるドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。図25Bは、パス2における印刷時のインクの着弾の平面図である。図25Cは、パス2におけるドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。
【図26】図26Aは、第2実施形態のパス3におけるドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。図26Bは、パス1における印刷時のインクの着弾の平面図である。図26Cは、パス1におけるドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0138】
1 プリンタ、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ、
23 搬送ローラ、24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 プリンタ側コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、
63 メモリ、64 ユニット制御回路、
90 インクカートリッジ、
100 システム、110 コンピュータ、112 ビデオドライバ、
114 アプリケーションプログラム、116 プリンタドライバ、
120 表示装置、
130 入力装置、130A キーボード、130B マウス、
140 記録再生装置、140A フレキシブルディスクドライブ装置、
140B CD−ROMドライブ装置、
242 突起、244 溝部、
246 吸収部材、247 吸収部材、
301 インク受け部、
D ドット、Ip インク滴、S 紙
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置、印刷方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから液体(インクなど)を吐出して媒体(紙、布、OHPシートなど)にドットを形成し、媒体に印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。このようなインクジェットプリンタには、印刷時に移動するキャリッジが設けられている。そして、インクジェットプリンタは、キャリッジと共に動くヘッドのノズルからインクを吐出して、吐出したインク滴を媒体に着弾させて、印刷処理を行う。
【0003】
このようなインクジェットプリンタでは、インクの増粘を抑制するために、フラッシング動作が行われる。フラッシング動作とは、媒体に着弾しないようにインクを強制的に吐出して、インクをインク受け部に吐出する動作である。キャリッジの移動範囲外に設けられるインク受け部や、キャリッジの移動範囲内に設けられる縁なし印刷で打ち漏れたインクが着弾する溝部にフラッシングをすることができる。このフラッシング動作により、ノズル内のインクを排出することができるので、インクの増粘を抑制することができる。
【特許文献1】特開平9−52374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フラッシング動作で吐出されるインク量は、ノズルから吐出されたインク量とは関係なく、ある一定の量のインクが吐出される。
このため、インクが増粘しにくい状況にも係わらず、フラッシングで一定の量のインクが強制的に吐出されると、インクが無駄に吐出されることになる。
本発明では、媒体に吐出される液体の量に応じて、強制的に吐出される液体の量を定める。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明を達成するための主たる発明は、液体を吐出するノズルを移動させるキャリッジを備え、前記キャリッジを移動させて、前記キャリッジと共に移動する前記ノズルから液体を吐出し、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷し、前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行う印刷制御装置に関する。そして、この印刷制御装置では、前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行う。
【0006】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0008】
液体を吐出するノズルを移動させるキャリッジと、
前記キャリッジを移動させて、前記キャリッジと共に移動する前記ノズルから液体を吐出させ、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷するコントローラであって、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行うコントローラと、
を備える印刷制御装置であって、
前記コントローラは、前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行う
ことを特徴とする印刷制御装置。
このような印刷制御装置によれば、インク滴が無駄に吐出されることがなく、フラッシング動作で吐出されるインクの量を抑制することができる。
【0009】
かかる印刷制御装置であって、前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量が多くなるときには、強制的に吐出される前記液体の量は少なくなる。
このような印刷制御装置によれば、フラッシング動作で吐出されるインクの量を抑制することができる。
【0010】
かかる印刷制御装置であって、前記画像を形成する際に前記液体が吐出される印刷の範囲が狭くなると、強制的に吐出される前記液体の量は多くなる。
このような印刷制御装置によれば、フラッシング動作で吐出されるインク量を適正な量に調整することができる。
【0011】
かかる印刷制御装置であって、前記画像を形成する際に前記液体が吐出される単位面積あたりのドット数が少なくなると、強制的に吐出される前記液体の量は多くなる。
このような印刷制御装置によれば、フラッシング動作で吐出されるインク量を適正な量に調整することができる。
【0012】
かかる印刷制御装置であって、前記ノズルが複数設けられて、前記コントローラは、前記画像を形成する際に各前記ノズルから吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記それぞれのノズルから吐出して前記フラッシング動作を行う。
このような印刷制御装置によれば、各ノズルからフラッシング動作で吐出されるインク量を抑制することができる。
【0013】
かかる印刷制御装置であって、前記ノズルが複数設けられて、前記コントローラは、前記画像を形成する際に複数の前記ノズルから吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体をそれぞれ前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行う。
このような印刷制御装置によれば、各ノズル列からフラッシング動作で吐出されるインク量を抑制することができる。
【0014】
かかる印刷制御装置であって、前記コントローラは、画素データ及びフラッシング用のデータを含む印刷データを作成する際に、前記フラッシング用データを前記画素データに基づいて作成し、前記画素データに基づいて前記ノズルから前記液体を吐出させることにより、前記画像を形成し、前記フラッシング用のデータに基づいて前記ノズルから前記液体を吐出させることにより、前記フラッシング動作を行う。
このような印刷制御装置によれば、フラッシング用のデータに基づいて、適切な量の液体を強制的に吐出することができる。
【0015】
かかる印刷制御装置であって、前記コントローラは、前記画像を前記媒体に形成する際に、移動する前記ノズルからインクを吐出する動作と、前記媒体を搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、前記搬送動作と前記搬送動作の間に前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体が、その搬送動作と搬送動作の間に行われる前記フラッシング動作において前記ノズルから吐出される。
このような印刷制御装置によれば、適切な量の液体を強制的に吐出することができる。
【0016】
かかる印刷制御装置であって、前記コントローラは、前記フラッシング動作で強制的に吐出される前記液体を、前記キャリッジの移動の範囲内に設けられた液体受け部に吐出させる。
このような印刷制御装置によれば、キャリッジの移動距離を短縮して、印刷速度の低下を防止することができる。
【0017】
かかる印刷制御装置であって、前記キャリッジの移動方向に設けられた複数の前記ノズル列は、各ノズル列が異なったタイミングで液体を吐出する。
このような印刷装置によれば、各ノズル列が異なったタイミングでインクをインク受け部に吐出するため、インク受け部の幅を狭くすることができる。
【0018】
かかる印刷制御装置であって、前記フラッシング動作は、前記画像を形成する際の液体の吐出の前に行われる。
このような印刷制御装置によれば、形成する画像に応じて、フラッシング動作を行うことができる。
【0019】
かかる印刷制御装置であって、前記キャリッジが動き始めてから、前記媒体に前記ノズルから前記液体を吐出するまでの間に、前記フラッシング動作を行う。
このような印刷装置によれば、ドット形成処理の直前にノズルの目詰まりを確実に解消することができるため、画質が向上する。
【0020】
かかる印刷制御装置であって、前記ノズルから液体を吐出することを終了してから、前記キャリッジが停止するまでの間に、前記フラッシング動作を行う。
このような印刷装置によれば、その直前のドット形成処理の際にインクを吐出していないノズルの目詰まりを解消することができるため、画質が向上する。
【0021】
ノズルから液体を吐出し、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷し、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行う
印刷方法であって、
前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行うことを特徴とする印刷方法。
このような印刷方法によれば、インク滴が無駄に吐出されることがなく、フラッシング動作で吐出されるインクの量を抑制することができる。
【0022】
かかるプログラムであって、プリンタに、
ノズルから液体を吐出させて、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷させて、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行わせて、
前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行わせる機能を実現させるためのプログラム。
このようなプログラムによれば、インク滴が無駄に吐出されることがなく、フラッシング動作で吐出されるインクの量を抑制することができる。
【0023】
===印刷システムの構成===
次に、印刷システム(コンピュータシステム)の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態の記載には、コンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムを記録した記録媒体等に関する実施形態も含まれている。
【0024】
図1は、印刷システムの外観構成を示した説明図である。この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを備えている。プリンタ1は、紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する印刷装置である。コンピュータ110は、プリンタ1と電気的に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。表示装置120は、ディスプレイを有し、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のユーザインターフェースを表示する。入力装置130は、例えばキーボード130Aやマウス130Bであり、表示装置120に表示されたユーザインターフェースに沿って、アプリケーションプログラムの操作やプリンタドライバの設定等に用いられる。記録再生装置140は、例えばフレキシブルディスクドライブ装置140AやCD−ROMドライブ装置140Bが用いられる。
【0025】
コンピュータ110にはプリンタドライバがインストールされている。プリンタドライバは、表示装置120にユーザインターフェースを表示させる機能を実現させるほか、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのプログラムである。このプリンタドライバは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録されている。または、このプリンタドライバは、インターネットを介してコンピュータ110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
【0026】
なお、「印刷装置」とは、狭義にはプリンタ1を意味するが、広義にはプリンタ1とコンピュータ110とのシステムを意味する。
「印刷制御装置」とは、印刷処理を制御する装置であり、プリンタドライバをインストールしたコンピュータ及びプリンタを含む。
【0027】
===プリンタドライバ===
<プリンタドライバについて>
図2は、プリンタドライバが行う基本的な処理の概略的な説明図である。既に説明された構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。
コンピュータ110では、コンピュータに搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバ112やアプリケーションプログラム114やプリンタドライバ116などのコンピュータプログラムが動作している。ビデオドライバ112は、アプリケーションプログラム114やプリンタドライバ116からの表示命令に従って、例えばユーザインターフェース等を表示装置120に表示する機能を有する。アプリケーションプログラム114は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザは、アプリケーションプログラム114のユーザインターフェースを介して、アプリケーションプログラム114により編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム114は、印刷の指示を受けると、プリンタドライバ116に画像データを出力する。
【0028】
プリンタドライバ116は、アプリケーションプログラム114から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをプリンタに出力する。ここで、印刷データとは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと画素データとを有するデータである。ここで、コマンドデータとは、プリンタに特定の動作の実行を指示するためのデータである。また、画素データとは、印刷される画像(印刷画像)を構成する画素に関するデータであり、例えば、ある画素に対応する紙上の位置に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)である。
【0029】
プリンタドライバ116は、アプリケーションプログラム114から出力された画像データを印刷データに変換するため、解像度変換処理・色変換処理・ハーフトーン処理・ラスタライズ処理などを行う。以下に、プリンタドライバ116が行う各種の処理について説明する。
【0030】
解像度変換処理は、アプリケーションプログラム114から出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、紙に印刷する際の解像度に変換する処理である。例えば、紙に画像を印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラム114から受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。以下、画像データを解像度変換処理したRGBデータをRGB画像データと呼ぶ。
【0031】
色変換処理は、RGBデータをCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する処理である。なお、CMYKデータは、プリンタが有するインクの色に対応したデータである。この色変換処理は、RGB画像データの階調値とCMYK画像データの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタドライバ116が参照することによって行われる。この色変換処理により、各画素についてのRGBデータが、インク色に対応するCMYKデータに変換される。なお、色変換処理後のデータは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKデータである。以下、RGB画像データを色変換処理したCMYKデータをCMYK画像データと呼ぶ。
【0032】
ハーフトーン処理は、高階調数のデータを、プリンタが形成可能な階調数のデータに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理では、ディザ法・γ補正・誤差拡散法などを利用して、プリンタがドットを分散して形成できるように画素データを作成する。プリンタドライバ116は、ハーフトーン処理を行うとき、ディザ法を行う場合にはディザテーブルを参照し、γ補正を行う場合にはガンマテーブルを参照し、誤差拡散法を行う場合は拡散された誤差を記憶するための誤差メモリを参照する。ハーフトーン処理されたデータは、前述のRGBデータと同等の解像度(例えば720×720dpi)を有している。ハーフトーン処理されたデータは、例えば、各画素につき1ビット又は2ビットのデータから構成される。以下、ハーフトーン処理されたデータのうち、1ビットデータのものを2値データと呼び、2ビットデータのものを多値データと呼ぶ。
【0033】
ラスタライズ処理は、マトリクス状の画像データを、プリンタに転送すべきデータ順に変更する処理である。ラスタライズ処理されたデータは、印刷データに含まれる画素データとして、プリンタに出力される。ラスタライズ処理については後述する。
【0034】
<プリンタドライバの設定について>
図3は、プリンタドライバのユーザインターフェースの説明図である。このプリンタドライバのユーザインターフェースは、ビデオドライバ112を介して、表示装置に表示される。ユーザーは、入力装置130を用いて、プリンタドライバの各種の設定を行うことができる。
【0035】
ユーザーは、この画面上から、印刷モードを選択することができる。例えば、ユーザーは、印刷モードとして、高速印刷モード又はファイン印刷モードを選択することができる。そして、プリンタドライバは、選択された印刷モードに応じた形式になるように、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷の解像度(印刷するときのドットの間隔)を選択することができる。例えば、ユーザーは、この画面上から、印刷の解像度として720dpiや360dpiを選択することができる。そして、プリンタドライバは、選択された解像度に応じて解像度変換処理を行い、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷に用いられる印刷用紙を選択することができる。例えば、ユーザーは、印刷用紙として、普通紙や光沢紙を選択することができる。紙の種類(紙種)が異なれば、インクの滲み方や乾き方も異なるため、印刷に適したインク量も異なる。そのため、プリンタドライバは、選択された紙種に応じて、画像データを印刷データに変換する。
【0036】
このように、プリンタドライバは、ユーザインターフェースを介して設定された条件に従って、画像データを印刷データに変換する。なお、ユーザーは、この画面上から、プリンタドライバの各種の設定を行うことができるほか、カートリッジ内のインクの残量を知ること等もできる。
【0037】
===プリンタの構成===
<インクジェットプリンタの構成について>
図4は、本実施形態のプリンタの全体構成のブロック図である。また、図5は、本実施形態のプリンタの全体構成の概略図である。また、図6は、本実施形態のプリンタの全体構成の横断面図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。
【0038】
本実施形態のプリンタは、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、およびプリンタ側コントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、プリンタ側コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を形成する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をプリンタ側コントローラ60に出力する。検出器群50から検出結果を受けたプリンタ側コントローラ60は、その検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0039】
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の方向(以下、搬送方向という)に所定の搬送量で紙を搬送させるためのものである。すなわち、搬送ユニット20は、紙を搬送する搬送機構(搬送手段)として機能する。搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。ただし、搬送ユニット20が搬送機構として機能するためには、必ずしもこれらの構成要素を全て必要とするわけではない。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ内に自動的に給紙するためのローラである。給紙ローラ21は、D形の断面形状をしており、円周部分の長さは搬送ローラ23までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて紙を搬送ローラ23まで搬送できる。搬送モータ22は、紙を搬送方向に搬送するためのモータであり、DCモータにより構成される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、印刷が終了した紙Sをプリンタの外部に排出するローラである。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
【0040】
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能である。(これにより、ヘッドが移動方向に沿って移動する。)また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。キャリッジモータ32は、キャリッジ31を移動方向に移動させるためのモータであり、DCモータにより構成される。
【0041】
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、ヘッド41を有する。ヘッド41は、インク吐出部であるノズルを複数有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。このヘッド41は、キャリッジ31に設けられている。そのため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(「ドット列」又は「ラスタライン」ともいう)が紙に形成される。
【0042】
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出センサ53は、印刷される紙の先端の位置を検出するためのものである。この紙検出センサ53は、給紙ローラ21が搬送ローラ23に向かって紙を給紙する途中で、紙の先端の位置を検出できる位置に設けられている。なお、紙検出センサ53は、機械的な機構によって紙の先端を検出するメカニカルセンサである。詳しく言うと、紙検出センサ53は搬送方向に回転可能なレバーを有し、このレバーは紙の搬送経路内に突出するように配置されている。そのため、紙の先端がレバーに接触し、レバーが回転させられるので、紙検出センサ53は、このレバーの動きを検出することによって、紙の先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている。光学センサ54は、発光部から紙に照射された光の反射光を受光部が検出することにより、紙の有無を検出する。そして、光学センサ54は、キャリッジ31によって移動しながら紙の端部の位置を検出する。光学センサ54は、光学的に紙の端部を検出するため、機械的な紙検出センサ53よりも、検出精度が高い。
【0043】
プリンタ側コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニット(制御手段)である。プリンタ側コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0044】
なお、「コントローラ」とは、プリンタドライバをインストールしたコンピュータと、プリンタ側コントローラ60とを含む。
【0045】
<印刷動作について>
図7は、印刷時の処理のフロー図である。以下に説明される各処理は、プリンタ側コントローラ60が、メモリ63内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各処理を実行するためのコードを有する。
【0046】
印刷命令受信(S001):まず、プリンタ側コントローラ60は、コンピュータ110からインターフェース部61を介して、印刷命令を受信する。この印刷命令は、コンピュータ110から送信される印刷データのヘッダに含まれている。そして、プリンタ側コントローラ60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の給紙処理・搬送処理・インク吐出処理等を行う。
【0047】
給紙処理(S002):給紙処理とは、印刷すべき紙をプリンタ内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に紙を位置決めする処理である。プリンタ側コントローラ60は、給紙ローラ21を回転させ、印刷すべき紙を搬送ローラ23まで送る。プリンタ側コントローラ60は、搬送ローラ23を回転させ、給紙ローラ21から送られてきた紙を印刷開始位置に位置決めする。紙が印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド41の少なくとも一部のノズルは、紙と対向している。
【0048】
ドット形成処理(S003):ドット形成処理とは、移動方向に沿って移動するヘッドからインクを断続的に吐出させ、紙上にドットを形成する処理である。プリンタ側コントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動し、キャリッジ31を移動方向に移動させる。そして、プリンタ側コントローラ60は、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッドからインクを吐出させる。ヘッドから吐出されたインク滴が紙上に着弾すれば、紙上にドットが形成される。移動するヘッドからインクが断続的に吐出されるので、紙上には移動方向に沿った複数のドットからなるドット列(ラスタライン)が形成される。
【0049】
搬送処理(S004):搬送処理とは、紙をヘッドに対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。プリンタ側コントローラ60は、搬送モータを駆動し、搬送ローラを回転させて紙を搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
【0050】
排紙判断(S005):プリンタ側コントローラ60は、印刷中の紙の排紙の判断を行う。印刷中の紙に印刷すべきデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、プリンタ側コントローラ60は、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットから構成される画像を徐々に紙に印刷する。
【0051】
排紙処理(S006):印刷中の紙に印刷すべきデータがなくなれば、プリンタ側コントローラ60は、排紙ローラを回転させることにより、その紙を排紙する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
【0052】
印刷終了判断(S007):次に、プリンタ側コントローラ60は、印刷を続行するか否かの判断を行う。次の紙に印刷を行うのであれば、印刷を続行し、次の紙の給紙処理を開始する。次の紙に印刷を行わないのであれば、印刷動作を終了する。
【0053】
<ノズルについて>
図8は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル群Kと、シアンインクノズル群Cと、マゼンタインクノズル群Mと、イエローインクノズル群Yが形成されている。各ノズル群は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個(本実施形態では180個)備えている。
【0054】
各ノズル群の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720)である場合、k=4である。
【0055】
各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど若い番号が付されている(♯1〜♯180)。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯180よりも搬送方向の下流側に位置している。各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。また、光学センサ54は、紙搬送方向の位置に関して、一番上流側にあるノズル♯180とほぼ同じ位置にある。
【0056】
===ラスタライズ処理からドットの形成までの流れ===
<プリンタドライバ側の処理>
下記の説明では説明の簡略化のため、ブラックインクK、シアンインクC、マゼンタインクM、イエローインクYの4色のうちの1色、例えば、ブラックインクKに注目する。
【0057】
図9は、プリンタドライバが行うハーフトーン処理により作成された画素データを示す図である。図9の説明においては、説明の簡略化のため、画像データは16×24画素の画素データから構成されている。図9に示しているように、プリンタドライバでハーフトーン処理された画素データは各画素につき1ビットのデータから構成される。ハーフトーン処理された画素データはラスタデータ順に配置されている。ここで「ラスタデータ」とは、ラスタラインに対応する画素データの意味である。ここでは画像データは24本のラスタデータから構成され、各ラスタデータは16個の画素データから構成されている。画素データの右側には、ラスタデータの番号が示されている。各画素データは0か1であり、後述するように、画素データが0の画素にはドットが形成されず、画素データが1の画素にはドットが形成される。
【0058】
図10は、ノズルとラスタデータとの関係を示す図である。図10には、ハーフトーン処理後の画素データと、図の左側に複数のノズルを有しているノズル列とが示されている。図10では、ノズル列はノズル♯1から4を有している。この図においては、説明の簡略化のため、ノズル数を4個にしている。図10の左側には、パス1からパス6のときのノズル列の位置が示されている。ここで「パスn」とは、n回目のドット形成処理の意味である。この図では、パス毎にノズル列の位置が移動しているが、実際には紙の方が搬送されて、パス毎にノズル列と紙との相対的な位置関係が変わる。
【0059】
パス1のときには、ノズル#1、#2、#3及び#4は、1、3、5及び7番目のラスタラインを作成する。このため、パス1のときには、1、3、5及び7番目のラスタデータが必要になる。同様に、パス2のときには、ノズル#1、#2、#3及び#4は、2、4、6及び8番目のラスタラインを作成する。パス3のときには、ノズル#1、#2、#3及び#4は、9、11、13及び15番目のラスタラインを作成する。パス4のときには、ノズル#1、#2、#3及び#4は、10、12、14及び16番目のラスタラインを作成する。パス5のときには、ノズル#1、#2、#3及び#4は、17、19、21及び23番目のラスタラインを作成する。パス6のときには、ノズル#1、#2、#3及び#4は、18、20、22及び24番目のラスタラインを作成する。
【0060】
つまり、ノズルとラスタラインとの関係から各パスに必要なラスタデータが決まる。そこで、プリンタドライバは、ノズルとラスタラインとの関係に基づいて、各パスに必要なラスタデータをそれぞれ抽出し、各パス用のデータを作成する。前述のラスタライズ処理とは、このような処理である。
【0061】
図11は、ラスタライズ処理されたデータを示す図である。図11には、パス1用のデータ、パス2用のデータ、パス3用のデータ、パス4用のデータ、パス5用のデータ、及びパス6用のデータが示されている。図の右側にはラスタデータの番号が示されている。パス1用のデータには、1、3、5及び7番目のラスタデータが含まれる。パス2用のデータには、2、4、6及び8番目のラスタデータが含まれる。パス3用のデータには、9、11、13及び15番目のラスタデータが含まれる。パス4用のデータには、10、12、14及び16番目のラスタデータが含まれる。パス5用のデータには、17、19、21及び23番目のラスタデータが含まれる。パス6用のデータには、18、20、22及び24番目のラスタデータが含まれる。
【0062】
このようにラスタライズ処理された画素データは、印刷データに含まれてプリンタ側に送信される。
【0063】
<プリンタの処理>
プリンタは、プリンタドライバから受信した印刷データに基づいて、紙に画像を印刷する。
【0064】
図12は、パス1の説明図である。図12の上図は、パス1用のデータを示す図である。図12の下図は、パス1のドット形成の様子を示す図である。図12の下図には、紙が太線で長方形として示されている。説明の簡略化のために、画素を示す升目が紙に形成されているが、この升目は仮想のものであり、実際には目に見えるものではない。図の上方にはパス1用のデータが示されている。紙の左側には、パス1を行う前のノズル列の位置が示されている。紙の右側には、パス1を行った後のノズル列の位置が示されている。ノズル列は矢印で示すように左側から右側へ移動する。ノズル列が移動するときに、画素データが0の画素には、ピエゾ素子は駆動されずノズルからインクは吐出されない。画素データが1の画素には、ピエゾ素子が駆動されてノズルからインクが吐出される。インクが吐出され、インクが紙に着弾すると、紙にドットが形成される。このため、画素データが1の画素には黒ドットが形成される。
【0065】
図13は、パス2のドット形成の様子を示す図である。パス2では、ノズル列は矢印で示すように右側から左側へ移動する。パス2で形成されるドットは黒丸で表され、パス1で形成されたドットは白丸で表されている。
【0066】
図14は、パス3のドット形成の様子を示す図である。パス3では、ノズル列は矢印で示すように左側から右側へ移動する。パス3で形成されるドットは黒丸で表され、パス1とパス2とで形成されたドットは白丸で表されている。プリンタは、このようにしてノズル列を往復移動させながら、パス毎に各パス用のデータに従ってドットを形成する。
【0067】
図15は、全部のパスを終えた様子を示している。但し、図15では、升目を表していない。図15に示すように、紙には多数のドットで構成される画像が印刷される。
【0068】
===縁なし印刷===
<縁なし印刷時の印刷データ>
図16は、縁なし印刷時の印刷データの説明図である。「縁なし印刷」では、紙の全表面を対象として印刷を行う。この「縁なし印刷」により、紙の4辺の縁にも余白なくインクを吐出して印刷することができるので、写真と同じイメージの出力結果が得られる。このため、「縁なし印刷」が可能なインクジェットプリンタが、近年人気を集めている。
【0069】
同図において、内側の実線の四角形は、紙の大きさを示している。同図において、外側の点線の四角形は、印刷データの大きさを示している。縁なし印刷では、紙よりも大きい領域にインクを吐出して、紙の全面に印刷を行っている。そのため、印刷データの大きさは紙の大きさよりも大きい。そのため、プリンタは、紙の範囲外にもインクを吐出することになる。
【0070】
<突起・溝部について>
図17Aは、縁なし印刷時のインクの吐出の説明図である。図17Bは、縁なし印刷時のインクの着弾の説明図である。既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので、説明を省略する。
【0071】
ヘッド41のノズルからインク滴Ipが吐出され、吐出されたインク滴Ipが紙Sに着弾し、紙Sに印刷されるべき画像を構成するドットDが形成される。縁なし印刷の場合、前述の通り、印刷データは紙の大きさよりも大きい範囲に対応している。そのため、この印刷データに基づいてノズルからインクを吐出すれば、吐出されたインクの一部は、紙Sに着弾せずに、プラテン24に着弾する。しかし、プラテン24に着弾したインクが紙の裏側に付着すると、紙が汚れてしまうため望ましくない。そこで、紙の裏側の汚れを防ぐため、縁なし印刷を行うプリンタのプラテン24は、突起242(凸部やリブともいう)と、溝部244(凹部ともいう)と、吸収部材246とを備えている。
【0072】
突起242は、プラテン24が紙Sを支持する際に、紙と接触する部材である。この突起242は、紙が溝部244に接しないように、構成される。また、この突起242は、縁なし印刷時にインク滴が着弾しないような位置に、設けられている。なぜなら、突起242がインクによって汚れると、紙の裏面を汚すからである。そのため、例えば、突起242は、図中の紙の右側端から出るような位置には設けられていない。仮に、突起242の中央部分が紙の右端を支持したり、突起242がインクの打ち漏らし領域に設けられていたりすると、縁なし印刷時に、突起242がインクによって汚れるおそれがある。ところで、紙の右側端は固定ガイドによって案内されているため、印刷時の紙の右側端の走査方向の位置(図中の紙Sの右側端の位置)は、どのような幅の紙であっても、同様に決まっている。このため、突起242の位置は、固定ガイド82の位置を基準に定まっている。また、印刷する紙の幅(紙の走査方向の長さ)は、規定のサイズに決まっている。例えば、A4サイズの紙ならば紙の幅は210mmであり、ハガキならば、紙の幅は100mmである。そこで、突起242は、どのような規定サイズの紙であっても、縁なし印刷時のインクの打ち漏らし領域に位置しないように、設けられている。
【0073】
図中に示された紙Sは、搬送ユニットが搬送する紙(プリンタ1が印刷可能な紙)の中で最も幅の小さい紙であるハガキである。そして、搬送ユニットは、このハガキよりも大きい幅の紙も搬送する(プリンタは、ハガキよりも大きい幅の紙を搬送する)。そのため、図中の紙Sを支持する突起242よりも左側に、この紙Sよりも大きい紙を支持するための突起242も存在している。
【0074】
溝部244は、プラテン24に設けられた窪みである。溝部244は、突起242に対して凹んでいるため、仮に溝部244がインクによって汚れても、紙の裏面を汚さないように構成されている。このため、紙に着弾しなかった縁なし印刷時のインクが溝部244に着弾するように、溝部244が構成されている。すなわち、縁なし印刷時のインクを打ち漏らす領域(打ち漏らし領域)は、溝部244に位置するようになっている。
【0075】
吸収部材246は、インクを吸収するための部材であり、例えば吸水性のスポンジ等から構成される。この吸収部材246は、溝部244に設けられている。そして、吸収部材246は、縁なし印刷時に溝部244に着弾するインクを吸収する。吸収部材246がインクを吸収することにより、打ち漏らしたインクの離散を防いでいる。既に説明したとおり、プリンタは幅の異なる複数の紙に印刷可能なので、印刷可能な規定サイズの紙に合わせて、その紙に対応する打ち漏らし領域に吸収部材246が設けられている(図中左側においても、ハガキ以外の紙(例えばA4サイズの紙など)のための吸収部材が、設けられていることが示されている)。
【0076】
===フラッシング動作===
「フラッシング」動作とは、媒体(紙、布、OHPシートなど)に着弾しないようにインクを強制的に吐出する動作である。フラッシング動作を行うことにより、使用していないノズル内のインクを排出することができるので、インクの増粘を抑制することができる。このフラッシング動作は、所定のタイミングにて、行われる。
【0077】
<参考例のフラッシング動作について>
図18Aから図18Dは、参考例のフラッシング動作の説明図である。図18Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図18Bは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図18Cは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図18Dは、キャリッジ31のフラッシング動作の説明図である。既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので、説明を省略する。
【0078】
ドット形成処理(図7、S003)の際に、キャリッジ31は、以下のように動作する。まず、ドット形成処理を行う前、キャリッジ31は、図18Aに示すように、紙の右端より外側の位置(ヘッド41の下面が紙Sに面していない位置)で、停止している。そして、キャリッジ31は、図中の左方向に向かって加速し、所定の速度で定速移動する。そして、キャリッジ31が定速で移動しているときに、図18Bに示すように、紙Sに着弾するように、ヘッド41のノズルからインクの吐出を開始する。インクの吐出が終了して、ドット形成処理が終わると、キャリッジ31は減速する。そして、キャリッジ31は、図18Cに示すように、紙の左端より外側の位置(ヘッド41の下面が紙Sに面していない位置)で停止する。
【0079】
繰り返してドット形成処理が行われる場合、キャリッジ31は、図18Cの停止位置から折り返して、図中の右方向に向かって移動し、ドット形成処理を行う。ドット形成処理が終わると、インクの吐出が終了して、キャリッジ31は減速して、図18Aの停止位置に停止する。このように、キャリッジ31は、ドット形成処理が繰り返し行われるとき、図18Aの停止位置と図18Cの停止位置との間で往復移動することになる。
【0080】
参考例では、ドット形成処理時のキャリッジの往復移動の範囲よりも外側に、インク受け部301が設けられている(図18A〜図18D参照)。インク受け部301には、フラッシング動作で吐出されるインクを吸収するための吸収部材247が設けられている。
【0081】
参考例では、フラッシング動作を行うとき、ドット形成処理時のキャリッジの往復移動の範囲よりも外側に設けられたインク受け部301まで、キャリッジ31が移動しなければならない。このため、印刷途中でフラッシング動作が行われると、印刷速度が低下していた。
【0082】
<本実施形態のフラッシング動作について>
図19Aから図19Dは、本実施形態のキャリッジ31のフラッシング動作の説明図である。図19Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図19Bは、キャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うフラッシング動作の説明図である。図19Cは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図19Dは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので、説明を省略する。
【0083】
本実施形態では、図19A〜図19Dに示すように、参考例のようなインク受け部301は設けられていない。一方、本実施形態では、参考例と同様に、ドット形成処理時のキャリッジ31の移動の範囲内に、縁なし印刷で打ち漏れたインクが着弾する溝部244が設けられている。そして、本実施形態では、縁なし印刷で紙から打ち漏れたインクが着弾する溝部に、フラッシング動作で吐出するインクが着弾する。つまり、参考例のインク受け部301の代わりに、本実施形態では、縁なし印刷で打ち漏れたインクが着弾する溝部244は、フラッシング動作で吐出されるインクが着弾するインク受け部を兼ねている。
【0084】
本実施形態の吸収部材246は、縁なし印刷で紙から打ち漏れたインクを吸収する参考例の吸収部材246よりも高い吸水性を持っている。本実施形態の吸収部材246は、縁なし印刷で紙から打ち漏れたインクを吸収するだけでなく、フラッシング動作により吐出されるインクも吸収するからである。
【0085】
本実施形態では、ドット形成処理(図7、S003)の際に、キャリッジ31は、以下のように動作する。ドット形成処理を行う前、キャリッジ31は、図19Aに示すように、紙の右側より外側の位置(ヘッド41の下面が紙Sに面していない位置)で、停止している。そして、キャリッジ31は、図中の左方向に向かって加速する。キャリッジ31が動き始めてから、ヘッド41のノズルから紙に着弾するようにインクを吐出する前(キャリッジの加速中)に、図19Bに示すように、溝部244にインクが着弾するように、インクを強制的に吐出してフラッシング動作を行う。フラッシング動作が終わると、キャリッジ31は定速移動して、図19Cに示すように、定速移動中にヘッドからインクを吐出してドット形成処理を行う。ドット形成処理が終わると、キャリッジ31は減速し、図19Dに示すように、キャリッジ31は、紙の左端より外側の位置(ヘッド41の下面が紙Sに面していない位置)で停止する。
【0086】
キャリッジ31は、図19Dの停止位置から折り返して、前述の通りに、繰り返してドット形成処理を行うことができる。キャリッジ31は、ドット形成処理が繰り返し行われるとき、図19Aの停止位置と図19Dの停止位置との間で往復して移動することになる。本実施形態では、往復移動の範囲内で、フラッシング動作を行うことができる。従って、印刷途中でフラッシング動作を行う場合でも、印刷速度の低下を防止できる。
【0087】
参考例では、キャリッジ31は、インク受け部301にインクを吐出してフラッシング動作を行うときは、停止している。そのため、インク受け部301の幅は、ヘッド41の幅と同じ、またはそれより広くなくてはならない。一方、本実施形態では、図19Bに示すように、キャリッジ31が動いているときに、キャリッジ31の移動方向に設けられた複数のノズル列は、各ノズル列が異なったタイミングで、移動方向前から順に、インクを溝部に吐出させてフラッシング動作を行う。例えば、キャリッジ31が図中の左方向に移動する場合、左のノズル列から順に、フラッシング動作が行われる。これにより、溝部244の幅をヘッド41の幅よりも狭くすることができるので、溝部244の幅を小さくすることができる。
【0088】
ところで、フラッシング動作は、使用していないノズルのインクの増粘を抑制するものなので、画像を形成する際に多量のインクを吐出するノズルに対しては、あまり必要とされない。にもかかわらず、フラッシング動作の際に、どのノズルからも一律に同じ量のインクを強制的に吐出させると、無駄なインクが吐出されることがある。
そこで、本実施形態では、以下に説明するように、画像を形成する際に吐出されるインク量に応じた量のインクをノズルから吐出している。
【0089】
===第1実施形態===
<プリンタドライバ側の処理について>
図20は、第1実施形態におけるパス1の説明図である。図20の上図は、第1実施形態におけるパス1用のデータを示す図である。図20の下図は、第1実施形態におけるドット形成(インクの吐出)の様子を示す図である。なお、紙は、前述の図10の紙と同じ大きさの紙である。
【0090】
第1実施形態では、図20に示すように、各ラスタデータには、16画素分の画素データと、画素データの左右にある4個(4画素分)の余白分のデータと、余白分のデータの左右にある4個のフラッシング用のデータとが含まれる。紙の縁に余白を設けて画像を印刷する場合、余白となる紙の縁にインクが吐出されないように、画像を形成するための画素データと、フラッシング用のデータとの間に、0の余白分データが作成される。但し、縁なし印刷の場合、この余白分データの代わりに、画像を形成するための画素データが、この領域まで設定される。フラッシング用のデータは、図19Bのように、溝部244にインクを強制的に吐出するためのデータである。
【0091】
フラッシング用のデータは画素データに応じて作成される。具体的には、一列のラスタデータに1の画素データが、0個のときは、1のフラッシング用データが4個作成される。また、一列のラスタデータに1の画素データが、1個または2個あるときは、1のフラッシング用データが3個作成される。一列のラスタデータに1の画素データが、3個から6個あるときは、1のフラッシング用データが2個作成される。一列のラスタデータに1の画素データが、7個から14個あるときは、1のフラッシング用データが1個作成される。一列のラスタデータに1の画素データが、15個か16個あるときは、1のフラッシング用データは0個のため作成されない。
【0092】
1の画素データが多い場合、ノズルから吐出されるインク滴も多くなる。インク滴が多く吐出されると、ノズルが増粘しにくくなる。ノズルが増粘しにくいときは、フラッシング動作で吐出される液体は少なくしても良い。このため、1の画素データが多い場合、1のフラッシング用のデータを少なくしている。逆に、1の画素データが少ない場合、ノズルが増粘しやすいので、1のフラッシング用のデータを多くしている。
【0093】
ノズル列が左から右方向へ移動するパスの場合には、図の左側の余白分データの左側に、1のフラッシング用のデータが作成される。一方、ノズル列が右から左方向へ移動するパスの場合には、図の右側の余白分データの右側に、1のフラッシング用のデータが作成される。
【0094】
第1実施形態では、図20に示すように、パス1のノズル♯1に対応するラスタデータでは、1の画素データが2個あるので、1のフラッシング用データが3個作成される。ノズル#2に対応するラスタデータでは、1の画素データが6個あるので、1のフラッシング用データが2個作成される。ノズル#3に対応するラスタデータでは、1の画素データが10個あるので、1のフラッシング用データが1個作成される。ノズル#4に対応するラスタデータでは、1の画素データが14個あるので、1のフラッシング用データが1個作成される。また、パス1ではノズル列が左から右方向へ移動するので、これらの1のフラッシング用データは、図の左側の余白分データの左側に作成される。
【0095】
また例えば、図13に示すように、パス2のノズル#2に対応するラスタデータでは、1の画素データが8個ある。このため、パス2のノズル♯2に対応するラスタデータでは、右側の余白分データの右側に、1のフラッシング用データが2個作成されることになる(図示しない)。更に、図14に示すように、パス3のノズル#2に対応するラスタデータでは、1の画素データが2個ある。このため、パス3のノズル♯2に対応するラスタデータでは、左側の余白分データの左側に、1のフラッシング用のデータが3個作成されることになる(図示しない)。
【0096】
上記のように作成された印刷データがプリンタ側に送信される。
【0097】
<プリンタの処理について>
図20には、パス1で吐出されるインク滴の説明図が含まれている(下図参照)。プリンタドライバから受信した印刷データに基づいて、プリンタ側ではノズルからインク滴が吐出される。
【0098】
図20に示すように、パス1ではノズル列は左側から右方向へ移動される。ノズル#1に対応するラスタデータに含まれるフラッシング用データに基づいて、ノズル#1から3滴のインク滴が強制的に吐出されて、溝部244に着弾する。3滴のインク滴が強制的に吐出されることによって、ノズルは目詰まりしにくい状態となる。ノズル#1に対応するラスタデータに含まれる画素データに基づいて、ノズル#1から2滴のインク滴が紙に吐出されて、紙の中央部分に着弾する。そして、紙に着弾したインク滴はドットを形成する。
【0099】
また、図20に示すように、ノズル#2、ノズル#3、ノズル#4からも同様にインク滴が吐出される。それぞれのノズルから、ラスタデータに含まれるフラッシング用データと、画素データと、余白分のデータと、に基づいてインク滴が吐出される。他のパスでも同様に、ラスタデータに基づいてインク滴が吐出される。
【0100】
図21Aから図21Dは、パス1におけるノズル#4の動作の説明図である。図21Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31が停止している状態を示す説明図である。図21Bは、キャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うノズル#4のフラッシング動作の説明図である。図21Cは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図21Dは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので、説明を省略する。
【0101】
図21Aから図21Dでは、ノズル#4に着目している。また、他のノズルからもインク滴が吐出されているが、ここでは不図示である。
【0102】
パス1の際に、ノズル♯4は、以下のように動作する。ドット形成処理を行う前、キャリッジ31は、図21Aに示すように、紙の左側より外側の位置(ヘッド41の下面が紙Sに面していない位置)で、停止している。そして、キャリッジ31は、図中の右方向に向かって加速する。キャリッジ31が動き始めてから、ノズル♯4から紙に着弾するようにインクを吐出する前(キャリッジの加速中)に、図20の左側のフラッシング用のデータに従って、ノズル♯4からインクが吐出される。これにより、図21Bに示すように、溝部244にインクが着弾するように、インクが強制的に吐出されフラッシング動作が行われる。パス1のノズル♯4のフラッシング動作では、1滴のインク滴が吐出される。このフラッシング動作が終わると、余白分のデータに従って、4画素分のインク不吐出の期間がある。その後、16個の画素データに従って、インクが吐出される。画素データに従ってインクが吐出されると、そのインクは紙に着弾し、紙にドットを形成する。画素データに応じたインクの吐出が終わると、再び余白分のデータに従って、4画素分のインク不吐出の期間がある。その後、キャリッジ31は減速し、紙の右端より外側の位置で停止する。キャリッジ31の減速から停止までの間では、4個の0のフラッシング用のデータに従って、ノズル♯4からはインクは吐出されない。
【0103】
図22Aから図22Dは、パス2におけるノズル#2の動作の説明図である。図22Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31が停止している状態を示す説明図である。図22Bは、キャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うノズル#2のフラッシング動作の説明図である。図22Cは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図22Dは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図22Aから図22Dでは、ノズル#2に着目している。
【0104】
パス2では、キャリッジ31は右側から左方向へ移動する。ノズル#2に対応するラスタデータに含まれる図20の右側のフラッシング用データに基づいて、ノズル#2から2滴のインク滴が吐出される。これにより、図22Bに示すように、溝部244にインク滴が着弾するようにインク滴が強制的に吐出されてフラッシング動作が行われる。
【0105】
図23Aから図23Dは、パス3におけるノズル#2の動作の説明図である。図23Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31が停止している状態を示す説明図である。図23Bは、キャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うノズル#2のフラッシング動作の説明図である。図23Cは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図23Dは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図23Aから図23Dでは、ノズル#2に着目している。
【0106】
パス3では、キャリッジ31は左側から右方向へ移動する。ノズル2に対応するラスタデータに含まれる図20の左側のフラッシング用データに基づいて、ノズル#2から3滴のインク滴が吐出される。これにより、図23Bに示すように、溝部244にインク滴が着弾するようにインク滴が強制的に吐出されフラッシング動作が行われる。
【0107】
パス1のノズル♯4とパス2のノズル♯2とを比較すると(図21Dと図22Dとを比較すると)、パス1のノズル♯4の方が、画像を形成する際に前記液体が吐出される印刷の範囲が広いため、紙に吐出されるインク滴の量が多い。このため、パス1のノズル♯4は、パス2のノズル♯2と比べて、インクが増粘しにくい状態である。そして、本実施形態によれば、図21Bと図22Bとを比較して明らかな通り、図21Bの方が、フラッシング動作時に吐出されるインク滴の量が少なくなる。これにより、パス1のノズル♯4は、フラッシング動作時に無駄なインク滴を吐出しないで済む。
【0108】
パス1のノズル♯4とパス3のノズル♯2とを比較すると(図21Dと図23Dとを比較すると)、パス1のノズル♯4の方が、単位面積あたりのドット数が多いため、紙に吐出されるインク滴の量が多い。このため、パス1のノズル♯4は、パス3のノズル♯2と比べて、インクが増粘しにくい状態である。そして、本実施形態によれば、図21Bと図23Bとを比較して明らかな通り、図21Bの方が、フラッシング動作時に吐出されるインク滴の量が少なくなる。これにより、パス1のノズル♯4は、フラッシング動作時に無駄なインク滴を吐出しないで済む。
【0109】
===第2実施形態===
第2実施形態では、第1実施形態のように一つのノズルの動作に着目するのではなく、一つのノズル列にある複数のノズルの動作に着目している。つまり、第2実施形態では、全ノズルから吐出されるインク量の合計に応じて、フラッシング動作時に各ノズルから強制的に吐出されるインク量が定まっている。また、図24から図26は、キャリッジ31と紙Sとの相対的な位置関係を示している。印刷時には紙Sが搬送方向に搬送されて、キャリッジ31は左右の移動方向に移動する。また、説明の容易化のため、溝部244に着弾したインク滴も、紙Sとともに移動させて描かれている。
【0110】
図24Aから図24Cは、第2実施形態のパス1における複数のノズルの動作の説明図である。図24Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31が停止している状態を示す平面図である。図24Bは、印刷時のインクの着弾の平面図である。図24Cは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので、説明を省略する。なお、他のノズル列からもインク滴が吐出されてもよいが、ここでは不図示である。
【0111】
第2実施形態のパス1では、4つのノズルは、以下のように動作する。ドット形成処理を行う前、キャリッジ31は、図24Aに示すように、紙の左端より外側の位置(ヘッド41の下面が紙Sに面していない位置)で、停止している。キャリッジ31は、図中の右方向に向かって加速する。図24Bに示すように、溝部244にインクが着弾するように、各ノズルから1滴のインクが強制的に吐出されフラッシング動作が行われる。フラッシング動作後、紙にインクが吐出されてインクが着弾する。図24Cに示すように、キャリッジ31はフラッシング動作と紙に対するインクの吐出が終わると、紙の右端より外側の位置で停止する。図24Cに示すように、パス1の印刷領域(ドットが形成される領域)は比較的広く、パス1では多くのインク滴が紙に吐出される。
【0112】
図25Aから図25Cは、第2実施形態のパス2における複数のノズルの動作の説明図である。図25Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31が停止している状態を示す平面図である。図25Bは、印刷時のインクの着弾を示す平面図である。図25Cは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。
【0113】
図25Aから図25Cでは、パス1で形成されたドットは白丸で表されている。第2実施形態では、図25Aに示すように、キャリッジ31は右側から左方向に移動される。図25Bに示すように、溝部244にインクが着弾するように、4つのノズルから2滴のインクが強制的に溝部244に吐出されて、フラッシング動作が行われる。図25Cに示すように、パス2の印刷領域はパス1の印刷領域よりも狭く、パス2ではパス1より少ないインク滴が紙に吐出される。このため、パス2では、パス1よりも、フラッシング時に吐出されるインク量が多い。
【0114】
図26Aから図26Cは、第2実施形態のパス3における複数のノズルの動作の説明図である。図26Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31が停止している状態を示す平面図である。図26Bは、印刷時のインクの着弾を示す平面図である。図26Cは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。
【0115】
図26Aから図26Cでは、パス1及びパス2で形成されたドットは白丸で表されている。第2実施形態では、図26Aに示すように、キャリッジ31は左側から右方向へ移動する。図26Bに示すように、溝部244にインクが着弾するように、4つのノズルから3滴のインクが強制的に溝部244に吐出されて、フラッシング動作が行われる。図26Cに示すように、パス3の印刷領域はパス2の印刷領域とほぼ同じ幅であるが、パス3の印刷領域に形成される画像の濃度がパス2の印刷領域に形成される画像の濃度よりも淡いので、パス3の印刷領域の単位面積あたりのドット数が少なくなり、パス3ではパス2より少ないインク滴が紙に吐出される。このため、パス3では、パス2よりも、フラッシング時に吐出されるインク量が多い。
【0116】
なお、特に説明は省略するが、第2実施形態でも、プリンタドライバ側で、図24〜図26の動作を行なうための印刷データが作成されている。前述のように、プリンタドライバ側で作成されたラスタデータに基づいて、フラッシング動作を行えば、フラッシング動作で吐出されるインク滴の量を調節することができるので、インク消費量を抑えることができる。
【0117】
===その他の実施の形態===
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0118】
前述の実施形態では、印刷処理を制御する印刷制御装置が、プリンタドライバをインストールしたコンピュータと、プリンタとから構成されている。しかし、印刷制御装置はこれに限られるものではない。例えば、プリンタドライバの機能をプリンタ自身が備えているのであれば、プリンタ単体が印刷制御装置になり得る。
【0119】
前述の実施形態では、キャリッジが動き始めてから、紙にインクを吐出するまでの間にフラッシング動作を行っていた。しかし、フラッシング動作を行うタイミングは、これに限られるものではない。例えば、紙にインクを吐出するのを終了してからキャリッジが停止するまでの間にフラッシング動作を行っても良い。つまり、紙に吐出されたインク滴の量に応じてフラッシングが行われていれば、ノズルの増粘を抑えることができる。
【0120】
前述の実施形態では、吐出されるインク滴の大きさが同じであった。しかし、インク滴の大きさは、これに限られるものではない。例えば、ノズルから異なる大きさのインク滴を吐出しても良い。このような場合、大きい方のインク滴を吐出するほうが良い。なぜならば、小さいインク滴より大きいインク滴の方が、飛散しないで溝部に着弾するからである。
【0121】
===まとめ===
(1)前述の実施形態の印刷制御装置は、プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110と、プリンタ1と、を備える。この印刷制御装置は、インクを吐出するノズルを移動させるキャリッジ31と、キャリッジ31を移動させて、キャリッジ31と共に移動するノズルからインクを吐出させ、紙にインクを着弾させて、紙に画像を印刷するコントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)とを備える。また、この印刷制御装置では、コントローラは、紙に着弾しないようにノズルからインクを強制的に吐出するフラッシング動作を行う。
但し、インクが増粘しにくい状態のノズルに対してフラッシング動作の際にいつも一定の量のインクを吐出すると、インクが無駄に吐出されてしまう。一方、ノズルのインクが増粘しやすいか否かは、画像を形成する際に吐出されるインクの量に応じて異なる。
そこで、前述の実施形態では、コントローラは、画像を形成する際に吐出されるインクの量に応じた量のインクをノズルから吐出してフラッシング動作を行う。これにより、適正な量のインクを強制的に吐出することができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0122】
(2)前述の実施形態では、画像を形成する際に吐出されるインクの量が多くなるときには、インクが増粘しにくい状態になるので、強制的に吐出されるインクの量を少なくしている。これにより、適正な量のインクを吐出することができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0123】
(3)前述の実施形態では、画像を形成する際にインクが吐出される印刷の範囲が狭くなると、強制的に吐出されるインクの量は多くなる。これは、画像を形成する際にインクが吐出される印刷の範囲が狭くなると、画像を形成する際に吐出されるインクの量が少なくなり、インクが増粘し易い状態になるためである。
これにより、前述の実施形態では、適正な量のインクを吐出することができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0124】
(4)前述の実施形態では、画像を形成する際にインクが吐出される単位面積あたりのドット数が少なくなると、強制的に吐出されるインクの量は多くなる。これは、画像を形成する際にインクが吐出される単位面積あたりのドット数が少なくなると、画像を形成する際に吐出されるインクの量が少なくなり、インクが増粘し易い状態になるためである。
これにより、前述の実施形態では、適正な量のインクを吐出することができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0125】
(5)前述の第1実施形態では、ノズルが複数設けられて、コントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)は、画像を形成する際に各ノズルから吐出されるインクの量に応じた量のインクをそれぞれのノズルから吐出してフラッシング動作を行う。これは、画像を形成する際に吐出されるインクの量がノズル毎に異なれば、ノズル毎にインクの増粘のしやすさが異なるからである。
これにより、前述の第1実施形態では、適正な量のインクを吐出することができるので、各ノズルからインクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0126】
(6)前述の第2実施形態では、ノズルが複数設けられて、コントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)は、画像を形成する際に複数のノズルから吐出されるインクの量に応じた量のインクをそれぞれのノズルから吐出してフラッシング動作を行う。画像を形成する際に各ノズルが同じような量のインクを吐出すると考えられる場合、各ノズルに対して同じようなフラッシング動作を行なっても、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
これにより、ノズル毎にフラッシング時に吐出するインクの量を計算しなくても良いので、計算の負荷が軽くなる。
【0127】
(7)前述の実施形態では、コントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)は、印刷データに基づいて、ノズルからインクを吐出させる。印刷データは、画素データとフラッシング用のデータとを含んでいる。コントローラは、画素データに基づいてノズルからインクが吐出させることにより、画像を形成する。また、コントローラは、フラッシング用のデータに基づいてノズルからインクを吐出させることにより、フラッシング動作を行う。そして、コントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)は、フラッシング用データを画素データに基づいて作成する。
本実施形態では、コントローラが、印刷データに応じてノズルからインクを吐出させれば、画像を形成する際に吐出されるインクの量に応じた量のインクをノズルから吐出してフラッシング動作を行うことができる。
【0128】
(8)前述の実施形態では、コントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)は、画像を紙に形成する際に、ドット形成処理(S003)と搬送処理(S004)とを交互に繰り返している。そして、搬送動作と搬送動作との間に行われるパスにおいて吐出されるインクの量に応じた量のインクが、そのパスの際に行われるフラッシング動作においてノズルから吐出される。例えば、パス1における画素データに応じて吐出されるインク量に応じたインク量が、パス1におけるフラッシング動作においてノズルから吐出される。
これにより、増粘に応じた適正な量のインクを強制的に吐出することができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
なお、前述の実施形態では、各パスにおける画素データに応じて吐出されるインク量に応じて、各パスにおけるフラッシング動作において吐出されるインク量が定まっているが、これに限られるものではない。例えば、紙の全体に吐出されるインク量に応じて、その紙を印刷する間に行われるフラッシング動作において吐出されるインク量が定まっても良い。
【0129】
(9)前述の実施形態では、コントローラ(プリンタドライバをインストールしたコンピュータ110及びプリンタ側コントローラ60)は、フラッシング動作で強制的に吐出されるインクを、キャリッジ31の移動の範囲内に設けられた溝部244に吐出させる。これにより、キャリッジ31の移動距離を短縮することができて、印刷速度の低下を防止することができる。
【0130】
(10)前述の実施形態では、キャリッジ31の移動方向に設けられた複数のノズル列は、各ノズル列が異なったタイミングでインクを吐出する。これにより、インクが着弾する溝部244の幅を狭くすることができる。
【0131】
(11)前述の実施形態では、フラッシング動作は、画像を形成する際のインクの吐出の前に行われる。これにより、画像を形成する前にノズルの目詰まりを解消できるので、画質を向上することができる。
【0132】
(12)前述の実施形態では、キャリッジ31が動き始めてから、紙にノズルからインクを吐出するまでの間に、フラッシング動作を行う。これにより、画像を形成する前にノズルの目詰まりを解消することができ、画質を向上することができる。
【0133】
(13)なお、画像を形成する前にフラッシング動作を行うのではなく、ノズルからインクを吐出することを終了してから、キャリッジ31が停止するまでの間に、フラッシング動作を行なっても良い。このようにしても、適正な量のインクを強制的に吐出することができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0134】
(14)前述の構成要素を全て含む印刷制御装置によれば、全ての効果を奏するので、望ましい。但し、必ずしも全ての構成要素を含む必要はない。要するに、適正な量のインクを強制的に吐出することができ、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる構成であれば良い。
【0135】
(15)前述の印刷方法では、ノズルからインクを吐出し、紙にインクを着弾させて、紙に画像を印刷し、紙に着弾しないようにノズルからインクを強制的に吐出するフラッシング動作を行う。そして、画像を形成する際に吐出されるインクの量に応じた量のインクをノズルから吐出してフラッシング動作を行う。これにより、適正な量のインクを強制的に吐出させることができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【0136】
(16)前述のプリンタドライバ(プログラムの一例)は、コンピュータに、印刷データを生成させて、この印刷データをプリンタに送信させている。プリンタは、この印刷データに応じて、ノズルからインクを吐出させて、媒体にインクを着弾させて、紙に画像を印刷させるとともに、紙に着弾しないようにノズルからインクを強制的に吐出するフラッシング動作を行わせる。また、プリンタは、印刷データに応じて、画像を形成する際に吐出されるインクの量に応じた量のインクをノズルから吐出してフラッシング動作を行なう。
このようなプリンタドライバによれば、プリンタに適正な量のインクを強制的に吐出させることができるので、インクが無駄に吐出されることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】印刷システムの全体構成の説明図である。
【図2】プリンタドライバが行う基本的処理の説明図である。
【図3】プリンタドライバのユーザインターフェースの説明図である。
【図4】プリンタの全体構成のブロック図である。
【図5】プリンタの全体構成の概略図である。
【図6】プリンタの全体構成の横断面図である。
【図7】印刷時の処理のフロー図である。
【図8】ノズルの配列を示す説明図である。
【図9】プリンタドライバが行うハーフトーン処理により作成された画素データを示す図である。
【図10】ノズルとラスタデータとの関係を示す図である。
【図11】ラスタライズ処理されたデータを示す図である。
【図12】パス1用のデータとドット形成の様子を示す図である。
【図13】パス2用のデータとドット形成の様子を示す図である。
【図14】パス3用のデータとドット形成の様子を示す図である。
【図15】ドットで構成された画像を示す図である。
【図16】縁なし印刷時の印刷データの説明図である。
【図17】図17Aは、縁なし印刷時のインクの吐出の説明図である。図17Bは、縁なし印刷時のインクの着弾の説明図である。
【図18】図18Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図18Bは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図18Cは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図18Dは、キャリッジ31のフラッシング動作の説明図である。
【図19】図19Aは、ドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図19Bは、キャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うフラッシング動作の説明図である。図19Cは、印刷時のインクの着弾の説明図である。図19Dは、ドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。
【図20】図20は、第1実施形態のパス1用のデータと、ドット形成の様子を示す図である。
【図21】図21Aは、第1実施形態のパス1におけるドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図21Bは、パス1におけるキャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うフラッシング動作の説明図である。図21Cは、パス1における印刷時のインクの着弾の説明図である。図21Dは、パス1におけるドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。
【図22】図22Aは、第1実施形態のパス2におけるドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図22Bは、パス2におけるキャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うフラッシング動作の説明図である。図22Cは、パス2における印刷時のインクの着弾の説明図である。図22Dは、パス2におけるドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。
【図23】図23Aは、第1実施形態のパス3におけるドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。図23Bは、パス3におけるキャリッジ31が動き始めてからヘッドから紙にインクを吐出するまでの間に行うフラッシング動作の説明図である。図23Cは、パス3における印刷時のインクの着弾の説明図である。図23Dは、パス3におけるドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す説明図である。
【図24】図24Aは、第2実施形態のパス1におけるドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。図24Bは、パス1における印刷時のインクの着弾の平面図である。図24Cは、パス1におけるドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。
【図25】図25Aは、第2実施形態のパス2におけるドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。図25Bは、パス2における印刷時のインクの着弾の平面図である。図25Cは、パス2におけるドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。
【図26】図26Aは、第2実施形態のパス3におけるドット形成処理前のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。図26Bは、パス1における印刷時のインクの着弾の平面図である。図26Cは、パス1におけるドット形成処理後のキャリッジ31の停止位置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0138】
1 プリンタ、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ、
23 搬送ローラ、24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、32 キャリッジモータ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 プリンタ側コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、
63 メモリ、64 ユニット制御回路、
90 インクカートリッジ、
100 システム、110 コンピュータ、112 ビデオドライバ、
114 アプリケーションプログラム、116 プリンタドライバ、
120 表示装置、
130 入力装置、130A キーボード、130B マウス、
140 記録再生装置、140A フレキシブルディスクドライブ装置、
140B CD−ROMドライブ装置、
242 突起、244 溝部、
246 吸収部材、247 吸収部材、
301 インク受け部、
D ドット、Ip インク滴、S 紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルを移動させるキャリッジと、
前記キャリッジを移動させて、前記キャリッジと共に移動する前記ノズルから液体を吐出させ、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷するコントローラであって、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行うコントローラと、
を備える印刷制御装置であって、
前記コントローラは、前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行う
ことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷制御装置であって、
前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量が多くなるときには、強制的に吐出される前記液体の量は少なくなることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷制御装置であって、
前記画像を形成する際に前記液体が吐出される印刷の範囲が狭くなると、強制的に吐出される前記液体の量は多くなることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の印刷制御装置であって、
前記画像を形成する際に前記液体が吐出される単位面積あたりのドット数が少なくなると、強制的に吐出される前記液体の量は多くなることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記ノズルが複数設けられて、
前記コントローラは、前記画像を形成する際に各前記ノズルから吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記それぞれのノズルから吐出して前記フラッシング動作を行うことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記ノズルが複数設けられて、
前記コントローラは、前記画像を形成する際に複数の前記ノズルから吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体をそれぞれ前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行うことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記コントローラは、
画素データ及びフラッシング用のデータを含む印刷データを作成する際に、前記フラッシング用データを前記画素データに基づいて作成し、
前記画素データに基づいて前記ノズルから前記液体を吐出させることにより、前記画像を形成し、
前記フラッシング用のデータに基づいて前記ノズルから前記液体を吐出させることにより、前記フラッシング動作を行う
ことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記コントローラは、前記画像を前記媒体に形成する際に、移動する前記ノズルからインクを吐出する動作と、前記媒体を搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、
前記搬送動作と前記搬送動作の間に前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体が、その搬送動作と搬送動作の間に行われる前記フラッシング動作において前記ノズルから吐出される
ことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記コントローラは、前記フラッシング動作で強制的に吐出される前記液体を、前記キャリッジの移動の範囲内に設けられた液体受け部に吐出させることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷制御装置であって、
前記キャリッジの移動方向に設けられた複数の前記ノズル列は、各ノズル列が異なったタイミングで液体を吐出することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記フラッシング動作は、前記画像を形成する際の液体の吐出の前に行われることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の印刷制御装置であって、
前記キャリッジが動き始めてから、前記媒体に前記ノズルから前記液体を吐出するまでの間に、前記フラッシング動作を行うことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記ノズルから液体を吐出することを終了してから、前記キャリッジが停止するまでの間に、前記フラッシング動作を行うことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項14】
液体を吐出するノズルを移動させるキャリッジと、
前記キャリッジを移動させて、前記キャリッジと共に移動する前記ノズルから液体を吐出させ、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷するコントローラであって、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行うコントローラと、
を備える印刷制御装置であって、
前記コントローラは、前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行い、
前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量が多くなるときには、強制的に吐出される前記液体の量は少なくなり、
前記画像を形成する際に前記液体が吐出される印刷の範囲が狭くなると、強制的に吐出される前記液体の量は多くなり、
前記画像を形成する際に前記液体が吐出される単位面積あたりのドット数が少なくなると、強制的に吐出される前記液体の量は多くなり、
前記ノズルが複数設けられて、
前記コントローラは、前記画像を形成する際に各前記ノズルから吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記それぞれのノズルから吐出して前記フラッシング動作を行い、
前記コントローラは、
画素データ及びフラッシング用のデータを含む印刷データを作成する際に、前記フラッシング用データを前記画素データに基づいて作成し、
前記画素データに基づいて前記ノズルから前記液体を吐出させることにより、前記画像を形成し、
前記フラッシング用のデータに基づいて前記ノズルから前記液体を吐出させることにより、前記フラッシング動作を行い、
前記コントローラは、前記画像を前記媒体に形成する際に、移動する前記ノズルからインクを吐出する動作と、前記媒体を搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、
前記搬送動作と前記搬送動作の間に前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体が、その搬送動作と搬送動作の間に行われる前記フラッシング動作において前記ノズルから吐出され、
前記コントローラは、前記フラッシング動作で強制的に吐出される前記液体を、前記キャリッジの移動の範囲内に設けられた液体受け部に吐出させ、
前記キャリッジの移動方向に設けられた複数の前記ノズル列は、各ノズル列が異なったタイミングで液体を吐出し、
前記フラッシング動作は、前記画像を形成する際の液体の吐出の前に行われ、
前記キャリッジが動き始めてから、前記媒体に前記ノズルから前記液体を吐出するまでの間に、前記フラッシング動作を行い、
前記ノズルから液体を吐出することを終了してから、前記キャリッジが停止するまでの間に、前記フラッシング動作を行う
ことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項15】
ノズルから液体を吐出し、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷し、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行う
印刷方法であって、
前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行うことを特徴とする印刷方法。
【請求項16】
プリンタに、
ノズルから液体を吐出させて、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷させて、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行わせて、
前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行わせる機能を実現させるためのプログラム。
【請求項1】
液体を吐出するノズルを移動させるキャリッジと、
前記キャリッジを移動させて、前記キャリッジと共に移動する前記ノズルから液体を吐出させ、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷するコントローラであって、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行うコントローラと、
を備える印刷制御装置であって、
前記コントローラは、前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行う
ことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷制御装置であって、
前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量が多くなるときには、強制的に吐出される前記液体の量は少なくなることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷制御装置であって、
前記画像を形成する際に前記液体が吐出される印刷の範囲が狭くなると、強制的に吐出される前記液体の量は多くなることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載の印刷制御装置であって、
前記画像を形成する際に前記液体が吐出される単位面積あたりのドット数が少なくなると、強制的に吐出される前記液体の量は多くなることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記ノズルが複数設けられて、
前記コントローラは、前記画像を形成する際に各前記ノズルから吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記それぞれのノズルから吐出して前記フラッシング動作を行うことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記ノズルが複数設けられて、
前記コントローラは、前記画像を形成する際に複数の前記ノズルから吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体をそれぞれ前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行うことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記コントローラは、
画素データ及びフラッシング用のデータを含む印刷データを作成する際に、前記フラッシング用データを前記画素データに基づいて作成し、
前記画素データに基づいて前記ノズルから前記液体を吐出させることにより、前記画像を形成し、
前記フラッシング用のデータに基づいて前記ノズルから前記液体を吐出させることにより、前記フラッシング動作を行う
ことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記コントローラは、前記画像を前記媒体に形成する際に、移動する前記ノズルからインクを吐出する動作と、前記媒体を搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、
前記搬送動作と前記搬送動作の間に前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体が、その搬送動作と搬送動作の間に行われる前記フラッシング動作において前記ノズルから吐出される
ことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記コントローラは、前記フラッシング動作で強制的に吐出される前記液体を、前記キャリッジの移動の範囲内に設けられた液体受け部に吐出させることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷制御装置であって、
前記キャリッジの移動方向に設けられた複数の前記ノズル列は、各ノズル列が異なったタイミングで液体を吐出することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記フラッシング動作は、前記画像を形成する際の液体の吐出の前に行われることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の印刷制御装置であって、
前記キャリッジが動き始めてから、前記媒体に前記ノズルから前記液体を吐出するまでの間に、前記フラッシング動作を行うことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の印刷制御装置であって、
前記ノズルから液体を吐出することを終了してから、前記キャリッジが停止するまでの間に、前記フラッシング動作を行うことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項14】
液体を吐出するノズルを移動させるキャリッジと、
前記キャリッジを移動させて、前記キャリッジと共に移動する前記ノズルから液体を吐出させ、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷するコントローラであって、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行うコントローラと、
を備える印刷制御装置であって、
前記コントローラは、前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行い、
前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量が多くなるときには、強制的に吐出される前記液体の量は少なくなり、
前記画像を形成する際に前記液体が吐出される印刷の範囲が狭くなると、強制的に吐出される前記液体の量は多くなり、
前記画像を形成する際に前記液体が吐出される単位面積あたりのドット数が少なくなると、強制的に吐出される前記液体の量は多くなり、
前記ノズルが複数設けられて、
前記コントローラは、前記画像を形成する際に各前記ノズルから吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記それぞれのノズルから吐出して前記フラッシング動作を行い、
前記コントローラは、
画素データ及びフラッシング用のデータを含む印刷データを作成する際に、前記フラッシング用データを前記画素データに基づいて作成し、
前記画素データに基づいて前記ノズルから前記液体を吐出させることにより、前記画像を形成し、
前記フラッシング用のデータに基づいて前記ノズルから前記液体を吐出させることにより、前記フラッシング動作を行い、
前記コントローラは、前記画像を前記媒体に形成する際に、移動する前記ノズルからインクを吐出する動作と、前記媒体を搬送する搬送動作とを交互に繰り返し、
前記搬送動作と前記搬送動作の間に前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体が、その搬送動作と搬送動作の間に行われる前記フラッシング動作において前記ノズルから吐出され、
前記コントローラは、前記フラッシング動作で強制的に吐出される前記液体を、前記キャリッジの移動の範囲内に設けられた液体受け部に吐出させ、
前記キャリッジの移動方向に設けられた複数の前記ノズル列は、各ノズル列が異なったタイミングで液体を吐出し、
前記フラッシング動作は、前記画像を形成する際の液体の吐出の前に行われ、
前記キャリッジが動き始めてから、前記媒体に前記ノズルから前記液体を吐出するまでの間に、前記フラッシング動作を行い、
前記ノズルから液体を吐出することを終了してから、前記キャリッジが停止するまでの間に、前記フラッシング動作を行う
ことを特徴とする印刷制御装置。
【請求項15】
ノズルから液体を吐出し、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷し、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行う
印刷方法であって、
前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行うことを特徴とする印刷方法。
【請求項16】
プリンタに、
ノズルから液体を吐出させて、媒体に前記液体を着弾させて、前記媒体に画像を印刷させて、
前記媒体に着弾しないように前記ノズルから前記液体を強制的に吐出するフラッシング動作を行わせて、
前記画像を形成する際に吐出される前記液体の量に応じた量の前記液体を前記ノズルから吐出して前記フラッシング動作を行わせる機能を実現させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2006−334984(P2006−334984A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164254(P2005−164254)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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