説明

印刷制御装置、印刷装置、印刷制御方法およびコンピュータプログラム

【課題】画像の全体的な濃度むらを低減しつつ、エッジ部分のがたつきを低減する
【解決手段】注目画素がエッジ画素である場合、注目画素を、同一のノズル列のうちの1の同一ノズル(単一ノズル)で印刷する単一ノズル印刷画素として設定し、単一ノズル(52番ラスタは6番ノズル、59番ラスタは4番ノズル)によってドットを形成する。注目画素がエッジ画素でない場合、注目画素を、同一ノズル列のうちの異なる2つ以上のノズルのいずれかによって形成される通常印刷画素として設定する。こうすれば、エッジ画素(52番ラスタ、59番ラスタに含まれる)は、単一ノズルによってドットが形成され、通常印刷画素は、複数のノズルによってドットが形成される。従って、エッジは、同一のノズルにより形成されるドットで構成されるので、ノズル間の製造誤差や紙送りの誤差によって生じるドットの着弾位置のずれを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御に関するものであり、特に液体状の印刷材を噴射して印刷を行う印刷装置および該印刷装置を制御する印刷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、例えば、ドットを形成する複数のノズルが記録用紙の搬送方向に所定の間隔で設けられた印刷ヘッドを主走査方向に移動させて液体を噴射してドットを形成するとともに、主走査方向と交差する副走査方向に記録媒体を搬送することにより画像を形成するインクジェット式のプリンタ(以降、インクジェットプリンタと呼ぶ)が利用されている。
【0003】
このようなインクジェットプリンタでは、主走査方向に形成された複数のドットにより構成されるラインを、副走査方向に複数並べて画像を形成している。インクジェットプリンタは、ラインに含まれるドットを複数のノズルを用いて印刷するオーバラップ印刷方式で印刷することにより、ラインとラインの間に生じる、バンディングと呼ばれるむらなどの画質低下領域の発生を低減している。
【0004】
【特許文献1】特開平7−276717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のインクジェットプリンタでは、オーバラップ印刷方式での印刷時、紙送り量のずれや、ノズルの製造誤差等の種々の要因により、印刷媒体上でのドットの着弾位置が理想的な着弾位置からずれてしまい、画像のエッジ部分にがたつきが生じ、結果として画質の低下を招くという問題が生じている。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、画像の全体的な濃度むらを低減しつつ、エッジ部分のがたつきを低減する印刷制御技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
印刷材を噴射する複数のノズルから構成されるノズル列を有し、前記ノズルから前記印刷材を噴射する印刷ヘッドを備える印刷装置を制御する印刷制御装置であって、印刷対象の画像のエッジ領域を検出する検出手段と、前記エッジ領域に含まれる画素を、前記ノズル列に含まれる複数のノズルのうち同一のノズルを用いて形成するとともに、前記エッジ領域以外の画素を、前記ノズル列に含まれる複数のノズルのうち2以上のノズルを用いて形成するように前記ノズルの割り当てを行うノズル割り当て手段と、を備える印刷制御装置。
【0009】
適用例1の印刷制御装置によれば、画像のエッジ領域は1の同一のノズルを用いて印刷が行われるように、かつ、エッジ領域以外の領域は、異なる2以上のノズルを用いて印刷が行われるようにノズルの割り当てが行われる。従って、エッジ領域は、同一のノズルから噴射された印刷材により形成されるドットで構成されるので、ノズルの製造誤差や紙送りの誤差によって生じるドットの着弾位置のずれを低減でき、エッジ領域以外の領域は異なる2以上のノズルから噴射されたドットにより構成されるので、濃度むらを低減できる。従って、画像全体の濃度むらを低減しつつ、印刷された画像において印刷材の着弾位置のずれに起因して発生するエッジ領域のがたつきを低減できる。従って、画質を向上できる。
【0010】
[適用例2]
適用例1の印刷制御装置であって、前記印刷装置は、前記印刷ヘッドを第1の方向に移動させつつ前記印刷材を噴射させて、前記第1の方向に沿った直線上にドットを形成して前記印刷対象の画像を印刷し、前記検出手段は、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って変化する濃度値に基づいて、前記エッジ検出を行う。一般的に、オーバラップ印刷方式で印刷を行う場合、第1の方向に沿った直線を構成するドットを形成するノズルは数個であるのに対して、第2の方向に沿った直線を形成するノズルは数百個である。そのため、第2の方向に沿ったエッジを1つの同一のノズルで印刷するには、膨大な印刷時間がかかる。適用例2の印刷制御装置によれば、第2の方向に変化する階調値に基づいて検出されるエッジに対してのみ、1つの同一のノズルが割り当てられる。従って、通常のオーバラップ印刷方式を行う場合と、ほぼ同じ印刷時間で、画質の高い印刷を行うことができる。
【0011】
[適用例3]
適用例2の印刷制御装置は、前記印刷装置は、前記印刷ヘッドを第1の方向に往復移動させつつ前記印刷材を噴射させて、前記第1の方向に沿った直線上にドットを形成して前記印刷対象の画像を印刷し、前記印刷制御装置は、更に、前記印刷装置に、前記エッジ領域を含む直線の印刷時には、前記第1の方向の往方向への前記印刷ヘッドの移動時および前記第1の方向の復方向への前記印刷ヘッドの移動時に前記同一のノズルから前記印刷材を噴射させ、前記エッジ領域以外の画素の印刷時には、前記第1の方向の往方向および前記第1の方向の復方向のいずれか一方の方向への移動時に前記2以上のノズルから前記印刷材を噴射させる印刷データを生成する印刷データ生成手段を備える。適用例3の印刷制御装置によれば、エッジ領域は前記印刷ヘッドの往運動時および復運動時の双方の運動時に、言い換えれば双方向印刷によって印刷され、エッジ領域以外の領域は前記印刷ヘッドの往方向への移動時および復方向への移動時のいずれか一方の方向への移動時に、言い換えれば単方向印刷によって印刷される。従って、エッジ領域の画質を向上できるとともに、印刷速度を高速化できる。
【0012】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3いずれかの印刷制御装置であって、前記印刷装置は、複数のサイズのドットを利用して前記印刷対象の画像を印刷し、前記印刷制御装置は、更に、前記エッジ領域に含まれる画素に対して、前記複数のサイズのドットのうちの最大サイズでないサイズのドットが形成されるように、前記エッジ領域に含まれる画素へのドットの割り当てを行うドット割り当て手段を備える。適用例4の印刷制御装置によれば、エッジ領域が、1つ同一のノズルで、かつ、最大サイズでない、換言すれば比較的小さいサイズのドットで構成される。従って、エッジのがたつきを低減できるとともに、エッジ領域のにじみを低減できる。よって、印刷された画像の品質を向上できる。
【0013】
[適用例5]
適用例4の印刷制御装置であって、前記画像は、前記複数の色成分によって表され、前記印刷ヘッドは、前記複数の色成分の色成分毎に前記ノズル列を有し、前記検出手段は、前記色成分毎に、前記エッジ領域の検出を行い、前記ノズル割り当て手段は、前記複数の色成分のうち、前記エッジ領域に含まれる画素の濃度値が予め規定された濃度である色成分について、前記エッジ領域に含まれる画素に前記同一のノズルを割り当て、前記エッジ領域以外の画素に前記2以上のノズルを割り当てる。一般的に、画素の濃度が予め規定された最大濃度である場合には、比較的大きいサイズのドットが形成されたり、濃度の濃い印刷材によってドットが形成されたりするため、その画素に形成されるドットはにじみやすい。従って、適用例5の印刷制御装置によれば、エッジ領域に最大濃度の画素が含まれる色成分について、エッジ領域を同一のノズルで印刷するよう、ノズルの割り当てが行われる。よって、エッジ領域のにじみを低減できる。
【0014】
本発明において、上述した種々の態様は、適宜、組み合わせたり、一部を省略したりして適用することができる。例えば、上記印刷制御装置が組み込まれた印刷装置、印刷制御方法、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
A.第1実施例
A1.印刷システム構成:
図1は、本発明の第1実施例における印刷システムの構成を示すブロック図である。この印刷システムは、コンピュータ90と、カラープリンタ20と、を備えている。なお、プリンタ20は、特許請求の範囲における「印刷装置」に当たり、プリンタドライバは、特許請求の範囲の「印刷制御装置」に当たる。
【0016】
コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム93が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ91やプリンタドライバ94が組み込まれており、アプリケーションプログラム93からは、これらのドライバを介して、プリンタ20に転送するための印刷データPDが出力されることになる。画像のレタッチなどを行うアプリケーションプログラム93は、処理対象の画像に対して所望の処理を行い、また、ビデオドライバ91を介してCRT21に画像を表示している。
【0017】
アプリケーションプログラム93が印刷命令を発すると、コンピュータ90のプリンタドライバ94が、画像データをアプリケーションプログラム93から受け取り、これをプリンタ20に供給する印刷データPDに変換する。図4に示した例では、プリンタドライバ94の内部には、解像度変換モジュール95と、色変換モジュール96と、エッジ判定モジュール97と、ノズル割り当てモジュール98と、ハーフトーンモジュール99と、印刷データ生成モジュール100と、色変換ルックアップテーブルLUTと、が備えられている。エッジ判定モジュール97は特許請求の範囲における「検出手段」に相当し、ノズル割り当てモジュール98は、特許請求の範囲における「ノズル割り当て手段」に当たる。
【0018】
解像度変換モジュール95は、アプリケーションプログラム93から出力された画像の解像度をプリンタ20の印刷解像度に一致するように変換する解像度変換処理を行う。
【0019】
色変換モジュール96は、RGB表色系で表された印刷対象の画像(RGB画像)を、印刷装置が印刷可能なCMYK表色系で表された中間画像に変換する色変換処理を行う。具体的には、色変換モジュール96は、画像を構成する全画素のそれぞれについて、RGB値で表された画素値をCMYK値に変換する。なお、第1実施例において、「RGB表色系で表された画像を、CMYK表色系で表された中間画像に変換する」とは、RGB値で表された画像の各画素値をCMYK値に変換し、変換後のCMYK値が、色成分毎に分割されて保存された中間画像を生成することを意味する。CMYK値は、C,M,Y,Kの各色の濃度をパーセンテージで表した値である。第1実施例では、色変換モジュール96は、4つの色成分の各々について中間画像を生成する。
【0020】
エッジ判定モジュール97は、CMYK表色系で表された中間画像を構成する各画素(以降、第1実施例では中間画素と呼ぶ)について、エッジ領域画素であるか否かを判定する。「エッジ」とは、画像内に生じる明るい部分と暗い部分の境界、すなわち、CMYK値が急激に変化する部分の境界のことを表す。例えば、CMYK値が、0%から100%に変化する境界部分がエッジに当たる。本明細書では、エッジのよりCMYK値の高い側に隣接し(すなわちエッジから1中間画素分の幅の位置に存在し)、かつ、最大濃度の中間画素を「エッジ画素」と呼ぶ。なお、以降では、実施例において、1画素分の幅を距離1と表す。
【0021】
すなわち、エッジ判定モジュール97は、中間画素について、エッジ画素であるか否かを判定する。「エッジ画素」は、当該中間画素の上、下、左、右の方向に隣接する4つの隣接中間画素のうちの少なくとも一つが最小濃度である中間画素である。
【0022】
ノズル割り当てモジュール98は、印刷ヘッドに設けられている複数のノズルのうち、各中間画素をいずれのノズルによって印刷媒体上に形成するかを規定する、ノズル割り当てを行う。具体的には、ノズル割り当てモジュール98は、少なくともエッジ領域に含まれる中間画素を、複数のノズルのうち1つの同一のノズルを用いて形成するとともに、エッジ領域以外の領域を構成する中間画素を、複数のノズルのうち異なる2以上のノズルを用いて形成するようにノズルの割り当てを行う。以降、実施例では、複数のノズルのうち1つの同一のノズルを「単一ノズル」とも呼ぶ。
【0023】
ハーフトーンモジュール99は、少なくともエッジ領域以外の中間画素に対して、画素値に基づきハーフトーン処理を行い、通常処理画素に対応した印刷画素におけるドットの形成状態を決定し、図示しない出力バッファに記録する。本実施例では、ハーフトーンモジュール99は、印刷媒体の単位面積当たりの総インク量に制限を設けつつ、ディザマトリクスによる閾値処理によってハーフトーン処理を行う。なお、本実施例で用いられるプリンタ20は、小さいサイズの小ドット(以下「Sドット」とも呼ぶ)と中程度のサイズの中ドット(以下「Mドット」とも呼ぶ)と大きいサイズの大ドット(以下「Lドット」とも呼ぶ)との3種類のサイズのドットを形成可能なプリンタである。そのため、印刷画素におけるドットの形成状態としては、各インク色について、ドットを形成しない、Sドットを形成する、Mドットを形成する、Lドットを形成する、の計4つの選択肢が存在することとなる。
【0024】
印刷データ生成モジュール100は、出力バッファに記録された各印刷画素におけるドットの形成状態に基づき、印刷される画像を構成する画素におけるドットの形成状態を表すドットデータを生成すると共に、ドットデータをプリンタ20に転送すべき順序に並び替える。
【0025】
なお、プリンタドライバ94は、印刷データPDを生成する機能を実現するためのプログラムに相当する。プリンタドライバ94の機能を実現するためのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0026】
図2は、第1実施例におけるプリンタ20の概略構成図である。プリンタ20は、紙送りモータ22によって印刷用紙Pを副走査方向に搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ30をプラテン26の軸方向(主走査方向)に往復動させる主走査送り機構と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッドユニット60を駆動してインクの噴射およびドット形成を制御するヘッド駆動機構と、これらの紙送りモータ22,キャリッジモータ24,印刷ヘッドユニット60および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。
【0027】
印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ22の回転をプラテン26と印刷用紙搬送ローラ(図示せず)とに伝達するギヤトレインを備える(図示省略)。また、キャリッジ30を往復動させる主走査送り機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ30の原点位置を検出する位置センサ39とを備えている。
【0028】
図3は、第1実施例における制御回路40を中心としたプリンタ20の構成を示すブロック図である。制御回路40は、CPU41と、プログラマブルROM(PROM)43と、RAM44と、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG)45とを備えた算術論理演算回路として構成されている。この制御回路40は、さらに、外部のモータ等とのインタフェースを専用に行なうI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを噴射させるヘッド駆動回路52と、紙送りモータ22およびキャリッジモータ24を駆動するモータ駆動回路54と、を備えている。I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ90から供給される印刷データPDを受け取ることができる。プリンタ20は、この印刷データPDに従って印刷を実行する。なお、RAM44は、ラスタデータを一時的に格納するためのバッファメモリとして機能する。
【0029】
印刷ヘッドユニット60は、印刷ヘッド28を有しており、また、インクカートリッジを搭載可能である。なお、印刷ヘッドユニット60は、1つの部品としてプリンタ20に着脱される。すなわち、印刷ヘッド28を交換しようとする際には、印刷ヘッドユニット60を交換することになる。
【0030】
図4は、第1実施例における印刷ヘッド28の下面におけるノズル配列を示す説明図である。印刷ヘッド28の下面には、図面右側から順に、ブラックインクを噴射するためのノズル列Kと、シアンインクを噴射するためのノズル列Cと、マゼンタインクを噴射するためのノズル列Mと、イエローインクを噴射するためのノズル列Yとが形成されている。
【0031】
各ノズル群の複数のノズルは、副走査方向SSに沿って一定のノズルピッチk・Dでそれぞれ整列している。ここで、kは整数であり、Dは副走査方向における印刷解像度に相当するピッチ(「ドットピッチ」と呼ぶ)である。本明細書では、「ノズルピッチはkドットである」とも言う。このときの単位[ドット]は、印刷解像度のドットピッチを意味している。搬送量に関しても同様に、[ドット]の単位を用いる。なお、第1実施例では、各ノズル列に設けられているノズルは1インチ当たり180個であり、ドットピッチは1インチ当たり720ドットである。従って、ノズルピッチは4ドット(k=4)である。すなわち、第1実施例では、複数のノズルは、副走査方向に4ドットの間隔で設けられている。
【0032】
各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を噴射させるための駆動素子としてのピエゾ素子(図示せず)が設けられている。印刷時には、印刷ヘッド28が主走査方向MSに移動しつつ、各ノズルからインク滴が噴射される。第1実施例のプリンタ20は、単方向印刷を行うプリンタである。すなわち、印刷ヘッド28は、往方向への移動時、および、復方向への移動時のいずれか一方(第1実施例では、往方向への移動時)の主走査に伴ってドットを形成する。
【0033】
なお、各ノズル群の複数のノズルは、副走査方向に沿って一直線上に配列されている必要はなく、例えば千鳥状に配列されていてもよい。なお、ノズルが千鳥状に配列されている場合にも、副走査方向に測ったノズルピッチk・Dは、図4の場合と同様に定義することができる。
【0034】
以上説明したハードウェア構成を有するカラープリンタ20は、紙送りモータ22により印刷用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ30をキャリッジモータ24により往復動させ、同時に印刷ヘッド28のピエゾ素子を駆動して、各色インク滴の噴射を行い、インクドットを形成して印刷用紙P上に多色多階調の画像を形成する。
【0035】
A2.オーバラップ記録方式:
図5は、第1実施例におけるオーバラップ記録方式適用時の印刷方式について説明する説明図である。オーバラップ(OverLap)記録方式とは、所定のラスタライン上のドットを、副走査方向に位置が異なる2以上のノズルを用いて形成する記録方式である。オーバラップ記録方式には、全てのラスタラインをオーラバラップ方式で記録するフルオーバラップ方式と、一部のラスタラインのみをオーバラップ方式で記録する部分オーバラップ方式とがある。第1実施例では基本的にフルオーバラップ記録方式を用いている。
【0036】
図5には、8個のノズルを用いた場合の副走査送りの一例とともに、オーバラップ記録方式のパラメータを示している。図5において、矩形枠に囲まれた数字を含む実線の丸は、各パスにおける8個のノズルの副走査方向の位置を示している。ここで、「パス」とは1回分の主走査(印刷ヘッドの往方向への移動もしくは復方向への移動)を意味している。「搬送量」とは、印刷用紙を副走査方向に搬送する副走査の1回の量である。搬送量はドット数により表される。丸の中の数字1〜8は、ノズル番号を意味している。8個のノズルの位置は、1回の主走査が終了する度に副走査方向に送られる。但し、実際には、副走査方向の送りは紙送りモータ22(図2)によって用紙を移動させることによって実現されている。「走査方向」とは、主走査方向に対する印刷ヘッド28の移動方向を表しており、右向き矢印は往方向への走査を表しており、左向き矢印は復方向の動作を表している。「水平送り量」とは、ノズルからのドットの噴射タイミングを表しており、1ドット形成後、次のドットを形成するまでの移動画素幅を表している。すなわち、水平送り量が「2」とは、2画素幅分移動して次のドットを形成することを意味しており、1画素おきにドットが形成される。
【0037】
図5に示すように、この例では基本的には、「1,5,7,5」のように異なる値が組み合わされた「変則送り」を利用している。従って、副走査送りが行われる度に、8個のノズルの位置が各搬送量のドット分ずつ副走査方向にずれてゆく。例えば、2パス目を終えると、5ドット分搬送され、ノズル位置が5ドット分副走査方向にずれる。各ノズルは、1回の主走査中にそれぞれのラスタライン上のドット位置(「画素位置」とも呼ぶ)を間欠的に記録対象としている。「間欠的」とは、第1実施例では、「水平送り量」が2であるので、1ドットおきであることを示している。「間欠的」と言う場合のドット間隔は任意に設定可能であり、また、等間隔でなくてもよい。
【0038】
図5のノズル割り当てテーブル350には、各ラスタライン上のドットを記録するノズルの番号が示されている。ノズル割り当てテーブル350は、印刷用紙P上に印刷される印刷画像の各画素に対応しており、ノズル割り当てテーブル350の画素位置番号は印刷画像における主走査方向の各画素の位置を表している。ラスタ番号は、副走査方向の各ラスタの位置を表している。以降、各ラスタラインを、番号により表す。例えば、ラスタ番号が52番のラスタラインを52番ラスタと表す。また、例えば、画素位置番号が3番の画素を第3画素と表す。ノズル割り当てテーブル350において、一つの矩形は1ドット(1画素)に対応しており、図示しない印刷画像は、主走査方向に6ドットの幅を有している。ノズル割り当てテーブル350の各数字は、印刷ヘッド28の往方向への移動時に、対応するドットを形成するように割り当てられているノズルの番号を表している。
【0039】
ラスタラインの形成について、52番ラスタを例に説明する。図5に示すように、ラスタ番号52番のラスタの第1画素位置、第3画素位置、第5画素位置には6番のノズルが割り当てられ、第2画素位置、第4画素位置、第6画素位置には4番のノズルが割り当てられている。3パス目で6番ノズルにより52番ラスタの第1画素位置、第3画素位置、第5画素位置にドットが形成され、3パス目が終了すると1ドット分印刷用紙Pが副走査方向SSに搬送される。4パス目では52番ラスタにはノズルが割り当てられていないので、52番ラスタにはドットは形成されない。4パス目が終了すると印刷用紙Pが7ドット分、副走査方向SSに搬送されて、5パス目が開始する。5パス目で4番ノズルにより52番ラスタの第2画素位置、第4画素位置、第6画素位置にドットが形成される。実際には、ハーフトーン処理によって設定されているドットのサイズや形成の有無に従ってドットが形成される。このように、複数のノズルを用いて1ラスタラインが形成されている。こうすることにより、バンディングと呼ばれる濃度むらが低減された画像を印刷できる。
【0040】
A3.印刷処理:
A3−1.印刷処理の全体構成:
図6ないし図11を用いて、第1実施例における印刷処理を説明する。図6は、第1実施例における印刷処理の全体的な流れを示すフローチャートである。印刷処理は、コンピュータ90に内蔵されたCPUが各機能ブロックを制御して行う。以下では、説明の便宜上、コンピュータ90が印刷処理を行うものとして説明する。
【0041】
図6に示すように、処理が開始されると、コンピュータ90は、印刷対象の画像を読み込み(ステップS10)、プリンタ20の解像度に合うように解像度変換を行う(ステップS12)。次に、コンピュータ90は、解像度変換処理後の画像に色変換処理を施して中間画像を生成する(ステップS14)。第1実施例では、印刷対象の画像はRGB表色系で表されており、コンピュータ90は、RGB表色系で現れている画像を、プリンタ20が印刷可能なCMYK表色系で表された画像(中間画像)に変換する。
【0042】
図7は、第1実施例における色変換処理について模式的に示す説明図である。図7では、説明を簡易にするために、RGB表色系で表現された原画像の一部を抜き出した画像GDを用いて説明する。画像GDは、10行6列の画素(合計60画素)から構成されている。この画像GDを中間画像に変換する処理について説明する。なお、図7において、画像GDの各画素を、Pijと表し、中間画像MD1を構成する各中間画素をQijと表す。ここで、iは行番号を表しており、jは列番号を表す。例えば、画像GDにおいて、ハッチングされている画素の一つの2行4列に位置する画素は、P24と表される。また、画像GDにおける各画素のR、G、Bの階調値は、RGB(Rの階調値、Gの階調値、Bの階調値)と表される。例えば、P24=RGB(182,0,129)と表される。
【0043】
色変換モジュール96は、画像GDに色変換処理を施し、画像GDの各画素のRGB値を、CMYK値に変換し、C,M,Y,Kの色成分毎に、各色成分の値(CMYK値)のみを抽出した中間画像を生成する。図7において、中間画像MD1は、全中間画素について、シアン(C)の値のみを抽出した画像であり、中間画像MD2は、全中間画素について、マゼンタ(M)の値のみを抽出した画像であり、中間画像MD3は、全中間画素について、イエロー(Y)の値のみを抽出した画像であり、中間画像MD4は、全中間画素について、ブラック(K)の値のみを抽出した画像である。CMYKの各値は、各色成分の濃度を表している。図7において、シアンの中間画素を表す場合にはQCij、マゼンタの中間画素を表す場合にはQMij、イエローの中間画素を表す場合にはQYij、ブラックの中間画素を表す場合にはQKijと表す。
【0044】
CMYK値をCMYK(Cの値、Mの値、Yの値、Kの値)と表すと、画素P24=RGB(182,0,129)は、中間画素(QC24、QM24、QY24、QK24)=CMYK(30,100,0,0)に色変換される。すなわち、画素P24をCMYK表色系で表す場合、30%の濃度のシアンと、100%の濃度のマゼンタとを混色させることにより表現できる。第1実施例において、各色成分に対して予め規定された最大濃度は100%、最小濃度は0%である。なお、各色成分の最大濃度、最小濃度は、例えば、最大濃度98%、最小濃度5%といったように任意に設定できる。
【0045】
色変換処理を終了すると、コンピュータ90は、各色成分の中間画像について、画像領域分離処理を行う(ステップS16)。
【0046】
図8は、第1実施例における画像領域分離処理を示すフローチャートである。画像領域分離処理とは、エッジ領域に含まれる画素を、印刷ヘッド28に設けられている複数のノズルのうち単一ノズルを用いて形成するとともに、エッジ領域以外の領域を構成する画素を、複数のノズルのうち異なる2以上のノズルを用いて形成するように設定する処理である。以下では、図7において説明した中間画像MD2(マゼンタ色の中間画像)を例に説明する。
【0047】
コンピュータ90は、中間画像MD2について、注目画素を設定するとともに(ステップS30),注目画素およびその周辺の中間画素に関する情報を取得する(ステップS32)。注目画素は、例えば、QM11を初期値とし、QM11→QM12…→QM21→QM22…→QM55…といったように、1中間画素ずつ右にずらして設定するようにしてもよい。また、注目画素および周辺の中間画素に関する情報とは、注目画素および注目画素の上下に位置する中間画素のマゼンタ値を含む。例えば、図7の中間画像MD2において、注目画素がQM22である場合、周辺画素はQM22の上に位置するQM12とQM22の下に位置するQM32である。QM22のマゼンタ値は100%であり、周辺画素QM12のマゼンタ値は0%、周辺画素QM32のマゼンタ値は100%である。
【0048】
次に、コンピュータ90は、注目画素がエッジ画素であるかを判断する(ステップS34)。具体的には、コンピュータ90は、注目画素の濃度が最大濃度であり、かつ、注目画素の上下に位置する中間画素の濃度との差分が所定値より大きい場合に、注目画素がエッジ画素であると判断する。このように、第1実施例では、コンピュータ90は、副走査方向SSに対して変化するCMYK値(階調値)に基づいて、主走査方向に沿ったエッジ画素(垂直エッジ画素)の検出を行っている。例えば、注目画素QM22のマゼンタ値は100%であり、注目画素QM22の副走査方向SSに隣接する周辺画素QM12のマゼンタ値は0%である。注目画素QM22は最大濃度であり、かつ、周辺画素QM12と注目画素QM22との差分が所定値(例えば50)よりも大きく変化しているので、注目画素QM22は垂直エッジ画素と判断される。この所定値は任意に設定できる。
【0049】
コンピュータ90は、注目画素がエッジ画素である場合(ステップS34:YES)、その注目画素を単一ノズル印刷画素として設定する(ステップS36)。単一ノズル印刷画素とは、同一のノズル列のうちの1の同一ノズル(単一ノズル)によって形成される画素を表す。コンピュータ90は、注目画素がエッジ画素でない場合(ステップS34:NO)、その注目画素を通常印刷画素として設定する(ステップS38)。通常印刷画素とは、エッジ画素以外の画素であり、同一ノズル列のうちの、予めラスタラインに割り当てられている異なる2つ以上のノズルのいずれかによって形成される画素である。
【0050】
図9は、第1実施例における画像領域分離処理の結果を例示する説明図である。図9の領域分離テーブル400の各要素は、中間画像MD2の各中間画素に対応している。領域分離テーブル400において、斜線で示す要素は、対応する中間画素が単一ノズル印刷画素として設定されたことを示しており、空白で示す要素は、対応する中間画素が通常印刷画素として設定されたことを示している。例えば、エッジ部分である中間画素QM21,QM22…QM26およびQM91,QM92…QM96は、単一ノズル印刷画素として設定され、他の中間画素は通常印刷画素として設定される。
【0051】
コンピュータ90は、未処理の中間画素がないか、すなわち、全ての中間画素について単一ノズル印刷画素もしくは通常印刷画素の設定を行ったかを判断する(ステップS40)。コンピュータ90は、未処理画素がある場合(ステップS40:NO)には、注目画素を設定し直してステップS30から処理を継続し、未処理画素がない場合(ステップS40:YES)には、処理を終了して図6のステップS18に進む。ステップS18では、コンピュータ90は、中間画像の全中間画素に対してハーフトーン処理を施して、ドットの形成状態を決定する。第1実施例のハーフトーン処理では、全中間画素に対して、ディザマトリックスを用いてドットサイズ、ドットの形成状態を決定する。
【0052】
図6に示すように、コンピュータ90は、ハーフトーン処理を終えると、領域分離処理の結果およびハーフトーン処理の結果を用いて、プリンタ20に印刷を実行させるための印刷データを生成する印刷データ生成処理を実行する(ステップS20)。
【0053】
図10は、第1実施例における印刷データ生成処理を説明するフローチャートである。コンピュータ90は、注目画素位置を初期化し(ステップS50)、中間画像MD2において注目画素を設定する(ステップS52)。注目画素位置の初期化とは、注目画素が設定されていない状態にすることを示す。注目画素は、例えば、ステップS30と同様に、QM11を初期値とし、QM11→QM12→QM16→QM21→QM22→…QM106といったように、1画素ずつ右にずらし、右端に来たら1行下の左端に移動するように設定してもよい。
【0054】
コンピュータ90は、領域分離テーブル400を参照して(ステップS54)、注目画素が単一ノズル印刷画素であるかを判断する(ステップS56)。コンピュータ90は、注目画素が単一ノズル印刷画素である場合には(ステップS56:YES)、注目画素が含まれるライン位置に対応して予め定められている複数のノズルのうち1つのノズルを、注目画素に割り当てる(ステップS58)。コンピュータ90は、注目画素が単一ノズル印刷画素でない(通常印刷画素である)場合には(ステップS56:NO)、注目画素が含まれるライン位置に対応して定められている複数のノズルに、注目画素の情報を割り当てる(ステップS60)。
【0055】
図11は、第1実施例におけるノズルの割り当てについて説明する説明図である。例えば、中間画像MD2の中間画素QM21、QM22が、52番ラスタの第1画素位置、第2画素位置に対応する場合、中間画素QM21、QM22はステップS34,S36の処理により「単一ノズル印刷画素」として設定される。ノズル割り当てテーブル350に示すように、52番ラスタの第1画素位置には、通常のオーバラップ記録方式では6番ノズルが割り当てら、第2画素位置には4番ノズルが割り当てられているが、中間画素QM21、QM22は、「単一ノズル印刷画素」として設定されているので、コンピュータ90は、中間画素QM21、QM22を6番ノズル、4番ノズルのうち、いずれか一方のノズルで印刷するように、中間画素QM21、QM22にいずれか一方のノズルを割り当てる。第1実施例では、図11のノズル割り当てテーブル450に示すように、先行して52番ラスタ上を走査しドットを形成する6番ノズルを中間画素QM21、QM22に割り当てる。
【0056】
また、例えば、ノズル割り当てテーブル450に示すように、53番ラスタにおいて、第1画素位置、第3画素位置、第5画素位置には6番ノズルが割り当てられているので、中間画素QM31、QM33,QM35には、6番ノズルが割り当てられる。また、53番ラスタにおいて、第2画素位置、第4画素位置、第6画素位置には4番ノズルが割り当てられているので、中間画素QM32、QM34,QM36には、4番ノズルが割り当てられる。以上のように、各中間画素にノズルが割り当てられる。
【0057】
コンピュータ90は、注目画素にノズルを割り当てると、バンド内画素の処理を終了したかを判断する(ステップS62)。第1実施例では、印刷処理をバンド(中間画像を複数の帯状領域に分割した分割画像)単位で実行する。コンピュータ90は、バンド内の各画素に対応した印刷画素におけるドット形成状態が記録可能な容量を有するバッファを有している。
【0058】
コンピュータ90は、バンド内画素の処理を終えると(ステップS62:YES)、ハーフトーン処理の結果およびノズル割り当ての結果に基づいて、プリンタ20に印刷を実行させるための印刷コマンドを含む印刷データPDを生成する(ステップS64)。
【0059】
コンピュータ90は、全ラインについて処理を終了したかを判断し(ステップS68)、全ラインについて処理を終了している場合には(ステップS68:YES)、印刷データ生成処理を終了し、生成した印刷データPDをプリンタ20に送信する(ステップS22:図6)。コンピュータ90は、全ラインについて処理を終了していない場合には(ステップS68:NO)、ステップS52から処理を繰り返す。
【0060】
A3−2.ドットの形成状態:
印刷データPDには、各中間画素に割り当てられているノズルからのドットの噴射の有無、ドットサイズ、印刷用紙Pの搬送量等が含まれている。第1実施例では、コンピュータ90は、同一ラスタライン上のエッジ画素を、単一のノズルで印刷するようにノズルの割り当てを行うが、図5に示すように、水平送り量が「2」で一定であるので、1回の走査ではドットが1画素おきに間欠的に形成され、エッジ領域の印刷が終了できない。そこで、第1実施例では、エッジ画素を印刷する場合、パスを追加して、再度、同じラスタラインを走査し、エッジ領域の印刷を完了させるように印刷データPDを生成する。具体的には、(1)エッジ画素が含まれるラスタラインの1回目の走査後の、印刷用紙Pの搬送量を「0」に設定し、(2)単一ノズル印刷画素に割り当てられたノズル以外のノズルからの印刷材の噴射を禁止して、再度、同じラスタラインを走査してエッジ画素にドットを形成する、ように印刷データPDを生成して、単一ノズルを用いたエッジ領域の印刷を実現している。
【0061】
以上のように生成された印刷データPDに従ってプリンタ20が行う印刷処理について、図12を参照して説明する。図12は、第1実施例におけるプリンタの印刷処理について説明する説明図である。図12において、搬送量や水平送り量等の印刷パラメータは図5と同じであり、各パラメータの値は、例えば印刷コマンドとして印刷データPDに含まれている。図12において、太実線枠で囲われたノズルは、単一ノズル印刷画素、言い換えればエッジ領域に含まれる画素(エッジ画素)の情報が割り当てられたノズルであり、細実線枠で囲われたノズルはエッジ画素以外の画素の情報が割り当てられたノズルを表している。また、破線の丸枠で番号を示すノズルは、ドットの噴射が禁止されているノズルを表している。
【0062】
例えば、3パス目では、52番ラスタの第1画素位置、第3画素位置、第5画素位置に6番ノズルを用いてドットが形成される。3パス目終了後の搬送量が「0」に設定されているので、3パス目終了後に印刷用紙Pが搬送されずに、4パス目が開始される。4パス目では、3パス目で52番ラスタにドットを形成した6番ノズル以外のノズルからの印刷材(ドットの形成)が禁止されているので、4パス目では、6番ノズルにより52番ラスタの第2画素位置、第4画素位置、第6画素位置にドットが形成される。このように、単一のノズル(6番ノズル)を用いて52番ラスタに含まれるエッジ領域を形成する。なお、52番ラスタに割り当てられているノズルのうち、4番ノズルには中間画素が割り当てられていないので、52番ラインのエッジ画素には、4番ノズルから印刷材は噴射されない。
【0063】
4パス目が終了すると、印刷用紙Pが副走査方向SSに1ドット分搬送され、5パス目を開始する。第1実施例における5パス目〜8パス目の処理は、図5において説明した通常時の4パス目〜7パス目の処理と同様の処理によって形成される。
【0064】
59番ラスタを形成するパスである9パス目、10パス目も3パス目、4パス目と同様に処理され、59番ラスタは、4番ノズルのみを用いて形成される。
【0065】
ドットパターン500は、第1実施例の印刷方法によって形成された、中間画像MD2のドットの形成状態を表している。塗りつぶしハッチングで表されているドットは、単一ノズルによって形成されたドットであり、斜線ハッチングで表されているドットは、各ラスタライン上のドットのうち、先に行われる走査で形成されるドットであり、ハッチングなしで表されているドットは、各ラスタライン上のドットのうち、後に行われる走査によって形成されるドットである。ドットパターン500に示すように、エッジ領域を構成する画素は、単一ノズルから噴射されるドットによって形成される。
【0066】
図13は、第1実施例によって印刷されたエッジと、従来の方法で印刷されたエッジとを比較する説明図である。図13(a)は、従来の方法で印刷された画像の一部を表しており、図13(b)は、第1実施例の方法によって印刷された画像の一部を表している。図13(a)および図13(b)において、白抜きの丸印は印刷用紙P上に形成されたドットを表しており、丸の中の数字はドットを形成したノズル番号を表している。また、図13(a)および図13(b)において、52番ラスタおよび59番ラスタがエッジを構成するラスタラインである。図13(a)に示すように、従来の方法では、6番ノズルと4番ノズルの2つのノズルによって52番ラスタが形成されるので、6番ノズルと4番ノズルの製造誤差により、着弾位置に誤差が生じる。そのため、図13(a)に示すように、エッジにがたつきが生じる。これに対して、第1実施例の方法では、52番ラスタ、59番ラスタは、1つの同一のノズル(単一ノズル)から噴射されたドットによって構成されているので、がたつきのない綺麗な直線となっており、エッジが高画質で再現されている。一方、53番ラスタ〜58番ラスタは、2つのノズルから噴射されたドットによって構成されているので、各ノズルの製造誤差などの要因によって、図13(b)に示すように上下左右にずれることがある。ただし、53番ラスタ〜58番ラスタは、エッジではないので、ドットの着弾位置にばらつきが生じていても印刷された画像にはがたつきとして現れない。
【0067】
以上説明した第1実施例の印刷システムによれば、画像のエッジ領域は1つの同一のノズル(単一ノズル)を用いて印刷が行われるように、かつ、エッジ領域以外の領域は、異なる2以上のノズルを用いて印刷が行われるようにノズルの割り当てが行われる。従って、エッジ領域は、単一ノズルから噴射された印刷材により形成されるドットで構成されるので、ノズルの製造誤差や紙送りの誤差によって生じるドットの着弾位置のずれを低減でき、エッジ領域以外の領域は2以上のノズルから噴射されたドットにより構成されるので、濃度むらを低減できる。従って、画像全体の濃度むらを低減しつつ、着弾位置のずれに起因して、印刷された画像に発生するエッジ領域のがたつきを低減できる。従って、画質を向上できる。
【0068】
第1実施例のディザマトリックスを用いたハーフトーン処理では、最大濃度の画素には比較的大きいサイズのドット(Lサイズのドット)が割り当てられるので、エッジ部分ではにじみが生じやすい。第1実施例の印刷システムによれば、C、M,Y,Kの4色の色成分のそれぞれについて中間画像を生成し、各色成分別にエッジ検出を行い、少なくともエッジ領域に最大濃度(100%)の画素が含まれる色成分について、同一ラスタライン上のエッジ画素を単一ノズルで印刷するよう、ノズルの割り当てが行われる。よって、エッジ領域のにじみを低減できる。
【0069】
第1実施例の印刷システムによれば、図12に示すように、エッジ領域を構成する画素を含むラインが2ライン(52番ラスタ、59番ラスタ)含まれる場合には、4パス目と9パス目の2パス分、同一の走査方向に追加の走査を行い、エッジ領域を含むラスタラインを単一のノズルを用いて形成する。こうすることにより、印刷時間の増大を比較的短時間としながら、エッジ領域のがたつきが低減された画像を印刷できる。
【0070】
一般的に、オーバラップ印刷方式で印刷を行う場合、主走査方向MSに沿った直線を構成するドットを形成するノズルは数個(第1実施例では2個)であるのに対して、副走査方向SSに沿った直線を形成するノズルは数百個である。そのため、第2の方向に沿ったエッジを単一ノズルで印刷するには、膨大な印刷時間がかかる。第1実施例の印刷システムによれば、副走査方向SSに沿ったC,M,Y,Kの階調値の変化に基づいて検出されるエッジに対してのみ、単一ノズルが割り当てられる。従って、通常のオーバラップ印刷方式を行う場合と、ほぼ同じ印刷時間で、エッジ領域のがたつきを低減可能な印刷を行うことができる。
【0071】
B.第2実施例:
第2実施例では、色変換処理前のRGB表色系で表された画像に対してエッジ検出を行う。第2実施例において、システム構成は、第1実施例において説明した図1〜図5と同様である。
【0072】
B1.印刷処理:
図14は、第2実施例における印刷処理の全体的な流れを示すフローチャートである。印刷処理は、コンピュータ90が各機能ブロックを制御して行う。ステップS100〜S102までは、第1実施例において説明したステップS10,S12(図6)と同様である。コンピュータ90は、RGB表色系で表された解像度変換処理後の画像に対して、画像領域分離処理を施し(ステップS104)、色変換処理を行う(ステップS106)。色変換処理は第1実施例において説明したステップS14(図6)と同様である。色変換処理以降のハーフトーン処理(ステップS108)、印刷データ生成処理(ステップS110)およびデータ出力(ステップS112)は、それぞれ、第1実施例において説明したステップS18、S20およびS22と同様である。
【0073】
なお、色変換処理前の画像に対してエッジ検出を行う場合、色変換処理によってブラック70%、シアン50%等の中間的な階調値で表されるエッジを精度良く検出するために、色変換後の階調値を算出するための逆色変換テーブルを準備することが好ましい。
【0074】
以上説明した第2実施例の印刷システムによれば、RGB表色系であらわされた画像に対してエッジ検出が行われる。従って、R,G,Bの3つについてエッジ検出を行うので、C,M,Y,Kの4つの中間画像のそれぞれに対してエッジ検出を行う場合に比して、処理負荷の軽減および処理時間の低減を図ることができる。
【0075】
C.第3実施例:
第3実施例では、エッジ領域を双方向印刷によって印刷する。第3実施例において、システム構成は、第1実施例において説明した図1〜図5と同様である。
【0076】
C1.印刷データ生成処理:
図15は、第3実施例における印刷データ生成処理を説明するフローチャートである。第3実施例の印刷データ生成処理は、第1実施例において説明した印刷データ生成処理と、ステップS50〜S62まで同一であるので、ステップS62以降の処理について以下に説明する。コンピュータ90は、バンド内画素の処理を終了したと判断すると(ステップS62:YES)、領域分離テーブル400を参照して、注目ラインが単一ノズル印刷画素を含むかを判断する(ステップS200)。注目ラインとは、例えば、バンド内においてラスタ番号が最小のラインから順に設定されるラインである。注目ラインの設定は任意に行ってもよい。コンピュータ90は、注目ラインが単一ノズル印刷画素を含むと判断すると(ステップS200:YES)、双方向印刷を行う印刷コマンドを生成し(ステップS202)、注目ラインが単一ノズル印刷画素を含まないと判断すると(ステップS200:NO)、単方向印刷のみの印刷コマンドを生成する(ステップS204)。
【0077】
コンピュータ90は、ステップS202,S204の後、バンド内の全てのラスタラインについて処理を終了したかを判断し(ステップS206)、バンド内の全てのラスタラインについて処理を終了した場合には(ステップS206:YES),中間画像の全てのラインについて処理を終了したかを判断する(ステップS208)。コンピュータ90は、中間画像の全てのラインについて処理を終了した場合には(ステップS208:YES)、印刷データ生成処理を終了し、ステップS22(図6)へ進む。コンピュータ90は、バンド内の全てのラスタラインについて処理を終了していない場合には(ステップS206:NO)、ステップS200から処理を繰り返す。
【0078】
第3実施例におけるノズルの割り当て、ドットの形成状態は、第1実施例において説明した図11,図12と同一であり、印刷データPDに含まれる搬送量や水平送り量も同一である。ただし、エッジ領域の印刷のために追加されたパス3,9については、第1実施例と印刷ヘッド28の走査方向が異なる。図12において、パス3,9の「走査方向」の矢印を、復方向を表す矢印(図面右から左に向かう矢印)に変更すれば、第3実施例の印刷処理を表す図となる。
【0079】
第1実施例では、図12に示すように、印刷ヘッド28が、全パスについて主走査方向MSの往方向(図面の左から右向き)に走査するとき、すなわち、印刷ヘッド28の往方向への移動時にドットが形成されるが、第3実施例では、追加されたパス3,9については、主走査方向MSの復方向(図面の右から左向き)に走査するとき、すなわち、印刷ヘッド28の復方向への移動時にドットが形成される。
【0080】
以上説明した第3実施例の印刷システムによれば、エッジ領域はヘッド28の双方向印刷によって印刷され、エッジ領域以外の領域は単方向印刷によって印刷される。従って、エッジ領域の画質を向上できるとともに、印刷速度を高速化できる。
【0081】
D.第4実施例:
第4実施例では、ハーフトーン処理において、エッジ画素に対して、比較的小さいサイズのドット(Sサイズのドット)が形成されるように、ドットの割り当てを行う。第3実施例において、システム構成は、第1実施例において説明した図1〜図5と同様である。
【0082】
D1.ハーフトーン処理:
図16は、第4実施例におけるハーフトーン処理について説明するフローチャートである。ハーフトーン処理は、第1実施例において説明したステップS18の処理に当たる。第1実施例では、ハーフトーン処理において、全中間画素についてディザマトリックスを用いたドットの割り当てを行っているが、第3実施例では、エッジ画素には画素値(CMYK値)に関わらずSサイズのドットを割り当て、エッジ画素以外の中間画素に対してのみディザマトリックスを用いたドットの割り当てを行う。
【0083】
コンピュータ90は、中間画像MD2において注目画素を設定し(ステップS300)、領域分離テーブル400を参照して(ステップS302)、注目画素が単一ノズル印刷画素であるかを判断する(ステップS304)。コンピュータ90は、注目画素が単一ノズル印刷画素である場合(ステップS304:YES)、注目画素にSサイズのドットを割り当てる(ステップS306)。コンピュータ90は、注目画素が単一ノズル印刷画素でない場合(ステップS304:NO)、ディザマトリックスを用いてドットサイズ、ドットの形成有無を決定し、ドットを割り当てる(ステップS308)。コンピュータ90は、全中間画素の処理を終えたかを判断し(ステップS310)、全中間画素の処理を終えた場合(ステップS310:YES)、ハーフトーン処理を終了する。コンピュータ90は、コンピュータ90は、全中間画素の処理を終えていない場合(ステップS310:NO)、ステップS300から処理をくり返す。
【0084】
図17は、第4実施例におけるドットの形成状態を例示する説明図である。図16において、ドット割り当てテーブル600は、ハーフトーン処理によって割り当てられたドットサイズをテーブルで示しており、ドットパターン700は、ノズル割り当てテーブル450と、テーブル600とに基づいて形成されるドットの形成状態を示している。ドット割り当てテーブル600において、空白はドットが形成されないことを示している。例えば、51番ラスタ、60番ラスタは、対応する中間画素のマゼンタ値が0%であり、ドットが形成されないため、ドット割り当てテーブル600、ドットパターン700において空白になっている。図17に示すように、ドット割り当てテーブル600では、単一ノズル印刷画素に設定された中間画素に対応する画素位置(52番ラスタ、59番ラスタの第1画素〜第6画素)に、Sサイズのドットが割り当てられており、ドットパターン700に示すように、52番ラスタ、59番ラスタの第1画素〜第6画素には、Sサイズのドットが形成される。53番ラスタ〜58番ラスタの各画素位置には、ドット割り当てテーブル600に示すように、ディザマトリックスを用いたハーフトーン処理によって各種サイズのドットが割り当てられている。
【0085】
以上説明した第4実施例の印刷システムによれば、エッジ領域が、単一ノズルで、かつ、比較的小さいSサイズのドットで構成される。従って、エッジのがたつきを低減できるとともに、エッジ領域のにじみを低減できる。よって、印刷された画像の品質を向上できる。
【0086】
E.変形例:
(1)第1実施例では、水平送り量を「2」で一定としているが、例えば、エッジ領域については、水平送り量を半分の「1」とし、ドットの噴射周期を半分の周期にして、エッジ画素にドットを形成してもよい。こうすれば、1回の走査でエッジを印刷できるので、印刷速度を低下させることなく、エッジのがたつきを低減できる。
【0087】
(2)第1実施例では、複数の色成分のうち、エッジ画素が最大濃度を有する色成分についてのみ、ノズルの割り当てを行っているが、例えば、最大濃度に限定せずに、エッジ画素を構成する色成分には、全て、ノズルの割り当てを行ってもよい。
【0088】
(3)第1実施例では、エッジ画素のみを、単一ノズルで印刷するように制御しているが、例えば、エッジ画素を含む1ラスタラインの全ての画素を、単一ノズルで印刷するように制御してもよい。
【0089】
(4)第1実施例では、4種類のインクのみを利用しているが、例えば、濃淡インクを利用する場合には、濃インクについてのみノズル割り当てを行ってもよい。こうすれば、にじみを低減でき、エッジを高画質で再現できる。
【0090】
(5)第1実施例では、ハーフトーン処理において、ディザ法を利用しているが、例えば、誤差拡散法など他の方法を用いてハーフトーン処理を行っても良い。
【0091】
(6)第1実施例では、キャリッジ30にインクカートリッジを搭載させた、いわゆるオンキャリッジについて説明しているが、本発明は、キャリッジ30にインクカートリッジを搭載させないオフキャリッジタイプのプリンタにも適用可能である。
【0092】
(7)第1実施例では、キャリッジ30に配置するノズル列の順番は、図4に示すように、K,C,Y,Mの順とされているが、これに限られることなく、ノズル列は任意の順序に配置可能である。
【0093】
(8)第1実施例では、ノズルの数を180個,ドットピッチを720としているが、これに限られない。例えば、ノズルの数を1インチ当たり360個、ドットピッチを1インチ当たり1080としてもよい。
【0094】
(9)C,M,Y,Kのいずれかの中間画像においてエッジ画素と判定された場合であって、そのエッジ画素の位置に対応する他の中間画像の画素についてドットを形成する場合には、エッジ画素と判定した場合の処理と同じ処理を行っても良い。こうすることにより、各色を重ねてエッジが形成される場合に、ある色の中間画像について、エッジ判定の閾値によってエッジ画素と判定されなくても、エッジにおけるドットのばらつきを低減できる。
【0095】
(10)本発明は、双方向印刷を基本として、エッジ画素については、1往復追加して印刷する構成としてもよい。
【0096】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第1実施例における印刷システムの構成を示すブロック図。
【図2】第1実施例におけるプリンタ20の概略構成図。
【図3】第1実施例における制御回路40を中心としたプリンタ20の構成を示すブロック図。
【図4】第1実施例における印刷ヘッド28の下面におけるノズル配列を示す説明図。
【図5】第1実施例におけるオーバラップ記録方式適用時のプリンタの印刷処理について説明する説明図。
【図6】第1実施例における印刷処理の全体的な流れを示すフローチャート。
【図7】第1実施例における色変換処理について模式的に示す説明図。
【図8】第1実施例における画像領域分離処理を示すフローチャート。
【図9】第1実施例における画像領域分離処理の結果を例示する説明図。
【図10】第1実施例における印刷データ生成処理を説明するフローチャート。
【図11】第1実施例におけるノズルの割り当てについて説明する説明図。
【図12】第1実施例におけるプリンタの印刷処理について説明する説明図。
【図13】第1実施例におけるドットの形成状態について説明する説明図。
【図14】第2実施例における印刷処理の全体的な流れを示すフローチャート。
【図15】第3実施例における印刷データ生成処理を説明するフローチャート。
【図16】第4実施例におけるハーフトーン処理について説明するフローチャート。
【図17】第4実施例におけるドットの形成状態を例示する説明図。
【符号の説明】
【0098】
20…プリンタ
22…モータ
24…キャリッジモータ
26…プラテン
28…印刷ヘッド
30…キャリッジ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置センサ
40…制御回路
41…CPU
52…ヘッド駆動回路
54…モータ駆動回路
56…コネクタ
60…印刷ヘッドユニット
90…コンピュータ
91…ビデオドライバ
93…アプリケーションプログラム
94…プリンタドライバ
95…解像度変換モジュール
96…色変換モジュール
97…エッジ判定モジュール
98…ノズル割り当てモジュール
99…ハーフトーンモジュール
100…印刷データ生成モジュール
400…領域分離テーブル
450…ノズル割り当てテーブル
500…ドットパターン
600…ドット割り当てテーブル
700…ドットパターン
P…印刷用紙
LUT…色変換ルックアップテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷材を噴射する複数のノズルから構成されるノズル列を有し、前記ノズルから前記印刷材を噴射する印刷ヘッドを備える印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
印刷対象の画像のエッジ領域を検出する検出手段と、
前記エッジ領域に含まれる画素を、前記ノズル列に含まれる複数のノズルのうち同一のノズルを用いて形成するとともに、前記エッジ領域以外の画素を、前記ノズル列に含まれる複数のノズルのうち2以上のノズルを用いて形成するように前記ノズルの割り当てを行うノズル割り当て手段と、
を備える印刷制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷制御装置であって、
前記印刷装置は、前記印刷ヘッドを第1の方向に移動させつつ前記印刷材を噴射させて、前記第1の方向に沿った直線上にドットを形成して前記印刷対象の画像を印刷し、
前記検出手段は、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿って変化する濃度値に基づいて、前記エッジ検出を行う、
印刷制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷制御装置であって、
前記印刷装置は、前記印刷ヘッドを第1の方向に往復移動させつつ前記印刷材を噴射させて、前記第1の方向に沿った直線上にドットを形成して前記印刷対象の画像を印刷し、
前記印刷制御装置は、更に、
前記印刷装置に、前記エッジ領域を含む直線の印刷時には、前記第1の方向の往方向への前記印刷ヘッドの移動時および前記第1の方向の復方向への前記印刷ヘッドの移動時に前記同一のノズルから前記印刷材を噴射させ、前記エッジ領域以外の画素の印刷時には、前記第1の方向の往方向および前記第1の方向の復方向のいずれか一方の方向への移動時に前記2以上のノズルから前記印刷材を噴射させる印刷データを生成する印刷データ生成手段を備える、
印刷制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか記載の印刷制御装置であって、
前記印刷装置は、複数のサイズのドットを利用して前記印刷対象の画像を印刷し、
前記印刷制御装置は、更に、
前記エッジ領域に含まれる画素に対して、前記複数のサイズのドットのうちの最大サイズでないサイズのドットが形成されるように、前記エッジ領域に含まれる画素へのドットの割り当てを行うドット割り当て手段を備える、
印刷制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の印刷制御装置であって、
前記画像は、前記複数の色成分によって表され、
前記印刷ヘッドは、前記複数の色成分の色成分毎に前記ノズル列を有し、
前記検出手段は、前記色成分毎に、前記エッジ領域の検出を行い、
前記ノズル割り当て手段は、前記複数の色成分のうち、前記エッジ領域に含まれる画素の濃度値が予め規定された濃度である色成分について、前記エッジ領域に含まれる画素に前記同一のノズルを割り当て、前記エッジ領域以外の画素に前記2以上のノズルを割り当てる、
印刷制御装置。
【請求項6】
印刷装置であって、
印刷材を噴射して印刷媒体上にドットを形成する印刷ヘッドと、
前記印刷媒体を搬送方向に搬送する搬送手段と、
印刷対象の画像のエッジ領域を検出する検出手段と、
前記エッジ領域に含まれる画素を、前記ノズル列に含まれる複数のノズルのうち同一のノズルを用いて形成するとともに、前記エッジ領域以外の画素を、前記ノズル列に含まれる複数のノズルのうち2以上のノズルを用いて形成するように前記ノズルの割り当てを行う割り当て手段と、
前記ノズルの割り当てに従って、前記印刷装置に、前記複数のノズルから印刷媒体に印刷材を噴射させて前記画像を印刷させる印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
前記印刷データに基づいて、前記各画素に割り当てられたノズルから前記印刷材を噴射させてドットを形成し、前記印刷対象の画像の印刷を行う印刷手段と、
を備える印刷装置。
【請求項7】
印刷材を噴射する複数のノズルから構成されるノズル列を有し前記ノズルから前記印刷材を噴射する印刷ヘッドを備える印刷装置を制御する印刷制御方法であって、
印刷対象の画像のエッジ領域を検出し、
前記エッジ領域に含まれる画素を、前記ノズル列に含まれる複数のノズルのうち同一のノズルを用いて形成するとともに、前記エッジ領域以外の画素を、前記ノズル列に含まれる複数のノズルのうち2以上のノズルを用いて形成するように前記ノズルの割り当てを行う、
印刷制御方法。
【請求項8】
印刷材を噴射する複数のノズルから構成されるノズル列を有し前記ノズルから前記印刷材を噴射する印刷ヘッドを備える印刷装置を制御するコンピュータプログラムであって、
印刷対象の画像のエッジ領域を検出する機能と、
前記エッジ領域に含まれる画素を、前記ノズル列に含まれる複数のノズルのうち同一のノズルを用いて形成するとともに、前記エッジ領域以外の画素を、前記ノズル列に含まれる複数のノズルのうち2以上のノズルを用いて形成するように前記ノズルの割り当てを行う機能と、
をコンピュータに実現させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−146071(P2010−146071A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319596(P2008−319596)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】