説明

印刷制御装置及び印刷制御方法

【課題】 ユーザが印刷制御装置に接近したら暗号化された印刷データの複合化処理を開始することで印刷スピードの低下を防ぐ。
【解決手段】 パソコン212からユーザIDとパスワードが付加された暗号化印刷データを印刷装置220のコントローラユニット30で受信し、コントローラユニット30内のHDDに保持しておく。ユーザIDが記憶されたRF−IDチップを有するIDカードを印刷装置220のRF−ID読み出し装置718が検出すると、読み出し装置718はRF−IDチップ内のユーザIDを読み出し、読み出したユーザIDと同一のユーザIDが付加された暗号化印刷データをコントローラユニット30が保持していたらRF−IDチップから鍵データを読み出して暗号化印刷データの復号化を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷制御装置に関し、特にパーソナルコンピュータなどのクライアントから暗号化された印刷データを受信し、印刷データを復号化し出力するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クライアントからネットワークを介して印刷データを送って印刷制御装置で出力する系においては、セキュリティの観点から、クライアントで印刷データを暗号化して印刷制御装置に送信し、印刷制御装置では、パスワード等での認証完了後に暗号化された印刷データを復号化を行い出力していた。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−188664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来例では、復号化処理のための時間を要するため、出力における印刷完了までの時間が長くかかるという課題が存在した。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、ユーザの接近によって暗号化された印刷データの複合化処理を開始することで印刷スピードの低下を防ぐことを可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本出願に係る発明は、
外部からユーザ識別情報が付加された暗号化済み印刷データを受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記暗号化済み印刷データを記憶する記憶手段と、
記憶媒体と通信を行い、該記憶媒体に記憶されたデータを読み出し可能な読み出し手段と、
前記読み出し手段が記憶媒体と通信可能な状態になり記憶媒体からユーザ識別情報を読み出し、かつ前記記憶手段が該読み出したユーザ識別情報が付加された印刷データを記憶している場合には、前記記憶媒体から鍵データを読み出し、該読み出した鍵データを用いて前記ユーザ識別情報が付加された暗号化済み印刷データを復号化する復号化手段とを有することを特徴とする印刷制御装置。
などから構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザは復号化処理のために待たされる時間を短縮でき、印刷出力を得るまでの時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下添付図面を参照して、本発明に係る好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0008】
図2は、本実施例の形態によって構成した印刷システムである。
【0009】
220はデジタル複写機などの印刷装置であり、主に画像の入出力機能を有する。この印刷装置220において、140はユーザが各種の操作を行うための操作部、10は操作部140やパソコン212からの指示にしたがって画像を読み取るためのイメージスキャナ、20はコントローラユニット30から出力される画像データを用紙に印刷するプリンタ、718はRF−IDチップに対して無線でリードが可能なRF−ID読み出し装置である。
【0010】
30はコントローラユニットであり、操作部140やパソコン212からの指示に基づいてスキャナ10、プリンタ20に対する画像データの入出力の制御を行う。例えば、スキャナ10が取り込んだ画像データをコントローラ内部のメモリに蓄積したり、パソコン212に出力したり、あるいはプリンタ20へ出力するなどの制御を行う。また、コントローラユニット30はパソコン212から送られてきた印刷データを受信し、画像データに変換してプリンタ20へ出力する。
【0011】
212はクライアントとしてLAN2011に接続されたパソコンであり、印刷データを印刷装置220に出力したりすることができる。213はRF−IDチップに対して無線通信でリードライトが可能なRF−ID読み書き装置であり、パソコン212に接続されている。
【0012】
7001は無線通信により読み書き可能なRF−IDチップ7002を内蔵したIDカードであり、ユーザは常に身に付けている。RF−IDチップ7002にはユーザID等のユーザ情報があらかじめ書き込まれており、また、書き込み可能な領域を有している。
【0013】
なお、RF−ID読み出し装置718とRF−IDチップ7002を内蔵したIDカード7001の通信可能範囲は例えば約2メートル程度とする。
【0014】
本発明の印刷装置の外観を図3に示す。
【0015】
画像入力デバイスであるスキャナ部10は、原稿画像をランプにより照射し、CCDラインセンサ(図示せず)で読み取り、電気信号に変換することで画像データとして処理を行う。原稿用紙を原稿フィーダ146にセットし、装置使用者が操作部140から読み取り起動指示することにより、フィーダ146は原稿用紙を1枚ずつフィードし原稿画像の読み取り動作を行う。
【0016】
画像出力デバイスであるプリンタ部20は、画像データを用紙上の画像に変換する部分であり、本特許の明細書では、感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式により説明を行うが、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に直接画像を印字するインクジェット方式等であっても構わない。プリント動作の起動は、装置内部のコントローラ(後述)からの指示によって開始する。プリンタ部20には、異なる用紙サイズを選択できるように複数の給紙段を持ち、それに対応した給紙カセット122、124、142、144と手差し給紙トレイ120がある。また、画像形成された用紙は排紙トレイ132上に排出される。
【0017】
図4は本発明の印刷装置の構成を説明する断面図である。図面を用いて動作の詳細を説明する。
【0018】
101は原稿台ガラスであり、原稿自動送り装置142から給送された原稿が順次、所定位置に載置される。102は例えばハロゲンランプから構成される原稿照明ランプで、原稿台ガラス101に載置された原稿を露光する。103、104、105は走査ミラーであり、図示しない光学走査ユニットに収容され、往復動しながら、原稿からの反射光をCCDユニット106に導く。CCDユニット106はCCDに原稿からの反射光を結像させる結像レンズ107、例えばCCDから構成される撮像素子108、撮像素子108を駆動するCCDドライバ109等から構成されている。撮像素子108からの画像信号出力は例えば8ビットのデジタルデータに変換された後、コントローラ部139に入力される。また、110は感光ドラムであり、112の前露光ランプによって画像形成に備えて除電される。113は1次帯電器であり、感光ドラム110を一様に帯電させる。117は露光手段であり、例えば半導体レーザー等で構成され、画像形成や装置全体の制御を行うコントローラ部139で処理された画像データに基づいて感光ドラム110を露光し、静電潜像を形成する。118は現像器であり、黒色の現像剤(トナー)が収容されている。119は転写前帯電器であり、感光ドラム110上に現像されたトナー像を用紙に転写する前に高圧をかける。120、122、124、142、144は給紙カセットであり(120は手差し給紙トレイ)、各給紙ローラ121、123、125、143、145の駆動により、転写用紙が装置内へ給送され、レジストローラ126の配設位置で一旦停止し、感光ドラム110に形成された画像との書き出しタイミングがとられ再給送される。127は転写帯電器であり、感光ドラム110に現像されたトナー像を給送される転写用紙に転写する。128は分離帯電器であり、転写動作の終了した転写用紙を感光ドラム110より分離する。転写されずに感光ドラム110上に残ったトナーはクリーナー111によって回収される。129は搬送ベルトで、転写プロセスの終了した転写用紙を定着器130に搬送し、例えば熱により定着される。131はフラッパであり、定着プロセスの終了した転写用紙の搬送パスを、ソーター132または中間トレイ137の配置方向のいずれかに制御する。また、133〜136は給送ローラであり、一度定着プロセスの終了した転写用紙を中間トレイ137に反転(多重)または非反転(両面)して給送する。138は再給送ローラであり、中間トレイ137に載置された転写用紙を再度、レジストローラ126の配設位置まで搬送する。
【0019】
139のコントローラ部には後述するマイクロコンピュータ、画像処理部等を備えており、マンマシンインターフェース装置140からの指示に従って、前述の画像形成動作を行う。
【0020】
操作部140の構成を図5に示す。LCD表示部1032は、LCD上にタッチパネルシートが貼られており、システムの操作画面を表示するとともに、表示してあるキーが押されるとその位置情報をコントローラユニット30に伝える。テンキー1028はコピー枚数など、数字の入力時に使用する。スタートキー1029は原稿画像の読み取り動作を開始する時などに用いる。ストップキー1030は稼働中の動作を止めるときに使用する。リセットキー1031は操作部からの設定を初期化する時に用いる。
【0021】
また、1023はガイドキーであり、キーの機能が解らないとき押すとそのキーの説明が表示される。1024はコピーモードキーであり、複写を行うときに押す。1025はファクスキーであり、ファクスに関する設定を行うときに押す。1026はファイルキーであり、ファイルデータを出力したいときに押す。1027はプリンタキーであり、コンピュータ等の外部装置からのプリント出力に関する設定などを行うときに使用する。
【0022】
図6は、操作パネル140のLCD表示部に表示される基本画面である。
【0023】
1001は拡張機能キーであり、このキーを押すことによって両面複写、多重複写、移動、とじ代の設定、枠消しの設定等のモードに入る。1002は画像モードキーであり、複写画像に対して網掛け、影付け、トリミング、マスキングを行うための設定モードに入る。1003はユーザーモードキーであり、モードメモリの登録、標準モード画面の設定がユーザごとに行える。1004は応用ズームキーであり、原稿のX方向、Y方向を独立に変倍するモード、原稿のサイズと複写サイズから変倍率を計算するズームプログラムのモードに入る。1005、1006、1007はM1キー、M2キー、M3キーであり、それぞれのモードメモリを呼び出す際に押す。1008はコールキーであり、前回設定されていた複写モードを呼び出す際に押す。1009はオプションキーであり、フィルムから直接複写するためのフィルムプロジェクター等のオプション機能の設定を行う。1010はソーターキーであり、ソート出力、グループ出力等のモード設定を行う。1011は原稿混載キーであり、原稿フィーダにA4サイズとA3サイズ、またはB5サイズとB4サイズの原稿を一緒にセットする際に押す。1012は等倍キーであり、複写倍率を100%にする際に押す。1014、1015はそれぞれ縮小キー、拡大キーであり、定形の縮小、拡大を行う際に押す。1016はズームキーであり、1%刻みで非定形の縮小、拡大を行う際に押す。1013は用紙選択キーであり、印刷用紙の選択を行う際に押す。1018、1020は濃度キーであり、1018を押すごとに濃く複写され、1020を押すごとに薄く複写される。1017は濃度表示であり、濃度キーを押すと表示が左右へ変化する。1019はAEキーであり、新聞のように地肌の濃い原稿を自動濃度調整複写するときに押す。1021はHiFiキーであり、写真原稿のように中間調の濃度が多い原稿の複写の際に押す。1022は文字強調キーであり、文字原稿の複写で文字を際立たせたい場合に押下する。
【0024】
図7は印刷装置におけるスキャナ10、プリンタ20の構成を示すブロック図である。
【0025】
751はスキャナ10全体の制御を行なうCPUであり、制御プログラムを記憶した読み取り専用メモリ753(ROM)からプログラムを順次読み取り、実行する。CPUのアドレスバス、データバスはバスドライバ、アドレスデコーダ752からなる回路を介して各負荷に接続されている。また、コントローラユニット30のCPUと接続され、通信を行う。
【0026】
754は、入力データの記憶や作業用記憶領域等として用いる主記憶装置としてのランダムアクセスメモリ(RAM)である。755はI/Oインターフェースであり、給紙系、搬送系、光学系の駆動を行うモーター類756、ランプ類757、また、搬送される用紙を検知する紙検知センサ類758等の装置の各負荷に接続される。
【0027】
また、CCDユニット106により読み込まれた画像データは、コントローラユニット30に転送される。
【0028】
次に、701はプリンタ20の制御を行うCPUであり、制御手順(制御プログラム)を記憶した読み取り専用メモリ703(ROM)からプログラムを順次読み取り、実行する。CPU701のアドレスバスおよびデータバスは702のバスドライバ回路、アドレスデコーダ回路をへて各負荷に接続されている。また、704は入力データの記憶や作業用記憶領域等として用いる主記憶装置であるところのランダムアクセスメモリ(RAM)である。705はI/Oインターフェースであり、給紙系、搬送系、光学系の駆動を行うモーター類707、クラッチ類708、ソレノイド類709、また、搬送される用紙を検知するための紙検知センサ類710等の装置が各負荷に接続される。現像器118には現像器内のトナー量を検知する711のトナー残検センサが配置されており、その出力信号がI/Oポート705に入力される。715は高圧ユニットであり、CPU701の指示に従って、前述の1次帯電器113、現像器118、転写前帯電器119、転写帯電器127、分離帯電器128へ高圧を出力する。
【0029】
CCDユニット106から出力された画像信号はコントローラユニット30により、後述する画像処理を行い、画像データに従って117のレーザーユニットの制御信号を出力する。レーザーユニット117から出力されるレーザー光は感光ドラム110を照射し、露光するとともに非画像領域において受光センサであるところの713のビーム検知センサによって発光状態が検知され、その出力信号がI/Oポート705に入力される。
【0030】
コントローラユニット30の構成図を図8に示す。コントローラユニット30は画像入力デバイスであるスキャナ10や画像出力デバイスであるプリンタ20と接続し、一方ではLAN2011や公衆回線(WAN)2051接続することで、画像情報やデバイス情報の入出力を行う為のコントローラである。CPU2001はシステム全体を制御するコントローラである。RAM2002はCPU2001が動作するためのシステムワークメモリであり、画像データを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM2003はブートROMであり、システムのブートプログラムが格納されている。HDD2004はハードディスクドライブで、システムソフトウェア、画像データ、印刷データなどを格納する。操作部I/F2006は操作部(UI)140とのインターフェース部で、操作部140に表示する画像データを操作部140に対して出力する。また、操作部140から本システム使用者が入力した情報を、CPU2001に伝える役割をする。NIC2010はLAN2011に接続し、情報の入出力を行う。Modem2050は公衆回線2051に接続し、情報の入出力を行う。スキャナ、プリンタ通信I/F2009はスキャナ10、プリンタ20のCPUとそれぞれ通信を行なうためのI/Fである。以上のデバイスがシステムバス2007上に配置される。
【0031】
Image bus I/F2005はシステムバス2007と画像データを高速で転送する画像バス2008を接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。画像バス2008は、PCIバスまたはIEEE1394で構成される。画像バス2008上には以下のデバイスが配置される。ラスターイメージプロセッサ(RIP)2060はPDLコードをビットマップイメージに展開する。デバイスI/F部2020は、画像入出力デバイスであるスキャナ10やプリンタ20とコントローラ30を接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。スキャナ画像処理部2080は、入力画像データに対し補正、加工、編集を行う。プリンタ画像処理部は、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換等を行う。画像回転部2030は画像データの回転を行う。画像圧縮部2040は、多値画像データはJPEG、2値画像画像データはJBIG、MMR、MHの圧縮伸張処理を行う。
【0032】
図1は本発明の特徴であるユーザの接近によって復号化処理を開始する印刷システムの動作を表すフローチャートであり、この図を参照してパソコン212や印刷装置220内のコントローラユニット30の動作、機能を説明する。
【0033】
パソコン212はRF−ID読み書き装置213を介してIDカード7001内のRF−IDチップ7002からユーザIDを読み出す(S301)。
【0034】
ユーザから印刷指示があると図11に示すような「印刷」画面を表示する(S302)。ここでユーザはプリンタ選択ボタン602から出力するプリンタを選択し、印刷データを暗号化したい場合はプロパティボタン607をクリックする。するとプロパティ画面が開き、セキュアプリントタブをクリックすると図12に示すような「セキュアプリント」画面が表示される(S303)。
【0035】
そして「暗号化してプリントする」のチェックボックスをチェックし(「レ」を入れ)、パスワード入力部分617にパスワードを入力し、OKボタン613をクリックする(S304)。印刷データを作成する(S305)。
【0036】
任意の鍵データを生成し、その鍵データを用いて印刷データを暗号化する(S306)。印刷データを暗号化する方法は種々考えられるが、本実施例では共通鍵方式とする。共通鍵をどうするかと言う方法も種々考えられるが、例えば乱数を生成し、乱数を共通鍵とする方法が考えられる。また、暗号化方式としては、3DES(data encryption standard)や、AES(Advanced Encryption Standard)など既知の暗号化方式を用いることができる。
【0037】
その鍵データをRF−ID読み書き装置213を介してIDカード7001内のRF−IDチップ7002に書き込む(S307)。
【0038】
暗号化した印刷データに前記読み出したユーザIDと入力されたパスワードを付加する(S308)。
【0039】
ユーザIDとパスワードが付加された暗号化印刷データを印刷装置に送信する(S307)。
【0040】
印刷装置220のコントローラユニット30は、は印刷データを受信したら(S311)、その印刷データが暗号化されているかどうかを判別する(S312)。暗号化されていない場合は、そのまま印刷を行う(S320)。
【0041】
暗号化されている場合は、すぐに印刷を行なわず、暗号化された印刷データをコントローラユニット30内のHDD2004内の所定のスプール領域に保持しておき、RF−ID読み出し装置718によって印刷データに付加されているユーザIDと同一のユーザIDが格納されたRF−IDチップが内蔵されたIDカードの検出を行う(S313)。
【0042】
ユーザはIDカードを身に付けているので、ユーザが印刷装置220に近づくと印刷データに付加されたものと同一のユーザIDが格納されたIDカードが検出される仕組みになっている。そして検出された場合は、RF−IDチップより鍵データを読み出す(S314)。
【0043】
読み出した鍵データを用いて暗号化されている印刷データの復号化を行う(S315)。
【0044】
もし復号化後に同一のユーザIDが格納されたIDカードの検出が出来なくなった場合は(S316)、印刷データを再び暗号化する(S317)。また、S315で印刷データの復号化を行なった際に復号化前の暗号化印刷データと復号後の印刷データの両方をコントローラユニット内のHDD2004内の所定のスプール領域に保持しておき、IDカードの検出が出来なくなった場合に復号後の印刷データを削除するというやり方でも良い。
【0045】
同一のユーザIDが格納されたIDカードが検出され続けていれば、LCD表示部1032に「パスワード入力」画面を表示し、ユーザにパスワードの入力を求める(S318)。
【0046】
ユーザが操作部140からパスワードを入力したら、印刷データに付加されたパスワードと一致するかどうかを判別する(S319)。パスワードが一致したら印刷データを印刷する(S320)。
【0047】
このようにユーザの接近を検出し、複合化処理を行っておくことで、印刷出力を得るまでの時間の短縮を図ることが可能になる。
【実施例2】
【0048】
上記実施例1では、暗号化データを受信したら、ユーザIDを記憶したRF−IDを検出しつづけたが、多数の印刷データを受信し、それらが出力されないままであるとユーザIDを記憶したRF−IDの検出が遅くなったり、余計な電力を消費してしまうなどの問題が想定されるため、第2の実施例ではそれらの問題を考慮したものである。
【0049】
図9は第2の実施例の印刷装置220内のコントローラユニット30の動作を表すフローチャートであり、第1の実施例と同等の動作を行うステップは同じステップナンバーで表している。
【0050】
違いはS313でユーザIDの検索を開始してから所定の時間内に検出できなかった場合のタイムアウト処理(S411)が追加されている。
【0051】
タイムアウトした場合は、あらかじめ設定されたタイムアウト処理方法に従い(S4121)、タイムアウト処理方法が「削除」と設定されている場合は、受信した印刷データを削除し、印刷データを削除したことをユーザに知らせる(S413)。知らせる方法としては電子メール等で行う。具体的には、コントローラユニットに不図示の電子メール送信機能と、ユーザIDとそのIDに対応した電子メールアドレスとを記憶したアドレス帳を備えており、削除した印刷データに付加されたユーザIDに対応する電子メールアドレスをアドレス帳から検索し、検索した電子メールアドレス宛にデータが削除された旨の電子メールメッセージを送信することで実現できる。
【0052】
タイムアウト処理方法が「保存」と設定されている場合は、受信した印刷データを印刷装置内部のハードディスク等の記憶装置に保存し、保存場所をユーザに通知する。(S414)。この場合の通知方法としてはS413と同様に電子メールを用い、電子メールの本文中に印刷データが保存された旨と、保存場所を示す情報としてファイルへのパスやURL(Uniform Resource Locater)を記述することで実現できる。
【0053】
保存通知の電子メールを受けたユーザは操作部140からの操作印刷が可能である。
【実施例3】
【0054】
上記第実施例1及び実施例2では、パソコン212からの印刷データの送信は無条件であったために、印刷データを送信しても出力し忘れることがあると、ネットワークの無駄なトラフィックの増加や、印刷装置の無駄な処理が発生してしまうなどの問題が想定されるため、第3の実施例ではそれらの問題を考慮したものである。
【0055】
図10は第3の実施例の印刷装置220動作を表すフローチャートであり、第1の実施例と同等の動作を行うステップは同じステップナンバーで表している。
【0056】
第1の実施例ではステップ309で無条件に印刷データを送信していたが、第3の実施例では送信の前にユーザIDの検出が不可能になった場合だけステップ309に移行するという条件を追加した(S501)。これは、IDカードを身に付けたユーザが印刷した用紙を取りに行くという行動が、パソコン212に接続されたRF−ID読み書き装置213から遠ざかり、通信できなくなるという性質を利用したものである。
【0057】
このようにパソコン212で印刷指示を出したあと、ユーザが本当に印刷出力を必要とする場合のみ印刷データがパソコン212からコントローラユニット30へ送信されるのでネットワーク上の不必要なトラフィックや、コントローラユニットへの不必要な印刷データの蓄積を防止できる。
【0058】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0059】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0060】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0061】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(基本システム或いはオペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0062】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の印刷システムの動作を表すフローチャートである。
【図2】本発明の印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の印刷装置の外観を示すである。
【図4】印刷装置の全体構成を示す断面図である。
【図5】操作部を示す図である。
【図6】LCD表示を示す図である。
【図7】印刷装置におけるスキャナ10、プリンタ20の構成を示すブロック図である。
【図8】コントローラユニットの構成を示す図である。
【図9】第2の実施例における印刷システムの動作を表すフローチャートである。
【図10】第3の実施例における印刷システムの動作を表すフローチャートである。
【図11】パソコン上に表示される「印刷」画面を示す図である。
【図12】パソコン上に表示される「セキュアプリント」画面を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
220 印刷装置
212 パソコン
213 RF−ID読み書き装置
718 RF−ID読み出し装置
7001 IDカード
7002 RF−IDチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からユーザ識別情報が付加された暗号化印刷データを受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記暗号化印刷データを記憶する記憶手段と、
記憶媒体と通信を行い、該記憶媒体に記憶されたデータを読み出し可能な読み出し手段と、
前記読み出し手段が前記記憶媒体と通信可能な状態において前記読み出し手段は前記記憶媒体からユーザ識別情報を読み出し、かつ前記記憶手段が読み出した前記ユーザ識別情報が付加された暗号化印刷データを記憶している場合には、前記記憶媒体から鍵データを読み出し、読み出した前記鍵データを用いて前記ユーザ識別情報が付加された暗号化印刷データを復号化して復号化印刷データを生成する復号化手段とを有することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記印刷制御装置は更にユーザによる操作入力を受け付ける操作手段を有し、
前記暗号化印刷データには更にパスワード情報が付加されており、
前記復号化手段が前記暗号化印刷データを復号化し、前記読み出し手段が前記記憶媒体と通信可能な状態において前記操作手段から入力された情報が前記パスワード情報と一致した場合、前記復号化印刷データに基づく出力を行なうことを特徴とする請求項1記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記記憶媒体は無線による通信が可能であり、前記読み出し手段は前記記憶媒体と無線通信を行なうことを特徴とする請求項1または2記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記記憶媒体は無線ICタグを有し、前記読み出し手段はRF−IDリーダであることを特徴とする請求項3記載の印刷制御装置。
【請求項5】
前記復号化手段が暗号化印刷データを復号化した後、前記読み出し手段が前記記憶媒体と通信不可能な状態になった場合に、前記記憶媒体から読み出した前記鍵データを用いて復号化した印刷データを暗号化する暗号化手段を有することを特徴とする請求項1記載の印刷制御装置。
【請求項6】
前記復号化手段が暗号化印刷データを復号化した後、前記読み出し手段が前記記憶媒体と通信不可能な状態になった場合に、復号化した印刷データを消去することを特徴とする請求項1記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記受信手段が暗号化印刷データを受信した後、前記印刷データに基づく出力が所定の時間されなかった場合、前記印刷データを前記記憶手段の所定の記憶領域に保存する保存手段と、
前記保存手段が保存した場所を前記印刷データに付加されたユーザ識別情報に対応するユーザに通知する通知手段とを有することを特徴とする請求項1記載の印刷制御装置。
【請求項8】
前記受信手段が暗号化印刷データを受信した後、前記印刷データに基づく出力が所定の時間されなかった場合、前記印刷データを消去する消去手段と、
前記印刷データを消去したことを前記印刷データに付加されたユーザ識別情報に対応するユーザに通知する通知手段とを有することを特徴とする請求項1記載の印刷制御装置。
【請求項9】
外部からユーザ識別情報が付加された暗号化印刷データを受信する受信工程と、
前記受信工程で受信した前記暗号化印刷データを記憶する記憶工程と、
記憶媒体と読み出し手段との間で通信を行い、該記憶媒体に記憶されたデータを読み出す読み出し工程と、
前記記憶媒体と前記読み出し手段が通信可能な状態において前記読み出し工程は前記記憶媒体からユーザ識別情報を読み出し、かつ前記記憶手段が読み出した前記ユーザ識別情報が付加された暗号化印刷データを記憶している場合には、前記記憶媒体から鍵データを読み出し、読み出した前記鍵データを用いて前記ユーザ識別情報が付加された暗号化印刷データを復号化して復号化印刷データを生成する復号化工程とを有することを特徴とする印刷制御方法。
【請求項10】
外部からユーザ識別情報が付加された暗号化印刷データを受信する受信工程と、
前記受信工程で受信した前記暗号化印刷データを記憶する記憶工程と、
記憶媒体と読み出し手段との間で通信を行い、該記憶媒体に記憶されたデータを読み出す読み出し工程と、
前記記憶媒体と前記読み出し手段が通信可能な状態において前記読み出し工程は前記記憶媒体からユーザ識別情報を読み出し、かつ前記記憶手段が読み出した前記ユーザ識別情報が付加された暗号化印刷データを記憶している場合には、前記記憶媒体から鍵データを読み出し、読み出した前記鍵データを用いて前記ユーザ識別情報が付加された暗号化印刷データを復号化して復号化印刷データを生成する復号化工程とを有する印刷制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−18398(P2006−18398A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193406(P2004−193406)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】