説明

印刷指示プログラム及び画像形成装置並びにプレビュー表示方法

【課題】印刷プレビューの表示倍率を直感的な操作で簡単に変更することができ、かつ、原稿の1ページが表示領域全体に表示される特定の表示倍率に簡単に戻すことができる印刷指示プログラム及び画像形成装置並びにプレビュー表示方法の提供。
【解決手段】
印刷を指示するコンピュータ装置又は印刷を実行する画像形成装置におけるプレビュー表示方法であって、印刷対象となる原稿のプレビュー画像を画面に表示する際に、前記画面に、前記プレビュー画像と、前記プレビュー画像の表示倍率の指定を受け付けるスライダーと、前記プレビュー画像の表示形態の指定を受け付けるボタンと、を表示すると共に、前記スライダーに現在の表示倍率を明示し、かつ、原稿の1ページの全体が表示される表示形態に対応するボタンを、前記スライダー上の当該表示形態に対応する表示倍率に関連付けて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷指示プログラム及び画像形成装置並びにプレビュー表示方法に関し、特に、印刷プレビューの表示を制御する印刷指示プログラム及び画像形成装置並びにプレビュー表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複合機(MFP:Multi Function Peripheral)などの印刷装置(以下、画像形成装置と呼ぶ。)が普及している。この画像形成装置をネットワークプリンタとして利用する場合、まず、ネットワークに接続されているコンピュータ端末にインストールされているアプリケーションを用いて文書を作成した後、文書のデータを、画像形成装置を制御するためのソフトウェア(プリンタドライバ)を用いてページ記述言語(PDL:Page Description Language)形式の印刷データに変換して画像形成装置に送信し、画像形成装置では、印刷データを解析して中間データを生成した後、ビットマップ形式の画像データに変換して紙媒体に出力する。
【0003】
このように、コンピュータ端末から印刷を指示する場合、画像形成装置から出力された印刷物が所望の形態でなければ、印刷が無駄になってしまい、ユーザは再度コンピュータ端末を操作して印刷を指示しなければならない。そこで、プリンタドライバは、このような印刷の無駄を防止し、ユーザの利便性を向上させるために、画像形成装置に印刷を指示する前に印刷プレビューを表示し、印刷物の出力形態を画面上で確認できるようにしている。
【0004】
このプレビュー表示に関して、例えば、下記特許文献1には、画像と文字とを含む書類の印刷プレビュー画像を生成する画像処理装置に関し、予め設定された印刷時の文字論理情報を取得する文字論理情報取得手段と、前記書類に含まれる画像を、原画像サイズから印刷プレビュー画像の描画領域に応じて変倍し、画像プレビューイメージを生成する第1の生成手段と、前記書類に含まれる文字から、前記印刷時の文字論理情報を用いて印刷解像度もしくはそれ以上の解像度のビットマップデータを生成した後、印刷プレビュー画像中の文字領域に応じて変倍して文字プレビューイメージを生成する第2の生成手段と、前記第1及び第2の生成手段が生成したプレビューイメージから、印刷プレビュー画像を生成して表示する表示手段とを有する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−193701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、印刷を指示する前に印刷プレビューを表示することにより、ユーザは印刷物の出力形態を画面上で確認することができるが、印刷プレビューを表示する際に、表示倍率を変更してページのレイアウトが確認できたり、詳細な部分(例えば、文字と画像の重なり具合)が確認できたりすると非常に便利である。
【0007】
しかしながら、従来のプリンタドライバでは、メニューやキーボード、マウスの操作によって表示倍率を変更するため、操作が煩雑であり、簡単に表示倍率を変更することができないという問題がある。
【0008】
また、従来のプリンタドライバでは、現在の表示倍率しか表示されないため、一旦表示倍率を変更すると、元の表示倍率に戻すことが難しい。特に、印刷プレビューでは、原稿の1ページが表示領域全面に収まる倍率で表示されている状態(いわゆるフィットページ)が見やすいことから、初期状態ではフィットページが表示されるが、このフィットページの倍率は半端な数字であることが多いため、一旦表示倍率を変更した後にフィットページに戻すのは困難であり、利便性が悪いという問題がある。更に、画像形成装置のパネル上に印刷プレビューを表示する場合も、同様の問題が生じる。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、印刷プレビューの表示倍率を直感的な操作で簡単に変更することができ、かつ、原稿の1ページが表示領域全体に表示される特定の表示倍率に簡単に戻すことができる印刷指示プログラム及び画像形成装置並びにプレビュー表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、印刷を指示するコンピュータ装置で動作する印刷指示プログラムであって、前記コンピュータ装置を、印刷対象となる原稿のプレビュー画像を画面に表示させる印刷機能設定部として機能させ、前記印刷機能設定部は、表示倍率を割り当てたスライダー上でつまみをスライドさせることにより、前記プレビュー画像の表示倍率の指定を受け付ける第1指示部、ボタンを選択させることにより、前記プレビュー画像の表示形態の指定を受け付ける第2指示部、前記ボタンに関連付けられた表示形態に対応する表示倍率を計算する表示倍率決定部、前記第1指示部で指示された表示倍率、若しくは、前記第2指示部で指示されたボタンに対して前記表示倍率決定部で計算した表示倍率に基づいて、前記プレビュー画像を作成する画像作成部、前記画面に、前記プレビュー画像と前記スライダーと前記ボタンとを表示させると共に、前記スライダー上に現在の表示倍率を明示し、かつ、原稿の1ページの全体が表示される表示形態に対応するボタンを、前記スライダー上の当該表示形態に対応する表示倍率に関連付けて表示する表示制御部、を備えるものである。
【0011】
また、本発明は、印刷対象となる原稿のプレビュー画像を画面に表示させる印刷機能設定部を備えた画像形成装置であって、前記印刷機能設定部は、表示倍率を割り当てたスライダー上でつまみをスライドさせることにより、前記プレビュー画像の表示倍率の指定を受け付ける第1指示部と、ボタンを選択させることにより、前記プレビュー画像の表示形態の指定を受け付ける第2指示部と、前記ボタンに関連付けられた表示形態に対応する表示倍率を計算する表示倍率決定部、前記第1指示部で指示された表示倍率、若しくは、前記第2指示部で指示されたボタンに対して前記表示倍率決定部で計算した表示倍率に基づいて、前記プレビュー画像を作成する画像作成部と、前記画面に、前記プレビュー画像と前記スライダーと前記ボタンとを表示させると共に、前記スライダー上に現在の表示倍率を明示し、かつ、原稿の1ページの全体が表示される表示形態に対応するボタンを、前記スライダー上の当該表示形態に対応する表示倍率に関連付けて表示する表示制御部と、を備えるものである。
【0012】
また、本発明は、印刷を指示するコンピュータ装置又は印刷を実行する画像形成装置におけるプレビュー表示方法であって、印刷対象となる原稿のプレビュー画像を画面に表示する際に、前記画面に、前記プレビュー画像と、前記プレビュー画像の表示倍率の指定を受け付けるスライダーと、前記プレビュー画像の表示形態の指定を受け付けるボタンと、を表示すると共に、前記スライダーに現在の表示倍率を明示し、かつ、原稿の1ページの全体が表示される表示形態に対応するボタンを、前記スライダー上の当該表示形態に対応する表示倍率に関連付けて表示するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の印刷指示プログラム及び画像形成装置並びにプレビュー表示方法によれば、印刷プレビューの表示倍率を直感的な操作で簡単に変更することができ、かつ、原稿の1ページが表示領域全体に表示される特定の表示倍率に簡単に戻すことができる。
【0014】
その理由は、印刷対象となる原稿のプレビュー画像を表示する際に、プレビュー画面に、プレビュー画像と、プレビュー画像の表示倍率の指定を受け付けるスライダーと、プレビュー画像の表示形態の指定を受け付けるボタンと、を表示すると共に、スライダーに現在の表示倍率を明示し、かつ、原稿の1ページの全体が表示されるフィットページに対応するボタンを、スライダー上の当該フィットページに対応する表示倍率に関連付けて表示するからである。
【0015】
このように、スライダーを用いることにより、初めてのユーザでも直感的に倍率変更ができると共に微調整ができ、変更後の表示倍率とフィットページの表示倍率をスライダー上に対応付けて表示することにより、フィットページに簡単に戻すことができる。更に、最小倍率、最大倍率、100%、幅に合わせる倍率、高さに合わせる倍率などの目的別の表示倍率をスライダー上に対応付けて表示することにより、初めてのユーザでも直感的に目的別の倍率指定ができ、「高さに合わせる」ボタンを選択後、スライダーで倍率を小さくするなど、目的別倍率に変更した後、微調整ができ、現在の表示倍率とそれぞれの目的別の表示倍率との関係性を直感的に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例に係る印刷システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係るコンピュータ端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例に係るコンピュータ端末の動作を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の一実施例に係るコンピュータ端末に表示される印刷プレビュー画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
背景技術で示したように、プリンタドライバや画像形成装置では印刷プレビューが表示可能であり、印刷プレビューでは、ページ全体のレイアウトを確認しやすくすることが重要であることから、従来はメニューコマンドとして「ページ全体」などが用意されており、ページ全体が枠内に収まる特定の倍率で表示されるようになっていた。しかしながら、従来のプリンタドライバでは、メニューやキーボード、マウスの操作によって表示倍率を変更するため、操作が煩雑であり、また、印刷プレビュー画面には現在の表示倍率しか表示されないため、一旦表示倍率を変更すると元の表示倍率に戻すのが難しいという問題がある。
【0018】
表示倍率を変更する操作に関連する技術として、例えば、地図表示アプリケーションには、表示倍率(縮尺)を変更するためのスライダーコントロールが設けられており、このスライダーコントロールのスライド操作で縮尺を変更することができ、直感的な操作が可能である。また、地図表示アプリケーションには、丁目、町、県、国などの目的別に縮尺が選択できるボタンが用意されており、ユーザの目的に応じた縮尺を選択することができる。
【0019】
ここで、日本地図の場合であれば、丁目、町、県などの大きさは大体決まっているため、一定の縮尺と結び付けることは可能であるが、印刷物の場合は、はがき大からA3などのように大きさの幅が広く、また、表示画面上の表示領域も一定でないため、ページ全体などの目的別に表示倍率を対応付けることができない。
【0020】
例えば、ページ全体が表示されるべき倍率は、そのページのサイズと表示領域のサイズに依存して大きく変化するため、ページ全体などの目的と表示倍率とを対応付けても、ページ全体を適切に表示することができない。また、倍率を調整してページ全体が表示されるようにしたとしても、その状態から更に表示倍率を変更してしまうと、ページ全体が表示される表示倍率に戻すことができず、再度、倍率を調整しなければならい。
【0021】
従って、地図表示アプリケーションに設けられたスライダーコントロールを、そのまま印刷プレビューに適用しても、印刷に適した表示倍率で原稿画像のプレビューを表示することができない。
【0022】
そこで、本発明の一実施の形態では、ユーザが印刷プレビューの倍率を直感的な操作で目的に応じて変更できるようにする手段を提供する。具体的には、プリンタドライバなどの印刷制御プログラム又は画像形成装置に、印刷対象となる原稿のプレビュー画像を表示する領域を設けたプレビュー画面を表示部に表示させる印刷機能設定部を設け、この印刷機能設定部を、スライダー上でつまみをスライドさせることにより、プレビュー画像の表示倍率の指定を受け付ける倍率指定部と、ボタンを選択させることにより、プレビュー画像の表示形態の指定を受け付ける目的命令部と、ボタンに関連付けられた表示形態に対応する表示倍率を計算する表示倍率決定部と、倍率指定部で指定された表示倍率、若しくは、目的命令部で指定されたボタンに対して表示倍率決定部で計算した表示倍率に基づいて、原稿のプレビュー画像を作成する画像作成部と、プレビュー画面に、プレビュー画像とスライダーとボタンとを表示させると共に、スライダーに現在の表示倍率を明示し、かつ、フィットページに関連付けられたボタンを、スライダー上のフィットページに対応する表示倍率に関連付けて表示する表示制御部と、で構成する。
【実施例】
【0023】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る印刷指示プログラム及び画像形成装置並びにプレビュー表示方法について、図1乃至図5を参照して説明する。図1は、本実施例の印刷システムの構成を模式的に示す図である。また、図2は、コンピュータ端末の構成を示すブロック図、図3は、画像形成装置の構成を示すブロック図である。また、図4は、本実施例のコンピュータ端末の動作を示すフローチャート図であり、図5は、本実施例のコンピュータ端末に表示される印刷プレビュー画面の一例を示す図である。
【0024】
図1に示すように、本実施例の印刷システムは、印刷データを送信して印刷を指示するコンピュータ端末10と、印刷データを受信して印刷を実行する画像形成装置20とで構成される。これらは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワーク30によって接続されている。以下、各装置について詳述する。
【0025】
[コンピュータ端末]
図2(a)に示すように、コンピュータ端末10は、制御部11と、記憶部12と、通信I/F部13と、表示部14と、操作部15などで構成される。
【0026】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリとで構成される。CPUは、コンピュータ端末10の動作を制御するためのプログラム、OS(Operating System)11a、アプリケーション11b、画像形成装置20を制御するためのデバイスドライバ(プリンタドライバ11c)をROM又は記憶部12から読み出してRAMに展開し実行する。
【0027】
上記プリンタドライバ11cは、図2(b)に示すように、画像形成装置20に搭載された機能を利用するための設定を可能にする印刷機能設定部と、アプリケーション11bで作成した原稿のデータを、画像形成装置20で解釈可能な言語(PCL(Printer Control Language)やPS(Post Script)などのPDL)に変換して印刷データを作成して印刷を指示する印刷データ生成部、として機能する。
【0028】
また、上記印刷機能設定部は、印刷設定画面や後述するプレビュー画面を表示部14に表示させる機能を備えており、スライダーコントロール上でつまみをスライドすることにより倍率の指定を受け付ける倍率指定部、最小値、最大値、100%、ページ全体、幅に合わせる、高さに合わせるといった目的(表示形態)に応じたボタンを選択することにより目的(表示形態)の指定を受け付ける目的命令部、目的命令部で選択された目的(表示形態)に応じて、画像サイズ及び表示領域のサイズから表示倍率を決定する表示倍率決定部、倍率指定部で直接指示された表示倍率又は表示倍率決定部により決定された表示倍率を元に解像度を決定し、その解像度で画像を作成する画像作成部、プレビュー画面に、原稿のプレビュー画像とスライダーコントロールとボタンとを表示させると共に、スライダーコントロールに現在の表示倍率を明示し、かつ、目的(表示形態)に応じたボタン(少なくとも「ページ全体」のボタン)とスライダーコントロール上の上記目的(表示形態)に対応する表示倍率とを関連付けて表示する表示制御部などで構成される。
【0029】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)などで構成され、プログラムや印刷データなどを記憶する。本実施例では、特に、ページ単位設定リスト、ステープル設定に対応付けたステープル位置情報、ステープル状態に対応付けた図形などが記憶されている。
【0030】
通信I/F部13は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、通信ネットワーク30を介して、画像形成装置20に印刷データを送信する。
【0031】
表示部14は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置等からなり、印刷条件を設定するための印刷設定画面、ステープルのページ単位設定を行うための詳細設定画面などを表示する。
【0032】
操作部15は、マウスやキーボード等からなり、アプリケーション11bによる原稿の作成やプリンタドライバ11cによる印刷条件の設定、ステープルのページ単位設定、印刷指示などの操作を可能にする。
【0033】
[画像形成装置]
図3に示すように、画像形成装置20は、制御部21と、記憶部22と、通信I/F部23と、表示・操作部24と、画像読取部25と、画像処理部26と、印刷処理部27などで構成される。
【0034】
制御部21は、CPUと、ROMやRAMなどのメモリとで構成される。CPUは、各種プログラムをROM又は記憶部22から読み出してRAMに展開し実行し、画像形成装置20全体の動作を制御する。
【0035】
記憶部22は、HDDなどで構成され、プログラムや印刷データ、画像処理部26で処理した画像データなどを記憶する。
【0036】
通信I/F部23は、NICやモデムなどで構成され、通信ネットワーク30を介して、コンピュータ端末10から印刷データを受信する。
【0037】
表示・操作部24は、液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示部上に、透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチパネル)を備え、画像形成装置20を操作するための画面や印刷条件を設定する画面などを表示すると共に、各種設定や指示などを可能にする。
【0038】
画像読取部25は、原稿台上の原稿から画像データを光学的に読み取る部分であり、原稿を走査する光源と、原稿で反射された光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)等のイメージセンサと、電気信号をA/D変換するA/D変換器などにより構成される。
【0039】
画像処理部26は、印刷データを解析し、印刷データの各ページをラスタライズしてページ毎の画像データを生成、もしくは、画像読取部25からページ毎の画像データを取得し、必要に応じて画像処理(色調整、濃度調整、サイズ調整などの処理)やスクリーニングを行った後、印刷処理部27で印刷可能な画像データに変換する。
【0040】
印刷処理部27は、電子写真方式や静電記録方式等の作像プロセスを利用した画像形成に必要な構成要素で構成され、画像処理部26で作成した画像データに基づく印刷画像を、設定情報で指定された用紙に印刷する。
【0041】
なお、本実施例では、プリンタドライバ11cが、印刷プレビューを表示するUI(User Interface)を提供する構成とするが、このUIは、コンピュータ端末10の他のプログラムが提供してもよい。
【0042】
また、このUIは、画像形成装置20の制御部21が提供してもよい。例えば、図3に示すように、画像形成装置20の制御部21を印刷機能設定部として機能させ、表示・操作部24にプレビュー画面を表示させる際に、表示倍率を直感的に変更できるようにスライドコントロールを表示すると共に、変更後の表示倍率とフィットページなどの特定の表示倍率をスライドコントロールに対応付けて表示するようにしてもよい。その際、画像形成装置20の画像読取部25で読み取った画像データに基づいて印刷を実行する場合は、コンピュータ端末10を省略することもできる。
【0043】
また、コンピュータ端末10及び画像形成装置20に加えて、RIP(Raster Image Processor)コントローラ等の制御装置を通信ネットワーク30に接続し、制御装置に、印刷機能設定部としての機能を持たせてもよい。
【0044】
次に、本実施例のコンピュータ装置10の動作について、図4のフローチャート図を参照して説明する。なお、以下では、コンピュータ装置10のプリンタドライバ11cが印刷プレビューを表示する場合について記載するが、画像形成装置20が印刷データに基づいて印刷を実行する前に、パネル上に印刷プレビューを表示する場合についても、同様に適用することができる。
【0045】
[印刷データ作成]
ユーザがコンピュータ装置10を操作して、OS11a上で動作するアプリケーション11bを用いて原稿を作成し、通常のOS11aの印刷フローに従って印刷を指示すると、プリンタドライバ11c(印刷機能設定部)は、印刷設定画面を表示部14に表示させる。そして、ユーザが印刷設定画面で印刷条件を設定すると、プリンタドライバ11c(印刷データ生成部)は、設定された印刷条件に従って原稿の印刷を指示する印刷データを作成する(S101)。なお、本実施例ではLetterサイズの1ページの原稿の印刷を指示するものとする。
【0046】
[表示領域サイズ取得]
まず、プリンタドライバ11c(印刷機能設定部)は、印刷プレビュー画面上に原稿画像をプレビュー表示する表示領域のサイズを取得する(S102)。本実施例では、原稿画像の表示領域サイズは400×400ドットとし、コンピュータ装置10の表示部14の画面解像度は72dpi(dots per inch)とする。なお、この表示領域のサイズは、予め定められたサイズとしてもよいし、ユーザが設定したサイズとしてもよい。
【0047】
[用紙サイズ取得]
次に、プリンタドライバ11c(印刷機能設定部)は、S101で作成した印刷データを解析し、印刷データで規定された用紙サイズを取得する(S103)。本実施例では、Letterサイズの8.5×11インチである。
【0048】
[初期表示画像作成]
次に、プリンタドライバ11c(印刷機能設定部)は、印刷プレビュー画面の表示領域に初期表示する画像を作成する(S104)。本実施例では、初期表示状態では、1ページの原稿画像全体を表示領域全体に表示可能な倍率(本実施例では、「ページ全体」若しくは「Fit Page」と呼ぶ。)で表示するものとする。この「ページ全体」は、原稿画像の幅と表示領域の幅を合わせる倍率(本実施例では、「幅に合わせる」若しくは「Fit Width」と呼ぶ。)と、原稿画像の高さと表示領域の高さを合わせる倍率(本実施例では、「高さに合わせる」若しくは「Fit Height」と呼ぶ。)の内の小さい方としてもよいし、表示領域のサイズの縦横比と用紙サイズの縦横比とに基づいて計算した倍率としてもよい。前者の場合の表示倍率の計算方法を以下に示す。
【0049】
まず、実際の原稿画像を等倍(本実施例では、「100%」と呼ぶ。)で表示する場合の原稿画像の解像度を画面解像度に合わせる。本実施例では、表示部14の画面解像度は72dpiであるため、原稿画像の解像度も72dpiとなる。この原稿画像の解像度は予め定めた定数としてもよいし、OS11aから取得しても良い。
【0050】
次に、原稿画像の解像度と用紙サイズから画像サイズが表1の通り決定される。例えば、「高さに合わせる」の場合、表示領域の高さは400ドットであるため、これに収まるサイズを1%刻みの倍率で求め、51%では高さが403ドットとなり表示領域の高さを超え、50%では396ドットで収まることから、倍率は50%となる。同様に、「幅に合わせる」の場合、表示領域の幅は400ドットであるため、これに収まるサイズを1%刻みの倍率で求め、倍率は65%となる。なお、最も小さく表示する倍率(本実施例では、「最小値」若しくは「Minimum」と呼ぶ。)は1%、最も大きく表示する倍率(本実施例では、「最大値」若しくは「Maximum」と呼ぶ。)は600%に設定されているものとする。
【0051】
【表1】

【0052】
表1より、「ページ全体」は、表示倍率50%、画像サイズ306×396ドット、72dpiとなり、これらの情報を元にプレビュー表示する原稿画像を作成する。なお、画像作成処理は、サイズに基づいて行ってもよいし、解像度に基づいて行ってもよい。
【0053】
そして、「ページ全体」、「幅に合わせる」、「高さに合わせる」、「100%」、「最小値」、「最大値」のボタンから伸びる線(例えば、吹き出し線)をスライダーの該当箇所に結びつける。例えば、「ページ全体」は50%であるから、スライダー上の50%の位置に吹き出しの先がくるように画面表示を行う。
【0054】
[画像表示]
次に、プリンタドライバ11c(印刷機能設定部)は、S104で作成した原稿画像を印刷プレビュー画面の表示領域に表示する(S105)。その際、すでに表示している画像がある場合は画像を差し替える。なお、原稿画像の作成処理には多くの時間を必要とするため、初期表示の前に、原稿画像を作成中であることをユーザに通知する表示をしてもよい。例えば、306×396ドットサイズの画像に「画像作成中」などのテキストや処理中であることを示唆するアニメーション(時計やプログレスバーなど)を付加して表示しておき、初期表示画像の作成後に画像を差し替えるようにすると好適である。
【0055】
初期状態で「ページ全体」を表示する場合の印刷プレビュー画面の一例を図5に示す。この印刷プレビュー画面40では、詳細な部分や実際の印刷画像と等倍でのイメージなどが分からないものの、ページ全体のレイアウトを確認することができる。
【0056】
[印刷指示]
次に、プリンタドライバ11c(印刷機能設定部)は、原稿画像のプレビュー表示後、ユーザの印刷指示を待つ(S106)。ユーザはプレビュー表示された原稿画像を確認し、OKであれば印刷ボタンを押して印刷指示を行うと、S111にスキップして印刷データ送信処理を行う。
【0057】
[操作判定]
S105で印刷が指示されなかった場合は、プリンタドライバ11c(印刷機能設定部)は、倍率指定部のスライダーコントロール、または、目的命令部のボタンの操作を判定する(S107)。スライダーコントロールが操作された場合は指定倍率取得処理を行い、ボタンが押下された場合は表示倍率決定処理を行う。例えば、幅に合わせて見たい場合は、「幅に合わせる」ボタンを押下するか、若しくは、「幅に合わせる」ボタンから延びた吹き出し線の先にスライダーのつまみを合わせる。
【0058】
[指定倍率取得]
プリンタドライバ11c(印刷機能設定部)は、スライダーコントロールのつまみの位置から表示倍率を取得する(S108)。
【0059】
[表示倍率決定]
プリンタドライバ11c(印刷機能設定部)は、押されたボタンにより、表示倍率を決定する(S109)。
【0060】
[表示画像作成]
次に、プリンタドライバ11c(印刷機能設定部)は、決定された倍率、サイズを元にプレビュー表示する原稿画像を作成する(S110)。原稿画像の作成後は、S105に戻って画像表示処理を行う。その際、本実施例では、表示倍率50%で作成された原稿画像がS108又はS109で設定された表示倍率(ここでは60%)に拡大されて粗く表示されており、画像作成後は、設定された表示倍率で作成された画像に差し替えられて、幅に合った綺麗な画像が表示されることになる。このように、より綺麗な画像が表示されることにより、ユーザは画像の詳細を確認することができ、例えば文字と写真が重ならずに印刷できていることなどを確認することができる。
【0061】
そして、S106で印刷が指示されるまでS105〜S110の処理を繰り返して表示倍率を調整する。その際、従来のプリンタドライバでは、変更後の表示倍率のみが表示されるため、例えば、原稿画像を拡大して詳細を確認した後、ページ全体や幅に合わせて表示しようとしても、元の表示倍率で画像を表示することができない。一方、本実施例のプリンタドライバでは、目的別のボタンが表示され、かつ、各々のボタンの吹き出し線がスライダー上の倍率に対応付けて表示されているため、現在の表示倍率と目的別の表示倍率とを簡単に比較することができ、かつ、目的別の表示倍率に簡単に戻すことができ、ユーザの利便性を格段に向上させることができる。
【0062】
[印刷データ送信]
S106でユーザが印刷指示をした場合は、プリンタドライバ11cは、プレビュー表示を終了し、印刷データを画像形成装置20に送信する(S111)。
【0063】
その後、画像形成装置20は、通信I/F部23を用いて印刷データを受信し、画像処理部26は印刷データを解析してビットマップ形式の画像データを作成し、印刷処理部27は画像データに基づいて印刷を実行し、必要に応じて、印刷後の用紙にパンチやステープルなどの後処理を行う。
【0064】
このように、本実施例では、コンピュータ端末10のプリンタドライバ11c(若しくは画像形成装置20の制御部21)は、印刷プレビュー画面に、原稿画像の表示倍率を直感的に操作可能にするスライダーコントロールと、目的(表示形態)に応じた表示倍率に設定可能にするボタンとを表示し、各々のボタンの表示倍率をスライダーコントロールに関連付けて表示するため、ユーザは直感的な操作で画像のレイアウト確認や、拡大しての詳細な画像確認、等率イメージ確認などを行った上で印刷を実施することができ、不慣れなユーザであっても無駄な印刷を未然に防止することができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0066】
例えば、本実施例では、表示倍率を細かく設定する手段として、1次元に移動するスライダーコントロールを示したが、例えば、2次元に移動させる多次元チャートなどを利用してもよい。また、本実施例では、ボタンの吹き出し線をスライダーコントロールに関連付ける構成としたが、ハイパーリンクなどを用いて関連付けてもよい。
【0067】
また、本実施例では、印刷プレビューの表示倍率を変更する場合について説明したが、表示倍率を変更する対象は原稿画像に限らず、直感的に表示倍率を変更することが望まれる任意の対象に対して同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、画像形成装置に印刷を指示する装置で動作するプリンタドライバなどの印刷指示プログラム及び印刷指示に従って印刷を実行する画像形成装置並びに印刷プレビューの表示を制御するプレビュー表示方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 コンピュータ端末
11 制御部
11a OS
11b アプリケーション
11c プリンタドライバ
12 記憶部
13 通信I/F部
14 表示部
15 操作部
20 画像形成装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信I/F部
24 表示・操作部
25 画像読取部
26 画像処理部
27 印刷処理部
30 通信ネットワーク
40 印刷プレビュー画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を指示するコンピュータ装置で動作する印刷指示プログラムであって、
前記コンピュータ装置を、
印刷対象となる原稿のプレビュー画像を画面に表示させる印刷機能設定部として機能させ、
前記印刷機能設定部は、
表示倍率を割り当てたスライダー上でつまみをスライドさせることにより、前記プレビュー画像の表示倍率の指定を受け付ける第1指示部、
ボタンを選択させることにより、前記プレビュー画像の表示形態の指定を受け付ける第2指示部、
前記ボタンに関連付けられた表示形態に対応する表示倍率を計算する表示倍率決定部、
前記第1指示部で指示された表示倍率、若しくは、前記第2指示部で指示されたボタンに対して前記表示倍率決定部で計算した表示倍率に基づいて、前記プレビュー画像を作成する画像作成部、
前記画面に、前記プレビュー画像と前記スライダーと前記ボタンとを表示させると共に、前記スライダー上に現在の表示倍率を明示し、かつ、原稿の1ページの全体が表示される表示形態に対応するボタンを、前記スライダー上の当該表示形態に対応する表示倍率に関連付けて表示する表示制御部、を備える、
ことを特徴とする印刷指示プログラム。
【請求項2】
前記表示形態は、前記スライダーで設定可能な最小倍率で表示する形態、前記スライダーで設定可能な最大倍率で表示する形態、前記プレビュー画像を印刷される原稿と同じサイズで表示する形態、前記プレビュー画像の高さと前記領域の高さとを一致させて表示する形態、前記プレビュー画像の幅と前記領域の幅とを一致させて表示する形態、の中から選択される1以上の表示形態を含み、
前記表示制御部は、各々の表示形態に対応するボタンを、前記スライダー上の前記各々の表示形態に対応する表示倍率に関連付けて表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷指示プログラム。
【請求項3】
前記表示制御部は、
各々の表示形態に対応するボタンと、前記スライダー上の前記各々の表示形態に対応する表示倍率を指し示す場所と、を線で繋いで関連付ける、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷指示プログラム。
【請求項4】
印刷対象となる原稿のプレビュー画像を画面に表示させる印刷機能設定部を備えた画像形成装置であって、
前記印刷機能設定部は、
表示倍率を割り当てたスライダー上でつまみをスライドさせることにより、前記プレビュー画像の表示倍率の指定を受け付ける第1指示部と、
ボタンを選択させることにより、前記プレビュー画像の表示形態の指定を受け付ける第2指示部と、
前記ボタンに関連付けられた表示形態に対応する表示倍率を計算する表示倍率決定部、
前記第1指示部で指示された表示倍率、若しくは、前記第2指示部で指示されたボタンに対して前記表示倍率決定部で計算した表示倍率に基づいて、前記プレビュー画像を作成する画像作成部と、
前記画面に、前記プレビュー画像と前記スライダーと前記ボタンとを表示させると共に、前記スライダー上に現在の表示倍率を明示し、かつ、原稿の1ページの全体が表示される表示形態に対応するボタンを、前記スライダー上の当該表示形態に対応する表示倍率に関連付けて表示する表示制御部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記表示形態は、前記スライダーで設定可能な最小倍率で表示する形態、前記スライダーで設定可能な最大倍率で表示する形態、前記プレビュー画像を印刷される原稿と同じサイズで表示する形態、前記プレビュー画像の高さと前記領域の高さとを一致させて表示する形態、前記プレビュー画像の幅と前記領域の幅とを一致させて表示する形態、の中から選択される1以上の表示形態を含み、
前記表示制御部は、各々の表示形態に対応するボタンを、前記スライダー上の前記各々の表示形態に対応する表示倍率に関連付けて表示する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、
各々の表示形態に対応するボタンと、前記スライダー上の前記各々の表示形態に対応する表示倍率を指し示す場所と、を線で繋いで関連付ける、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
印刷を指示するコンピュータ装置又は印刷を実行する画像形成装置におけるプレビュー表示方法であって、
印刷対象となる原稿のプレビュー画像を画面に表示する際に、
前記画面に、前記プレビュー画像と、前記プレビュー画像の表示倍率の指定を受け付けるスライダーと、前記プレビュー画像の表示形態の指定を受け付けるボタンと、を表示すると共に、前記スライダー上に現在の表示倍率を明示し、かつ、原稿の1ページの全体が表示される表示形態に対応するボタンを、前記スライダー上の当該表示形態に対応する表示倍率に関連付けて表示する、
ことを特徴とするプレビュー表示方法。
【請求項8】
前記表示形態は、前記スライダーで設定可能な最小倍率で表示する形態、前記スライダーで設定可能な最大倍率で表示する形態、前記プレビュー画像を印刷される原稿と同じサイズで表示する形態、前記プレビュー画像の高さと前記領域の高さとを一致させて表示する形態、前記プレビュー画像の幅と前記領域の幅とを一致させて表示する形態、の中から選択される1以上の表示形態を含み、
各々の表示形態に対応するボタンを、前記スライダー上の前記各々の表示形態に対応する表示倍率に関連付けて表示する、
ことを特徴とする請求項7に記載のプレビュー表示方法。
【請求項9】
各々の表示形態に対応するボタンと、前記スライダー上の前記各々の表示形態に対応する表示倍率を指し示す場所と、を線で繋いで関連付ける、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のプレビュー表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−118632(P2012−118632A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265710(P2010−265710)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】